JPH0980170A - 表示盤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】コスト低減を図れ、また、適用範囲を広げるこ
とができ、しかも見やすく実用性、装飾性、安全性に優
れた表示盤を実現する。 【解決手段】円盤状をなし上面が白色に形成された地板
１１の略全面に亘って、金属酸化物系焼結材に希土類元
素を添加した蓄光材塗料１２を、地板１１の地色（白
色）を含み地模様を形成するように、散点状に不均一な
密度で塗布、具体的には、蓄光材塗料１２の塗布密度
が、地板１１の外周側が密で、中心側に向かうに従って
徐々に粗となるように塗布し、蓄光材塗料１２を塗布し
た地板１１の所定の位置に時刻用文字１３等が遮光性イ
ンクを印刷して形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、夜間や暗い場所に
て表示文字等を視認できる蓄光材を用いた時計の文字盤
等の表示盤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、時計用の文字盤には、夜間や暗所
において、表示文字を認識できるように蓄光材が用いら
れている。

【０００３】このような文字盤としては、たとえば特開
平７−７７５８５号公報に開示されているような、透明
な板に蓄光塗料がべた塗りしてあり、板の表面に蓄光塗
料と異なる色の遮光性インクによって、数字または記号
等の指標が形成されているものが知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の文字盤は、板の略全面に蓄光塗料をべた塗りするこ
とから、高価な蓄光塗料の使用量が多く、コスト高にな
るという問題がある。したがって、文字盤の面積が大き
く使用量がさらに多くなる掛け時計などには用いること
が困難で、文字盤の面積の小さい時計などにその用途が
限られていた。また、べた塗りであることから、模様と
しの機能は小さく、また、文字盤全体で一様な輝度しか
得られず、発光時間も全体で同じであることから、装飾
的効果に乏しい。

【０００５】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、コスト低減を図れ、また、適用
範囲を広げることができ、しかも見やすく実用性、装飾
性、安全性に優れた表示盤を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の表示盤は、金属酸化物系焼結材に希土類元
素を添加した蓄光材が、地板の略全体に亘って当該地板
の地色を含む地模様として不均一な密度で塗布されてい
る。

【０００７】また、上記蓄光材が、放射方向中心側で
密、外周側で粗となるように塗布され、あるいは放射方
向中心側で粗、外周側で密となるように塗布されてい
る。

【０００８】本発明によれば、励起光となる所定波長の
光が文字盤に不均一な密度で塗布された蓄光材に入射さ
れる。その結果、蓄光材は、添加された希土類元素が多
量の光を受けて、高い励起状態となる。したがって、表
示盤はたとえば中心側が輝度が低く、外周側が高い状
態、あるいは中心側が輝度が高く、外周側が低い状態で
放射状に光を発する。これにより、遮光インク等で形成
された文字等が指標として浮かび上がり、観察者は容易
に視認でき、また、蓄光材の塗布密度により、領域毎に
発光輝度および発光時間が異なり、装飾的効果が増大さ
れる。

【０００９】

【発明の実施の形態】第１実施形態 図１は、本発明に係る蓄光材が塗布された時計用文字盤
の第１の実施形態を示す図である。

【００１０】図に示すように、本文字盤１０は、円盤状
をなし上面が白色に形成された地板１１の略全面に亘っ
て、金属酸化物系焼結材に希土類元素を添加した蓄光材
塗料１２が、地板１１の地色（白色）を含み地模様を形
成するように、散点状に不均一な密度で塗布されてい
る。蓄光材塗料１２の塗布密度は、具体的には、地板１
１の外周側が密で、中心側に向かうに従って徐々に粗と
なるようになっている。そして、蓄光材塗料１２が塗布
された地板１１の所定の位置に時刻用文字１３等が黒色
等の遮光性インクを印刷して形成されている。

【００１１】なお、文字盤１０は、透明フィルムの裏面
に文字、目盛等を黒色印刷してから、蓄光材塗料１２を
塗布し、その後全面白色印刷を施すことによっても形成
することができる。

【００１２】この散点状の地模様は、点状の蓄光材塗料
１２を細かい密度をもって塗布して形成されており、昼
間や明るい部屋では、たとえば黄緑色をなす蓄光材塗料
１２と地板１１の白色とにより装飾的効果を高めてい
る。そして、夜間や暗所では、蓄光材が地模様領域全体
が蓄光材塗料１２の塗布密度に応じた輝度および時間を
もって自発光する。

【００１３】塗料として用いられる蓄光材は、たとえば
金属とアルカリ土類金属元素との焼結酸化物に、数ｐｐ
ｍ程度の微量の希土類元素を添加して構成されており、
金属とアルカリ土類金属元素との焼結酸化物が発光体と
して機能し、希土類元素が励起状態に遷移するための触
媒として機能する。ここで、焼結酸化物の金属としては
アルミニウム（Ａｌ）、アルカリ土類金属としてはスト
ロンチウム（Ｓｒ）が用いられている。この場合の焼結
酸化物を化学式で表すと、次のようになる。 Ｓｒ_x ・Ａｌ_y ・Ｏ_Z

【００１４】このような蓄光材は、少し黄緑色であって
従来の硫化亜鉛より透明度が高く、かつ、図２に示すよ
うに、従来の一般的な蓄光材である硫化亜鉛（ＺｎＳ）
より残光性が長く、輝度が高い。また、蓄光材は、特に
紫外線の多い蛍光灯や太陽光に反応してエネルギーを蓄
える。良好な波長としては３７０ｎｍ程度である。

【００１５】また、図３は、本蓄光材と、従来の硫化亜
鉛による蓄光材およびプロメチウムを添加した自発光型
発光体との残光時間を測定した結果を示すグラフであ
る。図３において、横軸は照射時間および残光時間を、
縦軸は残光輝度をそれぞれ表している。また、図中、Ａ
−１で示す曲線は白地印刷色の上に配置した本発明に係
る蓄光材の特性を、Ａ−２で示す曲線は白地印刷色の上
に黄緑色の顔料を含ませて配置した本発明に係る蓄光材
の特性を、Ａ−３で示す曲線はカラー印刷色の上に配置
した本発明に係る蓄光材の特性を、Ｂで示す曲線は従来
の硫化亜鉛による蓄光材を、Ｃで示す曲線は自発光型発
光体の特性をそれぞれ示している。図３からわかるよう
に、本発光体は、従来の発光体に比べ輝度が高く、残光
時間も硫化亜鉛による蓄光材に比べて１０倍以上も長く
５〜８時間程度である。このように、長時間の残光特性
を持つことから、照明が消された夜間等にも時計とし
て、あるいは装飾体として十分に適用できる。

【００１６】このような構成を有する文字盤１０にあっ
ては、励起光となる所定波長（本実施例では３７０ｎ
ｍ）の光が、文字盤１０に散点状に均一な密度で塗布さ
れた蓄光材１２に入射される。その結果、蓄光材１２
は、添加された希土類元素が多量の光を受けて、高い励
起状態となる。したがって、文字盤１０は全体に亘って
中心側が輝度が低く、外周側が高い状態で放射状に光を
発する。これにより、遮光インクで形成された文字１３
等が指標として浮かび上がり、時計使用者は容易に時刻
を認識することができる。さらに、蓄光材路町１２の塗
布密度により、領域毎に発光輝度および発光時間が異な
り、装飾的効果が増大される。

【００１７】以上説明したように、本第１の実施形態に
よれば、円盤状をなし上面が白色に形成された地板１１
の略全面に亘って、金属酸化物系焼結材に希土類元素を
添加した蓄光材塗料１２を、地板１１の地色（白色）を
含み地模様を形成するように、散点状に不均一な密度で
塗布、具体的には、蓄光材塗料１２の塗布密度が、地板
１１の外周側が密で、中心側に向かうに従って徐々に粗
となるように塗布し、蓄光材塗料１２を塗布した地板１
１の所定の位置に時刻用文字１３等が遮光性インクを印
刷して形成したので、高価な蓄光材をべた塗りすること
なく暗所での表示効果を充分に発揮でき、蓄光材の使用
量を削減できることから、コスト低減を図れ、また、適
用範囲を広げることができ、しかも見やすく実用性、装
飾性、安全性に優れた文字盤を実現できる。また、蓄光
材は放射性物質を用いず安全なことから、大きな表示盤
にも適用でき、装飾など用途の拡大を図れ、また、部材
管理費の低減を図ることができる。

【００１８】第２実施形態 図４は、本発明に係る蓄光材が塗布された時計用文字盤
の第２の実施形態を示す図である。本第２の実施形態で
は、蓄光材塗料１２の塗布密度が、地板１１の外周側が
密で、中心側に向かうに従って徐々に粗となるのではな
く、外周側が粗で、中心側向かうに従って徐々に密とな
るように構成されている。

【００１９】本第２の実施形態においても、上述した第
１の実施形態と同様の効果を得ることができ、また、装
飾的効果が高まるという利点がある。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
コスト低減を図れ、また、適用範囲を広げることがで
き、しかも見やすく実用性、装飾性、安全性に優れた文
字盤を実現できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る蓄光材が塗布された時計用文字盤
の第１の実施形態を示す図である。

【図２】本発明に係る蓄光材と硫化亜鉛を用いた従来の
蓄光材との残光時間を比較するための図である。

【図３】本発明に係る蓄光材と、従来の硫化亜鉛による
蓄光材およびプロメチウムを添加した自発光型発光体と
の残光時間を測定した結果を示すグラフである。

【図４】本発明に係る蓄光材が塗布された時計用文字盤
の第２の実施形態を示す図である。

【符号の説明】

１０，１０ａ…文字盤 １１…地板 １２，１２ａ…蓄光材 １３…印刷文字

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地板の所定の位置に指標が形成された表
   示盤であって、 金属酸化物系焼結材に希土類元素を添加した蓄光材が、
   地板の略全体に亘って当該地板の地色を含む地模様とし
   て不均一な密度で塗布されている表示盤。
2. 【請求項２】 上記蓄光材が、放射方向中心側で密、外
   周側で粗となるように塗布されている請求項１記載の表
   示盤。
3. 【請求項３】 上記蓄光材が、放射方向中心側で粗、外
   周側で密となるように塗布されている請求項１記載の表
   示盤。