JPH0977871A - 結晶性ポリイミド - Google Patents

結晶性ポリイミド

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JPH0977871A
JPH0977871A JP7257195A JP25719595A JPH0977871A JP H0977871 A JPH0977871 A JP H0977871A JP 7257195 A JP7257195 A JP 7257195A JP 25719595 A JP25719595 A JP 25719595A JP H0977871 A JPH0977871 A JP H0977871A
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JP
Japan
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polyimide
group
polyamic acid
chemical
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JP7257195A
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English (en)
Inventor
Kohei Goto
幸平 後藤
Minoru Matsubara
稔 松原
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性が高く、物理的耐熱性および化学的耐
熱性(耐熱分解性)に優れ、しかも優れた溶融成形性を
有するポリイミドを提供する。 【解決手段】 下記式(1)で代表される構造単位を3
0モル%以上含み、かつその前駆体であるポリアミック
酸の対数粘度〔ηinh 〕(N−メチルピロリドン溶媒、
濃度0.5g/dl、30℃。)が0.3〜3dl/gであ
ることを特徴とする結晶性ポリイミド。 【化1】 〔式(1)において、Xは -O-、-S- 、-SO2- および-C
O-の群から選ばれる基を示し、Arは単環、縮合多環およ
び環集合の群から選ばれる2価の芳香族基を示す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物理的耐熱性、化
学的耐熱性(耐熱分解性)、機械的強度、溶融成形性お
よび耐溶剤性に優れた新規な結晶性ポリイミドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジニアリングプラスチックと
呼称されている樹脂は、機械特性や電気特性に優れ、か
つ耐熱性も良好であり、電子・電気製品、自動車等を含
む幅広い工業分野において利用されているが、近年、特
に耐熱性をさらに高めたスーパーエンジニアリングプラ
スチックと呼称される樹脂が開発され、実用化されてい
る。このようなスーパーエンジニアリングプラスチック
の代表的なものにポリイミドがあり、中でもカプトン
(Kapton:商品名、イ−・アイ・デュポン社製)タイプ
の全芳香族ポリイミドは、優れた物理的耐熱性と機械的
強度を備えている反面、非晶性であり、またガラス転移
温度(Tg)が熱分解温度に近いため、溶融成形が困難
で、成形品に展開する上での実用性能に問題がある。こ
れに対して、物理的耐熱性および機械的強度と溶融成形
性とを兼ね備えたポリイミドは、ガラス転移温度(T
g)と融点(Tm)との両方を有し、化学的耐熱性(耐
熱分解性)に優れた結晶性ポリイミドを挙げることがで
きるが、従来のポリイミドは非晶性構造のものが多く、
結晶性ポリイミドについては報告例が少ないのが実状で
ある。このような中で、従来報告されている結晶性ポリ
イミドとしては、例えば下記式(A)〜(F)の構造を
有するものがある。下記式(A)〜(F)におけるnは
繰返し単位数である。
【0003】
【化3】
【0004】
【化4】
【0005】
【化5】
【0006】
【化6】
【0007】
【化7】
【0008】
【化8】
【0009】ポリイミドは、化学構造から結晶性である
か非晶性であるかを判断するのが一般に困難である。例
えば、前記式(A)の構造を有するポリイミドおよび前
記式(B)の構造を有するポリイミドは、テトラカルボ
ン酸成分のみが異なっており、ともに結晶性を示してい
るが、これらのテトラカルボン酸成分を換えた下記式
(G)の構造を有するポリイミドおよび下記式(H)の
構造を有するポリイミドは、いずれも非晶性ポリマーと
なる。下記式(G)〜(H)におけるnは繰返し単位数
である。
【0010】
【化9】
【0011】
【化10】
【0012】さらに、前記式(F)の構造を有するポリ
イミドのテトラカルボン酸成分を換えた下記式(I)の
構造を有するポリイミドは、非晶性ポリマーになるとい
った具合である。下記式(I)におけるnは繰返し単位
数である。
【0013】
【化11】
【0014】しかも、前記結晶性ポリイミドの多くは合
成が比較的困難なジアミンを使用しており、工業的に入
手容易な汎用ジアミンを用いて製造される結晶性ポリイ
ミドの報告例が少ないのが現状である。また工業的に入
手容易なジアミンを用いた結晶性ポリイミドの場合も、
化学的耐熱性(耐熱分解性)が十分でなく、実用上問題
がある。さらに近年、下記式(J)で表されるジアミン
を下記式(K)で表されるテトラカルボン酸二無水物と
ピロメリット酸二無水物との混合酸二無水物と反応させ
ることにより製造されたポリイミドを、両面接着シート
の接着剤として使用することが報告されているが(特開
平7−70524号公報参照)、かかるポリイミドも非
晶性であり、物理的耐熱性、機械的強度および溶融加工
性を同時に満足できるものではない。
【0015】
【化12】
【0016】
【化13】
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、結晶
性が高く、物理的耐熱性および化学的耐熱性(耐熱分解
性)に優れ、しかも優れた溶融成形性を有するポリイミ
ドを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記式
(1)または(2)で表される構造単位を30モル%以
上含み、かつその前駆体であるポリアミック酸の対数粘
度〔ηinh 〕が0.3〜3dl/g(但し、N−メチルピ
ロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測定。)
であることを特徴とする結晶性ポリイミド、からなる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】〔式(1)および(2)において、Xは -
O-、-S- 、-SO2- および-CO-の群から選ばれる基を示
し、Arは単環単環、縮合多環および環集合の群から選ば
れる2価の芳香族基を示し、Yは -O-、-S- 、-SO2- 、
-CO-、炭素数1〜10の2価0脂肪族炭化水素基、炭素
数1〜10の2価のハロゲン化炭化水素基および炭素数
3〜15の2価の脂環族炭化水素基の群から選ばれる基
を示す。〕 式(1)および(2)において、2個のXおよびArはそ
れぞれ同一でも異なってもよい。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。前記式
(1)および(2)において、Arの具体例としては、m
−フェニレン基、p−フェニレン基、3,3’−ビフェ
ニレン基、4,4’−ビフェニレン基、1,5−ナフチ
レン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基
等を挙げることができる。また、Yの炭素数1〜10の
2価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチレン
基、1,2−エチレン基、イソプロピリデン基、トリメ
チレン基等を挙げることができ、炭素数1〜10の2価
のハロゲン化炭化水素基の具体例としては、モノフルオ
ロメチレン基、パーフルオロメチレン基、モノフルオロ
−1,2−エチレン基、ジフルオロ−1,2−エチレン
基、パーフルオロ−1,2−エチレン基、モノフルオロ
−1,3−プロピレン基、ジフルオロ−1,3−プロピ
レン基、パーフルオロ−1,3−プロピレン基、モノフ
ルオロ−2,2−プロピレン基、ジフルオロ−2,2−
プロピレン基、パーフルオロ−2,2−プロピレン基等
のフルオロアルキレン基;モノクロロ−1,2−エチレ
ン基、ジクロロ−1,2−エチレン基、モノクロロ−
2,2−プロピレン基、ジクロロ−2,2−プロピレン
基、モノブロモ−1,2−エチレン基、モノブロモ−
1,3−プロピレン基、モノブロモ−2,2−プロピレ
ン基等の他のハロゲン置換アルキレン基を挙げることが
でき、炭素数3〜15の2価の脂環族炭化水素基の具体
例としては、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、
シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、ビシクロ
[4.4.0] デシレン基、ビシクロ[2.2.1] ヘプチレン基、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デシレン基等を挙げることがで
きる。
【0023】本発明のポリイミドは、下記式(3)の
1,4−フェニレンビストリメリテート二無水物と下記
式(4)または(5)で表されるジアミンとの重縮合反
応によって得られるポリアミック酸(以下、「特定ポリ
アミック酸」という。)を脱水閉環し、イミド化するこ
とによって製造することができる。この場合、式(4)
で表されるジアミンおよび式(5)で表されるジアミン
は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。本発明における特定ポリアミック酸を製
造する際には、1,4−フェニレンビストリメリテート
二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物(以下、「他
のテトラカルボン酸二無水物」という。)あるいは式
(4)または(5)で表される化合物以外のジアミン
(以下、「他のジアミン」という。)も使用することが
できるが、これらの場合、他のテトラカルボン酸二無水
物および他のジアミンの使用量は、得られるポリアミッ
ク酸中に前記式(1)または(2)で表される構造単位
が30モル%以上、好ましくは50〜100モル%含有
されるように選定される。
【0024】
【化14】
【0025】
【化15】
【0026】
【化16】
【0027】〔式(4)および(5)において、X、Ar
およびYは、前記式(1)および(2)におけるX、Ar
およびYと同義である。〕
【0028】前記式(4)で表されるジアミンの具体例
としては、下記式(6)〜(45)で表される化合物を
挙げることができる。
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
【化22】
【0035】
【化23】
【0036】
【化24】
【0037】
【化25】
【0038】
【化26】
【0039】
【化27】
【0040】
【化28】
【0041】
【化29】
【0042】
【化30】
【0043】
【化31】
【0044】
【化32】
【0045】
【化33】
【0046】
【化34】
【0047】
【化35】
【0048】
【化36】
【0049】
【化37】
【0050】
【化38】
【0051】
【化39】
【0052】
【化40】
【0053】
【化41】
【0054】
【化42】
【0055】
【化43】
【0056】
【化44】
【0057】
【化45】
【0058】
【化46】
【0059】
【化47】
【0060】
【化48】
【0061】
【化49】
【0062】
【化50】
【0063】
【化51】
【0064】
【化52】
【0065】
【化53】
【0066】
【化54】
【0067】
【化55】
【0068】
【化56】
【0069】また、前記式(5)で表されるジアミンの
具体例としては、下記式(46)〜(93)で表される
化合物を挙げることができる。
【0070】
【化57】
【0071】
【化58】
【0072】
【化59】
【0073】
【化60】
【0074】
【化61】
【0075】
【化62】
【0076】
【化63】
【0077】
【化64】
【0078】
【化65】
【0079】
【化66】
【0080】
【化67】
【0081】
【化68】
【0082】
【化69】
【0083】
【化70】
【0084】
【化71】
【0085】
【化72】
【0086】
【化73】
【0087】
【化74】
【0088】
【化75】
【0089】
【化76】
【0090】
【化77】
【0091】
【化78】
【0092】
【化79】
【0093】
【化80】
【0094】
【化81】
【0095】
【化82】
【0096】
【化83】
【0097】
【化84】
【0098】
【化85】
【0099】
【化86】
【0100】
【化87】
【0101】
【化88】
【0102】
【化89】
【0103】
【化90】
【0104】
【化91】
【0105】
【化92】
【0106】
【化93】
【0107】
【化94】
【0108】
【化95】
【0109】
【化96】
【0110】
【化97】
【0111】
【化98】
【0112】
【化99】
【0113】
【化100】
【0114】
【化101】
【0115】
【化102】
【0116】
【化103】
【0117】
【化104】
【0118】これらのジアミンのうち、特に前記式
(7)、(8)、(11)、(46)、(47)、(5
0)、(52)、(53)、(54)、(55)、(5
6)および(57)の化合物が好ましい。また他のテト
ラカルボン酸二無水物としては、例えば前記式(A)、
(B)、(I)または(K)の構造を有するポリイミド
のテトラカルボン酸二無水物成分として用いられる化合
物や、下記式(94)〜(99)で表される化合物等を
挙げることができ、他のジアミンとしては、例えば前記
式(A)、(C)、(D)または(E)の構造を有する
ポリイミドのジアミン成分として用いられる化合物や、
下記式(100)〜(109)で表される化合物等を挙
げることができる。
【0119】
【化105】
【0120】
【化106】
【0121】
【化107】
【0122】
【化108】
【0123】
【化109】
【0124】
【化110】
【0125】
【化111】
【0126】
【化112】
【0127】
【化113】
【0128】
【化114】
【0129】
【化115】
【0130】
【化116】
【0131】
【化117】
【0132】
【化118】
【0133】
【化119】
【0134】
【化120】
【0135】特定ポリアミック酸を製造する際には、テ
トラカルボン酸二無水物成分の合計量とジアミン成分の
合計量とのモル比を、通常、1:0.8〜1.2、好ま
しくは1:0.9〜1.1として、適当な溶剤中で反応
させる。反応時には、分子量調節剤として、例えばアニ
リン等のモノアミン類の如き単官能性化合物や無水フタ
ル酸等のジカルボン酸無水物類を添加してもよい。前記
反応時のテトラカルボン酸二無水物成分およびジアミン
成分の濃度は適宜調節することができるが、両成分の合
計濃度が、全溶液重量に対して、通常、1〜50重量
%、好ましくは2〜30重量%である。また、反応温度
も適宜調節することができるが、通常、150℃以下、
好ましくは0〜120℃である。特定ポリアミック酸を
製造する際に使用される溶剤としては、テトラカルボン
酸二無水物およびジアミンに対して不活性であり、かつ
これらを溶解するものが使用され、具体的には、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミドあるいはN−メ
チルピロリドン;ジメチルスルホキシド等の非プロトン
系溶剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶剤
を挙げることができる。これらの溶剤は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。このように
して製造される特定ポリアミック酸の対数粘度〔ηinh
〕(但し、N−メチルピロリドン溶媒中、濃度0.5
g/dl、30℃で測定。)は0.3〜3dl/gであり、
好ましくは0.5〜2.5dl/gである。この場合、特
定ポリアミック酸の対数粘度〔ηinh 〕が0.3dl/g
未満では、得られる成形物の機械的強度が低下し、また
3dl/gを超えると、結晶性に基づく良好な溶融成形性
を発現する効果以上に、分子量の上昇に伴う溶融粘度が
高くなり、溶融成形性の面で満足できなくなる。
【0136】結晶性ポリイミド 本発明の結晶性ポリイミドは、その前駆体である特定ポ
リアミック酸を脱水閉環し、イミド化することにより製
造される。前記イミド化に際しては、加熱イミド化法ま
たは化学イミド化法を採用することができる。前記加熱
イミド化法としては、例えば特定ポリアミック酸の溶
液をガラス、金属等の表面平滑な基材上に流延して加熱
する方法、あるいは特定ポリアミック酸の溶液をその
まま加熱する方法が適用される。これらの方法で使用さ
れる溶剤としては、特定ポリアミック酸の製造に使用さ
れるものと同様の溶剤を挙げることができる。前記の
加熱イミド化法では、特定ポリアミック酸の溶液を基板
上に流延したのち、常圧下または減圧下で加熱すること
により、フィルム状のポリイミドを得ることができる。
この場合の加熱温度は、通常、50〜400℃、好まし
くは150〜350℃であり、反応中徐々に温度を上げ
ることが好ましい。また、前記の加熱イミド化法で
は、特定ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱すること
により、ポリイミドが粉末ないし溶液として得られる。
この場合の加熱温度は、通常、50〜300℃、好まし
くは100〜250℃である。また、の加熱イミド化
法に際しては、副生する水の除去を容易とするため、水
と共沸し、特に反応系外で水と容易に分離しうる成分、
例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素系溶媒を脱水剤として存在させることもできる。さら
に、の加熱イミド化法に際しては、脱水閉環を促進す
るため、第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリ
エチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン
の如き脂肪族第三級アミン類;N,N−ジメチルアニリ
ン、N,N−ジエチルアニリンの如き芳香族第三級アミ
ン類;ピリジン、キノリン、イソキノリンの如き複素環
式第三級アミン類等の触媒を、ポリアミド酸100重量
部当たり、例えば10〜400重量部用いることもでき
る。次に、前記化学イミド化法においては、例えば特
定ポリアミック酸を脱水環化させる閉環剤を用い、溶液
状態でポリイミド化する方法が適用され、ポリイミドが
粉末あるいは溶液として得られる。この方法で使用され
る溶剤としても、特定ポリアミック酸の製造に使用され
るものと同様の溶剤を挙げることができる。前記閉環剤
としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪
酸の如き酸無水物を挙げることができる。これらの閉環
剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することが
でき、その使用量は、特定ポリアミック酸100重量部
当たり、通常、10〜5000重量部、好ましくは10
0〜1000重量部である。前記の化学イミド化法に
おける反応温度は、通常、0〜200℃である。なお化
学イミド化法においても、前記加熱イミド化法の場合と
同様に第三級アミンを触媒として使用することができ
る。前記加熱イミド化法または化学イミド化法によりポ
リイミドが粉末として得られた場合は、ろ過、噴霧乾
燥、水蒸気蒸留等の適宜の方法により、ポリイミド粉末
を媒体から分離回収することができる。本発明の結晶性
ポリイミドの分子量は、その結晶性の故に溶剤への溶解
性が低く、その前駆体である特定ポリアミック酸の対数
粘度〔ηinh 〕(但し、N−メチルピロリドン溶媒中、
濃度0.5g/dl、30℃で測定。)により規定され
る。また本発明の結晶性ポリイミドにおいて、前記式
(1)または(2)で表される構造単位以外の構造単位
が含有されると、一般に結晶性の尺度である融解エンタ
ルピー(ΔH)が低下するため、式(1)または(2)
で表される構造単位の含有率は30モル%以上でなけれ
ばならず、好ましくは50〜100モル%である。本発
明の結晶性ポリイミドは結晶性が高く、その融解エンタ
ルピー(ΔH)が1J/g以上の値を示し、また物理的
耐熱性および化学的耐熱性(耐熱分解性)に優れ、しか
も優れた溶融成形性を有するものである。
【0137】本発明の結晶性ポリイミドには、その特性
を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えば高密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、アイソタクチック
ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、
脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテ
ルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイ
ミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、変性ポ
リフェニレンオキシド等を、使用目的に応じて適当量配
合することができる。さらに、通常の樹脂に配合されて
いるような添加剤を、結晶性ポリイミドの特性を損なわ
ない範囲で、使用目的に応じて適当量配合することもで
きる。前記添加剤としては、例えばグラファイト、カー
ボランダム、珪石粉、二硫化モリブデン、フッ素樹脂等
の耐摩耗性向上剤;ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン
繊維、炭化珪素繊維、カーボンウイスカー、金属繊維、
セラミック繊維等の補強材;三酸化アンチモン、炭酸マ
グネシウム、炭酸カルシウム等の難燃性向上剤;クレ
ー、マイカ等の電気特性向上剤;シリカ、グラファイト
等の耐トラッキング性向上剤;硫酸バリウム、シリカ、
メタ珪酸カルシウム等の耐酸性向上剤;鉄粉、亜鉛粉、
アルミニウム粉、銅粉等の熱伝導性向上剤のほか、ガラ
スビーズ、ガラスバルーン、タルク、珪藻土、アルミ
ナ、シラスバルーン、水和アルミナ、金属酸化物、染
料、顔料等を挙げることができる。本発明の結晶性ポリ
イミドは、溶融成形、例えば射出成形、トランスファー
成形、押出成形、真空成形等により容易に加工すること
ができる。
【0138】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明を
さらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施
例に何ら制約されるものではない。実施例における各測
定および試験は、下記の要領で行った。対数粘度〔ηinh 〕の測定 ウベローデ粘度計を用い、N−メチルピロリドン溶媒
中、30℃で測定して、式ln(t/t0)/c により算出し
た。但し、tはポリイミド溶液の標線間の通過時間、t0
はN−メチルピロリドン溶媒の標線間の通過時間、cは
ポリイミド溶液の濃度(0.5g/dl)である。示差走査熱量計(DSC)試験 窒素雰囲気中で、昇温速度および降温速度をともに20
℃/分として行った。熱分解温度の測定熱天秤を用い、
空気中、昇温速度10℃/分で加熱して、5%の重量減
少を示した温度を、熱分解温度(℃)とした。
【0139】
【実施例】
実施例1 攪拌機、窒素ガス導入管を備え、窒素置換したフラスコ
(内容積1000ミリリットル)に、N−メチルピロリ
ドン246.2gを添加したのち、2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン20.5
3g(50ミリモル)を溶解し、次いで1,4−フェニ
レンビストリメリテート二無水物22.92g(50ミ
リモル)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室温で3時間攪
拌して、ポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミッ
ク酸の対数粘度〔ηinh 〕は、2.0dl/gであった。
このポリアミック酸溶液をガラス板上に塗布し、温度を
80℃、120℃、160℃、200℃、250℃と段
階的に上げ、各温度で30分間加熱してイミド化させ、
ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドの赤外
吸収スペクトル(IR)を測定したところ、1780c
-1付近と1720cm-1付近にイミド基に由来する吸
収が確認された。このポリイミドフィルムについて、D
SC試験を行ったところ、結晶の融解ピーク温度(T
m)が256℃、356℃、380℃に現れ、それらの
ピークの融解エンタルピー(ΔH)の合計が29J/g
であり、また降温過程での結晶化による発熱ピークが3
47℃に現れ、結晶性ポリマーに典型的な結晶融解・結
晶化挙動を示した。また、このポリイミドの熱分解温度
は、436℃であった。このポリイミドのIRを図1
に、DSC曲線を図2に示す。
【0140】実施例2 攪拌機、窒素ガス導入管を備え、窒素置換したフラスコ
(内容積1000ミリリットル)に、N−メチルピロリ
ドン199.6gを添加したのち、2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン16.4
2g(40ミリモル)を溶解し、次いで2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−
3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物2.3
06g(4ミリモル)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室
温で15分間攪拌した。その後、1,4−フェニレンビ
ストリメリテート二無水物16.50g(36ミリモ
ル)を添加し、窒素ガス雰囲気下、室温で3時間攪拌し
て、ポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸
の対数粘度〔ηinh 〕は、1.6dl/gであった。この
ポリアミック酸溶液を用い、実施例1と同様の条件でイ
ミド化させて、ポリイミドフィルムを得た。得られたポ
リイミドの赤外吸収スペクトル(IR)を測定したとこ
ろ、1780cm-1付近と1720cm-1付近にイミド
基に由来する吸収が確認された。このポリイミドフィル
ムのDSC試験の結果、結晶の融解ピーク温度(Tm)
が288℃、351℃に現れ、各ピークの融解エンタル
ピー(ΔH)は、それぞれ3.9J/g、19J/gで
あり、また降温過程での結晶化による発熱ピークが31
7℃に現れ、結晶性ポリマーに典型的な結晶融解・結晶
化挙動を示した。このポリイミドのガラス転移温度(T
g)は、214℃であった。また、このポリイミドの熱
分解温度は、450℃であった。このポリイミドのIR
を図3に、DSC曲線を図4に示す。
【0141】実施例3 2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパンの代わりに、1,3−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン14.60g(50ミリモル)を用
いた以外は、実施例1と同様にして重合を行い、ポリア
ミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の対数粘度
〔ηinh 〕は、1.7dl/gであった。このポリアミッ
ク酸溶液を用い、実施例1と同様の条件でイミド化させ
て、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドの
赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ、178
0cm-1付近と1720cm-1付近にイミド基に由来す
る吸収が確認された。このポリイミドフィルムのDSC
試験の結果、結晶の融解ピーク温度(Tm)が429
℃、445℃に現れ、各ピークの融解エンタルピー(Δ
H)の合計が58J/gであり、また降温過程での結晶
化による発熱ピークが315℃に現れ、結晶性ポリマー
に典型的な結晶融解・結晶化挙動を示した。また、この
ポリイミドの熱分解温度は、467℃であった。このポ
リイミドのIRを図5に、DSC曲線を図6に示す。
【0142】参考例 実施例2で得たポリアミック酸溶液を、銅張積層板上に
塗布し、実施例1と同様の条件でイミド化させて、厚さ
10μmのポリイミドフィルムを得た。次いで、このポ
リイミドフィルム面に、厚さ35μm、幅1cmの銅箔
を重ね、プレス機により、280℃、接着圧力3kg/
cm2 で5秒間圧着して、接着試験片を作成した。この
接着試験片について、JIS K6481に準拠し、銅
張積層板と銅箔との剥離強度を測定したところ、2.0
kg/cmであった。また、この接着試験片を260℃
のハンダ浴に30秒間浸漬して、ハンダ耐熱性を評価し
たところ、銅張積層板と銅箔との接着面に剥離、膨れが
生じなかった。
【0143】比較例 1,4−フェニレンビストリメリテート二無水物の代わ
りに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボ
ン酸二無水物28.83g(50ミリモル)を用いた以
外は、実施例1と同様にして重合を行い、ポリアミック
酸の溶液を得た。このポリアミック酸の対数粘度〔ηin
h 〕は、1.0dl/gであった。このポリアミック酸溶
液を用い、実施例1と同様の条件でイミド化させて、ポ
リイミドフィルムを得た。得られたポリイミドは、ガラ
ス転移温度(Tg)が225℃の非晶性ポリイミドであ
った。また、前記ポリアミック酸溶液を用い、実施例4
と同様の条件で接着試験片を作成した。この接着試験片
について、JIS K6481に準拠し、銅張積層板と
銅箔との剥離強度を測定したところ、0.88kg/c
mであった。また、接着試験片作成時の圧着条件を、3
00℃、接着圧力10kg/cm2 で60秒間に変更す
ると、剥離強度は1.6kg/cmまで上昇したが、該
接着試験片を260℃のハンダ浴に30秒間浸漬して、
ハンダ耐熱性を評価したところ、銅張積層板と銅箔との
接着面に剥離を生じた。
【0144】
【発明の効果】本発明のポリイミドは、結晶性が高く、
物理的耐熱性、化学的耐熱性(耐熱分解性)、耐溶剤性
等に優れ、しかも優れた溶融成形性を有するものであ
り、接着剤、絶縁材料、保護材料、電線被覆材料等や、
成形品、繊維、フィルム、シート等の成形材料として、
幅広い用途に極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られたポリイミドのIRを示
す図である。
【図2】実施例1により得られたポリイミドのDSC曲
線を示す図である。
【図3】実施例2により得られたポリイミドのIRを示
す図である。
【図4】実施例2により得られたポリイミドのDSC曲
線を示す図である。
【図5】実施例3により得られたポリイミドのIRを示
す図である。
【図6】実施例3により得られたポリイミドのDSC曲
線を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)または(2)で表される構
    造単位を30モル%以上含み、かつその前駆体であるポ
    リアミック酸の対数粘度〔ηinh 〕(但し、N−メチル
    ピロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測
    定。)が0.3〜3dl/gであることを特徴とする結晶
    性ポリイミド。 【化1】 【化2】 〔式(1)および(2)において、Xは -O-、-S- 、-S
    O2- および-CO-の群から選ばれる基を示し、Arは単環、
    縮合多環および環集合の群から選ばれる2価の芳香族基
    を示し、Yは -O-、-S- 、-SO2- 、-CO-、炭素数1〜1
    0の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜10の2価の
    ハロゲン化炭化水素基および炭素数3〜15の2価の脂
    環族炭化水素基の群から選ばれる基を示す。〕
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