JPH09505979A - 軸方向磁束固定子開放形モーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 軸方向磁束固定子開放形モーターを開示する。このモーターは、間隔を隔てた２枚の非導電性支持板（60、61）の周縁から内部に伸びる切込部（62、63）を設けた開放形固定子を備えている。両支持板（60、61）の間に複数の磁極（20〜36）が挟持されており、支持板（60、61）の切込部（62、63）に隣接する少なくとも幾つかの磁極以外の磁極は、分散巻、又は突極巻の巻線を備えている。このモーターは、軸（69）が、切込部（62、63）内で支持板（60、61）と直角に配置された回転子（64）を備えている。固定子の両側に回転円板が配置され、各回転円板は前記軸に固定されている。各回転円板（65、66）は非透磁性で、その内側面に、固定子側巻線の機能を持つ導電材（67、68）、又は導電通路（74、75、76）が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 軸方向磁束固定子開放形モーター 発明の分野 本発明は電動機、詳細には、軸方向磁束固定子開放形（ＯＳＡＦ）モーターに 関する。 本発明の説明は、モーターの好ましい適用例又は使用例を用いて行う。本発明 のモーターの好ましい適用例は、鉄道車両用ボギー台車の駆動用モーターである が、これは一つの例であって、本発明は、各種の目的で他の分野にも適用可能で ある。 発明の背景 最近の鉄道車両のボギー台車の駆動用モーターには、主として、インバータブ リッジによって制御され、目的に応じて選定される約75乃至2000Ｖの３相交流を 駆動源とする３相非同期モーターが使用されている。 このような駆動モーターは、固定子と、比較的高速で回転する回転子とを備え ている。 モーターの駆動又は制御用として、３相交流電源の周波数を変換する電子コン バータ／インバータ（即ち、パルス幅の変調）が使われている。この種の代表的 モーターはかご形モーターである。従来の３相交流モーターでは、高速回転で高 いトルク特性を得るための高速レンジが必要となる。 重工業、船舶、走行駆動装置において、4000〜6000 rpmの回転域では、特別な 軸受け構造と重負荷に耐える潤滑対策が必要となる。始動時の低速回転、高速回 転時の潤滑油被膜レベルと過潤滑、発熱などが問題となる。 モーターの高速回転にともない、動力伝達機構及びギヤボックスが高価な構造 となる。駆動装置の部品交換、即ち鉄道車両の車輪やモーターの交換には時間と 費用がかかる。 駆動モーターとしては、固定子のケース又はハウジングがなく、固定子の積層 体自体がモーター本体を形成する構造のものが使われている。回転子の損傷、又 は固定子の巻線の損傷が大きい場合には、モーター全体の交換が必要となる。 発明の要約 本発明の目的は、鉄道車両のボギー台車の駆動装置、即ち、駆動モーターとし て用いる改良されたモーターを提供することである。 本発明の一つの局面は、軸方向磁束固定子開放形（ＯＳＡＦ）モーターであっ て、以下のもので構成される。即ち それぞれ外周から内側に向かって伸びる切込部を有し間隔を隔てた２枚の絶縁 性支持板と、両支持板の問で保持される極片を持つ複数の磁極とからなり、前記 極片が透磁性材料であって支持板上で円弧状に配列され、支持板の切込部に隣接 する少なくとも幾つかの極片を除き、分散巻、又は突極巻の巻線を施した固定子 である、開放型固定子；及び 前記支持板の切込部内で支持板と直角に保持された軸と、固定子の両側で前記 軸に保持された２枚の回転円板とからなり、各回転円板が透磁性材料であって、 その内面に、回転子側の巻線を構成する導電材、又は導電通路を有し、前記軸に よって回転自在に支持された回転子；とで構成されている。 回転子の一部を形成する軸は、非透磁性材料であることが望ましい。これによ り、一方の回転円板から他方の回転円板への磁束漏洩が少なくなり、磁束を固定 子の磁極配列領域に限定することができる。周辺損失は、軸の材質を選定するこ とによって防止することができる。一つの形態としては、軸をオーステナイト系 ステンレス鋼とすることである。もちろん他の非透磁性材料も使用可能であるが 、透磁性が約1.03である前記ステンレス鋼が軸の材質として望ましい。 前記のように、回転円板の内側には、回転子側巻線としての導電層が設けられ る。望ましい導電層は、透磁性材料で形成した回転円板の内面に銅板を貼り付け たものである。銅板の厚みは１〜６ｍｍとするが、もちろんこれ以外の厚みであ っても差し支えない。銅板は銀のろう付け、又はT.I.G.溶接により、所定位置に 固定する、あるいは、螺旋状に形成した銅板自体を連続T.I.G.溶接した後、その 表面を平滑に機械加工してもよい。 上記の導電層として、前記の銅以外に、アルミニウムなどの他の導電材料も使 用可能である。 回転子側の巻線として、回転円板の内側に導電層を設ける代わりに次の形態を 採用することもできる。回転円板の半径方向の外側と内側に設けた導電性の短絡 リングと、各リングを結ぶ導電バーを設けることができる。この形態は、典型的 なかご形誘導モーターのかご形回転子と類似の機能を持っている。導電バーは半 径方向に設けてもよく、使用中のトルクの脈動を防止するため、半径方向から若 干傾斜させて設けてもよい。 上記の開放形固定子には、分散巻、又は突極巻の巻線を施した多数の極片から なる磁極が設けられている。本発明のモーターは最低３個の相群を有するが、相 群の数は多い方が望ましい。相群の数は偶数であっても奇数であってもよい。「 開放型固定子」とは、円弧状に磁極を配置した円周のある区間に磁極が存在しな い固定子を意味する。各支持板に設けた切込部に、回転子の軸を受容して運転す る。これにより、固定子から回転子を簡単に取り外すことができる。 相群の数は３個以上が望ましい。１形態としては、６極モーターが望ましく、 ７極モーターが更に望ましい。 相群の各磁極は透磁性の極片を含む。この極片は、概略くさび形に形成した積 層体であることが望ましい。しかし、積層された長方形の極片には複合分散巻の 巻線を設けることができる。磁極を積層体で形成することにより、渦電流損失を 少なくすることができる。極片は珪素鋼板の積層体、又はくさびであることが望 ましい。 すべての磁極を励磁させる必要はない。切込部に隣接する磁極は励磁されない 。 前記のように、磁極の巻線は、分散巻、又は突極巻であり、切込部に隣接する磁 極は非励磁極となる。巻線の数は３の倍数であることが望ましい。例えば、巻線 の数は４つの相群の６極固定子、５つの相群の７極固定子、その他の適切な構成 とする。特に切込部に隣接する非励磁極を含み、磁極の数を奇数とすることが望 ましい。 極片は、巻線部分よりも長くすることが望ましい。これにより極片を容易に支 持板に固定することができる。極片の一つの支持形態は、支持板に設けたくさび 形の穴に極片の両端を挿入し、両支持板をクランプで固定することである。 図面の簡単な説明 以下の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。 図１は、本発明のモーターの極片の斜視図である。 図２は、巻線を有する図１の極片の斜視図である。 図３は、３相７極（作動極は５個）ＯＳＡＦモーターの開放形固定子に組み込 まれる、複数の極片の配列状態を示す斜視図である。 図４は、図３の各極片を２枚の支持板で保持した状態を示す斜視図である。 図５は、本発明の１形態における回転子の斜視図である。 図６は、本発明の別の形態における回転子の斜視図である。 図７は、突極巻を施した本発明のＯＳＡＦモーターの１形態の結線図である。 図８は、分散巻を施した本発明のＯＳＡＦモーターの１形態の結線図である。 図９は、本発明のモーターを搭載した鉄道車両用ボギー台車の側面図である。 図10は、図９のボギー台車の平面図である。 発明の詳細な説明 図１は、くさび形の極片10の好ましい形態を示す。極片10は、板材11〜18を重 ねて概略くさび形に形成された積層体である。 図２は、周囲に突極巻の巻線19を施した極片10を示す。後述の理由により、極 片10が巻線19の両端部から少し突出している。 図３は、複数の極片20〜36を、切込部37を有する円周上に配列して、５個の作 動極群からなる７極モーターを形成している。切込部37に隣接する極片20、36は 励磁されず、極片21〜35には、それぞれ突極巻の巻線38〜52が施されている。こ のように突極巻の巻線の数は３の倍数となっている。この突極巻の巻線に３相交 流を流して回転磁界を発生させる。 ６極ＯＳＡＦモーター（４個の作動コイル相群）と、７極ＯＳＡＦモーター（ ５個の作動コイル相群）について、予想される主磁束の経路と漏洩磁束の経路に 関して、固定子の切込部に起因する損失を明らかにし、相群の数として、奇数と 偶数の何れを採用すべきかを検討した。検討の結果、予想どおり、６極ＯＳＡＦ モーターでは、切込部を挟む２つの相群の極性が反対となるため、漏洩磁束によ る損失が大きいことが判明した。磁気架橋材料によっても同様の損失が生じる。 通常の周辺損失が、回転円板の外周と相群の間にも生じる。 奇数の磁極を採用することにより、固定子の切込部を挟む２つの相群の極性が 同一となるため、切込部に起因する磁束損失が減少する。切込部に隣接する２つ の巻線の周囲の漏洩磁束の経路を変換するために、固定子の切込部の両側には、 積層体で形成した非作動極を配置する。この非作動極は漏洩磁束を回転子に導く のに役立つ。前述のように、回転子の軸として相対的導磁性が約1.03の導磁性非 鉄材料を使用すると、漏洩損失を更に少なくすることができる。 図４に示すように、極片20〜36は、２枚の固定子支持板60、61の間に挟んで保 持される。各支持板60、61には、極片の両端突出部が嵌り込む開口が設けられて いる。両支持板は突極巻の巻線を挟んでクランプ止めされる。両支持板は絶縁材 で形成され、非励磁極片20、36に隣接して切込部62、63が設けられている。 図５は回転子64の斜視図である。回転子は、透磁性の鋳鋼で作られた２枚の回 転円板65、66で構成される。各円板の内面には円盤状の銅箔67、68が貼付けられ 、軸69は、２枚の円板を貫通し、軸端部が各円板の外面に突出している。使用時 には、両円板の間に、図４に示す固定子が、切込部62、63の両側に伸びる軸69に よって保持される。 図６には、回転子70が、軸71と間隔を隔てた２枚の回転円板72、73からなる他 の実施形態を示す。この実施形態では、回転子の巻線として、図５で述べた導電 層を設ける代わりに、円板72、73の内面に、内側及び外側の短絡リング74、75、 及び、各リング74、75を接続する複数の導電性バー76が設けられている。バー76 は半径方向に伸びてもよいが、この形態では、使用時におけるトルクの脈動を防 止するため、図のように傾斜して設けられている。このバー及び各リングは各円 板に埋め込まれて、外から見えないようになっている。 図７は、本発明のモーターの固定子側の結線の１例を示す。この図では、固定 子には２つの非励磁極80、81が設けられており、その他の極82〜96は、図示のよ うに、それぞれ相電流Ａ、Ｂ又はＣの１つによって励磁される。 図８は、本発明のモーターの固定子側の結線の別の例を示す。この図でも、固 定子には２つの非励磁極100、101が設けられており、その他の極102〜116は、分 配巻に供給される相電流Ａ、Ｂ又はＣによって励磁される。 図９及び図10は、本発明のモーターを鉄道車両用ボギー台車に搭載した例を示 す。図９は、台車の横方向に間隔を隔てて設けられた２本のフレーム部材の間に モーター120を搭載したボギー台車の側面を示すが、モーターの位置を、台車に 対して濃い実線（実際には点線）で示してある。このモーターは、通常は、フレ ーム部材に隠れて見えない位置にある。 モーター120は、固定子の切込部とその両側の磁極を上にして搭載される。モ ーター120は、支持フレーム121と支持梁122に保持されて台車に搭載されている 。理解を容易にするため、ずでは、フレーム121の一部を省略してある。省略部 分には、モーターの上部で、切込部に隣接する部分で固定子を保持するキーパー がある。 図10では、回転子の軸123と回転円板が見える。軸123の両軸端部は軸受け124 で支承されている。ギヤボックス125は、ボギー台車の両側で支持され、このギ ヤボックスには、回転軸上の主駆動ギア、中間駆動ギア、及び最終のカルダン軸 受／ギアが収納されている。 ボギー台車から固定子を取外す場合は、次の手順で行う。固定子は下部で支持 されているため、まず横方向の支持梁122、支持フレーム、キーパー129と固定子 の結合部を外す。次に固定子を下方から取り出す。このとき回転子はボギー台車 に装着されたままであり、ギヤボックスや軸受けから外す必要はない。 回転円板の直径は、固定子に磁極の配列径より大きくするのが望ましい。これ により円板の外周が磁極より外にはみ出ることになり、回転子に発生する渦電流 を固定子の主磁束の外側に戻すことができる。従って、この構成によると、回転 子と回転子の間で生じる逆方向力の発生が少なくなる。 回転円板への円板状導電板の貼付けに代わる、内側と外側の短絡リングと両リ ングを接続する導電性バーを備えた回転円板においても同様の効果が得られる。 この構成では、外側リングは磁極の外側に位置する。 ＯＳＡＦモーターは構成が比較的簡単である。鉄道車両のボギー台車に搭載し た場合、回転子と固定子を個別に交換し、個別に取り扱うことができる。固定子 に損傷が発生した場合は、回転子及びそれに付属する駆動ギアを取り外すことな く、固定子全体の交換、又は各巻線の交換をすることができる。本発明のモータ ーは、極数の多い同容量のモーターに比べて低速で運転することができる。モー ターの実用回転数(rpm)は次の式で表される。 Ｎは、固定子の全周で軸方向に全磁束が生じると仮定した場合の、３相コイル群 ／磁極群の数を示す。 本発明のモーターで発生するトルクは、低速回転時において大きな半径の力に よって発生する。低速運転では、負荷が小さいため、軸受けや駆動ギヤの設計を 簡略化することができる。固定子に鉄芯が不要であるため、接地不良が発生せず 、材料を減らしてモーター重量を小さくすることができる。突極巻の固定子側巻 線については、各磁極が離れているため相間の短絡が生じない。 本発明のモーターは固定子の鉄心が不要であるため鉄損が生じない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ)， ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，Ｃ Ｈ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ， ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ， ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．軸方向磁束固定子開放形モーターであって、 それぞれ外周から内側に向かって伸びる切込部を有し間隔を隔てた２枚の絶縁 性支持板と、両支持板の間で保持される極片を持つ複数の磁極とからなり、前記 極片が透磁性材料であって支持板上で円弧状に配列され、支持板の切込部に隣接 する少なくとも幾つかの極片を除き、分散巻、又は突極巻の巻線を施した固定子 である、開放型固定子；及び 前記支持板の切込部内で支持板と直角に保持された軸と、固定子の両側で前記 軸に保持された２枚の回転円板とからなり、各回転円板が透磁性材料であって、 その内面に、回転子側の巻線を構成する導電材、又は導電通路を有し、前記軸に よって回転自在に支持された回転子； とで構成されたことを特徴とする軸方向磁束固定子開放形（ＯＳＡＦ）モーター 。 ２．前記の回転子が非透磁性である請求項１記載のＯＳＡＦモーター。 ３．前記の軸がオーステナイト系ステンレス鋼である請求項２記載のＯＳＡＦモ ーター。 ４．前記の回転円板の内面に銅板を貼り付けた請求項１記載のＯＳＡＦモーター 。 ５．前記の銅板の厚みが１〜６ｍｍである請求項４記載のＯＳＡＦモーター。 ６．前記の導電通路が、半径方向の内側及び外側の短絡リングと、これらのリン グを接続する実質的に半径方向に伸びた導電バーとからなる請求項１記載のＯＳ ＡＦモーター。 ７．運転中のトルクの脈動を低減するため、前記の導電バーを半径方向から若干 傾斜させて回転子に装着した請求項６記載のＯＳＡＦモーター。 ８．前記の磁極が奇数の相群を形成した請求項１記載のＯＳＡＦモーター。 ９．前記の磁極が少なくとも３つの相群を形成した請求項８記載のＯＳＡＦモー ター。 １０．少なくとも６個の透磁性磁極を有する請求項１記載のＯＳＡＦモーター。 １１．前記の極片が、くさび形に形成された積層板である請求項１０記載のＯＳ ＡＦモーター。 １２．前記の磁極が珪素鋼板の積層体で構成された請求項１１記載のＯＳＡＦモ ーター。 １３．前記固定子の切込部に隣接する磁極が非励磁極である請求項１記載のＯＳ ＡＦモーター。 １４．励磁される巻線の数が３の倍数である請求項１３記載のＯＳＡＦモーター 。 １５．前記固定子が４つの相群を有する６極の固定子である請求項１記載のＯＳ ＡＦモーター。 １６．前記固定子が５つの相群を有する７極の固定子である請求項１５記載のＯ ＳＡＦモーター。 １７．前記固定子の切込部に隣接する非励磁極を含む磁極の数が奇数である請求 項１記載のＯＳＡＦモーター。 １８．極片の長さが巻線部より大である請求項１１記載のＯＳＡＦモーター。