【発明の詳細な説明】
熱転写プリント用の被覆
本発明は熱転写に関し、特に熱転写した画像用の熱転写性保護被覆層(カバー
)に関する。
熱転写は熱的な刺激によって染料担持シート(dyesheet)の選定された領域から
受理層に1種又はそれ以上の熱転写性染料を転写させ、これによって画像(図柄
)を形成する手法である。染料シートの少なくともプリントサイズ領域上に均一
に延展した1種又はそれ以上の染料を含有する染料被覆層(染料コート:dyecoa
t)を担持する薄い基材を含有してなる染料シートを用いると、印刷は染料被覆
層を受理シートの染料受理表面に対して押圧しながら染料シートの選定した個々
の領域を加熱することにより行なわれ、これによって染料を受理層の対応する領
域に転写させる。転写された画像の形状は加熱が施された個々の領域の個数及び
位置によって形成される。フルカラープリントは同様な要領で種々に着色した染
料コートで順次に印刷することにより製造でき、種々に着色した染料コートはリ
ボン状の染料シートに沿って反復した配列で設けた個々の均一なプリントサイズ
の領域として通常提供される。
高解像力の写真様プリントは、ビデオ、コンピューター、電子スチールカメラ
又は同様な信号発生装置から誘導される電子信号によって制御された、プログラ
ム可
能な熱プリントヘッド又はレーザープリンターの如き適当な印刷装置を用いて熱
転写によって製造できる。典型的な熱プリントヘッドは1列のごく小さな選択的
にエネルギーを与えるヒーターを有し、これらのヒーターは1ミリメートル当り
6個又はそれ以上の画素を印刷するように間隔を置いて配置され、1個の画素当
り2個のヒーターを用いることが多い。レーザープリンターは、通常染料コート
中で又は染料コート下でレーザー照射を熱に転化させるアブソーバーを必要とし
且つ同様に染料を受理層の画素ずつに転写することによりプリントを製造する。
転写の作用機序は印刷を行なう条件に応じて多くは左右されると思われる。即
ち例えばサーマルヘッドを用いる時には、染料シート及び受理層をサーマルヘッ
ドと熱盤ローラーとの間で互いに押圧して、実質上染料の昇華を排除しながら染
料シートから染料が直接受理層に拡散するのを促進する条件を与える。例えば若
干のレーザー駆動プリンターで有利な如く染料シートと受理層との間に小さな間
隙を設ける場合には、転写の作用機序は専ら昇華によると思われる。然しながら
、両者の場合において、染料は加温した時又は種々の親油性液体の存在下では受
理層中に及び受理層から拡散し得る可動性分子である。特に、プリントを保持す
る指からの手脂は染料を表面に移行させてしまい、プリントを汚れているように
させるか又は染料の汚染を生起し、プラスチック製パウチ
中の可塑剤は未保護の熱転写画像を台なしにさせる。この点に関して、ポリ塩化
ビニル中の可塑剤として通常用いられるジオクチルフタレートは特に悪い。
長年の間、例えば熱転写プリントを磨耗から保護し、表面に移行する染料の減
損を保護し且つUVで誘発される退色から保護するのに種々の保護被覆層(カバ
ー)が提案されてきた。典型的には1〜2ミクロンのきわめて薄いカバーが一般
に好ましいが、これは或る支持形式なしでは扱うのが困難であり、従来は透明な
熱転写性被覆材の1層で表面を被覆させた一時的なキャリヤー(支持体)ベース
シート(carrier base sheet)を含有してなるドナーシート(donor sheet)を先ず
調製し、次いで被覆層を印刷した受理層上に熱転写し、キャリヤーベースシート
を取去ることが提案されていた。転写はプリント全体に亘って同時に行なうこと
ができ、次いで転写が完了した後にキャリヤーベースシートを取去る。別法とし
て、転写は例えば加熱したローラー又はサーマルヘッドを用いて漸進的に行って
カバーを少しずつ転写でき、次いでキャリヤーベースシートがローラー又はサー
マルヘッドから出現するにつれてキャリヤーベースシートを徐々に取去るのが一
般により好ましい。
より高いTg値を有する重合体組成物は一般に良好な保護被覆層を提供するが
、より高いTg値ではより低いTg材料の利点の若干を失なってしまうことが認
められている。即ち高いTg値の良好な遮断材料が常に良好な
接着剤である訳ではなく、この問題を克服するために、相異なる機能を有する複
数層よりなる複合被覆層が従来提案されている。例えば、片側に受理層により良
く接着させるためにより接着性の材料の1層を貼合せしかも別の片側にキャリヤ
ーベースシートからの剥離を助力するのに余り接着性でない材料の1層を貼合せ
た遮断材料製の1層よりなる多層重合体被覆層が米国特許第4,977,136号に記載
されている。
本発明者が今般見出した所によれば、転写性の被覆材に遮断特性を与えるのに
或る無機物を高い装填率で用いることにより、それ自体高いTg値を有する重合
体を用いねばならないということなしにさえグリース及び可塑剤に対してより良
い耐性を一般に得ることができる。これによって重合体の選択を接着力の如き別
の所要の機能を最適とする重合体にすることが自由にでき、しかも全ての利点を
保持しながらもより単純で通常単一層の転写性被覆層(カバー)を用いることが
できる。
本発明の1つの要旨によると、熱転写した画像上に保護被覆層を与えるドナー
シートは透明な熱転写性被覆材の1層で表面を被覆させたキャリヤーベースシー
トよりなり、該被覆材が1ミクロン以下(submicron)の単層粒子の1層よりなり
しかも該層に物理的合着性を与え且つキャリヤーベースシートへの接着力を与え
るに十分量の熱可塑性結合剤を含有してなる。
「単層(lamina)粒子」とは粒子が薄い平坦な小板の形
であることを意味する。小板の平面における領域と厚さの平方との比率は少なく
とも50:1であるのが好ましく、この比率の値が高ければ高い程遮断効果はより
大きくなると思われる。粒子小板の円周は整然としている必要はないけれども、
投射領域を最大とするためにはドナーシートの平面内で垂直方向の直径が余りに
も不同でないのが好ましい。即ち10:1以下の直径比が一般に適当であるが、1
:1に近ずく比率が好ましいものである。
無機質粒子の厚さが50nm以下である無機質を用いるのが一般に好ましく、特に
約10nm以下の厚さを有する単一の主要粒子として分散する無機質を用いるのが好
ましい。然しながら、実際には後者の無機質材料でさえ完全に分散するのが困難
となり、一部は凝集したままであるが、かゝる凝集体が尚厚さ50nm以下である場
合には、重なり合う小板の多数層が0.5ミクロン程の薄い複数被覆層として製造
され、これによって被覆層の遮断特性を保持する。被覆層(cover layers)は厚さ
が5ミクロン以下であるのが好ましく、厚さが0.5〜2ミクロンであるのがより
適当である。
被覆層の十分な透明性及び保全性を得るためには、1ミクロンよりずっと小さ
い粒子が好ましく、例えば粒子の最大寸法に対して縦、横2つの大きさの程度が
より小さい。透明性は粒子及び結合剤重合体の屈折率を適合させるようにこれら
を選択することにより高めることもでき、この方式はより小さな主要粒子が、分
散するのが困
難であるか又は更なる分散なしに有効な遮断壁を提供する凝集体を形成する時に
特に望ましくあり得る。
ごく小さな小板は平行となっておりしかも被覆材の薄層中で重なり合っている
と考えられ、かくしてグリース又は可塑剤が進入し得る前にこれらが進行し且つ
重なり合う粒子の端縁の回りにある曲折した経路を薄層遮断壁に提供する。従っ
て、重合体結合剤は侵入する分子が進行する経路を提供すると思われ、こうして
重合体の所要の機能を満たすのに十分である重合体と釣合う小板粒子を出来るだ
け高い装填率で用いるのが好ましい。然しながら、これは例えば10重量/重量%
のきわめて低い粒子濃度で認められ始め得る漸進的な効果であり、特に粒子が特
に高い領域:厚さの比率を有する場合に漸進的な効果であるが一般に小板粒子は
被覆層の少なくとも50重量/重量%の量で存在するのが好ましく、少なくとも70
重量/重量%の割合が可能な時はいつでも特に好ましい。
適当な小板粒子は多数の天然及び合成無機質中に見出すことができ、その中の
若干は製造された市販品として入手できる。無機質の例にはマイカ、ラポナイト
及びヘクトライトクレー例えばベントンがある。これらの乾燥状態では、かゝる
無機質はキャリヤーベースシート上に被覆層用組成物を調製する時に破砕され且
つ分散される必要がある凝集物として存在し得る。例えば、若干の市販ラポナイ
トは、250ミクロン程の大きさの若干の粒子を含有し得る自由流動性の白色粉末
であるが、被覆組成
物中に分散させた時に若干の粒子が分離された主要な粒子は典型的には1nmの厚
さと25nmの平均直径とを有するが、若干の粒子は100ミクロン以下の直径を有し
得る。これらのラポナイトはナトリウム・リチウム・マグネシウムシリケートの
合成スメクタイト結晶として市販されており、種々の目的に適合した一連の品位
で入手できる。
これらのラポナイトの例にはLaporte社によって販売される一連のラポナイト
粉末があり、種々の品位のものを混合して用いた被覆装置に粘度を最適とするこ
とができる。かゝる粒子を約70重量/重量%の装填率で用いると、若干の曇りが
ドナーシート上の被覆層中に眼で見えるかもしれないが、一旦画像上に転写した
からには画像は良好な清澄度で見ることができることが見出され、曇りは有意な
程には認められないものである。微粉化マイカの例にはマイクロファインマテリ
アル社の白雲母カリウム・アルミニウムシリケートから形成したSX400及びコ
ルネリウスケミカル社からのマグナパール(Magnapearl)2000がある。
本発明者は以下の実施例でより完全に詳述した如く前記の2つの市販マイカ及
び若干の品位のラポナイト粉末を含めて多数の相異なる無機質を評価した。然し
ながら、如何なる無機質を選択しようとも、転写した被覆層の遮断特性の効果は
ドナーシート上で得られた被覆層の特性に応じて決まるものであり、本発明者が
見出した所によれば、グラビア塗布に適した分散物を調製するにはラポ
ナイト分散物が他の無機質のそれよりも塗布機の要件により容易に適合する。そ
れ故ラポナイト粉末は単に粉砕したものでさえ好ましい材料である。
遮断特性の規定が主として無機質粒子の1機能であるとすると、無機質粒子の
合着性被覆層への結合及び最初はキャリヤーベースシートへの被覆層の接着且つ
転写後は画像収容受理層への被覆層の接着を最適とするように重合体を選択でき
る。然しながら、別の要因が重合体を選択するのに重要であり得る。被覆した画
像を例えばパスポート、運転免許証、医療カード及び保証パスにおける保護カバ
ーシートに貼合せることを意図する場合には、かゝる保護カバーシートに強固に
接着する重合体を選択できる。然しながら、重合体の遮断特性は該重合体を選定
する上での前提条件ではあり得ないけれども、これによって高いTg及び/又は
良好な遮断特性を有する重合体の使用を本発明のドナーシートにおける使用から
排除するものでないと認められるであろう。
キャリヤーベースシートは転写温度に耐え得る任意のシート又は被覆したシー
トであり得る。紙を用い得るが、キャリヤーシートが厚ければ厚い程転写エネル
ギーはより多大に必要とされるので典型的には6ミクロンの厚さ又はそれ以下の
厚さのPETフィルムの如き薄い重合体フィルムを用いるのが好ましい。
被覆材を熱可塑性キャリヤーベースシートから剥離するのを助力するには、キ
ャリヤーベースシートを架橋結
合した樹脂で下塗りしてキャリヤーと転写する被覆材との間の融着を防止するの
が好ましい。既知の要領で有効に塗布されるかゝる下塗りは、被覆したプリント
から剥離されるにつれてキャリヤー上に残留する。多数の既知の剥離剤又は剥離
用結合剤の1種又はそれ以上を特徴付ける別の被覆層が架橋結合した下塗りに代
えて又はこれに加えて提供できるが、かゝる材料を用いると少なくとも若干の被
覆層は被覆材を転写する機会がある。これは多数の用途において、特に例えば前
記したパスポート、運転免許証、医療カード及び保証パスにおいてプリントを保
護カバーシートに貼合せることを必要とする用途には望ましくあり得ない。それ
故一般にドナーシートのキャリヤーベースシートの下塗りした表面上に直接転写
性の被覆材を被覆するのが好ましい。
従来においては、転写性の被覆層(カバー)は、単一の作用で転写されて多層
カバーを形成する多層系を包含した。従来技術として前記したこれらの多層系の
例には、受理層に接着するための接着剤層として低いTg重合体の1層と遮断壁
を与えるために高いTg重合体の別個の層とがある。本発明の被覆層(カバー)
においては、無機質の充填剤は遮断壁を提供し然るに結合剤は接着力を提供し、
こうして一般にかゝる従来の二重層構造は回避できるが、これによって特定の目
的に即ち多層保護カバーを形成するのに別の層の規定を本発明のカバーから排除
するものではない。
ドナーシートは画像を調製するのに用いた染料シートとは別個であり得るが、
画像を印刷する装置と同じ装置で用いることができる形でこれを1単位にまとめ
たパッケージとさせるのが都合良いことが多い。同じ装置で用いるか否かに拘ら
ず、染料シートのリボンと本発明のドナーシートとを別個の実体として有するこ
とは、最初の印刷した受理層を被覆でき然るにその間に別の画像を第2の受理層
シート上に形成しつゝあるものであり、これによって時間の節約となる。
然しながら、好ましいドナーシートは、染料シートリボンに沿って反復した配
列で設けた別個の均一なプリントサイズパネルとして与えた種々に着色した染料
被覆層(ダイコート)を支持する基材を含有してなる染料シートリボンに組入れ
たドナーシートであり、キャリヤーベースシートは染料シートの基材と本発明の
熱転写性被覆材の別のプリントサイズパネルを有するプリントサイズの着色した
染料コートパネルの各々の配列とによって提供されるものである。
好ましい染料担持シートは、各々の配列が3原色と黒色との各々の染料被覆層
と次いで本発明の転写性保護カバーの別のパネルとを有する染料シートである。
この染料シートの有用な変更例は3原色の染料被覆層が印刷中に加熱した時に受
理層中に拡散し得る熱転写性染料を含有する熱安定性結合剤を包含してなり、し
かも黒色の染料被覆層が黒色の着色剤を含有する融着性の結合剤を包
含してなる染料シートである。これらの染料シートリボンの各々はまた例えば配
列の開始時に転写性の受理層を含めて、配列において適当な位置で別の専門家染
料被覆層をも含有できる。
第2の本発明の要旨によると、熱転写プリントの製造方法は染料担持シートか
ら受理層に染料を熱転写することにより受理層の表面中に又は表面上に画像を形
成し、画像収容受理層に対して第1の本発明の要旨によるドナーシートを配置し
、次いで受理層上に被覆材を熱転写して画像の上に載せ、キャリヤーベースシー
トを取去ることからなる。
第3の本発明の要旨によると、熱転写プリントは、受理層と、受理層の表面中
に又は表面上にある熱転写した画像と、1ミクロン以下の単層粒子の1層を含有
し且つ該層に物理的保全性と受理層への接着力とを与えるに十分な量の熱可塑性
結合剤を含有してなる第1の本発明の要旨による、画像の上に載置した保護被覆
層とを包含している。
本発明を添附図面によって説明するが、第1図はプリントサイズのドナーシー
トの一部分の断面図解図であり、第2図は複数のカバーパネルを組合せてなるド
ナーリボンの一部分を示し、第3図はカラーパネルの配列中にカバーパネルを組
合せてなる染料シートリボンの一部分を示し、第4図は本発明による保護被覆層
を有するプリントの一部分の断面図解図である。
第1図に示したドナーシートは、片側の耐熱性の裏塗り2を有しもう一方の片
側に被覆した透明な熱転写性の被覆材の厚さ1ミクロンの1層3を有する下塗り
した6ミクロンのPETフィルム製のキャリヤー下地シート1よりなる。被覆材
はベントナイトの1ミクロン以下(submicron)の単層粒子を重合体状結合剤中に
含有してなり、これらの重量比は約7:3であり、この結合剤の使用量は被覆材
層に良好な保全性を与え且つキャリヤーベースシートへの接着力を与えるのに十
分なものである。ドナーシートは被覆しようと意図されるプリントよりもわずか
に大きく、使用時にはドナーシートを受理層中の熱転写画像に対して配置し、加
熱して被覆材を転写して画像の上に載置する。次いでキャリヤーベースシートを
廃棄する。
第2図においてキャリヤーベースシートはリボン21の形であり、このリボンに
沿って本発明による結合剤樹脂中に分散した単層粒子を含有する被覆材の同一の
プリントサイズパネル22がある。これによってリボン上にパネルがある程の多数
の画像を被覆できる。プリントは場合によっては同じ機械で形成できるがどこか
他所で形成しなければならず、次いで各々のプリントは、全てのパネルが転写さ
れるまで画像上に順次載置したパネルの1枚を有する。しかる後にリボンは何れ
か別の画像の保護のため補充する必要がある。
第3図において、ドナーシートは、それぞれY,M,
C及びBと印をつけた三原色及び黒色の各々の個々分離した均一なプリントサイ
ズの染料コートパネル32を支持する基材リボン31を含有してなる染料シートリボ
ンに組入れられている。これらの染料コートパネルは既知の要領でリボンに沿っ
て反復した配列で設けられ、図面には単一の配列を示すに過ぎない。然しながら
、説明した染料シートの各々の配列は、またキャリヤーベースシートが染料シー
トのリボン基材によって提供される本発明による熱転写性被覆材32Xの別のプリ
ントサイズパネルを有する。
第4図は第3の本発明の要旨による被覆層によって保護したプリントの断面図
解図である。プリントはベース41と染料受理層42とを有する受理体よりなる。染
料シートから熱転写された染料から形成した画像43が受理層中に拡散しており、
しかも画像の上には、1ミクロン以下の単層粒子の1層と該層に物理的保全性と
受理層42への接着力とを与えるに十分な量の熱可塑性結合剤とを含有する保護被
覆層44が載置している。
本発明を次の実施例により更に説明する。実施例1
次の2種類の分散物を調製し、K3マイエル(Meier)棒を用いて6ミクロンの
下塗り済みポリエステルフィルム上に被覆し、5分間80℃で乾燥して約1.5ミク
ロンの乾燥被覆厚みの被覆層1及び2を得た(重量はg数)。
(ジオファン193DはBASF社からのPVDCラテックスであり、水中に55%のPVDCを含
有し、それ故本実施例におけるラポナイトと重合体との比率は83重量%である。
該重合体のTgは約16℃である。ラポナイトXLSはLaporte社からの層状無機
充填剤である。)
溶液1及び2からの被覆層1及び2をそれぞれポリエステルベースの受理層上
のシアン(cyan)プリント(光学濃度=1)上に熱転写し、キャリヤーシートを取
去る。重ね合せた試料は、45°/85%の相対湿度(RH)で100時間可塑化した
PVCシートに対して画像を焼付け(緊密な接触は5kgの荷重下で維持した)、
次いでPVCシートに転写した染料の光学濃度(OD)を測定することにより可
塑剤の保護について評価した。
実施例2
次の溶液を調製し、K3マイエル棒を用いて6ミクロンのポリエステルフィル
ムキャリヤー上に被覆し、100
℃で30秒乾燥した1ミクロンの乾燥被覆厚みを得た(重量はg数)。
(ジョンクリル8054は43%の固形分で水中に入れたスチレン/アクリル共重合体
エマルジョンであり、こうして本実施例におけるラポナイトと重合体との比率は
79重量%である。該重合体のTgは約105℃である。アンタロックスCO790はノニ
ルフェノールエトキシレート表面活性剤である。)
分散物3及び4から得られる被覆層3及び4をそれぞれ、PVC受理層上のシ
アンプリント(OD=1)上に次いで熱転写し、キャリアシートを取去る。重ね
合せた試料は45°/85%のRHで16時間可塑化済みPVCシートに対して画像を
焼付け(緊密な接触は5kgの荷重下で維持した)、次いでPVCシートに転写し
た染料のODを測定することにより可塑剤の保護について評価した。
2つの実施例はラポナイトXLSを重ね合せ構造体中
に配合することによって得られた保護の向上を示している。実施例3
次の分散物を、直接グラビア塗布によって下塗り済み6ミクロンのポリエステ
ルキャリヤーベース上に被覆した(重量はg数)。
(ラポナイトRDSはLaporte社からの層状無機充填剤である。)
ポリエステルフィルム上に配置した乾燥被覆厚みはそれぞれ0.84ミクロン、0.
7ミクロン及び0.61ミクロンであった。ジオファン193Dは水中に55%のPVDCを含
有し、こうして試料中のラポナイトと重合体との比率は5:1,2:1及び5:
4であり、即ちそれぞれ被覆材の83,67及び56重量%である。
前記の実施例の如く被覆層をシアンパネル上に熱転写し、45℃/85%RHで96
時間可塑化済みPVCフィルムに対して押圧する。次いでPVCフィルムに転写
した染料のODは赤色フィルターで作動するサクラ濃度計を用いて透過率につい
て測定し、読み取り値を未保護の試料と比較した。
実施例4
次の分散物を処方して被覆材中の充填剤の割合を変化させる影響を探求した。
これらの分散物において、2種の異なる品位のラポナイトを用いて使用される被
覆装置に適するように分散物の被覆特性を調和させた。即ちラポナイトRDSは
きわめて安定な分散物を与えるが、ラポナイトJSを添加すると得られる組成物
の粘度を所要値にまで低減させ得る。
PVCフィルムとの接触時間が100時間である以外は実施例3に記載した如く
前記の分散物を6ミクロンの下塗りしたポリエステルベースシート上にグラビア
塗布し、乾燥し評価した。
但し%の欄は被覆材の重量%として充填剤含量を与える。
これらの結果は、充填剤濃度を組成物の50重量%よりわずか上にまで低減させ
ると、与えられた保護が如何に降下し始めるかを証明しており、多数の目的には
50%の充填剤濃度でも尚許容できるけれども、かゝる組成物は66%及びそれ以上
の組成物よりも明らかに余り有効ではない。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1995年7月25日
【補正内容】
補正した請求の範囲
1.熱転写した画像上に保護被覆層を与えるドナーシートが、透明な熱転写性
被覆材の1層で表面を被覆させたキャリヤーベースシートよりなり、該被覆材が
1ミクロン以下の単層粒子の1層と、該層に物理的合着性を与え且つキャリヤー
ベースシートへの接着力を与えるに十分な量の熱可塑性結合剤とを含有してなり
、被覆材の粒子は被覆材の少なくとも50重量%の量で存在する、ドナーシート。
2.被覆材の粒子はマイカ、ラポナイト及ひヘクトライトクレーから選択され
る請求の範囲1記載のドナーシート。
3.被覆材の1層は厚さ0.5〜2ミクロンである請求の範囲1記載のドナーシ
ート。
4.ドナーシートは、染料担持シートリボンに沿って反復した配列で設けた別
個の均一なプリントサイズのパネルとして与えた種々に着色した染料被覆層を支
持する基材よりなる染料担持シートリボンに組入れられ、キャリヤーベースシー
トは染料担持シートの基材と、熱転写性被覆材の別のプリントサイズのパネルを
有するプリントサイズの着色した染料被覆層のパネルの各々の配列とによって提
供される、請求の範囲1記載のドナーシート。
5.染料コートパネルの各々の配列は3原色及び黒色の各々の染料コートを有
し、次いで熱転写性被覆材の別のパネルを有する請求の範囲4記載のドナーシー
ト。
6.染料担持シートから受理層に染料を熱転写することにより受理層の表面中
又は表面上に画像を形成し、画像収容受理層に対して請求の範囲1〜5の何れか
に記載のドナーシートを配置し、被覆材を受理層上に熱転写して画像の上に載せ
、キャリヤーベースシートを取去ることからなる、熱転写プリントの製造方法。
7.受理層と、受理層の表面中に又は表面上に熱転写した画像と、1ミクロン
以下の単層粒子の1層を含有しておりしかも該層に物理的合着性を与え且つ受理
層への接着力を与えるのに十分な量の熱可塑性結合剤とを含有してなる請求の範
囲1〜5の何れかに記載の上方に載置した保護被覆層とを包含してなる熱転写プ
リント。
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フロントページの続き
(72)発明者 マツクリーン,トーマス,ドナルド
イギリス国 エセツクス シーオー7 7
テイビイ.アードレイ,バーント ヒー
ス,ブリオアー ロード,ブライアー コ
テーヂ(番地なし)