JP2588983B2 - 攪拌式洗濯機の運転制御方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、攪拌式洗濯機の特に強力洗い時の運転制御
方法に関する。

〔従来の技術〕 第２図、第３図はアジテーターを有する攪拌式の全自
動洗濯機の一例を示すもので、図中（１）は、多数の透
孔（２）を有する中空筒体を中心にその周面に縦長の攪
拌翼（３）を放射状に設けた回転翼としてのアジテー
タ、（４）はこのアジテータ（１）が中心に配置された
側壁に透孔（５）を設けた洗濯槽を兼用する脱水槽であ
るが、該脱水槽（４）の外側に上端開口に防水板（16）
を設けた水受槽（７）を配し、水受槽（７）の底部の排
水口に排水弁（18）を設けた排水ホース（21）をバルブ
ケース（17）を介して接続する。

図中（８）はモーターで、これはプーリー（９）、Ｖ
ベルト（10）及びプーリー（11）の低速伝達機構を介し
て回転伝達部（12）に連結する。この回転伝達部（12）
は、バネクラッチ機構（13）により切換わる２重の駆動
軸（12a）（12b）を有し、外側の駆動軸（12a）は脱水
槽（４）に、内側の駆動軸（12b）はアジテータ（１）
にそれぞれ結合する。

モーター（８）の反負荷側には、脱水槽（４）の回転
を検出する手段としてコイル（14a）と磁石（図示せ
ず）とで構成する速度発電機（14）（パルスジェネレー
ター:PG）を取り付ける。

一方、前記バルブケース（17）から立上げる導圧ホー
ス（19）端には、ケース（20a）内に、鉄心（20b）を有
するベローズ（20c）とこれに対向するコイル（20d）を
設け、さらにコイル（20d）に発振器（20e）を接続した
水位検知手段（20）を設けた。

なお、これらの機構は、防振手段を介して外箱（32）
内に収め、この外箱（32）の上部には、操作パネル（3
1）を設け、また後述の制御装置（15）や給水弁（2
2）、操作スイッチ部（26）、圧電ブザー（29）等を配
置する。

図中（30）は脱水槽（４）上方を覆うフタを示す。こ
の操作パネル（31）は第４図に示すように、各種押釦式
の多数のスイッチ類と、多数の表示ランプ類とを表面に
顕出したもので、スイッチ類は時計セットスイッチ（3
5）、洗い時間、すすぎ回数、脱水時間の設定を行う工
程セットスイッチ（36）、使用水位の設定を行う水位ス
イッチ（37）、予め設定されている標準、スピーディな
どのコースのうちから希望のものを選定する全自動コー
ススイッチ（38）、一時停止／解除スイッチ（39）、予
約運転の設定を行う予約スイッチ（40）及び電源スイッ
チ（41）としての入スイッチ（41a）、切スイッチ（41
b）により構成される。

また、表示ランプ類は現在時計や予約運転終了時刻を
表示する時計表示器（33）、前記工程セットスイッチ
（36）や全自動コーススイッチに対応して設定内容表示
や進行表示を行うLEDランプを用いる表示ランプ（34）
により構成される。

図中（15）はマイクロコンピュータによる制御装置
で、第５図に示すようにこれは電源（25）に接続され、
さらに出力側端子に表示灯として発光ダイオード等のラ
ンプを複数並列させる表示ランプ（34）や圧電ブザー
（29）及び増幅器（23）を介してモーター（８）、排水
弁（18）、給水弁（22）が接続される。

一方、制御装置（15）の入力側端子には、操作スイッ
チ部（26）やフタ・アンバランスその他センサー部（2
7）の他に、分周器（28）を介して水位検知手段（20）
が接続され、また、抵抗（42a）、ダイオード（42b）、
コンデンサー（42c）、トランジスタ（42d）、抵抗（42
e）による波形変換器（42）を介して前記速度発電機（1
4）が接続される。

また、第３図に示すように電気的結合ではないがクラ
ッチ機構（13）は排水弁（18）により切換えられる。

次に動作について特に強力洗いを行う場合を説明する
と、初めに、洗濯物と一定量の洗剤を脱水槽（４）内に
投入し、運転の始動スイッチを入れる。

給水弁（22）が開かれ、水が水受槽（７）及び脱水槽
（４）内に投入されると、バルブケース（17）から導圧
ホース（19）を介して接続された水位検知手段（20）で
は水位による圧力の変化をベローズ（20c）でとらえ、
鉄心（20b）の周囲に配置されたコイル（20d）の「Ｌ
値」の変化として検出し、LC発振回路を有する発振器
（20e）に出力し、それを分周器（28）を介してマイコ
ンを有する制御装置（15）でとらえ演算を行なう。

このようにして、水位が水位スイッチ（37）により設
定した規定の水位まで達したならば、給水を停止し、制
御装置（15）ではモーター（８）に通電して正反転の動
作を行うようなモーター制御工程が開始され、このモー
ター（８）の正反転の動作はプーリー（９）、Ｖベルト
（10）、プーリー（11）、回転伝達部（12）を介して攪
拌翼（３）に伝えられ、攪拌翼（３）が揺動して洗濯物
を攪拌し、洗濯が行われる。

モーター（８）が回転すると、速度発電機（14）も回
転し、そのコイル（14a）から出力される正弦波形であ
る速度発電機発生電圧は抵抗（42a）、ダイオード（42
b）、コンデンサー（42c）、トランジスタ（42d）、抵
抗（42e）による波形変換器（42）を介して5V矩形波で
ある波形整形電圧に変換され、制御装置（15）に導入さ
れる。

第６図はこのようなモーター（８）の動きと速度発電
機（14）によるパルスの関係を示すもので、周知のごと
くモーター（８）の通電回路では、正転（右回転）と逆
転（左回転）の間に通電休止時間があり、また、通電時
間は速度発電機（14）で80パルス分である。

モーター（８）への通電をオフした後でも、脱水槽
（４）、モーター（８）は慣性で回り続け、その結果、
速度発電機（14）もこの慣性によるパルスを出す。

モーター（８）への通電がオフしたことを条件に制御
装置（15）はこの慣性によるパルスをカウントし始める
が、該慣性力はやがてなくなり、慣性パルスも出なくな
る。

200m sec以上慣性パルスがないと、モーター（８）、
攪拌翼（３）も停止したものとしてパルスのカウントを
止め、前回とは反対方向にモーター（８）を回転させ
る。

このモーター（８）への通電制御は、従来、下記の表
に示すように、強力洗いの場合は標準やデリケート洗い
などに比べてモーター（８）の一方向への回転動作時間
すなわち撹拌翼（３）の動作時間を長くすると同時に通
電後のオフ時間を短くし、さらに全体の洗い工程時間を
長くして洗濯物に与える機械力が大きくなるようにして
いる。

〔発明が解決しようとする課題〕 前記従来の攪拌式洗濯機では、モーター（８）への通
電のオンオフ時間が上記表に示すように予め一定のもの
に設定されているが、モーター停止後の慣性による撹拌
翼の回転角度は第８図に示すように負荷量すなわち洗濯
物の布量や水量によって異なり、負荷が小さい程慣性に
よる回転角度が大きいものになって、洗濯物が充分に攪
拌される。

このため、当該洗い時の水量や洗濯物量によって洗浄
度が異なり、洗濯物量に対して適正な水量が得られない
と汚れが充分に落ち切れない場合や、布傷みが生じるな
どの不都合が生じていた。

本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、負荷量
の大小にかかわらず常に一定の洗浄度を確保でき、特に
負荷量が小さい場合にはモーターの出力を有効に使用で
きる攪拌式洗濯機の運転制御方法を提供することにあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は前記目的を達成するため、撹拌翼を交互に正
逆転して洗濯を行う撹拌式洗濯機において、駆動モータ
ー停止後撹拌翼の慣性による回転移動量を検出する負荷
量制定手段を設け、強力洗い時に高水位まで給水した
後、負荷量を判定し、この負荷量判定結果に基づいて負
荷量が少ない程モーターの一方向への回転動作時間すな
わち撹拌翼の動作角度を大きく、モーターへの通電停止
時間を短くして慣性による回転時間を短くし、かつ洗い
時間を短く設定することを要旨とするものである。

〔作用〕

本発明によれば、強力洗いを行う場合に、高水位まで
給水しておき、例えば負荷量が小さい時は、モーターの
一方向への回転動作時間を大きくして撹拌翼の動作角度
を大きくし、その後の通電オフ時間を短かく設定するこ
とで慣性による回転時間を少なくして強い水流を得、か
つ、その分だけ全体の洗い時間を短くすることでモータ
ーの出力を有効に水流発生に使用して効率よく運転でき
ると同時に所定の洗浄力を確保できる。

そして、負荷量の多い場合はモーターの一方向への回
転動作時間が短く、オフ時間が長く、かつ全体の洗い時
間が長く設定されるので、慣性による回転力がほとんど
なくなってから次の反転動作に入るから所定の反転力が
得られ、所定の洗浄力が得られる。

〔実施例〕

以下、図面について本発明の実施例を詳細に説明す
る。

第１図は本発明の攪拌式洗濯機の運転制御方法の実施
例を示すフローチャートで、使用する洗濯機としては第
２図〜第６図に示すアジテーターを有する撹拌式の全自
動洗濯機であり、その構造は前記従来例と同様であるの
でここでの詳細な説明を省略する。

洗い、特に強力洗いの工程として、初めに、洗濯物と
一定量の洗剤とを脱水層（４）内に投入し、運転の始動
スイッチを入れる。

給水弁（22）が開かれて給水が自動的に開始し、水が
水受槽（７）及び脱水槽（４）内に投入され、水位検知
手段（20）で水位が高位水に達したことが検知されると
（ステップイ）給水を停止し、制御装置（15）ではモー
ター（８）に通電して正反転の動作を行うようなモータ
ー制御工程が開始され、このモーター（８）の正反転の
動作はプーリー（９）、Ｖベルト（10）、プーリー（1
1）、回転伝達部（12）を介してアジテータ（１）に伝
えられ、攪拌翼（３）が揺動して洗濯物を攪拌し、洗濯
が行われる。

この時、モーター（８）とともに速度発電機（14）も
回転し、その出力は矩形波パルスとして制御装置（15）
に導入される。

モーター（８）が正転、すなわち右回転しているとき
は速度発電機（PG）（14）でのパルスが80パルスになる
と、制御装置（15）はモーター（８）への通電をオフす
る。

モーター（８）への通電をオフした後でも、脱水槽
（４）、モーター（８）は慣性で回り続け、その結果、
速度発電機（14）もこの慣性によるパルスを出す。

モーター（８）への通電がオフしたことを条件に制御
装置（15）はこの慣性によるパルスをカウントし始める
が、該慣性力はやがてなくなり、慣性パルスも出なくな
る。

200m sec以上慣性パルスがないと、モーター（８）、
攪拌翼（３）も停止したものとしてパルスのカウントを
止め、前回とは反対方向にモーター（８）を回転させ
る。

このようにモーター（８）の正転、停止、反転の動作
を繰返して、撹拌翼（３）が５回動作すると、この時の
慣性パルス数の積算値ｎが制御装置（15）で算出され、
負荷量が判定される（ステップロ）。

この負荷量は第７図に示すようにｎ＝50以下であれば
（ステップハ）大負荷と判断され、以後の撹拌翼（３）
の動作角度すなわちモーター（８）への通電角度を200
゜、通電後の停止時間を300m sec、洗い時間を12分と自
動的に設定される（ステップホ）。

また、ｎ＝50以上で100以下であれば（ステップハ、
ニ）、中負荷と判断され、以後の撹拌翼（３）の動作角
度が280゜、通電後の停止時間が200m sec、洗い時間が1
0分と設定される（ステップヘ）。

そして、ｎ＝100以上であれば（ステップニ）、小負
荷と判断され、以後の撹拌翼（３）の動作角度が360
゜、通電後の停止時間が100m sec、洗い時間が８分と設
定される（ステップト）。

特に、この小負荷の場合、通電後の停止時間が短く、
慣性による回転時間が短くても、洗濯物量は少ないので
次の反転時にはスムーズに反転動作が開始する。

以上のように負荷量に応じて、撹拌翼（３）の動作角
度、停止時間、洗い時間が設定され、特に負荷量が小さ
い場合は、動作角度が大きく停止時間が短くかつ洗い時
間が短くなるので、これにより洗濯物量が少ない時は強
い水流で短時間で洗いが終了できてモーター（８）の出
力を有効に使用できる。

そして各々の負荷量に応じたモードで洗い運転が行わ
れ（ステップチ）、前記設定時間に達すると洗い運転が
終了し（ステップリ）、次工程へと移行する。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明の攪拌式洗濯機の運転制御方
法は、強力洗いを行う場合に水位を高水位とし、負荷量
に応じてこれが小さくなる程撹拌翼の動作角度を大き
く、通電後の停止時間を短く、かつ全体の洗い時間を短
くしたので特に負荷量の少ない時は強い水流で短時間の
うちに洗いを終了でき、モーターの出力を最大限有効に
使用できる。

また、負荷量の大小にかかわらず、高水位で運転し、
かつ前記のごとく負荷量に対応させて撹拌翼の動作角度
等を設定するので、いずれの負荷量の場合でも同等の洗
浄力が確保でき、洗浄力のバラツキや布傷みなどが生じ
ることを防止でき、信頼性を向上できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の攪拌式洗濯機の運転制御方法の実施例
を示す動作のフローチャート、第２図は撹拌式全自動洗
濯機の全体斜視図、第３図は同上縦断側面図、第４図は
操作パネルの正面図、第５図は制御系のブロック回路
図、第６図はモーターの回転における速度発電機による
パルスの波形図、第７図は慣性パルス数と負荷量の関係
を示す特性曲線図、第８図は負荷量による撹拌翼の動き
を示す説明図である。 （１）……アジテータ、（２）……透孔 （３）……攪拌翼、（４）……脱水槽 （５）……透孔、（６）……バランサー （７）……水受槽、（８）……モーター （９）……プーリー、（10）……Ｖベルト （11）……プーリー、（12）……回転伝達部 （12a）（12b）……駆動軸、（13）……クラッチ機構 （14）……速度発電機、（14a）……コイル （15）……制御装置 （16）……防水板、（17）……バルブケース （18）……排水弁、（19）……導圧ホース （20）……水位検知手段、（20a）……ケース （20b）……鉄心、（20c）……ベローズ （20d）……コイル、（20e）……発振器 （21）……排水ホース、（22）……給水弁 （23）……増幅器、（25）……電源 （26）……操作スイッチ部 （27）……フタ・アンバランスその他センサー部 （28）……分周器、（29）……ブザー （30）……フタ、（31）……操作パネル （32）……外箱、（33）……数字表示器 （34）……表示ランプ、（35）……時計セットスイッチ （36）……工程セットスイッチ、（37）……水位スイッ
チ （38）……全自動コーススイッチ、（39）……一時停止
／解除スイッチ （40）……予約スイッチ、（41）……電源スイッチ （41a）……入スイッチ、（41b）……切スイッチ （42）……波形変換器、（42a），（42e）……抵抗 （42b）……ダイオード、（42c）……コンデンサ （42d）……トランジスタ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】撹拌翼を交互に正逆転して洗濯を行う撹拌
   式洗濯機において、駆動モーター停止後撹拌翼の慣性に
   よる回転移動量を検出する負荷量制定手段を設け、強力
   洗い時に高水位まで給水した後、負荷量を判定し、この
   負荷量判定結果に基づいて負荷量が少ない程モーターの
   一方向への回転動作時間すなわち撹拌翼の動作角度を大
   きく、モーターへの通電停止時間を短くして慣性による
   回転時間を短くし、かつ洗い時間を短く設定することを
   特徴とした攪拌式洗濯機の運転制御方法。