JP2740826B2 - 窒素ガス固定化用溶液及びそれを用いる窒素ガスの固定化方法 - Google Patents

窒素ガス固定化用溶液及びそれを用いる窒素ガスの固定化方法

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JP2740826B2
JP2740826B2 JP8083596A JP8083596A JP2740826B2 JP 2740826 B2 JP2740826 B2 JP 2740826B2 JP 8083596 A JP8083596 A JP 8083596A JP 8083596 A JP8083596 A JP 8083596A JP 2740826 B2 JP2740826 B2 JP 2740826B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒素ガス固定化用
溶液及びそれを用いる窒素ガスの固定化方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】trans−ジクロロ3級テトラアミン
ルテニウム(III)錯体は水溶液中で三塩化チタンと反
応させることで水中の溶存窒素ガスを吸収できることが
すでに示されている(T.Takahashi,K.H
iratani,K.Kasuga,E.Kimur
a,Chem.Lett.,1993,1761)。ま
た、前記錯体のアミン配位子の窒素原子に炭化水素基を
導入したルテニウム(III)錯体が、同様に窒素ガス吸
収能力を持つことも確認されている(特願平7−262
147:窒素固定化能をもつルテニウム3級テトラアミ
ン錯体)。さらに前記錯体のアミン配位子の炭素原子に
炭化水素基を導入したルテニウム(III)錯体について
も、同様に窒素ガス吸収能力を示すことも確認されてい
る。上述したように、N−置換−第3級テトラアミンを
配位子とするルテニウム(III)錯体は、そのルテニウ
ム金属(III)を2価のルテニウム金属(II)に還元す
ることにより、水溶液中で窒素ガスを吸収する能力をも
つが、その吸収速度は遅く、ガス分離や検出に応用して
工業化するには十分な速度とは言えなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、窒素ガス吸
収速度の高められた窒素ガス固定化用溶液及びそれを用
いる窒素ガスの固定化方法を提供することをその課題と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、N−置換第3級ポリ
テトラアミンを配位子とするルテニウム(III)錯体を
水と有機溶媒との混合液に溶解させた溶液からなる窒素
ガス固定化用溶液が提供される。また、本発明によれ
ば、前記窒素ガス固定化用溶液に、3価のルテニウム
(III)金属を2価のルテニウム(II)金属に還元する
還元剤を添加して、該3価のルテニウム金属(III)を
2価のルテニウム金属(II)に還元するとともに、該溶
液に窒素ガスを接触させ、該窒素ガスをルテニウム(I
I)錯体に固定化させることを特徴とする窒素ガスの固
定化方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】ルテニウム(III)錯体の配位子
としては、第3級アミノ基を4個有するN−置換第3級
テトラアミン、好ましくは、2,5,9,12−テトラ
炭化水素置換−2,5,9,12−テトラアザトリデカ
ンが好ましく用いられる。このようなN−置換第3級テ
トラアミンの例としては、例えば、以下のようなものが
挙げられる。
【化3】 (式中、Rは炭化水素基を示す)
【化4】 (式中、R1、R2は水素又は炭化水素基を示す) 前記炭化水素基には、鎖状又は環状のアルキル基、アリ
ール基、アルアルキル基等が包含される。アルキル基と
しては炭素数1〜12、好ましくは2〜4のアルキル基
や、シクロヘキシル基等が挙げられる。アリール基とし
ては、フェニル基やトリル基、ナフチル基等が挙げられ
る。アルアルキル基としては、ベンジル基やフェネチル
基等が挙げられる。
【0006】前記一般式(3)で示されるテトラアミン
は、以下のようにして製造される。先ず、下記一般式
(5)
【化5】 で表される2,12−ジメチル−2,5,9,12−テ
トラアザトリデカンを合成する。このものは、N,N−
ジメチルグリシンエステルと1,3−プロパンジアミン
とから以下の2段階の行程により製造される。 (1)行程1 この行程はN,N−ジメチルグリシンエステルと1,3
−プロパンジアミンとの反応によって式(I)の2,1
2−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,5,9,12
−テトラアザトリデカンを得るものである。この行程に
おける反応を式で示すと以下の通りである。
【化6】 この反応は無溶媒ないしエタノール、メタノール、2−
プロパノール等、アルコール系溶媒中において、好まし
く行われる。またこの反応は50℃から150℃におい
て好ましくは行われる。
【0007】(2)行程2 この行程においては前記で得られた式(I)の2,12
−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,5,9,12−
テトラアザトリデカンと還元剤、好ましくは水素化リチ
ウムアルミニウムとの反応によって、式(5)の2,1
2−ジメチル−2,5,9,12−テトラアザトリデカ
ンを得るものである。この行程における反応を式で示す
と以下の通りである。
【化7】 前記反応はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒中において行わ
れる。またこの反応は20℃から120℃において好ま
しく行われる。
【0008】次に、このようにして得られた式(5)で
表される2,9−ジ炭化水素−2,12−ジメチル−
2,5,9,12−テトラアザトリデカンを用い、以下
の2段階の行程によって、前記一般式(3)で表わされ
る化合物を合成する。 (1)行程1 この行程においては、下記式(5)
【化5】 で表わされるテトラアミンとRCOClで表されるカル
ボン塩化物もしくは(RCO)2Oで表されるカルボン
酸無水物との反応によって下記一般式(8)
【化8】 で表されるテトラアミンジアミド体、即ち、5,9−ジ
炭化水素カルボニル−2,5,9,12−テトラアザト
リデカンが合成される。この行程における反応を式で示
すと以下のとおりである。
【化9】 反応は塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド中
で行われる。また前記反応においては溶媒中に塩基を共
存させておくことが好ましい。この場合、塩基としては
トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが用いられる。
【0009】(2)行程2 この行程においては前記式(8)の化合物を還元剤、好
ましくは水素化リチウムアルミニウムと反応させること
によって、下記一般式(3)
【化3】 で表されるN−置換3級テトラアミンである、2,12
−ジメチル−5,9−ジ炭化水素−2,5,9,12−
テトラアザトリデカンが合成される。この場合の反応は
次式で示される。
【化10】 前記反応は、好ましくはアミド1モルあたり4モルから
5モルの水素化リチウムアルミニウムを用いて行う。反
応温度は20℃から120℃である。溶媒はジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
系溶媒が好ましく用いられる。
【0010】前記式(4)で表わされるN−置換3級テ
トラアミンは、以下のようにして製造される。先ず、下
記式(11)
【化11】 (前記式中、R1、R2は水素または炭化水素基を示す)
で表されるテトラアミンジアミド化合物を合成する。こ
のものは、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン
とマロン酸誘導体、好ましくは酸塩化物とを反応させる
ことにより合成される。この反応を、式で示すと以下の
ようになる。
【化12】 (前記式中、R1、R2は水素または炭化水素基、Xは水
酸基、アルコキシ基またはハロゲンを示す)
【0011】次に、下記式(4)
【化4】 で表されるテトラアミン化合物を得るために、前記式
(11)のテトラアミンジアミド化合物を還元剤、好ま
しくは水素化ホウ素化合物、水素化リチウムアルミニウ
ム、アルキルアルミニウム水素化物等によって、エーテ
ル系溶媒中で還元する。この反応を、式で示すと以下の
ようになる。
【化13】
【0012】本発明による前記一般式(3)のN−置換
3級テトラアミンを配位子とするルテニウム(III)錯
体は、一般式(3)のテトラアミンに、カリウムペンタ
クロロアコルテニウム(III)〔K2RuCl5(O
2)〕を反応させることにより得ることができる。こ
のようにして得られるルテニウム(III)錯体は、次の
式で表わされるtrans−ジクロロルテニウム(II
I)錯体である。
【化1】 (前記式中、Rは炭化水素基を示し、Ruは3価の価数
を有する) この場合の反応を式で示すと以下のようになる。
【化14】 上記反応は、50℃から150℃において行われる。溶
媒としてはエタノール、メタノール、エチレングリコー
ル、2−メトキシエタノールなどが用いられる。反応後
の溶液を濃縮後、2−プロパノールに溶解する成分のみ
をLH−20カラムクロマトグラフィーを用いて溶離
し、黄色いフラクションを分取し、濃縮後濃塩酸から再
結晶によってこの錯体を黄色の針状結晶として単離する
ことができる。
【0013】前記一般式(3)で表される5,9−ジ炭
化水素−2,12−ジメチル−2,5,9,12−テト
ラアザトリデカンは、その分子中に含まれる4個の第3
級アミノ基によって三価ルテニウムイオンとの安定な錯
体を形成し、置換基の立体障害のためにtrans−ジ
クロロ錯体が選択的に得られる。
【0014】このtrans−ジクロロルテニウム(II
I)N−置換第3級テトラアミン錯体は、水溶液中で三
塩化チタンと反応させると、3価のRu(III)は瞬時
に還元を受けてRu(II)となり、窒素ガスを吸収する
ことができるようになる。この反応を溶液内のイオン反
応式で示すと以下のようになる。
【化15】 (前記式中、Rは炭化水素基、Xは水また塩化物イオン
を表す)
【0015】本発明による前記一般式(4)のN−置換
3級テトラアミンを配位子とするルテニウム(III)錯
体は、一般式(4)のテトラアミンに、カリウムペンタ
クロロアコルテニウム(III)〔K2RuCl5(O
2)〕を反応させることにより得ることができる。こ
のようにして得られるルテニウム(III)錯体は、次の
式で表わされるtrans−ジクロロルテニウム(II
I)錯体である。
【化2】 この場合の反応を式で示すと以下のようになる。
【化16】
【0016】本発明による窒素ガス固定化用溶液を調製
するには、N−置換第3級テトラアミン配位子とするル
テニウム(III)錯体、例えば、前記一般式(1)又は
(2)で表わされるルテニウム(III)錯体を、水と有
機溶媒との混合液に溶解させる。この場合、有機溶媒と
しては、アルコールが好ましく用いられる。この物のア
ルコールには一価アルコール及び多価アルコールが包含
される。一価アルコールとしては、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等
が挙げられる。また、有機溶媒は、アルコールに限られ
るものではなく、水溶性を有する中性有機溶媒であれば
任意のものを用いることができる。このようなものとし
ては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリ
コールメチルエーテル等のエーテル等が挙げられる。水
と有機溶媒との比率は特に制約されないが、水と有機溶
媒との混合液に対し、水の割合は10〜90重量%、好
ましくは30〜60重量%である。また、ルテニウム
(III)錯体の割合は、水と有機溶媒との混合液に対
し、少なくとも0.1重量%であり、その上限はその飽
和溶解度である。一般には0.2〜0.5重量%程度で
ある。このルテニウム(III)錯体溶液は、それ自体で
は窒素ガスを吸収固定化するものではないが、これに還
元剤を加え、3価のルテニウム金属Ru(III)を、2
価のルテニウム金属Ru(II)に還元させると、窒素ガ
スを吸収固定化する能力が付与され、この溶液に窒素ガ
スを接触させると、その窒素ガスを吸収固定化させる。
ルテニウム(III)錯体溶液に加える還元剤は、3価の
Ru(III)を2価のRu(II)に還元し得るものであ
ればどのようなものでもよいが、三塩化チタンの使用が
好ましい。また、還元剤としては、三塩化チタンの他、
二塩化クロム等も使用可能である。このような還元剤
は、ルテニウム金属1モル当り、1〜10モル、好まし
くは1〜2モルの割合で用いられる。還元剤は、水溶液
や、有機溶媒溶液として使用するのが好ましい。
【0017】本発明の窒素ガス固定化用溶液は、水と有
機溶媒との混合液をルテニウム錯体の溶媒として用いた
ことから、高められた窒素ガスの吸収反応速度を示す。
【0018】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0019】参考例1 (1)2,12−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,
5,9,12−テトラアザトリデカン(化合物A)の合
成 N,N−ジメチルグリシンエチルエステル47.1g
(359mmol)と1,3−ジアミノプロパン13.
2g(0.178mmol)とを500mlのエタノー
ル中に混合し、3日間加熱還流する。溶媒ならびに未反
応の原料を減圧留去した後、減圧蒸留を行って0.1m
mHg、170℃の留分として化合物Aを得ることがで
きる。この物質は常温では無色の固体である。収率8
%、融点86.7〜87.7℃。
【0020】(2)2,12−ジメチル−2,5,9,
12−テトラザトリデカン(化合物B)の合成 2,12−ジメチル−4,10−ジオキソ−2,5,
9,12−テトラアザトリデカン(化合物A)2.8g
(11.5mmol)をあらかじめリチウムアルミニウ
ムヒドリド3.8g(99mmol)を懸濁してある脱
水ジエチルエーテル250ml中に徐々に加え、窒素気
流下、室温で12時間撹拌を行う。反応後、水7.1g
(395mmol)、炭酸カリウム6.8g(50mm
ol)を加え、50℃で1時間加熱撹拌する。反応液中
に析出する固体を濾過によってのぞき、溶媒を留去した
後、減圧蒸留を行って0.1mmHg、100℃の留分
として化合物Bを得ることができる。収率70%。
【0021】(3)2,12−ジメチル−5,9−ジイ
ソブタノイル−2,5,9,12−テトラアザトリデカ
ン(化合物C)の合成 2,12−ジメチル−2,5,9,12−テトラアザト
リデカン(化合物B)0.92g(4.3mmol)と
炭酸カリウム0.87g(6.5mmol)を脱水ジメ
チルホルムアミド50mlに溶解し、これにイソ酪酸無
水物をゆっくり加えた。その後、オイルバスで80℃に
加温して12時間撹拌した。反応後、溶媒を減圧留去
し、残渣を1規定水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、エ
ーテルによる抽出分を溶媒を留去した後、減圧蒸留によ
って、1.0mmHg、220℃の留分として化合物C
を得る。収率58%。
【0022】(4)2,12−ジメチル−5,9−ジイ
ソブチル−2,5,9,12−テトラアザトリデカン
(化合物D)の合成 2,12−ジメチル−5,9−ジイソブタノイル−2,
5,9,12−テトラアザトリデカン(化合物C)0.
80g(2.2mmol)をあらかじめリチウムアルミ
ニウムヒドリド1.0g(26mmol)を懸濁させた
脱水エーテル100mlに窒素気流化、室温で徐々に加
え、そのまま室温で12時間撹拌を続ける。最終的な溶
液に水1.9g(106mmol)、炭酸カリウム1.
8(13mmol)を注意深く徐々に加えた後、50℃
にて1時間還流し、固体を濾過によって取り除く。最終
的に得られた溶液を濃縮後、減圧蒸留し、0.1mmH
gで130℃の留分として化合物Dを得る。収率96
%。
【0023】(5)trans−ジクロロルテニウム
(III)(2,12−ジメチル−5,9−ジイソブチル
−2,5,9,12−テトラアザトリデカン)塩化物
(化合物E)の合成 前記生成物(化合物D)0.60g(1.8mmol)
をあらかじめカリウムペンタクロロアコルテニウム(II
I)を脱水エタノール100mlに懸濁してある容器中
に加え、激しく撹拌しながらアルゴン気流下で72時間
加熱、還流する。反応溶液を濃縮乾固して残渣に2−プ
ロパノールを加える。析出する塩を濾過により取り除
き、溶液を少量のメタノールに溶かし、LH−20ゲル
濾過カラムクロマトグラフィーによってメタノールで展
開し、褐色のフラクションを集める。集めた溶液を濃縮
後、約50℃に暖めながら最小量の濃塩酸に溶解し、こ
れを冷ましたときに析出する赤褐色の針状結晶(化合物
E)を濾過によって集め、室温にて減圧乾燥する。収率
16%。この化合物Eは元素分析によって組成を確認し
た。またUVスペクトル、サイクリックポルタンメトリ
ーで測定される錯体の還元電位E1/2(Ru(II)/R
u(III)))によってtrans−ジクロロルテニウ
ム(III)錯体としての構造を有することを確認した。
【0024】参考例2 参考例1の(3)において、イソ酪酸無水物の代りにク
ロロギ酸エチル(ClCOOC25)を用いた以外は同
様にして実験を行って、trans−ジクロロルテニウ
ム(III)(2,5,9,12−テトラエチル−2,
5,9,12−テトラアザトリデカン)塩化物Fを得
た。
【0025】参考例3 (1)2,5,7,7,9,12−ヘキサメチル−6,
8−ジオキソ−2,5,9,12−テトラアザトリデカ
ン(化合物G)の合成 ジメチルマロン酸クロライド2g(11.4mmol)
をベンゼン200mlに溶かし、トリエチルアミン2.
35g(35.2mmol)を加えて撹拌した。これ
に、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン3.5
6g(34.8mmol)を加え、20℃で18時間撹
拌した。反応後、溶媒を減圧留去し、水酸化ナトリウム
水溶液にとかし、エーテルで抽出した。エーテルを減圧
留去後、減圧蒸留を行い、0.1mmHg、140℃の
留分として化合物Gが2.79g(9.3mmol)得
られた。収率79%。この物質は、常温で淡黄色の液体
である。
【0026】(2)2,5,7,7,9,12−ヘキサ
メチル−2,5,9,12−テトラアザトリデカン(化
合物H)の合成 2,5,7,7,9,12−ヘキサメチル−6,8−ジ
オキソ−2,5,9,12−テトラアザトリデカン(化
合物G)2.05g(6.8mmol)を、あらかじめ
リチウムアルミニウムヒドリド2.7g(71.2mm
ol)を懸濁してあるジエチルエーテル150ml中に
徐々に加え、常温で21時間撹拌した。反応後、水5.
1g(285mmol)、炭酸カリウム4.9g(3
5.6mmol)を加え、50℃で約1時間加熱撹拌す
る。反応液中に析出する固体を濾過によって除去し、溶
媒を減圧留去した後、減圧蒸留すると0.1mmHg、
80℃の留分として化合物Hが1.50g得られた。収
率80%。この物質は、常温で無色透明の液体である。
【0027】(3)trans−ジクロロルテニウム
(III)(2,5,7,7,9,12−ヘキサメチル
−2,5,9,12−テトラアザトリデカン)塩化物
(化合物J)の合成 2,5,7,7,9,12−ヘキサメチル−2,5,
9,12−テトラアザトリデカン(化合物H)0.20
g(0.67mmol)を、あらかじめカリウムペンタ
クロロアコルテニウム(III)一水和物〔K2RuC
5(OH2)〕0.25g(0.67mmol)をエタ
ノール60mlに懸濁したものに加え、撹拌しながら4
5時間環流した。反応後、濾過して未反応物を除き、溶
媒を留去して少量の2−プロパノールに溶かすと塩が析
出してくる。この塩も濾過によって除去し、溶媒を留去
後少量のメタノールを加え溶かして、ジエチルエーテル
を加えると、まもなく沈殿が発生する。沈殿を濾過し
て、この沈殿に少量の濃塩酸を加えてとかし、常温で静
置した。結晶が成長したところで濾過し、結晶をジエチ
ルエーテルで洗うと、黄色針状晶の化合物Kが0.22
g得られた。収率41%。この化合物Jは、元素分析に
よって組成を確認した。また、UVスペクトル、サイク
リックボルタンメトリーで測定される錯体の酸化還元電
位E1/2(Ru(II)/Ru(III))によってt
rans−ジクロロルテニウム(III)錯体としの構
造を有することを確認した。
【0028】実施例1 参考例2で得た化合物F・6水和物48.4mg(0.
086mmol)を、メタノール10mlと水10ml
との混合液に溶かして、溶液Iを調製した。
【0029】実施例2 参考例2で得た化合物F・6水和物47.2mg(0.
084mmol)を、メトキシエタノール10mlと水
10mlとの混合液に溶かして、溶液IIを調製した。
【0030】実施例3 参考例2で得た化合物F・6水和物47.2mg(0.
084mmol)を、2−プロピルアルコール10ml
と水10mlとの混合液に溶かして、溶液IIIを得た。
【0031】比較例1 参考例1において、溶媒として水20mlを用いた以外
は同様にして、溶液C(I)を得た。
【0032】実施例4 参考例1で得た化合物E・3水和物46.5mg(0.
077mmol)を、2−プロパノール10mlと水1
0mlとの混合液に溶かして、溶液IVを得た。
【0033】比較例2 実施例4において、溶媒として水20mlを用いた以外
は同様にして、溶液C(IV)を得た。
【0034】実施例5 参考例3で得た化合物J・1.5水和物61.4mg
(0.121mmol)を、水10mlと2−プロパノ
ール10mlとの混合液に溶かして、溶液Vを得
【0035】比較例3 実施例5において、溶媒として水20mlを用いた以外
は同様にして、溶液C(V)を得た。た。
【0036】実施例6 前記で得た各溶液の窒素ガスの吸収固定化能を調べるた
めに、以下に示す窒素ガス固定化テストを行った。
【0037】(窒素ガス固定化テスト)試験装置とし
て、内部圧を一定気圧に保つようにセラムキャップを有
する反応溶媒にガスビュレットを接続した装置を用い
た。その装置の構造図を図1に示す。溶液の窒素ガス固
定化テストを行うには、容器内に溶液を入れ、窒素ガス
を吹込んで溶液中にあらかじめ窒素ガスを飽和させた
後、内部空間を密閉し、容器を20℃に保持する。次
に、この容器内に、セラムキャップを通じて、三塩化チ
タン溶液1.10mlをすばやく注入し、その直後か
ら、窒素ガスの吸収による内部気圧の低下に応じて上昇
する10%硫酸ナトリウム水溶液の液面位を時間と関連
させて記録する。また、この場合、容器内の圧力を一定
に保持するために、液溜の高さを上昇する液面高さに合
せた。前記窒素ガス固定化テストの結果を、各溶液との
関連で表1〜表3に示す。
【0038】なお、表中に示した窒素固定化率は、以下
のように定義される。 (窒素固定化率)本錯体は、1分子当たり最大1分子の
窒素ガスを固定する。
【0039】また、表中に示した還元剤の具体的内容は
以下の通りである。 (還元剤A)メタノール5mlと0.2M塩酸5mlと
の混合液に三塩化チタン9.5mmolを溶解させたも
の。反応溶媒にはその1.10ml(Ti含量:0.2
09mol)を添加した。 (還元剤B)還元剤Aにおいて、メタノールの代りにメ
トキシエタノールを含むもの。 (還元剤C)還元剤Aにおいて、メタノールの代りに2
−プロピルアルコールを含むもの。 (還元剤Z)0.2M塩酸10mlに三塩化チタン9.
5mmolを溶解させたもの。
【0040】(1)溶液I、溶液II、溶液III及び溶液
C(I)についての窒素固定化テストの結果を表1に示
す。
【表1】 前記テストの結果、溶液I、溶液II及び溶液IIIの窒素
吸収初速度は、溶液C(I)のそれよりも、それぞれ、
約6倍、約2倍及び約12倍加速されることがわかっ
た。
【0041】(2)溶液IV及び溶液C(IV)についての
窒素固定化テストの結果を表2に示す。
【表2】 前記テストの結果、溶液IVの窒素吸収初速度は、溶液C
(IV)のそれよりも、約5倍加速されることがわかっ
た。
【0042】(3)溶液V及び溶液C(V)についての
窒素固定化テストの結果を表3に示す。
【表3】 前記テストの結果、溶液Vの窒素吸収初速度は、溶液C
(V)のそれよりも、約4倍加速されることがわかっ
た。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、窒素ガスを迅速に吸収
固定化することができる。従って、本発明は、空気中か
らの窒素の除去技術や、空気中から窒素を除去すること
による酸素富化空気の製造技術等として有利に適用され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応容器の構造説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 利和 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 春日 和行 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 足立 貴義 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 内野 誠 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 市田 泰三 大阪府大阪市西区靭本町二丁目4番11号 大陽東洋酸素株式会社内 (72)発明者 中辻 利一 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 仲山 一郎 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 岡本 歩 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 川上 浩 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (72)発明者 伊東 延義 東京都港区西新橋一丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 審査官 脇村 善一 (56)参考文献 特開 平9−77785(JP,A) Chemistry Letters (1993),第1329〜1332頁 Chemistry Letters (1993),第1761〜1764頁

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−置換3級テトラアミンを配位子とす
    るルテニウム(III)錯体を水と有機溶媒との混合液に
    溶解させた溶液からなる窒素ガス固定化用溶液。
  2. 【請求項2】 前記ルテニウム(III)錯体が、式
    (1) 【化1】 (式中、Rは炭化水素基を示し、Ruは3価の価数を有
    する) または式(2) 【化2】 (式中、R1、R2は水素原子または炭化水素基を示し、
    Ruは3価の価数を有する)で表される錯体であること
    を特徴とする請求項1の窒素ガス固定化用溶液。
  3. 【請求項3】 有機溶媒がアルコールである請求項1又
    は2の窒素ガス固定化用溶液。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの窒素ガス固定
    化用溶液に3価のルテニウム(III)金属を2価のルテ
    ニウム(II)金属に還元する還元剤を添加して、該3価
    のルテニウム金属(III)を2価のルテニウム金属(I
    I)に還元するとともに、該溶液に窒素ガスを接触さ
    せ、該窒素ガスをルテニウム(II)錯体に固定化させる
    ことを特徴とする窒素ガスの固定化方法。
  5. 【請求項5】 還元剤として三塩化チタン溶液を使用す
    る請求項4の窒素ガスの固定化方法。
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Chemistry Letters(1993),第1329〜1332頁
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