JPH0959740A - 粉末冶金用混合粉末およびその焼結体 - Google Patents

粉末冶金用混合粉末およびその焼結体

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JPH0959740A
JPH0959740A JP21333895A JP21333895A JPH0959740A JP H0959740 A JPH0959740 A JP H0959740A JP 21333895 A JP21333895 A JP 21333895A JP 21333895 A JP21333895 A JP 21333895A JP H0959740 A JPH0959740 A JP H0959740A
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sintered body
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mixed
alloyed
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JP21333895A
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English (en)
Inventor
Masanori Yoshida
眞規 吉田
Yoshikazu Seki
義和 関
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理を施したりせずとも、また比較的低温
の焼結温度で焼結した場合であっても、強度や耐摩耗性
等の機械的特性に優れた焼結体、およびその様な焼結体
を得ることのできる粉末冶金用混合粉末を提供しようと
する。 【解決手段】 合金成分を1.5〜4.5%の範囲で含
むプレアロイ型鋼粉を母粉とし、これに合金化微粉末を
混合したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性や引張強
度等の機械的特性に優れた鉄系焼結体を得ることのでき
る粉末冶金用混合粉末、および上記の様な焼結体に関す
るものである。また本発明によって得られる焼結体は、
自動車のトランスミッション部品のシンクロハブ、パワ
ステポンプのカムリング等の素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金法は圧延,鍛造,鋳造等からな
る従来の生産プロセスを大きく書き換え、原料となる金
属粉末を圧縮成形後焼結して製品とする方法である。従
って粉末冶金法によれば、WやMo等の高融点金属材
料,含油軸受やフィルター等の多孔質材料,超硬合金や
サーメット等の様に、従来の溶製法では製造が困難であ
った部材の製造が可能になる。そればかりか、非切削に
よる材料歩留まりの向上,高い寸法精度等の製造面での
利点,および溶製材で発生しやすい偏析や異方性が少な
いという材料面での利点等の様に溶製材では得られない
各種の長所があることから、従来溶製法によって製造さ
れていた各種部材を粉末冶金法におきかえて製造するこ
とも行なわれている。
【0003】現在粉末冶金法によって製造されている焼
結体は自動車用部品として用いられるものが大半であ
り、とりわけ鉄系焼結部材が汎用されている。この様な
鉄系焼結部材については様々なものが知られており、例
えば強度,耐候性,耐摩耗性等の向上を図るという目的
の下に、主成分となる鉄粉に対し黒鉛や銅等の微粉末を
混合して焼結したものが知られている。また焼結部材の
適用範囲の拡大という観点から、焼結部材にはより高い
靭性や強度が要求される様になり、それを達成する手段
としてNiやMo等の合金元素を添加して合金化する方
法も知られている。
【0004】粉末冶金法によって高強度の鉄系焼結体を
得る為の代表的な方法としては、プレミックス法とプレ
アロイ法が基本的な方法として知られている。このうち
プレミックス法とは、鉄粉と他の金属粉または合金成分
を予め合金化した合金化粉末を均一に混合し、これを圧
粉成形した後加熱焼結する方法である。この方法は成形
加工が比較的簡単であるという利点を有しているが、圧
粉成形までの段階で鉄粉中の添加粉末が比重差によって
分離・偏析したり、あるいは焼結時に添加金属粉の拡散
が十分に進まないという難点があり、焼結体の強度や寸
法にばらつきを生じるという品質上の問題がある。
【0005】これに対しプレアロイ法は、Ni,Mo,
Cr等の合金成分を予め鉄中に固溶(合金化)させた合
金化鋼粉(プレアロイ型鋼粉)を使用するものであり、
プレミックス法で指摘した様な問題は起こさない。とこ
ろがこの方法ではプレアロイ化して得られる合金化鋼粉
が鉄に比べて非常に硬質であるため、圧粉成形時の圧密
化を十分に高めることができず、高密度の焼結体が得ら
れにくい。従って当該合金鋼の物性を十分に生かすこと
ができない。
【0006】また偏析の防止手段としては、例えば特開
昭56−136901号や同63−103001号に開
示されている如く、有機バインダーを用いて鉄・鋼粉末
に黒鉛粉末を付着させる方法が提案されている。また例
えば特公昭45−9649号や特開昭63−29750
2号に開示されている如く、鉄粉に他の金属粉若しくは
合金化粉末を熱処理で拡散付着させる、いわゆる拡散付
着法も開発されている。特に拡散付着法は、圧縮性を殆
ど下げることなく且つ偏析による強度や寸法精度の不均
一の問題もある程度防止される。即ち拡散付着型の合金
化鋼粉は、鉄粉にNi,Cu,Mo等の単体金属粉若し
くはそれらの合金化粉末を加えて均一に混合した後、拡
散処理して鉄粉表面に添加粉末を拡散付着させるもので
あり、一旦拡散付着したものについては偏析を生じるこ
とはない。
【0007】鉄系焼結部材は、耐摩耗性が要求される耐
摩耗部材や、高強度が要求される高強度材の素材として
広く利用されている。このうち耐摩耗部材としては、純
鉄粉、拡散型鋼粉末、プレアロイ型鋼粉を母粉とし、こ
れにFeCr,FeMn,FeMo,WC等の粉末を混
合して混合粉末とし、これを焼結して自動車エンジンの
バルブシート、ロッカーアームチップ、カム等に利用さ
れている。しかしながら、これらの添加成分は、耐摩耗
性を向上させるための作用しか発揮せず、焼結したまま
の焼結体では引張強度がそれほど優れているとは言え
ず、強度を高めるためには、焼結後に光揮焼入れ・焼戻
しや浸炭焼入れ・焼戻し等の熱処理が施されるのが一般
的である。
【0008】一方、高強度材は、JIS規格SMF40
40や5040にNi粉末やCu粉末を添加したや混合
粉末、4Ni−1.5Cu−0.5Mo−Feの組成に
代表される拡散付着型合金化鋼粉(この鋼粉については
後述する)、AISI4600や4100に代表される
プレアロイ型鋼粉が原料粉末として用いられている。し
かしながら、こうした原料粉末を焼結しただけでは、引
張強度が75kgf/mm2 までが限界であり、それ以
上に引張強度を高めるためには、上記した様な熱処理を
施す必要がある。またこうし得られた焼結体は、耐摩耗
性もそれほど良好であるとはいえず、こうした観点から
しても熱処理、特浸炭焼入れ・焼戻しが施されるのが一
般的である。こうして得られる焼結体は、自動車トラン
スミッション部品のシンクロハブやパワステポンプのカ
ムリング等として広く使用されている。
【0009】ところで基本的にプレミック法を採用し、
高密度且つ高強度でしかも焼結体時の寸法精度のばらつ
きの少ない焼結体を得ることのできる技術として、例え
ば特開平4−350101号、同5−295401号、
同5−302101号等の技術も提案されている。これ
らの技術は、いずれも鉄粉に合金化粉末を添加した混合
粉末において、添加する混合粉末の化学成分組成を適切
に規定することによって、鉄粉中に合金成分を適切に拡
散させて希望する焼結体を得ようとするものである。但
し、これらの技術においては、拡散を促進させる為に、
焼結時の温度は1250〜1350℃程度と比較的高温
にするのが一般的である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記した様に、これま
での鉄系焼結部材は、希望する特性を得るために、その
製造工程において熱処理が施されるのが一般的である。
しかしながら、熱処理を施すと、製造コストがアップす
ることに加えて、発生する熱処理歪を除去するための矯
正作業も必要となり、更にコストアップすることは避け
られない。また焼結時の温度もできるだけ、低温にでき
ればそれだけコスト低減が達成できることになる。
【0011】本発明はこうした技術背景の下になされた
ものであって、熱処理を施したりせずとも、また比較的
低温の焼結温度で焼結した場合であっても、強度や耐摩
耗性等の機械的特性に優れた焼結体、およびその様な焼
結体を得ることのできる粉末冶金用混合粉末を提供しよ
うとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の構成は、合金成分を1.5〜4.5%
の範囲で含むプレアロイ型鋼粉末を母粉とし、これに合
金成分が予め合金化された合金化微粉末を混合したもの
である点に要旨を有する粉末冶金用混合粉末である。
【0013】本発明の上記粉末冶金用混合粉末において
は、前記母粉が、Ni:0.3〜2.5%,Cr:0.
3〜3.5%,Mo:0.3〜3.5%およびMn:
0.3〜3.5%よりなる群から選択される1種以上の
合金成分を含み、残部がFeおよび不可避不純物からな
り、該不可避不純物中のO,C,SiをO:0.3%以
下、C:0.02%以下、Si:0.1%以下に夫々抑
制したものであることが好ましい。
【0014】また前記母粉には、更にV:0.01〜1
%,Nb:0.01〜0.15%および,Ti:0.0
1〜0.1%よりなる群から選択される1種以上の合金
成分を含むものであっても良く、これによって結晶粒を
微細化して焼結体の機械的特性を更に向上させることが
できる。
【0015】一方、前記合金化微粉末は、Ni,Cr,
MoおよびMnの合金成分を含む他、Cuおよび/また
はSiを含み、これらが合金化されたものであることが
好ましく、具体的には、Ni:40〜70%,Cr:5
〜20%,Mo:5〜20%,Mn:5〜20%,Cu
および/またはSi:単独または合計で5〜15%の化
学成分組成を有するものが挙げられる。
【0016】更に、混合粉末中に占める合金化微粉末の
割合は、1〜6%であることが好ましい。また混合粉末
中の合金成分組成は、下記(1)式および(2)式を満
足するものであることが好ましい。 5[Cr]+5[Mo]+5[Mn]+2[Ni]≧15% …(1) [Ni]≦5% …(2) 但し、[Cr],[Mo],[Mn],[Ni]は、夫
々Cr,Mo,Mn,Niの含有量(重量%)を示す。
【0017】上記したような混合粉末に黒鉛粉を混合
し、これを成形および焼結することによって希望する焼
結体が得られる。また焼結体中の炭素量は、0.4〜
0.6%とすることが好ましく、これによって硬度が6
00Hv以上となって、耐摩耗性が優れたものとなる。
本発明に係る焼結体は、上記の特性を発揮するものであ
るが、こうした焼結体は焼結温度が1050〜1200
℃程度の比較的低温であっても、且つその後に熱処理を
施さなくとも得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者は、従来のプレアロイ型
鋼が圧縮性が悪いこと、および鉄粉に対して合金粉末を
拡散性させるにはできるだけ高温の焼結温度が必要であ
るという欠点を改善するべく、プレアロイ型鋼や合金粉
末の有する利点を有効に且つ巧みに利用すれば、希望す
る焼結体を製造することのできる粉末冶金用混合粉末が
得えられるのではないかという観点から、種々研究を進
めた。その結果、圧縮性を低下しない程度の所定量の合
金成分を予め合金化したプレアロイ型鋼粉を母粉として
用い、これに合金成分を予め合金化した合金化微粉末を
混合して原料粉末とすれば、希望する特性を発揮する焼
結体を達成できる粉末冶金用混合粉末が得られることを
見出し、本発明を完成した。
【0019】上述した様に、焼結温度を高くした方が合
金成分の拡散が進み、また鉄粉粒子間の界面で焼結が促
進されるので、焼結体の機械的特性は向上する。しかし
ながら、焼結温度を高くすることは、設備上の制約や製
造コストの点で好ましくない。そこで本発明では、通常
使用されている焼結温度で機械的特性を向上させるとい
う観点から、圧縮性を低下しない程度の合金成分を予め
合金化したプレアロイ型鋼粉を母粉として用いると共
に、比較的低温の焼結温度であっても前記母粉に対する
合金成分の拡散性を高めて最終的な焼結体中の合金成分
をできるだけ高めるという観点から、前記母粉に合金微
粉末を混合する構成を採用したのである。
【0020】まず本発明で母粉として用いるプレアロイ
型鋼粉について説明する。このプレアロイ型鋼粉に含ま
れる合金成分の割合は、1.5〜4.5%とする必要が
ある。即ち、焼結体の強度等の機械的特性を向上させる
ためには、母粉の素地を強くする必要があるが、そのた
めには合金成分の含有量は1.5%以上とする必要があ
る。また合金成分の含有量が1.5%未満では、母粉中
に合金成分を予め添加しておくことによって焼結体中の
合金成分をできるだけ高めるという効果が発揮されなく
なる。一方、合金成分の含有量が4.5%を超えると、
圧縮性が低下して十分な密度が得られないばかりか、金
型の損傷も激しくなってコスト的にも不利になる。
【0021】本発明で母粉として用いるプレアロイ型鋼
粉中の合金成分としては、具体的なには強化元素として
知られているNi,Cr,Mo,Mn等が挙げられ、こ
れらの元素の1種以上を上記範囲で添加する様にすれば
良いが、各元素の添加範囲およびその理由は下記の通り
である。
【0022】Ni:0.3〜2.5% Niは合金化されることによって、焼入れ性を向上させ
る共に、靭性を高める元素であり、焼結体の強度を向上
させる上で必要な元素である。こうした効果を発揮させ
るためには、0.3%以上含有させる必要がある。しか
しながら、Niは鋼粉を硬くする作用が大きく、圧縮性
を悪くするので、どちらかといえば後述する合金微粉末
の成分として添加した方が好ましいが、できるだけ合計
Ni量(混合粉末中の全Ni量)を高めるという観点か
らして、圧縮性を悪くしない程度の量として2.5%を
上限とした。
【0023】Cr:0.3〜3.0% Crは合金化されることによって焼結体の焼入れ性を高
め、引張強度や耐摩耗性を向上させる作用を発揮する。
またCrは強化元素のなかで鋼粉の圧縮性に対してもあ
まり影響を及ぼさない元素であり、鋼粉にかなりの量で
合金化させることができる。こうしたCrの効果を発揮
させるためには、0.3%以上含有させる必要がある。
しかしながら、Crは酸化され易い元素であるので焼結
体に多量に含まれると、機械的特性が劣化するので、3
%以下とすべきである。
【0024】Mo:0.3〜3.0% MoはCrと同様に、圧縮性の低下が少なくて、焼入れ
性を向上させて強度を向上させる作用を有する元素であ
る。またMoは鋼粉(母粉)製造時に還元し易いこと、
およびFe中の拡散が遅い元素であるので、鋼粉中に予
め合金化させた方が好ましい元素である。これらの作用
を発揮させるためには、Moの添加量は0.3%以上と
する必要があるが、Moを過剰に添加してもその改善効
果が飽和し、且つコストアップも招くことから、その上
限は3.0%とした。
【0025】Mn:0.3〜3.0% Mnは焼結体の焼入れ性を向上させ、引張強度等の機械
的特性を向上させる効果を発揮する元素である。こうし
た効果を発揮させるためには、0.3%以上添加する必
要がある。しかしながら、Mnは鋼粉中に多く添加させ
ると。鋼粉を硬くして圧縮性を劣化させる、またMnは
困還元性の元素であるので、鋼粉の製造時に酸化皮膜の
除去が困難になるので、Mnの添加量の上限は3.0%
とした。本発明で用いる母粉の基本的な合金成分は上記
の通りであり、残部はFeおよび不可避不純物からなる
ものであるが、該不可避不純物中のO,C,Si等は下
記の量に抑制する必要がある。
【0026】O:0.3%以下 Oの量が多くなると、圧縮性を低下させるので好ましく
ない。またOの量が多くなると、焼結時に黒鉛粉と反応
してCの歩留りを悪くし、焼結体中の炭素量のばらつき
を大きくすると共に、添加する黒鉛粉量を多くすること
が必要となってコスト高となる。こうした観点から、O
の量は0.3%以下に抑制する必要がある。尚Oの含有
量の好ましい範囲は、0.15%以下である。
【0027】C:0.02%以下 CはOやNと同様に、鋼に対して侵入型元素であり、フ
ェライトを硬化させる作用を有するが、鋼粉を圧縮成形
する場合には、フェライト素地の硬さが柔らかい方が圧
粉体密度を高めることができるので、Cの量はできるだ
け低く抑える方が良い。また圧粉体密度を上げること
は、成形体強度が改善されて成形体のハンドリング性が
良好になる。こうした観点からして、Cの量は0.02
%以下とすべきである。
【0028】Si:0.1%以下 Siは焼入れ性を向上させる作用があるが、酸素との結
合力が高いので、溶鋼をアトマイズするときに鋼粉表面
に酸化物を形成する。この酸化物は、還元工程で還元す
ることが困難になる。またSiは、フェライトを硬化さ
せる作用が大きくて鋼粉の圧縮性を損ねることになる。
こうした観点から、Siの量は0.1%以下に抑制する
必要がある。
【0029】本発明で用いる母粉には、必要によって
V,Nb,Ti等を含有させることができるが、これら
の添加範囲およびその理由は下記の通りである。 V:0.01〜1% Vは、結晶粒を微細化して焼結体の機械的特性を向上さ
せる。また炭素との結合力が高く、炭化物を形成して耐
摩耗性を向上させる。これらの効果を発揮させるために
は、0.01%以上含有させる必要がある。しかしなが
ら、Vは酸素との結合力も高いので、過剰に添加すると
V酸化物の形成が多くなり、還元処理によってもV酸化
物の還元は困難になる。このV酸化物が多くなると、焼
結体の機械的特性を却って悪化させることになる。また
鋼粉中にVを多量に合金化させると、鋼粉の圧縮性も劣
化する。こうした観点から、Vの含有量は1%以下とす
べきである。尚結晶粒の微細化という点からすれば、V
含有量の好ましい範囲は、0.2〜0.5%程度であ
る。
【0030】Nb:0.01〜0.15% NbはVと同様に、結晶粒を微細化して焼結体の機械的
特性を向上させる。また炭素との結合力が高く、炭化物
を形成して耐摩耗性を向上させる。更に、焼結体の寸法
精度を向上させるという効果も発揮する。これらの効果
を発揮させるためには、0.01%以上含有させる必要
がある。しかしながら、Nbは酸素との結合力も高いの
で、過剰に添加するとNb酸化物の形成が多くなり、還
元処理によってもNb酸化物の還元は困難になる。この
Nb酸化物が多くなると、焼結体の機械的特性を却って
悪化させることになる。また鋼粉中にNbを多量に合金
化させると、鋼粉の圧縮性も劣化する。こうした観点か
ら、Nbの含有量は0.15%以下とすべきである。尚
結晶粒の微細化という点からすれば、V含有量の好まし
い範囲は、0.03〜0.07%程度である。
【0031】Ti:0.01〜0.1% TiはVやNbと同様に、結晶粒を微細化して焼結体の
機械的特性を向上させる。また炭素との結合力が高く、
炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる。これらの効果
を発揮させるためには、0.01%以上含有させる必要
がある。しかしながら、Tiは酸素との結合力も高いの
で、過剰に添加するとTi酸化物の形成が多くなり、還
元処理によってもTi酸化物の還元は困難になる。この
Ti酸化物が多くなると、焼結体の機械的特性を却って
悪化させることになる。また鋼粉中にTiを多量に合金
化させると、鋼粉の圧縮性も劣化する。こうした観点か
ら、Tiの含有量は0.1%以下とすべきである。尚結
晶粒の微細化という点からすれば、Ti含有量の好まし
い範囲は、0.02〜0.05%程度である。
【0032】プレアロイ型鋼粉のみを用いた焼結体で
は、合金化によって組織が強化されて引張強度は高くな
るが、鋼粉の圧縮性が低下して高い密度を達成すること
は困難であり、焼結体の機械的特性を考慮すると、でき
るだけ密度が高い方が良好な特性が得られるので、上記
の点はプレアロイ型鋼粉の大きな欠点になる。
【0033】本発明では上記した様なプレアロイ型鋼粉
の合金量を所定量に規定したものをを母粉とし、これに
合金成分を予め合金化した合金化微粉末を混合すること
によって、プレアロイ型鋼粉のみを原料粉末として用い
た場合と比べて、下記のような効果が発揮される。 (1)プレアロイ型鋼粉のみを用いた場合は、圧縮性を
考慮すると、合金量がが制限されることになるのである
が、本発明の構成を採用することによって、合金化量を
できるだけ多くすることが可能になる。 (2)母粉に合金化させる量は、圧縮性に悪影響を及ぼ
さない範囲内で規定しているので、圧縮性が良好に維持
され、その結果密度をできるだけ高めることができるの
で、機械的特性に優れた焼結体を得ることができる。ま
たこのことは、同じ成形圧力では、機械的特性のより優
れた焼結体が得られることを意味する。 (3)既存のプレアロイ型鋼粉では、圧縮性を考慮して
合金量を高めることができないので、金属組織は必然的
にフェライトやベイナイトが析出することになる。これ
に対し、本発明の混合粉末では、合金成分量を多くする
ことができるので、組織をマルテンサイトにして強度を
高めることができる。
【0034】本発明においては、上記の様なプレアロイ
型鋼粉に対して、Ni,Cr,Mo,Mn,Si,Cu
等の添加元素を単独金属粉の形態ではなく、これを予め
合金化した合金化粉末として混合することも重要であ
る。即ち、Ni,Cr,Mo,Mn,Si,Cu等の如
き合金用単体元素は、母粉としてのプレアロイ型鋼粉へ
の拡散速度が遅いが、これらの元素を予め合金化してお
くことによって単体粉末のときより融点を低下させ、該
プレアロイ型鋼粉への拡散性を改善し、焼結体の強度向
上に寄与するのである。
【0035】また合金粉末を使用することは、均一な特
性を有する焼結体を得るという観点からも有効である。
即ち、本発明の混合粉末は、(1) そのままの状態で他の
副原料と混合して焼結する、(2) バインダーや拡散処理
で鉄粉と合金粉末を予め付着させた粉末としてから他の
副原料を混合し焼結する、等いずれの手順でも採用でき
るが、いずれの手順を採用するにしてもミクロ的に合金
成分比率が均一な焼結用粉末が得られる。従って該粉末
の特性が一定となり、得られる焼結体の特性も均一なも
のとなる。特に拡散付着型の粉末として使用する場合
は、単独金属粉の形態に比べ合金化粉末の形態で使用す
ることによって上記効果が顕著に生じる。
【0036】本発明の混合粉末は、上述の如くバインダ
ー付着型粉末または拡散付着型粉末のいずれの形態でも
使用できるが、いずれの形態を採用しても、その後の焼
結処理のみによって結果的に2段アニール等の熱処理を
施したことと同様になり、強度向上という観点からも好
ましい。即ち、混合粉末を用いれば、焼結後に熱処理を
施さなくても、希望する希望する機械的特性を発揮する
焼結体が得られることになる。
【0037】本発明で使用される合金微粉末の成分につ
いては、焼結体が使用される用途に応じて適宜設定れば
良いが、強度や耐摩耗性等の考慮すると、Ni:40〜
70%,Cr:5〜20%,Mo:5〜20%,Mn:
5〜20%,Cuおよび/またはSi:単独または合計
で5〜15%の化学成分組成を有するものが好ましい。
これらの規定理由は、下記の通りである。
【0038】Ni:40〜70% Niはフェライトの硬化能が大きい元素であり、圧縮性
を損なうことや、拡散度速度が速い元素であるので、前
述の如く母粉中に添加するよりも合金微粉末中の成分と
して添加した方が好ましい元素である。こうした観点か
ら、合金微粉末中には、できるだけ多く含有させる様に
した様がよく、40〜60%程度が適当である。
【0039】Cr:5〜20%,Mo:5〜20% Cr,Moは、いずれも拡散速度が遅く、またフェライ
トの硬化能も低いので、合金微粉末中に添加するよりも
母粉中に成分として添加した方が好ましい元素である。
しかながら、合金化させることによって、その拡散速度
を向上させることができる。こうした効果を発揮させる
ためには、合金微粉末中に5%以上含有させる必要があ
る。但し、過剰に含有させると、合金微粉末自体の拡散
性を却って低下させるので、いずれも20%以下とすべ
きである。
【0040】Mn:5〜20% Mnはフェライトを硬化させる作用が大きいので、母粉
中に合金化させるよりも、合金微粉末中に添加する方が
好ましい元素である。しかしながら、酸化され易いの
で、合金微粉末中に多量に合金化させることはできな
い。こうした観点からして、合金微粉末中のMnの含有
量は5〜20%程度が適当である。
【0041】Cuおよび/またはSi:単独または合計
で5〜15% CuやSiは、合金微粉末中に固溶することによって、
合金微粉末の融点を低下させ、低温の焼結温度によって
も合金微粉末の拡散を促進させるのに有効な元素であ
る。こうした効果を発揮させるためには、単独または合
計で5%以上含有させる必要があるが、過剰に含有させ
ると、却って融点を上昇させることになるので、15%
以下とすべきである。尚CuやSiの好ましい含有量
は、単独または合計で7〜10%程度である。
【0042】本発明の混合粉末中に占める合金化微粉末
の割合は、1〜6%であることが好ましい。上記の様な
合金化微粉末を母粉に添加することによって、全鋼粉の
焼結性を高めることができ、また合金化微粉末中の合金
成分の拡散によって焼結界面の強度が向上する。こうし
た効果を発揮させる為には、合金化微粉末の混合割合は
1%以上とするのが好ましい。また混合割合があまり大
きくなると成形性が悪くなるので6%以下とすべきであ
る。
【0043】更に混合粉末中の合金成分組成は、下記
(1)式および(2)式を満足するものであることが好
ましい。即ち、焼結だけで焼結体の引張強度を80kg
f/mm2 以上にする為には、下記(1)式を満足させ
る必要がある。またNiは残留オーステナイトを形成し
易い元素であり、全体としての量が過剰になると強度低
下を招くばかりでなく、脆弱な組織となって耐摩耗性も
劣化するので5%以下とすべきである。 5[Cr]+5[Mo]+5[Mn]+2[Ni]≧15% …(1) [Ni]≦5% …(2) 但し、[Cr],[Mo],[Mn],[Ni]は、夫
々Cr,Mo,Mn,Niの含有量(重量%)を示す。
【0044】尚本発明で用いるプレアロイ型鋼粉や合金
化微粉末の粒径については、特に限定されるものではな
く、通常の大きさのものであれば良く、例えばプレアロ
イ型鋼粉で60〜100μm程度、合金微粉末で15μ
m程度以下が適当である。
【0045】上記したような混合粉末に黒鉛粉や潤滑剤
を混合し、これを成形および焼結することによって希望
する焼結体が得られる。また焼結体中のC量は、0.4
〜0.6%なる様にすることが好ましい。即ち、Cは素
地に固溶して強度や硬さおよび耐摩耗特性を向上させる
のであるが、C量が0.4%未満であるとこれらの効果
を発揮させることができず、例えばマイクロビッカース
硬度が600HVより小さくなり、十分な耐摩耗特性が
得られない。一方、C量が0.6%を超えると耐摩耗性
の点では問題はないが、強度が却って低下することにな
る。また上記特性は、焼結温度が1050〜1200℃
程度であっても得られる。
【0046】本発明の焼結体は、熱処理を施さなくて
も、また比較的低い焼結温度であっても希望する特性を
発揮するものであるが、例えば更に特性を向上させる
等、必要によって熱処理を施したり、焼結温度を高める
様にしても良いことは勿論である。
【0047】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは何
れも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0048】
【実施例】
実施例1 1%Mo−0.5%Niプレアロイ型鋼粉を母粉とし、
これに合金化微粉末(14%Mn−14%Cr−7%M
o−7%Si−残部Ni;平均粒径子:10μm)、F
eMn粉,Ni粉、FeMo粉,FeCr粉を下記表1
に示す配合割合で添加して原料粉末とした。尚FeMn
粉,FeMo粉,FeCr粉は、夫々Mn,Moおよび
Crの合金成分を添加するために、上記の粉末形態で添
加したものである。
【0049】
【表1】
【0050】得られた各原料粉末に、0.5%の黒鉛粉
末と、潤滑剤として0.75%のステアリン酸亜鉛を加
え、30分間ミキサーで混合した後、6トン/cm2
圧力で成形し、この圧粉体を10%の水素を含む窒素雰
囲気中、1120℃で60分焼結した。得られ各焼結体
について、JIS14A号の形状の引張試験片に機械加
工し、引張試験を実施した。引張試験の結果を、焼結体
の化学成分組成と共に下記表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2から明らかな様に、合金成分を合金化
微粉末の形態で添加した方が、合金成分を夫々単独の形
態で添加するよりも、引張強度が向上していることがわ
かる。またほぼ同一と見なせる組成であっても、合金化
微粉末の形態で添加したものの方が高いことがわかる。
【0053】実施例2 合金成分組成が異なる母粉に、実施例1と同じ合金化微
粉末を用い、その添加量を変化させ実施例1と同様の条
件で引張試験片を作製し引張強度を測定した。母粉の合
金成分組成、添加成分および添加量を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】得られる原料粉末を実施例1と同様に、潤
滑剤として0.75%のステアリン酸亜鉛を加え30分
間ミキサーで混合した後、6t/cm2 の圧力で成形
し、この圧粉体を1120℃で60分の条件で、10%
の水素を含む窒素雰囲気中で焼結した。焼結後、JIS
14A号の形状の引張試験片に機械加工し、引張試験を
実施した。得られた焼結体の化学成分組成を表4に、焼
結体の密度と引張強度および5[Cr]+5[Mo]+
2[Ni]の値を表5に夫々示した。また5[Cr]+
5[Mo]+2[Ni]の値と引張強度の関係を図1に
示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】これらの結果から明らかな様に、5[C
r]+5[Mo]+2[Ni]の値が15%以上なれ
ば、引張強度80kgf/mm2 以上が得られることが
わかる。またNo.17のものは、焼結体炭素量が0.4
〜0.6の範囲を満足しないため、希望する引張強度が
得られない。
【0059】実施例3 実施例2に記載されたNo.7〜9、およびNo.15〜1
7の焼結体におけるマルテンサイト組織の硬さを測定し
た。このときマイクロビッカース硬度計の荷重を100
gとし、10点を測定しその平均値をマルテンサイトの
硬さ(MHV100g)とした。表6に測定結果を示
す。
【0060】
【表6】
【0061】No.7〜9のものは、マルテンサイトの硬
さは600(MHV100g)以上であることがわか
る。これに対しNo.16のものは、焼結体中の炭素量が
低いため600(MHV100g)より低くなってい
る。No.17のものは、硬さは600(MHV100
g)を満足しているが、引張強度が80kgf/mm2
を得られないため満足しない。よって、焼結体炭素量は
0.4〜0.6の範囲にするのが良いことがわかる。一
方、No.15のものは、Ni粉のみ合金化させたもので
あり、硬さは600(MHV100g)を得られていな
い。
【0062】No.7〜9の焼結体について、大越式磨耗
試験を行った。このとき、耐磨耗性を評価するため4N
i−1.5Cu−0.5Mo拡散型鋼粉の浸炭材(No.
21)についても調査した。この浸炭材(No.21)の
作製および大越式磨耗試験条件は以下の通りである。
【0063】(No.21の作製方法)黒鉛粉およびステ
アリン酸亜鉛をそれぞれ0.6%、0.75%混合し、
10%の水素を含む窒素雰囲気で、1240℃、50分
間焼結した。その後、カーボンポテンシャル(C.
P.)=1.1%に調整した920℃のRXガス雰囲気
で2時間保持し、浸炭焼き入れを施した。その後180
℃で1時間戻した。 (大越式磨耗試験条件) 摩擦材 SKH51(HRC 61) 摩擦速度 0.2,0.5,1,2,3.5m/sec 摩擦距離 400m 負荷荷重 6.3g 摩擦条件 湿式・室温 摩擦油 オートマチック・ミッション・オイル 滴下量 30ml/min. 磨耗試験の結果を図2に示す。この結果から明らかな様
に、No.7および9のものは、No.21のものよりも耐
磨耗性が優れていることがわかる。
【0064】実施例4 原料粉末として、1%Mo−0.5%Niプレアロイ型
鋼粉に合金化微粉末(14%Mn−15%Cr−8%M
o−7%Cu−残部Ni;平均粒径:11.4μm)を
4%添加し、黒鉛粉を0.5%、潤滑剤として0.75
%のステアリン酸亜鉛を加え、30分間ミキサーで混合
した後、6t/cm2 の圧力で成形し、この圧粉体を1
120℃で60分の条件で10%の水素を含む窒素雰囲
気中で焼結した。
【0065】焼結後、JIS14A号の形状の引張試験
片に機械加工し、引張試験を実施し、マルテンサイト組
織の硬さを測定した。焼結体の化学組成を表7に、焼結
体密度、引張強度およびマルテンサイト組織の硬さを表
8に示す。
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】表7,8から明らかな様に、Cuを含有さ
せた場合も、引張強度が高く且つ硬さも十分得られてい
ることが分かる。
【0069】実施例5 合金成分組成が異なる母粉に、前記実施例1と同じ合金
化微粉末を用い、下記表9に示す様に混合して原料粉末
とした。これらの各原料粉末を用い、前記実施例1と同
じの条件で焼結体を作成した。尚表9に示したNo.1
4,18,20および7のものは、前記表3〜5に示し
たものに対応するものである。
【0070】
【表9】
【0071】得られた各焼結体について、実施例1と同
様にして引張試験を実施した。引張試験の結果を、焼結
体密度および焼結体の化学成分組成と共に下記表10に
示す。また図3に、母粉中の合金成分量(母粉含有合金
量)と引張強度の関係を示した。
【0072】
【表10】
【0073】これらの結果から明らかな様に、母粉含有
合金量が1.2%程度よりも多くなると、引張強度は大
きく上昇していることが分かる。こうしたことから、本
発明においては、母粉含有合金量を1.5%以上とし
た。尚母粉含有合金量が2%以上になると、引張強度の
上昇率が小さくなるが、これは鋼粉の圧縮性が低下して
焼結体密度が低下してくる為であると考えられる。
【0074】次に、下記表11に示す合金成分組成を有
する各母粉について、その圧縮性と母粉含有合金量の関
係について調査した。このとき圧縮性は、母粉に0.7
5%のステアリン酸亜鉛を加え、6t/cm2 の圧力で
成形したときの圧粉体密度で評価した。その結果を表1
1に併記する。また母粉含有合金量と圧粉体密度の関係
を図4に示す。これらの結果から明らかな様に、母粉含
有合金量が4.5%を超えると圧縮性が著しく劣化する
ことがわかる。圧縮性が劣化すると、空孔の占める割合
が多くなって、疲労強度特性等の点で焼結体としては実
用上問題が生じる。こうした観点から、本発明では含有
合金量の上限を4.5%と規定した。
【0075】
【表11】
【0076】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、プ
レアロイ型鋼粉を母粉とし、この母粉に、合金成分を予
め合金化した合金化微粉末を混合する様にしたので、圧
縮性の低下を招くことなく、合金化量をできるだけ高め
ることができ、これによって、高密度且つ高強度で耐摩
耗性に優れた焼結体を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】5[Cr]+5[Mo]+5[Mn]+2[N
i]量と引張強度の関係を示すグラフである。
【図2】No.7,9,16,21のものについての摩耗
試験の結果を示すグラフである。
【図3】母粉含有合金量と引張強度の関係を示すグラフ
である。
【図4】母粉含有合金量と圧粉体密度の関係を示すグラ
フである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】得られる原料粉末を実施例1と同様に、潤
滑剤として0.75%のステアリン酸亜鉛を加え30分
間ミキサーで混合した後、6t/cm2 の圧力で成形
し、この圧粉体を1120℃で60分の条件で、10%
の水素を含む窒素雰囲気中で焼結した。焼結後、JIS
14A号の形状の引張試験片に機械加工し、引張試験を
実施した。得られた焼結体の化学成分組成を表4に、焼
結体の密度と引張強度および5[Cr]+5[Mo]+
5[Mn]+2[Ni]の値を表5に夫々示した。また
5[Cr]+5[Mo]+5[Mn]+2[Ni]の値
と引張強度の関係を図1に示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】
【表4】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】これらの結果から明らかな様に、5[C
r]+5[Mo]+5[Mn]+2[Ni]の値が15
%以上なれば、引張強度80kgf/mm2 以上が得ら
れることがわかる。またNo.17のものは、焼結体炭素
量が0.4〜0.6の範囲を満足しないため、希望する
引張強度が得られない。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金成分を1.5〜4.5%(重量%の
    意味、以下同じ)の範囲で含むプレアロイ型鋼粉を母粉
    とし、これに合金化微粉末を混合したものであることを
    特徴とする粉末冶金用混合粉末。
  2. 【請求項2】 前記母粉が、Ni:0.3〜2.5%,
    Cr:0.3〜3.5%,Mo:0.3〜3.5%およ
    びMn:0.3〜3.5%よりなる群から選択される1
    種以上の合金成分を含み、残部がFeおよび不可避不純
    物からなり、該不可避不純物中のO,C,SiをO:
    0.3%以下、C:0.02%以下、Si:0.1%以
    下に夫々抑制したものである請求項1に記載の粉末冶金
    用混合粉末。
  3. 【請求項3】 前記母粉が、更にV:0.01〜1%,
    Nb:0.01〜0.15%およびTi:0.01〜
    0.1%よりなる群から選択される1種以上の合金成分
    を含むものである請求項1または2に記載の粉末冶金用
    混合粉末。
  4. 【請求項4】 合金化微粉末が、Ni,Cr,Moおよ
    びMnの合金成分を含む他、Cuおよび/またはSiを
    含み、これらが合金化されたものである請求項1〜3の
    いずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  5. 【請求項5】 合金化微粉末が、Ni:40〜70%,
    Cr:5〜20%,Mo:5〜20%,Mn:5〜20
    %,Cuおよび/またはSi:単独または合計で5〜1
    5%の化学成分組成を有するものである請求項1〜4の
    いずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  6. 【請求項6】 混合粉末中に占める合金化微粉末の割合
    が、1〜6%である請求項1〜5のいずれかに記載の粉
    末冶金用混合粉末。
  7. 【請求項7】 混合粉末中の化学成分組成が、下記
    (1)式および(2)式を満足するものである請求項1
    〜6のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。 5[Cr]+5[Mo]+5[Mn]+2[Ni]≧15% …(1) [Ni]≦5% …(2) 但し、[Cr],[Mo],[Mn],[Ni]は、夫
    々Cr,Mo,Mn,Niの含有量(重量%)を示す。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の混合粉
    末に黒鉛粉を混合し、これを成形および焼結したもので
    ある焼結体。
  9. 【請求項9】 焼結体中の炭素量が0.4〜0.6%で
    あり、マイクロビッカース硬度が600以上である請求
    項8に記載の焼結体。
  10. 【請求項10】 焼結時の温度が1050〜1200℃
    である請求項8または9に記載の焼結体。
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