JPH0967393A - 5α−還元酵素阻害剤デイセファロステロール - Google Patents

5α−還元酵素阻害剤デイセファロステロール

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JPH0967393A
JPH0967393A JP22494395A JP22494395A JPH0967393A JP H0967393 A JPH0967393 A JP H0967393A JP 22494395 A JP22494395 A JP 22494395A JP 22494395 A JP22494395 A JP 22494395A JP H0967393 A JPH0967393 A JP H0967393A
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dicephalosterol
decephalosterol
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sank
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JP22494395A
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Michihiro Sugano
道裕 菅野
Yoko Ogura
陽子 小倉
Emiko Hoshino
恵美子 保志野
Takakazu Hamada
孝和 浜田
Takeshi Hosoya
剛 細矢
Yasuyuki Takamatsu
安行 高松
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】5α−還元酵素阻害作用を有し、例えば前立腺
肥大症の予防薬および/または治療薬として有用な化合
物を提供する。 【解決手段】式 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は5α−還元酵素阻害
作用を有する新規なデイセファロステロールまたはその
塩に関する。
【0002】
【従来の技術】前立腺肥大症は、男性の加齢に伴う疾患
であり、近年の平均寿命の延長によりその疾患者数は著
しく増加している。本疾患の基本的病態は肥大血節の増
大による尿道抵抗の増加で、症状は排尿障害、残尿感で
ある。ところで、前立腺肥大症組織では正常前立腺組織
と比較して、5α−ジヒドロテストステロン(5α−D
HT)含量が有意に高いことが知られている。この5α
−DHTはおもに男性の生殖器である前立腺で、テスト
ステロンからテストステロン−5α−還元酵素によって
合成される。そこでテストステロン−5α−還元酵素を
阻害し、5α−DHTを低下させることで前立腺肥大症
を治療しようとする薬剤の開発が行われている。現在ま
でに開発されている薬剤としては、4−アザステロイド
骨格を有するフィナステロイド(G. H. Rasmusson, J.
R. Berman et al., J. Med. Chem.,29巻、 2298-2315頁
(1986年))がある。またステロイド骨格をもたない合成
化合物としてはベンズアニリド骨格を有するONO−3
805(EP 0 291 245 A2)が知られている。また天然物
由来の物としては、フェナジン骨格を有するWS−96
59AおよびB (O. Nakayama, M. Kohsaka et al., J.
Antibiot., 42巻、1221−1240頁 (1989年))、リボフラ
ビン(O. Nakayama, M. Kohsaka et al., J.Antibiot.,
43 巻、 1615-1616頁 (1990年))が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はディセフ
ァロスポラ(Dicephalospora)属に属するSANK 1
0695株、SANK 18291株、SANK 10
795株の培養液から5α−還元酵素阻害作用を有する
新規化合物デイファセロステロールが生産されることを
見出して本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のデイセファロス
テロールは下記の性状を有する。 1)構造式
【0005】
【化4】
【0006】2)物質の性状:針状結晶 3)融点:152℃ 4)分子式: C30486 (高分解能マススペクトル
法により測定) 5)分子量: 504(質量分析法により測定)。
【0007】6)赤外吸収スペクトル:νmax cm-1 臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外線吸収ス
ペクトルは、次に示す通りである。 3490, 3370, 2960, 2930, 1730, 1710, 1370, 1270, 10
40, 1030。
【0008】7)1 H−核磁気共鳴スペクトル:(δ:
ppm) 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(360 MHz) は、次に
示す通りである。 5.43 (1H, brt, J=6.6 Hz), 5.13 (1H, brs), 5.05
(1H, s),4.88 (1H, s), 4.47 (1H, brd, J=10.2 Hz),
3.92 (1H, m),3.78 (1H, brs), 2.44 (1H, brm), 2.
16-2.26 (3H, m),1.97 (3H, s), 1.94-1.97 (2H, m),
1.46-1.81 (12H, m),1.44 (3H, s), 1.25-1.29 (1H,
m), 1.08 (3H, d, J=6.9 Hz),1.06 (3H, d, J=6.9 H
z), 0.79 (3H, s), 0.78 (3H, s)。
【0009】8)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ:
ppm) 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(91 MHz)は、次に示
す通りである。 172.8 (s), 161.4 (s), 140.5 (s), 119.3 (d), 10
8.0 (t),77.9 (d), 76.6 (s), 73.7 (d), 73.2 (d),
67.9 (d), 66.8 (d),54.4 (d), 48.0 (t), 46.3
(t), 42.3 (d), 42.1 (t), 39.9 (s),39.7 (t), 3
9.3 (t), 35.5 (d), 35.1 (t), 31.5 (d), 31.5
(t),26.6 (q), 24.7 (q), 24.1 (q), 22.0 (q), 2
1.8 (t), 15.5 (q),14.5 (q)。
【0010】9)紫外線吸収スペクトル:λmax nm
(ε) 末端吸収のみ。
【0011】10)溶解性:メタノール、エタノール、
アセトン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ベン
ゼン、エーテル、酢酸エチルに溶解。水に不溶。
【0012】11)呈色反応:硫酸、ヨードに陽性。
【0013】12)薄層クロマトグラフィー: Rf値; 0.4 吸着剤; シリカゲルプレート(Kieselgel 60 F254, メ
ルク社製) 展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=4:6。
【0014】本発明のデイセファロステロールは不斉炭
素原子を有する。従って、デイセファロステロールにお
いては、不斉炭素原子に基づく異性体を有する。本発明
のデイセファロステロールにおいては、これらの異性体
の等量および非等量混合物がすべて単一の式で示されて
いる。従って、本発明においてはこれらの異性体および
これらの異性体の混合物をもすべて含むものである。
【0015】更に本発明において、デイセファロステロ
ールが溶剤和物(例えば水和物)を形成する場合には、
これらもすべて含むものである。
【0016】例えば、本発明のデイセファロステロール
が、大気中に放置されたり、または再結晶をすることに
より、水分を吸収し、吸着水が付着したり、水和物を形
成する場合がある。本発明にはこのような溶剤和物も含
まれる。
【0017】更に本発明において、生体内において代謝
されてデイセファロステロールに変換される化合物、い
わゆるプロドラッグもすべて含むものである。
【0018】本発明のデイセファロステロールを生産す
る上記SANK 10695株、SANK 18291
株、SANK 10795株 の菌学的性状は以下の通
りである。
【0019】SANK 10695株は1990年10
月18日、茨城県真壁市きのこ山において採集した子実
体から子嚢胞子を分離し、培養して得たものである。S
ANK 10695株の分離源である子実体は、次のよ
うな菌学的特徴を有している。子嚢盤は基質の表皮およ
び皮層に形成されるストロマより生じ、突出する。子嚢
盤は有柄の皿形〜浅い椀型、子実層面はほとんど平ら
か、しばしば中央が盛り上がり、黄橙色〜赤橙色であ
り、その径は 1.0−2.5mmである。柄は円筒形
で長さ0.5−1.0mm、径 0.2−0.5mm、
子嚢盤とほぼ同色だが、かなり淡色となる。托外皮層は
厚さ 50−60μm、矩形菌組織を呈す。托髄層は絡
み合い菌組織を呈す。子実層は 130−150μmで
ある。子嚢は円筒状棍棒形、薄壁、先端はやや丸みを帯
び、ヨード試薬で青変する。子嚢胞子は長紡錘形で幾分
湾曲、大きさ 30.5−37.5×4−6μm であ
る。無色、薄壁で単細胞である。多数の油球を生じ、両
側に杯型〜クッション状の付属器を有する。側糸は糸
状、幅約 1.5μm、無色、隔壁あり、基部にて分枝
する。SANK 10695株の培養下での菌学的性状
は次の通りである。PDA平板上での成長は25℃、1
0日で約2cmに達する。全体が赤橙色だが、中央部で
より濃色である。菌糸は比較的均一に伸長し、密に集合
して厚い菌糸のマットを形成する。赤橙色の可溶性色素
を浸出する。気菌糸の量は少なく、コロニーは全体に平
坦である。
【0020】SANK 18291株は1990年6月
29日に、茨城県大洗にて採集した腐朽木上に発生して
いた子実体から子嚢胞子を分離し、培養して得たもので
ある。SANK 18291株はその分離源である子実
体の子嚢胞子の大きさが36.5−46.8×3.5−
4.5μである点が異なるだけで、他の菌学的性状およ
び培養上の菌学的性状はSANK 10695株のそれ
と変わらない。
【0021】SANK 10795株は1993年7月
4日に、茨城県裏筑波にて採集した腐朽木上に発生して
いた子実体から子嚢胞子を分離し、培養して得たもので
ある。SANK 10795株はその分離源である子実
体の子嚢胞子の大きさが、26−41×4−6である点
が異なるのみで、他の菌学的性状および培養上の菌学的
性状部分はSANK 10695株のそれと変わらな
い。
【0022】以上の菌学的特徴より本菌に該当する菌を
検索したところ、スプーナー・ビー・エム(Spooner
B. M.)著 "Helotiales in Australasia: Geoglossacea
e,Orbiliaceae, Sclerotiniaceae, Hyaloscyhaceae".
Bib. Mycol. 116 巻、 1−711 頁、 1990 年、および大
谷吉雄著、「日本産盤菌綱菌類雑記」、菌じん研究所研
究報告、28巻、251-256 頁、 1990年に掲載されているデ
ィセファロスポラ・ルフォコルニア・バークレイ・アン
ド・ブルーム・スプーナー(Dicephalosporarufocornea
(Berkeley & Broome) Spooner) とその菌学的性状が一
致した。よって、SANK 18291株、SANK
10695株、SANK 10795株をそれぞれディ
セファロスポラ・ルフォコルニア・バークレイ・アンド
・ブルーム・スプーナー(Dicephalospora rufocornea
(Berkeley & Broome) Spooner)と同定した。
【0023】なお、これらの菌株はそれぞれディセファ
ロスポラ・ルフォコルニア・バークレイ・アンド・ブル
ーム・スプーナー SANK 18291株がFERM
BP−5029として、SANK 10695株がFE
RM BP−5027として、SANK 10795株
がFERM BP−5028としてブダペスト条約に従
って通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に国
際寄託されている。
【0024】以上、デイセファロステロール生産菌株の
SANK 18291株、SANK10695株および
SANK 10795株について説明したが、周知の如
くこれらの菌株の諸性質は一定したものではなく、自然
的、または人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線
照射、化学薬品処理等)により、変異を起こし易く、本
発明の菌株もこの点は同じである。本発明にいう菌株は
そのすべての変異株を包含する。また、これらの変異株
の中には、遺伝学的方法、例えば、組み替え、形質導
入、形質転換等により得られたものも包含される。即
ち、デイセファロスポラ属に属するデイセファロステロ
ールを生産する菌株、その変異株およびそれらと明確に
区別されない菌株は、すべて本発明にいう菌株に包含さ
れるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の菌株を分離するに際し
て、使用される分離培地としては炭素源、窒素源、無機
イオンおよび有機栄養源等より選択されたものを適宜含
有する培地であれば合成または天然培地のいずれでも使
用可能である。分離操作は常法に従って行われる。
【0026】本発明の新規化合物デイセファロステロー
ルを得るため、これらの微生物の培養は他の発酵生成物
を生産するために用いられるような培地中で行なわれ
る。このような培地中には、微生物が資化出来る炭素
源、窒素源および無機塩を含有する。
【0027】一般に、炭素源としてグルコース、フラク
トース、マルトース、シュークロース、マンニトール、
グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウ
モロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆
粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸などを単一に、あ
るいは併用して用いる事が出来る。一般には、培地量の
1−10重量%で変量する。好適には 7−9重量%
であり、最適には 8重量%である。
【0028】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を発酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実粉、カゼイン加水分解物、
ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、ペプト
ン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マルトエキ
ス等の動物系、植物系またはエキス類の窒素源、硝酸ナ
トリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の無
機窒素源である。窒素源は、単一または併用して培地量
の 0.1−6重量%の範囲で用いる。好適には2−4
重量%であり、最適には 3重量%である。
【0029】培地中に取り入れる栄養無機塩は、ナトリ
ウム、アンモニウム、カルシウム、カリウム、マグネシ
ウム、鉄、フォスフェート、サルフェート、クロライ
ド、カーボネート等のイオンを得ることの出来る通常の
塩類である。また、コバルト、マンガン、ストロンチウ
ム等の微量の金属、その他ブロマイド、フルオライド、
ボレ−ト、シリケ−ト等の微量イオンを得る塩も含む。
【0030】液体培養に際しては、消泡剤としてシリコ
ン油、植物油、界面活性剤等が使用される。
【0031】SANK 18291株、SANK 10
695株またはSANK 10795株を培養しデイセ
ファロステロールを生産する培地の pHは、5.0−
8.0に変化させることが出来る。好ましくはpHは、
7前後である。
【0032】菌の生育温度は 4℃ から 32℃ ま
でであるが 20℃ から 30℃の範囲が生育良好で
あり、 更にデイセファロステロールの生産には、23℃
付近が好適である。
【0033】デイセファロステロールは、好気的に培養
して得られるが通常用いられる好気的培養法、例えば固
体培養法、振とう培養法、通気撹拌培養法等が用いられ
る。特に、振とう培養法が好ましい。
【0034】小規模な培養においては、20℃ から
26℃で数日間振とう培養を行うのが良好である。培養
は三角フラスコ中で、1ー2段階の種の発育工程により
開始する。種発育段階の培地は、炭素源および窒素源を
併用出来る。種フラスコは定温インキュベーター中で
23℃、1乃至3日間振とうするか、または充分に成長
するまで振とうする。成長した種は第二の種培地、また
は生産培地に接種するのに用いる。中間の発育工程を用
いる場合には、本質的に同様の方法で成長させ、生産培
地に接種するためにそれを部分的に用いる。接種したフ
ラスコを一定温度で 1乃至3日間、または生産量が最
大に達するまで振とうし、インキュベーションが終わっ
たらフラスコの含有物を遠心分離またはろ過する。
【0035】大量培養の場合には、撹拌機、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成出来る。栄養培
地を125℃ まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地
にあらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は
20℃乃至 26℃で通気撹拌して行う。この方法は、
多量の化合物を得るのに適している。
【0036】培養の経過に伴って生産されるデイセファ
ロステロールの量の経時変化は、高速液体クロマトグラ
フィーを用いて測定することが出来る。通常は、振とう
培養法で5日間から8日間の培養でデイセファロステロ
ールの生産量は最高値に達する。
【0037】培養終了後、培養液中の液体部分及び菌体
内に存在するデイセファロステロールは、培養液と同容
量程度のアセトンなどのケトン類、アセトニトリルなど
のニトリル類のような有機溶媒を添加し、混合すること
により抽出する。抽出液中に存在する菌体、その他の固
形部分を珪藻土をろ過助剤とする、ろ過操作または遠心
分離によって分別し、そのろ液または上清中および菌体
中に存在するデイセファロステロールを、5α−還元酵
素阻害活性を指標にしてその物理化学的性状を利用し抽
出精製することにより得られる。例えば、ろ液または上
清中に存在するデイセファロステロールは、最初に濃縮
操作で混在する有機溶媒を除去した後、中性または酸性
pH条件下で水と混和しない有機溶剤、例えばブタノ
ールなどのアルコール類、メチルエチルケトンなどのケ
トン類、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、
塩化エチレン、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素
類を用いて単独または、それらの組み合わせにより抽出
精製することができる。
【0038】あるいは吸着剤として、例えば活性炭また
は吸着用樹脂であるアンバーライトXAD−2、XAD
−4 (ローム・アンド・ハース社製) 等や、ダイアイオ
ンHP−10、HP−20、CHP−20P、HP−5
0(三菱化成(株) 社製) 等が使用される。デイセファ
ロステロールを含む液を上記のごとき吸着剤の層を通過
させて不純物を吸着させて取り除くか、またはデイセフ
ァロステロールを吸着させた後、アセトン水などの含水
ケトン類、メタノール水、ブタノール水などの含水メタ
ノール類を用いて溶出させることにより得られる。ま
た、菌体内に存在するデイセファロステロールは、50
−90% 含水アセトンなどの含水ケトン類または含水
メタノール類などの含水アルコール類により抽出し、次
いで有機溶剤を除去した後、ろ液と同様な抽出精製操作
を行なうことにより得られる。
【0039】このようにして得られたデイセファロステ
ロールは、更にシリカゲル、マグネシウムーシリカゲル
系のフロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマ
トグラフィー、 セファデックス LH−20(ファル
マシア社製) などを用いた分配カラムクロマトグラフィ
ー、セファデックス G−25(ファルマシア社製)な
どを用いたゲルろ過クロマトグラフィー、および順相、
逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー等で精
製することが出来る。以上の分離、精製の手段を単独ま
たは適宜組み合わせ反復用いることによりデイセファロ
ステロールを分離精製することができる。
【0040】本発明のデイセファロステロールは、文献
未載の新規化合物であり、動物(例、ヒト、イヌ、ネ
コ、ウサギ等) において、5α−還元酵素阻害作用を示
すことから、5α−還元酵素阻害剤として有用である。
【0041】本発明のデイセファロステロールを医薬と
して用いる場合、常法に従って種々の形態で投与され
る。その投与形態としては例えば散剤、顆粒剤、錠剤、
カプセル剤、シロップ剤などの形態で経口的または注射
剤(静脈内、筋肉内、皮下)、点滴剤、座剤、塗布剤、
軟膏剤などの形態で非経口的に安全に投与することが出
来る。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形
剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、溶
解補助剤、懸濁剤、コ−ティング剤、希釈剤などの医薬
の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を
用いて製剤化することができる。投与量は対象疾患、投
与経路および投与回数などにより異なるが、例えば成人
に対しては 1日 上限2000mg、好ましくは50
0mg、から下限20mg、好ましくは100mg、を
症状に応じて1回または数回に分けて投与するのが好ま
しい。
【0042】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】実施例 1. (1)培養 SANK 10695株を、下記の組成の前培養培地
100mlを含む500mlの三角フラスコ(種フラス
コ)に接種した。次いでこれを23℃で7日間、210
rpmのロータリー振蘯機で前培養を行った。
【0044】 前培養培地組成 グルコース 10 g グリセロール 10 g シュクロース 10 g ソイビーンミール 20 g オートミール 5 g カザミノ酸 5 g 炭酸カルシウム 1 g ───────────────────────── 水道水 1000 ml(pH 7.0)。
【0045】本培養は次のように行った。滅菌した下記
の本培養培地 100mlを含む100mlの三角フラ
スコ 50本に種培養液をそれぞれ 5ml入れ、23
℃で 7日間、 210rpmのロータリー振蘯機で培
養を行った。
【0046】 本培養培地組成 グリセロール 70 g ポリペプトン 10 g 大豆粉 10 g 硫酸マグネシウム・7水和物 1 g グルコース 30 g 硝酸ナトリウム 5 g コーン・スチープ・リカー 10 g CB−422(消泡剤) 0.5 ml ───────────────────────── 水道水 1000 ml(pH 7.0)。
【0047】(2)単離 三角フラスコ 50本のSANK 10695培養液に
アセトンを加えて抽出後、吸引ろ過を行った。次に、ろ
液を減圧留去してアセトンを除き、その抽出液を水で平
衡化した 500mlのHP−20カラムクロマトグラ
フィー(三菱化成(株)社製)に充填した。このカラム
を各 1000mlの水、20%、40%、80%の含
水アセトン、 100%アセトンで溶出し、以下の試験
例 1.の(2)ラットの5α−還元酵素阻害試験 に
記載する5α−還元酵素阻害活性の認められた 80%
含水アセトン画分を濃縮したところ、 2.74gの濃
褐色物質を得た。このうち 2.6gを 5mlのメタ
ノールに溶解し、ヘキサンー酢酸エチル(2:8)で平
衡化した 250mlのシリカゲルカラム(シリカゲル
60、メルク社製)に充填し、同じ溶媒で 550m
l溶出した後、酢酸エチル 500mlで溶出した。こ
の酢酸エチル溶出画分を減圧留去して溶媒を除去する
と、73.5mgの淡黄色物質が得られた。次にこの物
質 73.5mgを 3mlのメタノールに溶解し、ヘ
キサンー酢酸エチル(2:8)で平衡化した 60ml
のシリカゲルカラム(シリカゲル 60、メルク社製)
に充填し、同じ溶媒で溶出し、250−490mlの溶
出画分を分画した。減圧留去により溶媒を除去すると、
白色針状結晶のデイセファロステロール 65.6mg
が得られた。
【0048】(3)同定 三角フラスコ 50本のSANK 18291株培養液
にアセトンを加えて抽出後、吸引ろ過を行った。次に、
ろ液を減圧留去してアセトンを除き、その抽出液を水で
平衡化した 500mlのHP−20カラムクロマトグ
ラフィー(三菱化成(株)社製)に充填した。このカラ
ムを各 1000mlの水、20%、40%、80%の
含水アセトン、100%アセトンで溶出し、80%含水
アセトン画分を濃縮した。この濃縮エキスを逆相系高速
液体クロマトグラフィー(センシュウパック ODS−
2252−H、センシュウ科学(株)社製)に付し、6
0%含水アセトニトリルで溶出して先に得られたデイセ
ファロステロールを同定した。
【0049】SANK 10795株についても同様の
課程を行い、同定した。
【0050】
【発明の効果】以下に5α−還元酵素阻害作用の試験結
果を述べる。
【0051】試験例 1. (1)ラット前立腺からの5α−還元酵素の調製 成熟雄ラット(350−400g:Spague−Da
wley) の前立腺腹葉をはさみで小片に細切後、組織
の約3倍量の緩衝液(0.33Mシュクロース、1mM
ジチオスレイトール、50mM ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチドホスフェートー還元体(NADP
H)、0.001%フェニルメチルスルホニルフルオラ
イド(PMSF)を含む 20mMリン酸カリウム緩衝
液 (pH7.4) を加え、まずポリトロン(KINEM
ATICA Gmb)で、ついでテフロンーガラスホモ
ジナイザーでホモジナイズした。得られたホモジネート
を遠心分離 (100、000×g、60分) し、沈殿物
を上記緩衝液に懸濁し、再び同条件で遠心分離して洗浄
した。この沈殿物をラット5α−還元酵素とし、上記緩
衝液を加えて、蛋白量を約 20mg/mlに調製後、
−80℃で凍結保存した。
【0052】(2)ラットの5α−還元酵素阻害試験 ラットの5α−還元酵素(蛋白量 200mg) 、2m
M[14C]テストステロン、1mMジチオスレイトー
ル、1.5mM NADPHを含む 40mMリン酸カ
リウム緩衝液 (pH 7.0) にジメチルスルホキシド
(場合によってはエタノールを用いて)に溶解した検体
2ml(対照群には溶媒のみ)を加え、総液量が 1
00mlになるように調製した後、37℃で25分間ー
40分間インキュベートした。その後、 100mlの
エタノールを加えて反応を停止し、この反応液のうちの
25mlを薄層クロマトプレート(LK6DF si
lica plate、Whatman社製)にスポッ
トし、酢酸エチル−シクロヘキサン(1:1)混合液で
室温中で2度展開した。薄層クロマトプレート上の放射
活性はバイオイメージアナライザー(富士写真フィルム
(株)社製)を用いて測定した。ラットの5α−還元酵
素活性は、加えた[14C]テストステロンのうち、[14
C]5α−ジヒドロテストステロンとなった割合(変換
率(%)) で表し、検体の5α−還元酵素阻害活性は次
式を用いて求めた。
【0053】 検体の5α−還元酵素阻害活性= {1ー(検体添加群の変換率/(対照群の変換率)}x 100 (%) 更に、検体の濃度を変えて上式を用いて阻害活性(%)
を求め、その値から50%阻害濃度(IC50)を求め
た。
【0054】デイセファロステロールの5α−還元酵素
阻害活性(IC50)は 5.86μg/mlであった。
【0055】以上から、本発明のデイセファロステロー
ルは5α−還元酵素阻害作用を有し、前立腺肥大症の予
防薬および/または治療薬などの医薬として有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 孝和 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 細矢 剛 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 高松 安行 福島県いわき市泉町下川字大剱389−4 三共株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 を有するデイセファロステロール。
  2. 【請求項2】下記の性状を有するデイセファロステロー
    ル。 1)物質の性状:針状結晶 2)融点:152℃ 3)分子式: C30486 (高分解能マススペクトル
    法により測定) 4)分子量: 504(質量分析法により測定) 5)赤外吸収スペクトル:νmax cm-1 臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外線吸収ス
    ペクトルは、次に示す通りである。 3490, 3370, 2960, 2930, 1730, 1710, 1370, 1270, 10
    40, 1030 6)1 H−核磁気共鳴スペクトル:(δ: ppm) 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
    して測定した核磁気共鳴スペクトル(360 MHz) は、次に
    示す通りである。 5.43 (1H, brt, J=6.6 Hz), 5.13 (1H, brs), 5.05
    (1H, s),4.88 (1H, s), 4.47 (1H, brd, J=10.2 Hz),
    3.92 (1H, m),3.78 (1H, brs), 2.44 (1H, brm), 2.
    16-2.26 (3H, m),1.97 (3H, s), 1.94-1.97 (2H, m),
    1.46-1.81 (12H, m),1.44 (3H, s), 1.25-1.29 (1H,
    m), 1.08 (3H, d, J=6.9 Hz),1.06 (3H, d, J=6.9 H
    z), 0.79 (3H, s), 0.78 (3H, s) 7)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ: ppm) 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
    して測定した核磁気共鳴スペクトル(91 MHz)は、次に示
    す通りである。 172.8 (s), 161.4 (s), 140.5 (s), 119.3 (d), 10
    8.0 (t),77.9 (d), 76.6 (s), 73.7 (d), 73.2 (d),
    67.9 (d), 66.8 (d),54.4 (d), 48.0 (t), 46.3
    (t), 42.3 (d), 42.1 (t), 39.9 (s),39.7 (t), 3
    9.3 (t), 35.5 (d), 35.1 (t), 31.5 (d), 31.5
    (t),26.6 (q), 24.7 (q), 24.1 (q), 22.0 (q), 2
    1.8 (t), 15.5 (q),14.5 (q) 8)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε) 末端吸収のみ。 9)溶解性:メタノール、エタノール、アセトン、クロ
    ロホルム、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、エーテ
    ル、酢酸エチルに溶解。水に不溶。 10)呈色反応:硫酸、ヨードに陽性。 11)薄層クロマトグラフィー: Rf値; 0.4 吸着剤; シリカゲルプレート(Kieselgel 60 F254, メ
    ルク社製) 展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=4:6
  3. 【請求項3】デイセファロスポラ属に属するデイセファ
    ロステロール生産菌を培養し、その培養物からデイセフ
    ァロステロール 【化2】 を採取することからなるデイセファロステロールの製
    法。
  4. 【請求項4】デイセファロスポラ属に属するデイセファ
    ロステロール生産菌がディセファロスポラ・ルフォコル
    ニア・バークレイ・アンド・ブルーム・スプーナーSA
    NK 10695株、SANK 18291株、SAN
    K 10795株である請求項3記載の製法。
  5. 【請求項5】 式 【化3】 を有するデイセファロステロールからなる医薬。
  6. 【請求項6】デイセファロステロールを有効成分とする
    5α−還元酵素阻害剤。
  7. 【請求項7】デイセファロステロールを有効成分とする
    前立腺肥大症の予防薬および/または治療薬。
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