JPH095518A - 偏光ビームスプリッター及びその製造方法 - Google Patents

偏光ビームスプリッター及びその製造方法

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JPH095518A
JPH095518A JP7151747A JP15174795A JPH095518A JP H095518 A JPH095518 A JP H095518A JP 7151747 A JP7151747 A JP 7151747A JP 15174795 A JP15174795 A JP 15174795A JP H095518 A JPH095518 A JP H095518A
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substrate
beam splitter
layer
film
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JP7151747A
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Tatsuya Kitamoto
達也 北本
Hideshi Shibano
秀史 柴野
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光損失がなく、高レーザー耐久性のある偏光
ビームスプリッターを提供することにある。 【構成】 少なくとも、交互に積層された高屈折率層と
低屈折率層からなり、充填率が0.8以上の最外層を有
する多層膜を形成した基板と、前記最外層上に設けた超
精密な光学面を有する基板とからなる偏光ビームスプリ
ッター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体露光装置等にお
いて、紫外領域で発振するエキシマレーザー光に対して
使用される偏光ビームスプリッターに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】マイクロエレクトロニクス・超LSI
(大規模集積回路)の今日の繁栄はリソグラフィー技術
の進歩に支えられている。縮小投影露光技術の粋を集め
られたステッパー(縮小投影露光装置)は集積化の進ん
でいるIC(集積回路)を製造するために使用されてい
る。ICにおける素子の微細化・高集積化が進むにつれ
て、g線(436nm)、i線(365nm)とステッ
パーで用いられる露光用の光の波長の短波長化が進んで
きている。
【0003】現在主流となっている光源は、300nm
以下の紫外領域において発振するエキシマレーザー光で
ある。エキシマレーザー光は、短波長で高エネルギーの
ため従来の光学薄膜では膜破壊が生じる可能性と、主に
光吸収による光損失が発生する可能性があった。そこ
で、エキシマレーザー光用偏光ビームスプリッターとし
て、一方の基板に透明で光損失が少なく、レーザー耐久
性のある酸化物やフッ化物を用いて高屈折率層と低屈折
率層の交互層の多層膜を成膜し、他方の基板と接着剤で
接合する以外に方法はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、偏光分離膜に
光損失が少なく、レーザー耐久性のある酸化物やフッ化
物による高屈折率層と低屈折率層の交互層の多層膜を用
いても、基板との接合に市販の接着剤を用いているた
め、主に光吸収による光損失という問題があった。その
結果、薄膜の分光特性の変化が生じて所定の性能が得ら
れなかったり、装置全体の光効率や寿命を制限してしま
うこととなっていた。
【0005】従来の接着剤では、エキシマレーザー光に
対して吸収を生じないものはなく、また多層膜における
オプティカルコンタクトが可能となるような有効的な成
膜方法はなかった。本発明の目的は、光損失がなく、高
レーザー耐久性のある偏光ビームスプリッターを提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は第一に「少なく
とも、交互に積層された高屈折率層と低屈折率層からな
り、充填率が0.8以上の最外層を有する多層膜を形成
した基板と、前記最外層上に設けた超精密な光学面を有
する基板とからなる偏光ビームスプリッター(請求項
1)」を提供する。
【0007】また、本発明は第二に「少なくとも、交互
に積層された高屈折率層と低屈折率層からなり、充填率
が0.8以上の最外層を有する多層膜を形成した一対の
基板を、前記各最外層を接合面として接合してなる偏光
ビームスプリッター(請求項2)」を提供する。また、
本発明は第三に「高屈折率層を構成する材料として、A
l2O3、ZrO2、HfO2、Sc2O3、Y2O3、NdF
3、LaF3、YbF3、CeF3、ThF4、低屈折率物
質を構成する材料として、SiO2、MgO、MgF2、
Na3AlF6、Na5Al3F14、AlF3、CaF2、N
aF、LiFから選ばれた請求項1又は2記載の偏光ビ
ームスプリッター(請求項3)」を提供する。
【0008】また、本発明は第四に「前記最外層がSi
O2、Al2O3であることを特徴とする請求項1又は2
記載の偏光ビームスプリッター(請求項4)」を提供す
る。また、本発明は第五に「少なくとも、交互に積層さ
れた高屈折率層と低屈折率層からなり、充填率が0.8
以上の最外層を有する多層膜を形成した基板と、前記最
外層上に設けた超精密な光学面を有する基板とからなる
偏光ビームスプリッターの製造方法であって、前記基板
上に前記多層膜を真空中で成膜しつつ、イオンビームを
膜表面に照射するイオンビームアシスト法により形成す
る工程と、前記多層膜と超精密な光学面を有する基板と
を接合する工程とからなることを特徴とする偏光ビーム
スプリッターの製造方法(請求項5)」を提供する。
【0009】また 本発明は第六に「少なくとも、交互
に積層された高屈折率層と低屈折率層からなり、充填率
が0.8以上の最外層を有する多層膜を形成した一対の
基板を、前記各最外層を接合面として接合してなる偏光
ビームスプリッターの製造方法であって、前記基板上に
前記多層膜を真空中で成膜しつつ、イオンビームを膜表
面に照射するイオンビームアシスト法により形成する工
程と、前記対向する一対の基板の各々に形成された前記
多層膜を互いに接合する工程とからなることを特徴とす
る偏光ビームスプリッターの製造方法(請求項6)」を
提供する。
【0010】また、本発明は第七に「前記多層膜のうち
フッ化物層及びSiO2層は、酸素ガスを導入すること
なく成膜されることを特徴とする請求項5又は6記載の
偏光ビームスプリッターの製造方法(請求項7)」を提
供する。また、本発明は第八に「前記接合する工程が接
着剤などを用いずに直接接合させるオプティカルコンタ
クト法であることを特徴とする請求項5又は6記載の偏
光ビームスプリッターの製造方法(請求項8)」を提供
する。
【0011】
【作用】高屈折率層を構成する材料としては、波長19
3nmの光に対する屈折率が約1.6以上であるAl2
O3、ZrO2、HfO2、Sc2O3、Y2O3、NdF3、
LaF3、YbF3、CeF3、ThF4及びこれらの混合
物である。また、低屈折率層を構成する材料としては、
前記波長の光に対する屈折率が約1.6以下であるSi
O2、MgO、MgF2、Na3AlF6、Na5Al3F1
4、AlF3、CaF2、NaF、LiF及びこれらの混
合物である。
【0012】本発明に係る偏光ビームスプリッターは、
高屈折率層と低屈折率層の交互層で構成されているが、
それぞれ1種類の物質に必ずしも限定されるものではな
く、2種類以上の物質で構成されていてもかまわない。
接合面に相当する層としては充填率が約0.8以上であ
ることが好ましい。さらに好ましくは、接合面に相当す
る層の材料がSiO2、Al2O3で、充填率が約0.8
以上であることが好ましい。
【0013】イオン源から生成されたArや酸素ガスな
どのイオンビームを形成されつつある膜の表面に照射す
るイオンビームアシスト法を用いることにより、形成さ
れつつある膜はイオンの持つエネルギーにより結合の弱
い部分がスパッタされたり、表面が押し固められたりす
る。その結果、膜の充填率が大きくなる。基板上に成膜
された膜の充填率を大きくすることで、よく研磨された
基板上に成膜された膜と、超精密な光学面を有する基
板、又は基板上に成膜された膜とを接着剤などを用いず
に直接接合する(オプティカルコンタクト)ことがで
き、接合後は乖離することはない。
【0014】超精密な光学面を有する基板とは、表面粗
さが約0.5nm以下の基板である。膜の充填率が約
0.8より小さく又は基板表面粗さが約0.5nmより
大きい場合は両面の間の接触面積が小さく、接合力が弱
くなる。酸素ガスを導入することなく成膜されたSiO
2膜は、酸素を導入して成膜されたSiO2膜に比べて、
エキシマレーザー光に対して光損失が少ない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、図面は説明のため簡略化、模式化して
ある。 〔実施例1〕波長193nmの光に対する屈折率が1.
56である合成石英の基板表面に、第1層として屈折率
物質であるAl2O3、第2層として低屈折率物質である
SiO2を成膜し、順次この構成を繰り返して積層し、
最外層である第25層がAl2O3となるような多層膜を
形成する。各層の薄膜は、Al2O3層については酸素ガ
スを導入して、SiO2層については酸素ガスを導入す
ることなく一般的な真空蒸着法によって成膜する。
【0016】成膜中にArや酸素ガスなどのイオンビー
ムを膜表面に照射するイオンビームアシスト法を用いて
膜の充填率を大きくする。本実施例のプリズム型偏光ビ
ームスプリッターは、波長193nmの光に対して、入
射光に対する反射光のP偏光成分の反射率Rpが0%、
S偏光成分の反射率Rsが出来るだけ100%に近いよ
うにし、また、入射光に対する角度特性も出来るだけ広
くするように考慮した設計となっている。このとき、偏
光分離膜への入射角の最適角度は成膜する高屈折率物質
と低屈折率物質の組み合わせにより異なる。波長193
nmの光に対する屈折率が1.87の高屈折率物質Al
2O3と屈折率が1.55の低屈折率物質SiO2のとき
は50度となる。
【0017】また、その光学的膜厚は高屈折率物質Al
2O3が0.32λ0、低屈折率物質SiO2が0.39λ
0となっている(λ0=193nm)。本実施例では25
層の多層膜となっているが、繰り返しの層を増やすこと
によってS偏光成分の反射率Rsを100%により近づ
け、その帯域幅を広くすることが出来る。これは以下に
示す実施例2、実施例3でも同様である。 〔実施例2〕波長193nmの光に対する屈折率が1.
56である合成石英の基板表面に、第1層として低屈折
率物質であるSiO2、第2層として高屈折率物質であ
るLaF3を成膜し、順次この構成を繰り返して積層
し、最外層である第39層目がSiO2となるような多
層膜を形成する。各層の薄膜は、LaF3層とSiO2層
については共に酸素ガスを導入することなく一般的な真
空蒸着法によって成膜する。
【0018】さらに実施例1と同様に、成膜中にArや
酸素ガスなどのイオンビームを膜表面に照射するイオン
ビームアシスト法を用いて蒸着する。本実施例のプリズ
ム型偏光ビームスプリッターは、実施例1と同様な事が
考慮されて設計されている。このとき、偏光分離膜への
入射角の最適角度は、波長193nmの光に対する屈折
率が1.68の高屈折率物質LaF3と屈折率が1.5
5の低屈折率物質SiO2のときは47度となる。ま
た、その光学的膜厚は高屈折率物質LaF3が0.34
λ0、低屈折率物質SiO2が0.37λ0となっている
(λ0=193nm)。 〔実施例3〕波長193nmの光に対する屈折率が1.
56である合成石英の基板表面に、第1層として高屈折
率物質であるLaF3、第2層として低屈折率物質であ
るAlF3を成膜し、順次この構成を繰り返して積層
し、最外層である第21層がLaF3となるような多層
膜を形成する。各層の薄膜は、LaF3層とAlF3層に
ついては共に酸素ガスを導入することなく一般的な真空
蒸着法によって成膜する。
【0019】さらに実施例1と同様に、成膜中にArや
酸素ガスなどのイオンビームを基板面に照射するイオン
ビームアシスト法を用いて蒸着する。本実施例のプリズ
ム型偏光ヒームスプリッターは、実施例1と同様な事が
考慮されて設計されている。このとき、偏光分離膜への
入射角の最適角度は、波長193nmの光に対する屈折
率が1.68の高屈折率物質LaF3と屈折率が1.3
9の低屈折率物質AlF3のときは43度となる。
【0020】また、その光学的膜厚は高屈折率物質La
F3が0.34λ0、低屈折率物質AlF3が0.37λ0
となっている(λ0=193nm)。 〔実施例4〕実施例1、実施例2、実施例3の様に成膜
された合成石英の基板と、超精密な光学面を有する基板
とを、接着剤などを用いずに直接接合する方法(オプテ
ィカルコンタクト)により接合する。
【0021】接合面に相当する層である最外層の充填率
が0.8以上であることが好ましい。実施例1、2で
は、成膜された膜の最外層として充填率の高い膜材料の
SiO2、Al2O3が用いられ、それらの膜の充填率を
更に高めるために成膜中にArや酸素ガスなどのイオン
ビームを膜表面に照射するイオンビームアシスト法を用
いて成膜されているので、充填率が0.8以上であり、
接合効果をより一層高めることができ、接合後の乖離を
防ぐことができる。
【0022】また、実施例3では最外層のLaF3は、
成膜中にArや酸素ガスなどのイオンビームを基板面に
照射するイオンビームアシスト法を用いて膜の充填率が
0.8以上であるので、接合可能であり、接合後は乖離
することがない。本実施例では、接合する基板の一方に
しか成膜していないが、これは一方の基板への成膜に限
定するものではなく、両方の基板に成膜したものを接合
してもよい。
【0023】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、基板の表面に積層された紫外域で吸収の少ない高
屈折率層と低屈折率層とからなる多層膜を、成膜中にA
rや酸素ガスなどのイオンビームを膜表面に照射して充
填率を0.8以上にし、またより好ましくは最外層に充
填率の高い膜材料(SiO2、Al2O3)を用いて、成
膜中にArや酸素ガスなどのイオンビームを膜表面に照
射して充填率を0.8以上にすることにより、超精密な
光学面を有する基板又は同様な方法で基板上に成膜した
多層膜とオプチカルコンタクト法により接着剤を用いる
ことなく接合できるので、接着剤の主に吸収による光損
失がない。
【0024】したがって、薄膜の所定の分光特性を有す
る偏光ビームスプリッターを得ることができ、装置全体
の光効率が良く、寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される偏光ビームスプリッターの
概略断面図である。
【図2】本発明で使用される偏光ビームスプリッターの
概略斜視図である。
【図3】本発明で使用される実施例1、2、3の多層膜
の構成断面図である。
【図4】本発明で使用される実施例1のS偏光成分の反
射率特性図である。
【図5】本発明で使用される実施例2のS偏光成分の反
射率特性図である。
【図6】本発明で使用される実施例3のS偏光成分の反
射率特性図である。
【図7】本発明で使用される実施例4の膜の付いた基板
と超精密な光学面を有する基板の接合の概略図である。
【図8】本発明で使用される実施例4の膜の付いた基板
同士の接合の概略図である。
【符号の説明】
1・・・・・・第1基板(プリズム) 2・・・・・・第2基板(プリズム) 3・・・・・・多層膜 4・・・・・・入射光 5・・・・・・反射光 6・・・・・・透過光 7・・・・・・高屈折率層 8・・・・・・低屈折率層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、交互に積層された高屈折率
    層と低屈折率層からなり、充填率が0.8以上の最外層
    を有する多層膜を形成した基板と、前記最外層上に設け
    た超精密な光学面を有する基板とからなる偏光ビームス
    プリッター。
  2. 【請求項2】 少なくとも、交互に積層された高屈折率
    層と低屈折率層からなり、充填率が0.8以上の最外層
    を有する多層膜を形成した一対の基板を、前記各最外層
    を接合面として接合してなる偏光ビームスプリッター。
  3. 【請求項3】 高屈折率層を構成する材料として、Al
    2O3、ZrO2、HfO2、Sc2O3、Y2O3、NdF
    3、LaF3、YbF3、CeF3、ThF4、低屈折率物
    質を構成する材料として、SiO2、MgO、MgF2、
    Na3AlF6、Na5Al3F14、AlF3、CaF2、N
    aF、LiFから選ばれた請求項1又は2記載の偏光ビ
    ームスプリッター。
  4. 【請求項4】 前記最外層がSiO2、Al2O3である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の偏光ビームスプ
    リッター。
  5. 【請求項5】 少なくとも、交互に積層された高屈折率
    層と低屈折率層からなり、充填率が0.8以上の最外層
    を有する多層膜を形成した基板と、前記最外層上に設け
    た超精密な光学面を有する基板とからなる偏光ビームス
    プリッターの製造方法であって、 前記基板上に前記多層膜を真空中で成膜しつつ、イオン
    ビームを膜表面に照射するイオンビームアシスト法によ
    り形成する工程と、 前記多層膜と超精密な光学面を有する基板とを接合する
    工程とからなることを特徴とする偏光ビームスプリッタ
    ーの製造方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも、交互に積層された高屈折率
    層と低屈折率層からなり、充填率が0.8以上の最外層
    を有する多層膜を形成した一対の基板を、前記各最外層
    を接合面として接合してなる偏光ビームスプリッターの
    製造方法であって、 前記基板上に前記多層膜を真空中で成膜しつつ、イオン
    ビームを膜表面に照射するイオンビームアシスト法によ
    り形成する工程と、 前記対向する一対の基板の各々に形成された前記多層膜
    を互いに接合する工程とからなることを特徴とする偏光
    ビームスプリッターの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記多層膜のうちフッ化物層及びSiO
    2層は、酸素ガスを導入することなく成膜されることを
    特徴とする請求項5又は6記載の偏光ビームスプリッタ
    ーの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記接合する工程が接着剤などを用いず
    に直接接合させるオプティカルコンタクト法であること
    を特徴とする請求項5又は6記載の偏光ビームスプリッ
    ターの製造方法。
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