JPH0985549A - 抜け止め部材組付け機能付圧入機およびこの圧入機による同組付け方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナックルステアリングに圧入されたベアリン
グのナックルステアリングからの抜け止めを行うスナッ
プリングの組付けを、容易かつ短時間に行えるととも
に、スナップリングの組付け忘れも発生しないようにし
た。 【解決手段】 ワーク受け治具１３にセットしたナック
ルステアリング１の圧入孔に対し、ワーク圧入治具１５
を下降させることでベアリング７を圧入する。圧入後、
ワーク圧入治具１５を上昇させた状態で、搬送機構３５
によりスナップリングをナックルステアリング１の上方
位置に搬送する。このとき、スナップリングは下部側が
小径となる円筒状の組付ガイド内に水平状態でセットさ
れている。この状態でワーク圧入治具１５を再度下降さ
せて円筒内に進入させ、スナップリングを縮径させて撓
ませつつ押し込んでナックルステアリング１の圧入孔内
に組付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、第１のワークに
第２のワークを圧入した後、第２のワークの第１のワー
クからの抜け止めを防止するための抜け止め部材を第１
のワークに組付ける抜け止め部材組付け機能付圧入機お
よびこの圧入機による同組付け方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車のフロントアクスルは、車体側に
固定するナックルステアリングおよび、ロードホイール
が固定されるハブユニットを備えており、ロードホイー
ルはベアリングを介してナックルステアリングに対して
回転可能となっている。ナックルステアリングには、ベ
アリングの外輪が圧入されてベアリングが固定され、こ
のベアリングの内輪にハブユニットが圧入固定される。

【０００３】図９は、ナックルステアリングの圧入孔に
ベアリングを圧入するためのＣ型コラム式圧入機と呼ば
れる圧入機の側面図である。ナックルステアリング１
は、ワーク受け治具３上にセットされており、このナッ
クルステアリング１に対し、ワーク圧入治具５に保持さ
れたベアリング７が、図示しない油圧シリンダにより下
降してナックルステアリング１の圧入孔１ａに対して圧
入される。

【０００４】ベアリング７が圧入されたナックルステア
リング１は、圧入作業後に圧入機上にて、あるいは圧入
機から取り外して別な場所にて、図１０に示すように、
スナップリング９が、圧入孔１ａの内面に形成された環
状溝１ｂに、専用工具を用いた手作業により嵌め込まれ
て組み付けられ、ベアリング７のナックルステアリング
１からの抜け止めがなされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たように、従来の技術では、ベアリング７のナックルス
テアリング１に対する圧入作業については機械（圧入
機）で行うものの、スナップリング９の組付けは専用工
具を用いて手作業で行うことから、作業性が悪くかつ作
業時間も長くかかるとともに、組付け忘れ（欠品）など
の品質上の欠陥が発生する恐れがある。

【０００６】そこで、この発明は、第１のワークに圧入
された第２のワークの第１のワークからの抜け止めを行
う抜け止め部材の組付けを、容易かつ短時間に行えると
ともに、抜け止め部材の組付け忘れも発生しないように
したことを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明は、第１に、第１のワークが載置されるワ
ーク受け治具と、このワーク受け治具に向けて接近する
ことで第２のワークを押圧し第２のワークを第１のワー
クに圧入するワーク圧入治具と、圧入した第２のワーク
の第１のワークからの抜け止めを行う抜け止め部材を第
１のワークへの組付け可能な位置まで搬送する搬送機構
とを備え、この搬送機構により搬送された抜け止め部材
を、前記ワーク圧入治具の下降により第１のワークに組
付ける構成としある。

【０００８】上記構成によれば、ワーク圧入治具の下降
により、第２のワークを第１のワークに圧入した後、搬
送機構により第１のワークへの組付け可能な位置まで搬
送された抜け止め部材を、ワーク圧入治具の下降により
第１のワークに組付けられるので、抜け止め部材の組付
けを、容易かつ短時間に行えるとともに、抜け止め部材
の組付け忘れも発生しにくいものとなる。

【０００９】第２に、第１の構成において、第２のワー
クは、第１のワークに形成された圧入孔に圧入されるベ
アリングであり、抜け止め部材は、前記圧入孔の内面に
形成された環状溝に嵌め込まれるスナップリングであ
る。

【００１０】上記構成によれば、ワーク圧入治具の下降
により、ベアリングを第１のワークに圧入した後、搬送
機構により第１のワークへの組付け可能な位置まで搬送
されたスナップリングを、ワーク圧入治具の下降により
第１のワークに組付けられるので、スナップリングの組
付けを、容易かつ短時間に行えるとともに、スナップリ
ングの組付け忘れも発生しにくいものとなる。

【００１１】第３に、第２の構成において、ワーク圧入
治具は、油圧シリンダによって動作するもので、この油
圧シリンダは、ベアリングの圧入時での油圧とスナップ
リングの組付け時での油圧とを変化させる油圧切替機構
を備えている。

【００１２】上記構成によれば、ワーク圧入治具を用い
たベアリングの圧入およびスナップリングの組付けの各
作業が、それぞれ適正な油圧をもって油圧シリンダによ
り行われる。

【００１３】第４に、第２の構成において、搬送機構
は、スナップリングを収納して第１のワークの圧入孔上
に位置する組付位置と、スナップリングが供給される供
給位置との間を水平方向に移動可能な円筒状の組付ガイ
ドを備え、この組付ガイドは、上部側がスナップリング
の外径より大径で、下部側がスナップリングの外径より
小径となってこの下部側端部の内径が第１のワークの圧
入孔径とほぼ同じか若干小径となるようテーパ状の貫通
孔を有し、この組付ガイドがスナップリングを収納した
状態で前記組付位置にあるときに、ワーク圧入治具の下
降により組付ガイド内のスナップリングを撓ませつつ押
し下げてベアリングの圧入孔内の環状溝に嵌め込む構成
としてある。

【００１４】上記構成によれば、ワーク圧入治具による
ベアリングの第１のワークへの圧入作業に続き、搬送機
構の組付ガイドをスナップリングの組付位置とした状態
で、ワーク圧入治具が下降することで、組付ガイド内の
スナップリングが押し下げられて第１のワークに組付け
られ、スナップリングの組付けを、容易かつ短時間に行
えるとともに、スナップリングの組付け忘れも発生しに
くいものとなる。

【００１５】第５に、第４の構成において、スナップリ
ングを上下方向に積層配置し下端が開口しているスナッ
プリング格納筒を、スナップリングの厚さとほぼ同寸法
の隙間を形成した状態でガイド板上に配置し、このガイ
ド板上をスライド移動しつつ前記隙間内に挿入されて最
下端の一つのスナップリングをスナップリング格納筒か
ら外部に押し出して、供給位置にある組付ガイドに供給
する押出プレートを設けた構成としてある。

【００１６】上記構成によれば、搬送機構の組付ガイド
に、スナップリングが多数格納されているスナップリン
グ格納筒から押出プレートによって一つのスナップリン
グを供給でき、組付ガイドへのスナップリングの供給が
容易なものとなる。

【００１７】第６に、ワーク受け治具上に載置された第
１のワークに、ワーク支持治具のワーク受け治具への接
近により第２のワークを圧入し、圧入した第２のワーク
の第１のワークからの抜け止めを行う抜け止め部材が、
第１のワークへの組付け可能な位置にある搬送機構に供
給された状態で、前記ワーク圧入治具の下降により前記
抜け止め部材を第１のワークに組付ける組付け方法とし
てある。

【００１８】上記組付け方法によれば、抜け止め部材が
第１のワークに組付け可能な位置まで搬送機構により搬
送された状態で、ワーク圧入治具が下降することで、抜
け止め部材が押し下げられて第１のワークに組付けら
れ、抜け止め部材の組付けを、容易かつ短時間に行える
とともに、抜け止め部材の組付け忘れも発生しにくいも
のとなる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づき説明する。

【００２０】図１は、この発明の実施の一形態を示すＣ
型コラム式圧入機の正面図、図２は同側面図である。こ
の圧入機において圧入作業がなされるワークとしては、
前記従来例で示したものと同様に、第１のワークとして
のナックルステアリング１に第２のワークとしてのベア
リング７が圧入されるものである。

【００２１】上記圧入機は、図１中で左右２か所にて同
時に圧入および、圧入に続く抜け止め部材としてのスナ
ップリングのナックルステアリング１への組付けを行う
ことが可能なもので、圧入機本体９の下部上面に設けら
れたテーブル１１上には、一対のワーク受け治具１３が
設置されるとともに、各ワーク受け治具１３の上方には
一対のワーク圧入治具１５がそれぞれ設置されている。
ワーク圧入治具１５は、１本の支持バー１７の下面に装
着されており、支持バー１７は圧入機本体９の上部下面
に取り付けられた油圧シリンダ１９によって上下動可能
に装着されている。ワーク圧入治具１５の下端には、ベ
アリング７を保持するためのチャックが設けられてい
る。

【００２２】油圧シリンダ１９は、油圧の切替機構を備
えており、スナップリングの組付け時には、前記油圧の
切替機構を、ベアリングの圧入時での油圧に対して低圧
とした状態で行う。

【００２３】図３は、ワーク受け治具１３およびワーク
圧入治具１５の詳細を示す断面図である。但し、ここで
はベアリング７をナックルステアリング１の圧入孔１ａ
に圧入する際に、ベアリング７はワーク圧入治具１５に
よって保持されず、ワーク受け治具１３側に載置した状
態で行うものとする。ワーク受け治具１３は、テーブル
１１上に固定されるベース２１上に、円筒状の支持体２
３が固定され、支持体２３内には可動体２５が上下方向
に移動可能に設けられている。支持体２３は、上端に段
部２３ａが形成され、この段部２３ａを利用してナック
ルステアリング１が支持体２３、すなわちワーク受け治
具１３に位置決めセットされることになる。

【００２４】可動体２５は、上下方向に貫通孔２７が形
成され、貫通孔２７の上部側には、ベアリング７をワー
ク受け治具１３側に載置する際に、ベアリング５の内輪
が嵌め込まれる位置決め片２９を固定するための固定軸
３１が挿入固定されている。貫通孔２７の下部側は上部
側に比べて大径となってスプリング収納孔を形成し、こ
のスプリング収納孔と、前記ベース２１の中心にねじ込
まれたねじ蓋３２との間には、可動体２５を上方に付勢
するスプリング３３が介装されている。可動体２５の下
端は大径部２５ａが形成され、この大径部２５ａの上端
が支持体２３内の段部２３ａに当接することで、可動体
２５の上方への移動が規制される。大径部２５ａの上端
が支持体２３内の段部２３ａに当接した状態では、可動
体２５は支持体２３に対して上方に突出した状態とな
り、この状態の可動体２５上にベアリング７をセットす
る。

【００２５】図３に示す状態は、ベアリング７がナック
ルステアリング１に圧入された状態であり、可動体２５
は、ワーク圧入治具１５の下降によりベアリング７の内
輪を介して押し下げられ、支持体２３内に入り込んでい
る。

【００２６】ワーク圧入治具１５は、ナックルステアリ
ング１の圧入孔１ａの内径より、外径が若干小径の円柱
状を呈しており、外周側の下端には、下方に突出し、ベ
アリング７を圧入する際にその外輪の上面に当接して押
圧する押圧部１５ａを備え、中心部には、押圧部１５ａ
よりさらに下方に突出しベアリング７の内輪内に入り込
む位置決め部１５ｂが形成されている。

【００２７】図１に示すように、テーブル１１は圧入機
本体９に対して左右方向に突出しており、この左右の両
突出部上には、スナップリングをナックルステアリング
１の上方位置まで搬送する搬送機構３５が設置されてい
る。

【００２８】図４は、上記搬送機構３５の詳細を示す側
面断面図であり、図５は、図４の平面図である。搬送機
構３５は、多数のスナップリングＳが積層状態で格納さ
れるスナップリング格納筒３７と、スナップリング格納
筒３７から一つのスナップリングＳが供給されて収納さ
れる円筒状の組付ガイド３９とを備えている。

【００２９】組付ガイド３９は、内径部分の上部側がス
ナップリングＳの外径より大きく形成され、同下部側が
小径となってこの下部側端部の内径がナックルステアリ
ング１の圧入孔１ａの径とほぼ同じか若干小さい径とな
るようテーパ状の貫通孔３９ａを備えている。これによ
り、スナップリング格納筒３７から水平状態で供給され
る一つのスナップリングＳは、図４に示すように、貫通
孔３９ａの上部側にて水平状態でセットされることにな
る。

【００３０】上記した組付ガイド３９は、回動アーム４
１の先端側に固定され、回動アーム４１の基端側は、テ
ーブル１１上のベース４０に配置された回動中心軸４３
に固定されている。回動中心軸４３は、ベース４０上に
固定された支持枠４５にほぼ中央部分が回転可能に支持
され、下端が回動リンク４７の基端側に固定されてい
る。回動リンク４７の先端側は、ピン４９を介してエア
シリンダ５１のロッド５１ａが接続されており、エアシ
リンダ５１は、水平状態でその本体５１ｂの端部がピン
５２を介してベース４０に対して回動可能に装着され、
このエアシリンダ５１の作動により組付ガイド３９は、
スナップリングＳを収納した状態でナックルステアリン
グ１の圧入孔１ａ上に位置する組付位置（図５の二点鎖
線位置）と、スナップリングＳが組付ガイド３９に供給
される供給位置（図５の実線位置）との間を水平方向に
移動可能となる。

【００３１】スナップリングＳが供給された組付ガイド
３９が組付位置にある状態で、ワーク圧入治具１５が、
組付ガイド３９内に入り込んでスナップリングＳを下方
に押し込みナックルステアリング１の圧入孔１ａ内の環
状溝１ｂに嵌め込む。

【００３２】スナップリング格納筒３７は、ベース４０
上に固定された支持ブラケット５３の上端に設置されて
いる。このスナップリング格納筒３７は、上下両端が開
口している円筒状に形成され、下端の開口部は、支持ブ
ラケット５３の上端に配置されたガイド板５５に対し、
スナップリングＳの厚さとほぼ同寸法の隙間を形成した
状態で固定されている。ガイド板５５は、上面が組付ガ
イド３９の上面と同一面を形成しており、組付ガイド３
９と反対側方向（図４中で右方向）に延長されている。

【００３３】ガイド板５５の上記延長された部位から図
４に示した状態の組付ガイド３９の上部側にわたる部
位、すなわち図４中でスナップリング格納筒３７の左右
両側には、上部ガイド５７がスナップリング格納筒３７
の外周部に固定した状態で設けられ、上部ガイド５７
と、組付ガイド３９およびガイド板５５との間の隙間の
寸法は、前述したスナップリング格納筒３７の下端とガ
イド板５５との間の隙間の寸法と同等に形成されてい
る。上部ガイド５７とガイド板５５との間には押出プレ
ート５９が配置されており、押出プレート５９は、図４
に示す位置から図中で左方向にスライド移動可能で、こ
の移動により先端でガイド板５５上のスナップリングＳ
を押し出して組付ガイド３９に供給する。

【００３４】押出プレート５９の上記スライド移動は、
支持ブラケット５３に装着されたエアシリンダ６１によ
ってなされる。エアシリンダ６１は、本体６１ａに対し
図４中で左右方向に進退移動するロッド６１ｂの先端
が、上下方向に延長される連結部材６３の下端に固定さ
れ、連結部材６３の上端が、押出プレート５９のガイド
板５５から右方向に突出した端部に連結されている。こ
の連結部が図４の位置から左方向に移動可能なように、
ガイド板５５には、図５に示すように、逃げ溝５５ａが
形成されている。

【００３５】スナップリング格納筒３７内には、積層配
置された状態で格納されている多数のスナップリングＳ
を上方から押さえ付ける重り６５が収納されている。重
り６５は、スナップリングＳが組付ガイド３９に順次供
給されることによる格納状態のスナップリングＳの下降
に伴って徐々に下降する。重り６５の下部側の側面に
は、図５に示すように、側方に突出する検知アーム６７
が設けられ、この検知アーム６７は、スナップリング格
納筒３７に上下方向に向けて形成された案内溝３７ａに
上下動可能に挿入されて外部に突出している。一方、ガ
イド板５５に固定された取付けブラケット６９には、前
記検知アーム６７を検出するセンサ７１が設置されてい
る。センサ７１は、重り６５が最下端に位置するときの
検知アーム６７を検出するもので、スナップリング格納
筒３７内のスナップリングＳの空検知を行う。

【００３６】図６は、上記した圧入機の動作を司る制御
ブロック図で、エアシリンダ５１，６１および油圧シリ
ンダ１９の油圧切替機構７３をそれぞれ駆動制御する制
御部７５は、ベアリング７の圧入動作およびスナップリ
ングＳの組付け動作時に、異常が発生したときに異常表
示を行う表示部７７の表示動作を制御するとともに、圧
入作業時でワーク圧入治具１５の圧入荷重を検知するた
めにワーク圧入治具１５の下降移動軌跡上に設けた荷重
センサ７９，油圧切替機構７３における油圧の加圧量を
検知する加圧センサ８１および、ワーク圧入治具１５の
圧入作業時での所定の下降端を検知する圧入機本体９に
設けた近接スイッチ８３の各検出値の入力を受ける。さ
らに、制御部７５は、スナップリングＳが組付ガイド３
９内に供給されたかどうかを検知する組付ガイド３９内
に設けられた近接スイッチ８５，スナップリングＳがナ
ックルステアリング１にセットされたかどうかを検知す
るファイバセンサ８７および、ワーク圧入治具１５のス
ナップリング組付け作業時での所定の下降端を検知する
圧入機本体９に設けた近接スイッチ８９の各検出値の入
力も受ける。

【００３７】上記のように構成された圧入機における動
作を、図７に示すフローチャートに基づき説明する。ま
ず、図３に示すように、ナックルステアリング１をワー
ク受け治具１３の支持体２３上にセットするとともに、
ベアリング７をワーク受け治具１３の可動体２５上にセ
ットした状態で、本圧入機の起動スイッチを投入する
（ステップ１０１）。このとき、ベアリング７がセット
される可動体２５は、支持体２３に対しスプリング３３
に押圧されて上方に突出した状態となっており、また組
付ガイド３９は図５の実線で示す供給位置となってい
る。

【００３８】次に、油圧シリンダ１９による油圧を高圧
とした状態で（ステップ１０３）、ワーク圧入治具１５
を下降させると（ステップ１０５）、ワーク圧入治具１
５は、下端中央の位置決め部１５ｂがベアリング７の内
輪内に入り込み、ベアリング７を可動体２５とともに支
持体２３に対して下降させる。ベアリング７が下降して
ナックルステアリング１の圧入孔１ａに達した時点から
圧入がなされ、図３の状態まで下降した時点で圧入作業
が完了する。

【００３９】ワーク圧入治具１５による圧入荷重が規定
範囲内かどうかを、ワーク圧入治具１５が下降する際の
ベアリング７がナックルステアリング１に及ぼす力を、
荷重センサ７９により検知し（ステップ１０７）、この
検出値が規定範囲外であれば、表示部７７に異常表示を
行い（ステップ１０９）、動作を停止させる。

【００４０】一方、検出した荷重が規定範囲内であれ
ば、ワーク圧入治具１５が所定の位置まで下降したかど
うかを、近接スイッチ８３により検知するとともに（ス
テップ１１１）、油圧切替機構７３による油圧シリンダ
１９の加圧量が規定値かどうかを加圧センサ８１により
確認する（ステップ１１３）。ワーク圧入治具１５の下
降端が所定の位置まで達していない場合および、油圧シ
リンダ１９による加圧量が規定値に達していない場合に
は、それぞれ前記表示部７７に異常を表示し（ステップ
１０９）、動作を停止させる。

【００４１】ワーク圧入治具１５の下降端が所定の位置
まで達している場合で、かつ油圧シリンダ１９による加
圧量が規定値に達している場合には、ベアリング７の圧
入作業が完了したと判断して（ステップ１１５）、ワー
ク圧入治具１５を上昇させ上昇端に戻す（ステップ１１
７，１１９）。ワーク圧入治具１５の上昇により、ベア
リング７およびナックルステアリング１がスプリング３
３の弾性力により上方に移動しようとするが、ベアリン
グ７とナックルステアリング１とを合わせた重量を、ス
プリング３３の弾性力より大きく設定することで、ベア
リング７およびナックルステアリング１を図３に示す状
態に維持することが可能となる。

【００４２】上記ステップ１０３からステップ１１９に
わたるベアリング７の圧入作業に並行して、スナップリ
ング格納筒３７からワーク受け治具１３上のナックルス
テアリン１の上方位置へのスナップリングＳの搬送動作
がなされる。この搬送動作は、エアシリンダ６１の動作
によりロッド６１ｂが図４中で左方向に移動し、これに
伴い押出しプレート５９が図４中で左方向にスライド移
動して押出し（ステップ１２１）、その先端で最下端の
スナップリングＳをガイド板５５上を滑らせつつガイド
３９内に落とし込む。ここで、スナップリングＳが図４
に示すような正規な状態に供給されたかどうかを、組付
ガイド３９内に埋め込まれた近接スイッチ８５にて確認
し（ステップ１２３）、ＯＫすなわち正規な状態に供給
されていれば、エアシリンダ５１が動作してロッド５１
ｂを本体５１ａ内に引き込み、組付ガイド３９を図５の
実線で示す供給位置から二点鎖線で示す組付位置まで移
動させる（ステップ１２５）。スナップリングＳが正規
な状態に供給されていない場合には、表示部７７にて異
常表示を行う。

【００４３】上記したように、押出しプレート５９の移
動によりスナップリングＳを組付ガイド３９に供給でき
るので、組付ガイド３９へのスナップリングＳの供給が
容易なものとなる。スナップリングＳを押出した後の押
出しプレート５９は、エアシリンダ６１のロッド６１ｂ
の図４中で右方向への移動により、図４に示す元の位置
に戻り、これとともに、スナップリング格納筒３７内の
多数のスナップリングＳはその１つの厚さ分だけ全体が
下降し、次の供給動作に備えられる。

【００４４】ワーク圧入治具１３が、圧入作業後に元の
位置に上昇し（ステップ１１９）、かつ組付ガイド３９
がスナップリングＳを正規にセットされた状態で組付け
位置に移動完了すると（ステップ１２５）、油圧シリン
ダ１９の油圧を低圧にして（ステップ１２７）、ワーク
圧入治具１５を再度下降させてスナップリングＳのナッ
クルステアリング１への組付けを行う（ステップ１２
９）。この組付け作業は、図８に示すように、ワーク圧
入治具１５が組付ガイド３９の貫通孔３９ａ内に入り込
み、その下端外周の押圧部１５ａにてスナップリングＳ
の上面を押圧してスナップリングＳを縮径させて撓ませ
つつ下方に押し下げ、さらにナックルステアリング１の
圧入孔１ａ内に押し込んで環状溝１ｂに嵌め込む。

【００４５】油圧シリンダ１９の油圧をベアリング７の
圧入時には高圧とし、スナップリングＳの組付け時には
低圧することで、圧入および組付けの各作業が、それぞ
れ適正な油圧をもって行え、作業性の向上を図ることが
可能となる。

【００４６】上記した組付け作業において、スナップリ
ングＳがナックルステアリング１の環状溝１ｂにセット
されたかどうかを、ファイバセンサ８７によりスナップ
リングＳを検知することで確認するとともに（ステップ
１３１）、近接スイッチ８９によりワーク圧入治具１５
の下降端を検知することで確認する（ステップ１３
３）。ファイバセンサ８７によりスナップリングＳのセ
ットが確認されない場合および、近接スイッチ８９が所
定のセット位置よりさらに下降した状態のワーク圧入治
具１５を検知した場合には、スナップリングＳがセット
されていないとして表示部７７にて異常表示を行う（ス
テップ１０９）。

【００４７】ファイバセンサ８７によりスナップリング
Ｓのセットが確認でき、かつ近接スイッチ８９が所定の
セット位置まで下降した状態のワーク圧入治具１５を検
知した場合には、スナップリングＳの組付けが完了した
として終了する。

【００４８】上記した圧入機によれば、ベアリング７を
ナックルステアリング１に圧入後、スナップリングＳの
ナックルステアリング１への組付けも、本圧入機に付設
された搬送機構３５を用いて一連の作業として継続して
行えるので、圧入作業後のスナップリングＳの組付け作
業が容易かつ短時間に行え、スナップリングＳの組付け
忘れも回避されて不良品の発生を防止することができ
る。

【００４９】

【発明の効果】以上説明してきたように、第１の発明に
よれば、ワーク圧入治具の下降により、第２のワークを
第１のワークに圧入した後、搬送機構により第１のワー
クへの組付け可能な位置まで搬送された抜け止め部材
を、ワーク圧入治具の下降により第１のワークに組付け
られるので、抜け止め部材の組付けを、容易かつ短時間
に行えるとともに、抜け止め部材の組付け忘れも発生し
にくいものとなる。

【００５０】第２の発明によれば、ワーク圧入治具の下
降により、ベアリングを第１のワークに圧入した後、搬
送機構により第１のワークへの組付け可能な位置まで搬
送されたスナップリングを、ワーク圧入治具の下降によ
り第１のワークに組付けられるので、スナップリングの
組付けを、容易かつ短時間に行えるとともに、スナップ
リングの組付け忘れも発生しにくいものとなる。

【００５１】第３の発明によれば、ワーク圧入治具を用
いたベアリングの圧入およびスナップリングの組付けの
各作業が、それぞれ適正な油圧をもって油圧シリンダに
より行え、作業性の向上を図ることができる。

【００５２】第４の発明によれば、ワーク圧入治具によ
るベアリングの第１のワークへの圧入作業に続き、搬送
機構の組付ガイドをスナップリングの組付位置とした状
態で、ワーク圧入治具が下降することで、組付ガイド内
のスナップリングが押し下げられて第１のワークに組付
けられ、スナップリングの組付けを、容易かつ短時間に
行えるとともに、スナップリングの組付け忘れも発生し
にくいものとなる。

【００５３】第５の発明によれば、搬送機構の組付ガイ
ドに、スナップリングが多数格納されているスナップリ
ング格納筒から押出プレートによって一つのスナップリ
ングを供給でき、組付ガイドへのスナップリングの供給
が容易なものとなる。

【００５４】第６の発明によれば、抜け止め部材が第１
のワークに組付け可能な位置まで搬送機構により搬送さ
れた状態で、ワーク圧入治具が下降することで、抜け止
め部材が押し下げられて第１のワークに組付けられ、抜
け止め部材の組付けを、容易かつ短時間に行えるととも
に、抜け止め部材の組付け忘れも発生しにくいものとな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態を示すＣ型コラム式圧
入機の正面図である。

【図２】図１の左側面図である。

【図３】図１の圧入機におけるワーク受け治具およびワ
ーク圧入治具の詳細を示す断面図である。

【図４】図１の圧入機におけるスナップリングの搬送機
構の側面断面図である。

【図５】図４の平面図である。

【図６】図１の圧入機の動作を司る制御ブロック図であ
る。

【図７】図１の圧入機における動作を示すフローチャー
トである。

【図８】図１の圧入機におけるスナップリングの組付け
動作を示す動作説明図である。

【図９】従来例を示す圧入機の側面図である。

【図１０】従来例によるスナップリングの組付け動作を
示す斜視図である。

【符号の説明】

Ｓ スナップリング（抜け止め部材） １ ナックルステアリング（第１のワーク） １ａ 圧入孔 １ｂ 環状溝 ７ ベアリング（第２のワーク） １３ ワーク受け治具 １５ ワーク圧入治具 ３５ 搬送機構 ３７ スナップリング格納筒 ３９ 組付ガイド ５５ ガイド板 ５９ 押出プレート

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１のワークが載置されるワーク受け治
   具と、このワーク受け治具に向けて接近することで第２
   のワークを押圧し第２のワークを第１のワークに圧入す
   るワーク圧入治具と、圧入した第２のワークの第１のワ
   ークからの抜け止めを行う抜け止め部材を第１のワーク
   への組付け可能な位置まで搬送する搬送機構とを備え、
   この搬送機構により搬送された抜け止め部材を、前記ワ
   ーク圧入治具の下降により第１のワークに組付ける構成
   としたことを特徴とする抜け止め部材組付け機能付圧入
   機。
2. 【請求項２】 第２のワークは、第１のワークに形成さ
   れた圧入孔に圧入されるベアリングであり、抜け止め部
   材は、前記圧入孔の内面に形成された環状溝に嵌め込ま
   れるスナップリングであることを特徴とする請求項１記
   載の抜け止め部材組付け機能付圧入機。
3. 【請求項３】 ワーク圧入治具は、油圧シリンダによっ
   て動作するもので、この油圧シリンダは、ベアリングの
   圧入時での油圧とスナップリングの組付け時での油圧と
   を変化させる油圧切替機構を備えていることを特徴とす
   請求項２記載の抜け止め部材組付け機能付圧入機。
4. 【請求項４】 搬送機構は、スナップリングを収納して
   第１のワークの圧入孔上に位置する組付位置と、スナッ
   プリングが供給される供給位置との間を水平方向に移動
   可能な円筒状の組付ガイドを備え、この組付ガイドは、
   上部側がスナップリングの外径より大径で、下部側がス
   ナップリングの外径より小径となってこの下部側端部の
   内径が第１のワークの圧入孔径とほぼ同じか若干小径と
   なるようテーパ状の貫通孔を有し、この組付ガイドがス
   ナップリングを収納した状態で前記組付位置にあるとき
   に、ワーク圧入治具の下降により組付ガイド内のスナッ
   プリングを撓ませつつ押し下げてベアリングの圧入孔内
   の環状溝に嵌め込む構成としたことを特徴とする請求項
   ２記載の抜け止め部材組付け機能付圧入機。
5. 【請求項５】 スナップリングを上下方向に積層配置し
   下端が開口しているスナップリング格納筒を、スナップ
   リングの厚さとほぼ同寸法の隙間を形成した状態でガイ
   ド板上に配置し、このガイド板上をスライド移動しつつ
   前記隙間内に挿入されて最下端の一つのスナップリング
   をスナップリング格納筒から外部に押し出して、供給位
   置にある組付ガイドに供給する押出プレートを設けたこ
   とを特徴とする請求項４記載の抜け止め部材組付け機能
   付圧入機。
6. 【請求項６】 ワーク受け治具上に載置された第１のワ
   ークに、ワーク支持治具のワーク受け治具への接近によ
   り第２のワークを圧入し、圧入した第２のワークの第１
   のワークからの抜け止めを行う抜け止め部材が、第１の
   ワークへの組付け可能な位置にある搬送機構に供給され
   た状態で、前記ワーク圧入治具の下降により前記抜け止
   め部材を第１のワークに組付けることを特徴とする抜け
   止め部材組付け機能付圧入機による抜け止め部材の組付
   け方法。