【発明の詳細な説明】
発明の名称 抗新生物剤として有用な5-(1-フルオロビニル)-1H-ピリミジン
-2,4-ジオン誘導体類
発明の分野
本発明は、それら自体抗新生物剤として有用な、新規な5-(1-フルオロビニル)
-1H-ピリミジン-2,4-ジオン誘導体類及び抗新生物剤5-フルオロウラシルとの連
係療法に関する。
発明の背景
ヒトの新生物病は、重症のそしてしばしば生命を脅かす症状として、世界中で
認識されている。これらの新生物病は、急速な細胞増殖を特徴としており、新生
物病患者を処置するのに有効な治療剤を見つけ出すことに向けられた世界的な研
究努力の対象であり続けている。有効な治療剤は、患者の生存を延長させ、新生
物と関連する急速な細胞増殖を抑制し、又は新生物の退行を起こすような薬剤と
して特徴づけられる。この分野の研究は、主にヒトに治療的に有効な薬剤を見つ
け出すことに焦点があてられている。典型的には、新生物病症状に対しマウスの
ような小哺乳類だけでなくヒトにとっても特定の抗新生物活性を予測できるよう
設計された実験で、マウス等ような小哺乳類における新生物活性について化合物
類の試験を行なう。
発明のまとめ
本発明は、次の一般式I
〔式中、R1とR2はそれぞれ独立に、水素、C1〜C4アルキル、又は未置換又は
1〜3個の置換基で置換されたフェニル基であり、ここでそれぞれの置換基は、
C1〜C4アルキル及びC1〜C4アルコキシ基からなる群から選択され、
R3は水素、リボ−ス、2'-デオキシリボ−ス又はアラビノ−スである〕を有し
ている新規な5-(1-フルオロビニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン誘導体を提供す
る。
本発明は、新生物病症状にかかった患者に式(I)の化合物の抗新生物有効量
を投与することからなる、その患者を処置する方法に関する。
更に本発明は、抗新生物有効量の5-フルオロウラシルとの連係療法に於ける式
(I)の化合物の抗新生物有効量を患者に投与することからなる、新生物病症状
にかかった患者を処置する方法を提供している。
本発明は、更に式(I)の化合物の阻害有効量を患者に投与することからなる
チミジレ−トシンセタ−ゼの阻害を必要とする患者のチミジレ−トシンセタ−ゼ
を阻害す
る方法を提供している。
発明の詳細な記載
本明細書で使用する「C1〜C4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子
の飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素基をさしている。この用語の範囲内に含まれるも
のは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプリピル、n-ブチル、イソブチル等で
ある。「C1〜C4アルコキシ」という用語は、1〜4個の炭素原子の飽和直鎖又
は分枝鎖炭化水素基を有している酸素ラジカルからなるアルコキシラジカルをさ
している。この用語の範囲内に含まれるものは、メトキシ、エトキシ、プロピル
オキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、第二ブチル
オキシ、第三ブチルオキシ等である。「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、
塩素、臭素、又は沃素原子をさしている。置換フェニル基について記載される置
換基は、同じもの又は異なるものでありえ、オルソ、メタ又はパラ位置の任意の
位置に存在できる。「Pg」という用語は、適当な保護基をさしている。
「立体異性体」という用語は、同じ結合群によって結合された同じ原子群から
なっているが、相互に変更可能でない異なる3次元構造を有している化合物をさ
している。3次元構造は立体配置とよばれている。「エナンチオマ−」という用
語は、それらの分子が互いに重ね合わせ出来ない鏡像である二つの立体異性体類
をさしている。
「ラセミ混合物」又は「ラセミ形の変更物」という用語は、等しい量部のエナン
チオマ−類の混合物をさしている。「キラル中心」という用語は、四つの異なる
基がついている炭素原子をさしている。
式(I)の化合物は、種々の立体異性体の配置で存在できることが理解できる
。更に、各化合物について可能なエナンチオマ−類の最大数は、nを化合物上に
存在するキラル中心の合計数をあらわすとすると、2n個に等しいことが理解され
る。エナンチオマ−類を含めたこれらの立体異性体類は、特に本発明の範囲内に
含まれることが理解される。
式(I)の化合物を製造するための出発物質は、反応経路I及びIIに記載され
るように作ることが出来る。別に示されない限り、全ての置換基は前に定義した
通りである。試薬及び出発物質は、当業者に容易に入手できる。
反応経路I、段階Aに於いて、構造式(1)のトリメチルシリルメタノールは、
この分野でよく知られた条件下で酸化されて、構造式(2)のアルデヒドを与える
[アイルランドR.E.及びノルベックD.W.,J.Org.Chem.,50,2198(1985)を参
照]。例えば、1.4当量の塩化オキザリルを適当な有機溶媒、例えばジクロロメ
タン中に溶解し、溶液を約−78℃に冷却する。これに、ジクロロメタン中に溶解
された1.6当量のジメチルスルホキシドを約20分かけて加える。添加完了後、反
応物を更に10分間攪拌し、1当量のトリメチルシリルメタノールを加える。反応
物を更に15分間−78℃で攪拌し、3.5当量のトリエチルアミンを加える。反応物
を約20分間−78℃で撹拌し、アルデヒド(2)を生じる。
反応経路I、段階Bに於いて、アルデヒド(2)は、オレフィン化反応にかけら
れて、構造式(3)に記載されるビニルスルホンを生じる。例えば、およそ1当量
のフルオロメチルフェニルスルホン[マッカ−シ−J.R.等、Tetrahedron Lett.
,31,5449,(1990)に記載されるように製造]は、適当な無水有機溶媒、例えば
テトラヒドロフラン中に不活性雰囲気、例えば窒素下で溶解される。溶液を約−
78℃に冷却し、2当量の適当な塩基を加える。適当な塩基の例は、リチウムジイ
ソプロピルアミン(LDA)、リチウムヘキサメチルジシルアミド(LiHMDS)等である
。好ましい適当な塩基は、リチウムジイソプロピルアミド
である。これに続いて、1当量のジエチルクロロホスフェ−トを添加する。反応
物を約1〜3時間約−78℃で撹拌する。この溶液を次にカヌ−レを経由して既に
約−78℃で溶液である上記の製造されたアルデヒド(2)に添加する。反応物を約
−78℃で1〜2時間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウムで停止させる。生成物を
単離し、この分野でよく知られた技術で精製する。例えば、反応物を適当な有機
溶媒、例えば酢酸エチルで抽出する。一緒にした有機抽出物を無水硫酸マグネシ
ウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物をシリカゲル及び適当な溶
離液、例えば酢酸エチル/ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィ−で精
製して、ビニルスルホン(3)を与える。
反応経路I、段階Cに於いて、ビニルスルホン(3)は、スタニル化反応にかけ
られて、構造式(4)の(フルオロビニル)スタナン誘導体を生じる。例えば、上
で製造されたビニルスルホン(3)は、不活性雰囲気、例えば窒素下で適当な溶媒
中に溶解される。適当な溶媒の例は、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン等で
ある。好ましい適当な溶媒は、トルエンである。少なくとも2当量の、式(R)3Sn
Hの適当なスタニル化試薬が次に加えられる。適当なスタニル化試薬の例は、水
素化トリブチル錫、水素化トリエチル錫、水素化トリメチル錫、水素化トリフェ
ニル錫等である。好ましいスタニル化試薬は、水素化ト
リブチル錫である。反応は、適当な開始剤を用いて開始される。適当な間始剤は
、アゾイソブチロニトリル(AIBN)、紫外線光、トリエチルポロン、等である。好
ましい適当な開始剤は、AIBNである。約0.05〜0.3当量のAIBNが加えられ、反応
物を12〜48時間還流で加熱する。追加量のAIBNを全ての出発物質が消費されるま
で、当業者により決定されるように還流の間にAIBNの約0.05〜0.3当量を少量づ
つ加え得る。冷却後、生成物をこの分野でよく知られた技術、例えばシリカゲル
及び適当な溶離液、例えばヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィ−によ
って精製し、(フルオロビニル)スタナン(4)を与える。
反応経路II、段階Aに於いて、構造式(5)のケトン又はアルデヒドを、オレフ
ィン化反応にかけて、構造式(6)により記載されるビニルスルホンを与える。例
えば、フルオロメチルフェニルスルホンを適当な有機溶媒、例え
ばテトラヒドロフラン中に溶解し、約−78℃に冷却する。約1.04当量のジエチル
クロロホスフェ−トを添加し、続いて約1.3当量の適当な塩基、例えばリチウム
ヘキサメチルジシルアミドを加える。約−78℃で約1時間撹拌後、過剰の適当な
ケトン又はアルデヒドを加える。適当なケトン及びアルデヒドの例は、アセトン
、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデ
ヒド、2-プロパノン、2-ブタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、3-ヘプタノン
、4-ヘプタノン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、アセトフェノン、4-メ
トキシアセトフェノン、4-シアノベンズアルデヒド、p-トルアルデヒド、ヒドロ
シンナムアルデヒド等である。反応物を次に室温に温め、飽和塩化アンモニウム
の添加によって停止させる。生成物を次に単離し、この分野でよく知られた技術
で精製する。例えば、有機溶媒を真空下で除去し、水性物を適当な有機溶媒、例
えば塩化メチレンで抽出する。一緒にした有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上
で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物をシリカゲル及び適当な溶離液、
例えば酢酸エチル/ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィ−で精製し、
ビニル スルホン(6)を与える。
反応経路II、段階Bに於いてビニル スルホン(6)は、反応経路I、段階Cに
おいて記載されたものと類似の条件下でスタニル化反応に掛けられ、構造式(7)
の(フルオ
ロビニル)スタナンを与える。
R3がリボ−ス、2'-デオキシリボ−ス又はアラビノ−スである式(I)の化合
物は、反応経路IIIに記載されるように製造できる。全ての置換基は、他に示さ
れない限り、前に定義したとおりである。試薬及び出発物質は、当業者に容易に
入手できる。
反応経路III、段階Aに於いて構造式(8)により記載され、R3'がリボ−ス又は
2'-デオキシリボ−スである、5-ヨード化合物は、反応経路I及びII中で製造さ
れた構造
式(4)又は(7)のいずれかの(フルオロビニル)スタナン化合物とのカップリング反
応に掛けられて、構造式(9)又は式(Ia)のいずれかの結合生成物を与える。
例えば、5-ヨード化合物(8)は、適当な有機溶媒、例えばジメチルホルムアミド
中に溶解される。触媒量の適当な触媒が加えられる。適当な触媒の例は、テトラ
キス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)
パラジウム(II)クロライド等である。およそ一当量の(フルオロビニル)スタナン
(4)又は(7)が加えられ、反応物を約40℃〜125℃の温度で約2〜24時間加熱する
。反応物を次に室温に冷却し、真空下で濃縮する。残留物を次にこの分野でよく
知られた技術、例えば適当な溶離液、例えば塩化メチレン/メタノ−ルを用いる
シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ−で精製して、結合生成物(9)又は
式(Ia)を与える。
反応経路III、段階Bに於いて構造式(9)により記載された結合生成物を脱シリ
ル化し、式(Ib)の化合物を与える。例えば、結合生成物(9)をメタノ−ル等
の適当な有機溶媒中で修酸の1〜5当量と一緒にする。反応物を室温で約1〜20
日間攪拌する。これを次にシリカゲルのプラグを通して濾過し、そしてこの分野
でよく知られた技術、例えばシリカゲルプレ−ト上の適当な溶離液、例えばメタ
ノ−ル/塩化メチレンを用いるラジアルクロマトグラフィ−によって精製し、式
(Ib)の化合物を
与える。
別の方法として、脱シリル化は、結合生成物(9)を適当な有機溶媒、例えば触
媒量の水を含有しているジメチル スルホキシド等の適当な有機溶媒中のフッ化
カリウムの過剰と一緒にすることによって達成できる。別の方法として、結合生
成物(9)は、触媒量の水を有するテトラヒドロフラン中に溶解され、そして過剰
のフッ化テトラブチルアンモニウムで処理される。反応物を約30〜125℃で約6
〜24時間加熱する。反応物を次に水で希釈し、適当な有機溶媒、例えば酢酸エチ
ルで抽出する。一緒にした有機抽出物を、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾
過して真空下で濃縮する。残留物をこの分野でよく知られた技術、例えば適当な
溶離液、例えば酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲル上のフラッシュクロマ
トグラフィ−で精製して、式(Ib)の化合物を与える。
R3が水素である式(I)の化合物は、反応経路IVに記載されるように製造で
きる。全ての置換基は、他に示されない限り、前に定義した通りである。試薬及
び出発物質は当業者に容易に入手できる。
反応経路IV、段階Aに於いて、式IのR3が水素である構造式(10)の5-ヨード
ウラシルは、適当な保護基で、この分野でよく知られた条件下で保護されて、構
造式(11)により記載されるN3-保護された化合物を与える。適
当な保護基の例は、4-メトキシベンジル、3,5,5-トリメトキシベンジル、アリル
などである。好ましい保護基は4-メチルオキシベンジルである。例えば、5-ヨー
ドウラシル(10)は、ヴァン エルショット(Van Aershot),A.及びヘルデウィジ
ン(Herdewijn),L.J.及びP.,Tetrahedron Lett.,32(16),1905,(1991)の手
順に従って、4-メトキシベンジル基で保護される。5-ヨードウラシルは、1.5当
量のトリフェニルホスフィン及び1.5当量の4-メトキシベンジル アルコ−ルと
ジオキサン中で一緒にされる。これに1.5当量のジメチルアゾジカルボキシレ−
トが加えられる。反応物は24時間攪拌され、次に水で停止させられる。生成物を
単離し、この分野でよく知られた技術で精製する。例えば、反応混合物を適当な
有機溶媒、例えば酢酸エチルで抽出する。一緒にした有機抽出物を、無水硫酸マ
グネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物を次に適当な溶離液
、例えば酢酸エチル/ヘキサンでのシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ
−によって精製して、N3-保護化合物(11)を与える。
反応経路IV、段階Bに於いて、N3-保護化合物(11)は、反応経路III、段階Aに
前に記載されたと類似の方法で構造式(4)又は(7)のいずれかの(フルオロビニル)
スタナンに結合され、構造式(12)の結合生成物を与える。
反応経路IV、段階Cに於いて、結合生成物(12)は、この分野でよく知られた条
件下で脱保護されて、構造式(1
3)又は式Ia'に記載される脱保護化合物を与える。例えば、ヴァン エルショッ
ト,A.及びヘルデウィジン,L.J.及びP.,Tetrahedron Lett.,32(16),19
05,(1991)により記載された次の手順に従い、結合生成物(12)を水性アセトニト
リル中に溶解し、そして3当量の硝酸セリックアンモニウムナイトレ−トを、約
5〜50℃の温度で1〜18時間加える。次に生成物を次にこの分野でよく知られた
技術で単離する。例えば、反応物を酢酸エチルで希釈し、水、食塩水ですすぎ、
無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮し、構造式(13)又は式
(Ia')の脱保護化合物を与える。
反応経路IV、段階Dに於いて、脱保護された化合物(13)は、反応経路III、段
階B中に前に記載されたものと類似の方法で脱シリル化されて、式(Ib')によ
って記載される化合物を与える。
R3が水素である式(I)の化合物を製造する別の方法は、反応経路Vに記載
されている。別に示されない限り全ての置換基は前に定義された通りである。試
薬及び出発物質は、当業者に容易に入手できる。
反応経路V、段階Aに於いて、式(I)のR3が水素である構造式(10)の5-ヨ
ードウラシルは、この分野でよく知られた条件下で適当な保護基で保護されて、
構造式(14)に記載されるビス-O2,O4-保護ウラシルを与える。
適当な保護基の例は、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、トリフェニ
ルシリル、t-ブチルジフェニルシリル等である。好ましい適当な保護基は、トリ
メチルシリルである。例えば、5-ヨードウラシル(10)は、オチ,K.等、Chem. Pharm.Bull.,33
(4),1703,(1985)の手順に一般的に従って、保護できる。5-
ヨードウラシル(10)は、過剰のトリメチルクロロシラン又はヘキサメチルジシラ
ザン(HMDS)と一緒にされて、還流で1〜5時間加熱される。反応物を次に冷却
し、真空下で濃縮し、構造式(14)のビス-O2,O4-保護ウラシルを与える。
反応経路V、段階Bに於いて、構造式(14)のビス-O2,O4-保護ウラシルを、反
応経路III、段階Aで前に記載したのと類似の方法で、構造式(4)又は(7)の何れ
かの(フルオロビニル)スタナンに結合して構造式(15)の結合された生成物を与え
る。
反応経路V、段階Cに於いて、構造式(15)の結合生成物をこの分野でよく知ら
れた条件下で、例えばT.W.グリ−ン『Protective Groups in Organic Synthes
is』ジョン ウィリ− アンド サンズ,1981,40-50により記載された条件下
で脱保護し、構造式(13)又は式(Ia')に記載される脱保護化合物を与える。例
えば、結合生成物(15)は適当な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中に溶解されて
次に、僅かに過剰の適当なフルオライドイオン源、例えば弗化テトラブチルアン
モニウムで処理される。反
応物を室温で約1〜24時間撹拌し、生成物をこの分野でよく知られた技術、例え
ば濾過、抽出法又はフラッシュクロマトグラフィ−で単離する。例えば反応物を
酢酸エチルで希釈し、水、食塩水ですすぎ、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
濾過して真空下で濃縮し、構造式(13)又は式(Ia')の脱保護化合物を与える。
反応経路V、段階Dに於いて、構造式(13)の脱保護化合物を、反応経路III、
段階Bに於いて前に記載したのと類似の方法で脱シリル化し、式(Ib')により
記載される化合物を与える。
反応経路V、段階Eに於いて、QがSi(CH3)3である構造式(15)により記載され
る結合生成物は、一緒に脱保護及び脱シリル化されて、構造式(Ib')により記載
される化合物を与える。例えば、QがSi(CH3)3である結合生成物(15)は、適当な
溶媒、例えばメタノ−ル中に溶解され、1〜5当量の修酸で処理される。反応物
を室温で約1〜20日間撹拌する。生成物を次にこの分野でよく知られた技術、例
えば濾過、抽出法、又はフラッシュクロマトグラフィ−で単離する。例えば反応
物を酢酸エチルで希釈し、水、食塩水ですすぎ、無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、濾過して真空下で濃縮し、式(Ib')の化合物を与える。
別の方法として、一緒に脱保護及び脱シリル化を行うことは、QがSi(CH3)3で
ある結合生成物(15)を適当な有
機溶媒、例えば触媒量の水を含有するジメチル スルホキシド中で過剰のフッ化
カリウムと一緒にすることによって達成できる。別の方法として、結合生成物(1
5)は、触媒量の水と共にテトラヒドロフラン中に溶解されて、過剰の弗化テトラ
ブチルアンモニウムで処理される。反応物を約30〜125℃で約6〜24時間加熱す
る。反応物を次に水で希釈し、適当な有機溶媒、例えば酢酸エチルで抽出する。
一緒にした有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃
縮する。残留物を、この分野でよく知られた技術で、例えば適当な溶離液、例え
ば酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ−
で精製し、式(Ib)の化合物を与える。
R3が水素である式(I)の化合物も、反応経路VIに記載されるように製造で
きる。全ての置換基は、他に示されない限り、前に定義した通りである。試薬及
び出発物質は、当業者に容易に入手できる。
反応経路VIに於いて、構造式(16)のフェニルスルフィドは、段階A又は段階A
1及びA2の何れかに従って、構造式(17)により記載されるα-フルオロスルホ
キシドに変換できる。
段階Aに於いて、フェニルスルフィド(16)は、ジエチ
ルアミノ硫黄トリフルオライド-三塩化アンチモン[DAST-SbCl3]触媒で、α-フ
ルオロチオエ−テルに変換され、続いて中間体α-フルオロチオエ−テルのm-ク
ロロ安息香酸(MCPBA)酸化によって、α-フルオロスルホキシド(17)を与える。
例えば、ロビンズ,M.J.,ウンク,S.F.,J.Org.Chem,58,3800(1993)を参照
、これは、チオエ−テルのα-フルオロチオエ−テルへのDAST-SbCl3による効率
的な変換、及びその後のMCPBAでの酸化を開示している。
別の方法として、段階A1に於いて、フェニルスルフィド(16)は構造式(16a)
により記載されるフェニルスルホキシドに変換され、続いてフッ素化/酸化によ
ってα-フルオロスルホキシド(17)を与える。例えば、およそ一当量の適当な酸
化剤、例えば水中に溶解された過ヨウ素酸ナトリウムが、適当な有機溶媒、例え
ばメタノ−ル中に溶解されたフェニルスルヒド(16)と約0℃で攪拌しながら一緒
にされる。反応物は約1時間撹拌され、室温に温められ、そしてクロロホルムな
どの適当な有機溶媒で希釈される。有機層を分離し、次に食塩水ですすぎ、無水
硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物を酢酸エチル
/ヘキサンなどの適当な溶離液を用いてシリカゲル上のクロマトグラフィ−によ
り精製し、フェニルスルホキシド(16a)を与える。
段階A2に於いて、フェニルスルホキシド(16a)は、
DASTでのフルオロ-プメラ−転移[例えば、ハドリッキ−,M.,Org.React.,3 5
,513,(1988)を参照]、続いて酸化によってα-フルオロスルホキシド(17)に
変換される。例えば、フェニルスルホキシド(16a)は、クロロホルムなどの適当
な有機溶媒中に不活性雰囲気、例えば窒素下で溶解される。この溶液に約0.1当
量の三塩化アンチモンを加える。三塩化アンチモンが溶解した後、過剰のジエチ
ルアミノ硫黄トリフルオライド(DAST)を溶液に加え、反応物を約1〜3時間室温
で撹拌する。反応物を次に適当な有機溶媒、例えばクロロホルムで希釈し、次に
飽和重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し濾過す
る。濾液を次に約-20℃に冷却し、一当量の適当な酸化剤、例えばm-クロロ化安
息香酸で処理する。反応物を-20℃で約1時間撹拌する。次にα-フルオロスルホ
キシド(17)を、この分野でよく知られた技術により単離精製する。例えば、反応
物を重亜硫酸ナトリウムを加えておいた飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、次に重
炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して真
空下で濃縮する。残留物を次に適当な溶離液、例えば酢酸エチル/ヘキサンを用
いてシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ−で精製し、α-フルオロスル
ホキシド(17)を与える。
別の方法として、フェニルスルホキシド(16a)は、n-
ブチルリチウムでフェニルスルホキシド(16a)のカルバニオンを発生させ、続い
て約1.5当量のN-フルオロベンゼンスルホンアミド(NFSI; NFSIの入手可能性に
関する情報は、G.A.シア,アライド シグナル インコ−ポレイテッド Alli
ed Signal Inc.,14210ニュ−ヨ−ク州バッファロ−,バッファロ− リサ−チ
ラボラトリ−から得ることが出来る)で-60℃で30分間処理し、次に室温で2
時間処理することによって、α-フルオロスルホキシド(17)に変換できる。α-フ
ルオロスルホキシド(17)を、次にこの分野でよく知られた技術によって単離精製
する。
段階Bに於いてα-フルオロスルホキシド(17)は、スタニル化され、α-スタニ
ルスルホキシド(18)を与える。例えば、α-フルオロスルホキシド(17)は、テト
ラヒドロフランなどの適当な有機溶媒中に溶解され、それに約1.1当量の、例え
ばヨウ化トリブチル錫などのヨウ化トリアルキル錫が加えられる。この溶液を次
に約−70℃でテトラヒドロフラン中の2当量のリチウムジイソプロピルアミドの
出発溶液に滴下する。反応物を次に約15〜30分間撹拌し、次にエ−テルと5%チ
オ硫酸ナトリウムの間に分配する。α-スタニルスルホキシド(18)を次に、この
分野でよく知られた技術によって単離精製する。例えば、有機層を分離し、無水
硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物を次にシリカ
ゲ
ル上のフラッシュクロマトグラフィ−で、酢酸エチル/ヘキサンなどの適当な溶
離液を使用して精製し、α-スタニルスルホキシド(18)を与える。
段階Cに於いて、α-スタニルスルホキシド(18)は、熱分解反応にかけられ、(
フルオロビニル)スタナン(7)を与える。例えば、α-スタニルスルホキシド(18)
は、トルエンなどの適当な有機溶媒中に溶解される。過剰のヒュ−ニッヒ塩基(
N,N-ジイソプロピルエチルアミン)を溶液に加え、溶液を次に約100〜110℃でで
1〜4時間、不活性雰囲気、例えばアルゴン下で加熱する。冷却後溶媒を真空下
で除去し、そして(フルオロビニル)スタナン(7)を、この分野でよく知られた技
術で精製する。例えば、適当な溶離液、例えばヘキサンを用いるシリカゲル上の
フラッシユクロマトグラフィ−により、(フルオロビニル)スタナン(7)を与える
。
段階Dに於いて、(フルオロビニル)スタナン(7)は、5-ヨードウラシルに結合
されて、式(Ic)の化合物を与える。例えば、5-ヨードウラシルは、約1.25当
量の(フルオロビニル)スタナン(7)及びジメチルホルムアミド(DMF)などの適
当な有機溶媒中の触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)
と一緒にされる。混合物を約100℃で2時間、窒素雰囲気下で加熱する。冷却後
溶媒を高真空下で除去し、残留物をこの分野でよく知られた技術で、例えばフラ
ッシュクロマトグラ
フィ−又は再結晶化で精製する。例えば、残留物を適当な溶離液、例えばメタノ
−ル/塩化メチレンを用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ−で精
製する。生成物を次に適当な溶媒、例えば水からの再結晶化により更に精製し、
式(Ic)の化合物を与える。
式(I)の立体異性体によって包含される相対立体配置は、当業者に容易に調
製できる。更に、式(I)のエナンチオマ−類は、ジャック,J.等,『エナンチ
オマ−ズ、ラセメイツ、アンド レゾリュ−ションズ(Enantiomers,Racemates
,and Resolutions)』ジョン ウイリ− アンド サンズ インコ−ポレイテ
ッド,1981によって記載される結晶化技術、又は、キラルカラムクロマトグラフ
ィ−などの化学分野に於いてよく知られた技術を用いて、分割することが出来る
。
次の実施例は、反応経路I,II,III,IV及びVに記載される典型的な合成を
表している。これらの実施例は例示のみの物であり、いかなる事があっても本発
明の範囲を限定する意図ではない。次の実施例に於いて次の用語は、示された意
味を有している。『eq.』は当量、『g』はグラム、『mg』はミリグラム、『mmol
』はミリモル、『mL』はミリリットル、『℃』は摂氏の度、『TLC』は薄素クロ
マトグラフィ−、『Rf』は保持係数、『δ』はテトラメチルシランからのダウン
フィ−ルドのppmをさしている。
実施例1
2'-デオキシ-5-(1-フルオロエテニル)ウリジンの製造
反応経路I,段階A; ジクロロメタン(500mL)中に塩化オキザリル(13.9m
L,159mmol)を溶解し、溶液を窒素雰囲気下で-79℃に冷却する。ジメチル スル
ホキシド(250mLのシクロロメタン中に溶解ざれた12.8mL,180mmol)を20分かけ
て滴下する。添加が終了した後、反応物を更に10分間撹拌し、トリメチルシリル
メタノ−ル(150mLのジクロロメタン中に溶解された13.9mL,110mmol)を加える
。反応物を15分間-78℃で撹拌し、トリエチルアミン(55mL,392mmol)を加える
。添加完了後、-78℃で更に20分間反応物を撹拌して、オレフィン化反応の為の
、既に溶液中のアルデヒドを製造する。
反応経路I,段階B: 無水テトラヒドロフラン(400mL)中に窒素雰囲気下
でフルオロメチルフェニルスルホン(18.45g,106mmol)を溶解し、溶液を-78℃
に冷却する。順次、リチウムジイソプロピルアミド(テトラヒ
ドロフラン中の1.0M溶液,191mL)及びジエチルクロロフォスフェ−ト(15.3mL
,106mmol)を加え、反応物を−78℃で1.5時間撹拌する。この溶液に、カヌ−レ
経由で上記の製造した既に溶液中のアルデヒドを加えて、反応物を-78℃で1時
間攪拌する。次に反応物を室温に温め、更に1時間撹拌する。次に、反応物を飽
和塩化アンモニウムで停止させる。相を分離し、水相をクロロホルムで抽出する
(3x)。有機相と有機抽出物を一緒にし、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾
過して真空下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィ−で精製する(
酢酸エチル/ヘキサン,1:5,シリカゲル)、そして、フルオロビニルスルホン
をE/Z異性体の10:3混合物として得る(21.2g,77%)。
反応経路I,段階C; トルエン(400mL)中に、上で作ったフルオロビニル
スルホン(21.2g,82mmol)を窒素雰囲気下で溶解する。アゾイソブチロニト
リル(670mg,4.1mmol,AIBN)及び水素化トリブチル錫(48.5mL,180mmol)を
加える。反応物を24時間還流で加熱する。反応物を冷却し、真空下で濃縮する。
残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(ヘキサン,シリカゲル)で精製し、(
フルオロビニル)スタナン(30.4g,91%)を与える。
反応経路III,段階A; ジメチルホルムアミド(80mL)中で5-ヨード-2'-デオ
キシウリジン(2.35g,6.6mmol)、
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(100mg)及び上で作った
(フルオロビニル)スタナン(2.6g.6.7mmol)を一緒にする。反応物を100℃で
24時間加熱し、室温に冷却する。反応物を高真空下で濃縮し、残留物をフラッシ
ュクロマトグラフィ−(塩化メチレン/メタノ−ル,9:1,シリカゲル)で精製
して、結合生成物を与える(200mg)。
反応経路III,段階B; 修酸(140mg,1.6mmol)及び上で形成した結合生成
物(200mg)をメタノ−ル(10mL)中で一緒にする。反応物を9日間室温で撹拌
する。反応物をシリカゲルのプラグを通して濾過する(25%メタノ−ル/塩化メ
チレン)。濾液を真空下で濃縮し、残留物をラジアルクロマトグラフィ−(4%
メタノ−ル/塩化メチレン,2mmプレ−ト,シリカゲル)によって精製し、標題
化合物を(88.6mg,72%)を与える。IIRMS 計算値 271.0730.実測値 27
1.0728
実施例2
5-(1-フルオロ-2,2-ジメチル-エテニル)ウリジンの製造
反応経路II,段階A; 無水テトラヒドロフラン(100mL、THF)中にフルオロ
メチルフェニルスルホン(6g,34.5mmol)を溶解し、-78℃に冷却する。ジエチ
ルクロロホスフェ−ト(5.2mL,36mmol)を加え、次にリチウムヘキサメチルジ
シルアミド(THF中の1M溶液45mL,45mmol)を加える。-78℃で1時間後、アセト
ン(3.5g,60mmol)を加え、反応物を室温に温める。これを次に飽和塩化アンモ
ニウムで停止させ、真空下で濃縮し、テトラヒドロフランを除去する。残りの水
性物を塩化メチレンで抽出する(2×200mL)。一緒にした有機抽出物を無水硫酸
マグネシウム上で乾燥し、濾過して濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラ
フィ−で精製し(酢酸エチル/ヘキサン,1:7,シリカゲル)ビニルスルホン(4
.2g)を与える。
反応経路II,段階B; トルエン(100mL)中に上で作ったビニル スルホン
(4.0g,18.7mmol)を溶解し、水素化トリブチル錫(11.9g,41mmol)及びアゾ
イソブチロニトリル(25mg,AIBN)を加える。反応物を80℃で一夜加熱し、次に
真空下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィ−で精製し(ヘキサン
,シリカゲル)、所望のスタニル化生成物を与える(4.91g,72%)。
反応経路III、段階A; ジメチルホルムアミド(10mL)中で5-ヨードウリジ
ン(370mg,1mmol)、テトラキス(ト
リフェニルホスフィン)パラシウム(O)(15mg)及び、上で作ったスタニル化生成
物(360mg,1mmol)を一緒にする。反応物を100℃で24時間加熱し、次に室温に
冷却する。反応物を高真空下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィ−
(塩化メチレン:メタノ−ル:水酸化アンモニウム,90:10:1)で精製し、標題
化合物(74mg)を無色の油として与える。HRMS 計算値 316.1071,実測値 31
6.1085。
実施例3
(E)-5-(1-フルオロ-2-フェニル-エテニル)ウリジンの製造
反応経路II,段階A; 無水テトラヒドロフラン(200mL)中にフフオロメチ
ルフェニル スルホン(10g,57mmol)を溶解し、そして溶液を-78℃に冷却する
。ジエチルクロロフォスフェ−ト(9.8g,57mmol)を加え、次にリチウムヘキサ
メチルシシルアミド(THF中の1M溶液106mL,106mmol)を加える。45分後、ベン
ズアルデヒド(4
g,38mmol)を加え、反応物を室温に温める。反応物を飽和塩化アンモニウムで
停止させ、酢酸エチル(2×150mL)で抽出する。一緒にした有機抽出物を無水硫
酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物をフラッシュク
ロマトグラフィ−で精製し(酢酸エチル/ヘキサン,1:5,シリカゲル)、所望
のビニル スルホン(9.48g,95%)を白色固体として与える。
反応経路II,段階B; 上で作ったビニルスルホン(8.9g,34mmol)、水素化
トリブチル錫(21.7g,75mmol)及びAIBN(100mg)をトルエン(200mL)中で一
緒にする。反応物を60℃で一夜加熱する。追加の量のAIBN(100mg)を加え、80
℃で7時間加熱する。反応物を冷却し、真空下で濃縮する。残留物をフラッシュ
クロマトグラフィ−(ヘキサン,シリカゲル)で精製し、無色の油として所望の
スタニル化生成物(13.9g)を与える。
反応経路III,段階A; 5-ヨードウリジン(320mg、0.86mmol)、テトラキス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(10mg)及び上で作ったスタニル化
生成物(355mg,0.86mmol)をジメチルホルムアミド(20mL)中で一緒にする。
反応物を50℃で3時間加熱し、次に反応物を100℃で24時間加熱する。反応物を
室温に冷却する。反応物を高真空下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラ
フィ−(酢酸エチル,シリカゲル)で精製し、続いてアセトニトリルから再結晶
化し、標題化合物(51mg)
を結晶として得る。
実施例4
(E)-2'-デオキシ-5-(1-フルオロ-2-フェニル-エテニル)-ウリジンの製造
反応経路II,段階A; 5-ヨ−ド-2'-デオキシウリジン(500mg.1.41mmol)
、テトラキス(トリフェニルホスフィン)バラジウム(O)(10mg)及び実施例3、
反応経路II、段階Bで作ったスタニル化生成物(580mg,1.41mmol)をジメチル
ホルムアミド(20mL)中で一緒にする。反応物を100℃で24時間加熱し、反応物
を室温に冷却する。残留物を高真空下で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグ
ラフィ−で精製し(塩化メチレン:メタノ−ル:水酸化アンモニウム,90:10:1
,シリカゲル)、続いてアセトニトリルから再結晶化して、白色固体として標題
化合物を与える。融点は、212〜215℃で発泡し、融点が<250℃を有する白色固
体を与える。
実施例5
5-(1-フルオロエテニル)ウラシルの製造
反応経路IV.段階A; ヴァン ア−ルショット,エ−.及びヘルデウィン,
ピ−.,Tetrahedron Lett.,72(16),1905,(1991)に記載される手順に従って、撹
拌しながら5-ヨードウラシル(3.07g,12.9mmol)、トリフェニルホスフィン(5
g,19.3mmol)、及び4-メトキシベンジル アルコ−ル(2.7g,19.3mmol)をジ
オキサン(50mL)中で一緒にする。注射器経由でゆっくりと、ジメチル アゾジ
カルボキシレ−ト(2.8g,19.3mmol)を加える。反応物を24時間撹拌し、水で停
止させる。停止させた反応混合物を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を無水
硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物をフラッシュ
クロマトグラフィ−で精製し(30%酢酸エチル/ヘキサン,シリカゲル)保護さ
れた5-ヨードウラシル(3.3g)を与える。
反応経路IV,段階B; 上記保護された5-ヨードウラシル(2.3g,6.5mmol)
、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(100mg)、実施例
1、反応経路I、段階Cで製造された(フルオロビニル)スタナン(7.7mmol)を
トルエン(20mL)中で一緒にする。反応
物を100℃で24時間加熱する。反応物を冷却し、真空下で濃縮する。残留物をフ
ラッシュクロマトグラフィ−で精製し(酢酸エチル/ヘキサン,1:3,シリカゲ
ル)、結合した生成物(900mg)を白色固体として与える。
反応経路IV,段階C; 上で作った結合生成物(3mmol)を水性アセトニトリル
中に溶解し、溶液をおよそ5℃に冷却し、セリックアンモニウムナイトレ−ト(
9mmol)で処理する。反応物を24時間撹拌する。次に反応物を酢酸エチルで希釈
し、水、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して濃縮し、脱
保護ウラシルを与える。
反応経路IV,段階D; 修酸(1.6mmol)及び上で形成した脱保護ウラシル(1
.6mmol)をメタノ−ル(10mL)中で一緒にする。反応物を9日間室温で撹拌する
。次に反応物をシリカゲルのプラグを通じて濾過する(25%メタノ−ル/塩化メ
チレン)。濾液を真空下で濃縮し、残留物をラジアルクロマトグラフィ−で精製
し(4%メタノ−ル/塩化メチレン,2mmプレ−ト,シリカゲル)、標題化合物
を与える。反応経路Vで示される、5-(1-フルオロエテニエル)ウラシルの製造の為の別の手 順
反応経路V,段階A; オチ,ケ−.等Chem.Pharm.Bull.,33(4),1703,(19
85)により記載された手順に一般的に従って、5-ヨードウラシル(5mmol)をヘキ
サメ
チルジシラザン(15mL)と一緒にし、還流で3時間加熱する。反応物を冷却し、
真空下で濃縮して、ビス-O2,O4-保護5-ヨードウラシルを与える。
反応経路V,段階B; 上記のビス-O2,O4-保護5-ヨードウラシル(6.5mmol)
、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(100mg)、実施例
1、反応経路I、段階Cで作られた(フルオロビニル)スタナン(7.7mmol)をト
ルエン(20mL)中で一緒にする。反応物を100℃で24時間加熱する。反応物を冷
却し、真空下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィ−(酢酸エチル
/ヘキサン,1:3,シリカゲル)で精製し、結合生成物を与える。
反応経路V,段階C; 上で作った結合生成物(5mmol)をテトラヒドロフラン
(10mL)中に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(22mmol)で処理する。
0℃で10分間撹拌する。反応物を酢酸エチルで希釈し、水、食塩水ですすぎ、無
水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮し、保護されたウラシル
を与える。
反応経路V,段階D; 修酸(1.6mmol)及び上で作った脱保護されたウラシ
ル(1.6mmol)をメタノ−ル(10mL)中で一緒にする。反応物を9日間室温で撹
拌する。反応物をシリカゲルのプラグを通して濾過する(25%メタノ−ル/塩化
メチレン)。濾液を真空下で濃縮し、残留物をラジアルクロマトグラフィ−で精
製し(4%メタ
ノ−ル/塩化メチレン,2mmプレ−ト,シリカゲル)、標題化合物を与える。
反応経路V,段階E; 修酸(6mmol)及び上で作った脱保護されたウラシル
(1.6mmol)をメタノ−ル(10mL)中で一緒にする。反応物を10日間室温で撹拌
する。次に反応物をシリカゲルのプラグを通して濾過する(25%メタノ−ル/塩
化メチレン)。濾液を真空下で濃縮し、残留物をラジアルクロマトグラフィ−で
精製し(4%メタノ−ル/塩化メチレン,2mmプレ−ト,シリカゲル)、標題化
合物を与える。反応経路VIで示される5-(1-フルオロエテニル)ウラシルの製造の為の別の手順
反応経路VI,段階A1; 水(400mL)中の過ヨウ素酸ナトリウム(40.9g,19
1mmol)の溶液を0℃に窒素雰囲気下で冷却する。メタノ−ル(400mL)中のフェ
ニルエチル スルフィド(25.22g,183mmol)の溶液を20分掛けて過ヨウ素酸ナ
トリウムの撹拌溶液に加える。反応物を0℃で1時間撹拌し、そして室温に温め
る。反応物をクロロホルムで抽出する。一緒にした有機抽出物を、食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。残留物をフ
ラッシュクロマトグラフィ−で精製し(50%〜70%の酢酸エチル/ヘキサン,シ
リカゲル)、スルホキシドを与える(26.18g,93%)。
反応経路VI,段階A2; 上で作ったスルホキシド
(1.54g,10mmol)をクロロホルム(50mL)中に窒素雰囲気下で溶解する。この
溶液に三塩化アンチモン(228mg,1mmol)を加える。三塩化アンチモンが溶解し
た後、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(2.65mL,20mmol,DAST)を注射器により加え
る。反応物を次に室温で1時間撹拌する。反応物を次にクロロホルム(100mL)
で希釈し、そして飽和炭酸水素ナトリウム(100mL、5gの水酸化ナトリウムによ
る)で洗浄し、飽和重炭酸ナトリウム(100mL)で洗浄し、次に食塩水(100mL)
で洗浄する。水相を次にクロロホルム(100mL)で逆抽出する。一緒にした有機
抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過する。濾液を次に冷却して、-20
℃に冷却し、m-クロロ化安息香酸(3.51g,10mmol,50%)で処理する。反応物
を-20℃で1時間撹拌する。反応物を次に、飽和重炭酸ナトリウム(100mL、10g
の重硫酸ナトリウムを添加)、飽和重炭酸ナトリウム(100mL)、及び食塩水(1
00mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮する。
残留物をフラッシュクロマトグラフィ−で精製し(25%酢酸エチル/ヘキサン)
、α-フルオロスルホキシド(1.55g,90%)を与える。
反応経路VI,段階B; テトラヒドロフラン(45mL,THF)中にアルゴン雰囲
気下でジイソプロピルアミン(2.8mL,20mmol)を溶解し、-5℃に冷却する。n-
ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M,8mL,20mmol)の溶液を撹
拌している溶液に滴下し、次に10分間撹拌する。溶液を次に-70℃に冷却する。
テトラヒドロフラン(5mL)中の、上で作ったα-フルオロスルホキシド(1.72g
,10mmol)及びヨウ化トリブチル錫(3.14mL,11mmol)の溶液を、温度を-60℃
以下に保ちながら、上記溶液に滴下する。添加が完了した後、薄黄色チョ−ク色
の混合物を15分間攪拌し、次にエ−テルと5%チオ硫酸ナトリウムの間で分配す
る。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して真空下で濃縮
する。残留物をフラッシュクロマトグラフィ−で精製し(6%酢酸エチル/ヘキ
サン,シリカゲル,Rf=0.19,0.24)、ジアステレオマ−の2:1混合物として、α-
スタニルスルホキシド(1.60g,35%)を与える。19F NMR(CDCl3)δ-166.99(m
,メジャ−),-167.57(m,マイナ−)。
反応経路VI,段階C; 上で作ったα-スタニルスルホキシド(0.46g,1mmol
)を、トルエン(10mL)中にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1mL,5.74mmol
)と共に溶解する。溶液を110℃で2時間、アルゴン雰囲気下で加熱する。混合
物を次に冷却し、そして溶媒を真空下で除去する。残留物をフラッシュクロマト
グラフィ−で精製し(ヘキサン,シリカゲル,Rf=0.8)、油として(フルオロビ
ニル)スタナン(165mg,50%)を与える。1H NMR(CDCl3,500MHz)δ 0.90(t,
9H,J=7.3Hz),1.01(m,6H),1.33(m,6H),1.54(m,6H),4.55(m,1H,
JH-H=2.8Hz,JH-F=38.1Hz,JH-sn=67.0,69.8Hz),5.31(m,1H,JH-H=2.8Hz,JH -F
=67.6Hz,JH-sn=15.1Hz)。19F NMR(CDCl3,470MHz)δ 84.77(m,dd,(84%)
,J=38.1,67.6Hz),J=(7.6%)F-117sn,J=(8.6%)F-119sn,=228,238Hz。13C NM
R(CDCl3,76MHz)δ 9.91(JF-c=2.0Hz,Jsn-c=338.8,354.3Hz),13.63,27.15
(Jsn-c=57.4Hz),28.80(Jsn-c=21.6Hz),107.59(JF-c=1.6Hz,Jsn-c=64.2Hz),1
78.92(JF-c==319.5Hz)。
反応経路VI,段階D; 5-ヨ−ドウラシル(340mg,1.43mmol)、(フルオロビ
ニル)スタナン(600mg,1.8mmol、上の段階Cで作ったもの)、テトラキス(トリ
フェニルホスフィン)パラジウム(O)(約20mg)及びジメチルホルムアミド(4mL
)を一緒にし、100℃で2時間、窒素雰囲気下で加熱する。反応物を次に室温に
冷却し、溶媒を高真空下で除去する。残留物をフラッシュクロマトグラフィ−で
精製する(8% メタノ−ル/塩化メチレン)。生成物を含有するフラクション
を塩化メチレンと共沸させ、次に塩化メチレン/エ−テルでスラリ−にする。固
体を濾過で集め、次に水(3mL)で再結晶化し、濾過後明るい褐色の固体を得る
(60.5mg)。濾液を真空下で濃縮し、残留物をラジアルクロマトグラフィ−で精
製し(6% メタノ−ル/塩化メチレン)、追加の10mgを与え、合計で70.5mg(
45%)の標題化合物を得る。これを70mgの別の類似の実験からのものと一緒にし
、そして次
にラジアルクロマトグラフィ−で再度精製し(6% メタノ−ル/塩化メチレン
)、高真空下で乾燥後、91mgの標題化合物を、鈍い黄色の固体として与える。融
点235〜238℃。
5-フルオロウラシル(5-FU)は、容易に入手出来、そしてその抗新生物剤と
しての用途はこの分野でよく知られ認められている[例えば、コ−ル,R.T.及
びフリッツ,W.L.,『癌化学療法ハンドブック(CANCER CHEMOTHERAPY HANDBOO
K)』,1980,エルセビア ノ−ス ホランド インコ−ポレイテッド,ニュ−ヨ−
ク州ニュ−ヨ−ク、及び、カラブレシ,P.及びチャブナ−,B.A.『新生物病の
化学療法(CHEMOTHERAPY OF NEOPLASTIC DISEASES)』,セクションXII,グッド
マン アンド ギルマンズ ザ ファ−マコロジカル ベ−シス オブ セラピ
ュ−ティックス(GOODMAN AND GILLMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAP
EUTICS),第8編,1990,ペルガモンプレス インコ−ポレイテッド,ニュ−ヨ−ク
州エルムスフォ−ド、を参照]。
本発明は、新生物病の症状の患者に、式(I)の化合物の抗新生物量を投与す
ることからなる、その患者を処置する方法を提供している。
本明細書で使用される用語の「新生物病」は、急激な細胞増殖又は新生物を特
徴とする異常な状態又は症状をさす。本発明に従って式(I)の化合物による処
置が特に
有用であるような新生物病は、急性リンパ芽球性、慢性リンパ球性、急性筋芽細
胞性、及び慢性筋細胞性の白血病を包含するがこれらに限定されない白血病;頸
部、食道、胃、小腸、結腸及び肺(小細胞と大細胞の両方)の癌を包含するがこ
れらに限定されない癌及び腺癌;骨腫、骨肉腫、脂肪腫、脂肪肉腫、血管腫、及
び血管肉腫を包含するがこれらに限定されない肉腫;無黒色素性及び黒色素性を
包めた黒腫;及びガン肉腫、リンパ様組織型、小胞細網、細胞肉腫、及びホジキ
ン病のような混合型腫瘍形成を包含している。式(I)の化合物での処置が特に
好ましい新生物病症状は、癌及び腺癌、特に乳癌、前立腺癌、及び肺癌を含む。
本明細書で使用される用語の「患者」は、特定の新生物病症状にかかった哺乳
類のような温血動物をさす。ヒト、ハツカネズミ、及びラットが、この用語の意
味の範囲内に入る動物の例であることは理解されよう。
式(I)の化合物の抗新生物有効量は、患者への1回又は複数回投与において
、新生物の成長を制御し、又は患者の生存能力をそのような処置の非存在下に予
想されるよりも長くするのに有効な量をさす。本明細書で使用される用語の、新
生物の「増殖を制御する」とは、その増殖を鈍化、中断、抑制又は停止させるこ
とであり、必ずしも新生物を完全になくすることを意味してはいない。
有効量は、当業者としての観察している診断者が既知
の技術の使用により、及び類似の状況下で得られる結果を観察することにより容
易に決定できる。有効量又は適量を決定するに当たって、観察する診断者によっ
て幾つかの要因が考慮され、これらには限定するものではないが、哺乳類の種、
その大きさ、年齢、一般的健康状態、特定の関与する新生物病、病気の程度又は
ひどさ、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与形式、投与される製
剤の生物利用特性、選ばれる投与レギメン、併用する医薬の使用、及び他の関連
する状況が含まれる。
式(I)の化合物の抗新生物有効量は、1日当たり体重kg当たり約0.1mg(mg/k
g/日)から100m8/kg/日の範囲にあり、好ましくは約0.5mg/kg/日ないし約10mg/k
g/日であろう。
更に、本発明は、式(I)の化合物の抗新生物有効量及び5-フルオロウラシル
の抗新生物有効量による連係療法から成る新生物病にかかった患者を処置する方
法を提供する。この連係療法は、相乗的な抗新生物効果を与える。
式(I)の化合物と5-フルオロウラシルとの共同療法は、乳癌、結腸癌、胃が
ん、すい臓癌、卵巣癌、頭首癌、膀胱癌、前癌性の皮膚の病巣にかかった患者の
処置に特に有用であろう。
上記の新生物病の症状にかかった患者を処置する場合に、式(I)の化合物は
、5-フルオロウラシルとの連係療法で投与される。本明細書で連係療法という用
語は、5-
フルオロウラシルと共に式(I)の化合物を共同投与することを含めている。こ
の共同投与は、本質的に同時に、順次に、又は交互に行われ得る。
本質的に同時に共同投与を与えるに当たって、式(I)の化合物及び5-フルオ
ロウラシルの処置の過程は、本質的に同時に実行される。順次の共同投与を与え
るに当たっては、一方の試薬の処置の全体の過程が停止された後他方の処置の全
体の過程がそれに続く。交互の共同投与を与えるに当たっては、交互に、試薬の
一方での処置の部分的な過程が停止された後に他方の処置の部分的な過程が行わ
れ、これが、各々の試薬の完全な処置量が投与されるまで行われる。式(I)の
化合物及び5-フルオロウラシルが順次又は交互に共同投与される時は、式(I)
の化合物を最初に投与し、5-フルオロウラシルを最後に投与するのが一般に好ま
しい。
本発明の方法に従って連係療法を実施するに当たって、式(I)の化合物及び5
-フルオロウラシルを順次又は交互に共同投与するのが好ましい。式(I)の化合
物と5-フルオロウラシルの共同投与を順次に行うのが最も好ましい。
5-フルオロウラシルの抗新生物有効量は、この分野でよく知られ認められてい
る。例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)の抗新生物有効量は、約6mg/m2/日〜
約800mg/m2/日で変化することが予測される。
上記の病気の状態にかかった患者を処置するに当たっ
て、式(I)の化合物は5-フルオロウラシルと組合わせて投与できるが、式(I)
の化合物の抗新生物量の5-フルオロウラシルの抗新生物量に対する割合が約1:
0.1〜約1:50、より好ましくは約1:1〜約1:20、最も好ましくは約1:1
〜約1:10の範囲で投与できる。
5-フルオロウラシルは、この分野でよく知られ、受入れられるような方法で投
与できる。例えば5-フルオロウラシルは静脈内投与出来る。
本発明は更に、式(I)の化合物の阻害有効量をチミジレ−トシンセタ−ゼ阻
害を必要とする患者に投与することから成る、必要とする患者のチミジレ−トシ
ンセタ−ゼを阻害する方法を提供する。
新生物病症状にかかっている患者は、式(I)の化合物などのチミジレ−トシ
ンセタ−ゼ阻害剤を必要とすると理解される。
式(I)の化合物の患者への投与は、患者中にチミジレ−トシンセタ−ゼの阻
害を生じる。従って、式(I)の化合物で患者を処理することによって、新生物
病症状が阻止又は抑制される。
患者が、チミジレ−トシンセタ−ゼの強められた活性が病気の進行に寄与因子
として関係付けられているある種の新生物病症状にかかっている場合には、その
患者は式(I)の化合物などのチミジレ−トシンセタ−ゼを阻害する試薬で処理
する必要がある患者である。
標準の臨床及び実験室試験及び手順に基づいて、当業者としての観察する診断
者は、式(I)の化合物などのチミジレ−トシンセタ−ゼを阻害する試薬での処
理の必要のある患者を容易に同定できる。
式(I)の化合物の阻害有効量は、チミジレ−トシンセタ−ゼの阻害を与える
のに、患者に単一又は複数投与した時に有効である量である。
式(I)の化合物の阻害有効量は、既知の技術の使用及び類似の状況下で得ら
れる結果を観察することによって、当業者としての観察する診断者によって容易
に決定できる。有効投与量又は適量を決定するに当たって、いくつかの要因が観
察する診断者によって考慮され、それらの要因には、限定されるものではないが
、哺乳類の種、その大きさ、年齢、一般的健康状態、特定の関与する新生物病、
病気の程度又はひどさ、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与形式
、投与される製剤の生物利用特性、選ばれる投与レギメン、併用する医薬の使用
、及び他の関連する状況が含まれる。
式(I)の化合物の阻害有効量は、一日体重キログラム当たりのミリグラム(mg
/kg/日)が約0.1〜約100である。好ましい量は約0.5mg/kg/日〜約10mg/kg/日で変
化することが予測される。
上記の病状にかかった患者を処置するには、式(I)の化合物は、経口及び非
経口経路を含めて、有効量で化合
物を生物利用可能とするような任意の形式又は方式で投与できる。例えば、式(
I)の化合物は、経口、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、鼻内、直腸経由等で投与
できる。経口投与が一般に好ましい。処方剤を調製する当業者は、選択される化
合物の特性、処置される病状、病気の段階、5-フルオロウラシルの投与形式、選
ばれる同時投与方法、及び他の関連する条件を含めた特定状況に応じて、適当な
投与形式及び方式を容易に選択できる。
式(I)の化合物は、製薬上受入れられる担体又は付形剤と組合わせて、単独
で又は製剤組成物の形で投与できる。その割合と性質は、選択される化合物の溶
解性及び化学的性質、選ばれた投与経路、標準の製剤実施方法によって決定され
る。本発明の化合物はそれら自体有効であるが、安定性、結晶化の便宜、溶解度
の増加などの目的の為に、それらの製薬上受入れられる酸付加塩の形態で処方及
び投与できる。
別の具体例で本発明は、1以上の不活性担体と混合又はその他の方法で組み合
せた、式(I)の化合物から成る組成物を提供する。これらの組成物は例えば検
定標準として、バルク輸送をする都合のよい手段として、又は製剤組成物として
有用である。式(I)の化合物の検定できる量は、標準の検定手順及び技術によ
って容易に測定でき、当業者によく知られ認められた量である。式(I)の化合
物の検定可能な量は一般に、重量で組成物の約0.00
1%〜約75%で変化する。不活性担体は、式(I)の化合物を分解させない、又は
その他の方法で共有結合的に反応しない任意の物質であり得る。適当な不活性担
体の例は、水、水性緩衝液類、例えば高性能液体クロマトグラフィ−(HPLC)分
析中で一般に有用であるもの、有機溶媒、例えばアセトニトリル、酢酸エチル、
ヘキサンなど、及び製薬上受入れられる担体又は付形剤である。
より詳しくは本発明は、1又はそれ以上の製薬上受入れられる担体又は付形剤
と混合又はその他の方法で組合わせた、式(I)の化合物の治療上有効量を含ん
でいる製剤組成物を提供する。
製剤組成物は、製薬分野でよく知られた方法で造られる。担体又は付形剤は、
固体、半固体又は液体物質であって、活性成分のビヒクルまたは媒体として役立
ち得るものである。適当な担体又は付形剤は、この分野でよく知られている。製
剤組成物は、経口又は非経口用途に適合化でき、錠剤、カプセル剤、坐薬、溶液
、懸濁液などの形態で患者に投与できる。
本発明の化合物は、経口的に、例えば不活性希釈剤又は食用担体と共に投与で
きる。これらは、ゼラチンカプセル中に封入されるか、又は錠剤に圧縮できる。
経口治療投与の目的の為には化合物は佐薬と共に混入することができ、錠剤、ト
ロ−チ、カプセル、エルキシル、坐薬、シロップ、ウエハ−、チュ−インガムな
どの形態で使用
される。これらの製剤は少なくとも4%の本発明の化合物、即ち活性成分を含有
すべきであるが、特定の形態に依存して変化することができ、投与単位の4〜70
重量%が都合がよい。組成物中に存在する化合物の量は、適当な投与が得られる
量である。本発明に従う好ましい組成物及び製剤は、経口投与単位系が本発明の
化合物5.0〜300mgを含有するように製造される。
錠剤、丸薬、カプセル、トロ−チなども1又はそれ以上の次の助剤を含有でき
る。微結晶セルロ−ス、トラガカントガム、又はゼラチンなどの結合剤、澱粉又
は乳糖などの佐薬、アルギン酸、プライモゲル、コ−ンスタ−チなどの崩壊剤、
ステアリン酸マグネシウム又はステロテックス等の潤滑剤、コロイド状二酸化珪
素などの滑剤、サッカリン又はショ糖などの甘味剤を加えることができ、又はペ
パ−ミント、サリチル酸メチル又はオレンジフレ−バ−などの風味剤を加えるこ
とができる。投与単位形がカプセルである時は、上記の種類の材料に加えて、ポ
リエチレングリコ−ル又は脂肪油などの液体担体を含有できる。他の投与単位形
は、他の種々の材料であって、投与単位の物理的な形態を変えるもの、例えば被
膜を含有できる。このように錠剤又は丸薬は砂糖、シェラック又は他の腸用被剤
で被覆できる。シロップは本発明の化合物に加えて甘味剤としてショ糖を、そし
てある種の防腐剤、染料及び着色剤、及びフレ−バ−を含有できる。
これらの種々の組成物を製造するのに使用する材料は、製薬上純粋で、使用され
る量で無毒であるべきである。
非経口治療投与の目的の為には、本発明の化合物は溶液又は懸濁液に混入でき
る。それらの製剤は少なくとも0.1%の本発明の化合物を含有すべきであるが、0
.1と約50重量%の間で変化できる。本発明の化合物のそのような組成物中に存在
する量は、適当な適量が得られる量である。本発明に従う好ましい組成物及び製
剤は、非経口投与単位が本発明の化合物を5.0〜100mgの間で含有するように造ら
れる。
溶液又は懸濁液は、1又はそれ以上の次の助剤を含む。滅菌希釈剤、例えば注
射用水、食塩水溶液、不揮発油、ポリエチレン グリコ−ル、グリセリン、プロ
ピレングリコ−ル又は他の合成溶媒、抗細菌剤、例えばベンジル アルコ−ル又
はメチル パラベン、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム
、キレ−ト化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、緩衝剤、例えばアセテ−ト類
、シトレ−ト類又はホスフェ−ト類、及び等張性の調節の為の試薬、例えば塩化
ナトリウム又はデキストロ−ス。非経口製剤は、アンプル、使い捨て可能な注射
器、又はガラス又はプラスチック製の複数投与バイアル中に封入できる。
特定の一般用途を有している、構造的に関連した化合物の任意の群がそうであ
るように、ある種の群及び立体
配置が式(I)の化合物について好ましい。
置換基R3に関しては、R3が2'-デオキシリボ−スである式(I)の化合物が一
般に好ましい。
次のリストは本発明の化合物を例示している。
1)2'-デオキシ-5-(1-フルオロエテニル)ウリジン
2)5-(1-フルオロ-2,2-ジメチル-エテニル)ウリジン
3)(E)-5-(1-フルオロ-2-フェニル-エテニル)ウリジン
4)(E)-2'-デオキシ-5-(1-フルオロ-2-フェニル-エテニル)-ウリジン
5)5-(1-フルオロエテニル)ウラシル
6)1-アラビノシル-5-(1-フルオロエテニル)ウラシル
次の実施例は、本発明の使用方法を説明するために与えられる。この実施例は
例示のみとして意図され、決して本発明の範囲を限定するように解釈されるべき
ではない。
実施例6 5-フルオロウラシルと組合わせた2'-デオキシ-5-(1-フルオロエテニル)-ウリジ ンのKB細胞に対する相乗的な抗増殖活性
KB細胞(2X103細胞/ウエル)を偏平培養し、18時間増殖させる。24時間2'-
デオキシ-5-(1-フルオロエテニル)ウリジン(15ng/mL)で処理する。化合物を洗
浄し、更に72時間5-フルオロウラシルに細胞を暴露する。本質
的にカ−マイケル等により記載されるように、比色検定によって細胞の生存性を
決定するが[Cancer Res. 47,936(1987)]、ここではMTT[3-(4,5-ジメチルチア
ゾ−ル-2-イル)-2,5-ジフェニルテトロゾリウム ブロマイド]の細胞による還元
が測定される。
個々の処置、並びに2'-デオキシ-5-(1-フルオロエテニル)ウリジンの5-フルオ
ロウラシルとの組合わせ処置についてのIC50値を計算する。2'-デオキシ-5-(1
-フルオロエテニル)ウリジン単独、5-フルオロウラシル単独、及び2'-デオキシ-
5-(1-フルオロエテニル)ウリジン単独の5-フルオロウラシルと種々の濃度で組合
わせたもののIC50値が表1に示される。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07H 19/09 8615−4C C07H 19/09
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C
Z,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU,
LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ
,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 マシューズ,ドナルド,ピー.
アメリカ合衆国 45069 オハイオ州 ウ
エスト チェスター レッドミル ドライ
ブ 7911
(72)発明者 サボル,ジェフリー,エス.
アメリカ合衆国 45140 オハイオ州 ラ
ブランド ポプラ ドライブ 1843