【発明の詳細な説明】
自動化専用交通システムの分岐装置技術分野
本発明は鉄道システム、及び専用軌道システムの分岐装置に関するものであり
、また特に、1対の離間するレール上を僅か3、又は4秒の車輌間隔で走行し、
高速で作動し得る個々の小さな車輌を使用する形式の自動化専用交通(AGT)
システムに使用するのに適する分岐装置に関するものである。しかし、本発明分
岐装置はその他の種々の鉄道システム、及び専用軌道システムに使用して適する
。背景技術
上述の形式の自動化専用交通システムにおいては、ステーションは近い間隔で
あるにも拘らず主線上の高速の平均軌道速度を達成するため、主線を外れたステ
ーションで、車輌が数多く停車することができることが必要である。
交互の車輌にとって、分岐装置の長さを短くし、分岐装置の切換え操作時間を
例えば2秒、又はそれ以下のように最短にするなど、速度の損失を最少にして主
線を走行し、又は分岐線に入ることができることが必要である。主線から分岐す
るために使用する分岐部は乗客の快適さのため傾けるべきである。
通常の鉄道の分岐装置は幾つかの理由のためAGTシステムには使用されてい
ない。その理由として、第1に、AGTシステムは地面の高さの交通を妨害しな
いようにするため専用軌道を高くして使用することが多いことである。車輌の幅
の通常半分のように軌道を狭くしない限り、市街地、又は郊外の環境に余りにも
目障りであり、このシステムはモノレールと呼ばれることが多い。このようなシ
ステムでは、例えば強風で車輌が転覆しないようにするため、余分な車輪や、余
分な案内面を設けなければならない。このような余分な案内面は平坦な広い負荷
支持軌道の下方のレベルに通常設けられており、分岐装置の設計を複雑化し、通
常の鉄道分岐装置を使用できないようにしている。
第2に、通常の鉄道分岐装置においてはカーブするレールを傾けることは実際
的でないことである。
第3に、AGTシステムにおいては、専用軌道から動力を供給するのが普通で
あり、この目的のために、例えば第3レールを使用する通常の若干の電鉄の場合
のように縦方向の導線によって動力を供給するのが普通であることである。これ
は、架空電線は美的理由から高架専用軌道には一般に適しないためである。また
AGTシステムにおいては、制御や通信の手段を得るため、付加的縦導線も通常
必要である。このような縦導線の群は走行面、及び通常の鉄道分岐装置を横切る
ことができず、分岐帯域において連続的に電気的接続を維持するため、導線と、
車輌上の集電ブラシとを車輌と軌道とで二重に設けている。
従来の若干の提案では、案内軌道の第1部分を縦導線、及び補助案内面と共に
側方にずらし、その位置に第2部分を移動させ、案内軌道の第1部分を真直ぐに
平坦にし、第2部分を湾曲させ傾斜させることにより、モノレール、及びその他
の専用軌道システムの分岐装置に関連する問題を解消せんと試みている。しかし
、このような従来の提案の問題点は、重厚な構造物を動かす必要があるため、切
換時間が長くなることである。他の従来の提案は分岐帯域を含む全体のモノレー
ル構造を湾曲させることを包含しているが、これ等の提案は切換時間が重要でな
い高速列車に関するものに過ぎない。
Trent による米国特許第3472176 号、及び第3477389 号に実用性のない従来の
提案がされており、これ等の米国特許は一連の垂直支持体、即ち支柱によって支
持することにより湾曲し、捩じれた軌道面を支持する狭い梁を示している。これ
等の支柱は傾けることができ、地面から十分下方の位置に支柱を枢着し、分岐帯
域における軌道を傾け、湾曲させることができるように支柱を配置している。こ
のような提案が実用的でないのは、まず切換構造が数百米も延在していること、
梁の大きさが数百トンの重量にも達することである。第2に、この構成において
必ず発生する横揺れ角(又は傾斜)に対する側方シフトの量に関して受け入れる
ことができないことである。例えば、最新の枢着支柱は、推薦される15度の傾
斜角がこの分岐点まで続いている場合、地中に約23米も突入しており、このよ
うなことは受け入れることができない。更に、梁の可撓作用についてよく知られ
ているように、梁の端部に加えられる側方負荷のために、曲率が零まで減少し、
適切な傾斜角も零となり、Trent の構造では適切な傾斜角は達成されない。
J.Rosenbaum等による米国特許第2997004 号、及び第3093090 号に他の実用的
でない提案がされており、(安定性を得るよう鉄道客車によってまたがれた)幅
の狭い箱形の梁を使用することをこれ等米国特許が開示しており、この梁を横方
向に曲げて、切換えを行うための軌道の側方シフトが得られるようにしている。
しかし、先に述べたTrent の提案の場合のように、この構成は梁構造全体を1つ
の位置から他の位置に側方に動かす必要があり、このような移動は非常に困難で
ある。Rosenbaum の構造も、Trent の構造も、傾斜を得るために望ましい捩じっ
た状態に梁構造を撓ませるような構成になっていない。
同様に、G.Schutzeも米国特許第3013504 号、及び第2903972 号において箱形
案内路を示しているが、この構造も同一の欠点を有する。
従来の分岐位置における分岐装置についての提案は個々の車輌が比較的密接し
た間隔で高速で続々と走行するAGTシステムでは使用するのに適しない。従っ
て、車輌がステーションで停止する時、主線、即ち主軌道から分岐線に迂回し、
即ち切り換わることができ、後続する車輌が速度を落とすことなくこの車輌を通
過することができれば有利である。このような構成におけるいかなる分岐装置も
主線から分岐線に迅速に移動することができることが必要であり、分岐装置の長
さも最初に述べたように短いのが好ましい。このようにすれば、車輌が分岐線位
置におけるカーブの軌道を移動する時、乗客は高い側方加速を体験するが、分岐
位置において軌道が適切に傾斜していると、この側方加速は乗客にとって一層受
け入れられる。軌道が狭く、従って必要な移動が少ない場合には、側方加速の程
度は少ない。このような狭い軌道は「自己操向鉄道ボギー」の発明の名称の係属
中の国際出願第PCT/AU94/00046号に説明されており、案内軌道を高くし、車輌を
軌道にロックするのに、例えば「軌道案内車輌システム」の発明の名称の係属中
の国際出願第PCT/AU94/00201号に記載されているグリップホイールを使用してい
る。グリップホイールをレールヘッドの下側に走行させるこのような狭い軌道の
構成は、現存する鉄道の分岐装置における切換技術の使用を妨げており、上記の
Rosenbaum、Trent 、及びSchutze の特許明細書に認められているように、レー
ルの渡り線の区域を非実用的なものにしている。発明の開示
本発明の基本的な目的は上述の従来技術に関連する欠点を解消し、又は改良し
た専用軌道、又は鉄道軌道の分岐装置を得るにある。
本発明の広い態様において、本発明は、それぞれほぼ平行な2個のレールを有
する第1鉄道軌道と第2分岐鉄道軌道とを連結する分岐装置であって、第1鉄道
軌道を第1軌道セグメントと第2軌道セグメントとに分割する横不連続部を第1
鉄道軌道が有し、各第1軌道セグメントと第2軌道セグメントとが不連続部にレ
ール端を有し、第2分岐鉄道軌道が不連続部の一側に第1鉄道軌道から側方に離
れるレール端を有する分岐装置において、第1軌道セグメントのレール端が第1
位置において第2軌道セグメントのレール端に一線になり、第2位置において第
2分岐鉄道軌道のレール端に一線になるよう撓むように配置された分岐帯域を構
成する部分を第1軌道セグメントが有し、分岐帯域に沿って間隔を置いて配置さ
れた複数個の横枕木によってほぼ一定に離間した関係に第1軌道セグメントのレ
ールを連結して保持し、第1軌道セグメントのレール端を第1位置と第2位置と
の間に側方に移送するよう枕木の1個、又は2個以上に連結された移送装置を設
けたことを特徴とする。
移送装置の作動中、第1軌道セグメントの枕木に対し、限定された回動運動を
するようレールを配置するのが好適である。
第1軌道セグメントを第1位置と第2位置との間に移動させる際、移送装置に
よって第1軌道セグメントのレール端を上昇させ下降させるのが好適である。
衝合部を有する構造によって第1鉄道軌道と第2鉄道軌道とを支持するのが好
適である。第1位置、又は第2位置に軌道が着座した時、それぞれの衝合部によ
って枕木を支持し設置する。
第1軌道セグメントのレール端が第1位置から第2位置に移動中、レールの高
さで側方シフトを生ずることなく分岐帯域を通過する車輌に平滑な横揺れ運動を
与えるよう分岐帯域の少なくとも一部の傾斜角が平滑に最大値まで増大し次に平
滑にレール端まで減少するよう傾斜角が中高に変化するように分岐帯域内の枕木
を傾斜させるよう移送装置を構成配置するのが好適である。
アームによって枕木を枢着して相互に連結する平行四辺形リンクと、支持部材
とを有する切換機構が移送装置であるのが好適である。
本発明の好適な形状では、上述の係属中の国際特許出願第PCT/AU94/00046号、
及び第PCT/AU94/00201号に記載されたような軌道、上反角を有する車輪、及びグ
リップホイールに本発明を使用することができ、これにより、上述の他の利点の
他に、例えば主軌道の真直ぐに延びている第1位置から、分岐軌道に一線になる
傾斜し、湾曲する形態を有する第2位置まで軌道組立体が撓むことができる。
他の形状では、本発明の分岐装置は枕木によって間隔が決定されるほぼ平行な
2本のレールを具える通常の鉄道と類似の形状をとるが、相違するのは、若干の
枕木を旋回可能に、又は弾性的にレールに連結し、分岐帯域の或る区域で、両者
間に僅かな角度回転が行えるようにすることである。一方の位置が主軌道に対応
し、他方の位置が分岐軌道に対応する2個の位置の間に移動できる枕木を軌道の
下に枢着部、又はリンクによって支持してもよい。主軌道の設定には分岐帯域の
レールが真直ぐで平坦であり、レールの端部が主軌道の端部に正確に一線をなし
、分岐軌道の設定には分岐帯域のレールが平滑に適切に傾斜し、即ち傾斜角が中
高になっており、レールの端部が進入する分岐軌道の端部に正確に一線をなすよ
うにリンクを構成する。このような実施例では、分岐装置を支持する基礎、梁、
又は桁の上に設けた適切な衝合部によって支持される枕木を有するのが好適であ
る。図面の簡単な説明
次に図面を参照し、限定されない実施例によって本発明を説明する。
図1は本発明分岐装置を適用する分岐鉄道の斜視図である。
図2は図1の矢印Aの方向に見た分岐鉄道軌道の横断面図である。
図3は図2に示す軌道と導線との一部の平面図である。
図4は図1の軌道と分岐装置との一部を形成するレールの可撓部の線図的平面
図である。
図5は図1のB−B線上の断面図である。
図6は図5のD−D線上の断面図である。
図7は図1のC−C線上の断面図である。
図8は図7のE−E線上の断面図である。
図9は枕木24における軌道と梁とを通る断面図である。
図10は図9のF−F線上の断面図である。
図11は枕木25〜30間の軌道と梁とを通る断面図である。
図12は図11のG−G線上の断面図である。
図13は枕木の位置に対する軌道のオフセットを示すグラフである。
図14は枕木の位置に対する軌道の傾斜角を示すグラフである。
図15は枕木の位置に対する側方加速を示すグラフである。
図16は分岐装置の切換中のレール3、4の端部の運動を線図的に示す図であ
る。発明実施の形態
図1は本発明の実施例による分岐装置を示し、鉄道軌道1−1のレールを分岐
鉄道軌道2のレールに一線になるように切り換え、可撓レール部分3、4によっ
て再び原位置に復帰させる。レール5、6のレール端に、又は分岐鉄道軌道2の
レール7、8のレール端に軌道1−1を交互に配列する分岐帯域を可撓レール部
分3、4が構成している。ここではレール部3、4をレール7、8に配列してい
る分岐鉄道軌道の設定の状態に分岐帯域を図示している。
柱12、13上に静止する梁9、10、11上に軌道1−1、2を支持する。
分岐帯域の外側に規則的な間隔で軌道に沿って離間した枕木15上に、梁9、1
0、11がそれぞれのレールを支持する。梁9、10、11を鉄筋コンクリート
で造るのが好適である(図2、図3参照)。防音パッド16を介してボルト17
によりレール7、8を枕木15に取り付ける。枕木15も絶縁物14によって適
切に絶縁された導線18を支持する。
柱12、13も梁19を支持する。梁19は分岐帯域にわたり軌道を支持する
役割を果たす。ここでは正規の枕木15の代わりに異なる形式の枕木20〜30
(図1参照)を分岐帯域の全長に沿い配置し、これ等枕木にレール部分3、4を
旋回できるよう、又は弾性的に、又はその両方の状態に取り付ける。図4、及び
図5には僅かに旋回できるようその状態を著しく誇張して図示する。導線18、
及び絶縁物14も同様に旋回できるようにする。
枕木20を移送、即ち動かす切換機構40を分岐軌道の設定状態にて図5、及
び図6に示す。切換機構40は枕木20を支持する2個のレバー31、32から
成る平行四辺形リンクを具え、この目的のためケーシング33の外にそれぞれ突
出する軸34、35にそれぞれレバー31、32を取り付ける。レバー31、3
2の上端にピン36、37を嵌着し、これ等ピンを枕木20に支承し、又は代案
としてゴムブッシュ(図示せず)に取り付ける。
ケーシング33内で軸35にレバー38を取り付け、このレバー38には半径
方向に延びる摺動路を設け、作動アーム39に枢着した整合摺動ブロック39b
をこの摺動路内で作動させる。ケーシング33内に支承された軸41に作動アー
ム39を取り付ける。
アーム43も軸41に取り付け、アーム43の外端を枢着点44において液圧
シリンダ46の二又45に枢着する。シリンダ46を枢着点47等でケーシング
33に枢着し、このシリンダを液圧管48、49によって適切な液圧動力源と作
動手段(図示せず)とに連結する。
油を管48に、従ってシリンダ46に送給した時、二又45によってアーム4
3を位置43aのような(鎖線にて)示す位置まで動かし、作動アーム39を位
置39aに、レバー38を位置38aに動かす。シリンダ46の移動の両端にお
いて、作動アーム39とレバー38とは互いに直角であり、従って、例えば図5
に示す位置ではレバー31、32は図示の位置に取り付けられる。この位置にお
いては、枕木20は上述のように取り付けられているだけでなく、ケーシング3
3に取り付けられた位置ブロック(又は衝合部)52、53に枕木の左端50、
右端51を着座させていることによって枕木20は動かないように固着されてい
る。今説明したようにシリンダ46を作動させると、レバー32は32aのよう
な鎖線位置に回転し、ピン37は鎖線104に沿って37aのように示す位置に
動く。従って、枕木20(位置37aに図示せず)は上昇し、所定位置まで移送
される。この或る位置とはレール5、6のレール端に一線になる位置までレール
部分3、4のレール端が移動する位置である。しかも、この位置は分岐帯域の軌
道が軌道1−1に一線になる分岐装置の主軌道設定に相当する位置である。レー
ル3の上面は鎖線101に沿って移動する。この位置では、枕木20の端部50
、51はケーシング33に取り付けられた位置ブロック54、55に着座してい
る。分岐軌道位置における導線18の端部(図5参照)も上昇してレール6から
離れて移送される。
図6において、レール5、6は梁10の端部から突出し、枕木15上に最終的
に支持されている。また軌道1−1、及び2の分岐帯域でない区域の全ての枕木
(図6に図示せず)におけると同様に、枕木15は縦方向導線18を支持してい
る。
図6、図7、及び図8を参照し、軸41はケーシング33の外側に突出して自
在継手57を取り付ける。この自在継手57を軸58の端部に取り付け、この軸
58を梁19に沿って枕木23まで延在し、この位置で切換機構91を駆動する
。この切換機構91は枕木20を支持している切換機構40に類似しているが、
この位置においてはレール部分3、4の必要なシフト量はより少ないから、この
少ないシフトに見合う一層スケールの小さい切換機構である。レール部分3、4
の運動は枕木20、23において密接に制御されるから、枕木21、22におい
ては、位置ブロック52、53、54、55に類似する位置ブロックをこれ等の
位置においてそれぞれのケーシングに取り付ければ充分である。
図8に示すように、軸58は自在継手59を介して軸60に連結しており、(
図5の)アーム39と同一角度だけレバー61を回転させる。
従って、レバー61はアーム39に相当し、同様にレバー62、63、及び6
4(図7参照)はそれぞれ図5のレバー38、31、及び32に相当する。同様
に、図7の位置ブロック67、68、69、70、及びピン65、66はそれぞ
れ図5の位置ブロック52、53、54、55、及びピン36、37に相当する
。分岐軌道において、枕木23が左(図7で見て)に傾くように、軸71、72
が位置している。車輌が分岐帯域を経て分岐軌道2に行く際に、軌道上に移動す
る車輌内の乗客にとって明らかに感ずる遠心力をこの傾斜が和らげる。軸60は
歯車73を支持しており、この歯車73は遊転歯車74を介して、カバー77に
支承された軸76上に取付けられたピニオン75までを駆動し、自在継手79を
介して軸78を回転させる。切換機構91をケーシング56内に収納する。枕木
24から枕木30まで延在する各枕木に隣接する軸受内に軸78は支持され、ビ
ーム19に沿って延在する。
枕木24の場合(図9、図10参照)には、図7の位置ブロック68に相当す
る位置ブロックを設ける空間が無いが、この枕木は枕木25(図11参照)の別
個の切換機構92に隣接しているため、枢着リンク80によって枕木24を支持
するだけでよい。位置ブロック81を設け、分岐軌道位置における枕木24の左
端を支持し、分岐装置の主軌道位置に位置ブロック82を設ける。位置84(図
10参照)のような位置で台83にリンク80を枢着し、軸78を台83に通し
、枕木24の移動には関与しないようにする。可撓レール部3、4に沿うこの点
で傾斜角(又は横揺れ角)がその最大角に達している。
図11、図12は枕木25〜30の運動を制御する機構92を代表的に示す。
これ等の各場合、梁19に取り付けた台86に85におけるように枕木を枢着す
る。軸78を87におけるように台86に支承し、軸78に取り付けた偏心部材
89に支承した連結ロッド88によって軸78を支持する。連結ロッド88の小
端を枕木に90におけるように支承する。
各偏心部材の偏心の程度は枕木25と枕木30との間で徐々に少なくなり、車
輌が枕木30のように案内路の分岐帯域に入る時、レールのレベルにおいて実際
の側方シフトを生ずることなく、平滑な横揺れ運動が与えられる。車輌内の乗客
は横揺れ加速から生じた側方シフトの加速を体験する。これにより、車輌に与え
られる横揺れ運動に起因して平滑な加速運動が乗客に一層受け入れられる程度に
なるにも拘らず、枕木20、23において横揺れと側方シフトとの両方を制御す
るのに切換機構40、91のみを必要とするに過ぎない。
図13は主軌道の設定線110と、分岐軌道の設定線111における軌道の増
大するオフセットとの両方について軌道の中心線のプロットを示す。軌道に沿う
距離は枕木30で始まり枕木20で終わる枕木の番号によって示されている。枕
木30と27との間、及び枕木23と20との間で軌道はほぼ直線状であり、枕
木27と23との間の線112では一定の半径で湾曲している。
図14を参照し、軌道を傾斜させるが(線113参照)、枕木30から枕木2
5まで約6°の最大値まで傾斜角を徐々に増大し、次に枕木20まで平滑に減少
させる。乗客は軌道上に適切に位置しているから、軌道に沿うオフセットの変化
(図13参照)に起因する側方加速の感覚をこの傾斜によって変化させ、図15
の線115におけるように乗客には若干低い正味の側方加速を感じさせる。しか
し、この軌道に掛合する車輌の車輪は線114による一層高い値の側方加速を受
ける。このことは乗客によって体験され知覚される側方加速は若干減少すること
を意味する。
しかし、この加速パターンの主な目的は、切換中、上に述べたような最小の努
力で、平滑な加速状態を得ることにある。図1に示すこの分岐装置は明らかな非
対称であるにも拘らず、この加速パターンは右から左に、又はその逆に車輌が進
行する場合でも同一に正確に行われ、知覚される加速はその増大、及び減少に関
して対称であるのは明らかである。一方、分岐装置がステーションに接近する軌
道の部分に位置していれば、異なる非対称加速パターンを生ずるが、分岐帯域に
おいて車輌を減速するか、加速するかの条件に適合するように調整される。
図16は切換中のレール端の移動の軌跡に関連する問題を示している。この問
題はレール3、及び4が分岐軌道位置2から主軌道位置1に、又はその逆に撓む
時に発生する。レール端3aは線103に沿ってレール端5aに隣接する位置に
動く。その移動の際、レール端6aを短くしない限り、レール端3aはレール端
6aに干渉する。しかし、このように短くすると、分岐装置の主軌道設定のレー
ル端4a、6a間に間隙を生じ、好ましくない。この間隙は直径が小さい車輪を
有する車輌にとって問題である。しかし間隙の程度によっては、直径が大きい車
輪を有する車輌には重要なことでない。
車輪が通常の軌道システムの車輪よりも非常に小さいAGTシステムではこの
間隙は重要である。
この問題は本発明の図示の実施例によって製造した分岐装置においては解消す
ることができる。これはレール端3a、4aが図5にそれぞれ101、102に
て示す通路に従って従動するからである。
分岐装置の上述の実施例はレールヘッドの下側を移動するグリップ車輪を利用
するAGTシステムに使用して適する。
上述の実施例は直線状の主軌道と、主軌道から側方に離れる分岐軌道とを参照
して説明した。しかし、例えば湾曲した主軌道であって、その主軌道から分岐す
る軌道を有する図示していない他の実施例に利用することができる。
また図示していない他の実施例では、可撓軌道部、及び可動枕木を採用する本
発明の分岐装置は軌道がY形状に分かれていて、単一の軌道が2個の別個の軌道
に分岐している軌道に同じように適用することができる。
特定の実施例につき示した本発明は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の
変更を加えることができることは当業者には明らかである。従って、ここに示し
た実施例は全ての態様において、本発明を限定するものでない。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年4月21日
【補正内容】発明の開示
本発明の基本的な目的は上述の従来技術に関連する欠点を解消し、又は改良し
た専用軌道、又は鉄道軌道の分岐装置を得るにある。
本発明の広い態様において、本発明は、軌道を使用する車輌が走行するそれぞ
れほぼ平行な2個のレールを有する第1鉄道軌道と第2分岐鉄道軌道とを連結す
る分岐装置であって、第1鉄道軌道を第1軌道セグメントと第2軌道セグメント
とに分割する横不連続部を第1鉄道軌道が有し、各第1軌道セグメントと第2軌
道セグメントとが不連続部にレール端を有し、第2分岐鉄道軌道が不連続部の一
側に第1鉄道軌道から側方に離れるレール端を有する分岐装置において、第1軌
道セグメントのレール端が第1位置において第2軌道セグメントのレール端に一
線になり、第2位置において第2分岐鉄道軌道のレール端に一線になるよう撓む
ように配置された分岐帯域を構成する部分を第1軌道セグメントが有し、分岐帯
域に沿って間隔を置いて配置された複数個の横枕木によってほぼ一定に離間した
関係に第1軌道セグメントのレールを連結して保持し、軌道のレール端間の間隔
を越えて第1位置と第2位置との間に移動する際第1軌道セグメントのレール端
によって移動する距離にわたり第1軌道セグメントのレール端を第1位置と第2
位置との間に側方に移送するよう枕木の1個、又は2個以上に連結された移送装
置を設けたことを特徴とする。
移送装置の作動中、第1軌道セグメントの枕木に対し、限定された回動運動を
するようレールを配置するのが好適である。
第1軌道セグメントを第1位置と第2位置との間に移動させる際、移送装置に
よって第1軌道セグメントのレール端を上昇させ下降させるのが好適である。
衝合部を有する構造によって第1鉄道軌道と第2鉄道軌道とを支持するのが好
適である。第1位置、又は第2位置に軌道が着座した時、それぞれの衝合部によ
って枕木を支持し設置する。
第1軌道セグメントのレール端が第1位置から第2位置に移動中、分岐帯域の
軌道を通過する車輌に平滑な横揺れ運動を与えるため分岐帯域の軌道の少なくと
も一部の傾斜角が平滑に増大して傾斜角が中高に変化するように分岐帯域内の1
個、又は2個以上の枕木を傾斜させるよう移送装置を構成配置するのが好適であ
る。
アームによって枕木を枢着して相互に連結する平行四辺形の形態のリンク装置
と、支持部材
請求の範囲
1.軌道を使用する車輌が走行するそれぞれほぼ平行な2個のレールを有する第
1鉄道軌道と第2分岐鉄道軌道とを連結する分岐装置であって、前記第1鉄道軌
道を第1軌道セグメントと第2軌道セグメントとに分割する横不連続部を前記第
1鉄道軌道が有し、各前記第1軌道セグメントと第2軌道セグメントとが前記不
連続部にレール端を有し、前記第2分岐鉄道軌道が前記不連続部の一側に前記第
1鉄道軌道から側方に離れるレール端を有する分岐装置において、前記第1軌道
セグメントの前記レール端が第1位置において前記第2軌道セグメントの前記レ
ール端に一線になり、第2位置において前記第2分岐鉄道軌道の前記レール端に
一線になるよう撓むように配置された分岐帯域を構成する部分を前記第1軌道セ
グメントが有し、前記分岐帯域に沿って間隔を置いて配置された複数個の横枕木
によってほぼ一定に離間した関係に前記第1軌道セグメントの前記レールを連結
して保持し、軌道の前記レール端間の間隔を越えて前記第1位置と第2位置との
間に移動する際前記第1軌道セグメントの前記レール端によって移動する距離に
わたり前記第1軌道セグメントの前記レール端を前記第1位置と前記第2位置と
の間に側方に移送するよう前記枕木の1個、又は2個以上に連結された移送装置
を設けたことを特徴とする分岐装置。
2.前記第1軌道セグメントを前記第1位置と前記第2位置との間に移送中、前
記移送装置によって前記第1軌道セグメントの前記レール端を最初は上昇させ次
に下降させる請求項1に記載の分岐装置。
3.前記第1軌道セグメントの前記レール端が前記第1位置か、又は前記第2位
置にある時、前記枕木を支持し設置するための衝合部を有する構造によって前記
第1鉄道軌道と前記第2分岐鉄道軌道とをそれぞれ支持する前記請求項のいずれ
か1項に記載の分岐装置。
4.前記第1軌道セグメントの前記レール端が前記第1位置から第2位置に移動
中、分岐帯域の軌道を通過する車輌に平滑な横揺れ運動を与えるため分岐帯域の
軌道の少なくとも一部の傾斜角が平滑に増大して傾斜角が中高に変化するように
分岐帯域内の1個、又は2個以上の枕木を傾斜させるよう前記移送装置を
構成配置した請求項1、又は2に記載の分岐装置。
5.アームによって前記枕木を枢着して相互に連結するほぼ平行四辺形の形態の
リンク装置と、支持部材とを前記移送装置が有する前記請求項のいずれか1項に
記載の分岐装置。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,US,UZ,V
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