JPH0994367A - ミシンフレーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミシンフレーム全体の剛性を高める場合と比
較してミシンフレームの構造を簡素化し、かつその重量
を増やすことなく振動を抑制する。 【解決手段】 ミシンフレームであって、横方向に間隔
をもって立てられた一対の支柱１２に対し、ミシンヘッ
ド３０を取付けるための高い剛性の上フレーム１４と、
この上フレーム１４の下方において釜土台３２を取付け
るための高い剛性の下フレーム１６とがそれぞれ架け渡
された状態で固定されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、縫いステッチを形
成するときのミシンヘッドにおける縫い針の上下駆動及
び釜土台に内蔵された釜の回転駆動によって発生する振
動を抑制するように配慮されたミシンフレームに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のミシンフレームとしては、例えば
複数本の鋼材によって枠組みされた基枠の上面における
左右両側にボックスが固定され、これらのボックスの上
面に対して角パイプ形状のフレームが架け渡され、かつ
その両端部がボックスにそれぞれ固定された構造のもの
が知られている。そしてミシンヘッドは前記フレームに
固定され、釜土台は前記基枠に固定されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】縫いステッチを形成す
るときの前記縫い針の上下駆動及び釜の回転駆動によっ
て発生する振動を抑えるために、これまでは前記基枠の
鋼材に溝形鋼やＬ形鋼を用い、かつ鋼材の使用本数を増
やして枠組み全体の強度を高め、その結果としてミシン
フレームの剛性を高める方向で検討してきた。しかしミ
シンフレームの剛性が高まるに連れて基枠の構造が複雑
となり、またミシンフレームの重量も増加することとな
る。

【０００４】本発明の目的は、構造を簡単にし、かつ重
量を増やすことなくミシンフレームの振動を効果的に抑
制することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、ミシンフレー
ムであって、横方向に間隔をもって立てられた一対の支
柱に対し、ミシンヘッドを取付けるための高い剛性の上
フレームと、この上フレームの下方において釜土台を取
付けるための高い剛性の下フレームとがそれぞれ架け渡
された状態で固定されていることを特徴とする。このよ
うに振動の発生源であるミシンヘッドと釜土台とが取付
けられるそれぞれのフレームについてのみ、その剛性を
高くすることで、ミシンフレーム全体の剛性を高める場
合と異なり、ミシンフレームの構造が簡単になるととも
に重量も増やすことなく振動を抑制できる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図１はミシンフレームの正面図、図２はミシンフ
レームの側面図、図３はミシンフレームの平面図、図４
はミシンフレームの斜視図である。これらの図面で示す
ようにミシンフレームにおける左右の基台１０は横方向
（左右方向）に間隔をもって配置され、これらの基台１
０の上面にはそれぞれ支柱１２が立てられている。両支
柱１２に対し、それぞれ角パイプ状をした高い剛性の上
フレーム１４及び下フレーム１６が架け渡されている。
上フレーム１４についてはその両端部が両支柱１２の上
端面にそれぞれ固定され、下フレーム１６についてはそ
の両端部が両支柱１２のほぼ中間部にそれぞれ固定され
ている。なお両支柱１２についてもその剛性を高く設定
した方がよいのは言うまでもない。

【０００７】前記の両支柱１２の前面側には、これらの
支柱１２と両基台１０との結合をより強固にするための
補強リブ１８がそれぞれ固定されている。また両支柱１
２の背面側には補助支柱２０がそれぞれ設けられてお
り、これらの補助支柱２０によって基台１０と支柱１２
及び支柱１２と上フレーム１４との結合をより強固にし
ている。なおミシンフレームを構成する前記の各部材間
の固定部分は、溶接などによって一体化されている。前
記下フレーム１６の前面には土台２２が固定されている
とともに、上フレーム１４と下フレーム１６との間には
テーブル２６が配置されている。さらに両補助支柱２０
の背面にはステー２４の両端部が固定されている。テー
ブル２６の上面には布などの被縫製物をセットするため
の保持枠２８が載せられ、前記ステー２４にはテーブル
２６を支えるスタット（図示外）や保持枠２８を駆動す
るための部材（図示外）などが取付けられる。

【０００８】図１で示されているように前記上フレーム
１４の前面には、その左右方向に沿って複数個（６個）
のミシンヘッド３０が設けられているとともに、この上
フレーム１４の上面には糸立て装置４０が設けられてい
る。また前記土台２２の上面には各ミシンヘッド３０と
対応する位置において釜土台３２がそれぞれ配置されて
いる。前記の各ミシンヘッド３０は個々に複数本（例え
ば６本）の縫い針（図示外）を備えた多針タイプであっ
て、それぞれにおいて選択された１本の縫い針が上下に
往復駆動されるようになっている。一方、各釜土台３２
には縫い針の上下駆動に同期して回転駆動される釜３２
ａ（図５を参照）が内蔵されている。このように上下に
駆動される縫い針と回転駆動される釜３２ａとの協同作
用、ならびに前記保持枠２８の枠駆動により、周知のよ
うに前記被縫製物に縫いステッチが形成される。

【０００９】図５は一つの釜土台３２の支持構造を分解
して表した斜視図である。まず釜土台３２の下面にはプ
レート３３が４本のネジ３４（図面では１本だけを示
す）によって固定され、このプレート３３の下面には振
動吸収部材として用いたダンパーゴム３５を介在させて
固定プレート３６が接着されている。この固定プレート
３６の下面には３本のボルト３７が固定されており、こ
れらのボルト３７は前記土台２２にあけられた各孔２３
に挿入される。そして各ボルト３７には土台２２の上面
側及び下面側においてそれぞれナット３８，３９が締付
けられ、各ナット３８，３９のねじ込み量によって釜土
台３２の高さ及び傾きを調整できるようになっている。
なお釜土台３２は前記ダンパーゴム３５を介して土台２
２に支持されたことになるため、釜３２ａの回転駆動に
よる釜土台３２の振動はダンパーゴム３５で吸収され、
土台２２への振動伝達が抑制される。

【００１０】図６は前記糸立て装置４０を一部断面で表
した構成図、図７は一つのミシンヘッド３０に対応する
糸立て装置４０を表した斜視図である。糸立て装置４０
は、図１で示すように上フレーム１４の上面において各
ミシンヘッド３０にわたって設けられた糸立て皿４２
と、この糸立て皿４２の上方に配置された糸道５４とを
備えている。前記糸立て皿４２は、図６で示すように上
フレーム１４の上面にスタット４３を介して固定されて
いる。糸立て皿４２の上面には各ミシンヘッド３０毎
に、その縫い針と同数（６本）の糸立て棒５０が固定さ
れて個々に糸駒Ｓがセットされている。各糸立て棒５０
にはガイド杆５１が、その中空の下端部に糸立て棒５０
の先端部を差し込んだ状態でそれぞれ結合されている。
ガイド杆５１をその中空部内に組込まれているコイルバ
ネ５２の付勢力に抗して押し下げることにより、このガ
イド杆５１を糸立て棒５０から外すことなく、前記糸駒
Ｓのセットあるいは取外しが可能である。

【００１１】前記糸道５４は、図１及び図６で示すよう
に上フレーム１４の上面に固定された支持棒５６によっ
て支持されている。そして糸道５４は第一案内杆５８及
び第二案内杆６０を備え、図７で示すように第一案内杆
５８には一つのミシンヘッド３０に対応して６個の糸通
し孔５９が形成され、第二案内杆６０には一つのミシン
ヘッド３０に対応して３個の糸通し孔６１が形成されて
いる。各糸通し孔５９，６１はその両端の径が大きくな
っており、かつそれぞれの案内杆５８，６０の外周上面
から糸通し孔５９，６１へ糸を導いて通すためのスリッ
ト５９ａ，６１ａを有する。

【００１２】また糸道５４は各ミシンヘッド３０毎に一
つの糸道体６２を備えている。この糸道体６２は、それ
を斜視図で表した図８及び横断面図を表した図９から明
らかなようにベース６３と押え部材６８とを備えてい
る。このベース６３の上面には押え部材６８が入り込む
凹部６４が形成されており、この凹部６４の内底面には
フェルト６５が貼り付けられている。またベース６３に
は凹部６４の前後においてミシンヘッド３０の縫い針と
同数（６個）の切欠６６が形成されている。しかもベー
ス６３の前面側には、糸が切欠６６の角で擦れるのを避
けるためのガイド棒６７が固定されている。

【００１３】前記押え部材６８の一端部はベース６３に
対してピン７０により開閉（回転）自在に結合されてお
り、かつ押え部材６８の他端部には板バネ７１が固定さ
れている。この板バネ７１は、図９で示すように押え部
材６８がベース６３の凹部６４に入り込んだ状態（閉め
た状態）においてベース６３の前後面に弾性力をもって
係止し、その状態を保持するように機能する。なお押え
部材６８の下面にもフェルト６９が貼り付けられてい
る。

【００１４】前記糸立て装置４０における糸の取り回し
について説明すると、糸立て皿４２の上面で前列に位置
している糸駒Ｓから繰り出された糸は、前記糸道５４に
おける第一案内杆５８の糸通し孔５９及び糸道体６２を
通ってミシンヘッド３０へと導かれる。また糸立て皿４
２の上面で後列に位置している糸駒Ｓから繰り出された
糸は、糸道５４における第二案内杆６０の糸通し孔６
１、第一案内杆５８の糸通し孔５９及び糸道体６２を通
ってミシンヘッド３０へと導かれる。なお糸駒Ｓに巻か
れている糸は捩れながら繰り出されるため、この糸駒Ｓ
と第一案内杆５８あるいは第二案内杆６０との間で糸が
弛んだときに糸の一部がループ状になって絡まることが
ある。しかし前記糸立て棒５０にガイド杆５１を設けた
ことにより、糸はガイド杆５１に巻き付きながら繰り出
されることになってその絡みが防止される。

【００１５】前記糸道５４における第一案内杆５８及び
第二案内杆６０に対する糸の取り回しは、前記スリット
５９ａ，６１ａから糸通し孔５９，６１へ糸を通すだけ
で済む。また糸道体６２に対する糸の取り回しは、前記
押え部を開いた状態でベース６３の各切欠６６に糸を通
した後、押え部材６８を閉めればよい。さてミシンの縫
い時においては、縫い針が上下に駆動されるミシンヘッ
ド３０及び釜３２ａが回転駆動される釜土台３２がそれ
ぞれ振動の発生源となるが、ミシンヘッド３０は剛性の
高い上フレーム１４に、かつ釜土台３２は土台２２を介
して剛性の高い下フレーム１６にそれぞれ取付けられて
いることから、簡単な構造でミシンフレーム全体の振動
が抑制される。

【００１６】なお以上は、多針タイプのミシンヘッド３
０を複数個設けた多頭タイプのミシンについて説明した
が、ミシンヘッド３０が単針タイプのミシン、あるいは
ミシンヘッド３０が一つの単頭タイプのミシンに前記の
ミシンフレームを適用することは当然可能である。

【００１７】

【発明の効果】ミシンフレーム全体の剛性を高める場合
と異なり、ミシンフレームの構造が簡単になり、しかも
その重量も増やすことなく振動を抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ミシンフレームの正面図。

【図２】ミシンフレームの側面図。

【図３】ミシンフレームの平面図。

【図４】ミシンフレームの斜視図。

【図５】一つの釜土台の支持構造を分解して表した斜視
図。

【図６】糸立て装置を一部断面で表した構成図。

【図７】一つのミシンヘッドに対応する糸立て装置を表
した斜視図。

【図８】一つの糸道を表した斜視図。

【図９】糸道の横断面図。

【符号の説明】

１２ 支柱 １４ 上フレーム １６ 下フレーム ３０ ミシンヘッド ３２ａ 釜 ３２ 釜土台

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下に往復駆動される縫い針が設けられ
   たミシンヘッドと、縫い針の上下駆動に同期して回転駆
   動されることで縫いステッチを形成する釜が内蔵された
   釜土台とを備えたミシンフレームであって、 横方向に間隔をもって立てられた一対の支柱に対し、前
   記ミシンヘッドを取付けるための高い剛性の上フレーム
   と、この上フレームの下方において前記釜土台を取付け
   るための高い剛性の下フレームとがそれぞれ架け渡され
   た状態で固定されていることを特徴とするミシンフレー
   ム。