JPH0957911A - 防曇シール - Google Patents

防曇シール

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JPH0957911A
JPH0957911A JP13783796A JP13783796A JPH0957911A JP H0957911 A JPH0957911 A JP H0957911A JP 13783796 A JP13783796 A JP 13783796A JP 13783796 A JP13783796 A JP 13783796A JP H0957911 A JPH0957911 A JP H0957911A
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厚 北村
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信 早川
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真 千国
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防曇シートとして、光触媒粒子による親水化
作用を抑制せず光触媒粒子の酸化還元作用を抑制するも
のが要求される。 【解決手段】 樹脂シート1の裏面側に接着剤層2が設
けられ、更にその上に剥離紙3が設けられている。そし
て、樹脂シート1内には光触媒粒子とこの光触媒粒子の
親水化作用を抑制せず光触媒粒子の酸化還元作用を抑制
する粒子が含まれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鏡、窓ガラス、ゴー
グル等の表面に貼着することで、これらの部材表面に防
曇効果を付与する防曇シールに関する。
【0002】
【従来の技術】湿度が高い環境では鏡や窓ガラス表面に
空気中の水分が水滴となって付着し曇りを生じる。斯か
る曇りを除去する従来の手段は、ヒータ等によって鏡や
窓ガラスの表面温度を高くし、鏡や窓ガラスの表面近傍
の相対湿度を低くすることで、表面に付着した水分を除
去するようにしたものである。
【0003】また、鏡や窓ガラス表面を親水性にして水
との接触角を小さくし、表面に付着した水分を極めて薄
い水膜にすることで防曇効果を持たせることも考えられ
る。
【0004】また、防曇効果を発揮することを目的とし
たものではないが、酸化チタン等の酸化物半導体(光触
媒)粒子層の裏面側に接着層と剥離層を設け、剥離層を
剥がして酸化物半導体粒子層を所望箇所に貼着し、酸化
物半導体の酸化還元作用によって殺菌と脱臭を行うよう
にした先行技術が、特開平8−1010号公報に開示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】鏡や窓ガラスの表面温
度を高くするには、ヒータを内蔵したり、ヒータからの
高温の風を鏡や窓ガラス表面に吹き付ける等、設備が大
掛りとなりコストアップを招き、更に既設のものには適
用しにくい。
【0006】また、鏡や窓ガラス表面を親水性にする手
段として、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂或いは
水性シリコーン等の親水性の塗料を塗布することが考え
られる。しかしながら、これら親水性の塗料の水との接
触角はせいぜい50〜70°で、表面に付着した水分を
極めて薄い水膜にするには不充分であり、更にこれら樹
脂の親水性は、時間の経過とともに失われてしまう。
【0007】本発明者らは、酸化チタン等の光触媒粒子
には酸化還元反応によって汚れや悪臭成分を分解する作
用の他に、物品の表面を親水化(超親水化)する作用を
有するという独自に知見した。
【0008】光触媒粒子による物質の分解作用は、酸化
還元反応に基づくものであり、光触媒粒子に紫外線等を
照射すると、光励起により電子−正孔対が生じ、このう
ち電子は表面酸素を還元してスーパーオキサイドイオン
(O2 -)を生成し、正孔は表面水酸基を酸化して水酸ラ
ジカル(・OH)を生成し、これらの極めて反応性に富
む活性種(O2 -や・OH)の酸化還元反応によって表面
に付着した物質を分解するというものである。
【0009】一方、本発明者らが最近新たに知見した光
触媒粒子の親水化作用は、その理論的根拠は完全には解
明されていないが、光触媒効果によって水酸基(O
-)が光触媒粒子の表面に化学吸着し、或いは水酸基
(OH-)が有機基と置換し、更にこの水酸基(OH-
に空気中の水分子が物理吸着し、物理吸着水が増加する
ことによって表面の親水性が増し、超親水性の表面が実
現すると考えている。
【0010】具体例として、表面層がSi−O結合を有
するシリコーン樹脂からなる場合を説明すると、光触媒
粒子に光を照射する前は図1(a)に示すように、Si
原子にアルキル基(R)が結合しているため、表面層は
疎水性を示すが、光触媒粒子のバンドギャップエネルギ
よりも高いエネルギの光を照射すると、図1(b)に示
すように、まず光触媒効果によってアルキル基(R)が
水酸基(OH-)に置換(化学吸着)され、更にこの水
酸基(OH-)に空気中の水分子が物理吸着して親水性
を発揮する。
【0011】また、光触媒粒子として酸化チタン(Ti
2)のみからなる場合を説明すると、光を照射する前
は図2(a)に示す状態であったものが、光を照射する
と、図2(b)に示すように、空気中の水分を構成する
水酸基(OH-)がTi原子に、水素原子(H+)が酸素
原子(O)に化学吸着し、更にこの水酸基(OH-)や
水素原子(H+)に空気中の水分子が物理吸着して親水
性を発揮する。
【0012】上記の説明で、物質の分解作用と親水化作
用とは全く別のものであることが明らかであるが、具体
的事例を示せば、TiO2でもアナターゼ型のTiO2は酸
化還元反応に基づく物質の分解作用を示すがルチル型の
TiO2は殆ど酸化還元反応に基づく物質の分解作用を示
さない。また光触媒のうちでも酸化錫も酸化還元反応に
基づく物質の分解作用を示さない。これらの光触媒粒子
は伝導帯のエネルギ準位が十分に高くないため還元反応
が進行せず、その結果、伝導帯に光励起された電子が過
剰となり、光励起により生じた電子−正孔対が酸化還元
反応に関与せずに再結合するためと考えられている。し
かしながら、これらルチル型TiO2及び酸化錫のいずれ
も親水化作用は示す。また、物質の分解作用を発揮する
には、光触媒層の厚みとして少なくとも100nm以上
必要であったが、親水化作用をを発揮するには、数nm
以上あれば可能である。これらの事実から光触媒による
物質の分解作用と親水化作用とは全く別のものであると
言える。
【0013】ところで、特開平8−1010号公報に開
示されたシールは、明細書中では親水化作用について触
れていないが、酸化チタン等の光触媒粒子の層を形成し
ているため、親水化作用を発揮するはずである。しかし
ながら、特開平8−1010号公報に記載された技術
は、光触媒粒子の酸化還元反応を利用したものであり、
例えば容易にシート状とするため、或いは鏡やガラスに
貼着しやすくするため、透明樹脂シートに光触媒粒子を
混合するか、透明樹脂シート上に光触媒粒子を積層した
場合には、透明樹脂シートが光触媒粒子の酸化還元反応
によって腐食・劣化してしまう。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸化チタ
ン等の光触媒粒子には酸化還元反応によって汚れ等を分
解する作用の他に、物品の表面を親水化(超親水化)す
る作用を有するという独自に知見した事実、及びナトリ
ウム等のアルカリ金属等は光触媒粒子の親水化作用には
然程影響を与えないが、酸化還元作用は抑制するという
独自に知見した事実に基づいて本発明を成したものであ
る。
【0015】即ち、本発明に係る防曇シールは、裏面側
に接着剤層を設けた樹脂シート内に、光触媒粒子とこの
光触媒粒子の親水化作用を抑制せず光触媒粒子の酸化還
元作用を抑制する粒子を含有せしめた。
【0016】また、本発明に係る他の防曇シールは、樹
脂シートの表面側に光触媒粒子を含有する親水性の表面
層を形成し、また裏面側に接着剤層を設け、更に樹脂シ
ートと表面層との間に光触媒粒子の酸化還元反応による
樹脂シートの劣化を防止する保護層を設けた。
【0017】また、本発明に係る他の防曇シールは、樹
脂シートの裏面側に接着剤層を設け、また樹脂シート内
に光触媒粒子を含有し、この光触媒粒子表面に、光触媒
粒子の酸化還元反応による周囲の樹脂の劣化を防止する
保護膜を形成した。尚、光触媒粒子の外気に露出する部
分の表面の保護膜についてはエッチング等で除去してお
けば、親水化は更に向上する。
【0018】また、接着剤層は樹脂シートの裏面全面に
設ける必要はなく一部にのみ設けてもよく、着色層をい
ずれかの層間に設けてもよい。
【0019】樹脂シートを構成する樹脂としては以下の
ものが挙げられる。メチルトリクロルシラン、メチルト
リブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、
メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラ
ン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポ
キシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロ
ピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラ
ン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルト
リエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシ
ラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキ
シルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラ
ン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルト
リエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシ
ラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシ
ルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n
−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシ
シラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デ
シルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリク
ロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−
オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルト
リエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキ
シシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、
フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニ
ルトリt−ブトキシシラン、テトラクロルシラン、テト
ラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキ
シシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジク
ロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジ
クロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニル
ジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェ
ニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチ
ルジエトキシシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリ
ブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソ
プロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラ
ン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt
−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシ
ラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロ
ピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリt−ブトキシシラン、β−(3、4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラ
ン、及びこれらの部分加水分解物若しくはこれらの混合
物を使用することができる。
【0020】シリコーン樹脂膜の良好な硬度と平滑性を
確保するためには、3次元架橋型シロキサンを10モル
%以上含有させるのが好ましい。更に良好な硬度と平滑
性を確保しながら樹脂膜の十分な可撓性を提供するため
には、2次元架橋型シロキサンを60モル%以下含有さ
せるのが好ましい。また、シリコーン分子の珪素原子に
結合した有機基が光励起により水酸基に置換される速度
を速めるには、シリコーン分子の珪素原子に結合する有
機基がn−プロピル基若しくはフェニル基からなるシリ
コーンを使用するのが好ましい。シロキサン結合を有す
るシリコーンに替えて、シラザン結合を有するオルガノ
ポリシラザン化合物を使用することもできる。
【0021】また、光触媒粒子としては酸化チタンが最
も好ましいが、この他にも、ZnO、SnO2、SrTi
3、WO3、Bi23、Fe23などの金属酸化物が挙げ
られる。これらは表面に金属元素と酸素が存在するため
表面に水酸基(OH-)を吸着しやすく、したがって親
水性を発揮しやすいと考えられる。
【0022】また、光触媒粒子の酸化還元作用を抑制す
る粒子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ア
ルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化アンチモン、無定形
型酸化チタン、アルミニウム、マンガン等が挙げられ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図3は本発明に係る防曇シー
ルを鏡に適用する状態の斜視図、図4は同防曇シールを
自動車のサイドウィンドウに適用する状態の斜視図、図
5は同防曇シールをゴーグルに適用する状態の斜視図、
図6(a)〜(d)は防曇シールの断面図である。
【0024】防曇シールは貼着対象の形状に合せて切断
され、その断面構造の一例は図6(a)に示すように、
透明樹脂シート1の裏面側に接着剤層2が設けられ、更
にその上に剥離紙3が設けられている。尚、接着剤層2
については透明樹脂シート1の裏面全面に設けず、例え
ば連続した円を描くように設けてもよい。このようにす
ると、剥離する場合に楽で、しかも接着剤に起因する着
色を抑制できる。
【0025】そして、透明樹脂シート1内には光触媒粒
子とこの光触媒粒子の親水化作用を抑制せず光触媒粒子
の酸化還元作用を抑制する粒子が含まれている。
【0026】図6(b)に示す断面構造は、光触媒粒子
を含まない透明樹脂からなるベースシート4の表面に光
触媒粒子と光触媒粒子の酸化還元作用を抑制する粒子と
を含有する親水性表面層5を形成している。
【0027】図6(c)に示す断面構造は、光触媒粒子
を含まない透明樹脂からなるベースシート4の上に光触
媒粒子の酸化還元作用を抑制する粒子を含む保護層6を
形成し、この保護層6の上に光触媒粒子を含む親水性表
面層5を形成している。このように保護層6をベースシ
ート4と親水性表面層5との間に設けることで、ベース
シート4に可塑剤が含まれている場合でも、当該可塑剤
によって光触媒粒子の親水化作用が悪影響を受けること
がない。
【0028】図6(d)に示す断面構造は、透明樹脂シ
ート1と接着剤層2の間に着色層7を設けている。この
ように着色層7を設けることで、紫外線による劣化を防
止できる。
【0029】また、光触媒粒子の酸化還元作用を抑制す
る粒子を光触媒粒子と混合したり、保護層6を設ける代
りに、図7(a)に示すように、光触媒粒子8の表面を
光触媒粒子の酸化還元作用を抑制する保護膜9で被覆し
てもよい。この場合には、光触媒粒子8の親水化作用を
高めるべく、表面をアルカリ等でエッチングし、光触媒
粒子8が直接外気に露出するようにすることが好まし
い。
【0030】(実施例1)メチルトリメトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン及び酸性解膠型酸化チタンゾ
ルの混合液を調製した。ここで、メチルトリメトキシシ
ランとジメチルジメトキシシランの混合比は重量比で
7:3とし、酸化チタンゾルの割合は、混合液を100
としてそれぞれ0,5,10,50,80となるように
した。そして、ポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルム基材上に、硝酸ナトリウム水溶液を吹き付け塗
布した後、上記の各混合液を塗布し、100℃で熱処理
して酸化チタンとシリコーンからなる混合層(厚さ0.
1μm)を形成した。上記によって得られたPETフィ
ルム裏面に接着剤を塗布し、市販の鏡の表面に貼着し、
0.5mW/cm2の紫外線を5時間照射した。結果を
以下の(表1)に示す。
【0031】
【表1】
【0032】(実施例2)ポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム基材上に、シリコーン樹脂からなる
保護層を3μmの厚さで形成し、この保護層の上に、実
施例1と同じ混合液を塗布し、酸化チタンとシリコーン
との混合層を0.1μmの厚さで形成した。上記によっ
て得られたPETフィルム裏面に接着剤を塗布し、市販
の鏡の表面に貼着し、0.5mW/cm2の紫外線を5
時間照射した。結果は前記(表1)と同様であった。
【0033】(実施例3)ポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム基材上に、アルミ蒸着膜を形成し
た。アルミ蒸着膜の厚さは1μmと0.05μmとし
た。前者は厚いため鏡として作用し、後者は薄いため熱
線反射膜として作用する。上記のアルミ蒸着膜の上に、
実施例1と同じ混合液を塗布し、酸化チタンとシリコー
ンとの混合層を0.1μmの厚さで形成した。上記によ
って得られたPETフィルム裏面に接着剤を塗布し、市
販の鏡の表面に貼着し、0.5mW/cm2の紫外線を
5時間照射した。結果は前記(表1)と同様であった。
【0034】
【発明の効果】以上に説明した如く本発明によれば、既
存の鏡、窓ガラス、ゴーグル等の表面に簡単に親水性を
付与することができ、しかも紫外線等を照射するだけ
で、長期に亘って親水性を維持することができ、しかも
表面に付着する水分は薄い水膜となるので乾燥が早い。
【0035】また、本発明によれば、鏡、窓ガラス、ゴ
ーグル等の表面に貼着する防曇シールの表面層に光触媒
粒子だけでなく光触媒粒子の親水化作用を抑制せず光触
媒粒子の酸化還元作用を抑制する粒子を含有せしめる
か、光触媒粒子の酸化還元作用を抑制する粒子を含む層
を光触媒粒子からなる層の下地層として設けたので、防
曇効果だけでなく、光触媒粒子を含む樹脂層または光触
媒粒子層に接触する部分が腐食、劣化或いは変色するこ
とがない。
【0036】更に、本発明によれば、剥離可能且つ任意
の形状に切断可能ななシールに親水性を付与したので、
曇り止めが必要な箇所に合せてシールを貼着することが
でき、極めて便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光触媒粒子を含有するシリコーン樹脂表面に親
水性が付与される過程を説明した図
【図2】光触媒粒子からなる表面層に親水性が付与され
る過程を説明した図
【図3】本発明に係る防曇シールを鏡に適用する状態の
斜視図
【図4】同防曇シールを自動車のサイドウィンドウに適
用する状態の斜視図
【図5】同防曇シールをゴーグルに適用する状態の斜視
【図6】(a)〜(d)は防曇シールの断面図
【図7】エッチングによって光触媒粒子を露出せしめる
工程を説明した図
【符号の説明】
1…親水性樹脂シート、2…接着剤層、3…剥離紙、4
…ベースシート、5…親水性表面層、6…保護層、7…
着色層、8…光触媒粒子、9…保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/00 B32B 27/00 M 27/16 27/16 C03C 17/38 C03C 17/38 (72)発明者 千国 真 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 渡部 俊也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂シートの裏面側に接着剤層が設けら
    れ、また樹脂シート内には光触媒粒子とこの光触媒粒子
    の親水化作用を抑制せず光触媒粒子の酸化還元作用を抑
    制する粒子を含有せしめたことを特徴とする防曇シー
    ル。
  2. 【請求項2】 樹脂シートの表面側に光触媒粒子を含有
    する親水性の表面層が形成され、また裏面側に接着剤層
    が設けられ、更に樹脂シートと表面層との間には光触媒
    粒子の酸化還元反応による樹脂シートの劣化を防止する
    保護層が設けられていることを特徴とする防曇シール。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の防曇シールにおいて、
    前記保護層は樹脂シート表面にナトリウム塩溶液を塗布
    して形成したことを特徴とする防曇シール。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の防曇シールにおいて、
    前記保護層はアルミ蒸着膜であることを特徴とする防曇
    シール。
  5. 【請求項5】 樹脂シートの裏面側に接着剤層が設けら
    れ、また樹脂シート内には光触媒粒子が含有され、この
    光触媒粒子表面には、光触媒粒子の酸化還元反応による
    周囲の樹脂の劣化を防止する保護膜が形成されているこ
    とを特徴とする防曇シール。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の防曇シールにおいて、
    前記光触媒粒子の外気に露出する部分の表面の保護膜は
    除去されていることを特徴とする防曇シール。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項4に記載の防曇シー
    ルにおいて、前記接着剤層は樹脂シートの裏面の一部に
    のみ設けられていることを特徴とする防曇シール。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項5に記載の防曇シー
    ルにおいて、この防曇シールは着色層をいずれかの層間
    に設けていることを特徴とする防曇シール。
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