【発明の詳細な説明】
感熱プリントヘッドを制御する方法および装置
発明の背景
本発明は、特にバイナリイメージを形成する感熱プリンタを制御する方法およ
び装置に関する。特に、本発明は、イメージの活性領域と非活性領域との間の境
界を選択的に位置決めする方法および装置に関する。
感熱印刷は、一般に、プリント媒体を静止した感熱プリンットヘッドに対して
y−方向に増加移動することまたは「ステッピング(stepping)」することによ
って成し遂げられる。一般に、感熱プリントヘッドは、プリント媒体移動方向に
垂直なx−方向に、しばしば、線形アレイで配置される複数の発熱体を有する。
ステップサイズは、通常、発熱体間のx−方向間隔または「ピッチ」と等しくな
るように選択される。例えば、300ドットパーインチ(dpi)感熱プリントヘッド
(即ち、1つが300分の1インチのピッチを有する)を有するプリンタは、通常
、プリント媒体を300分の1インチのインターバルで感熱ヘッドを通過するよう
にステップさせる。発熱体からのドットによってカバーされる1/300×1/300平方
インチ領域は、一般に、絵素または「ピクセル」と呼ばれる。
発熱体は、一般に、そこを流れる独立した電流によってそれぞれが駆動される
抵抗素子である。プリント制御器は、プリント媒体が前に進む度に、必要に応じ
て、発熱体を活性化させるためにそれぞれの発熱体電流を制御する。異なる発熱
体は、印刷媒体の各ステップ毎に選択的に起動され、2次元イメージをプリント
媒体上に形成する。
発熱体は、感熱印刷媒体に直接的に、またはドナー媒体を通して通常の印刷媒
体に間接的に作用する(cooperate)。「直接感熱印刷」と呼ばれる第1のケー
スでは、印刷媒体は、選択的にエネルギーを与えられた発熱体に対応する選択的
なロケーションにおける色を変化させる。「ドナー印刷」または「熱転写印刷」
と呼ばれる第2のケースでは、ドナー媒体の選択的に加熱されたロケーションが
色を印刷媒体に転写する。ドナー媒体は、発熱体の熱によって溶融するワックス
またはインクでリボンコーティングされ得る。
より明確で、より均一で、より調和のとれたアウトプットイメージを提供する
感熱プリンタが絶え間なく要望されている。一般に、このような要望は、発熱体
間の間隔を減少させることによって対応がなされている。しかし、発熱体のサイ
ズおよび発熱体間の距離は、現在の設計および製造上の問題によって制限される
。通常、各発熱体は、発熱体に電気駆動エネルギーを与える駆動装置に独立して
配線されなければならない。発熱体の間隔が狭くなれば、これらの構造物の配置
はますます困難になり、費用がかさむようになる。さらに、感熱プリンタは、比
較的適度なプロセッサおよびメモリ要件を有していなければならない。一般に、
プロセッサおよびメモリ要件が多くなれば、感熱印刷装置のコストも高くなる。
発明の要旨
本発明は、最少の特徴サイズよりも大きな特徴の改善された有効解像度を有す
るバイナリイメージを提供する感熱プリントヘッドを制御する方法および装置で
ある。感熱プリントヘッド制御器は、ソースイメージ情報を受け取り、複数の発
熱体を有する感熱プリントヘッドに駆動エネルギーレベルを与える。発熱体は、
活性および非活性領域を有するイメージをプリント媒体上に生成する。感熱プリ
ントヘッド制御器は、それぞれが、互いに関連した熱分布を有する複数の駆動エ
ネルギーを提供する。隣接する熱分布間の相互作用は、活性領域と非活性領域と
の間の境界を選択的に位置決めするのに用いられる。
本発明の他の局面は、選択された発熱体へ駆動エネルギーを与えるタイミング
が、選択的に制御され、熱分布の有益な相互作用をつくりだし、それによって、
選択的活性領域境界を位置決めする。
図面の簡単な説明
図1は、従来技術によって理想的に円形なソースイメージから印刷されたイメ
ージを示す。
図2は、ピッチの4倍のステッピング率で理想的に円形なソースイメージから
印刷されたイメージを示す。
図3は、本発明を用いた理想的に円形なソースイメージから印刷されたイメー
ジを示す。
図4は、複数の発熱体を有する典型的な感熱プリントヘッドの一部を示す斜視
図である。
図5、図6および図7は、熱分布、結果として得られるバイナリイメージ、お
よびこれらを形成する3つの異なる発熱体駆動パルスを示す。
図8、図9および図10は、発熱体Aおよび隣接する発熱体B上の駆動時間の関
数として境界成長を示す。
図11は、感熱プリントヘッドを制御して活性領域境界を選択的に位置決めする
本発明の装置を模式的に示す。
図12は、感熱プリントヘッドを制御して活性領域境界を選択的に位置決めする
本発明の方法を模式的に示す。
図13は、フレームバッファ内の各グリッドスクウェアに温度値を割り当てる本
発明の方法を模式的に示す。
図14は、円形活性領域のソースイメージデータを特定するフレームバッファ値
のアレイである。
図15は、本発明の方法および装置を用いて、図14に示されるフレームバッファ
値のアレイから形成された温度値のアレイを示す。
図16は、本発明の方法および装置を用いて、図15に示される温度値のアレイか
ら形成された発熱体駆動値のアレイを示す。
図17は、活性領域境界を選択的に調整しないで印刷された文字を示す。
図18は、本発明によって活性領域境界を調整して印刷された文字を示す。
図19は、本発明による隣接駆動パルスのグラフィック表示である。
図20〜図25は、図19の駆動パルスに応じた熱分布を示す。
図26は、図19の駆動パルスを4つのロケーションで繰り返すことによってプリ
ント媒体上に配置される4つの縦方向に配列されたドットを示す。
図27は、本発明の他の実施態様による感熱プリンタを制御する技術を模式的に
示す。
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明の装置および方法を説明する前に、まず、感熱印刷プロセスに関連した
いくつかの用語を定義することが有用であろう。
感熱印刷は、熱に応答する媒体に熱を与えることによって起こる。直接印刷で
は、任意のロケーションの温度が任意の期間ある閾値温度を越えると、感熱印刷
媒体は、一般に、色が変化するもしくは「活性(active)」になると考えられ得る
。同様に、ドナー印刷では、任意のロケーションの温度が任意の期間ある閾値温
度を越えると、ドナー媒体は、一般に、色を転写する。異なる感熱印刷媒体は、
異なるドナー媒体と同様に、非常に異なる閾値温度を有し得ることが認識される
。色変化が起こると、たいていの場合、黒イメージが白または透明プリント媒体
上に配置される。しかし、感熱印刷は、通常、他の色を転写するのに用いられる
。
一度、閾値温度に達すると、印色を起こさせるのに必要な熱フローおよび/ま
たは時間は、無視できる程度のものであると思われる。異なるプリントおよび/
またはドナー媒体は、色転写を駆動させるために、異なる量の熱エネルギーを必
要とし得るか、または色転写を駆動させるために、異なる量の時間を必要とし得
る。本発明は、色変化が、閾値温度、閾値熱、閾値時間、またはその組み合わせ
のいずれによって駆動されるかにかかわらず、感熱プリンタに適用され、本発明
を利用するために熱印色および伝熱特徴を完全に理解する必要はない。
過度の熱または温度が与えられると、閾値温度で発生する色変化に加えて、印
刷媒体またはドナー媒体に損傷が生じ得る。このように、印刷プロセス中に越え
てはならない損傷温度がある。色変化と同様に、印刷媒体への損傷は、温度、熱
または時間依存であり得るかまたはその組み合わせに依存し得る。本発明は、こ
れらの損傷モードのいずれのモードの感熱印刷にも適用される。
感熱印刷はまた、生成されるイメージのタイプによっても特徴づけられ得る。
バイナリ印刷は、イメージのロケーション全体が2色のうちの1つである場合に
起こる。バイナリ印刷においては、色のトーンまたはシェイドは存在しない。印
色が発生する領域は、活性領域と呼ばれ、印色が発生しない領域は、非活性領域
と呼ばれる。バイナリ印刷は、テキストおよびラインアートイメージにしばしば
用いられる。種々のトーンまたはシェイドの色で形成される連続トーンまたはコ
ントーンイメージ(contone image)は、しばしば、ハーフトーン技術を用いて
、バイナリ印刷装置で印刷される。これらのハーフトーン技術は、典型的には、
一連のハーフトーンセルを用いてソースイメージ情報を提供する。ハーフトーン
セル内の印色および非印色領域の割合を変更することによって、さらに近接して
観察するとイメージは、実質的にはバイナリであるが、観察者は、異なるトーン
の色を知覚する。感熱プリンタはまた、媒体の光学密度を変化させることによっ
て、コントーンイメージを生成するのに用いられ得る。
閾値温度で起きる色変化をモデリングする場合には、適用される時間および熱
とは独立して、種々の発熱体の「熱分布」を調べることが有用である。熱分布は
、特定のx-yロケーションのそれぞれにおける最大温度がいつ得られるかにはか
かわりなく、印刷プロセス中の媒体上の所定のx-yロケーションにおける最大温
度のグラフ表示である。熱分布曲線が、特定のx-yロケーションにおいて、閾値
温度面を上回ると、そのロケーションの印色が成し遂げられる。熱分布曲線が閾
値温度を越えない場合には、ロケーションは印色されない。
プリンタの絶対または物理的解像度(「ネイティブ解像度(native resolutio
n)」と呼ばれることもある)は、プリンタが生成し、正確に位置決めし得る最
小のマーキングまたは「特徴」のサイズである。発熱体のそれぞれは、一般に、
イメージ上に「ドット」を配置し、すべてのドットが均一であることが一般に所
望されている。感熱プリンタのx−方向の絶対解像度または「ネイティブ解像度
」は、隣接する発熱体の「ピッチ」すなわち距離に基づいている。感熱プリンタ
はそのピッチよりも小さいマークを生成し得るが、これらのプリンタは、これら
の小さなマークをそのピッチよりもより正確にx−方向に配置し得ない。さらに
、感熱プリンタは、隣接する発熱体間に1より多くのドットを位置決めし得ない
。y−方向の絶対解像度は、y−方向の発熱体の寸法およびステップサイズに基
づいている。両方向において、絶対解像度はまた、プリントヘッドから媒体への
熱転写特徴にも基づいている。あらゆる場合において、印刷媒体は、印刷された
イメージがプリンタの解像度を反映するように、プリンタの解像度を支持し得な
ければならない。
活性領域と非活性領域との間の境界が絶対解像度よりも高い程度に制御され得
る場合には、プリンタはまた、絶対解像度とは異なる見かけのまたは有効解像度
を有し得る。プリントヘッドの絶対y−解像度よりも小さいステップを選択する
ことによって、y−方向の見かけの解像度は増加され得る。例えば、プリンタが
1ピクセル当たり4ステップでステップされるならば、y−方向の見かけの解像
度は、絶対解像度の4倍であり得る。マークが、生成され、1ピクセルよりも小
さなロケーションに正確に位置決めされ得ないとしても、活性領域と非活性領域
との間のy−方向境界(即ち、隣接するy−ロケーション間の境界)は、4分の
1ピクセル内に配置され得る。従って、y−方向における1ピクセルと等しいか
またはそれより大きいサイズの活性領域については、y−方向境界は、4分の1
ピクセルの精度で位置決めされ得る。本発明が成し遂げられるまで、プリントヘ
ッドの物理的制約のために、絶対解像度よりも大きいx−方向の見かけのまたは
有効解像度を成し遂げることは可能ではなかった。
印刷されたイメージの忠実度は、印刷されたイメージ、または出力イメージが
プリンタに与えられるソースイメージ情報とどのくらい緊密に一致しているかで
ある。与えられるソース情報は、しばしば、コンピュータによって生成されるテ
キストコマンド用のような所望の出力イメージを完璧に描写し得る。次に、プリ
ンタは、理想のソースイメージ情報をグリッド状のマッピングに「再現(render)
」または「量子化(quantize)」する。グリッドのサイズは、通常、プリンタの絶
対またはネイティブ解像度と同等になるように選択される。以前より使用されて
いたプリンタにおいてx−方向解像度を向上させることは可能ではなかったので
、これらのプリンタの絶対解像度は有効解像度と等しい。プリントヘッドによっ
て形成される各ピクセルエレメントは、本願で各グリッド部分によって限定され
る領域とほぼ等しいネイティブ領域と呼ばれる領域を限定する。あるいは、ソー
スイメージ情報は、プリンタに与えられる前に、すでにグリッド状マッピングの
形状をし得る。この場合、理想のソースイメージは、正確に分からない。理想の
ソースイメージが正確に分からない場合には、ソースイメージ情報の質を向上さ
せるために種々の技術が存在する。いずれにせよ、再現(rendering)プロセス
は、限定サイズのグリッド上に領域を特定するものとして考えられ得る。このグ
リッドは、通常、印刷装置の有効解像度を示す。
バイナリイメージについては、グリッド上の各ロケーションは、完全に印色で
または完全に無印色で限定される。本願でデータ操作を説明するにあたって、ソ
ースイメージ情報は、プリンタの有効解像度を支持するのに必要な程度に再現さ
れると想定される。
印刷されたイメージの視覚的鋭敏さは、観察者によって知覚されるイメージの
鮮明さである。イメージ上の異なるロケーションからの光を人間の目が受け取り
平均化する方法のために、視覚的鋭敏さは必ずしもアウトプットイメージの解像
度とは対応しない。
図1は、従来の感熱プリントヘッドによって形成された媒体14上の出力イメー
ジ12を示す。比較のために、理想のソースイメージ15のアウトラインを、出力イ
メージ12上に重ねて示す。理想のソースイメージ15は、パンクチュエーションマ
ーク(punctuation mark)のような完全な円を示す。他の形状では、ソースイメ
ージは、限定のないイメージの任意の部分、および特に任意のテキストまたはラ
インアートイメージを示し得る。矢印16は、ヒータ素子アレイのx−方向および
プリントヘッドに対して媒体14が移動するy−方向を示す。
出力イメージ12は、活性部18、非活性部20、およびそれらの間の境界22を含む
。仮想ピクセルグリッド24は、出力イメージ12に隣接して示される。仮想グリッ
ド24の縦線26は、ヒータ素子間の間隔すなわちピッチ28を示す。仮想グリッド24
の水平線30は、プリントヘッドに対して媒体14を移動させるステップサイズ32を
示す。活性部18は、各発熱体によって形成される一連のドットまたはマークで形
成され、各ドットは、ほぼグリッドスクウェア33を満たしている。このアウトプ
ットイメージ12は、バイナリイメージであり、活性領域18は完全にシェイド(sh
aded)がつけられている。
境界22は、階段またはぎざぎざ34を有する。ぎさぎさ34は、プリンタの解像度
により発生する。ぎざぎざ34によって証明されるように、従来の感熱プリンタは
、垂直および水平方向に同一の解像度を有し、有効解像度は絶対解像度と等しい
。ぎざぎざ34は、理想的なソースイメージ15の滑らかに湾曲した円形アウトライ
ンと対比して、ソースイメージ15に対するアウトプットイメージ12の良好でない
忠実度を示す。また、このぎざぎざ34により、図1を遠方から観察したときに、
視
覚的鋭敏さが良好でなくなる。従来の感熱プリントヘッドの使用法により、感熱
プリンタは理想的なソースイメージ14の湾曲をより密接に近づけることが限定さ
れる。
図2は、同一の理想のソースイメージ14に基づいて同一の従来の感熱プリント
ヘッドによって形成されたアウトプットイメージ36を示す。水平線38によって示
されるように、印刷アウトプットイメージ36に使用されるステップサイズ40は、
図1の出力イメージ12を印刷するのに用いたステップサイズ32の4分の1である
。境界22のy−方向部分が各グリッドスクウェア33の4つのロケーションのいず
れかに配置され得るので、低減されたステップサイズ40は、出力イメージ36のy
−方向有効解像度を増加させる。垂直縁部と関連するぎざぎざ34は、図1に示さ
れるものと同様である。しかし、水平縁部と関連するぎざぎざ34は、図1のぎざ
ぎざ34よりも小さい。これにより、近水平縁部はかなり向上するが、近垂直縁部
はほとんどまたは全く向上せず、アウトプットイメージ36の総合忠実度および視
覚的鋭敏さはほんのわずかに増加する。
低減されたステップサイズ40でイメージ36を処理する場合、活性領域18内のロ
ケーションは、4加熱サイクルを通して加熱および冷却される。上記の閾値温度
および損傷温度モデルでは、この多重熱サイクルは、活性領域18の質に影響を与
えないと思われる。
図3は、同一の理想のソースイメージ14に基づき、図2と同一のステップサイ
ズ40を用いて同一の従来の感熱プリンタによって形成された出力イメージ42を示
す。しかし、後述のように、アウトプットイメージ42は、本発明の隣接効果に従
って印刷された。図示されるように、アウトプットイメージ42は、有効解像度が
非常に向上した。観察者は、従来技術のぎざぎざ34よりもむしろ活性領域に鮮明
な均一縁部を認識し、出力イメージ42の視覚鮮明度は、図1に示される従来のイ
メージ12よりもはるかに高い。オリジナルの完全に円形のソースイメージ14に対
するイメージ42の忠実度もまた高い。
これらの図1から図3のそれぞれにおいて、境界22は、印刷された一連のドッ
トの最も外側である。境界22の角は、イメージ全体のxおよびy解像度の影響を
より明確に示すために、比較的方形に示されている。実際に形成される角は、プ
リントヘッドによって生成される個々のドットの形状に対応し、図1から図3に
示されるよりもより円形であり得る。
感熱プリントヘッド50の部分の拡大図は、図4に示される。図4は、種々の素
子をより良好に対比させるために、特に種々の層の厚さおよびサイズに関して、
縮尺に従わずに描かれている。感熱プリントヘッド50または他のタイプの感熱プ
リントヘッドが種々の感熱プリンタにおいて見いだされ得る。
感熱プリントヘッド50は、アルミナまたはセラミックなどの従来の基板52の上
に形成されている。グレーズ(glaze)層54は、その上部に抵抗発熱体56を有し
て、基板52上に設けられている。次に、導電層58は、各発熱体56上に設けられ、
各発熱体56を通る分離電気回路を完成している。導電層58は、薄膜または厚膜処
理に用いられる金などの従来の導電体である。発熱体56は、従来の薄膜または厚
膜抵抗体である。好ましい実施態様のプリントヘッドにおける隣接した発熱体56
a、56b、56c間のピッチ28は、600分の1インチ(即ち、600dpi)である。発熱体
56はほぼ方形で、一般に、1/600×1/600インチのグリッドスクウェア33を満たす
媒体14上にドットを生成する。
図4に示される感熱プリントヘッドとは異なる他のタイプの感熱プリントヘッ
ドが存在することが認識される。図示される種々の構成要素はすべて、そのサイ
ズ、形状および配向が、当業者により所望に応じて改変され得る。グレーズは、
発熱体56のライン全体に渡って設けられ得る。発熱体56は、線形には配置され得
ないが、隣接発熱体56a、56b、56c間でいくらかのy−オフセットを有し得る。
発熱体56のアレイは、媒体14の移動方向に対してある角度で配置され得る。感熱
プリントヘッド50は、静止したプリント媒体14に対してy−方向に移動され得る
。非角形出力パターンを形成するために、感熱プリントヘッドまたはプリント媒
体14のいずれかはまた、プリント媒体14のステップ間でx方向に移動され得る。
他の変更が感熱プリントヘッド50になされ得る。本発明は、形状、ピッチ、熱特
徴またはコンフィギュレーションに関係なく、すべての感熱プリントヘッドに適
用される。
薄膜感熱プリントヘッド50は、それぞれが異なる熱時定数を有する、いくつか
の異なる一次システムとしてモデル化され得る。熱時定数は、発熱体56へのステ
ップインプットに応答する最終温度増加の63%に達するのに必要な時間である。
熱容量および大気への散熱効果をもつ、基板52に取り付けられているヘッドマウ
ントは、約数分の熱時定数を有する。基板52自身は、約数秒の熱時定数を有する
。最後に、発熱体56は、約1ミリ秒の熱時定数を有する。薄膜感熱プリントヘッ
ドの熱分析は、Electronics and Communications in Japan、パートII、75巻、
6号、1992年において出版されたS.ShibataおよびT.Kanamoriによる「Design
of Thermal Print Head or High Speed and High Resolution Printing」という
記事で説明されている。
プリントヘッド50の熱応答は、一般に、以下の通りである。加熱サイクルの初
期の時点では、ヘッド50全体は、ほぼ均一に周囲温度である。導電体58aと58bと
の間の発熱体56に電圧をかけ、発熱体56内に熱を発生させる。印加された熱エネ
ルギーに対する発熱体56の熱容量は非常に小さいので、発熱体56の温度は、実質
的に迅速(即ち、好ましいシステムにおいて印加された電圧に応答して1ミリ秒
当たり約50℃)に増加する。発熱体56の温度が増加するにつれて、熱伝熱(ther
mal heat transfer)が、抵抗層56に沿って導電体58およびグレーズ54を通して
あらゆる方向に発熱体56から発生し、最も重要なことに、発熱体56からz−方向
に発生する。
プリントヘッド50が印刷をしている間、媒体(図4に図示されない)は、エラ
ストマープラテン(elastomeric platen)などのバイアス手段によって発熱体56
a、56bおよび56cのそれぞれと接触した状態である。熱は、エネルギーを与えら
れた抵抗素子56から正のz−方向に、発熱体56と対向する印刷媒体に伝熱される
。熱はまた、隣接する発熱体56a、56b、56c間からだけでなく、導電層58上の隣
接するロケーションからも伝熱され得る。媒体内の伝熱は、z−方向だけでなく
、x−方向およびy−方向にも発生し得る。媒体内のz−方向熱転写は、ドナー
媒体を用いてドナー媒体からワックスまたはインクを対向するプリント媒体に伝
熱させる場合に最も重要であり得る。用いられる特定の伝熱モードに関係なく、
適切に構成されたシステムは、発熱体56から発生した熱をプリント媒体に伝熱し
、それによって対応するドットまたまマークを印刷媒体上に形成し得る。
大気および基板52への熱分散効果(heat dispersive effects)の熱時定数は
、
発熱体56および媒体からの散熱効果と比較して非常に大きいため、プリントヘッ
ド50の一時的な動作をモデル化する場合には、大気および基板52は、一定の周囲
温度ヒートシンクとしてモデル化され得る。しかし、特に加熱サイクル中、グレ
ーズ層54および発熱体56に隣接するプリントヘッド50の他の部分は、周囲温度ヒ
ートシンクとして動作しない。発熱体56a、56b、56c間およびプリント媒体上の
対応するx−ロケーション間でのx−方向熱転写を含む熱相互作用は、あらゆる
方向に発生する。この熱相互作用の特定の特徴は、装置および媒体の物理的特徴
に依存する。一般に、厳密な熱相互作用は、異なる物理的特徴を有し、異なる媒
体を用いる装置によって異なり得るが、常にある程度発生し得る。熱相互作用を
排除するかまたは補うことを試みる従来の装置とは対照的に、本発明は、発熱体
間の熱相互作用を利用する。従来の装置とは対照的に、本発明は、この熱相互作
用を認識し利用する。
図5は、図7の3つの駆動パルス65、67および69によって形成される3つの熱
分布66、68および70を示す。駆動パルス65、67および69は、それらの異なる持続
期間によって証明されるように、異なるエネルギーを有し、発熱体56b、56dおよ
び56gにそれぞれ与えられる。図6は、3つの駆動エネルギー65、67および69を
与えることによって感熱媒体14に形成されるバイナリイメージを示す。
図5のy−軸60は、感熱媒体14の温度を示し、x−軸62は、媒体14に沿ったx
−方向の距離を示す。発熱体56a-gは、それぞれのx−ロケーションにおいて模
式的に示され、熱分布66、68および70は、プリントラインLとして発熱体56のセ
ンターライン71に沿って取られている。閾値温度64は、それを上回ると媒体14が
活性となる温度面を示す。
曲線66、68および70は、加熱サイクルにおける、各発熱体56b、56dおよび56g
からのラインLの熱分布を理論的に示したものである。感熱ヘッド50が感熱紙な
どのプリント媒体と直接作用する(cooperate)場合に、図6の媒体24のセンター
ライン71に沿ったロケーションは、そのピーク温度が閾値温度64を越えると、色
が変化する。感熱プリントヘッド50が熱ワックス転写印刷におけるようなプリン
ト媒体と間接的に作用する場合には、感熱ヘッド50は、カラーリボンなどの転写
またはドナー媒体からプリント媒体へ顔料またはワックスを転写するのに用いら
れる。顔料は、ドナー媒体におけるロケーションが閾値温度64に達すると転写さ
れる。活性領域の色は、顔料の色に依存する。通常、顔料は、シアン、イエロー
、マゼンタ、またはブラック(CYMK)である。
図6は、仮想グリッド24が重畳されたプリント媒体14を示す。図示されるプリ
ント媒体14は、Lとして示される現在のプリントライン、L-1として示される前
のプリントローまたはライン、およびL+1として示される次のプリントラインを
示す。現在のプリントラインLは、感熱プリントヘッド50を駆動させ、図5に示
される熱分布66、68および70を形成することによって生成される。
発熱体56bからの熱は、活性部72を生成する。活性部72は、閾値温度64と熱分
布66との間の交差部に対応する境界74を有する。活性部72は、イメージの1「ド
ット」を示す。活性部72は、グリッドスクウェア33bを完全に覆うのに十分大き
く、少量(約10から20%)が隣接のグリッドスクウェア33a、33cへ延長している
。本願でネイティブピクセル駆動エネルギーと呼ばれる駆動エネルギー65を発熱
体56bに与えると、ネイティブ領域に等しい領域を有する活性部72が生成される
。このサイズドットでは、複数の活性部は、隣接のピクセルが活性のときに、ギ
ャップなしに均一に覆う。従来のプリンタでは、一般に、駆動された発熱体は、
一様にこのサイズのドットを生成することが好ましい。
熱分布68は、決して閾値温度64に達しない。それ故、発熱体56dからの熱は、
対応の活性部を生成しない。
発熱体56bよりも長い間発熱体56gにエネルギーを与えることによって、発熱体
56gは活性部76を生成する。活性部76は、閾値温度64と熱分布70との交差部に対
応する境界78を有する。活性部76は、活性部72よりも大きく、境界は、隣接のグ
リッドスクウェア33fにかなり(約30から40%)延長する。従来の装置と対照的に
、本発明は、発熱体に与えられる選択された駆動エネルギーに基づいて活性領域
を選択的に配置する。活性部72および76は、サイズの異なる活性部が、異なる駆
動エネルギーを与えることによって形成され、そのエネルギーのそれぞれが、閾
値64を上回る対応の熱分布を形成し得ることを示している。
活性部72および76は、円形に描かれている。これらの活性部の形状は、発熱体
56の形状に幾分が依存し、種々のプリンタによって変化し得る。仮想グリッドス
クウェア33は、媒体14上のグリッドスクウェア33bを完全に覆う単一な活性領域7
2の典型的な範囲を示す方形として描かれている。活性領域の他の形態としては
、選択される仮想グリッド24は、典型的な活性領域の範囲を効果的に示す長方形
、三角形、または他の形状で形成され得る。
従来技術の多くは、ドットサイズを均一で一定にすることによって出力イメー
ジの質を向上させようと試みてきた。一般に、前の加熱サイクルからの残留熱な
どの多くの要因は、より一定したドットサイズを提供するために補われ得る。こ
れとは対照的に、本発明は、不均一なサイズのドットを形成し、理想のソースイ
メージに密接に一致するかまたはより良好な出力を提供する活性領域を形成する
。好ましい実施態様において、ドットまたは活性部は、駆動エネルギーを隣接の
発熱体に選択的に与えることによってx方向に選択的に延長される。
活性領域と非活性領域との間の境界をx方向に制御または位置決めすることに
よって、この方向での見かけのまたは有効解像度が増加する。隣接する発熱体に
熱を与えることによってx方向に選択された量だけ延長する活性領域が成長また
は形成され得るので、x−方向の有効解像度は、ある発熱体およびそれに隣接す
る発熱体の両方に与えられる駆動エネルギーを制御する能力によってのみ制限さ
れる。活性部は、x方向に選択的に延長され得るが、形成され正確に位置決めさ
れ得る最小サイズの活性領域があるので、プリントヘッドの絶対解像度は増加し
ない。
図8および図9は、本発明の活性領域成長方法を用いたときに得られるテスト
データを示す。図8は、Kyocera Corporation of Kyoto,Japanによって製造さ
れる400dpi感熱ヘッドモデル番号KWT-601-16MPJ8の隣接する発熱体AおよびBの
駆動時間を示す。発熱体に与えられる駆動電圧は、通常の駆動電圧である24ボル
トではなく15.5ボルトであった。駆動電圧が下がると、発熱体間の熱相互作用を
促進するためには、所定の駆動エネルギーに対して、より長い駆動パルス持続期
間が必要である。熱相互作用に対する駆動パルス持続時間の効力については、後
にさらに詳細に説明する。図9は、図8の駆動時間に基づいて、隣接するグリッ
ドスクウェア内における活性領域境界の対応配置を、隣接するグリッドスクウェ
アの幅全体に対する比として示す。図10は、図9のデータをグラフ上で示す。12
の異なるデータポイントが示され、これによって、隣接するグリッドスクウェア
の最初の縁部からそれに対向する縁部までの範囲において境界を選択的に配置す
ることが可能である。
このデータを検討すると理解され得るように、第1の発熱体は、その活性領域
境界が隣接するグリッドスクウェアに到達する前に5.2ミリ秒駆動されなければ
ならなかった。発熱体Aの駆動が5.2から20ミリ秒に増加すると、境界は、ポジ
ション1〜5までに、グリッドスクウェアBへと約36%選択的に膨張する。発熱
体Aを20ミリ秒を越えて駆動させると、媒体が損傷しやすくなる。ポジション5
のドットサイズおよび駆動時間において、発熱体Aからの熱分布は、実質的に最
大に到達すると思われる。それを上回るとプリンタ媒体が損傷されるかまたは活
性部が適切に形成されない駆動エネルギーを、本願では、最大駆動エネルギーと
呼ぶ。ネイティブ駆動エネルギーよりも大きく、最大駆動エネルギーよりも小さ
い、発熱体に与えられる駆動エネルギーを、本願ではオーバー駆動エネルギーと
呼ぶ。
発熱体Aに与えられる駆動エネルギーを増加しても媒体を損傷させずに境界を
延長させることはできないが、発熱体Bにエネルギーを与えることによって媒体
を損傷させずに境界をグリッドスクウェアBへさらに延長させることが可能であ
る。発熱体Aを20ミリ秒駆動させた後、駆動エネルギーを0.35ミリ秒から2.25ミ
リ秒発熱体Bに与えると、ポジション6〜12の境界は、グリッドスクウェアBへ
95%延長する。このように発熱体Bを加熱することによってそれ自身のドットは
生成されないが、むしろ、発熱体Aによって生成される活性領域が延長すること
に留意されたい。両発熱体は、熱分布全体に貢献し、この熱相互作用によって、
選択的に境界が成長するのが観察されると思われる。ネイティブ駆動エネルギー
よりも小さい、発熱体に与えられる駆動エネルギーを、本願ではアンダー駆動エ
ネルギーと呼ぶ。
この方法を用いることによって、境界は、隣接するグリッドスクウェア内に必
要に応じて選択的に位置決めされ得る。境界を選択的に位置決めすることによっ
て、結果として得られるバイナリイメージの有効水平解像度がかなり向上し得る
。ソースイメージに対する視覚的鋭敏さおよび忠実度は、非常に向上し得る。
図11は、感熱ヘッドを制御して改良されたアウトプットを提供する本発明の方
法と共に用いられる装置を示す。図8〜図10を参照しながら説明したように、こ
の改良された出力は、延長され得る活性領域または拡大選択量を形成し、それに
よって、ソースイメージにより密接に一致するバイナリイメージを形成する能力
から生じる。
本発明の1つの局面は、ホスト102からソースイメージ情報を受け取る感熱印
刷装置100である。感熱印刷装置100は、記憶装置104、プロセッサ106およびルッ
クアップテーブル108を有するプリントヘッド制御器103を有する。印刷装置100
はさらに、プリントヘッド駆動回路112およびイメージをプリント媒体に提供す
る感熱プリントヘッド50を有する。
ホスト102は、ソースイメージ情報を生成するために実行する少なくとも1つ
のソフトウェアアプリケーションを有するコンピュータまたはプロセッサである
。あるいは、ホスト102は、ビデオカメラまたはスキャナなどの従来の撮像装置
であり得る。ホスト102からのイメージ情報は、感熱印刷装置100に転送されて表
示される。
ホスト102からのイメージ情報は、ビットマップまたは標準的なページ記述言
語などの多くの異なる形式で与えられ得る。ソースイメージ情報を受け取ると、
印刷装置100は、記憶装置104に記憶されるソースイメージのカバレージマップ(
coverage map)を生成する。ソースイメージを与えるカバレージマップは、活性
および非活性領域の出力イメージ内での位置決めに関する情報を示す。このカバ
レージマップは、多数の異なるフォーマットにおける、アウトプットイメージと
関連する各グリッドスクウェア内の活性領域の量を示すこのような多重のビット
バイナリ番号であり得る。あるいは、カバレージマップは、アウトプットイメー
ジのどの対応部分が活性および非活性であるかを示すビットマップまたはバイナ
リ値のアレイであり得る。ビットマップフォーマットのカバレージマップは、ア
レイ内の各バイナリ値に関連する出力イメージの対応部分のサイズに依存する種
々の解像度であり得る。
印刷装置100は、ソースイメージを記憶装置104に記憶されるカバレージマップ
に変換するインタプリタ(不図示)を有し得る。ソースイメージ情報をカバレー
ジマップに変換するインタプリタは公知である。あるいは、カバレージ情報は、
プロセッサ使用可能形態でホスト102によって直接与えられ得る。この場合、記
憶装置104は省略され得る。
本発明の重要な局面は、プリント制御器103が記憶装置104に記憶されるカバレ
ージ情報を使用する方法および装置である。プリント制御器103は、カバレージ
情報を使用し、感熱プリントヘッド116における各発熱体に対して駆動エネルギ
または駆動レベルを生成する。これらの駆動レベルは、プリントヘッド駆動回路
112に与えられる。プリントヘッド駆動回路112は、これらの駆動レベルを、発熱
体のそれぞれに与えられる駆動電圧パルスに変換する。上述したプリントヘッド
50は、プリント媒体と直接または間接的に相互作用してイメージを形成する熱分
布に駆動パルスを変換する。
記憶装置104は、ここでは2つしか例を挙げないが、磁気記憶装置または半導
体記憶装置などの任意のディジタル記憶装置であり得る。1つの好ましい実施態
様において、記憶装置104は、ネットワークを通してカバレージ情報を受け取る
ディスク記憶装置などの回転磁気媒体記憶装置である。
1つの好ましい実施態様において、プロセッサ106は、ソフトウェア制御下で
動作するマイクロプロセッサなどのプログラム可能プロセッサである。あるいは
、プロセッサ106は、論理装置、プログラム可能論理装置または制御器、ゲート
アレイまたはある形態のカスタム集積回路などの任意の従来のハードウェアイン
プリメンテーションにおいて実施され得る。ルックアップテーブル108は、磁気
または半導体記憶装置などの任意の従来の記憶装置であり得る。1つの実施態様
において、ルックアップテーブル108は、ダイナミックRAM(DRAM)である。図11
は、プリント制御器103、駆動回路112および感熱プリントヘッド50を、独立した
機能ブロックとして示しているが、これらの機能ブロックの少なくとも1つは、
物理的に一緒に配置され得る。例えば、駆動回路112またはプリント制御器103は
、プリントヘッド50に物理的に搭載され得る。
図12は、記憶装置104のカバレージマップを、感熱プリントヘッド50にエネル
ギーを与えるための駆動レベルに変換する本発明の方法を示す。ステップ120で
示されるように、温度値は、ホストからのカバレージ情報に対応する各グリッド
スクウェアに割り当てられる。割り当てられた温度値は、温度マップを形成し、
カバレージマップに対応する活性領域を提供する。
ステップ122で示されるように、駆動エネルギーまたは駆動レベルは、ステッ
プ120で形成される温度マップに基づいて各グリッドスクウェアに割り当てられ
る。駆動エネルギーの割り当ては、周囲の発熱体に与えられる駆動エネルギーの
大きさを示す。このように、これらの周囲の発熱体によって形成される熱分布が
考慮される。1つの実施態様において、隣接する発熱体、およびこの隣接する発
熱体に隣接する発熱体は、駆動レベルを割り当てる際に考慮される。
隣接する発熱体によって生成される熱と組み合わせられ得る駆動エネルギーを
計算して所望の媒体温度に到達することは一般に困難な問題である。従って、本
発明は、ルックアップテーブル108を利用して駆動エネルギーを決定する。1つ
の好ましい実施態様において、駆動レベルは、グリッドスクウェアおよび4つの
最も近接したグリッドスクウェアの温度に基づいたルックアップテーブルによっ
て提供される。この好ましい実施態様において、グリッドスクウェアの各温度は
、0℃と周囲温度を上回る115℃との間の温度を示す8ビット値である。従って
、これらの5つの8ビット温度のすべての可能な組み合わせは、240エントリの
ルックアップテーブルを必要とする。このルックアップテーブルのサイズを減少
させるために、好ましい実施態様は、精度が変化するグリッドスクウェア温度を
近似する。この好ましい実施態様において、8ビットグリッドスクウェア温度の
最も重要な6ビット、隣接する8ビットグリッドスクウェア値の最も重要な4ビ
ット、および次に最も近接する対の8ビットグリッドスクウェア温度の最も重要
な3ビットが、ルックアップテーブル108からの駆動レベルを選択するのに用い
られる。グリッドスクウェア温度値を近似することによって、対応駆動レベルを
選択するのに用いられる温度値の220の異なる組み合わせにルックアップテーブ
ルは減少する。本発明においてルックアップテーブル108を使用することにより
、これらの熱分布は、ハードウェアをわずかに増加させるだけで、迅速に考慮さ
れ得る。
各グリッドスクウェア温度値に対して駆動エネルギーを割り当てる図12の方法
ステップ122では、上記のルックアップテーブル108が利用される。方法ステップ
122では、4つの最も近接した発熱体が到達し得る温度の高さだけでなく、選択
された発熱体へのこれらの発熱体の近接も考慮される。ルックアップテーブル10
8は、4つより多くの隣接発熱体の温度を含むように拡張され得る。しかし、4
つより多くの最も近接した発熱体の貢献は、選択された熱分布に小さな効力しか
与えないので無視され得る。
ルックアップテーブル108においてデータを生成する1つの方法は、感熱ヘッ
ド50の熱特性の数学的モデルを用いることである。感熱プリントヘッドをモデル
化する技術は公知である。例えば、Electronics and Communications in Japan
、パートII、75巻、6号、1992年において出版されるS.ShibataおよびT.kanamo
riによる「Design of Thermal Print Head or High Speed and High Resolution
Printing」を参照すること。容易な熱モデルもまた、計算を迅速に行うために
用いられ得る。このような熱モデルはピーク温度を駆動レベルの機能として計算
するため、所定セットのピーク温度を成し遂げるのに必要なセットの駆動レベル
を計算するのには反復技術が使用され得る。
図11および図12に示されるように、ステップ120は、好ましくは、プロセッサ1
06によって成し遂げられ、ステップ122は、好ましくは、ルックアップテーブル1
08に関連してプロセッサ106によって成し遂げられる。ステップ122を完了すると
、割り当てられた駆動エネルギーは、駆動回路112によって用いられるようにバ
ッファ内に記憶され得る。
ステップ124によって示されるように、次に、割り当てられた駆動エネルギー
は、駆動パルスに変換され、プリントヘッド駆動回路112によって感熱プリント
ヘッド50に与えられる。プリントヘッド駆動回路112はまた、抵抗補償手段を有
し得る。各発熱体によって生成される熱の量を正確に制御することが重要なので
、発熱体の抵抗におけるいかなる相違も有害である。抵抗補償手段は、各発熱体
の特定抵抗に基づいて与えられた駆動エネルギーを調整し、それによって所望の
熱分布を生成する。
駆動エネルギーは、発熱体56に与えられ、プリント媒体上に活性領域のライン
を形成する。プリント媒体は、感熱ヘッド50に対して搬送され、次のセットの駆
動エネルギーが発熱体56に与えられ次のラインのプリントを生成する。このよう
に、バイナリイメージは、プリント媒体をプリントヘッド50に対して加速的にス
テッピングするかまたは移動させことによって形成される。
駆動エネルギーをそれぞれ与える間に、システムを冷却させるために幾分か時
間が与えられ得る。例えば、4または5ミリ秒の最大持続時間を有する駆動エネ
ルギーを与えると、熱は、次の加熱サイクル前に9または10ミリ秒間放散され得
る。この冷却サイクルで、前の加熱サイクルからの潜在的な熱は無視できる程度
になり、前の加熱サイクルの補償は必要ない。この熱サイクリングの簡略化によ
って、計算が簡単になり、制御器に対する条件コストが低くなる。
各加熱サイクルの間、媒体を実際に停止させる必要はなく、本願で使用されて
いるように「ステップサイズ」は、増加移動に限定されないこと認識されなけれ
ばならない。むしろ、媒体は、連続して搬送され得る。増加移動または連続移動
のいずれにせよ、「ステップサイズ」は、媒体が完全な加熱/冷却サイクル中に
移動する距離に等しい。媒体印色が発生する時間は完全な加熱/冷却サイクルの
時間と比較して比較的短かく、ステップサイズは、y−方向の絶対解像度と比較
して比較的小さくなり得るため、連続媒体の移動は、出力イメージの質にあまり
影響を与えてはならない。
y−方向の有効解像度を向上させるために、プリント媒体は、感熱プリントヘ
ッドの絶対解像度よりもより小さな増加分でステップされ得る。例えば、各ピク
セルに対して600dpiプリントヘッド50を4回ステップさせると、y−方向に1イ
ンチ当たり2400ラインの有効解像度が与えられる。しかし、最小特徴サイズまた
は絶対解像度は、プリントヘッド50の物理的特徴に限定されるので、1インチ当
たり600分の1であることに留意されたい。
図13は、本発明の温度マップを生成する方法を示す。カバレージ値は、ステッ
プ130に示されるように記憶装置104から選択される。カバレージ値が、ピクセル
が100%活性であることを示すならば、温度は、このグリッドスクウェアに割り当
てられ100%カバレージを提供する。温度は、感熱プリント媒体を損傷させること
なくグリッドスクウェア33全体を覆うように十分に大きい活性領域を形成するよ
うに選択される。
カバレージ値が、グリッドスクウェアが100%非活性であることを示すならば、
0の温度は、ステップ132によって示されるように、グリッドスクウェアカバレ
ージに割り当てられる。好ましい実施態様において、4ビットカバレージ値、即
ち、1111(二進法)または15(十進法)の値は、グリッドスクウェアが100%活性
であることを示し、0000(二進法)または0(十進法)の値は、グリッドスクウ
ェアが0%活性であることを示す。
ステップ134によって示されるように、カバレージ値が、対応のグリッドスク
ウェアが活性および非活性(即ち、0000と1111(二進法)との間の値、または0
と15(十進法)との間の値)であることを示すならば、境界条件は存在する。境
界条件は、単に、活性領域と非活性領域との間の境界または縁部が対応する出力
グリッドスクウェア内に存在することを示す。境界条件温度は、図8、図9、お
よび図10に示されるように、グリッドスクウェアカバレージの量および感熱ヘッ
ド50の熱相互作用特徴に基づいて決定される。
記憶装置104内のカバレージ値のすべてが必ずしも選択されなかった場合には
、ステップ138によって示されるように、これらの値のすべてが選択されるまで
プロセスは続行する。
本発明の方法において、各縁部または境界グリッドスクウェアは、活性グリッ
ドスクウェアと隣接し得ることが暗黙のうちに理解される。従って、境界グリッ
ドスクウェアの温度は、活性グリッドスクウェアから境界を越えて境界グリッド
スクウェアの適切なカバレージを提供するように割り当てられる。境界グリッド
スクウェアが活性グリッドスクウェアと隣接し得ないのは、2つのグリッドスク
ウェアよりも小さい特徴がソースイメージに存在する時のみである。この条件は
、個別取り扱われるか、または簡単に無視され得る。
図3の理想的な円形ソースイメージ15からの印刷に本発明によって使用される
マッピングの例は、図14〜図16に示される。図14は、記憶装置104におけるこの
ソースイメージ15のカバレージマップを示す。図14に示されるカバレージ値のそ
れぞれは、0から15の十進法値であり、記憶装置104に記憶される対応の4ビッ
ト二進法値の可能な値のそれぞれを示す。データは、図1から図3の仮想グリッ
ド24のグリッドスクウェア33に対応する方形150に分けて示される。4つの値は
、各方形150内に示され、各グリッドスクウェア33の4つの垂直部に対するカバ
レ
ージ値を示す。
図1および図2に示される出力に類似する出力は、簡単な閾値化によって図14
のデータから生成され得る。例えば、7またはそれ以上の平均値を有する各方形
150は、発熱体を駆動し得る。図2のより高度に有効なy−解像度出力36では、
発熱体は、7を上回る各カバレージ値に対して駆動され得る。図1および図2の
データは、対称的なアウトプットイメージ12および36を生成するためにさらに改
変され得る。
図15は、図14のカバレージマップデータから生成した温度マップを示す。最高
温度は114、標準温度は84、および最低温度は0に等しい。最高温度は一般に活
性領域境界のそれぞれに近く、内部温度は一般に標準温度の84に低減されている
のが理解される。活性領域と非活性領域との間の縦縁部または境界は、隣接の発
熱体から選択的に境界を延長させるように割り当てられた温度を有する。本発明
は、この温度マップを種々に変更して用いられることが認識されなければならな
い。
図16は、図3の出力イメージ42を印刷するために感熱ヘッド50に与えられる駆
動マップまたは駆動レベルを示す。駆動レベルは、図15における対応ロケーショ
ンからの所望の温度だけでなく、図15における4つの隣接方形152からの温度を
考慮し、ルックアップテーブル108を用いて選択される。このように、駆動レベ
ルは、4つの隣接する分布と組み合わせられ、所望の媒体温度を生成し得る熱分
布を提供するように選択される。図3の出力イメージ42は、図16に示される駆動
レベルを感熱ヘッド50に与えることによって形成される。
図14〜図16は、特に好ましい実施態様で使用される、各発熱体に対する駆動レ
ベルを適切に形成するためのマッピングを示す。マッピングは、以下の一般的な
方法を例示するために示されるが、図示されるデータは、使用される特定の技術
に依存する。当業者は、他の種々の方法および技術が、ソース情報を駆動レベル
に変換するのに用いられ、その方法および技術のいずれもが本発明を用いて活性
領域境界を制御し得ることを評価し得る。
本発明の方法は、理論的には、無限の有効解像度を可能にし得ることがさらに
認識されなければならない。有効解像度は、現在、プリントヘッドによって制約
され得ない。むしろ、有効解像度は、現在、ステッピングサイズ、異なるレベル
で得られる駆動エネルギー、所望の印刷速度、またはプリンタのメモリサイズの
いずれかによって制約され得る。本発明による印刷は、これらの他の制約によっ
て決定される、連続体に沿って選択されたロケーションでの境界の配置を可能に
する。
図17および図18は、本発明の技術を用いて、テキストイメージにおける改良を
わかりやすく示す。図17は、水平またはx−方向に600dpiの解像度を有し、垂直
またはy−方向に2,400dpiの解像度を有する感熱プリンタを用いて生成されたテ
キスト文字「O」、「U」および「V」の拡大を用いて取った写真からトレース
した出力イメージ170を示す。xおよびy方向は、参照矢印16によって示される
。文字「O」および「V」は、部分的に欠失した状態で示される。点線172a、17
2b、172cは、テキスト文字「O」、「U」および「V」のそれぞれに対する理想
的なソースイメージアウトラインを示す。これらの文字のそれぞれは、水平また
はx−方向における限定解像度の結果、アリアシング(aliasing)エラーを生じ
る。対照的に、図18は、x−方向に選択的に活性領域境界を延長させ、出力イメ
ージの解像度および視覚的鋭敏さを改良する上述した本発明の技術を用いて形成
される、図17と同一のテキスト文字の拡大を用いて取った写真からトレースした
出力イメージ174を示す。図18のテキスト文字は、明確かつ明快で、図16のテキ
スト文字とは異なって、xまたは水平方向における限定解像度から生じるぎざぎ
ざを生じない。
図19〜図24は、バイナリイメージの活性領域と非活性領域との間の境界の位置
を制御する本発明の方法を示す。図19は、1加熱サイクル中に隣接する発熱体56
aおよび56bに与えられる駆動電圧を示す。発熱体56aに与えられる駆動パルス180
は、時間t1で開始し、時間t5で終了する。「隣接する(neighbor)」発熱体56
bに与えられる駆動パルス182は、時間t3で開始し、時間t5で終了する。従って
、図19は、駆動パルス74および78の相対的タイミングおよび持続時間を示す。発
熱体56cは駆動されない。
図20〜図24は、種々の時点で、隣接する発熱体56aおよび56bに駆動エネルギー
を与えることによって媒体に生じる温度分布のx−次元図である。図20はt0で
取り、図21はt2で取り、図22はt4で取り、図23はt5で取り、図24はt6で取っ
たものである。これらの図20〜図24のそれぞれにおいて、曲線184は、駆動パル
ス180からのみ媒体に生じる温度を示す。曲線186は、駆動パルス182からのみ媒
体に生じる温度を示す。曲線188は、発熱体56aおよび56bからの熱の相互作用か
ら媒体に生じる集合的温度を示す。これらの曲線184、186、188のそれぞれは、
x−方向にマップされ、発熱体56a、56b、56cのx−配向が示される。
図20に示されるように、時間t0での媒体温度は、前の加熱サイクルからの残
留熱が無視できる程度の周囲温度である。媒体温度は、発熱体56aも56bも加熱さ
れていないため、時間t1まで周囲温度である。
発熱体56aは、時間t1で加熱され、その後すぐに熱を媒体に伝導し始める。図
21に示されるように、時間t2までに、媒体は、発熱体56aの周囲で加熱され、閾
値温度190を越えて冷却を開始する。図21の曲線186によって示されるように、発
熱体56bは、時間t2では加熱されていないので、曲線186は、周囲温度のままで
ある。発熱体56bおよび56cは、時間t3まで加熱されない状態で、時間t3まで、
曲線188は、発熱体56aからの熱のみで曲線184と共に成長する。
図22の時間t4までに、発熱体56bは、集合的曲線188に熱の幾分かを提供する
。発熱体56aおよび56bからの熱の組み合わせによって、発熱体56aによって形成
されるドットが生じ、発熱体56bへと成長する。この非対照的なドット成長は、
曲線188および曲線184が閾値温度190を越えるときのそれらの間の距離192によっ
て証明される。しかし、曲線186は、閾値温度190に到達して、媒体の印色を独立
して生じさせていない。
図23の時間tsは、加熱サイクル中の発熱体56aおよび56bの最大熱出力を示す。
所望の活性領域外にある発熱体56cは加熱されないままである。非対照ドット成
長は実質的に完全で、距離194は、発熱体56aと共に発熱体56bによって成し遂げ
られる成長を示す。距離194によって示される印色は発熱体56または発熱体56bの
いずれかによって独立して起こらず、2つの発熱体56a、56b間の熱相互作用によ
ってのみ起こる。
図24の時間t6は、発生したシステムの冷却を示し、次の加熱サイクルにおけ
る時間t0での媒体のステッピングと共に用いられ得る。
図20〜図24は、x−方向のみの温度曲線を示すが、印刷は、時間の変化するよ
り複雑な3次元世界で起こることが理解されなければならない。図20〜図24は、
プリントヘッド50の上のy−ロケーションおよび媒体表面上のz−ロケーション
における温度を示す。対応の温度曲線は、異なるy−およびz−ロケーションに
対して発生し、y−およびz−方向における熱転写を通して示される温度曲線に
関連し得る。
図25は、図19に示される駆動パルスに対応する熱分布を示す。熱分布184aは、
駆動パルス180からのみ媒体にしだいに生じる最高温度を示す。熱分布186aは、
駆動パルス182からのみ媒体にしだいに生じる最高温度を示す。熱分布188aは、
発熱体56aおよび56bからの熱の相互作用によって生じる集合的熱分布を示す。閾
値温度190を越える熱分布188aの部分は、媒体を印色する。参照方向16によって
示されるxおよびy−方向に図25に示される熱分布188aを延長させることによっ
て、熱分布188aが閾値温度を越える領域全体が、プリンタによってプリント媒体
上にバイナリイメージとして投影され得ることが理解される。
これらの図19〜図25は、本発明を用いることによって発生すると思われるもの
の理論的なアンダーピニングを示し、いかなるテストまたはデータにも基づいて
いない。この理論的なアンダーピニングは、媒体を印色する際に発生する現象を
より完璧に理解するために後に改変または変更され得ることが認識される。特に
、閾値温度は、モデル化されると正確ではなくなり得る。色転写は、少なくとも
いくつかのシステムにおいて、熱量およびエネルギーが与えられる時間に関連す
るので、単に閾値温度によって正確にモデル化され得ない。色転写は、単一な温
度よりもむしろ温度帯を越えて発生し得る。このような閾値温度帯を越えると、
ワックスをベースにしたドナー媒体の位相変化が生じ、ここで、不均一な分子構
造は、ある範囲の溶融温度を必要とする。
図26に、図19に示す駆動パルス180、182を4回適用することによって形成され
たイメージ領域195を示す。駆動パルス180、182のそれぞれの適用によってドッ
ト196が生成される。これら4回の適用の間に、媒体14はピッチ28とおおよそ等
しい直線距離32を進む。イメージ196は、仮想のピクセルグリッドスクエア33に
分割される。これらのグリッドスクエア33のサイズは、プリンタ上のひとつの印
刷エレメントによって形成されるドットのサイズとおおよそ等しく、したがって
プリンタの絶対解像度を表す。出力イメージ部分195のy−方向の有効解像度を
増すために、媒体14Dを他のより小さい直線距離32で進めることもできる。
プリント媒体の印色は容易に観察することができ、図26に示す印色は、理論的
基礎とは関係なく、図19に示す駆動パルスに応じて起こることが知られている。
領界198を有する活性領域196は、発熱体56aおよび56bからの熱によって印色され
る。点線で示される領界200は、パルス180のみによって形成されたであろう標準
サイズの活性領域(図6の活性領域72等)の領界を示す。図26に示されるように
、各領界198の右端は、隣接する発熱体56bに加えられる駆動エネルギ182のため
に距離dだけ実際上延長している。
プリントされるドットのそれぞれは、ドットのx−方向の最大寸法とy−方向
の最大寸法との比率として定義される「アスペクト比」を有すると考えることが
できる。発熱体のひとつにエネルギを与えることにより、所定の初期アスペクト
比を有する対称性ドットが生成され、ドットが(長方形よりも)正方形または円
形状の場合そのアスペクト比は1:1である。従来技術のプリンタでは、プリン
トされるドットは、全て同じアスペクト比を有することが望ましい。本発明で生
成されるドット196は、従来技術のプリンタで望まれる対称性ドットよりもむし
ろ卵形であり、初期アスペクト比からは著しく異なる組み合わせアスペクト比を
有する。「隣接する」成長の量、または発熱体56aおよび56bの双方によって生成
されるドットの組み合わせアスペクト比は、パルス180、182の電圧、長さおよび
/またはタイミングを制御することよって選択的に調整することができる。より
大きい駆動エネルギを隣接する発熱体56bに加えることによって、各境界198の右
端をdよりも大きい距離まで延長し、より高いアスペクト比のドットを生成する
ことができる。反対に、より小さい駆動エネルギを隣接する発熱体56bに加える
ことによって、各境界198の右端を境界200からより小さい距離dまで延長し、よ
り低いアスペクト比のドットを生成することができる。発熱体56aへの駆動エネ
ルギを選択することによって組み合わせアスペクト比を選択的に制御し、それに
より境界198の右端を選択的に配置することができる。
一連の隣接する成長を制御することによって、出力イメージ部分195の境界の
正確な位置を隣接するグリッドスクエアコラム202内で選択的に左右に調整する
ことができる。同様に、境界198の右端の正確な位置は媒体の前進毎に選択的に
調整することができ、したがって出力イメージ部分は隣接するグリッドスクエア
コラム202内で望み通りの曲線または角を描くことができる。したがって、隣接
する発熱体56a、56bへ加えられるパルスにより、x−方向の絶対解像度より著し
く大きいあるいは細かいx−方向の有効解像度が可能となる。
本発明の重要な局面は、隣接する発熱体56aおよび56bへ加えられる駆動パルス
のタイミングを、最も有益な分布結果188aが提供されるように選択でき得ること
である。熱分布184および186は、パルスの終わりまたはその付近で最大の面積の
広がりを有すると考えられる。パルスの終わりではパルスによって生成される熱
は、発熱体56b内で完全に生成されているが、大量に放散(dissipate)するのに必
要な時間はまだ経過していない。
同時に開始する隣接する駆動パルスは、「左位置調整」または「開始点位置調
整」される。ステップ関数による等電圧駆動では、開始点位置調整された駆動パ
ルスは同時にかつ同等に成長する個別の熱分布を形成すると考えられる。隣接す
る駆動パルスはその熱分布が閾値温度を越える前に切られ、そのために隣接する
グリッドスクエアに独立してドットを形成しないことが望ましい。したがって、
隣接する発熱体56bへの開始点位置調整された駆動パルスは、発熱体56aによって
生成される熱が最大となる充分前に切られ、したがって集合的熱分布188aの形成
においてそれほど有効ではない。
好ましい実施態様では、駆動パルス180と182とは時間t5で終了するかあるい
は下降端を有している。駆動パルス180と182とは、これらのパルスの双方ともい
つ開始するかに関係なく同じ時間t5で終了するので、「右位置調整」または「
終了点位置調整」される。熱分布188aが閾地温度190を越えるのを回避し、それ
によって発熱体56bに独立してドットを形成しないように、駆動パルス182の開始
は駆動パルス180の開始よりも遅延される。媒体の印色を制御するのは集合的分
布188aであるため、パルス180、182の終了点位置調整は熱分布184と186との間の
最大の相互作用を提供すると思われる。終了点位置調整は、境界198の配置にお
ける一貫性および予期可能性だけでなく安定性をも提供する。
駆動パルス印加の二者択一的なタイミングを使用し、熱分布結果188aの特性を
制御することができる。上記の開始点位置調整タイミングおよび終了点位置調整
タイミングに加え、例えば一方のパルスが最初に開始するように、または一方の
パルスが最初に終了するように、あるいは一方のまたは両方のパルスがパルス幅
変調されるように等、それぞれの駆動パルス180、182をオフセットなタイミング
とすることができる。
特に、隣接するパルス182をパルス180が終了する少し前に終了し、したがって
熱分布184が発熱体56aから伝播するための追加の時間が提供されるように、隣接
するパルス182を遅延させることは有効であり得る。この種のタイミングは、終
了点位置調整された集合的熱分布188aが損傷温度に到達する場合、更に必要であ
り得る。一方のパルスが終了するまでもう一方のパルスの開始を遅らせることが
望ましいかもしれない。このようにオーバーディレイ(over-delay)された集合的
熱分布は波と同様であると考えられ、異なるx−方向位置で異なる時間に最大温
度となる。いずれにせよ、媒体の印色を制御するのは集合的分布188aであり、パ
ルス180、182はそれぞれが望みの集合的分布188aに寄与するように選択されるの
は重要な点である。
分布結果188aによって形成される境界198が明確に定義されるためには、分布
結果188aが高い「閾値勾配」204を有することが必要であると考えられる。閾値
勾配204は、図25では閾値温度190における温度分布188aと同じ傾きを有する三角
形で表される。高閾値勾配204を形成するために、分布結果188aは閾値温度190を
横切る際に著しく減少するべきである。図25に示されるように、熱分布188aは右
端よりも左端での方が閾値勾配が高いと考えられる。
高閾値勾配204は、活性領域と非活性領域との間に明確な領界198を形成すると
考えられる。反対に、低閾値勾配204は、変化するシェードを有する境界198ある
いは境界198の一貫性のない位置の原因となり得る。組み合わせ熱分布188aが十
分な勾配204にて減少しない場合、イメージ閾値190は明確な予期でき得る位置で
横切られないかもしれない。明確に定義された境界198を形成するのに必要な閾
値勾配204は、一般には光学的密度特性あるいは媒体14のための温度に対する光
学的密度の変化に依存する。
一般に、終了点位置調整は、最大の閾値勾配204を提供すると考えられる。最
大閾値勾配204は、主要発熱体56aによって提供される熱分布184のマグニチュー
ドにも依存する。熱分布結果188aにおいて閾値勾配204が高くなるのを保証する
ためには、熱分布184aによる勾配が優位であるべきである。したがって、熱分布
184aは、比較的大きい閾値勾配204が組み合わせ熱分布188aに生じるように、比
較的大きいマグニチュードを有し、比較的大きいエネルギ分布を形成するべきで
ある。閾値勾配204の傾きは、更に境界198のx−方向の位置に依存する。望みの
境界198の隣接するグリッドスクエアコラム202内への侵入が50%以下の場合、熱
分布186aによって提供される勾配は、全体的な熱分布188aの閾値勾配204を減少
させる傾向にある。望みの境界198の隣接するグリッドスクエアコラム202内への
侵入が50%以上の場合、熱分布186aによって提供される勾配は、全体的な熱分布
188aの閾値勾配204を増加させる傾向にある。境界198に望まれるx−方向の正確
な位置が判明すると、その特定のx−方向位置での閾値勾配204を最大にする駆
動エネルギ180、182を選択することができる。一般に、十分な閾値勾配204を提
供する駆動エネルギ180、182の組み合わせは多数存在する。
隣接するピクセル内への成長の適切な制御は、感熱プリントヘッド50のピッチ
28にも依存する。熱分布は、他の全ての条件が同じである場合、熱ヘッド50が有
するピッチ28が小さいほど隣接するグリッドスクエア内へと延長する。より小さ
いピッチのプリントヘッドの熱発生および熱伝導は同じであると仮定する一方で
、発熱体間の距離または間隔は小さい。熱は3次元的に放散するので、プリント
ヘッド50のピッチ28の小さい変化は、隣接する熱分布によって提供される寄与分
に対し著しい影響がある。したがって、本発明の技術は、より高解像度の感熱プ
リントヘッド50において、より良くより簡単に制御される。
より大きいピッチ28を有する感熱プリントヘッド50では、隣り合う発熱体56a
、56b間で熱相互作用が可能となるために、発熱体56a、56bがより長い時間にわ
たって加熱されることが必要であり得る。例えば、加熱時間を増加し駆動電圧を
減少することによって、幅のより広い熱分布を得ることができる。この加熱時間
の増加は、発熱体間の熱相互作用の機会を増し、本発明の技術を使用することが
できる。特に、x−方向の熱伝導が容易に起こらない場合、熱伝導が良くない感
熱
プリントヘッドおよび/または媒体に対する更なる調整が必要であり得る。
本発明の更なる局面は、隣接する発熱体56および56aへ加えられる駆動パルス1
80、182の電圧またはマグニチュードを、最も有益な分布結果188aが提供される
ように選択または修正でき得ることである。駆動パルス180、182は双方とも、そ
れぞれがマグニチュードV1を有するステップ関数として示される。ステップ関
数は、唯一の変数がパルスがいつ開始するかであるため、発熱体を制御する処理
必須要件の簡略化のために好ましい。両方の電圧がこのマグニチュードを有する
こと、あるいは両方の電圧が同じマグニチュードを有することは必要ではない。
更に両方の電圧ともがステップ関数である必要もない。時間と共に変化する駆動
電圧は、隣接する成長および閾値勾配204の点から有益な分布結果188aを形成す
ると判明するかもしれない。
ここまでは、発熱体の選択的エネルギを与えることによるx−方向のみの境界
の制御について述べてきた。しかし、x−方向と同様にy−方向の境界に作用を
及ぼすことも可能である。y−方向有効解像度は、境目の発熱体を異なる駆動エ
ネルギで選択的に駆動し、それによって異なるサイズの活性領域を形成すること
によって向上し得る。例えば、2400 dpiまたはそれ以上のy−方向有効解像度は
、1200ステップ/インチのステッピングとドットをy−方向の前および後ろのグ
リッドスクエアに成長させることとによって達成し得る。y−方向の境界を調整
する駆動レベルの適切な調整によって、ステップサイズ40とステッピングレート
とを増加することができ、有効解像度を失うこと無しに著しく高いプリントレー
トが提供される。
図11のルックアップテーブル108を使用し、前回の加熱サイクルの予熱を補償
し得ることが期待される。この予熱は、加熱サイクル間の長さが十分に短く前回
の加熱サイクルの予熱の現在の加熱サイクルに関する熱分布への影響が無視でき
なくなる場合に生ずる。これを実施するには、隣接する加熱が説明された上記方
法と同様に、予熱を説明するために、ルックアップテーブル108のサイズを大き
くする必要がある。
更に、本発明は1次元の発熱体アレイでの使用を意図しているが、本発明を利
用することのできる2次元の加熱アレイが将来製造でき得る点にも留意されたい
。
2次元加熱アレイにおいて同一の隣接効果を得るために、主要ピクセル位置の上
方または下方の発熱体を、閾値温度以下で同じように駆動できるかもしれない。
2次元加熱アレイの発熱体の数を増やすことにより、プリントのレートは著しく
高め得る。冷却サイクルに必要とされる時間を減少または排除し得るためだけで
なく、プリンタの絶対解像度以下の増加量でステップする必要が無くなるため、
プリントのレートを更に増加でき得る。
更に、本発明は感熱プリンタを意図しているが、隣接のプリンティングエレメ
ント間の相互作用効果が出力イメージの有効解像度を高めるその他のタイプのプ
リンティングも考案され得る。
y−方向有効解像度を増すために、適用されるステッピング前進量をピクセル
よりも著しく小さくできることが現在考えられている。小さい前進量のステッピ
ングとすることで、文字のy−方向端の始まり、並びに活性および非活性領域間
のy−方向境界をいつ終えるかの選択肢が増える。
上記説明は、テキストおよびラインアートソースイメージの出力イメージの向
上された忠実度および視覚的鋭敏さを提供するための、隣接の発熱体へ加えられ
るエネルギの制御を扱っている。出願人は、この技術が、連続トーンのソースイ
メージの再現に使用されるハーフトーンセルの形成におけるカラー領域およびノ
ンカラー領域の比率を正確に制御するのに適切であることを認識している。
連続トーンのソースイメージは、多様なハーフトーニング技術を利用してバイ
ナリーイメージとして再現することのできる、中間シェードのカラーを有するノ
ンカラーからカラーまでの範囲のトーンの一連の規則的に配置されたサンプルか
ら再現される。これらのハーフトーニング技術は、連続トーンイメージの幻影を
提供するバイナリーピクチャーエレメントまたはドットの配列を使用する。これ
らのハーフトーニング技術のいくつかは、R.Ulichneyによる「Digital Halfton
ing」,MIT Press,Cambridge,Mass.(1987)に記載されている。
しばしば、出力イメージまたはプリントされたイメージ内の領域を描写するハ
ーフトーンセルが利用される。このセル内での活性領域と非活性領域との比率を
選択的に変更することによって、プリントされたイメージは遠くから見たときト
ーンの認識を提供することができる。しばしば、ハーフトーンセルは、トーンレ
ベルの増加を提供するために選択的に活性化される複数のドットまたは領域から
なる。例えば、16個のドットまたは領域からなる4×4のハーフトーンセルは、
出力イメージにおいて16の異なるレベルのトーンを表現することができる。
与えられたサイズのハーフトーンセルによって表現することのできるトーンの
数を増やすひとつの方法は、プリント媒体がプリントヘッドに対して動くステッ
プサイズを減少することである。ステップサイズの減少は、y−方向の有効解像
度の増加に関連して先に説明されている。このステップサイズの減少により、与
えられたサイズのハーフトーンセルによって表現することのできるトーンまたは
シェードの数は効果的に増加する。このステップサイズの減少により、ハーフト
ーンセル内の活性領域と非活性領域との比率を、0%活性から100%活性の範囲
における小さい増加量単位で制御することが可能となる。例えば、ピクセル毎に
4回ステップする4×4のハーフトーンセルは、4×16または64の異なるレベル
のトーンを表現することができる。
本発明のひとつの局面は、ハーフトーンセル内の活性領域の比率を制御するべ
く、活性領域をx−軸に沿って選択的に延長するために、隣接の発熱体へ加えら
れるエネルギを制御することである。隣接する活性領域の活性領域を選択的に延
長することによって、ハーフトーンセル内の活性領域の比率は、使用可能な駆動
エネルギの制御にしたがって、事実上0〜100%の範囲のどの比率ででも形成す
ることができる。更に、この方法は、図3および図4に示されるように活性領域
のサイズを対称的に変化させるために単一のドットまたは領域に加えられる駆動
エネルギを変化させることだけでなく、図2に示されるプリントヘッドを媒体が
通過するステップサイズを減少させることとも関連して使用し得る。
プリントされたイメージ内で表現されるトーンの数を増やすこの技術を、テキ
ストおよびラインアートの出力イメージの忠実度および視覚的鋭敏さを向上させ
る技術と同様に利用することにより、出願人はこの感熱プリントデバイスが以前
は可能とは考えられていなかったアプリケーションに適することを認識している
。
本発明の他の局面は、テキストおよびラインアートイメージの視覚的鋭敏さお
よび解像度並びに連続トーンのイメージで表現することのできるトーンの数の向
上に関連して先に説明された技術を、カラープルーフィングを実施するために使
用することである。カラープルーフィングプロセスとは、印刷機でプリントされ
た際、出力イメージがどう見えるかを決定する方法である。プルーフィングプロ
セスとは、プレートを作成し印刷を行うための費用が発生する前に、出力イメー
ジの修正を試みることである。
大量印刷に使用される印刷機では、出力イメージを形成するために印刷機と関
連して使用され、一般にプレートを呼ばれる中間イメージキャリアの製作が必要
である。印刷プレート上のイメージは、印刷機によって形成される出力イメージ
のひとつのカラーを代表する。したがって、シアン、黄、マゼンタ、およびブラ
ック等の4色の出力イメージでは、各カラーをプリントするのに4つの異なるプ
レートを使用し、それによって4色の出力イメージを形成する。出力イメージに
おけるこれらのカラーのそれぞれは、これらのカラーが適切に相互作用するよう
に、一般にオフセットまたはスクリーンアングル等の関係を互いに有する。これ
らの印刷プレートを製作するひとつの方法は、シアン、マゼンタ、黄およびぶ_
ぶ等の単一カラーの寄与によるイメージの見本を透明フィルム上に形成すること
である。このフィルムをその後、光学機械的プロセスで使用し、印刷プレート上
の感光性被膜を露光する。被膜の露光された領域は水またはその他の溶液に対し
て不溶解性となる。これに対して露光されていない領域は溶解し、露光された領
域を印刷機での使用のためのイメージまたはステンシル(stencil)として残す。
本発明の重要な局面は、ハーフトーンイメージのために0%から100%の範囲
で表現することができるトーン数の向上だけでなくテキストおよびラインアート
イメージの水平解像度の向上のために、活性領域をx−方向に選択的に延長する
ために隣接の発熱体へ制御されたエネルギ量を印加することである。本発明のこ
れらの技術により、印刷プレートを製作する光学機械的プロセスで使用するため
のフィルム上のイメージングに適した出力イメージの、高忠実度およびより高い
視覚的鋭敏さと同様により強固なトーン品質が可能となる。
本発明のもう一つの局面は、テキストおよびラインアートイメージの忠実度お
よび視覚的鋭敏さを向上し、かつ再現することのできるトーン数を向上するため
に、隣接の発熱体へ加えられるエネルギを制御する技術を使用することである。
この技術は、時としてカラーセパレーションまたは「プログレッシブ」と呼ばれ
る、個別のカラーイメージの透明フィルム上への間接イメージングを可能とする
。ひとつの好ましい実施態様でのこれらのカラーセパレーションは、熱ワックス
転写プロセスを使用して形成される。これらのカラーセパレーションは、印刷の
前に個別のカラーに欠陥がないかを下見するのに使用され、プリントされる最終
のイメージが印刷機上でどう見えるかを下見できるようにお互いの上に重ねるこ
とができる。
本発明のいくつかの別の実施態様がある。1つの別の実施態様において、オー
バー駆動エネルギは、カバレージマップ228の各グリッドスクウェアまたはピク
セルエレメント230に割り当てられた値に基づいた決定に応答して発生する。図2
7に示す実施例において、印刷すべきイメージ236の右端の理想的なアウトライン
248は、印刷列または走査線232を斜めに横切るように示される。理想的なアウト
ライン248が通過する各グリッドスクウェアまたはピクセルエレメント230につい
て、ピクセルエレメント230がどの程度の割合で理想的なアウトライン248内にあ
るかが判定される。ピクセルエレメント230xにとって理想的なアウトライン248
内の割合は、例えば約30%である。従って、ピクセルエレメント230yにはピクセ
ル値1.3が与えられ、この値は駆動回路226に適用されたときに、ピクセルイメー
ジ238xの活性領域境界またはピクセルエッジ242を右に延ばすオーバー駆動エネ
ルギを発生し、それによりピクセルイメージ238xがピクセルイメージ238yに重複
し且つその約30%を占めるようにする。類似の現象がピクセルエレメント238mと2
38n、そして次のイメージライン240のピクセルイメージ238nと238mにも起こる。
最後のイメージライン240の場合は、上記のようにピクセルイメージ244および24
6を形成するために、オーバー駆動エネルギとアンダー駆動エネルギとの両方が
用いられる。この場合、ピクセルエレメント230iおよび230jに各々1.4〜0.6のピ
クセル値を与え、それによりオーバー駆動エネルギとアンダー駆動エネルギとを
発生させる。オーバー駆動エネルギとアンダー駆動エネルギとを共に付与するこ
とにより、ピクセル244は絶対またはネイティブ解像度に比較してサイズが拡大
し、ネイティブ解像度に比較してサイズが縮小したピクセル246に隣接して形成
される。この重複により記録された互いに隣接するピクセルイメージ244および2
46は、ピクセルエレメント230iの領域の100%およびピクセルエレメント230jの領
域の約60%とを占める。
印刷すべきピクセルイメージ246の領域の割合がネイティブ領域の第1の割合
より大きく且つネイティブ領域の第2の割合より少なく、第2の割合が第1の割
合よりも大きい場合、組み合わされ且つ重複したオーバー駆動エネルギとアンダ
ー駆動エネルギとを用いる決定をすることが好適である。第1および第2の割合
の値は、感熱プリンタおよび印刷媒体14の特定の特性に依存する。典型的な割合
は、第1の割が20〜50%の範囲であり得、第2の割合が80〜100%の範囲であり得
る。別の実施態様においては、ピクセルエレメント230の領域の割合が、単なる
第1および第2の割合よりも大きい割合と比較され、予め決められた複数のオー
バー駆動エネルギおよびアンダー駆動エネルギのレベルからオーバー駆動エネル
ギおよびアンダー駆動エネルギが選択される。さらに別の実施態様においては、
アンダー駆動エネルギおよびオーバー駆動エネルギは、ピクセルイメージ246に
対する発熱体222の領域の割合に基づく1対の値として決定される。この実施態
様においては、ピクセルイメージ246の領域に対する発熱体222の領域の割合を比
較しアンダー駆動エネルギおよびオーバー駆動エネルギのために選択された1対
の値を供給するために、例えば周知のルックアップテーブルを用いた方法が用い
られ得る。
さらに別の実施態様においては、コントローラまたはプロセッサ(図示せず)
に、イメージのピクセル表示228が与えられる。コントローラは、上記した理想
的なアウトラインの比較ではなく、各ピクセルエレメント230に関してテンプレ
ートマッチング動作を行うことにより、印刷媒体14に印刷すべきバイナリピクセ
ルイメージ238が平滑化される。ピクセルエレメント230上方のピクセル表示232
内のピクセルエレメント230のサブセットが処理中の状態で、ピクセルエレメン
ト230のサブセットのピクセル値が予め決められた複数のテンプレートパターン
のいずれかとマッチするか否かが決定される。出力イメージ236を平滑化するた
めに用いられ得るテンプレートパターンのタイプは、例えばTungの米国特許第4,
847,641号に示されるように、ドットマトリクスプリンタ用に出力イメージを平
滑化する分野において知られている。テンプレートとのマッチングがなければ、
そして処理中のピクセルエレメント230のピクセル値が0であれば、バイナリピ
クセルイメージ238を生成しない、処理中のピクセルエレメント230に対応する発
熱体222に、駆動エネルギが付与される。テンプレートとのマッチングがなけれ
ば、そして処理中のピクセルエレメント230のピクセル値が1であれば、ネイテ
ィブピクセル駆動エネルギと等価である、処理中のピクセルエレメント230に対
応する発熱体222に、駆動エネルギが付与される。最後に、テンプレートとのマ
ッチングがあれば、ネイティブピクセル駆動エネルギよりも高いが感熱プリンタ
用の最大転写エネルギよりも低い、処理中のピクセルエレメント230に隣接する
ピクセルエレメント230に対応する発熱体222に、オーバー駆動エネルギが付与さ
れる。オーバー駆動エネルギを直接発生させるか、または理想的なアウトライン
をイメージのピクセル表示と比較することにより駆動エネルギを発生させるかと
いうことに関しては、ピクセル表示を予め決められた複数の平滑化テンプレート
と比較することが、アンダー駆動の実施態様と組み合わせられ得る。
好適な実施態様を参照して本発明を述べてきたが、当業者であれば、本発明の
精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細を変更し得ることを認識す
る。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AM,AT,AU,BB,BG,BR,
BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,E
S,FI,GB,GE,HU,JP,KE,KG,KP
,KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,
MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,R
O,RU,SD,SE,SI,SK,TJ,TT,UA
,UZ,VN
(72)発明者 ギルバート,ジョン エム.
アメリカ合衆国 ミネソタ 55406,ミネ
アポリス,44ティーエイチ アベニュー
サウス 3134