JPH0978255A - 難クロム溶出性樹脂クロメート処理金属板 - Google Patents

難クロム溶出性樹脂クロメート処理金属板

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JPH0978255A
JPH0978255A JP13823596A JP13823596A JPH0978255A JP H0978255 A JPH0978255 A JP H0978255A JP 13823596 A JP13823596 A JP 13823596A JP 13823596 A JP13823596 A JP 13823596A JP H0978255 A JPH0978255 A JP H0978255A
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resin
chromium
metal plate
film
chromate
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JP13823596A
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Kenichiro Tadokoro
健一郎 田所
Makoto Yamazaki
真 山崎
Ikuo Jitsuhara
幾雄 実原
Maki Sekoguchi
麻紀 世古口
Kengo Yoshida
健吾 吉田
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地球環境保護のため6価クロムの溶出量を低
減し、加工や傷付きによる処理皮膜の損傷部における耐
食性に優れた樹脂クロメート処理金属板を提供するこ
と。 【解決手段】 水分散性エマルジョン樹脂とクロム化合
物とを主成分とする樹脂クロメート皮膜を形成させた金
属板において、樹脂クロメート皮膜最表面を原子間力顕
微鏡で測定して得られる凸部平均間隔Pと中心面平均粗
さRaの比Ra/Pが0.3以下である難クロム溶出性
樹脂クロメート処理金属板。 【効果】 クロメート皮膜の本来機能である加工部、傷
付部の耐食性を保持したまま、6価クロムの溶出を抑制
するので、地球環境保護に適した材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロメート処理金
属板に関するものである。特に耐クロム溶出性に優れた
樹脂クロメート処理金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロメート処理は金属板の防錆処理とし
て従来から知られており、現在使用されているものに
は、大別して3価のクロムを主成分とする電解クロメー
ト処理や反応型クロメート処理と6価クロムを含有し塗
布後水洗することなく乾燥される塗布型クロメート処理
がある。近年、クロメート処理金属板が家電、建材、自
動車などの用途に広く使用されるにいたり需要家から様
々な性能を要求されるようになった。例えば外観の均一
性、耐指紋性、塗料との密着性、裸使用での平板材の耐
食性および加工部、傷付部での耐食性、アルカリ脱脂で
の耐クロム溶出性などがその例である。これらのうち、
耐クロム溶出性に関しては、特に6価クロムを多く含む
塗布型クロメート処理において改善されるべき課題の一
つである。
【0003】クロメート皮膜の耐クロム溶出性を向上さ
せる技術としては、例えば特開平3−215683号公
報に見られるように、クロメート皮膜形成のための加熱
を板温300℃という比較的高い温度で行う方法が知ら
れている。しかしながら、この方法によれば、加熱時に
6価クロムが還元されて3価になり、6価クロムが皮膜
中にほとんど残存しなくなるため、加工部や傷付部での
耐食性は、可溶解性の6価クロムを含むクロメート皮膜
に比べて大きく劣る。また、特開平4−358082号
公報や特開平5−287548号公報に見られるよう
に、クロメート処理浴中にポリアクリル酸等の樹脂やア
ルコール等の還元剤を添加し、6価クロムは還元、固定
し、3価クロムは樹脂中で架橋させる方法も知られてい
る。
【0004】この方法によれば、樹脂のバリア効果も手
伝って耐食性は向上するが、加工部、傷付部などクロメ
ート皮膜の破れた部位においては、6価クロムの溶出に
よる自己修復作用が機能しないため、やはり加工部、傷
付部での耐食性の問題は残る。クロメート処理金属板が
今後とも広く使用されるためには、耐クロム溶出性向上
はぜひとも必要な技術であるにもかかわらずこれまでの
要求性能のレベル、特に加工部や傷付部での高耐食性を
保ったままこれを達成することは、従来の技術では不可
能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決して、耐食性、特に加工や傷付により処理皮
膜が損傷を受けた部分の耐食性に優れ、かつ6価クロム
の溶出量の少ないクロメート処理金属板を提供すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、水分散
性エマルジョン樹脂とクロム化合物とを主成分とする樹
脂クロメート皮膜を形成させた金属板において、樹脂ク
ロメート皮膜最表面を原子間力顕微鏡で測定して得られ
る凸部平均間隔Pと中心面平均粗さRaの比Ra/Pが
0.3以下であることを特徴とする難クロム溶出性樹脂
クロメート処理金属板である。エマルジョン樹脂を用い
てつくられる樹脂クロメート皮膜表面を原子間力顕微鏡
レベルの解像度で観察すると、エマルジョン樹脂粒子に
起因する周期的な起伏が検出できる。中心面平均粗さR
aはこの周期的な起伏の粗さと、凸部平均間隔Pは使用
したエマルジョン樹脂の粒子径と、それぞれ相関があ
り、エマルジョン樹脂粒子の融着が進むに従って、比R
a/Pは小さくなり、0.3以下にあると耐食性とクロ
ム溶出性が両立する。また、上記Pと上記樹脂クロメー
ト皮膜の平均厚さHの比P/Hを0.01〜0.5の範
囲内とすることにより、これらの特性がさらに向上す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳述する。本発明者
らは6価クロムの溶出量が少なく、かつ自己防食機能を
有するクロメート処理金属板を提供するためには、エマ
ルジョン樹脂粒子を適度に融着させ、自己防食機能を有
する6価クロムを樹脂粒子間隙に封入することが有効で
あると考察した。そこで本発明者らは、樹脂の粒径ある
いはガラス転移温度、乾燥時の加熱パターン等を種々変
化させて得られる樹脂クロメート処理金属板の性能とこ
れらの皮膜表面の原子間力顕微鏡観察、皮膜断面の透過
電子顕微鏡観察等によって得られる処理皮膜の構造上の
特徴との関係を検討した結果、原子間力顕微鏡観察で得
られる皮膜表面の中心面平均粗さRaと凸部平均間隔P
の比Ra/Pを制御すると、樹脂クロメート皮膜中の6
価クロムが樹脂粒子ネットワークに取り囲まれた構造に
なり課題が解決できることを見いだした。
【0008】ところで、原子間力顕微鏡とは、皮膜表面
に存在する原子と検知針との間に働く原子間力(多くの
場合ファンデルワールス力)を一定に保つように相対的
に検知針を移動させ、皮膜表面の凹凸を測定するもので
ある。原子レベルの凹凸を調べることから、通常の接触
式表面粗度計より極めて微細な凹凸情報を得ることがで
きる。接触式表面粗度計では原子レベルと比較すれば平
均的な凹凸を調べていることになり、樹脂粒子の融着状
態に依存した表面粗度を論じることはできないが、原子
間力顕微鏡ではそれが可能になる。中心面平均粗さRa
は、25μm2 の面積の樹脂クロメート皮膜表面の表面
プロフィルを原子間力顕微鏡で測定し、次式によって求
めた。
【0009】
【化1】
【0010】式中のLx,Lyはそれぞれ表面のx,y
方向の寸法、f(x,y)は中心面(この平面と表面形
状がつくる体積はこの面の上下で等しくなる)に対する
ラフネス曲面を表す。Raは、使用した樹脂の粒子径依
存性があり、粒子径が大きいと大きい値をとるが、樹脂
粒子の融着が進むに従って小さくなる。また、凸部平均
間隔Pは、樹脂クロメート処理皮膜表面の原子間力顕微
鏡像上の任意の2点間の周期的な表面起伏の凸部と凸部
の平均間隔である。その例を図1に示した。図1のよう
に、原子間力顕微鏡像上の任意の2点間には樹脂粒子に
起因する周期的な表面起伏が認められ、その凸部と凸部
の間隔は約0.125μmである。凸部平均間隔Pは、
任意の2点ののべ直線距離20μm間の平均間隔として
求めた。樹脂粒子に起因する起伏の間隔であるこの凸部
平均間隔Pは、融着状態によってばらつきはあるもの
の、粒子径と正の相関がある。Ra/Pは、粒子径の影
響を相殺した値で、融着の進行度を把握する数字として
有効である。エマルジョン樹脂粒子の融着が進むに従っ
て、Ra/Pは小さくなる。
【0011】クロメート処理液が塗布された後、乾燥さ
れる過程において、エマルジョン樹脂粒子は皮膜内で近
接する樹脂粒子と融着を引き起こすが、Ra/Pが0.
3より大きいと皮膜中の樹脂粒子の融着が不完全または
ほとんど進行しておらず、エマルジョン樹脂のネットワ
ークが発達していないため、水との接触などによって容
易に皮膜中の6価クロムが溶出してしまう。Ra/Pの
値が0.3以下であると、樹脂粒子の融着が進行し、皮
膜中の6価クロムが樹脂粒子ネットワークに取り囲まれ
た構造となり、耐クロム溶出性と加工部、傷付部耐食性
が両立する。Ra/Pを0.1以下にすると、樹脂粒子
ネットワークがより強固になり、アルカリ、沸水などに
接触する厳しい環境下においても耐クロム溶出性を発揮
させることができる。
【0012】さらに、耐クロム溶出性と加工部、傷付部
耐食性を向上させるには、皮膜の厚みに適応した粒子径
をもったエマルジョン樹脂を適用し、かつ樹脂粒子の融
着状態を制御する必要がある。つまり、粒子径と相関の
あるPと皮膜の厚みHの比P/Hが0.5より大きいと
皮膜の厚みに対して粒子が大きくなりすぎ、皮膜の緻密
性が損なわれ、6価クロムが存在する粒子間隙が皮膜を
占める割合が大きくなるため、6価クロムの溶出を抑制
することはできない。また、P/Hが0.01より小さ
いと樹脂粒子とクロム化合物との接触面積が大きくなる
ため、6価クロムが樹脂によって還元されやすくなり自
己防食機能が不十分になってしまう。従って、耐クロム
溶出性と加工部、傷付部耐食性が高度に両立する樹脂ク
ロメート処理金属板では、上記Pと樹脂クロメート皮膜
の平均厚さHの比P/Hを0.01〜0.5の範囲内に
抑制することが好ましい。
【0013】以上の範囲に制御を行うと、自己防食機能
を有する6価クロムを樹脂粒子間隙に封入することが可
能となり、クロムの溶出を抑制できるだけでなく、加工
や傷付によって皮膜が損傷を受けた際、樹脂粒子に封入
された6価クロムが損傷部のみに溶出し、自己防食機能
を発揮することができる。なお、皮膜平均厚さHは、適
宜選択できるが、通常は0.1μm〜5μm程度でよ
い。皮膜平均厚さが0.1μm以下では充分な耐食性が
確保できず、5μm以上では原料コスト、乾燥コストが
過剰になるため経済的に好ましくない。
【0014】本発明で使用可能な樹脂は、水分散性エマ
ルジョン樹脂であれば特に限定しないが、汎用的には、
例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹
脂、スチレン・マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリ
オレフィン樹脂またはこれらの2種類以上の共重合体や
混合物などである。これらのうちで、特に、アクリル樹
脂などに代表されるビニル系樹脂エマルションが好適で
ある。ビニル系樹脂エマルションを構成する化合物とし
ては、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、例えば、
(メタ)アクリル樹脂およびそのエステルや、グリシジ
ル基変成(メタ)アクリル化合物、ウレタン変成(メ
タ)アクリル化合物、スチレン等の芳香族ビニル化合
物、エチレンやブタジエンなどのポリオレフィン等のう
ち1種または2種以上を共重合体させた化合物が使用可
能である。エマルションの分散方法も特に限定しない
が、樹脂粒子の融着阻害因子となりうる乳化剤を使用し
ないソープフリーエマルジョンがより好ましい。樹脂の
ガラス転移温度も特に限定するものでないが、例えば金
属板の乾燥温度が到達板温で50〜60℃の場合には、
樹脂のガラス転移温度の範囲は−40〜20℃程度が良
い。ガラス転移温度が低すぎると樹脂クロメート皮膜の
耐傷付き性が損なわれ、高すぎると皮膜性や加工後の耐
食性が損なわれる。
【0015】クロム化合物としては、無水クロム酸およ
びこれをでんぷん等で部分還元した還元クロム酸、ある
いは重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウム、重
クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クロム酸アン
モニウム、クロム酸ナトリウム等の重クロム酸塩やクロ
ム酸塩などを用いることが可能である。クロム化合物の
樹脂クロメート皮膜中含有量は、5%〜80%が好まし
い。5%より低いと耐食性が不十分であり、80%を越
えると樹脂のクロム溶出抑制効果が十分発揮されない。
上記以外に、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機系ゾ
ル、リン酸、ポリリン酸、ほう酸などの無機酸、フッ化
物などを必要に応じて樹脂クロメート処理皮膜中に含有
させることができる。
【0016】本発明の樹脂クロメート処理金属板は、前
述の水分散性エマルジョン樹脂、クロム化合物、リン酸
等の無機化合物を混合して樹脂クロメート処理浴とし
て、これを金属板の表面に塗布、乾燥する事により製造
できる。なお、塗布方法としては、特に限定するもので
はないが、ロールコーター、リンガーロール、スプレ
ー、バーコーター、浸漬およびエアナイフ絞りによる塗
布などが使用できる。また、乾燥温度は、使用する樹脂
の最低成膜温度より高い温度に皮膜が加熱されれば特に
限定するものではないが、最低成膜温度より10℃以上
高い温度に皮膜が加熱されることが好ましい。
【0017】なお、本発明が適用可能な金属板として
は、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛
−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アル
ミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−
マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板な
どの亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼
板、アルミニウムまたはアルミニウム合金めっき鋼板、
鉛または鉛合金めっき鋼板、錫または錫合金めっき鋼
板、さらにはこれらのめっき層に少量の異種金属元素あ
るいは不純物としてコバルト、モリブデン、タングステ
ン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガ
ン、鉄、マグネシウム、鉛、アンチモン、錫、銅、カド
ミウム、ヒ素等を含有させたもの、または/およびシリ
カ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが
含まれる。さらには、以上のめっきのうち2種類以上を
順次施した多層めっき、あるいは以上のめっきと他の種
類のめっき、例えば鉄めっき、鉄−りんめっきなどとを
組み合わせた複層めっきにも適用可能である。さらに、
亜鉛板、亜鉛合金板、アルミニウム板、アルミニウム合
金板、鋼板なども使用可能である。
【0018】
【実施例】
(実施例1)次に本発明を実施例によって説明する。 1.金属板の種類 樹脂クロメート処理を行う金属板として以下を用いた。 GI:溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量90g/m
2 ) EG:電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量20g/m
2 ) Zn−Al:溶融亜鉛−アルミニウムめっき鋼板(めっ
き付着量120g/m2 、Al/Zn=5/95)
【0019】2.樹脂クロメート処理浴 (1)クロム酸の種類 無水クロム酸をでんぷんにより部分還元したものを用い
た。 (2)水分散性エマルジョン樹脂の種類 粒子径0.040μm、0.170μm、0.300μ
m、0.450μm、0.700μmのガラス転移温度
が10℃のアクリル系ソープフリーエマルジョン樹脂を
用いた。 (3)その他の添加物 リン酸(P)を添加し、一部についてはコロイダルシリ
カ(S)も添加した。
【0020】3.処理方法 ロールコーターを使用して塗布処理し、皮膜の到達温
度、乾燥時間を種々変えて、Ra/Pが異なる樹脂クロ
メート処理金属板を得た。これらのサンプルに対して以
下の分析および性能評価を行った。
【0021】4.評価方法 (1)皮膜平均厚さ測定 樹脂クロメート処理金属板の断面をSEMおよびTEM
を用いて観察し皮膜平均厚さを測定した。 (2)P、Ra測定 タッピングモードの原子間力顕微鏡(TM−AFM)を
用いて、樹脂クロメート処理表面の5μm角の範囲をス
キャンし、この範囲におけるRaとのべ長さ20μmの
任意の直線間で得られるPをそれぞれ測定した。
【0022】(3)耐クロム溶出性 アルカリ脱脂試験前後での皮膜中のクロム量を蛍光X線
を用いて測定し、金属クロム換算でクロム残存率を次式
により算出した。 クロム残存率(%)=(アルカリ脱脂試験後の皮膜中ク
ロム量)/(アルカリ脱脂試験前の皮膜中クロム量)×
100 アルカリ脱脂試験は、アルカリ脱脂液を常温で3分間供
試材にスプレーし、その後水洗を1分間行う工程を5回
繰り返した。
【0023】(4)加工部耐食性 供試材を高さ7mmまでエリクセン加工した後、塩水噴
霧試験を72時間行い、加工部における錆発生の程度を
評価した。 ◎:錆発生なし 〇:白錆5%未満 △:白錆5%以上15%未満 ×:白錆15%超
【0024】(5)傷付部耐食性 供試材に下地まで達するクロスカットを入れた後、塩水
噴霧試験を72時間行い、傷付部における錆発生の程度
を評価した。 ◎:錆発生なし 〇:白錆5%未満 △:白錆5%以上15%未満 ×:白錆15%超
【0025】結果を表1に示す。比較例がクロム残存率
80%未満、加工部または/および傷付部の白錆発生率
が15%以上であるのに対して、本発明の実施例はクロ
ム残存率80%程度以上でかつ加工部および傷付部の白
錆発生率が15%未満であり、クロム溶出性が少なく、
かつ加工部、傷付部耐食性が優れていることが判る。
【0026】
【表1】
【0027】(実施例2) 1.金属板の種類 EG:電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量20g/m
2 )を用いた。 2.樹脂クロメート処理浴 (1)クロム酸の種類 無水クロム酸をでんぷんにより部分還元したものを用い
た。 (2)水分散性エマルジョン樹脂の種類 以下の4種類のアクリル系ソープフリーエマルジョンを
用いた。粒子径は0.17〜0.22μmであった。 A:イソプロピルアクリレート、メチルメタアクリレー
トを共重合させたもの B:sec−ブチルアクリレート、メチルメタアクリレ
ートを共重合させたもの C:sec−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、メチルメタアクリレートを共重合させた
もの D:tert−ブチルアクリレート、sec−ブチルア
クリレート、メチルメタアクリレートを共重合させたも
の (3)その他の添加物 リン酸とコロイダルシリカも添加した。
【0028】3.処理方法 ロールコーターを使用して金属板に樹脂クロメート処理
液を塗布した後、金属板の最大到達板温、炉内の温度と
風速、乾燥時間を表2のように変化させて、乾燥した。
なお、クロム付着量は60mg/m2 とした。 4.評価方法 (1)皮膜平均厚さ測定 実施例1と同様に測定し
た。 (2)P、Ra測定 実施例1と同様に測定し
た。 (3)耐クロム溶出性 実施例1と同様にクロム残
存率を測定した。 (4)加工部耐食性 高さ7mmのエリクセン加工を施したサンプルを、塩水
噴霧試験に供し、100時間後の加工部における白錆発
生面積率を測定した。 ◎:白錆5%未満 〇:白錆5%以上、10%未満 △:白錆10%以上、30%未満 ×:白錆30%以上
【0029】(5)平板耐食性 平板サンプルを塩水噴霧試験に供し、240時間後の白
錆発生面積率を評価した。 ◎:白錆1%未満 〇:白錆1%以上、5%未満 △:白錆5%以上、10%未満 ×:白錆10%以上 結果を表2に示す。表2から分かるように、同一の樹
脂、処理浴からのクロメート皮膜であっても、乾燥条件
によって皮膜構造が異なり、性能も異なる。従って、本
発明品を得るには、単に既存の樹脂やクロメート浴を適
用するだけでなく、それぞれに適した製造条件を選択す
る必要がある。
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明により、クロメート処理の本来の
機能である加工部、傷付部での耐食性を保持したまま、
脱脂などの際の6価クロムの溶出量を低減することがで
きるので、人体の安全性が確保され、地球環境を保護す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂クロメート処理皮膜表面の原子間力顕微鏡
で測定した表面凹凸変化状況を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 世古口 麻紀 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社技術開発本部内 (72)発明者 吉田 健吾 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分散性エマルジョン樹脂とクロム化合
    物とを主成分とする樹脂クロメート皮膜を形成させた金
    属板において、樹脂クロメート皮膜最表面を原子間力顕
    微鏡で測定して得られる凸部平均間隔Pと中心面平均粗
    さRaの比Ra/Pが0.3以下であることを特徴とす
    る難クロム溶出性樹脂クロメート処理金属板。
  2. 【請求項2】 凸部平均間隔Pと樹脂クロメート皮膜の
    平均厚さHの比P/Hが0.01〜0.5の範囲内であ
    ることを特徴とする請求項1記載の難クロム溶出性樹脂
    クロメート処理金属板。
JP13823596A 1995-07-11 1996-05-31 難クロム溶出性樹脂クロメート処理金属板 Withdrawn JPH0978255A (ja)

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