JPH0978379A - 芯鞘型複合紡績糸およびそれを用いた編織物 - Google Patents

芯鞘型複合紡績糸およびそれを用いた編織物

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JPH0978379A
JPH0978379A JP7238648A JP23864895A JPH0978379A JP H0978379 A JPH0978379 A JP H0978379A JP 7238648 A JP7238648 A JP 7238648A JP 23864895 A JP23864895 A JP 23864895A JP H0978379 A JPH0978379 A JP H0978379A
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aromatic polyamide
short fibers
fiber bundle
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JP7238648A
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Shigeru Omae
茂 大前
Shujiro Ueda
周二郎 上田
Takeshi Hatano
武 波多野
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Toray Industries Inc
Du Pont Toray Kevlar Co Ltd
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Toray Industries Inc
Du Pont Toray Kevlar Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ポリアミド繊維の染色耐光性不良を解
消し、紡績糸全体として良好な染色性を得るとともに、
芳香族ポリアミド繊維の持つ強度特性、耐切創性、耐熱
性、耐摩耗性を活用し得るようにした芯鞘型複合紡績糸
およびそれを使用した編織物の提供。 【解決手段】 芯成分が芳香族ポリアミド短繊維を主成
分とする短繊維束Aからなり、鞘成分がポリアクリル短
繊維を主成分とする短繊維束Bからなる芯鞘型複合紡績
糸であり、該紡績糸全体に占める芳香族ポリアミド短繊
維の混紡割合が10〜50重量%、ポリアクリル短繊維
の混紡割合が30重量%以上である。編織物は、上記芯
鞘型複合紡績糸を編物また織物全体に対し5〜100重
量%の範囲で使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐切創性、耐熱
性、耐摩耗性に優れた芯鞘型複合紡績糸およびこの紡績
糸を用いた編織物に関する。さらに詳しくは、特にスポ
ーツなどの過酷な環境下で着用されるニット等に耐える
芯鞘型複合紡績糸およびそれを用いた編織物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、スノーボード、フィッシング、登
山などのアウトドアスポーツへの参加人口の伸びが著し
く、それにともないこれらのスポーツで着用することが
多いニット衣料等の素材の耐久性が従来以上に要求され
るようになっている。特に、耐切創性、耐熱性、耐摩耗
性などの耐久性の要望と共に、さらに吸湿性などの機能
性を向上したものが望まれている。
【0003】従来、これらの要望に対しては、耐熱性に
優れ、耐摩耗性や糸強度が高いパラアラミド型芳香族ポ
リアミド繊維が幅広く用いられている。例えば、パラア
ラミド型芳香族ポリアミド繊維100%のフィラメント
糸や紡績糸を部分的に交編織した編織物が、実公平1−
36600号公報、特公昭62−26900号公報、特
開平2−292036号公報などによって提案されてい
る。しかし、これら提案の編織物は、いずれも引裂抵抗
性や耐切創性は向上するものの、パラアミド型芳香族ポ
リアミド繊維特有の次のような欠点が解決されていなか
った。
【0004】すなわち、芳香族ポリアミド繊維を衣料用
途へ展開する場合に問題とされている染色性について
は、カチオン系染料の選択、染色処方などにより着色す
る点では一応の解決をみているが、着色後の染色耐光性
が満足するものでないという問題があった。また、芳香
族ポリアミド繊維は、高配向のために単繊維が無数に割
れ、白化やささくれなどのフィブリル化現象を起こしや
すく、靴下の爪先やかかとの穴あきなどの長期摩耗に対
する耐久性が極端に劣っていた。さらに、芳香族ポリア
ミド繊維は、高配向のために短繊維の曲げ剛性が高く、
着用時の粗硬感が強くなること、また吸湿性が低いため
靴下などでは蒸れを生じることなどから、着用感が悪い
という問題があった。
【0005】上述した芳香族ポリアミド繊維を衣料用途
へ展開する場合に起こる問題の解決技術として、特開平
3−830号公報は、芯部にパラアラミド芳香族ポリア
ミド繊維を配置し、鞘部にポリエステル繊維を配置する
ようにした芯鞘型複合紡績糸を提案している。しかし、
このようにポリエステル繊維を鞘部に配置する芯鞘型複
合紡績糸では、そのポリエステル繊維の繊度や繊維長を
種々変更してみても、紡績糸の内層に芳香族ポリアミド
繊維を完全に包み込むことはできず、一部或いはかなり
の部分の芳香族ポリアミド繊維が紡績糸表面に露出する
結果となる。そのため、上述した芳香族ポリアミド繊維
のフロスティングや不染性などの欠点を完全に解決する
に至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の問題を解消し、芳香族ポリアミド繊維の染色
耐光性不良を解消し、紡績糸全体として良好な染色性を
得るとともに、芳香族ポリアミド繊維の持つ強度特性、
耐切創性、耐熱性、耐摩耗性を活用し得るようにした芯
鞘型複合紡績糸およびそれを使用した編織物を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の芯鞘型複合紡績糸は、芯成分が芳香族ポリアミド短
繊維を主成分とする短繊維束Aからなり、鞘成分がポリ
アクリル短繊維を主成分とする短繊維束Bからなる芯鞘
型複合紡績糸であって、該紡績糸全体に占める前記芳香
族ポリアミド短繊維の混紡割合が10〜50重量%、前
記ポリアクリル短繊維の混紡割合が30重量%以上であ
ることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の編織物は、上記芯鞘型複合
紡績糸を編織物全体の5〜100重量%の範囲で使用す
るようにしたことを特徴とするものである。このように
芳香族ポリアミド短繊維とポリアクリル短繊維から芯鞘
型複合紡績糸を構成し、かつポリアクリル短繊維により
芳香族ポリアミド短繊維を紡績糸の内層部に包み込むこ
とを可能にすることによって、芳香族ポリアミドの欠点
とされるフィブリル化によるフロスティングをカバーす
るとともに、染色後の芳香族ポリアミド繊維の染色耐光
性不良もカバーするようになる。
【0009】さらに、芯部の芳香族ポリアミド短繊維を
カチオン可染性に著しく優れたポリアクリル繊維によっ
て包み込んでいるため紡績糸全体として良好な染色性を
得ることができ、かつこの包み込みによって芳香族ポリ
アミド繊維が持っている強度特性、耐切創性、耐熱性、
耐摩耗性を活かすことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、芯鞘型複合紡績
糸の芯部を構成する短繊維束Aは、芳香族ポリアミド短
繊維を主成分として構成される。この芳香族ポリアミド
短繊維としては、芳香族ポリアミドステープルを通常の
短繊維紡績工程である打綿、梳綿、練条、粗紡、精紡の
各工程を通すことにより製造されるスライバーや粗糸、
さらには紡績糸が使用される。また、繊維長を76〜1
60mm程度に長くして、一般のソ毛紡績を通してスライ
バーや粗糸、さらには紡績糸にするようにしたものであ
ってもよい。また、紡績糸の場合は、ヨリ方向はS、Z
いずれであってもよく、かつヨリ係数は一般の紡績糸よ
りもやや低めにした方が耐切創性、耐摩耗性の点で望ま
しい。
【0011】また、短繊維束Aは、芳香族ポリアミド短
繊維100%で構成されていてもよいが、この芳香族ポ
リアミド短繊維が主成分(50重量%以上)である限
り、少量のポリアクリル短繊維を原綿混紡するようにし
たものであってもよい。ポリアクリル短繊維を少量混紡
することによって芳香族ポリアミド短繊維の紡績性を向
上させ、しかも両者のもつ物性差を緩和させることがで
きる。この場合のポリアクリル短繊維の混紡量は特に限
定されないが、短繊維束Aの全量に対し5〜40重量%
の範囲にするのがよい。
【0012】本発明において、芯鞘型複合紡績糸の鞘部
を構成する短繊維束Bは、ポリアクリル短繊維を主成分
として構成される。この短繊維束Bは、ポリアクリル短
繊維100%で構成されていてもよいが、ポリアクリル
短繊維を主成分(50重量%以上)とする限り木綿繊維
との混紡であってもよい。ポリアクリル短繊維と木綿繊
維との混紡率としては、適宜設定すればよいが、好まし
くは着用時の肌触りや吸湿性の点から、ポリアクリル短
繊維90〜60重量%に対して木綿繊維10〜40重量
%の範囲にするのがよい。
【0013】短繊維束Bに使用されるポリアクリル短繊
維は、断面形状、単繊維繊度、物性などは特に限定され
ず、かつ抗ピルタイプであってもよい。また、バルキー
性を製品に付与するため、ポリアクリル短繊維内で低収
縮率と高収縮率繊維とを混紡したものであってもよい。
また、短繊維束Aと短繊維束Bとの繊維長は特に限定さ
れるものではないが、紡績方法に合わせて紡績糸の品質
などから、短繊維束Aと短繊維束Bとの繊維長は互いに
近似したものが好ましい。
【0014】本発明の芯鞘型複合紡績糸は、紡績糸全体
に対する芳香族ポリアミド短繊維の混紡割合が10〜5
0重量%で、かつポリアクリル繊維の混紡割合が30重
量%以上で構成される必要がある。芳香族ポリアミド短
繊維の混紡割合が10重量%よりも少ないと、芳香族ポ
リアミド短繊維の比率が低すぎるため、芳香族ポリアミ
ド繊維が有する耐切創性、耐熱性、耐摩耗性などの特性
を十分に発揮させることができず、優れた高機能性を付
与することができなくなる。
【0015】一方、芳香族ポリアミド短繊維が50重量
%よりも多いと、芳香族ポリアミド繊維の特性は発揮さ
れるものの、鞘部のポリアクリル繊維の比率が低くなる
ため風合が粗硬になり、しかも鞘部のポリアクリル繊維
によるカバリングが不十分になるため、芳香族ポリアミ
ド繊維の欠点である染色耐光性不良やフィブリル化によ
るフロスティングなどの耐摩耗性不良を招くようにな
る。
【0016】また、芯鞘型複合紡績糸全体に対してポリ
アクリル短繊維の混紡割合が30重量%よりも少ない
と、芳香族ポリアミド短繊維とポリアクリル短繊維とを
カチオン系染料で染色したとき、両素材の繊維に色相差
がでるようになって色合わせが困難になり、そのための
染料選択や染色処方が難しくなるため、量産が困難にな
る。
【0017】上述した本発明の芯鞘型複合紡績糸の製造
方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは次
のような方法によって製造するとよい。短繊維束Aがス
ライバーや粗糸の場合には、例えば一対のテーパーロー
ラーからなるフロントトップローラーおよびフロントボ
トムローラーを有するリング精紡機により、ガイドを介
してフロントローラーの送出し量の高い側へ通したエプ
ロンドラフト後の短繊維束Bと、送出し量の低い側へ通
したエプロンドラフト後の短繊維束Aとを同時に精紡
し、短繊維束Aを中心に短繊維束Bを実撚付与時に順次
巻回させることにより、芯部の短繊維束Aをこより状に
包み込む状態に糸形成させるようにすればよい。
【0018】図1は、本発明の芯鞘型複合紡績糸を製造
する精紡機において、ドラフト、加撚する概要を示すも
のである。精紡機にセットされた短繊維束Aと短繊維束
Bとは、それぞれトランペット1,2を経てバックロー
ラー3に供給され、エプロンドラフト4を経たのち一対
のテーパーフロントローラー5a,5bに把持される。
【0019】この一対のテーパーフロントローラー5
a,5bでは、それぞれ送出し量の高い側(径の大きい
側)へはトランペット1を介して短繊維束Bを供給し、
送出し量の低い側(径の小さい側)へはトランペット2
を介して短繊維束Aを供給する。次いでフロントローラ
ー5a,5bに把持されながら出てきた両短繊維束A,
Bを間隔3〜15mmの範囲にとって合体させ、短繊維束
Aを芯に短繊維束Bを被覆させながら芯鞘型複合紡績糸
6に形成し、これにリング、トラベラで実撚を付与しな
がら糸管7に巻き取る。
【0020】図2は短繊維束Aが紡績糸の場合を例示す
る。上記と同様に一対のテーパーフロントローラー5
a,5bを有するリング精紡機において、そのフロント
ローラー5a,5bの送出し量の低い側(径の小さい
側)側に、フロントトップローラー5aとドラフトエプ
ロン4との間からガイド8を介して紡績糸の短繊維束A
を送り込んで把持させるようにしている。
【0021】一方、短繊維束Bは、フロントローラー5
a,5bの送出し量の高い側(径の大きい側)へ、トラ
ンペット1およびバックローラー3から通常のブレーキ
ドラフト、エプロンドラフトを行わせてフリースに形成
した後、テーパーフロントローラー5a,5bに把持さ
せ、両短繊維束A,Bの間隔を3〜13mmの範囲にとっ
て合体させ、短繊維束A(紡績糸)を芯に短繊維束Bの
フリースを実撚付与時に順次巻回させながら、芯部の短
繊維束Aをこより状に包み込む状態にして芯鞘型複合紡
績糸6を形成させるようにする。合体時のヨリ方向は
S、Zいずれでもよいが、短繊維束A(紡績糸)と同方
向のヨリの場合には、芯鞘型複合紡績糸はバルキー性が
少なくなる反面、耐切創性、耐摩耗性が向上するように
なる。
【0022】本発明において、芯鞘型複合紡績糸に与え
る撚り数は特に限定しないが、(撚数=K√番手)の式
で定められる撚り係数Kで2.8〜4.5の範囲にする
のがよい。本発明の芯鞘型複合紡績糸は、紡績糸全体に
占める芳香族ポリアミド短繊維の混紡割合が10〜50
重量%であり、ポリアクリル短繊維の混紡割合が30重
量%以上となるように設定して形成される。このときの
混紡比率は、両短繊維束A,Bを合体するときの間隔を
設定することにより決めることができる。両短繊維束
A,Bを合体する時の間隔は、両短繊維成分のフロント
ローラからの送出し量の差に比例し、短繊維束Bの巻回
状態を変えるものとなる。したがって、この両短繊維束
A,Bを合体する時の間隔は、重なり状態や複合糸の物
性をみて決めるのがよい。
【0023】本発明の芯鞘複合紡績糸を使用して編物ま
たは織物にするには、この芯鞘複合紡績糸を単糸あるい
は双糸として、編織物を構成する繊維の全量(100重
量%)に使用してもよく、或いは他のフィラメント糸、
加工糸、弾性繊維糸などと交編または交織して使用する
ようにしてもよい。さらには、靴下の爪先やかかと部分
などのように、特に耐摩耗性が要求される特定の部分に
限定して使用するようにしてもよい。
【0024】いずれにしても、本発明の芯鞘複合紡績糸
は編織物全体の5〜100重量%、好ましくは20〜1
00重量%の範囲で使用するようにする。本発明の芯鞘
複合紡績糸の使用量が編織物全体の5重量%未満では、
たとえ特定の部分に限定して使用した場合であっても、
芳香族ポリアミド短繊維による十分な耐切創性、耐久性
を得ることはできない。
【0025】上記のようにして得た編織物は、カチオン
系染料によって染色を行うようにする。芯部の芳香族ポ
リアミド短繊維はカチオン染料、染色処方などの選択よ
り優れた染色(着色)が可能になっているが、その染色
の耐光性については現状では十分にカバーするに至って
いない。しかし、鞘部のポリアクリル短繊維が高いカチ
オン可染性を有している上に、芯部の芳香族ポリアミド
短繊維を十分に包み込むようにしているので、紡績糸全
体として良好な染色性を得ることができる。
【0026】また、芯部の芳香族ポリアミド短繊維は、
ポリアクリル短繊維によって包み込まれているので、芳
香族ポリアミド短繊維が持っている強度特性、耐切創
性、耐摩耗性を活かすことができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、実施例中において使用した特性値は次測定
法によるものである。 1.切創抵抗力 枠体の中央部に約3mmの間隔で2枚の試料シートを把持
し、この試料シートのスリット部に角度60度で2辺に
刃のある刃綱の刃を垂直に立てて当て、この刃先に50
0mm/分の速度で荷重をかけ、その重量を徐々に増加し
ていったとき該試料シートが切創されるときの最大荷重
をいう。 2.摩耗強度 JIS−L1096の「一般織物試験方法」により測定
した。 3.難溶融性(煙草熱溶融性) 360℃に加熱された金属棒(直径約0.6cm)の先端
に試料を5秒間接触させたときの穴開きの程度を5級
(穴開きなし)〜1級(完全に穴が開く)の5段階で級
判定した。
【0028】実施例1〜5、比較例1〜2 短繊維束Aとして、繊度1.5d、繊維長51mmの引張
強度23g/d、破断伸度3%、熱分解開始温度500
℃のパラアラミド型芳香族ポリアミド短繊維(商標:ケ
ブラー)と、繊度1.5d、繊維長51mmのポリアクリ
ル短繊維とを、それぞれ重量比で100/0(芳香族ポ
リアミド短繊維100%)、80/20、60/40、
40/80、20/80、10/90%の割合に異なら
せて混紡したものを、それぞれ通常の2インチ紡績方法
で、太さ0.2g/mの粗糸に作成した。
【0029】一方、短繊維束Bとして、繊度1.5d、
繊維長51mmのポリアクリル短繊維(商標:トレロン)
100%を、上記と同様の紡績方法で、太さ0.3g/
mの粗糸に作成した。このように混紡率が6種類の短繊
維束Aとポリアクリル短繊維100%の短繊維束Bと
を、それぞれ一対のフロントテーパーローラーを有する
2インチリング精紡機に仕掛け、前者の短繊維束Aの粗
糸をトランペットを通してフロントローラーの送出し量
の低い側へバックローラから供給し、また後者の短繊維
束Bの粗糸をトランペットを通してフロントローラーの
送出し量の高い側へ供給し、精紡トータルドラフト3
0.4倍で番手30S(綿番手)、撚り係数K=3.5
(19.2T/in) となるように芯鞘型複合紡績糸となるよう
に加工した。
【0030】上記紡績糸の加工において、両フリースの
間隔を5mmになるようにトランペット間隔およびコレク
ターで調整した後ドラフトし、合体させて通常の方法で
管糸に巻き取り、芳香族ポリアミド繊維が紡績糸全体の
50、40、30、20、10重量%の5種の芯鞘複合
紡績糸(実施例1〜5)と芳香族ポリアミド繊維混紡率
5重量%の(比較例1)の芯鞘複合紡績糸とを得た。
【0031】また、比較例2として、実施例1で用いた
芳香族ポリアミド短繊維100%からなる0.3g/m
の粗糸(短繊維束A)を、またポリアクリル短繊維10
0%からなる0.25g/mの粗糸(短繊維束B)をぞ
れぞさ作成し、精紡トータルドラフト27.9倍で、同
一番手30Sの芯鞘複合紡績糸を得た。この芯鞘型複合
紡績糸の芳香族ポリアミド短繊維の混紡割合は55重量
%であった。
【0032】これら各芯鞘型複合紡績糸をそれぞれ90
℃×20分の撚止めセットを行ない、これを100%使
用して18ゲージ編機で目付180g/m2 のニット
(天竺)を作成した後、それぞれカチオン染料によって
かせ染法(98℃×60min)にて染色し、芳香族ポリアミド
短繊維の紡績糸表面への出現状態(被覆状態)、引裂強
力、染色性、耐光性、耐切創性、耐熱性、耐摩耗性をそ
れぞれ評価した。その結果は、表1の通りであった。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示すように、比較例2の芳香族ポリ
アミド短繊維の混合割合が55重量%の芯鞘型複合紡績
糸は、芳香族ポリアミド繊維の特性である引裂強力、耐
切創性、耐熱性、耐摩耗性は発揮するが、ポリアクリル
短繊維が少ないため芳香族ポリアミド短繊維を十分に包
み込むことができず、そのため芳香族ポリアミド短繊維
が紡績糸表面に多数出現しており、発色性が劣ってい
た。
【0035】比較例1の芳香族ポリアミド短繊維の混合
割合が10重量%以下の芯鞘型複合紡績糸では、芳香族
ポリアミド短繊維の比率が低すぎるため、芳香族ポリア
ミド繊維の特性を十分に発揮することができず、耐切創
性、耐熱性、耐摩耗性などの高機能性が劣っていた。本
発明で規定する芳香族ポリアミド短繊維の混合割合およ
びポリアクリル短繊維の混合割合を満足している実施例
1〜5の芯鞘型複合紡績糸は、芳香族ポリアミド短繊維
の糸表面への出現も少なく、芳香族ポリアミド繊維の特
性を十分に発揮するものであった。
【0036】実施例6、比較例3 短繊維束Aとして、繊度1.5d、繊維長38mmのパラ
アラミド型芳香族ポリアミド短繊維と、繊度1.5d、
繊維長38mmのポリアクリル短繊維とを60/40の比
率(重量比)で混紡したものを、通常の綿紡績方法で太
さ0.3g/mの粗糸に作成した。
【0037】一方、短繊維束Bとして、繊度1.5d、
繊維長38mmのポリアクリル繊維40重量%と木綿(米
綿コーマ綿)繊維60重量%をスライバー混紡し、太さ
0.3g/mの粗糸に作成した。実施例1〜5と同様
に、フロントテーパーローラーを有する綿用リング精紡
機で、上記短繊維束Bをフロントローラの送出し量の高
い側に、上記短繊維束Aを送出し量の低い側にそれぞれ
供給して、仕掛け番手30s、芳香族ポリアミド短繊維
の混合割合が20重量%、ポリアクリル短繊維の混合割
合が50重量%、木綿の混合割合が30重量%の芯鞘型
複合紡績糸(実施例6)を得た。
【0038】また、比較例3として、実施例6に使用し
た短繊維束Aに、短繊維束Bとしてポリアクリル短繊維
10重量%と木綿繊維90重量%とをスライバー混紡
し、太さ0.3g/mの粗糸を使用し、実施例6と同様
の方法で芳香族ポリアミド短繊維の混合割合が30重量
%、ポリアクリル繊維の混合割合が25重量%、木綿の
混合割合が45重量%の芯鞘型複合紡績糸を得た。
【0039】これら実施例6と比較例3の芯鞘型複合紡
績糸を、実施例1〜5と同様に編物評価したところ、表
1の結果が得られた。表1から明らかなように、実施例
6の編物は実施例1〜5と同様に、摩耗強度の他に破裂
強度、切創抵抗力、煙草熱溶融性などが優れていた。さ
らに、着用時のむれ感もなく、木綿タッチであって風
合、肌触りが非常に好ましいものであった。
【0040】ポリアクリル短繊維の混紡割合が30重量
%よりも少ない比較例3の芯鞘型複合紡績糸では、物
性、風合、肌触りなどは満足できるが、芳香族ポリアミ
ド短繊維とポリアクリル短繊維の両素材に色合差がで
て、色合わせが困難となり、染色加工上の問題があっ
た。 実施例7 実施例3で短繊維束Aに使用したパラアラミド型芳香族
ポリアミド短繊維と、ポリアクリル短繊維とを重量比で
60/40の割合で混紡した太さ0.3g/mの粗糸
を、単独で通常の2インチリング精紡機にかけて番手6
0S(綿番手)、撚り係数K=3.7(28.66T/in)、S
撚りの紡績糸を作成した。
【0041】一方、実施例3と同一の短繊維束Bである
ポリアクリル短繊維100%の太さ0.3g/mの粗糸
を使用して、実施例1〜5と同様の一対のフロントテー
パーローラーを有する2インチリング精紡機に、フロン
トローラーの送出し量の高い側へトランペットを介して
供給した。また、短繊維束Aの60番手の紡績糸を、フ
ロントローラーの送出し量の低い側(小径部側)に、フ
ロントトップローラーとドラフトエプロンの間からガイ
ドを介して送り込み把持させ、この紡績糸と上記テーパ
ーフロントローラーに把持後の短繊維束Bのフリースと
の間隔を6mmにして合体させ、短繊維束A(紡績糸)を
芯に短繊維束Bのフリースが実撚付与時に順次巻回し
て、芯部の短繊維束Aをこより状に包み込む状態にし
た、太さ30番手の芯鞘型複合紡績糸を作成した。この
ときの撚り係数はK=3.2(17.5T/in) 、合体時のヨ
リ方向はZ撚りとした。
【0042】このようにして得た芯鞘型複合紡績糸は、
実施例3と同様に、芳香族ポリアミド繊維の特性を発揮
するとともに、ソフトでバルキー性を有しており、しか
も芳香族ポリアミド短繊維の糸表面への出現も少なく均
整な紡績糸であった。 実施例8〜11、比較例4〜5 実施例4の芳香族ポリアミド短繊維の混紡割合が20重
量%の芯鞘型複合紡績糸を、図3に示すように男性用ス
ポーツ靴下30として耐摩耗性が要求される爪先31と
かかと部分32とに使用し、本発明の芯鞘型複合紡績糸
が靴下製品(片足)全体の3重量%(比較例4)、5重
量%(実施例8)、10重量%(実施例9)、20重量
%(実施例10)、100重量%(靴下全体:実施例1
1)にそれぞれなり、他の残り部分の紡績糸を同番手の
木綿100%糸を使用するようにした、片足全体の重量
が68gのソックスを通常の靴下編み機で試作した。
【0043】さらに比較例5として、木綿100%によ
るソックスを作成した。これらソックスを野球選手に長
期着用させたときの耐久性を調査した結果、本発明の芯
鞘型複合紡績糸を靴下製品全体重量の3重量%使用した
比較例4は、たとえ特定の部分に本発明糸を使用しても
使用面積が少ないため、木綿糸とのつなぎ部分で穴空き
が発生し、摩耗耐久効果が不十分であった。
【0044】一方、本発明の芯鞘型複合紡績糸の使用量
が5重量%〜20重量%の実施例8〜11のソックス
は、過酷な着用にもかかわらず、木綿100%のソック
ス(比較例5)の数倍の長期着用が可能であることがわ
かった。また本発明の芯鞘型複合紡績糸の使用量100
%のソックス(実施例11)は、摩耗耐久性のほか、破
裂強度、切創抵抗力があり、登山用ソックスとして好評
であった。
【0045】
【発明の効果】上述したように、本発明の芯鞘型複合紡
績糸およびこれを使用した編物は、芯部の芳香族ポリア
ミド短繊維からなる短繊維束を、鞘部のポリアクリル短
繊維からなる短繊維束で実質的に露出不能になるように
被覆したことにより、芳香族ポリアミド繊維の欠点であ
る染色耐光性や、フィブリル化現象からくる耐摩耗性を
大幅に改善することができる。また、芳香族ポリアミド
繊維に基づく強度特性、耐切創性、耐熱性、耐摩耗性を
発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の芯鞘複合紡績糸を製造する装置の一例
を示す概略図である。
【図2】本発明の芯鞘複合紡績糸を製造する装置の他の
例を示す概略図である。
【図3】靴下を例示する側面図である。
【符号の説明】
A,B 短繊維束 6 芯鞘型複合紡績糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 武 大阪市北区中之島3丁目4番18号 デュポ ン・東レ・ケブラー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯成分が芳香族ポリアミド短繊維を主成
    分とする短繊維束Aからなり、鞘成分がポリアクリル短
    繊維を主成分とする短繊維束Bからなる芯鞘型複合紡績
    糸であって、該紡績糸全体に占める前記芳香族ポリアミ
    ド短繊維の混紡割合が10〜50重量%、前記ポリアク
    リル短繊維の混紡割合が30重量%以上である芯鞘型複
    合紡績糸。
  2. 【請求項2】 前記短繊維束Bがポリアクリル短繊維と
    木綿との混紡で構成されている請求項1に記載の芯鞘型
    複合紡績糸。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の芯鞘型
    複合紡績糸を、編物また織物全体に対し5〜100重量
    %の範囲で使用した編織物。
  4. 【請求項4】 カチオン系染料で染色されてなる請求項
    3に記載の編織物。
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