JPH0978033A - 磁気塗料組成物及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁気塗料組成物及び磁気記録媒体

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JPH0978033A
JPH0978033A JP7236936A JP23693695A JPH0978033A JP H0978033 A JPH0978033 A JP H0978033A JP 7236936 A JP7236936 A JP 7236936A JP 23693695 A JP23693695 A JP 23693695A JP H0978033 A JPH0978033 A JP H0978033A
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JP
Japan
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magnetic
coating composition
magnetic recording
magnetic coating
recording layer
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JP7236936A
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English (en)
Inventor
Toshifumi Imai
敏文 今井
Kanshin Ri
漢森 李
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は生分解性樹脂を粉体状として含有さ
せ、通常の条件下で生分解性を有する磁気記録層を形成
可能とし、かつ汎用の揮発性非ハロゲン系有機溶剤を用
いて調整可能な磁気塗料組成物及び磁気記録媒体を提供
する。 【解決手段】磁気記録媒1の磁気記録層の形成に一般的
に使用される、磁性材料、バインダー、溶剤を主成分と
する磁気塗料組成物に、生分解可能な物質の添加によ
り、生分解性樹脂が環境中に存在する微生物が産出する
酵素の作用で、生分解されるため、磁気塗料組成物に生
分解性樹脂と非分解性のバインダー樹脂(例えば、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体)との混合体を用いても、
生分解性樹脂部分で生分解を受けるため、磁気記録層の
部分的な生分解から劣化を生じ、磁気記録層全体を微小
片に崩壊状態とするものである。さらに廃棄後放置され
ても十分に自然分解可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体の磁
気記録層を形成するための磁気塗料組成物に関し、とく
に生分解性を有する磁気記録層を形成するための磁気塗
料組成物および生分解性を有する磁気記録層を有する磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、キャッシュカード、クレジットカ
ード、IDカード(身分証明書)、各種会員カード、定
期券、磁気回数券、入場券、通行券、プリペイドカード
などの用途に磁気情報を記録してなる磁気記録媒体が用
いられており、これらには各種用途に応じた情報が磁気
情報として基材上に形成された磁気記録層に磁気記録さ
れている。これらの磁気情報は読み取り・書き込み装置
を用いて読み取り・書き込みが行われるため、各種サー
ビス、金銭処理、ゲート管理などを機械化することが可
能となり、広く普及している。このような磁気記録媒体
1は、一般的に図1に示すように、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエ
チレン樹脂などのプラスチック、さらには紙、合成紙な
どを基材2とし、この基材2上の一部又は全面に磁気記
録が可能な磁気記録層3を積層した構造を有している。
このような磁気記録層3は、磁性材料とバインダーと溶
剤からなる磁気塗料組成物を基材2上にリバースロール
法などにより直接的にコーティングし、乾燥することに
より形成されている。さらにこの磁気記録層3には必要
に応じて、外的な破壊から磁気記録層3を保護するため
に、磁気情報の読み取り・書き込みに影響を与えない程
度に保護層が設けられる場合もある。
【0003】これらのカードは利用者に販売若しくは貸
与された後は、利用者がそのカードを使い終われば廃棄
されるものである。そして上述の素材のプラスチックカ
ードは、その使用後の処理を、現在のところ焼却または
廃棄物として埋め立て等によって処分されているが、プ
ラスチック廃棄物は、後者の材質によれば焼却による燃
焼温度の高熱化による焼却炉の耐久性の問題、燃焼ガス
などの公害問題を有しており、焼却の影響の少ない前者
の材質との分別も完全に行なうことは不可能である。ま
た廃棄物として埋め立てでは、埋め立て地において分解
又は生分解することなく原形のまま存在するため、半永
久的にゴミとして残り、自然環境への影響が問題となっ
ている。いずれにしても使用後の廃棄の問題が存在して
いる。
【0004】そこで特開昭57−150393号公報、
特開昭59−220192号公報、特開昭51−939
91号公報、特開昭63−260912号公報、特開昭
57−150393号公報に記載されるように、光また
は地中など自然環境下で分解又は生分解が可能なプラス
チックが開発され、とくに使い捨て型の商品パッケージ
に用いられ、現在では一部が商品化されている。カード
の分野では特開平5−42786号や本出願人による特
開平5−85088号において、カード基材に生分解性
或いは光分解性のプラスチックを用いることが述べられ
ている。
【0005】さらに本出願人による特開平7−9788
号公報に記載されるように生分解性樹脂層を紙基材の片
面または両面に設け、従来のプラスチックカードとして
の特性を有するとともに、優れた廃棄性を有するカード
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気記録媒
体の磁気記録層に対しては、耐久性、耐磨耗性、耐熱
性、耐薬品性、耐水性、耐溶剤性などの特性を有するこ
とが求められており、このため、とくに磁気記録層を形
成する磁気塗料組成物のバインダーには、例えばニトロ
セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びポリ
エステル樹脂群から選ばれる少なくとも一つのポリマー
に、ポリウレタンエラストマーを1/1〜1/2(重量
比)の割合で混合したものが使用されている。ここでの
ポリウレタンエラストマーは、磁気記録層の形成時にカ
ールを生じないようにするためである。
【0007】しかしながら、従来の磁気塗料組成物を構
成するバインダーは、上記のように十分な分解性又は生
分解性を有しているとは言えず、したがって、それから
作製される磁気記録層も十分な分解性を有していない欠
点があった。そのため、磁気記録媒体の基材に分解性又
は生分解性を有する材料を使用したとしても、非分解性
の磁気記録層で覆われる基材面、基材部分が、外的に磁
気記録層により保護される状態となるため、磁気記録媒
体、すなわち基材の分解速度の遅延を生じ、また磁気記
録層がそのままの形状で残留する問題があった。
【0008】そのため、磁気塗料組成物のバインダー
に、特開昭57−150393号公報、或いは特開昭5
9−220192号公報に記載される各種基材に用いら
れる生分解性プラスチックを使用することが考えられ
る。しかし、このプラスチック材料は、人体に対する安
全性や地球環境に問題のあるジクロロベンゼンやパーク
ロルエチレンなどの塩素系溶剤に対して溶解するもの
の、塗料用溶剤に用いられるトルエン、メチルエチルケ
トンなどの汎用の揮発性非ハロゲン系有機溶剤に対して
は難溶性であるという欠点があるため、上記のプラスチ
ック材料を磁気塗料組成物のバインダーとして用いるこ
とは考えられないことであった。そこで、本発明は生分
解性樹脂を粉体(粒子、微粒子)状として含有させ、通
常の条件下で生分解性を有する磁気記録層を形成可能と
し、かつ汎用の揮発性非ハロゲン系有機溶剤を用いて調
整可能な磁気塗料組成物及びそれを用いた磁気記録媒体
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべくな
された本発明は、請求項1に記載の発明は、少なくとも
磁性材料、生分解性樹脂粉体、バインダー、助剤、揮発
性溶剤からなる磁気塗料組成物であることを特徴とする
磁気塗料組成物。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
磁気塗料組成物において、生分解性樹脂粉体がヒドロキ
シアルカノエートユニットを有する脂肪族ポリエステル
樹脂であり、少なくとも固形分比20重量%含有してな
ることを特徴とする。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1記載の
磁気塗料組成物において、生分解性樹脂粉体が、数平均
分子量10000〜100000であり、かつ下記一般
式(1)で示される熱可塑性樹脂であり、少なくとも固
形分比20重量%含有してなることを特徴とする。
【0012】
【化4】
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1記載の
磁気塗料組成物において、生分解性樹脂粉体が、数平均
分子量25000〜70000であり、かつ下記一般式
(2)で示される熱可塑性樹脂であり、少なくとも固形
分比20重量%含有してなることを特徴とする。
【0014】
【化5】
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項1記載の
磁気塗料組成物において、生分解性樹脂粉体が、下記一
般式(3)で示されるポリ乳酸、またはポリ乳酸と他の
オキシカルボン酸との共重合体を主成分とする熱可塑性
樹脂であり、少なくとも固形分比20重量%含有してな
ることを特徴とする。
【0016】
【化6】
【0017】請求項6に記載の発明は、請求項1記載の
磁気塗料組成物において、バインダーがニトロセルロー
ス、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹
脂から少なくとも1つ選択されるポリマーであることを
特徴とする。
【0018】請求項7に記載の発明は、請求項1記載の
磁気塗料組成物において、溶剤が揮発性非ハロゲン系有
機溶剤であることを特徴とする。
【0019】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7
の何れかの項の記載される磁性塗料組成物からなる磁気
記録層を生分解性を有する基材上に形成してなることを
特徴とする磁気記録媒体である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の磁気塗料組成物により形成した磁気記録
層を有する生分解性の磁気記録媒体の一例を示す断面図
である。まず、本発明の磁気塗料組成物は、磁気記録媒
体の磁気記録層の形成に一般的に使用される、磁性材
料、バインダー、溶剤を主成分とする磁気塗料組成物に
生分解可能である生分解性樹脂粉体を含有させることに
より、成分中の生分解性樹脂が土壌又は活性汚泥、或い
はコンポスト中の黴、細菌、酵母などの上記の環境中に
存在する微生物が産出する酵素の作用で、ポリマーがオ
リゴマー、モノマー、或いはさらに低分子の物質まで分
解されるものである。このため、磁気塗料組成物に生分
解性樹脂と非分解性のバインダー樹脂(例えば、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体)との混合体を用いても、生
分解性樹脂部分で生分解を受けるため、磁気記録層の部
分的な生分解から劣化を生じ、磁気記録層全体を微小片
に崩壊状態とするものである。
【0021】この生分解性樹脂粉体は、好ましくは平均
粒径5μm以下であり、また形状はとくに限定されない
が、好ましくは球状である。この生分解性樹脂粉体を構
成する生分解性樹脂は、ヒドロキシアルカノエートユニ
ットを有する脂肪族ポリエステル樹脂であり、例えばポ
リ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキ
シブチレート)3−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロ
キシヘプタン酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−3
−ヒドロキシヴァリレート)共重合体、ポリ(3−ヒド
ロキシブチレート−4−ヒドロキシヴァリレート)共重
合体、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキ
シプロピオネート)共重合体、ポリ(3−ヒドロキシブ
チレート)とポリ(4−ヒドロキシブチレート−3−ヒ
ドロキシヴァリレート)の共重合体などが挙げられる。
【0022】また一般式(1)で表される熱可塑性樹脂
は、例えばポリエチレンサクシネートなどが挙げられ、
また一般式(2)で表される熱可塑性樹脂は、例えばポ
リブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートと
アジピン酸の共重合体、ポリブチレンサクシネートとコ
ハク酸の共重合体などが挙げられる。
【0023】さらに一般式(3)で表される熱可塑性樹
脂は、例えばポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリグリコー
ル酸、グリコリドとラクトンの共重合体、乳酸とγ−ブ
チロラクトンの共重合体等が挙げられ、それらは乳酸と
オキシカルボン酸、例えばグリコール酸、6−ヒドロキ
シカプロン酸、酒石酸、リンゴ酸等とのコポリマーを経
て、それらのモノマーを公知の方法を用いて共重合させ
ることにより得ることができる。
【0024】上記の生分解性樹脂を粉体にする方法とし
ては、従来公知である高速ハンマーミル粉砕、ジェット
ミル粉砕、ミクロンミル粉砕などの粉砕法、スプレード
ライ法、マイクロカプセル法などの造粒法等がある。こ
れらの方法により得られた粉体は粉砕後、または造粒後
に分級器にかけて平均粒径を5μm以下に整える。この
場合、平均粒径を5μmより大きくなると磁気記録層を
形成後の磁気特性に、例えば磁気ヘッドによる書き込み
・読み取りが不正確となりエラーの原因となるなど影響
を与えるものである。
【0025】なお、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−
3−ヒドロキシヴァリレート)共重合体、ポリ(3−ヒ
ドロキシブチレート−4−ヒドロキシヴァリレート)共
重合体などの共重合体は、ヒドロキシヴァリレートの共
重合分率が高くなると、弾性を有するため、粉体にしに
くくなるので、、共重合比率は、好ましくは10%以
下、より好ましくは5%以下のものを使用する。
【0026】また生分解性樹脂と非分解性バインダー樹
脂とを混合して用いる際に、生分解性樹脂が少ない場合
には、酵素の作用を受け生分解する樹脂が少ないことか
ら、分解速度が低下し、また生分解性樹脂が多い場合に
は、バインダー樹脂が相対的に少なくなるため、塗膜と
しての磁気記録層は強度が不足し、脆くなるため、実用
に耐えないという問題点を有するため、上記生分解性樹
脂の含有量(固形分比)を、好ましくは20重量%以
上、より好ましくは35〜45重量%である。なお、生
分解性樹脂樹脂粉体には生分解性樹脂樹脂以外に、その
生分解性に影響を与えない範囲で、種々の添加剤を加え
ることも可能である。
【0027】上記の非分解性バインダー樹脂の例として
は、従来磁気塗料組成物に用いられている樹脂を用いる
ことができ、ニトロセルロース、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エ
ポキシ樹脂等があり、少なくとも1つ選択されるポリマ
ーである。その含有量は、後述する磁性材料や溶剤の種
類、添加量などにより、適宜決定することができるが、
通常は5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%で
ある。
【0028】また本発明の磁気塗料組成物に用いられる
磁性材料は、例えばγ−Fe2 3、Fe3 4 、Co
ドープFe2 3 、Co被着Fe2 3 、CrO2 等の
針状結晶構造を有するものがあり、磁性材料に必要とさ
れる保磁力、平均粒子径、軸比(長軸/短軸)、比表面
積の各特性を満たすものが用いられる。とくに比表面積
は磁気塗料の粘度、分散性等を大きく左右するものであ
り、この値が大きいと記録密度特性に関して向上する
が、塗料とすると高粘度、分散困難となり、塗工適性が
悪化し均一な塗布ができなくなることがあるため、数値
的には比表面積が50m2 /g(BET値)以下の磁性
材料を用いることが好ましい。
【0029】また本発明の磁気塗料組成物に用いられる
溶剤は、従来の磁気塗料組成物において使用されている
溶剤を用いることができる。例えばモノクロルベンゼ
ン、o−ジクロルベンゼン等の芳香属塩素化合物、トリ
クロルエチレン、二塩化エチレン、塩化アセチレン、パ
ークロルエチレン等の低級脂肪属塩素化合物等を用いる
ことできるが、これらの溶剤は作業者の安全性の問題や
大気中への排気による環境汚染の問題からその使用は好
ましくない。そこで汎用の揮発性非ハロゲン系有機溶剤
を使用することが好ましく、例えばアセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、
シクロヘキサノン、トルエンなどの炭化水素系溶剤など
が挙げられる。
【0030】さらに磁気塗料組成物には、磁気記録層の
化学的特性の向上を図るために上記の他に添加剤を加え
ることができる。例えば硬化剤(架橋剤)の添加によ
り、形成される磁気記録層の物理的特性(耐折り曲げ
性、耐摩耗性などの耐久性)や化学的特性(耐酸性、耐
アルカリ性、耐溶剤性などの耐薬品性)の向上を図るこ
とができ、バインダー樹脂の種類に応じて適宜選択する
ことができるが、イソシアネート、エチレンイミン、メ
ラミン、エポキシ樹脂等が挙げられる。また分散剤とし
て、例えばレシチン、高級脂肪酸、リン酸エステル、ス
ルホン酸エステル、高級アルコール、その他界面活性剤
等が使用できる。なお、必要以上の添加は塗膜の基材と
の接着性、層間剥離、摩擦強度の低下等を生じるため、
添加量に注意する必要がある。またバインダーとして用
いられる樹脂の分子鎖中に親水性のカルボキシル基やス
ルホン酸金属塩などを有するものがあり、このような場
合にはとくに分散剤を添加することなく、磁気塗料組成
物に良好な分散性を得ることができる。
【0031】また他にはシリコーンオイル、高級脂肪
酸、二硫化モリブデン等の潤滑剤、カーボンブラック、
グラファイト等の帯電防止剤などを添加することもでき
る。
【0032】上記の構成成分からなる本発明の磁気塗料
組成物は、公知の手法により製造することができる。例
えば磁性材料、バインダー、溶剤、さらには他の成分を
ボールミル法、ロッドミル法、サンドミル法、バイブレ
ーション法などの適当な分散方法により均一に分散させ
ることにより製造することができる。
【0033】次に本発明の磁気塗料組成物を用いて磁気
記録媒体の磁気記録層を形成するには、従来の磁気塗料
組成物を用いた形成方法と同様である。すなわち、図1
に示すように本発明の磁気塗料組成物を基材2上に直接
塗布し、乾燥により生分解性を有する磁気記録層3が形
成された磁気記録媒体1を作製することができる。この
磁気塗料組成物の塗布方法としては、公知の手法である
バーコート、ブレードコート、エアーナイフコート、グ
ラビアコート、ロールコーティング等を用いることがで
きる。
【0034】また磁気記録媒体全体を生分解性とするに
は基材2も、生分解性の材料を用いることが必要であ
り、例えば微生物産生ポリエステル、バイオセルロー
ス、ポリアミノ酸等の微生物産生の高分子樹脂やキチ
ン、キトサン等の天然高分子樹脂、或いはポリグリコー
ル酸、ポリ乳酸、及びそれらの共重合体等の脂肪族ポリ
エステル、脂肪族ポリエステル共重合体などの合成高分
子樹脂、ポリビニルアルコール・でんぷん複合体等、パ
ルプからなる紙などなどが挙げられる。この生分解性を
有する基材2は、単層構成以外にも、同様な特性(剛
度、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定
性、耐折り曲げ性などの機械特性、耐水性、耐薬品性な
どの安定性等)を有する生分解性材料や異なる上記特性
を有する生分解性材料を混合または基材として積層し、
基材2の特性を向上させることができる。なお、磁気情
報の読み取り・書き込みに影響の無い範囲で磁気記録層
上を生分解性を有する被覆層を設けてもよい。この被覆
層は透明であっても着色されていてもよい。
【0035】上記の基材2は、磁気記録層3の他に従来
の紙・プラスチックカードの場合と同様に印刷・加工を
行なうことができ、基材上にオフセット印刷、スクリー
ン印刷、グラビア印刷等の印刷法により、例えば文字、
絵柄などの情報・デザインを印刷し、打抜機を用いてカ
ードサイズに加工することで生分解性カードを製造する
ことができる。好ましくは基材2上に形成される情報・
デザインも生分解性を有することが望ましい。さらに磁
気記録媒体1には機械的にデータの記録・再生が可能な
情報記録層を形成することができ、好ましくは生分解性
を有することが望ましい。
【0036】本発明の磁気塗料組成物は、生分解性樹脂
を粉体(或いは粒子、微粒子)状として含有させること
により、非分解性バインダー樹脂が混合されていても、
この生分解性樹脂が生分解を受けるため、磁気記録層が
劣化状態となり、生分解可能となるものである。さらに
磁気記録層の部分的な生分解から劣化を生じ、全体を微
小片に崩壊状態となるものである。粉体(粒子、微粒
子)状とすることにより、生分解性を示す部分が大きな
体積を占める形となり、生分解速度を速め、それととも
に生分解後に生じる空隙が大きくなることから磁気記録
層の崩壊が容易となる。これにより分解性又は生分解性
を有する材料からなる基材に本発明の磁気塗料組成物か
らなる磁気記録層を設けることにより、磁気記録媒体の
構成全体を分解可能とすることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、詳細
に説明する。 <実施例1>表1に記載される配合成分を、ボールミル
中で12時間混合分散を行い、さらにこの分散物をボー
ルミル中で混合分散しながら、固形分が25%となるよ
うに調整されたポリウレタン樹脂(「ニッポラン311
3」商品名;日本ポリウレタン社製)のトルエン溶液8
0部を5回に分けて添加し、6時間混合分散を行った。
得られた分散物をサーフェイスフィルターとデプスフィ
ルター(濾過精度99.9%)で順次濾過し、均一な分
散物(5μmグレード)からなる磁性塗料組成物を得
た。この磁性塗料組成物に、ポリイソシアネート硬化剤
(「コロネートEH」(商品名;日本ポリウレタン社
製)2部を添加し均一に混合し、得られた磁性塗料組成
物を約200μm厚の生分解性樹脂(「バイオポールD
600」(商品名);ゼネカ社製)からなるシート状の
基材にリバースロール法により8μm(乾燥膜厚)とな
るように塗布(シート全面に形成)し、約3000ガウ
スの磁場中で磁場配向させた後、乾燥、エージング(5
0℃、3日)し、磁気記録層を有する磁気記録媒体を作
製した。
【0038】
【表1】
【0039】 ○磁気塗料組成物 磁性粉 磁性酸化鉄Co−γFe2 3 (CTX−970:戸田工業社製) 80重量部 ポリ(3HB−3HV)「バイオポールD400」商品名;ゼネカ社製) 30重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (VAGF:ユニオンカーバイト社製) 7重量部 分散剤(大豆レシチン) 1重量部 カーボンブラック(#40:三菱化成社製) 3重量部 溶剤(メチルエチルケトン/トルエン 1:1) 100重量部
【0040】この磁気記録媒体を縦57.5mm×横8
5.0mmのサイバネ規格のカードサイズとし、この磁
気記録媒体の静磁気特性・電磁変換特性は、磁気データ
の書き込み・読み取りなど実用上問題のないものであ
り、また市販されている磁気カードリーダ/ライタ−装
置を用いて磁気情報の書き込み・読み取りを行ったとこ
ろ問題は生じなかった。さらに、この磁気記録媒体の生
分解性を土中埋設法により評価した。磁気記録媒体を畑
土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、約3ヶ月
経過後には、磁気記録層が断続的に分解し形状が保持で
きない状態であり、十分な生分解性を示した。なお、基
材は残存していたが、12か月経過後には基材も十分に
分解されており、形状が確認できない状態となってお
り、磁気記録媒体全体が分解されていた。
【0041】<実施例2>表1に示したポリ(3HB−
3HV)に代えて、ポリブチレンサクシネート(「ビオ
ノーレ#1000」商品名;昭和高分子社製)を使用す
る以外は、実施例1と同様に磁性塗料組成物を調整し、
シート状の基材に塗布形成してなる磁気記録層を有する
磁気記録媒体を作製した。
【0042】<実施例3>表1に示したポリ(3HB−
3HV)に代えて、ポリ乳酸(「ラクティ」商品名;島
津製作所社製)を使用する以外は、実施例1と同様に磁
性塗料組成物を調整し、シート状の基材に塗布形成して
なる磁気記録層を有する磁気記録媒体を作製した。
【0043】実施例2、3の磁気記録媒体は磁気記録層
の耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐屈曲性や静磁気特性、
電磁変換特性などは実施例1と同様であった。また、こ
の磁気記録媒体の生分解性を土中埋設法により評価し
た。磁気記録媒体を畑土壌中に埋設し、分解状態を観察
したところ、約3ヶ月経過後には、磁気記録層が断続的
に分解し形状が保持できない状態であり、十分な生分解
性を示した。なお、基材は残存していたが、12か月経
過後には基材も十分に分解されており、形状が確認でき
ない状態となっており、磁気記録媒体全体が分解されて
いた。
【0044】<比較例>上記実施例の磁気塗料組成物の
生分解性樹脂の代わりに汎用ポリウレタン(「ニッポラ
ン3113」商品名;固形分20%;日本ポリウレタン
社製)90部を使用する以外は、実施例と同様に磁性塗
料組成物を調整し、実施例と同様の基材に、シート状の
基材に塗布形成してなる磁気記録層を有する磁気記録媒
体を作製した。
【0045】この磁気記録媒体は磁気記録層の耐熱性、
耐候性、耐薬品性、耐屈曲性や静磁気特性、電磁変換特
性などは実施例と同様であった。また、この磁気記録媒
体の生分解性を土中埋設法により評価した。磁気記録媒
体を畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、約
3ヶ月経過後では、磁気記録層はそのままの形状で残存
していた。さらに12か月経過後には基材は形状が保持
されておらず、ほぼに分解されていたが、磁気記録層は
表面に僅かな黴の繁殖が認められる程度で分解されるこ
となく、原型を残していた。
【0046】このように本発明の磁気塗料組成物に生分
解性樹脂粉体を混入してなる系では磁気記録が基材とと
もに分解されているのに対し、生分解性樹脂を含まない
系では基材は分解されるが、磁気記録層がそのままの形
状で残留しており、さらに基材の磁気記録層が積層され
ている面は生分解が行なわれないため、基材の生分解の
速度の遅延を生じるものでもある。また磁気塗料組成物
の調製時に有害な溶剤を用いることなく、汎用の溶剤
(揮発性非ハロゲン系有機溶剤)を用いることが可能で
あり、磁気記録層の形成の際の安全性を確保することが
でき、作業性を向上させることができる。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明の磁気塗料組成物
は、生分解可能な磁気記録層を形成することができ、生
分解性を有する基材上に磁気記録層を形成してなる磁気
記録媒体の構成全体が自然環境下において生分解性を示
し、また磁気記録層の耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐屈
曲性や静磁気特性、電磁変換特性などに優れ、プリペイ
ドカードや磁気定期券などに用いられる磁気記録媒体と
しての利用性を有するものである。さらに従来の磁気記
録層用の磁気塗料組成物の作製行程とほとんど変わらな
いため、作業工程などの変更が不要である。
【0048】また磁気塗料組成物の調製時に有害な溶剤
を用いることなく、汎用の溶剤(揮発性非ハロゲン系有
機溶剤)を用いることが可能であり、磁気記録層の形成
の際の安全性を確保することができ、作業性を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気塗料組成物により形成した磁気記
録層を有する生分解性の磁気記録媒体の一例を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 基材 3 磁気記録層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G06K 19/06 G06K 19/06 // G11B 5/702 G11B 5/702

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも磁性材料、生分解性樹脂粉体、
    バインダー、助剤、揮発性溶剤からなる磁気塗料組成物
    であることを特徴とする磁気塗料組成物。
  2. 【請求項2】前記生分解性樹脂粉体がヒドロキシアルカ
    ノエートユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂であ
    り、少なくとも固形分比20重量%含有してなることを
    特徴とする請求項1に記載の磁気塗料組成物。
  3. 【請求項3】前記生分解性樹脂粉体が、数平均分子量1
    0000〜100000であり、かつ下記一般式(1)
    で示される熱可塑性樹脂であり、少なくとも固形分比2
    0重量%含有してなることを特徴とする請求項1に記載
    の磁気塗料組成物。 【化1】
  4. 【請求項4】前記生分解性樹脂粉体が、数平均分子量2
    5000〜70000であり、かつ下記一般式(2)で
    示される熱可塑性樹脂であり、少なくとも固形分比20
    重量%含有してなることを特徴とする請求項1に記載の
    磁気塗料組成物。 【化2】
  5. 【請求項5】前記生分解性樹脂粉体が、下記一般式
    (3)で示されるポリ乳酸、またはポリ乳酸と他のオキ
    シカルボン酸との共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂
    であり、少なくとも固形分比20重量%含有してなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の磁気塗料組成物。 【化3】
  6. 【請求項6】前記バインダーがニトロセルロース、塩化
    ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂から少
    なくとも1つ選択されるポリマーであることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁気塗料組成物。
  7. 【請求項7】前記溶剤が揮発性非ハロゲン系有機溶剤で
    あることを特徴とする請求項1に記載の磁気塗料組成
    物。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7の何れかの項の記載される
    磁性塗料組成物からなる磁気記録層を生分解性を有する
    基材上に形成してなることを特徴とする磁気記録媒体。
JP7236936A 1995-09-14 1995-09-14 磁気塗料組成物及び磁気記録媒体 Pending JPH0978033A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1025439A (ja) * 1996-07-12 1998-01-27 Toppan Printing Co Ltd 生分解性磁性インキ組成物
JP2004507572A (ja) * 2000-07-14 2004-03-11 メタボリックス,インコーポレイテッド ヒドロキシアルカノエート及びイソシアネ―トから得られるポリウレタン
JP2005344046A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Asahi Kasei Chemicals Corp 潜在性硬化剤および組成物

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