JPH0971421A - 黄色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末の製造法 - Google Patents

黄色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末の製造法

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JPH0971421A
JPH0971421A JP25684795A JP25684795A JPH0971421A JP H0971421 A JPH0971421 A JP H0971421A JP 25684795 A JP25684795 A JP 25684795A JP 25684795 A JP25684795 A JP 25684795A JP H0971421 A JPH0971421 A JP H0971421A
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ferric oxide
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solution
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JP25684795A
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Torayuki Honna
虎之 本名
Yoshiro Okuda
嘉郎 奥田
Hiroshi Tsunoda
博 角田
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Toda Kogyo Corp
Original Assignee
Toda Kogyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 長軸径が0.3〜0.8μmと大きく、且
つ、粒度分布が良好なことからL* * * 表色系にお
けるb* 値が高く、黄色味が強い黄色系顔料用含水酸化
第二鉄粒子粉末を工業的に得られる製造法を提供する。 【解決手段】 第一鉄塩濃度をFe2+として1.0〜
2.0molとする第一鉄塩水溶液と該溶液中の第一鉄
に対し当量未満のアルカリ水溶液とを反応させて得られ
る水酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドを含有
する第一鉄塩反応水溶液を、加熱しながら酸素含有ガス
を通気して含水酸化第二鉄種晶粒子を生成させる第一段
反応と、酒石酸又はその塩をFeに対して0.01〜
0.50mol%あらかじめ添加しておいたアルカリ水
溶液を添加しながらpH3.0〜5.0の範囲に維持
し、加熱しながら酸素含有ガスを通気して該種晶粒子を
成長させる第二段反応とからなる含水酸化第二鉄粒子粉
末の製造法よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長軸径が0.3〜
0.8μmと大きく、且つ、粒度分布が良好なことから
* * * 表色系におけるb* 値が高く、黄色味が強
い黄色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末及びこれを工業
的に高効率で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】黄色系顔料用の無機系顔料としては、黄
鉛(PbCrO4 )、亜鉛黄(ZnCrO4 )、カドミ
ウムイエロー(CdS)、含水酸化第二鉄(ゲータイ
ト)等が知られている。黄鉛は、鉛やクロムなどをその
成分として含有するので、安全性の点からその使用は好
ましくない。亜鉛黄は、クロムを含み、また、カドミウ
ムイエローは、カドミウムを含むためいずれも安全性に
問題がある。一方、含水酸化第二鉄粒子粉末は、鉄の含
水酸化物であることから安全性が高く、今後、高い安全
性を有する黄色系顔料用の無機系顔料として、含水酸化
第二鉄粒子粉末が望まれている。
【0003】従来、黄色系顔料用の含水酸化第二鉄粒子
粉末は、およそBET比表面積にして20m2 /g以下
と比較的大きな粒子が用いられており、大きな粒子が作
りやすいアンモニア法(米国特許第2939767号公
報)や、スクラップ法(特開昭47−771号公報)な
どの製法によって作られてきた。しかしながら、アンモ
ニア法は含水酸化第二鉄粒子粉末生成後の廃水中に含ま
れる窒素化合物が河川や海の富栄養化などの公害をもた
らすことから、廃水処理を行う必要がある。また、スク
ラップ法においては生成反応に非常に長時間を要し、好
ましくない。
【0004】ところで、含水酸化第二鉄粒子粉末の製造
法としては、前出の方法の外に、第一鉄塩水溶液と水酸
化ナトリウム水溶液等のアンモニア以外のアルカリ水溶
液との反応によって一部を水酸化第一鉄コロイドとし、
酸化反応を行うことによって、含水酸化第二鉄種晶粒子
を生成させ、それを成長反応させて含水酸化第二鉄粒子
を得るという方法がある(特公昭39−5611号公
報、特開昭55−167135号公報、特開平3−22
3120号公報)。この方法では、従来、大きな粒子は
作りにくく、黄色味の強いものは得られにくいとされて
きたが、一方、第一鉄塩水溶液とアンモニア以外のアル
カリ水溶液とを使用するので、公害等の問題のないもの
であり、しかも、生成反応の空間・時間当たりの生産性
STY(Space Time Yield)が実用上
十分に得られる方法である。
【0005】そこで、黄色系顔料用の含水酸化第二鉄粒
子粉末を前出アンモニア法及びスクラップ法に比べて、
製造法として工業的に優れる前述の第一鉄塩水溶液とア
ンモニア以外のアルカリ水溶液とを使用する方法によっ
て、黄色系顔料用として十分に大きな粒子であって、よ
り黄色味の強い黄色系顔料用の含水酸化第二鉄粒子粉末
を得ることが求められている。
【0006】また、顔料の粒径及び形状と、色との関係
についてはこれまで多くの研究がなされてきた。例え
ば、特開平3−195779号公報の「黄味鮮明性の優
れた含水酸化鉄顔料にはある最適粒径(短軸径)の範囲
があり、また粒度分布が最適粒径の範囲内で狭いことが
必要である。このため、これまで含水酸化鉄顔料の黄味
鮮明性を改良するために短軸径を最適化し、かつ粒度分
布を狭くする努力が行われてきた。」なる記載の通り、
針状形状の粒子の短軸径については最適な範囲のもの
を、また、粒度分布は良好なものを求める研究が行われ
てきた。
【0007】さらに、前出特開平3−195779号公
報の「色差の定量的表現法としてはCIELAB単位が
あり、L* 、a* 、b* の3つの色価で表現される。こ
こで、L* 値が明度を、a* 値が赤色度、b* 値が黄色
度を示し、黄色味はb* 値に、鮮明性はa* 値とb*
のベクトル和の絶対値(a*2+b*21/2 に対応する。
従って、黄味鮮明性の黄色含水酸化鉄ではb* 値が高い
ことが望ましい。また、L* 値が高いことも明度を向上
するため鮮明性の点で望ましい。」なる記載の通り、L
* * * 値による測色法において、b* 値が高く、し
かも、L* 値が高いことが黄色顔料用には望ましい。
【0008】針状含水酸化第二鉄粒子の形状、粒度分布
等を制御する目的で反応溶液中に種々の酸性物質を添加
する方法は従来から行われており、例えば、第一鉄塩水
溶液に第一鉄塩に対して当量以下のアルカリを作用させ
て鉄分の一部を水酸化第一鉄塩として沈殿させた懸濁液
を得、次いで該懸濁液を酸化して、酸化開始後酸化率が
20〜65%に達した段階で酸性物質を添加し、磁気記
録材料用針状含水酸化第二鉄粒子粉末を得る方法(特公
平6−11653号公報)、第一鉄塩水溶液にアルカリ
溶液を加え酸化反応を行う際に反応溶液中にクエン酸、
酒石酸、リンゴ酸、オキシマロン酸のようなオキシカル
ボン酸、あるいはこれらのアルカリ塩を添加して回転楕
円体形状の含水酸化第二鉄粒子を生成させる方法(特公
昭47−40758号公報)などがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】長軸径が0.3〜0.
8μmと大きく、且つ、粒度分布が良好なことからL*
* * 表色系におけるb* 値が高く、黄色味が強い黄
色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末は、現在最も要求さ
れているところであるが、前出特公昭47−40758
号公報、特公平6−11653号公報に記載の針状含水
酸化第二鉄粒子粉末は、これら諸特性を十分満足するも
のとは言いがたいものである。
【0010】前出特公昭47−40758号公報に記載
の含水酸化第二鉄粒子は、反応溶液中における第一鉄の
濃度が高々0.5mol/lと低く、しかも、種晶の成
長反応がないものであり、十分に種晶粒子を成長させる
ことができず、微粒子となるため黄色系顔料用としては
適さないものである。
【0011】前出特公平6−11653号公報に記載の
含水酸化第二鉄粒子は、反応溶液中に酸性物質を添加す
る時期が、水酸化第一鉄沈殿の酸化率が20〜65%の
範囲であり、その本文中の記載から明らかなように、水
酸化第一鉄コロイドが全て消費されてグリーンラストに
変化した後であることから、種晶粒子生成に寄与しない
ものであり、しかも、微粒子の含水酸化第二鉄粒子粉末
である。
【0012】そこで、本発明は、長軸径が0.30〜
0.80μmと大きく、且つ、粒度分布が良好なことか
らL* * * 表色系におけるb* 値が高く、黄色味が
強い黄色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末を提供するこ
とを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0014】即ち、第一鉄塩水溶液と該溶液中の第一鉄
に対し当量未満のアルカリ水溶液とを反応させて得られ
る水酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドを含有
する第一鉄塩反応水溶液を、加熱しながら酸素含有ガス
を通気して含水酸化第二鉄種晶粒子を生成させる第一段
反応と、アルカリ水溶液を添加しながらpH3.0〜
5.0の範囲に維持し、加熱しながら酸素含有ガスを通
気して該種晶粒子を成長させて含水酸化第二鉄粒子粉末
を生成させる第二段反応との二段階反応からなる含水酸
化第二鉄粒子粉末の製造法において、前記第一段反応に
おける前記第一鉄塩反応水溶液中の第一鉄濃度をFe2+
として1.0〜2.0mol/lとし、且つ、前記第一
段反応における前記第一鉄塩水溶液、前記アルカリ水溶
液及び水酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドが
残存している前記第一鉄塩反応水溶液から選ばれる1又
は2以上の水溶液に酒石酸又はその塩をFeに対して
0.01〜0.50mol%あらかじめ添加しておくこ
とを特徴とする黄色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末の
製造法である。
【0015】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の
通りである。先ず、本発明に係る黄色系顔料用含水酸化
第二鉄粒子粉末について述べる。
【0016】本発明に係る黄色系顔料用含水酸化第二鉄
粒子は、針状粒子である。ここで針状粒子とは、針状形
状は、もちろん、紡錘状、短冊状、米粒状のものを含
む。
【0017】本発明に係る黄色系顔料用含水酸化第二鉄
粒子は、長軸径が0.3〜0.8μm、好ましくは0.
40〜0.80μm、短軸径が0.03〜0.10μ
m、好ましくは0.03〜0.09μmの粒子である。
【0018】本発明に係る黄色系顔料用含水酸化第二鉄
粒子は、BET比表面積が13〜22m2 /g、好まし
くは13〜20m2 /gである。
【0019】本発明に係る黄色系顔料用含水酸化第二鉄
粒子は、表色指数L* * * が、それぞれ、L* 値が
57〜66、好ましくは59〜66であり、a* 値が1
4〜20、好ましくは14〜18であり、b* 値が47
〜54、好ましくは49〜54である。
【0020】次に、前記の通りの本発明に係る黄色系顔
料用含水酸化第二鉄粒子粉末の製造法について述べる。
【0021】本発明の第一段反応において使用される第
一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄
水溶液を使用することができる。
【0022】本発明の第一段反応において使用されるア
ルカリ水溶液としては、アンモニア以外であって、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸
化物の水溶液、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム
等のアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液又は炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ水溶液が使用で
きる。
【0023】アルカリ水溶液の使用量は第一鉄塩水溶液
中のFe2+に対して当量未満であり、好ましくは0.1
0〜0.40当量、更に好ましくは0.15〜0.25
当量の範囲である。当量以上の場合には、粒度が不均斉
であって、樹枝状粒子が混在するものとなる。また、粒
状のマグネタイトが混在してくることもある。好ましい
範囲において、0.10当量未満の場合には、生成する
含水酸化第二鉄種晶粒子の数が少なくなりすぎ、成長過
程において新たな種晶粒子の生成を招き、その結果、粒
度分布が広くなってしまうおそれがある。0.40当量
を超える場合には、反応時間が長くなるおそれがある。
【0024】本発明の第一段反応における第一鉄塩反応
水溶液は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応さ
せて得られ、水酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロ
イドを含有するものである。
【0025】本発明の第一段反応における第一鉄塩反応
水溶液は、第一鉄濃度がFe2+として1.0〜2.0m
ol/l、好ましくは1.4〜1.8mol/lであ
る。1.0mol/l未満の場合には、生成物は微粒子
になり、黄色系顔料用には適さない。2.0mol/l
を越える場合には、溶解度の関係から操作が困難とな
る。
【0026】本発明の第一段反応の温度は、40〜65
℃、好ましくは45〜60℃である。40℃未満の場合
には、生成物が微粒子になり、黄色系顔料用には適さな
い。65℃を越える場合には、マグネタイト粒子が混入
してくるため好ましくない。
【0027】本発明の第一段反応において使用される酒
石酸又はその塩としては、酒石酸、酒石酸ナトリウム、
酒石酸カリウム、酒石酸リチウム等がある。本発明にお
ける酒石酸又はその塩の添加量は、Feに対し0.01
〜0.50モル%である。0.01モル%未満の場合に
は、粒度分布が大きくなり、本発明の効果が得られな
い。0.50モル%を越える場合には、粒径が小さくな
るため黄色系顔料用としては好ましくない。
【0028】本発明における酒石酸又はその塩は、第一
段反応において、第一鉄塩水溶液、アルカリ水溶液及び
水酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドが残存し
ている第一鉄塩反応水溶液から選ばれる1又は2以上の
水溶液にあらかじめ添加しておくことができる。第一鉄
塩反応水溶液に添加する場合には、第一鉄塩水溶液とア
ルカリ水溶液との混合時から酸化反応開始後、水酸化第
一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドが残存している間
に行う。水酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイド
が全て消費されてグリーンラストに変化した後に添加し
た場合には、含水酸化第二鉄種晶粒子の形成過程に寄与
することなく、粒度分布を均一にする本発明の効果が得
られない。また、各段階において何回かに分けて添加し
てもよい。
【0029】本発明の第一段反応における酸素含有ガス
は、空気等が使用でき、反応水溶液中に通気することに
よって酸化を行う。必要により機械的操作による攪拌を
伴ってもよい。
【0030】本発明の第二段反応において使用するアル
カリ水溶液は第一段反応において使用できるアルカリ水
溶液が使用できる。
【0031】本発明の第二段反応において、アルカリ水
溶液を添加しながら調整するpHは3.0〜5.0、好
ましくは3.5〜4.5である。pH3.0未満となる
場合には、反応時間が非常に長くなり、経済的、工業的
に適さないものである。pH5.0を超える場合には、
新たな含水酸化第二鉄種晶粒子が生成するため、粒度分
布が広くなってしまう。
【0032】本発明の第二段反応における反応温度は、
70〜100℃、好ましくは75〜90℃である。70
℃未満の場合には、十分な粒子成長が行われず、微粒子
となるため好ましくない。100℃を越える場合には、
オートクレーブなどの特殊な装置が必要となる。
【0033】本発明の第二段反応における酸素含有ガス
は、第一段反応において使用できる酸素含有ガスが使用
できる。必要により機械的操作による攪拌を伴ってもよ
い。
【0034】尚、本発明の第二段反応において、新たに
種晶粒子の成長反応に用いる第一鉄塩水溶液を反応開始
前にあらかじめ添加しておいてもよく、また、反応中に
逐次添加してもよい。
【0035】尚、本発明においては、第一段反応と第二
段反応とを同一の反応塔を用いて行うことができること
はもちろん別々の反応塔を用いる場合でも本発明の目的
とする含水酸化第二鉄粒子粉末が得られる。
【0036】
【作用】先ず、本発明において最も重要な点は、第一段
反応において、第一鉄塩水溶液、アルカリ水溶液及び水
酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドが残存して
いる第一鉄塩反応水溶液から選ばれる1又は2以上の水
溶液に酒石酸又はその塩をあらかじめ添加して置き、第
二段反応において、アルカリ水溶液を添加してpH3.
0〜5.0に維持し、加熱しながら酸化を行うことによ
り、長軸径が0.30〜0.80μmと大きく、且つ、
粒度分布が良好なことからb* 値が高く、黄色味が強い
黄色系顔料用の含水酸化第二鉄粒子粉末が得られるとい
う事実である。
【0037】上記反応系について説明すれば、次の通り
である。
【0038】先ず、グリーンラストについては、例え
ば、粉体粉末冶金協会昭和43年度秋季大会講演概要集
の第80頁の「‥‥試料は硫酸第一鉄に0.7当量のN
aOHを加え生じたbasic saltを空気酸化し
ながらpHを測定しpH5.5になったところで酸化を
停止する。この時得られる化合物がgreen rus
tである。‥‥」なる記載の通りであり、第一鉄塩水溶
液と該溶液中の第一鉄に対し当量未満のアルカリ水溶液
とを反応させて得られる水酸化第一鉄コロイド又は炭酸
第一鉄コロイドは、酸化により徐々にグリーンラストに
変わり、全ての水酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コ
ロイドがグリーンラストに変わるとpHはおよそ6.5
〜5.5になる。さらに酸化が進みグリーンラストが含
水酸化第二鉄種晶粒子へと変わっていき、グリーンラス
トが全て含水酸化第二鉄種晶粒子に変わると、pHは急
激に低下して4以下となる。
【0039】本発明者は、含水酸化第二鉄粒子の粒径及
び形状と、その黄色味との関連について鋭意研究を進め
た結果、粒度分布と黄色味を示すb* 値との関係につい
て、従来、粒度分布の広い含水酸化第二鉄粒子粉末の場
合には、微粒子の比率が比較的多くなり、そのためb*
値が低く、黄色味が低くなっているものと考えた。即
ち、粒度分布が良好なものほど微粒子の比率が少なくな
り、b* 値が高く、即ち黄色味が高くなるものと考え、
含水酸化第二鉄粒子粉末の粒度分布を良好にする方法に
ついて研究を行い、本発明を成すに至った。
【0040】本発明者は、酒石酸又はその塩を、第一段
反応において、第一鉄塩水溶液、アルカリ水溶液及び水
酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドが残存して
いる第一鉄塩反応水溶液から選ばれる1又は2以上の水
溶液に添加することにより、その後の含水酸化第二鉄種
晶粒子生成過程においてその粒度分布を良好にするよう
に影響を及ぼすことができたものと考えている。さら
に、第一段反応において、その粒度分布が良好な含水酸
化第二鉄種晶粒子が得られることにより、第二段反応に
おいて、その粒度分布を保ったまま成長させることがで
き、その結果、長軸径が0.30〜0.80μmと大き
く、且つ、粒度分布が良好なことから微粒子の比率が少
なくなり、そのためb* 値が高く、即ち、黄色味が強い
黄色系顔料用の含水酸化第二鉄粒子が得られるものと考
えている。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0042】尚、粒子の長軸径、短軸径、軸比(長軸径
/短軸径)は、いずれも電子顕微鏡写真から測定した値
の平均値で示した。また、粒度分布は、長軸径の粒度分
布における標準偏差σ(μm)を算出し、平均長軸径L
(μm)との比率σ/L(%)で表した。
【0043】また、測定用試料片は、実施例及び比較例
の含水酸化第二鉄粒子粉末0.5gとヒマシ油0.7c
cとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、こ
のペーストにクリヤラッカー4.5gを加え混練し塗料
化して、キャストコート紙上に6milのアプリケータ
を用いて塗布することによって得た。
【0044】また、L* 値(明度)、a* (赤色度)、
* 値(黄色度)は、測色用試料片を多光源分光測色計
MSC−1S−2D(スガ試験機(株)製)を用いてJ
ISZ8729に定めるところの表色指数L* 値、a*
値、b* 値をそれぞれ測定した。
【0045】鉄に対し0.10mol%の酒石酸ナトリ
ウム15.0gをあらかじめ添加した第一鉄1.81m
ol/lを含む硫酸第一鉄水溶液35.4lと18.4
Nの水酸化ナトリウム水溶液1.66l(硫酸第一鉄水
溶液中の第一鉄に対し、0.2当量に該当する。)とを
混合し、温度55℃において水酸化第一鉄コロイドを含
む硫酸第一鉄水溶液の生成を行った。
【0046】まず、第一段反応として、上記水酸化第一
鉄コロイドを含む硫酸第一鉄水溶液に温度55℃におい
て毎分150lの空気を300分間通気してグリーンラ
ストを経由して含水酸化第二鉄種晶粒子を含む第一鉄塩
反応溶液を生成させた。
【0047】次いで、第二段反応として、上記含水酸化
第二鉄種晶粒子を含む第一鉄塩反応溶液に18.4Nの
水酸化ナトリウム水溶液を添加しながらpH3.9〜
4.1の範囲に維持して、温度85℃において毎分15
0lの空気を70時間通気して含水酸化第二鉄種晶粒子
を成長反応させた。得られた含水酸化第二鉄粒子は、常
法により、濾過、水洗、乾燥した。
【0048】ここに得られた含水酸化第二鉄粒子は図1
の電子顕微鏡写真(×20000)に示す通り、針状粒
子であって、長軸径0.51μm、軸比8.5の針状形
状を呈した粒子であった。その表色指数は、L* 値が6
4.1、a* 値が16.7、b* 値が51.8であっ
た。
【0049】ここに得られた含水酸化第二鉄粒子粉末
は、黄色味が強く、黄色系顔料として、バインダと混練
することにより、黄色系塗料として使用でき、また、セ
メントと混合することにより、黄色着色セメントとして
使用でき、あるいはまた、アスファルトと混練すること
により、黄色着色アスファルトとして使用できる。
【0050】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0051】実施例1〜6、比較例1〜4 第一鉄塩水溶液の濃度並びに使用量、アルカリ水溶液の
種類、濃度並びに使用量、酒石酸又はその塩の種類、使
用量並びにその添加時期、第一段反応における温度、第
二段反応における温度並びにpHを種々変化させた以外
は前記本発明の実施の形態と同様にして含水酸化第二鉄
粒子粉末を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明に係る含水酸化第二鉄粒子は、長
軸径が0.30〜0.80μmと大きく、且つ、粒度分
布が良好なことからb* 値が高く、黄色味が強いことか
ら黄色系顔料用として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態で得られた含水酸化第二鉄
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×2000
0)である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液と該溶液中の第一鉄に対
    し当量未満のアルカリ水溶液とを反応させて得られる水
    酸化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドを含有する
    第一鉄塩反応水溶液を、加熱しながら酸素含有ガスを通
    気して含水酸化第二鉄種晶粒子を生成させる第一段反応
    と、アルカリ水溶液を添加してpH3.0〜5.0の範
    囲に維持し、加熱しながら酸素含有ガスを通気して該種
    晶粒子を成長させて含水酸化第二鉄粒子粉末を生成させ
    る第二段反応との二段階反応からなる含水酸化第二鉄粒
    子粉末の製造法において、前記第一段反応における前記
    第一鉄塩反応水溶液中の第一鉄濃度をFe2+として1.
    0〜2.0mol/lとし、且つ、前記第一段反応にお
    ける前記第一鉄塩水溶液、前記アルカリ水溶液及び水酸
    化第一鉄コロイド又は炭酸第一鉄コロイドが残存してい
    る前記第一鉄塩反応水溶液から選ばれる1又は2以上の
    水溶液に酒石酸又はその塩をFeに対して0.01〜
    0.50mol%あらかじめ添加しておくことを特徴と
    する黄色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末の製造法。
JP25684795A 1995-09-07 1995-09-07 黄色系顔料用含水酸化第二鉄粒子粉末の製造法 Pending JPH0971421A (ja)

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JP2011037710A (ja) * 2002-03-18 2011-02-24 Sued Chemie Mt Srl 高純度酸化鉄の用途

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