JPH0969409A - Ptc素子 - Google Patents

Ptc素子

Info

Publication number
JPH0969409A
JPH0969409A JP22348895A JP22348895A JPH0969409A JP H0969409 A JPH0969409 A JP H0969409A JP 22348895 A JP22348895 A JP 22348895A JP 22348895 A JP22348895 A JP 22348895A JP H0969409 A JPH0969409 A JP H0969409A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ptc
polymer layer
layer
ptc polymer
electrode layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22348895A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Horibe
英夫 堀邊
Itsuo Nishiyama
逸雄 西山
Kenichi Nishina
健一 仁科
Masahiro Ishikawa
雅廣 石川
Osamu Hasegawa
修 長谷川
Shiro Murata
士郎 村田
Tatsuya Hayashi
龍也 林
Sadajiro Mori
貞次郎 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP22348895A priority Critical patent/JPH0969409A/ja
Publication of JPH0969409A publication Critical patent/JPH0969409A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermistors And Varistors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、PTCポリマー層と電極層とのあ
いだに高抵抗性物質を介在させることにより素子と電極
層との電気抵抗率を増加させ、限流器に適用したばあい
に、過電流により発生するジュール熱によって温度が上
昇し遷移温度に到達するまでの時間が短く、素子を通過
する電流を激減させる限流効果が大きいPTC素子を提
供する。 【解決手段】 本発明のPTC素子は、PTCポリマー
層1と、該PTCポリマー層の両表面上にそれぞれ形成
される一対の電極層2とからなり、前記PTCポリマー
層と前記電極層とのあいだに、前記PTCポリマー層お
よび前記電極層より電気抵抗率が高い高抵抗性物質(ガ
ラスビーズ球3)の層が挟持されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTC(positive
temperature coefficient)素子に関する。さらに詳しく
は、PTCポリマー層と電極層とのあいだに高抵抗性物
質が挟持されてなるPTC素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より正の電気抵抗温度特性(以下、
単に「PTC特性」という)を示すPTC素子として
は、チタン酸バリウム系のものが良く知られている。最
近では、たとえば特公昭64−3322号公報に開示さ
れるように、結晶性ポリマーに導電性粒子を均一に分散
させて導電性を付与されたPTCポリマー層により形成
されたPTC素子が、小形で低抵抗化がはかれることか
らよく用いられている。
【0003】この種のPTC素子におけるPTC特性
は、主成分である結晶性ポリマーが、その融点において
結晶が融解する際に急激な体積膨脹を起こし、この結晶
性ポリマー中に分散させた導電性粒子の間隔が広げられ
ることにより発現される。
【0004】したがって、かかるPTC素子は、ある一
定温度以下では、その電気抵抗率が低く導電体となって
いるが、前記一定温度以上では、その電気抵抗率が急激
に大きくなる特性を有しているのでかかるPTC素子に
短絡電流などの過電流が流れると、ジュール熱の発生に
よって急激にPTC素子の温度が上昇し、電気抵抗率が
増大するので電流が流れなくなる。すなわち、前記一定
温度はいわゆる遷移温度であり、PTC素子の温度がこ
の温度を超えると電流を制限する作用があるので、かか
るPTC素子は配電システム内の機器を過電流による破
壊から保護するはたらきをする。
【0005】一方、かかるPTC素子は、短絡電流に対
して、極めて高速に動作する必要がある。短絡事故は、
配電システム内で極めて大きい短絡電流を生ずる。も
し、効果的な保護装置がないばあいは、短絡電流のよう
な事故電流はシステム内の工場施設や装置類に大きな損
害を与える。すなわち、短絡保護装置は事故電流をでき
るだけ早く遮断することが要求される。そのためには、
実際には素子のジュール熱の発生を早くし、短絡事故時
の事故電流の電流波高値を低く抑えなければならないこ
とが要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特公平4−28744
号公報には、PTCポリマー層と、このPTCポリマー
層の表面に形成された電極層とからなるPTC素子の構
成について記載されている。かかる従来のPTC素子
は、常温での電極層とPTCポリマー層との界面での電
気抵抗率が低すぎるので、事故電流に対して素子の抵抗
値が充分高くなる温度にいたるまでのジュール熱を発生
するのが遅い。したがって遮断時の電流波高値が高くな
り、PTC素子が備えられているにもかかわらず充分な
限流作用が発現されないため短絡電流が充分制御され
ず、装置に損害を与える。
【0007】本発明は、PTCポリマー層と電極層との
あいだに高抵抗性物質を挟持させ、PTCポリマー層と
電極層との接触抵抗を増加させる一方、素子全体の電気
抵抗率は大きくしないことにより、事故電流に対するジ
ュール熱の発生により素子の温度を早く上昇させ、遷移
温度に到達するまでの時間を短くし、遮断時に素子を通
過する電流の電流波高値が低くなるようにして、装置に
損害を与えないPTC素子を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のPTC素子は、
PTCポリマー層と、該PTCポリマー層のそれぞれ両
表面上に形成される一対の電極層とからなり、PTCポ
リマー層と前記電極層とのあいだに、前記PTCポリマ
ー層および前記電極層より電気抵抗率が高い高抵抗性物
質の層がそれぞれ挟持されてなる。
【0009】前記高抵抗性物質が無機物微粒子であり、
かつ、該無機物微粒子が前記PTCポリマー層の両表面
のそれぞれの表面積の5%〜95%を覆ってなること
が、PTCポリマー層と電極層との接触面積を減少し抵
抗を増加させ、事故電流に対して動作が早く、遮断時の
電流波高値を低くするため好ましい。
【0010】前記高抵抗性物質が有機物であり、かつ、
該有機物が前記PTCポリマー層の両表面のそれぞれの
表面積の5%〜95%を覆ってなることにより、PTC
ポリマー層と電極層との接触面積が減少し、抵抗が増加
し、事故電流に対して動作が早くなり、遮断時の電流波
高値が低くなるため好ましい。
【0011】前記高抵抗性物質が、蒸着、溶射、無電解
メッキあるいはスパッタリングにより形成される膜状の
高抵抗性物質であり、かつ、該高抵抗膜が前記PTCポ
リマー層の両表面のそれぞれの表面積の5%〜95%を
覆ってなることにより、PTCポリマー層と電極層との
接触面積が減少し、抵抗が増加し、事故電流に対して動
作が早くなり、遮断時の電流波高値が低くなるため好ま
しい。
【0012】前記高抵抗性物質が、前記PTCポリマー
層より電気抵抗率が高く、かつ、導電性を有する結晶熱
可塑性高分子であり、前記結晶熱可塑性高分子が前記P
TCポリマー層の両表面のそれぞれの表面積の5%〜9
5%を覆ってなることにより、PTCポリマー層と電極
層との抵抗が増加し、事故電流に対して動作が早くな
り、遮断時の電流波高値が低くなるため好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、添付図を参照しながら本
発明にかかわるPTC素子について述べる。
【0014】[実施例1]図1は、本実施例によるPT
C素子の一実施例を示す斜視図である。結晶性ポリマー
として高密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、JV0
70H)27.1gをローラミキサーのついたラボプラ
ストミル装置(東洋精機(株)製、Model 20R
200)で、温度200℃、回転数50rpmの条件で
3分間混練したのち、導電性粒子としてカーボンブラッ
ク(三菱化学(株)製、3030B)33.2gを少し
ずつ混練しながら加え、全部加え終わったのちにさらに
15分間混練し、ポリエチレンとカーボンブラックの混
練物をうる。取り出した混練物を金型(直径50mm×
厚さ1mm)容積分ごとに切り出し、ホットプレート上
で加熱しながらへらで平板状に押しつぶす。これを、図
1に示すPTCポリマー層1とする。つぎに、この平板
状材料の表裏両面に高抵抗物質であり無機微粒子のガラ
スビーズ球3(FUJISTON社製、No.008、
直径0.08mm程度)を1〜2層程度まぶした後、へ
らで、こすりつける様に押しつけ、さらに厚さ35μm
の電解銅箔を電極層2として重ね合わせたものを金型に
セットし、プレス成形機で温度180℃で10分間保持
したのち、90kg/cm2の圧力で3分間保持する。
金型内を水で15分間冷却後、脱圧し金型をプレスから
おろし、加圧された材料を取り出す。こののち、材料を
オーブンにて温度120℃で、1時間加熱しアニールす
る。このようにしてえられた積層シート材料から一辺の
長さ1.5cmの正方形の試験片を切り出した。
【0015】[実施例2]高密度ポリエチレン(三菱化
学(株)製、JV070H)27.1gをローラミキサ
ーのついたラボプラストミル装置(東洋精機(株)製、
Model 20R200)により、温度200℃、回
転数50rpmの条件で3分間混練したのち、カーボン
ブラック(三菱化学(株)製、3030B)33.2g
を少しずつ混練しながら加え、全部加え終わったのちさ
らに15分間混練し、ポリエチレンとカーボンブラック
の混練物をうる。取り出した混練物を金型(直径50m
m×厚さ1mm)容積分ごとに切り出し、ホットプレー
ト上で加熱しながらへらで平板状に押しつぶす。これを
PTCポリマー層とする。つぎに、高抵抗性物質であり
有機物のインク(ソルダーレジスト、太陽インキ製造
(株)製、S−222)を20%の穴のあいたマスクを
通して、前記平板状の素子層の表裏両面の約20%に厚
さ0.2mm程度でスクリーン印刷し、さらに厚さ35
μmの電解銅箔を電極層として重ね合わせて金型にセッ
トし、プレス成形機で温度180℃で10分間保持した
のち、90kg/cm2の圧力で3分間保持する。金型
内を水で15分間冷却後、脱圧し金型をプレスからおろ
し、加圧された材料を取り出す。こののち、材料をオー
ブンにて温度120℃で、1時間加熱しアニールする。
このようにしてえられた積層シート材料から一辺の長さ
1.5cmの正方形の試験片を切り出した。
【0016】[実施例3]高密度ポリエチレン(三菱化
学(株)製、JV070H)27.1gをローラミキサ
ーのついたラボプラストミル装置(東洋精機(株)製、
Model 20R200)により、温度200℃、回
転数50rpmの条件で3分間混練したのち、カーボン
ブラック(三菱化学(株)製、3030B)33.2g
を少しずつ混練しながら加え、全部加え終わったのちさ
らに15分間混練し、ポリエチレンとカーボンブラック
の混練物をうる。これをPTCポリマー層とする。取り
出した混練物の表面に、マスクを形成し、高抵抗性物質
としてSiO2あるいはSiNを、マスクを通して混練
物の一部に蒸着などにより形成する。これを金型(直径
50mm×厚さ1mm)容積分に切り出し、ホットプレ
ート上で加熱しながらへらで平板状に押しつぶす。つぎ
に、この平板状材料の表裏両面に厚さ35μmの電解銅
箔を電極層として重ね合わせて金型にセットし、プレス
成形機で温度180℃で10分間保持したのち、90k
g/cm2の圧力で3分間保持する。金型内を水で15
分間冷却後、脱圧し金型をプレスからおろし、材料を取
り出す。こののち、材料をオーブンにて温度120℃、
1時間加熱しアニールする。このようにしてえられた積
層シート材料から一辺の長さ1.5cmの正方形の試験
片を切り出した。
【0017】また高抵抗性物質を成膜する方法は他に
も、溶射、無電解メッキまたはスパッタリングなどがあ
る。
【0018】[実施例4]本実施例は、PTCポリマー
層が3層構造で形成され、さらにその両方の外側にそれ
ぞれ電極が設けられており、電極層に近い層が電気抵抗
率の高く、かつ、導電性を有する結晶熱可塑性高分子、
電極層に遠い層(素子の中心層)が従来から用いられて
いるPTCポリマー層よりなるものである。
【0019】電極層に近い層の作製方法を記す。高密度
ポリエチレン(三菱化学(株)製、JV070H)2
7.1gをローラミキサーのついたラボプラストミル装
置(東洋精機(株)製、Model 20R200)に
より、温度200℃、回転数50rpmの条件で3分間
混練したのち、カーボンブラック(昭和キャボット
(株)製、N762)33.2gを少しずつ混練しなが
ら加え、全部加え終わったのちさらに15分間混練し、
ポリエチレンとカーボンブラックの混練物をうる。取り
出した混練物を金型(直径50mm×厚さ0.2mm)
容積分ごとに切り出し、ホットプレート上で加熱しなが
らへらで平板状に押しつぶす。この平板状材料を金型に
セットし、プレス成形機で温度180℃で10分間保持
したのち、90kg/cm2の圧力で3分間保持する。
金型内を水で15分間冷却後、脱圧し金型をプレスから
おろし、材料を取り出す。この材料をJV55N762
と呼び、2枚作製する。
【0020】電極層から遠い層の作製方法を記す。高密
度ポリエチレン(三菱化学(株)製、JV070H)2
7.1gをローラミキサーのついたラボプラストミル装
置(東洋精機(株)製、Model 20R200)に
より温度200℃、回転数50rpmの条件で3分間混
練したのち、カーボンブラック(三菱化学(株)製、3
030B)33.2gを少しずつ混練しながら加え、全
部加え終わったのちさらに15分間混練し、ポリエチレ
ンとカーボンブラックの混練物をうる。取り出した混練
物を金型(直径50mm×厚さ0.6mm)容積分ごと
に切り出し、ホットプレート上で加熱しながらへらで平
板状に押しつぶす。この平板状材料を金型にセットし、
プレス成形機で温度180℃で10分間保持したのち、
90kg/cm2の圧力で3分間保持する。金型内を水
で15分間冷却後、脱圧し金型をプレスからおろし、材
料を取り出す。この材料をJV55101と呼ぶ。
【0021】前記JV55101は、すなわちPTC素
子の中心に設けられるPTCポリマー層であり、前記J
V55N762は、前記JV55101より電気抵抗率
の高い結晶熱可塑性高分子である。
【0022】JV55N762(厚さ0.2mm)、J
V55101(0.6mmt)、JV55N762(厚
さ0.2mm)の順で重ねるが、JV55N762はJ
V55101の両表面の表面積の約20%を覆うように
はさみで0.1mm程度の大きさに切り刻んでJV55
101の上下にそれぞれ配置させる。この材料の表裏両
面に厚さ35μmの電解銅箔を電極層としてそれぞれ重
ね合わせて金型にセットし、プレス成型機で温度180
℃、10分間保持したのち、90kg/cm2の圧力で
3分間保持する。金型内を水で15分間冷却後、脱圧し
金型をプレスからおろし、材料を取り出す。こののち、
材料をオーブンにて温度120℃、1時間加熱しアニー
ルする。このようにしてえられた積層シート材料から一
辺の長さ1.5cmの正方形の試験片を切り出した。
【0023】[実施例5]高密度ポリエチレン(三菱化
学(株)製、JV070H)27.1gをローラミキサ
ーのついたラボプラストミル装置(東洋精機(株)製、
Model 20R200)により温度200℃、回転
数50rpmの条件で2分間混練し、そののち有機過酸
化剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ−tert−
ブチルパーオキシヘキサン−3(日本油脂(株)製、パ
ーヘキサ25B)0.9gを加えて、2分間混練し、カ
ーボンブラック(三菱化学(株)製、3030B)3
3.2gを少しずつ混練しながら加え、全部加え終わっ
たのちさらに15分間混練し、ポリエチレンとカーボン
ブラックの混練物をうる。取り出した混練物を金型(直
径50mm×厚さ1mm)容積分ごとに切り出し、ホッ
トプレート上で加熱しながらへらで平板状に押しつぶ
す。つぎに、この平板状材料の表裏両面にガラスビーズ
球(FUJISTON社製、No.008、直径0.0
8mm程度)を1〜2層程度まぶした後へらですりつ
け、さらに厚さ35μmの電解銅箔を電極として重ね合
わせ金型にセットし、プレス成形機で温度180℃で1
0分間保持したのち、90kg/cm2の圧力で3分間
保持する。金型内を水で15分間冷却後、脱圧し金型を
プレスからおろし、材料を取り出す。こののち、材料を
オーブンにて温度120℃、1時間加熱しアニールす
る。このようにしてえられた積層シート材料から一辺の
長さ1.5cmの正方形の試験片を切り出した。
【0024】[実施例6]実施例5において用いた、
2,5−ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルパー
オキシヘキサン−3(日本油脂(株)、パーヘキサ25
B)の代わりに、有機造核剤としてヒドロキシ−ジ(t
ert−ブチル安息香酸)アルミニウム(大日本インキ
化学工業(株)製、AL−PTBBA)を用いたもので
あり、そのほかは実施例5のばあいと同様である。この
ヒドロキシ−ジ(tert−ブチル安息香酸)アルミニ
ウムを加えて混練し、最終的に一辺の長さ1.5cmの
正方形の試験片を切り出した。
【0025】[実施例7]実施例5において、2,5−
ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルパーオキシヘ
キサン−3(日本油脂(株)製、パーヘキサ25B)の
代わりに、有機造核剤としてリン酸2,2′−メチレン
ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリ
ウム(旭電化工業(株)製、アデカスタブNA−11)
を用いたものであり、そのほかは実施例5のばあいと同
様である。このリン酸2,2′−メチレンビス(4,6
−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウムを加えて
混練し、最終的に一辺の長さ1.5cmの正方形の試験
片を切り出した。
【0026】[実施例8]実施例5において、2,5−
ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルパーオキシヘ
キサン−3(日本油脂(株)製、パーヘキサ25B)の
代わりに、有機造核剤として低級アルキル置換ベンジリ
デンソルビトール(新日本理化(株)製、ゲルオールM
D)を用いたものであり、そのほかは実施例5のばあい
と同様である。この低級アルキル置換ベンジリデンソル
ビトールを加えて混練し、最終的に一辺の長さ1.5c
mの正方形の試験片を切り出した。
【0027】実施例9から実施例16までは前記実施例
で使用した配合剤(有機過酸化剤または有機造核剤)と
高抵抗性物質の組み合わせを変え、最終的に一辺の長さ
1.5cmの正方形の試験片を切り出したものである。
組み合わせは表1に示した。
【0028】[比較例1]結晶性高分子物質として高密
度ポリエチレン(三菱化学(株)製、JV070H)2
7.1gをローラミキサーのついたラボプラストミル装
置(東洋精機(株)製、Model 20R200)に
より、温度200℃、回転数50rpmの条件で3分間
混練したのち、導電性粒子としてカーボンブラック(三
菱化学(株)製、3030B)33.2gを少しずつ混
練しながら加え、全部加え終わったのちに15分間混練
し、ポリエチレンとカーボンブラックの混練物をえる。
取り出した材料を金型容積(直径50mm×厚さ1m
m)分ごとに切り出し、ホットプレート上で加熱しなが
らへらで平板状に押しつぶす。これを、PTCポリマー
層とする。つぎに、前記平板状材料の表裏両面に厚さ3
5μmの電解銅箔を電極層として重ね合わせ金型にセッ
トし、プレス成形機に装着し温度180℃で10分間保
持したのち、90kg/cm2の圧力で3分間保持す
る。金型内を水で15分間冷却後、脱圧し金型をプレス
からおろし、材料を取り出す。こののち、材料をオーブ
ンにて温度120℃、1時間加熱しアニールする。この
ようにしてえられた積層シート材料から一辺の長さ1.
5cmの正方形の試験片を切り出した。
【0029】比較例2〜比較例5は、表1に示すような
配合剤を比較例1と同様にしてPTCポリマーに添加し
作製した材料である。
【0030】実施例1〜16および比較例1〜5でえら
れたPTC素子の限流実験を行い、PTC特性評価の目
安である最大限流波高値を測定した。測定法としては、
電流端子部の接続抵抗を含めた回路インピーダンスを
0.127Ωとし、周波数60Hzの半波の正弦波電圧
をPTC素子に印加して最大限流波高値を測定した。そ
のばあいの最大限流波高値の値を表1に示す。実施例1
では推定短絡電流1400Aが318Aに限流でき、比
較例1においては推定短絡電流1400Aが378Aへ
限流できた。この結果は本発明の実施例1が比較例1の
PTC素子より限流効果が良いことを示している。PT
Cポリマー層と電極層とのあいだに高抵抗性物質を介在
させた実施例は、PTCポリマー層と電極層とのあいだ
に何も介在させなかった比較例に比べ最大限流波高値が
低かった。
【0031】
【表1】
【0032】本発明の実施例において、高抵抗性物質が
PTCポリマー層の両表面のそれぞれの表面積の5%〜
95%を覆うことにしたのは、5%未満では短絡電流に
対して所望の高抵抗がえられず、また95%を超えると
PTCポリマー層と電極層のあいだで電流が流れなくな
るためである。
【0033】本発明において用いられるPTCポリマー
は結晶性ポリマー中に導電性粒子を分散させたものであ
る。結晶性ポリマーとしては、前述のように、その融点
において結晶が融解する際に急激な体積膨脹を起こし、
この結晶性ポリマー中に分散させた導電性粒子の間隔を
広げる作用を有するものであればとくに限定されない。
結晶化度は20%以上、特に40%以上が好ましい。具
体例としては、たとえば特公昭64−3322号公報、
特公平4−28744号公報、特公平5−66001号
公報などに開示されるような結晶性ポリマーがあげら
れ、それらのうち、たとえば高密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ−ブテン−1、ポリメチルペ
ンテン(TPX)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−プロピレンゴム、アイオノマーまたはエチレン
−プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン
類;ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−
テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、
エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テト
ラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチ
レンなどのフルオロカーボンポリマー類;ポリアミド、
ポリアセタール、シンジオタクチック−ポリスチレンま
たは飽和ポリエステルなどのほかの結晶性高分子などの
1種または2種以上の混合物が好ましい。これらの中で
最も好ましいものは、結晶化度がもっとも高い点からポ
リオレフィン類の中のポリエチレンである。導電性粒子
としては、粒径が0.02〜200μm程度のたとえ
ば、カーボンブラック、グラファイト、金属繊維、カー
ボンファイバー、金属粒子、(Ni、Ag、Cu、F
e、Alなど)、無機物ウィスカーまたは金属メッキカ
ーボンなどを、結晶性ポリマー中に40〜80重量%混
入することが常温抵抗率を0.2Ωcm程度に保つため
に好ましい。さらに、実用面およびコスト面のバランス
からは、粒径0.03〜0.2μm程度のカーボンブラ
ックを、結晶性ポリマー中に50〜70重量%混入する
ことが最も好ましい。
【0034】また、本発明のPTC素子の高抵抗性物質
としては、電気抵抗率はPTCポリマー層および電極層
より高いものであればとくに限定されない。抵抗率はP
TCポリマー層の数倍以上であることが限流波高値を下
げるため好ましい。また、蒸着、溶射、無電解メッキま
たはスパッタリングで膜状に形成できるという点から、
たとえば無機物微粒子または有機物層などがあげられ
る。無機物微粒子の具体例としては、たとえばタルク、
炭酸カルシウム、炭酸カリウム、ガラスまたはアルミナ
などがあげられ、低コストやプロセス容易性などの点か
ら、ガラスビーズまたはガラス繊維が好ましい。
【0035】有機物の具体例としては、たとえばイン
ク、PTCポリマーまたはレジストなどがあげられ、コ
ストやプロセス容易性などの点から、インクまたはPT
Cポリマーが好ましい。
【0036】本発明のPTC素子の電極層としては、高
導電性および低コストの点からニッケルメッキ銅、ニッ
ケル、銅または銀などが好ましい。
【0037】本発明においては、高密度ポリエチレンに
粒径0.09μm程度のカーボンブラックを55重量%
程度配合して厚さ0.6mm程度のPTCポリマーと
し、該PTCポリマーの両表面に0.2mm程度のガラ
スビーズ球をまぶし、ヘラでこすりつけるようにして高
抵抗性物質を形成し、さらにその外側に35μm程度の
ニッケルメッキ銅を電極層として形成する組合わせが電
流波高値が低下する点で好ましい。
【0038】本発明においては、高密度ポリエチレンに
粒径0.09μm程度のカーボンブラックを55重量%
程度配合して厚さ0.6mm程度のPTCポリマーと
し、該PTCポリマーの両表面に厚さ0.2mm程度で
インクをスクリーン印刷により高抵抗性物質として形成
し、さらにその外側に厚さ35μm程度のニッケルメッ
キ銅を電極層として形成する組合わせが電流波高値が低
下する点で好ましい。
【0039】本発明においては、高密度ポリエチレンに
粒径0.09μm程度のカーボンブラックを55重量%
程度配合して厚さ0.6mm程度のPTCポリマーと
し、粒径0.04μm程度のカーボンブラックを30重
量%程度配合した厚さ0.2mm程度の高密度ポリエチ
レンを、前記PTCポリマーより電気抵抗率が高い結晶
熱可塑性高分子とし、前記結晶熱可塑性高分子をはさみ
で0.1mm程度の大きさに切り刻んで、前記PTCポ
リマーの両表面に配置し、さらにその外側に35μm程
度のニッケルメッキ銅を電極層として形成する組合わせ
が、電波波高値が低下する点で好ましい。
【0040】
【発明の効果】請求項1記載のPTC素子は、PTCポ
リマー層と、前記PTCポリマー層の両表面上にそれぞ
れ形成される一対の電極層とからなり、PTCポリマー
層と前記電極層とのあいだに、前記PTCポリマー層お
よび前記電極層より電気抵抗率が高い高抵抗性物質の層
がそれぞれ挟持されてなるため、PTCポリマー層と電
極層とのあいだの抵抗が増加し、事故電流に対して動作
が早くなり、遮断時の電流波高値を低くすることができ
る効果がある。
【0041】請求項2記載のPTC素子は、請求項1記
載の構造において、前記高抵抗性物質が、無機物微粒子
であり、かつ、該無機物微粒子が前記PTCポリマー層
の表面のそれぞれの表面積の5%〜95%を覆ってなる
ため、PTCポリマー層と電極層とのあいだの接触面積
が減少し、抵抗が増加し、事故電流に対して動作が早く
なり、遮断時の電流波高値を低くできる効果がある。
【0042】請求項3記載のPTC素子は、請求項1記
載の構造において、前記高抵抗性物質が、有機物であ
り、かつ、該有機物が前記PTCポリマー層の両表面の
それぞれの表面積の5%〜95%を覆ってなるため、P
TCポリマー層と電極層とのあいだの接触面積が減少
し、抵抗が増加し、事故電流に対して動作が早くなり、
遮断時の電流波高値を低くできる効果がある。
【0043】請求項4記載のPTC素子は、請求項1記
載の構造において、前記高抵抗性物質が、溶着、溶射、
無電解メッキあるいはスパッタリングで形成される膜状
の高抵抗物質であり、かつ、該高抵抗物質が前記PTC
ポリマー層の表面のそれぞれの表面積の5%〜95%を
覆ってなるため、PTCポリマー層と電極層とのあいだ
の接触面積が減少し、抵抗を増加し、事故電流に対して
動作が早くなり、遮断時の電流波高値を低くできる効果
がある。請求項5記載のPTC素子は、請求項1記載の
構造において、前記高抵抗性物質が、前記PTCポリマ
ー層より電気抵抗率が高く、かつ、導電性を有する結晶
熱可塑性高分子であり、前記結晶熱可塑性高分子が前記
PTCポリマー層の表面のそれぞれの表面積の5%〜9
5%を覆ってなるため、PTCポリマー層と電極層との
あいだの抵抗が増加し、事故電流に対して動作が早くな
り、遮断時の電流波高値を低くできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すPTC素子の斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 PTCポリマー層、2 電極層(金属箔)、3 ガ
ラスビーズ球。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 雅廣 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 長谷川 修 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 村田 士郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 林 龍也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 森 貞次郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PTCポリマー層と、該PTCポリマー
    層の両表面上にそれぞれ形成される一対の電極層とから
    なり、前記PTCポリマー層と前記電極層とのあいだ
    に、前記PTCポリマー層および前記電極層より電気抵
    抗率が高い高抵抗性物質の層がそれぞれ挟持されてなる
    ことを特徴とするPTC素子。
  2. 【請求項2】 前記高抵抗性物質が無機物微粒子であ
    り、かつ、該無機物微粒子が前記PTCポリマー層の両
    表面のそれぞれの表面積の5%〜95%を覆ってなる請
    求項1記載のPTC素子。
  3. 【請求項3】 前記高抵抗性物質が有機物であり、か
    つ、該有機物が前記PTCポリマー層の両表面のそれぞ
    れの表面積の5%〜95%を覆ってなる請求項1記載の
    PTC素子。
  4. 【請求項4】 前記高抵抗性物質が、蒸着、溶射、無電
    解メッキまたはスパッタリングで形成される膜状の高抵
    抗物質であり、かつ、該高抵抗物質が前記PTCポリマ
    ー層の両表面のそれぞれの表面積の5%〜95%を覆っ
    てなる請求項1記載のPTC素子。
  5. 【請求項5】 前記高抵抗性物質が、前記PTCポリマ
    ー層より電気抵抗率が高く、かつ、導電性を有する結晶
    熱可塑性高分子であり、前記結晶熱可塑性高分子が前記
    PTCポリマー層の両表面のそれぞれの表面積の5%〜
    95%を覆ってなる請求項1記載のPTC素子。
JP22348895A 1995-08-31 1995-08-31 Ptc素子 Pending JPH0969409A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22348895A JPH0969409A (ja) 1995-08-31 1995-08-31 Ptc素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22348895A JPH0969409A (ja) 1995-08-31 1995-08-31 Ptc素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0969409A true JPH0969409A (ja) 1997-03-11

Family

ID=16798927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22348895A Pending JPH0969409A (ja) 1995-08-31 1995-08-31 Ptc素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0969409A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001006521A1 (fr) * 1999-07-16 2001-01-25 Kabushiki Kaisha Tokin Dispositif a coefficient de temperature positif et son procede de fabrication

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001006521A1 (fr) * 1999-07-16 2001-01-25 Kabushiki Kaisha Tokin Dispositif a coefficient de temperature positif et son procede de fabrication
EP1126478A1 (en) * 1999-07-16 2001-08-22 Kabushiki Kaisha Tokin Ptc device and method for producing the same
EP1126478A4 (en) * 1999-07-16 2002-01-09 Tokiin Corp POSITIVE TEMPERATURE COEFFICIENT DEVICE AND MANUFACTURING METHOD THEREOF

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3930904B2 (ja) 電気デバイス
KR100388797B1 (ko) 도전성 고분자 조성물 및 이를 이용한 ptc소자
JP4664556B2 (ja) 導電性ポリマー組成物
EP0038717B1 (en) Electrical devices containing ptc elements
EP2592628B1 (en) Conductive composite material with positive temperature coefficient of resistance and over-current protection component
JP6598231B2 (ja) 高分子系導電性複合材料及びptc素子
TWI529753B (zh) 過電流保護元件
JP2000188206A (ja) 重合体ptc組成物及びptc装置
WO1999067835A1 (fr) Electrode, procede de production de cette electrode et cellule renfermant l'electrode
JP3564442B2 (ja) 過電流保護装置
US5817423A (en) PTC element and process for producing the same
JPH0969409A (ja) Ptc素子
TWI224343B (en) Conductive polymer compositions containing fibrillated fibers and devices
KR20000005396A (ko) 정온도계수 재료 제조방법
JP2000515448A (ja) 導電性ポリマー組成物を含んでなるラミネートの製造方法
KR100767058B1 (ko) 피티씨 고분자시트-전극 복합체의 제조방법
JPH11214203A (ja) Ptc素子及びその製造方法
KR100470906B1 (ko) 저저항 고효율의 ptc 소자 및 그 연속 제조 방법
KR100679742B1 (ko) Ptc 특성을 갖는 고분자 조성물과 이를 이용하여 제조한 ptc 특성을 갖는 고분자 써미스터
JPH1187106A (ja) Ptc素子の製造方法
JPWO2004042745A1 (ja) Ptc材料およびその製造方法並びにこのptc材料を用いた回路保護部品およびその製造方法
JP2006032395A (ja) Ptc素子及びその製造方法
JP2007036045A (ja) Ptc素子及びptc素子の製造方法
KR100307731B1 (ko) 피.티.시 저항 소자
JP3739444B2 (ja) Ptc素子