JPH095795A - Mim型非線形素子、薄膜トランジスタ、及びそれらの製造方法、並びに液晶表示装置 - Google Patents

Mim型非線形素子、薄膜トランジスタ、及びそれらの製造方法、並びに液晶表示装置

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JPH095795A
JPH095795A JP15652595A JP15652595A JPH095795A JP H095795 A JPH095795 A JP H095795A JP 15652595 A JP15652595 A JP 15652595A JP 15652595 A JP15652595 A JP 15652595A JP H095795 A JPH095795 A JP H095795A
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JP
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film
manufacturing
metal film
insulating film
mim type
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Takashi Inoue
孝 井上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】MIM型非線形素子の電圧印加時の電流値変化
を少なくし、それを用いた液晶表示装置の焼き付きを低
減する。薄膜トランジスタのスイッチング特性をよくす
るとともにトランジスタ特性のばらつきをを小さくし、
液晶表示装置を高画質化する。 【構成】陽極酸化膜作製時の温度を40〜100℃にし
て、タンタル酸化膜の成長率を1.9nm/V以上にす
ることで、化成液中に存在するアニオン種の入り込む酸
化膜中領域を酸化膜厚の45%以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陽極酸化膜を用いたM
IM型非線形素子、薄膜トランジスタ及びそれらの製造
方法に関する。また、それらの素子を用いた液晶表示装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】陽極酸化法は、金属表面上に酸化膜を作
製する一つの方法であり、基板内に均一な膜をスループ
ットよく形成することができるため、幅広く用いられて
いる。例えば、電解コンデンサのキャパシタの作製やア
ルミニウム膜のメッキなどの分野には古くから使われて
いる。最近では、半導体の容量、薄膜トランジスタ(T
FT)のゲート絶縁膜の一部や、MIM型非線形素子の
絶縁膜などのマイクロデバイス分野にも利用されてきて
いる。薄膜トランジスタやMIM型非線形素子を液晶駆
動用の能動(スイッチング)素子としたアクティブマト
リクス方式の液晶表示パネルは、小さくて軽くしかも消
費電力が少なくきれいなカラー表示ができるディスプレ
イとしてさまざまなところで使用されている。
【0003】アクティブマトリクス方式の液晶表示装置
は、画素領域ごとに非線形素子を設けてマトリクスアレ
イを形成した一方の基板と、カラーフィルタが形成され
た他方の基板との間に液晶を充填しておき、各画素領域
ごとの液晶の配向状態を制御して、所定の情報を表示す
るものである。非線形素子としては薄膜トランジスタな
どの3端子素子またはMIM型非線形素子などの2端子
素子を用いるものがある。
【0004】MIM型非線形素子を用いた方式は製造工
程が短いために、液晶表示素子に対する画面の大型化お
よび低コスト化などの要求に対応するには有利である。
しかも、MIM型非線形素子を用いた方式は、マトリク
スアレイを形成した一方の基板に走査線を設け、他方の
基板には信号線を設けることができるので、3端子素子
の不良の大きな原因となっている走査線と信号線のクロ
スオーバー短絡が発生しないという利点もある。
【0005】これに対して、薄膜トランジスタは書き込
み特性や保持特性に優れているために画質が優れてい
る,画素の高密度化が可能である等の利点がある。
【0006】図3は液晶表示パネルの等価回路である
が、この図3にも示されるように、MIM型非線形素子
を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルに
おいては、各画素領域3で各走査線31と各信号線32
との間にMIM型非線形素子1(図中、バリスタの符号
で示す。)と液晶表示素子2(図中、コンデンサの符号
で示す。)が直列接続された構成として表され、走査線
31および信号線32に印加された信号に基づいて、液
晶表示素子2を表示状態、非表示状態又は中間状態に切
り換えて表示動作を制御する。
【0007】図4(a)に示すように、MIM型非線形
素子1において、MIM型非線形素子の第一の金属膜と
第二の金属膜への印加電圧VNLと前記の2つの金属膜の
間を流れる電流INLとは非線形性の関係を有している。
MIM型非線形素子1のしきい値電圧をVth、液晶表示
素子2のしきい値電圧をVb、表示状態となる電位を
(Vb+△V)とすると、図4(b)に示すように選択
期間では、所定の画素領域3における走査線31と信号
線32との間の電位差V(単位画素への印加電圧)を
(Vb+Vth)とすることによって、液晶表示素子2を
非表示状態とする事ができ、走査線31と信号線32と
の間の電位差Vを(Vb+Vth+△V)とすることによ
って、液晶表示素子2を表示状態とする事ができる。一
方、非選択期間では単位画素に印加する電位Vを、液晶
表示素子2に残留した電位に対して概ね近接する様に設
定しその差がMIM型非線形素子のしきい値電圧Vth
下であれば、非選択期間内でMIM型非線形素子1は常
に遮断状態となり、選択期間に定められた状態をそのま
ま維持する事になる。
【0008】以上は、MIM型非線形素子の容量が十分
小さく、電圧−電流特性の非線形性が十分高い理想的な
MIM型非線形素子1を得る事ができ、MIM型非線形
素子に信号を与える配線の抵抗が十分に低くできた場合
の最も基本的な動作例である。
【0009】特開昭52−149090号公報に述べら
れているような一般的な構造をMIM型非線形素子の平
面図である図2(a)と、AA´の断面図である図2
(b)を用いて述べる。MIM型非線形素子1は、透明
基板11の表面側に形成され、走査線31を介して走査
回路側に導電接続するTa原子を主成分とした第一の金
属膜12と、その表面側の絶縁膜である金属酸化膜13
と、その表面側に形成されて画素電極15に導電接続す
るCrからなる第二の金属膜14とから構成されてい
る。金属酸化膜13は、Ta膜の表面に膜厚が均一で、
しかもピンホールがない状態で形成されるように、第一
の金属膜12の陽極酸化によって形成される。
【0010】このようなMIM型非線形素子の製造方法
として以下に示す3つ製造方法が提案されている。第一
の方法は、特開昭60−30188号公報に開示されて
いるように、MIM型非線形素子を構成する3層を連続
スパッタで形成する方法である。第二の方法は、特開昭
63−48528号公報に開示されているように、MI
M型非線形素子の第二の金属膜を堆積する前に、図2に
おいて絶縁膜13をドライエッチングする方法である。
第三の方法は、特開平3−46633号公報に開示され
ているように、MIM型非線形素子の第一の金属膜を陽
極酸化して絶縁膜を形成する前に、第一の金属膜の表面
を化学的にエッチングする方法である。
【0011】次に、薄膜トランジスタを用いたアクティ
ブマトリクス方式の液晶表示パネルにおいては、トラン
ジスタをオンオフさせたときの流れる電流値の差を大き
くとれるので、液晶表示パネルとしたときにコントラス
トを大きくできる,液晶の応答速度を速くできる等の長
所があり液晶表示装置の主流技術となりつつある。薄膜
トランジスタを駆動素子に用いた液晶表示装置は、図1
2(a)の平面図に示されるように走査線122と信号
線127が同一基板内に直交して配置され、その各々の
交点に半導体層125を設けて薄膜トランジスタを形成
し、画素電極128の電位を制御している。(フラット
パネルディスプレイ`90 p146〜155:日経B
P社) 薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリクス基板の
製造方法を、図12(a)のAA´上の断面図である図
12(b)を用いて説明する。透明基板121の上にゲ
ート電極となる金属膜122を形成後、その表面にゲー
ト絶縁膜の一部となる金属膜122に対する陽極酸化膜
123を堆積する。次に、ゲート絶縁膜をなすSiN膜
124とシリコン膜125と該シリコン膜のエッチング
ストッパーとなるSiN膜を連続で同じ装置内で堆積す
る。次に、電極となるn型のシリコン膜127を堆積し
薄膜トランジスタになるようにシリコン膜の島を形成す
る。次に、画素電極となるITO膜128を形成後、A
lなどからなる電極129を形成して基板が完成する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
MIM型非線形素子1を用いた液晶表示パネルにおいて
は、数時間同じ絵を表示したのちに、パネル全面を同じ
色にすると前に表示していた絵が薄く見えるという問題
点があった。以後この現象を焼き付きと呼ぶことにす
る。
【0013】この問題点を解消する手段として、特開昭
57ー196588号公報に開示されているように、M
IM型非線形素子の酸化膜を300℃以上に保った状態
で酸素プラズマ処理で堆積する方法があるが、この方法
では、膜厚の基板内での均一性が得られないのであまり
好ましくない。また、特開昭63ー48528号公報に
開示されているように、陽極酸化膜の上層部を除去して
から第二の金属膜を形成する方法あるが、酸化膜の除去
を基板内で均一にすることが難しい,これらの酸化膜の
除去はドライエッチングになるのでガラス基板へのダメ
ージが発生し好ましい技術ではなかった。
【0014】また、従来の薄膜トランジスタを用いた液
晶表示パネルにおいては、薄膜トランジスタのリーク電
流が多いために点欠陥の原因になったり、信号線と走査
線の短絡を招いて線欠陥の原因になるという問題点があ
った。さらに、従来の技術で示した薄膜トランジスタ作
製プロセスでは、ゲート絶縁膜中に含まれる不純物の影
響でしきい値がずれ駆動電圧が高くなるなどの問題点も
あった。
【0015】本発明は、簡単な工程で焼き付きのないM
IM型非線形素子を用いた液晶表示パネルを提供するこ
とを目的とする。
【0016】また、本発明は、点欠陥や線欠陥がなく低
い駆動電圧の薄膜トランジスタを用いた液晶表示パネル
を提供することを目的とする。
【0017】また、本発明は、簡単な工程で焼き付きの
ないMIM型非線形素子の製造方法を提供することを目
的とする。
【0018】また、本発明は、点欠陥や線欠陥がなく低
い駆動電圧の薄膜トランジスタの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1のMIM型非線
形素子の製造方法は、金属膜を製造する金属膜製造工程
と、該金属膜を陽極酸化して1.9nm/V以上の成長
率で絶縁膜を製造する絶縁膜製造工程と、導電膜を製造
する導電膜製造工程と、を有することを特徴とする。
【0020】請求項2のMIM型非線形素子の製造方法
は、金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金属膜を4
0℃以上100℃以下の温度の化成液中で陽極酸化して
絶縁膜を製造する絶縁膜製造工程と、導電膜を製造する
導電膜製造工程と、を有することを特徴とする。
【0021】請求項3のMIM型非線形素子の製造方法
は、金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金属膜を4
0℃以上100℃以下の温度の化成液中で陽極酸化して
1.9nm/V以上の成長率で絶縁膜を製造する絶縁膜
製造工程と、導電膜を製造する導電膜製造工程と、を有
することを特徴とする。
【0022】請求項4のMIM型非線形素子の製造方法
は、エチレングリコールを用いた溶媒中で前記絶縁膜製
造工程を行うことを特徴とする。
【0023】請求項5のMIM型非線形素子の製造方法
は、50℃以上80℃以下の温度の化成液中で前記絶縁
膜製造工程を行うことを特徴とする。
【0024】請求項6のMIM型非線形素子の製造方法
は、前記絶縁膜製造工程は、前記金属膜を陽極酸化し
て、陽極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を含む領
域の厚みがその膜厚の45%以下である絶縁膜を製造す
ることを特徴とする。
【0025】請求項7のMIM型非線形素子は、上記し
た請求項1乃至請求項6のいずれかの請求項に記載のM
IM型非線形素子の製造方法によって製造されたことを
特徴とする。
【0026】請求項8のMIM型非線形素子は、金属膜
と、該金属膜を陽極酸化して得られる絶縁膜であって陽
極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を含む領域の厚
みがその膜厚の45%以下である絶縁膜と、導電膜と、
を積層した構造を有することを特徴とする。
【0027】請求項9のMIM型非線形素子は、前記金
属膜がタンタル原子を含む金属膜であることを特徴とす
る。
【0028】請求項10のMIM型非線形素子は、前記
金属膜が配線膜をも兼ねていることを特徴とする。
【0029】請求項11の液晶表示装置は、上記した請
求項7乃至請求項10のいずれかの請求項に記載のMI
M型非線形素子をスイッチング素子として用いたことを
特徴とする。
【0030】請求項12の薄膜トランジスタの製造方法
は、ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製造工程と、
該ゲート金属膜を陽極酸化して1.9nm/V以上の成
長率でゲート絶縁膜を製造するゲート絶縁膜製造工程
と、シリコン膜を製造するシリコン膜製造工程と、を有
することを特徴とする。
【0031】請求項13の薄膜トランジスタの製造方法
は、ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製造工程と、
該ゲート金属膜を40℃以上100℃以下の温度の化成
液中で陽極酸化してゲート絶縁膜を製造するゲート絶縁
膜製造工程と、シリコン膜を製造するシリコン膜製造工
程と、を有することを特徴とする。
【0032】請求項14の薄膜トランジスタの製造方法
は、ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製造工程と、
該ゲート金属膜を40℃以上100℃以下の温度の化成
液中で陽極酸化して1.9nm/V以上の成長率でゲー
ト絶縁膜を製造するゲート絶縁膜製造工程と、シリコン
膜を製造するシリコン膜製造工程と、を有することを特
徴とする。
【0033】請求項15の薄膜トランジスタの製造方法
は、エチレングリコールを用いた溶媒中で前記ゲート絶
縁膜製造工程を行うことを特徴とする。
【0034】請求項16の薄膜トランジスタの製造方法
は、50℃以上80℃以下の温度の化成液中で前記ゲー
ト絶縁膜製造工程を行うことを特徴とする。
【0035】請求項17の薄膜トランジスタの製造方法
は、前記ゲート絶縁膜製造工程は、前記金属膜を陽極酸
化して、陽極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を含
む領域の厚みがその膜厚の45%以下であるゲート絶縁
膜を製造することを特徴とする。
【0036】請求項18の薄膜トランジスタは、上記し
た請求項12乃至請求項17のいずれかの請求項に記載
の薄膜トランジスタの製造方法によって製造されたこと
を特徴とする。
【0037】請求項19の薄膜トランジスタは、金属膜
と、該金属膜を陽極酸化して得られる絶縁膜であって陽
極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を含む領域の厚
みがその膜厚の45%以下であるゲート絶縁膜と、シリ
コン膜と、を積層した構造を有することを特徴とする。
【0038】請求項20の薄膜トランジスタは、前記金
属膜がタンタル原子を含む金属膜であることを特徴とす
る。
【0039】請求項21の薄膜トランジスタは、前記金
属膜が配線膜をも兼ねていることを特徴とする。
【0040】請求項22の液晶表示装置は、上記した請
求項18乃至請求項21のいずれかの請求項に記載の薄
膜トランジスタをスイッチング素子として用いたことを
特徴とする。
【0041】
【作用】出願人は、MIM型非線形素子をスイッチング
素子として用いた液晶表示パネルの焼き付きの原因を調
査したところ、焼き付き現象は、MIM型非線形素子の
第一の金属層と第二の金属層との間に電圧を印加すると
流れる電流値がその電圧印加時間とともに増加していく
ことと関連があることが明らかになった。すなわち、長
時間(1時間以上)液晶表示パネルで表示していた部分
と未表示の部分とでは、MIM型非線形素子の電圧−電
流特性が異なり、同じ色をだしてもコントラストが異な
ってしまい、その結果、焼き付き現象として認識される
のである。
【0042】さらに、出願人は、MIM型非線形素子の
第一の金属層と第二の金属層との間に電圧を印加すると
流れる電流値がその電圧印加時間とともに増加していく
原因を調べたところ、陽極酸化膜の膜質と関係があるこ
とを確認した。すなわち、出願人がTaの陽極酸化膜の
膜質を調査したところ、図1に示されるように、含まれ
る元素の異なる2層構造を有していることが確認され
た。このことは、表面技術43(1992)170に記
されているように、膜質の異なった2層構造をした膜に
なるAlの陽極酸化膜の場合と同様である。図1では、
第一の金属膜または走査線となる金属膜を12で表し、
12に対する陽極酸化膜を13で表し、そのうち金属膜
12に近い側の化成液中に存在するアニオン種が含まれ
ない部分を13a,表面側でアニオン種が含まれる部分
を13bで表している。そして、MIM型非線形素子に
この陽極酸化膜を用いる際には、アニオン種が含まれて
いない部分13aの膜厚を厚くすると、電圧を印加して
も電流値の変化が小さくなることがわかった。
【0043】請求項1のMIM型非線形素子の製造方法
は、金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金属膜を陽
極酸化して1.9nm/V以上の成長率で絶縁膜を製造
する絶縁膜製造工程と、導電膜を製造する導電膜製造工
程と、を有するため、陽極酸化膜中にアニオン種が取り
込まれる領域の厚みを絶縁膜の膜厚の45%以下にで
き、その結果、電圧印加時の電流値変化の少ないMIM
型非線形素子を製造することができる。
【0044】請求項2のMIM型非線形素子の製造方法
は、金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金属膜を4
0℃以上100℃以下の温度の化成液中で陽極酸化して
絶縁膜を製造する絶縁膜製造工程と、導電膜を製造する
導電膜製造工程と、を有するため、陽極酸化膜中にアニ
オン種が取り込まれる領域の厚みを絶縁膜の膜厚の45
%以下にでき、その結果、電圧印加時の電流値変化の少
ないMIM型非線形素子を製造することができる。
【0045】請求項3のMIM型非線形素子の製造方法
は、金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金属膜を4
0℃以上100℃以下の温度の化成液中で陽極酸化して
1.9nm/V以上の成長率で絶縁膜を製造する絶縁膜
製造工程と、導電膜を製造する導電膜製造工程と、を有
することであるから、請求項1,2の記載の製造方法よ
りもアニオン種が取り込まれる領域の厚みを薄くするこ
とができ、その結果、電圧印加時の電流値変化の少ない
MIM型非線形素子を製造することができる。
【0046】請求項4のMIM型非線形素子の製造方法
は、エチレングリコールを用いた溶媒中で前記絶縁膜製
造工程を行うため、一定時間MIM型非線形素子に電圧
を印加した際に生じる電流値変化を効果的に抑制するこ
とができる。
【0047】請求項5のMIM型非線形素子の製造方法
は、50℃以上80℃以下の温度の化成液中で前記絶縁
膜製造工程を行うため、アニオン種の取り込み量を一定
にして、陽極酸化溶液の蒸発を少なくし、製造マージン
を大きくできるという作用を有する。
【0048】請求項6のMIM型非線形素子の製造方法
は、前記絶縁膜製造工程は、前記金属膜を陽極酸化し
て、陽極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を含む領
域の厚みがその膜厚の45%以下である絶縁膜を製造す
る工程を有するため、電圧を印加した際に生じる電流値
変化の少ないMIM型非線形素子を製造することができ
る。
【0049】請求項7のMIM型非線形素子は、上記し
た請求項1乃至請求項6のいずれかの請求項に記載のM
IM型非線形素子の製造方法によって製造されたもので
あるため、電圧を印加した際に生じる電流値変化の少な
いMIM型非線形素子であり、液晶表示装置のスイッチ
ング素子として用いたときには、焼き付き現象を起きに
くくすることができる。
【0050】請求項8のMIM型非線形素子は、金属膜
と、該金属膜を陽極酸化して得られる絶縁膜であって陽
極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を含む領域の厚
みがその膜厚の45%以下である絶縁膜と、導電膜と、
を積層した構造を有するため、電圧を印加した際に生じ
る電流値変化の少ないMIM型非線形素子であり、液晶
表示装置のスイッチング素子として用いたときには、焼
き付き現象を起きにくくすることができる。、請求項9
のMIM型非線形素子は、前記金属膜がタンタル原子を
含む金属膜であるため、液晶を駆動するに適した電圧−
電流特性を有するとともに、その陽極酸化膜も安定かつ
均一で、破壊されにくい。
【0051】請求項10のMIM型非線形素子は、前記
金属膜が配線膜をも兼ねているため、MIM型非線形素
子の製造工程を短くできるという作用を有する。
【0052】請求項11の液晶表示装置は、上記した請
求項7乃至請求項10のいずれかの請求項に記載のMI
M型非線形素子をスイッチング素子として用いたため、
焼き付き現象の少ない、例えば1時間以上の長時間、表
示していても焼き付きが認識されない優れた液晶表示装
置である。
【0053】また、配線膜と兼用するゲート金属膜−該
ゲート金属膜の陽極酸化膜を含むゲート絶縁膜−シリコ
ン層からなる逆スタガード構造の薄膜トランジスタにお
いても、陽極酸化の化成液中に存在するアニオン種が含
まれる領域は、該絶縁膜の厚さの45%以下である薄膜
トランジスタを作製すれば、絶縁膜の絶縁特性を向上さ
せることができる。図1のように、ゲート絶縁膜や走査
線と信号線の層間絶縁膜を走査線12の陽極酸化膜13
とした場合、アニオン種がない部分13aの膜厚が厚く
なれば、走査線と信号線の短絡を減少させることがで
き、あわせてゲート絶縁膜の不純物を減らしたことによ
り、電圧ー電流特性のしきい値を小さくでき駆動電圧の
低減を図ることができる。陽極酸化膜でアニオン種が含
まれない部分13aの膜厚を厚くする方法は、陽極酸化
時の温度を高くするか、酸化膜の成長率を大きくすると
達成されることもわかった。具体的には、陽極酸化の化
成液中に含まれるアニオン種が含まれない領域を陽極酸
化膜の厚さの半分以上の厚さにするためには、化成時の
温度を40℃以上にするか酸化膜の成長率を1.9nm
/V以上にすると達成できる。
【0054】請求項12の薄膜トランジスタの製造方法
は、ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製造工程と、
該ゲート金属膜を陽極酸化して1.9nm/V以上の成
長率でゲート絶縁膜を製造するゲート絶縁膜製造工程
と、シリコン膜を製造するシリコン膜製造工程と、を有
するため、陽極酸化膜中にアニオン種が取り込まれる領
域を、膜厚の45%以下にでき、その結果、絶縁性の低
下を抑制することができ、その結果、絶縁膜の膜厚を小
さくでき低しきい値の薄膜トランジスタを製造すること
ができる。
【0055】請求項13の薄膜トランジスタの製造方法
は、ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製造工程と、
該ゲート金属膜を40℃以上100℃以下の温度の化成
液中で陽極酸化してゲート絶縁膜を製造するゲート絶縁
膜製造工程と、シリコン膜を製造するシリコン膜製造工
程と、を有するため、陽極酸化膜中にアニオン種が取り
込まれる領域を、膜厚の45%以下にでき、その結果、
絶縁性の低下を抑制することができ、その結果、絶縁膜
の膜厚を小さくでき低しきい値の薄膜トランジスタを製
造することができる。
【0056】請求項14の薄膜トランジスタの製造方法
は、ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製造工程と、
該ゲート金属膜を40℃以上100℃以下の温度の化成
液中で陽極酸化して1.9nm/V以上の成長率でゲー
ト絶縁膜を製造するゲート絶縁膜製造工程と、シリコン
膜を製造するシリコン膜製造工程と、を有することであ
るから、請求項12,13の記載の製造方法よりもアニ
オン種が取り込まれる領域を少なくすることができ、そ
の結果、絶縁性の低下を抑制することができ、その結
果、絶縁膜の膜厚を小さくでき低しきい値の薄膜トラン
ジスタを製造することができる。
【0057】請求項15の薄膜トランジスタの製造方法
は、エチレングリコールを用いた溶媒中で前記ゲート絶
縁膜製造工程を行うため、一定時間駆動した時のしきい
値のずれ効果的に抑制することができる。
【0058】請求項16の薄膜トランジスタの製造方法
は、50℃以上80℃以下の温度の化成液中で前記ゲー
ト絶縁膜製造工程を行うため、アニオン種の取り込み量
を一定にして、陽極酸化溶液の蒸発を少なくし、製造マ
ージンを大きくできる。
【0059】請求項17の薄膜トランジスタの製造方法
は、前記金属膜を陽極酸化して、陽極酸化の化成液中に
含まれるアニオン種を含む領域の厚みがその膜厚の45
%以下であるゲート絶縁膜を製造するゲート絶縁膜製造
工程を有するため、絶縁膜の絶縁性の低下を抑制するこ
とができ、その結果、絶縁膜の膜厚を小さくでき低しき
い値の薄膜トランジスタを製造することができる。
【0060】請求項18の薄膜トランジスタは、上記し
た請求項12乃至請求項17のいずれかの請求項に記載
の薄膜トランジスタの製造方法によって製造されたた
め、絶縁膜の絶縁性が高く、その結果、絶縁膜の膜厚を
小さくでき低しきい値の薄膜トランジスタである。
【0061】請求項19の薄膜トランジスタは、金属膜
と、該金属膜を陽極酸化して得られる絶縁膜であって陽
極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を含む領域の厚
みがその膜厚の45%以下であるゲート絶縁膜と、シリ
コン膜と、を積層した構造を有するため、絶縁膜の絶縁
性が高く、その結果、絶縁膜の膜厚を小さくでき低しき
い値の薄膜トランジスタである。
【0062】請求項20の薄膜トランジスタは、前記金
属膜がタンタル原子を含む金属膜であるため、耐薬品性
に優れ、その陽極酸化膜も安定かつ均一で、破壊しにく
い。
【0063】請求項21の薄膜トランジスタは、前記金
属膜が配線膜をも兼ねているため、薄膜トランジスタの
製造工程を短くでき、安価な薄膜トランジスタである。
【0064】請求項22の液晶表示装置は、上記した請
求項18乃至請求項21のいずれかの請求項に記載の薄
膜トランジスタをスイッチング素子として用いたため、
点欠陥、線欠陥ともに少なく、駆動電圧の小さい優れた
液晶表示装置である。
【0065】
【実施例】以下、本発明について、実施例に基づき詳細
に説明する。
【0066】実施例1では陽極酸化膜中のアニオン種が
含まれない部分を厚くする方法を述べ、実施例2では前
記陽極酸化膜を用いたMIM型非線形素子およびそれを
用いた液晶表示パネルの優れた点を述べ、実施例3では
前記陽極酸化膜を用いた薄膜トランジスタおよびそれを
用いた液晶表示パネルの優れている点を述べる。
【0067】〔実施例1〕陽極酸化が可能な金属は、タ
ンタル(Ta),アルミニウム(Al),チタン(T
i),亜鉛(Zn),ニオブ(Nb),ジルコニウム
(Zr),ハフニウム(Hf)などがあり、これらの陽
極酸化膜は図1のように、化成液中の酸素が酸化膜中を
通って金属膜12と反応して生成される部分の13a
(膜厚l2:金属膜12の元素と酸素だけで構成されて
いる部分)と金属原子が酸化膜中を通って化成液中の酸
素と反応して生成される部分の13b(膜厚l1:金属
膜12の元素と酸素および化成液中に含まれるアニオン
種で構成されている部分)ができる。前記金属は同じ条
件で陽極酸化しても、膜厚l1と膜厚l2の比が異なるの
で、以下に各々の金属について成膜方法を述べる。陽極
酸化は図5のように基板を液層の中に入れて素子基板を
プラスにし、対向基板をマイナスの電位にする。図5
(a)は初期状態で、酸化が終了すると図5(b)のよ
うに浴槽に浸されている金属膜表面は酸化される。51
は陰極で、11はガラス基板,12は金属膜,13は作
製された陽極酸化膜である。陽極酸化方法は最初に低電
流法で行い、定電圧印加状態になってからは30分〜4
時間ぐらい放置した。
【0068】まず第一に、Ta原子を90wt%以上含
んだ金属膜(純粋なTa膜も含む)について述べる。図
6は、横軸を陽極酸化膜の化成温度にし、縦軸に単位電
圧当たりの酸化膜の成長率を示したものです。化成液の
温度が、0〜40℃では成長率は大きくなるが40℃を
越えると変化は少なくなる。40℃以上で陽極酸化した
ときの酸化膜の成長率は1.9nm/V以上である。0
℃以下では、溶液が凍ってしまい酸化膜を作製できなく
なり、100℃を越えると溶液の濃度を十分に制御でき
なくなり好ましくない。
【0069】図7は横軸を陽極酸化膜の化成温度にし、
縦軸に酸化膜の比誘電率を示したものです。比誘電率
は、JJAP 30(1991)3729にあるように
低温ではかなり小さくなるが、本発明では、23℃以上
の化成温度ではほぼ一定になり、室温以上の温度で陽極
酸化することによって変化することはない。
【0070】ところで、MIM型非線形素子の電圧−電
流特性は以下に示すプールフレンケルの伝導式で近似さ
れている。
【0071】
【数1】
【0072】つまり、β値は23℃以上の温度で陽極酸
化すれば化成電圧を変化させて膜厚を調節すればεも一
定となり他の値はすべて定数であるので一定値となり電
圧−電流特性は変化することはない。
【0073】図8は横軸を陽極酸化膜の化成温度にし、
縦軸をl1/酸化膜膜厚(l1+l2)の比を示したもの
である。化成温度が高くなるほど純粋な酸化膜部分の膜
厚が厚くなっている様子がわかる。純粋な酸化膜の割合
を大きくすると酸化膜の成長率も速くなっていることが
わかる。
【0074】ここで、不純物として含まれる元素は、タ
ングステン,シリコン,ニオブ,モリブデン,アルミニ
ウムなどである。これらの元素が10%以内で含まれる
と電圧−電流特性が変化しうるが、l1/酸化膜膜厚の
比には影響を及ぼさない。また、陽極酸化時の電流密度
をあまりに大きくすると、膜質が変化してl1とl2の境
界がはっきりしなくなることがある。具体的には、1m
A/cm2以下の電流密度で陽極酸化を行えば同じ膜質
になりl1/酸化膜膜厚の比には影響を及ぼさない。以
上のように、陽極酸化時の温度を40℃以上にするか陽
極酸化膜の成長率を1.9nm/V以上にすればl1
1+l2を45%以下にすることができる。
【0075】第二に、Ta原子を90%以上含んだ金属
膜以外について述べる。陽極酸化膜の化成温度と純粋な
酸化膜の割合は、Ta原子を含んだ金属膜と同様で図8
のような傾向を示す。例えば、Al原子を含んだ金属膜
の場合は、化成温度が80℃以上で純粋な酸化膜の割合
がほとんど変化しなくなる。Ti、Nb原子を90%以
上含んだ金属膜は、Ta原子を90%以上含んだ金属膜
と同様の傾向を示す。
【0076】以上は、陽極酸化の溶媒として水を用いた
ものであるが、有機溶媒を用いても同様の結果が得られ
る。有機溶媒のなかで安定した酸化膜を作製できるの
は、エチレングリコールになる。
【0077】〔実施例2〕以下では、Ta原子を90%
以上含んだ金属膜を第一の金属膜とし第二の金属膜をI
TO膜にしたMIM型非線形素子と、これを用いた液晶
表示パネルの特徴を述べる。図9は横軸をl1/酸化膜
膜厚にして、縦軸を液晶が全面書き込みの状態で1/2
57デューティーにし100時間駆動したとき、保持期
間にリーク電流(素子に4V印加したときに流れる電流
値)として流れる量の駆動前後での電流値の変化をプロ
ットしたものである。室温で陽極酸化したMIM型非線
形素子(l1/酸化膜厚が0.5)は、リーク電流が1
00時間駆動すると初期状態の36倍になるが、38℃
以上(l1/酸化膜厚が0.45以下)で陽極酸化する
と5倍程度とかなり改善される。ここでは、第二の金属
膜にITO膜という透明導電膜を用いたが、金属膜にす
ると100時間駆動後の電流値は初期値の数%増加と少
なくなるが、化成温度を高くするとその増加量は小さく
なる。
【0078】次に、リーク電流の増加が少なくなると液
晶表示パネルにどのような効果をもたらすかを説明す
る。(液晶のモードはノーマリーホワイトとする) 液晶表示パネルを駆動していて、リーク電流が増加する
ということは、MIM型非線形素子の素子抵抗が小さく
なることを意味する。さて、図10のような画面の中心
にある四角形101を黒(液晶をオン状態)にし、周辺
部102を白(液晶をオフ状態)にした表示を続ける
と、四角形101部分のMIM型非線形素子の抵抗は周
辺部102よりも低くなる。このとき四角形101にあ
るMIM型非線形素子の電圧−電流特性は周辺部102
よりも低抵抗になり、より小さな電圧で液晶を制御する
のに必要な情報を書き込めることになる。この後全面に
同じ絵を表示しても四角形101の部分が周辺部102
より少し黒くなって焼き付きとして認識されることにな
る。
【0079】MIM型非線形素子のリーク電流の増加に
起因する焼き付きは、前記リーク電流の増加率を小さく
して焼き付きを見えなくする方法で対応した。上述した
リーク電流の増加率を小さくすると、同じ絵を表示して
いても焼き付きが認識されるまでの時間を長くできる。
例えば、100時間駆動したときに、リーク電流の増加
が36倍(室温で陽極酸化した場合)になると、10分
同じ絵を表示していると焼き付きが認識されるが、5倍
ならば1時間同じ絵を表示したときに焼き付きが認識さ
れる。
【0080】上述のように、1時間同じ絵を表示して焼
き付きが認識できる程度であれば、パソコンのモニター
として液晶表示パネルを用いるときには、焼き付き防止
用のソフトを走らせるようにすれば、焼き付きを防止で
きる。また、前記MIM型非線形素子を用いた液晶表示
パネルを使用する前に10時間程度全面同じ色の絵を表
示しておけば、1000時間の使用で初めて焼き付きが
認識されるようになった。このように、金属酸化膜13
を陽極酸化法で作製するときの温度を40℃以上にした
り、酸化膜の成長率を1.9nm/V以上にして、不純
物のない酸化膜の膜厚の割合を55%以上にすれば、1
00時間駆動したときの電流値の増加を5倍以内にする
ことができ、少しの工夫で焼き付きが発生しない液晶表
示パネルを作製することができる。以上は、MIM型非
線形素子の第一の金属膜をTa原子を90%以上含む金
属膜を用いた場合であるが、他の金属膜でも定性的には
同様の傾向がある。さらに、第二の金属膜はITO膜の
場合について述べたが、他の金属膜を用いると電流値の
増加は小さくなるので、焼き付きが認識されるまでの時
間が長くなる。
【0081】次に、陽極酸化の化成液溶媒にエチレング
リコールを用いる場合について述べる。水溶液を用いる
ときとは異なった振る舞いをするところがある。特徴と
して、図11に示すように一定時間駆動(10時間前
後)するとリーク電流の増加が無くなる。陽極酸化時の
温度は50℃以上にしたときに前記の効果が現れ、温度
の上限は、溶媒の蒸発の少ない80℃以下がよい。この
場合一定時間全面同じ色の絵を表示しておけば、その後
は焼き付きが発生しないパネルを作製できる。
【0082】〔実施例3〕以下では、液晶のスイッチン
グ素子としてゲート酸化膜を陽極酸化膜にした薄膜トラ
ンジスタを用いた場合について図1,図12で説明す
る。陽極酸化膜13は、化成液中のアニオン種が含まれ
る13bの膜厚が厚くなるとゲート絶縁膜の絶縁性が低
下し、走査線と信号線の短絡につながりやすくなり線欠
陥が発生して歩留まりを低下してしまう。また、線欠陥
を防止するためにゲート絶縁膜の膜厚を厚くすると、ト
ランジスタのスイッチング特性が悪くなりきれいな表示
画像が得られなくなる。さらに、ゲート酸化膜中の不純
物はトランジスタの電気特性をばらつかせるので、表示
画像にムラを発生させたり駆動電圧の上昇を招く。つま
り、ゲート絶縁膜の純度が悪くなると、製品歩留まりは
低下し液晶表示パネルの高画質化は難しくなる。従っ
て、実施例1で記述したように、金属酸化膜13を陽極
酸化法で作製するときの温度を40℃以上にしたり、酸
化膜の成長率を1.9nm/V以上にして、化成液中の
アニオン種が含まれる酸化膜の膜厚の割合を45%以下
にすれば、欠陥が少なくスイッチング特性の優れた薄膜
トランジスタを作製できるので、高画質な液晶表示パネ
ルを作製できる。
【0083】
【発明の効果】以上の通り、陽極酸化膜作製時の温度を
40〜100℃にして酸化膜の成長率を1.9nm/V
以上にすることで、陽極酸化の化成液中に含まれるアニ
オン種が、作製された酸化膜中に含まれる領域を45%
以下にすることができる。
【0084】その結果、MIM型非線形素子を用いた液
晶表示装置の焼き付きを低減することができる。
【0085】さらに、化成液溶媒をエチレングリコール
にして、使用前に一定時間液晶を駆動すると、その後は
焼き付きが全く発生しない液晶表示装置を提供できる。
【0086】また、薄膜トランジスタを用いた液晶表示
パネルでは、欠陥が少なくスイッチング特性の優れた薄
膜トランジスタを作製でき、高画質な液晶表示装置を提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMIM型非線形素子や薄膜トランジス
タに用いる陽極酸化膜の断面図。
【図2】(a)は、本発明のMIM型非線形素子を用い
たマトリィクスアレイの上面図。(b)は、本発面のM
IM型非線形素子の断面図。
【図3】アクティブマトリクス方式の液晶表示装置の等
価回路図。
【図4】(a)は、従来のMIM型非線形素子の印加電
圧と電流値の関係を示す図。(b)は、液晶表示素子の
単位画素への印加電圧と明るさの関係を示す図。
【図5】陽極酸化の方法を示す図。
【図6】陽極酸化膜の化成温度と酸化膜の成長率の関係
を示す図。
【図7】陽極酸化膜の化成温度と比誘電率の関係を示す
図。
【図8】陽極酸化膜の化成温度と酸化膜中に占めるアニ
オン種の含まれる酸化膜厚の割合を示す図。
【図9】陽極酸化膜の化成温度とMIM型非線形素子の
リーク電流増加量の関係を示す図。
【図10】液晶表示パネルの表示例を示す図。
【図11】MIM型非線形素子を用いた液晶表示パネル
の駆動時間と該MIM型非線形素子のリーク電流量の関
係を示す図。
【図12】(a)は、本発明の薄膜トランジスタを用い
たマトリィクスアレイの上面図。(b)は、本発面の薄
膜トランジスタで(a)におけるAA´の断面図。
【符号の説明】
1 MIM型非線形素子 2 液晶表示素子 3 画素領域 11,121 透明基板 11a TaOX膜 12,122 第一の金属膜 13,123 金属酸化膜 13a 化成液中のアニオン種を含ま
ない領域 13b 化成液中のアニオン種を含む
領域 14 第二の金属膜 15,128 画素電極 31 走査線 32 信号線 51 陰極 101 黒色の表示領域 102 白色の表示領域 124 SiN膜 125 シリコン膜 127 N型シリコン膜 129 アルミニウム膜

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金
    属膜を陽極酸化して1.9nm/V以上の成長率で絶縁
    膜を製造する絶縁膜製造工程と、導電膜を製造する導電
    膜製造工程と、を有することを特徴とするMIM型非線
    形素子の製造方法。
  2. 【請求項2】金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金
    属膜を40℃以上100℃以下の温度の化成液中で陽極
    酸化して絶縁膜を製造する絶縁膜製造工程と、導電膜を
    製造する導電膜製造工程と、を有することを特徴とする
    MIM型非線形素子の製造方法。
  3. 【請求項3】金属膜を製造する金属膜製造工程と、該金
    属膜を40℃以上100℃以下の温度の化成液中で陽極
    酸化して1.9nm/V以上の成長率で絶縁膜を製造す
    る絶縁膜製造工程と、導電膜を製造する導電膜製造工程
    と、を有することを特徴とするMIM型非線形素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】エチレングリコールを用いた溶媒中で前記
    絶縁膜製造工程を行うことを特徴とする請求項1乃至請
    求項3のいずれかの請求項に記載のMIM型非線形素子
    の製造方法。
  5. 【請求項5】50℃以上80℃以下の温度の化成液中で
    前記絶縁膜製造工程を行うことを特徴とする請求項4に
    記載のMIM型非線形素子の製造方法。
  6. 【請求項6】前記絶縁膜製造工程は、前記金属膜を陽極
    酸化して、陽極酸化の化成液中に含まれるアニオン種を
    含む領域の厚みがその膜厚の45%以下である絶縁膜を
    製造することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいず
    れかの請求項に記載のMIM型非線形素子の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6のいずれかの請求項
    に記載のMIM型非線形素子の製造方法によって製造さ
    れたことを特徴とするMIM型非線形素子。
  8. 【請求項8】金属膜と、該金属膜を陽極酸化して得られ
    る絶縁膜であって陽極酸化の化成液中に含まれるアニオ
    ン種を含む領域の厚みがその膜厚の45%以下である絶
    縁膜と、導電膜と、を積層した構造を有することを特徴
    とするMIM型非線形素子。
  9. 【請求項9】前記金属膜がタンタル原子を含む金属膜で
    あることを特徴とする請求項7又は請求項8記載のMI
    M型非線形素子。
  10. 【請求項10】前記金属膜が配線膜をも兼ねていること
    を特徴とする請求項7又は請求項8記載のMIM型非線
    形素子。
  11. 【請求項11】請求項7乃至請求項10のいずれかの請
    求項に記載のMIM型非線形素子をスイッチング素子と
    して用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  12. 【請求項12】ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製
    造工程と、該ゲート金属膜を陽極酸化して1.9nm/
    V以上の成長率でゲート絶縁膜を製造するゲート絶縁膜
    製造工程と、シリコン膜を製造するシリコン膜製造工程
    と、を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造
    方法。
  13. 【請求項13】ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製
    造工程と、該ゲート金属膜を40℃以上100℃以下の
    温度の化成液中で陽極酸化してゲート絶縁膜を製造する
    ゲート絶縁膜製造工程と、シリコン膜を製造するシリコ
    ン膜製造工程と、を有することを特徴とする薄膜トラン
    ジスタの製造方法。
  14. 【請求項14】ゲート金属膜を製造するゲート金属膜製
    造工程と、該ゲート金属膜を40℃以上100℃以下の
    温度の化成液中で陽極酸化して1.9nm/V以上の成
    長率でゲート絶縁膜を製造するゲート絶縁膜製造工程
    と、シリコン膜を製造するシリコン膜製造工程と、を有
    することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  15. 【請求項15】エチレングリコールを用いた溶媒中で前
    記ゲート絶縁膜製造工程を行うことを特徴とする請求項
    12乃至請求項14のいずれかの請求項に記載の薄トラ
    ンジスタの製造方法。
  16. 【請求項16】50℃以上80℃以下の温度の化成液中
    で前記ゲート絶縁膜製造工程を行うことを特徴とする請
    求項15に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  17. 【請求項17】前記ゲート絶縁膜製造工程は、前記金属
    膜を陽極酸化して、陽極酸化の化成液中に含まれるアニ
    オン種を含む領域の厚みがその膜厚の45%以下である
    ゲート絶縁膜を製造することを特徴とする請求項12乃
    至請求項16のいずれかの請求項に記載の薄膜トランジ
    スタの製造方法。
  18. 【請求項18】請求項12乃至請求項17のいずれかの
    請求項に記載の薄膜トランジスタの製造方法によって製
    造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
  19. 【請求項19】金属膜と、該金属膜を陽極酸化して得ら
    れる絶縁膜であって陽極酸化の化成液中に含まれるアニ
    オン種を含む領域の厚みがその膜厚の45%以下である
    ゲート絶縁膜と、シリコン膜と、を積層した構造を有す
    ることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  20. 【請求項20】前記金属膜がタンタル原子を含む金属膜
    であることを特徴とする請求項18又は請求項19記載
    の薄膜トランジスタ。
  21. 【請求項21】前記金属膜が配線膜をも兼ねていること
    を特徴とする請求項18又は請求項19記載の薄膜トラ
    ンジスタ。
  22. 【請求項22】請求項18乃至請求項21のいずれかの
    請求項に記載の薄膜トランジスタをスイッチング素子と
    して用いたことを特徴とする液晶表示装置。
JP15652595A 1995-06-22 1995-06-22 Mim型非線形素子、薄膜トランジスタ、及びそれらの製造方法、並びに液晶表示装置 Pending JPH095795A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11684369B2 (en) 2019-06-28 2023-06-27 Cilag Gmbh International Method of using multiple RFID chips with a surgical assembly

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