JPH0985311A - 金属圧延用ロールおよびその製造方法 - Google Patents
金属圧延用ロールおよびその製造方法Info
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- JPH0985311A JPH0985311A JP7241033A JP24103395A JPH0985311A JP H0985311 A JPH0985311 A JP H0985311A JP 7241033 A JP7241033 A JP 7241033A JP 24103395 A JP24103395 A JP 24103395A JP H0985311 A JPH0985311 A JP H0985311A
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- JP
- Japan
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- roll
- cermet
- thermal spray
- ceramics
- thermally spraying
- Prior art date
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- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
- Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明はサーメット溶射ロールにおいて、溶射
皮膜とロール母材との密着力に優れ、しかも耐摩耗性に
も優れている金属圧延用ロールおよびその製造方法を提
供する。 【解決手段】ロール表面に、ロール母材にセラミックス
が食い込んだ状態の第１サーメット溶射皮膜を有し、更
にその上にセラミックスの融点以上の温度の溶射燃焼炎
で溶射された第２のサーメットまたはセラミックスの溶
射皮膜を有し、さらに必要により、その最表層のサーメ
ット溶射皮膜の上に、金属めっき皮膜を有する金属圧延
用ロール、及び圧延ロール表面に、サーメットの結合材
である金属の融点以上セラミックスの融点未満の温度の
溶射燃焼炎温度で、かつ溶射粒子速度を６００ｍ／秒以
上の速度でサーメット溶射して第１サーメット溶射皮膜
を設け、更にその上にセラミックスの融点以上の温度の
溶射燃焼炎温度でサーメットまたはセラミックスを溶射
することにより第２溶射皮膜を設けることを特徴とする
金属圧延用ロールの製造方法。
皮膜とロール母材との密着力に優れ、しかも耐摩耗性に
も優れている金属圧延用ロールおよびその製造方法を提
供する。 【解決手段】ロール表面に、ロール母材にセラミックス
が食い込んだ状態の第１サーメット溶射皮膜を有し、更
にその上にセラミックスの融点以上の温度の溶射燃焼炎
で溶射された第２のサーメットまたはセラミックスの溶
射皮膜を有し、さらに必要により、その最表層のサーメ
ット溶射皮膜の上に、金属めっき皮膜を有する金属圧延
用ロール、及び圧延ロール表面に、サーメットの結合材
である金属の融点以上セラミックスの融点未満の温度の
溶射燃焼炎温度で、かつ溶射粒子速度を６００ｍ／秒以
上の速度でサーメット溶射して第１サーメット溶射皮膜
を設け、更にその上にセラミックスの融点以上の温度の
溶射燃焼炎温度でサーメットまたはセラミックスを溶射
することにより第２溶射皮膜を設けることを特徴とする
金属圧延用ロールの製造方法。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属圧延用ロール
に係わり、更に詳しくはロール表面にロール母材との密
着性および耐摩耗性に優れたサーメット溶射皮膜を有す
る金属圧延用ロールおよびその製造方法に関する。
に係わり、更に詳しくはロール表面にロール母材との密
着性および耐摩耗性に優れたサーメット溶射皮膜を有す
る金属圧延用ロールおよびその製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】金属圧延用ロールは、圧延中に熱的、機
械的な負荷が大きく、ロール表面では摩耗、肌荒れ、亀
裂及び被圧延材のロール表面への焼付等が発生し、損傷
が大きい。そのため、耐摩耗性、耐熱性、耐スリップ
性、耐焼付性、および耐食性等の改善のため、ロール表
面に種々の表面処理が施されている。
械的な負荷が大きく、ロール表面では摩耗、肌荒れ、亀
裂及び被圧延材のロール表面への焼付等が発生し、損傷
が大きい。そのため、耐摩耗性、耐熱性、耐スリップ
性、耐焼付性、および耐食性等の改善のため、ロール表
面に種々の表面処理が施されている。
【０００３】特公昭58-17775号公報には、自溶性合金、
セラミックス、サーメット等の高温耐摩耗性の溶射被覆
用コバルトベース組成物が開示されている。
セラミックス、サーメット等の高温耐摩耗性の溶射被覆
用コバルトベース組成物が開示されている。
【０００４】特開平2-34203 号公報及び特開平2ー207905
号公報には、Ｎｉ、Ｃｒ、Ｃｏ等のマトリックス中にSi
C 、Al2O3 、BN等固体微粒子を分散させた分散複合めっ
きをロール表面に施すことにより、冷間圧延時の焼付き
を防止する方法が示されている。
号公報には、Ｎｉ、Ｃｒ、Ｃｏ等のマトリックス中にSi
C 、Al2O3 、BN等固体微粒子を分散させた分散複合めっ
きをロール表面に施すことにより、冷間圧延時の焼付き
を防止する方法が示されている。
【０００５】特開平5ー214505号公報には、溶射と同時に
溶射皮膜表面をＲａ１〜１５μm の範囲内の粗さに表面
加工して、更にその上に溶射皮膜を積層することにより
皮膜密着力を高めた溶射皮膜形成方法が開示されてい
る。
溶射皮膜表面をＲａ１〜１５μm の範囲内の粗さに表面
加工して、更にその上に溶射皮膜を積層することにより
皮膜密着力を高めた溶射皮膜形成方法が開示されてい
る。
【０００６】また、特公平6ー6201号、特公平4-69481
号、特公平4-69483 号各公報に、ロール表面に設けた溶
射被膜上に電気めっき、又は無電解めっきを施した平滑
な表面のロールが開示されている。
号、特公平4-69483 号各公報に、ロール表面に設けた溶
射被膜上に電気めっき、又は無電解めっきを施した平滑
な表面のロールが開示されている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】表面に溶射皮膜を設け
たロールの例として、耐焼付性、耐摩耗性改善のため、
自溶性合金の溶射皮膜を設けた熱処理炉のハースロール
や耐摩耗性、耐スリップ性、耐薬品性改善のため、Al2O
3 溶射皮膜を設けた鋼板酸洗ラインのブライドルロール
等がある。
たロールの例として、耐焼付性、耐摩耗性改善のため、
自溶性合金の溶射皮膜を設けた熱処理炉のハースロール
や耐摩耗性、耐スリップ性、耐薬品性改善のため、Al2O
3 溶射皮膜を設けた鋼板酸洗ラインのブライドルロール
等がある。
【０００８】これらのロールは鋼板を搬送するためのロ
ールであり、ロール表面への負荷は小さいので溶射皮膜
が母材から剥離するようなことはない。
ールであり、ロール表面への負荷は小さいので溶射皮膜
が母材から剥離するようなことはない。
【０００９】一方、金属の圧延に用いられる圧延ロール
は使用条件が過酷なため、溶射ロールを適用すると溶射
皮膜が母材から剥離するという問題が生ずる。例えば、
調質圧延においては、凹凸を持ったダルロールで鋼板を
調質圧延してダル模様を鋼板に転写するため、平均ロー
ル負荷は５０〜１００Kg/mm2であり、特にダルの突起部
には非常に大きな負荷が集中する。また、冷間圧延ミル
および熱間圧延ミルの圧延ロールにおいては、ロールで
鋼板を高圧下率で圧延するため、ロール負荷は１００〜
１５０Kg/mm2と大きくなる。
は使用条件が過酷なため、溶射ロールを適用すると溶射
皮膜が母材から剥離するという問題が生ずる。例えば、
調質圧延においては、凹凸を持ったダルロールで鋼板を
調質圧延してダル模様を鋼板に転写するため、平均ロー
ル負荷は５０〜１００Kg/mm2であり、特にダルの突起部
には非常に大きな負荷が集中する。また、冷間圧延ミル
および熱間圧延ミルの圧延ロールにおいては、ロールで
鋼板を高圧下率で圧延するため、ロール負荷は１００〜
１５０Kg/mm2と大きくなる。
【００１０】溶射皮膜のロール母材への密着力を高める
方法として、ロール表面にブラスト処理を施し表面の粗
度を調整してから溶射する方法があるが、これとて圧延
ロールに適用した場合の溶射皮膜の剥離の解決には至っ
ていない。また、上記特開平5ー214505号公報に示されて
いる、溶射と同時に表面加工する方法は溶射皮膜を積層
した場合の溶射皮膜間の密着力向上にはなるが、母材と
溶射皮膜界面の密着力向上には寄与していない。
方法として、ロール表面にブラスト処理を施し表面の粗
度を調整してから溶射する方法があるが、これとて圧延
ロールに適用した場合の溶射皮膜の剥離の解決には至っ
ていない。また、上記特開平5ー214505号公報に示されて
いる、溶射と同時に表面加工する方法は溶射皮膜を積層
した場合の溶射皮膜間の密着力向上にはなるが、母材と
溶射皮膜界面の密着力向上には寄与していない。
【００１１】本発明はサーメット溶射ロールにおいて、
溶射皮膜とロール母材との密着力に優れ、しかも耐摩耗
性にも優れている金属圧延用ロールおよびその製造方法
を提供することを目的とする。
溶射皮膜とロール母材との密着力に優れ、しかも耐摩耗
性にも優れている金属圧延用ロールおよびその製造方法
を提供することを目的とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、金属の熱
間圧延または冷間圧延に使用されるロールの表面に設け
られた耐摩耗性に優れたサーメット溶射皮膜の母材への
密着力を高めるため、実験、検討を繰り返した。その結
果、下記のような知見を得るに到った。
間圧延または冷間圧延に使用されるロールの表面に設け
られた耐摩耗性に優れたサーメット溶射皮膜の母材への
密着力を高めるため、実験、検討を繰り返した。その結
果、下記のような知見を得るに到った。
【００１３】１）サーメット溶射皮膜中のセラミックス
を固体状にして、ロール母材にセラミックスが食い込ん
だ状態の溶射皮膜にすれば、セラミックスのくさび効果
が得られ、ロール母材との密着力を顕著に向上できる。
を固体状にして、ロール母材にセラミックスが食い込ん
だ状態の溶射皮膜にすれば、セラミックスのくさび効果
が得られ、ロール母材との密着力を顕著に向上できる。
【００１４】２）上記の状態の溶射皮膜を形成するに
は、サーメット溶射を行う際、溶射燃焼炎温度を結合材
である金属の融点以上、セラミックスの融点未満の温度
範囲とし、かつ溶射粒子速度を６００ｍ／秒以上の高速
で溶射する。
は、サーメット溶射を行う際、溶射燃焼炎温度を結合材
である金属の融点以上、セラミックスの融点未満の温度
範囲とし、かつ溶射粒子速度を６００ｍ／秒以上の高速
で溶射する。
【００１５】３）しかし、このような溶射皮膜は気孔が
多く、圧延使用時に溶射皮膜が部分的に欠け落ちが発生
し、摩耗が著しい。
多く、圧延使用時に溶射皮膜が部分的に欠け落ちが発生
し、摩耗が著しい。
【００１６】４）この欠け落ちを防止するには、上記の
溶射皮膜の上に、更にセラミックスの融点以上の温度の
溶射燃焼炎で溶射したサーメットまたはセラミックスの
溶射皮膜を設けるのがよい。
溶射皮膜の上に、更にセラミックスの融点以上の温度の
溶射燃焼炎で溶射したサーメットまたはセラミックスの
溶射皮膜を設けるのがよい。
【００１７】本発明は、このような知見に基づきなされ
たもので、その要旨とするところは、「ロール表面に、
ロール母材にセラミックスが食い込んだ状態のサーメッ
ト第１溶射皮膜を有し、更にその上にセラミックスの融
点以上の温度の溶射燃焼炎で溶射された第２のサーメッ
トまたはセラミックスの溶射皮膜を有し、さらに必要に
より、その最表層のサーメット溶射皮膜の上に、金属め
っき皮膜を有する金属圧延用ロール、及び圧延ロール表
面に、サーメットの結合材である金属の融点以上セラミ
ックスの融点未満の温度範囲内の溶射燃焼炎温度で、か
つ６００ｍ／秒以上の溶射粒子速度でサーメット溶射し
て第１サーメット溶射皮膜を設け、更にその上にセラミ
ックスの融点以上の温度の溶射燃焼炎温度でサーメット
またはセラミックスを溶射することにより第２溶射皮膜
を設けることを特徴とする圧延ロールの製造方法」にあ
る。
たもので、その要旨とするところは、「ロール表面に、
ロール母材にセラミックスが食い込んだ状態のサーメッ
ト第１溶射皮膜を有し、更にその上にセラミックスの融
点以上の温度の溶射燃焼炎で溶射された第２のサーメッ
トまたはセラミックスの溶射皮膜を有し、さらに必要に
より、その最表層のサーメット溶射皮膜の上に、金属め
っき皮膜を有する金属圧延用ロール、及び圧延ロール表
面に、サーメットの結合材である金属の融点以上セラミ
ックスの融点未満の温度範囲内の溶射燃焼炎温度で、か
つ６００ｍ／秒以上の溶射粒子速度でサーメット溶射し
て第１サーメット溶射皮膜を設け、更にその上にセラミ
ックスの融点以上の温度の溶射燃焼炎温度でサーメット
またはセラミックスを溶射することにより第２溶射皮膜
を設けることを特徴とする圧延ロールの製造方法」にあ
る。
【００１８】サーメット溶射皮膜は、セラミックスの粉
末と結合材である金属またはその合金の粉末とを溶射し
て得られる複合材で、結合材の融点はセラミックスの融
点より低い。溶射の燃焼炎温度を結合材の融点以上セラ
ミックスの融点未満にすることにより、ロール表面に溶
射されるセラミックス粒が未溶融の状態となる。この状
態で溶射粒子速度を６００ｍ／秒以上にすることによ
り、固体セラミックスがロール母材に食い込み、くさび
効果が発生して、圧延時の高負荷にも耐える密着力が得
れる。
末と結合材である金属またはその合金の粉末とを溶射し
て得られる複合材で、結合材の融点はセラミックスの融
点より低い。溶射の燃焼炎温度を結合材の融点以上セラ
ミックスの融点未満にすることにより、ロール表面に溶
射されるセラミックス粒が未溶融の状態となる。この状
態で溶射粒子速度を６００ｍ／秒以上にすることによ
り、固体セラミックスがロール母材に食い込み、くさび
効果が発生して、圧延時の高負荷にも耐える密着力が得
れる。
【００１９】
【発明の実施の形態】図１は、溶射皮膜の表面にめっき
皮膜を有する本発明のロールの表面層の断面図である。
符号１はロール母材で、２はその上にセラミックスの融
点未満の溶射燃焼炎温度で溶射されたサーメット溶射皮
膜、３はセラミックスの融点以上の溶射燃焼炎温度で溶
射されたサーメットまたはセラミックスの溶射皮膜、４
はめっき皮膜である。また、５は溶射皮膜２中の固体セ
ラミックスで、６はこの固体セラミックスが母材に食い
込んだ状態を示す。
皮膜を有する本発明のロールの表面層の断面図である。
符号１はロール母材で、２はその上にセラミックスの融
点未満の溶射燃焼炎温度で溶射されたサーメット溶射皮
膜、３はセラミックスの融点以上の溶射燃焼炎温度で溶
射されたサーメットまたはセラミックスの溶射皮膜、４
はめっき皮膜である。また、５は溶射皮膜２中の固体セ
ラミックスで、６はこの固体セラミックスが母材に食い
込んだ状態を示す。
【００２０】本発明のロール及び製造方法を上記のよう
に限定した理由を以下に説明する。
に限定した理由を以下に説明する。
【００２１】（ロール） ロール母材にセラミックスが食い込んだ状態の第１サー
メット溶射皮膜：溶射皮膜をサーメットにするのは耐摩
耗性を高めるためで、またロール母材にセラミックスが
食い込んだ状態にするのは、母材と溶射皮膜の密着性を
改善するためである。このようにすることにより、固体
セラミックスによるくさび効果が生じ母材との密着力が
高まる。
メット溶射皮膜：溶射皮膜をサーメットにするのは耐摩
耗性を高めるためで、またロール母材にセラミックスが
食い込んだ状態にするのは、母材と溶射皮膜の密着性を
改善するためである。このようにすることにより、固体
セラミックスによるくさび効果が生じ母材との密着力が
高まる。
【００２２】セラミックスの融点以上の温度の溶射燃焼
炎温度で溶射した第２の溶射皮膜：図１に示すように、
第１サーメット溶射皮膜の表面は固体セラミックス粒が
飛び出した状態になっている。この表面状態で圧延に用
いると固体セラミックスに大きな圧延荷重が負荷されて
欠け落ちが生じ、溶射皮膜表面が凹凸になる。そうする
と凸部の圧延荷重が大きくなり摩耗する。このような固
体セラミックス粒の欠け落ちによる摩耗を防止するため
に、第２の溶射皮膜を設ける。この溶射皮膜の溶射温度
は、セラミックスの融点以上なので、溶射材は溶融した
状態で溶射されており緻密な溶射皮膜となっている。ま
た、溶融状態の溶射材は、第１溶射皮膜表面の凹部にま
で入り込み、表面は比較的平坦となり圧延使用時に表面
の一部分のみが摩耗することはない。
炎温度で溶射した第２の溶射皮膜：図１に示すように、
第１サーメット溶射皮膜の表面は固体セラミックス粒が
飛び出した状態になっている。この表面状態で圧延に用
いると固体セラミックスに大きな圧延荷重が負荷されて
欠け落ちが生じ、溶射皮膜表面が凹凸になる。そうする
と凸部の圧延荷重が大きくなり摩耗する。このような固
体セラミックス粒の欠け落ちによる摩耗を防止するため
に、第２の溶射皮膜を設ける。この溶射皮膜の溶射温度
は、セラミックスの融点以上なので、溶射材は溶融した
状態で溶射されており緻密な溶射皮膜となっている。ま
た、溶融状態の溶射材は、第１溶射皮膜表面の凹部にま
で入り込み、表面は比較的平坦となり圧延使用時に表面
の一部分のみが摩耗することはない。
【００２３】また、サーメット第１溶射皮膜表面には固
体セラミックス粒が飛び出しているため、その上に設け
た第２溶射皮膜との間でくさび効果が生じて両者の接着
力が増す。この第２溶射皮膜は、セラミックスであって
もサーメットであっても上記効果が得られる。高負荷の
かかる圧延ロールの場合は、サーメットにするのがよ
い。
体セラミックス粒が飛び出しているため、その上に設け
た第２溶射皮膜との間でくさび効果が生じて両者の接着
力が増す。この第２溶射皮膜は、セラミックスであって
もサーメットであっても上記効果が得られる。高負荷の
かかる圧延ロールの場合は、サーメットにするのがよ
い。
【００２４】なお、溶射皮膜の厚さは第１、第２の溶射
皮膜の合計で１ｍｍ以下にするのが好ましい。厚くなる
と剥離が生じ易いためである。
皮膜の合計で１ｍｍ以下にするのが好ましい。厚くなる
と剥離が生じ易いためである。
【００２５】めっき皮膜：第２溶射皮膜の表面に必要に
応じてめっき皮膜を設ける。めっき金属はＮｉ、Ｃｒ及
びその合金等がよい。例えば、Ｃｒめっき皮膜を設ける
と、被圧延材の焼き付きが防止できる。また、めっき皮
膜中にＳｉＣ、Ａｌ2 Ｏ3 やＢＮ等の粒子を分散させる
と、耐摩耗性が向上し、ロール寿命が延長される。
応じてめっき皮膜を設ける。めっき金属はＮｉ、Ｃｒ及
びその合金等がよい。例えば、Ｃｒめっき皮膜を設ける
と、被圧延材の焼き付きが防止できる。また、めっき皮
膜中にＳｉＣ、Ａｌ2 Ｏ3 やＢＮ等の粒子を分散させる
と、耐摩耗性が向上し、ロール寿命が延長される。
【００２６】めっき方法は、通常の電解めっき（第２溶
射皮膜の場合）、無電解めっきのどちらでもよい。ま
た、めっき後、めっき皮膜を熱処理して硬質の皮膜にす
ることもできる。
射皮膜の場合）、無電解めっきのどちらでもよい。ま
た、めっき後、めっき皮膜を熱処理して硬質の皮膜にす
ることもできる。
【００２７】めっき皮膜の厚さは、３０μm 以下とする
のが好ましい。厚くなると剥離が生じ易いからである。
のが好ましい。厚くなると剥離が生じ易いからである。
【００２８】第２溶射皮膜の表面を、研磨、ショットブ
ラスト等の加工によりロール表面の最終目標の粗さに調
整した後めっきを施すと、目的とするロール表面粗度が
得られる。
ラスト等の加工によりロール表面の最終目標の粗さに調
整した後めっきを施すと、目的とするロール表面粗度が
得られる。
【００２９】（製造方法） サーメット第１溶射皮膜形成のための溶射燃焼炎温度
（金属の融点以上セラミックスの融点未満）：溶射の燃
焼炎温度を結合材の金属の融点未満にすると、当然のこ
とながら溶射皮膜が形成されない。また、セラミックス
の融点以上にするとセラミックスが溶融してしまい、ロ
ール表面にセラミックス粒を食い込ますことができなく
なり、くさび効果が得られなくなる。そのため溶射皮膜
の密着力の確保が出来ない。従って、サーメット第１溶
射皮膜の溶射燃焼炎温度を金属の融点以上セラミックス
の融点未満の温度範囲とした。
（金属の融点以上セラミックスの融点未満）：溶射の燃
焼炎温度を結合材の金属の融点未満にすると、当然のこ
とながら溶射皮膜が形成されない。また、セラミックス
の融点以上にするとセラミックスが溶融してしまい、ロ
ール表面にセラミックス粒を食い込ますことができなく
なり、くさび効果が得られなくなる。そのため溶射皮膜
の密着力の確保が出来ない。従って、サーメット第１溶
射皮膜の溶射燃焼炎温度を金属の融点以上セラミックス
の融点未満の温度範囲とした。
【００３０】第２溶射皮膜形成のための溶射燃焼炎温度
（セラミックスの融点以上）：溶射時に溶射材の全てを
溶融した状態にするために、溶射燃焼炎温度をセラミッ
クスの融点以上とする。溶射材が溶融した状態で形成さ
れた溶射皮膜は緻密となり、かつ比較的表面が平坦にな
っているため、表面の部分的な摩耗を防止するのに適し
ている。
（セラミックスの融点以上）：溶射時に溶射材の全てを
溶融した状態にするために、溶射燃焼炎温度をセラミッ
クスの融点以上とする。溶射材が溶融した状態で形成さ
れた溶射皮膜は緻密となり、かつ比較的表面が平坦にな
っているため、表面の部分的な摩耗を防止するのに適し
ている。
【００３１】溶射粒子速度（６００ｍ／秒以上）：溶射
粒子速度が６００ｍ／秒未満であるとセラミックス粒子
がロール母材に食い込まず、密着力が確保出来ない。溶
射するロール母材表面は研磨面、機械加工面やブラスト
面等であっても効果は同じでありとくに制限しない。
粒子速度が６００ｍ／秒未満であるとセラミックス粒子
がロール母材に食い込まず、密着力が確保出来ない。溶
射するロール母材表面は研磨面、機械加工面やブラスト
面等であっても効果は同じでありとくに制限しない。
【００３２】なお、溶射粒子速度とは、粒子が母材に衝
突する直前の速度であり、また溶射流の中央を走行する
粒子（最も速い粒子）の速度とする。また、この速度
は、レーザ速度計により測定することができる。
突する直前の速度であり、また溶射流の中央を走行する
粒子（最も速い粒子）の速度とする。また、この速度
は、レーザ速度計により測定することができる。
【００３３】サーメットとしては、例えば下記のセラミ
ックスおよび結合材の金属を組み合わせたものが使用で
きる。なお、括弧内は融点を示す。
ックスおよび結合材の金属を組み合わせたものが使用で
きる。なお、括弧内は融点を示す。
【００３４】（セラミックス） 炭化物：WC( 2630℃) 、W2C(2730℃) 、Cr3C2(1895℃)
、TiC(3140℃) 、ZrC(3530℃) 、B4C(2450℃) 、VC( 2
830℃ｒ) 、NbC(3500℃) 、SiC(2400℃) 、Mo2C( 2690
℃) 、HfC(3890℃) 、TaC(3880℃) 酸化物：Al2O3(2015℃) 、ZrO2( 2700℃) 、Cr2O3(1990
℃) 、TiO2( 1640℃) ThO2( 3050℃) 窒化物：AlN(2200℃) 、TiN(2950℃) 、ZrN(2700℃) （結合材）Fe( 1535℃) 、Ni( 1455℃) 、Co( 1492℃)
、Cr( 1905℃) 、Mo( 2610℃) およびそれらの合金
、TiC(3140℃) 、ZrC(3530℃) 、B4C(2450℃) 、VC( 2
830℃ｒ) 、NbC(3500℃) 、SiC(2400℃) 、Mo2C( 2690
℃) 、HfC(3890℃) 、TaC(3880℃) 酸化物：Al2O3(2015℃) 、ZrO2( 2700℃) 、Cr2O3(1990
℃) 、TiO2( 1640℃) ThO2( 3050℃) 窒化物：AlN(2200℃) 、TiN(2950℃) 、ZrN(2700℃) （結合材）Fe( 1535℃) 、Ni( 1455℃) 、Co( 1492℃)
、Cr( 1905℃) 、Mo( 2610℃) およびそれらの合金
【００３５】
【実施例】高Ｃｒ鋳鉄（2.7%C ー17%Cr）からなる、直径
７６０mm、長さ１７８０mm、表面粗度：0.2 μmRa 、表
面硬度：Hs70の熱間圧延用ロールを製作し、表１に示す
条件でNo. １〜５、８〜１０については第１溶射皮膜と
第２溶射皮膜を設け、No.６、７は第１溶射皮膜のみと
した。
７６０mm、長さ１７８０mm、表面粗度：0.2 μmRa 、表
面硬度：Hs70の熱間圧延用ロールを製作し、表１に示す
条件でNo. １〜５、８〜１０については第１溶射皮膜と
第２溶射皮膜を設け、No.６、７は第１溶射皮膜のみと
した。
【００３６】
【表１】
【００３７】溶射方法は、第１溶射皮膜には高圧、超高
速フレーム溶射を用い、第２溶射皮膜にはプラズマ溶射
を用いた。使用したガスは酸素、燃料は灯油、溶射ガン
は米国 HOBART/TAFA 社製JP5000であった。
速フレーム溶射を用い、第２溶射皮膜にはプラズマ溶射
を用いた。使用したガスは酸素、燃料は灯油、溶射ガン
は米国 HOBART/TAFA 社製JP5000であった。
【００３８】なお、No. １１については 0.8%Cー3%Cr 鍛
鋼で製作した直径５９０mm、長さ１７３０mm（表面粗度
0.2 μmRa 、表面硬度Hs90）のロールを用い、第２溶射
皮膜の溶射面を0.4 μmRa に研磨仕上げ後、下記めっき
条件で NiW/SiC無電解分散複合めっきを施し、次いで４
００℃で１時間保持する熱処理を施した。
鋼で製作した直径５９０mm、長さ１７３０mm（表面粗度
0.2 μmRa 、表面硬度Hs90）のロールを用い、第２溶射
皮膜の溶射面を0.4 μmRa に研磨仕上げ後、下記めっき
条件で NiW/SiC無電解分散複合めっきを施し、次いで４
００℃で１時間保持する熱処理を施した。
【００３９】 めっき液組成：NiSO4 ・6H2O 7g/l、Na2WO4・2H2O 35g/
l、Na3C6H507 40g/l pH ： ７〜９ めっき液温 ： ８０℃ 分散材 ： ＳｉＣ 平均粒径２μm めっき厚 ：２０μm （めっきのままで表面粗度0.4
μmRa ） 上記のように表面処理を行った No.１〜１０のロールに
ついては、熱間圧延機の仕上げ前段ワークロールに適用
し、 No.１１のロールは冷間圧延機のワークロールに適
用した。
l、Na3C6H507 40g/l pH ： ７〜９ めっき液温 ： ８０℃ 分散材 ： ＳｉＣ 平均粒径２μm めっき厚 ：２０μm （めっきのままで表面粗度0.4
μmRa ） 上記のように表面処理を行った No.１〜１０のロールに
ついては、熱間圧延機の仕上げ前段ワークロールに適用
し、 No.１１のロールは冷間圧延機のワークロールに適
用した。
【００４０】熱間圧延ロール１本当たり１万トンの炭素
鋼板を、冷間圧延ロール１本当たり１０万トンの炭素鋼
板をそれぞれ製造した後、各ロールについて摩耗量を測
定すると共に、溶射皮膜の密着性を調べた。その結果を
表１に示す。
鋼板を、冷間圧延ロール１本当たり１０万トンの炭素鋼
板をそれぞれ製造した後、各ロールについて摩耗量を測
定すると共に、溶射皮膜の密着性を調べた。その結果を
表１に示す。
【００４１】摩耗量は、ロールの最も摩耗した部分の摩
耗量を示し、ロールの使用前の直径をＤ、使用後の最小
直径をｄとすると、（Ｄ−ｄ）／２（mm）で求めた量を
示す。
耗量を示し、ロールの使用前の直径をＤ、使用後の最小
直径をｄとすると、（Ｄ−ｄ）／２（mm）で求めた量を
示す。
【００４２】また、密着性の評価は、ロールの溶射皮膜
が剥離すると、圧延された炭素鋼板表面に模様としてプ
リントされるため、鋼板表面の観察により行った。
が剥離すると、圧延された炭素鋼板表面に模様としてプ
リントされるため、鋼板表面の観察により行った。
【００４３】表１から明かなように、本発明例では、全
て耐摩耗性および密着性に優れている。一方、第１溶射
皮膜形成時の溶射燃焼炎温度がセラミックスの融点より
高いNo. ５は溶射粒子速度が８００m ／秒と速いが、く
さび効果が得られていないため密着性が不十分である。
また、第１溶射皮膜のみを設けた No.６は、密着性には
優れているが、耐摩耗性が不十分であることが分かる。
て耐摩耗性および密着性に優れている。一方、第１溶射
皮膜形成時の溶射燃焼炎温度がセラミックスの融点より
高いNo. ５は溶射粒子速度が８００m ／秒と速いが、く
さび効果が得られていないため密着性が不十分である。
また、第１溶射皮膜のみを設けた No.６は、密着性には
優れているが、耐摩耗性が不十分であることが分かる。
【００４４】めっき皮膜を設けた No.１１は、耐摩耗
性、密着性とも優れており、また耐肌荒れ性にも優れた
結果を示した。
性、密着性とも優れており、また耐肌荒れ性にも優れた
結果を示した。
【００４５】
【発明の効果】本発明によれば、圧延ロールの溶射皮膜
の密着性が著しく改善されると共に耐摩耗性にも優れた
効果が得られ、ロール資材費低減が図れる。
の密着性が著しく改善されると共に耐摩耗性にも優れた
効果が得られ、ロール資材費低減が図れる。
【図１】溶射皮膜の表面にめっき皮膜を有する本発明の
ロール表面層の断面図である。
ロール表面層の断面図である。
１ ロール母材 ２ 第１溶射皮膜 ３ 第２溶射皮膜 ４ めっき層 ５ 溶射皮膜２のセラミックス ６ 母材に食い込んだセラミックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津田 哲明 大阪府大阪市中央区北浜４丁目５番33号住 友金属工業株式会社内
Claims (3)
- 【請求項１】ロール表面に、ロール母材にセラミックス
が食い込んだ状態のサーメット第１溶射皮膜を有し、更
にその上にセラミックスの融点以上の温度の溶射燃焼炎
で容射されたサーメットまたはセラミックスの第２溶射
皮膜を有することを特徴とする金属圧延用ロール。 - 【請求項２】請求項１記載の金属圧延用ロールの第２溶
射皮膜の上に、金属めっき皮膜を有することを特徴とす
る金属圧延用ロール。 - 【請求項３】圧延ロール表面に、サーメットの結合材で
ある金属の融点以上、セラミックスの融点未満の温度範
囲内の溶射燃焼炎温度で、かつ６００ｍ／秒以上の溶射
粒子速度でサーメットを溶射してサーメット第１溶射皮
膜を設け、更にその上にセラミックスの融点以上の温度
の溶射燃焼炎でサーメットまたはセラミックスを溶射す
ることにより第２の溶射皮膜を設けることを特徴とする
金属圧延用ロールの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7241033A JPH0985311A (ja) | 1995-09-20 | 1995-09-20 | 金属圧延用ロールおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7241033A JPH0985311A (ja) | 1995-09-20 | 1995-09-20 | 金属圧延用ロールおよびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0985311A true JPH0985311A (ja) | 1997-03-31 |
Family
ID=17068330
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7241033A Pending JPH0985311A (ja) | 1995-09-20 | 1995-09-20 | 金属圧延用ロールおよびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0985311A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011523161A (ja) * | 2008-04-02 | 2011-08-04 | コーテック ゲゼルシャフト フル オーベルフレーヘンフェレデルンク エムベーハー | 円筒基体および誘電体ローラカバーを含むコロナローラ、およびこのようなコロナローラの製造方法 |
-
1995
- 1995-09-20 JP JP7241033A patent/JPH0985311A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011523161A (ja) * | 2008-04-02 | 2011-08-04 | コーテック ゲゼルシャフト フル オーベルフレーヘンフェレデルンク エムベーハー | 円筒基体および誘電体ローラカバーを含むコロナローラ、およびこのようなコロナローラの製造方法 |
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