JPH09505201A - 組換え細胞、dna構造、ベクター及びフィチン酸塩分解酵素を任意の比率で発現する方法 - Google Patents

組換え細胞、dna構造、ベクター及びフィチン酸塩分解酵素を任意の比率で発現する方法

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JPH09505201A
JPH09505201A JP6505394A JP50539494A JPH09505201A JP H09505201 A JPH09505201 A JP H09505201A JP 6505394 A JP6505394 A JP 6505394A JP 50539494 A JP50539494 A JP 50539494A JP H09505201 A JPH09505201 A JP H09505201A
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Abstract

(57)【要約】 糸状菌内の2つの別々のプロモーターの下で、少なくとも2つの異なった遺伝子を過度発現できる組換え組合せ菌株。その遺伝子はフィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼをエンコードする。GA-及びGAPDH-プロモーターを好ましくは用いる。所望の比の2つの酵素を含有する混合体は、組換えDNA技術で作製。酵素混合体はフィチン酸及びその塩の分解において協同的効果を示す。2つの酵素の好ましい比は約3:1〜約16:1。DNA配列は野生型Aspergillus niger ALKO243(ATCC#38854)から分離した。

Description

【発明の詳細な説明】 組換え細胞、DNA構造、ベクター及び フィチン酸塩分解酵素を任意の比率で発現する方法 本出願は、1992年7月31日出願の米国出願Ser,No.07/925,401の部分的継続であ る。産業上の利用分野 この発明は、少なくとも2つのフィチン酸塩分解酵素を所望の比率で過度発現 できる糸状菌の菌株に関する。更に、上述の菌株の作製に有用なDNA配列、プロ モーター、DNA構造及びベクターが開示される。発明の背景 ミネラルは、総ての生物の成長にとって不可欠の要素である。単胃動物(例え ば、豚、家きん)及び魚類の生き群体生成のため、飼料は、通常、ミネラルが補 われている。植物の種子は、フィチン酸のリン酸基と複合するイオンを含んでい る故、豊富なミネラル源である。反すう動物は、こぶ胃中の微生物がフィチン酸 塩(ミオーイノシトール六リン酸)からイノシトールと無機リン酸塩への変換を 触媒促進する酵素を生成するため、無機リン酸塩及びミネラルを必要としない。 その過程で、既にフィチン酸塩と複合しているミネラルが放 出される。 フィチン酸塩は、大部分は総ての植物種子に貯えられるリン源として存在する (論文としては、Phytic Acid,Chemistry and Applications,E.Graf (Ed.), Pilatus Press: Minneapolis,MN,U.S.A.,1986参照)。それは、新植物が種子 から発芽する際に欠くことのできない食物ミネラルを結合するよう作用する。フ ィチン酸のリン酸基が種子酵素のフィターゼによって取り除かれると、金属イオ ンを結合する能力が失われて、そのミネラルが植物に使えるようになる。生き群 体の飼料穀物では、フィチン酸に結合した微量ミネラルは、単胃動物による吸収 に部分的に使えるだけであり、フィターゼ活性を欠如している。フィチン酸塩の 加水分解はコロンで起こることもあるが、大部分のフィチン酸塩は単胃動物の胃 腸管を通過し、極端な生き群体の領域ではふん(便)のリン酸汚染問題の一因と なる肥料中に排泄される。コロンに放出された無機リンは、小腸にだけ吸収され るので、生株にとっては栄養価は無い。従って、有効量の栄養摂取上重要な食物 ミネラルは、単胃動物にはもともと使えない。 フィチン酸塩からイノシトールと無機リンへの変換は、一般にフィターゼと呼 ばれる微生物酵素によって促進することができる。フィターゼ#EC3.1.3.8のよう なフィターゼは、 ミオーイノシトール六リン酸のD-ミオーイノシトール1,2,4,5,6-五リン酸及びオ ルソリン酸への加水分解を促進することができる。幾つかの菌類のフィターゼは 、報告によればイノシトールペンタリン酸をテトラ、トリ、及び低級リン酸塩に 加水分解する;例えば、A.ficuumフィターゼは、報告によればミオイノシトール ジ(二)及びモノ(一)リン酸の混合物を生ずる(Ullah,1988)。フィターゼ を生成する微生物には、枯草菌Bacillus subtilis(V.K.PowarとV.J.Jagannatha n,J.Bacteriol.151:1102-1108,1982)及びシュードモナスPsudomonas(D.J.C osgrove,Austral.J.Biol.Sci.23:1207-1220,1970)のようなバクテリア ;サッカロミセスセレビシエSaccharomyces cerevisiae(N.R.NayiniとP.Marka kis,Lebensmittel Wissenshaft und Technologie 17:24-26,1984)のような酵 母菌;及びアスペルギルステレウスAspergillus terreus(K.Yamada,Y.Minoda 及びS.Yamamoto,Agric.Biol. Chem.32:1275-1282,1968)のような菌類が含ま れる。単胃動物に対する飼料付加物としてフィターゼを産することができる微生 物の可能な用法は、以前に報告されている(Shiehとware、米国特許No.3,297,54 8;Nelson,T.S.等、J.Nutrition 101:1289-1294,1971)。しかし、この概念 を商業的に利用できるかどうかは、微生物フィターゼの作製コスト が高いため、現在まで証明されてはいない。 微生物フィターゼはまた、幾つかの産業工程、例えば、小麦及びコーンの廃棄 物から動物用飼料を産出するのに有用であることが報告されている。コーンの湿 式ミル工程によって、動物用飼料として販売されるグルテンが生産される。報告 によれば、フィターゼの添加によって、飼料製品の栄養価が改善できる。菌類フ ィターゼ酵素と処置条件(t〜50℃及びpH〜5.5)は、既に欧州特開0 321 004で報 告されている。粗びき大豆粉を処理する際にフィターゼが存在すれば、魚類、豚 及び非反すう動物並びにミルクで飼育される小牛を飼うのに使う飼料としては不 適当なものになることが報告されている。フィターゼは、報告によれば、この高 タンパク質大豆材料の栄養上及び商業上の価値を高めるのに有用である(Alkoの Finase Enzymes、Alko社(Rajamaki,Finland)出版の製品情報パンフレット参 照)。Alko社は、フィターゼとA.nigerからの最適pH2.5の酸性ホスファターゼと を組合せたものをフィチン酸分解製品フィナーゼF Finase F及びフィナーゼS Fi nase Sの補足動物飼料として使用した。フィターゼの費用効果のおかげで、動物 用飼料としての粗びき大豆粉の価値が大いに高められることになった(Sheih等、 1969)。 フィターゼ及び特異性の低い酸性ホスファターゼは、菌ア スペルギルスフィカムAsperfillus ficuumによって細胞外酵素として作製される (Sheih等、1969)。Ullahは、野生型A.ficuumからフィターゼを精製したことを報 告しているが、それは見掛けの分子量61.7kDa(糖鎖形成用に校正されたSDS-PAG Eで測定);pH2.5及びpH5.5で最適pH;約40μMのKm;及び約50U/mgという比活性 を示した(Ullah.A.,Preparative Biochem.18:443-458,1988)に言及しており 、国際特許出願WO 91/05053に開示の内容もまた、報告によれば、pH2.5及びpH5. 5で最適pH;約250μMのKm;及び約100U/mgタンパク質という比活性を有するアス ペルギルスフィカムAsperfillus ficuumからのフィターゼの分離及び分子クロー ニングを開示している。 酸性ホスファターゼは、広範囲のリン酸エステルを接触的に加水分解する酵素 であり、通常、6.0を下回る最適pHを示す(Hollander,1971);例えば、#EC3.1. 3.2は、オルソリン酸モノエステルのオルソリン酸生成物への加水分解を促進す る。報告によれば、酸性ホスファターゼはA.ficuumから精製された。酸性ホスフ ァターゼの脱糖鎖形成された形では見掛けの分子量32.6kDaを有する(Ullah等、1 987)。 この発明の目的は、糸状菌から分離された、フィチン酸及びフィチン酸の塩か らのリンの放出率を改善する組換えホス ファターゼを提供することにある。この発明の他の目的は、飼料の商業的利用及 び産業の最小処置工程に適する有効且つ低廉な2つ以上の組換え酵素源を提供す ることにある。発明の概要 2つの酵素は、実質上、Aspergillus niger var.awamori菌株ALKO243から精製 した:即ち、フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼ。分離された内部ペプチ ドに関するアミノ酸配列は、各酵素について決定され、推定ヌクレオチド配列は 、2つの遺伝子を分子クローニングするのに使われるプローブの構成に用いた。 ゲノムヌクレオチド配列は、各遺伝子について決定され、解読(コーディング) 部分の配列も(必要なところで)cDNAをクローニングすることにより決定された 。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの推定アミノ酸配列を他の既知ホス ファターゼと比較することにより、重要な酵素の活性部位の配列が識別された。 転換ベクターは、糸状菌由来のプロモーターを使って構成し、異なった種々の異 種プロモーターは、夫々の遺伝子を発現させるそれらの能力について比較した。 組換え宿主細胞は、フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼをALKO243(ATCC#38 854)のアスペルギルス菌株によって分泌される酵素の量より(夫々)約2倍〜約 4000倍、及び10倍〜126倍多い程度に過度生成するもの が選択された。二重遺伝子転換の宿主細胞も高レベルの2つの組換え酵素、即ち 、フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼを発現するものが選択された。選択 された二重遺伝子転換細胞の菌株は、夫々の酵素の活性化の所望調製範囲内で、 例えば、pH2.5酸性ホスファターゼ活性対フィターゼ活性が3:1〜16:1の範囲内で 、pH2.5酸性ホスファターゼと共にフィターゼを合成及び分泌するものが識別さ れた。ここで開示される転換組換え宿主細胞によって、生体外で、即ち種子処理 工程においてか、又は生体内で、即ち1つ以上の酵素を動物に投与する方法の何 れかによって、従来技術における問題が解決され、且つ植物材料のフィチン酸塩 からミネラルを遊離する工業工程での使用に適する産業用ホスファターゼ酵素に ついて費用効果の源が提供される。 A.niger var.awamori菌株ALKO243(ATCC#38854;これはまたIFO4033としても 知られている)から精製されたフィターゼは、エンドグリコシターゼF/N-グリコ シターゼFでの処理の結果として、見掛けの分子量80-86,000ダルトン(SDS-PAGE) 、及び45,000-48,000ダルトン(SDS-PAGE)を示した。精製フィターゼは、非変性 条件下で約5.3の等電点を有する単量体であると思われる。このフィターゼの酵 素は、金属イオンが無いところで活性を示した、即ち、金属イオンに依存し ない;その酵素は最適pH約5.0;及び最適温度55-60℃の範囲である。 A.niger var.awamori菌株ALKO243からの精製pH2.5酸性ホスファターゼは、エ ンドグリコシターゼF/N-グリコシターゼFで炭水化物を排除後、見掛けの分子量 約66,000ダルトン(SDS-PAGE)及び46,000-49,000ダルトン(SDS-PAGE)を示した。 この精製pH2.5酸性ホスファターゼは、非変性条件下で約4〜4.25の等電点を有す る四量体であると思われる;見掛けのKm: pH2.5のフィチン酸ナトリウムに対し て0.7mM及びリン酸パラニトロフェニルに対して4mM;最適pH約pH2.5;及び最適 温度約55℃。 フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼに関する翻訳ヌクレオチド配列は、 夫々470個のアミノ酸及び479個のアミノ酸を持つポリペプチドを生ずる。予測さ れるフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼのポリペプチドについての分子量 の計算値は、夫々約51,400ダルトン及び約52,700ダルトンであった。 組換えpH2.5酸性ホスファターゼフィターゼと二重遺伝子転換宿主細胞により 作られたフィターゼとの望ましい比率によって、平衡酵素混合が達成され、そこ では、協同的酵素活性のために、フィチン酸塩からイノシトール及び遊離リン酸 塩への完全に近い迅速且つ効果的加水分解が促進され、その結果、フィチン酸複 合体からミネラルが放出される。図面の簡単な説明 上述の態様及びこの発明の多くの付帯的利点は、添付図面と併せて、以降の詳 細説明を参照すれば更によく理解できると共により容易に認識されるであろう: 図1は、Aspergillus niger var.awamori菌株ALKO243(ATCC#38854)から精製さ れた金属イオンに依存しないフィターゼ酵素の最適pHを示すもので、約pH5の最 適pH;及びpH2〜pH7の範囲で>20%最大酵素活性を有する(後の実施例1に記述 ); 図2は、上記図1の精製フィターゼ酵素に関し、55-60℃で最適温度を示し、2 5℃〜65℃の範囲で>20%の最大酵素活性を有する; 図3は、Aspergillus niger var.awamori菌株ALKO243から精製されたpH2.5酸 性ホスファターゼに関する37℃での最適pHを示すもので、pH2.5のフィチン酸ナ トリウムに関して見掛けのKm:0.7mM、最適pH,pH2.0-2.5、及びpH1.5〜pH3.5の範 囲で>20%最大活性を有する; 図4は、上記図3のpH2.5酸性ホスファターゼに関して、約55℃で最適温度、 及び25℃〜60℃の範囲で>20%の最大酵 素活性を示す; 図5は、Finase、フィターゼ及びホスファターゼを含有する市販処方、の相対 的フィターゼ活性(即ち、フィチン酸ナトリウムからのリン酸塩の遊離)を37℃ (■)及び55℃(+)でのpHの関数として示す; 図6は、Finase(図5)の相対的フィターゼ活性(即ち、リン酸塩ー遊離活性 )をpH5での温度、即ち10℃及び70℃間、の関数として示す; 図7は、BamHI; EcoRI; Xbal; BamHI+EcoRI; BamHI+Xbal; 及びEcoRI+Xbalで生じたゲノムDNAのエンドヌクレアーゼフラグメントと厳し い条件下でハイブリッド形成する放射線標識をした同義性オリゴヌクレオチドフ ィターゼプローブPHY-1のオートラジオグラムを示す(後の実施例2で記述); 図8は、BamHI,HindIII,KpnI,PstI,SalI,SphI,又はSstIで生じたゲノム DNAのエンドヌクレアーゼフラグメントと厳しい条件下でハイブリッド形成する 放射線標識をした同義性オリゴヌクレオチドpH2.5酸性ホスファターゼプローブP HY-31のオートラジオグラムを示す(後の実施例2で記述); 図9A及び図9B(SEQ.ID.NO.18)は、Aspergillus niger var.awamori菌株ALKO2 43(ATCC#38854)のフィターゼ遺伝子に関するゲノムヌクレオチド配列;後の実施 例2で説明される ようなフィターゼポリペプチドについての推定アミノ酸配列(SEQ.ID.NO.19);及 び遺伝子の5'調節プロモーター部分を示す; 図10A、図10B、図10C及び図10Dは、フィターゼ発現ベクター構成pFF1、pF F2、pFF3及びpFF4の体制を示す(後の実施例4で記述); 図11A及び図11Bは、(SEQ.ID.NO.20)は、pH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子 のヌクレオチド配列及びその酵素の推定アミノ酸配列(SEQ.ID.NO.21)を示す; 図12A、図12B、図12C及び図12Dは、任意の大腸菌E.coliのヌクレオチド配 列を排除するために設計されたフィターゼ発現ベクター構成pFF-6A、pFF8、pFF9 、及びpFF11の体制を示す(後の実施例4で記述); 図13A、図13B、図13C及び図13Dは、pH2.5酸性ホスファターゼ構成pPHO-1- 4Aの体制を示を示しており、後の実施例4で説明されるように、そこから線状フ ラグメントを分離することができる; 図14A及び図14Bは、pH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子とフィターゼの遺伝 子との両方を有する2つの転換ベクター、即ち、pFIN-1A及びpFIN-1Bの体制を示 す(後の実施例4で記述); 図15は、親のALKO243菌株による生成レベルを越えて1260倍までフィターゼを 過度生成する転換されたA.niger var.awamoriのサブクローンの平板検定におけ るフィターゼ活性を示す。(クローンのまわりにモリブデン酸塩の指標複合体に よって作られた円の大きさは酵素の活性に比例;後の実施例4で記述); 図16は、サザンブロット分析及びノーザン分析によって夫々決定されたフィタ ーゼ遺伝子の転換A.niger var.awamori菌株ALKO2268における染色体フィターゼ 遺伝子のコピー数を示す(後の実施例4で記述)。図15に見られる転換細胞にお けるフィターゼ活性の顕著な上昇は、クローン化組換えフィターゼ遺伝子構成の 1つ以上のコピーが染色体DNAに統合されたことに因る(後の実施例4で記述) ; 図16Aは、未転換の対照コントロールALKO2268(レーン1,4及び7)及び形 質転換細胞(レーン2,5,8,9及び10)のサザンブロット分析を示す; 図16Bは、未転換の対照コントロールALKO2268(レーン1)及び転換された菌 株(レーン2-6)のノーザンブロット分析を示す; 図17及び図18は、サザンブロット分析及びノーザン分析によって夫々決定され た二重遺伝子転換A.niger var.awamori 菌株ALKO243における染色体フィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子コピ ー数及びmRNAレベルを示す(実施例5で記述); 図17Aは、未転換の対照コントロールALKO243(レーン2)及びフィターゼ遺 伝子によってプローブされた二重転換菌株(レーン3,4及び5)のサザンブロ ット分析を示す; 図17Bは、未転換の対照コントロール(レーン1)及びフィターゼmRNAによっ てプローブされた二重転換菌株(レーン2,3及び4)のノーザンブロット分析 を示す; 図18Aは、未転換の対照コントロールALKO243(レーン3)及びpH2.5酸性ホス ファターゼ遺伝子によってプローブされた二重転換菌株(レーン4,5及び6) のサザンブロット分析を示す; 図18Bは、未転換の対照コントロールALKO243(レーン1)及びpH2.5酸性ホス ファターゼmRNAによってプローブされた二重転換菌株(レーン2,3及び4)の ノーザンブロット分析を示す; 図19は、環状又は線状プラスミドベクター構成を使って、24個の異なった形質 転換細胞におけるフィターゼ活性レベルをグラフ表示する(後の実施例6で記述 );及び 図20は、二重遺伝子転換A.niger var.awamori菌株ALKO 243及びALKO2268における組換えフィターゼ活性及びpH2.5酸性ホスファターゼ活 性のレベルに及ぼす異種プロモーターの効果を示す(後の実施例6で記述)。好ましい実施態様の詳細な説明 ここで用いられる下記用語は、次のような意味を有するものとする: 用語「ホスファターゼ」は、リン酸塩含有基質、例えば、フィチン酸塩、から リン酸塩を放出できる酵素を表すものとする。ホスファターゼの代表例には、菌 類フィターゼとpH2.5及びpH6のような酸性-及び中性-ホスファターゼがある。 用語「核酸」は、ここでは、天然又は合成DNA及びRNA、ポリヌクレオチド(即 ち、3個のヌクレオチドより大きいもの)、及びオリゴヌクレオチド(即ち、9 個のヌクレオチドより大きいもの)を引用するのに用いられる。 用語「厳しい条件下でハイブリッド形成できる」は、ここでは、標準条件、例 えば、関連していない配列のアニーリングを嫌う傾向がある高温度及び/又は低 塩度、の下での対象ヌクレオチド配列、又はその相補鎖に対するアニーリングを 表すために用いられる。(0.1X SSC及び68℃-2時間アニーリングを含む)適当な プロトコルは、Maniatis等、Molecula r Cloning: A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,Cold Spr ings Harbor,N.Y.,pp.387-389,1982で言及されている。 用語「ヌクレオチド配列」は、ここでは、ヌクレオチド又はヌクレオシドの配 列を引用するのに用いられ、非連続配列を含んでよい;例えば、ゲノム配列にお いてエキソンコーディング領域の配列がイントロン及びその類によって分断され てよい。 用語「連続ヌクレオチド配列」は、ここでは、次から次ぎに連続した列として 連なったヌクレオチドの配列を指すのに用いられる。 用語「コーディング領域」は、転写・翻訳時、対象アミノ酸配列を生ずる、例 えば、mRNAに転写時、対象アミノ酸配列の翻訳を支配するゲノムDNAのエキソン 領域を生ずる核酸内部のヌクレオチド配列を指す。用語″エンコードされた″は 、コーディング領域のヌクレオチド配列によってヌクレオチドの三連符暗号で解 読されたアミノ酸配列を表すために使われる。 用語「転換ベクター」は、ここでは、″ベクター構成″と同意義で使われ、対 象フィターゼ、及び/又はそこに編入されたpH2.5酸性ホスファターゼのヌクレ オチド配列を包含す る組換え構成(例えば、プラスミドDNA)を指し、1サブクラスとして「発現ベ クター」を含む。転換ベクターの代表例には、大腸菌のプラスミドベクター(例 えば、pBR322,pUC18,pUC19及びその類)並びに菌類の糸状菌株を転換するのに有 用なベクター(例えば、pLO-3,pFF-6,pPHO-1及びその類)がある。対象フィタ ーゼ又はpH2.5酸性ホスファターゼのヌクレオチド配列は、夫々の遺伝子の5'領 域からの調節配列要素(即ち、ここで「未変性調節要素」と呼ばれるもの)を含 んでよく、又は、異型プロモーター(即ち、A.niger var.awamori菌株ALKO243以 外の菌株、変種、種もしくは属からの又は異なった遺伝子からの、例えば、GA又 はGAPDHプロモーターヌクレオチド配列)は、対象ヌクレオチド配列の発現を制 御するために加えてよい。対象とする転換ベクターはまた、ベクターDNAの染色 体統合を促進するのに有用な付加ヌクレオチド配列を受け入れるため、適当な制 限部位を含んでもよい。対象転換ベクターは、それらが宿主細胞DNAに効率良く 組込まれるよう、及びヌクレオチド配列のコーディング領域の生成物が転換宿主 細胞によって発現されるよう、宿主細胞にホスファターゼヌクレオチド配列を導 入することができる。 用語「プロモーター」は、転写及び翻訳の調節信号配列及びその類のような下 流ヌクレオチド配列の発現を促進できる ヌクレオチド配列を表すのに使われる。プロモーターの代表例は、後の実施例3- 5に与えられる、例えば、GA、GAPHD、及び未変性フィターゼ又はpH2.5酸性ホス ファターゼのプロモーター。 用語「選択可能標識」は、転換細胞によって発現される時、その細胞が細胞系 の他の細胞の中から識別又は選択されるようにするポリペプチドをエンコードす ることができるヌクレオチド配列を表すのに使われる。実例としては、抗原標識 、表現型標識(例えば、細胞の大きさ、形状、出芽パターン及びその類)、及び フレオマイシン耐性のような薬物耐性標識がある。 ここで用いられる用語「転換組換え宿主細胞」は、その中に転換ベクターヌク レオチド配列が取込まれた染色体DNAを有する細胞を指す。転換組換え宿主細胞 の代表例には、組換えフィターゼ及び/又は1つ以上の組換えホスファターゼ、 即ち、厳しい条件下でSEQ.ID.NO.18とハイブリッド形成できるヌクレオチド配列 によってエンコードされたフィターゼ;及び、組換えpH2.5酸性ホスファターゼ 、即ち、SEQ.ID.NO.20とハイブリッド形成できるヌクレオチド配列によってエン コードされたホスファターゼを合成及び/又は分泌するバクテリア及び菌類が含 まれる。 ここで用いられる用語「フィターゼヌクレオチド配列」は、SEQ.ID.NO.18の内 部に配置されたヌクレオチド配列を指す。 ここで用いられる用語「pH2.5酸性ホスファターゼヌクレオチド配列」は、厳 しい条件下でSEQ.ID.NO.20のヌクレオチド配列とハイブリッド形成できるヌクレ オチド配列を指す。 ここで用いられる用語「ホスファターゼ」は、基質に結合したリン酸エステル を開裂できる総ての酵素を包含し、フィターゼ、及び酸性及び中性ホスファター ゼを含む。 用語「フィターゼ」は、フィチン酸の基質に結合したリン酸エステル、例えば 、イノシトールヘキサリン酸、イノシトールペンタリン酸、イノシトールテトラ リン酸、及びイノシトールトリリン酸及びその塩、をハイブリッド形成できる酵 素を意味するものとする。 用語「精製フィターゼ」は、A.niger var.awamori菌株ALKO243から分離され、 実質上精製された発明の精製酵素を意味するものとする。対象酵素は、非変性条 件下で約5.3の等電点を有する単量体である;SDS-PAGEで測定された見掛けの分 子量:約80,000ダルトン-86,000ダルトン;(例えば、エンドグリコシターゼF/N -グリコシターゼFで)炭水化物を排除後の見掛けの分子量:約45,000-48,000ダ ルトン(SDS-PAGE)。対象とする精製フィターゼの酵素は、次の触媒性 を有する:即ち、フィチン酸ナトリウム基質に結合したリン酸エステルとハイブ リッド形成できる金属イオンに依存しない酵素である。対象酵素は、37℃で最適 pH約pH5を有し;pH2〜pH7の範囲で20%を越える最大酵素活性を示し、且つ25-65 ℃の範囲で>20%最大酵素活性をもつ55-60℃の最適温度を有する。フィターゼ 活性の1単位(PU)は、後の実施例1で説明される検定条件下で37℃-1分間にフィ チン酸ナトリウムから1nmolの無機リン酸塩を遊離させるのに要する酵素タンパ ク質の量である。 用語「組換えフィターゼ」は、図9A及び9Bのヌクレオチドコーディング配 列;SEQ.ID.NO.18によってエンコードされ、且つ対象フィターゼヌクレオチド配 列を含む対象転換ベクターで転換された組換え宿主細胞によって作られたフィタ ーゼ酵素を意味するものとする。対象フィターゼヌクレオチド配列のコーディン グ領域の転写から予報される分子量は、約51,000ダルトン〜約52,000ダルトンを もつ(即ち糖鎖形成以前の)ポリペプチド翻訳生成物である。 用語「金属イオンに依存しない」は、酵素の活性がMn2+、Mg2+及びCa2+の不在 で測定できることを意味するものとする。しかし、これは、酵素の活性がMn2+、 Mg2+又はCa2+の存在で増大できないということを意味するものではない。 用語「酸性ホスファターゼ」は、pH5.0を下回る、好ましくはpH3.0を下回るpH の基質に結合したリン酸エステルの加水分解を媒介するための最適pHを有する酵 素を表すのに用いられる。 用語「pH2.5酸性ホスファターゼ」は、pH2.0-2.5の基質、例えばフィチン酸ナ トリウム基質におけるリン酸エステルの加水分解を媒介するための最適pHを有す るホスファターゼを引用するのに用いられる。 用語「精製pH2.5酸性ホスファターゼ」は、A.niger var.awamori菌株ALKO243 から分離され、実質上精製された発明の精製酵素を意味するものとする。糸状菌 の対象菌株から精製されると、その酵素は次の性質を持つ:即ち、非変性条件下 で分離された酵素は約4.0〜約4.25の見掛けの等電点を有する4個の同一単量体 からなる糖タンパク質の四量体複合体である。単量体の各々は、非変性条件下で SDS-PAGEで測定して約66,000ダルトンという見掛けの分子量を有し、その単量体 は、炭水化物の実質的除去後は46,000-49,000ダルトン(SDS-PAGE)の見掛けの分 子量をもつ。対象とする精製pH2.5酸性ホスファターゼの酵素は、次の触媒性を 有する:即ち、その酵素は、(即ち、後の実施例1で記述するように37℃-pH2.5 で)0.7mMという見掛けのKmを有するフィチン酸ナト リウム基質に結合したリン酸エステルの加水分解を触媒することができる。対象 酵素は、約pH2〜pH2.5(即ち37℃で)の最適pHを有し;pH1.5〜pH3.5の範囲で20 %を越える最大酵素活性を示し、且つ25-60℃の範囲で>20%最大酵素活性をも つ55℃の最適温度を有する。pH2.5酸性ホスファターゼ活性の1単位(HFU)は、後 の実施例1で説明される条件下で37℃-1分間にリン酸p-ニトロフェニルから1nmo lの無機リン酸塩を遊離させるのに要する酵素タンパク質の量である。 用語「組換えpH2.5酸性ホスファターゼ」は、図11A及び11Bのヌクレオチド 配列;SEQ.ID.NO.20と厳しい条件下でハイブリッド形成できるヌクレオチド配列 のコーディング領域によってエンコードされ、且つ対象pH2.5酸性ホスファター ゼのヌクレオチド配列を含む対象転換ベクターで転換された組換え宿主細胞によ って作られたpH2.5酸性ホスファターゼ酵素を意味するものとする。代表的実施 例において、対象pH2.5酸性ホスファターゼのヌクレオチド配列は、約52,000− 約53,000ダルトンの(即ち糖鎖形成以前の)見掛けの分子量を有するポリペプチ ドをエンコードするSEQ.ID.NO.20のコーディング領域である。 用語「分泌された」は、ここでは、タンパク質の細胞外形態、例えば、ある細 胞で合成され、その存在の有無又は酵素 活性を検定できる細胞外の培養培地に搬送される「分泌」タンパク質を表すのに 使う。 用語「フィターゼ酵素活性」は、ここでは、例えば、リン酸塩を放出するフィ チン酸ナトリウム基質の加水分解を媒介する際に、後の実施例で説明されるよう なリン酸塩についての検定で手軽に測定できるようなフィターゼの触媒活性を表 すのに使う。 用語「pH2.5酸性ホスファターゼ酵素活性」は、ここでは、例えば、(後の実 施例で説明されるような検定において)リン酸パラニトロフェニル基質に結合し たリン酸エステルの加水分解を媒介する際のpH2.5酸性ホスファターゼのホスフ ァターゼ活性を表すのに使う。 用語「過度生成する」は、「過度発現する」と同意義で使用され、対象とする 転換された組換え宿主細胞は、A.niger var.awamori菌株ALKO243(ATCC#38854)の 細胞により同一条件下で合成された酵素量より少なくとも約2倍高いレベルの対 象酵素を合成・分泌する能力があることを表す。実施例4、(後の表8及び9) 、に説明されるように、菌株ALKO2268での過度生成によって、実施例1に従って 行われる振とうフラスコ培養においては、ALKO243による等価条件下で分泌され るものよりmlの培養溶液当り約45倍大きいフィターゼ酵素 活性の分泌が起こる。この発明の対象とする核酸を有する実例の形質転換細胞( 即ち、実施例4にも示されている)は、ALKO2268より約6倍大きい活性(例えば 、表7参照;ALKO243より約300倍までの大きさの活性)を生ずる。実施例4(即 ち、表8及び9)での他の形質転換細胞では、ALKO243よりml当り約2,100倍まで の大きさのフィターゼ活性を生じた。pH2.5酸性ホスファターゼに関する過度生 成も後の実施例4における形質転換細胞によって同様に説明され、ALKO243よりm l当り約130倍(即ち、表11)までの大きさの活性を生じた。比較すると、菌株AL KO2268は、ALKO243で生成されるpH2.5酸性ホスファターゼ酵素活性のほぼ41-46 %を生成する。 用語「pH2.5酸性ホスファターゼ対フィターゼ比」は、フィターゼ活性に対す るpH2.5酸性ホスファターゼの酵素活性の比、この場合、サンプルml当りのpH2.5 酸性ホスファターゼの酵素活性(例えば、HFU/mlという数)をサンプルml当りの フィターゼの酵素活性(例えば、PU/mlという数)で割ることで計算できる比、 を指す。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの活性を決定する代表的検定 法は、後述の実施例で与えられる。比較のため、後の実施例に与えられる結果は 、後の表7及び8(実施例3)に記述された条件下での5 日間にわたる発酵培養でA.niger var.awamori菌株ALKO243(ATCC#38854)により培 養液中に生成・分泌されたフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの活性量を 示す。これらの条件下で培養されたALKO243の細胞は、約80-450PUのフィターゼ 及び約5,000-6,000HFUのpH2.5酸性ホスファターゼを生成し;また、参考までに 、過度生成物のフィターゼ菌株A.niger var.awamori菌株ALKO2268は、約3,000-9 ,000PU及び2,000-3000HFUを生成する。これらの典型的菌株で、pH2.5酸性ホスフ ァターゼ対フィターゼ比(即ち、HFU/PU)は、5日後ALKO2268から得られる振と うフラスコ発酵培地で約0.6、ALKO243で64.7である(例えば、後の表11及び14-1 6参照)。後の実施例5で説明されるように、フィターゼ活性(PU)に対するpH2.5 酸性ホスファターゼの活性(HFU)の比は、表14に示される形質転換細胞では約4 〜約16の範囲であり、その酵素活性が表15(PU)及び表16(HFU)に示される形質転 換細胞で約3〜6の範囲であった。対象の「pH2.5酸性ホスファターゼ対フィタ ーゼ比」によって平衡酵素混合が得られ、そこでは協同的酵素活性は、素早く且 つ効果的に、フィチン酸塩のほぼ完全な加水分解を触媒し、その結果、フィチン 酸複合体から市販製品に要求されるpH(例えば、単胃動物の胃の中のそれ)と温 度のミネラルを放出する。用語「協同的酵素活性」 は、対象とする比によって酵素の混合体に次の性質が付与されることを表すもの とする:a)フィチン酸塩のイノシトール及び遊離リン酸塩へのより早い触媒;b) フィチン酸塩のイノシトール及び遊離リン酸塩へのより効率的変換;及びc)フィ チン酸塩(即ち、IP6、後の実施例参照)のイノシトール及び遊離リン酸塩への より完全な変換(即ち、後の実施例1、表1に説明された80%変換より多い)。 「1″フィターゼ基準単位」即ち「PNU」は、A.niger ALKO243によって作られ るフィターゼ活性の量として定義され、この場合、これは85PU/mlと同値である 。「1″酸性ホスファターゼ基準単位」即ち「APNU″は」A.niger ALKO243菌株に よって作られる酸性ホスファターゼ活性の量として定義され、この場合、これは 5500HFU/mlと同値である。 この発明の実施態様によって、厳しい条件下でSEQ.ID.NO.18又はSEQ.ID.NO.20 のヌクレオチド配列と、夫々ハイブリッド形成できるフィターゼヌクレオチド配 列及びまたpH2.5酸性ホスファターゼヌクレオチド配列が提供される。この対象 ヌクレオチド配列は、後述するように、オリゴヌクレオチドプローブ、転換ベク ター、転換組換え宿主細胞、エンコーディング組換えフィターゼとpH2.5酸性ホ スファターゼのタンパク質、及びその類を構成するのに有用である。 他の実施態様では、この発明により、転換組換え宿主細胞、例えば、大腸菌E. coli、バチルスBacillus、アスペルギルスAspergillus、トリコデルマTrichoder ma、ペニシリウムPenicillium、セファロスポリウムCephalosporium、リゾプスR hizopus、及びその類が提供され、これらはこの発明の対象フィターゼ及び/又 はpH2.5酸性ホスファターゼのヌクレオチド配列のコピーを有する。好ましい実 施態様では、転換組換え宿主細胞は、糸状菌の種、例えば、アスペルギルス、ト リコデルマ、及びリゾプスの中から選択され;他の好ましい実施態様では、対象 宿主細胞は、Aspergillus nigerの変種及び菌株の中から選択される。最も好ま しい実施態様では、対象宿主細胞は、フィターゼヌクレオチド配列を有する組換 え宿主細胞、例えば、フィターゼを過度生成する菌株GAI-6,GAL-142,GAN-1,G AG-12,GAO-248,GAI-12,GAK4-46,GAI-2,GAK4-52,GAM-111,GAK4-47,GAM-2 25,GAD-103,GAD-23,GAD-103,GAD-23,GAD-130,GAM-199,GAE-3,GAE-32,G AM-111、及びGAL-65の転換細胞の中から選択される(後の実施例4で記述)。他 の好ましい実施態様では、対象宿主細胞は、pH2.5酸性ホスファターゼヌクレオ チド配列を有するベクターで転換された組換え宿主細胞、例えば、菌株GAO-69, GAW-131,GBL-128,GBL-97,GAO-61,GAW-89,GAW-130,GAW -121,GBL-87,GBL-119,GAO-84,GAW-54,GBL-129,GAW-141,GBL-103,GAW-11 2,GBL-92,GAW-114,及びGAT-143の転換細胞の中から選択される(後の実施例2 ,4,5,又は6で記述)。他の好ましい宿主細胞は、転換菌株GAX-11,GAX-12,GBE- 14,GBH-134,GBH-15,GBJ-9,GBJ-10,GBJ-13,GBJ-16,GBJ-26,GBJ-27,GBJ- 28,GBJ-31,GBJ-35,GBJ-38,GBJ-40,GBJ-76,及びGBJ-82から選択される細胞 を含む(後の実施例2,4,5,又は6で記述)。ここに提供されたヌクレオチ ド配列、転換ベクター及び転換組換え宿主細胞は、事実上前に同定された菌株と 同じ性質を有する追加菌株を識別するのに有用であることは、熟練した当業者の 認知するところであろう。 この発明のヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列は、天然変種、及び形質転 換細胞の突然変異体;例えば、薬品、UV、ガンマー照射及びその類によって生ず る突然変異体)の同定・分離用ヌクレオチド及び抗体プローブを構成するのに有 用であろうということは、熟練した技術者によって認められるであろう。突然変 異体は、対象フィターゼ、pH2.5酸性ホスファターゼ、又はフィターゼとpH2.5酸 性ホスファターゼの両方の発現を増やしたかも知れない。後者の突然変異体を同 定するための代表的スクリーニング検定には、ノーザン及び サザンブロッティング、及び対象フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの推 定アミノ酸配列内で(天然及び合成)ペプチドに向けられる抗体によるウエスタ ンブロッティングがある。 転換組換え宿主細胞は、フィターゼ及び1つ以上のホスファターゼの生成を行 うのに使われてよい;例えば、フィターゼを生成する菌株由来の転換組換え宿主 細胞は、pH2.5酸性ホスファターゼを生成する菌株由来の転換組換え宿主細胞と 混合してよい、ということは熟練した当業者の認知するところであろう。この方 法では、混合細胞の培養は、任意の比のフィターゼ酵素活性対pH2.5酸性ホスフ ァターゼ酵素活性を放出できるように行うことができる。 発明の対象転換組換え宿主細胞はまた、本質的に純粋な組換えフィターゼの調 製準備に使ってもよい。好ましい実施態様では、転換組換え宿主細胞のフィター ゼヌクレオチド配列は、フィターゼアミノ酸配列RHGXRXP(ここで、Rはアルギ ニン、Hはヒスチジン、Gはグリシン、Xは任意のアミノ酸、及びPはプロリン )を有するポリペプチドをエンコードする。 発明の実施態様ではまた、様々な純度の組換えフィターゼとpH2.5酸性ホスフ ァターゼの「混合体」で且つ事実上純粋なpH2.5酸性ホスファターゼとフィター ゼ酵素活性を任意の 比で処方したものも提供される。そのような任意の比での平衡酵素混合体を処方 することにより、その混合体に、特定の商業用途(後述のような用途)に求めら れる特性を包含するよう調製できる協同的酵素活性(上述)の性質が付与される 。組換えフィターゼと組換えpH2.5酸性ホスファターゼに対する出発材料には、 転換組換え宿主細胞からの又は対象フィターゼ及び/又はpH2.5酸性ホスファタ ーゼを過度生成する選択菌株からの発酵液、生成培地、及びその類がある。対象 酵素の製品への下流処理には、細胞及び細胞残片の除去(例えば、遠心分離、濾 過及びその類による)、それに続く濃縮(例えば、超微細濾過、イオン交換又は アフィニティークロマトグラフィー及びその類による)が含まれ、又は出発材料 は、簡単な精製(凍結乾燥)後の産業処理に使うのに適しているかも知れない。 対象混合体は、夫々の酵素活性の所望比を達成するため、同(又は異なった)量 の(例えば異なった細胞培地からの)対象酵素処方を組み合わせて製作してよく 、又は対象混合体は同一培地に存在してよい(例えば、後述の二重遺伝子転換の 組換え宿主細胞)。好ましい実施態様では、ホスファターゼ酵素活性(例えば、 pH2.5酸性ホスファターゼ)対フィターゼ酵素活性の比が約3:1〜約16:1のものを 含む。 発明の実施態様により、フィターゼヌクレオチド配列と1つ以上のホスファタ ーゼ、即ち、pH2.5酸性ホスファターゼヌクレオチド配列を有する1つ以上の転 換ベクターで構成される転換組換え宿主細胞が供給され、そこでは各酵素の発現 は独立したプロモーター配列の制御下で行われる。対象転換宿主細胞は、酵素活 性の任意範囲内で2つの(又はそれより多い)タンパク質生成物の発現用として 選ばれる。 転換組換え宿主細胞により生成されるホスファターゼと発明の具体例としての 方法は、この分野で従来用いられている他の酵素処方より優れた次の利点をもた らす:即ち、発明の対象ホスファターゼは、サンプルの単位体積当たりの酵素活 性が高く、サンプルの単位体積当たりの酵素タンパク質の収量が多く、商業生産 又はプロセスの用途に要求される濃度及び/又は純度が低く、フィチン酸塩を遊 離イノシトールと無機リン酸に変換する効率が高く、そして動物飼料に使われる 時の消化副作用が少ない。 転換組換え宿主細胞により生成される対象ホスファターゼは、種子のような植 物物質中にフィチン酸塩を有する複合体及び製粉の廃棄物、例えば大豆粗ひき粉 、からミネラルを放出する産業プロセスで有用であり、その結果、低価値の物質 が効率よく効果的に非反すう動物用の高品質飼料に変換され る。対象酵素を使うことができる産業プロセスの例としては、コーンの湿式製粉 、植物タンパク質の分離(特に大豆タンパク質の分離)、パン焼き用穀物処理、 及びその類がある。 好ましい実施例では、ホスファターゼが動物に消化され、例えば非反すう動物 の消化管に生体内放出されるよう、発明の対象ホスファターゼは直接動物用飼料 に付加される。この場合、対象ホスファターゼは、それらの各々の酵素活性に対 して、非反すう動物で経験される消化pHと一致する最適pHを持つよう選択される (即ち、pH1〜pH6の範囲)。 製品に使えるよう対象酵素を作製する適当な方法としては、噴霧乾燥、液体処 方での安定化、顆粒化、カプセル化があり、これらは熟練した当業者の周知して いるところである。 発明の対象ホスファターゼの酵素、及び対象とする酵素混合体は、成分酵素だ けのどれよりも効率よく且つ速やかにフィチン酸塩を遊離リン酸に分解すること ができる。発明の実施態様では、フィチン酸塩とフィチン酸のイノシトールリン 酸、イノシトール六リン酸、IP6;イノシトール五リン酸、IP5;イノシトール四 リン酸、IP4;イノシトール三リン酸、IP3;イノシトール二リン酸、IP2;:イ ノシトール一リン酸、IP1;を遊離イノシトールと無機リン酸塩に分解すること が可能なフィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼの混合体 が提供される。対象混合体は、フィチン酸基質から無機リン酸塩とイノシトール へのより早い、完全な且つ効率の良い変換ができるよう酵素カスケードを構成す ることにより協同的酵素活性を提供する。例えば、好ましい基質としてフィチン 酸塩(IP6)を有するフィターゼは、IP6から遊離イノシトールと無機リン酸塩へで はなくIP5、IP4、IP3、及びIP2への効率の良い加水分解を触媒できる。代わりに 、pH2.5酸性ホスファターゼは単一のリン酸塩基質(例えば、IP5、IP4、IP3、1P 2及びIP1)を好み、これらの基質から遊離イノシトールと無機リン酸塩への効率 の良い加水分解を触媒できる。発明の対象ホスファターゼをフィターゼの望まし い最適範囲でpH2.5酸性ホスファターゼ活性に処方することにより、発明の対象 混合体は協同的酵素活性を有する平衡酵素混合をもたらすものと思われる。この 方法で処方された発明の対象混合体は、成分ホスファターゼ酵素の何れかによっ て同じ時間で(及び同一条件のpHと温度の下で)作製されるものよりはるかに多 量の遊離イノシトールと無機リン酸塩をより早く、高効率で且つ完全に放出する ことができる。 実施例1 ホスファターゼの精製及びアミノ酸配列フィターゼ及び酸性ホスファターゼペプチド (一般的材料と方法は、この実施例及び後続のそれらの端末に掲げた「材料と 方法」の項で説明)フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの精製 フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの酵素は、無細胞培地の濾液/A.ni ger var.awamori菌株ALKO243(ATCC#38854)の濃縮物から(注意しない限り)4-8 ℃で精製した。その培地濾液/濃縮物(990ml)を硫化アンモニウムに溶かして70% 飽和液(氷上で)に調節し、沈澱物を15分間−10,000xgの遠心分離で除去。次に その上澄み液(1070ml)をオクチルーセファロースCL-4B(Pharmacia)での疎水性ク ロマトグラフィーにより分離。カラム(5cm×17cm)は、ml当たり0.436gの(NH4)2S O4を含有する20mMのビスートリス/HCl緩衝液、pH6.2で平衡させ;上澄みを加え ;次いで、非吸収のタンパク質を500mlの平衡緩衝液で洗浄して除去。吸収タン パク質は、20mMのビスートリス/HCl緩衝液、pH6.2中の70%から0.0%までの500 ml直線勾配の硫化アンモニウムを使って溶離した。10mlの画分を採取し、フィタ ーゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼに関して分析した。殆んどのフィターゼ活性 は、勾配初期で溶離した。夫々の異なった酵素活性を含んでいる画分を別々にプ ールし;Amicon PM10のメンブランフィルターを使って超遠心機により濃縮した 。フィターゼ含有 画分を50mMのビスートリス/HCl緩衝液、pH6.2で平衡化されたPD10(Pharmacia) のゲル濾過カラムを通して脱塩した。フィターゼの精製法を最初に説明し、続い て酸性ホスファターゼの精製を行う。 先ず、フィターゼをDEAE-セファロース(Pharmacia)を使い陰イオン交換クロマ トグラフィーにより精製した。簡単には、24.5mlのアリコートを50mMのビスート リス/HCl緩衝液、pH6.2で平衡化された5cm×7cmのカラムに加えた。非吸収の タンパク質を平衡緩衝液(100ml)で洗浄して除去し、吸収タンパク質は、平衡緩 衝液中の0.0Mから0.5Mまでの直線200ml勾配のNaClを使って溶離した。その画分 をフィターゼ活性について検定し、活性を有する画分をプールし、Centricon-30 小型濃縮機を使って600μlに濃縮した。100μl部を約23℃でSuperose 12HR 10/3 0 HPLCカラム(Pharmacia)に加え、タンパク質を流速0.3ml/minの50mMビスートリ ス/HCl、pH6.2で溶離した。活性画分を識別し、プールし、そして濃縮し、Cent ricon-30 小型濃縮機を使って50mMギ酸ナトリウム緩衝液、pH3.8に移した。ギ 酸緩衝液中の酵素液を陽イオン交換クロマトグラフィーを使って更に精製した。 酵素サンプルを、アリコート2mlで、約23℃の50mMギ酸ナトリウム(pH3.8)で平 衡化されたMono S HR 5/5 FPLCカラム (Pharmacia)に加えた。そのカラムを平衡緩衝液(10ml)で洗浄し、その結合タン パク質をギ酸緩衝液中の20ml直線勾配0mMから430mM NaClを使って60ml/hr.の速 度で溶離した。フィターゼはこの方法で収量18.4%で精製され、計算純度130倍 の約275,900(PU/mg)の比活性を有した(表A)。 上記のプールされたオクチルセファロース画分からの酸性ホスファターゼ画分 は、先ずAmicon PM10のフィルターを使って超遠心機により濃縮し、次いで50mM ビスートリス/HCl(pH6.2)で平衡化された2.6cm×94cm Sephacryl S-200カラ ム(Pharmacia)での分子ふるいクロマトグラフィーにかけた。タンパク質を20ml/ hrで溶離し、活性をもつ画分をプールし、50mMビスートリス/HCl(pH6.2)で平 衡化された5cm×7cmのDEAE-セファロース(Pharmacia)カラムを使い陰イオン交 換クロマトグラフィーにより更に分離した。そのカラムを100mlの平衡緩衝液で 洗浄し、吸収タンパク質を平衡緩衝液中の200ml直線勾配0.0Mから0.5MNaClを使 って溶離した。次いで、プールされた活性画分を濃縮し;Amicon PM10メンブラ ンを使う限外濾過によって20mMビスートリス/HCl、pH6.0に移し、そして今度は 約23℃の20mMビスートリス/HCl、pH6.0で平衡化されたMono Q HR 5/5 HPLCカラ ム(Pharmacia)を使って第2段階の陰イオン交換クロマトグラフィーにかけた。 サンプルをアリコート3.5mlで加え、そのカラムを10mlの平衡緩衝液で洗浄し、 タンパク質を平衡緩衝液中の20ml直線勾配0.0mMから350mM のNaClを使って60ml/ hrの速度で溶離した。酵素活性を含む画分をプールし、全容積400μlまで濃縮し 、そしてCentricon-30小型濃縮機 を使って150mM NaCl含有の20mMビスートリス/HCl、pH6.2に移した。追加精製は 、先ずビスートリス/HClサンプル緩衝液で平衡化されたSuperose 12 HR 10/30 HPLCカラム(Pharmacia)を使う分子ふるいクロマトグラフィーで実行された。ア リコート100μlをこのカラムに加え、タンパク質を23℃で18ml/hrの速度で溶離 した。酵素活性含有画分をプールし、PD10 ゲル濾過カラムを使って20mMのヒス チジン/HCl、pH5.8へ移し、Mono Q HR 5/5 HPLCカラムa)を使って陰イオン交換 クロマトグラフィーによる第2段階の精製を実施した。1mlのアリコートをカラ ムに加え、そのカラムを約23℃の5mlヒスチジン/HClサンプル緩衝液で洗浄した 。タンパク質を平衡緩衝液中の20ml直線勾配0mMから350mMのNaClを使って60ml/h rの速度で溶離した。pH2.5酸性ホスファターゼは、この方法により収量13%で精 製され、純度は126倍であった。これを以下の表Bで示す。 フィターゼ:(上記に)引用した方法により精製されたフィターゼは、SDS-PA GEで測定して見掛けの分子量約80,000-86,000ダルトンを示した。十分に(即ち 、SDS-PAGEで)精製されたタンパク質は、炭水化物に対する過ヨウ素酸シッフ染 色で正反応を示した(即ち、精製されたフィターゼ酵素は糖 タンパク質である)。精製フィターゼをエンドグリコシダーゼF/N-グリコシダー ゼFの混合液で処理後、(SDS-PAGEで測った)酵素の見掛けの分子量は約45,000- 48,000ダルトンにシフト、このことは分子質量の約44%が炭水化物に因っている かも知れないことを示唆している。(炭水化物の結合方式及びその部分moietyは 未測定)未変性の精製フィターゼ酵素の分子量は、分子ふるいゲル濾過により( 即ち、そのストークス半径に基づき)約90,000ダルトンを示し、見掛けの分子量 100,000ダルトンは、未変性勾配ゲルPAA電気泳動により観測された。後者の結果 から、未変性の精製フィターゼ酵素は単量体として存在することが示唆される。 pH2.5酸性ホスファターゼ:上に引用した方法により精製されたpH2.5酸性ホス ファターゼは、SDS-PAGEで測定して見掛けのサブユニットの分子量66,000ダルト ンを示した。十分に(即ち、SDS-PAGEで)精製された酵素は、過ヨウ素酸シッフ 染色で正反応を示し、このことは、pH2.5酸性ホスファターゼも糖タンパク質で あることを表している。エンドグリコシダーゼF/N-グリコシダーゼFで炭水化物 を取除いた後、タンパク質は、SDS-PAGEにより見掛けの分子量46,000-49,000ダ ルトンを示した。(炭水化物部分のグリコシド結合及びその性質は未特定。)pH 2.5酸性ホスファターゼは、未変性勾 配ゲルPAA電気泳動により測定して見掛けの分子量280,000ダルトンを示した。こ のことは精製された未変性酵素が、66,000ダルトンの4個のサブユニットをもつ 四量体として存在することを示唆している。等電フォーカシングによる酸性ホス ファターゼの等電点は、約4〜4.25である。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの触媒性 フィターゼ:精製フィターゼは、(超過基質の条件で、37℃で測定して)pH2. 5のショルダーで約pH5.0のpHで最適酵素活性を示し、またpH2〜pH7の範囲で>20 %の最大酵素活性を示した(図1)。(最適のNa-フィチン酸基質及びpH5での) 精製フィターゼ酵素の最適温度は、55-60℃の範囲にあることが観測され、25℃ 〜65℃の範囲で>20%の最大酵素活性を示した(図2)。精製フィターゼ酵素を 、追加された金属イオンの無い条件でフィチン酸ナトリウムの加水分解と触媒反 応させた(即ち、酵素は金属イオンを絶対要件とはしないことを示しており、従 って金属イオンに無関係である);しかし、精製フィターゼ酵素の活性は、Mn2+ 、Mg2+、及びCa2+の存在で増加した。 pH2.5酸性ホスファターゼ:37℃のNa-フィチン酸基質及びpH2.5に関するpH2.5 酸性ホスファターゼの見掛けのKmは、約0.7mMであることが測定され;また、37 ℃のリン酸パラニ トロフェニル(PNP)及びpH2.5に対しては、見掛けのKmは、4mMであった。精製pH2 .5酸性ホスファターゼ酵素は、pH1.5〜pH3.5の範囲で>20%の最大酵素活性をも ち、pH2.0〜pH2.5の範囲で(即ち、37℃で、最適濃度のNa-フィチン酸基質の存 在で)最適pHを示した(図3)。pH2.5酸性ホスファターゼで媒介されるNa-フィ チン酸塩の加水分解の最適温度は、約55℃であることが観測され、25℃〜65℃の 範囲で>20%の最大酵素活性を示した(図4)。比較のため、市販の未精製フィ ナーゼFinaseの処方についてのpH/活性プロフィルを図5に、温度/活性プロフィ ルを図6に示す。 フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼ及びその混合体によるフィチン酸塩 の分解 :フィナーゼは、アスペルギルス由来の酵素から処方された市販品であり 、それにはフィターゼとホスファターゼの混合体が含まれる。フィナーゼのpH2. 5酸性ホスファターゼ(HFU)活性ー対ーフィターゼ活性(PU)比は、約7:1であるこ とが測定された。市販フィナーゼ酵素によるフィチン酸塩の分解速度と精製フィ ターゼ、精製pH2.5酸性ホスファターゼの処方による及びホスファターゼ対フィ ターゼの比の異なったものを含むその混合体による分解速度との比較を実施した 。精製フィターゼの酸性ホスファターゼ(HFU)活性ー対ーフィターゼ活性(PU)比 は、約0.4:1 であるが、酸性ホスファターゼは、pH5.0で何等フィターゼ活性を示さない。酵 素の混合比を表1.a及び1.bに示す。基質として10mMのNa-フィチン酸を使い、pH2 .537℃とpH5.037℃で比較した。pH2.5の実験で用いられた種々の処方、総ての酵 素活性は、Na-フィチン酸基質mmol当り10,000HPUであった(HPUは、Na-クエン酸 緩衝液の代わりに0.2Mグリシン(HCl)緩衝液、pH2.5を用いてpH2.5で測定された フィターゼ活性の単位である、実施例1末端の″材料と方法″参照)。pH5.0で 実施された実験では、Na-フィチン酸基質mmol当りの酵素の用量は、精製された 酸性ホスファターゼだけを使って行われる実験を除き、10,000PUであった。サン プルは、表示時間(時間、h; 0,1,2,8,24,及び48h)後に反応混合物から採 取;そのサンプルを凍結乾燥し、その後、イノシトール六-、五-、四-及び三-リ ン酸(即ち、夫々IP6、IP5、IP4及びIP3)、並びに遊離イノシトール(Ins)及び 無機リンについて分析した。イノシトール六-、五-、四-及び三-リン酸は、Sand berg等の方法(1987)により分析した。イノシトールは、Sugar Pak1カラム(300 mm×6.5mm,Waters)、溶離剤として0.1mM Ca-EDTA(Calcium-Tetriplex Merck 8 439)、90℃一流速0.6ml/minのHPCLにより分析。検出は、標準としてミオーイノ シトール(Fluka)0.1-0.5mg/ mlを使い、RI(Waters)により行った。無機リンは、実施例1末端の「材料と方 法」に記述されているように分析した。これらの実験の結果を次の表1a及び表 1bに提示する。 表1a及び1bに提示された結果は、精製フィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼ の酵素及びフィナーゼ市販酵素の混合体は、Na-フィチン酸からイノシトールと 無機リン酸塩への加水分解を触媒すること(但し速度は異なり、且つ最適pHも異 なるが)を示している。精製酵素の各々に対するpHの最適条件(即ち、精製フィ ターゼに対してはpH5.0;精製pH2.5酸性ホスファターゼについてはpH2.5)の下 で、ほぼ等価量の無機リン酸塩が48時間で3種の酵素処方の総て(即ち、フィタ ーゼに対しては90%Pi;酸性ホスファターゼについては88 %Pi;及びフィナーゼ混合体については88%又は103%)に関して放出された。 しかし、結果はまた、イノシトール(Ins、表1a及び1b)の生成は、pH2.5よりpH 5.0で顕著に遅くなることも示している。Na-フィチン酸の加水分解の最終生成物 としてのイノシトールは、IP6、IP5、IP4及びIP3は加水分解の時間中に完全に除 去されたとはいえ、精製フィターゼが単独で使われる時は、pH2.5でもpH5.0でも 検出できなかった。多分、精製酵素の加水分解の最終生成物は、イノシトール 二-及び/又は一-リン酸であると結論してよい。それとは対照的に、精製酸性ホ スファターゼは、pH2.5でフィチン酸(即ち、IP6=イノシトール六リン酸)の分 解を触媒した。これらを合わせた結果から、フィナーゼのような市販のホスファ ターゼ混合物において、フィターゼ単独では、フィチン酸からイノシトールと無 機リン酸塩への完全な変換を可能にするのは不十分であることが示唆された。む しろ、その結果は、イノシトールの最終生成物は、精製pH2.5酸性ホスファター ゼのそれと類似した基質の特異性を有する酵素の作用から誘導できることを示し ている。それ故、フィターゼによるフィチン酸加水分解の生成物(即ち、IP5、I P4、IP3、IP2、IP1)は、イノシトールリン酸をイノシトールと無機リン酸塩へ 変換するであろう酸性ホスファターゼに対 する有用な基質として作用することができる、という可能性が検討された。従っ てその結果は、以前には存在すら知られていなかったフィチン酸分解に関するフ ィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼとの間の協同的酵素活性を暗示したものと いえる。この可能性を更に掘下げ、精製フィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼ の基質の特異性が評価された。 精製フィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼの基質の特異性は、等価濃度のフ ィチン酸基質(即ち、20mM)と温度(即ち、37℃)を使って37℃で比較した。実 施例1巻末の「材料と方法」に説明されているリンモリブデン酸検出系を使って 、フィターゼ活性をpH5.0で、また酸性ホスファターゼ活性をpH2.5で測定した。 異なった基質に対する異なった2つの酵素の相対的活性比較を次の表2に提示す る。 表1a、表1b及び表2に提示された結果は、精製フィターゼが、フィチン酸の加 水分解の媒介には有効だが、他のより単純なリン酸塩含有基質の加水分解の触媒 には効果が少なかったことを示している。対照的に、精製pH2.5酸性ホスファタ ーゼは、より単純なリン酸塩の加水分解には比較的効果はあるが、フィチン酸の 加水分解の触媒には比較的効果が無かった。その結果は、精製フィターゼの生成 物(即ち、イノシトール二-及び一-リン酸)は、精製pH2.5酸性ホスファターゼ に対する基質として作用でき、遊離イノシトールと無機リン酸塩は、その反応の 最終生成物である、という協同的酵素混合体の概念を支持している。「平衡酵素混合体」 : 次に、効果的な協同的酵素混合体は、精製フィターゼと精製pH2.5酸性ホスフ ァターゼの2つの異なった酵素の活性が「平衡する」ような処方、即ち特異的pH 及び温度で協同的酵素活性を達成して最適速度の、効率的な且つ完全な遊離イノ シトールと無機リン酸塩への分解を可能にする処方、で混合された量を活用する ことにより構成できるであろうという可能性を考慮した。精製フィターゼとpH2. 5酸性ホスファターゼが限定された2つの酵素活性の比で処方することの検討が なされたが、精製フィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼの そうした「平衡」混合体は、市販の処方よりフィチン酸分解の速度を高め、遊離 イノシトールと無機リン酸塩への分解をより完全なものにする、という利点を提 供するとはいえ、殆んどの産業工程において酵素活性の、例えば、pH2.5酸性ホ スファターゼー対ーフィターゼの比の所望範囲内で使えるよう、酵素のそうした 「平衡」混合体を精製し、標準化し、品質管理(QC)しそして品質保証(QA)する費 用効果が考慮されなかった。 これらの問題を解決するため、分子技術が、均一の標準化処方を十分提供し得 る程品質が高く、且つ「平衡」混合体商品に要求される必要な費用効果及びQC/Q A性を有する組換え酵素を生成するのに使用できるという可能性が検討された。フィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼのアミノ酸配列決定 精製タンパク質の内部アミノ酸配列を得るため、ペプチドフラグメントをTPCK -トリプシンを使って(後の「材料と方法」に説明されているように(同項参照 ))作成した。更に、精製pH2.5酸性ホスファターゼをアルキル化し、次いで「 材料と方法」に説明されているリシルエンドペプチターゼCで消化させた。得ら れたペプチドを(後の「材料と方法」に説明されているように)C18 RPカラムを 使った逆相高圧液体クロマトグラフィーで精製した。その精製ペプチドのアミノ 末 端配列決定をガスパルス液相シーケンサを使って実施し、そして遊離PTHアミノ 酸をRP-HPLC(「材料と方法」に説明)により分析した。カルボキシ末端配列決 定を動的カルボキシペプチターゼY消化、PITC誘導化、及びPITCアミノ酸のRP-HP LC分析を使って実施した。 フィターゼとpH2.5ホスファターゼのトリプシンペプチド、並びにpH2.5ホスフ ァターゼのリシルエンドペプチドのアミノ酸配列を、後の表3及び4に提示した 。表3及び4に与えられた結果が示すように、ペプチド処方には純粋でないもの もある。表3及び4はまた、ペプチドアミノ酸配列と遺伝子及びcDNAのヌクレオ チド配列決定(後の実施例2)、即ち、表3及び4における角括弧[]、から誘導 されたアミノ酸配列との比較も示している。 精製されたAspergillus niger var,awamori菌株ALKO243フィターゼのアミノ末 端配列は、報告されているA.ficuumフィターゼのアミノ末端配列(即ち、Ullah ,1988;LAVPASRNQSSGDT)に類似しているが同一ではないn-末端配列(即ち、ペ プチド#1081/n-PHY、表3;LAVPAS(R)NQSTXDT)を示した。あるペプチド(即ち、 #420/10phy; LYVEMMQ(N)QA(E)Q(T)PLV)は、配列としては、報告されているA.fi cuumフィターゼの内部ペプチド(即ち、Ullah,1988,MMQCQAEQEPLVRVLVNDRX) と同一ではないが類似していた。フィターゼのカルボキシル末端配列により配列 XSA-OHが与えられた。あるペプチド(即ち、#675; 表3)は、他のホスファター ゼに存在すると報告されている配列(即ち、KDPRA; Ullah,1991)と同族のKDPR 配列を含んでいた。 pH2.5ホスファターゼの配列決定において、Aspergillus niger var.awamori菌 株ALKO243から精製された天然またはアルキル化の何れかのタンパク質のアミノ 末端配列決定からは何んら結果が得られなかった。あるペプチド(即ち、#1107T /Lpho、後の表4)は、A.ficuumから精製されたホスファターゼの報告されてい るアミノ末端配列(即ち、UllahとCummins,1987; FSYGAAIPQSTQEKQFSQEFRDG) と同一の配列を生じた。精製pH2.5ホスファターゼ(ALKO243)からのペプチド#9 41C/10Lphoは、A.ficuum N-末端に含まれていると思われるから、#1107T/Lpho配 列の延長であるかも知れない。ペプチド#1112T/3Tphoは、部分的に重複する配列 (即ち、#1112T/3TphoのFSSG)を有する故、#943C/11Lphoの延長であると思われ る。pH2.5ホスファターゼペプチド#816C/1Lphoは、可能な活性部位の共通配列( 即ち、RHGXRXP)を含む。 これらのアミノ酸配列から、フィターゼからの1つのペプチド配列(即ち、#4 20,Leu Tyr Val Glu Met Met Gln(Asn)Gln Ala(Glu) Gln (Thr) Pro Leu Val Cysに修正された疑わしい(Asn)を有する;Ullah,1988;表3)とpH2.5ホスフ ァターゼからの2つ(即ち、#816; Arg His Gly Glu Arg Tyr Pro Ser Pro Ser Pro Ser Ala Gly Lys及び#1110T; Gln Leu Pro Gln Phe Lys)は、後の実施例2 に説明するように、分子クローニング用の同義性オリゴヌクレオチドプローブの 作製に有用であるということで選択した。 「材料と方法」:フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの酵素の検定:モリブデン酸塩検出系 : 両検定により、リンモリブデン酸複合体の還元を使って比色分析的に定量化 する際酵素作用によって放出される無機リン酸塩の量が測定される。1フィター ゼ単位(PU)は、下記条件下で37℃ー1分間にNa-フィチン酸から1nmolの無機リン 酸塩を遊離する酵素の量である。1pH2.5酸性ホスファターゼ単位(HFU)は、下記 条件下で、1分間にP-ニトロフェニルリン酸から1nmolの無機リン酸塩を遊離す る酵素の量である。 フィターゼ活性は、1mlの基質(0.2Mクエン酸緩衝液、pH5.0に毎日新たに作製 する1%フィチン酸ナトリウムを溶解)を1mlの希釈された酵素の上澄み液に加 えてオルトリン酸の加水分解を起こさせて測定した。37℃で正確に15分後、2ml の15% TCA(トリクロロ酢酸、Merck #807)を加えて加水分解反応を停止させ、 続いて、混合、冷却、及び遠心分離して生ずる沈澱物はどれも取り除いた。放出 されたオルトリン酸を同容積の新たに作製された試薬C(即ち、1容積の2.5%(w /v)モリブデン酸アンモニウムと混合した3容積の1M硫酸(Merck #1182)と1容 積の10%(w/v)アスコルビン酸(Merck #127)とを1:10希釈の加水分解反応混合 物(上記)に加えて測定した。試薬C混合物は、50℃で20分間保温した。そ の吸光度は、820nmで試薬空と標準曲線の構成に使われた既知標準(1:100−1:40 0希釈の9.0mM KH2PO4:Merck #4873)に対して測定された。フィターゼによって 遊離されたリン酸塩の量は、次の方法でフィターゼを計算するのに用いた:即ち 、フィターゼに対するA820nm値をリン酸塩標準曲線のA820nm値と比較し、何れの 希釈ファクターについても補正した後、リンの濃度(nmol/ml)を加水分解時間( 即ち、15min)で割ってフィターゼ活性を得た。 pH2.5酸性ホスファターゼの活性は、同様のやり方で決定した:即ち、0.1mlの 希釈酵素(0.2Mグリシン-HCl緩衝液、pH2.5に希釈)を1.9mlの基質(0.2Mグリシ ン-HCl緩衝液に溶解した30mM p-ニトロフェニルリン酸[Boehringer Mannheim]) pH2.5に付加。37℃で15分間保温後、同容積の15%TCA(上記)を加えて反応を停 止。放出オルトリン酸は試薬C(上述)を使って測定し、その活性は、既知の希 釈リン酸標準(上記)に対する比較及び上述の計算を使って決定した。アミノ酸配列決定のためのトリプシンフラグメントの作製 : 50mMトリス-HCl pH7.9に溶解した精製フィターゼ(70μg)を37℃で2%(w/w)ト リプシン(TPCK-処理,Sigma)で2時間、続いて更に2%(w/w)トリプシンで21時間 消化した。100mMトリス-HCl pH8.0に溶解した精製pH2.5酸性ホスファターゼ を37℃で2%(w/w)トリプシンで20時間、続いて更に2%(w/w)トリプシンで6 時間消化した。そのペプチドは、下記に述べるようにして精製した。アミノ酸配列決定のためのリシルエンドペプチターゼCペプチドの作製 : 精製pH2.5酸性ホスファターゼを次のように4-ビニールピリジンを使ってアル キル化した:凍結乾燥したpH2.5酸性ホスファターゼ(75μg)に、6M塩酸グアニジ ニウム、2mM EDTA及び34mM DTTを含有する40μlの0.5Mトリス-HCl pH7.5を加え た。1μlの4-ビニールピリジン(Sigma)を付加後、反応混合物を室温(22℃)に1 時間保持。10ml 1.4M DTTを加えて反応を停止させた。次いで、アルキル化ホス ファターゼを、30分で20% to 70% ACN/0.06% TFA勾配(80% to 30% 0.1%T FA)でのC-1逆相カラム(TSK TMS 250; 0.46×4cm)付きHPLCで精製した。218n mで吸収する画分をプールし、Speed-Vacの真空遠心機で蒸発させた。次いで、乾 燥サンプルを60μlの70mMトリス-HCl pH9.1を加えて再懸濁し、2%(w/w)リシ ルエンドペプチターゼC(Wako Chemicals)により37℃で2時間消化させた。更に 2%(w/w)リシルエンドペプチターゼCを追加後、37℃保温を26時間延長した。 そのペプチドは、下記に述べるようにして精製した。ペプチドの精製及びアミノ酸末端配列決定 : 酵素の消化から得られたペプチド(上記)を、90分勾配0から60% ACN/0.06 % TFA(100 to 40% 0.1% TFA)でのC-18逆相カラム(Vydac 218 TP B5; 0.46×2 5cm)付きHPLCで分離した。218nmでの吸光度をペプチド検出のために使用。天然 タンパク質は勿論、精製ペプチドのアミノ酸末端配列決定は、ガスパルス液相シ ーケンサ中でそれらを分解して行った(Kalkkinen & Tilgmann,1988)。放出され たPTH-アミノ酸は、狭孔逆相HPLCによりオンラインで分析した。フィターゼのカルボキシ末端配列決定 : 多量の精製フィターゼ(53μg)を、室温で、10%尿素及び0.05%SDSを含有する 50mM酢酸ナトリウムpH5.6に溶解したカルボキシペプチドY(Sigma,0.6U)で消 化した。消化サンプルを種々の時間点で回収した。これらをSped-Vacの真空遠心 機で乾燥し、アミノ酸分析キットPico-Tag(Waters association)によりフェニ ルイソチオシアナート(PITC)を使って誘導した。誘導アミノ酸の分析は、Pico-T agのC-18逆相カラム付きHPLCで実施し、全く同じに誘導されたアミノ酸標準によ り定量化した。 実施例2 ホスファターゼ遺伝子の分離と特性付けフィターゼ及びpH2.5 酸性ホスファターゼ (一般的材料と方法は、実施例に続く「材料と方法」の項で説明) フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼ遺伝子の分子クローニング用として 、酵素(上述)からの内部ペプチドをA.niger var.awamori菌株ALKO243から作製 した。ゲノムDNAをエンコードするフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼをク ローン化し、完全なコーディング配列が得られるようcDNAもクローン化した。最 後に、機能的形状の各々の酵素を分泌する発現ベクターを構成し(後の実施例3 に記述)、望ましい費用効果と酵素の「平衡」混合体を、その混合体に特定商業 用途、例えば動物飼育に望ましい協同的酵素活性を付与するpH2.5酸性ホスファ ターゼ一対−フィターゼ比で、合成・分泌する二重遺伝子転換菌株も選択した。オリゴヌクレオチドプローブの設計 数個の内部ペプチドフラグメントを精製フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファタ ーゼから配列させた、上記、実施例1。内部フィターゼペプチドの選択領域(角 括弧、表3)の全部で8個のコドンの可能な組合わせに相補的な同義性オリゴヌ クレオチドをPharmacia Gene Assembler Plus:即ち、配列Leu Tyr Val Glu Met Gln Cys Gln Ala Glu Glnをもつフィ ターゼからのペプチド(即ち、ペプチド#420、表3、疑わしい(Asn)をCysで補正 ;Ullah,1988)を使って合成した。表5に示されたPHY-1は、8個の組合わせの うち完全なマッチアウト1個を含む17-塩基オリゴヌクレオチド混合体である。 17体-17mer-同義性オリゴヌクレオチド、PHY-31、は、酸性ホスファターゼ ペプチド:即ち、pH2.5酸性ホスファターゼからのペプチド#816C(即ち、Arg Hi s Gly Glu Arg Tyr Pro Ser Pro Ser Ala Gly Lys)から設計した。中性イノシ ンの混入を通して、64個の可能な組合わせのうち完全なマッチアウト1個がPHY- 31に存在する。オリゴPHY-31のヌクレオチド配列及び対応するペプチド配列を表 5に示す。PHY-34は、pH2.5酸性ホスファターゼのペプチド#1110Tに関するコー ディング配列に構成された128倍の同義性を有する17体混合体であり;PHY-35は 、ペプチド#1110Tに関するコーディング配列に同様に構成された64倍の同義性を 有する17体混合体である。PHY-34とPHY-35の両方とも、ペプチド#1110Tの完全な 発現量には必要である。ペプチド1110Tは、精製された未変性のpH2.5酸性ホスフ ァターゼのトリプシン消化から誘導される(上記表4)。 同義性オリゴヌクレオチドによるゲノムALKO243 DNAのプロービング 同義性オリゴヌクレオチドの特異性を評価するため、ALKO243からの総てのゲ ノムDNAは、E.coliのポリヌクレオチドT4キナーゼ[BRL]を使って、高比活性に [γ-32P]-ATPで標識されたPHY-1末端によりプローブされた。図7は、高緊縮洗 浄でユニークバンドがフィターゼオリゴPHY-1とハイブリッド形成したことを示 す。この緊縮では、単一バンドは、それをライブラリスクリーニングの良い候補 にした同義性オリゴによって認められた。 図7.フィターゼオリゴヌクレオチドPHY-1でプローブされたA.niger var.awa mori菌株ALKO243 DNA。ゲノムDNAを中和溶解法で分離した。簡単には、細かく粉 にした凍結乾燥菌糸体を4% SDS-TE緩衝液で溶解した。細胞残骸を除去し、上澄 みを除去し、そして同容積のトリス飽和フェノール:クロロホルム(1:1)で2 回抽出した。ゲノムDNAをNH40ACとEtOHで沈澱させた。ペレット化DNAを、Maniat is等によって述べられたように回収されるCsClを通して超遠心分離により精製し た。(γ-32P)ATPで標識された同義性オリゴ(Mania tis等,1982)によるゲノムDNAへのハイブリッド形成は、オリゴハイブリッド形 成液(6X SSPE,0.5% SDS,3X Denhardts,100μg/ml tRNA)の中のフィルター上 で42℃-一晩行った。非特異結合は、室温で30分間2回2XSSC,0.1%SDSで及び新 鮮液中で42℃5分間そのフィルターを洗浄して取除いた。増感剤スクリーン付き Kodak X-Omat ARフィルム上での一晩露光により、ハイブリッド形成しているバ ンドがポジ像で現出した。 同様に、ALKO243からのゲノムDNAを放射線標識された特異pH2.5酸性ホスファ ターゼのオリゴPHY-31により(上記図7記載の条件下で)プローブした。そのオ ートラジオグラムを図8に示す。PHY-31の特異性はPHY-1でのようには高くはな いが、あたかも、殆んど、2本のバンドがこのヌクレオチドプローブで認識され たかのように見えた。フィターゼ遺伝子の分離と特性付け : ゲノムDNAは、フラグメントを長さ10-23 kbで生成するためにSau3Aで部分的に 消化した。消化されたDNAをBamHI切除脱リン酸化Lambda Dash IIベクターアーム [Stratagene]に連結した。連結反応は、Stratagene′s Gigapack Goldパッケー ジングエキスを使い生体外でパッケージされた。パッケージされたファージは、 E.coli菌株P2392を感染させて溶菌斑 を得るために用いた。5×104の溶菌斑を形成するユニットは、次の条件を使っ て、フィターゼオリゴPHY-1でふるい分けした:即ち、オリゴヌクレオチドハイ ブリッド形成液(6X SSPE,0.5% SDS,3X Denhardts,100μg/ml tRNA)の中のフ ィルター上で42℃-一晩。非特異結合は、室温で30分間2回 2XSSC,0.1%SDSで及 び新鮮液中で42℃5分間そのフィルターを洗浄して取除いた。増感剤スクリーン 付きKodak X-Omat ARフィルム上での一晩露光により、ハイブリッド形成してい る溶菌斑がポジ像で現出した。さらに特性付けのため、12個の強くハイブリッド 形成している溶菌斑を選んだ。PHY-1プローブとハイブリッド形成した挿入断片 を有するラムダファージ、それは0.8%アガロースゲル電気泳動で測定してゲノ ムDNAを同一の寸法を持っていた、はサブクローニング及び最後にくるヌクレオ チドの配列決定のために選択された(下記の材料と方法に記載)。フィターゼゲノムクローンのサブクローニングと配列決定 : Yamamoto(1970)の方法により12個の候補の各々から本質的に分離されたバク テリオファージDNAを制限エンドヌクレアーゼで消化し、PHY-1オリゴヌクレオチ ドでプローブした。既にゲノムサザンで同定された1.8kb BamHI/Xbalのハイブリ ッド形成しているフラグメントをクローンナンバーCH7か ら分離し、M13mp18及びM13mp19[BRL]にサブクローンした。フィターゼに対す るオリゴヌクレオチドプローブ(即ち、PHY-1)と正に反応するサブクローンCH7 を配列させた。 このサブクローンのヌクレオチド配列は、報告された他の既知ペプチド配列に 関するヌクレオチド配列に対応する領域を示し、従ってそのクローンをフィター ゼのゲノムDNAとする有望な同定を追認した。重複する2.6kb SphIフラグメント の連続配列決定により、15個の内部ペプチド配列及びN-末端ペプチド配列を含む 1409 bpの読み取り枠が示された。IntelliGenetics′PC/GENE program″SIGNAL ″を使った(Standen,1984の方法に基づく)上流配列の分析により、メチオニ ン開始コドンが後に続く強力な真核生物Kozakの共通配列が示された。しかし、 このATGは、配列の残りに関しては枠外であった。共通菌のドナー、投げ縄及び 受容体配列によって描写された潜在的な102 bpイントロンは、重要な開始コドン とN-末端ペプチドの間で同定された。この推定イントロンのスプライシングによ り、提案されたATGとN-末端ペプチドアミノ酸配列の間の読み取り枠が復元され た。この単一の推定イントロンをフィターゼ遺伝子の5′末端に編入することに より、全ポリペプチドが470個のアミノ酸によりエンコードされた。フィターゼ 遺伝子の配列及び翻訳を図9に示す。 図9.推定翻訳を有するフィターゼ遺伝子含有2.6kb SphIフラグメントからの ヌクレオチド配列。提案イントロンドナー(GTRNGT)、投げ縄(RCTRAC)及び受容体 (YAG)の共通配列には上線が付けられている。ペプチド#420(表3)に対応する ヌクレオチド配列は下線が付けられている。ヌクレオチド配列は、United State s Biochemical Sequenase IIキットの使用と併せて重複サブクローンのM-13-ジ デオキシ法(Sanger等,1977)により決定された。 換算されたフィターゼポリペプチドの相対的分子量は、約51,400ダルトンで計 算した。フィターゼのコドン用法解析により、68.3%のセンスコドン(即ち、Tr pとMetコドンを除く)のサイレント第三位置でG+Cという周期が示された。全 構成遺伝子及び上流配列は、2.6kb SphIフラグメントとしてpUC-18にサブクロー ンされ、pFF-1と指定された(図10)。 図10.フィターゼの円形転換ベクター。(A) pFF-1:フィターゼ遺伝子とその 未変性プロモーターを含有する2.6kb SphIフラグメントを正のラムダクローンか らpUC-18にサブクローンした。XbaI部位を、部位指定突然変異誘発によりpFF-1 のフィターゼコーディング領域の-26位置に導入し、pSELFXを与えた。(B) pFF-2 :A.niger β-チューブリンプロモ ーターの制御下のフィターゼ。pSELFXからの2.0kb XbaIフラグメントを菌類に関 する発現ベクターpTL-113のユニークXbaI部位と連結しpFF-2を与えた。(C) pFF- 3 :A.niger GAPDHプロモーターの制御下のフィターゼ。pSELFXからの2.0kb XbaI フラグメントをpPRE-81のユニークXbaI部位と連結しpFF-3を与えた。(D) pFF-4 :A.niger GAプロモーターの制御下のフィターゼ。pSELFXからの2.0kb XbaIフラ グメントをpGAのユニークXbaI部位と連結しpFF-4を与えた。pH2.5酸性ホスファターゼの分離と特性付け : 同一のラムダライブラリを再版し、上記のゲノムハイブリッド法で確立された 条件を使いpH2.5酸性ホスファターゼのオリゴヌクレオチドPHY-31でふるい分け した。さらに特性付けをするため12個のハイブリッド形成している溶菌斑を選ん だ。各々の候補から分離されたバクテリオファージDNAを、制限エンドヌクレア ーゼで消化し、PHY-31オリゴか、又は独立したpH2.5酸性ホスファターゼペプチ ドから誘導された第二のオリゴ混合体、PHY-34/35かでプローブした(表5)。 クローンの一つ、AP99、は、あらかじめゲノムサザン分析で同定された2.1kb Sp hIフラグメントを含有し、これは両オリゴヌクレオチドと強力にハイブリッド形 成した。独立ペプチド配列から誘導された2つのオリゴヌクレオチドへの強力 なハイブリッド形成から、クローンは、pH2.5酸性ホスファターゼ配列を含むと いうことが強く示唆された。このフラグメントを配列するためM13mp18及びM13mp 19にサブクローンした。このサブクローンのヌクレオチド配列は、潜在的5′開 始ATG(メチオニン)、菌の信号配列、及びN-末端ペプチドに和合する翻訳配列 及び実施例1、上記(表4)で決定されたその他の内部ペプチド配列を有する78 5 bpのORFを現出した。ORFの下流、末端コドンは、3つの総ての読み取り枠でヌ クレオチド1151まで同定され、その後でpH2.5酸性ホスファターゼのペプチド配 列が同定された。これらの結果には、遺伝子の3′位置におけるイントロン含有 物が必要とされた。pH2.5酸性ホスファターゼのcDNAクローンの同定 : PolyA mRNAを(下記の「材料と方法」で説明するように)精製し、pH2.5酸性 ホスファターゼのcDNAの位置についてのポリマラーゼ連鎖反応(PCR)のクローニ ングに用いた。簡単には、最初の鎖合成を、pH2.5酸性ホスファターゼをエンコ ードする亜種のmRNAにアニールされるオリゴヌクレオチドプライマーAP273:即 ち、AP273 5′-CTACCCCTCTGCATCTAG-3′,で実施した。オリゴヌクレオチドPCR プライマーUPPHOS及びDOWNPHOSは、EcoRI制限部位をフランキングして合成した : 即ち、 UPPHOS及びDOWNPHOSは逆に配置され、ゲノムクローンの978個の塩基で分離され た。オリゴヌクレオチドプライマーUPPHOS及びDOWNPHOSによるcDNA-mRNA複合体 のPCR増幅によって約850 bpsの特異生成物を得た。増幅生成物をアガロースゲル から分離し、EcoRIで消化した。次いで、このフラグメントを、二重鎖の配列決 定のために、EcoRIで消化されたpUC-18中にサブクローンした。 その遺伝子の3′位置からのPCR-増幅cDNAは配列され、そして夫々菌のドナー 、投げ縄及び受容体を示す3つの短いイントロンを現出させた。エキソン配列は 、(図11に示すように)ヌクレオチド136-916、971-1088、1141-1245及び1305-1 740を組継いで誘導した。その結果により479aaのタンパク質に対する配列コード が翻訳された。翻訳を有する全配列を図11に示す。 推定されたpH2.5酸性ホスファターゼのポリヌクレオチドは、約52,700ダルト ンの分子量(計算値)を有する。pH2.5酸性ホスファターゼのコドン用法解析に より、79.3%のセンスコドンのサイレント第三位置でG+Cという周期が示され た。 2.1kb SphIフラグメントは、上流pH2.5酸性ホスファターゼ配列のわずかに135 bpを含むだけであった。このプロモーター配列長は効率の良い発現には十分でな かったと思われるので、大きいフラグメントをラムダクローンからサブクローン した。pAP-3は、ラムダクローンAP99からの5.1kb SalI/PstIフラグメントを含み 、そのヌクレオチド配列を図11に示す。 図11.推定アミノ酸翻訳を有するpH2.5酸性ホスファターゼ遺伝子を含む2.1 kb SphIフラグメントからのヌクレオチド配列。cDNAの配列決定によって決定さ れたイントロンのドナー、投げ縄及び受容体配列は上線を付してある。ペプチド #816及び#1110に対応するヌクレオチド配列には下線を付してある。ゲノムヌク レオチド配列は、United States Biochemical Sequenase IIキットの使用と併せ て重複サブクローンのM-13-ジデオキシ法(Sanger等,1977)により決定された。 「材料と方法」酵素 : 制限酵素は、Bethesda Research LaboratoriesとNew England Biolabs(Bever ly,MA,USA)から購入した。T4 DNAリガーゼ、T4 DNAポリマラーゼ、T4キナーゼ 、E.coli DNAポリマ ラーゼIからのKlenowフラグメントは、BRL(Gaithersburg, MD,USA)から購入。C alfインテスチンホスファターゼ(ClP)はBoehringer Mannheim(Indianapolis,IN ,USA)から購入。スフェロスプラスティング酵素、Novozyme、は、Novo Biolabs (Bagsvaerd,Denmark)から購入。全酵素は、製造者の推奨に従って使用した。 酵素検定用フィチン酸及びリン酸パラニトロフェニルは、夫々Sigma(St.Louis ,MO,USA)及びBMBから購入した。バクテリア及び菌類の菌株、プラスミド及びファージ : フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子分離には、A.niger var.awa mori菌株ALKO243(ATCC#38854)を用いた。 A.nigerの遺伝子バンクの構築に用いられる、E.coli菌株LE392及びP2392及び ファージLambda Dash IIは、Stratagene(La Jolla,CA,UAS)から得た。E.coli 菌株JM109は、プラスミドpUC18及びpUC19から誘導された構成での転換に際して 宿主として用いた。ジデオキシヌクレオチドの配列決定に使われるファージM13m p18及びM13mp19は、Bethesda Research Laboratories(Gaithersburg,MD,USA) から得た。 フレオマイシン耐性ベクターpLO-3は、酵母のシトクロムC1のターミネーター に結合されたフレオマイシン耐性遺伝子 (Streptoalloteichus hindustanus由来のフレオマイシン結合タンパク質)を含 んでおり、これはプラスミドpUT713(CAYLA,Toulouse Cedex,France)から誘導し た。それはA.nigerのβ-チューブリンプロモーターによって菌中に発現する。一般的成長培地 : E.coli JM109はL-brothで成長させた。形質転換細胞は1.5%寒天で補足され且 つ125μg/mlのアンピシリンを含有するL-プレートで選択した。液中での菌成長 用の完全培地(CM)は、次のものから構成:1リットルの蒸留水に溶解した50mlの 20X Clutterbuck塩(120g NaNO3,10.4g KCl,10.4g MgSO4 7H2O,30.4g KH2 PO4 ),2.0ml Vogel Trace Elements(0.3Mクエン酸,0.2M ZnSO4,25mM Fe(NH4)2(SO4 )26H2O,10mM CuSO4,3mM MnSO4 H2O,8mMホウ酸,2mM Na2MoO4 2H2O),5.0g トリプトン,5.0g酵母抽出物、10gグルコース。A.niger菌株ALKO243及びALKO2268 は、PD寒天の斜面培地(2.4%Potato Dextrose Broth [Difco#0549];1.5%寒天[ Difco #0140])上で28℃で7〜12日間成長させた。ゲノムDNAのA.niger var.awamori菌株ALKO243からの分離 : PDA上で35℃-5日間成長させたALKO243の1つの斜面培地 を5mlのNP-40 H2O(0.005%(v/v) Nonidet P40洗浄剤で浸した。斜面から胞子を 集め、3mmのガラスビーズを有するガラス管で浸溶した。1×108個の胞子が2リ ットルフラスコで500mlのCMを接種するのに使われた。培養を35℃で48時間200RP Mで振とうさせて成長させた。菌糸体をマイラ布上に採取し、液体窒素で凍結し 、一晩乾燥した。凍結乾燥菌糸体総て(約2.0g)を液体窒素で冷やされた乳鉢の 中で海岸の砂を使って粉にした。粉にした菌糸体を250mlの遠心分離用ビンに移 し、30mlの4%SDS-TE緩衝液(10mM トリスベース、1mM EDTA、4%SDS)に再 懸濁し、そして室温で1時間溶解した。細胞残骸を5分間4000xgの遠心分離で取 り除き、上澄みを30ml遠心分離用管に移した。サンプルを同容積のトリスー飽和 フェノール:クロロホルム(1:1)で2回抽出し、各時間に水性相を清浄な管に 移した。10%(v/v)の5M NH4OAcと2.5容積のEtOHを加えてDNAを沈澱させ、-80℃ で一晩保温した。調製物を「シロップ状」になるまで溶かし、4℃で30分間1200 0xgで遠心分離した。上澄みを取り除き、そのペレットを19ml TE(10mMトリスベ ース、1mM EDTA)で緩やかに滴下しながら溶解し、それに19.0gのCaClを加えた 。2本の11.5ml超遠心機管にTE+CsClに溶かしたDNAを充填し、0.9mlの10mg/ml臭 化エチジウムを加え、その混合物をSorv all T865.1のローターで22時間45,000RPM(20℃)で遠心分離した。帯状ゲノムD NAをUV光の下で目視し、18m規格の皮下注射針により集めた。エチジウムは、NaC l飽和のイソプロパノールの抽出で取り除いた。CsClは、TEに対する透析によっ て除去した。DNAは、0.3M NaOAcに溶かしたエタノールで沈澱させた。ゲノム遺伝子バンクの構築 : A.niger var.awamori菌株ALKO243由来のゲノムDNAは、長さ10-23kbのフラグメ ントを生成するためにSau3Aで切断した。切断したDNAを購入したBamHIカット脱 リン酸化Lambda Dash IIベクターアームに結合した。結合反応は、Stratagene G igapack Goldパッケージングエキストを使って生体外でパッケージした。パッケ ージファージは、E.coli菌株P2392を感染させて溶菌斑を得るために使った。オリゴヌクレオチドによる遺伝子バンクのスクリーニング : 溶菌斑をメーカー推奨のSchleicher & Schull NC(BA85)ニトロセルロース膜 上に取り上げた。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼからのアミノ酸配列 を使って(上記、実施例1)、同義性オリゴヌクレオチドを各タンパク質につい て作製した。各タンパク質のオリゴヌクレオチド混合体は、ペプチドの選択領域 の総ての可能なコドンの組合わせに相補 的であつた。オリゴヌクレオチドをPharmacia Gene Assembler Plusを使って合 成、その配列を上記表5に示す。ラムダDNAの分離 : 単離されたハイブリッド形成溶菌斑を500ml SM(リットル当たり:5.8g NaCl ,2.0g MgSO4,50ml 1Mトリス-HCl,pH7.5; 5ml 2%(w/v)ゼラチン溶液)に取り 出した。20mlクロロホルムを加え、ファージ粒子を4℃で一晩溶離した。220ml の細胞溶菌液を、Mg及びマルトースの存在で、成長させた200ml LE392細胞と混 合;8ml NZCYM培養基(10.0g NZ-アミン,5.0g酵母エキスト,2.0g MgSO47H2O, 及び1.0gのカザアミノ酸/リットル;pH7.5に調節)を加え;それからその培養 を37℃で細胞が溶解するまで振とうしながら成長させた。その後、100mlのクロ ロホルムを加え、完全に溶解させるため15分間保温を続けた。それからサンプル を5分8000gで遠心分離し、その上澄みを清浄な管に移した。RNAseAとDNAseIを 各1mg/mlまで加え;サンプルを37℃で30分間保温し;そして同容積の20%(wv)PE G 8000,SM中の2M NaClを加えてそのファージを沈澱させた。サンプルを氷上で 1時間以上保温した。得られたファージを4℃20分間10,000xg遠心分離により沈 降させ;その上澄みを流し出し;そして、ファージの沈降物を0.5ml SM中に再懸 濁した。更に、SDS、EDTA及びプロ テイナーゼKを加えてDNAを精製し、その後、フェノール:クロロホルムによる 抽出及びイソプロパノール沈澱を行った。次いで、ラムダDNAの挿入断片のサイ ズをアガロースゲルで測定し、そのDNAをニトロセルロースにブロットし、放射 線標識したオリゴヌクレオチドPHY-1又はPHY-31プローブとハイブリッド形成さ せた。そのプローブにハイブリッド形成し且つゲノムDNAと同一のサイズを有す るDNAフラグメントをサブクローニング用に選択した。全RNAのA.nigerからの分離 : A.niger var.awamori菌株ALKO243の3個の200ml培養をRNA肉汁培養基(2%コ ーンデンプン[Sigma],1%プロテオースペプトン[Difco],30g/lグルコース、5 g/l NH4NO3,0.5g/l MgSO47H2O,0.5g/l KCl,0.183g/l FeSO47H2O)で30℃48時 間220RPMで成長させた。菌糸体をWhatmanの濾紙#1を通して濾過し、10mlのDEPC -処理H2O(無菌蒸留水中の0.1%ピロ炭酸ジエチル)で洗浄し、その後、-80℃で 一晩乾燥した。1.5グラム(トータル3g)の乾燥菌糸体を液体窒素の下で微細な 粉体に破砕し、続いて10mlのBreaking緩衝液(50mMトリス-HCl pH7.4,150mM NaC l,5mM EDTA pH8,5% SDS)と10mlのフェノール/クロロホルム/イソアミルア ルコール(P/CIA: 50:48:2)とを含む遠心分離管に移した。その混合物 を室温で30分間暖め、その後、4℃10分間10,000RPMで遠心分離した。水性層を 広径ピペットを使って清浄な遠心分離管に移し、界面が透明になるまでP/CIAで 再抽出した。同容積の6M LiClを最終水性層に加えてRNAを沈澱させ、-80℃で一 晩冷却した。次いで、その混合物を20分間10,000xg-4℃で遠心分離し、そのペレ ットを2.4mlのGTC液(4Mチオシアン酸グアニジン、25mMクエン酸ナトリウムpH7, 5% N-ラウリルサルコシン、100mM b-メルカプトエタノール)で再懸濁した。 同容積のイソプロパノールを加え、沈澱物をドライアイス上で40分間冷却し、次 いで、4℃で30分間遠心分離した。ペレットを80% EtOHで洗浄し、再スピン、 真空乾燥、及び最後に1mlのDEPC-H2Oで再懸濁した。RNAの濃度は、分光光度計に より260nmで測定した。mRNAの分離 : ポリアデニル化メッセンジャーRNA(polyA mRNA)は、オリゴ(dT)-セルロースを 使ってメーカーの指示(Pharmacia Fine Chemicals,Piscatawy,N.J.)に従い全R NAから親和精製した。簡単には、1.25mgの全RNAを予め遠心分離され且つ高塩緩 衝液(High-salt,Pharmacia)で平衡化された2本の独立したカラムに加えた。低 塩緩衝液(Low-salt,Pharmacia)で3回洗浄後、mRNAを予め暖められた溶離緩衝 液(10mMトリス -HCl,pH7.4,含1mM EDTA)で65℃のカラムから溶離し;0.1容積の10mg/mlグリコ ーゲンと2.5容積のエタノールを加えて沈澱させた。その混合物を-80℃で2時間 冷却し、その後、4℃-30分間遠心分離した。回収されたmRNAは、最終濃度が1.3 mg/mlになるまで溶離緩衝液で溶解した。pH2.5酸性ホスファターゼのcDNAのPCR分離 : 最初の鎖合成は、メーカーの推薦に従い、BMB cDNAキットを使って、1.0mgのm RNAと3′pH2.5ホスファターゼヌクレオチド配列に相補的に合成されたオリゴヌ クレオチドプライマーAP273:即ち、AP273 5′-CTACCCCTCTGCATCTAG-3′、によ り実施した。オリゴヌクレオチドPCRプライマーUPPHOS及びDOWNPHOSは、EcoRI制 限部位をフランキングして合成した:即ち、前に記載したように フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼクローンのサブクローニングと配列決 ハイブリッド形成するラムダゲノムクローンの制限フラグメントを、GeneClea n(Bio 101,La Jolla,CA)から市販されている『Glassmilk Purification Kit』を 使ってゲル精製した。制限フラグメントを適当な酵素で切断されたM13mp-18及び M1 3mp-19にサブクローンした。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼのオリゴ ヌクレオチドプローブと正に反応するクローンのヌクレオチド配列は、United S tates Biochemical Sequenase IIキットを使ってM13-ジデオキシヌクレオチド配 列決定法により決定した。cDNAは、アルカリ変性二重鎖配列法によって想像され るイントロンの領域に配列した。フィターゼの遺伝子は、pUC-18にサブクローン された2.6kb SphIフラグメント内に完全に包含され、pFF-1を与えた。完全なpH2 .5酸性ホスファターゼの遺伝子は、pUC-18にサブクローンされた2.1bp SphIフラ グメントとして分離され、pAP-1を与えた。 pSELFXは、XbaI部位がATG開始コドンに関して位置-26及び-24のヌクレオチド を修正することによってその遺伝子配列に導入されたフィターゼヌクレオチド配 列を含んでいるプラスミドである。ヌクレオチドの変更は、Promega Altered Si tes Mutagesis Kitを使って、フィターゼ遺伝子を含む2.6kb SphIフラグメント の部位特異的突然変異誘発によって誘導されたものである。突然変異誘発を支援 するために使われたオリゴヌクレオチドを下に示す:即ち、 pAP-1Xbaは、XbaI部位がATG開始コドンに関して位置-24及び-27のヌクレオチ ドを修正することによってその遺伝子配列に導入されたpH2.5酸性ホスファター ゼヌクレオチド配列を含んでいるプラスミドである。ヌクレオチドの変更は、PC R-突然変異誘発によって誘導された。PCR-突然変異誘発に関するプライマーを下 に示す: 及び、 pAP-1 DNAは、PCR増幅の鋳型として使った。得られた増幅フラグメントをXbal とNruIで開裂し、次いで、XbaI/NruI切断pAP-1に連結してプラスミドpAP-1Xbaを 得た。そのプラスミドは、どのような突然変異もPCR増幅された領域に導入され ないように配列した。pAP-2は、Klenowの試薬で処理されたBamHI/HindIIIフラグ メントをpAP-1XBAからSmaIまで切断されたpUC-18に連結して生成した。正確に配 向したpAP-2を含む形質転換細胞は、制限エンドヌクレアーゼフラグメントのサ イズを分析して同定した。 pH2.5酸性ホスファターゼに関する全構成遺伝子は、対象 酵素を過度発現するpH2.5酸性ホスファターゼの転換ベクターを構成するため2.0 kb XbalフラグメントとしてpAP-2から排除した(下記実施例4)。pH2.5酸性ホ スファターゼ遺伝子の全部もpUC-18にサブクローンされた5.0kb PstI/SalIフラ グメントとして分離し、pAP-3を与えた。pAP-3は、対象酵素を過度発現するため のpH2.5酸性ホスファターゼ転換ベクターの構成に際し用いられた(下記実施例 4)。ノーザンブロッティング処理 : 10及び20mgの量の(上記のように分離された)全RNAを1.5%アガロースーホル ムアルデヒドゲルのウェルに加え、電気泳動により分離した。RNAの分子量マー カー(0.24kb-9.5kb″RNA Ladder″,Bethesda Reaearch Labs)も、サイズ比較の ため、ゲルに加えた。そのゲルをニトロセルロース(SchleicherとSchuell;Keen e,NH)上にブロットし、真空オーブン中で80℃-1時間でベーキングし、50%ホル ムアミド、5X SSC,0.1%SDS,5Xデンハート及び100mg/ml子牛の胸腺のDNA中で4 2℃-24時間事前ハイブリッド形成させた。その濾紙を室温の2X SSC/0.1%SDSで1 5分間2回洗浄し、続いて0.1X SSC/0.1%SDSで1回洗浄し、そして増感スクリー ン付きKodak S-Omat ARフィルムを使ってオートラジオグラフィーを実施した。 実施例3 他のホスファターゼとの相同関係 pH2.5酸性ホスファターゼ及びフィターゼのアミノ酸配列と発表された他の酸 性ホスファターゼ配列との間の比較を行つた。相同関係(直線スコア17.705)は 、PC/GENEマトリックスプログラムPCOMPARE(NeddlemanとWunschの方法に準拠、 1970)。pH2.5酸性ホスファターゼと他の酸性ホスファターゼの酵素″PHO-3″(B ajwa等,1984)及び″PHO-5″(Arima等,1983)(両方とも他者によってSaccharomyc es cerevisiaeからすでに分離されている)との間に相同関係が見られた。最も 高い相同関係の領域、RHGXRXP(aa位置81-87)は、EMBL CDPROT17タンパク質デ ータベースリリース1991の探索に使用。RHGXRXP配列は、(下の表6に示される ように)他の酸性ホスファターゼに数例見られた。 RHGXRXP領域は、E.coliのような多様な生物とヒトとの間で保存されている。 この保存は、機能的重要性を示唆し、従ってこれらのホスファターゼの活性部位 領域を反映し得るものである。 実施例4 Aspergillus nigerでのフィターゼ及び pH2.5酸性ホスファターゼの過度発現 (一般的材料と方法は、実施例に続く「材料と方法」の項で説明)発現ベクターフィターゼの構成 : フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの再導入のため、未変性及び交互菌 プロモーターを使い多くのベクターを設計した。フィターゼ遺伝子、pFF1-pFF4 (上記図10)を担う一組のベクターは、菌の選択可能遺伝標識をなんら含まず、 プ ラスミドpL03との共形質転換によって導入された(後の「材料と方法」参照)。 ベクターpFF1-2から生ずる組換え菌株は、E.coliの選択可能遺伝標識から誘導 された外来DNA配列を含んでいた。それ故、pFF6-pFF11と呼ばれる第二のベクタ ー組は、これらの配列を排除するために設計した。後者のベクターには、菌の選 択可能遺伝標識及びE.coli配列とは無関係に直線フラグメントを分離できる制限 部位が含まれる(図12)。 図12.フィターゼの直線転換ベクター。(A) pFF-6A: その未変性プロモーター の制御下のフィターゼ。pFF-1からの2.6kb SphIフラグメントは、pFF-6を与える ためpL03のSphI部位にクローン化され、直線4.9kb HindIIIフラグメントとして 分離。(B) pFF-8: GAPDHプロモーターの制御下のフィターゼ。pL03からのフレオ マイシン耐性カセットはHindIII(filled)/PstIフラグメントとして分離され、pP RE-82を与えるためにBgIII(filled)/Pst切断pPRE-81にサブクローン化された。 フィターゼを含むpSELFX XbaIフラグメントを、6.7kb PstIフラグメントとして 分離された、XbaIで部分的に切断されたpPRE-82に付加し、pFF-8を与えた。(C) pFF-9 : GAプロモーターの制御下のフィターゼ。pL03からのフレオマイシン耐性 カセットはKopnI(filled)/HindIIIフラグメ ントとして分離され、XpnIで部分的に切断されたpFF-9に連結、平滑化し、続い てHin dIIIで切断した。pFF-9は、7.3HindIII/KpnI直線フラグメントとして分離 。(D) pFF-11: GAプロモーターと信号配列の制御下のフィターゼ。オリゴ#260と #261をアニールし、XbaI/XhoI消化pFF-1に連結、GAプロモーターXpnI/XbaIフラ グメントとして付加、及びフレオマイシン耐性遺伝標識(Phleor)カセットをHind IIIフラグメントとして付加してpFF-11を与えた。直線DNAは、7.35 KpnIフラグ メントとして分離。発現ベクターの構成:フィターゼを有する及び有さないpH2.5酸性ホスファター pH2.5酸性ホスファターゼに対する転換ベクターは、pPH01-pPH04Aと呼ばれる 直線ベクターから成り、pH2.5酸性ホスファターゼ遺伝子の導入のために構成さ れた。2つのベクター、pFIN-1A及びpFIN-1B、はまたフィターゼ及びpH2.5酸性 ホスファターゼの両方の、単一プラスミドのグルコアミラーゼプロモーターから 発現される遺伝子を含むよう計画した(図14)。 図13.pH2.5酸性ホスファターゼの再導入のため、そこから直線フラグメント を分離できるベクター。(A)pPHO-1: その未変性プロモーターの制御下のpH2.5酸 性ホスファターゼ。 phleorカセットはHindIIIフラグメントとして分離され、平滑末端化され、そし てpAP-3(pUC-18における5.0kb PstI/SaIIフラグメントのpH2.5酸性ホスファタ ーゼ(5))に連結され、EcoRIで切断し、もう一度平滑末端化した。直線DNAは、6 .3kb PstIフラグメントとして分離。(B) pPHO-2: b-チューブリンプロモーター の制御下のpH2.5酸性ホスファターゼ。pAP-1Xba(下の「材料と方法」)からの2 .0kb Xbalフラグメントに含まれているpH2.5酸性ホスファターゼは、pTL-113に サブクローンされ、その後、SphIで部分的に切断され、調合され、フレオマイシ ン耐性遺伝標識カセットを含むフラグメントに連結され、pPHO-2を産した。(C) pPHO-3 : GAPDHプロモーターの制御下のpH2.5酸性ホスファターゼ。pPHO-2は部分 的にXbaIに消化され、pH2.5酸性ホスファターゼとphleorカセットを含有する4.3 kb XbaIフラグメントを与え、それはpPRE-81のXbaI部位に連結された。(D) pPHO -4A : GAプロモーターの制御下のpH2.5酸性ホスファターゼ。pAP-1Xbaからの2.0k b XbaフラグメントはpGAにサブクローンされ、GAプロモーターとpH2.5酸性ホス ファターゼを含む5.5kb KpnIフラグメントは分離・調合され、その後pL03に連結 された。 図14.二重酵素転換ベクターは、フィターゼとpH2.5酸性 ホスファターゼの両方を単一プラスミドにより過度発現させるために構成された 。(A)pFIN-1A及び(B)pFIN-1B:GAプロモーターの独立コピーの制御下のフィター ゼとpH2.5酸性ホスファターゼの両方との組合わせプラスミド。8.1kb HindIIIフ ラグメントをpPHO-4Aから分離し、HindIII-消化pFF-4に連結。転換ベクターの構造:一般的考察 : 図12-15についての上記議論の中の情報から明らかなように、幾つかの異なっ た菌プロモーターの構造を評価した:即ち、β-チューブリン、グリセルアルデ ヒド3-リン酸脱水素酵素プロモーター(GAPDH)、及びグルコアミラーゼプロモー ター(GA)。後の2つの菌のプロモーターは、A.niger ATCC1015(Tailor,P.等、 1990)から分離した。これらの夫々のプロモーターを試験し、フィターゼとpH2. 5酸性ホスファターゼの発現を支配するそれらの能力を決定した。 交互プロモーターのその構成への融合を容易にするため、XbaIの制限部位は、 フィターゼの遺伝子の-26位置での位置指定突然変異誘発により誘導した。同様 に、XbaIの部位は、PCR突然変異誘発によりpH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子の 位置-28に誘導した(下の「材料と方法」参照)。誘導されたXbaIの部位は、実 質上、遺伝子の5′調節領域にそうした XbaI部位を含むよう前もって計画された交互菌プロモーターへの融合に用いた。 フィターゼのベクター構造による細胞転換で得られた結果は、先ず、下記に、 続いてpH2.5酸性ホスファターゼにより得られた結果に示されている。A.niger菌株ALKO243及びALKO2268の転換 : A.niger var.awamori菌株ALKO243及びA.niger var.awamori菌株ALKO2268、UV- 突然変異誘発によりALKO243から誘導されるフィターゼの高生成度を示す突然変 異体、は誘導されたフィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼに対する宿主として 使用した。A.niger菌株ALKO243及びALKO2268は、Tiburn等の手順を修正して、薬 剤選択遺伝標識としてフレオマイシン耐性を使い転換した。クローン化フィター ゼとpH2.5酸性ホスファターゼは、選択遺伝標識無しでプラスミドに保持される 故、スフェロプラストは、酵母シトクロムC1末端に結合されたStreptoalloteich us hindustanus由来のフレオマイシン結合タンパク質遺伝子を含むフレオマイシ ン耐性ベクターpLO-3により共形質転換された。pLO-3は、プラスミドpUT713[CAY LA,Toulouse Cedex,France]から誘導され、A.nigerのβ-チューブリンプロモー ターによって菌中に発現される。形質転換細胞は、菌株ALKO243に対しては50μg /mlのフ レオマイシン及び菌株ALKO2268に対しては195-200μg/mlを含む等容積のオーバ ーレイで選択した。(菌株ALKO243及びALKO2268は、共に、スフェロプラスト溶 菌に敏感であり、異なった浸透緩衝条件を必要とする;下の「材料と方法」参照 )。30〜45個の胞子形成コロニーは、選択板上でμg当りでDNAから得た。全フ レオマイシン耐性コロニーは、フレオマイシン耐性遺伝標識を組込んでいた(サ ザン分析、データ。表示せず)。フィターゼ過度発現のための形質転換細胞のスクリーニング 親のA.niger菌株より高いフィターゼ活性を生ずる形質転換細胞は、リンモリ ブデン酸混合体の還元により比色計で無機リン酸の堆積物を測定するフィターゼ プレートスクリーニング検定で同定した(下の「材料と方法」)。プレート検定 で高活性を示した形質転換細胞は、その後、発酵培養の肉汁中に放出された酵素 活性を分析することによりフィターゼ生成性に関して試験された(下記)。 図15は、フィターゼ活性の上昇を検出するプレート検定を示す。GAD-10からGA D-120までのA.nigerフィターゼ形質転換細胞からの生分子をプレート検定培地上 にスポットし、30℃で2日間保温し、色検出用試薬Cを上塗りした(下の「材料と 方法」)。振とうフラスコ培養で成長したポジのGAD130 (a4)、GAD112(c3)及びGAD118は、夫々108,000PU/ml,35,600PU/ml,及び36,700PU /mlという力価を示した(即ち、ALKO243より約1260倍高いところまで上昇)。未 転換ALKO2268(b5)のフィターゼ活性は、4,000PU/mlであった。フィターゼを過度生成する形質転換細胞の分析 : 形質転換細胞によって生成されるフィターゼの量は、振とうフラスコ培養で細 胞を成長させ、次のように肉汁の酵素量を滴定して分析:簡単には、最適条件の 下で振とうフラスコ内に培養を定着させ、細胞が遠心分離で除去される時間、即 ち5日間、保温し、そして培養からの上澄み肉汁を滴定してフィターゼ活性量を 決定する。(プレート検定(上記)と肉汁滴定の両方とも、フィチン酸ナトリウ ム基質の酵素の加水分解により放出される無機リン酸の量を比色計でリンモリブ デン酸複合体の還元を定量することにより測定するものである。) 58個の形質転換細胞の未変性フィターゼプロモーター(プラスミド:pFF-1由 来、上記実施例2「材料と方法」参照)を使って、表示されたフィターゼの4つ の増加生成を招来したが、これは非転換過度生成筋株ALKO2268によって又はコン トロールプラスミドpLO-3で転換されたALKO2268のコントロール細胞によって作 製されたものより6.5-7.0倍大きく、フ ィターゼ配列を含んではいなかった。 更に、フィターゼ発現を支配する異種プロモーターの用法について検討した。 1467個のフィターゼ形質転換細胞をプレート検定を使って試験した(157個は菌 株ALKO243から、及び1310個はALKO2268から誘導)。これらの内、302個は、フィ ターゼの有力な過度生成子であることがプレート検定で同定された。フィターゼ を過度生成する形質転換細胞のうち、25個(即ち、評価された1467個の1.7%) は、ALKO243によって作られたものより700倍大きいPU/mlの酵素活性を有した。 (25個の形質転換細胞のうち18個で得た結果を表8に示す。)最高のフィターゼ 生成率を示す形質転換細胞(即ち、GAI-6;181,000PU;ALKO243より約2,100倍大き いPU/ml)は、グルコアミラーゼ(GA)菌プロモーターを含むpFF-9構成での転換の 成果である。後者の形質転換細胞は、ALKO2268(過度生成)又はALKO243(野生 型)と比較して、著しく高レベルのフィターゼ生成率を示した(下記表8参照) 。 分子特性:フィターゼ形質転換細胞: サザン及びノーザン分析は、振とうフラスコ発酵培養においてフィターゼを過 度生成したフィターゼ形質転換細胞GAE32、GAK4-47、GAL65、GAM225及びGAO248 (表8)から分離された(夫々)DNA及びmRNAで実行した。ゲノムDNAは、夫々の 形質転換細胞菌株から分離され、制限酵素で消化され、放射線標識したクローン 化フィターゼでプローブされ、遺伝子のコピー数と形質転換細胞の組込み方法を 決定した。遺伝子のコピー数の増加は、1.3kbにおけるブロット(即ち、転換ベ クター構成DNA)の濃度を、フィターゼ遺伝子の固有染色体コピーと(即ち、2.4 kbで)及びコントロールALKO2268 のゲノムDNAと比較して決定した。定量化はデンシトメトリを走査して行った( 図16A)。多重の別のパターンに配置された3〜5個の追加フィターゼベクター 遺伝子のコピーは、形質転換細胞GAE32、GAK4-47、GAL-65、GAM-225及びGAO-248 で検出された。 ノーザンブロッティングによるフィターゼmRNAレベルの発現は、形質転換細胞 のメッセージレベルは、一貫して未転換コントロールより7-〜13-倍まで増加さ れたことを示した(図16B)。しかし、実際のレベルは更に高いであろう、何故 なら生成培地で成長した細胞からmRNAを分離することが困難であり、それ故、こ れらの比較を細胞成長とフィターゼ発現については準最適条件下で行わざるを得 なかったからである。 図16A. フィターゼ形質転換細胞の過度生成におけるフィターゼゲノムのコ ピー数のサザンブロット分析:ゲノムDNAをBamHIで消化し、ブロットし、電気泳 動し、そしてその濾紙をpFF-1の5′起点のBamHIフラグメントでプローブした。 遺伝子コピー数は、形質転換細胞の遺伝子コピーの(1.3kbにおける)ブロット 濃度を固有フィターゼの遺伝子の(2.4kbにおける)ブロット濃度とを、デンシ トメトリを走査して比較することにより決定した。 レーン1,4,7: 未転換コントロールALKO2268。レーン2,5,8,9,10: 過度生 成するフィターゼの形質転換細胞、夫々GAE-32、GAK4-47、GAL-65、GAM-225及び GAO-248。 図16B. フィターゼの過度生成形質転換細胞のノーザンブロット分析メッセ ンジャーRNA:20μgの夫々の全RNAサンプルをホルムアルデヒドゲルで電気泳動し 、ニトロセルロースに移した。各形質転換細胞をフィターゼ遺伝子の制限酵素( 即ち、pFF-1からのBamHIフラグメント)でプローブした。フィターゼのメッセー ジレベル増加量をmRNAのデンシトメトリを走査して決定した。ALKO2268由来のRN A(レーン1)を基線コントロールとして使用。レーン2-6:夫々GAE-32、GAK4-47 、GAL-65、GAM-225及びGAO-248。 下の表9に示された結果は、図16A及び図16Bにおいてサザン及びノーザンブロ ットの濃度を走査して得た定量的結果を要約したものである。 過度生成するpH2.5酸性ホスファターゼの形質転換細胞の分析 pH2.5酸性ホスファターゼに特異的なプレートスクリーニング検定を開発する ことは不可能であった;それ故、形質転換細胞は、振とうフラスコによる5日間 の発酵の後培養肉汁における酵素生成を評価して分析した(上記表7及び下の「 材料と方法」に記載)。発酵振とうフラスコ検定におけるpH2.5酸性ホスファタ ーゼ生成の測定条件は、基質としてパラニトロフェニルリン酸を使って下記に( 表10)説明する(下の「材料と方法」にも記載)。上記表7におけるように、培 養肉汁の上澄みにおける酵素レベルは滴定され、その酵素レベルは、A.nigerのA LKO243菌株のコントロール培養による同じ5日間保温を通して生成されたレベル と比較した。 pH2.5酸性ホスファターゼの発現を支配する未変性プロモーターを含むプラス ミドpAP-3で生成された55個の形質転換細胞のうち、4個の形質転換細胞はpH2.5 酸性ホスファターゼの生成で増加を示し、それは親菌株ALKO243により作られた レベルより25-〜57-倍大きいものであった(表10)。最高生成形質転換細胞(GAQ 56)は未転換ALKO2268を越えて(表10)殆んどは58-倍の増加を、及び下表11に説 明するように126-倍までの増加を示した。 更に、pH2.5酸性ホスファターゼ発現を支配する異種プロモーターの用法につ いて検討した。1181個の形質転換細胞が pH2.5酸性ホスファターゼを過度生成した(410個は菌株ALKO243から、及び771個 はALKO2268から誘導)。32個の形質転換細胞(2.7%)は、30HFU/mlを越えるpH2 .5酸性ホスファターゼを生成することが同定された。最高の生成形質転換細胞( 即ち、GAO-69)は、平均して126HFU/mlであった。この発現は、菌類のグルコア ミラーゼ(GA)プロモーターを有するプラスミド構成による転換に起因したもので ある(表11)。 pH2.5酸性ホスファターゼ形質転換細胞の分子特性: コピー数及びメッセージレベルは、振とうフラスコ発酵培養(上記表11)にお いて同定されたpH2.5酸性ホスファターゼの最高過度生成子の5個について、サザ ン及びノーザンブ ロット分析を利用し且つデンシトメトリ(上記)を走査して決定された。pH2.5 酸性ホスファターゼの形質転換細胞、GAT-143、GAW-54、GAW-89、GAW-121及びGA W-130、からのDNAは、制限酵素で消化され、放射線標識したpH2.5酸性ホスファ ターゼー特異プローブにハイブリッド形成させた。総じて、pH2.5酸性ホスファ ターゼの形質転換細胞は、上記でフィターゼ形質転換細胞で観測されたものより (上記表9)高い遺伝子のコピー数(下記表12)を示した。対照的に、pH2.5酸 性ホスファターゼの形質転換細胞に対するメッセージレベル(表12)は、フィタ ーゼ形質転換細胞で観測されたもの(表9)程高くはなかった。しかし、上記フ ィターゼ形質転換細胞でのように、pH2.5酸性ホスファターゼのメッセージレベ ルは、作製培養条件下で細胞からRNAを分離する際に遭遇した困難事のため、最 適条件下では測定されなかった。従って、作製条件下での発現は、ここで測定さ れたものより高いかも知れない。 「材料と方法」 プラスミドの構造は、各遺伝子の菌への転換に先立ち、ベクターバックボーン 配列が容易に取除けるように設計した。直線DNAをアガロースから分離し、GeneC leanによって精製して混入する可能な特異性は何れも排除した。フィターゼとH2 .5酸性ホスファターゼを発現する構成A-D及び構成E-Hは、夫々、異なった調節制 御下で下記のように作製した。フィターゼ及びH2.5酸性ホスファターゼ発現プラスミド構成A :その未変性プロモーターの制御下でのpFF-6フィターゼ。 フィターゼの遺伝子を含む2.6kb SphIフラグメントは、pLO-3のSphI部位にク ローンされた。pFF-6A及びpFF-6Bと呼ばれる2つの配向が生じた。直線DNAを4.9 kb HindIIIフラグメントとして何れかのベクターから分離した。構成B :A.niger GAPDHプロモーターの制御下でのpFF-8フィターゼ。 菌発現ベクターpPRE8-1をBglIIで切断し、DNAポリマラーゼI Klenowフラグメ ントで平滑末端化した;続いて、そのプラスミドをPstIで切断して完了。フレオ マイシン耐性(Phleor)遺伝標識発現カセットをpLO-3から(HindIII(filled)/Pst Iフラグメントとして)取り除き、切断された pPRE8-1に連結し、pPRE8-2を与えた。制限分析により形質転換細胞を識別した。 フィターゼ遺伝子を含む2.0kb XbaIフラグメント(実施例2、材料と方法)をプ ラスミドpPRE8-2のGAPDHプロモーターから下流のユニークXbaI部位へ連結。pFF- 8を含む正確に配向された形質転換細胞を制限酵素で同定した。直線DNAを6.7kb PstIフラグメントとしてpFF-8から分離。構成C :A.nlger GAプロモーターの制御下でのpFF-9フィターゼ。 フィターゼ遺伝子を含む2.0kb XbaIフラグメント(実施例2、材料と方法)を 菌発現ベクターpGAのユニークXbaI部位へ連結し、pFF-4を与えた。pFF-4をKpnI で部分的に切断して一本に切断された直線プラスミドを生じた。末端はT4 DNAポ リメラーゼで平滑処理した。その後、プラスミドをHindIIIで切断して完了。pLO -3をKpnIで切断してT4 DNAポリメラーゼで平滑処理し、その後でHindIIIで切断 。 Phleor発現カセットを含む2.1kbフラグメントをGeneCleanでアガロースから精 製し切断されたpFF-4に連結した。pFF-9を含む形質転換細胞を制限酵素で同定し た。直線DNAを7.3kb HindIII/KpnIフラグメントとしてpFF-9から分離。構成D :GA単一配列を経て分泌するA.niger GAプロモーター の制御下でのpFF-11フィターゼ。 オリゴヌクレオチド260及び261は、翻訳開始領域及びグルコアミラーゼの信号 配列より上流のXbaI部位についてコーディングして合成、それをフィターゼのN- 末端をエンコードするヌクレヲチド配列から上流に配置した。この構成に使用さ れる2つの合成ヌクレオチドは、次のヌクレオチド配列をもつ:即ち、 及び オリゴヌクレオチド260及び261は、アニールされ、続いて、XbaI/ChoI切断pFF -1に連結され、pFF-1GAを与えた。pGAからのグルコアミラーゼプロモータを(Kp nI/XbaIフラグメントとして)pFF-1GAに連結した。最後に、PhleorカセットをHi ndIIIフラグメントとして構成のユニークHindIII部位に加えた。正確に配向され たプラスミドを含む形質転換細胞を制限酵素で同定した。直線DNAを7.35kb KpnI フラ グメントとしてpFF-11から分離。構成E :その未変性プロモーターの制御下でのpPHO-1 pH2.5酸性ホスファターゼ (AP)。 pAP-3をEcoRIで切断し、Klenowを使って末端平滑化した。PhleorカセットをHi ndIIIフラグメントとしてpLO-3から除去し、Klenowを使って末端平滑化し、切断 されたpAP-3に連結した。正確に配向されたpPHO-1を含む形質転換細胞を制限酵 素で同定した。直線DNAを6.3kb PstIフラグメントとしてpPHO-1から分離。構成F :A.niger b-チューブリンプロモーターの制御下でのpPHO-2 pH2.5酸性ホ スファターゼ遺伝子。 菌発現ベクターpTL113をXbaIで切断し、子牛の腸のホスファターゼで脱リン酸 化した。pH2.5酸性ホスファターゼを含む2.0kb XbaIを切断されたpT1113に連結 しpPREPHO-2を与えた。正確に配向されたプラスミドを含む形質転換細胞を制限 酵素で同定した。pPREPHO-2をSphIで部分的に切断して一本に切断された直線プ ラスミドを得た。切断されたPREPHO-2の末端をT4 DNAポリマラーゼで平滑化した 。pLO-3からのPhleor発現カセットを含む2.7kb末端平滑化HindIIIフラグメント を切断されたpPREPHO-2ベクターに連結。正確に配向されたpPHO-2プラスミドを 含む形質転換細胞を制限酵素で同 定した。直線DNAを6.0kb PstIフラグメントとして分離。構成G :A.niger GAPDHプロモーターの制御下でのpPHO-3 pH2.5酸性ホスファタ ーゼ遺伝子。 pH2.5酸性ホスファターゼ遺伝子とPhleor発現カセットを含む4.3kb XbaIフラ グメント(上記、実施例2)を部分消化によりpPho-2から除去。そのフラグメン トをGeneCleanでアガロースから精製し、菌発現ベクターpPRE8-1のユニークXbaI 部位に連結した。正確に配向されたpPHO-3プラスミドを含む形質転換細胞を制限 酵素で同定した。直線DNAを7.0kbPstIフラグメントとして分離。構成H :A.niger GAプロモーターの制御下でのpPHO-4 pH2.5酸性ホスファターゼ 遺伝子。 pH2.5酸性ホスファターゼ遺伝子を含む2.0kb XbaIフラグメント(上記、実施 例2)をXbaI切断菌発現ベクターpGAに連結してpPREPHO-4を与えた。正確に配向 されたプラスミドを含む形質転換細胞を制限酵素で同定した。GAプロモーターと pH2.5酸性ホスファターゼ遺伝子を含む5.5kb XpnIフラグメントを部分消化によ りpPREPHO-4から除去。得られたフラグメントをGeneCleanでアガロースから精製 し、T4 DNAポリマラーゼで平滑末端化した。平滑末端化フラグメントをPstIで切 断されたpLO-3に連結し、その後、DNAを平滑末端化し て、pPHO-4A及びpPHO-4Bと呼ばれる2つの異なった配向のプラスミドを得た。各 配向を含む形質転換細胞を制限酵素で同定した。直線DNAを8.1kb HindIIIフラグ メントとして分離。A.niger菌株ALKO243及びALKO2268のDNA転換 最初に、PD斜面上で成長したconidiating培養からの0.5ml-1mlの菌胞子懸濁液 を250-mlフラスコに入れた50mlのCM培地に加えてスフェロプラストを得た。ALKO 243に対しては、培養は、濾過の前に、35℃-200RPMで一晩成長させた。ALKO2268 の培養は、30℃-200RPMで48時間成長させた。得られた菌糸体を二重に重ねた綿 布上に採取し、5mg/mlのNovozym234(Novo BioLabs)とともに50mlのKCM緩衝液(0 .7M KCl,10mM MOPS,pH5.8)に加え、スフェロプラスト産出のため30℃-85RPM で一晩保温した。 スフェロプラストをマイラ布を充填した漏斗を通して濾過して採取し、4本の 15ml円錐型遠心分離管に入れて綿布で覆い、次いで1500RPMで10分間机上遠心分 離機で回転した。ペレットを全部で15mlのソルビトール緩衝液(1Mソルビトール 、50mM CaCl2)で徐々に再懸濁し、再度、遠心分離した。ペレットをソルビトー ル緩衝液(SB)でまた洗浄し、次ぎに5×107/mlの濃度まで再懸濁した。 20μlのTEに溶かした5μgの直線又はプラスミドDNAを200μlのスフェロプラ スト付加。共形質転換のため、1μgの選択可能なフレオマイシン耐性遺伝標識 遺伝子のDNA、pLO-3も加えた。50μlのPCM(40%PEG8000,10mM MOPS,pH5.8,5 0mM CaCl2[CaCl2使用直前に付加])を静かにDNA-スフェロプラスト混合体に滴 下し、氷上で30分間保温した。 1mlのPCMを転換混合物に加え、その混合物を50mlの再生寒天(MA:CM+1.3マ ンニトール、3%寒天)に滴下し、5個のペトリ皿に分割。オーバレイに先立ち 、スフェロプラストを、等量のOL+フレオマイシン(OL:1%ペプトン、1%寒 天、フレオマイシン[CAYLA]:ALKO243に対しては50μg/ml,ALKO2268に対して は195μg/ml)で35℃3-5時間再生させた。推定される形質転換細胞をPD+フレオ マイシン斜面に移し、28℃で成長させた。フィターゼのプレート検定 : より高いフィターゼ収量を示す形質転換細胞は、比色計でリンモリブデン酸混 合体の還元による無機リン酸の堆積を測定するプレート検定によって同定された 。推定される形質転換細胞からの生分子を検定プレート上にスポットし、30℃で 2日間保温した。20mlの試薬C(1M硫酸[Mallinckrodt], 2.5%モリブデン酸アンモニウム[Sigma].10%アスコルビン酸(Sigma)の比3:1:1 ]を培地上面に加え、カラー強度を計数する前に、そのプレートを50℃で15分間 保温した。(プレート検定寒天:2%コーンデンプン[Sigma#S-4126],1%プロ テオースペプトン[DIfco#0122-1],30gグルコース/1.5g、5g NH4NO3/1,0.5g Mg SO47H2O/1,0.5g KCl,0.183g FeSO47H2O/1,3%寒天,3%フィチン酸ナトリウム [Sigma#P-3168].)フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの酵素検定 : 酵素の検定は、上記実施例1記載の通り実行した。転換組換え細胞によるフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの作製 : フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼを発現する転換組換え糸状菌は、大 豆素地の生成培地[(50g/l大豆粉、30g/lのlグルコース、5g/l NH4NO3,0.5g/l M gSO47H2O,0.5g/l KCl,0.183g/l FeSO47H2O)]において5日間200RPM−28℃の回 転振とう機でという同一条件下で培養された。 グルコアミラーゼプロモーターを利用する形質転換細胞は、大豆のグルコアミ ラーゼ培地(大豆培地+4%コーンデンプン及び6%グルコース)で更に成長さ せた。酵素サンプルは、発酵培養のアリコートを小型遠心機で10分間13,000RPM で遠心分離し、次いで、酵素含有上澄みを酵素検定用清浄管に移 して集めた。 実施例5 フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの 両遺伝子の平衡された過度発現 フィターゼ及びpH2.5APの両遺伝子による二重酵素転換の分析 pH2.5酸性ホスファターゼとフィターゼの両方とも、フィチン酸の最適分解に は必要故、両酵素を過度生成できる菌株を構築することは非常に有利であった。 フィチン酸は、フィターゼ単位対酸性ホスファターゼ単位の比が特定用途に合わ せて調整されれば、殆んど効率よく脱リン酸されるので(上記実施例1)、この 望ましい比の範囲で両酵素を過度生成する形質転換細胞菌株が選択できればそれ に越したことはなかった。 A.niger ALKO243形質転換細胞は、表13に示されている転換ベクタープラスミ ドとフレオマイシン選択遺伝標識によるコトランスフェクションの組み合わせを 使って(上記実施例4、材料と方法に記載されたように)選択した。プラスミド を含むフィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼとの表示された組み合わせでの共 形質転換に従い(表13)、形質転換細胞は振とうフラスコ培養で(表7と表10、 実施例4、上記のよ うに)成長させ、酵素生成を評価した。 総ての二重酵素形質転換細胞が先ず検定され、pH2.5酸性ホスファターゼの量 が決められた;もしレベルが顕著に高ければ、フィターゼ活性が検定された。( フィターゼは2つの指摘pHをpH2.5とpH5.0に有する故[上記実施例1]、その活 性は、pH2.5酸性ホスファターゼのパラメーターの下で検出できる。)(酸性ホ スファターゼの値は、pH2.5酸性ホスファターゼの検定に際して現れるフィター ゼ活性を考慮して調節した。425個の形質転換細胞のうちの9個がフィターゼとp H2.5酸性ホスファターゼを過度生成することが見いだされ;しかも4:1 HFU/PU( 即ち、pH2.5酸性ホスファターゼHFUをフィターゼPUで割ったもの)を上回った。 475個の組み合わせ形質転換細胞のうちの18個が、pH2.5 酸性ホスファターゼに対するALKO243より20倍のHFU/mlを越える大きさの及びフ ィターゼ活性に対するALKO243より250倍のPU/mlを越える大きさの活性を示した 。 分子特性 菌株GAX7、GAX-11及びGAX-12は、それらの遺伝子用量、メッセージレベル及び 酵素生成について相対的量を決めるために特性付けられた。3つの形質転換細胞 の総ては、フィターゼの転換ベクターpFF4の導入によって生ずる縦列組込みを立 証している。2つの菌株、GAX-7及びGAX-11、もまた多重組込みの場合の証拠を 示すものである(図17A)。 ALKO243 mRNAレベルを越えるフィターゼメッセー ジレベルの増加は、17.5倍増(GAX-11に対して)から34.4倍増(GAX-12に対して) まで幅がある(図17B;表15)。 図17Aは、二重遺伝子転換GAX菌株のフィターゼ遺伝子のDNAのコピー数に関 するサザン分析を示す。二重酵素転換GAX-7、11及び12からのDNAは、BamHI及びX baIで消化し;電気泳動し;ブロットし;そしてフィルタをpFF-4からのBam HI/X baIフラグメントでプローブした。レーン1.BamHI/XbaIで消化されたpFF-4プラ スミドコントロールDNA。レーン2.ALKO243未転換コントロールDNA。レーン3 .軽質転換細胞GAX-7DNA。レーン4.形質転換細胞GAX-11DNA。レーン5.形質 転換細胞GAX-12 DNA。p=転換ベクタープラスミドのコピー数;c=染色体遺伝子の コピー数。 図17Bは、図17AのGAX菌株のフィターゼmRNA転写物レ ベルについてノーザン分析を示す。20mgの全RNA,10ngのmp18RF DNA(mp)でス パイクされたもの、は電気泳動し;ニトロセルロースにブロットし;そしてpFF- 1でプローブした。フィターゼ転写は1.4kbで可能。レーン1.ALKO243未転換コ ントロールDNA。レーン2.GAX-7 RNA。レーン3.GAX-11 RNA。レーン4.GAX-12 RNA。 3つの菌株についてのサザン及びノーザンブロッティングによる同様の分析か ら得たデータを、pH2.5酸性ホスファターゼの転換ベクター遺伝子配列について 、下記表16に提示する。その結果から、GAX-7、pPHO-3の要素、は、pH2.5酸性ホ スファターゼの1つのエキストラコピーを含み(単一組込みの場合);これに対 しGAX11及び12、pPHO-4Aの要素は、(縦列統合によって得られた)複数のエキス トラコピーを含んでいたことが示される。pH2.5酸性ホスファターゼについての メッセージレベルは、夫々、GAX-7で(即ち、ALKO243のレベルを越えて)2.7倍 、GAX-11及びGAX-12で15倍増であった(図18B;表16)。単一のpH2.5酸性ホスフ ァターゼの遺伝子形質転換細胞について観察されるように(即ち、上記実施例4 )、転換ベクタープラスミドの組込みに関してはフィターゼベクターでより高い コピー数が得られたが、pH2.5酸性ホスファターゼのメッセージレベルは、フィ ターゼベクターで観察されるレベルの高さには対応しなかった(下記表16)。 図18Aは、GAX二重遺伝子転換菌株のpH2.5酸性ホスファターゼのDNAコピー数 についてのサザン分析を示す。全サンプルは、SalIで消化し、電気泳動し、ニト ロセルロースにブロットし、そしてpAP-3からのフラグメントで分離されたpH2.5 酸性ホスファターゼでプローブした(実施例3、上記)。レーン1.pPHO-3プラ スミドDNAコントロール、SalI消化。レーン2.pPHO-4AプラスミドDNAコントロ ール、SalI消化。レーン3.未転換ALKO243DNAコントロール、レーン4.GAX-7 DNA、レーン5.GAX-11 DNA、レーン6.GAX-12 DNA、 図18Bは、菌株で転換された二重酵素のpH2.5酸性ホスファターゼメッセージ 発現のmRNAレベルについてのノーザン分析を示す。pH2.5酸性ホスファターゼRNA 転写可能。レーン1.ALKO243未転換コントロールRNA、レーン2.GAX-7 NA、 ーン3 .GAX-11 RNA、レーン6.GAX-12 RNA 「材料と方法」 ここに用いられる材料と方法は、上に使われたそれらと同 一(実施例4参照)。 実施例6 二重形質転換細胞におけるフィターゼとpH2.5 酸性 ホスファターゼの過度発現レベルの制御 上記実施例2-5に記載の通り、フィターゼとpH2.5酸性ホスファターゼの工業上 の収量の著しい増加は、菌株Aspergillus niger(即ち、ALKO2268)を転換ベク ター構成で転換し、且つ酵素的に所望の活性タンパク質を過度発現する形質転換 細胞を選択することにより達成された。振とうフラスコ発酵においてフィターゼ 収量は、ALKO243(実施例4、表8,上記)で達成された酵素生成レベルよりも2 ,000倍も増加し、pH2.5酸性ホスファターゼの収量は、100倍を越える増加を示し た(実施例4、表11,上記)。これらの収量増加には、幾つかの要因があること が考えられた:最も重要なことは、遺伝子用量の増加、及び効果的代替プロモー ター(即ち、異種プロモーターGA、GAP、GAPDH及びβ-チューブリンプロモータ ー、上記実施例4及び5参照)の活用である。発現レベルを制御する要因を更に 深く評価した。フィターゼ及び酸性ホスファターゼの発酵レベルに及ぼす遺伝子用量の影響 : 上記実施例4及び5に示されたデータから、フィターゼタ ンパク質の比較的大きな増加は、遺伝子コピー数とmRNAの転写レベルの比較的緩 やかな増加に起因していたことが示唆される。観測された遺伝子コピー数の増加 は、フィターゼ過度生成菌株における追加コピーで3〜5の範囲であった。これ らに菌株、即ち、GAE-32、GAK-47、GAL-65、GAM-225及びGAO-248、は、組換え転 換ベクタープラスミドDNAの多重統合の結果によって、即ち、縦列統合によるよ りも、明らかに多くの遺伝子コピーをもたらした。5つの菌株のうち3つ、GAL- 65、GAM-225及びGAO-268、は、そこからは縦列配列が生じそうもない直線DNAフ ラグメントで転換された。しかし、GAE-32とGAK-47は、しばしば縦に配列した遺 伝子コピーを生ずる円形ベクター構成で転換された。形質転換細胞は、(一般的 に行われているサザンブロット分析よりも)酵素−プレート検定においてフィタ ーゼ活性に基づき選択されたため、フィターゼのDNA配列を最適位置に組込んだ 形質転換細胞の相対的頻度が多分増やされたのであろう。染色体組込み部位(複 数の場合もある)は、フィターゼの遺伝子発現に当たり及びこのスクリーニング で選択された最適化形質転換細胞において明らかに重要な役割を演じる。 高生成率のフィターゼ形質転換細胞において、メッセンジャーRNAレベルは、A LKO2268よりも7から13倍高められ、一 方、細胞で作られる発酵レベルは、50倍に増大した。 pH2.5酸性ホスファターゼの形質転換細胞(上記、表12、実施例4;表16、実 施例5)に見られるコピー数は、フィターゼの形質転換細胞(上記、表9、実施 例4:表15、実施例5)におけるよりも高いが、pH2.5酸性ホスファターゼのメ ッセージ量は、実質上、フィターゼの形質転換細胞におけるよりも低い。pH2.5 酸性ホスファターゼの大量生産者である菌株GAT-143、GAW-54、GAW89、GAW121及 びGAW130は、pPHO-3もしくはpPHO-4Aからの直線DNAを有するベクターで転換した 。これらの転換で7から12の追加遺伝子コピー(即ち、ベクター遺伝子のコピー )は分かったが、メッセージレベルは、僅かに約3倍から約7倍までの増加にす ぎなかった。形質転換細胞の滴定に及ぼす直線及び円形DNAの影響 : フィターゼの酵素生成に及ぼす直線DNA転換ベクター構成及び円形ベクター構 成の効果を評価した。全体的に、円形構成では、形質転換細胞の頻度がより高め られ、その結果フィターゼ酵素の生成は増えるが、形質転換細胞によって作られ る酵素の最高レベルは、直線と円形では差が無かった。例えば、円形ベクターpF F3は8/24(33%)のフィターゼ形質転換細胞を産したが、これは750PUを越える 酵素生成レベルである。pFF3の直線対照体、即ち、pFF8では、形質転換細胞は二 分の一であったが(即ち、フィターゼ生成について同一のスレッショルドレベル を達成していた)、選ばれた形質転換細胞は、pFF8形質転換細胞に匹敵する最高 生成レベルを有していた。直線フラグメントが精製・再連結される時、比較的高 い生成頻度は増えなかった。 図19.直線及び円形DNAの24時間ランダム選択フィターゼ形質転換細胞に及 ぼす影響。円形ベクターpFF3では、33%のフィターゼ形質転換細胞が750PNUより 大きい酵素生成レベルを示した。この直線対照体、即ち、pFF8では、形質転換細 胞は二分の一であったが、フィターゼ生成について同一のスレッショルドレベル を達成していた。 PNU=フィターゼ標準化単位生成物滴定に及ぼす菌プロモーターの影響 : Aspergillusの菌の発現レベルは、A.nigerフラグメントの菌プロモーターの特 定選択に左右されるであろう。上記実施例4及び5に示された結果は、フィター ゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼは、種々のA.nigerプロモーター(例えば、GA、 GAPDH及びβ-チューブリンプロモーター)、並びにフィターゼ及びpH2.5酸性ホ スファターゼの5′調節領域の未変性プロモーター要素から発現できる、という 概念を支持している。しかし、その結果はまた、形質転換細胞に生成される 酵素の最高レベルは、異なったプロモーターから指図された発現とは異なってい る、;即ち、プロモーターの選択により発現レベルが決定される、ということも 示す。未変性のフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼは有効だが、グルコア ミラーゼ(GA)及びGAPDHプロモーターは、特に優れていた。フィターゼ及びpH2.5 酸性ホスファターゼのGA及びGAPDHプロモーターの制御下の発酵培養における生 成レベルを図20に示す。 図20.プラスミド転換に用いられる別の菌プロモーターは、A.niger形質転 換細胞に生成されるフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼのレベルに影響を 与えた。10個の形質転換細胞(即ち、それの与えられたプロモーターに対し最高 のレベルを有する)により作られた酵素のレベルは、共に平均していた。(二重 酵素転換によるデータは、これらの計算には使用しなかった。) GAPDH=グリセルアルデヒド3-リン酸の脱水素酵素。 GA=グルコアミラーゼ。 Aspergillus種由来のグルコアミラーゼプロモーターは、報告によれば、幾つ かのタンパク質の発現を増強するために用いられてきた(Ullah等,1987)。GAプロ モーターに加え、GAの配列は、発現増強のために使われてきたと報告されている グルコアミラーゼの単一ペプチドとプロペプチドを含んでいる(Yamamoto等,1970 )。 生成されたフィターゼのレベルに及ぼすフィターゼの単一配列効果を試験する ため、フィターゼ遺伝子の単一配列を、菌グルコアミラーゼの推定信号配列を含 む合成オリゴヌクレオチドにより(構成pFF-11に)置換した。驚いたことに、生 成される酵素レベルを高める代わりに、GA信号配列の挿入により、生成される酵 素レベルが、未変性フィターゼの信号配列(即ち、未変性フィターゼの遺伝子配 列)を有する形質転換細胞で達成された生成レベルと比べ、生成フィターゼのレ ベルが事実低下した。これらの結果は、フィターゼの生成レベルを最大にする際 のフィターゼの信号配列の潜在的重要性を表示するものである。 グルコアミーゼプロモーターの制御下にある遺伝子は、デンプンの存在で誘導 してよい。フィターゼ生成レベルに対するそうした誘導の効果を評価するため、 幾つかのpFF-4及びpFF-9のグルコアミーゼープロモーターのフィターゼ形質転換 細胞は、予め4%のコーンデンプンを追加されている培地で培養した。後者の培 養では平均が1.4倍である酵素生成レベルを高めたが、これらの生成レベルは、 一貫して観測されなかった。誘導条件下で見られたフィターゼの最高収量は、 3240-3770PNUであった。その結果は、フィターゼ生成発酵肉汁に使われる培地を 最適化すれば、酵素の収量を著しく伸ばすことができることを示している。 グリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)のプロモーターは、報告によ れば、異種遺伝子生成物の高レベル発現を操作できる重要なプロモーターである 。発明者は、単独に、A.niger ATCC1015からのグリセルアルデヒドリン酸脱水素 酵素A遺伝子(gpdA)をクローン化して、A.niger菌株ALKO243又はALKO2268に導入 された転換発現ベクター構成におけるフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼ の遺伝子発現に対するその効果を評価した。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファ ターゼの発現を操作するGAPDHプロモーターを有する形質転換細胞の酵素生成の レベルは、上述のようにグルコアミラーゼプロモーターを使って達成されたレベ ル(図20)と殆ど同一であった。従って、GAPDHプロモーターが、酵素増加に何 かユニークな好機をもたらすとは思われなかった。しかし、この特異な挙動の原 因は今では明かである;ALKO243とALKO2268の間の発現の変化性は、ALKO243から の変種としてALKO2268を誘導したことに関係しており、この関連で、ALKO2268は 、親のALKO243菌株により作られたpH2.5酸性ホスファターゼの量のわずかにほぼ 1.5倍を生成するだけである。故に、 ALKO2268は、pH2.5酸性ホスファターゼの発現に関連する何らかの限定要素には 不十分である。(プロモーター操作発現におけるそうした菌株依存の差異は他の どのプロモーターにも見られなかった。) β-チューブリンプロモーターも、報告によれば、遺伝子の重要な発現を操作 できるプロモーターである。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子 発現に関するその可能な効果をテストするため、β-チューブリンプロモーター をA.niger菌株1015から分離した。プロモーターを転換ベクターに誘導し、フィ ターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの生成に及ぼすその効果を評価した。発明 者による以前の研究によれば、異種菌遺伝子の発現は、β-チューブリンプロモ ーターで操作される時は増加し得ること、及びこの増加はGAPDH-又はGA-プロモ ーター(Panlabs、未発表)を使って達成できるものより十分に大きかったこと、 が示されている。残念ながら、フィターゼ転換ベクター構成にβ-チューブリン プロモーターを包含したものは生成酵素のレベルを低下させ;また、pH2.5酸性 ホスファターゼでは、生成レベルにおいて、未変性プロモーターによって媒介さ れた生成レベルをわずかばかり上回った増加が認められるだけであった(図20) 。 また、組換えフィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの生成は、リン酸媒介 の転写抑制に敏感かも知れないということもできるだけ考慮した。この場合、生 成酵素のレベルは、発酵培養における前述の条件を排除することにより増加でき るかも知れない。リン酸媒介抑制という概念の支持の上に、ALKO243とALKO2268 の両菌株をもつ細胞は、余分のリン酸を発酵培養肉汁に加えても検出可能なフィ ターゼを何等生成しなかった。更にこの可能性を検討するため、交互プロモータ ーを有するフィターゼ形質転換細胞によって生成された酵素レベルは、そうした 交互プロモーター(即ち、GA、GAPDH又はβ-チューブリン)が推定されるリン酸 媒介抑制を排除したかどうかを見るために、転換ベクター構成における未変性フ ィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼのプロモーターで達成されたレベルと比 較検討された。面白いことに、形質転換細胞がリン酸の存在で成長する時、フィ ターゼかpH2.5酸性ホスファターゼかの何れかのプロモーターにフィターゼの生 成は何等検出されず、このことは異なった染色体部位に組込まれた未変性プロモ ーターによって克服できないリン酸媒介抑制という概念を支持している。交互プ ロモーターを評価する際、β-チューブリンプロモーターをもつある形質転換細 胞はリン酸の存在でフィターゼを生成できたが、フィター ゼ生成は約1.5倍まで減少することを示した。逆に、GAPDH-プロモーター及びGA- プロモーターの形質転換細胞は、どのような程度にしろ、リン酸媒介抑制には敏 感ではなく、追加リン酸の有無において類似レベルのフィターゼ生成を生じた。 従って、その結果から、フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子の5′ 調節領域にある調節要素は、遺伝子発現のリン酸媒介抑制をリードするのに有用 であろうということ、また交互プロモーターをこれらの遺伝子の5′領域に挿入 することによって、これらの未変性調節の束縛を克服し且つ生成収量を増加し得 ること、が示唆される。 速度制限要因を識別することによって、例えエネルギーか分泌が関連しようと も、フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼの収量を更に増加できる。培地の 最適化、pH2.5酸性ホスファターゼの遺伝子転写レベルの向上又は安定化、又は 高生成物の突然変異誘発のスクリーニングのような他の要因も、製品産出に更に インパクトを与えるものである。遺伝子用量の上昇及び交互プロモーターの活用 は、未変性プロモーターを凌ぐ生産収量を劇的に増大させ、マイナス要因である 調節の束縛を解いた。フィターゼ及びpH2.5酸性ホスファターゼに関する遺伝子 のクローニング及び再導入は、動物の飼料補充物として使用されるこれらの酵素 のレベルを商業的 に十分使えるところまで向上させた。相同遺伝子の過度発現についての合理的設 計は、他の菌類工業生成物の収量増加のために適用でき、且つ異種発現に要求さ れるメカニズムのより深い解明に潜在的に寄与している。 「材料と方法」 この実施例に用いられる材料と方法は、上記実施例4に使われたものと同じ。 この発明の好ましい実施態様が説明及び記載されてきたが、発明の精神と範囲 を外れることなく種々の変更がそこになされ得ると理解すべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI (C12N 9/16 C12R 1:685) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,H U,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,MG,MN ,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU, SD,SE,SK,UA,US,VN (72)発明者 パロハイモ,マルヤ テー. フインランド国, 00260 ヘルシンキ, トーロンカツ 32 ベーアー7 (72)発明者 ファゲルシュトロム,リヒャルト ベー. フインランド国, 02260 エスポー キ ーロティー 18 アー (72)発明者 ミーティネン‐オイノネン,アルヤ エ ス.カー. フインランド国, 02430 マサラ ニス ニクンティー 1 エフ 22 (72)発明者 ツルネン,マルヤ カー. フインランド国, 00280 ヘルシンキ, ライジオンティ 7 アー 3 (72)発明者 ラムボセク,ジョン エイ. アメリカ合衆国, 98115 ワシントン州, シアトル,17ス アベニュー エヌ.イ ー. 7701 (72)発明者 ピディントン,クリストファー エス. アメリカ合衆国, 98103 ワシントン州, シアトル,エヌ.70ス 736 (72)発明者 ヒューストン,クリスティーン エス. アメリカ合衆国, 98011 ワシントン州, ボセル,90ス アベニュー エヌ.イー. 14018 (72)発明者 カントレル,マイケル エイ. アメリカ合衆国, 98125 ワシントン州, シアトル,36ス エヌ.イー.12047‐ビ ー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.厳しい条件下でヌクレオチド配列SEQ.ID.NO.18とハイブリッド形成ができ る第一の核酸と、厳しい条件下でヌクレオチド配列SEQ.ID.NO.20とハイブリッド 形成ができる第二の核酸とから成る組換え転換宿主細胞。 2.組換えフィターゼと、1つ以上の組換えホスファターゼとを合成及び分泌 できる請求項1記載の宿主細胞。 3.フィターゼの量と、ホスファターゼの量とを予め決められた所望の比で分 泌できる請求項2記載の宿主細胞。 4.前記分泌フィターゼは、ALKO243(ATCC#38854)によって分泌されるフィタ ーゼの酵素活性より少なくとも約2倍大きいミリリットル当りの酵素活性を有し 、また前記分泌ホスファターゼは、ALKO243(ATCC#38854)によって分泌されるホ スファターゼの酵素活性より少なくとも約10倍大きい酵素活性を有することを特 徴とする請求項2記載の宿主細胞。 5.前記分泌ホスファターゼは、前記フィターゼの酵素活性より約3倍乃至約 16倍大きいミリリットル当りの酵素活性を有する請求項2記載の宿主細胞。 6.糸状菌から成る請求項1記載の宿主細胞。 7.更にアスペルギルスから成る請求項6記載の宿主細胞。 8.更に、本質的に、GAX-11、GAX-12、GBE-14、GBH-134、GBH-15、GBJ-9、GB J-10、GBJ-13、GBJ-16、GBJ-26、GBJ-27、GBJ-28、GBJ-31、GBJ-35、GBJ-38、GB J-40、GBJ-76及びGBJ-82から成る群から選択される細胞で構成される請求項7記 載の宿主細胞。 9.ヌクレオチド配列SEQ.ID.NO.18内に存する接触ヌクレオチド配列から成る フィターゼ核酸。 10.更に、アミノ酸配列RHGXRXP(式中、Rはアルギニン、Hはヒスチジン、Gは グリシン、Xは任意のアミノ酸及びPはプロリン)をエンコードするヌクレオチド 配列から成る請求項9記載のフィターゼヌクレオチド配列。 11.請求項9のヌクレオチド配列によってエンコードされたフィターゼアミノ 酸。 12.請求項9のヌクレオチド配列によって転換された宿主細胞。 13.ALKO243(ATCC#38854)によって分泌されるフィターゼの酵素活性より少な くとも約2倍大きいミリリットル当りの酵素活性を分泌ホス宿主細胞から成る請 求項12記載の宿主細胞。 14.糸状菌の細胞から成る請求項12記載の宿主細胞。 15.更にアスペルギルスから成る請求項14記載の宿主細胞。 16.更に、本質的に、GAI-6、GAL-142、GAN-1、GAG-12、GAO-248、GAI-12、GA K4-46、GAI-2、GAK4-52、GAM-111、GAK4-47、GAM-225、GAD-103、GAD-23、GAD-1 03、GAD-23、GAD-130、GAM-199、GAE-3、GAE-32、GAM-111及びGAL-65から成る群 から選択される細胞で構成される請求項15記載の宿主細胞。 17.厳しい条件下でヌクレオチド配列SEQ.ID.NO.20とハイブリッド形成ができ るpH2.5酸性ホスファターゼ核酸。 18.請求項17核酸によりエンコードされたpH2.5酸性ホスファターゼポリペプ チド。 19.更に、約52,000ダルトン乃至約53,000ダルトンの分子量をもつポリペプチ ド翻訳生成物を有するホスファターゼから成る請求項18記載のpH2.5酸性ホスフ ァターゼ。 20.請求項17のヌクレオチド配列によって転換された宿主細胞。 21.更に、ALKO243(ATCC#38854)によって分泌されるホスファターゼ酵素活性 より少なくとも約10倍大きいミリリットル当りのpH2.5酸性ホスファターゼ酵素 活性を分泌するホス宿主細胞から成る請求項20記載の宿主細胞。 22.糸状菌の細胞から成る請求項20記載の宿主細胞。 23.更にアスペルギルスから成る請求項22記載の宿主細胞。 24.更に、本質的に、GAO-69、GAW-131、GBL-128、GBL-97、GAO-61、GAW-89、 GAW-130、GAW-121、GBL-87、GBL-119、GAO-84、GAW-54、GBL-129、GAW-141、GBL -103、GAW-112、GBL-92、GAW-114及びGAT-143から成る群から選択される細胞で 構成される請求項23記載の宿主細胞。 25.約4.0乃至約4.25の等電点を有する非変性条件下の四量体と変性条件下でS DS-PAGEによって約66,000ダルトン及び炭水化物を十分取り除いた後では約46,00 0ダルトン乃至約49,000ダルトンの単量体とから成る十分精製されたpH2.5酸性ホ スファターゼ糖タンパク質。 26.更にNa-フィチン酸に関して0.7mM及びリン酸パラニトロフェニルに関して 4mMの見掛けのKmと37℃で約pH2.0乃至pH2.5の最適pHを有する酵素から成る請求 項25記載のpH2.5酸性ホスファターゼ。 27.ヌクレオチド配列SEQ.ID.NO.18内に存する接触ヌクレオチド配列から成る 第一のヌクレオチド配列によってエンコードされたフィターゼ酵素と、厳しい条 件下でヌクレオチド配列SEQ.ID.NO.20とハイブリッド形成ができるヌクレオチド 配列から成る第二のヌクレオチド配列によってエンコードされたpH2.5酸性ホス ファターゼ酵素との混合体であって、フィターゼ酵素活性に対するホスファター ゼ酵素活性の比が約 3:1乃至約16:1である酵素的に活性な混合体。 28.請求項27の混合体をフィチン酸複合体から成る飼料に付加することを特徴 とする飼料の品質を改善させるプロセス。 29.動物に飼料を与える前に、その複合体から複合物質を放出するに十分な時 間の間前記飼料を保温することを特徴とする請求項28記載のプロセス。 30.プロモーターと請求項9のヌクレオチド配列と随意の選択可能遺伝標識と から成る、細胞中のフィターゼ核酸を発現するためのベクター構成。 31.更に、β-チューブリン、GA、GAPHDの中から選択されたプロモーター、又 は未変性フィターゼプロモーターを有するベクターから成る請求項30記載のベク ター構成。 32.プロモーターと請求項17のヌクレオチド配列と随意の選択可能遺伝標識と から成る、細胞中のpH2.5酸性ホスファターゼ核酸を発現するためのベクター構 成。 33.β-チューブリン、GA、GAPHDの中から選択されたプロモーター、及び未変 性pH2.5酸性ホスファターゼプロモーターを有するベクターから成る請求項32記 載のベクター構成。 34.少なくとも1つのプロモーターとSEQ.ID.NO.18及びSEQ.ID.NO.20のヌクレ オチド配列と随意の選択可能遺伝標識とから成る、細胞中のフィターゼとホスフ ァターゼ核酸を発 現するためのベクター構成。 35.pFF1、pFF2、pFF3、pFF4、pFF6A、pFF8、pFF9及びpFF11を含む群から選択 される、細胞中のフィターゼ核酸を発現するための請求項30記載のベクター構成 。 36.pPHO1、pPHO2、pPHO3及びpPHO4を含む群から選択される、細胞中のpH2.5 酸性ホスファターゼ核酸を発現するための請求項32記載のベクター構成。 37.pFIN1AとpFIN1Bを含む群から選択される、細胞中のフィターゼとpH2.5酸 性ホスファターゼの核酸を発現するための請求項34記載のベクター構成。
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