JPH0992047A - 耐火電線 - Google Patents

耐火電線

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JPH0992047A
JPH0992047A JP7245671A JP24567195A JPH0992047A JP H0992047 A JPH0992047 A JP H0992047A JP 7245671 A JP7245671 A JP 7245671A JP 24567195 A JP24567195 A JP 24567195A JP H0992047 A JPH0992047 A JP H0992047A
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JP
Japan
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layer
fireproof
mica
electric wire
tape
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JP7245671A
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English (en)
Inventor
Tomoshi Manabe
知史 真鍋
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Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火災時に耐火電線が直接火炎に晒されても消
防庁告示第7号による耐火試験の耐火特性を満足し、I
EEEstd.383による垂直トレイ試験も満足させて燃
焼時に耐火電線が延焼するのを防止できるようにする。 【解決手段】 導体2の外周にポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のフィルムからなる裏打材に軟質集成マイカを
貼り合わせたマイカテープ14を1/2〜1/10ラッ
プ又は縦添えにより巻き付け、該マイカテープ14の上
にガラスクロス19からなる裏打材に軟質集成マイカ2
0を貼り合わせ該ガラスクロスの表面に熱硬化性のセラ
ミック塗料21をコーティングしてなるガラスマイカテ
ープ15を1/2〜1/10ラップ又は縦添えにより巻
き付けて耐火層16を形成し,この耐火層16の上にポ
リオレフィン系樹脂からなる絶縁体層6を形成し,さら
にこの絶縁体6の上にノンハロゲン難燃ポリオレフィン
系樹脂でシース層22を形成して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火災等によって耐
火電線が高熱や火炎に晒された際に消防法によって定め
られた耐火特性を備え、燃焼時に延焼を防止できる耐火
電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、劇場、デパート等多数の人が集
合する場所においては、火災等が発生した場合に、場内
の人を安全に非常口に案内するために、非常口案内灯な
どの避難誘導灯が火炎によって消灯することなく一定の
時間点灯させておくことが要求されている。そこで消防
庁告示第4号でその規格を定め、消防用設備の自動火災
報知、非常警報設備等の小勢力回路には、耐火電線の使
用を義務付けている。本明細書において耐火電線という
場合は、昭和53年消防庁告示第7号で規定された耐火
性能を有する電線・ケーブルの総称を指している。この
ような耐火電線の内、単心形の耐火電線であるケーブル
1は図4に示す如く、導体2の上にマイカテープ3を1
/2〜1/10ラップ(重ね巻き)又は縦添えにより巻
き付け、さらに、このマイカテープ3の上にマイカテー
プ4を1/2〜1/10ラップ(重ね巻き)又は縦添え
により巻き付け、耐火層5を形成する。そして、この耐
火層5の上にポリオレフィン系樹脂を押出し被覆して絶
縁体層6を形成して絶縁線心7を形成し、この絶縁線心
7の絶縁体層6の上に、ポリオレフィン系樹脂又は塩化
ビニル樹脂を押出し被覆してシース層8を形成してい
た。
【0003】また、耐火電線の内、多心形の耐火電線で
あるケーブル9は、図4に示される絶縁線心7を、紙、
ジュート、ポリプロピレン解繊糸等の介在物10といっ
しょに複数本(図5においては、6本)撚り合わせた
後、遮蔽テープ又は難燃テープの押え巻テープ11を巻
装し、この押え巻テープ11の上にポリオレフィン系樹
脂又は塩化ビニル樹脂を押出し被覆してシース層12を
形成して構成している。そして、この耐火電線を構成す
る絶縁体には、ビニル混合物、ポリエチレン混合物、架
橋ポリエチレンなどが用いられる。また、この耐火電線
において遮蔽テープとしては、金属テープ、金属編組、
金属テープと紙、プラスチックなどの複合テープなど
で、耐火層としては、マイカ混合テープがあり、遮蔽テ
ープが耐火層を兼ねる場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の耐火
電線は、消防庁告示第7号による耐火試験(JIS A
1304の火災温度曲線に準じ30分加熱する)を行っ
た場合、基準を十分に満足するが、耐火電線が直接火炎
に晒され燃焼したときの延焼防止の点では十分なもので
はなかった。すなわち、従来の耐火電線は消防庁告示第
7号による耐火試験を満足するが、IEEEstd.383
による垂直トレイ試験を満足するには至らなかった。ま
た、IEEEstd.383による垂直トレイ試験を満足さ
せるためにケーブルの構造を難燃化すると消防庁告示第
7号による耐火試験(電線管用)が満足しなくなり、こ
の2つの試験を満足する電線構造がなかなか困難なもの
であった。
【0005】本発明の目的は、火災時に耐火電線が直接
火炎に晒されても消防庁告示第7号による耐火試験の耐
火特性を満足し、IEEEstd.383による垂直トレイ
試験も満足させて燃焼時に耐火電線が延焼するのを防止
することができるようにしようということにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
導体2の外周にポリエチレン、ポリプロピレン等のフィ
ルムからなる裏打材に軟質集成マイカを貼り合わせたマ
イカテープ14を1/2〜1/10ラップ又は縦添えに
より巻き付け、該マイカテープ14の上にガラスクロス
19からなる裏打材に軟質集成マイカ20を貼り合わせ
該ガラスクロス19の表面に熱硬化性のセラミック塗料
21をコーティングしてなるガラスマイカテープ15を
1/2〜1/10ラップ又は縦添えにより巻き付けて耐
火層16を形成し,該耐火層16の上にポリオレフィン
系樹脂からなる絶縁体層6を形成し,該絶縁体6の上に
ノンハロゲン難燃ポリオレフィン系樹脂でシース層22
を形成してなるものである。このように耐火電線に使用
されるガラスマイカテープの裏打材であるガラスクロス
の表面に熱硬化性のセラミック塗料をコーティングして
あるので、火災時に火炎等による熱がガラスクロスに伝
わってくると、ガラスクロスの表面がセラミック化し、
シース層、絶縁体層を構成するポリオレフィン系樹脂の
溶融物が耐火層内へ侵入するのを防止することができ
る。
【0007】請求項2記載の発明は、耐火電線の絶縁体
層6とシース層22の間に、難燃性テープを巻き付けて
形成する難燃層を介在させたものである。このようにシ
ース層と絶縁体層との間に難燃層を設けているため、耐
火電線を燃え難くすることができ、耐火電線の燃焼時に
延焼するのを防止することができる。
【0008】請求項3記載の発明は、軟質集成マイカ2
0を、0.09〜0.15mmの厚さに成形したもので
ある。
【0009】請求項4記載の発明は、導体2の外周にポ
リエチレン、ポリプロピレン等のフィルムからなる裏打
材に軟質集成マイカを貼り合わせたマイカテープ14を
1/2〜1/10ラップ又は縦添えにより巻き付け、該
マイカテープ14の上にガラスクロス19からなる裏打
材に軟質集成マイカ20を貼り合わせ該ガラスクロス1
9の表面に熱硬化性のセラミック塗料21をコーティン
グしてなるガラスマイカテープ15を1/2〜1/10
ラップ又は縦添えにより巻き付けて耐火層16を形成
し、該耐火層16の上にポリオレフィン系樹脂からなる
絶縁体層6を形成して構成する絶縁線心18を,ジュー
ト又はノンハロゲンポリプロピレン解繊糸によって構成
される介在物10といっしょに複数本撚り合わせた後、
ノンハロゲン難燃ポリオレフィン系樹脂でシース層24
を形成したものである。このように耐火電線に使用され
るガラスマイカテープの裏打材であるガラスクロスの表
面に熱硬化性のセラミック塗料をコーティングしてある
ので、火災時に火炎等による熱がガラスクロスに伝わっ
てくると、ガラスクロスの表面がセラミック化し、シー
ス層、絶縁体層を構成するポリオレフィン系樹脂の溶融
物が耐火層内への侵入したり、不完全燃焼による導電性
生成物が耐火層内へ侵入するのを防止することができ
る。
【0010】請求項5記載の発明は、耐火電線を、ジュ
ート又はノンハロゲンポリプロピレン解繊糸によって構
成される介在物10といっしょに複数本の絶縁線心18
を撚り合わせた上に難燃性テープを巻き付けて形成する
難燃層11を介在させ、該難燃層11の上にノンハロゲ
ン難燃ポリオレフィン系樹脂でシース層24を形成して
構成したものである。このようにシース層の下層に難燃
層を設けているため、耐火電線を燃え難くすることがで
き、耐火電線の燃焼時に延焼するのを防止することがで
きる。
【0011】請求項6記載の発明は、軟質集成マイカ
を、0.09〜0.15mmの厚さに成形したものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る耐火電線の実
施の形態について説明する。図1には、本発明に係る耐
火電線の第1の実施の形態が示されている。図におい
て、耐火電線13は、単心形のケーブルで、2は導体、
14は導体2の外周に被覆するマイカテープである。こ
のマイカテープ14は、厚さ0.09〜0.15mmから
なる軟質集成マイカとポリエチレン、ポリプロピレン等
のフィルムからなる裏打材を貼り合わせた構成となって
おり、導体2の外周に1/2重ね巻きされている。この
マイカテープ14の裏打材は、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のフィルムを使用しているが、ガラスクロスの
方がより好ましい。また、マイカテープ14は、本実施
の形態においては1/2重ね巻きとなっているが、重ね
巻きの重ね代は、1/2〜1/10で可能であり、導体
2の外周に縦添えによって巻き付けてもよい。
【0013】15は導体2の外周に重ね巻きしたマイカ
テープ14の上に1/4重ね巻きされたガラスマイカテ
ープである。このガラスマイカテープ15は、図2に示
す如く、ガラスクロス(裏打材)19に厚さ0.09〜
0.15mmからなる軟質集成マイカ20を貼り合わせ、
ガラスクロス19の表面に熱硬化性のセラミック塗料2
1をコーティングして構成されている。このガラスマイ
カテープ15は、本実施の形態においては1/4重ね巻
きとなっているが、重ね巻きの重ね代は、1/2〜1/
10で可能であり、マイカテープ14の上に縦添えによ
って巻き付けてもよい。ガラスクロス19の表面にコー
ティングする熱硬化性のセラミック塗料21は、キシレ
ンを混合したシリコーン樹脂と、タルクと、シランカッ
プリング剤と、溶剤とによって構成したもので、具体的
な配合量は、キシレンを混合したシリコーン樹脂100
重量部に対して、タルクを125重量部、シランカップ
リング剤を37重量部、溶剤(キシレン)60〜80重
量部配合して構成したものである。このマイカテープ1
4とガラスマイカテープ15とによって耐火層16が構
成されている。なお、導体2の外周に重ね巻きしたマイ
カテープ14に代えてガラスクロス19を用いると、耐
火性はより向上するが、ガラスクロス19は1層で所期
の目的を得られ、それ以上の耐火性を要求されることは
なく、マイカテープ14に代えてガラスクロス19を用
いるとコストが高くなり実用性に乏しいものとなる。
【0014】17は識別テープで、耐火電線同士を接続
したりする場合に、接続を間違いないようにするための
もので、例えば、ポリエステルによって構成されてお
り、通常は色彩が施されている。この識別テープ17
は、本実施の形態においては1/5重ね巻きとなってい
る。6は絶縁体層で、ポリオレフィン系樹脂で構成され
ており、識別テープ17の上に押出し被覆されている。
この識別テープ17は、識別を必要としないケーブルの
場合には、巻き付けないことがあり、絶縁体層6が耐火
層16のガラスマイカテープ15の上に直接押出し被覆
されることもある。この導体2、マイカテープ14、ガ
ラスマイカテープ15、識別テープ17、絶縁体層6に
よって絶縁線心18が構成されている。22はシース層
で、ノンハロゲン難燃ポリオレフィン系樹脂で構成され
ており、絶縁体層6を押出し被覆した後に押出し被覆し
て形成してある。
【0015】なお、本実施の形態では、マイカテープ1
4、ガラスマイカテープ15の2層によって耐火層16
を形成しているが、ガラスマイカテープ15をもう1
層、2層、3層・・・・と巻き付ける方法があるが、ガ
ラスマイカテープ15を多層に巻き付けることによって
耐火性をより向上できるが、マイカテープ14、ガラス
マイカテープ15の2層によって耐火層16を形成する
ので十分な耐火性を得られ、ガラスマイカテープ15を
多層に巻き付けるとコストが高くなり、実用性に乏しい
ものとなる。
【0016】このように構成される耐火電線13は、火
災等が発生し、火炎に晒されるとシース層22、絶縁体
層6が燃焼し、ガラスマイカテープ15のガラスクロス
19が加熱され、ガラスクロス19の表面にコーティン
グされた熱硬化性のセラミック塗料21によって、ガラ
スクロス19の表面がセラミック化し、シース層、絶縁
体層6を構成するポリオレフィン系樹脂の溶融物が耐火
層16内への侵入するのを防止することができる。
【0017】図3には、本発明に係る耐火電線の第2の
実施の形態が示されている。図において、耐火電線23
は、多心形のケーブルで、図1に示される絶縁線心18
を複数本(本実施の形態においては、6本)、ジュート
又はノンハロゲンポリプロピレン解繊糸からなる介在物
10といっしょに撚り合わせた後、難燃テープ11を巻
き付け、さらに、この難燃テープ11の上にノンハロゲ
ン難燃ポリオレフィン系樹脂で構成されたシース層24
が押出し被覆されている。
【0018】このように構成される耐火電線23は、火
災等が発生し、火炎に晒されるとシース層24が燃焼
し、介在物10といっしょに撚り合わされた絶縁線心1
8の絶縁体層6が燃焼し、ガラスマイカテープ15のガ
ラスクロス19が加熱され、ガラスクロス19の表面に
コーティングされた熱硬化性のセラミック塗料21によ
って、ガラスクロス19の表面がセラミック化し、シー
ス層24、絶縁体層6を構成するポリオレフィン系樹脂
の溶融物が耐火層16内への侵入するのを防止すること
ができる。
【0019】
【実施例】上記第2の実施の形態に示した耐火電線の具
体的実施例について、従来例と比較して、それぞれにつ
いて消防庁告示第7号による耐火試験の耐火性能と、I
EEEstd.383による垂直トレイ試験の試験結果が表
1に示してある。
【0020】表 1 表1における実施例1、実施例2、従来例の各耐火電線
の構造は、次の如くである。
【0021】〈実施例1〉実施例1は、2mm2 の導体2
の上に厚さ0.12mmの軟質集成マイカと裏打材である
ガラスクロスを貼り合わせたマイカテープ14をマイカ
面を導体2側にして、1/2重ね巻きし、さらにこのマ
イカテープ14の上に、厚さ0.12mmの軟質集成マイ
カ20を裏打材であるガラスクロス19を貼り合わせた
マイカテープのガラスクロス19の表面にセラミック塗
料21をコーティングし、乾燥したガラスマイカテープ
15をマイカ面をマイカテープ14側にして、1/4重
ね巻きで巻き付け耐火層16を形成する。この耐火層1
6の上に線心識別用とし着色されたポリエステル製の識
別テープ17を1/5重ね巻きで巻き付けた後、ポリエ
チレン樹脂を押出し絶縁体層6を形成して絶縁線心18
を構成する。この絶縁線心18をノンハロゲン難燃ポリ
プロピレン解繊糸といっしょに6本撚り合わせた後、難
燃布テープ11を1/2重ね巻きで巻き付け、ノンハロ
ゲン難燃ポリオレフィン樹脂を押出し、シース層24を
構成したものである。
【0022】〈実施例2〉実施例2は、実施例1が厚さ
0.12mmの軟質集成マイカを裏打材であるガラスクロ
スに貼り合わせたマイカテープ14を2mm2 の導体2の
上に巻き付けたのに対し、裏打材であるガラスクロスに
代えてポリエチレンフィルムに貼り合わせて構成したも
ので、他は実施例1と同様である。
【0023】〈従来例〉従来例は、2mm2 の導体2の上
に厚さ0.12mmの軟質集成マイカをポリエチレンフィ
ルムからなる裏打材に貼り合わせたマイカテープをマイ
カ面を導体2側にして、1/2重ね巻きし、さらにこの
マイカテープの上に、厚さ0.12mmの軟質集成マイカ
をポリエチレンフィルムからなる裏打材に貼り合わせた
マイカテープをマイカ面を導体2側にして、1/4重ね
巻きで巻き付け耐火層を形成する。この耐火層の上に線
心識別用とし着色されたポリエステル製の識別テープを
1/5重ね巻きで巻き付けた後、ポリエチレン樹脂を押
出し絶縁体層を形成して絶縁線心を構成する。この絶縁
線心をポリプロピレン解繊糸といっしょに6本撚り合わ
せた後、難燃布テープを1/2重ね巻きで巻き付け、ノ
ンハロゲン難燃ポリオレフィン樹脂を押出し、シース層
を構成したものである。
【0024】表1において、耐火性能試験は、絶縁抵抗
測定と、絶縁耐力の測定と、燃焼性を見ることによって
行う。この耐火性能試験は、実施例、従来例共に耐火電
線を加熱炉内に収納し、炉内温度が30分で840℃ま
でJIS A 1304に定められている温度曲線に準
じて加熱して行われる。なお、試料の加熱開始温度は2
00℃以下である。表1における絶縁抵抗測定試験にお
ける試験条件中、『加熱前』というのは、加熱炉内に配
置した後、常温で導体と固定線間の絶縁抵抗値を直流5
00V/100MΩの絶縁抵抗測定器で測定して求めた
抵抗値(単位は、MΩ)である。また、『加熱30分』
というのは、加熱炉内に配置して加熱開始後30分経っ
たときの導体と固定線間の絶縁抵抗を測定した抵抗値で
ある。
【0025】表1の絶縁抵抗測定試験における規格とい
うのは、消防庁が定め、告示されている耐火電線認定基
準を指しており、加熱前の絶縁抵抗値は、規格では、5
0MΩ以上と定めている。この加熱前の絶縁抵抗値は、
実施例1、実施例2、従来例共に規格以上の特性を持っ
ている。一般に絶縁物を加熱すると、絶縁抵抗は低下す
るため、規格では、加熱開始後30分に至る直前の絶縁
抵抗値を0.4MΩ以上と定めている。この規格で定め
ている絶縁抵抗値は、実施例1、実施例2および従来例
は3.0〜6.0MΩと規格の絶縁抵抗値(0.4MΩ
以上)をいずれも満足しているが、実施例1、実施例2
と従来例とを比較すると、従来例の絶縁抵抗値が3.0
〜6.0MΩであるのに対し、実施例2が7.0〜1
0.0MΩ、実施例1が9.0〜12.0MΩと実施例
1、2が従来例より遥かに優れた特性を有していること
が判る。
【0026】表1における絶縁耐力測定試験における試
験条件中、『加熱中』というのは、加熱炉内に配置して
加熱開始時(0分)から加熱終了時(30分)まで、導
体と固定線間に600Vの交流電圧を継続して印加した
ときに絶縁状態を維持できるかを測定するものである。
また、『加熱直後』というのは、試料を加熱炉内に配置
して加熱し、840℃まで昇温した後、30分まで加熱
し続けた後にバーナーの火を消化した直後に、導体と固
定線間に1500Vの交流電圧を1分間印加し、絶縁破
壊を起こすか否かを観察するものである。この加熱中の
絶縁耐力測定試験では、実施例1、2、従来例共に規格
の特性を持ち合格している。絶縁破壊電圧は、導体と固
定線間に交流電圧を継続して印加して昇圧していって絶
縁破壊を起こした電圧を示したもので、実施例1が25
00V〜3100V、実施例2が2000V〜2600
V、従来例が1900V〜2500Vとなっている。こ
の電圧破壊電圧をみると実施例2は、従来例より若干高
くなっており、実施例1に至っては、従来例より遥かに
優れていることが判る。
【0027】燃焼性試験は、両端を加熱炉の内側壁面に
接触させて渡した耐火電線を加熱炉内で30分加熱し、
炉内温度が所定の基準により840℃に加熱終了直後の
ときの耐火電線の両端の内側壁面からの燃焼距離を測定
する試験である。規格では、加熱炉内に左右の側壁面に
接触させて水平に配置された耐火電線の左右両端部の燃
焼部分が、共に耐火電線の左右両端部が接触している加
熱炉の内側壁面から150mm以下の所までであることが
要求されている。この燃焼性試験については、実施例
1、2、従来例共に合格で規格を満足するものとなって
いるが、実施例1が左右共70〜85mm、実施例2が左
右共70〜85mmであるのに対し、従来例が左右共90
〜100mmと、実施例1、2の方が従来例より遥かに優
れていることが判る。
【0028】表1において、IEEEstd.383による
垂直トレイ試験は、ケーブル状の試料をガスバーナで加
熱して所定時間燃焼させて、ガスバーナでの加熱を停止
した後のシース及び絶縁体の残炎距離(自力で炎を出し
て燃えて損傷を与えた長さ)で表し、シース及び絶縁体
の最大損傷長が1,800mm未満である場合を合格とし
たものである。このIEEEstd.383による垂直トレ
イ試験においては、実施例1、実施例2は規格を十分満
足するが、従来例は規格を満足することができない。
【0029】以上の耐火電線の特性試験からも明らかな
ように、従来例は、消防庁告示第7号による耐火試験に
ついては基準を十分に満足するが、IEEEstd.383
による垂直トレイ試験を満足するには至っていないが、
実施例1、2は、消防庁告示第7号による耐火試験(J
IS A 1304の火災温度曲線に準じ30分加熱す
る)で、基準を十分に満足し、IEEEstd.383によ
る垂直トレイ試験の基準特性も十分満足するに至ってお
り、実施例1、2が従来例より優れた特性を有している
ことが判る。
【0030】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、火災時に
火炎等による熱がガラスクロスに伝わってくると、ガラ
スクロスの表面がセラミック化し、シース層、絶縁体層
を構成するポリオレフィン系樹脂の溶融物が耐火層内へ
の侵入するのを防止することができる。
【0031】請求項2記載の発明によれば、耐火電線を
燃え難くすることができ、耐火電線の燃焼時に延焼する
のを防止することができる。
【0032】請求項3記載の発明によれば、耐火電線の
径を大きくしないで済む。
【0033】請求項4記載の発明によれば、火災時に火
炎等による熱がガラスクロスに伝わってくると、ガラス
クロスの表面がセラミック化し、シース層、絶縁体層を
構成するポリオレフィン系樹脂の溶融物が耐火層内へ侵
入したり、不完全燃焼による導電性生成物が耐火層内へ
侵入するのを防止することができる。
【0034】請求項5記載の発明によれば、耐火電線を
燃え難くすることができ、耐火電線の燃焼時に延焼する
のを防止することができる。
【0035】請求項6記載の発明によれば、耐火電線の
径を大きくしないで済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐火電線の単心形の実施の形態を
示す一部断面斜視図である。
【図2】図1に図示のガラスマイカテープの断面図であ
る。
【図3】本発明に係る耐火電線の多心形の実施の形態を
示す断面図である。
【図4】従来の耐火電線の単心形の実施の形態を示す一
部断面斜視図である。
【図5】従来の耐火電線の多心形の実施の形態を示す断
面図である。
【符号の説明】
1…………………………………ケーブル 2…………………………………導体 3…………………………………マイカテープ 4…………………………………マイカテープ 5…………………………………耐火層 6…………………………………絶縁体 7…………………………………絶縁線心 8…………………………………シース層 9…………………………………ケーブル 10………………………………介在物 11………………………………難燃テープ 12………………………………シース層 13………………………………耐火電線 14………………………………マイカテープ 15………………………………ガラスマイカテープ 16………………………………耐火層 17………………………………識別テープ 18………………………………絶縁線心 19………………………………ガラスクロス 20………………………………軟質集成マイカ 21………………………………セラミック塗料 22………………………………シース層 23………………………………耐火電線 24………………………………シース層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】一般に、劇場、デパート等多数の人が集
合する場所においては、火災等が発生した場合に、場内
の人を安全に非常口に案内するために、非常口案内灯な
どの避難誘導灯が火炎によって消灯することなく一定の
時間点灯させておくことが要求されている。そこで消防
庁告示第号でその規格を定め、消防用設備の自動火災
報知、避難設備等の電源回路には、耐火電線の使用を義
務付けている。本明細書において耐火電線という場合
は、昭和53年消防庁告示第7号で規定された耐火性能
を有する電線・ケーブルの総称を指している。このよう
な耐火電線の内、単心形の耐火電線であるケーブル1は
図4に示す如く、導体2の上にマイカテープ3を1/2
〜1/10ラップ(重ね巻き)又は縦添えにより巻き付
け、さらに、このマイカテープ3の上にマイカテープ4
を1/2〜1/10ラップ(重ね巻き)又は縦添えによ
り巻き付け、耐火層5を形成する。そして、この耐火層
5の上にポリオレフィン系樹脂を押出し被覆して絶縁体
層6を形成して絶縁線心7を形成し、この絶縁線心7の
絶縁体層6の上に、ポリオレフィン系樹脂又は塩化ビニ
ル樹脂を押出し被覆してシース層8を形成していた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】15は導体2の外周に重ね巻きしたマイカ
テープ14の上に1/4重ね巻きされたガラスマイカテ
ープである。このガラスマイカテープ15は、図2に示
す如く、ガラスクロス(裏打材)19に厚さ0.09〜
0.15mmからなる軟質集成マイカ20を貼り合わせ、
ガラスクロス19の表面に熱硬化性のセラミック塗料2
1をコーティングして構成されている。このガラスマイ
カテープ15は、本実施の形態においては1/4重ね巻
きとなっているが、重ね巻きの重ね代は、1/2〜1/
10で可能であり、マイカテープ14の上に縦添えによ
って巻き付けてもよい。ガラスクロス19の表面にコー
ティングする熱硬化性のセラミック塗料21は、キシレ
ンを混合したシリコーン樹脂と、タルクと、シランカッ
プリング剤と、溶剤とによって構成したもので、具体的
な配合量は、キシレンを混合したシリコーン樹脂100
重量部に対して、タルクを125重量部、シランカップ
リング剤を37重量部、溶剤(キシレン)60〜80重
量部配合して構成したものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】なお、本実施の形態では、マイカテープ1
4、ガラスマイカテープ15の2層によって耐火層16
を形成しているが、ガラスマイカテープ15をもう1
層、2層、3層・・・・と巻き付ける方法があるが、ガ
ラスマイカテープ15を多層に巻き付けることによって
耐火性をより向上できるが、マイカテープ14、ガラス
マイカテープ15の2層によって耐火層16を形成する
ことで十分な耐火性を得られ、ガラスマイカテープ15
を多層に巻き付けるとコストが高くなり、実用性に乏し
いものとなる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】表1において、耐火性能試験は、絶縁抵抗
測定と、絶縁耐力の測定と、燃焼性を見ることによって
行う。この耐火性能試験は、実施例、従来例共に耐火電
線を加熱炉内に収納し、炉内温度が30分で840℃ま
でJIS A 1304に定められている温度曲線に準
じて加熱して行われる。なお、試料の加熱開始温度は2
00℃以下である。表1における絶縁抵抗測定試験にお
ける試験条件中、『加熱前』というのは、加熱炉内に配
置した後、常温で導体と固定線間の絶縁抵抗値を直流5
00V/100MΩの絶縁抵抗測定器で測定して求めた
抵抗値(単位は、MΩ)である。また、『加熱30分』
というのは、加熱炉内に配置して加熱開始後30分に至
る直前のときの導体と固定線間の絶縁抵抗を測定した抵
抗値である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体2の外周にポリエチレン、ポリプロ
    ピレン等のフィルムからなる裏打材に軟質集成マイカを
    貼り合わせたマイカテープ14を1/2〜1/10ラッ
    プ又は縦添えにより巻き付け、該マイカテープ14の上
    にガラスクロス19からなる裏打材に軟質集成マイカ2
    0を貼り合わせ該ガラスクロス19の表面に熱硬化性の
    セラミック塗料21をコーティングしてなるガラスマイ
    カテープ15を1/2〜1/10ラップ又は縦添えによ
    り巻き付けて耐火層16を形成し,該耐火層16の上に
    ポリオレフィン系樹脂からなる絶縁体層6を形成し,該
    絶縁体6の上にノンハロゲン難燃ポリオレフィン系樹脂
    でシース層22を形成してなる耐火電線。
  2. 【請求項2】 上記耐火電線は、絶縁体層6とシース層
    22の間に、難燃性テープを巻き付けて形成する難燃層
    を介在させたものである請求項1記載の耐火電線。
  3. 【請求項3】 上記軟質集成マイカ20は、0.09〜
    0.15mmの厚さに成形したものである請求項1又は
    2記載の耐火電線。
  4. 【請求項4】 導体2の外周にポリエチレン、ポリプロ
    ピレン等のフィルムからなる裏打材に軟質集成マイカを
    貼り合わせたマイカテープ14を1/2〜1/10ラッ
    プ又は縦添えにより巻き付け、該マイカテープ14の上
    にガラスクロス19からなる裏打材に軟質集成マイカ2
    0を貼り合わせ該ガラスクロス19の表面に熱硬化性の
    セラミック塗料21をコーティングしてなるガラスマイ
    カテープ15を1/2〜1/10ラップ又は縦添えによ
    り巻き付けて耐火層16を形成し、該耐火層16の上に
    ポリオレフィン系樹脂からなる絶縁体層6を形成して構
    成する絶縁線心18を,ジュート又はノンハロゲンポリ
    プロピレン解繊糸によって構成される介在物10といっ
    しょに複数本撚り合わせた後、ノンハロゲン難燃ポリオ
    レフィン系樹脂でシース層24を形成してなる耐火電
    線。
  5. 【請求項5】 上記耐火電線は、ジュート又はノンハロ
    ゲンポリプロピレン解繊糸によって構成される介在物1
    0といっしょに複数本の絶縁心線18を撚り合わせた上
    に難燃性テープを巻き付けて形成する難燃層11を介在
    させ、該難燃層11の上にノンハロゲン難燃ポリオレフ
    ィン系樹脂でシース層24を押出し被覆したものである
    請求項3記載の耐火電線。
  6. 【請求項6】 上記軟質集成マイカ20は、0.09〜
    0.15mmの厚さに成形したものである請求項4又は
    5記載の耐火電線。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105719728A (zh) * 2016-04-05 2016-06-29 西部电缆股份有限公司 一种环保型超级耐火通信电源用阻燃软电缆
CN106205815A (zh) * 2016-06-24 2016-12-07 四川新蓉电缆有限责任公司 一种带可陶瓷化内护层的防火电缆
CN106297994A (zh) * 2015-05-18 2017-01-04 上海市高桥电缆厂有限公司 一种矿物绝缘金属护套耐火电缆及其制造方法和应用
CN107316701A (zh) * 2017-07-25 2017-11-03 天津山旗线缆有限公司 一种低烟无卤耐火电缆

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