JPH0987701A - 金属とセラミックとの複合材料 - Google Patents

金属とセラミックとの複合材料

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JPH0987701A
JPH0987701A JP7242818A JP24281895A JPH0987701A JP H0987701 A JPH0987701 A JP H0987701A JP 7242818 A JP7242818 A JP 7242818A JP 24281895 A JP24281895 A JP 24281895A JP H0987701 A JPH0987701 A JP H0987701A
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particles
metal
ceramic
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alumina
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JP7242818A
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Yutaka Ishiwatari
裕 石渡
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マトリックス材料の電気的熱的物性値を広範囲
に制御でき、加工性や靭性の低下が少ない任意の物性値
を有する複合材料を提供する。 【解決手段】マトリックス(金属)粒子3と分散(セラ
ミック)粒子1を混合後、焼結してマトリックス材料で
ある金属材料の電気抵抗、熱膨張係数を制御することを
目的とする金属とセラミックとの複合材料において、マ
トリックス(金属)粒子3の表面を予めセラミック粒子
1で被覆した複合粉末をステンレス鋼製キャン内に真空
封入し、熱間等方圧加圧装置(HIP)により焼結す
る。これにより得られた焼結体の組織は分散粒子1が三
次元的に連続したネットワーク構造5を有しており、広
範囲に物性値を制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気抵抗や熱伝導率
および熱膨張率等の物性値が著しく異なる金属材料とセ
ラミック材料を複合化し、これらの物性値を調整、制御
することを目的とした金属とセラミックとの複合材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料は電気抵抗が例えば〜102 μΩ
・cmと小さく、概して熱伝導率も高い。一方、セラミッ
ク材料、特に金属酸化物系のセラミック材料は電気抵抗
が例えば〜1013μΩ・cmと大きく、化学的にも安定なた
め絶縁材料として広く使用されている。
【0003】しかしながら、このような金属材料やセラ
ミック材料の特性は必ずしも好ましいとは云い難い。例
えば電磁場中の金属材料には渦電流が生じ、これがエネ
ルギー損失の原因となり機器の効率を低下させる要因と
なっているが、このような渦電流の発生は金属材料の電
気抵抗を従来よりも1桁〜2桁(103 〜104 μΩ・cm)
上げることができれば、実際上ほとんど問題にならない
レベルまで下げることができるようになる。
【0004】一方、セラミック材料は耐熱性に優れてい
るが熱衝撃性に劣ることから、高温部材としての適用を
考えた場合にはヒーター等による予熱が不可欠である。
しかしながら、セラミック材料の電気抵抗がもう少し小
さく制御できればセラミック製の部材自体に通電し、予
熱することも可能である。
【0005】このような金属材料とセラミック材料の中
間的な特性を有した材料を得る方法としては、金属とセ
ラミックの複合化が良く知られている。一般に、このよ
うな金属とセラミック複合材料はマトリックス粒子(金
属またはセラミック)と分散粒子(セラミックまたは金
属)との混合粒子を焼結することにより製造されてい
る。
【0006】また、金属とセラミックとの配合比を段階
的に変えた層を積層し、複合材料内部で熱膨張率や熱伝
導率を変化させた材料は傾斜機能材料と呼ばれ、今日、
高温における異常材料接合部での熱応力緩和層として用
いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来例のような方法で
製造された金属とセラミックとの複合材料の電気抵抗率
と分散粒子の添加量との関係を図2に示す。マトリック
ス粒子として金属材料を用い、分散粒子としてセラミッ
ク材料を用いた場合、図2から明らかなように金属材料
に比べて電気抵抗率の大きいセラミックの分散粒子の添
加量を増加するにつれ、複合材料の電気抵抗は増加する
傾向を示すが、その増加の程度は小さく金属材料の電気
抵抗を1桁上げるためには約70体積%の分散粒子を添加
する必要があることがわかる。
【0008】しかしながら、このような多量の分散粒子
の添加は複合材料の加工性はもとより靭性をも著しく損
なうため実用性に劣る。このような分散粒子の添加量に
対する金属とセラミックとの複合材料の緩慢な物性値の
変化は電気抵抗に限らず、熱膨張率や熱伝導率の変化も
同様な傾向を示すことから、単に物性値の異なる異種材
料の粒子を混合、複合化させても、少量の分散粒子の添
加ではマトリックス材料の物性値を大きく変化させるこ
とが困難なことを示している。
【0009】また、傾斜機能材料のように分散粒子の添
加量が異なる金属とセラミック複合材料を積層し物性値
を段階的に変化させるためには、図2に破線のB領域で
示したように物性値が急激に変化する分散粒子の添加量
が65〜80体積%といった極めて狭い範囲内で分散粒子の
添加量と物性値を多段階に制御しなければならない課題
がある。
【0010】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、少ない分散粒子の添加量でマトリックス材料
の物性値を大きく変化でき、かつ、加工性や靭性の低下
が少ない金属とセラミックとの複合材料を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は金属粒
子とセラミック粒子を混合後、焼結してマトリックス材
料である金属材料の電気抵抗、熱膨張係数を制御するこ
とを目的とする金属とセラミックとの複合材料におい
て、前記金属粒子の表面を予め前記セラミック粒子で被
覆するか、または前記セラミック粒子の表面を前記金属
粒子で被覆した複合粉末を焼結してなることを特徴とす
る。
【0012】請求項2の発明は前記セラミック粒子の添
加量は20体積%から60体積%であることを特徴とする。
請求項3の発明は前記セラミック粒子または金属粒子の
粒子径は母材となる前記金属粒子または前記セラミック
粒子の粒子径に対して1/10以下であることを特徴とす
る。
【0013】請求項4の発明は前記金属粒子は、Fe,
Ni,Cu,Al,Wおよびこれらの金属元素のうち、
少なくとも1種類を主成分とし、前記セラミック粒子の
材料として金属酸化物,炭化物,窒化物またはホウ化物
の少なくとも1種を用いることを特徴とする。
【0014】請求項5の発明は前記セラミック添加量を
段階的に変化させた前記金属とセラミックとの複合材料
の焼結体を積層し、接合して一体化するか、または金属
粒子とセラミック粒子との配合比の異なる金属とセラミ
ックとの複合粉末を積層し、焼結することにより一体化
してなることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明者は添加量の異なる金属
とセラミックの複合材料の組織を詳細に観察した結果、
図1(a)〜(c)に示すように3種類の組織に大別で
きることがわかった。
【0016】すなわち、図1(a)において、分散粒子
1の添加量が小さい場合はマトリックス材料2中に分散
粒子1が独立して存在しており、(図1(a))、徐々
に分散粒子の添加量が増加するにつれ分散粒子1もマト
リックス材料2と同じ様に三次元的に連続した構造を持
つようになり(図1(b))、さらに添加量が増加する
と分散粒子1は三次元的に連続した構造を持つが、逆に
マトリックス材料2は独立して存在するようになる(図
1(c))。このような組織構造の変化は、図2に示し
た領域A〜Cに概ね該当する。図2は分散粒子の添加量
と電気抵抗率との関係を示している。
【0017】すなわち、金属とセラミックとの複合材料
の物性値は三次元的に連続した構造を持つ側(マトリッ
クスか分散粒子)の材料の物性値に大きく依存するた
め、複合材料の物性値を広範囲に制御するためにはマト
リックス材料2と分散粒子1の双方が三次元的に連続し
た構造を持つ領域(図1(b))を広げることが有効で
あり、かつ、複合材料の加工性や靭性を考えた場合には
できるだけ分散粒子1の添加量が小さい領域で、分散粒
子1が三次元的に連続した構造を持つことが好ましいと
考えられる。
【0018】発明者は分散粒子の配合比ができるだけ少
ない組成で、三次元的に連続したネットワーク構造を形
成させる方法として、図3(a),(b)に示すよう
に、予めマトリックス粒子3の表面に分散粒子1を被覆
した被覆層4を設けることが有効であることを見出し
た。
【0019】マトリックス粒子3の表面に金属やセラミ
ック等の被覆層4を設ける被覆方法としては無電解めっ
きや化学蒸着(CVD)のような気相法が知られている
が、これらの方法では均一な厚さの被覆層4を設けるこ
とが難しく、かつ、処理に多大な時間とコストが必要で
ある。
【0020】発明者はマトリックス粒子3と分散粒子1
との大きさの比を適正化配合することにより、ボールミ
ルと呼ばれる金属製またはセラミック製のボールを入れ
て密閉した容器内に粒径の異なるマトリックス粒子3と
分散粒子1との混合粉末を入れて、この容器を回転さ
せ、容器内でボールと混合粉末を転動させることによ
り、容易に分散粒子1で被覆された被覆層4を有するマ
トリックス粒子3が得られることを見出した。
【0021】このような方法により製造した分散粒子1
で被覆したマトリックス粒子3を熱間等方圧加圧装置
(HIP)等により加圧焼結することにより、図4に示
したように分散粒子1が三次元的に連続したネットワー
ク構造5を有する金属とセラミックとの複合材料を得る
ことができる。
【0022】その際、分散粒子の添加量を多くすれば図
5に示すように厚い分散粒子の被覆層が形成され、ま
た、図6に示すようにマトリックス粒子と分散粒子の粒
径比は1/10程度でもマトリックス粒子の被覆は可能で
あるが、均一な厚さの被覆層を得るためには1/100 以
下が好ましい。
【0023】分散粒子で被覆したマトリックス粒子をH
IPにより焼結した金属とセラミックとの焼結体の電気
抵抗を従来の分散粒子とマトリックス粒子の混合粉末を
同じくHIPにより焼結した場合と比較して図7に示
す。
【0024】図7から明らかなように、例えば、従来例
では金属マトリックスの電気抵抗を1桁上げるためには
約70体積%の分散粒子(セラミック)の添加が必要であ
ったが、分散粒子のネットワーク構造を形成させること
により、30体積%程度の分散粒子の添加により電気抵抗
の1桁上昇が可能である。
【0025】また、従来方法では電気抵抗の変化が分散
粒子の添加量が65〜80体積%で急激に変化するため、任
意の電気抵抗を有する複合材料の製造がほとんど不可能
であったが、本発明によれば複合材料の電気抵抗が分散
粒子の添加量に対して広範囲に変化させることができる
ため、電気抵抗の2桁、3桁の制御も可能なことがわか
る。また、加工性が悪く、靭性の低い分散粒子(セラミ
ック)の添加量が従来方法と比べて相対的に低いことか
ら、機械加工も容易であり、靭性の低下も少ない。
【0026】
【実施例】本発明の請求項1から4に係る金属とセラミ
ックとの複合材料の実施例を図3から図10により説明す
る。図3に示したマトリックス粒子3としては平均粒子
径が約50μmのSUS304ステンレス鋼粉末を使用し、
分散粒子1としては平均粒子径が約40μm〜 0.2μmの
アルミナ粉末を使用した。なお、室温におけるSUS30
4 ステンレス鋼の電気抵抗率は約80μΩ・cmであり、一
方、アルミナの電気抵抗率は約1013μΩ・cmであった。
【0027】このような粉末を用い、例えばアルミナ粉
末が30体積%、ステンレス鋼粉末が70体積%となるよう
に秤量し、ボールミル内で直径10mmのジルコニア製ボー
ルミル数10個とともに50時間程度混合する。得られたア
ルミナとステンレス鋼混合粒子の断面組織は、図3に示
すように粒子径の大きなステンレス鋼粒子(マトリック
ス粒子3)の表面に粒子径の小さなアルミナ粒子(分散
粒子1)が付着して堆積し、厚さ約3μmのほぼ均一な
アルミナの被覆層4が形成できる。
【0028】上記方法によりステレンス鋼粒子の表面を
アルミナ粒子により被覆したアルミナとステンレス鋼と
の複合粒子をステンレス鋼製のキャン内に真空封入し、
熱間等方圧加圧装置(HIP)を用い、温度:1200℃、
圧力:1200kgf /cm2 、保持:2時間の条件で焼結した
組織を模式的に図4に示す。
【0029】ステンレス鋼粒子(マトリックス粒子3)
の表面を予めアルミナ粒子(分散粒子1)で被覆して被
覆層4を設けることにより、得られた焼結体の組織は図
4に示すようにアルミナ粒子(分散粒子1)が三次元的
に連続したネットワーク構造5を有する理想的な組織を
得ることができる。
【0030】図5には平均粒子径が約50μmのマトリッ
クス粒子(ステンレス鋼)と平均粒子径が約0.05μmの
分散粒子(アルミナ)の組合せにおける分散粒子(アル
ミナ)添加量(体積%)と被覆層(アルミナ)の厚さ
(μm)の関係を示す。図5から明らかなように、アル
ミナ被覆層の厚さはアルミナ添加量の増加に伴い厚くな
る傾向を示すが、アルミナ添加量が60体積%を超えると
徐々に飽和し、一部のアルミナ粒子は被覆されず単独で
存在するようになる。
【0031】また、アルミナ添加量が増加するに伴い、
被覆層厚さのバラツキは徐々に増加する傾向を示してお
り、これは被覆層の厚さがあまり厚くなるとマトリック
ス粒子から剥離するためである。しかし、被覆層が剥離
した部分は再度アルミナ粒子により被覆されるため実際
上は問題がない。
【0032】なお、マトリックス粒子として平均粒子径
が約50μmのアルミナ粒子を用い、分散粒子として平均
粒子径が約3μm程度のステンレス鋼粒子を用いた場合
でも、同様なアルミナ粒子の表面がステンレス鋼粒子で
被覆されたアルミナとステンレス鋼との複合粒子を製造
することができる。
【0033】また、図6には被覆層厚さの均一性に及ぼ
すアルミナ分散粒子の大きさの影響を調べた結果を示
す。図中、横軸はステンレス鋼製のマトリックス粒子径
(約50μm)に及ぼすアルミナ粒子径の比を示し、縦軸
は任意に抽出、測定した20箇所の被覆層厚さの内で、そ
の最大値と最小値の比を示している。
【0034】図6から明らかなようにマトリックス粒子
径に対する分散粒子径の比が大きい場合は均一な厚さの
被覆層が得られないが、粒子径比が 0.1以下になるとほ
ぼ均一な厚さの被覆層が得られる。しかし、複合材料の
機械的特性や薄肉部材の製造を考えた場合には、アルミ
ナ被覆層の厚さはできるだけ均一な方が望ましく、この
ような観点からは粒子径比が0.01以下が好ましい。
【0035】上記方法で得られたアルミナとステンレス
鋼との複合材料の電気抵抗率とアルミナ添加量との関係
を図7に示す。なお、図7中には従来例として従来の方
法によりアルミナ粒子とステンレス鋼粒子を単純に混合
した焼結体の電気抵抗率の測定結果も併せて示してい
る。
【0036】図7から従来例ではアルミナ添加量が70体
積%付近までは顕著な電気抵抗率の変化が認められず、
70体積%を超えると急激に上昇する傾向を示すため、電
気抵抗の制御はほとんど不可能であるが、本実施例によ
れば、複合材料の電気抵抗がアルミナ添加量とともに徐
々に変化させることが可能なため、任意の電気抵抗率の
複合材料を製造することが可能である。また、従来例に
比べて少ないアルミナ添加量で同じ電気抵抗率が得られ
るため、加工性や靭性の低下も回避できる。
【0037】なお、このような金属とセラミックとの複
合材料の物性値の制御は電気抵抗率に限らず、熱伝導率
や熱膨張率といった熱物性値の制御にも有効なことが確
認されており、熱伝導率制御材料や熱膨張率制御材料の
製造にも効果的である。
【0038】図8にはボールミルを用いて、平均粒径が
50μmのステンレス鋼(SUS304)粒子の表面を平均
粒径 0.5μmのアルミナ粒子で被覆した複合粒子を1200
℃、1200気圧、2時間の条件でHIPにより焼結した複
合材料(実施例)と、同じ粉末をV型ミキサーで単に混
合した混合粒子を同じ条件でHIP焼結した複合材料
(従来例)の室温における4点曲げ強度と分散粒子(ア
ルミナ)添加量との関係を示す。
【0039】金属単体では非常に高い曲げ強度を示す
が、分散粒子(アルミナ)を添加することにより曲げ強
度は急激に低下する。とくに、従来例では分散粒子(ア
ルミナ)の添加量が40〜60体積%の領域ではその傾向が
著しい。これは、分散粒子のアルミナ粒子とマトリック
ス粒子のステンレス鋼(SUS304 )粒子は焼結せず、
分散粒子(アルミナ)の添加量が40〜60体積%の領域で
の複合材料の組織はアルミナ粒子とステンレス鋼粒子が
各々単独で存在している状態になるため強度が著しく低
くなる。
【0040】一方、アルミナ被覆粒子を焼結した材料は
このようなアルミナ添加量の範囲でもアルミナが網目構
造を形成しているため、従来材に比べてアルミナ添加量
が少ない領域では強度が低いが、著しい強度の低下はな
く安定している。
【0041】図7はステンレス鋼(以下、SUS304 と
記す)粒子に対するアルミナ粒子の大きさの比を0.01
(実施例I)、 0.1(実施例II)、 0.3(実施例III
)、 0.8(実施例IV)と変えて被覆処理をした複合粉
末をHIPにより焼結した複合材料の電気抵抗とアルミ
ナ添加量との関係を示したものである。
【0042】図7から明らかなようにSUS304 粒子に
対するアルミナ粒子の大きさの比が小さいとSUS304
粒子表面に均一なアルミナ被覆層が形成されず(被覆層
がある部分と無い部分ができる)、従来例と比較して電
気抵抗の顕著な差が認められない(実施例III 、実施例
IV)。
【0043】一方、SUS304 粒子に対するアルミナ粒
子の大きさの比が小さいほど少ないアルミナ添加量で高
抵抗化が達成できるが、その効果はあまり大きくない。
したがって、金属表面に一様にアルミナ被覆層が形成で
きる金属粒子径に対するアルミナ粒子径の比として実験
的に 0.1以下を選定した。
【0044】図9はアルミナとSUS304 との複合材料
の熱膨張係数とアルミナ添加量との関係を示したもの
で、SUS304 の熱膨張係数が約18×10-6/℃に比べて
アルミナの熱膨張係数が約10.5×10-6/℃と小さいた
め、アルミナ添加量の増加に伴い熱膨張係数は低下する
傾向を示す。しかし、その変化の度合いはアルミナ被覆
粒子を使用した場合の方が大きく、このことは、図8に
示した曲げ強度が比較的高い少ないアルミナ添加量で大
きく熱膨張係数を制御できることを示している。
【0045】また、表面がアルミナで裏面がSUS304
の材料を製造する場合は、アルミナとSUS304 の熱膨
張係数差が約 7.5×10-6/℃と大きいため、1200℃でH
IPにより焼結した場合には熱応力によりアルミナ層に
割れが発生する。このような熱膨張係数差が大きく異な
る材料を接合するためには、図11に示すように両者の間
に熱応力緩和のためアルミナとSUS304 の組成比を段
階的に変えた傾斜組成層を設けることが有効である。
【0046】しかし、図8に示したようにセラミックと
金属との複合材料の強度は低いため、熱応力による傾斜
組成層の割れを防止するためには、傾斜組成層内の各層
における熱膨張係数差を1×10-6/℃以下にする必要が
ある。
【0047】このような傾斜組成層を製作する場合、熱
膨張係数が12〜14×10-6/℃の層を得るためには強度の
低いアルミナ添加量が40〜60体積%のアルミナとSUS
304との複合材料を使用する必要があり、熱応力が負荷
された場合はこの強度が低い層に割れが発生する。一
方、アルミナ被覆材は強度が比較的均一なため、このよ
うな割れが発生する可能性は低い(図11参照)。
【0048】図10には40体積%アルミナとSUS304 と
の複合材料の熱伝導率と試験温度の関係を示す。SUS
304 の熱伝導率は試験温度の上昇とともに小さくなり、
逆にアルミナは試験温度の上昇とともに大きくなる傾向
がある。したがって、40体積%アルミナ材の場合はアル
ミナの体積に比べてSUS304 の体積の方が大きく、従
来材の熱伝導率はSUS304 の影響を大きく受けるた
め、その熱伝導率は温度の上昇に伴い低下する。一方、
アルミナ被覆材はアルミナの網目組織を有しているた
め、アルミナが熱伝導率にかなり寄与するため、温度が
上昇してもほぼ一定の熱伝導率を示している。このよう
に、熱伝導率が温度に依存せずほぼ一定の値を有するこ
とは、部材の熱設計上非常に有効である。
【0049】図11(a),(b)は請求項5の発明と従
来例を説明するための概略断面図で、ステンレス鋼(S
US304 )中にアルミナの添加量を段階的に変化させた
金属とセラミックとの複合材料の粉末を傾斜組成層とし
て積層し焼結して一体化した傾斜機能材料の物性値(熱
膨張係数)を従来例とともに示している。図11(a)は
本発明のアルミナ被覆材の例で、図11(b)は従来例を
示している。図中、αは熱膨張係数を示し、%はアルミ
ナの添加量を示している。
【0050】図11(a)から明らかなように本発明のア
ルミナ被覆材は割れを生じることはないが、従来例では
図11(b)に示したようにアルミナの添加量が85%〜29
%で割れを生じる。
【0051】なお、この実施例においてはマトリックス
粒子と分散粒子との配合比の異なる金属とセラミックと
の複合材料の焼結体を積層し、接合することにより一体
化することもできる。
【0052】なお、上記実施例では分散粒子としてアル
ミナを、マトリックス粒子としてステンレス鋼を使用し
た例で説明したが、本発明はこれに限ることなく分散粒
子としてステンレス鋼を、マトリックス粒子としてアル
ミナを使用でき、金属はFe,Ni,Cu,Al,Wに
ついても同様に適用でき、セラミック粒子の材料として
は金属酸化物,炭化物,窒化物、またはホウ化物につい
ても同様に適用できる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、少量の分散粒子の添加
によりマトリックス材料の電気的、熱的物性値を広範囲
に制御することができ、その結果、加工性や靭性の低下
が少ない任意の物性値を有する金属とセラミックとの複
合材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための金属とセ
ラミックとの複合材料の組織の模式図で、(a)はマト
リックス材料中に分散粒子が独立している状態を示す模
式図、(b)は同じく三次元的に連続した組織の模式
図、(c)は同じくマトリックス材料が独立した組織の
模式図。
【図2】従来例を説明するための金属とセラミックとの
複合材料の電気抵抗率と分散粒子(セラミック)の添加
量との関係を示す特性図。
【図3】(a)は本発明に係る金属とセラミックとの複
合材料におけるマトリックス粒子に被覆層を設けた例を
拡大して示す断面図、(b)は(a)中の破線円形b内
を拡大して示す模式図。
【図4】本発明に係る金属とセラミックとの複合材料で
分散粒子が三次元的に連続したネットワーク構造を示す
模式図。
【図5】本発明に係る分散粒子の添加量と被覆層の厚さ
との関係を示す特性図。
【図6】本発明に係る分散粒子の被覆層厚さのばらつき
と使用した分散粒子径を粒径比と被覆層厚さの比との関
係で示す特性図。
【図7】本発明と従来例における複合材料の分散粒子の
添加量と電気抵抗率との関係を比較して示す特性図。
【図8】図7と同じく、分散粒子と4点曲げ強度との関
係で比較して示す曲線図。
【図9】図7と同じく、分散粒子と熱膨張係数との関係
で比較して示す曲線図。
【図10】図7と同じく、試験温度と熱伝熱導率との関
係で比較して示す曲線図。
【図11】(a)は本発明における傾斜機能材料として
のアルミナ被覆材の傾斜組成層の物性値を示す概略断面
図。(b)は従来例による傾斜組成層の物性値を示す概
略断面図。
【符号の説明】
1…分散粒子、2…マトリックス材料、3…マトリック
ス粒子、4…被覆層、5…ネットワーク構造。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粒子とセラミック粒子を混合後、焼
    結して、母材である金属材料の電気抵抗、熱膨張係数を
    制御することを目的とする金属とセラミックとの複合材
    料において、前記金属粒子の表面を予め前記セラミック
    粒子で被覆するか、または前記セラミック粒子の表面を
    前記金属粒子で被覆した複合粉末を焼結してなることを
    特徴とする金属とセラミックとの複合材料。
  2. 【請求項2】 前記セラミック粒子の添加量は20体積%
    から60体積%であることを特徴とする請求項1記載の金
    属とセラミックとの複合材料。
  3. 【請求項3】 前記セラミック粒子または前記金属粒子
    の粒子径は母材となる前記金属粒子または前記セラミッ
    ク粒子の粒子径に対して1/10以下であることを特徴と
    する請求項1記載の金属とセラミックとの複合材料。
  4. 【請求項4】 前記金属粒子は、Fe,Ni,Cu,A
    l,Wおよびこれらの金属元素のうち、少なくとも1種
    類を主成分とし、前記セラミック粒子の材料として金属
    酸化物,炭化物,窒化物またはホウ化物の少なくとも1
    種を用いることを特徴とする請求項1記載の金属とセラ
    ミックとの複合材料。
  5. 【請求項5】 前記セラミック添加量を段階的に変化さ
    せた前記金属とセラミックとの複合材料の焼結体を積層
    し、接合して一体化するか、または金属粒子とセラミッ
    ク粒子との配合比の異なる金属とセラミックとの複合粉
    末を積層し、焼結することにより一体化してなることを
    特徴とする請求項1記載の金属とセラミックとの複合材
    料。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7609504B2 (en) 2005-04-01 2009-10-27 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. High-dielectric constant metal-ceramic-polymer composite material and method for producing embedded capacitor using the same
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