JPH09501933A - 植物、動物、およびヒトのワクチンとして並びに免疫療法に有用な抗体の免疫優性エピトープの弱化 - Google Patents

植物、動物、およびヒトのワクチンとして並びに免疫療法に有用な抗体の免疫優性エピトープの弱化

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳類に投与可能なワクチンを提供するものであって、免疫優性エピトープを有する病原性有機体に対して、その哺乳類に免疫防御を引き起こすことができるワクチンが提供される。本発明ワクチンは、免疫優性エピトープに配置された改変形態の抗原を含有する。この改変形態を有することにより、免疫優性エピトープは、数々の技法の何れによっても免疫的に弱化される。免疫弱化技法の例としては、N−結合グリコシル化部位の付加、エピトープの正味電荷の変更、および寛容化配列との置換が挙げられる。本ワクチンは薬学的に許容しうる担体も含有する。

Description

【発明の詳細な説明】 植物、動物、およびヒトのワクチンとして並びに免疫療法に有用な 抗体の免疫優性エピトープの弱化技術分野 本発明は、免疫応答の操作に関する。より詳細には、免疫弱化(immunodampeni ng)によって免疫エフェクター応答の対象を、疾病関連の抗原に対してこれまで 無反応(silence)であったかあるいは非免疫原性であるエピトープに向けるもの である。背景技術 ウイルス、細菌、後生動物の寄生虫、およびヒトの癌等の病原性の各種作因は 、宿主の免疫応答に打ち勝つための巧妙な攻略法を発達させてきた。このため、 多くの病原性有機体に対する有効なワクチンの開発努力に障害を受けることが多 い。 ある種の寄生生物は、抗体の影響を避けて自己を守ることを可能とするような 細胞内生育環境を発達させてきた。また、その他の寄生生物の中でもアフリカン トリパノソーマなどは、抗原変異(antigenic variation)と呼ばれるプロセスを 利用して自己の表面外被の特性を変える。さらに他の寄生生物は、リンパ球障害 性因子を放出して宿主の免疫応答を抑制する途を発達させている。 上記以外の攻略法によれば、病原体は、構造の変化あるいは抗原連続変異(ant igenic drift)を受ける免疫優性エピトープを表示する。このエピトープに対抗 して生起する早期中和抗体および/または細胞障害性Tリンパ球(CTL)応答 は、優勢な病原性の表現型の力価を減じようとする宿主免疫系の対抗手段である 。しかしながら、感染と上記免疫応答の発言及び効果との間には時間的ずれがあ る。さらに、免疫優性エピトープの抗原連続変異の結果、上記の早期中和抗体や CTL応答は病原体に対して効果を失ってしまう。 ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)は、ヒトの免疫系に侵入してこれを 破壊するための精巧な攻略法を発達させてきた。これに対してこれまで試みられ たワクチンによる対抗手法はいずれも成功していない。ワクチン産生におけるあ る手法はHIV−1のgp120/160を中心としてきた。gp120/16 0の優性V3ドメインに対しては中和抗体を作ることができる。しかし、この中 和抗体はインビボでのHIV−1の継続した生育を防ぐことに関しては有効でな い。ヘイウッド(Haigwood)らは、V3ドメインを含むアミノ酸を除去することに よって、優性V3ドメインを保持しないgp120/160免疫原を生成した[ AIDS Research and Human Retroviruses 6:855-69(1990)]。この工作タンパク は酵母中で非グリコシル化形態で生産され、変性され、試験動物を免疫するのに 用いられた。この手法は、より保存された中和応答を引き出すことができなかっ た。 病原体でコードされた免疫優性抗原であって抗原性の変動を受けるものの他の 例としてはインフルエンザウイルス凝集抗原(HA)が挙げられる。実際、HA の抗原構造の変化は、このウイルスで引き起こされる呼吸器疾患の周期的な流行 に関連している。実験的な条件下では、中和抗体の存在においてこのウイルスを 増殖させる時に加えられる選択圧は、耐性変異体の出現という結果を引き起こし た。ある例では、HA1の位置63における突然変異(DからN)の結果、共通 N−X−S/Tに合致する3つのアミノ酸モチーフが創製された。この断片は、 小胞体とゴルジを経由して移動するタンパクに対するN−結合オリゴ糖の付加に 関するシグナルとして機能する。過剰の炭水化物の存在によってHAタンパクと 中和抗体の間の相互作用が阻止された。このことはN−結合グリコシル化の阻害 剤であるツニカマイシンの存在下で上記変異体の増殖が抗体結合を回復したこと が発見されたことによって確認された。このため、ウイルスでコードされたエピ トープの翻訳後修飾が中和抗体の結合を妨げる可能性がある。 ゲシング(Gething)らは、タンパクのエピトープを防御する方法として、オリ ゴヌクレオチドの突然変異誘発を利用してN−結合修飾物を導入することを開示 している[米国特許第5041376号]。タンパクのN−結合修飾物を使用す る意図は、その免疫原性を低下させることによって抗原の循環時間を延長させる 点にある。 発明の概要 本発明は、一態様において、ヒトに投与して、被験者内にHIV−1に対抗す る免疫的保護を引き起こすワクチンに関する。このワクチンは、HIV−1のg p120/160の修飾形態物と、ヒトに投与するための薬学的に許容される担 体とを含有するものであって、前記修飾物においては、gp120/160のV 3ループは免疫弱化されている。好ましくは、本ワクチン中のV3ループは、天 然(native)のV3ループには存在しない一以上のN−結合グリコシル化シグナル を有する修飾されたアミノ酸配列を有する。 本発明は、他の一態様においては、哺乳類に投与して、被験体の哺乳類動物内 に病原性の有機体に対抗する免疫的保護を引き起こすワクチンに関する。この病 原性の有機体は、免疫優性エピトープを有する抗原を含有する。本ワクチンは、 このような抗原が修飾された形態の物と、薬学的に許容される担体とを含有する ものであって、抗原の免疫優性エピトープは免疫弱化されている。担体は、薬学 的に許容される生理食塩水緩衝液を含有することが好ましい。また、免疫優性エ ピトープは、炭水化物を構成する一部をエピトープに付加する方法等によって免 疫弱化することができる。但し、免疫優性エピトープが複数のアミノ酸を含有す る場合は、エピトープはこれらのアミノ酸の改変によって免疫弱化させることが できる。この実施形態においては、改変はアミノ酸置換を包含することができ、 複数のアミノ酸を、ヒトB細胞に寛容化された異なる複数のアミノ酸で置換する ことができる。この異なる複数のアミノ酸は、例えば直鎖状のヒトB細胞エピト ープを含有することができる。前記複数のアミノ酸はまた、生来の(native)電荷 を有することもでき、その場合、改変によってこの生来の電荷は変化する。改変 は、さらに前記複数のアミノ酸の一以上を除去することを含むこともできる。 本発明の上記の態様における他の実施形態では、免疫優性エピトープは、少な くとも一つの他の分子に対する結合部位を有し、ワクチンは、更にこのエピトー プに非可逆的に結合された少なくとも一つの他の分子を含む。当該他の分子は、 例えばエピトープに対する抗体を有することができる。この実施形態においては 、前記エピトープはレセプターを含むことができ、また前記他の分子はこのレセ プターに対するリガンドを含むことができる。本発明のさらに他の実施形態にお いては、免疫優性エピトープは、哺乳類がこのエピトープに対して中和抗体を産 生 することがてきるエピトープである。そのような免疫優性エピトープは複数のア ミノ酸を含むことができ、この複数のアミノ酸は、病原性の有機体の生存能力に 影響を与えることなく変更されることができ、それにより、当該複数のアミノ酸 を、病原性有機体の複数の世代にわたって遺伝的浮動によって変化できるように する。 本発明のワクチンは、真菌、原虫類、細菌、さらにインフルエンザウイルスや HIVなどのウイルスを含む多くの病原性有機体に対抗する免疫防御力を与える ことができる。一実施形態においては、病原性有機体はHIV−1であり、免疫 優性エピトープはHIV−1のgp120/160のV3ループである。このエ ピトープはさらに、付加的なN−結合グリコシル化シグナルを含むように改変さ れた複数のアミノ酸を有することもできる。 本発明は、更に他の一態様においては、免疫優性エピトープを有する天然の抗 原を含有する病原性有機体に対抗して哺乳類を免疫する方法に関する。この方法 は、免疫優性エピトープが免疫弱化された天然抗原修飾物を含有するワクチンを 哺乳類に投与する段階を含む。この方法は、ワクチンの投与に先立って哺乳類に 天然抗原を投与する段階を含むことが好ましい。そのような天然抗原の投与の際 には、当該天然抗原をコードしてこれを哺乳類中に発現するベクターを対象哺乳 類に投与することもまた好ましい。 本発明は、さらに他の一態様においては、元々の(original)免疫優性エピトー プを有する抗原を含有する病原性有機体に対抗して哺乳類中に免疫防御を引き起 こすためにその哺乳類に投与することができるワクチンの製法に関する。この抗 原は、前記元々の免疫優性エピトープを含有するアミノ酸群のサブセットを含む 複数のアミノ酸をも包含する。この方法は、1)上記元々の免疫優性エピトープ を含有するアミノ酸群のサブセットを含む複数のアミノ酸をコードするポリヌク レオチド配列を得ること、2)元々の免疫優性エピトープとは異なるアミノ酸サ ブセットを含有する修飾された免疫優性エピトープをコードするようにポリヌク レオチド配列を修飾すること、3)上記修飾段階の結果得られたポリヌクレオチ ド配列を発現し、修飾された免疫優性エピトープを含む修飾抗原を産生してこれ によって当該修飾免疫優性エピトープを前記元々の免疫優性エピトープと比較し て相対的に免疫弱化すること、および4)前記修飾抗原と薬学的に許容される担 体とを含有するワクチン組成物を調製すること、の各段階を包含する。 本発明によるワクチンの製法においては、修飾段階は、少なくとも一つのアミ ノ酸置換をコードする修飾ポリヌクレオチド配列を、元々の免疫優性エピトープ 中に産することを包含することができる。この修飾ポリヌクレオチド配列は、例 えばヒトB細胞に寛容化された修飾免疫優性エピトープをコードすることができ る。修飾免疫優性エピトープは、例えば直鎖状のヒトB細胞エピトープであるこ とができる。修飾段階においては、元々の免疫優性エピトープを含有するアミノ 酸群のサブセットは、生来の電荷も有してもよい。また修飾段階は、生来の電荷 とは異なる電荷を有する修飾免疫優性エピトープをコードする修飾ポリヌクレオ チド配列を産してもよい。他の実施形態においては、修飾段階は、少なくとも一 つのアミノ酸欠損をコードする修飾ポリヌクレオチド配列を元々の免疫優性エピ トープ中に産することを包含してもよい。 本発明は、他の一態様においては、ヒトに投与してHIV−1に対する免疫防 御を当該ヒトにもたらすことのできるワクチンの製法に関する。この方法は、H IV−1のgp120/160抗原を得ること、このgp120/160をトロ ンビンに暴露処理してgp120/160を分解すること、およびトロンビンで 処理された抗原と薬学的に許容される担体とを含むワクチン組成物を調製するこ と、を含む。好ましくは、本発明の本態様で用いられるgp120/160抗原 の第9238部位は、本方法の処理段階の間、完全なまま保たれる。 本発明は、さらに他の一態様においては、ヒトに投与してHIV−1に対する 免疫防御を当該哺乳類にもたらすことのできるワクチンに関する。このワクチン は、HIV−1のgp120/160抗原を得、このgp120/160抗原を トロンビンに暴露処理してgp120/160抗原を分解し、さらにトロンビン で処理された抗原と薬学的に許容される担体とを含むワクチン組成物を調製する ことによって生産される。 図面の簡単な説明 図1はプラスミドpJJ25の概略図である。 図2はプラスミドpMCIIの概略図である。 図3はプラスミドpSC65の概略図である。 図4はプラスミドpJJ5の概略図である。 図5はプラスミドpSC59の概略図である。 図6はgp120/160エンベロープタンパクのHXB2 V3ループの概 略図である。部位指向性突然変異によるアミノ酸置換を示す。各変異体は次のよ うに標記される:1(RIR);2(RGP);3(FVT);4(NMR)。 ここに示す突然変異はすべて細胞外経路においてN−結合グリコシル化を指向す るであろう共通モチーフを生成するように企図されている。 図7はHXB2 V3ドメインの主配列、リコンビナントエンベロープタンパ クの抗原性を評価するために用いられる抗体試薬のエピトープ標的、およびウエ スタン分析による抗体結合データのまとめを示す。“+”は抗体試薬による染色 を示し、“−”は検出可能な染色が無かったことを示す。 発明の詳細な説明 A.用語の定義 本明細書においては、“免疫防御”とは、有機体によって引き起こされる感染 を避ける能力、および/または、有機体によって引き起こされる疾病の防御、予 防、あるいは弱体化をもたらす能力をいう。 “免疫優性エピトープ”とは、抗原上のエピトープであって、宿主有機体中に 選択的に免疫応答を引き起してその抗原から他のエピトープの実質的な排除を引 き起こすエピトープをいう。 “エピトープを免疫弱化すること”とは、エピトープを修飾することにより、 宿主有機体の免疫系がそのエピトープに対する抗体を産生することを実質的に防 ぐことをいう。但し、免疫弱化はそのエピトープを除去することは含まない。 “gp120/160”とは、本明細書では、膜に結合したgp160および これに由来する遊離gp120をコードする遺伝子、並びにその遺伝子産物のい ずれかのものをいう。 その他の用語については、以下の詳細な説明の記述に関連させつつ逐次その意 味を記載する。 B.使用したリコンビナントプラスミド 本発明を実施・使用する方法の具体例に関連する各種プラスミドをここに記載 する。デジョン(DeJong)らは、HXB2の三番目の超可変ドメイン(V3ループ )であるHIV−1 gp120/160を含有する領域のサブクローニングを 容易にするためにリコンビナントプラスミドpJJ25とpMCを利用した[Va ccines 92,Modern Approaches to new Vaccines Including the Prevention of AIDS,チャノック(Chanock)ら編、ニューヨーク(1992年)]。リコンビナ ントプラスミドpJJ25は、小さなPvuII−Xbalスタッファー挿入片 を含有するNcolからBamHIまでのHXB2様の断片(nts 5675 −8478)を担持する。リコンビナントプラスミドpMCIIは、完全長の感 染性のHXB2様のゲノムを担持する。Current Protocols in Molecular Biolo gy,(グリーン・パブリッシング・アンド・ウィリー−インターサイエンス、補 遺15(1992年)、ページ16.17.2)に記載の発現ベクターpSC65は、初期 −後期スーパーワクシニアプロモーターを、完全体(intact)チミジンキナーゼ遺 伝子の中央に並列させ、下流側にサブクローニング部位を有して担持している。 V3ループ交換には、修飾pGEM−1(プロメガ社、ウィスコンシン州マジソ ン)を直接のレシピエントとして使用した。プラスミドpJJ5は、Ncol− BamHI断片(ロス・アラモス(Los Alamos)の命名ではnts 5674−8 474)を欠くHXB2の完全な分子クローンである。プラスミドpSC59は pSC65の構築に使用された親プラスミドである。 HXB2の配列(その包括的な制限地図を含む)は、GenBankにおいて 受託番号K03455によって特定される。PvuIIおよびXbalの開裂部 位を示す更なる配列データは、GenBankの受託番号M17449によって 見いだされる。 C.緒言 本発明者らは、抗原上のある免疫優性エピトープを免疫弱化すると、宿主有機 体においてその抗原上の非優性エピトープ群に対する高力価の抗体群を産生する ことができることを見いだした。そのような免疫弱化された抗原は、HIV、イ ンフルエンザウイルス、レンチウイルス、その他のウイルス等、非常に変わりや すい免疫優性エピトープの抗原を有する有機体に対する有効なワクチンとして用 いることができる。 本発明者らによる発見の例示的な適用では、本発明者らは、免疫優性V3ドメ インに過剰なN−結合炭水化物を有するヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1 )のリコンビナントgp120/160タンパクが、新規な抗原特性を示すこと を見いだした。この抗原特性には、野性型のV3エピトープを認識する抗体に対 する結合能の欠如が含まれる。本発明者らはまた、上記過剰炭水化物部分の存在 は、HIV−1リコンビナントウイルスの感染性生存能を弱めないことを見いだ した。さらに、本発明者らは、過剰のN−結合炭水化物部分を有するV3変異体 gp120/160タンパクの発現を指向するリコンビナントウイルスで免疫し た実験動物は、インビトロで、野性型のHIV−1による感染を中和する高力価 の抗体を示すことを見いだした。よって、gp120/160のV3ドメイン内 の免疫優性エピトープを免疫弱化すれば、免疫応答は、同じ抗原上にある他の中 和エピトープに向かうこととなる。 D.有機体の同定 本発明の技法は、互いに関係のない多数の病原性有機体に対する有効なワクチ ンを創製するために用いることができる。本発明は、高レベルの抗原連続変異を 示す免疫優性エピトープを有することによって宿主生物の免疫応答を避けるとい う攻略法を発達させている有機体に対して最も適切に用いられる。この免疫優性 エピトープは通常、病原性有機体の生残能力に影響を与えることなく変化しうる ような複数のアミノ酸の形態を採っている。そのような免疫優性エピトープの例 としては、HIV−1のgp120/160のV3ドメインやインフルエンザウ イルスのHAが挙げられる。免疫優性を示すと思われる他のエピトープは、感染 の過程にわたり大きく変化することが示されているエピトープであり、アフリカ ントリパノソーマの表面抗原などである。 E.免疫優性エピトープの同定 本発明のワクチンは、まず病原性有機体中の免疫優性エピトープを同定するこ とによって創製される。免疫優性エピトープを担持することが疑われる抗原は、 その病原性有機体の外表面上の抗原の選択によって同定できる。例えば、真菌、 細菌、およびウイルス等の最も単純な有機体は、その病原性有機体の外表面上に 露出した一個または二個のタンパクを有している。これらの外表面タンパクが相 応の抗原を担持している可能性がもっとも高い。免疫優性エピトープを担持して いる可能性がもっとも高いタンパクは、ウェスタンアッセイによって同定するこ とができる。このアッセイにおいては、全タンパクをゲル上に付してその病原性 有機体に感染した生物から採取した血清に対して試験する。当該血清中の結合抗 体は、良く知られたELISAの種々技法において行われるものと同様に、標識 抗−抗体によって同定する。 免疫優性エピトープは、病原性有機体に感染した宿主生物の血清を検査するこ とによって同定できる。血清の検査にあたっては、宿主生物において免疫応答を 引き起こすと思われる同定済抗原に結合した抗体の量を調べる。もし、免疫優性 エピトープがこの抗原に存在すれば、血清中の実質的に全ての抗体がその免疫優 性エピトープに結合し、抗原に存在する他のエピトープには抗体は殆どあるいは 全く結合しないことになる。 免疫優性エピトープの同定の一例として、HIV−1のgp120/160の V3ドメインはHIV−1の免疫優性エピトープであることが他の研究者らによ る競合アッセイでのペプチドスキャンニングによって同定された。インビトロで ウイルスを中和する抗血清が得られた。gp120/160から一連の重複ペプ チドが調製された。過剰量のこれらのペプチドそれぞれを血清に順次添加した。 各血清サンプルを用いてHIV−1に対する中和活性を試験した。gp120/ 160のV3ドメインからのぺプチドが、血清の実質的に全ての中和活性を排除 することが判明した。 F.免疫優性エピトープの免疫弱化 免疫優性エピトープか同定されたら、その免疫優性エピトープを免疫弱化する 。免疫弱化は、以下に記載する技法を始めとする各種技法に従って行うことがで きる。 N−結合炭水化物の導入: 免疫優性エピトープは、N−結合炭水化物残基の導入によって免疫弱化するこ とができる。ペプチドエピトープにおいては、これは、そのエピトープをコード する遺伝子に対する部位指向突然変異誘発によって付加的なN−結合グリコシル 化シグナルを含むことにより簡単に行うことができる。 N−結合炭水化物(CHO)の存在はポリペプチドの主アミノ酸配列によって 決定する。アスパラギン、次いで任意のアミノ酸、最後にセリンまたはスレオニ ン(N−X−S/T、ここでXはプロリンおよびアスパラギン酸以外の任意のア ミノ酸)の3つのアミノ酸からなる配列がN−結合CHO付加に関するシグナル であると信じられている。N−結合配列と合体した炭水化物を始めとする複合炭 水化物の付加は、この部位に抗体を発生させる免疫系の能力を低減あるいは弱化 すると信じられている。この考え方はインフルエンザ赤血球凝集素タンパク上の ある種のN−結合ドメインについて提起されているものである[ウィリー(Wiley )ら、Nature,289:373-387(1981)]。インフルエンザの場合には、CHOの付加 はウイルスを免疫攻撃から防御する。そこで、この免疫系において観察されたタ ンパクを始めとする所与の病原性糖タンパクの主アミノ酸配列に関する知識を用 いて分子操作を行い、N−結合配列を部位指向的に導入したり除去したりするこ とができる。このようなN−結合部位の導入は、この部位に対するB細胞の応答 を防ぐことを企図するものである。 N−結合炭水化物付加によるエピトープの免疫弱化の例として、HIV−1g p120/160の免疫優性V3ループをPCR部位指向突然変異誘発によって 、実施例1に記載のように免疫弱化することができる。 実施例1 PCR部位指向突然変異誘発 N−結合グリコシル化共通部位(即ちアミノ酸NXTと−NXS)をハグチ(H aguchi)の方法によって、PCR部位指向突然変異誘発によってV3ループに導 入した[PCR Protocols,pp177-183,アカデミック・プレス、カリフォルニア州、 サンジエゴ(1990)]。この文献の開示を本明細書の一部として引用する。即ち 、正しいV3配列と希望のN−結合変異とを担持する相補的プライマー対を合成 した。pMCのV3領域を部分的に相補的な2つに分け、それぞれをPCRで増 幅 した。反応1は、V3 N−末端システインに隣接する部位であって唯一の自然 の状態において存在するPvuII部位(nts7082−7087)と重複す る5’プライマーと、N−結合インフレーム変異を含む3’プライマーとを含ん ていた。反応2は、反応1で用いた3’に対する5’逆転相補体と、V3ループ (nts 7223−7228)のC−末端システインに隣接する無反応のXb aI変異部に重複して含む3’プライマーを含んでいた。両反応をアガロース電 気泳動に付し、ゲルから切り出し、ゲルスライスを1.5mlのcostarチ ューブ(アミコン社)中で15分遠心分離した。反応1と2から3μlを取り出 した。即ち、反応1からは5’V3 PvuIIプライマーを、反応2からは3 ’V3 Xbalプライマーを取り出して第三のPCR増幅における基質および プライマーとして用いた。得られた増幅生成物は、希望のN−結合の組合せを担 持している断片を有するPvuII−Xbal V3ループを含有した。その後 のV3 N−結合変異体組合せ物の増幅のための基質としては、一種類の変異体 を用いた。 図6は、gp120/160(配列番号:1)のV3領域のアミノ酸配列、お よび本発明におけるこの実施例に従ってこの領域に導入された4つのN−結合グ リコシル化部位を示す。これらの変異部位を、本明細書では変異体1、2、3、 4と略称する。表1は、希望のN−結合グリコシル化シグナルを導入して単一の 変異体または各種多数の変異体を得る目的で本発明のこの実施例に従って用いら れるPCRプライマーを示す。表1にはまた、本明細書の他の箇所に記載するN otl部位の導入に用いるPCRプライマーも合わせて掲載する。 実施例1で得た突然変異ポリヌクレオチドは、実施例2に記載のようにしてカ セット系に挿入して適切な発現ベクターへと容易に移送することができる。 実施例2 pGEM120カセットの構築 修飾V3ドメインの伝達を容易なものとするために、2つの中間的プラスミド カセットを構築した。この構築が必要とされる理由は、ワクシニア発現ベクター であるpSC65は固有のPvullとXbal部位を有しており、これらの部 位の存在によって当該ベクターはV3 Pvull−Xbal移送に阻害的に作 用するためである。Sall−NotlポリリンカーをSall−Pvullで 消化されたpGEM−1に連結した。gp160の開始コドンに延びる5’Sa llプライマーと、120/41開裂部位にインフレームの停止コドンを有する と共に当該停止コドンに隣接してあるNotl部位を有する3’プライマーとを 用いて、pJJ25のgp120/160配列を増幅した。得られたPCR産物 をSallとNotlで分解し、修飾pGEM−1のSall−Notlにサブ クローニングした。V3欠如gp120/160エンベロープの配列決定の結果 、文献に記載されたHXB2配列と比較して、二つの無反応の変更および二つの アミノ酸の変更が見いだされた[ラトナー(Ratner)ら、AIDS Res.Hum.Retroviru ses 7:615(1991)]。このベクターpGEM−B2−120を用いて、Pvul l−Xbalで消化されたN−結合修飾V3断片を受容し、最終的に修飾gp1 20/160をワクシニア発現ベクター内に移送した。 新規N−結合グリコシル化シグナルモチーフを構築するための別法を次の実施 例3で説明する。 実施例3 新規N−結合グリコシル化シグナルモチーフを有する HIV−1gp120/160タンパクをコードする核酸配列の構築方法 部位指向突然変異誘発のための複製連鎖反応(PCR)プロトコールを用いて N−結合グリコシル化シグナルをHXB2の一部てあるHIV−1ゲノム、即ち gp120/160の第3の超可変ドメイン(V3ループ)に対応するHIV− 1ゲノムに導入した。プラスミドpMCIIは完全長の感染性HXB2様ゲノム を担持するが、このプラスミドをPCR突然変異誘発のテンプレートとして用い た。希望のN−結合変異を導入するために設計した非適合物含有の相補的合成オ リゴヌクレオチドプライマー対は、オペロン・テクノロジー社によって合成され た。プラスミドpMCIIのV3領域の一部相補的な半分体を、実施例1に記載 の条件下でPCR増幅した。 上記実施例3は、gp120/160のV3ドメインをコードする遺伝子配列 がどのように新規N−結合グリコシル化シグナルモチーフをコードするように改 変されるのかについて示すものである。本アプローチの基本的な構成要素は、P CRに基づく突然変異誘発のプロトコールの使用、および、変異されたV3ドメ インポリヌクレオチド配列を受け入れることができるプラスミドカセットの使用 である。 PCRに用いるプライマー群は、gp120/160のV3ドメイン内のRI Rアミノ酸の3個をコードする3つのコドンを除去するように設計、合成した。 これらのプライマーを基本的に実施例3に記載の通りに使用し、野性型の配列中 に存在するRIRアミノ酸配列を除く、全gp120/160コード配列を有す るgp120/160カセットを作製した。本発明者らは、これらの修飾物をリ コンビナントワクシニアウイルス発現構築体中に導入するための従来記載の手法 と同一の手法を利用した。次いで、V3ドメイン内に小欠損を有するリコンビナ ントgp120/160糖タンパクを生産する手段としてこれらの構築物を用い て、培養生育中の細胞を感染させた。これら同一のウイルス構築物に実験動物を 感染させ、リコンビナントgp120/160糖タンパクに対する免疫応答を引 き起こした。 実施例4 gp120/160のV3ドメインをコードする野性型および 修飾DNA断片を受容するために用いるプラスミドベクターの構築方法 実施例2に記載のgp120/160のV3ドメインをコードするPvull からXbalまでのDNA断片を含むサブクローニング操作を容易に行うために 、修飾プラスミドベクターを構築した。この修飾プラスミドの使用が必要である 理由は、実施例3のようにして調製した修飾DNA断片を受容することを最終目 的として用いられるpSC65ワクシニア発現プラスミドは、望ましくないPv ullおよびXbal制限部位を保持しているためである。そこで、pSC65 プラスミドは、PvullおよびXbalを用いては、変異体V3配列をPvu 11−Xball制限断片として適切に受容するようなやり方で1ヵ所を切断す ることができない。修飾プラスミドベクターは、以下のように2段階で調製する 。プラスミドpGEM1(プロメガ社)をSallとPvullで開裂する。次 いでベクター含有断片を合成Sall−Notlポリリンカーオリゴヌクレオチ ド に連結する。これとは別に、小Pvull−Xbalスタッファー挿入片を含有 するNcolからBamHIまでのHXB2様断片を保持するプラスミドpJJ 25に対して分離操作を行った。gp160の翻訳開始コドンに延びる5’Sa llプライマーと、gp120/160/41開裂部位にインフレーム停止コド ンを有すると共に当該停止コドンに隣接してNotl部位を有する3’プライマ ーとを用いて、pJJ25のgp120/160配列を増幅した。得られたPC R産物をSallとNotlで消化し、修飾pGEM1プラスミドのSall− Notl部位にサブクローニングした。このプラスミド(pGEM−B2−12 0と称す)を用いて、上記実施例3で調製した修飾V3領域DNA配列を有する Pvull−Xbal DNA断片を受容した。この結果、修飾Pvull−X bal挿入片を含有する変異体構築物のgp120/160コード配列全体がS all−Ntol断片として切断できる。 実施例5V3ドメインに対応する野性型および修飾DNA断片を受容可能であって、完全 長エンベロープ遺伝子(gp120/41)を再構築するプラスミドの構築 実施例3に記載したもののようなV3領域部位指向による変異体をgp160 遺伝子配列本体中に入れるために、プラスミドpGEM−B2−120を修飾し て付加的なgp160コード配列を含ませた。これは、プラスミドpGEM−B 2−120のXbal−Notl断片がより大きなXbal−Notl断片(1 20/41開裂部位の下流部分であってgp160コード配列中に存在するDN A配列を含む)で置換された新規プラスミドを創製することによって行った。こ れを行うにあたって、プラスミドpMCIIをPCRにおけるテンプレートとし て用いた。このPCRにおいては、5’プライマーは無反応のXbal部位をn ts 7223−7228に導入し、3’プライマーはgp160停止コドンの すぐ下流にNotl制限部位を導入した。次いで、lkbの増幅産物をpGEM −B2−120プラスミド中のより小さいXbal−Notl断片と交換し、p GEM−B2−160と称する新規プラスミドを創製した。そこで、pGEM− B2−160プラスミドをPvullとXbalで開裂し、スタッファー断片を 除去することによって、実施例4に記載のような変異V3ドメイン配列を有する Pvull−Xbal DNA断片中に連結可能となった。 以下の実施例によって変異体が発現可能であることを示す。 実施例6 N−結合gp120/160変異体タンパクの発現を指向する ベクターをHeLa細胞中に構築する方法 変異させたエンベロープ遺伝子セグメントを、合成Sall−Ntolポリリ ンカーをプラスミドのSall−Smal部位に導入することによって修飾した 、pSC65ワクシニア発現ベクター中にサブクローニングした。このプラスミ ドは、合成初期/後期プロモーターおよびTK遺伝子内に配置されたlacZ遺 伝子のコピーを有する。 リコンビナントワクシニアウイルスの選択は、アール(Earl)とモス(Moss)によ って記載されている[Current Protocols in Molecular Biology(グリーン・パ ブリッシング・アンド・ウィリー−インターサイエンス、補遺15、ユニット16.1 5-16.18)。この文献の記載を本明細書の一部として引用する。即ち、1×106 のCV−1細胞をワクシニアウイルス株WRでMOI0.05にて感染させた。 これらの細胞は、N−結合修飾HIV−1エンベロープを含有する10〜20μ gのワクシニア発現プラスミドでの感染2時間後にトランスフェクトした。感染 細胞は、ペレット化し、0.5mlのMEM中に再懸濁し、解凍し(3回)、逐 次希釈して、その後のヒトTK−HeLa細胞の感染において1つのプラークを 形成するようにした。これらの細胞を軟寒天と共に0.25μg/mlのデオキ シブロモウリジンを含有する培地中に加え、48時間インキュベートした。プラ ーク培地、1/200容積の4%Xgal(ベーリンガー・マンハイム)および 1/100容積の天然赤色素(10mg/ml)を含有する第二の軟寒天を重層 した。一夜インキュベート後、リコンビナント候補群(即ちTK−ブループラー ク群)を選択し、0.5mlのMEM中に再懸濁し、追加のプラーク精製サイク ルに付して処理した。ウイルスDNAを配列決定し、N−結合変異の存在を確認 した。 gp120またはgp120/41を発現するリコンビナントウイルスの検証 は、以下のようにして行った。HIV−1に対する収集血清を用いた全細胞免疫 蛍光法、および二次FITC接合抗−ヒトIgGを用いて膜結合gp120/1 60/41(即ち160の発現構築物)の存在を明らかにした。gp120のカ ルボキシ末端に対する抗体、HIV−1に対する収集ヒト血清、およびFITC 接合抗ヒトIgGを用いた抗原捕捉を行うELISAによって、gp120/1 60およびgp120/41の両方を発現するウイルスから分泌されたgp12 0を同定した。加えて、gp120/160またはgp120/160/41の 存在をウェスタンブロッティングで確認した。N−結合修飾V3タンパクの性状 解析は、細胞性且つ可溶性のCD4、0.5β、一群の診断V3抗体、および抗 gp41に対するこのタンパクの結合能に関してなされるであろう。 本発明者らは、下記の2つの実施例に記載する方法に従って、変異体gp12 0/160タンパクのグリコシル化状態を検証した。 実施例7 変異体V3ドメインを示すgp120/160タンパクの N−結合グリコシル化状態の検証方法 N−結合オリゴ糖の翻訳後付加のための候補であるリコンビナントgp120 /160タンパクに過剰な炭水化物部分が存在するかどうかを試験した。リコン ビナントワクシニアウイルス(実施例6)で感染させたSupT1細胞の溶解産 物中のgp120/160タンパクをレンチルレクチン親和反応で富化し、次い でV8プロテアーゼで部分的に開裂した。次に開裂産物を4〜20%のポリアク リルアミドゲル上でSDS存在下、電気泳動し、ウェスタンブロッティングに付 し、V3特異抗体で可視化した。野性型V3ドメインを示すタンパクに由来する ペプチド断片は、見かけの分子量約69KDaで移動した。非グリコシル化変異 体は、類似の移動度を示すと期待される。炭水化物部分の存在は、本アッセイに おいては、約2KDaに相当量、タンパク断片の移動を遅延化した。本発明者ら による結果から、変異体1(RIR)および2(RGP)は、野性型のV3ペプ チド断片と同等の移動度を示すことがわかる。これとは異なり、変異体3(FV T)および4(NMR)は、ウェスタンブロッティングにおいてわずかに遅延し た移動度を示した。これらの結果は変異体3と4のV3ドメインにおける過剰炭 水化物部分の存在と合致する。さらに、変異体3と4に由来するペプチド断片の 分子質量の大きい方へのずれは、このタンパクサンプルをグリコシダーゼで予備 処理した時には無かった。この実験計画は、変異体V3ドメイン2つが新規なグ リコシル化修飾を受けることの決定的証拠を提供するものである。 実施例8 リコンビナントgp120/160の機能的完全性の検証方法 本発明者らは、天然のgp120/160が、標的細胞結合に関与するととも にリコンビナントgp120/160分子の機能上の完全性を評価するための設 計アッセイへのエントリーにも関与していることを利用した。本発明者らは、リ コンビナントHIV−1 gp160N−結合変異体を細胞中に発現させた。E LISAアッセイによってこれらの変異体タンパクと溶解性CD4レセプター分 子との間の相互作用を試験した。各リコンビナントタンパクに対するgp120 /160の濃度は、gp160のC末端に対する抗体(インターナショナル・エ ンザイムズ・インク、カリフォルニア州ファルボック)と溶解CD4による捕捉 を利用する抗原捕捉ELISAプロトコールによって決定した。CD4の結合指 標は、上記の比率([C末端捕捉によるgp160]/[CD4捕捉によるgp 160]を用いて、これを野性型について決定された比で除して計算した。結果 を表2に示す。 表2の結果から、N−結合部位指向変異物を有する全タンパクがCD4に結合 したことがわかる。この表においては、結果は全て野性型のgp160タンパク に関して観察された結合レベルに対して正規化されている。位置3の変異体がC D4結合において最大の減少を示した。他の変異体は全て野性型エンベロープタ ンパクで観察されたレベルに比較的近い。この結果によって、独立した評価手段 を用いた変異体の機能の完全性の調査が促された。 本発明者らはさらに、このgp120/160エンベロープ遺伝子のV3ドメ インの中にN−結合変異を保持するリコンビナントHIV−1ゲノムの生存可能 性を試験することによって、N−結合gp120/160変異体の機能上の完全 性を分析した。全部のN−結合変異が完全なHIV−1ゲノムを担持するプラス ミド中に導入された。これらの潜在的に感染性の分子クローンをSupT1細胞 にトランスフェクトした。感染性の存続可能性は、p24発現を監視して決定し た。最初のp24スパイクの後、細胞を含有しない上清を未感染SupT1にト ランスフェクトし、p24と融合細胞産生を監視した。単一種の変異体の4つ全 てが生存可能である。gp120/160のV3ループへの多数のグリコシル化 シグナルの導入の結果、全ウイルス構築物は生存可能性を有しなかった。これに より、gp120/160タンパクのV3ドメインにおける1つのグリコシル化 シグナルモチーフの存在は、これがウイルスの生命力を弱める範囲まてgp12 0/160構造(conformation)を破壊しない。 実施例9 変異体V3ドメインを有するgp120/160タンパクが 改変された抗原特性を示すことを検証する方法 ウェスタンブロッティングプロトコールを用いて変異体gp120/160タ ンパクの抗原プロファイルを評価した。異なるエピトープを野性型HIV−1V 3ドメイン内に認識する抗体試薬のパネルを図7の右側に示す。また、これらの 試薬の抗原性標的をV3アミノ酸配列の下に図示する。当該抗原性標的は実施例 3に記載のように、部位指向性突然変異誘発によって改変されたV3ドメイン内 の1以上の部位を含む。 図7において、変異体1:2:3:4はいずれの抗体によっても認識されなか った。その他の一種類のあるいは多数の変異体は各種抗体との様々な反応性を示 した。抗−gp41抗体は全変異体に結合した。よって前述の実施例は、N−結 合グリコシル化シグナルの付加によって抗体が免疫優性エピトープに結合する能 力が改変されることを確認するものである。 リコンビナントワクシニアウイルス構築物で感染されたHeLa細胞の粗溶解 産物(実施例6)を、野性型および変異体のgp120/160タンパクの供給 源として用いて、抗体結合を研究した。レンチルレクチンセファロースカラムを 用いた親和性クロマトグラフィーによって、高マンノース(manose)含有糖タンパ クを富化した。結合糖タンパクは、α−メチル−D−マンノース含有カラムから 溶出させた。次いでこのタンパクをSDSの存在下、ポリアクリルアミドゲル電 気泳動で分離し、ウェスタンブロッティングに付した。各種の抗体試薬を用いて ブロットを調査(probe)し、野性型gp120/160分子中に見いだされる様 々な抗原性標的の有無をアッセイした。全サンプルに対する抗gp41の染色強 度を比較することにより、均一なサンプルローディング(実施)が確認された。 抗V3試薬の何れによっても染色が無かったことは、実施に関する人工的変動要 因からくるというよりむしろ、抗体がリコンビナント標的を認識する能力を有し ないことが原因であると考えられる。 特定の抗体試薬によって認識されるエピトープの存在は、ウェスタンブロッテ ィングにおける染色バンドの存在によって示される。陽性コントロールである野 性型gp120/160は、予想されたように全てのV3特異抗体と結合する。 逆に、1:2:3:4変異体の抗原特性は野性型のエンベロープ分子の抗原特性 とは全く異なるものである。この変異体は、本発明者らの抗体試薬パネルによっ て検出されうる何れの野性型エピトープをも表示しない。これらの結果は、gp 120/160糖タンパクの抗原構造を修飾するという本発明者らによる手法の 有効性を裏付けるものである。 生来(native)の電荷の変更: 免疫優性エピトープを免疫弱化するための別の方法は、エピトープ上の生来の 電荷を変更することである。これは免疫優性エピトープをコードする遺伝子の部 位指向性突然変異誘発によって行うことができる。例えば、荷電されたアミノ酸 を特徴とするコドンは、反対の電荷のアミノ酸あるいは非極性アミノ酸をコード するように変更することができる。同様に、非極性アミノ酸を特徴とするコドン は、正あるいは負のいずれかの電荷を有する極性アミノ酸に変更することかでき る。 N−結合グリコシル化シグナルの付加に関連して掲載した上記の各実施例にお けるアプローチは、十分一般的なものであるので、適切に選択されたPCRプラ イマーを用いて各種の変異をgp120/160遺伝子配列のV3コドン部へと 導入することができる。V3ドメインの全体としての正味正電荷に寄与するアミ ノ酸は荷電されていないかあるいは酸性の側鎖を有するアミノ酸で置換可能であ る。一具体例として図6に示すRIR部位を指向された変異体は、二つの正に荷 電したアルギニン残基が非荷電アスパラギンおよびセリン残基によって置換され たものである。 抗体マスキングおよび免疫集中(focusing): 免疫応答を免疫優性エピトープから逸らすように再集中させるためのさらに別 の方法においては抗体のマスキングを利用するが、このマスキングは、部分的に そのエピトープに結合して行う。同族の抗原ドメインと非可逆的に結合する抗体 は、B細胞から見えないように標的エピトープを覆い隠す(マスクする)ことが できる。免疫応答は、そのような方略によってgp120/160/CD4結合 ドメインのような、より保存されたドメインに集中する。例えば、V3特異抗体 は、非可逆的に架橋可能で、その複合体は免疫原として現れる。また、非可逆的 にgp120/160に結合したsCD4を出発免疫原として用いることもでき る。この複合体に対抗して得られる抗血清は、gp120/160に非可逆的に 結合することができる。これは、その分子上の非CD4結合ドメインに対して生 起じる一群の抗体を含む。これによってこの複合体は、免疫原として現れ、抗体 をCD4結合ドメインに対して生じさせる。 同族の抗原ドメインに非可逆的に結合する抗体やその他のリガンドは、結合エ ピトープが免疫サーベイランスを受けないよう、これをマスクすることができる 。この方略を利用して、免疫応答をgp120/160のV3ループのような免 疫優性エピトープから逸らして、gp120/160/CD4結合ドメインのよ うなより保存された分子領域へと集中させることができるであろう。 同族の抗原ドメインに非可逆的に結合可能な抗体、抗体断片、抗体アナログ、 あるいはその他のリガンドは、結合したエピトープが免疫サーベイランスを受け ないようにマスクすることができる。マスキングされた免疫原の生産と使用に基 づくこの方略を利用して、免疫応答をgp120/160のV3ループのような 免疫優性エピトープから逸らして、gp120/160/CD4結合ドメインの ようなより保存された分子領域へと集中させることができるであろう。 実施例10 第二の分子を抗原のそのドメインに非可逆的に結合することによる 免疫優性エピトープのマスキング方法 HIV−1 gp120に対するマスキングされた免疫原は、以下のようにし て創製される。まず、レンチルレクチンセファロースクロマトグラフィーを用い て、野性型のHIV−1に感染したHeLa細胞培養の上清からgp120を富 化する。次いで、V3ループ内でエピトープを認識する部位特異性モノクローナ ル抗体を選択する。0.5βと称する抗体が、少なくとも14個のアミノ酸を包 含するV3ループ内のエピトープに結合する。次に、適切に緩衝された0.5β 溶液と部分的に精製したgp120を合わせてチタス(Titus)らの方法に従って 架橋させる[J.Immunol.,138:4018-4022(1987)]。この文献の開示内容を本明細 書の一部として引用する。適切な反応期間の経過後、サンプルを希釈して反応生 成物をゲル濾過クロマトグラフィーで分離した。化学的に架橋したgp120/ 0.5β対を含有するカラム分画を単離し、適切に緩衝された生理食塩水ベース の溶液に対して透析した。架橋複合体は、好適なアジュバンドと共に、標準的免 疫プロトコールにおいて使用することができる。 マスキングされたデコトープの起爆(プライミング)と増強(ブースト): 免疫弱化に関するさらに別のアプローチは、天然抗原への一次免疫に関するも のである。例えば、好適に改変されたリコンビナントワクシニアでの感染により 動物に天然のHIV−1エンベロープでプライムすることができる。次いで、そ の動物をV3改変gp120/160で増強して、二次応答を他のエピトープに 向かわせることができる。 寛容化配列の挿入: 病原体でコードされた優性エピトープを免疫弱化するために用いることのでき る別のアプローチとしては、その抗原の該当領域のアミノ酸配列を、ヒトの免疫 系に寛容化されたタンパクモチーフで置換することものがある。例えば、V3ル ープの天然のアミノ酸配列は、ヒトB細胞に寛容化された配列と交換されること ができる。これは、任意のヒトB細胞エピトープを含んでもよいと定めることか できる。このアプローチの目的は、病原体の抗原のセグメントがヒトの特徴を示 すアミノ酸配列で置換されたような病原体抗原の変異体形態のものを創製するこ とにある。これによって、ヒトの免疫系は、もし本発明が適用されない場合は病 原体抗原が優性エピトープとして作用病原体の抗原のその領域に対する強力な免 疫反応の係止を回避するであろう。 実施例11 V3ループに寛容化されたヒトエピトープで置換されたgp120/160 タンパクを発現するリコンビナントワクシニアウイルスβの構築 天然抗原の免疫優性ドメインが寛容化ヒト配列により置換されたキメラ状免疫 弱化抗原を以下のようにして構築した。本発明者らは、まず、ヒトの免疫系が通 常応答しないポリペプチドに対応する一続きのアミノ酸をコードするDNA制限 断片の単離から着手した。このために、ヒトIgM CH3ドメインのアミノ酸 配列を使用した。このドメインの完全アミノ酸配列は、カバット(Kabat)によるS equences of Proteins of Immunological Interest(1991)から入手可能である。 DNA制限断片を核酸クローンから単離して、好便に配置された制限部位が利用 できるかどうかを確認する。あるいは、PCRプロトコールを用いて適切な制限 部位をそのような核酸配列中に導入する。次にそのようなDNA断片を、本明細 書においてすでに記載したpGEM−B2−120およびpGEM−B2−16 0プラスミド中に連結する。移植されたヒト抗原配列およびgp120/160 の翻訳リーディングフレームを保存するように特に注意する。このようにして、 野性型V3ドメインのかわりに寛容化ヒト配列が置き代わった置換物を有する修 飾gp120遺伝子カセットおよび修飾gp160遺伝子カセットが創製される 。次にこれらのカセットから得たSal−Notl制限断片を上記の実施例6に 記載した修飾pSC65ワクシニアベクターへと移す。引き続いて、これらの遺 伝子配列を、生存能を有するウイルス構築物へと標準法によって組み入れる。 以下の手続では実験動物としてモルモットを使用したが、当業者はヒトに適用 可能な同様のアプローチをもってこれを容易に改変実施できるであろう。 トロンビン開裂: トロンビンは、HX10 gp120/160を1ヵ所で開裂して、V3ルー プのアミノ酸RとAの間の切断により2つの断片にする[クレメンツ(Clements) ら、AIDS Res.Hum.Retroviruses 7:3-16(1991)]。結合ドメインに上記のアミノ 酸を有する中和抗体(110.5 0.5B)は消化された上記ループには結合 しない。その認識配列が直鎖状の完全体を維持するその他のV3結合抗体は、開 裂されたループ(9284)とやはり結合する。しかしながら、トロンビンでの 長時間の処理は二次的部位を開裂させ、他の開裂可能な部位に加えて9238部 位をも多少破壊する。よって、トロンビンによる開裂の制御によってV3エピト ープの中和抗原性をある程度除去できる。 除去: HIV−1 env遺伝子を、5つの定常(C)ドメインの間に散在させた5 つの主超可変(V)領域へとクラスター化し、C1−V1−V2−C2−V3− C3−V4−C4−V5−C5のパターンを得た。コフィン(Coffin)は、gp1 20/160構造内のループが分子の機能上の性質と干渉しないように上記可変 領域が存在する、という仮説をたてた。このことは、gp120/160が可変 ドメインの配列の異質性とは無関係にCD4に結合することを暗示している。加 えて、gp120/160の可変ドメインは、免疫応答をより保存されたドメイ ンから逸らすことによってウイルス株間の抗原性の変動範囲に寄与し得る。この 仮説を検証するために、ヘイウッド(Haigwood)ら(上掲書)は、SFgp120 /160の可変領域群を系統的に除去し、これらの除去タンパクを酵母内で発現 させた。彼らは、これらの除去物を免疫原として使用することで、より保存され たエピトープをマスキングしないであろうと仮説した。この研究は、酵母内で発 現された変性非グリコシル化物を用いて行われたが、より保存された中和応答を 引き出すことができなかった。更に、試験した除去変異体のいずれもがCD4に 結合しなかった。このことは、著者らが示唆しているように、gp120/16 0/CD4結合ドメインに対する免疫原性を保持するためにはエンベロープ糖タ ンパクを天然の状態に保つ必要があるか、あるいは上記グリコシル化様式が非天 然構造であることを示し得る。他の研究者らが独立して行った研究では、可変ド メインV1、V2、V3を除去した除去変異体からのタンパクがなおCD4に高 親和性で結合することから、CD4に対する結合にはgp120/160の超可 変領域は必要でないことが示唆されている。CD4に対する結合が明らかに妨害 されなかったが、CD4との結合に要求されるV4およびV5超可変ドメインを なお担持するこの除去体タンパクは、gp120/160に対して得られた抗血 清には結合しなかった。このことは驚くべきことである、なぜならgp120/ 160/CD4結合ドメインに対して低親和性抗体が得られることがチャング(C hang)によって報告されているからである。よってこれらのデータが示唆するこ とは、V4およびV5が非免疫原性のドメインであるか、あるいは当該タンパク の天然構造が除去の結果改変されて免疫血清がその除去されたタンパクを認識で きないか、のいずれかであるということであり、後者の可能性が高い。それにも かかわらず、これを免疫原として使用することにはいくらかの有望性が残され、 それは免疫応答が潜在的により保存されたgp120/160/CD4結合ドメ インを指向することができるためである。 G.ワクチン 種々の免疫弱化技法についての前記の説明から理解されるように、本発明者ら は、ワクチンの手法即ちHIV−1のgp120/160の免疫優性V3ループ の免疫弱化によるモデル系を利用した。しかし、当業者には容易に理解されるよ うに、この手法は本明細書の開示に即して他の病原性有機体にも適用可能なもの である。従って、有効なワクチン接種のための処方やプロトコールの開発につい て、以下HIV−1ワクチンに関連して説明する。但し記載は例示のためのもの てあり本発明の応用範囲を特定の病原性有機体に限定するものではない。 HIV−1ワクチンの最も効果的な設計は、このウイルスを首尾のよい病原体 とした当該ウイルス独特の特徴を利用することによって達成される。HIV−1 ウイルスが最初の部位において免疫系を欺くことを防ぐことがこの点における大 きな進歩となるものである。よって、本発明者らは、免疫優性エピトープか免疫 弱化されているgp120/160免疫原を生産した。 HIV−1病原体によって採用されたと見られる生き残り戦略は、抗原性の変 動を受け、ウイルスでコードされた優性なエピトープの表示に部分的に依存する ものである。 HIV−1感染の経過において、感染した時と免疫応答発現との時間的なずれ は、このウイルスに、誤りがちな逆転写酵素を用いてそのゲノムを複製する機会 を与えてしまう。その結果、密接に関連してはいるが中和抵抗性である変異体の サブポピュレーションを出現させてしまうことになる。これらの変異体は、中和 抗体の効果から逃れるばかりでなく、親ウイルスに対する抗原性の類似の結果、 デコトープの抗原特性が変わっても当初の免疫応答を継続して刺激する。この現 象の実際の効果は、交叉反応性によって最も早期のウイルスの表現型に対する免 疫エフェクターの応答を継続して生成する指向された免疫刺激応答が締め出され ることである。よって、免疫優性デコトープの機能は、免疫系を誘引して一層保 存されかつ潜在的に広い範囲で中和するドメインに対して応答しないようするこ とである。この方略はHIV−1による継続した病原性誘発において非常に重要 なものである。 gp120/160エンベロープ糖タンパクの第3の超可変ドメイン(V3) は、HIV−1の免疫優性エピトープであって、これは、中和抗体の第一の標的 である。このドメインはその可変性にも関わらず、幾らかの保存された構造的な 特徴を示す。V3ループは典型的には長さが35アミノ酸であって、ジスルフィ ド結合を形成していると考えられる2つのシステイン残基に結合している。V3 ループは全体として正に荷電され、コンピュータ予測では、ループの頂点である と考えられる所にBターンβシートを有する。 異なる各種のHIV−1単離物のタンパク配列同士を比較すると、このウイル スはgp120/160のV3ドメインにおけるアミノ酸配列の相当な変動を寛 容化することができると示される。前記ウイルスの生存可能性を危うくすること なくウイルスの免疫優性エピトープ中の配列変化を寛容化する上記能力は、中和 表現型からの逃避に直接関連している。異なるV3ドメインを認識する抗体は、 免疫化ドメインに対するタイプ特異性を示す。例えば、所与の株のV3ペプチド に対して生成した抗体はその株を中和するが、多くの場合、他のV3エピトープ を示すウイルスを中和できない。様々に異なるV3特異性抗体が感染の経過の先 の段階で出現するが、それらは感染の初期の期間においてはV3特異抗体を特徴 付ける高力価には到達しない。その結果、変異体V3エピトープを指向する後期 の体液性および/または細胞性仲介応答は、検査対象の同族ウイルス集団を捕ら えるのに不十分である可能性がある。 gp120/160構造全体がV3ドメインのように柔軟で変化しやすいとは 考えにくい。標的細胞の結合を行う能力および標的細胞に入り込む能力を含む、 gp120/160分子に対する機能面での要求は、構造に対して制約を課すも のである。gp120/160のCD4結合ドメインは、強く保存された構造を 示すと思われる部位の一例である。gp120/160/CD4結合部位が免疫 原性を有することを示しているエイズ患者から抗体を単離した。これにもかかわ らず、gp120/160−CD4結合部位に対する抗体は抗−V3抗体と比較 して力価が非常に低い。よって、HIV−1はそのゲノム内容の一部を利用して 宿主の免疫応答を惑わして囮のエピトープに向けさせ、より構造的に保存された 機能的なドメインから逸らすという仮説は条理にかなったものである。 V3のような可変領域エピトープに対して用意された免疫応答とは対照的に、 本発明者らは、より保存されたエピトープに対する応答がウイルスの内転移を制 限する可能性が非常に高いことを見いだした。HIV−1への中和応答の多くは V3ドメインおよびCD4結合ドメインに向けられている。今日までワクチンの 試みは相同的な免疫的挑戦に耐えることができたに過ぎない。このことは、免疫 応答が、免疫化株と侵入してきた(challenge)ウイルスとの構造を区別する優性 可変エピトープに対するものであることを強く示唆している。この可変エピトー プとしてもっとも可能性の高い候補はgp120/160分子上にあるV3であ る。 よって本発明者らの方法を用いて、通常では野性型HIV−1単離体のgp1 20エンベロープ糖タンパクの免疫優性V3ドメインに向けられる、強力な体液 性および/または細胞性仲介免疫応答を弱めることができる。本発明者らの手法 は、免疫原性を減じるためにV3ドメインの抗原構造を修飾することを含む。こ の手法の目的はgp120/160分子上のその他のエピトープに対する体液性 免疫応答を高めることである。 B細胞はT細胞依存性あるいはT細胞非依存性の経路て抗原に応答する。どち らの場合においても、B細胞レセプターと同族の抗原エピトープとの間の初期相 互作用の結果、増殖およびクローン拡大、抗体の親和性成熟、そして最後に高親 和性、高特異性の抗体産生をもたらす。本発明者らは、gp120/160−V 3とその同族B細胞クローンとの間の初期の相互作用を阻止することを提案する 。しかし、同時にgp120/160に対する他のB細胞エピトープ、この構造 的完全性V3特異性クローン拡大、さらに拡大、突然変異、および当該分子上の 他のB細胞エピトープに対する特異性抗体産生を許容する。 リコンビナントgp120/160タンパク分子を哺乳類細胞中で発現させる 一方法においては、実施例6に記載のように、ワクシニアウイルスの発現系を利 用する。この発現系の数々の特徴の一つとして、各種リコンビナントタンパクを ミリグラム量で生産することができる点が挙げられる。これらのタンパクは、そ の後、生化学的研究に利用できるとともに免疫原としても使用可能である。 本発明者らは、弱化させた免疫優性エピトープを新規なワクチン戦略に使用で きると予想している。各種の免疫処置経路によって免疫系の特定の分枝を選択的 に刺激できるので、ここに記載の技術に基づく個々のワクチンもそれぞれ異なる 投与ルートを必要とするであろう。例えば、中和抗体産生に力点を置くワクチン デリバリーシステムは、もし問題の病原体が細胞性免疫応答によって最も良く戦 われるならば、選択されるべき方法ではないであろう。このことは、デリバリー システムの範囲は本ワクチン技術の新規応用の各件ごとに試験しなければならな いことを暗示している。免疫原の投与経路としては、アイドロップやスプレータ イプの目薬による接種、鼻スプレーやエアロゾルの吸引、(経口)摂取、皮下、 経皮、または筋肉注射、リコンビナントウイルスベクターによる感染、あるいは 宿主細胞に入った後遺伝子発現を指向する裸のDNAの注入などが挙げられるが これらに限定されるものではない。以下に記載の例は、ヒトのワクチン摂取プロ トコールに利用し得る、リコンビナントワクシニアウイルスと精製されたリコン ビナントサブユニットとによる方法の一例である。この例はあくまで一例であっ て、ヒトやその他の哺乳類のワクチン接種を行うのに免疫弱化された優性エピト ープに基づくリコンビナント剤をもってする唯一の手段であることを意味するも のではない。 実施例12 ワクチンプロトコールにおける、リコンビナントウイルスおよび gp120/160担持修飾V3ドメインの免疫原としての使用 HIV−1に曝される危険にあるヒトに対し、HeLa細胞中で増殖し次いで ショ糖濃度勾配バンド法で精製した107〜1010pfuの生リコンビナントワ クシニアウイルス(実施例6)を皮下注射した。このウイルス調製物は、力価測 定の前に冷等張生理食塩緩衝液に対して十分に透析した。同一の生ウイルスの第 二回目の投与は4週間後に行った。この時の注射は最初の接種と同じ場所に行っ た。次に、精製リコンビナントgp120/160タンパクのサブユニットの追 加免疫をフーらの記載にしたがって行い、中和抗体の産生を高めた[AIDS Res.H um.Retroviruses 7:615(1991)]。レンチルレクチン親和クロマトグラフィーに よるリコンビナント糖タンパクの粗精製の後で、注射したタンパクもまた抗gp 41モノクローナル抗体を用いて親和クロマトグラフィーでほぼ均質になるまで 精製した。冷等張生理食塩緩衝液に対して透析済の上記サブユニットタンパクは 、最終濃度10〜1000μg/200μlの範囲に希釈し、完全フロインドあ るいはISCOMアジュバンド[モレイン、Immunol.Lett.25:281-83(1992)]の いずれかと共に筋注した。ナラらの方法によって中和抗体力価の変化をアッセイ した[AIDS Res.Hum.Retroviruses 3/283-302(1987)]。 以下の手続は、実験動物としてモルモットを用いて行ったが、同様の手法はヒ トにも適用されうるであろう。 実施例13 リコンビナントワクシニアウイルスと体液性免疫応答の 検出を利用するワクチン接種の開発 本発明者らは、実験動物中にHIV−1中和抗体応答を引き出す2部ワクチン 接種プロトコールを通常的に用いている。まず、本発明者らは、モルモットに生 リコンビナントgp120/160発現ワクシニアウイルスを107〜108プラ ーク形成ユニット(pfu)皮下注射する。生ウイルスの第二回目の投与は約4 週間後に行う。この感染の効果は、注射した部位での小傷の外見で確認される。 次に、本発明者らは、10μgのレンチルレクチンセファロース精製した野性型 あるいはリコンビナントgp120/160タンパクを上記動物に注射してサブ ユニット免疫原で1回追加免疫(boost)する。 本発明者らは、体液性免疫応答を、血清サンプルか希釈可能であってかつ野性 型HIV−1で細胞のインビトロ感染を90%中和する範囲で定量した。図6に 示す部位指向変異を有するリコンビナントワクシニアウイルスに感染させた数対 のモルモットの血清抗体価を表3に記載する。 血清サンプルを採取し、感染2週間後に力価を測定した。ワクシニアコントロ ールで感染させた試験動物は、インビトロでHIV−1感染中和する抗体を引き 出すことができなかったが、リコンビナントウイルス1:2:3:4による感染 では、一匹の動物において中程度の力価、他方の動物においては本発明者らによ る陽性コントロールと同等の力価が示された。従来の研究結果では1:2:3: 4リコンビナントの変異V3ドメインは野性型と比べて全く異なる抗原プロフィ ルを示すということが判っていることに鑑み、本実験の結果は意義あるものであ る。野性型と1:2:3:4変異体gp120/160との間の抗原性の関連度 が低いという前提で、表3の結果は、免疫弱化された変異体に対する体液性免疫 応答は免疫優性V3ループからそらされ、野性型と変異体gp120分子の双方 に存在する一層保存されたエピトープへと再指向させられる、というシナリオに 合致するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:92) (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT, AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C Z,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU, LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ ,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 ギャリティー、ロバート アール. アメリカ合衆国 21769 メリーランド州 ミドルタウン バレー ロード 8584 (72)発明者 ナラ、ピーター エル. アメリカ合衆国 21701 メリーランド州 フレドリック サンセット ドライブ 6516 (72)発明者 ゴウトスミット、ヤープ オランダ国 エヌエル―1105 ア―2 ア ムステルダム マイベルクドレエス 15 アカデミック メディカル センター内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳類に投与して該哺乳類内に病原性有機体に対する免疫的防除を引 き起こし得るワクチンであって、前記病原性有機体は免疫優性エピトープを有す る抗原を含み、当該ワクチンは前記免疫優性エピトープが免疫弱化された前記抗 原の修飾形態物と薬学的に許容される担体とを含むワクチン。 2.天然抗原または、当該ワクチンは前記天然抗原をコードしてこの天然 抗原を前記哺乳類中に発現するベクターを更に含む請求の範囲第1項に記載のワ クチン。 3.ヒトに投与して被験者内でHIV−1に対する免疫的防除を引き起こ し得るワクチンであって、前記ワクチンはHIV−1のgp120/160の修 飾形態物と、前記ヒトに投与するための薬学的に許容される担体とを含み、ここ で、前記gp120/160のV3ループは免疫弱化されたものである請求の範 囲第1項に記載のワクチン。 4.前記V3ループは天然V3ループには存在しない一以上のN−結合グ リコシル化シグナルを含む修飾アミノ酸配列を有する請求の範囲第3項に記載の ワクチン。 5.前記担体は薬学的に許容される生理食塩緩衝液を含むものである、請 求の範囲第1項に記載のワクチン。 6.前記免疫優性エピトープはこのエピトープに対する炭水化物部分の付 加によって免疫弱化されたものである、請求の範囲第1項に記載のワクチン。 7.前記免疫優性エピトープは複数のアミノ酸を含み、前記エピトープは このアミノ酸の改変によって免疫弱化される、請求の範囲第1項に記載のワクチ ン。 8.前記改変はアミノ酸置換を包含するものである、請求の範囲第7項に 記載のワクチン。 9.前記複数のアミノ酸はヒトB細胞に寛容化された異なる複数のアミノ 酸によって置換されたものである、請求の範囲第8項に記載のワクチン。 10.前記異なる複数のアミノ酸は直鎖状のヒトB細胞エピトープを含む、 請求の範囲第9項に記載のワクチン。 11.前記複数のアミノ酸は生来の電荷を有し、前記改変はこの生来の電荷 の変更をもたらすものである、請求の範囲第7項に記載のワクチン。 12.前記改変は前記複数のアミノ酸の1以上の除去を含むものである、請 求の範囲第7項に記載のワクチン。 13.前記免疫優性エピトープは少なくとも1つの他の分子に対する結合部 位を含み、前記ワクチンは前記エピトープに非可逆的に結合した少なくとも1つ の他の分子をさらに含むものである、請求の範囲第1項に記載のワクチン。 14.前記他の分子は前記エピトープに対して指向する抗体を含むものであ る、請求の範囲第13項に記載のワクチン。 15.前記エピトープはレセプターを含み、前記他の分子は該レセプターに 対するリガンドを含むものである、請求の範囲第13項に記載のワクチン。 16.前記免疫優性エピトープは、前記哺乳類がこれに対する中和抗体を産 生することができるエピトープである、請求の範囲第1項に記載のワクチン。 17.前記免疫優性エピトープは複数のアミノ酸を含み、前記複数のアミノ 酸は前記病原性有機体の生存能に影響を及ぼすことなく変更されることができ、 これによって前記複数のアミノ酸が前記病原性有機体の複数の世代にわたる遺伝 子的浮動によって変化され得るものである、請求の範囲第1項に記載のワクチン 。 18.前記病原性有機体はウイルス、真菌、原虫類、および細菌から成る群 より選択されるものである、請求の範囲第1項に記載のワクチン。 19.前記病原性有機体はインフルエンザウイルスである、請求の範囲第1 8項に記載のウイルス。 20.前記病原性有機体はHIV−1であり、前記免疫優性エピトープはH IV−1のgp120/160のV3ループである、請求の範囲第1項に記載の ワクチン。 21.前記免疫優性エピトープは付加的なN−結合グリコシル化シグナルを 含むように改変された複数のアミノ酸を含むものである、請求の範囲第20項に 記載のワクチン。 22.哺乳類に投与して該哺乳類内に病原性有機体に対する免疫的防御を引 き起こすワクチンを製造する方法であって、前記病原性有機体は元々の免疫優性 エピトープを有する抗原を包含し、前記抗原は前記元来の免疫優性エピトープを 含むアミノ酸のサブセットを含む複数のアミノ酸を含み、当該方法は、 前記元々の免疫優性エピトープを含むアミノ酸の前記サブセットを包含する前 記複数のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列を得ること、 前記元来の免疫優性エピトープとは異なるサブセットのアミノ酸を含む修飾さ れた免疫優性エピトープをコードするようにポリヌクレオチド配列を修飾するこ と、 前記修飾段階の結果得られた前記ポリヌクレオチド配列を発現し、これにより 、前記修飾された免疫優性エピトープを含む修飾抗原を産生して、前記修飾免疫 優性エピトープが前記元々の免疫優性エピトープと比較して相対的に免疫弱化さ れること、および 前記修飾抗原と薬学的に許容される担体とを含有するワクチン組成物を調製す ること、 の各段階を含むものである、ワクチンの製造方法。 23.前記修飾段階は、前記元来の免疫優性エピトープ内における少なくと も1つのアミノ酸置換をコードする修飾ポリヌクレオチド配列を産生することを 包含する、請求の範囲第22項に記載の方法。 24.前記修飾ポリヌクレオチド配列はヒトB細胞に寛容化される修飾免疫 優性エピトープをコードするものである、請求の範囲第23項に記載の方法。 25.前記修飾免疫優性エピトープは直鎖状のヒトB細胞エピトープである、 請求の範囲第24項に記載の方法。 26.前記元々の免疫優性エピトープを含む前記アミノ酸のサブセットは生 来の電荷を有し、前記修飾段階は前記生来の電荷とは異なる電荷を有する修飾免 疫優性エピトープをコードする修飾ポリヌクレオチド配列を産生するものである 、請求の範囲第23項に記載の方法。 27.前記修飾段階は前記元来の免疫優性エピトープ中の少なくとも1つの アミノ酸欠損をコードする修飾ポリヌクレオチド配列を産生することを包含する 、 請求の範囲第22項に記載の方法。 28.ヒトに投与してHIV−1に対する免疫防御を前記ヒトにもたらすこ とのできるワクチンの製造方法であって、本方法は、 HIV−1のgp120/160抗原を得ること、 前記gp120/160抗原をトロンビンに暴露処理してこのgp120/1 60抗原を分解すること、さらに、 上記トロンビンで処理された抗原と薬学的に許容される担体とを含むワクチン 組成物を調製すること、 の各段階を含むものである、請求の範囲第22項に記載の方法。 29.gp120/160の9238部位が処理段階の間で完全体である、 請求の範囲第28項に記載の方法。
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