JPH1062822A - スイッチング素子の製造方法 - Google Patents

スイッチング素子の製造方法

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JPH1062822A
JPH1062822A JP8221488A JP22148896A JPH1062822A JP H1062822 A JPH1062822 A JP H1062822A JP 8221488 A JP8221488 A JP 8221488A JP 22148896 A JP22148896 A JP 22148896A JP H1062822 A JPH1062822 A JP H1062822A
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temperature
contrast ratio
switching element
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JP8221488A
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Inventor
Yoshihisa Ishimoto
佳久 石本
Masakazu Matoba
正和 的場
Masahiro Kishida
正浩 岸田
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いコントラスト比を維持しつつ、温度特性
およびスイッチング素子の素子特性が良好なスイッチン
グ素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 陽極酸化工程において、化成電流密度を
0.1mA/cm2 〜10mA/cm2 の範囲内で定電
流密度化成を行い、さらに化成電圧を25V〜35Vの
範囲内で定電圧化成を行って、下部電極の表面を陽極酸
化して絶縁膜を形成し、さらに陽極酸化する工程以降に
200℃〜250℃の熱処理を行い、スイッチング素子
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液晶表示
装置等のアクティブマトリクス基板に用いられる第1の
金属−絶縁膜−第2の金属の積層構造からなるスイッチ
ング素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スイッチング素子として、構造が
簡単で、製造コストの面で有利な2端子の非線形抵抗素
子が知られており、また、第1の金属−絶縁膜−第2の
金属(Metal−Insulator−Metal、
以下、MIMと記す)の積層構造を有するものは実用化
がなされている。図8は、MIM構造を有するスイッチ
ング素子を備えた従来の液晶表示装置におけるアクティ
ブマトリクス基板の平面構造を示している。また、図9
は、図8中のA−A線における矢視断面構造を表してい
る。
【0003】まず、図9中の透明基板1上にスパッタリ
ング法や真空蒸着法等の薄膜形成法により、厚さが3,
000オングストローム(Å)になるようにタンタル
(Ta)薄膜を積層し、形成する。さらに、そのタンタ
ル薄膜をフォトリソグラフィー法などにより、所定の形
状にパターニングする。これにより、図8に示す信号配
線2と一体となった第1の金属層が得られ、この第1の
金属層が下部電極3となる。
【0004】次に、陽極酸化法により、下部電極3の表
面を陽極酸化して、厚さが600Åの五酸化タンタル
(Ta2 5 )からなる非線形抵抗素子の絶縁体層を構
成する絶縁膜4を形成する。特に従来の陽極酸化法で
は、下部電極3の表面を陽極酸化して、上記絶縁膜4を
形成する場合、定電流・定電圧電源を用いて行われてい
る。図10および図11は、下部電極3の表面を陽極酸
化させる際の化成電圧および化成電流密度の時間変化を
それぞれ示している。図11に示すように、化成電流密
度は最初に一定値I1 に設定され、時間t1 の間、保持
される。この時間t1 が経過すると、図10に示すよう
に、化成電圧が、絶縁膜の所定の望ましい厚さに対応し
た電圧V1 に到達する。この後、化成電圧を電圧V1
一定値に保持すると、化成電流密度は0に漸近し、陽極
酸化が終了する。
【0005】なお、上記時間t1 までの陽極酸化工程を
定電流密度化成、時間t1 以降の陽極酸化工程を定電圧
化成と呼んでいる。また、従来の陽極酸化は、一般に上
記一定値I1 を1mA/cm2 以上に設定することが多
い。
【0006】さらに、下部電極3、および絶縁膜4を積
層した透明基板1上にスパッタリング法や真空蒸着法等
の薄膜形成法などにより、厚さが4,000Åになるよ
うにチタンを積層する。さらに、積層したチタン膜をフ
ォトリソグラフィー法などにより所定の形状にパターニ
ングして上部電極5とする。これにより、上記した従来
のMIM構造を有するスイッチング素子6が形成され
る。また、透明電極膜を積層し、これをフォトリソグラ
フィー法などにより所定の形状にパターニングして画素
電極7を形成する。これにより、上記した従来のアクテ
ィブマトリクス基板が形成される。
【0007】ところで、一般的なMIM構造を有するス
イッチング素子の印加電圧Vと電流Iとの関係は、以下
の数式で表される。このように表された電流Iは、Po
ole−Frenkel電流と呼ばれている。
【0008】I=αVexp(βV1/2 ) α=(nμq/d)exp(−φ/kT) β=(1/kT)(q3 /πε0 ε1 d)1/2 d :絶縁膜の厚さ k :ボルツマン定数 n :キャリア密度 q :電子の電荷量 T :周囲温度 ε0 :真空の誘電率 ε1 :絶縁膜の光学的比誘電率 φ :トラップの深さ μ :キャリア移動度 上記の数式から明らかなように、絶縁膜の厚さd、絶縁
膜の膜質の物性を示すパラメータn、μ、φおよび
ε1 、および温度Tが変化することによって電流−電圧
(I−V)特性が変化する。すなわち、I−V特性は、
温度依存性を有していることがわかる。また、MIM構
造を有するスイッチング素子の素子特性を表すα値およ
びβ値も温度依存性を有していることがわかる。温度T
以外のパラメータからなる温度係数が大きければ、温度
変化による素子特性を表すα値およびβ値の変化が大き
くなる。これにより、表示装置のコントラスト比の温度
依存性は大きくなり、温度特性は悪くなる。
【0009】例えば、絶縁膜の厚さdが小さい程、β値
が大きくなるため、スイッチング素子のI−V特性が急
峻となり、表示画面のコントラスト比が高くなるが、絶
縁膜の厚さdを小さくし過ぎると、β値の温度係数が大
きくなるため、コントラスト比の温度依存性が大きくな
るという問題が発生する。したがって、表示画面のコン
トラスト比を高くすると共に、コントラスト比の温度依
存性を大きくし過ぎない最適な範囲に、絶縁膜の厚さd
を設定することが必要である。
【0010】また、従来の製造方法ではα値が小さいた
めに印加電圧Vが小さいときには、電流Iが小さくな
り、パネル駆動電圧が高くなる。すなわち、パネル消費
電力が大きくなる。
【0011】特開平5−2191号公報には、複数の表
示画素およびその各々に電気的に接続した第1の金属層
−絶縁層−第2の金属層の3層構造をなす非線形抵抗素
子を基板上に形成する際、第1の金属層を陽極酸化する
ことにより絶縁層を形成している。そして、第1の金属
層を陽極酸化する際の化成電流密度が0.1mA/cm
2 〜0.8mA/cm2 の範囲内に設定されてなるマト
リクスアレイ基板の製造方法が開示されている。
【0012】上記公報によれば、第1の金属層を陽極酸
化する際、化成電流密度を上記の範囲内に設定すること
により、ディスプレイの非点灯時電圧における電流値分
布を小さくし、大画面のディスプレイであってもムラの
ない均一な表示を得ることができるマトリクスアレイ基
板が示されている。
【0013】また、特開平4−253034号公報に
は、絶縁基台の上に窒化タンタルから成る第1の金属層
を形成し、その表面に異なる窒化率を有する複数の窒化
タンタル酸化物の層から成る絶縁層を形成している。さ
らに、その絶縁層上に第2の金属層を形成し、それに電
気的に接続された画素電極を絶縁基台上に形成する表示
器用基板が開示されている。
【0014】上記公報によれば、スイッチング素子のI
−V特性において、オフ電流が低く、かつ、絶縁層にお
ける電子の障壁の立ち上がりが急峻であり、電子の障壁
が対称性を有する表示器用基板が示されている。
【0015】さらに、特開平3−73932号公報に
は、基板上に設けられた複数の行電極と、上記基板と対
向する対向基板上に上記行電極と交差して配置された複
数の列電極が備えられ、上記両電極の交差部のマトリク
ス状に形成された画素部にスイッチング用非線形抵抗素
子を配し、上記基板間に封入された液晶を電気的に駆動
させて表示するアクティブマトリクス型液晶表示装置に
おいて、上記非線形抵抗素子にMIMの2端子素子を用
い、上記インシュレーターの比誘電率εがTaOx(但
し、Xは任意の数値を示す)の比誘電率未満であり、上
記対向基板の有する静電容量CCF、画素部の液晶の静電
容量CLC、MIM素子の静電容量CMIM が CCF×CLC/〔(CCF+CLC)×CMIM 〕>2 であるアクティブマトリクス型液晶表示装置が開示され
ている。
【0016】上記公報によれば、MIM構造を有する2
端子素子を形成後、250℃で熱処理することにより、
アクティブマトリクス基板を得ている。そして熱処理工
程を行うことにより、上記アクティブマトリクス基板を
備えたアクティブマトリクス型液晶表示装置のフリッ
カ、いわゆる表示画面のちらつきが調整可能であること
が示されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところが、絶縁膜の厚
さdは、陽極酸化における定電流密度化成と、後に続く
定電圧化成との2工程で定まるため、最適な定電流密度
の範囲と最適な定電圧の範囲とを合わせて設定しなけれ
ば、絶縁膜の厚さdを最適な値にすることができない。
それにもかかわらず、上記従来のスイッチング素子の製
造方法は、定電流密度および定電圧をそれぞれ最適な範
囲に組み合わせて設定することについて、何ら考慮して
いないという問題点を有している。
【0018】また、上記の特開平4−253034号公
報には、スイッチング素子特性の温度依存性により、液
晶表示装置の表示品位に悪影響を及ぼすことについて、
何ら考慮されていない。
【0019】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、温度特性および素子特性が良好なスイッチング
素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るス
イッチング素子の製造方法は、上記の課題を解決するた
めに、透明基板上に形成された複数本の列電極と、該列
電極と交叉する行電極とがマトリクスを形成し、さら
に、該列電極と該行電極との各交点に表示素子と、第1
の金属、絶縁膜、第2の金属を積層させたスイッチング
素子とが分設された表示装置における上記スイッチング
素子の製造方法において、上記第1の金属の表面を陽極
酸化して上記絶縁膜を形成する陽極酸化工程と、陽極酸
化工程以降に熱処理工程とを含み、上記陽極酸化工程に
おいて、化成電流密度および化成電圧を一定とし、温度
を変化させたときの各温度における表示装置のコントラ
スト比の温度変化が、基準温度におけるコントラスト比
に対して所定の割合以内になり、かつ上記基準温度にお
いて、化成電流密度および化成電圧の一方を変化させた
ときのコントラスト比が、最大コントラスト比に対して
所定の割合以上となるような化成電流密度および化成電
圧の組み合わせを選択することを特徴としている。
【0021】絶縁膜の厚さと表示画面のコントラスト比
とは相関しているので、陽極酸化工程における化成電流
密度および化成電圧に依存してコントラスト比が変化す
る。したがって、表示画面のコントラスト比を最適化す
るような化成電流密度および化成電圧を定めることがで
きればよい。
【0022】本願発明者らは、基準を超えて良好なコン
トラスト比を安定して得られる化成電流密度および化成
電圧の範囲を定めることに着目した。そのために、請求
項1に記載のように、化成電流密度および化成電圧を変
化させたときの各温度における表示装置のコントラスト
比のばらつきが、基準温度におけるコントラスト比に対
して所定の割合以内に抑制され、かつ上記基準温度にお
いて、化成電流密度および化成電圧の一方を変化させた
ときのコントラスト比が、得られた最大コントラスト比
と大差無い、すなわち所定の割合以上に収まっていれ
ば、表示品位が良好な表示装置を安定して製造すること
ができる。
【0023】コントラスト比に関する上記の条件を満足
する化成電流密度および化成電圧の組み合わせを選択す
ることにより、絶縁層の厚さが薄くなり過ぎて、スイッ
チング素子の素子特性の温度依存性、すなわちI−V特
性の温度依存性が大きくなるのを防ぐことができる。し
たがって、高コントラスト比が維持されつつ、コントラ
スト比の温度特性を改善することができる。
【0024】請求項2の発明に係るスイッチング素子の
製造方法は、請求項1に記載の陽極酸化工程において、
上記化成電流密度が0.1mA/cm2 〜10mA/c
2の範囲内であり、かつ、上記化成電圧は25V〜3
5Vの範囲内であることを特徴としている。
【0025】これにより、化成電流密度が0.1mA/
cm2 以上で陽極酸化すると、0.1mA/cm2 より
小さい値で行なった場合と比較して、ポテンシャルエネ
ルギーが高くなる。また、化成電流密度が大きいために
陽極酸化時の化成速度が速くなり、酸素イオンが下部電
極側に充分に拡散できなくなることから、ポテンシャル
エネルギー、すなわち、電子の障壁が上部電極側に偏
る。これにより、実質の絶縁膜の厚さD(<d)は、薄
くなり、β値が大きくなる。β値は、I−V特性の急峻
性の程度を示しており、つまり、β値が大きくなると、
表示装置の励起時間が長くなるので、コントラスト比が
向上する。
【0026】しかし、化成電流密度が大きくなると共に
実質の絶縁膜の厚さDが薄くなり、前述の数式に記載の
α値およびβ値の温度係数が大きくなる。すなわち、素
子特性の温度依存性が大きくなる。したがって、化成電
流密度が10mA/cm2 以下で定電流密度化成し、陽
極酸化することによって、実質の絶縁膜の厚さDが薄く
なりすぎて、表示装置のコントラスト比の温度依存性が
大きくなることを防ぐことができる。また、上記範囲内
で化成電流密度を設定することにより、コントラスト比
を、比較的高い値で維持することができる。
【0027】また、上記化成電圧を25V〜35Vの範
囲内で定電圧化成し、陽極酸化する場合、絶縁膜の厚さ
dは、500Å〜700Åとなる。また、化成電圧が2
5Vより小さい値で定電圧化成すると、絶縁膜の厚さが
薄くなり過ぎ、α値およびβ値における温度係数が大き
くなるので好ましくない。これに対し、化成電圧を25
V以上で定電圧化成することにより、絶縁膜の厚さdが
500Å以上となる場合、α値およびβ値における温度
係数が小さい。したがって、素子特性の温度依存性が小
さいので、表示装置のコントラスト比の温度特性は良好
である。
【0028】また、絶縁膜の厚さdが700Åより大き
くなると、β値の低下が大きく、コントラスト比が低く
なり過ぎる。このため、35V以下で定電圧化成し、陽
極酸化する方がコントラスト比は高い値で維持されるの
で好ましい。
【0029】上記のスイッチング素子の製造方法におい
て、例えば、温度が20℃におけるコントラスト比に対
するコントラスト比の温度変化の割合が、上記化成電流
密度および化成電圧の範囲内で、20%以内になり、か
つ、温度が20℃におけるコントラスト比が最大となる
コントラスト比の80%以上になるように、定電流密度
化成および定電圧化成を行い、下部電極の表面を陽極酸
化して絶縁膜を形成するとよい。これにより、素子特性
の温度依存性は小さくなり、表示装置のコントラスト比
の温度特性は改善される。
【0030】請求項3記載の発明に係るスイッチング素
子の製造方法において、陽極酸化工程以降に行う熱処理
工程での熱処理温度は、200℃〜250℃の範囲内で
ある。上記範囲内で熱処理を行うことにより、α値を大
きくすることができ、印加電圧が小さくても電流は大き
くなる。すなわち、表示装置のパネル駆動電圧が低くな
り、表示装置のパネル消費電力が小さくなる。また、熱
処理温度が200℃より小さい場合には、電流が小さ過
ぎて、パネル駆動電圧が大きくなるので好ましくない。
さらに、熱処理温度が250℃より大きい場合には、電
流が大きくなり過ぎてスイッチング素子に劣化を与える
ので好ましくない。
【0031】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の実施の一形態について図1な
いし図6、および図8ないし図11に基づいて説明すれ
ば、以下のとおりである。
【0032】最初に、本実施の形態にかかるスイッチン
グ素子およびアクティブマトリクス基板の構成概略を、
図8および図9を参照しながらその製造方法と共に説明
する。上記アクティブマトリクス基板は、まず、透明基
板1上に、図8に示すように、信号配線2と、スイッチ
ング素子6と、画素電極7とが形成される。
【0033】透明基板1上には、形成された複数本の列
電極と、該列電極と交叉する行電極とがマトリクスを形
成し、さらに、該列電極と該行電極との各交点に表示素
子が介設されている。
【0034】まず、信号配線2、および信号配線2から
分岐した下部電極3は、タンタル薄膜を、厚さが3,0
00Åになるように、スパッタリング法などにより透明
基板1上に積層し、さらに、フォトリソグラフィー法に
より所定の形状にパターニングして、形成される。
【0035】さらに、下部電極3の表面を陽極酸化法に
より陽極酸化して、500Å〜700Åの厚さを有する
五酸化タンタルからなる絶縁膜4を形成する。
【0036】上記陽極酸化法としては、定電流密度・定
電圧電源を用いて行われ、図11に示すように、最初に
化成電流密度を一定にして、下部電極3の表面を一定時
間定電流密度化成を行う。さらに、図10に示すよう
に、化成電圧の電圧値を絶縁層4が所定の厚さになるよ
うに対応させ、その電圧値にて一定時間、定電圧化成を
行う。尚、上記化成電流密度を一定にして定電流密度化
成を行う時間、および上記化成電圧を一定にして定電圧
化成を行う時間は、特に限定されるものではない。
【0037】続いて、上部電極5は、スパッタリング法
などによりチタン薄膜を、厚さが4,000Åになるよ
うに、透明基板1上に積層し、さらに、フォトリソグラ
フィー法により所定の形状にパターニングすることによ
り、形成される。これにより、下部電極3と上部電極5
との間に、陽極酸化されてなる絶縁膜4が介装されたM
IM構造を有する本発明のスイッチング素子6が得られ
る。
【0038】さらに、透明導電膜を積層し、これをフォ
トリソグラフィー法により所定の形状にパターニングし
て、画素電極7を形成する。以上の工程により、MIM
構造を有するスイッチング素子6として設けた液晶表示
装置のアクティブマトリクス基板が得られる。なお、こ
の液晶表示装置の容量比(素子容量:液晶容量)は1:
10であり、素子サイズは5μm×5μmであり、液晶
はTN(Twisted Nematic)液晶であ
る。尚、上記素子サイズとは、図8中に記載の下部電極
3と、上部電極5とが重なる矩形領域の辺の長さを示し
ている。
【0039】図1は、化成電流密度が0.1mA/cm
2 以上で下部電極の表面を陽極酸化するときの、ガラス
基板表面からの距離に対するポテンシャルエネルギー特
性図を示している。図2は、化成電流密度が0.1mA
/cm2 より小さい値で下部電極の表面を陽極酸化する
ときの、ガラス基板表面からの距離に対するポテンシャ
ルエネルギー特性図を示している。
【0040】図1および図2から明らかなように、化成
電流密度が0.1mA/cm2 以上で陽極酸化すると、
0.1mA/cm2 より小さい値で行なった場合と比較
して、ポテンシャルエネルギー、すなわち電子の障壁が
高く、また上部電極側に偏っていることがわかる。これ
は化成電流密度が大きいために陽極酸化時の化成速度が
速くなり、酸素イオンが下部電極側に充分に拡散できな
いためである。そのため、酸素イオンが上部電極側に偏
在することにより、上記の電子の障壁が形成される。こ
れにより、実質の絶縁膜の厚さD(<d)は薄くなり、
β値が大きくなる。すなわち、表示装置の励起時間が長
くなるので、コントラスト比が向上する。
【0041】図3は、温度が20℃(基準温度)、化成
電流密度がそれぞれ0.001mA/cm2 〜100m
A/cm2 の範囲内で定電流密度化成を行い、さらに化
成電圧が30Vで定電圧化成を行って、下部電極3の表
面を陽極酸化し、絶縁膜4を形成した時の化成電流密度
と、コントラスト比との関係を示す。
【0042】図3から明らかなように、化成電流密度が
0.1mA/cm2 以上の範囲では、コントラスト比が
25以上であり、かつ、コントラスト比が上記該範囲内
において最大となるコントラスト比(約30)の80%
以上の値である液晶表示装置の特性が得られていること
がわかる。
【0043】図4は、温度範囲が0℃〜60℃、化成電
圧が30Vの条件で下部電極3の表面を陽極酸化し、絶
縁膜4を形成した時の化成電流密度と、コントラスト比
の温度変化との関係を示す。
【0044】図4から明らかなように、化成電流密度が
10mA/cm2 以下で定電流密度化成を行った後、化
成電圧を30Vに設定して、下部電極3の表面の陽極酸
化を行った結果、各化成電流密度について、温度範囲が
0℃〜60℃でのコントラスト比の温度変化が5以下で
あり、かつ、図3における温度20℃での各化成電流密
度におけるコントラスト比の値に対して、コントラスト
比の温度変化が20%以内であることがわかる。尚、上
記コンラスト比の温度変化とは、例えば、化成電流密度
0.1mA/cm2 、および化成電圧30Vの条件で陽
極酸化したとき、温度範囲が0℃〜60℃におけるコン
ラスト比の最大値からコンラスト比の最小値を差し引い
た値を示している。
【0045】図3および図4の結果から明らかなよう
に、化成電流密度が0.1mA/cm2 〜10mA/c
2 の条件で下部電極3の表面を陽極酸化することで、
高コントラスト比が得られると共に、コントラスト比の
温度変化が小さくなることがわかる。
【0046】図5は、温度が20℃(基準温度)、化成
電流密度が1mA/cm2 で定電流密度化成を行い、さ
らに化成電圧をそれぞれの値で定電圧化成して、下部電
極3の表面を陽極酸化し、絶縁膜4を形成した時の化成
電圧と、コントラスト比との関係を示す。
【0047】図5から明らかなように、化成電圧が35
V以下の範囲で、コントラスト比が25以上であり、か
つ、コントラスト比が上記該範囲内における最大となる
コントラスト比(約30)の80%以上の液晶表示装置
の特性が得られていることがわかる。
【0048】図6は、温度範囲が0℃〜60℃、化成電
流密度が1mA/cm2 の条件で下部電極3の表面を陽
極酸化し、絶縁膜4を形成した時の化成電圧と、コント
ラスト比の温度変化との関係を示す。
【0049】図6から明らかなように、化成電圧が25
V〜35Vの範囲内で定電流密度化成を行い、下部電極
3の表面を陽極酸化を行った結果、温度範囲が0℃〜6
0℃でのコントラスト比の温度変化が5以下であり、か
つ、図5における温度20℃での各化成電圧におけるコ
ントラスト比の値に対して、コントラスト比の温度変化
が20%以内であることがわかる。
【0050】図5および図6の結果から明らかなよう
に、化成電圧が25V〜35Vの条件で下部電極3の表
面を陽極酸化することで、高コントラスト比が得られる
と共に、コントラスト比の温度変化が小さくなることが
わかる。
【0051】以上の結果から、化成電流密度が0.1m
A/cm2 〜10mA/cm2 であり、かつ化成電圧が
25V〜35Vの組み合わせで下部電極3の表面を陽極
酸化することにより、絶縁層の厚さが薄くなり過ぎて、
スイッチング素子の素子特性の温度依存性、すなわちI
−V特性の温度依存性が大きくなるのを防ぐことが可能
なことがわかる。したがって、高コントラスト比が維持
されつつ、コントラスト比の温度特性を向上させること
ができる。
【0052】〔実施の形態2〕本発明の実施にかかるさ
らに他の形態について、図7を参照しながら説明する。
尚、説明の便宜上、前記した実施の形態1と同一の機能
を有する構成には、同一の符号を付与し、その説明を省
略する。
【0053】本実施の形態では、化成電流密度1mA/
cm2 および化成電圧30Vの条件で定電流密度化成お
よび定電圧化成を行い、下部電極3の表面を陽極酸化し
た他は、前記した実施の形態1の操作と同様の操作を行
い、液晶表示装置のアクティブマトリクス基板を得た。
【0054】また、本実施の形態では、化成電流密度1
mA/cm2 および化成電圧30Vの条件で定電流密度
化成および定電圧化成を行い、下部電極3の表面を陽極
酸化し、さらに、熱処理工程において熱処理をした他
は、前記した実施の形態1の操作と同様の操作を行い、
液晶表示装置のアクティブマトリクス基板を得た。上記
熱処理工程における熱処理温度は、200℃〜250℃
の範囲内で行い、熱処理時間は1時間とした。
【0055】図7は、上記のように構成される液晶表示
装置のそれぞれのアクティブマトリクス基板のI−V特
性を測定した結果を示している。図中の点線で示される
曲線L1 は、陽極酸化工程の後に熱処理工程をして得ら
れたアクティブマトリクス基板のI−V特性を示し、ま
た、実線で示される曲線L2 は、陽極酸化工程のみを行
って得られたアクティブマトリクス基板のI−V特性を
示している。
【0056】上記の図7において、曲線L1 は、曲線L
2 と比較して、印加電圧Vの値に対して電流Iが大きい
ことがわかる。これにより、α値を10の−14乗から
10の−13乗と大きくすることができる。したがっ
て、印加電圧が小さくても、電流の値が大きくなるの
で、液晶表示装置のパネル駆動電圧を従来より低く設定
できる。すなわち、パネル消費電力を小さくすることが
できる。
【0057】以上の結果から明らかなように、上記範囲
内で熱処理を行うことにより、α値を大きくすることが
でき、印加電圧が小さい場合に、電流が大きくなる。す
なわち、液晶表示装置のパネル駆動電圧が低くなり、パ
ネル消費電力が小さくなる。
【0058】
【発明の効果】本発明の請求項1に記載のスイッチング
素子の製造方法は、透明基板上に形成された複数本の列
電極と、該列電極と交叉する行電極とがマトリクスを形
成し、さらに、該列電極と該行電極との各交点に表示素
子と、第1の金属、絶縁膜、第2の金属を積層させたス
イッチング素子とが分設された表示装置における上記ス
イッチング素子の製造方法において、上記第1の金属の
表面を陽極酸化して上記絶縁膜を形成する陽極酸化工程
と、陽極酸化工程以降に熱処理工程とを含み、上記陽極
酸化工程において、化成電流密度および化成電圧を一定
とし、温度を変化させたときの各温度における表示装置
のコントラスト比の温度変化が、基準温度におけるコン
トラスト比に対して所定の割合以内になり、かつ上記基
準温度において、化成電流密度および化成電圧の一方を
変化させたときのコントラスト比が、最大コントラスト
比に対して所定の割合以上となるような化成電流密度お
よび化成電圧の組み合わせを選択する方法である。
【0059】これにより、絶縁層の厚さが薄くなり過ぎ
て、スイッチング素子の素子特性の温度依存性、すなわ
ちI−V特性の温度依存性が大きくなるのを防ぐことが
できる。したがって、高コントラスト比が維持されつ
つ、表示装置等のコントラスト比の温度依存性が良好な
スイッチング素子の製造方法を提供することができると
いう効果を奏する。
【0060】本発明の請求項2に記載のスイッチング素
子の製造方法は、上記陽極酸化工程において、上記化成
電流密度が0.1mA/cm2 〜10mA/cm2 の範
囲内であり、かつ、上記化成電圧が25V〜35Vの範
囲内である方法である。
【0061】これにより、コントラスト比が高く、スイ
ッチング素子の素子特性の温度依存性が小さいスイッチ
ング素子の製造方法を提供することができるという効果
を奏する。
【0062】本発明の請求項3に記載のスイッチング素
子の製造方法は、上記陽極酸化工程以降に行う熱処理工
程において、熱処理温度が200℃〜250℃の範囲内
である方法である。
【0063】これにより、表示装置のパネル駆動電圧が
低くなり、表示装置のパネル消費電力が小さくなる。す
なわち、パネル消費電力が低い表示装置を実現できるス
イッチング素子の製造方法を提供することができるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】化成電流密度0.1mA/cm2 以上で定電流
密度化成を行なったときのスイッチング素子のポテンシ
ャルエネルギー特性図である。
【図2】化成電流密度0.1mA/cm2 より小さい値
で定電流密度化成を行なったときのスイッチング素子の
ポテンシャルエネルギー特性図である。
【図3】基準温度における化成電流密度と、コントラス
ト比との関係を示すグラフである。
【図4】化成電流密度と、コントラスト比の温度変化と
の関係を示すグラフである。
【図5】基準温度における化成電圧とコントラスト比と
の関係を示すグラフである。
【図6】化成電圧と、コントラスト比の温度変化との関
係を示すグラフである。
【図7】熱処理工程の有無によるスイッチング素子のI
−V特性の違いを示すグラフである。
【図8】MIM構造を有するスイッチング素子を備えた
液晶表示装置におけるアクティブマトリクス基板を示す
平面図である。
【図9】図8に示すスイッチング素子のA−A線矢視断
面図である。
【図10】陽極酸化工程における時間と化成電圧との関
係を示すグラフである。
【図11】陽極酸化工程における時間と化成電流密度と
の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 透明基板 3 下部電極(第1の金属) 4 絶縁膜 5 上部電極(第2の金属) 6 スイッチング素子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に形成された複数本の列電極
    と、該列電極と交叉する行電極とがマトリクスを形成
    し、さらに、該列電極と該行電極との各交点に表示素子
    と、第1の金属、絶縁膜、第2の金属を積層させたスイ
    ッチング素子とが分設された表示装置における上記スイ
    ッチング素子の製造方法において、 上記第1の金属の表面を陽極酸化して上記絶縁膜を形成
    する陽極酸化工程と、陽極酸化工程以降に熱処理工程と
    を含み、 上記陽極酸化工程において、化成電流密度および化成電
    圧を一定とし、温度を変化させたときの各温度における
    表示装置のコントラスト比の温度変化が、基準温度にお
    けるコントラスト比に対して所定の割合以内になり、か
    つ上記基準温度において、化成電流密度および化成電圧
    の一方を変化させたときのコントラスト比が、最大コン
    トラスト比に対して所定の割合以上となるような化成電
    流密度および化成電圧の組み合わせを選択することを特
    徴とするスイッチング素子の製造方法。
  2. 【請求項2】上記陽極酸化工程において、上記化成電流
    密度が0.1mA/cm2 〜10mA/cm2 の範囲内
    であり、かつ、上記化成電圧が25V〜35Vの範囲内
    であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング
    素子の製造方法。
  3. 【請求項3】上記陽極酸化工程以降に行う熱処理工程に
    おいて、熱処理温度が200℃〜250℃の範囲内であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング素子
    の製造方法。
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