JPH0973644A - 対物レンズ駆動装置及びその製造方法 - Google Patents

対物レンズ駆動装置及びその製造方法

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JPH0973644A
JPH0973644A JP22440595A JP22440595A JPH0973644A JP H0973644 A JPH0973644 A JP H0973644A JP 22440595 A JP22440595 A JP 22440595A JP 22440595 A JP22440595 A JP 22440595A JP H0973644 A JPH0973644 A JP H0973644A
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JP
Japan
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objective lens
bobbin
driving device
lens driving
focusing
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JP22440595A
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Tamotsu Maeda
保 前田
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対物レンズを弾性変位自在に支持する弾性部
材のトラッキング方向回りのローリング現象による共振
を低減する。 【解決手段】 対物レンズ2が組み付けられるとともに
フォーカシングコイル12及びトラッキングコイル13
とが組み付けられたボビン部材5と、このボビン部材5
に一端部が固定されボビン支持部材6に他端部が固定さ
れてボビン部材5を弾性変位自在に支持する弾性部材2
0と、マグネット15が接合されフォーカシングコイル
12の内部に介挿される第1のヨーク片14Aと、トラ
ッキングコイル13と対向するようにして位置された第
2のヨーク片14Bとが形成されることによって磁気回
路部4を構成し且つボビン支持部材6を固定支持するベ
ース部材7とを備えて構成される。そして、フォーカシ
ング方向に上下に離間する弾性部材20は、ボビン部材
5側端部とボビン支持部材6側端部とで対向間隔の寸法
が異にされて配設される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円盤状光記録媒体
の記録再生装置に備えられる対物レンズ駆動装置及びそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは対物レンズを光軸と
平行なフォーカシング方向と、光軸と直交するトラッキ
ング方向とに弾性変位自在に支持する弾性部材の構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク、光磁気ディスク等の円盤状
光記録媒体(以下、光デイスクと総称する。)を記録媒
体に用いる光ディスク記録再生装置は、光ディスクに記
録された情報信号を再生し、或いは情報信号を記録する
ための光ピックアップ装置を備えている。この光ピック
アップ装置は、光ディスクの情報信号記録面に照射され
る光束を出射する光源としての半導体レーザと、光ディ
スクからの戻り光を分離するビームスプリッタ等の光学
部品からなる光学系ブロックと、半導体レーザから出射
された光束を対物レンズによって光ディスクの情報信号
記録面に集光させるとともに記録トラックに光束を追従
させる対物レンズ駆動装置とから構成されている。 対
物レンズ駆動装置は、対物レンズを光ディスクの情報信
号記録面に垂直な方向、すなわち対物レンズの光軸と平
行なフォーカシング方向と、光ディスクの情報信号記録
面の内外周方向、すなわち対物レンズの光軸と直交する
トラッキング方向に調動する装置である。この対物レン
ズ駆動装置は、例えば対物レンズをフォーカシング方向
に2mm、トラッキング方向に0.8mmの範囲で調動
するため、磁界中に配置したコイルに供給した制御電流
によって生じる磁気駆動力を利用する直交2軸アクチュ
エータ機構を備えている。
【0003】そして、実用化されている直交2軸アクチ
ュエータ機構としては、摩擦の無い円滑な駆動特性が得
られるバネ支持構造方式と、組立て精度が得やすくかつ
対物レンズの傾き姿勢の維持特性に優れた軸回転摺動構
造方式とが提供されている。また、バネ支持構造方式の
直交2軸アクチュエータ機構は、ムービングコイル形と
ムービングマグネット形とに分けられ、軸回転摺動構造
方式の直交2軸アクチュエータ機構は、内光路形と外光
路形とに分けられる。
【0004】一方、バネ支持構造方式の直交2軸アクチ
ュエータ機構において、対物レンズを保持する弾性部材
の構造としては、ヒンジ形構造、ワイヤ形構造或いは板
バネ形構造が知られている。板バネ形構造の直交2軸ア
クチュエータ機構は、加工性或いは動作特性等から対物
レンズ駆動装置の小型化に極めて有効である。
【0005】かかる板バネ形構造の直交2軸アクチュエ
ータ機構を備えた従来の対物レンズ駆動装置100は、
図8及び図9に示すように、対物レンズ2と、この対物
レンズ2が組み付けられた対物レンズホルダ3と、この
対物レンズホルダ3及び磁気回路部4を構成する後述す
る各部材が組み合わされたボビン部材5と、このボビン
部材5を支持する4本の弾性部材120(120A乃至
120D)と、これら弾性部材120の基端部を支持す
るボビン支持部材6及び磁性材料によって形成されたベ
ース部材7とを主たる構成部材として構成されている。
【0006】ボビン部材5は、上述した対物レンズホル
ダ3が組み付けられるホルダ部8と磁気回路部4の構成
各部材が組み合わされる磁気回路部品組付け部9とから
構成されている。ホルダ部8には、対物レンズホルダー
3が嵌合される対物レンズ取付け穴10が設けられてい
る。また、このホルダ部8には、対物レンズ取付け穴1
0に嵌合された対物レンズホルダ3の外側面を保持する
複数の保持片17A乃至17Cが一体に形成されてい
る。
【0007】ボビン部材5の磁気回路部品組付け部9に
は、対物レンズ2を光軸と平行な方向に駆動変位させる
磁気駆動力を発生させるフォーカシングコイル12と、
対物レンズ2を光軸と直交する方向に駆動変位させる磁
気駆動力を発生させる一対のトラッキングコイル13
A、13B及び一対のヨーク片14A、14Bとが組み
付けられる。フォーカシングコイル12は、磁気回路部
品組付け部9に組み付けられた状態において、コイルの
巻き方向が対物レンズ2の光軸と平行な方向であるよう
に構成されている。トラッキングコイル13A、13B
は、磁気回路部品組付け部9に組み付けられた状態にお
いて、少なくとも相対向する辺に対物レンズ2の光軸と
平行な直線部分を有するように構成されている。
【0008】ベース部材7は、第1のヨーク片14Aと
第2のヨーク片14Bとがそれぞれ互いに平行に対峙す
るようにして一体に立ち上がり形成されている。第1の
ヨーク片14Aは、磁気回路部品組付け部9に組み付け
られたフォーカシングコイル12の中心孔を貫通してい
る。また、第2のヨーク片14Bは、トラッキングコイ
ル13A、13Bと対向して磁気回路部品組付け部9に
貫通している。第1のヨーク片14Aには、第2のヨー
ク片14Bとの対向側面に、やや厚みのある板状のマグ
ネット15が取り付けられている。第1のヨーク片14
Aと第2のヨーク片14Bとの先端部には、図8及び図
9において鎖線で示すように、ヨーク板16が組み合わ
される。
【0009】したがって、磁気回路部4は、上述したベ
ース部材7と、このベース部材7に一体に立ち上がり形
成された第1及び第2のヨーク片14A、14Bと、第
1のヨーク片14Aに取り付けられたマグネット15及
びヨーク板16とから構成される。そして、フォーカシ
ングコイル12及びトラッキングコイル13A、13B
は、この磁気回路部4の磁界中を横切るようにしてそれ
ぞれ配設されている。また、これらフォーカシングコイ
ル12及びトラッキングコイル13A、13Bへの電流
の供給は、それぞれ弾性部材120A乃至弾性部材12
0Dを利用して行われている。
【0010】ボビン支持部材6は、第1のヨーク片14
A及び第2のヨーク片14Bの反対側に位置してベース
部材7上に組み付け固定されている。すなわち、ボビン
支持部材6は、底面部に図示しない半導体レーザから出
射された光束の光路を構成する逆U字状の凹部6aが形
成されるとともに、両側面部には弾性部材120A乃至
弾性部材120Dの基端部がそれぞれ差し込まれる水平
方向の嵌合スリット6b乃至嵌合スリット6eがそれぞ
れ上下方向に離間して設けられている。
【0011】弾性部材120A乃至弾性部材120D
は、薄いバネ板材料を打ち抜き形成した部材であって、
左右対象かつ上下同一形状を呈している。弾性部材12
0は、矩形の基端部の一方側縁部から幅狭の弾性変形部
が一体に突設され、この弾性変形部の先端部にボビン部
材5との嵌合部が形成されている。この嵌合部には、ボ
ビン部材5に形成した位置合わせダボと相対係合する位
置決め孔が設けられたコイル接続部が一体に形成されて
いる。
【0012】弾性部材120には、図示しないが粘弾性
材がそれぞれ添着されている。粘弾性材は、例えば紫外
線硬化型の樹脂材料が用いられ、弾性部材120が弾性
変位されたときに発生する共振動作を抑制し、或いは振
動の迅速な減衰を図る作用を奏する。
【0013】以上のように構成された対物レンズ駆動装
置100は、フォーカシングコイル12に、フォーカス
エラー信号に応じた駆動電流が供給されると、このフォ
ーカシングコイル12に流れる電流と、磁気回路部4を
構成するマグネット15からの磁束とによって、ボビン
部材5をフォーカシング方向へと駆動する磁気駆動力を
発生する。この磁気駆動力は、対物レンズ2を光軸と平
行なフォーカシング方向に調動動作させて、光ディスク
に照射する半導体レーザのフォーカシングの調整を行な
わせる。
【0014】基端部がボビン支持部材6に支持された弾
性部材120は、このフォーカシング調整動作に際し
て、弾性変形部が図8において上下方向に弾性変位する
ことにより、ボビン部材5、すなわち対物レンズ2を上
下方向に調動する。
【0015】対物レンズ駆動装置100は、第1のトラ
ッキングコイル13A又は第2のトラッキングコイル1
3Bに、トラッキングエラー信号に応じた駆動電流が供
給されると、これらトラッキングコイル13A又はトラ
ッキングコイル13Bの対物レンズ2の光軸と平行な部
分を流れる電流と、磁気回路部4を構成するマグネット
15からの磁束とによって、ボビン部材5をトラッキン
グ方向へと駆動する磁気駆動力を発生する。この磁気駆
動力は、対物レンズ2を光軸と直交するトラッキング方
向に調動動作させて、光ディスクに照射する半導体レー
ザのトラッキングの調整を行なわせる。
【0016】基端部がボビン支持部材6に支持された弾
性部材120は、このトラッキング調整動作に際して、
弾性変形部が図9において左右方向に弾性変位すること
により、ボビン部材5、すなわち対物レンズ2を左右方
向に調動する。
【0017】上述した対物レンズ駆動装置100におい
て、対物レンズ2、対物レンズホルダ3、ボビン部材5
及びフォーカシングコイル12、トラッキングコイル1
3の各部材は、全体として可動部を構成して弾性部材1
20A乃至弾性部材120Dに支持されてフォーカシン
グ方向又はトラッキング方向へと調動される。そして、
弾性部材120A乃至弾性部材120Dは、一端部をボ
ビン部材5に、他端部をボビン支持部材6に固定された
部材であることから、両端固定梁と見做すことができ
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、対物レンズ
駆動装置100は、フォーカシングコイル12及びトラ
ッキングコイル13に供給される駆動電流に応答性良
く、且つ安定して対物レンズ2を光軸方向及び光軸方向
に直交する平面方向に駆動させるために、可動部として
対物レンズ2を取り付けたボビン部材5の重心と、この
ボビン部材5を駆動変位させる駆動力を発生させる駆動
部の発生中心とを正確に一致させる必要がある。しかし
ながら、対物レンズ駆動装置100は、小型、軽量化が
図られることによって、可動部であるボビン部材5の重
心と、駆動部であるトラッキングコイル12及びフォー
カシングコイル13の重心とが一致されていないという
問題点がある。
【0019】また、対物レンズ駆動装置100は、フォ
ーカシングコイル12によるフォーカシング方向の駆動
力の発生中心と、トラッキングコイル13によるトラッ
キング方向の駆動力の発生中心とが一致されていないた
め、共振を完全に無くすことは構造的に困難であるとい
う問題がある。
【0020】そして、対物レンズ駆動装置100に発生
する共振のうち、可動部であるボビン部材5のローリン
グ現象による共振は、対物レンズ駆動装置100の製造
工程における組立バラツキを含めて、サーボ特性上問題
の無いようにすることは困難であり、製造工程における
不良率を増加させるという問題がある。
【0021】従来の対物レンズ駆動装置100につい
て、対物レンズ2が駆動された際における周波数応答特
性を図10を参照して説明する。図10は、周波数に対
する共振レベルと周波数に対する共振の位相とをそれぞ
れ示している。なお、図10において、実線F2 は、フ
ォーカシング方向の周波数応答特性を示し、また破線T
2 は、トラッキング方向の周波数応答特性を示す。
【0022】対物レンズ駆動装置100は、図10に示
すように、トラッキング方向であるY軸回りのローリン
グ現象による共振点A2 と、フォーカシング方向である
Z軸回りのローリング現象による共振点B2 とに、いず
れか一方の共振レベルを小さくするために例えば弾性部
材120の構成や寸法等を変更する構造変更を行うと他
方の共振レベルが大きくなる相反性があるという問題点
があった。
【0023】また、従来の対物レンズ駆動装置100
は、図10に示すように、共振点A2における位相が共
振点B2 おける位相に対して逆位相であるため、共振点
2 における位相が遅れる方向であり共振現象を抑制す
る上で好ましくなかった。
【0024】そこで、本発明は、対物レンズをフォーカ
シング方向とトラッキング方向とに弾性変位自在に支持
する弾性部材のトラッキング方向回りのローリング現象
による共振を容易に抑制することを可能とし、以って感
度特性の向上を達成した対物レンズ駆動装置及びその製
造方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】この目的を達成した本発
明に係る対物レンズ駆動装置は、対物レンズと、一端側
には対物レンズが組み付けられるホルダ部が形成される
とともに他端側には対物レンズの光軸と平行な方向に作
用する磁気駆動力を発生するフォーカシングコイルと対
物レンズの光軸と直交する方向に作用する磁気駆動力を
発生するトラッキングコイルとが組み合わされたボビン
部材とを備える。また、この対物レンズ駆動装置は、ボ
ビン部材の両側面部にそれぞれ上下に離間して一端部が
固定されるとともに他端部が固定部であるボビン支持部
材に固定された複数個の弾性部材と、マグネットが接合
されるとともにフォーカシングコイルの内部に介挿され
る第1のヨークと、トラッキングコイルと対向するよう
にして位置された第2のヨークとが立ち上がり形成され
ることによって磁気回路部が構成されかつボビン支持部
材を固定支持するベース部材とを備える。そして、対物
レンズのフォーカシング方向に隣接する弾性部材は、ボ
ビン部材側端部とボビン支持部材側端部とで対向間隔の
寸法が異なるように配設される。
【0026】また、本発明に係る対物レンズ駆動装置の
製造方法は、対物レンズと、一端側には対物レンズが組
み付けられるホルダ部が形成されるとともに他端側には
対物レンズの光軸と平行な方向に作用する磁気駆動力を
発生するフォーカシングコイル及び対物レンズの光軸と
直交する方向に作用する磁気駆動力を発生するトラッキ
ングコイルとが組み付けられたボビン部材と、このボビ
ン部材の両側面部にそれぞれ上下に離間して一端部が固
定されるとともに他端部が固定部であるボビン支持部材
に固定されることによってボビン部材をフォーカシング
方向とトラッキング方向とに弾性変位自在に支持しボビ
ン部材側端部とボビン支持部材側端部とで対向間隔の寸
法が異ならしめられフォーカシング方向に上下に離間し
て配設された複数個の弾性部材と、マグネットが接合さ
れるとともにフォーカシングコイルの内部に介挿される
第1のヨークと、トラッキングコイルと対向するように
して位置された第2のヨークとが立ち上がり形成される
ことによって磁気回路部を構成しかつボビン支持部材を
固定支持するベース部材とを備えて構成される対物レン
ズ駆動装置を製造するに際して、 複数個の弾性部材が
互いに平行に配設される対物レンズ駆動装置の製造工程
において、不良と判定された対物レンズ駆動装置のフォ
ーカシング方向に上下に離間して配設された弾性部材の
一端部をそれぞれ変形させる。
【0027】以上のように構成された本発明に係る対物
レンズ駆動装置によれば、対物レンズのフォーカシング
方向に隣接する弾性部材が、ボビン部材側端部とボビン
支持部材側端部とで対向間隔の寸法が異にされて配設さ
れることによって、トラッキング方向回りのローリング
現象による共振レベルが小さくされるとともに、共振点
における位相が逆転される。
【0028】また、本発明に係る対物レンズ駆動装置の
製造方法によれば、複数個の弾性部材が互いに平行に配
設される対物レンズ駆動装置の製造工程において、不良
と判定された対物レンズ駆動装置のフォーカシング方向
に上下に離間して配設された弾性部材の一端部をそれぞ
れ変形させることによって、対向間隔の寸法が容易に変
更される。すなわち、この対物レンズ駆動装置の製造方
法は、互いに平行に配設される弾性部材の一端部をそれ
ぞれ変形させることによって、ボビン部材側端部とボビ
ン支持部材側端部とで対向間隔の寸法を容易に異にされ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態を図面を参照して詳細に説明する。実施形態対物レン
ズ駆動装置1は、後述する弾性部材20の配設状態に特
徴を有し、基本的な構成を上述した従来の対物レンズ駆
動装置100とほぼ同様とした板バネ形構造の直交2軸
アクチュエータ機構を備えた対物レンズ駆動装置であ
る。したがって、以下の説明においては、上述した従来
の対物レンズ駆動装置100と同一部材には同一符号を
付す。なお、対物レンズ駆動装置1は、後述するように
4本の弾性部材20A乃至弾性部材20Dを備えている
が、これらを共通して説明する場合には単に弾性部材2
0と表現する。
【0030】すなわち、実施形態対物レンズ駆動装置1
は、図1乃至図3に示すように、対物レンズ2と、この
対物レンズ2が組み付けられた対物レンズホルダ3と、
この対物レンズホルダ3及び磁気回路部4を構成する後
述する各部材が組み合わされたボビン部材5と、このボ
ビン部材5を支持するところの後述する4本の弾性部材
20(20A乃至20D)と、これら弾性部材20の基
端部を支持するボビン支持部材6及び磁性材料によって
形成されたベース部材7とを主たる構成部材として構成
されている。
【0031】ボビン部材5は、合成樹脂材料によって成
形され、上述した対物レンズホルダ3が組み付けられる
ホルダ部8と、磁気回路部4の構成各部材が組み合わさ
れる磁気回路部品組付け部9とから構成されている。ホ
ルダ部8は、対物レンズ2を組み合わせた対物レンズホ
ルダ3が嵌合される対物レンズ取付け穴10が設けられ
た全体が薄厚の筒状部として構成されている。また、こ
のホルダ部8には、対物レンズ取付け穴10に嵌合され
た対物レンズ3の外周面を保持する複数の保持片17A
乃至保持片17Cが一体に形成されている。
【0032】ボビン部材5の磁気回路部品組付け部9
は、略々凸字状の大きな開口部として構成され、対物レ
ンズ2を光軸と平行な方向に駆動変位させる磁気駆動力
を発生させるフォーカシングコイル12と、対物レンズ
2を光軸と直交する方向に駆動変位させる磁気駆動力を
発生させる一対のトラッキングコイル13A、13Bが
組み付けられる。フォーカシングコイル12は、対物レ
ンズ取付け穴10と反対側のやや幅広の開口部側に位置
して磁気回路部品組付け部9に組み付けられる。
【0033】磁気回路部品組付け部9に対応するボビン
部材5の両側面部には、後述する弾性部材20A乃至弾
性部材20Dのそれぞれの嵌合部23A乃至嵌合部23
Dが差し込まれる水平方向の嵌合スリット5a乃至嵌合
スリット5dがそれぞれ上下方向に離間して設けられて
いる。したがって、ボビン部材5は、これら弾性部材2
0A乃至弾性部材20Dによって、上下方向及び左右方
向に弾性変位自在に支持されることになる。
【0034】フォーカシングコイル12は、磁気回路部
品組付け部9を構成するコイル組付け開口部11の開口
寸法とほぼ同径の角筒状を呈しており、このコイル組付
け開口部11に嵌着されて組み付けられる。また、フォ
ーカシングコイル12は、コイル組付け開口部11に組
み付けられた後、外周面と開口部内壁との間に接着剤が
充填されることによって、ボビン部材5にしっかりと固
定される。また、フォーカシングコイル12は、コイル
組付け開口部11に組み付けられた状態において、コイ
ルの巻き方向が対物レンズ2の光軸と直交する方向であ
るように構成されている。
【0035】トラッキングコイル13A、13Bは、そ
れぞれ薄幅の矩形枠状を呈して構成されており、フォー
カシングコイル12の一方側面部と対物レンズとの間に
位置するようにして、互いに一方側面部を重ね合わせる
ようにして磁気回路部品組付け部9を構成するコイル組
付け開口部11に嵌着されて組み付けられる。これらト
ラッキングコイル13A、13Bは、フォーカシングコ
イル12の一方側面部に接着剤によってしっかりと固定
される。また、これらトラッキングコイル13A、13
Bは、磁気回路部品組付け部9に組み付けられた状態に
おいて、少なくとも相対向する辺に対物レンズ2の光軸
と平行な直線部分を有するように構成されている。
【0036】ベース部材7は、詳細な形状の図示を省略
するが、珪素鋼等の高透磁率材料によって略々H字状に
形成され、中央連結片の相対向する側縁部から第1のヨ
ーク片14Aと第2のヨーク片14Bとがそれぞれ互い
に平行に対峙するようにして一体に立ち上がり形成され
ている。
【0037】第1のヨーク片14Aは、磁気回路部品組
付け部9に組み付けられたフォーカシングコイル12の
中心孔を貫通している。また、第2のヨーク片14B
は、トラッキングコイル13A、13Bと対向して磁気
回路部品組付け部9に貫通している。第1のヨーク片1
4Aには、第2のヨーク片14Bとの対向側面に、やや
厚みのある板状のマグネット15が接着剤等を用いてし
っかりと取付け固定されている。第1のヨーク片14A
と第2のヨーク片14Bとの先端部には、図1において
鎖線で示すように、磁性材で形成したヨーク板16が組
み合わされる。
【0038】したがって、磁気回路部4は、上述したベ
ース部材7と、このベース部材7に一体に立ち上がり形
成された第1のヨーク片14A及び第2のヨーク片14
Bと、第1のヨーク片14Aに取り付けられたマグネッ
ト15及びヨーク板16とから構成される。そして、フ
ォーカシングコイル12及びトラッキングコイル13
A、13Bは、この磁気回路部4の磁界中を横切るよう
に位置して磁気回路部品組付け部9に組み付けられてい
る。また、これらフォーカシングコイル12及びトラッ
キングコイル13A、13Bへの電流の供給は、後述す
るように、弾性部材20A乃至弾性部材20Dを利用し
て行われている。
【0039】ボビン支持部材6は、第1のヨーク片14
A及び第2のヨーク片14Bの反対側に位置して、中央
開口部分を跨ぐようにしてベース部材7に組み付けられ
ている。すなわち、ボビン支持部材6は、底面部に図示
しない半導体レーザから出射された光束の光路を構成す
る逆U字状の凹部6aが形成されるとともに、両側面部
にはボビン部材5を支持する弾性部材20A乃至弾性部
材20Dの基端部21A乃至基端部21Dがそれぞれ差
し込まれる嵌合スリット6b乃至嵌合スリット6eがそ
れぞれ上下方向に離間して傾斜されて設けられている。
【0040】弾性部材20A乃至弾性部材20Dは、例
えば、リン青銅やベリリウム銅等の薄いバネ板材料を打
ち抜き形成した部材であって、ボビン支持部材6の左側
面部に組み付けられる弾性部材20A、20Bと、右側
面部に組み付けられる弾性部材20C、20Dとは互い
に上下及び左右に対象形とされるとともに、同一側面部
に組み付けられる弾性部材20A、20B及び弾性部材
20C、20Dとは互いに同一形状とされている。
【0041】図1を参照してこれら弾性部材20の構成
を説明すれば、弾性部材20は、ボビン支持部材6の両
側面部に設けた嵌合スリット6b乃至嵌合スリット6d
にそれぞれ差し込まれる略矩形状の基端部21と、幅狭
の弾性変形部22と、ボビン部材5の両側面部に設けた
嵌合スリット5a乃至嵌合スリット5dにそれぞれ差し
込まれる略矩形状の嵌合部23とから構成されている。
弾性部材20の基端部21の近傍には、互いに組み合わ
された状態でL字状の開口部30と矩形状の開口部31
とを打ち抜くことによって、全体が略U字状を呈する折
返し部29が形成されている。
【0042】すなわち、折返し部29は、基端部21と
直交する方向の連結片27を介して互いに連結された基
端部21と平行する方向の第1の折返し片26及び第2
の折返し片28とから構成されている。外側に位置する
第2の折返し片28は、そのまま弾性変形部22と連続
している。なお、基端部21の他端部33は、折返し部
29を囲むように切り残されてリード線接続部として構
成されている。
【0043】また、弾性部材20は、嵌合部23の一端
側に、弾性変形部22と平行なコイル接続片24が一体
に形成されている。このコイル接続片24には、ボビン
部材5の上下面に形成された半球状の位置決めダボ32
に対応して位置決め孔25が設けられている。
【0044】弾性部材20A乃至弾性部材20Dは、基
端部21A乃至基端部21Dがボビン支持部材6の両側
面部に設けた嵌合スリット6b乃至嵌合スリット6dに
それぞれ差し込まれて固定されることにより、ボビン支
持部材6にそれぞれ片持ち状態で支持される。そして、
弾性部材20A乃至弾性部材20Dは、自由端側の嵌合
部23A乃至嵌合部23Dがボビン部材5の両側面部に
設けた嵌合スリット5a乃至嵌合スリット5dにそれぞ
れ差し込まれて固定されることにより、このボビン部材
5を上下方向及び左右方向に弾性支持する。
【0045】また、弾性部材20A乃至弾性部材20D
は、ボビン部材5をボビン支持部材6に弾性支持するよ
うに、これら両部材間に組み合わせられた状態におい
て、コイル接続片24の位置決め孔25がボビン部材5
の位置決めダボ32にそれぞれ相対係合される。コイル
接続片24には、フォーカシングコイル12及びトラッ
キングコイル13A、13Bのコイル線がそれぞれ接続
される。また、基端部21のリード線接続部33には、
フォーカシングコイル12及びトラッキングコイル13
A、13Bに駆動電流を供給する駆動源とを接続するリ
ード線が接続される。したがって、弾性部材20は、フ
ォーカシングコイル12及びトラッキングコイル13
A、13Bへの電流供給線としても機能する。
【0046】なお、本発明は、上述した弾性部材20に
限定されるものではなく、種々展開されるものである。
すなわち、基端部の近傍に形成される折返し部は、弾性
変形部の長手方向であるX軸と、トラッキング方向であ
るY軸によって構成される面、換言すればベース部材と
平行な面内において、X軸方向に対して少なくとも1箇
所に略U字状に連続して折り返された部位として構成さ
れればよく、折返し片の長さ寸法、幅寸法或いは折返し
部の数等については、ダンピングの付与方法等、対物レ
ンズ駆動装置の設計条件に応じて設定される。また、ベ
ース部材と直交する方向を幅寸法とした弾性部材につい
ては、トラッキング方向であるY軸とフォーカシング方
向であるZ軸によって構成される面内で、上述した折返
し部が形成されることは勿論である。
【0047】さらに、弾性部材20A乃至20Dは、折
返し部29に、共振を抑制する粘弾性材50A乃至50
Dがそれぞれ添着されている。ここで、弾性部材20A
乃至20Dに添着される粘弾性材50A乃至50Dとし
ては、一般にブチル、ゴム等の減衰特性の大きい粘弾性
を有するゲル状の合成樹脂材料等が用いられるが、例え
ば、紫外線硬化型の合成樹脂を用いた場合には、紫外線
の照射量を制御することによって所望の粘弾性率を得る
ことができ、極めて効果的である。
【0048】そして、フォーカシング方向に隣接する弾
性部材20A、20B及び弾性部材20C、20Dは、
図3に示すように、ボビン支持部材6側端部の対向間隔
の寸法が、ボビン部材5側端部に比較して約0.5mm
程度だけ小さくされている。すなわち、弾性部材20
A、20B及び弾性部材20C、20Dは、ボビン部材
5側に向かって開かれた略ハ字状を呈してそれぞれ配設
されている。
【0049】なお、フォーカシング方向に隣接する弾性
部材20A、20B及び弾性部材20C、20Dは、ボ
ビン支持部材6との接続位置の回りにおよそ3度程度だ
け回転させることによって、対向間隔の寸法が変更され
る。
【0050】また、対物レンズ駆動装置1は、製造工程
において、弾性部材20の各端部が成形されるボビン部
材5及びボビン支持部材6にそれぞれ差し込まれた状態
で保持される。このため、対物レンズ駆動装置1は、ボ
ビン部材5を成形する金型とボビン支持部材6を成形す
る金型とによって、弾性部材20の各端部が保持される
位置をZ軸方向にずらすことによって、フォーカシング
方向に隣接する弾性部材20の対向間隔の寸法を容易に
変更することが可能である。
【0051】或いは、対物レンズ駆動装置1は、ボビン
部材5及びボビン支持部材6の各金型が弾性部材20の
各端部を保持する位置の変更をすることなく、ボビン部
材5及びボビン支持部材6が成形された後、弾性部材2
0のボビン支持部材6側端部を変形させることによって
も、フォーカシング方向に隣接する弾性部材20の対向
間隔の寸法を変更することは可能である。
【0052】以上のように構成された実施形態対物レン
ズ駆動装置1を備えた光ピックアップ装置は、半導体レ
ーザから出射された光束を対物レンズ2を介して光ディ
スクの情報記録面に照射するとともに、この情報記録面
からの反射光を対物レンズ2を介してビームスプリッタ
によって分光し、フォーカシング方向とトラッキング方
向との差異をディテクターによって検出する。検出され
たフォーカシング方向とトラッキング方向の位置ずれ
は、フォーカスエラー信号或いはトラッキングエラー信
号としてサーボ回路で処理され、それらに応じた駆動電
流がフォーカシングコイル12及びトラッキングコイル
13A、13Bへ供給される。
【0053】対物レンズ駆動装置1は、フォーカシング
コイル12にフォーカスエラー信号に応じた駆動電流が
供給されると、このフォーカシングコイル12に流れる
電流と、磁気回路部4を構成するマグネット15からの
磁束とによって、ボビン部材5をフォーカシング方向へ
と駆動する磁気駆動力を発生させる。この磁気駆動力
は、弾性部材20A乃至弾性部材20Dを上下方向に弾
性変位させ、ボビン部材5、換言すれば対物レンズ2を
光軸と平行なフォーカシング方向へと調動させて、光デ
ィスクに照射する半導体レーザのフォーカシングの調整
を行わせる。
【0054】対物レンズ駆動装置1は、第1のトラッキ
ングコイル13A又は第2のトラッキングコイル13B
に、トラッキングエラー信号に応じた駆動電流が供給さ
れると、これらトラッキングコイル13A、13Bに流
れる電流と、磁気回路部4を構成するマグネット15か
らの磁束とによって、ボビン部材5をトラッキング方向
へと駆動する磁気駆動力を発生させる。この磁気駆動力
は、弾性部材20A乃至弾性部材20Dを左右方向へと
弾性変位させ、ボビン部材5、換言すれば対物レンズ2
を光軸と直交するトラッキング方向へと調動させて、光
ディスクに照射する半導体レーザのトラッキングの調整
を行わせる。
【0055】つぎに、対物レンズ駆動装置1が備える弾
性部材20A乃至20Dについて、対物レンズ2が駆動
された際における周波数応答特性を図4を参照して説明
する。図4は、周波数に対する共振レベルと周波数に対
する共振の位相とをそれぞれ示している。なお、図4に
おいて、実線F1 は、フォーカシング方向の周波数応答
特性を示し、また破線T1 は、トラッキング方向の周波
数応答特性を示す。
【0056】弾性部材20A乃至20Dは、対物レンズ
2がフォーカシング方向に駆動された際、Y軸回りのロ
ーリング現象による共振レベルが、実線F1 上の共振点
1で示すように、上述した図10中に示す実線F2
の共振点A2 と比較して明らかに低減される。また、Y
軸回りのローリング現象による共振点A1 は、位相が逆
転されて進み方向となる。
【0057】そして、この対物レンズ駆動装置1は、Y
軸回りのローリング現象における共振が、共振点A1
度まで構造的に低減されていれば、弾性部材20に添着
された粘弾性材50によるダンピング効果によっていわ
ゆる位相回りが容易に抑制される。
【0058】また、弾性部材20A乃至20Dは、対物
レンズ2がトラッキング方向に駆動された際、Z軸回り
のローリング現象による共振レベルは、実線T1 上の共
振点B1 で示すように、上述した図10中に示す実線T
2 上の共振点B2 と比較して変化しない。すなわち、共
振点A1 における位相は、共振点B1 における位相と同
一方向とされる。
【0059】上述したように、実施形態対物レンズ駆動
装置1によれば、フォーカシング方向に上下に離間して
設けられた弾性部材20A、20B及び弾性部材20
C、20Dが、ボビン支持部材6側端部の対向間隔の寸
法がボビン部材5側端部の対向間隔の寸法と比較して小
さくされて配設されたことによって、対物レンズ2がフ
ォーカシング方向に駆動された際に生じるトラッキング
方向であるY軸回りのローリング現象による共振が低減
される。
【0060】また、この対物レンズ駆動装置1は、弾性
部材20のY軸回りのローリング現象による共振の位相
が逆転されて進み方向となるため、添着された粘弾性材
50によるダンピング効果によって位相回りが抑制され
てサーボ特性が容易に向上される。この対物レンズ駆動
装置1は、共振点A1 における位相が進み方向とされる
ため、共振点B1 における位相と同一方向とされてお
り、共振現象を抑制する上で好ましい。すなわち、この
対物レンズ駆動装置1は、共振が完全に抑制されなくと
もサーボ特性への悪影響を低減させる。したがって、こ
の対物レンズ駆動装置1は、共振が抑制されて良好な振
動特性が得られるとともに、感度特性を向上させること
が可能とされる。
【0061】なお、本発明に係る実施形態対物レンズ駆
動装置1は、板材状に形成された弾性部材20が採用さ
れたが、この弾性部材20に限定されるものでなく、例
えば、丸棒状の弾性部材等の他の断面形状の弾性部材を
採用してもよいことは勿論である。
【0062】また、本発明は、上述した弾性部材20の
配設状態に限定されるものでなく、図5乃至図7に示す
弾性部材20の配設状態の他の例のように、必要に応じ
て適宜それぞれ展開される。これら弾性部材20の配設
状態の他の例によって構成される他の実施形態対物レン
ズ駆動装置は、基本的な構成を上述した実施形態対物レ
ンズ駆動装置1とはぼ同様としており、詳細な説明を省
略して弾性部材20の配設状態についてのみ以下説明す
る。なお、上述した対物レンズ駆動装置1と同一部材に
は、同一符号を付す。
【0063】他の実施形態対物レンズ駆動装置を構成す
る弾性部材20は、図5に示すように、ボビン支持部材
6側端部の対向間隔の寸法がボビン部材5側端部の対向
間隔の寸法と比較して大きくされている。
【0064】また、他の実施形態対物レンズ駆動装置を
構成する弾性部材20は、図6に示すように、ボビン部
材5側端部の対向間隔の寸法がボビン支持部材6側端部
の対向間隔の寸法と比較して小さくされている。
【0065】また、他の実施形態対物レンズ駆動装置を
構成する弾性部材20は、図7に示すように、ボビン支
持部材6側端部の対向間隔の寸法がボビン部材5側端部
の対向間隔の寸法と比較して小さくされている。
【0066】上述したように、弾性部材20A乃至20
Dの配設状態の他の例によって構成される他の実施形態
対物レンズ駆動装置によれば、フォーカシング方向に上
下に離間して設けられた弾性部材20A、20B及び弾
性部材20C、20Dが、ボビン支持部材6側端部の対
向間隔の寸法がボビン部材5側端部の対向間隔の寸法と
異にされて配設されたことによって、対物レンズ2がフ
ォーカシング方向に駆動された際に生じるトラッキング
方向であるY軸回りのローリング現象による共振が低減
される。したがって、この対物レンズ駆動装置は、共振
が抑制されて良好な振動特性が得られるとともに、感度
特性を向上させることが可能とされる。
【0067】つぎに、本発明に係る実施形態対物レンズ
駆動装置の製造方法について説明する。この対物レンズ
駆動装置の製造方法は、上述した実施形態対物レンズ駆
動装置1を製造するに際して、互いに平行に配設された
複数個の弾性部材を備える従来の対物レンズ駆動装置1
00を製造する工程において、ボビン部材5及びボビン
支持部材6に両端部が差し込まれて保持される弾性部材
20の平行度等に不都合があることにより不良と判定さ
れた対物レンズ駆動装置100の弾性部材20を修正す
る修正工程等で、フォーカシング方向に上下に離間して
配設された弾性部材20の一端部をそれぞれ変形させ
て、これら弾性部材20の対向間隔の寸法をボビン支持
部材6側端部とボビン部材5側端部とで異ならせる。
【0068】この対物レンズ駆動装置の製造方法によれ
ば、従来の対物レンズ駆動装置100の弾性部材20を
変形させるだけで、上述した対物レンズ駆動装置1を容
易に製造することができる。また、この対物レンズ駆動
装置の製造方法によれば、従来の対物レンズ駆動装置1
00の製造工程において不良と判定された対物レンズ駆
動装置100が、対物レンズ駆動装置1として容易に再
生されるため、対物レンズ駆動装置100の製造工程の
不良率を低減させる。
【0069】
【発明の効果】本発明に係る対物レンズ駆動装置によれ
ば、フォーカシング方向に隣接する弾性部材が、ボビン
部材側端部とボビン支持部材側端部とで対向間隔の寸法
が異にされて配設されたことによって、対物レンズがフ
ォーカシング方向に駆動された際に生じるトラッキング
方向回りのローリング現象による共振が低減される。し
たがって、この対物レンズ駆動装置は、共振が抑制され
て良好な振動特性が得られるとともに、感度特性を向上
させることが可能とされる。
【0070】また、本発明に係る対物レンズ駆動装置の
製造方法によれば、ボビン部材側端部とボビン支持部材
側端部とで対向間隔の寸法が異にされフォーカシング方
向に上下に離間して配設された弾性部材を備える対物レ
ンズ駆動装置を製造するに際して、複数個の弾性部材が
互いに平行に配設される対物レンズ駆動装置の製造工程
において、不良と判定された対物レンズ駆動装置のフォ
ーカシング方向に上下に離間して配設された弾性部材の
一端部をそれぞれ変形させることによって、ボビン部材
側端部とボビン支持部材側端部とで対向間隔の寸法が異
にされフォーカシング方向に上下に離間して配設された
弾性部材を備える対物レンズ駆動装置を容易に製造する
ことが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態対物レンズ駆動装置を示
す斜視図である。
【図2】同対物レンズ駆動装置を示す平面図である。
【図3】同対物レンズ駆動装置を示す側面図である。
【図4】同対物レンズ駆動装置における周波数応答特性
を示す図である。
【図5】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配設
状態の他の例を示す要部側面図である。
【図6】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配設
状態の他の例を示す要部側面図である。
【図7】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配設
状態の他の例を示す要部側面図である。
【図8】従来の対物レンズ駆動装置の弾性部材を説明す
るために示す斜視図である。
【図9】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配設
状態を示す側面図である。
【図10】同対物レンズ駆動装置における周波数応答特
性を示す図である。
【符号の説明】
1 対物レンズ駆動装置 2 対物レンズ 5 ボビン部材 6 ボビン支持部材 7 ベース部材 8 ホルダ部 9 磁気回路部品組付け部 11 コイル組付け開口部 12 フォーカシングコイル 13 トラッキングコイル 14 ヨーク 15 マグネット 20(20A乃至20D) 弾性部材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】かかる板バネ形構造の直交2軸アクチュエ
ータ機構を備えた従来の対物レンズ駆動装置100は、
図9及び図10に示すように、対物レンズ2と、この対
物レンズ2が組み付けられた対物レンズホルダ3と、こ
の対物レンズホルダ3及び磁気回路部4を構成する後述
する各部材が組み合わされたボビン部材5と、このボビ
ン部材5を支持する4本の弾性部材120(120A乃
至120D)と、これら弾性部材120の基端部を支持
するボビン支持部材6及び磁性材料によって形成された
ベース部材7とを主たる構成部材として構成されてい
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】ベース部材7は、第1のヨーク片14Aと
第2のヨーク片14Bとがそれぞれ互いに平行に対峙す
るようにして一体に立ち上がり形成されている。第1の
ヨーク片14Aは、磁気回路部品組付け部9に組み付け
られたフォーカシングコイル12の中心孔を貫通してい
る。また、第2のヨーク片14Bは、トラッキングコイ
ル13A、13Bと対向して磁気回路部品組付け部9に
貫通している。第1のヨーク片14Aには、第2のヨー
ク片14Bとの対向側面に、やや厚みのある板状のマグ
ネット15が取り付けられている。第1のヨーク片14
Aと第2のヨーク片14Bとの先端部には、図9及び図
10において鎖線で示すように、ヨーク板16が組み合
わされる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】基端部がボビン支持部材6に支持された弾
性部材120は、このフォーカシング調整動作に際し
て、弾性変形部が図9において上下方向に弾性変位する
ことにより、ボビン部材5、すなわち対物レンズ2を上
下方向に調動する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】基端部がボビン支持部材6に支持された弾
性部材120は、このトラッキング調整動作に際して、
弾性変形部が図10において左右方向に弾性変位するこ
とにより、ボビン部材5、すなわち対物レンズ2を左右
方向に調動する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】従来の対物レンズ駆動装置100につい
て、対物レンズ2が駆動された際における周波数応答特
性を図11を参照して説明する。図11は、周波数に対
する共振レベルと周波数に対する共振の位相とをそれぞ
れ示している。なお、図11において、実線F2 は、フ
ォーカシング方向の周波数応答特性を示し、また破線T
2 は、トラッキング方向の周波数応答特性を示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】対物レンズ駆動装置100は、図11に示
すように、トラッキング方向であるY軸回りのローリン
グ現象による共振点A2 と、フォーカシング方向である
Z軸回りのローリング現象による共振点B2 とに、いず
れか一方の共振レベルを小さくするために例えば弾性部
材120の構成や寸法等を変更する構造変更を行うと他
方の共振レベルが大きくなる相反性があるという問題点
があった。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】また、従来の対物レンズ駆動装置100
は、図11に示すように、共振点A2における位相が共
振点B2 おける位相に対して逆位相であるため、共振点
2 における位相が遅れる方向であり共振現象を抑制す
る上で好ましくなかった。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】図1、図2及び図4を参照してこれら弾性
部材20の構成を説明すれば、弾性部材20は、ボビン
支持部材6の両側面部に設けた嵌合スリット6b乃至嵌
合スリット6dにそれぞれ差し込まれる略矩形状の基端
部21と、幅狭の弾性変形部22と、ボビン部材5の両
側面部に設けた嵌合スリット5a乃至嵌合スリット5d
にそれぞれ差し込まれる略矩形状の嵌合部23とから構
成されている。弾性部材20の基端部21の近傍には、
互いに組み合わされた状態でL字状の開口部30と矩形
状の開口部31とを打ち抜くことによって、全体が略U
字状を呈する折返し部29(29A乃至29D)が形成
されている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】なお、上記略ハ字状の配置は、フォーカシ
ング方向に隣接する弾性部材20A、20B及び弾性部
材20C、20Dを、ボビン支持部材6との接続位置の
回りにおよそ3度程度だけ回転させることに相当する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】つぎに、対物レンズ駆動装置1が備える弾
性部材20A乃至20Dについて、対物レンズ2が駆動
された際における周波数応答特性を図5を参照して説明
する。図5は、周波数に対する共振レベルと周波数に対
する共振の位相とをそれぞれ示している。なお、図5に
おいて、実線F1 は、フォーカシング方向の周波数応答
特性を示し、また破線T1 は、トラッキング方向の周波
数応答特性を示す。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】弾性部材20A乃至20Dは、対物レンズ
2がフォーカシング方向に駆動された際、Y軸回りのロ
ーリング現象による共振レベルが、実線F1 上の共振点
1で示すように、上述した図11中に示す実線F2
の共振点A2 と比較して明らかに低減される。また、Y
軸回りのローリング現象による共振点A1 は、位相が逆
転されて進み方向となる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】また、弾性部材20A乃至20Dは、対物
レンズ2がトラッキング方向に駆動された際、Z軸回り
のローリング現象による共振レベルは、実線T1 上の共
振点B1 で示すように、上述した図11中に示す実線T
2 上の共振点B2 と比較して変化しない。すなわち、共
振点A1 における位相は、共振点B1 における位相と同
一方向とされる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】また、本発明は、上述した弾性部材20の
配設状態に限定されるものでなく、図6乃至図8に示す
弾性部材20の配設状態の他の例のように、必要に応じ
て適宜それぞれ展開される。これら弾性部材20の配設
状態の他の例によって構成される他の実施形態対物レン
ズ駆動装置は、基本的な構成を上述した実施形態対物レ
ンズ駆動装置1とはぼ同様としており、詳細な説明を省
略して弾性部材20の配設状態についてのみ以下説明す
る。なお、上述した対物レンズ駆動装置1と同一部材に
は、同一符号を付す。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】他の実施形態対物レンズ駆動装置を構成す
る弾性部材20は、図6に示すように、ボビン支持部材
6側端部の対向間隔の寸法がボビン部材5側端部の対向
間隔の寸法と比較して大きくされている。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正内容】
【0064】また、他の実施形態対物レンズ駆動装置を
構成する弾性部材20は、図7に示すように、ボビン部
材5側端部の対向間隔の寸法がボビン支持部材6側端部
の対向間隔の寸法と比較して小さくされている。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正内容】
【0065】また、他の実施形態対物レンズ駆動装置を
構成する弾性部材20は、図8に示すように、ボビン支
持部材6側端部の対向間隔の寸法がボビン部材5側端部
の対向間隔の寸法と比較して小さくされている。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態対物レンズ駆動装置を示
す斜視図である。
【図2】同対物レンズ駆動装置を示す平面図である。
【図3】同対物レンズ駆動装置を示す側面図である。
【図4】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材を示す
斜視図である。
【図5】同対物レンズ駆動装置における周波数応答特性
を示す図である。
【図6】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配設
状態の他の例を示す要部側面図である。
【図7】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配設
状態の他の例を示す要部側面図である。
【図8】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配設
状態の他の例を示す要部側面図である。
【図9】従来の対物レンズ駆動装置の弾性部材を説明す
るために示す斜視図である。
【図10】同対物レンズ駆動装置が備える弾性部材の配
設状態を示す側面図である。
【図11】同対物レンズ駆動装置における周波数応答特
性を示す図である。
【符号の説明】 1 対物レンズ駆動装置 2 対物レンズ 5 ボビン部材 6 ボビン支持部材 7 ベース部材 8 ホルダ部 9 磁気回路部品組付け部 11 コイル組付け開口部 12 フォーカシングコイル 13 トラッキングコイル 14 ヨーク 15 マグネット 20 (20A乃至20D) 弾性部材
【手続補正18】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対物レンズと、 一端側には対物レンズが組み付けられるホルダ部が形成
    されるとともに他端側には対物レンズの光軸と平行な方
    向に作用する磁気駆動力を発生するフォーカシングコイ
    ル及び対物レンズの光軸と直交する方向に作用する磁気
    駆動力を発生するトラッキングコイルとが組み付けられ
    たボビン部材と、 このボビン部材の両側面部にそれぞれ上下に離間して一
    端部が固定されるとともに他端部が固定部であるボビン
    支持部材に固定されることによってボビン部材をフォー
    カシング方向とトラッキング方向とに弾性変位自在に支
    持する複数個の弾性部材と、 マグネットが接合されるとともにフォーカシングコイル
    の内部に介挿される第1のヨークと、トラッキングコイ
    ルと対向するようにして位置された第2のヨークとが立
    ち上がり形成されることによって磁気回路部を構成しか
    つボビン支持部材を固定支持するベース部材とを備え、 フォーカシング方向に上下に離間して配設された弾性部
    材は、ボビン部材側端部とボビン支持部材側端部とで対
    向間隔の寸法が異なることを特徴とする対物レンズ駆動
    装置。
  2. 【請求項2】 対物レンズと、 一端側には対物レンズが組み付けられるホルダ部が形成
    されるとともに他端側には対物レンズの光軸と平行な方
    向に作用する磁気駆動力を発生するフォーカシングコイ
    ル及び対物レンズの光軸と直交する方向に作用する磁気
    駆動力を発生するトラッキングコイルとが組み付けられ
    たボビン部材と、 このボビン部材の両側面部にそれぞれ上下に離間して一
    端部が固定されるとともに他端部が固定部であるボビン
    支持部材に固定されることによってボビン部材をフォー
    カシング方向とトラッキング方向とに弾性変位自在に支
    持し、ボビン部材側端部とボビン支持部材側端部とで対
    向間隔の寸法が異にされフォーカシング方向に上下に離
    間して配設された複数個の弾性部材と、 マグネットが接合されるとともにフォーカシングコイル
    の内部に介挿される第1のヨークと、トラッキングコイ
    ルと対向するようにして位置された第2のヨークとが立
    ち上がり形成されることによって磁気回路部を構成しか
    つボビン支持部材を固定支持するベース部材とを備えて
    構成される対物レンズ駆動装置を製造するに際して、 複数個の弾性部材が互いに平行に配設される対物レンズ
    駆動装置の製造工程において、不良と判定された対物レ
    ンズ駆動装置のフォーカシング方向に上下に離間して配
    設された弾性部材の一端部をそれぞれ変形させることに
    よって製造することを特徴とする対物レンズ駆動装置の
    製造方法。
JP22440595A 1995-08-31 1995-08-31 対物レンズ駆動装置及びその製造方法 Pending JPH0973644A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180129359A (ko) * 2017-05-26 2018-12-05 엘지이노텍 주식회사 렌즈 구동 장치 및 이를 포함하는 카메라 모듈 및 광학 기기

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20180129359A (ko) * 2017-05-26 2018-12-05 엘지이노텍 주식회사 렌즈 구동 장치 및 이를 포함하는 카메라 모듈 및 광학 기기

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Effective date: 20031202