JPH0970918A - フッ素加工性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法 - Google Patents
フッ素加工性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法Info
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- JPH0970918A JPH0970918A JP22674295A JP22674295A JPH0970918A JP H0970918 A JPH0970918 A JP H0970918A JP 22674295 A JP22674295 A JP 22674295A JP 22674295 A JP22674295 A JP 22674295A JP H0970918 A JPH0970918 A JP H0970918A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 フッ素加工膜が剥離しにくく、製造工程が簡
素で生産性が高いフッ素加工性が優れたアルミニウム合
金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 冷間圧延又は熱間圧延により製造したア
ルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材は、フッ素加
工を施すべきアルミニウム合金側表面に厚さが15nm
以上の表面酸化皮膜が形成されている。この酸化皮膜
は、冷間圧延又は熱間圧延により圧接したアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材に対し、その接合強度を
増大するために行う拡散焼鈍処理において、焼鈍温度を
150乃至400℃にすることにより形成することがで
きる。
素で生産性が高いフッ素加工性が優れたアルミニウム合
金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 冷間圧延又は熱間圧延により製造したア
ルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材は、フッ素加
工を施すべきアルミニウム合金側表面に厚さが15nm
以上の表面酸化皮膜が形成されている。この酸化皮膜
は、冷間圧延又は熱間圧延により圧接したアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材に対し、その接合強度を
増大するために行う拡散焼鈍処理において、焼鈍温度を
150乃至400℃にすることにより形成することがで
きる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス成形等により成
形される器物及びその応用製品に使用されるフッ素加工
性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材
及びその製造方法に関し、更に詳述すれば、器物の調理
中の焼きつき及びこげつきを防止するためにアルミニウ
ム合金表面に施されるフッ素加工において、フッ素加工
処理後の塗膜の接着強度が高く、かつ、ボイド及びピッ
ト等の表面欠陥を抑制することができるフッ素加工性が
優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材及び
その製造方法に関する。
形される器物及びその応用製品に使用されるフッ素加工
性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材
及びその製造方法に関し、更に詳述すれば、器物の調理
中の焼きつき及びこげつきを防止するためにアルミニウ
ム合金表面に施されるフッ素加工において、フッ素加工
処理後の塗膜の接着強度が高く、かつ、ボイド及びピッ
ト等の表面欠陥を抑制することができるフッ素加工性が
優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、器物は、アルミニウム合金板又は
ステンレス鋼板を深絞り成形で加工することにより商品
化されてきた。アルミニウム合金製器物は、熱伝導性が
良いものの、強度が低く変形しやすいこと、及び外観が
悪いこと等の欠点があり、また、ステンレス製器物は、
外観性及び強度は良好であるが、熱伝導性が劣ること、
こげやすいこと等の欠点がある。そこで、従来、アルミ
ニウム合金とステンレス鋼とのクラッド板を使用し、器
物の内側をアルミニウム合金が占め、外側をステンレス
鋼が占めるようにして、器物形状に加工することによ
り、熱伝導性、保温性、強度及び外観性が良好な器物を
得ている。
ステンレス鋼板を深絞り成形で加工することにより商品
化されてきた。アルミニウム合金製器物は、熱伝導性が
良いものの、強度が低く変形しやすいこと、及び外観が
悪いこと等の欠点があり、また、ステンレス製器物は、
外観性及び強度は良好であるが、熱伝導性が劣ること、
こげやすいこと等の欠点がある。そこで、従来、アルミ
ニウム合金とステンレス鋼とのクラッド板を使用し、器
物の内側をアルミニウム合金が占め、外側をステンレス
鋼が占めるようにして、器物形状に加工することによ
り、熱伝導性、保温性、強度及び外観性が良好な器物を
得ている。
【0003】また、この従来のアルミニウム合金/ステ
ンレス鋼クラッド板は、焼きつき及びこげつきの防止の
ためにアルミニウム合金側の表面にフッ素加工を施して
いるが、アルミニウム合金側の表面が不均一であった
り、アルミニウム合金表面の酸化皮膜に安定性がない
と、フッ素加工後の塗膜の接着強度が低く、フッ素加工
膜が剥離してしまったり、フッ素加工膜の表面に、ボイ
ド及びピット等の表面欠陥が生ずるという問題点があっ
た。
ンレス鋼クラッド板は、焼きつき及びこげつきの防止の
ためにアルミニウム合金側の表面にフッ素加工を施して
いるが、アルミニウム合金側の表面が不均一であった
り、アルミニウム合金表面の酸化皮膜に安定性がない
と、フッ素加工後の塗膜の接着強度が低く、フッ素加工
膜が剥離してしまったり、フッ素加工膜の表面に、ボイ
ド及びピット等の表面欠陥が生ずるという問題点があっ
た。
【0004】そこで、従来、このアルミニウム/ステン
レス鋼クラッド材のアルミニウム側表面層を機械的又は
化学的に除去し、その後、電気化学的又は化学的エッチ
ングによる粗面化処理を行い、この粗面上にフッ素樹脂
膜を形成することにより、フッ素樹脂膜の密着性を向上
させた技術が提案されている(特開平2−95317号
公報)。
レス鋼クラッド材のアルミニウム側表面層を機械的又は
化学的に除去し、その後、電気化学的又は化学的エッチ
ングによる粗面化処理を行い、この粗面上にフッ素樹脂
膜を形成することにより、フッ素樹脂膜の密着性を向上
させた技術が提案されている(特開平2−95317号
公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の技術は、フッ素樹脂膜の密着性は良好になるもの
の、従前の製造工程に加えて、エッチング前の表面層の
機械的又は化学的除去工程が必要であると共に、更に機
械的研磨の研磨粉の除去及び化学的除去後の水洗等の付
帯的な処理工程も必要であり、このような工程の増加に
より生産性が阻害されるという難点がある。
来の技術は、フッ素樹脂膜の密着性は良好になるもの
の、従前の製造工程に加えて、エッチング前の表面層の
機械的又は化学的除去工程が必要であると共に、更に機
械的研磨の研磨粉の除去及び化学的除去後の水洗等の付
帯的な処理工程も必要であり、このような工程の増加に
より生産性が阻害されるという難点がある。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、フッ素加工膜が剥離しにくく、製造工程が
簡素で生産性が高いフッ素加工性が優れたアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法を提供
することを目的とする。
のであって、フッ素加工膜が剥離しにくく、製造工程が
簡素で生産性が高いフッ素加工性が優れたアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るフッ素加工
性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材
は、冷間圧延又は熱間圧延により製造したアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材において、フッ素加工を
施すべきアルミニウム合金側表面に厚さが15nm以上
の表面酸化皮膜が形成されていることを特徴とする。
性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材
は、冷間圧延又は熱間圧延により製造したアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材において、フッ素加工を
施すべきアルミニウム合金側表面に厚さが15nm以上
の表面酸化皮膜が形成されていることを特徴とする。
【0008】また、本発明に係るフッ素加工性が優れた
アルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材の製造方法
は、冷間圧延又は熱間圧延により圧接したアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材に対し、150乃至40
0℃の温度で拡散焼鈍熱処理することにより、フッ素加
工を施すべきアルミニウム合金側表面に厚さが15nm
以上の表面酸化皮膜を形成することを特徴とする。
アルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材の製造方法
は、冷間圧延又は熱間圧延により圧接したアルミニウム
合金/ステンレス鋼クラッド材に対し、150乃至40
0℃の温度で拡散焼鈍熱処理することにより、フッ素加
工を施すべきアルミニウム合金側表面に厚さが15nm
以上の表面酸化皮膜を形成することを特徴とする。
【0009】
【作用】本願発明においては、アルミニウム合金/ステ
ンレス鋼クラッド材のアルミニウム合金側の表面に、厚
い酸化皮膜を形成するものである。本願発明者等は、従
来技術の欠点を解消すべく種々実験研究を重ねた結果、
従来のアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材は、
アルミニウム合金表面の表面酸化皮膜が不安定且つ不均
一であったために、フッ素加工後の塗膜の接着強度が低
く、ボイド及びピット等の表面欠陥が発生していたので
あり、フッ素加工膜の密着性には、アルミニウム合金表
面の酸化膜が多大の影響を及ぼしていることを知見し
た。そこで、従来、アルミニウム表面層を機械的又は化
学的に除去していたところを、本願発明者等は、このア
ルミニウム合金表面の酸化皮膜を逆に厚く形成すること
により、その安定化及び均一化を図った。その結果、フ
ッ素加工により形成されたアルミニウム合金表面のフッ
素加工皮膜は、その塗膜強度が向上し、剥離が殆ど発生
せず、表面欠陥も殆ど解消されることを見い出した。本
発明はかかる観点にたってなされたものである。
ンレス鋼クラッド材のアルミニウム合金側の表面に、厚
い酸化皮膜を形成するものである。本願発明者等は、従
来技術の欠点を解消すべく種々実験研究を重ねた結果、
従来のアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材は、
アルミニウム合金表面の表面酸化皮膜が不安定且つ不均
一であったために、フッ素加工後の塗膜の接着強度が低
く、ボイド及びピット等の表面欠陥が発生していたので
あり、フッ素加工膜の密着性には、アルミニウム合金表
面の酸化膜が多大の影響を及ぼしていることを知見し
た。そこで、従来、アルミニウム表面層を機械的又は化
学的に除去していたところを、本願発明者等は、このア
ルミニウム合金表面の酸化皮膜を逆に厚く形成すること
により、その安定化及び均一化を図った。その結果、フ
ッ素加工により形成されたアルミニウム合金表面のフッ
素加工皮膜は、その塗膜強度が向上し、剥離が殆ど発生
せず、表面欠陥も殆ど解消されることを見い出した。本
発明はかかる観点にたってなされたものである。
【0010】具体的には、アルミニウム合金側の表面
に、厚さが15nm以上の安定した表面酸化皮膜を得る
のであるが、そのために、クラッド材の製造工程におい
て、アルミニウム合金とステンレス鋼との接合強度を高
くするために実施されている拡散焼鈍処理を利用する。
即ち、この拡散焼鈍処理の条件を150乃至400℃と
いう温度に適切に規定することにより、酸化皮膜厚さを
その安定性及び均一性を確保できるものに調整すること
ができる。その後、アルミニウム側表面をエッチングす
ると、均一にエッチングすることができ、更にその後、
フッ素加工することにより、密着性が優れ、皮膜強度が
高く、表面欠陥が少ないフッ素加工膜を形成することが
できる。このようにして、製造工程を追加及び複雑化す
ることなく、フッ素加工皮膜の密着性を向上させること
ができるクラッド板を製造することができる。
に、厚さが15nm以上の安定した表面酸化皮膜を得る
のであるが、そのために、クラッド材の製造工程におい
て、アルミニウム合金とステンレス鋼との接合強度を高
くするために実施されている拡散焼鈍処理を利用する。
即ち、この拡散焼鈍処理の条件を150乃至400℃と
いう温度に適切に規定することにより、酸化皮膜厚さを
その安定性及び均一性を確保できるものに調整すること
ができる。その後、アルミニウム側表面をエッチングす
ると、均一にエッチングすることができ、更にその後、
フッ素加工することにより、密着性が優れ、皮膜強度が
高く、表面欠陥が少ないフッ素加工膜を形成することが
できる。このようにして、製造工程を追加及び複雑化す
ることなく、フッ素加工皮膜の密着性を向上させること
ができるクラッド板を製造することができる。
【0011】なお、酸化皮膜の厚さは以下のように定義
される。本発明においては、酸化皮膜厚さは以下のよう
にして求めた。先ず、オージェ分光分析装置を使用し
て、極表面の分析を行い、一例を図1に示すような結果
を得る。図1は横軸にアルミニウム合金表面からの深さ
をとり、縦軸に各分析成分の原子%をとって、各分析成
分の深さ方向濃度分布を示す図である。このような分析
結果から明らかなように、表面においてはAlOがAl
に比して圧倒的に多いが、この表面から内部に進むにつ
れてAlの量が増大し、AlOが少なくなっていく。そ
こで、表面から深さ方向に向かうにつれて、初めて、ア
ルミニウム合金母材(Al)と表面酸化物(AlO:A
l2O3)との原子%の比が3:1になる深さ位置を酸化
皮膜の厚さとする。
される。本発明においては、酸化皮膜厚さは以下のよう
にして求めた。先ず、オージェ分光分析装置を使用し
て、極表面の分析を行い、一例を図1に示すような結果
を得る。図1は横軸にアルミニウム合金表面からの深さ
をとり、縦軸に各分析成分の原子%をとって、各分析成
分の深さ方向濃度分布を示す図である。このような分析
結果から明らかなように、表面においてはAlOがAl
に比して圧倒的に多いが、この表面から内部に進むにつ
れてAlの量が増大し、AlOが少なくなっていく。そ
こで、表面から深さ方向に向かうにつれて、初めて、ア
ルミニウム合金母材(Al)と表面酸化物(AlO:A
l2O3)との原子%の比が3:1になる深さ位置を酸化
皮膜の厚さとする。
【0012】次に、本発明における酸化皮膜厚さの限定
理由及び拡散焼鈍処理温度の限定理由について説明す
る。
理由及び拡散焼鈍処理温度の限定理由について説明す
る。
【0013】アルミニウム合金表面の酸化皮膜厚さ アルミニウム合金表面の酸化皮膜の厚さは、フッ素加工
の表面性状を左右する重要な因子であり、この酸化皮膜
厚さが15nm未満では、フッ素加工処理の前処理であ
るエッチング処理性が劣り、アルミニウム表面に充分な
凹凸をつけることができないために、フッ素加工処理後
のフッ素加工塗膜の接着強度が低下し、表面欠陥が発生
する。従って、アルミニウム合金表面の酸化皮膜の厚さ
は15nm以上とする。
の表面性状を左右する重要な因子であり、この酸化皮膜
厚さが15nm未満では、フッ素加工処理の前処理であ
るエッチング処理性が劣り、アルミニウム表面に充分な
凹凸をつけることができないために、フッ素加工処理後
のフッ素加工塗膜の接着強度が低下し、表面欠陥が発生
する。従って、アルミニウム合金表面の酸化皮膜の厚さ
は15nm以上とする。
【0014】拡散焼鈍処理温度 前述の酸化皮膜厚さは、アルミニウム合金/ステンレス
鋼クラッド材を冷間圧延又は熱間圧延によりクラッド化
し、その後、接合強度増加のために拡散焼鈍処理すると
きの焼鈍温度により変化する。つまり、拡散焼鈍処理温
度を適切に規定することにより酸化皮膜の厚さを調節す
ることができる。
鋼クラッド材を冷間圧延又は熱間圧延によりクラッド化
し、その後、接合強度増加のために拡散焼鈍処理すると
きの焼鈍温度により変化する。つまり、拡散焼鈍処理温
度を適切に規定することにより酸化皮膜の厚さを調節す
ることができる。
【0015】この焼鈍温度が150℃未満の場合は、ア
ルミニウム合金表面に充分な酸化皮膜を生成させること
ができず、その厚さが15nm未満になる。このため、
エッチング性が劣化し、それに伴いフッ素加工膜の表面
性状が劣化する。また、拡散焼鈍温度が400℃を超え
ると、アルミニウム合金が再結晶化され、成形加工時に
おいて、マイナス耳となり、成形性劣化の原因となる。
更に、焼鈍温度が400℃を超えると、成形後の表面性
状(横なみ及び肌荒れ)が発生する原因となる。このた
め、拡散焼鈍温度は150乃至400℃とすることが必
要である。これにより、表面酸化皮膜の厚さを15nm
以上とする。
ルミニウム合金表面に充分な酸化皮膜を生成させること
ができず、その厚さが15nm未満になる。このため、
エッチング性が劣化し、それに伴いフッ素加工膜の表面
性状が劣化する。また、拡散焼鈍温度が400℃を超え
ると、アルミニウム合金が再結晶化され、成形加工時に
おいて、マイナス耳となり、成形性劣化の原因となる。
更に、焼鈍温度が400℃を超えると、成形後の表面性
状(横なみ及び肌荒れ)が発生する原因となる。このた
め、拡散焼鈍温度は150乃至400℃とすることが必
要である。これにより、表面酸化皮膜の厚さを15nm
以上とする。
【0016】このようにして、アルミニウム合金側の表
面酸化皮膜の厚さを15nm以上にしたアルミニウム合
金/ステンレス鋼クラッド材は、フッ素加工性が極めて
優れており、このようなクラッド材を、クラッド化後の
拡散焼鈍処理を150乃至400℃とすることにより、
格別の工程を付加することなく容易に製造することがで
きる。
面酸化皮膜の厚さを15nm以上にしたアルミニウム合
金/ステンレス鋼クラッド材は、フッ素加工性が極めて
優れており、このようなクラッド材を、クラッド化後の
拡散焼鈍処理を150乃至400℃とすることにより、
格別の工程を付加することなく容易に製造することがで
きる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例についてその比較例と
比較して説明する。実施例1 アルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材を使用し、
そのアルミニウム合金側の表面酸化皮膜を5〜20nm
まで変化させた材料のエッチング処理性とフッ素加工後
の表面性状を調査した結果を下記表1に示す。この表1
から明らかなように、表面酸化皮膜が15nm未満の材
料はエッチング処理性が悪く、それと共に、フッ素加工
後の表面性状が劣っている。しかし、酸化皮膜が15n
m以上の材料は、均一なエッチング処理が施され、フッ
素加工後の表面性状が優れていることがわかる。
比較して説明する。実施例1 アルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材を使用し、
そのアルミニウム合金側の表面酸化皮膜を5〜20nm
まで変化させた材料のエッチング処理性とフッ素加工後
の表面性状を調査した結果を下記表1に示す。この表1
から明らかなように、表面酸化皮膜が15nm未満の材
料はエッチング処理性が悪く、それと共に、フッ素加工
後の表面性状が劣っている。しかし、酸化皮膜が15n
m以上の材料は、均一なエッチング処理が施され、フッ
素加工後の表面性状が優れていることがわかる。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2 アルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材を使用し、
拡散焼鈍処理を無しの場合と100〜420℃の種々の
温度で拡散焼鈍処理した種々の材料について、フッ素加
工性等を試験した。なお、アルミニウム合金側の表面酸
化皮膜は5〜20nmまで変化していた。
拡散焼鈍処理を無しの場合と100〜420℃の種々の
温度で拡散焼鈍処理した種々の材料について、フッ素加
工性等を試験した。なお、アルミニウム合金側の表面酸
化皮膜は5〜20nmまで変化していた。
【0020】その後、エッチング処理及びフッ素加工処
理を施した結果得られたエッチング性及びフッ素加工皮
膜性状を下記表2に示す。また、器物加工の加工性とそ
の後の肌荒れ性を調査した結果も下記表2に併せて示
す。
理を施した結果得られたエッチング性及びフッ素加工皮
膜性状を下記表2に示す。また、器物加工の加工性とそ
の後の肌荒れ性を調査した結果も下記表2に併せて示
す。
【0021】この表2から明らかなように、拡散焼鈍処
理温度を行わない材料は、酸化皮膜が5nmと薄く、エ
ッチング処理性が著しく悪いものであった、また、フッ
素加工後の表面性状も著しく劣るものである。更に、低
温の100℃及び120℃で拡散焼鈍処理した場合の酸
化皮膜も8〜12nmと足りず、エッチング処理性及び
フッ素加工性が劣っている。しかし、本発明の実施例の
ように、焼鈍温度が150〜400℃の範囲になると、
酸化皮膜が15nm以上となり、エッチング性及びフッ
素加工性が優れたものとなる。しかし、この焼鈍温度範
囲より高温の420℃になると、エッチング性及びフッ
素加工性は良好なものの、再結晶組織が大きくなるた
め、成形後に肌荒れが発生し、表面性状が劣化してしま
う。
理温度を行わない材料は、酸化皮膜が5nmと薄く、エ
ッチング処理性が著しく悪いものであった、また、フッ
素加工後の表面性状も著しく劣るものである。更に、低
温の100℃及び120℃で拡散焼鈍処理した場合の酸
化皮膜も8〜12nmと足りず、エッチング処理性及び
フッ素加工性が劣っている。しかし、本発明の実施例の
ように、焼鈍温度が150〜400℃の範囲になると、
酸化皮膜が15nm以上となり、エッチング性及びフッ
素加工性が優れたものとなる。しかし、この焼鈍温度範
囲より高温の420℃になると、エッチング性及びフッ
素加工性は良好なものの、再結晶組織が大きくなるた
め、成形後に肌荒れが発生し、表面性状が劣化してしま
う。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係るアル
ミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材によれば、アル
ミニウム合金側の酸化皮膜の厚さを15nm以上にした
ので、酸化皮膜が安定に且つ均一に形成され、フッ素加
工前のエッチング処理においてその均一性を著しく向上
させることができ、これにより、フッ素加工膜の密着性
を著しく向上させることができる。また、本発明方法に
よれば、この酸化皮膜を得るために、何等格別の工程を
付加することなく、従来クラッド材の接合強度増大のた
めに実施されている拡散焼鈍処理の温度を150乃至4
00℃に規定するだけで、上述の優れた効果を奏する酸
化皮膜を形成することができる。
ミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材によれば、アル
ミニウム合金側の酸化皮膜の厚さを15nm以上にした
ので、酸化皮膜が安定に且つ均一に形成され、フッ素加
工前のエッチング処理においてその均一性を著しく向上
させることができ、これにより、フッ素加工膜の密着性
を著しく向上させることができる。また、本発明方法に
よれば、この酸化皮膜を得るために、何等格別の工程を
付加することなく、従来クラッド材の接合強度増大のた
めに実施されている拡散焼鈍処理の温度を150乃至4
00℃に規定するだけで、上述の優れた効果を奏する酸
化皮膜を形成することができる。
【0024】このように、本発明によれば、エッチング
処理性及びフッ素加工性が優れたクラッド材を簡素な工
程で容易に製造することができ、生産性が高いという効
果を奏する。
処理性及びフッ素加工性が優れたクラッド材を簡素な工
程で容易に製造することができ、生産性が高いという効
果を奏する。
【図1】本発明における酸化皮膜の計測方法を説明する
図である。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 冷間圧延又は熱間圧延により製造したア
ルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材において、フ
ッ素加工を施すべきアルミニウム合金側表面に厚さが1
5nm以上の表面酸化皮膜が形成されていることを特徴
とするフッ素加工性が優れたアルミニウム合金/ステン
レス鋼クラッド材。 - 【請求項2】 冷間圧延又は熱間圧延により圧接したア
ルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材に対し、15
0乃至400℃の温度で拡散焼鈍熱処理することによ
り、フッ素加工を施すべきアルミニウム合金側表面に厚
さが15nm以上の表面酸化皮膜を形成することを特徴
とするフッ素加工性が優れたアルミニウム合金/ステン
レス鋼クラッド材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22674295A JPH0970918A (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | フッ素加工性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22674295A JPH0970918A (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | フッ素加工性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0970918A true JPH0970918A (ja) | 1997-03-18 |
Family
ID=16849902
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22674295A Pending JPH0970918A (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | フッ素加工性が優れたアルミニウム合金/ステンレス鋼クラッド材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0970918A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015152041A1 (ja) * | 2014-04-01 | 2015-10-08 | 東洋鋼鈑株式会社 | 金属積層材の製造方法 |
WO2015152040A1 (ja) * | 2014-04-01 | 2015-10-08 | 東洋鋼鈑株式会社 | 金属積層材の製造方法 |
KR20200042925A (ko) | 2017-10-30 | 2020-04-24 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 클래드판 |
-
1995
- 1995-09-04 JP JP22674295A patent/JPH0970918A/ja active Pending
Cited By (7)
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---|---|---|---|---|
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