JPH0975020A - 蒸練機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸練した高温の生地を冷却水とエアとにより
蒸練タンク内で直ちに冷却させることにより、作業能率
と冷却効率を向上させると共に、雑菌の付着を防止し
得、かつ品質上の程よい硬度に容易に調整可能ならしめ
る。 【解決手段】 軸芯を水平状態に保持して設置された蒸
練タンク２と、蒸練タンク２内においてその軸芯を支点
として回転自在に配設された撹拌羽根３と、蒸練タンク
２内の軸芯部に一端が挿入され該挿入部分で撹拌羽根３
を支承する中空回転軸４と、中空回転軸４へエアを送り
込む送風装置５と、冷却水を送り込む送水装置６及び排
気装置２０とを具備し、前記撹拌羽根３は、中空回転軸
４に空隙２１を介して外嵌固定された中空基軸２２と、
該中空基軸２２の外側に連通するように配設された複数
本の羽根軸２３とから構成されると共に、各羽根軸２３
には複数個の噴出孔２４を穿設してなり、一方前記中空
基軸２２内の中空回転軸４には通孔２５を穿設してな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、餅や団子等の生地を蒸
練して作るのに用いられる蒸練機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の蒸練機は、密閉可能な円筒形の蒸
練タンクと、該蒸練タンクに回転自在に内装された撹拌
羽根と、蒸練タンク内へ蒸気を送り込む蒸気送り込み装
置とを主要素として構成してある。

【０００３】使用に際しては、餅や団子等の生地の原料
を蒸練タンク内に入れ、当該蒸練タンク内へ蒸気送り込
み装置から蒸気を送り込みながら撹拌羽根を回転させて
原料を練る。

【０００４】このようにして所定時間蒸練された原料
は、１００℃近い高温の生地として生成されるので、当
該生地を蒸練タンクから取り出し、冷水中に浸漬し冷却
するか、あるいは空気中に放置して自然冷却する。

【０００５】なお、この冷却手段としては、上記の水冷
や空冷方式の他に、真空ポンプを使って蒸練タンク内を
真空にさせることによって冷却する真空冷却方式も提案
されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、上記のよ
うな従来の蒸練機では、蒸練と冷却を別機構で行なうた
め、手間が約２倍かかり作業効率が悪いうえに、各種器
具類の設置にも大きな面積を必要とし、さらには、生地
を外部に排出し、水や空気にさらすので雑菌が付着し非
衛生的である等の問題があった。

【０００７】また、真空冷却方式を採用した蒸練機は、
蒸練タンク内を気密状態に保持するため、構成部品（密
閉蓋、配管等）の加工や組み立てにおいて他の蒸練機以
上の精度が要求され、このため、加工や組み立てに余分
な手間を要すると共に、製品コストがアップするという
問題があった。

【０００８】さらに、真空冷却では、温度のみならず湿
度も同時に低下するため、生地が必要以上に硬化すると
いう品質上の問題もあった。

【０００９】本発明は、上記の従来技術の有するこのよ
うな問題点に鑑みなされたもので、蒸練作業の完了後直
ちに蒸練タンク内に冷却水とエアを同時に送り込むこと
によって高温の生地を冷却させるように構成し、以って
一連の蒸練作業の効率を著しく向上させると共に、生地
に対する雑菌の付着を阻止し得、かつ通常の蒸練機以上
の各部品加工の精度を要求されることがなく、品質上も
程よい硬度に容易に仕上げることが可能な蒸練機を提供
することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る蒸練機は、軸芯を水平状態に保持して
設置された蒸練タンクと、蒸練タンク内においてその軸
芯を支点として回転自在に配設された撹拌羽根と、蒸練
タンク内の軸芯部に一端が挿入され該挿入部分で撹拌羽
根を支承する中空回転軸と、中空回転軸内へエアを送り
込む送風装置と、冷却水を送り込む送水装置及び蒸練タ
ンク内を排気する排気装置とを具備したものであって、
前記撹拌羽根は、中空回転軸に空隙を介在して外嵌固定
された中空基軸と、この中空基軸の外側に連通するよう
に配設された複数本の羽根軸とから構成されると共に、
各羽根軸には複数個の噴出孔を穿設してなり、一方前記
中空基軸内の中空回転軸には通孔を穿設してなり、前記
送風装置と送水装置より送り込まれたエア及び冷却水を
前記中空回転軸内から通孔を経て前記撹拌羽根の中空基
軸内の空隙、各羽根軸内へ順次移送し、各羽根軸の噴出
孔から蒸練タンク内へ噴出させ、蒸練後の生地を蒸練タ
ンク内で冷却させるようにしたことを特徴とする。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明に係る蒸練機の一部
を切欠いた正面図を示し、図２は同上の側面図を示し、
図３は同上の主要構成部品である撹拌羽根の一部を切欠
いた拡大斜視図を各々示している。

【００１２】図１及び図２に示したように、本発明の蒸
練機は、多数のフレームを用いて箱型状に枠組み形成し
た基枠１と、基枠１の一側に軸芯を水平状態に保持して
設置した円筒形の蒸練タンク２と、蒸練タンク２内にお
いてその軸芯を支点として回転自在に配設された撹拌羽
根３と、蒸練タンク２内の軸芯部に一端が挿入され該挿
入部分で前記撹拌羽根３を支承する中空回転軸４と、中
空回転軸４内へエアを送り込む送風装置５と、中空回転
軸４内へエアと共に冷却水を送り込む送水装置６とを主
要素として構成したものである。

【００１３】上記蒸練タンク２は、上側に生地原料の投
入口７と、左側（図１）に蒸練完了後の生地の取出口８
とが各々設けられており、これら投入口７及び取出口８
には、開閉可能な上蓋９及び側蓋１０が、ねじ締着機構
１１、１１′を備えた締付けハンドル１２、１３によっ
て蒸練タンク２内を密閉できるように取付けられてい
る。

【００１４】また、前記蒸練タンク２は、側蓋１０とは
反対側の壁面２ａに蒸気吹出口１４が開口して設けら
れ、この蒸気吹出口１４の壁面２ａの外側には、開閉弁
１５が付設されると共に、該開閉弁１５を介して蒸気送
り込み管１６が連通して配管されている。この蒸気送り
込み管１６は図示しないボイラに接続されている。

【００１５】さらに、前記蒸練タンク２は、上側の生地
原料の投入口７の側壁面７ａに排気口１７が開口して設
けられ、この排気口１７の側壁面７ａの外側には開閉弁
１８を介して排気管１９が連通して配管されている。こ
の排気管１９は排気装置２０に接続されている。

【００１６】前記撹拌羽根３は、図３に示した如く、前
記中空回転軸４に円筒状の空隙２１を介して外嵌固定さ
れた中空基軸２２と、この中空基軸２２外側の１８０度
反対２方向に当該中空基軸２２内と連通するように配設
された複数本の羽根軸２３とから構成されている。この
羽根軸２３には、各々蒸気、エア及び冷却水放出用の小
さな噴出孔２４が多数穿設してある。なお、本実施例で
は、縦の羽根軸２３が４本、横の羽根軸２３が１本にて
構成されているが、各羽根軸２３の配設位置や本数は任
意である。

【００１７】前記中空回転軸４は、撹拌羽根３を支承す
る蒸練タンク２内で複数の通孔２５が穿設されており、
これら通孔２５を介して撹拌羽根３の中空基軸２２の空
隙２１及び各羽根軸２３内と連通されている。

【００１８】一方、前記中空回転軸４の蒸練タンク２の
右外側へ突出する基端近傍にはスプロケット２６が固設
されており、このスプロケット２６と、基枠１の底部に
設置されたモータ２７の駆動軸２７ａに固設された前記
スプロケットより小径のスプロケット２８とがチェン２
９を介して連動連結され、このことによって、モータ２
７の駆動力が中空回転軸４及びこれに支承される蒸練タ
ンク２内の撹拌羽根３に伝達され、それらが同方向に回
転するようになっている。

【００１９】次に、前記送風装置５は、送風機本体５ａ
とエア洗浄機５ｂとを具備しており、このエア洗浄機５
ｂに連設された送気管３０の他端は、開閉弁３１と三方
切換え弁３２を介して開閉弁３３に連通接続されてい
る。そして、この開閉弁３３の分岐した他端３３ａは、
中空回転軸４の基端内に当該回転軸が摺動回転可能にし
て、かつ互いに密閉状態を保ちながら連通するように内
挿保持されている。なお、この開閉弁３３は単なるＬ型
の接続金具にて代用することも可能である。

【００２０】前記送水装置６は、図示しない水道管等と
接続された冷却水タンク３４を具備しており、この冷却
水タンク３４に連設された送水管３５の他端は開閉弁３
６及び前記三方切換え弁３２を介して前記開閉弁３３に
連通接続されている。さらに、前記三方切換え弁３２の
他端には前記した蒸気送り込み管１６が連通接続されて
いる。なお、図１において１６′は蒸気送り込み管１６
の基管であって、図示しないボイラに直結し、その他端
は開閉弁３７を介して前記三方切換え弁３２に連通接続
されている。

【００２１】次に、本発明の作用について説明する。先
ず、上蓋９を開けて原料投入口７より蒸練タンク２内へ
適量の生地原料（図示しない）を投入し、閉蓋後モータ
２７を駆動させてその駆動軸２７ａを回転し、スプロケ
ット２８、チェン２９、スプロケット２６及び中空回転
軸４を順次介して蒸練タンク２内の撹拌羽根３を回転し
て生地原料の撹拌を行なう。

【００２２】この時、同時に開閉弁１５を開いて蒸気送
り込み管１６から蒸気を蒸気吹出口１４より蒸練タンク
２内へ放出する。一方、三方切換え弁３２及び開閉弁３
３も開いて蒸気送り込み管１６からの蒸気を中空回転軸
４内にも導入し、他端に設けられた通孔２５より撹拌羽
根３の中空基軸２２の空隙２１へ放出させ、該円筒空間
２１から各羽根軸２３内へ、そしてさらに各羽根軸２３
の多数の噴出孔２４から蒸練タンク２内へ噴出する。

【００２３】このように蒸気は蒸練タンク２の壁面２ａ
の蒸気吹出口１４から供給されるだけでなく、回転中の
撹拌羽根３の各羽根軸２３からも供給されるため、撹拌
中の生地原料全体に満遍なく行き渡たり熱を伝える。

【００２４】所定時間撹拌して高温の生地が蒸練生成さ
れた後、開閉弁１５を閉じて蒸気送り込み管１６からの
蒸気の供給を停止する。一方、三方切換え弁３２を切換
えて中空回転軸４内への蒸気の供給も停止する。

【００２５】次いで、開閉弁３１、３６を開いて送風装
置５及び送水装置６を稼動させる。送風装置５は送風機
本体５ａとエア洗浄機５ｂとを備えているため、送風機
本体５ａから発生したエアはアエ洗浄機５ｂによって洗
浄消毒されてから送気管３０、開閉弁３１、三方切換え
弁３２、開閉弁３３（若しくは接続金具）を介して中空
回転軸４内へ送気される。

【００２６】送水装置６は水道管等に接続された冷却水
タンク３４を備えているため、該タンクから排水された
冷却水は、送水管３５、開閉弁３６、三方切換え弁３
２、開閉弁３３（接続金具）を介して中空回転軸４内へ
送水される。これら送風装置５と送水装置６によるエア
と冷却水の供給は各々適量に調整されるが、同時に行な
われる。

【００２７】このようにして中空回転軸４内へ供給され
たエアと冷却水は、前記した蒸気と同様に、蒸練タンク
２内の通孔２５から撹拌羽根３の中空基軸２２内の空隙
２１を経て各羽根軸２３へ導入され、多数の噴出孔２４
から蒸練タンク２内へ噴出される。

【００２８】この時、撹拌羽根３は回転しているため、
蒸練タンク２内へ供給されたエア及び冷却水は、既に蒸
練生成されている生地全体に満遍なく起き渡たり熱を奪
う。また、同時に排風装置２０を稼動して開操作した開
閉弁１８、排気管１９を経て蒸練タンク２内の湿ったエ
アを外部へ排気する。

【００２９】このように本装置によれば、蒸練作業が完
了した後直ちに蒸練タンク２内においてエアと冷却水の
供給と排気を同時に行なうものであるから、常に新鮮な
エアと冷却水により蒸練した生地を冷却することがで
き、したがって、生地移送の手間が省け作業能率は勿
論、冷却効率も著しく向上し、品質が良くなると共に、
雑菌の付着を防止することができるという特徴を有す
る。

【００３０】

【発明の効果】本発明は、以上のとおり、撹拌羽根を支
持する中空回転軸の一端に、送風装置と冷却水の送水装
置とを連設し、撹拌羽根の各羽根軸に設けた噴出孔よ
り、蒸練後の蒸練タンク内にエアと共に冷却水を供給
し、高温の生地を直ちに冷却す得るように構成されたも
のであるから、従来装置の如く冷却のための生地移送の
手間が省け作業能率を向上させると共に、生地全体を均
一に冷却し品質及び冷却効率の向上も図ることができ
る。

【００３１】また、冷却作業中生地を空気や水にさらす
ことがないので、生地に雑菌が付着することがなく衛生
的である。さらに、エアと冷却水による撹拌冷却方式な
ので、冷却水の送り量を調節することで生地をちょうど
よい硬度に調整することが容易で良質の生地が得られる
という効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る蒸練機の一部を切欠いた正面図を
示す。

【図２】同上の側面図を示す。

【図３】撹拌羽根の一部を切欠いた拡大斜視図を示す。

【符号の説明】

２ 蒸練タンク ３ 撹拌羽根 ４ 中空回転軸 ５ 送風装置 ６ 送水装置 ２０ 排気装置 ２１ 空隙 ２２ 中空基軸 ２３ 羽根軸 ２４ 噴出孔 ２５ 通孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸芯を水平状態に保持して設置された蒸
   練タンクと、蒸練タンク内においてその軸芯を支点とし
   て回転自在に配設された撹拌羽根と、蒸練タンク内の軸
   芯部に一端が挿入され該挿入部分で撹拌羽根を支承する
   中空回転軸と、中空回転軸内へエアを送り込む送風装置
   と、冷却水を送り込む送水装置及び蒸練タンク内を排気
   する排気装置とを具備したものであって、前記撹拌羽根
   は、中空回転軸に空隙を介在して外嵌固定された中空基
   軸と、この中空基軸の外側に連通するように配設された
   複数本の羽根軸とから構成されると共に、各羽根軸には
   複数個の噴出孔を穿設してなり、一方前記中空基軸内の
   中空回転軸には通孔を穿設してなり、前記送風装置と送
   水装置より送り込まれたエア及び冷却水を前記中空回転
   軸内から通孔を経て前記撹拌羽根の中空基軸内の空隙、
   各羽根軸内へ順次移送し、各羽根軸の噴出孔から蒸練タ
   ンク内へ噴出させ、蒸練後の生地を蒸練タンク内で冷却
   させるようにしたことを特徴とする蒸練機。