JPH0977785A - 窒素固定化能をもつルテニウム三級ポリアミン錯体 - Google Patents

窒素固定化能をもつルテニウム三級ポリアミン錯体

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JPH0977785A
JPH0977785A JP26214795A JP26214795A JPH0977785A JP H0977785 A JPH0977785 A JP H0977785A JP 26214795 A JP26214795 A JP 26214795A JP 26214795 A JP26214795 A JP 26214795A JP H0977785 A JPH0977785 A JP H0977785A
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利和 高橋
Kazuhisa Hiratani
和久 平谷
Kazuyuki Kasuga
和行 春日
Takayoshi Adachi
貴義 足立
Taizo Ichida
泰三 市田
Makoto Uchino
誠 内野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒素を迅速に吸収するルテニウム錯体及びそ
の中間体を提供する。 【解決手段】 下記一般式(4)で表される2,12−
ジメチル−5,9−ジ炭化水素−2,5,9,12−テ
トラアザトリデカン。 【化4】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)下記一般式(5)
で表されるtrans−ジクロロルテニウム(III)
(2,12−ジメチル−5,9−ジ炭化水素−2,5,
9,12−テトラアザトリデカン)錯体。 【化5】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,9−ジアミノ
−3,7−ジアザウンデカン(以下2,3,2−テトラ
アミンとも呼ぶ)を基本骨格としてもつ、N−置換三級
テトラアミンを配位子とするルテニウム(III)錯体、
N−置換三級テトラアミン、その前駆体、それらの製造
方法、ルテニウム錯体を用いた窒素の固定化方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】2,3,2−テトラアミンと同じ骨格を
もつtrans−ジクロロ三級テトラアミンルテニウム
錯体は水溶液中で三塩化チタンと反応させることで水中
の溶存窒素ガスを固定化できることがすでに示されてい
る(T. Takahasi,K. Hiratan
i, K. Kasuga, E. Kimura,
Chem. Lett., 1993, 1761)。
本発明は錯体による窒素ガス固定化能力を保持したま
ま、溶解度等そのほかの物性を制御する目的で、配位窒
素上に様々な置換基を導入した三級テトラアミン、なら
びにそれらを配位子としてもつルテニウム錯体を合成す
ることにある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は以下の
通りである。 (1)ルテニウムイオンと容易に錯生成するポリアミン
を提供すること。 (2)前記化合物の中間体を提供すること。 (3)前記化合物及びその中間体製造方法を提供するこ
と。 (4)窒素吸収能力をもルテニウム錯体の前駆体を提供
すること。 本発明の他の課題は以下の記載から明らかに理解される
であろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明によれば、下記式(1)で表
される2,12−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,
5,9,12−テトラアザトリデカンが提供される。
【化1】 また、本発明によれば、下記式(2)で表される2,1
2−ジメチル2,5,9,12−テトラアザトリデカン
が提供される。
【化2】 さらに、本発明によれば、下記一般式(3)で表される
2,12−ジメチル、5,9−ビス炭化水素カルボニル
−2,5,9,12−テトラアザトリデカンが提供され
る。
【化3】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)さらに、また、本
発明によれば、下記一般式(4)で表される2,12−
ジメチル−5,9−ジ炭化水素−2,5,9,12−テ
トラアザトリデカンが提供される。
【化4】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)さらにまた、本発
明によれば、下記一般式(5)で表されるtrans−
ジクロロルテニウム(III)(2,12−ジメチル−
5,9−ジ炭化水素−2,5,9,12−テトラアザト
リデカン)錯体が提供される。
【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)さらにまた、本発
明によれば、下記式(1)
【化1】 で表されるテトラアミンジアミド化合物の製造方法にお
いて、N,N−ジメチルグリシンエステルと1,3−プ
ロパンジアミンとを反応させることを特徴とする前記方
法が提供される。さらにまた、本発明によれば、下記式
(2)
【化2】 で表されるテトラアミン化合物の製造方法において、下
記式(1)のテトラアミンジアミド化合物と還元剤とを
反応させること特徴とする前記方法が提供される。
【化1】 さらにまた、本発明によれば、下記一般式(3)
【化3】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表されるテトラ
アミンジアミド化合物の製造方法において、下記式
(2)で表わされるテトラアミン化合物とカルボン酸塩
化物あるいカルボン酸無水物とを反応させること特徴と
する前記方法が提供される。
【化2】 さらにまた、本発明によれば、下記一般式(4)
【化4】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表される三級テ
トラアミン化合物の製造方法において、前記一般式
(3)で表されるテトラアミンジアミド化合物と還元剤
とを反応させることを特徴とする前記法が提供される。
さらにまた、本発明によれば、下記一般式(5)
【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を表す)で表されるtra
ns−ジクロロルテニウム(III)三級テトラアミン錯
体の製造方法において、前記一般式(4)で表わされる
三級テトラアミンとカリウムペンタクロロアコルテニウ
ム(III)(K2RuC16(H2O))とを反応させるこ
とを特徴とする前記方法が提供される。さらにまた、本
発明によれば、下記一般式(5)
【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を表す)で表されるtra
ns−ジクロロルテニウム(III)三級テトラアミン錯
体の水溶液に、塩化チタンを加え、窒素ガスと接触させ
ることを特徴とする窒素の固定化方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】これまでに、すでに下記式(6)
【化6】 で表される物質の水溶液に三塩化チタンを作用すること
によって、ルテニウム錯体による窒素吸収反応が起こる
こと明らかとされている(T.Takahashi、
K.Hiratani、 K.Kasuga、 E.K
imura、 Chem. Lett., 1993,
1761)。本発明によって、下記一般式(5)
【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表される化合物
を用いることにより、効率的な窒素固定化法が可能とな
ることが明らかとなた。
【0006】本発明による下記式(2)
【化2】 で表される2,12−ジメチル−2,5,9,12−テ
トラアザトリデカンは、N,N−ジメチルグリシンエス
テルと1,3−プロパンジアミンとから以下の2段階の
行程により製造される。 (1)行程1 この行程はN,N−ジメチルグリシンエステルと1,3
−プロパンジアミン二置換プロパンとの反応によって式
(1)の2,12−ジメチル−4,10−ジオキソ−
2,5,9,12−テトラアザトリデカンを得るもので
ある。この行程における反応を式で示すと以下の通りで
ある。
【化7】 この反応は無溶媒ないしエタノール、メタノール、2−
プロパノール等、アルコール系溶媒中において、好まし
く行われる。またこの反応は50℃から150℃におい
て好ましくは行われる。
【0007】(2)行程2 この行程においては前記で得られた式(1)の2,12
−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,5,9,12−
テトラアザトリデカンと還元剤、好ましくは水素化リチ
ウムアルミニウムとの反応によって、式(2)の2,1
2−ジメチル−2,5,9,12−テトラアザトリデカ
ンを得るものである。この行程における反応を式で示す
と以下の通りである。
【化8】 前記反応はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒中において行わ
れる。またこの反応は20℃から120℃において好ま
しく行われる。
【0008】下記一般式(4)
【化4】 で表される2,9−ジ炭化水素2,12−ジメチル2,
5,9,12−テトラアザトリデカンは前記一般式
(1)の化合物から以下の2段階の行程によって合成さ
れる。 (1)行程1 この行程においては、下記式(2)
【化2】 とRCOClで表されるカルボン塩化物もしくは(RC
O)2Oで表されるカルボン酸無水物との反応によって
下記一般式(3)
【化3】 で表されるテトラアミンジアミド体(5,6−ジ炭化水
素カルボニル)−2,5,9,12−テトラアザトリデ
カンが合成される。この行程における反応を式で示すと
以下のとおりである。
【化9】 溶媒は塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド中
での反応により行われる。また前記反応においては溶媒
中に塩基を共存させておくことが好ましい。この場合塩
基としてはトリエチルアミン、炭酸カリウムなどが用い
られる。前記式中、Rは炭化水素基を示す。炭化水素基
には、鎖状又は環状のアルキル基及びアリール基が包含
される。アルキル基としては、炭素数1〜12、好まし
くは2〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が、アリー
ル基についてはフェニルもしくは置換フェニルがあげら
れる。
【0009】(2)行程2 この行程においては前記式(3)の化合物を還元剤、好
ましくは水素化リチウムアルミニウムと反応させること
によって、下記一般式(4)
【化4】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表されるN−置
換三級ポリアミンである2,12−ジメチル5,9−ジ
炭化水素−2,5,9,12−テトラアザトリデカンが
合成される。
【化10】 (前記式中、Rは炭化水素を示す)前記反応は、好まし
くはアミド1モルあたり4モルから5モルの水素化リチ
ウムアルミニウムを用いて行う。反応温度は20℃から
120℃である。溶媒はジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が好ましく用
いられる。
【0010】本発明による下記一般式(5)
【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表されるtra
ns−ジクロロルテニウム(III)N−置換三級テトラ
ミン錯体塩化物は、カリウムペンタクロロアコルテニウ
ム(III)(K2RuCl2(OH2))と下記一般式
(4)
【化4】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表されるN−置
換三級ポリアミン(5,9−ジ炭化水素−2,12−ジ
メチル−2,5,9,12−テトラアザトリデカン)と
の反応によって合成される。この行程における反応を式
で示すと以下のようになる。
【化11】 上記反応は、50℃から150℃において行われる。溶
媒としてはエタノール、メタノール、エチレングリコー
ル、2−メトキシエタノールなどが用いられる。反応後
の溶液を濃縮後、2−プロパノールに溶解する成分のみ
をLH−20カラムクロマトグラフィーを用いて溶離
し、黄色いフラクションを分取し、濃縮後濃塩酸から再
結晶によってこの錯体を黄色の針状結晶として単離する
ことができる。
【0011】本発明の前記一般式(4)で表される5,
9−ジ炭化水素−2,12−ジメチル−2,5,9,1
2−テトラアザトリデカン(以下、単にN−置換三級テ
トラアミンと呼ぶ)は、その分子中に含まれる4個の三
級アミンによって三価ルテニウムイオンとの安定な錯体
を形成し、置換基の立体障害のためにtrans−ジク
ロロ錯体が選択的に得られる。
【0012】本発明のtrans−ジクロロルテニウム
(III)N−置換三級ポリアミン錯体は、水溶液中で三
塩化チタンと反応させることによって瞬時に還元を受け
てルテニウム(II)となり、窒素ガスを吸収することが
できるようになる。この反応を溶液内のイオン反応式で
示すと以下のようになる。
【化12】 (前記式中、Rは炭化水素基、Xは水また塩化物イオン
を表す。)
【0013】本発明のルテニウム(III)錯体を用いて
窒素ガス吸収実験を行うには、内部を一定気圧に保つよ
うにガスビュレットを接続し、図1のような装置中に錯
体の水溶液を入れたうえであらかじめ溶液中に窒素を飽
和しておき、セラムキャップから三塩化チタン塩化水素
酸溶液を注入することにより、窒素ガスが吸収されてい
くことがガスビュレットの読みとりより観測されるもの
である。反応は20℃においては数時間で完結する。
【0014】前記における反応終了時に生成する窒素錯
体は結合している窒素分子のtrans位の配位子が塩
化物イオンの錯体、水の錯体、ならびにそれぞれの立体
異性体の混合物となている(T.Takahashi、
K.Hiratani、E.Kimura、Che
m. Lett., 1993,1329)。
【0015】
【発明の効果】本発明のtrans−ジクロロルテニウ
ム(III)N−置換三級ポリアミン錯体は炭化水素基が
窒素分子とより高い親和性を示すため、窒素のすばやい
吸収が可能となる。また水以外の溶媒への溶解性が高ま
るし、一方水中での結晶生成が容易になる。
【0016】
【実施例】次に本発明の実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 2,12−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,5,
9,12−テトラアザトリデカン(式(1)の化合物
1)の合成 N,N−ジメチルグリシンエチルエステル47.1g
(359mmol)と1,3−ジアミノプロパン13.
2g(0.178mmol)とを500mlのエタノー
ル中に混合し、3日間加熱還流する。溶媒ならびに未反
応の原料を減圧留去した後、減圧蒸留を行って0.1m
mHg、170℃の留分として化合物1を得ることがで
きる。この物質は常温では無色の固体である。収率8
%、融点86.7〜87.7℃。この化合物1はNM
R、IRによってその構造を確認した。1 H NMR(CDCl2)δ=1.72(2H、qui
ntet、NCH22 CH2N)、2.30(12
H、s、NC2 )、2.96(4H、s、NCOC2
N(CH32)、3.32(4H、q、NC2 CH2
2 N)。IR(KBr) 3414、2987、16
54(νco)、1540、1458、1270、117
4、1153、1043、861cm-1
【0017】実施例2 2,12−ジメチル−2,5,9,12−テトラザトリ
デカン(式(2)の化合物2)の合成 2,12−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,5,
9,12−テトラアザトリデカン(化合物1)2.8g
(11.5mmol)をあらかじめリチウムアルミニウ
ムヒドリド3.8g(99mmol)を懸濁してある脱
水ジエチルエーテル250ml中に徐々に加え、窒素気
流下、室温で12時間撹拌を行う。反応後、水7.1g
(395mmol)、炭酸カリウム6.8g(50mm
ol)を加え、50℃で1時間加熱撹拌する。反応液中
に析出する固体を濾過によってのぞき、溶媒を留去した
後、減圧蒸留を行って0.1mmHg、100℃の留分
として化合物2を得ることができる。収率70%。この
化合物2はNMR、IRによってその構造を確認した。1 H NMR δ=1.73(2H、quintet、
NCH 2CH2 CH2N)、2.22(12H、s、NC
2 )、2.42(4H、t、NCH22 N(CH3
2)、2.66(4H、t、NC 2CH22 N)、
2.68(4H、t、NC2 CH2N(CH32)pp
m(TMS)。IR(neat) 3388、294
2、2857、,2815、2766、1459、12
63、1142、1111、1042cm-1
【0018】実施例3 2,12−ジメチル−5.9−ジプロパノイル−2,
5,9,12−テトラアザトリデカン(式(3)の化合
物3)の合成 2,12−ジメチル−2,5,9,12−テトラアザト
リデカン(化合物2)1.5g(7.0mmol)を溶
解したジクロロメタン250mlに溶解し、この溶液を
氷冷しながら塩化プロパノイル2.6g(27.8mm
ol)を溶媒の温度が上がりすぎないように注意しなが
らゆっくりと滴下する。滴下後さらに約12時間室温に
て撹拌を続ける。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣を1
規定水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、ジクロロメタン
による抽出分を溶媒を留去した後、減圧蒸留によって、
1.0mmHg、180℃の留分として化合物3を得
る。収率90%。この化合物3はNMR、IRによって
その構造を確認した。1 H NMR(CDCl3)δ=1.13(6H、t、N
COCH23 )、1.81(2H,quintet、
NCH22 CH2N)、2.26、2.27(12
H、s、NC3 )、2.30〜2.38(4H、q、
NCOC2 CH3)、2.42(4H、t、NC2
2N(CH32)、3.25〜3.45(8H、t、
NC2 CH2N(CH32、NC2 CH22 N)p
pm(TMS)。IR(neat) 3783、297
5、2942、2777、1636(νco)、146
6、1428、1376、1176、1055cm-1
【0019】実施例4 2,12−ジメチル−5,9−ジ−n−プロピル−2,
5,9,12−テトラアザトリデカン(式(4)の化合
物4)の合成 2,12−ジメチル−5,9−ジプロパノイル−2,
5,9,12−テトラアザトリデカン(化合物3)0.
50g(1.7mol)を脱水テトラヒドロフラン50
mlに溶解し、これをあらかじめチリウムアルミニウム
ヒドリド1.6g(40mmol)を懸濁させた脱水エ
ーテル中50mlに窒素気流化、室温で徐々に加え、そ
のまま室温で12時間撹拌を続ける。最終的な溶液に水
2.9g(161mmol)、炭酸カリウム2.8(2
0mmol)を注意深く徐々に加えた後、50℃にて1
時間還流し、固体を濾過によって取り除く。最終的に得
られた溶液を濃縮後、減圧蒸留し、0.1mmHgで1
10℃の留分として化合物4を得る。収率99%。この
化合物4はNMR、IRによってその構造を確認した。1 H NMR(CDCl3)δ=0.87(6H、t、N
CH2CH23 )、1.45(4H、m、NCH2
2 CH3)、1.59)2H、quintet、NCH2
2 CH2N)、2.24、(12H、s、N
3 )、2.34〜2.46(12H、m、NC2
2 N(CH32、NC2 CH22 N)、2.55(4
H、t、NC2 CH2CH2)ppm (TMS)。I
R(neat) 2956、2872、2815、27
66、1466、1378、1263、1098、10
43、836cm-1
【0020】実施例5 trans−ジクロロルテニウム(III)(2,12−
ジメチル−5,9−ジ−n−プロピル−2,5,9,1
2−テトラアザトリデカン)塩化物(式(5)の化合物
5)の合成 前記生成物(化合物4)0.20g(0.67mol)
をあらかじめカリウムペンタクロロアコルテニウム(II
I)酸を脱水エタノール60mlに懸濁してある容器中
に加え、激しく撹拌しながらアルゴン気流した48時間
加熱、還流する。反応溶液を濃縮乾固して残渣に2−プ
ロパノールを加える。析出する塩を濾過により取り除
き、溶液を少量のメタノールに溶かし、LH−20ゲル
濾過カラムクロマトグラフィーによってメタノールで展
開し、黄色のフラクションを集める。集めた溶液を濃縮
後、約50℃に暖めながら最小量の濃塩酸に溶解し、こ
れを冷ましたときに析出する黄色の針状結晶(化合物
5)を濾過によって集め、室温にて減圧乾燥する。収率
14%。この化合物5は元素分析によって組成を確認し
た。またUVスペクトル、サイクリックポルタンメトリ
ーで測定される錯体の還元電位E1/2(Ru(II)/R
u(III)))によってtrans−ジクロロルテニウ
ム(III)錯体としての構造を有することを確認した。 元素分析、C175348.5Ru1Cl3として、実測値
(計算値)=C32.58(32.67)、H8.05
(8.55)、N8.67(8.96)%、吸収スペク
トル(1M HCl)λ=372(ε3200)、31
ch(ε720)nm。酸化還元電位(1M HCl)
1/2(Ru(II)/Ru(III))=70mV vs
Ag/AgCl。IR(KBr) 3406、297
0、2940、1629、1481、1468、142
8、1004、953、796cm-1
【0021】trans−ジクロロルテニウム(III)
三級テトラアミン錯体塩化物(式(6)の化合物6)は
5位、9位の窒素上の置換基がメチル基の場合に、酸塩
化チタンとの反応によって水溶液中で窒素ガスを吸収す
ることがすでに明らかとなっている(T.Takaha
shi、 K.Hiratani、 K.Kasug
a、 E.Kimura、 Chem,Lett, 1
993、1761)。本発明によって得られたN−上に
メチル基以外の置換基を導入した三級テトラアミン配位
子をもつtrans−ジクロロルテニウム(III)錯体
も同様に水中で窒素ガスを吸収する性質を有することを
実証するために、以下の実験を行った。
【0022】試験例1 trans−ジクロロルテニウム(III)(2,12−
ジメチル−5,9−ジ−n−プロピル−2,5,9,1
2−テトラアザトリデカン)塩化物6水和物67.5m
g(108mmol)を水20mlに溶かした溶液を、
セラムキャップをもち、ガスビュレットに接続した反応
容器(図1)に入れ、これに窒素ガスを飽和させたの
ち、密閉して20℃に静置する。この溶液にセラムキャ
ップを貫いて、窒素ガスを飽和させた三塩化チタン
(0.19M)、0.2M塩酸溶液1.09ml(0.
213mmol)をすばやく注入し、その直後からの気
体の体積の変化を時間を追って観測することによって窒
素吸収反応を確認した。このときの気相からの吸収体積
変化を図2に示す。この実験の結果、上記の錯体を前駆
体とした場合、仕込み錯体の約81%が窒素を吸収する
ことがわかる。また反応の半減期は29分であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビュウレット付反応容器の構造説明図。
【図2】吸収窒素体積の終時変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 233/36 9547−4H C07C 233/36 237/10 9547−4H 237/10 (72)発明者 平谷 和久 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 春日 和行 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 足立 貴義 大阪府大阪市西区靭本町2丁目4−11 大 陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 市田 泰三 大阪府大阪市西区靭本町2丁目4−11 大 陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 内野 誠 大阪府大阪市西区靭本町2丁目4−11 大 陽東洋酸素株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表される2,12−ジメ
    チル−4,10−ジオキソ−2,5,9,12−テトラ
    アザトリデカン。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記式(2)で表される2,12−ジメ
    チル2,5,9,12−テトラアザトリデカン。 【化2】
  3. 【請求項3】 下記一般式(3)で表される2,12−
    ジメチル、5,9−ビス炭化水素カルボニル−2,5,
    9,12−テトラアザトリデカン。 【化3】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)
  4. 【請求項4】 下記一般式(4)で表される2,12−
    ジメチル−5,9−ジ炭化水素−2,5,9,12−テ
    トラアザトリデカン。 【化4】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)
  5. 【請求項5】 下記一般式(5)で表されるtrans
    −ジクロロルテニウム(III)(2,12−ジメチル−
    5,9−ジ炭化水素−2,5,9,12−テトラアザト
    リデカン)錯体。 【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)
  6. 【請求項6】 下記式(1) 【化1】 で表されるテトラアミンジアミド化合物の製造方法にお
    いて、N,N−ジメチルグリシンエステルと1,3−プ
    ロパンジアミンとを反応させることを特徴とする前記方
    法。
  7. 【請求項7】 下記式(2) 【化2】 で表されるテトラアミン化合物の製造方法において、下
    記式(1)のテトラアミンジアミド化合物と還元剤とを
    反応させること特徴とする前記方法。 【化1】
  8. 【請求項8】 下記一般式(3) 【化3】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表されるテトラ
    アミンジアミド化合物の製造方法において、下記式
    (2)で表わされるテトラアミン化合物とカルボン酸塩
    化物あるいカルボン酸無水物とを反応させること特徴と
    する前記方法。 【化2】
  9. 【請求項9】 下記一般式(4) 【化4】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)で表される三級テ
    トラアミン化合物の製造方法において、後記一般式
    (3)で表されるテトラアミンジアミド化合物と還元剤
    とを反応させることを特徴とする前記法。 【化3】 (前記式中、Rは炭化水素基を示す)
  10. 【請求項10】 下記一般式(5) 【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を表す)で表されるtra
    ns−ジクロロルテニウム(III)三級テトラアミン錯
    体の製造方法において、下記一般式(4)で表わされる
    三級テトラアミンとカリウムペンタクロロアコルテニウ
    ム(III)(K2RuC16(H2O))とを反応させるこ
    とを特徴とする前記方法。 【化4】
  11. 【請求項11】 下記一般式(5) 【化5】 (前記式中、Rは炭化水素基を表す)で表されるtra
    ns−ジクロロルテニウム(III)三級テトラアミン錯
    体の水溶液に、塩化チタンを加え、窒素ガスと接触させ
    ることを特徴とする窒素の固定化方法。
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