JPH0967790A - 調湿性低密度紙及びその製造方法 - Google Patents

調湿性低密度紙及びその製造方法

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JPH0967790A
JPH0967790A JP7243733A JP24373395A JPH0967790A JP H0967790 A JPH0967790 A JP H0967790A JP 7243733 A JP7243733 A JP 7243733A JP 24373395 A JP24373395 A JP 24373395A JP H0967790 A JPH0967790 A JP H0967790A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸放湿性粉体と発泡性マイクロカプセルを併
用し、調湿性能及び湿度調節能力に優れる低密度紙を得
る。 【構成】 製紙用原料10〜88重量部、吸放湿性粉体
10〜70重量部と発泡性マイクロカプセル2〜20重
量部、バインダーが0〜20重量部含まれ、密度が0.
1〜0.4cm3であることを特徴とする低密度調湿紙
及び該低密度調湿紙を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸放湿性能に優れ、環
境を汚染することが少ない、主として製紙用繊維からな
る調湿性低密度紙に関する。詳しくは、密閉室内におい
て、外部環境の温度変化によって生ずる室内の相対湿度
(以下湿度と称する)の変化を、短時間の内に一定の湿
度範囲内に調節することのできるクッション性を有する
軽量材料に好適に使用できる調湿性低密度紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチ
レン、発泡ウレタン等の低密度の素材は、断熱性や保温
性に優れ、また成型加工性も良く、安価であること等を
理由に断熱材やクッション材等の用途として広く使用さ
れてきた。しかしこれらの素材は、自然分解性に劣り、
また燃焼時に汚染物質や黒煙を排出する等の問題があ
り、一旦廃棄された場合にその処理に苦慮しているのが
実状である。そのため、より環境にやさしい素材への要
望が強くなっている。また、物品類を前述の素材で包装
し、保存や輸送を行う際、環境に急激な温度変化が生じ
ると、包装物内で結露現象や蒸れ現象が起こり、これが
原因となって物品類に錆や黴を発生させる等の問題があ
った。
【0003】これらを背景に、環境にやさしい素材とし
て紙を応用し、低密度で断熱性やクッション性を大幅に
改良して、前述の素材に置き換えようとする試みがいく
つか提案されている。例えば特開昭59−36800号
では、ポリエステル繊維を混抄して低密度の紙を製造す
る方法が提案されているが、この方法では密度の低下は
少なく、さらに化学繊維を多く抄き込まないと効果が出
にくいことから、得られた紙は合成繊維紙に近いものと
なり、紙本来の性質や環境にやさしい性質が損なわれる
ことが問題である。
【0004】また、中空なカプセルを混抄して低密度紙
を得る方法として、特公昭52−39924号には、シ
ラスバルーンを抄紙時に内添する製造方法が提案されて
いる。しかし、この方法ではシラスバルーンと製紙用パ
ルプの密度差が大きく、シラスバルーンが水に浮いてし
まうために抄紙しにくい欠点がある。
【0005】一方、熱により発泡する発泡性マイクロカ
プセルは、米国特許第2797201号、特公昭42−
26524号、特公昭44−7344号等に開示されて
いるように、メタクリル酸とスチレンの共重合体、アク
リロニトリルとスチレンの共重合体、塩化ビニリデン等
のマイクロカプセル中にブタンガス等の発泡剤を内包し
たものであり、加熱によりブタンガス等が膨張して、中
空の樹脂球を形成する。
【0006】これらの発泡性マイクロカプセルを混入さ
せた塗料またはインキを紙に塗工、印刷、捺印して、こ
れを加熱することで発泡させて低密度な素材を製造する
方法も提案されている。例えば特公昭53−31784
号、特開昭54−31500号、特開昭62−2614
36号、特開平3−241099号等には、壁紙用の材
料に使用する目的の提案がなされている。これらはいず
れも通気性や凹凸の付与を目的として発泡性マイクロカ
プセルを使用したものであり、紙全体の低密度化を目的
にしたものではない。
【0007】また、特開平5−339898号には、加
熱発泡前の紙の水分量を65〜72重量%にすることで
低密度な紙を得る製造方法が提案されている。しかしこ
の方法は乾燥前の湿紙含有水分が、通常の抄紙時の湿紙
含有水分よりも大幅に多く、このため乾燥工程で特別の
配慮が必要となる。特に発泡により紙が低密度になるに
つれて断熱性が発現するので、乾燥効率は大幅に低下す
る。
【0008】一方、紙に吸放湿性粉体(以下調湿剤と称
する)を用い調湿性能を付与した試みもいくつか提案さ
れている。例えば、特開昭58−51921号には、調
湿剤をできるだけ細かくし、紙や布、あるいは不織布等
にバインダーと共に塗布したり、紙の中に含有させると
により表面積を大きくし、湿度変化に対する応答性の良
い湿度調湿用シートが開示されている。更に本発明者等
が提案した特開平2−80696号には、前述の調湿剤
とガス吸着性能を有する無機粉体とを併用し、調湿性と
ガス吸着性能の両機能に優れた物品保存紙が開示されて
いる。しかしながら、これらの紙及びシートは、無機粉
体を20〜80重量%含有させ、主として調湿性能のみ
を得ようとするものである。この場合、調湿性能を向上
させるためには調湿剤である無機粉体を高密度に充填さ
せる必要があり、必然的に重い紙となり、取り扱いにく
いものであった。
【0009】また、水分を嫌い、壊れやすい物品の包装
には、上記のような合成樹脂を発泡させたシート状物又
は成型物で包装し、この中に乾燥剤を同封して使用する
ことで物品の保存と水分の影響に対応していた。しか
し、このような方法において物品を包装した場合、乾燥
剤が遍在しているために内容物に乾燥状態のばらつきが
生じたり、内容物にとって適切な湿度条件を維持するこ
とが困難になる状態となった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述したよ
うな問題点を解決することを課題とする。具体的には次
に示したような特徴を有する調湿性低密度紙を得ること
を課題とする。 (1)調湿性に優れた軽量の素材を提供する。 (2)従来の発泡性樹脂製のクッション材や断熱・保温
材の代替えとして、さらに吸放湿性粉体(以下調湿剤と
称する。)の使用によって調湿性能を付与し、保存や輸
送中の物品類を錆や黴から守り、自然分解性のある環境
にやさしい素材を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を進めた結果、製紙用繊維を主材とした製紙用原料に、
吸放湿性粉体および発泡性マイクロカプセルを配合して
抄紙し、さらにこれを湿式含浸法によって各種の含浸液
を含浸加工することで、本発明の目的とする課題が解決
できることを見い出した。すなわち、本発明の要旨とす
るところは、製紙用繊維が10〜88重量部、吸放湿性
粉体10〜70重量部および発泡性マイクロカプセルを
2〜20重量部、場合によってはさらにバインダーを0
〜20重量部配合して抄紙し、あるいはここで抄紙した
水分50〜60重量%の、乾燥前の坪量が40〜100
0g/m2(絶乾坪量換算)の紙匹にバインダー、場合
によってはこれに発泡性マイクロカプセルを混合分散さ
せた含浸液を、湿式含浸法によって製紙用原料に対し5
〜40重量%含浸し、次いで加熱することによって発泡
性マイクロカプセルを発泡させ、密度が0.1〜0.4
g/cm3であることを特徴とする調湿性低密度紙の製
造方法である。
【0012】本発明で言う調湿性能とは、急激な温度の
変化に伴って一時的に生じる湿度の変化に対して、素早
く吸湿または放湿することで密閉容器内の湿度を一定に
保つ性質を有するものであり、その結果保存する環境の
湿度を一定に保つことによって被保存物の含有水分率を
一定に保つことを目的としたものである。また、密閉性
の悪い容器においても、急激な湿度変化を穏やかにさせ
ることで内容物におよぼす悪影響を減少させる効果も合
わせ持つ。
【0013】次に本発明に至った経緯について説明す
る。本発明者らは、特願平6−58155号において、
発泡性マイクロカプセルを湿式含浸法により紙層間へ混
入させ、パルプ繊維間の結合が緩やかな間に加熱発泡さ
せることで、低密度紙を得る方法を提案した。この湿式
含浸加工法による方法では、抄紙した紙匹はプレス脱水
した後、乾燥されることなく含浸工程に入る。すなわ
ち、湿式含浸加工法で用いられる紙は、含浸工程では未
だパルプ繊維間の結合が生じていないために、含浸液に
浸漬された時に乾式含浸加工法と比較してパルプ繊維間
の空隙がはるかに拡大しやすいことから、発泡性マイク
ロカプセルの紙層内部への浸入は乾式含浸加工法に比較
して均一かつ完全に行われるようになる。この結果、含
浸する材料が、本発明に用いられた発泡性マイクロカプ
セルのように、粒径が5〜30μmと通常の含浸加工に
用いられる材料と比較して極めて大きい場合、紙層内部
への均一な含浸を行う上で湿式含浸加工法は非常に有効
であり、低密度紙を連続的に安定して生産することがで
きる。
【0014】しかし、この方法でも、発泡性マイクロカ
プセルの紙層内部への浸透はパルプ繊維によって濾過効
果で妨害されるのを完全には消去することができない。
このために、紙匹が厚くなる程、表面近くでは発泡性マ
イクロカプセルの量が多く、内部に進むに従って発泡性
マイクロカプセルの量が減少することとなり、厚さ方向
に密度の傾斜がつきやすくなる傾向がでてくる。
【0015】さらに、製紙用原料として密度のつきやす
い処方、例えばパルプの繊維長が短い場合や、パルプの
叩解度を進めた場合、あるいは調湿剤のような無機填料
を多く含有した処方等では、湿式含浸法といえども、発
泡性マイクロカプセルのような粒径の大きなものが自由
に紙層間に浸入しにくくなる。その結果発泡倍率は低く
なり、さらに不均一な発泡状態になる傾向が増大する。
【0016】このような問題を解決する為に、本発明者
らは鋭意検討を進めた結果、紙に発泡性マイクロカプセ
ルと共に調湿剤を配合して抄紙することで、繊維間の水
素結合を阻害する効果が発現し、発泡性マイクロカプセ
ルが発泡する際の膨張を助長する作用がある事を見いだ
した。この結果、高粉体含有紙であっても低密度化を進
める事が可能となった。
【0017】さらに、本発明者らは検討を進めた結果、
低密度化された調湿紙の空隙と調湿性能に密接な関係が
あることを見いだした。詳述すると、低密度紙は、空隙
が非常に多く、透気性に優れる構造となっている。従っ
て、空気が通過しやすく、その際に内添した調湿剤に接
触しやすくなるため、効率よく調湿が可能となる。
【0018】本発明者らは、上記の事実に着目し、発泡
性マイクロカプセルを製紙用原料に配合して抄紙した、
水分が50〜60重量%の乾燥前の坪量が40〜100
0g/m2(絶乾坪量換算)の紙匹に湿式含浸法を応用
することで、主としてゴムラテックス及び/または合成
樹脂エマルジョン、場合によってはこれに発泡性マイク
ロカプセルを混合分散させた含浸液を、製紙用原料に対
し5〜40重量%含浸し、次いでドライヤーシリンダー
で加熱乾燥する事で発泡性マイクロカプセルを発泡させ
て、低密度でかつ設計品質に沿った特性を有する紙匹を
製造する方法を考えだした。湿式含浸法とは、抄造され
た乾燥前の紙匹を含浸液に浸漬して含浸加工する方法で
ある。湿式含浸加工法の例としては米国特許第2049
469号に提案されているように、湿紙をワイヤー上に
保持して紙層の破壊を防止しながら含浸液への浸漬と絞
りを行う方法(ノバック法と呼ばれている)がある。
【0019】湿式含浸法では、抄紙した紙匹はプレス脱
水した後、乾燥されることなく含浸工程に入るので、乾
式含浸加工法のような無サイズ性や湿潤紙力増強剤の併
用等の制約がなく、しかも含浸工程では、まだパルプ繊
維間の結合が生じていないために、含浸液に浸漬された
時に乾式含浸加工法と比較してパルプ繊維間の空隙がは
るかに拡大しやすく、そのために発泡性マイクロカプセ
ルのような粒径の大きな材料も容易に紙層内部へ浸透で
きるという特徴をもつ。
【0020】本発明で用いられる製紙用パルプは特に制
限はなく、通常の製紙で使用されるものはどれでも使用
することができる。例えば針葉樹未晒クラフトパルプ
(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、
広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラ
フトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ
(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、砕
木パルプ(GP)等の木材パルプの単独あるいは混合物
を主材とし、麻、木綿、竹、藁パルプ、ケナフ等の非木
材パルプや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアク
リロニトリル等を原料とした合成パルプ、カチオン化パ
ルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ、ミクロフィブ
リル化セルロース等を併用することができる。上記パル
プの他にもアクリル繊維、レーヨン繊維、ポリエステル
繊維、ポリアミド繊維等の有機合成繊維やガラス繊維、
炭素繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナシリケート
繊維、ロックウール等の無機繊維等、各種の繊維を単独
あるいは混合物として併用することができる。
【0021】本発明に使用する発泡性マイクロカプセル
は、樹脂微粒子中に低沸点溶剤を内包したもので、70
〜150℃の比較的低温度で直径が3〜5倍、体積で3
0〜120倍に膨張する平均粒径が5〜30μmの粒子
である。樹脂としては、通常塩化ビニリデン、アクリロ
ニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル
等の共重合体から成る熱可塑性樹脂が使用され、低沸点
溶剤としては通常イソブタン、ペンタン、石油エーテ
ル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素等の低沸点溶
剤を使用する。発泡性マイクロカプセルの製法は、従来
の公知の方法がいずれも使用できる。
【0022】発泡性マイクロカプセルは外殻を形成する
樹脂の軟化点以上に加熱されると、樹脂が軟化し始め、
同時に封入されてある低沸点溶剤が気化して蒸気圧が上
昇し、その結果樹脂が押し広げられて膨張し、独立気泡
を形成する。これにより優れた断熱性とクッション性を
得ることができる。これら発泡性マイクロカプセルとし
ては、松本油脂製薬株式会社製造の「マツモトマイクロ
スフェアF−30」、「同F−30GS」、「同F−2
0」、「同F−50」や、日本フィライト株式会社販売
の「エクスパンセルWU」、「同DU」等が知られてい
るが、本発明に使用する発泡性マイクロカプセルはこれ
らに限定されるものではない。
【0023】発泡性マイクロカプセルの配合量は製紙用
原料に対して2〜20重量%、好ましくは4〜15重量
%である。2重量%以下では充分な低密度が得られず、
20重量%以上を越えると効果が頭打ちになって経済性
の面から適当とはいえず、さらに発泡性マイクロカプセ
ルの発泡による紙表面の凹凸が極度に大きくなるため
に、厚さ、密度のコントロールが困難となる。
【0024】本発明に使用する調湿剤としては、シリカ
ゲル、シリカアルミナゲル、アルミナゲル、活性アルミ
ナ、合成ゼオライト、天然ゼオライト、合成シリカ、酸
性白土、活性白土、α−セピオライト、β−セピオライ
ト、パリゴルスカイト(アタバルジャイト)、アロフェ
ン、イモゴライト等の吸放湿性能を有する天然及び合成
の無機粉体を単独あるいは数種類を組み合わせて使用す
ることができ、その使用量は10〜70重量%である。
10重量%未満であると吸放湿量が少なくなり、十分な
調湿効果が得られにくい。70重量%を越えるとシート
強度が弱くなるので好ましくない。
【0025】本発明における内部添加や湿式含浸法で使
用するバインダーとは、天然ゴムラテックス、スチレン
・ブタジエン共重合ラテックス、メチルメタアクリレー
ト・ブタジエン共重合ラテックス等のゴムラテックス及
び/またはポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリ
酢酸ビニルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョ
ン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、エチレンアクリ
ルエマルジョン、エチレン塩化ビニルエマルジョン、ア
クリル塩化ビニルエマルジョン、エチレンエマルジョン
等の合成樹脂エマルジョンを単独あるいは数種類を併用
して使用することができる。これらのバインダーの使用
量は、製紙用パルプと調湿剤及び発泡性マイクロカプセ
ルとの混合物100重量部に対して0〜20重量部、好
ましくは3〜20重量部である。低密度紙の強度が要求
されない時にはバインダーを使用しない場合もあるが、
通常3重量部未満であると強度が弱く、粉落ち等が発生
しやすい。また、20重量部を越えると調湿剤の細孔を
バインダーが覆ってしまうために十分な調湿効果が得難
くなる。
【0026】本発明では、製紙用繊維に調湿剤や発泡性
マイクロカプセルを定着させるために、公知の定着・凝
集剤を使用する。定着・凝集剤としては、ポリアクリル
アミド類、ポリアクリル酸ソーダ類、変性ポリアクリル
アミド類、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合
物、ポリエチレングリコール類等の高分子凝集剤、硫酸
アルミニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウム塩
類、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄等の第二鉄塩
類、ポリエチレンイミン、ポリエピクロルヒドリン等の
公知の定着・凝集剤が適宜1種類以上使用でき、その使
用量は紙料固形分に対して0.02〜5重量部が望まし
い。
【0027】更に本発明では、上述した調湿性低密度紙
の主要構成材料の他に、サイズ剤、紙力増強剤、染料、
顔料、歩留り向上剤、各種の填料、pH調整剤、スライ
ムコントロール剤、粘剤、防腐剤、防黴剤、難燃剤等の
公知の製紙用材料を必要に応じて単独で、あるいは組み
合わせて使用することができる。
【0028】本発明の代表的な製造方法を湿式含浸法を
例に挙げて述べる。製紙用パルプと調湿剤及び発泡性マ
イクロカプセルを混合分散した紙料に定着剤を添加した
後、長網、円網、短網等の公知の抄紙マシンで抄紙して
紙匹を形成し、プレスパート等で水分含有率を50〜6
0重量%に脱水した後、紙匹をワイヤー上に乗せ、約1
5%に希釈した合成樹脂エマルジョンの含浸液中に浸漬
し、その後絞りを行ってからドライヤーシリンダーを通
し、発泡性マイクロカプセルを加熱発泡させながら乾燥
することで、紙層中に発泡性マイクロカプセルが発泡し
た独立気泡が多数存在する調湿性低密度紙が得られる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて説明するが、重量%、
坪量(g/m2)はいずれも絶乾したものを意味する。 実施例1 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)40重量部
(乾燥重量換算、以下同じ)と広葉樹晒クラフトパルプ
(LBKP)20重量部に、吸放湿性粉体(商品名「シ
リカゲルPA−200B」富士シリシア化学(株)製
造)40重量部と発泡性マイクロカプセル(商品名「マ
ツモトマイクロスフェアF−30D」松本油脂製薬
(株)製造)7重量部を加え、パルパーで混合分散した
後、この紙料にサイズ剤(商品名「ポリマロン360」
荒川化学工業(株)製造)0.6重量部、硫酸バンド
1.5重量部を添加して常法に従い長網抄紙機で抄紙
し、紙匹を多筒式シリンダードライヤーで加熱発泡さ
せ、乾燥後の坪量が320g/m2の調湿性低密度紙を
得た。
【0030】実施例2 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)40重量部と
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20重量部に、シ
リカゲルPA−200Bを40重量部とマツモトマイク
ロスフェアF−30Dを7重量部加え、パルパーで混合
分散した後、アクリレート・ラテックス(商品名「Ni
pol LX811」日本ゼオン(株)製造)10重量
部を添加し均一に攪拌分散した。この紙料に硫酸バンド
2重量部と高分子凝集剤(商品名「ハイホルダー35
1」栗田工業(株)製造)を0.05重量部添加した
後、実施例1と同様の方法で抄紙し、乾燥後の坪量が3
15g/m2の調湿性低密度紙を得た。
【0031】実施例3 実施例1と同様の処方で紙料を調製し、湿式含浸装置を
有する長網抄紙機で含浸前の紙匹坪量が290g/m2
になるように抄紙し、次いで10重量%に希釈したNi
pol LX811の含浸液に浸漬することで湿式含浸
し、ピックアップ率が10重量%となるように絞り条件
を調整した。その後実施例1と同様に加熱発泡させて乾
燥後の坪量が319g/m2の調湿性低密度紙を得た。
【0032】実施例4 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)40重量部と
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20重量部に、シ
リカゲルPA−200Bを40重量部とマツモトマイク
ロスフェアF−30Dを4重量部加え、パルパーで混合
分散した。この紙料に硫酸バンド1.5重量部とハイホ
ルダー351を0.06重量部添加した後、実施例3と
同様にして含浸前の紙匹坪量が280g/m2になるよ
うに抄紙し、次いでNipol LX811が10重量
%、マツモトマイクロスフェアF−30Dが3重量%に
なるように分散調製した含浸液に浸漬して湿式含浸し、
ピックアップ率が13重量%になるように絞り条件を調
整した。その後実施例1と同様に加熱発泡させて乾燥後
の坪量が316g/m2の調湿性低密度紙を得た。
【0033】比較例1 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)65重量部と
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)35重量部をパル
パーで混合分散した後、この紙料にポリマロン360を
0.6重量部、硫酸バンド1.5重量部を添加して常法
に従い長網抄紙機で抄紙し、乾燥後の坪量が320g/
2の紙を得た。
【0034】比較例2 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)65重量部と
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)35重量部に、マ
ツモトマイクロスフェアF−30Dを7重量部加え、パ
ルパーで混合分散した後、Nipol LX811を1
0重量部を添加し均一に攪拌分散した。この紙料に硫酸
バンド2重量部とハイホルダー351を0.05重量部
添加した後、常法に従い長網抄紙機で抄紙し、実施例1
と同様の方法で加熱発泡させ、乾燥後の坪量が318g
/m2の低密度紙を得た。
【0035】比較例3 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)40重量部と
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20重量部に、シ
リカゲルPA−200Bを40重量部を加え、パルパー
で混合分散した。この紙料に硫酸バンド1.5重量部と
ハイホルダー351を0.05重量部添加した後、多筒
式シリンダードライヤー加熱乾燥させて坪量が320g
/m2の調湿性低密度紙を得た。
【0036】以上に述べた実施例と比較例について得ら
れた低密度紙の諸物性について表1に示す。また、図1
に外部環境を変化させた際の密閉容器内の湿度変化を示
す。ここで、aが実施例3の調湿紙を封入した密閉容器
内、bが比較例3の調湿紙を封入した密閉容器内、cが
外部環境、dが調湿紙を封入していないブランクの密閉
容器内の湿度変化を示す。
【0037】
【表1】
【0038】評価は以下に述べる方法で行った。 (1)坪量:JIS P−8124 (2)厚さ:JIS P−8118 (3)引っ張り強さ:JIS P−8113 (4)透気度:JIS P−8117 (5)吸湿率(%):(測定重量−絶乾重量)÷測定重
量×100 (6)調湿性能:可変空調室の中にアルミニウム板で作
成した1m3の密閉容器を設置し、その中に各低密度紙
2Kgを封入して行った。可変空調室は予め22℃、5
5%RHに保ち、密閉容器の蓋を開けて低密度紙と共に
4時間暴露した後に密封した。次に可変空調室内の温度
を10℃→40℃→10℃→40℃と交互に6時間毎に
変化させた場合の、密閉容器内の湿度変化を測定する。
得られたデータを5段階評価した。 5:温度変化に対する湿度調整能力に優れ、応答速度が
速く湿度変化がほとんどない。 4:温度変化に対する湿度調整能力があり、応答速度が
速く湿度変化が少ない。 3:温度変化に対する湿度調整能力はあるが、応答速度
が遅く、湿度変化にドリフトがみられる。 2:温度変化に対する湿度調整能力はややあるが、応答
速度が遅く、温度変化に湿度変化が追随する傾向があ
る。 1:湿度調整能力に欠け、温度変化に湿度変化が追随す
る。
【0039】表1より、実施例1〜4では、比較例に比
べ調湿性能に非常に優れた材料が得られることが分か
る。すなわち、調湿剤を低密度紙に抄き込むことによ
り、空気と接触しやすい構造となり、従来にない応答性
の早い調湿性低密度紙が得られるということである。比
較例では、実施例のような低密度で調湿性能を兼ね備え
た材料は得られなかった。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の調湿性低密
度紙は以下に述べるような効果を有するので、適切な水
分の維持を必要とする物品の保存や輸送に際し、包装材
料あるいは下敷き等に有効に使用でき、物品の劣化、破
損を抑制することが効果的に行うことができる。 (1)調湿性能に優れる。 (2)セルロース繊維、無機粉体が主成分であるので、
環境にやさしい材料である。 (3)発泡性マイクロカプセルの発泡効果のために、同
種の材料と比較して軽量、低密度であり、クッション性
を備えている。 (4)無機粉体を高充填することで繊維間の水素結合が
阻害されるために、発泡性マイクロカプセルが加熱発泡
する過程において、より膨張しやすくなり、その結果高
粉体含有紙であるにもかかわらず低密度化が可能とな
る。 (5)低密度であるために透湿性や通気性に優れ、調湿
剤の効果が効率的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【表1】実施例と比較例について得られた低密度紙の諸
物性を示した表である。
【図1】外部環境の温度を変化させたときの密閉容器内
の相対湿度の変化を示した図である。
【図2】調湿効果を分かりやすくするため図1の0〜2
時間を拡大した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 27/20 (72)発明者 友竹 義明 静岡県駿東郡長泉町本宿501番地 特種製 紙株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調湿性低密度紙100重量部あたり、製
    紙用繊維が10〜88重量部、吸放湿性粉体が10〜7
    0重量部、バインダーが0〜20重量部、発泡された発
    泡性マイクロカプセルが2〜20重量部含まれ、密度が
    0.1〜0.4g/cm3であることを特徴とする調湿
    性低密度紙。
  2. 【請求項2】 製紙用繊維10〜88重量部、吸放湿性
    粉体10〜70重量部、発泡性マイクロカプセル2〜2
    0重量部、及び必要に応じてバインダーを0〜20重量
    部配合した紙料を抄紙することで紙匹を形成し、次いで
    該紙匹を加熱することで発泡性マイクロカプセルを発泡
    させることを特徴とする調湿性低密度紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 製紙用繊維10〜88重量部、吸放湿性
    粉体10〜70重量部、発泡性マイクロカプセル2〜2
    0重量部を配合した紙料を抄紙することで形成した水分
    50〜60重量%の、乾燥前の坪量が40〜1000g
    /m2(絶乾坪量換算)の紙匹に、バインダーを湿式含
    浸法により製紙用原料に対して5〜40重量%含浸し、
    次いで該紙匹を加熱することで発泡性マイクロカプセル
    を発泡させることを特徴とする調湿性低密度紙の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 製紙用繊維10〜88重量部、吸放湿性
    粉体10〜70重量部を配合した紙料を抄紙して形成し
    た水分50〜60重量%の、乾燥前の坪量が40〜10
    00g/m2(絶乾坪量換算)の紙匹に、主として発泡
    性マイクロカプセルとバインダーを湿式含浸法によって
    製紙用原料に対して5〜40重量%含浸し、次いで該紙
    匹を加熱することで発泡性マイクロカプセルを発泡させ
    ることを特徴とする調湿性低密度紙の製造方法。
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