JP4314602B2 - 光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬や農薬原料として有用な光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法として、光学活性3−ヒドロキシ−2,5−ピロリジンジオン誘導体を活性化水素化ホウ素アルカリで還元する方法が知られている(特開平8−169878号公報)。
【0003】
【化5】
Figure 0004314602
【0004】
また、還元原料である光学活性3−ヒドロキシ−2,5−ピロリジンジオン誘導体の製造法として、安価な光学活性リンゴ酸からの製造も開示されている。
【0005】
【化6】
Figure 0004314602
【0006】
本法は優れた製造法であるが、還元原料である光学活性3−ヒドロキシ−2,5−ピロリジンジオン誘導体を製造するには、光学活性リンゴ酸とベンジルアミンを塩基性条件下にてクメンの沸点152〜153℃で共沸脱水する工程を経るためにラセミ化を併発し、高い光学純度の光学活性3−ヒドロキシ−2,5−ピロリジンジオン誘導体を得ることは難しい。得られた粗精生成物を直接還元反応の原料として使用すると、高い光学純度の3−ヒドロキシピロリジン誘導体を製造することは難しく、高い光学純度品を製造するには精製工程が必要となる。従って、光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体を安価に製造する方法が求められている。
【0007】
すなわち本発明は、一般式(1)または一般式(2)
【0008】
【化7】
Figure 0004314602
【0009】
(ここで、R1は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基、アリール基、およびアラルキル基から選ばれた基を示す。*は、この記号が付いている炭素原子が不斉中心であることを示す。)で表される光学活性リンゴ酸誘導体を還元剤共存下、pH11〜14で反応させることを特徴とする一般式(3)
【0010】
【化8】
Figure 0004314602
【0011】
(ここで、R2、*は式(1)と同じ)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体を製造する方法である。さらに、製造された一般式(3)
【0012】
【化9】
Figure 0004314602
【0013】
で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体(ここで、R2は置換あるいは無置換のベンジル基を示す。また、*はこの記号が付いている炭素原子が不斉中心であることを示す。)を水素化分解して一般式(4)
【0014】
【化10】
Figure 0004314602
【0015】
(ここで、*はこの記号が付いている炭素原子が不斉中心であることを示す。)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジンを製造する方法である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明の目的は、安価な原料から、少ない工程数で、高収率で、かつラセミ化を抑制して、高い光学純度の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は安価な光学活性リンゴ酸から、穏和な反応条件で製造できる一般式(1)、または一般式(2)で表される光学活性リンゴ酸誘導体、またはそれらの混合物を還元することにより、一般式(3)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体を直接製造する方法である。さらに、製造した一般式(3)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体に於いて、R2が置換あるいは無置換のベンジル基の場合には、引き続き水素化分解することにより、1位が無置換の式(4)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジンを製造する方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明においては、一般式(1)、または一般式(2)で表される光学活性リンゴ酸誘導体をまとめて、光学活性リンゴ酸誘導体と称す。ここで、一般式(1)または(2)で表される光学活性リンゴ酸誘導体は、L体(S体)とD体(R体)の何れが過剰の光学活性体をも包含する。また、一般式(3)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体、および1位が無置換の(4)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジンも、S体(L体)とR体(D体)の何れが過剰の光学活性体をも包含する。
【0019】
本発明の原料である光学活性リンゴ酸誘導体とは、光学活性リンゴ酸の一方のカルボキシル基がアミド基であり、他方のカルボキシル基がエステル基である、前記一般式(1)、あるいは前記一般式(2)の化合物が使用できる。具体的には、光学活性リンゴ酸ベンジルアミドメチルエステル、光学活性リンゴ酸ベンジルアミドエチルエステル、光学活性リンゴ酸メチルアミドメチルエステル、光学活性リンゴ酸アニリドメチルエステル、光学活性リンゴ酸(4−メチルベンジル)アミドメチルエステル等が好ましく使用でき、光学活性リンゴ酸ベンジルアミドメチルエステル、光学活性リンゴ酸(4−メチルベンジル)アミドメチルエステルが特に好ましい。これらの化合物は下記反応式により、容易に製造することができる。
【0020】
【化11】
Figure 0004314602
【0021】
例えば、光学活性リンゴ酸を10〜40℃で無水酢酸と反応させて光学活性O−アセチルリンゴ酸無水物とした後、室温近辺で等モルのアミン類をと反応させ、次いでアルコール中で塩化チオニルと反応させることで、容易に一般式(1)、と一般式(2)の光学活性リンゴ酸誘導体の混合物を製造することができる。本発明では、これらの化合物を単独でも、あるいはいかなる割合の混合物としても使用することができる。また、単離されたものでも、粗精製物でも使用することができる。これら光学活性リンゴ酸誘導体の光学純度は95%ee以上が好ましく、99%ee以上が特に好ましい。光学純度が低いと、還元生成物である一般式(3)で示される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の光学純度も低くなり、精製工程が必要となる。
【0022】
還元反応は溶媒中で行うのが好ましく、使用する溶媒はイソプロパノールやブタノール等の炭素数3以上のアルコール類、テトラヒドロフラン、グライム、ジグライム等のエーテルが使用できる。好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、グライム、またはジグライムであり、これらの混合溶媒も使用することができるが、ジグライムが特に好ましい。反応基質の濃度は3〜20%が好ましく、この範囲であれば収率や作業性に問題ない。
【0023】
反応方法は、溶媒と光学活性リンゴ酸誘導体を混合してから開始するが、還元反応に先立って反応混合溶液のpHを11〜14以上に調整しておくのが好ましい。光学活性リンゴ酸誘導体を精製しないで使用する場合には、エステル化触媒の酸が混入しているために反応液のpHは酸性サイドにあるので、通常はソジウムメトキサイド等の強塩基を添加して調整する。もし、酸性サイドで還元反応を開始すると、不純物の生成量が増し、収率低下に繋がるので好ましくない。
【0024】
還元剤としては水素化リチウムアルミニウムや水素化ホウ素化合物を使用できるが、好ましくは化学的に安定で、取扱が容易な水素化ホウ素化合物である。水素化ホウ素化合物としては、ジボラン、ボラン・ジエチルエーテル、ボラン・ジメチルスルフィド、水素化ホウ素ナトリウム、あるいは水素化ホウ素リチウムが好ましく、水素化ホウ素ナトリウムが特に好ましい。還元剤の使用量は、光学活性リンゴ酸誘導体に対して3〜6倍モルが好ましく、3.2〜4.2倍モルが特に好ましい。この範囲であれば反応収率も高く、薬品費の負担も少ない。
【0025】
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを使用する場合には、活性化剤を添加すると、穏和な条件で反応が進行するので、より好ましい。活性化剤としては硫酸、塩酸、トリフルオロホウ素等のハロゲン化ホウ素、ヨード、臭素が好ましく、硫酸、塩酸、トリフルオロホウ素が特に好ましい。ここで使用するトリフルオロホウ素はジエチルエーテル錯体の形態で使用することもできる。活性化剤の使用量は活性化剤の種類によって異なり、通常は水素化ホウ素ナトリウムに対して、0.5〜1.5倍モルであるが、反応系のpHを11から14、さらに好ましくはpH11〜13に維持する量であり、pHを確認しながら添加するのが好ましい。反応温度は−20〜80℃が好ましく、より好ましくは−10〜30℃である。反応時間は条件によって異なるが、通常は3〜20時間である。還元反応の方法は、好ましくはpHを11〜14、さらに好ましくはpH11〜13に調整した光学活性リンゴ酸誘導体混合溶液に還元剤を添加して反応させるのが好ましい。ここで、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを使用する場合には、前記光学活性リンゴ酸誘導体混合溶液に使用する水素化ホウ素ナトリウムを全て添加した後、活性化剤を反応系のpHが11から14を維持する速度で添加して還元反応を進行させるのが好ましい。反応が進行すると、水素が発生し、反応溶液が昇温するので、反応液温度を所定温度に保つよう冷却しながら、注意して反応させるのが好ましい。水素発生が殆ど終了してから、熟成を目的として60〜90℃に昇温させて、反応を完結させる。反応時間は反応条件によって異なるが、通常は2〜20時間である。かくして式(3)で表される光学活性1−置換−3−ヒドロキシピロリジン誘導体が得られる。
【0026】
反応終了後、生成した光学活性1−置換−3−ヒドロキシピロリジンを単離するために反応溶液をpH3以下に調整し、60〜90℃で1〜5時間分解反応させる。次いで、通常の方法で単離することができる。例えば、反応溶液を塩基性に調整した後、遊離状態となった光学活性1−置換−3−ヒドロキシピロリジン誘導体を抽出する方法が採用される。抽出液を濃縮・真空蒸留すれば、精製された高い光学純度の光学活性1−置換−3−ヒドロキシピロリジン誘導体が得られる。一例として、光学純度が99.5%ee以上のL−リンゴ酸を原料に、本法で製造し、蒸留した(S)−1−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジンの旋光度を測定すると[α]Dは−4.5゜(C=1.5、メタノール)であり、公知例(特開平8−169878号公報)の[α]D −3.6゜(C=1.5、メタノール)より高い事から、本法は高い光学純度の光学活性1−置換−3−ヒドロキシピロリジン誘導体を得る製造法といえる。
【0027】
かくして得られた一般式(3)で表される光学活性1−置換−3−ヒドロキシピロリジン誘導体において、1位の置換基が置換または無置換のベンジル基の場合には、貴金属触媒存在下にて水素化分解することにより、1位が無置換の光学活性3−ヒドロキシピロリジンを製造することができる。
【0028】
貴金属触媒としては活性炭に担持されたパラジウムが好ましい。水素圧は0.2〜5MPaが好ましく、さらに好ましくは0.5〜4MPaである。
【0029】
水素化分解は溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、テトラヒドロフラン等のエーテル、トルエン等の芳香族炭化水素が好ましく使用できる。さらに好ましくは水、メタノール、エタノールまたはプロパノールである。
【0030】
反応温度は20〜100℃が好ましく、さらに好ましくは50〜90℃である。反応時間は条件によって異なるが、通常は3〜20時間である。かくして一般式(4)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジンが得られる。
反応後、生成した光学活性3−ヒドロキシピロリジンは通常の方法で単離することができる。たとえば反応液を濾過して貴金属触媒を濾別してから濃縮・蒸留することで、光学活性3−ヒドロキシピロリジンを得ることができる。
【0031】
以上の方法によれば、一般式(1)または(2)で表される光学活性リンゴ酸誘導体から、少ない工程数で、高収率で、かつ高い光学純度で、光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体が製造できる。また、還元反応において、還元剤として、化学的に安定で、取扱が容易な水素化ホウ素化合物を用いることができる点でも好ましい。
【0032】
また、一般式(1)または(2)で表される光学活性リンゴ酸誘導体は、安価な光学活性リンゴ酸を出発原料として製造できる点も本発明の有利な点である。本発明においては、一般式(1)または(2)で表される光学活性リンゴ誘導体として、光学活性リンゴ酸以外の原料から製造したものでも使用可能であるが、経済性の点で、安価な光学活性リンゴ酸を出発原料とすることが特に好ましい。
【0033】
【実施例】
以下、実施例で詳しく説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。式(3)で示される1−置換−3−ヒドロキシピロリジン誘導体の光学純度は、下記式に従って光学活性酒石酸誘導体(東レ(株)製)に化学誘導してからHPLC分析して求めた。
【0034】
【化12】
Figure 0004314602
【0035】
また、実施例で使用した試薬は、市販の試薬1級グレード品を使用した。
【0036】
実施例1
攪拌機、滴下ロート、ジムロート、温度計を装着した1000mlの4口フラスに、ジグライム400ml、水素化ホウ素ナトリウム15.3g(0.4モル)を仕込み、水冷下にて攪拌しながら2種の(S)−L−リンゴ酸ベンジルアミドメチルエステル混合物(一般式(1)と(2)のR1がメチル基、R2がベンジル基の混合物)23.7g(0.1モル)を添加し、5時間攪拌した。この溶液のpHは11以上であった。次いで、液温が30℃以下を保つ速度で98%硫酸19.5g(0.195モル)とジグライム20mlの混合溶液を約1時間で滴下し、更に2時間攪拌した。反応液を60℃に昇温し、さらに2時間攪拌した。反応終了後、17.5wt%の塩酸水溶液84g(0.4モル)を3時間かけて滴下し、更に60℃で2時間攪拌した。次いで、反応液を65〜70℃、1.3kPaで減圧濃縮し、大部分のジグライムを除去した。濃縮物にトルエン200mlと水50gを加え、室温下にて攪拌しながら46%水酸化ナトリウム40gを加えて塩基性に調整した後、トルエン層を分液した。水層にトルエン200mlを加えて抽出し、抽出トルエン層を纏めて減圧濃縮し、131〜135℃/133Paの留分として、(S)−1−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジンを10.3g得た。L−リンゴ酸からの収率は58.0%であった。(化学純度99.2%、光学純度99.0%ee)
実施例2
攪拌機、滴下ロート、ジムロート、温度計を装着した300mlの4口フラスコに、酢酸100gとL−リンゴ酸13.4g(0.10モル)を仕込み、30℃で攪拌しながら98%硫酸0.10mlを添加し、ついで無水酢酸20.5g(0.20モル)を約30分間で滴下した。ついで、30℃で更に6時間攪拌してO−アセチル−L−リンゴ酸無水物を得た。引き続き、反応液を30℃で攪拌しながら、ベンジルアミン10.2g(0.09モル)を約30分間で滴下し、40℃で2時間熟成反応して、O−アセチル−L−リンゴ酸ベンジルアミド(2種の位置異性体混合物)を得た。反応液を60℃で、2.7kPaで減圧濃縮し、濃縮液が約30gになるまで酢酸を除去した。濃縮液にメタノール32g(1.0モル)を加え、30℃で攪拌しながら塩化チオニル14.3gを約30分間で滴下し、更に40℃で3時間熟成反応させ、L−リンゴ酸誘導体(一般式(1)、(2)で、R1がメチル基、R2がベンジル基の2種の位置異性体混合物)を得た。反応液を60℃、2.7kPaで減圧濃縮し、濃縮液が約25gになるまでメタノールを除去した。濃縮液にジグライム115.2gを加え、室温下にて攪拌しながらソジウムメトキサイド約2gを添加し、pHを11〜13に調整した。次いで、20℃で攪拌しながら水素化ホウ素ナトリウム15.2gを約30分間で添加したのち、更に5時間攪拌を継続した。次いで、98%硫酸20gをジグライム20gに溶解した溶液を1時間で添加したのち、液温を60℃に昇温してから2時間熟成反応して還元した。次いで、60℃で攪拌しながら17.5%塩酸水溶液84g(0.4モル)を3時間で滴下し、更に2時間熟成反応させて(S)−1−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩を得た。反応液を30℃まで冷却したのち、48%水酸化ナトリウム水溶液59.2g(0.72モル)を添加し、遊離の(S)−1−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジンを得た。反応液を分析したところ、L−リンゴ酸からの収率は77.5%であった。
【0037】
比較例1
実施例2において、L−リンゴ酸誘導体混合物(一般式(1)、(2)で、R1がメチル基、R2がベンジル基の2種の位置異性体混合物)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する前にpHを11以上に調整せず、実施例2と同様にして反応させた結果、(S)−1−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジンは殆ど得られなかった。
【0038】
実施例3
攪拌機、滴下ロート、ジムロート、温度計を装着した1000mlの4口フラスに、テトラヒドロフラン400ml、水素化ホウ素ナトリウム11.5g(0.3モル)を仕込み、氷冷下にて攪拌しながら2種の(S)−L−リンゴ酸ベンジルアミドメチルエステル混合物(一般式(1)と(2)のR1がメチル基、R2がベンジル基の混合物)23.7g(0.1モル)を添加した。この溶液にソジウムメトキサイド0.2g添加した。次いで、液温が30℃以下を保つ速度でトリフルオロボロン・ジエチルエーテル錯体56.8g(0.4モル)を約30分間で滴下し、2時間攪拌した。反応液を60℃に昇温し、さらに2時間攪拌した。
次いで、17.5wt%の塩酸水溶液84g(0.4モル)を3時間かけて滴下し、更に60℃で2時間攪拌した。次いで、反応液を65〜70℃で減圧濃縮し、大部分のテトラヒドロフランを除去した。濃縮物を実施例1と同様にして処理し、131〜135℃/133Paの留分として、(S)−1−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジンを16.1g得た。収率は91%であった。(化学純度99.3%、光学純度99.2%ee)
実施例4
100mlのオートクレーブに実施例1で得た(S)−1−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジン8.9g(50ミリモル 化学純度99.2%、光学純度99.0%ee)、メタノール25ml、および5%Pd/C0.7gを仕込み、水素をゲージ圧2.5MPaに調整した。70℃に昇温し、8時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却してから放圧し、内容物を濾過した。濾過母液を濃縮・蒸留し、80〜83℃/1kPaの留分として(S)−3−ヒドロキシピロリジン3.7g得た。収率84.9%であった。(化学純度は99.1%、光学純度は99.0%ee)
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬中間体として有用な光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体を、安価に入手できる光学活性リンゴ酸を出発原料として、少ない工程数で、高い光学純度、かつ、高収率で製造することができる。

Claims (9)

  1. 一般式(1)または一般式(2)
    Figure 0004314602
    (ここで、R1は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基、アリール基、およびアラルキル基から選ばれた基を示す。*は、この記号が付いている炭素原子が不斉中心であることを示す。)で表される光学活性リンゴ酸誘導体を還元剤共存下、pH11〜14で反応させることを特徴とする一般式(3)
    Figure 0004314602
    (ここで、R2、*は式(1)と同じ)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
  2. 還元剤が水素化ホウ素化合物である請求項1記載の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
  3. 水素化ホウ素化合物で還元する際に、活性化剤を添加することを特徴とする請求項2記載の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
  4. 活性化剤が、硫酸、塩酸、ハロゲン化ホウ素、ヨード、臭素から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項3記載の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
  5. 還元反応を溶媒中で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
  6. 溶媒がジグライムであることを特徴とする請求項5記載の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
  7. 還元反応終了後、40〜70℃にて反応液をpH3以下で処理する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
  8. L−リンゴ酸あるいはD−リンゴ酸から下記反応式に従って製造した一般式(1)または一般式(2)で表される光学活性リンゴ酸誘導体を含有する粗生成物を還元のため原料として使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法。
    Figure 0004314602
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法で製造された一般式(3)
    Figure 0004314602
    で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体(ここで、R2は置換あるいは無置換のベンジル基を示す。また、*はこの記号が付いている炭素原子が不斉中心であることを示す。)を水素化分解する一般式(4)
    Figure 0004314602
    (ここで、*はこの記号が付いている炭素原子が不斉中心であることを示す。)で表される光学活性3−ヒドロキシピロリジンの製造方法。
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