JPH0952279A - 多層ブロー成形品及びブロー成形用金型 - Google Patents

多層ブロー成形品及びブロー成形用金型

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JPH0952279A
JPH0952279A JP20464495A JP20464495A JPH0952279A JP H0952279 A JPH0952279 A JP H0952279A JP 20464495 A JP20464495 A JP 20464495A JP 20464495 A JP20464495 A JP 20464495A JP H0952279 A JPH0952279 A JP H0952279A
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blow
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inner layer
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Akira Ota
彰 大田
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リサイクル樹脂化の容易な高密着易剥離型の
多層ブロー成形品及びブロー成形用金型を提供するこ
と。 【解決手段】 最外層および内層の少なくとも二層から
なる多層ブロー成形品であって、成形品外表面の略半分
の面積を占める領域Iの最外層Aと残り略半分の面積を
占める領域IIの最外層Bとが異なる熱可塑性樹脂で形成
され、少なくとも一方の最外層が該二領域の境界線付近
で境界線のほぼ全周にわたり内層とともに内側へ折り曲
げられて、内層のU字状凹部内に強固に挟持されている
ことを特徴とする多層ブロー成形品、及びブロー成形用
の二つの割り金型の一方の片側内に往復動作自在に複数
のスライドピースと、他方の金型の片側内には該スライ
ドピースの後退方向と直角方向に移動自在なスライドプ
レートとが設置されていることを特徴とするブロー成形
用金型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層ブロー成形品、
特にリサイクル樹脂化の容易な高密着易剥離型の多層ブ
ロー成形品及びブロー成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】多層ブロー成形品は従来より良く知られ
ており、容器やタンク類の大型成形品の例としては(H
DPE層/接着層/PA層/接着層/HDPE層)とい
う3種5層の層構成をもつ自動車用ガソリンタンクが有
名である。また、特開平2−88214号公報や特開平
4−14427号公報には特殊な多層形態をした自動車
バンパーの例が記載されている。さらに、特開平6−1
55560号公報には前面側外表面と後面側外表面が異
なる樹脂で形成された多層ブロー成形品の例が開示され
ている。多層化の第一義的な目的はもちろん異なる性質
の樹脂層を複数積層することによる製品機能向上であ
る。従来の多層化では上記の例が全てそうであるよう
に、互いに化学的接着性のある樹脂どうしを用いるか又
は間に接着性樹脂の層を付加して各層の化学的接着性を
高めるのが一般的である。
【0003】これに対して、特開平5−77345号公
報には、各層間が剥離自在とし、部分的に接着層を形成
させるとともに両層の重合断面が外部に露出した積層ボ
トルが提案されている。この積層ボトルは内容物が減少
して容器内が減圧した場合、内層側が外層側より剥離し
て縮小し、外層側のボトル外観形状の変化を防止させる
のが特徴である。又、特開平5−213373号公報で
は、内外層の間に接着性のない中間層を設けた三層構造
の壁部で、中間層以外を構成する樹脂は中間層を形成す
る樹脂より成形収縮率の高い樹脂とし且つ本体底部に通
気孔を形成した容器が提案されている。この容器は、成
形収縮率の高い内層が中間層より剥離する方向に収縮
し、一方外層は中間層の存在で収縮が阻止されて一体構
造的な壁部を構成することで外観が変形することなく内
容物を最後まで排出させるのが特徴である。ただし構造
が複雑であり、特に射出成形をも組合わせる点で成形工
程も複雑なものとなっている。
【0004】多層ブロー成形品には上記した特開平5−
77345号公報や特開平5−213373号公報に記
載されているような特殊な用途の容器もあるが、大半は
特開平2−88214号公報や特開平4−14427号
等公報に記載されている例のように、各層間は強く化学
的に接着しているのが一般的である。こうした各層間が
強く化学的に接着している多層製品は、リサイクル樹脂
化が困難なことが欠点である。すなわち、成形過程で発
生するバリや廃棄された製品を回収し粉砕・再造粒して
リサイクル樹脂化しようとする際、物性の異なる複数樹
脂が混在したままでは、回収されたリサイクル樹脂はそ
れぞれの樹脂の持つ固有の優れた物性がどれも継承され
ず、著しく低いグレードになってしまうのが一般的だか
らである。
【0005】特開平2−227210号公報や特開平4
−341805号公報には複数樹脂を未分離のままリサ
イクルして一定レベル以上の物性を有する再生樹脂を得
る方法や、それら再生樹脂を利用する方法等が記載され
ているが、これらにしても組み合わせ得る樹脂の種類に
は限定があって、どのような樹脂の組み合わせでも可能
という普遍性があるわけではない。一方では、多層製品
を各層に分離した上で再生樹脂化しようとする試みもな
されている。各層ごとに分離されてしまえば、それぞれ
の層はそれぞれ単一の樹脂でできているので、再生樹脂
も元の単一樹脂に極めて近い物性のものが作れる可能性
が高い。しかし、化学的に強く接着している多層製品を
各層ごとに分けることは、化学的に分離するにしろ機械
的に剥離するにしろ、現状では大がかりな設備が必要に
なって、とても経済的に採算の合うことではないという
問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】こうした問題点を解決
するための手段の一つとして、本来化学的に接着しない
樹脂どうしを用いて多層化し、かつ該樹脂の持つ成形収
縮率の差によって外層側が内層側を締め付けるようにす
ることにより、製品として使用されている時は各層間の
高密着度が保持されているが、分離を目的として機械的
に剥がそうとすれば各層が容易にしかも奇麗に剥離でき
るよう形成された多層ブロー成形品(いわゆる高密着易
剥離多層ブロー成形品)を先に本発明者は提案している
(特願平6−1379号)。
【0007】この方法は勿論普通の多層ブロー成形品に
も適用できるし、また前面側外表面と後面側外表面に化
学的に接着しない異なる樹脂層を配した多層ブロー成形
品にも適用できるが、特に後者の場合には、図19に模
式的に示すように前面側外層2と後面側外層3の境界線
付近に例えば平板状突出部分2’,3’を設け、この部
分をボルトa・ナットb等の締結部品で強固に締結する
必要が生じる。こうした方法で前面側外層2と後面側外
層3を締結することは、技術的にはそれ自体さほど難し
いことではないが、製品のデザイン上こうした突出部分
を設けることが許されない場合には問題となる。
【0008】従ってこの方法では突出部分を設けること
なく強固に締結したのと同じ状態になるように前面側外
層と後面側外層の境界線付近に改善の余地が残されてい
た。そこで本発明は、こうした課題に鑑みてなされたも
のであって、成形品の外側に向かって突出する部分を設
けることなく、製品として使用されている時には各層間
の高密着度が保持されているが、分離を目的として機械
的に剥がそうとすれば各内外層或いは前・後面各外層が
容易にしかも奇麗に剥離できるよう形成されている高密
着易剥離性多層ブロー成形品を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、最外層
および内層の少なくとも二層以上からなる多層ブロー成
形品であって、成形品外表面の略半分の面積を占める領
域Iの最外層Aと残り略半分の面積を占める領域IIの最
外層Bとが異なる熱可塑性樹脂で形成され、少なくとも
一方の最外層が該二領域の境界線付近で境界線のほぼ全
周にわたり内層とともに内側へ折り曲げられて、内層の
U字状凹部内に強固に挟持されていることを特徴とする
ものである。なお上記多層ブロー成形品が略平板状の二
重壁形状の場合は、領域IとIIがそれぞれ成形品の前面
側外表面と後面側外表面とし、該二領域の境界線が平板
の外周部とするのが望ましい。また上記多層ブロー成形
品が深絞り二重壁の箱型成形品の場合は、領域IとIIが
それぞれ成形品の内部側外表面と外部側外表面とし、該
二領域の境界線が箱型の上縁部とするのが望ましい。
【0010】本発明のうちで請求項6記載の発明は、ブ
ロー成形用の二つの割り金型の一方の片側内に往復動作
自在な複数のスライドピースと、他方の金型の片側内に
は該スライドピースの後退方向と直角方向に移動自在な
スライドプレートとが設置されていることを特徴とする
ものである。更にまた請求項7記載の発明は、ブロー成
形用の二つの割り金型の一方の片側内に往復動作自在な
スライドフレームと、他方の金型の片側内には該スライ
ドフレームの後退方向と直角方向に開閉自在複数の可動
側板とが設置されていることを特徴とするものである。
【0011】ここで本発明の多層ブロー成形品は、最外
層を形成する熱可塑性樹脂が二領域で異なる構成とされ
る。ここで、熱可塑性樹脂が異なるとは、物性値等が本
質的に異なっているものであって、通常は化学的に全く
接着しない異種類の樹脂が主体となるが、場合によって
は一部の樹脂部分が化学的に接着する同一種類の樹脂を
含む単一重合体と二種以上の共重合体の組み合わせであ
ってもよい。いずれの場合でも所望とする樹脂物性値が
お互いに異なるものであれば、本発明の対象とすること
ができる。さらに、上記最外層Aと最外層Bの少なくと
も一方は、それと接する内層と互いに化学的に接着しな
い異種類の熱可塑性樹脂で形成されていることが特にコ
スト的に高い最外層の樹脂を節約する必要上から望まし
い。さらにまた上記最外層Aと最外層Bの一方は、単一
の樹脂で形成されている内層と同一の樹脂で形成されて
いる方が、境界付近での化学的接着性の面で望ましい。
【0012】また上記本発明の請求項1において、少な
くとも一方の最外層を二領域の境界線付近で内層ととも
に内側へ折り曲げ、内層のU字状凹部内に強固に挟持さ
せるには、多層ブロー成形段階で同時に形成できる。例
えば二つの割り金型の一方の片側内に往復動作自在な複
数のスライドピース(又はスライドフレーム)と、他方
の金型の片側内にはスライドピース(又はスライドフレ
ーム)の後退方向と直角方向に移動自在なスライドプレ
ート(又は複数の可動側板)とが設置されたものを使用
する。ブロー成形に際しては、かかる二つの割り金型の
片側の金型内に、所定の位置の周辺から一定厚みの複数
のスライドピース(又はスライドフレーム)を金型内部
へ突出させた状態で、多層パリソンを最外層の二領域の
境界線付近がスライドピース(又はスライドフレーム)
に近い位置になるように二つの割り金型内に挟みブロー
成形する。これによって多層パリソンは金型内壁面(キ
ャビテイ)全面に密着して賦形される。
【0013】次いで多層パリソンが金型内壁面全面に密
着した段階で全てのスライドピース(又はスライドフレ
ーム)を金型内から後退させれば、後退した跡には境界
線付近の多層パリソンの壁面がスライドピース(又はス
ライドフレーム)面に沿ってU字状に折り曲げられた空
隙部分が形成されている。そこで他方の割り金型の内壁
面から、スライドピース(又はスライドフレーム)の後
退方向と直角方向に移動自在なスライドプレート(又は
複数の可動側板)を突出させてブロー成形品に圧縮力を
加える操作を行えば、上記のU字状に折り曲げられた空
隙部分が強制的に圧縮されて、少なくとも一方の最外層
が該二領域の境界線付近で境界線のほぼ全周にわたり内
層とともに内側へ折り曲げられ、内層のU字状凹部内に
強固に挟持された本発明の多層ブロー成形品を容易に得
ることができる。これらの詳細については、後述する実
施例1,2で説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明多層ブロー成形品の
実施の形態を、図示例とともに説明する。図1は本発明
の一例としての、略平板状多層ブロー成形品1の外観
(一部切断面を含む)の模式図を示す。この成形品1は
机やテーブルの天板、家具やシステムキッチン等のド
ア、パーティション、側板等を念頭においた試作品であ
り、この成形品の層構成は前面側最外層2の領域Iと,
後面側最外層3の領域II及び内層4との2層で、内層4
側は単一の樹脂で構成されている。しかも後面側の最外
層樹脂3と同じ樹脂を用いた。最外層2,3の二領域の
境界線5が平板の外周部にある。なお図2は切断面をよ
り詳細に示した模式図である。図2から明らかな如く平
板の外周部である二領域の境界線5付近で境界線のほぼ
全周にわたり前面側最外層2aが内層4とともに内側へ
折り曲げられ、内層のU字状凹部4a内に強固に挟持さ
れているものである。
【0015】また図11は、本発明の他の一例を示すも
ので、略凹型深絞り二重壁多層ブロー成形品19の外観
(一部切断面を含む)の模式図を示す。この成形品19
はクーラーボックス、コンソールボックスや各種コンテ
ナ、冷蔵庫の本体等を念頭に置いた試作品であり、この
成形品の層構成も内部側最外層2,外部側最外層3の二
領域と内層4との2層で、内層4側は単一の樹脂で構成
されており、しかも外壁側の最外層樹脂3と同じ樹脂を
用いた。最外層2,3の二領域の境界線が箱型の上縁部
にある。図12は切断面をより詳細に示した模式図であ
る。図12から明らかな如く箱型の上縁部である二領域
の境界線5付近で境界線のほぼ全周にわたり内部側最外
層2aが内層4とともに内側へ折り曲げられ、内層のU
字状凹部4a内に強固に挟持されているものである。
【0016】これら本発明の多層ブロー成形品は、その
外表面の略半分の面積を占める最外層の領域Iと残り略
半分の面積を占める最外層の領域IIの少なくとも一方が
該二領域の境界線付近で境界線のほぼ全周にわたり内層
とともに内側へ折り曲げられ、内層のU字状凹部内に強
固に挟持されているので、該二領域を締結するための成
形品外側に向かう平板状突出部分を設ける必要がなく、
製品デザインに制約を課すことなく実現することができ
る。換言すれば、製品がその外表面の略半分の面積を占
める領域と残り半分の面積を占める領域とに区画される
形状においては、該二領域の締結が製品デザインにほと
んど何の変更も加えることなく実施できるのである。
【0017】
【実施例】以下にこれら略平板状多層ブロー成形品と略
凹型深絞り二重壁多層ブロー成形品の具体的な成形法に
関する実施例を詳細に説明する。
【0018】実施例1 図1に示す略平板状多層ブロー成形品1は、内部が中空
であって、使用樹脂は具体的には前面側最外層2の領域
Iにおける樹脂がABS樹脂であり、後面側最外層3の
領域II及び内層4は、成形収縮率が該ABS樹脂より小
さくなるよう調製したフィラー強化PP樹脂である。図
2に示されているように、成形品の二領域の境界線5が
平板の外周部の中央にあり、かつ該境界線付近5の前面
側最外層2aが内層4とともに内側へ折り曲げられ、内
層のU字状凹部4a内に強固に挟持されているために、
成形品の使用状態でこれらの二種類の樹脂層が分離する
ことはないが、これら二種類の樹脂層は化学的には接着
していないので、内層のU字状凹部4a内に強固に挟持
されている境界線付近5だけを成形品から切断(必要に
応じて除去)してしまえば、前面側最外層2は内層4と
後面側最外層3(この両者は化学的に接着)から容易に
しかも奇麗に剥離することができる。
【0019】図3に、成形品1を得るのに用いたブロー
成形金型の模式図を示す。図3は型締めして左右の金型
半体6,7を閉じた状態である。図4及び図5に図3の
X−X断面の模式図を示す。金型左半体6には金型のキ
ャビティの4周にそれぞれ油圧シリンダー8等により往
復動作自在に所定の厚みのスライドピース9,10,1
1,12が設けられ、また金型右半体7には油圧シリン
ダー13等で往復動作自在にスライドプレート14が設
けられている。図4は4個のスライドピース9〜12が
全て前進した状態であり、図5は全て後退した状態であ
る。図3のスライドプレート14は後退した状態であ
る。
【0020】以下にブロー成形工程を順を追って説明す
る。 パリソン射出工程 まずブロー成形機の先端ダイ15からパリソン16が射
出される。図6は射出された多層パリソン16の下端1
7がピンチされプリブローされて、型開き状態で待機中
の左右の金型半体6,7の間に垂下した状態である。こ
の時点では、金型左半体6のスライドピース9〜12は
全て前進した状態にあり、また金型右半体7のスライド
プレート14は後退した状態にある。 型締工程 次に型締めが行われる。図7は型締めによって左右の金
型半体6,7が多層パリソン16を挟み込んで金型キャ
ビティに閉じた状態である。
【0021】ブローアップ工程 次にブローアップが行われる。図8は金型キャビティに
閉塞された多層パリソン内に圧縮気体が注入されてパリ
ソンがキャビティ形状にまで膨張した状態である(圧縮
気体を注入するための装置であるブローピンは図示せ
ず)。図7及び図8に示された型締工程及びブローアッ
プ工程の時点では、まだ金型左半体6の4個のスライド
ピース9〜12は全て前進したままであり、金型右半体
7のスライドピース14は後退したままである。
【0022】賦形工程 次に製品の最終賦形が行われる。この時点で金型左半体
6の4個のスライドピース9〜12が一斉に後退し、後
退した跡には境界線付近の多層パリソンの壁面がスライ
ドピース面に沿ってU字状に折り曲げられた空隙部分が
形成されている。そこでほぼ同時に(若干の時間差をお
いて)他方の割り金型7の内壁面から、スライドピース
9〜12の後退方向と直角方向に移動自在なスライドプ
レート14を前進させてブロー成形品に圧縮力を加えれ
ば、上記のU字状に折り曲げられた空隙部分が強制的に
圧縮されて、少なくとも一方の最外層が該二領域の境界
線付近で境界線のほぼ全周にわたり内層とともに内側へ
折り曲げられ、内層のU字状凹部4a内に強固に挟持さ
れた製品1が形成される。
【0023】図9が製品1の前面側最外層2が後面側外
層3との境界線5附近で内層側4のU字状凹部4a内に
侵入し、その侵入部分が内層側4によって強固に挟持さ
れている状態である。同時に、この工程で金型外のバリ
18はスライドプレート14の前進による力によって金
型内の製品1から完全に切り離される。 型開き及び製品脱型工程 最後に金型6,7が開き製品1が金型内から取り出され
る。図10がこの状態である(除去されたバリは図示せ
ず)。
【0024】実施例2 図11は他の実施例に係わる略凹型深絞り二重壁多層ブ
ロー成形品19外観(一部切断面を含む)の模式図を示
す。この成形品19の層構成も2層で、内層4側は単一
の樹脂で構成されており、しかも外部側最外層3と同じ
樹脂を用いた。図12は切断面をより詳細に示した模式
図である。この成形品19の使用樹脂は、内壁側最外層
2が実施例1の成形品と同様のABS樹脂で、外部側最
外層3および内層4は成形収縮率が該ABS樹脂より大
きいフィラー強化PP樹脂である。
【0025】図12に示されているように、略凹型成形
品19の該二領域の境界線5が箱型の上縁部の中心から
少し外れた位置にありかつ境界線5付近の内部側最外層
2aが内層4のU字状凹部4a内に侵入してしかも強固
に挟持されているために、成形品の状態でこれら二樹脂
が分離することはないが、これら二樹脂は化学的には接
着していないので、ABS樹脂の侵入部分付近だけを成
形品から切断(除去)してしまえば、容易にしかも奇麗
に剥離することができる。
【0026】図13に成形品19を得るのに用いたブロ
ー成形金型の模式図を示す。図13は型締めして左右の
金型半体6,7を閉じた状態である。金型左半体6には
油圧シリンダー8等により開閉自在に4個の可動側板2
0が固定底部21の4辺にそれぞれヒンジ22を介して
取り付けられ、固定底部21に対して、あたかも花弁が
開花する時のような開閉運動ができるよう構成されてい
る。図13は4個の可動側板20が全て閉じた状態であ
る(2つの可動側板は図示せず)。また金型右半体7に
は油圧シリンダー13等で往復動作自在に四角形をした
縦長のリングのような形状のスライドフレーム23が設
けられている。図13はスライドフレーム23が金型キ
ャビテイ内へ前進した状態である。
【0027】以下に成形工程を順を追って説明する。 パリソン射出工程 まずブロー成形機の先端ダイ15からパリソン16が射
出される。図14は射出された多層パリソン16の下端
17がピンチされプリブローされて、型開き状態で待機
中の左右の金型半体6,7の間に垂下した状態である。
この時点では、金型左半体6の4個の可動側板20は全
て開いた状態にあり、また金型右半体7のスライドフレ
ーム23は後退した状態にある。 型締工程 次に型締めが行われる。図15は型締めによって左右の
金型半体6,7が多層パリソン16を挟み込んで閉じた
状態である。この時点では、金型左半体6の4個の可動
側板20はその先端のエッジ24(図13参照)が金型
右半体7のエッジ25に一部接触する状態にまで閉じて
おり、且つ金型右半体7のスライドフレーム23は金型
キャビテイ内へ前進した状態にある。
【0028】ブローアップ工程 次にブローアップが行われる。図16は金型キャビティ
に閉塞された多層パリソン16内に圧縮気体が注入され
てパリソンがキャビティ形状にまで膨張した状態である
(圧縮気体を注入するための装置であるブローピンは図
示せず。)。このブローアップ工程ではまだ金型右半体
7のスライドフレーム23は前進したままである。
【0029】賦形工程 次に製品の最終賦形が行われる。この時点で金型右半体
の四角形をした縦長のリング形状のスライドフレーム2
3が後退し、後退した跡には境界線付近の多層パリソン
の壁面がスライドフレーム23面に沿ってU字状に折り
曲げられた空隙部分が形成されている。ほぼ同時に(若
干の時間差をおいて)、金型左半体の4個の可動側板2
0がスライドフレーム23の後退方向とほぼ直角方向で
可動側板20の先端エッジ24(図13参照)と金型右
半体7のエッジ25が完全に接触する最終位置まで閉じ
てブロー成形品に圧縮力を加えれる。
【0030】図17が、この工程によって上記のU字状
に折り曲げられた空隙部分が強制的に圧縮されて、少な
くとも一方の最外層が該二領域の境界線付近で境界線の
ほぼ全周にわたり内層とともに内側へ折り曲げられ、内
層のU字状凹部4a内に強固に挟持されている状態であ
る。同時に、この工程で金型外のバリ18は金型左半体
の4個の可動側板20の最終位置まで閉じる力によって
金型内の製品19から完全に切り離される。 型開き及び製品脱型工程 最後に金型6,7及び可動側板20が開き製品19が金
型内から取り出される。図18がこの状態である(バリ
は図示せず)。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上述べたように構成されて
いるので、本発明を実施することにより、従来リサイク
ル樹脂化が困難であるという理由で敬遠されがちであっ
た製品の多層ブロー成形品化をリサイクル問題を考慮す
る必要のない高密着易剥離多層ブロー成形品の形で推進
できる。またその際、従来は高密着易剥離とするが故に
余儀なくされていた二領域の締結が、本発明のブロー成
形金型を使用することによって、不要となり製品デザイ
ンにほとんど何の変更も加えることなく実施できるため
に、製品デザインの設計が容易にできる。これにより多
層ブロー成形品の利用分野を著しく拡げることができる
という経済的効果とともに、リサイクル困難故に廃棄さ
れるプラスチックによる環境汚染の未然防止の一助とな
るという効果をもたらすものである。本発明の多層ブロ
ー成形品は、表面だけに特別の物性値が望まれる様な略
平板状の中空二重壁形状の成形品や容器などの内表面に
特別の物性値が望まれる様な深絞り中空二重壁の箱型成
形品等に特に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の平板状多層ブロー成形品(一部切断
面を含む)の模式図である。
【図2】図1の一部切断面図である。
【図3】実施例1のブロー成形用金型の要部縦断面図で
ある。
【図4】4個のスライドピースが前進した状態の図3の
X−X矢視断面図である。
【図5】4個のスライドピースが後退した状態の図3の
X−X矢視断面図である。
【図6】実施例1のパリソンをブロー成形する模式図で
ある。
【図7】ブロー成形の型締工程を示す要部縦断面図であ
る。
【図8】ブロー成形のブローアップ工程を示す要部縦断
面図である。
【図9】ブロー成形の賦形工程を示す要部縦断面図であ
る。
【図10】ブロー成形の型開き及び製品脱型工程を示す
要部縦断面図である。
【図11】実施例2の略凹型深絞り二重壁多層ブロー成
形品(一部切断面を含む)の模式図である。
【図12】図11の一部切断面図である。
【図13】ブロー成形に用いた実施例2のブロー成形用
金型の要部縦断面図である。
【図14】実施例2のパリソンをブロー成形する模式図
である。
【図15】ブロー成形の型締工程を示す模式図である。
【図16】実施例2のブロー成形のブローアップ工程を
示す模式図である。
【図17】実施例2のブロー成形での賦形工程の模式図
である。
【図18】実施例2のブロー成形の型開き及び製品脱型
工程を示す要部縦断面図である。
【図19】従来の前面側外層樹脂と後面側外層樹脂の境
界線付近に設けられた平板状突出部分をボルト・ナット
で締結した多層ブロー成形品の断面の模式図である。
【符号の説明】
1 平板状多層ブロー成形品 2 前面側最外層 3 後面側最外層 4 内層 4a 境界線付近内層のU字状凹部 5 境界線 6 金型左半体 7 金型右半体 8 油圧シリンダー 9〜12 スライドピース 13 油圧シリンダー 14 スライドプレート 15 ブロー成形機の先端ダイ 16 パリソン 17 パリソンの下端 18 金型外のバリ 19 凹型深絞り二重壁多層ブロー成形品 20 可動側板 21 固定底部 22 ヒンジ 23 スライドフレーム 24,25 エッジ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最外層および内層の少なくとも二層以上
    からなる多層ブロー成形品であって、成形品外表面の略
    半分の面積を占める領域Iの最外層Aと残り略半分の面
    積を占める領域IIの最外層Bとが異なる二種類の熱可塑
    性樹脂で形成され、少なくとも一方の最外層が該二領域
    の境界線付近で境界線のほぼ全周にわたり内層とともに
    内側へ折り曲げられて、内層のU字状凹部内に強固に挟
    持されていることを特徴とする多層ブロー成形品。
  2. 【請求項2】 多層ブロー成形品が略平板状の二重壁形
    状であって、領域IとIIがそれぞれ成形品の前面側外表
    面と後面側外表面にあたり、該二領域の境界線が平板の
    外周部にあることを特徴とする請求項1記載の多層ブロ
    ー成形品。
  3. 【請求項3】 多層ブロー成形品が深絞り二重壁の箱型
    成形品であって、領域IとIIがそれぞれ成形品の内部側
    外表面と外部側外表面にあたり、該二領域の境界線が箱
    型の上縁部にあることを特徴とする請求項1記載の多層
    ブロー成形品。
  4. 【請求項4】 領域Iと領域IIにおける最外層の少なく
    とも一方が、それと接する内層と互いに化学的に接着し
    ない熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請
    求項1〜3に記載の多層ブロー成形品。
  5. 【請求項5】 領域Iと領域IIにおける最外層の一方が
    単一の樹脂で形成されている内層と同一の樹脂で形成さ
    れていることを特徴とする請求項1〜4に記載の多層ブ
    ロー成形品。
  6. 【請求項6】 ブロー成形用の二つの割り金型の一方の
    片側内に往復動作自在な複数のスライドピースと、他方
    の金型の片側内には該スライドピースの後退方向と直角
    方向に移動自在なスライドプレートとが設置されている
    ことを特徴とするブロー成形用金型。
  7. 【請求項7】 ブロー成形用の二つの割り金型の一方の
    片側内に往復動作自在なスライドフレームと、他方の金
    型の片側内には該スライドフレームの後退方向と直角方
    向に開閉自在な複数の可動側板とが設置されていること
    を特徴とするブロー成形用金型。
JP20464495A 1995-08-10 1995-08-10 多層ブロー成形品及びブロー成形用金型 Withdrawn JPH0952279A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012061545A (ja) * 2010-09-15 2012-03-29 Yaskawa Electric Corp ロボット及びその製造方法
JP2018083306A (ja) * 2016-11-21 2018-05-31 キョーラク株式会社 成形体の製造方法及び成形体の製造装置

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