JPH09505538A - チェーンシフタ用高効率・高速制御ユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 チェーンシフトの必要に応じて移動爪が指向されるように、爪ガイドハウジング（６０）内のカムセレクタ（５４）を位置決めする可逆回転電気セレクタモータ（２６）を使用するチェーンシフタ用制御ユニット（１０）。モータ（２６）は小質量の偏心体（３１）を回転させ、該偏心体（３１）は、ばね付勢ラッチキー（４５）を作動させるのに充分な角力を発生し、キー（４５）はカムセレクタ（５４）を位置決めする。偏心体（３１）が加速されると、偏心体が衝突するまで充分な力を得て、キー（４５）を中央位置に保持する１対のラッチアーム（３３、３５）のうちの一方のラッチアームを移動させ、ラッチキー（４５）が回転できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】 チェーンシフタ用高効率・高速制御ユニット技術分野 本発明は、チェーン駆動装置の入／出力駆動比を切り換えるべく、チェーン駆 動装置のチェーンをシフトする（切換える）技術に関し、より詳しくは、自転車 等のチェーンの効率的な高速シフト技術に関する。発明の背景 米国特許第4,127,038号には、変速中に確実な駆動連結を維持しながら、異な る直径をもつスプロケットからスプロケットへとチェーンが移動される構成のス プロケットシフト組立体が開示されている。チェーンは、該チェーンが係合して いるプロケット（「チェーン係合スプロケット」と呼ぶ）から受入れスプロケッ トへとシフトされ、このシフトは、受入れスプロケットの歯とチェーン係合スプ ロケットの歯とが整合するように、受入れスプロケットのセクタを枢動させるこ とにより行なわれる。チェーンが受入れスプロケットにシフトされた後、セクタ は、チェーンが該セクタと係合した状態でその元の位置に戻される。 米国特許第4,580,997号には、２段変速スプロケット／チェーンシフト組立体 が開示されている。一方のスプロケットは、枢着された小形スプロケットセグメ ントを有している。シフト機構は、スプロケットセグメントを枢動して該セグメ ントとチェーンとを整合させることにより、一方のスプロケットと係合している チェーンを他方のスプロケットにシフトする。この特許はまた、爪ハウジング及 び枢動カムを使用して、スプロケット／チェーン組立体のシフト時及び非シフト 時に必要とされる、スプロケットにより支持された爪の移動方向の決定を行なう ことを開示している。 米国特許第4,894,046号には、爪ハウジング内でカム組立体を位置決めするた めの、可逆回転電気セレクタモータを使用したチェーンシフタ用制御ユニットが 開示されている。これにより、移動爪は、チェーンシフトに必要とされる方向決 めがなされる。ばね付勢形ラッチキーがカムセレクタを位置決めする。ばねは、 左右のラッチアームがカムセレクタを中心位置に保持するように、これらのラッ チアームを引き離す方向に押圧する。作動に際し、モータは、２つのラッチアー ムのうちの一方のラッチアームをラッチキーから離れる方向に押して、カムセレ クタが回転できるようにしなければならない。ばねはキーに対してラッチ部材を 押しつける。従ってモータは、ばねの力に打ち勝つ大きい力を発生して、ラッチ キーを移動させなくてはならない。モータが必要とする力は、モータを駆動する バッテリに大きな要求をする。従って、バッテリを頻繁に取り替えなくてはなら ない。或いは、より大容量のバッテリが必要になるけれども、大きく且つ重いバ ッテリは自転車に使用するには適していない。 また、モータから力は瞬時に出力されるものではなく、一定時間を要する。上 記装置のモータは、該モータがラッチアームを移動させるのに充分な大きさの力 を発生するまで、一方のラッチアームを一定時間押さえていなくてはならない。 これはバッテリに対する別の要求を賦課するだけでなく、モータの付勢とチェー ンのシフトとの間の時間遅延は好ましくない。 従って、出力効率の高いチェーンシフタ用の改善された制御ユニットが要望さ れている。また、カムセレクタの迅速位置決めが可能なチェーンシフタ用の改善 された制御ユニットが要望されている。発明の要約 本発明は、ばね付勢されたカム組立体を作動させるのに充分な力を得るため、 不釣り合い偏心体を加速することにより発生される衝撃力を部分的に使用するこ とにより、従来技術の上記及び他の問題を解決する。 本発明の制御ユニットは、偏心組立体に連結された可逆回転電気セレクタモー タを有している。偏心組立体は、モータに取り付けられた偏心駆動体と、該偏心 駆動体に対して摺動可能に取り付けられたハンマすなわち偏心体とを有している 。偏心体はスロット状孔の回りで摺動できる。偏心体は、偏心駆動体と軸線方向 に整合するように、ばねにより押圧されている。 モータが回転し始めると、偏心駆動体及び偏心体も同様に回転し、加速し始め る。偏心体はこれが回転するときに不釣り合い状態になり、偏心駆動体との軸線 方向整合を解く半径方向外方の力を発生する。偏心組立体が加速し続けると、偏 心組立体は、偏心体の質量の加速により発生する力がばね力に打ち勝ち且つこれ により偏心体がスロット状孔に沿って偏心駆動体との軸線方向整合を解く方向に 摺動する位置に到達する。偏心体が偏心駆動体と軸線方向に整合しない場合には 、偏心体はラッチトリップと衝突する。 ラッチトリップは左右１対の枢動ラッチアームの間に配置される。ばねがラッ チアームの一部を互いに引き離すように押圧し、キーは、両ラッチアーム間に配 置され且つラッチトリップが中央に位置するときにラッチアーム及びばねにより 保持される。偏心体がラッチトリップと衝突すると、ラッチトリップは衝撃力を 一方のラッチアームに伝達し、該アームをキーから離れる方向に移動させる。他 方のラッチアームは、ばねを介してキーを回転させる。スピンドルは、キーの回 転運動をカムセレクタに伝達して、チェーンのシフトができるようにする。 本発明の重要な点は、小さな質量をもつ部材すなわち偏心体を回転させ且つ加 速することにある。良く知られているように、力は、質量と加速度との積に等し い。質量が最小に維持されるならば、この質量を加速させるのに必要な力は小さ くて済む。モータは、迅速に且つモータに過度のエネルギ条件を賦課することな く、本発明の小質量偏心体を回転させ且つ加速することができる。偏心体の質量 は充分な力を発生させるべく加速され、該偏心体が衝突するときにこの力をラッ チトリップに伝達し、ラッチトリップはラッチアームをキーから離れる方向に押 すのに充分な力を有する。偏心体により発生される力は、該偏心体から、両ラッ チアームの間に位置するラッチトリップを介して、実質的に同時に一方のラッチ アームに伝達される。 本発明の他の特徴及び関連する長所は、下記の図面と共に好ましい実施例に関 する下記の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。図面の簡単な説明 第１図は、本発明のチェーンシフタ用制御ユニットが設けられた自転車を示す 斜視図である。 第２図は、本発明の制御ユニットが自転車フレームの一部に取り付けられた状 態を示す拡大側面図である。 第３図は、制御ユニットの側面図である。 第４図は、拡大端面図である。 第５図は、第４図の５−５線に沿う拡大断面図である。 第６図は、第５図の６−６線に沿う断面図である。 第７図は、制御ユニットの分解図である。 第８Ａ図は、本発明の偏心駆動体を示す平面図である。 第８Ｂ図は、第８Ａ図の偏心駆動体を示す底面図である。 第８Ｃ図は、第８Ａ図の８Ｃ−８Ｃ線に沿う本発明の偏心駆動体の断面図であ る。 第８Ｄ図は、第８Ａ図の偏心駆動体の左側面図である。 第８Ｅ図は、第８Ａ図の偏心駆動体の正面図である。 第９Ａ図は、本発明の偏心体の平面図である。 第９Ｂ図は、第９Ａ図の偏心体の底面図である。 第９Ｃ図は、第９Ａ図の偏心体の９Ｃ−９Ｃ線に沿う断面図である。 第９Ｄ図は、第９Ａ図の偏心体の９Ｄ−９Ｄ線に沿う断面図である。 第９Ｅ図は、第９Ａ図の偏心体の右側面図である。 第９Ｆ図は、第９Ａ図の偏心体の正面図である。 第９Ｇ図は、本発明のばねの平面図である。 第９Ｈ図は、本発明の偏心ウェイト１２２の斜視図である。 第１０Ａ図は、本発明のラッチトリップ３２の平面図である。 第１０Ｂ図は、第１０Ａ図のラッチトリップの平面図である。 第１０Ｃ図は、第１０Ａ図の１０Ｃ−１０Ｃ線に沿うラッチトリップの断面図 である。 第１０Ｄ図は、第１０Ａ図の１０Ｄ−１０Ｄ線に沿うラッチトリップの断面図 である。 第１０Ｅ図は、第１０Ａ図のラッチトリップの右側面図である。 第１０Ｆ図は、第１０Ａ図のラッチトリップの正面図である。 第１１図は、本発明のピンプレートの平面図である。本発明の好ましい実施例の詳細な説明 第１図は、全体を参照番号１１で示す自転車に取り付けられた制御ユニット１ ０を示す。図示のように、自転車１１は、通常のフレーム１２、前輪１３、ハン ドルバー１４、一方のハンドルグリップ１４ａに隣接したブレーキレバー１５、 後輪１６、ペダルクランク１７、後輪に取り付けられた後スプロケット１８、チ ェーン１８ａ、チェーン緊張器１９、及び、クランクに取り付けられたスプロケ ット組立体２０を有している。スプロケット組立体２０は、枢動形スプロケット セグメントと、スプロケットセグメントの枢動及びスプロケット組立体と係合す るチェーンのシフトを行なうべく異なる移動経路を通る方向に指向される爪とを 備えた、米国特許第4,580,997号に開示された形式が好ましい。 他方のハンドグリップ１４ｂに隣接するハンドルバー１４に隣接して、制御ス イッチ２１が取り付けられており、該制御スイッチ２１は「アップ」ボタン２２ 及び「ダウン」ボタン２３を有している。第２図及び第７図に示すように、電線 ２４が、スイッチ２１から保護シース（鞘）２５の中を可逆回転電気モータ２６ （第７図）へと延びている。モータ２６は、該モータに電力を供給するバッテリ （図示せず）を収容する容器として機能するハウジング２７内に入れ子状に挿入 される。本発明の高い効率により、従来技術の装置に必要とされるバッテリより も小形のバッテリを使用できる。 モータ２６の出力軸２８は偏心駆動体３０のボア２９内に延びている。偏心駆 動体３０は、ハンマすなわち偏心体３１及びラッチトリップ３２と協働する。偏 心駆動体３０、偏心体３１及びラッチトリップ３２については、第８Ａ図〜第８ Ｅ図、第９Ａ図〜第９Ｈ図及び第１０Ａ図〜第１０Ｆ図に関連してより詳細に説 明する。 ラッチトリップ３２の一方の面から延びているラッチトリップ部材１４２の両 側に１対のラッチアーム３３、３３′がそれぞれ配置されている。各ラッチアー ムの面からピン３５が延びており、両ラッチアームの間には、ばね３６が嵌合さ れている。ばね３６の両端部にピン３５が挿入され、これにより、両ラッチアー ムの対向する端部を互いに引き離す方向に押圧する。 ばね３６は、両ラッチアーム３３、３３′を引き離す方向に押圧し、ピン３９ 上で枢動させ且つキー４５に押しつける。キー４５は両ラッチアーム間に配置さ れ、且つラッチトリップ部材１４２が両ラッチアーム間の中央に位置決めされる と、ラッチアーム及びばねにより保持される。ラッチトリップ部材が回転させら れると、一方のラッチアームがキーから移動させられ、ばね及び他方のラッチア ームによってキーが回転される。 各ラッチアームはピン３９の一端に枢着され、ピンの他端はブシュ３９ａ内に 挿入されている。ブシュ３９はブシュ４０のボア４０ａの中を延びている。ピン プレート３４は、ピン３９の一端を受け入れて、両ラッチアーム３３、３３′を ブシュ４０内に保持している。 ブシュ４０のボア４２内にはスピンドル４１が入れ子状に挿入され、該スピン ドルから延びているシャフト４３がキー４５のボア４４内に入れ子状に挿入され る。キー調節板４６の孔47aを通ってキー４５の孔４７及びシャフト４３の孔４ ８内に挿入されるロックねじ４６ａが、シャフトに対してキーをロックする。ロ ックユニットが組み立てられたとき、キー４５は両ラッチアーム３３、３３′の 間に配置される。 キー１４５、ラッチアーム３３、３３′はプラスチックのような耐久性のある 弾性材料、好ましくは商品名DELRINというプラスチックで作られているのが好ま しい。キー調整板４６は、キー４５の凹状部分に当接する凸状面を有しているの が好ましい。 ロックねじ４６ａが締めつけられると、キー調節板４６の凸状面は、キー４５ の凹状部分を外方に押しやり、両ラッチアーム３３、３３′と接触させる。 第４図及び第５図に示すように、スピンドル４１のカラー５２から延びている フランジ５１には、溝５０が形成されている。米国特許第4,580,997号に開示さ れた形式が好ましいカムセレクタ５４は上下のカム面５５、５６を有している。 カムセレクタ５４は、上記米国特許に開示された形式が好ましい爪ガイドハウジ ング６０内に嵌合される。爪ガイドハウジング６０は、自転車のフレーム１２に 固定される。 ヘッド６２ａを備えたピボットシャフト６２がカムセレクタ５４を通って突出 し、かつ、カラー５２に嵌合されたプレート６３の一方の面に固定されている。 プレート６３の反対側に設けられたもう一本のピン６２ｂが、スピンドル４１の 中央ボア６４ａ内に入れ子状に挿入されている。ばねクリップ６４が溝５０内に 嵌合され、プレート６３をカラー５１に当接させて保持し且つピン６４をボア６ ４ａ内に保持する。ばねクリップ６４の端部６４ａ、６４ｂは、それぞれ、カム 面５５、５６の末端部５５ａ、６５ａと係合するように延びており、これにより 、ばねクリップは、カムアクチエータ５４の回転と共にその溝５０内で回転し、 爪ガイドハウジング６０内でカム面５５、５６を中央に位置決めする。 ボルト６５、６６を用いて、制御ユニットの構成部品を一体にロックする。ボ ルトは、ハウジング２７のフランジ６８の孔６７及びブシュ４０のフランジ７０ の孔６９の中を通り、ナット７１に螺合されている。作動中は、カムセレクタ５ ４が、第２図に示されるように爪ガイドハウジング６０内で中央に位置決めされ ると、爪（図示せず）の経路（矢印７０で示す）はカムセレクタ５４の中央案内 経路７１を通る。カムセレクタ５４がこの位置にあるとき、ラッチアーム３３、 ３３′は、ラッチトリップ部材１４２の両側の釣り合い位置にあり、且つラッチ アーム３３、３３′の傾斜角部７３、７３′が、それぞれ、キー４５の鋭い角縁 部７４、７５と係合する。 第８Ａ図〜第８Ｅ図に示すように、モータ２６の出力軸２８は、偏心駆動体３ ０のボア２９の中を延び且つ該偏心駆動体３０に固定される。偏心駆動体３０の 中心からは、駆動カム１０６が軸線方向に延びている。駆動カム１０６の両側に 設けられたスロット１０４、１０４′は、ばね１０８の一端１１０′を受け入れ るように設計されている（第９Ｇ図に示す）。 第９Ａ図〜第９Ｈ図に示すように、駆動カム１０６は偏心体３１のスロット状 孔１１２に通される。スロット状孔１１２は、偏心体３１の中心から周縁部まで 延びている。スロット状孔１１２は、駆動カム１０６を受け入れ且つ偏心体３１ が回転運動及び並進運動の両方ができるように設計されている。偏心体３１は駆 動カム１０６に対して横方向に移動でき、同時に、駆動カム１０６はモータ２６ の回転力を伝達して偏心体３１を回転させる。駆動カム１０６は、スロット状孔 １１２の平行な長手方向の平面に受け止められる平行面を備えているのが好まし い。 端部１１０、１１０′を備えたばね１０８（第９Ａ図に破線で示す）が、偏心 体３１の前面の凹部１１４内に配置されている。端部１１０は、凹部１１４の半 径方向縁部に沿った内側リップ１１６に当接し且つ該内側リップ１１６に取り付 けられている。端部１１０′はスロット状孔１１２を横切り且つスロット１０４ を通って延び、偏心体３１を偏心駆動体３０に対して保持し且つこれらの間の軸 線方向分離を防止する。このように保持されると、ばね１０８は、スロット状孔 １１２の中央縁部に対して駆動カム１０６を押しつけて（第９Ａ図に破線で示す ）、偏心体３１と偏心駆動体３０とを軸線方向に整合させる。 偏心体３１を通って軸線方向に延びる１対の孔１２０が、１対の偏心ウェイト １２２（第９Ｈ図）を受け入れる。孔１２０は、スロット状孔１１２から離れて 偏心体３１の周縁の近くに設けられ、これにより、ウェイト１２２を偏心体３１ の軸線方向中心から一定距離の位置に配置する。偏心体３１は、耐久性のある弾 性材料で作られるのが好ましい。ウェイト１２２を穴１２０内に挿入したときに 、ウェイト１２２が孔１２０内に固定されるように、ウェイト１２２の外縁部は ギザギザ又はねじを設けるのが好ましい。 偏心体３１の周縁部に近接して、偏心体の頂面に設けられたボア１２６を通っ てピン１２４が延びている。偏心体３１の頂面の上方で、スロット状孔１１２と 、孔１２０と、ボア１２６との間において、作動フランジ１２８が軸線方向に延 びている。後でより詳細に説明するように、偏心体３１がばね１０８の力に打ち 勝つのに充分な速度に到達すると、ピン１２４及び作動フランジ１２８がラッチ トリップ３２に衝突して、偏心体３１がスロット状孔１１２を中心に横方向に摺 動できるようにする。 第１０Ａ図〜第１０Ｆ図に示されるように、ラッチトリップ３２は、該ラッチ トリップの中心ボア１３２を通ってスピンドル４１の孔１３４内へと軸線方向に 延びる駆動軸１３０の回りで枢動する。作動突出部１３６が、ラッチトリップ３ ２の底面の周縁部から軸線方向に延びている。 ラッチトリップ部材１４２は、作動突出部１３６とは反対側で、ラッチトリッ プ３２の頂面に配置されている。ラッチトリップピン１３８が、ラッチトリップ 部材１４２の孔１４０を通って軸線方向に延びている。ラッチトリップ部材142 の回りで、ラッチトリップ３２の頂面には馬蹄形凹部１４４が形成されている。 第１１図に示されるように、中心孔１５０がピンプレート３４を通って軸線方 向に延びている。駆動軸１３０が孔１５０を通ってスピンドル４１の孔１３８内 に延びている。ピンプレート３４の対向アーム１５４，１５４′のボア１５２が ピン３９の一端を受け入れる。これらのピン３９の端部がピンプレート３４の表 面の上方に位置する場合には、ピン３９の端部は馬蹄形凹部１４４内に入り、こ れにより、ピン３９が、駆動軸１３０の回りでのラッチトリップ３２の回転を妨 げることを防止する。アーム１５４、１５４′は、ブシュ４０の切欠き端部によ り固定して受け入れられるように設計するのが好ましい。ピンプレート３４は、 ラッチトリップ部材１４２が、ラッチアーム３３、３３′の間でラッチトリップ 部材１４２を通ることを許容する。 本発明の装置の作動を以下に説明する。 「アップ」スイッチ２２を押すと、モータ２６を作動させる、好ましくは約３ ０ミリ秒の電気パルスが発生し、出力軸２８及び該出力軸２８に取り付けられた 偏心駆動体３０が回転させられる。駆動カム１０６は、偏心駆動体130の回転運 動を偏心体１３１に伝達、該偏心体１３１をその中心軸線の回りで回転させる。 偏心ウェイト１２２が偏心体３１の作動フランジ１２８に近接して配置され、 偏心体３１の質量中心を偏心体の中心軸線から離れた位置に配置する。質量中心 は、スロット状孔１１２の周縁部に対向して中心軸線に近接した位置にあるのが 好ましい。これにより、不釣り合い偏心体３１がその中心軸線の回りで回転する と、遠心力により、偏心体３１がスロット状孔１１２の回りで駆動カム１０６に 対して横方向に移動させられる。偏心体３１が回転し始めると、遠心力は、ばね 108による逆方向の力を打消し且つ該逆方向の力より大きくなるまで増大し、質 量中心を駆動カムから半径方向外方に並進移動させる。ばね１０８により加えら れる力は、充分な遠心力が発生する前に、偏心体３１が、好ましくは完全に数回 転できるのを許容するのに充分な大きさである。 偏心体３１がその中心軸線の回りで回転すると、作動フランジ１２８及びピン １２４が、ラッチトリップ３２の作動突出部１３６と接触しなくなる。偏心体３ １が、偏心駆動体３０との軸線方向整合状態から外れて横方向外方に並進移動 すると、作動フランジ１２８及びピン１２４が作動突出部１３６及びラッチトリ ップピン１３８と接触する。偏心体３１からの角力(angular force)即ち回転力 は、作動フランジ１２８及び作動突出部１３６を介してラッチトリップ１３２に 伝達される。 ピン１２４及びラッチトリップピン１３８は、角力を充分に伝達できる金属で 作るのが好ましい。金属ピンの使用により、この接触点での摩耗も減少する。 偏心体３１からラッチトリップ３２に伝達される角力により、ラッチトリップ ３２が駆動軸１３０の回りで回転され、ラッチトリップ部材１４２を、ラッチア ーム３３又は３３′のいずれか一方に押しつける。 ラッチトリップ部材１４２のこの回転により、一方のラッチアームが角縁部７ ４又は７５から離れる方向に移動させられ、ばね３６が他方のラッチアームをキ ーに対して押しつけ、キーを軸４３の回りで第１方向に回転させる。 キーの回転は、スピンドル４１を介してカムセレクタ５４に伝達される。これ により、カムセレクタが傾斜させられ、爪を中央案内経路７０の上方又は下方に 指向させられる。爪が利用可能な経路を通過するとき、爪は湾曲したカム案内面 の末端部すなわち部分５５ａ又は５６ａと係合し、該部分を押圧して中心位置に 戻す。 「ダウン」ボタン２３を押すと、モータが逆方向に回転され且つカムセレクタ が逆方向に枢動される。 カムセレクタが枢動すると、米国特許第4,580,997号に記載されているように してチェーンのシフトが行なわれる。 本発明によれば、偏心駆動体３０及び偏心体３１の質量は、耐久性を損なうこ となく最小に減少される。好ましくは、偏心駆動体３０はアルミニウムで形成さ れ、一方、偏心体３１はデルリン（DELRIN、商標）で形成される。質量が小さい ため、これらの構成部品を回転させるのに必要な電気パルスは小さく、従って電 気エネルギは少なくて済む。また、モータが、組立体を、ばね１０８の力を相殺 するのに充分な加速度まで回転させるのに要する時間は短時間でよい。従って、 本発明の装置は、従来技術の装置に比べ、チェーンシフタの高速制御が行なえる 。 当業者ならば、ウェイト１２２の質量及び偏心体３１の角加速度は、ラッチア ーム３３、３３′を移動させるのに充分な角運動力をラッチトリップ３２に付与 するように選択されることが理解されよう。ウェイト１２２の質量は、効率及び 速度に関する上記理由から最小にするのが好ましい。 モータの回転により偏心体３１に小さな回転力が発生され、この回転力はラッ チトリップ３２に伝達され且つ該ラッチトリップ３２を回転させる。次に、ばね ３６がラッチアームをターンさせると、ラッチトリップ３２の小さな回転力が増 大され、ラッチキーを回転及びターンさせる。ラッチアームはこれらのラッチ位 置に戻される。すなわち、爪がカムセレクタ５４を通って移動すると、傾斜角部 ７３、７３′がキー４５の角縁部７４、７５と係合する。 上記説明は、当業者が本発明を再現する上で充分であると考えられるけれども 、何らかの付加情報が必要ならば、上記全ての米国特許を参考文献として援用す る。 以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、当業者ならば本発明の精神及び 範囲を逸脱することなく種々の変更を施すこができる。従って、本発明は上記説 明により制限を受けるものではなく、本発明の範囲は請求の範囲の記載により完 全に判断すべきである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．中立位置からそれぞれアップシフト位置及びダウンシフト位置へと逆方向に 回転できるカムと、該カムを前記アップシフト位置及びダウンシフト位置に向け て弾性的に押圧する手段と、第１ラッチ部材及び第２ラッチ部材を備えたラッチ 機構であって、前記カムを前記中立位置に保持するけれども、前記第１ラッチ部 材が一方向に作動されるときには前記カムが前記アップシフト位置に回転できる ようにし且つ前記第２ラッチ部材が前記第１ラッチ部材の作動方向とは逆の方向 に作動されるときには前記カムが前記ダウンシフト位置に回転できるようにする ラッチ機構とを有する形式のチェーンシフタ用制御ユニットの、比較的小さな電 力を用いて前記第１ラッチ部材及び第２ラッチ部材を選択的に作動させる装置に おいて、 前記チェーンシフタをアップにシフトするアップシフト信号及び前記チェー ンシフタをダウンにシフトするダウンシフト信号を発生するシフトセレクタと、 該シフトセレクタに連結されたロータリアクチュエータとを有し、該ロータ リアクチュエータは、前記シフトセレクタからの前記アップシフト信号の受信に 応答して一方向に回転し且つ前記シフトセレクタからの前記ダウンシフト信号の 受信に応答して逆方向に回転し、 前記ロータリアクチュエータに連結されたハンマ部材を更に有し、該ハンマ 部材は前記ラッチ部材を打つ前に前記ロータリアクチュエータと共に自由に回転 し、前記ハンマ部材は、前記ロータリアクチュエータが前記アップシフト信号に 応答して回転するときに前記第１ラッチ部材を打撃し、前記カムが前記アップシ フト位置に回転できるようにし、前記ハンマ部材は、前記ロータリアクチュエー タが前記ダウンシフト信号に応答して回転するときに前記第２ラッチ部材を打撃 し、前記カムが前記ダウンシフト位置に回転できるようにすることを特徴とする 装置。 ２．前記ハンマ部材は、回転運動及び並進運動ができるように、ロータリアクチ ュエータに対して摺動可能に取り付けられていることを特徴とする請求の範囲第 １項に記載の装置。 ３．前記ハンマ部材を第１方向に押圧するばねを更に有し、前記ハンマ部材の回 転時に、前記ハンマ部材は第２方向に移動して、前記ハンマ部材が第１ラッチ部 材及び第２ラッチ部材のうちの一方のラッチ部材を打撃することを許容し、前記 カムが回転できるようにすることを特徴とする請求の範囲第２項に記載の装置。 ４．前記ハンマ部材及びロータリアクチュエータが、中心軸線の回りで第１方向 に整合されることを特徴とする請求の範囲第３項に記載の装置。 ５．前記ハンマ部材と前記第１及び第２ラッチ部材との間に配置されるラッチト リップを更に有し、該ラッチトリップは前記第１ラッチ部材及び第２ラッチ部材 のうちの一方のラッチ部材を打撃して、前記カムが、前記ラッチトリップを打撃 する前記ハンマ部材に応答して回転できるようにすることを特徴とする請求の範 囲第１項に記載の装置。 ６．枢着された１対のラッチアームと、 該ラッチアームの一部を離れる方向に押圧するばねと、 両ラッチアーム間に配置され且つラッチアーム及びばねにより保持されたキ ーと、 両ラッチアーム間に配置されたラッチトリップ部材を備えたラッチトリップ と、 モータにより選択的に回転される偏心組立体であって、ラッチトリップ部材 を第１方向に回転させてラッチアームと接触させることができ且つばね手段によ りキーの回転を生じさせることができる偏心組立体と、 キーに連結されたスピンドルであって、キーの回転運動を伝達してチェーン のシフトを生じさせることができるスピンドルとを有することを特徴とするスプ ロケット間でチェーンをシフトするための電気モータ駆動組立体。 ７．前記偏心組立体が、 モータに固定された偏心駆動体と、 偏心駆動体に対して摺動可能に取り付けられた偏心体であって、モータによ り回転運動及び並進運動される偏心体とを有し、 ラッチトリップが偏心体により選択的に作動されることを特徴とする請求の 範囲第６項に記載の電気モータ駆動組立体。 ８．前記偏心体が、偏心体を第１位置に押圧するばねを有し、 モータにより偏心体が回転されるときに、偏心体が第２位置に移動してラッ チトリップを作動させることを特徴とする請求の範囲第７項に記載の電気モータ 駆動組立体。 ９．一方のラッチ部材が一方向に作動されるときに前記カムがアップシフト位置 に回転できるように且つ他方のラッチ部材が多方向に作動されるときに前記カム がダウンシフト位置に回転できるようにすべく、シフト作動カムを中立位置から 解放させるためのチェーンシフト制御装置の１対のラッチ部材を作動する方法に おいて、 前記カムが前記アップシフト位置に回転されるときに、質量を前記一方向に 加速させ、 前記質量が前記一方向に加速された後に、前記質量が前記一方のラッチ部材 を打撃し、これにより前記カムを解放して前記アップシフト位置に回転させ、 前記カムが前記ダウンシフト位置に回転されるときに、質量を前記他方向に 加速させ、 前記質量が前記他方向に加速された後に、前記質量が前記他方のラッチ部材 を打撃し、これにより前記カムを解放して前記ダウンシフト位置に回転させるこ とを特徴とする方法。