JPH09501988A - 機械、航空機および宇宙船の構造物に使用するためのアルミニウム−ケイ素合金シート - Google Patents
機械、航空機および宇宙船の構造物に使用するためのアルミニウム−ケイ素合金シートInfo
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- JPH09501988A JPH09501988A JP8501711A JP50171196A JPH09501988A JP H09501988 A JPH09501988 A JP H09501988A JP 8501711 A JP8501711 A JP 8501711A JP 50171196 A JP50171196 A JP 50171196A JP H09501988 A JPH09501988 A JP H09501988A
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Abstract
(57)【要約】
機械的特性、疲労強度、靭性等を損うことなく、機械、航空機および宇宙船の構造物を軽量化できるAl−Si合金シートの提供。本発明は、320MPaより大きい降伏強さが得られるように自然時効、焼入れ、および場合によっては焼もどしによって熱処理され、下記組成(重量%):
Description
【発明の詳細な説明】
機械、航空機および宇宙船の構造物に使用するための
アルミニウム−ケイ素合金シート
[発明の分野]
本発明は、機械、航空機および宇宙船の構造物ならびに兵器に使用される、中
〜高強度のアルミニウム合金シートの分野に関する。
[従来の技術]
長年、航空機および宇宙船の構造物には、高強度のアルミニウム合金、特に、
2000シリーズ(米国のthe Alumlnum Association の呼称)のAl−Cu合
金(例えば合金2014、2019および2024)、ならびに7000シリー
ズのAl−Zn−MgおよびAl−Zn−Mg−Cu合金(例えば合金7020
および7075)が使用されてきた。
合金および変態範囲、特に熱処理範囲は、種々の使用特性、例えば静的機械的
特性(引張強さ、降伏強さ、弾性率、伸び);離着陸が繰り返される航空機にお
いて重要な疲労強度;靭性、すなわち亀裂の広がりに対する耐性;および応力腐
食などを微妙に折衷して選択されることが多い。また、適正な条件下での
合金の鋳造、圧延および熱処理可能性、合金の密度、ならびに場合によっては合
金の溶接性も考慮する必要がある。
30年以上にわたって、航空機胴体用の薄肉金属シートならびに翼もしくはロ
ケットまたはミサイルの極低温容器用の中肉および厚肉の金属シートに使用され
ている2000および7000合金の改良が他の特性を損うことなく構造物を軽
量化するという特定の目的のために、続けられている。
軽量化における大きな進歩は、アルミニウム−リチウム合金の開発によって成
された。すなわち、2.6%のリチウムを有する8090合金の比弾性率(弾性
率/密度)は、2024よりも約20%高く、7075よりも24%高くなる。
銅含量が高く、リチウム含量が低い2095などの合金も、その密度、弾性率お
よび溶接性の間のバランスが良好であることから、開発された。この場合、比弾
性率は、2219に比して約12%高い。しかし、これらの合金は、本質的に製
造コストが高いため、まだあまり広く使用されてはいない。
[発明の目的]
航空機構造を軽量化するための合金の研究過程において、本発明者らは、別の
範疇の合金である4000シリーズのAl−
Si合金(一般に、鋳造物として使用される。)であれば、比弾性率を2000
および7000合金に比して実質的に3〜10%改善することができるだけでな
く、鋳造、圧延または熱処理が困難となることなく、靭性、疲労強度および応力
腐食に関して航空機構造物の厳しい条件を満たす特性を備えていることを発見し
た。さらに、これらの合金は、ほとんどの2000および7000合金よりもか
なり大きく、これらのシリーズの中で特に溶接用に開発された2219および7
020合金などの合金と少なくとも同等の溶接性を有している。最後に、これら
の合金は、ほとんどの2000および7000合金よりもかなり大きく、これら
のシリーズの中で特に耐熱用に開発された2019および2618合金などの合
金と少なくとも同等の耐熱性を有する。
Al−Si合金は、成型鋳造品の製造にかなり広く使用されている。しかし、
この形状では、機械的強度、疲労強度および靭性が、構造部品に使用される変態
2000および7000鍛錬用合金よりもかなり低い。まれに、圧延形で使用さ
れることもあるが、これは特に、真鍮製の熱交換器の製造を目的とするめっき金
属シートのコーティング用である。従って、この場合、
本質的に融点が低く且つ湿潤性が良好であることが所望されるため、4343、
4104、4045および4047合金が使用される。
また、Al−Si合金は、棒状または断片の形で引き伸ばすこともできる。こ
れは、耐熱性および磨耗耐性が良好であるため、連接棒、ブレークマスターシリ
ンダー、駆動軸、軸受、ならびにモーターおよびコンプレッサーの種々の構成部
分に使用される。この目的に使用される合金の一つは4032である。
フランス特許FR2291284は、2個の冷却したロール間での連続鋳造に
より4〜15%のSiを含むAl−Si合金から作られる金属シートの製造を記
載している。この鋳造法は、破壊時の伸び、従って成形性を増加させることを目
的としている。その金属シートは単に焼きなますだけで、その降伏強さは220
MPa以下であるため、構造用に使用可能な高強度金属シートを目的としている
ものではない。
しかし、今日まで、組成および適切な熱処理範囲を適正に選択することにより
、構造用、特に機械、軍艦または航空機の構造物における機械的組み立て品また
は溶接組み立て品において使用可能な高い機械的強度を有するAl−Si合金シ
ートを開
発することは、だれも提案していない。
本発明は、320MPaより大きい降伏強さR0.2が得られるように自然時効
、焼入れ、および場合によっては焼もどしによって熱処理され、下記組成(重量
%):
Si:6.5〜11%
Mg:0.5〜1.0%
Cu:<0.8%
Fe:<0.3%
Mn:<0.5%および/またはCr:<0.5%
Sr:0.008〜0.025%
Ti:<0.02%
(他の元素の合計は0.2%未満であり、残りはアルミニウムである。)
を有する、機械、軍艦、航空機および宇宙船の構造物に使用するための合金シー
トに関する。
ケイ素含量は、好ましくは6.5〜8%であり、これは、AS7G合金のケイ
素含量に相当する。
本発明は、この合金から作られる中肉または厚肉の金属シートの航空機の翼の
下部表面用としての使用、薄肉の金属シート
の航空機胴体の表面被覆用としての使用、金属シートの、ロケットの極低温容器
、産業車両の本体および床、ならびに船の本体または上部構造の製造用としての
使用に関する。
[発明の詳細な説明]
本発明の金属シートのケイ素含量は、全体的に、フランス基準NF57−70
2に従うAS7GおよびAS9G合金またはthe Aluminum Association のA3
57およびA359の範囲に相当する。
マグネシウム含量は、不溶な金属間化合物Mg2Siの生成を避けるために、
1%を越えてはいけない。
銅含量は、不溶なMg2SiおよびQ(AlMgSiCu)相の生成を避ける
ために、0.8%までに制限しなければならない。この含量により、粒界腐食に
対する感受性も制限される。
鉄含量は、かなりの靭性および/または良好な伸びを必要とする場合は、厚板
用の7000合金の場合のように、0.3%まで、好ましくは0.08%までに
制限される。
チタンの存在は、板のチタン微細化に関係し、これは、現在の高強度合金の場
合と同じである。
良質な鋳造用合金の場合には一般的であるように、一次ケイ
素の生成を回避し、細かく分散した繊維状共晶構造を得るために、合金を修正す
る必要がある。この操作のためには、変態の際に高温脆性を生じる可能性がある
ナトリウムよりストロンチウムの方が好ましい。
本発明の金属シートは、垂直板鋳造、6mmへの熱間圧延、薄肉金属シートの
場合には任意に冷間圧延、545〜555℃での自然時効、冷水焼入れ、室温で
の析出硬化および/または150〜195℃の温度での6〜24時間の焼もどし
によって得ることができる。
熱間圧延の前に、530〜550℃での均質化を20時間未満行ってもよい。
これは、繊維状共晶の球状化および合金がマンガンおよび/またはクロムを含む
場合はマンガンおよび/またはクロムディスパーソイドの顕著な凝結を回避する
のに十分短い時間である。均質化を行わない場合は、極めて微細で球状化されて
いない共晶構造が最終状態で得られ、これは靭性に対して好ましい効果を及ぼす
。
テンパーT6においては、降伏強さが320MPa、あるいは340MPaさ
えよりも大きく、TL方向の伸びが6%、L方向の伸びが9%より大きく、限界
応力強度係数K1cで測定
した靭性が20MPaVMより大きい合金を得ることができる。
これらの条件下では、薄肉または厚肉の金属シートに対して使用される通常の
連続または間欠的TIGまたはMIG方法により合金を溶接することができ、ま
た、その密度は、リチウム含量が1%未満であるAl−Li合金と同様、従来の
2000および7000合金よりも常に低い。
[実施例]
実施例1:均質化した金属シート
380×120mmの板を、下記組成(重量%)を有する合金を使用して垂直
鋳造(vertical casting)により製造した。
Si:6.77%
Mg:0.59%
Cu:0.24%
Fe:0.06%
Mn:0.31%
Sr:0.016%
Ti:0.01%
(他の元素の合計は0.2%未満であり、残りはアルミニウムであった)。
その合金を550℃で8時間均質化し、4時間の温度上昇の後、500℃で2
時間再加熱し、次いで、反転ミル上で20mm厚さに熱間圧延した。切り取った
金属シートを550℃で2時間自然時効させ、水中で焼入れし、175℃で8時
間の焼きもどしを行った。これは、the Alum1nium Association によるT651
テンパーに対応する。
その合金の密度は2.678であり、引っ張りにおけるヒステリシスループ法
を使用して金属シートで測定した弾性率Eは74,100MPaであった。これ
は、比弾性率27,670MPaに対応し、これは、T351テンパーの合金2
024から作った同じ厚さの金属シートの各々の値が2.770、72,500
MPaおよび26,175MPaであることと比較すると、比弾性率において5
.7%の増加を示す。この増加は、溶接構造物に対する合金2219に比して9
%以上大きい。
2024 T351金属シートと比較した機械的特性は以下の通りである。
実施例2:非均質化金属シート
実施例1と同じ合金を使用し、同じ操作を行うが、再加熱の前の板の均質化は
行わないで、再加熱後に熱間圧延を行う。20mm厚さの金属シートで測定した
弾性率は74,170MPaであり、これは、2024 T351に対する比弾
性率の増加が5.7%であることを示す。
20mm厚さの金属シートで測定した機械的特性は以下の通りである。
均質化を行わないと、伸びおよび靭性に対して好ましい結果が得られることが
認められる。顕微鏡による比較テストから、ケイ素粒子の平均サイズが、均質化
した金属シートの場合は約7ミクロンであったが、非均質化金属シートの場合は
4ミクロン未満になることが分かる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 320MPaより大きい降伏強さR0.2が得られるように自然時効、焼入 れ、および場合によっては焼きもどしによって熱処理され、下記組成(重量%) : Si:6.5〜11% Mg:0.5〜1.0% Cu:<0.8% Fe:<0.3% Mn:<0.5%および/またはCr:<0.5% Sr:0.008〜0.025% Ti:<0.02% 他の全元素:<0.2% 残り:アルミニウム を有する、機械、軍艦、航空機および宇宙船の構造物に使用するための高強度ア ルミニウム合金シート。 2. Si含量が6.5〜8%であることを特徴とする請求項1に記載の金属シ ート。 3. 鉄含量が0.08%未満であることを特徴とする請求項 1または2に記載の金属シート。 4. 航空機の翼の下部表面の製造に使用するための、請求項1〜3のいずれか 一項に記載の中肉または厚肉の金属シート。 5. 航空機胴体の表面被覆に使用するための請求項1〜3のいずれか一項に記 載の金属シート。 6. ロケットの極低温貯蔵器の製造に使用するための請求項1〜3のいずれか 一項に記載の金属シート。 7. 産業車両の床または本体の製造に使用するための請求項1〜3のいずれか 一項に記載の金属シート。 8. 船の本体および上部構造の製造に使用するための請求項1〜3のいずれか 一項に記載の金属シート。 9. 下記工程: − 板の鋳造 − 480〜520℃で再加熱 − 熱間圧延および場合によっては冷間圧延 − 545〜555℃で自然時効 − 冷水焼入れおよび析出硬化 を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属シートの製造法。 10. 再加熱の前に、530〜550℃での均質化を20時間未満行うことを 特徴とする請求項9に記載の方法。 11. 最後に150〜195℃での焼もどしを6〜24時間行うことを特徴と する請求項9および10のいずれか一項に記載の方法。
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