JP2000515368A - Hivエンベロープポリペプチドおよびワクチン - Google Patents

Hivエンベロープポリペプチドおよびワクチン

Info

Publication number
JP2000515368A
JP2000515368A JP10505190A JP50519098A JP2000515368A JP 2000515368 A JP2000515368 A JP 2000515368A JP 10505190 A JP10505190 A JP 10505190A JP 50519098 A JP50519098 A JP 50519098A JP 2000515368 A JP2000515368 A JP 2000515368A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vaccine
hiv
sequence
polypeptide
polypeptide sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP10505190A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000515368A5 (ja
Inventor
バーマン,フィリップ・ダブリュー
Original Assignee
ジェネンテク・インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ジェネンテク・インコーポレイテッド filed Critical ジェネンテク・インコーポレイテッド
Publication of JP2000515368A publication Critical patent/JP2000515368A/ja
Publication of JP2000515368A5 publication Critical patent/JP2000515368A5/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • A61P31/18Antivirals for RNA viruses for HIV
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/51Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
    • A61K2039/525Virus
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/16011Human Immunodeficiency Virus, HIV
    • C12N2740/16111Human Immunodeficiency Virus, HIV concerning HIV env
    • C12N2740/16122New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • AIDS & HIV (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 MN−gp120を用いるワクチン試験のブレイクスルー単離物に由来するgp120ボリペプチドをコードするオリゴヌクレオチド配列、およびコードされたgp120ポリペプチドが提供される。1またはそれ以上の単離物に由来するgp120ポリペプチドの、通常MN−rgp120と同時の、サブユニットワクチンにおける使用は、ワクチンの種(例えば、MN−rgp120)とは十分異なった、そのワクチンがその種に対する保護をもたらさないHIVの種に対する保護をもたらし得る。さらに、そのポリペプチドによって誘導された抗体も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 HIVエンベロープポリペプチドおよびワクチン 発明の背景 発明の属する技術分野 本発明は、HIVエンベロープポリペプチドおよび該ポリペプチドを含むワク チンに関する。関連技術の記載 後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とし て同定されるレトロウイルスによって引き起こされる。抗体または細胞性応答の 誘導に基づいた保護的な免疫応答を誘導するワクチンを開発するために多大な努 力がなされてきた。最近の成果は、安全性の理由から、弱毒化または不活化ウイ ルスよりはむしろHIVタンパク質をワクチンにおける免疫原として用いている サブユニットワクチンを用いてきた。サブユニットワクチンは、ウイルスの表面 上にあるHIVエンベロープタンパク質の一部であるgp120を通常含んでい る。 HIVエンベロープタンパク質は詳細にわたって記述されており、数多くのH IV種に由来するアミノ酸およびHIVエンベロープをコードする核酸配列が知 られている(Myers,G.ら,1992.Human Retroviruses and AIDS.A complication and analysis of nucleic acid and amino acid sequences.Los Alamos Natio nal Laboratory,Los Alamos,New Mexico)。HIVエンベロープタンパク質は 、そのカルボキシル末端領域で二重膜中に埋め込まれている約160kdの糖タ ンパク質(gp160)である。N末端部分のgp120は、ビリオンをり巻く 水性環境中に突き出ており、C末端部分のgp41は膜を貫通している。宿主細 胞が介在する過程によって、gp160が開裂し、gp120と内在性膜タンパ ク質gp41が形成する。gp120とgp41の間には共有結合はないので、 ときに遊離のgp120がビリオンの表面から放出されて細胞に感染する。 gp120分子は、60,000ダルトンのポリペプチドコアからなり、N結 合型グリコシレーションにより広範囲に修飾されてその分子のみかけの分子量が 120,000ダルトンに増えている。gp120のアミノ酸配列は、5つの超 可変領域が散在する5つの比較的に保存的な領域を含んでいる。gp120一次 配列の18個のシステイン残基の位置、および約24個のN結合型グリコシレー ション部位のうち13個の位置が、すべてのgp120配列に共通である。超可 変領域は、多くのアミノ酸の置換、挿入および欠失を含んでいる。この領域にお ける配列の変化は、様々なウイルス単離物に由来するgp120分子の間で30 %までの全配列の可変性をもたらす。この変化にも関わらず、すべてのgp12 0配列は、ウイルスレセプターCD4に結合し、gp41と相互作用してウイル スと宿主細胞膜との融合を誘導するウイルスの能力を保っている。 gp120は、、免疫攻撃に最も便利でありそうなウイルスタンパクであるの で、サブユニットワクチンのためのワクチン候補として集中的な調査の対象とさ れた。現在、gp120MN種を用いた臨床試験が進行中である。しかしながら 、現在まで、ワクチンの効果を確認または反駁するに十分な規模のヒトのワクチ ン試験はなかった。 ヒトにおける自然感染の条件に厳密に近似したHIV−1感染のin vivoまた はin vitroモデルがないために、HIV−1ワクチン候補の開発が煩わされてき た。いくつかのHIV−1ワクチン候補(Bermanら,J.Virol.7:4464-9(1992) ;Haigwoodら;J.Virol.66:172-82(1992);Salmon-Ceronら;AIDS Res.and Human Retroviruses 11:1479-86(1995))は、in vitroで様々な異なったHIV−1単 離物を中和することができる広範な交差反応性のある抗体を導き出すことが記載 されている。しかしながら、in vivoの保護的免疫に対するin vitro分析の関連 性は確かではない。いくつかのワクチンは、HIV−1のホモローガスなおよび ヘテロローガスな種による攻撃からの保護をチンパンジーにもたらしたが、保護 は、T細胞系、またはレクチン活性化およびサイトカイン活性化末梢血単核球細 胞(PBMCs)において行ったin vitro中和分析と常に相関するわけではなか った(Bermanら,Nature 345:622-5(1990);Bruckら;Vaccine 12(12):1141-8(199 4);El-Amadら;AIDS 9:1313-22(1995);Girard ら;J.Virol.69:6239-48(1995);およびFulzら;Science 256:1687-1690(1992)) 。チンパンジーの成功した保護は有望であり、ワクチンの効果の信頼性のある指 標であることが歴史的にわかっているものの、HIV−1感染のすべての実験モ デルにおける感染の条件は、ヒトにおける自然感染とかなり異なっている。 in vivoおよびin vitro両方の実験的なHIV−1感染は、in vitroまたはin vivo感染実験のためにウイルスストックを調製するために必要があるHIV−1 のin vitro増殖によって、培養細胞を樹立するために使用される臨床的標本に存 在する突然変異体のスペクトルとは異なったウイルス擬種のスペクトルを生じる 遺伝的選択を強いられるという制限を受ける(kusumiら;J.Virol.66:875(1992 );Meyerhansら;Cell 58:901-10(1989))。これらの不確定性のために、さらに、 伝染するウイルスの量、最初の複製に関わる部位と細胞のタイプ、およびウイル ス伝播のキネティックスに関するより大きな不確定性のために、ワクチンの効果 を信頼性をもって予測するための現在利用可能なin vitroまたはin vivo分析の 性能は疑問のあるところである。 臨床試験に入っているHIV−1ワクチン候補の1つは、チャイニーズハムス ター卵巣(CHO)細胞において製造されたHIV−1のNM種由来の組換えg p120(NM−rpg120)である(Bermanら;J.Virol.7:4464-9(1992) )。今日まで、このワクチンの第1相および第2相の免疫原性および安全性の試 験において、およそ499人の成人が参加した。このようにして集められたデー タは、NM-rpg120が安全であり免疫原性があり、0、1および6ヶ月免 疫スケジュールにしたがって免疫された人の95%以上において高い力価の中和 抗体を誘導することを大いに示唆している(Belsheら;JAMA 272(6):475-80(1994 );McElrath;Seminars in Cancer Biol.6:1-11(1995))。しかしながら、これら 試験の間に、NM-rpg120を受けた9人のワクチン受容者が、危険性の高 い行動によりHIV−1に感染した。感染率の低い群および最小限の規模のプラ シーボ対照群におけるこれら試験のような小規模の試験には、ワクチンの効果を 確認あるいは効果のないことを証明するのに十分な統計上の力はない。 しかしながら、HIVの更なる種に対する保護のための、gp120または別 のHIVタンパク質に基づいた効果的なワクチンが、この疾患の広がりを阻止す るために依然として探求されている。背景技術の記載 組換えサブユニットワクチンはBermanらPCT/US91/02250(WO 91/15238として1991年10月17日に公開された)に記載されてい る。さらに、例えばHuら,Nature 328:721-724(1987)(ワクシニアウイルスHI Vエンベロープ組換えワクチン);Arthurら,J.Virol.63(12):5046-5053(1989 )(精製されたgp120);およびBermanら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85 :5200-5204(1988)(組換えエンベロープ糖タンパクgp120)を参照。 gp120についての多くの配列が知られている。本明細書に引用されるHI V−1LA1のIIIB亜種(substrain)由来のgp120の配列は、Muesingら, “Nucleic acid structure and expression of the human AIDS/Lymphadenopath y retrovirus”,Nature 313:450-458(1985)によって決定されたものである。H IV−1のNY−5、Jrcsf、Z6、Z321、およびHXB2種に由来す るgp120の配列は、Myersら,“Human Retroviruses and AIDS;A complicat ion and analysis of nucleic acid and amino acid sequences”,Los Alamos National Laboratory,Los Alamos,New Mexico(1992)に記載されている。 Thai単離物A244の配列は、McCutchanら,“Genetic Variants of HIV-1 in Thailand”,AIDS Res.およびHuman Retroviruses 8:1887-1895(1992)に記載 されている。MN1984クローンは、Gurgoら,“Envelope sequences of two new United States HIV-1 isolates”,Virol.164:531-536(1988)によって記載さ れている。本明細書に使用されているMN、MN−rgp120、MNクローン または単離物は、MNGNEを意味する。MNGNEアミノ酸配列は配列番号29であ る。 上記の文献はそれぞれ、その全内容が本明細書の一部を構成する。 発明の要約 MN−rgp120を用いるワクチン試験のブレイクスルー単離物由来のgp 120ポリペプチドをコードするオリゴヌクレオチド配列およびコードされたg p120ポリペプチドが提供される。1またはそれ以上の単離物に由来するgp 120ポリペプチドの、一般的にはMN−rgp120と同時の、サブユニット ワクチンにおける使用は、ワクチンの種(例えば、MN−rgp120)とは十 分異なった、そのワクチンがその種に対する保護をもたらさないHIVの種に対 する保護をもたすことができる。さらに、そのポリペプチドによって誘導された 抗体も提供される。図面の簡単な説明 第1図は、HIV−1に感染したワクチン受容者におけるMN−rgp120 に応答する抗体のキネティックスを示すものである。血清を表示した時点で集め 、MN−rgp120と反応する抗体(○)またはMN−rgp120のV3領 域から誘導された合成ペプチド(●)について分析した。矢印は注射した日を示 す。プラスの印は、最初のHIV−1感染が検出されたことを示す。影の領域は HIV−1感染後に集めたデータを示す。ワクチン受容者C6から得たデータは パネルAに示し、C8はパネルB、C7はパネルC、C11はパネルD、C10 はパネルE、C17はパネルF、およびC15はパネルGに示す。 第2図は、HIV−1に感染したワクチン受容者におけるCD4ブロッキング 抗体応答のキネティックスを示す。血清を表示した時点で集め、細胞表面CD4 対する[125I]標識したMN−rgp120の結合をブロックすることが可能 な抗体について分析した。矢印は注射した日を示す。プラスの印は、最初のHI V−1感染が検出されたことを示す。影の領域は、HIV−1感染後に採集した データを示している。ワクチン受容者C6から得たデータをパネルA、C8はパ ネルB、C7はパネルC、C11はパネルD、C10はパネルE、C17はパネ ルF、およびC15はパネルGに示す。 第3図は、ブレイクスルーウイルスに由来するエンベロープ糖タンパク(gp 120)の推定アミノ酸配列を示した。プロウイルスDNA配列をPBMCsか らPCRによって増幅し、PRK5発現プラスミドにクローニングした。感染し たワクチン受容者からそれぞれ2つのクローンを、2本鎖のプラスミドDNAか ら配列決定した。gp120の開始メチオニン残基を基準にして配列の番号付け をしている。比較のため、示した配列は、マチュアの、完全にプロセシングされ たエンベロープ糖タンパクの第12位のアミノ酸(gp120オープンリーディ ングフレームの第41位に対応する)で始まっている。影の領域は中和エピトー プの配列を示しており、黒い囲み部分はMN−rgp120と反応するウイルス 中和MAbの結合にとって重要と考えられた多形を示している。保存領域(C) および可変領域(V)を配列の上部に示している。囲み部分は、配列の相同性と 多形性を示している。 第4図は、ブレイクスルーウイルスから調製した組換えgp120の免疫沈降 を示している。7つのブレイクスルーウイルスに由来する組換えgp120は、 293s細胞の一過性トランスフェクションによって調製した。細胞を35Sメチ オニンで代謝的に標識し、増殖を調節した培養細胞の上清を、MN−rgp12 0に対するポリクローナル抗血清で免疫沈降させた。免疫沈降物をSDS−PA GEで分離し、オートラジオグラフィーで視覚化した。C8レーンaおよびbは クローンC8.3およびC8.6に対応し;C6レーンaおよびbはクローンC 6.1およびC6.5;C7レーンaおよびbはクローンC7.2およびC7. 10;C17レーンaおよびbはクローンC17.1およびC17.3;C11 レーンaおよびbはクローンC11.5およびC11.7;C10レーンaおよ びbはクローンC10.5およびC10.7;C15レーンaおよびbはクロー ンC15.2およびC15.3に対応する。 第5図は、ブレイクスルーウイルスに由来する組換えgp120に対するモノ クローナル抗体の結合を示す。増殖を調節した培養細胞の上清を、ブレイクスル ーウイルスエンベロープ糖タンパクの発現を指図するプラスミドで一過性トラン スフェクトした293s細胞から集めた。反応したrgp120の濃度は、本明 細書に記載のrgp120変異体すべてのアミノ末端におけるHSV−1糖タン パクDフラッグエピトープに特異的なMAb5B6を用い、ELISAによって 測定した。生じたrgp120調製物を、gp120のC末端における保存され た配列に特異的なポリクローナル抗体でコーティングしたマイクロタイタープレ ートのウェル上で捕捉した。gp120と反応するウイルス中和モノクローナル 抗体の結合をELISAにより測定した。Aは、HSV−1糖タンパクDフラッ グエピトープに特異的なMAb(5B6)による結合;Bは、MN−gp120 のV3領域に対するMAb(1034)による結合;Cは、MN−gp120の V3領域に対応する合成ペプチドに対して生じたMAb(50.1)による結合 ;Dは、CD4に対するgp120の結合をブロックすることが知られているヒ トMAb(15e)による結合である。 第6図は、HIV−1のMN種のMNクローンに由来する成熟エンベロープ糖 タンパク(gp120)(配列番号29)を示す。超可変領域を太字で示し、V およびC領域を示す(Modrowら,J.Virology 61(2):570(1987)に従う)。可能 性のあるグリコシレーション部位を()で示す。 発明の詳細な説明 本発明は、HIVワクチン試験のブレイクスルー単離物に由来するgp120 ポリペプチドを提供する。さらに、gp120を発現させるために使用し得るブ レイクスルー単離物に由来するgp120をコードする新規のオリゴヌクレオチ ド配列も提供する。サブユニットワクチンにおける、通常MN−rgp120と 同時の、1またはそれ以上の単離物に由来するgp120ポリペプチドの使用は 、ワクチンの種(例えば、MN−rgp120)とは十分異なった、そのワクチ ンがその種に対して保護をもたらさないようなHIV種に対する保護をもたすこ とができる。 1つの態様において、ワクチンは、MN−rgp120ポリペプチド(配列番 号29)と、最初のワクチンの種には存在していない、そのワクチンの種のもの とは十分異なった中和エピトープを含み、MN−rgp120ワクチン接種され た人においてHIV−1感染を引き起こすこと(即ちブレイクスルー感染を生じ さこと)が可能であったMN様ウイルスに由来するgp120ポリペプチドの使 用に基づいている。最初のワクチン種の使用によって、そのワクチン種の中和エ ピトープとは十分異なった更なる中和エピトープを含み、そのワクチン種により 誘導された保護を逃れる集団に存在しているウイルスが実験的に決定される。ワ クチンにおける最初の代表的なgp120ポリペプチドの使用はふるいとして働 き、その結果ワクチン種に対して効果的に保護されないウイルスがワクチンを突 破し、最初のワクチン種に対して保護されない、ある地理的な領域における更な る種が実験的に決定される。これらのブレイクスルー単離物に由来するgp12 0の使用は、最初のワクチン種には存在していないさらなる中和エピトープを提 供することによってワクチン単離物を補い、したがってその地域における複数の 異なったウイルス種に対する保護をもたらすより完全なワクチンを作り出す。 従来のHIV−1ワクチン戦略は、相同性アラインメント分析(homology ali gnmentstudy)に基づく、適当なワクチンポリペプチド候補の選択に基づいてい た。しかしながら、中和エピトープのいくつかはコンフォメーションに依存して おり、これらエピトープのすべての位置が知られていないので、必然的にこの戦 略は、特定の地域のためのワクチンに含めるべき中和エピトープを決定すること ができない。対照的に、本方法は、選択された代表的な種を使用し、十分に異な るがゆえに最初のワクチン接種計画によってもたらされる保護の障壁を突破する 種を実験的に決定する。その地域におけるHIV種からのより完全な保護をもた らすために、それらの種をワクチンに含有させることができる。さらに、それら の種は、ブレイクスルーウイルスに対する保護をもたらすために単独で使用する ことができる。 別の態様では、本発明は、最初のHIVgp120ポリペプチド配列および最 初のHIVgp120ポリペプチド配列を含むワクチンでワクチン接種されたワ クチン受容者に由来するブレイクスルー単離物HIVgp120ポリペプチド配 列とを含み、そのHIVgp120ポリペプチド配列が適当な担体中に存在して いるワクチンを包含する。 好ましくは、最初のgp120ポリペプチド配列は、その最初のワクチン(即 ちブレイクスルー単離物を生じさせるワクチン)が投与された地理的な地域に由 来する単離物に存在する1またはそれ以上のgp120ポリペプチドに見られる 中和エピトープを含む。より好ましくは、最初のgp120ポリペプチド配列は 少なくとも1つのその地域にとってより一般的な中和エピトープを含み、最も好 ましくは最初のgp120ポリペプチド配列は、最も一般的な3つの中和エピト ープのうちの少なくとも1つを含む。 最初のgp120ポリペプチド配列として使用するのに適当なgp120ポリ ペプチド配列には、gp120MN、Thai単離物A244配列(以下「gp 120A244」とする)、gp120MN−GNE6(配列番号31、また 「gp120 GNE6」として当技術分野において知られている)、およびg p120 MN−GNE8(配列番号33、また「gp120 GNE8」として 当技術分野において知られている)などが含まれる。gp120MN、gp12 0MN−GNE6およびgp120 MN−GNE8は、北米において、最初の ワクチンにおける最初のgp120ポリペプチド配列として使用するのに特に好 ましい。gp120 A244は、タイのための、最初のワクチンにおける最初 のgp120ポリペプチド配列として使用するのに特に好ましい。 この態様の変法では、ワクチンは2つの異なる(即ち第1および第2の)gp 120ポリペプチド配列またはその断片を、ブレイクスルー単離物HIVgp1 20ポリペプチド配列と組み合わせて含む。後者は、第1および第2のHIVg p120ポリペプチド配列のいずれか一方またはその両方でワクチン接種された ワクチン受容者に由来し得る。 ワクチンの例には、gp120MN、gp120 A244、gp120MN −GNE6(配列番号31)、およびgp120MN−GNE8(配列番号33 )の組み合わせを含有するものが含まれる。gp120MNおよびgp120A 244またはgp120MN−GNE8(配列番号33)と、ブレイクスルー単 離物HIVgp120ポリペプチド配列との組み合わせが特に好ましい。 gp120MNを含むワクチンでは、ブレイクスルー単離物HIVgp120 ポリペプチド配列は配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20 、22、24、26および28からなる群から選択されるHIVgp120ポリ ペプチド配列およびその断片であり得る。 「サブユニットワクチン」は、ウイルスは含まないが、1またはそれ以上のウ イルスタンパク質もしくはウイルスタンパク質の断片を含むワクチンを意味する ために、当技術分野におけるのと同様、本明細書において使用される。本明細書 に使用される「多価の」なる用語は、ワクチンが、異なったアミノ酸配列を有す る少なくとも2つのHIV単離物に由来するgp120を含んでいることを意味 する。 「ブレイクスルー単離物」または「ブレイクスルーウイルス」なる用語は、ワ クチン受容者から単離されたウイルスを意味するために、当技術分野におけるの と同様、本明細書において使用される。 「アミノ酸配列」、「ポリペプチド配列」、および「ポリペプチド」は、当技 術分野におけるのと同様、本明細書において互換的に使用され、「核酸配列」、 「ヌクレオチド配列」および「オリゴヌクレオチド」もまた同様である。ブレイクスルー単離物由来のポリペプチド 本発明のgp120ポリペプチドは、下の表1に示した7つのブレイクスルー 単離物のアミノ酸配列に対応する。本発明のポリペプチドには、表1に示された HIVgp120アミノ酸配列(配列番号1、3、5、7、9、11、13、1 5、17、19、21、23、25および27)およびその断片が含まれる。本 発明のポリペプチドには、2またはそれ以上のHIVgp120またはgp16 0アミノ酸配列に由来する融合した配列が含まれ得る。 ポリペプチドは、フラッグエピトープアミノ酸配列のような別のウイルスタン パク質に結合することもできる。「フラッグエピトープ」なる語は、当技術分野 におけるように、モノクローナル抗体によって認識されるエピトープを含むアミ ノ酸配列を意味するために本明細書に使用される。フラッグエピトープは、モノ クローナル抗体によって認識されるフラッグエピトープをそれぞれ有している多 くの異なる組換えタンパク質の、単独のモノクローナル抗体アフィニティー精製 の使用を容易にする。非常に多くのアミノ酸配列がフラッグエピトープとして機 能し得る。単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)糖タンパクD(gD−1) のN末端配列を便宜上フラッグエピトープとして使用し、その使用は実施例に詳 細に記載されている。フラッグエピトープはHIVgp120ポリペプチド配列 のN末端に便利に融合する。しかし、別法としてアミノ酸配列をアフィニティー 精製するためにrgp120配列における中和エピトープを認識するモノクロー ナル抗体を使用することができ、フラッグエピトープを省略し得る。 さらに、様々なシグナル配列を本発明のポリペプチドに結合することができる 。rgp120はHIV培養細胞においてある程度分泌されるが、宿主細胞から 放出(宿主細胞によって分泌)されるエンベロープ糖タンパクの量は、種ごとに 大きく異なる。シグナル配列をコードするヌクレオチド配列をrgp120をコ ードするヌクレオチド配列につなぐことにより、様々なシグナル配列をポリペプ チ ドに導入して細胞からのrgp120の分泌を促進させることができる。例えば 、Chiron HIVgp120ポリペプチドは、rgp120の良好な分泌 をもたらす組織プラスミノーゲンアクチベータ(TPA)由来のシグナル配列を 含む。更なるシグナル配列が良く知られており、Kaymanら,J.Virol.68:400-4 10(1984)によって記載されたネズミ白血病ウイルス表面タンパク質gp70のN 末端領域が含まれる。 表1は、本発明の7つのブレイクスルー単離物それぞれの2つのクローンのヌ クレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。クローンは、C6.1、C6.5 、C8.3、C8.6、C15.2、C15.3、C7.2、C7.10、C11.5 、C11.7、C10.5、C10.7、C17.1、およびC17.3である。こ れらの配列は、配列番号1〜28であり、それぞれのクローンについて、最初の 配列番号がヌクレオチド配列であり次の配列番号がアミノ酸配列である。MNの アミノ酸配列およびMN−GNE6およびMN−GNE8のヌクレオチドおよび 推定アミノ酸配列を後述の配列表に示す。MN−GNE6の配列表において、終 止コドンがアミノ酸残基第51位にみられる。この終止コドンは、MNまたはM N−GNE8または別の単離物に由来する対応するアミノ酸をコードするコドン で置き換えることができる。 表1 クローンC6.1 クローンC6.5 クローンC8.3 クローンC8.6 クローンC15.2 クローンC15.3 クローンC7.2 クローンC7.10 クローンC11.5 クローンC11.7 クローンC10.5 クローンC10.7 クローンC17.1 クローンC17.3 表1の配列表に加えて、第3図は7つの単離物のそれぞれのクローンのアミノ 酸配列を示している。種々のクローンに由来する対応する残基を四角で囲んでい る。図では、MN−rgp120(配列番号29)に対し、アミノ酸配列を並べ ている。 1つの態様では、本発明のgp120ポリペプチドは、ブレイクスルー単離物 のうちの1つの配列と同じアミノ酸配列を有している。別の態様では、以下詳細 に記載するように、アミノ酸配列の端が切り取られている。別の態様では、本発 明のgp120ポリペプチド配列は、ブレイクスルー単離物の配列中に1または それ以上のアミノ酸のまたは置換、挿入、または欠失を含むことができる。通常 、端が切り取られたアミノ酸配列に存在せず且つエピトープを除去するアミノ酸 を除き、本発明のgp120ポリペプチドは、その単離物のアミノ酸配列と同じ 中和抗体を誘導するポリペプチドの能力を変えないような、ブレイクスルー単離 物 のアミノ酸配列における変更を含むであろう。 一般に、本発明のgp120ポリペプチドのアミノ酸配列における置換は、特 にその領域が中和エピトープを含んでいるgp120のV2、V3およびC4領 域については、保存的置換である。しかし、特に中和エピトープを含まない領域 においては、非保存的置換は企図される。 保存的置換は、アミノ酸を、同様の大きさと性質を有するアミノ酸で置換する 。例えば、疎水性残基または親水性残基を、それぞれ別の疎水性残基または親水 性残基で置換する。アミノ酸は以下の群に分けることができる:正に荷電した残 基(K、RおよびH);負に荷電した残基(DおよびE);アミド(NおよびQ );芳香族(F、YおよびW);疎水性(P、G、A、V、L、IおよびM); および非荷電性残基(SおよびT)。通常、ある群に属する残基を、その群の別 の構成要素で置き換える。 1つの態様において、gp120のV2、V3およびC4領域における決定的 なアミノ酸残基は、ブレイクスルー単離物における対応する残基と同一である。 gp120のV2、V3およびC4領域における決定的なアミノ酸残基は、実験 の節に記載されている。別の態様では、gp120のV2、V3およびC4領域 におけるすべてのアミノ酸残基は、ブレイクスルー単離物配列における対応する 残基と同一である。ブレイクスルー単離物由来のgp120をコードするオリゴヌクレオチド 本発明はさらに、gp120の発現させるために使用できる、ブレイクスルー 単離物に由来するgp120をコードする新規のオリゴヌクレオチドを提供する 。本発明のオリゴヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする。オリゴ ヌクレオチドはDNAまたはRNAであり得、通常はDNAである。数多くのヌ クレオチド配列は、遺伝コードの縮重のために同じアミノ酸配列をコードできる が、便宜上、本発明のオリゴヌクレオチドには表1(配列番号2、4、6、8、 10、12、14、16、18、20、22、24、26および28)に示すよ うなブレイクスルー単離物のヌクレオチド配列が含まれる。通常、本発明のオリ ゴヌクレオチドは、約5キロベース(kb)未満、好ましくは3kb未満である 。 コードされたアミノ酸配列を発現させるために、オリゴヌクレオチドを転写ユ ニット中へ挿入することができる。転写ユニットは、セルラインの製造のために プラスミド中に挿入、ウイルス(例えばワクシニア)中に挿入、またはDNAワ クチンとして直接使用することができる。ワクチンタンパク質の製造に適当な転 写ユニットはよく知られている。psvI6B5と呼ばれる好ましいベクターを 配列番号32に示す。ベクターは、リンカー配列に連結したHSV−1gD1シ グナル配列を含んでいる。発現させるgp120ヌクレオチド配列は、遺伝子の KpnI部位で始まる。すべてのgp120またはgp160配列はこの部位を 含んでいるので、いずれのgp120ヌクレオチド配列も、同じようにベクター 中へ挿入し発現させることができる。ベクターは、SV40由来のポリA尾部で 終わる。 本発明のポリペプチド配列の発現に有用であることに加えて、本発明のオリゴ ヌクレオチドはまた、HIV単離物を検出する診断に使用することもできる。例 えば、中和エピトープをコードするオリゴヌクレオチドまたはその一部は、分岐 鎖DNA診断においてまたはin situハイブリダイゼーション研究におけるプロ ーブとして使用することができる。ワクチン調製 適当な担体中の、選択されたブレイクスルー単離物に由来する本発明のgp1 20ポリペプチドを、サブユニットワクチンを製造するために使用することがで きる。ポリペプチドは単独で使用できるが、一般的にgp120MNを含む多価 のサブユニットワクチンとして投与する。本発明の1またはそれ以上のgp12 0ポリペプチドに加えて、ワクチンは一般にMNポリペプチド(以下、MN−g p120)を含む。通常、ワクチンは約3〜5の異なるgp120ポリペプチド を含むが、30またはそれ以上の異なるgp120ポリペプチドが使用できる。 ワクチンにおいて使用するためのgp120ポリペプチドの調製はよく知られ ており、以下に記載されている。選択されたHIV単離物の使用を除けば、本方 法において調製されるgp120サブユニットワクチンは従来技術のgp120 サブユニットワクチンと異ならない。 従来技術のgp120サブユニットワクチンに関し、所望の純度の程度および 抗体形成を誘導するに十分な濃度のgp120を、生理学的に許容される担体と 混合する。生理学的に許容される担体は、ワクチン用いられる用量および濃度で 受容者に対し無毒である。一般に、ワクチンを注射用、通常は筋肉内または皮下 注射用に製剤化する。注射のための適当な担体には滅菌水が含まれるが、好まし くは通常の生理食塩水のような生理学的な塩溶液またはリン酸緩衝生理食塩水も しくはリンガーラクテート(ringer's lactate)のような緩衝化された塩溶液が 含まれる。ワクチンには一般的にアジュバントを含む。有用なアジュバントには 、細胞毒性T細胞を刺激するQS21(Quil1aia saponaria、Cambridge Biotec h,Worcester,MAより商業的に入手可能)およびミョウバン(水酸化アルミニウ ムアジュバント)が含まれる。細胞性のまたは局所的な免疫を増強する種々のア ジュバントも使用できる。特に、サイトカンなどの免疫賦活剤をワクチンに含有 させることができる。適当な免疫賦活化サイトカインには、インターロイキン− 2(IL−2)およびインターロイキン−12(IL−12)などのインターロ イキンや腫瘍壊死因子α(THF−α)が含まれる。 ワクチンに含有させることができるさらなる添加剤には、低分子量のポリペプ チド(約10残基未満)、タンパク質、アミノ酸、グルコースまたはデキストラ ンを含む炭水化物、EDTAなどのキレート剤、およびタンパク質を安定化する または微生物の増殖を阻止する他の添加剤が含まれる。 ワクチンには、他のHIVタンパク質も含むことができる。特に、gp41ま たはgp41の細胞外部分またはP24、P17、およびP55のようなHIV −1コアタンパク質がワクチンに存在し得る。gp41のアミノ酸配列は、gp 120の配列よりも保存的であるが、gp41は中和エピトープを含んでいる。 好ましくは、ワクチンに存在するgp41は、ワクチンに存在するHIV単離物 に由来する。ワクチンにおいて使用する単離物由来のgp160は、ワクチン中 のgp120と置き換えるかまたはその単離物由来のgp120と一緒に使用す ることができる。別法として、ワクチンにおけるものとは異なる単離物に由来す るgp160をさらにワクチンに存在させることができる。 本発明のワクチンはさらに、1またはそれ以上の可溶性のgp120ポリペプ チド配列またはその断片を、細胞毒性T細胞応答を誘導するタンパク質を発現す るように特異的に設計された処理されたウイルスと組み合わせて含有し得る。適 当な処理されたウイルスは、例えばCanary Poxウイルス、ワクシニアウイルス、 弱毒化ヒトヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルスなど)および、Vari cella Zoster(水痘帯状疱疹ヘルペスウイルス)に由来する。上に記載したよう な例示的な処理されたウイルスを修飾して細胞毒性T細胞応答を誘導することが 可能ないずれかのHIVタンパク質を発現させることができる。典型的には、g p120/処理されたウイルスのワクチンによる免疫の後に1用量またはそれ以 上のgp120ポリペプチド配列の投与を行い、免疫応答を高める。所望ならば 、ウイルスを処理して1またはそれ以上の本発明のgp120ポリペプチド配列 またはその断片を発現させ、可溶性のgp120ポリペプチド配列とともにまた はなしでワクチンにおいて使用することができる。 ワクチン製剤は一般に、合計約300〜600μgのgp120を、便宜上、 約1.0mLの担体中に含む。好ましい製剤は、600μgのミョウバンの2倍 の重量のgp120ポリペプチドを2回に分けて使用することを含む。しかし、 より少ない量(例えば、1回用量あたり50μg)を含む製剤を、一般にミョウ バンまたは他のアジュバントとともに使用できる。ワクチンに存在するいずれか の単離物に関するgp120の量は、gp120の免疫原性によって異なる。例 えば、HIVのいくつかの種に由来するgp120は、MN種に由来するgp1 20(配列番号29)より免疫原性が低いであろう。異なる免疫原性を有する2 つの種を組み合わせて使用する場合、それぞれのウイルスの量の実験的な滴定を 行い、ワクチンにおけるそれぞれの種のgp120の百分率を決定することがで きよう。同様の免疫原性を有する単離物については、大体等しい量のそれぞれの 単離物のgp120がワクチンに存在するであろう。例えば、好ましい態様では 、ワクチンはMNおよび本発明の種に由来するgp120を、担体約1.0mL 中に1種あたり約300μgの濃度で含有する。ワクチンが約30の単離物に由 来するgp120を含有する場合、約10〜約50μgが使用できる。多価のワ クチンにおける免疫原性タンパク質の相対的な量を決定する方法はよく知られて おり、例えば多価のポリオワクチンにおける種々の単離物の相対的な割合を決定 するために使用されている。 本発明のワクチンは、従来技術のHIVgr120サブユニットワクチンと同 じようにして投与する。具体的には、通常、ワクチンをプロトコルにしたがって 0、1および6、8、12ヶ月目に投与する。好ましいプロトコルには、0、1 、6および12ヶ月目での投与が含まれる。免疫操作の後、年1回または年2回 のブーストを投与することができる。しかし、免疫過程の間およびその後は中和 抗体レベルが検出され得るので、しかるべくプロトコルを調整する。 ワクチンは感染していない人に投与する。さらに、従来技術のHIVワクチン のように、ワクチンを血清陽性の人に投与してウイルスに対する免疫応答を増大 させることができる。さらに、宿主中で発現させるためにワクチンのためのgp 120の種をコードするDNAを適当なビークル中で投与することができること も意図する。この方法では、感染した宿主においてgp120を産生でき、免疫 を繰り返す必要がない。gp120発現ビークルの調製は以下に記載する。 本明細書に記載のgp120単離物は、上で記載したワクチンとして使用する ことができるが、アミノ酸配列もまた、免疫原として使用するために単独でかま たは同じタイプの製剤と組み合わせて使用し、免疫原に存在する単離物を認識す る抗体を誘導することができる。免疫原は、ワクチンと同じようにして製剤化さ れ、同じ添加剤等を含有し得る。免疫原によって誘導される抗体は、診断におい て免疫原におけるHIV種を検出するためにか、またはその種をアフィニティー 精製するために使用し得る。gp120ポリペプチド配列およびケモカインレセプター CD4はHIV−1に対する主要な細胞レセプターであるが、HIV−1の細 胞への侵入には十分でない。CD4とともに必要であるコレセプターが同定され ている。これらのコレセプターは、7回膜貫通型Gタンパク質結合レセプターの ケモカインレセプターファミリーの一員である。ケモカインスーパーファミリー は、アミノ末端のシステイン間隔に基づいてさらに2つの群に分類される。CX Cケモカインは、主に好中球介在性炎症に関与し、CCケモカインは慢性炎症に 関わる傾向にある。CC−CKR1−5(当分野でCCR1−5としても知られ ている)と呼ばれる少なくとも5つのCCケモカインレセプターとCXC−CK R1−4(CXCR1−4としても知られている)と呼ばれる少なくとも4つの CXCケモカインレセプターが同定されている。 αケモカインレセプターfusinとも呼ばれているCXC−CKR−4(CXC R−4)は、T細胞親和性HIV種の侵入コファクターとして働く。βケモカイ ンレセプターと呼ばれているCC−CKR−5(CC−R5)は、CC−CKR −2bおよびCC−CKR3などのその関連するファミリー構成員と一緒になっ てマクロファージ親和性HIV−1種の侵入コファクターとして働く。T細胞親 和性種は、初期のT細胞およびT細胞系に感染し得るがマクロファージには感染 しないのに対し、マクロファージ親和性種はマクロファージと初期のT細胞に感 染し得るがT細胞系には感染しない。T細胞親和性種およびマクロファージ親和 性種は、その全内容が本明細書の一部を構成するDengら,Nature 381:661-666( 1996)においてより十分に議論されている。T細胞親和性種の例には、IIIB およびMNなどの実験室的単離物が含まれる。マクロファージ親和性種には、A 244、GNE6、GNE8およびgp120ベースのワクチンによって免疫さ れたワクチン受容者に由来するブレイクスルーウイルスが含まれるがこれらに限 られない主要な単離物が含まれる。両親和性種は、両方のタイプのコレセプター を使用でき、CXC−CKR−4によってかまたは1またはそれ以上のCC−C KRファミリーの構成員、好ましくはCC−CKR−5、CC−CKR−2b、 またはCC−CKR−3によって細胞に入る。本発明はいずれか一つの理論によ って束縛または限定されることを意図しないが、T細胞親和性およびマクロファ ージ親和性HIV−1種の侵入は、ウイルス種間の細胞親和性の違い、多くのC D4トランスフェクトした非霊長類細胞によるHIV−1感染に対する耐性、お よびヒトの集団の一部のHIV−1感染耐性の統一的な説明を与えるものとして 信じられている。 したがって、1つの態様では、(1)マクロファージ親和性のHIV−1種に 由来する第1のgp120ポリペプチド配列またはその断片および/またはT細 胞親和性種に由来する第2のgp120ポリペプチド配列またはその断片を、( 2)第1および/または第2のHIVgp120ポリペプチド配列でワクチン接 種されたワクチン受容者に由来するブレイクスルー単離物HIVgp120ポリ ペプチド配列またはその断片といっしょに含んでいるワクチンである。好ましく は、ワクチンは、異なったケモカインレセプターに結合する少なくとも2つの gp120ポリペプチド配列を含んでいる。一つの態様では、ワクチンは、異な るケモカインレセプターに結合する第1および第2のgp120ポリペプチド配 列を含んでいる。さらに、ブレイクスルー単離物gp120ポリペプチド配列は 、第1および第2のポリペプチド配列のどちらか一方かまたはその両者に結合し たケモカインレセプターとは異なるケモカインレセプターに結合し得る。 好ましいT細胞親和性種は実験室的単離物であり、最も好ましくはMNである 。本発明において使用するための好ましいマクロファージ親和性ウイルスはGN E6およびGNE8であり、それらは本明細書に開示されるブレイクスルーウイ ルスの代表であり、それらのgp120がCXC−CKR−5のようなCCケモ カインレセプターへの結合に関与するgp120配列(例えばV3領域)を認識 する抗体の形成を誘導する点においてMNとは異なっている。 一つの態様では、HIV感染は、上記のような、1またはそれ以上のケモカイ ンレセプターに結合するgp120ポリペプチド配列または適当なケモカインレ セプターに結合する領域を含むその断片をワクチンにおいて投与することにより 阻止される。好ましくは、ワクチンはさらに、1またはそれ以上のCD4結合性 gp120ポリペプチド配列または適当なその断片も含む。このようなワクチン は、ウイルスgp120−ケモカインレセプターまたはウイルスgp120−C D4の結合を阻止する抗HIV抗体を誘導する。さらに、このようなgp120 ポリペプチドは、CD4またはケモカインレセプターのようなHIV感染に関わ る1またはそれ以上のコレセプターに結合することにより、HIV感染を直接阻 止することができ、ゆえにHIV感染の処置において予防的または治療的効果を もたらす。好ましくは、この目的に有用なgp120ポリペプチド配列は、T細 胞結合(TCB)領域を含んでいる。 CCケモカインレセプターファミリーに関して、ケモカインレセプター結合性 gp120ポリペプチドの様々な使用を以下に議論する。しかし、当業者は、こ の議論がHIV感染におけるコファクターとして働くCXCケモカインレセプタ ーにも同等に適用されるということを認識する。 gp120ポリペプチドは、ワクチンまたは免疫原としての使用について記載 したように、1またはそれ以上のgp120ポリペプチドを含む組成物として使 用できる。組成物は、感染の危険性があるかまたはこのような治療が必要な患者 に、本明細書に記載された投与量と経路および投与手段を用いて、予防的にまた は治療的に投与できる。但し、長期的な投与が好ましいこともあり、投与量はし かるべく調整することができる。in vivo投与はまた、ウイルスgp120に結 合し、さらにはさらにウイルスのCC−CKRへの結合を阻止する抗体を誘導で きるということが注目される。 gp120ポリペプチドはまた、CC−CKRのアンタゴニストを同定するた めのスクリーニングアッセイに使用できる。例えば、単離され、ある表面(例え ばプラスティックの皿)に結合するかまたは組換えによりもしくは天然に細胞表 面に発現されたCC−CKR CC−CKRレセプターに対するgp120の結 合の阻止についてアンタゴニスト候補をスクリーンできる。アンタゴニストは、 gp120に結合するかまたはレセプターに結合し得る。好ましい候補となるア ンタゴニストにはgp120化合物、小さなgp120ペプチド(5〜20アミ ノ酸の長さ、好ましくは7〜10アミノ酸の長さ)またはレセプターに結合する gp120のペプチド模擬物、gp120に結合するモノクローナル抗体、およ びgp120またはレセプターのどちらかに結合する小さな有機分子が含まれる 。 gp120ポリペプチドによって誘導される抗体はまた、CCケモカインに結 合する抗イディオタイプ抗体を誘導するために使用できる。これらの抗イディオ タイプ抗体は、抗gp120ポリペプチド抗体に対する結合およびgp120が CC−CKRレセプターに結合することを阻止することについてスクリーンする ことができる。このような抗イディオタイプ抗体は、CC−CKRレセプターに 結合することによりgp120を模擬する。このような抗体、好ましくはヒトの 抗体は、組み合わせライブラリーに由来するヒトの抗体のような、数多くの方法 で得ることができる(例えば、Burtonら,Adv.Immunolo.(1994)57:191-280) 。現在、免疫により、内因性の免疫グロブリンを産生することなくヒトの抗体の 完全なレパートリーを産生することが可能なトランスジェニック動物(例えばマ ウス)を作出することが可能である。例えば、キメラおよびジャームライン突然 変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合体欠失は、内因 性抗体産生の完全な阻止をもたらす。このようなジャームライン突然変異マウス に おけるヒトジャームライン免疫グロブリン遺伝子配列の導入は、Jakobovitisら ,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovitsら,Nature 362:255- 258(1993);Bruggermannら,Year in Immuno.7:33(1993)に記載されているよう に抗原投与によってヒト抗体の産生をもたらす。 別法として、McCafferty,Nature 348:552-553(1990)に記載されているファー ジ展示技術を使用して、免疫されていないドナーに由来する免疫グロブリン可変 (V)領域遺伝子レパートリーからin vitroでヒト抗体および抗体断片を製造す ることができる。この技術によれば、抗体V領域遺伝子は、M13またはfdの ような繊維状バクテリオファージの主要なまたは副次的なコートタンパク質遺伝 子のいずれかの中でインフレームで閉じ込め、ファージ粒子の表面上で機能的な 抗体断片として展示される。繊維状の粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピ ーを含んでいるので、抗体の機能的な特性に基づいた選択によって、その特性を 示す抗体をコードする遺伝子を選択できる。ファージ展示は、例えばJohnsonら ,Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)に概説されている ように様々な形式で行うことができる。 V遺伝子断片のいくつかの起源がファージ展示に使用できる。Clacksonら,Na ture,352:624-628(1991)は、免疫されたマウスの脾臓から得られたV遺伝子の 、小規模のランダムに組み合わせたライブラリーから抗オキサゾロン抗体の多様 な配列を単離した。免疫されていないヒトのドナー(または胚細胞)に由来する V遺伝子のレパートリーを構築し得る。多様な抗原(自己抗原を含む)の配列に 対する抗体は、Marksら,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)、またはGriffith ら,EMBO J.,12:725-734(1993)に記載された技術に本質的に従って単離できる ということが示されている。 自然の免疫応答では、抗体遺伝子は高い率で突然変異(体細胞超突然変異)を 蓄積する。導入された変化のいくつかがより高いアフィニティーをもたらし、高 いアフィニティーの表面免疫グロブリンを示しているB細胞が優先的に複製され 、後の抗原投与の間に分化する。この自然の過程は、「チェーン・シャッフリン グ(chain shuffling)」として知られる技術(Marksら,Bio/Technol.10:779-78 3(1992))を用いることにより模擬することができる。この方法では、重鎖お よび軽鎖V領域遺伝子を、免疫されていないドナーから得られた自然に生じたV 領域の突然変異体(レパートリー)のレパートリーで逐次的に置き換えることに よって、ファージ展示によって得られた“一次(primary)”ヒト抗体のアフィ ニティーを高めることができる。この技術は、nMの範囲のアフィニティーを有 する抗体および抗体断片の製造を可能にする。非常に大規模のファージ抗体レパ ートリーを製造するための方法は、Waterhouseら,Nucl.Acids Res.,21:2265- 2266(1993)に記載されている。 従って、CC−CKRに結合する抗体は、上記のように組み合わせライブラリ ーまたは他の系におけるバクテリオファージの表面で発現した抗体またはその断 片を、レセプターに対するgp120の結合を阻止するgp120モノクローナ ル抗体でスクリーニングすることによって得ることができる。 gp120抗体による抗体のスクリーニングに加えて、ランダムまたは組み合 わせペプチドライブラリーを本発明のgp120抗体またはgp120化合物の いずれかでスクリーニングすることができる。100万〜10億の異なる配列に 及ぶペプチドの大きなコレクションを含んでなるライブラリーからペプチドリガ ンドを同定する方法が利用可能であり、その配列をモノクローナル抗体または標 的分子を用いてスクリーンすることができる。この技術の能力は、ライブラリー における非常に多くの配列とカップルしたアミノ酸の化学的多様性に由来する。 例えば、Scottら,Cur.Open.Biotechnol.5(1):40-8(1994);Kenanら,Trends Biochem.Sci.(1994)19(2):57-64参照。従って、本明細書に記載したように製 造されたモノクローナル抗体、好ましくはヒトのモノクローナル抗体またはその 断片は、HIV感染または疾患の進行を阻止または処置することによる処置、並 びに更なる医薬を同定するためのスクリーニングアッセイにおける使用を提供す る。gp120の製造 ワクチンのためのgp120は、従来技術のHIVサブユニットワクチンと同 様にいずれかの適当な手段によって製造し得る。組換えにより製造されたまたは 化学的に合成されたgp120は、安全性の理由から、HIVから直接単離され たgp120よりは望ましい。gp120の組換えによる製造の方法を以下に記 載する。 ブレイクスルー単離物に由来するgp120をコードし、gp120を発現す ることができるオリゴヌクレオチドは、慣用の手段によって製造し得る。例えば 、ヌクレオチド配列を合成し得る。あるいは、gp120をコードする別のHI Vヌクレオチド配列を土台として用い、部位特異的突然変異誘発によるように、 いずれか異なる残基で改変することができる。部位特異的突然変異誘発は、Kunk elら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:488-492(1985)およびZollerら,Nuc.A cids Res.10:6487-6500(1982)に記載されており、よく知られている。 好ましい態様では、ヌクレオチド配列は、コードされたタンパク質の発現のた めのプロモーターの転写および翻訳条件下で、gp120をコードするDNAを 含む発現構築物中に存在する。プロモーターは、哺乳類細胞における発現のため の真核プロモーターであり得る。プロモーターを拡張するまたは原核宿主におい てgp120を製造することを望むならば、プロモーターは原核プロモーターで よい。通常、高レベルの転写と発現をもたらすために強力なプロモーターを使用 する。 発現構築物は、適当な細胞宿主における安定な染色体外の維持を可能にするベ クターの一部であり得るか、または宿主ゲノムに組み込まれてもよい。普通、発 現構築物にマーカーを付与してその構築物を含む宿主の選択を可能にする。マー カーは、同じかまたは異なるDNA分子上に存在し得るが、望ましくは同じDN A分子上に存在する。 発現構築物は、目的の宿主細胞によって認識される複製系に連結することがで きる。様々な複製系には、レトロウイルス、シミアンウイルス、ウシ乳頭腫ウイ ルスなどに由来するウイルス複製系が含まれる。さらに、構築物を増幅可能な遺 伝子、例えばDHFR遺伝子に連結して、gp120の複数のコピーが作られる ようにすることができる。構築物の宿主細胞への導入は、その構築物によって異 なるが、いずれかの便利な手段によって達成することができる。広く様々な原核 および真核宿主をタンパク質の発現に使用することができる。 好ましくは、gp120は、天然のgp120と同じグリコシレーションおよ びジスルフィド結合を生じる哺乳類細胞において発現させる。gp120および gp120の断片の、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)糖タンパク質D (gD−1)のN末端配列を組み込んでいる融合タンパク質としての哺乳類細胞 における発現は、Lasky,L.A.ら,1986(組換えエンベロープ糖タンパク質に対 する抗体によるAIDSレトロウイルスの中和)Science 233:209-212およびHaf far,O.K.ら,1991(HIV−1gp160の細胞質尾部は細胞膜と合する領域 を含んでいる)Virol.180:439-441にそれぞれ記載されている。gp120を発 現させるための好ましい方法は、実施例に記載されている。実施例では、ヘテロ ローガスなシグナル配列をタンパク質の便利な発現のために使用した。しかし、 天然のシグナル配列を使用してタンパク質を発現させることもできる。 単離、精製された、表1に示されたアミノ酸配列のうちの1つを有する、gp 120ポリペプチドは、慣用の方法によって製造することができる。例えば、タ ンパク質を化学的に合成することができる。好ましい態様では、本発明の発現構 築物を使用してタンパク質を哺乳類細胞において発現させることができる。発現 したタンパク質は、慣用の手段によって精製することができる。好ましい精製方 法は実施例に記載されている。gp120フラグメント 本発明はさらに、ワクチン製剤中で使用するための、抗体の誘導に使用するの に適当なgp120断片を提供する。本明細書において用いられるように、端が 切り取られたgp120配列は、gp120のアミノまたはカルボキシ末端のい ずれか一方で始まる完全なgp120配列の一部がないgp120の断片である 。本発明の端が切り取られたgp120配列にはC5領域がない。gp120の C5領域はその分子の主要な免疫原性部位である。しかし、その領域に対する抗 体はウイルスを中和しない。従って、セロタイピングについての抗体を誘導する のに使用される免疫原から、gp120のこの部分を除去することは有用である 。 別の態様では、端が切り取られたgp120配列にはさらに、カルボキシ末端 領域からgp120V5領域のおよそ第453位のアミノ酸残基までがない。配 列に残っているV5領域のその部分が、発現構築物を調製するのに便利な制限部 位を提供する。しかし、gp120V5領域全体がない、端が切り取られたgp 120配列もまた、抗体の誘導に使用するのに適当である。 さらに、gp120のアミノ末端の部分を、その端が切り取られたgp120 配列から除去することもできる。特に、その端が切り取られたgp120配列は 、gp120シグナル配列がなくてもよい。端が切り取られたgp120配列は カルボキシ末端からgp120C1領域の第111位のアミノ酸残基がなくても よく、C1領域の大部分が除去されているが便利な制限部位は保存されている。 しかし、C1領域からジスルフィド結合を形成するV2システイン残基までの部 分をさらに除去することができ、その結果、端が切り取られたgp120配列に はカルボキシ末端からgp120C1領域のアミノ酸第117位の残基までがな くなる。好ましい態様では、端が切り取られたgp120配列には、gp120 のアミノ末端からC1領域の第111位の残基までと、第453位の残基からg p120のカルボキシ末端までがない。 端が切り取られたgp120配列は、前に記載されたように、組換え工学によ り製造することができる。便利には、端が切り取られたgp120配列をコード するDNAを、シグナル配列をコードするヘテロローガスDNA配列に連結する 。 具体的な問題または状況に対する本発明の教示の適用は、本明細書に含まれる 教示に照らしてその分野における通常の技術を有する者の能力の範囲内である。 本発明の生成物とその単離のための代表的な方法、使用、および製造の例を、以 下に明らかにするが、本発明を限定するものと解釈してはならない。本明細書に おけるすべての文献の引用は、参考のため特に本明細書の一部を構成するものと する。 実施例 材料および方法 ヒトのボランティア由来の標本コレクション。国立衛生研究所(NIH)によ って支援された第I相(NIHプロトコル AVEG 016)および第II相( NIHプロトコル AVEG 201)HIVワクチン試験に参加している間にH IV−1に感染した、MN−rgp120で免疫された人から血液を集めた。試 験における患者の人口統計、および試験の計画は、McElirath;Seminars in Canc er Biol.6:1-11(1995);McElrathら;Abstracts form Eighth Annual Meeting of the National Cooperative Vaccine Development Groups for AIDS. Bethseda,MD 216(1996)に記載されている。標本は、参加施設の試験施設内審議 委員会によって承認されたインフォームドコンセントプロトコルに従って得た。 実験のセクションでは、HIV−1感染の時をNIHAIDSワクチン評価ネッ トワークによって提供されたデータに関して特定し、ここではHIV−1感染を 検出するためにPCR(RNA)および/または血清学的分析を用いた。 HIV−1エンベロープ糖タンパク質をクローニングするための試料調製。 HIV−1感染したワクチン受容者由来の末梢血単核細胞(PBMCs)を、ヘ パリン化した静脈血から、FICOLL−HYPAQUEグラジェント遠心分離 によって調製した。細胞数と生存能力を測定した。分離の後、PBMCsをリン 酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、PCR溶解緩衝液(50mM KCl、10m M Tris(pH8.4)、2.5mM MgCl、0.1mg/mLゼラチン(Sigma )、0.45%NONIDET P40洗浄剤、0.45%TWEEN 20洗浄剤 (洗浄剤は両方ともUnited States Biochemical Corp.から商業的に入手可能で ある)および0.06mg/mLプロテイナーゼK(Gibco BRL))中に細胞密度 6×106細胞/mLに懸濁して細胞を溶解した。リゼートを50〜60℃で1 時間インキュベーションした後、10分間95℃でプロテイナーゼKを不活化し た。リゼートを冷凍し、使用するまで−70℃で保存した。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅。試料を、以下に記載するネステッド( nasted)プライマーを用いて2回のPCR増幅に付した。1回目では、PBMC リゼートの25μLアリコート(約1μgのゲノムDNAを含む)を、400μ Mの各dNTP、200μg/mLのBSA(Sigma Chemical Corporation,RI A grade)および50mM KCl中の各プライマー約100pmole、20mM T ris(pH8.4)および3mMのMgClを含む同体積のPCR反応ミック スと混合した。最初の10分間の95℃での解離段階の後、Tapポリメラーゼ (AMPLITAQ,Perkin Elmer Cetus)5単位を55℃の浸漬段階中に加え 、試料をミネラルオイルで被覆した。 PCRプロファイルは以下のとおりである:55℃で1分間、72℃で2.5 分間および94℃で1分間を2サイクル、その後、55℃で30秒間、72℃で 2.5分間および94℃で45秒間を28サイクル、そして72℃での伸張段階 を5分間。 1回目の反応から得られた10μLのアリコートを、上記の試薬とプロファイ ルかまたはPCRオプティマイザーキット(Invitrogen)に記載された試薬とプ ロファイルのいずれかを用いて、最終反応体積100μL中で適当なネステッド プライマーにより再増幅した。PCR反応生成物を、QIAQUICKスピンカ ラム(Quiagen Inc.)を用いて精製した。1回目に使用したプライマーペアは、 逆方向の120.os.R(第7836〜7859位の5'−ggtctagaa gctttaGCCCATAGTGCTTCCTGCTGCT−CC)(配列番 号36)と組み合わせた、前進方向の120.os.F(HIVPV22の第62 48〜6270位のホモローガス配列を有する5'−gggaattcggat ccAGAGCAGAAGACAGTGGCAATGA)(配列番号34)また はJM11A(第6048〜6074位の5'−ctcgag−CTCCTGA AGACAGTCAGACTCATCAAG)(配列番号35)[Kusumiら;J .Virol.66:875(1992)]のいずれか一方である。内部のネステッドプライマー は、120.BX.F(第6389〜6410位の5'−gggcggatcct cgaGGTACCTGTRTGGAAAGAAGCA;R:AまたはG)(配 列番号37)および120.is.R(第7819〜7841位の5'−ggtc tagaagctttaTGCTCCYAAGAACCCAAGGAACA;Y :TまたはC)(配列番号38)であった。ヘテロローガスプライマー配列は小 文字で示している。 PCR生成物のサブクローニングおよび組換えエンベロープ糖タンパク質の融 合タンパク質としての発現。 HIV−1エンベロープ糖タンパク質gp120配列をクローニングし、キメラ 遺伝子および融合タンパク質として発現させた。単純ヘルペスウイルス1型(H SV−1)のシグナル配列とマチュアのN末端から27個のアミノ酸が、マチュ アgp120配列のアミノ酸第13位に対応するgp120遺伝子のN末端配列 に融合している。ブレイクスルー標本に由来するgp120配列を含むPCR生 成物を、ヘテロローガスPCRプライマー尾部中に施した制限部位と、HSV− 1gDのN末端配列中に施したXhoI部位処理の組み合わせを用いて、キメラ 遺伝子としてpRK5発現プラスミドにクローニングした。 得られた2本鎖DNAを、Sequence and the dGTP Reagent Kit(United State s Biochemical Corp.)により配列決定した。Bermanら,J.Virol.7:4464-9(199 2);Nakamuraら,AIDS and Human Retrovirus 8:1875-85(1992);およびNakamura ら,J.Virol.67:6179-91(1993)に記載されているように、発現を増強し、タン パク質分析を容易にするためのフラッグエピトープが得られるように糖タンパク D由来の配列を与えた。 簡潔に言えば、gp120フラグメントを、単純ヘルペスウイルス1型の糖タ ンパク質D(gD)遺伝子(gD−1)の5’配列にインフレームで融合し、3 ’末端が翻訳終止コドンに融合するように設計したプラスミド(pRK.gD− 5,pRKgDstop)に、PCR反応によって生じた単離されたDNA断片 をライゲーションした。このgD−1遺伝子の断片は、HSV−1タンパク質の シグナル配列とマチュアの形態の25個のアミノ酸をコードした。哺乳類細胞に おける発現を可能にするために、キメラ遺伝子断片を、サイトメガロウイルスプ ロモーターとシミアンウイルス40ウイルスポリアデニル化部位との間に位置す る翻訳終止コドンとクローニング部位とを有するポリリンカーを含んでいるpR K5発現プラスミド(Eatonら,Biochemistry 291:8343-8347(1986))へクロー ニングした。 得られたプラスミドを、リン酸カルシウム法(Grahamら,Virology 52:456-46 7(1973))を用いて、293s胚性ヒト腎細胞系(Grahamら,J.Gen.Vriol.36: 59-77(1977))へトランスフェクトした。増殖を調節した細胞培養培地をトラン スフェクションから48時問後に集め、Bermanら,J.Virol.63:3489-3498(198 9)およびLaemmli,Nature 227:680-685(1970)に記載されているように、可溶性 タンパク質をELISAにより、または培養細胞上清の代謝的に標識されたタン パク質をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE) によって分離してオートラジオグラフィーにより視覚化する特異的放射性免疫沈 降により検出した。 血清学的分析。Bermanら,J.Virol.7:4464-9(1992);Nakamuraら,AIDS and Human Retroviruses 8:1875-85(1992);およびNakamuraら,J.Virol. 67:6179-91(1993)に記載された血清学的分析を用いて、rgp120に対する抗 体、gp120V3領域由来の配列に対応する合成gp120V3領域ペプチド に対する抗体、および細胞表面CD4に対するMN−rgp120の結合を阻害 することができる抗体について、血清を分析した。gp120およびV3ペプチ ドに結合する抗体の終点力価を、血清の3倍希釈系列を用いて決定した。終点希 釈力価は、1:50に希釈されたプールした正常なヒトの血清の光学密度の平均 よりも2倍高い光学密度の値を与える最終の希釈率として定義した。抗体希釈物 の間で数値を内挿するコンピュータプログラムによって抗体力価を計算した。ポ ジティブコントロール標準血清の分析間での変動係数は35%であった。ブレイ クスルーウイルス由来のrgp120に対するモノクローナル抗体の結合。ブレ イクスルーウイルス由来のrgp120に対する様々なモノクローナル抗体(M Ab)の結合を測定するために、Mooreら;AIDS 3:155-63(1989)に記載のされて いるのと同様のELISAを使用した。簡潔に言えば、Nunc−Immuno プレート(Maxisorp,certified)を、gp120のC末端のペプチドに対する アフィニティー精製したヒツジポリクローナル抗血清(D7324、Internatio nal Enzymes,Fallbrook,CA)でコーティングした(5μg/mLとして100 μL、PBS中4℃にて一晩)。PBS−0.05%TWEEN−20洗浄剤で 1回洗浄した後、プレートをPBS−1.0%BSAで30〜60分間室温でブ ロックした。gD−rgp120融合タンパク質の等量を含むように希釈した、 293細胞由来の培養細胞上清を加え、2時間室温でインキュベーションした後 、PBS−0.05 TWEEN−20洗浄剤で3回洗浄した。様々なMAbを PBS−1.0%BSA中で希釈して、希釈したMAb100μLを各ウェルに 加えて室温で1時間インキュベーションした。 プレートを3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート2次抗体 (ヤギ抗マウスまたは抗ヒトIgG、Cappel)100μLと1時間室温でインキ ュベーションした。3回洗浄した後、プレートを顕色させてOD492(492n mにおける光学密度)をプレートリーダー中で読み取った。増殖を調節した培養 細胞上清を、HSV−1糖タンパク質D融合タンパク質に特異的なMAb5B6 による結合に基づいて希釈することにより標準化した。 ウイルス中和アッセイ HIV−1MNによるMT4細胞の感染を阻止するワクチン受容者血清の能力を細 胞変性分析において測定し、細胞の生存能力を、Robertsonら,J.Virol.Metho ds 20:195-202(1988)に記載されているように、熱量測定用指示染料を用いて定 量した。簡潔に言えば、HIV−1MNのウイルスストック(Michael Norcross博 士,U.S.Food and Drug Administrationから入手)を慢性的に感染したH9/ HIV−1MN培養細胞から透明の上清として調製した。HIV−1MNに慢性的に 感染したH9細胞をペレットにし、元の体積の1/10の培地に再顕濁した。細 胞に結合したウイルスを、Wrinら,J.Viro1.69:39-48(1995)に記載されている ように、細胞の急速な撹拌の機械的せん断作用によって解離させた。 7日間で細胞溶解殺傷を完結させるに十分なウイルスの量を、試験抗血清の3 倍連続希釈物とインキュベーションし、次いで10%FCS/RPMI−164 0細胞培養培地中のMT4Tリンパ球細胞に対する攻撃に使用した。培養細胞を 5%CO2中37℃で7日間インキュベーションし、次いで細胞の生存能力をM TT染料によってRobertson,J.Virol.Methods 20:195-202(1988)に記載され ているように試験した。ウイルス中和エピトープを570〜650nmにおける ODの測定によって定量し、次いで終点力価を、保護されない(死滅した)細胞 の対照のシグナルより2倍高いシグナルを与える抗血清希釈率の逆数として計算 した。これらの力価は、50%保護として計算した力価の典型的には2倍であっ た。 結果 感染した患者の免疫記録。1992年以降、危険度が低または中程度の人におけ る第I相試験、および危険度が中または高い人についての第II相試験において 、499人の成人がMN−gp120で免疫された。ここに記載した実験は、こ れらの試験期間中に危険性の高い行動によってHIV−1に感染した9人のうち の最初の7人の遺伝学的および免疫学的特徴付けを含んでいる。ワクチン受容者 の試験と状態の要約の一覧を表2Aに示す。ワクチン受容者の分析の一覧は、表 2Bに示す。 表2A MN−rgp120による免疫後にHIV−1に感染したワクチン受容者の記載 −M/Hは、男性の同性愛者であることを示す;M/IDUは男性の静脈薬物 使用者であることを示す。 −免疫ごとに注射したMN−rgp120の投与量をμgで示す;QS21は 、抗原がQS21アジュバント中で製剤化されたことを示す;Alumは水酸化 アルミニウム中で製剤化されたMN−rgp120を示す。 表2B MN−rgp120による免疫後にHIV−1に感染したワクチン受容者の記載 ○は、最後の免疫からHIV−1感染の検出までの期間を示す。 3つの感染が、2種類の異なるアジュバント(ミョウバンおよびQS21)中 で製剤化されたMN−rgp120の安全性と免疫原性を比較した第I相試験( NIHプロトコルAVEG201)において起こり、4つの感染が、種々の高リ スク群(例えば、静脈薬物使用者、同性愛および両性愛の男性、およびHIV− 1に感染した人のパートナー)におけるMN−rgp120の安全性と免疫原性 を確立することを目的とする第II相試験において起こった。 試験した7つの感染(表3)のうち、2つ(C6およびC8)は2回の注射後 に起こり、3つ(C7、C10)およびC15)は3回注射した後に起こり、そ して2つ(C11およびC17)は4回の計画された注射を受けた後に起こった 。最後の免疫から感染するまでの期間は、2〜13.5ヶ月であった。 表3 HIV−1に感染したワクチン受容者における免疫追加後のMN−rgp120 抗体力価ピーク #は、HIV−1感染のために分析しなかった標本を示す。 naは、試験の利用できなかった試料を示す。 太字は、異常に低い抗体力価を示す。 ワクチン接種された人におけるgp120に対する抗体応答。MN−rgp1 20に対する抗体応答の大きさの大きさと特異性を、免疫レジメ(第1図)の過 程において、感染した人全員においてELISAにより測定した。7人の患者の うち5人は、小さいが再現可能な1次応答(1:100〜1:2,000)と強 い2次(ブースター)応答(1:7,000〜1:32,000の範囲の力価)を 誘導する正常な抗体応答キネティックスを示し、2回目の免疫後に達成された のと同じかまたはそれよりわずかに高い3回目と4回目の注射後の抗体応答がそ れに続いた(第1図、表3)。 C7において観察された抗体応答(第1図C)は、1回目の注射の後に抗体が 検出できず、2回目の注射の後で1:350の力価しか検出されなかったという 点において異常であった。したがって、C7は1次免疫には応答せず2回目の注 射の後に得られた抗体応答が1次免疫応答を示したようである。この仮説と一致 して、3回目の注射は1:9,707の力価しか誘導せず、これは2回目の免疫 後に通常みられる力価に典型的なものであった。 典型的でない抗体応答は、促進された免疫日程に従って0、1および2ヶ月目 に免疫された患者C15においてもみられた(第1G図)。予想通り、この患者 において見られた抗体力価(1:4,460)は2回の免疫後に典型的に達成さ れる力価の最低値であり、3回の免疫についての正常値よりはるかに低かった。 C15における、3回目の免疫後の効果的なブースター応答の欠落は、ヒヒにお ける促進された0、1および2ヶ月の免疫計画が、2次応答が長引いて効果的な 3次ブースター応答を同様に誘導し得なかったという過去の試験[Anderson,J .Infect.Dis.160:960-9(1989)]を考慮すれば、驚くべきことではなかった。 C6(第1A図)およびC8(第1B図)の患者から得た血清と血漿の遡及分 析は、彼らが2回目と3回目の免疫の間のある時点でHIV−1に感染したとい うことを示した。HIV−1感染の血清学的証拠は、2回目の注射の2週間後に 力価が減少せず、代わりに特徴的でない高い力価のプラトーを形成したgp12 0抗体分析において明らかであった(第1A図および第1B図)。3回目の注射 の後のMN−rgp120力価における同様のプラトーは、C7の患者が、3回 目の注射を受けた16週間後の36週目あたりに感染したことを示唆している( 第1C図)。C10(第1E図)、C11(第1D図)、C15(第1G図)お よびC17(第1F図)の患者は、HIV−1感染の典型である、gp120力 価における予想外の増加を、3回目かまたは4回目の免疫の後に示した。得られ たデータは、MN−rgp120抗体応答のための免疫学的プライミングが、H IV−1感染から普遍的な保護をもたらすには不十分であることを示している。 V3ドメインに対する抗体力価。gp120に対する抗体応答をさらに特徴 付けるために、主要中和決定基(principal neutralizing determinant:PND )を含むMN−rgp120の合成V3領域ペプチドに対して抗体力価を測定し た。7人の患者のうち5人は、2回目の免疫後に良好なV3力価(1:400〜 1:4000)を示したが、2人の患者(C7およびC15)は有意の力価を示 すまでに3回の免疫を必要とした(第1C図および第1G図)。前に観察された ように(11)、数人の患者(例えばC11、C10、C17)におけるピーク のV3力価が継続的な免疫によって減少しているようである(第1D、1Eおよ び1F図)。HIV−1感染の後、V3反応性についての2つのパターンが観察 された。3人の患者(C6、C7およびC10)が、V3領域ペプチドに対する 力価の大きな増加を示した(第1A、1Cおよび1E図)のに対し、C8(第1 B図)はV3力価の大きな減少を示した。分析の時点では、C11、C15、お よびC17の患者におけるHIV−1感染に応答したV3力価の変化に関して何 らかの結論を導くにはデータが不十分であった。 得られた結果は、HIV−1感染の前の種々の時点でV3領域と反応する抗体 を形成する能力は、HIV−1のすべての種に対して保護的な免疫が妥当に相関 しているわけではないということを示している。 CD4阻止力価。CD4に対するgp120の結合をブロックする抗体は、異 種のクラスのウイルス中和抗体である。いくつかの抗体が、gp120のC4領 域に結合することが知られており(Nakamuraら,J.Virol.67:6179-91(1993);A ndersonら,J.Infect.Dis.160:960-9(1989))、いくつかの抗体はコンフォメ ーションに依存する不連続なエピトープを認識することが知られている(Berman ら,J.Virol.7:4464-9(1992);Nakamuraら;J.Virol.67:6179-91(1993);McKea tingら;AIDS Research and Human Retroviruses 8:451-9(1992);Hoら,J.Virol .65:489-93(1991);Barbasら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3809-13(1994) )。 両方のタイプのエピトープに対する抗体を検出する1つの方法は、細胞表面C D4に対する[125I]標識したgp120の結合を阻止する、ワクチン受容者 の血清の能力を測定することである[Nakamuraら,AIDS and Human Retroviruse s 8:1875-85(1992);Nakamuraら,J.Virol.67:6179-91(1993)]。CD4 ブッロク力価は、感染前の7人のワクチン受容者全員において1:10〜1:3 00の範囲のピーク力価で検出された(第2図)。感染前の最後の時点で、7人 のワクチン受容者のうちの5人のCD4力価は低かった(1:30またはそれ以 下)。しかし、1人のワクチン受容者(C17)は、感染前に約1:300のC D4ブロック力価を有していた(第2F図)。したがって、CD4に対するMN −rgp120の結合をブロックする抗体の欠如によって、すべての感染を説明 することはできない。HIV−1感染後、CD4ブロック力価における大きな増 加(1:100〜1:1,000)が、7人のうちの5人の患者においてみられ た。これには、C6、C7、C8、C10およびC11のワクチン受容者が含ま れている。これらの結果は、MN−rgp120によって誘導されたCD4ブロ ック力価が、天然の感染によって誘導される力価より低いことを示している。 ウイルス中和活性。抗体で処理されたウイルス(HIV−1MN)とインキュベ ーションした後にMT−4細胞の生存能力を測定する比色分析を用いて、MN− rgp120で免疫された患者に由来する抗血清のウイルス中和活性を測定した 。いずれのブレイクスルー感染についても実際の感染した日付は分からず、血清 試料は頻繁に集めたものでないため、どのワクチン受容者についても、感染時に おける中和抗体応答の大きさは分からない。 調べた7つの感染のうちで、感染の時期に最も近い血清試料はC7から得られ たものであり、HIV−1感染の検出の3週間前にHIV−1MNに対する中和力 価が1:15存在していたものであった(表4)。しかし、他のケースにおいて はすべて、最後の注射から感染の時期までの期間が10〜25週間であった 表4 HIV−1に感染したワクチン受容者由来の血清の中和活性 は、免疫を示す。 #は、HIV−1陽性を示す。 ndは、実施しなかったことを示す。 -は、試料が利用できなかったことを示す。 2つの早期の感染に由来する血清を試験したとき(表4)、1人(C6)は、 HIV−1感染検出の10週間前に1:10のピークの中和力価であったが、も う1人(C8)は、HIV−1感染の10週間前に1:80の中和力価を有した 。促進された免疫スケジュールにしたがって免疫された患者C15は、HIV− 1感染の14週前で、3回目の注射後に、1:35の中和力価を示した。3回目 の注射(24週)の後に1:200のピークの中和力価を有したC10の患者は 、HIV−1感染をはじめて示す(78週)6ヶ月前の52週目には力価を検出 できなかった。 C11の患者は、HIV−1の検出の14週前は1:90の中和力価であり、 3回目の免疫後は1:500のピークの中和力価であった。同様にC17の患者 は、感染の14週前に1:150の中和力価であり、3回目の免疫後は1:40 0のピークの中和力価であった。 約2ヶ月間のgp120応答の減衰の割合[Belsheら,JAMA 272(6):475-80(1 994)]、並びにC10とC17のワクチン受容者において、10週間で中和力価 が1:150から1:10に減衰したという観察に基づけば、C8、C15、C 11およびC17における中和力価は、感染前の最後の血清試料と、HIV−1 検出の時期との間に、1:10またはそれ未満に減衰したと思われる。 これら試験の結果は、すべてのワクチン受容者が、あるレベルのウイルス中和 抗体をHIV−1感染前のある時点で示し、中和応答の大きさが感染時には恐ら く低いということを示した。Belsheら,JAMA 272(6):475-80(1994)に記載されて いるように、一般的に、HIV−1に感染した人において観察されるウイルス中 和応答の大きさは、非感染のワクチン受容者においてみられる大きさに匹敵する ものであった。 ウイルスの配列。ワクチン抗原に対するブレイクスルーウイルスの類似性を調 べるために、7人すべてのブレイクスルーウイルスに由来するgp120のヌク レオチド配列を決定した。エンベロープ糖タンパク質遺伝子を、ポリメラーゼ連 鎖反応を用いてプロウイルスDNAから増幅した。配列は、患者の血液から直接 得たグラジェント精製した白血球のリゼートから、中間の組織培養または増幅工 程をなんら含むことなく、DNAの直接増幅によって得られた。 完全なgp120配列の一覧(1つの標本について2つのクローン)を図3に 示す。7つのエンベロープ糖タンパク質はすべて、サブタイプ(クレード)Bウ イルスに典型的な配列を有していた。MN−rgp120に対する全体の相同性 は、69〜80%に分布した(表5)。 表5 MN−rgp120配列と感染したワクチン受容者由来の配列との比較 −データは同一性の百分率で示す。 興味深いことに、高いパーセント(7つのうちの4つ)のブレイクスルーウイ ルスが、MN−grp120と25〜30%異なっていた[Myersら,Retroviru ses and AIDS Database,Los Alamos National Laboratory(1992および1995)] 。歴史的に、この程度の配列変化は、10〜20%の範囲であると予想されるサ ブタイプ内変化[Myersら,Retroviruses and AIDS Database,Los Alamos Nati onal Laboratory(1992および1995)]よりはむしろサブタイプ間(クレード内) の変化に典型的なものである。MN−rgp120に対して最も相同性が高いウ イルスのうち2つ(C6およびC8)は、免疫を完了する前の早期の感染として 現れ、1つ(C17)は遅い感染として起こった。 V3領域における多形。特に興味いのは、中和抗体によって認識されるエピトー プを含むことが知られている領域における多形であった。最も特徴化された中和 エピトープである主要中和決定基(PND)は、V3ループの先端に存在してい る。サブタイプBウイルスにおいては、約60%が、HIV−1のプロトタイプ MN種に対する同一性に基づいたMN血清型を決定する特徴(signature)配列 、IGPGRAF(配列番号39)を有している[Bermanら,J.Virol.7:4464 -9(1992);Myersら,Retroviruses and AIDS Database,Los Alamos National La boratory(1992および1995);LaRosaら,Science 249:932-5(1990)]。 ウイルスのうち3つ(C6、C8およびC17)は、MN血清型特徴配列(第 3図)を有していた。対照的に、4つのウイルスは、PNDにおけるラジカルな アミノ酸置換を有する配列[IGPGRAW(C7)、LGPGSTF(C11 )、IGPGRVL(C10)、およびIGPGSAF(C15)](それぞれ 配列番号40〜43)を有し、したがって“非MN様”ウイルスとして分類され る。注目すべきことに、4つの“非MN様”配列はそれぞれ珍しく(表6)、サ ブタイプBウイルスの最も一般的な“非MN”変異体に特有なものではなかった [Myersら,Retroviruses and AIDS Database,Los Alamos National Laborato ry(1992および1995)]。 表6 MN−rgp120で免疫されたHIV−1感染した人における主要中和決定基 における多形の頻度 −データセットGNEは1992年に収集された52の独立した単離物のコレク ションを意味し;データセットLANLは、Myersらによって報告された519個の 配列のコレクションを意味し;LANL.1はB.Korberら(個人的な文書)によって提 供された160人の疫学的に関連性のない人のコレクションを意味し;データセ ットLa Rosaは、La Rosaら,Science 249:932-5(1990)によって報告された配列 のデータを意味する。 ★★−配列が、試験したデータセットに存在しなかった。 ブレイクスルーウイルスにマッチするPND配列を有するウイルスの普及率は Los Alamos National Laboratory[Myersら,Retroviruses and AIDS Database ,Los Alamos National Laboratory(1992および1995)]によって集められた51 9のサブタイプB配列のリストにおいて、高いもので1.3%(C7)から、低 いもので0.2%(C11)までに分布している。他の3つの独立に得られたデ ータセット(表6)において同様に低い頻度が観察された。これらの配列の出現 率は、1985年以前に集められたデータセット[La Rosaら,Science 249:932-5(1 990)]と1992年に集められたデータまたは160人の疫学的に関連性のない人の セットから得られたデータ[B.Kober,個人的な文書]の間で有意には異なって いなかった。4つのデータのセットはすべて、MN様PND配列を有するウイル スの普及率が60%の範囲にあるということと一致していた。このデータに基づ いて、7つのブレイクスルー感染のうちの4つが、ワクチンによって阻止さ れると予想されるウイルスのスペクトルの外側に存在するウイルスによって引き 起こされると決定された。 ブレイクスルーV3領域の他の特徴。MN−rgp120と同様、すべてのブレ イクスルーウイルスのV3領域は、36アミノ酸の長さであった。しかし、すべ ての7つのウイルスが、グリコシレーション部位の数とシンシチウム誘導(SI )特徴配列についてMN−rgp120と異なっていた。 MN−rgp120の配列は、V3領域の第306位のN結合型グリコシレー ション部位を欠いている点において、多少通常と異なっている[Myersら,Retro viruses and AIDS Database,Los Alamos National Laboratory(1992および1995 )]。MN−rgp120に対する抗血清は、この位置でグリコシレーション部 位を有する様々なウイルス(例えば、SF−2、DU6587−5、DU448 9−5、CC)を中和することが知られているので[Bermanら,J.Virol.7:44 64-9(1992)]、このグリコシレーション部位の欠失は抗原性には重要ではないと 思われる。 さらに、MN−rgp120のV3領域は、シンシチウム誘導ウイルスに典型 的な配列多形(第311位のR、第324位のK、第328位のK)[Fouchier ら,J.Virol.66:3183-87(1992)]を有していたのに対し、7つのブレイクスル ーウイルスはすべて、非シンシチウム誘導ウイルスに関連する配列を有していた 。シンシチウム誘導ウイルスは、疾患の急速な進行[Tersmetteら,J.Virol.62 :2026-32(1988)]とT細胞親和性[O'Brien,Nature(London)348:69-73(1990) ;Shioda,Nature(London)349:167-9(1991)]に関連している。今日まで、これ らの特性を有するウイルスは、MN−rgp120で免疫されたどのボランティ アからも回収されていなかった。 V1、V2およびC4領域における多形。過去の研究によって、gp120の V1、V2およびC4領域における更なる中和エピトープが同定された[Nakamu raら,J.Virol.67:6179-91(1983);Mckeatingら,AIDS Research and Human Re troviruses 8:451-9(1992);Hoら,J.Virol.65:489-93(1991);Barbasら,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 91:3809-13(1994);McKeatingら,J.Virol.67:4932-4 4(1993);Mooreら,J.Virol.67:6136- 6151(1993);Davisら,J.Gen.Virol.74:2609-17(1993)]。 これらのうちで最も特徴付けられた中和エピトープは、この領域に結合する抗 体はCD4に対するgp120の結合をブロックすることが知られていたために 特別な注意をひきつけてきたC4領域に存在している[Mooreら,AIDS3:155-63(1 989);Mckeatingら,AIDS Research and Human Retroviruses 8:451-9(1992)]。 そのエピトープは保存(C)領域に局在しているため、この領域において自然に 起こる多形は、他の中和エピトープよりもはるかに制限される。Nakamuraら,J .Virol.67:6179-91(1993)は、数多くの中和MAbの結合は第429位におけ るKに依存することを報告した。 MN−rgp120の配列とHIV−1の他の種との比較は、KのEへの置換 という共通の多形がこの位置で起こることを示した。実際、同じウイルス単離物 の亜種が、しばしばこの位置で多形を示している。HIV−1LA1のHXB2亜 種は第429位にKを含んでいるのに対して、HIV−1LA1のBH10、II IBおよびLAV亜種は、この位置にEを含んでいる[Nakamuraら,J.Virol. 67:6179-91(1993)]。同様に、HIV−1MNの1984単離物は、この位置でE を示したのに対して、MN−r.gp120の製造に使用されたHIV−1MNの 1990単離物はこの位置にKを有していた。 感染したワクチン受容者の配列を試験したとき(第3図)、C17の患者由来 のウイルスは、MN−rgp120と同じように第429位いKを含んでいたの に対し、ワクチン免疫原の異なる他の6つのウイルスは、この位置にEを有して いた。これらの結果は、7つのブレイクスルーウイルスのうち6つが、CD4を ブロックする、gp120のC4領域における中和エピトープにおいてワクチン 免疫原と異なっていることを示した。 モノクローナル抗体による研究によって、gp120のV1およびV2領域に おける中和エピトープが明確になった[McKeatingら,J.Virol.67:4932-44(19 93);Mooreら,J.Virol.67:6136-6151(1993);Davisら,J.Gen.Virol.74:260 9-17(1993)]。C4領域に起こる多形と同様、V2領域は、ウイルス中和抗体の 結合に影響するいくつかの共通した多形を示している。1つのこのような多形が 、ネズミMAb1025の結合にとって決定的に重要である第171位 に起きており、一方、第187位の残基は1088に代表されるいくつかのMA bの結合にとって重要である。 V2領域配列を試験したとき(第3図)、感染したワクチン受容者のウイルス はすべて、第171位のGがRで置き換わっており、第187位のEがIまたは Vで置き換わっていた点でMN−rgp120と異なっていた。MN−rgp1 20のV2領域のこれらの結合部位を認識する抗体は、これらの位置にラジカル なアミノ酸置換を有するウイルスを中和すると予想されないであろう。このよう に、7つのブレイクスルーウイルスはすべて、gp120のV2領域の中和エピ トープにおいてMN−gp120と異なっていた。 gp120のV1領域における他の中和エピトープが報告されている[O'Brie nら,Nature(London)348:69-73(1990);McKeatingら;J.Virol.67:4932-44(19 93)]。MN−gp120のV1領域における中和エピトープは特徴付けられて いないが、この領域においてみられたブレイクスルーウイルス間の多形は興味深 いものである。特に目を引くのは(第3図)、この領域が20アミノ酸(C17 )〜45アミノ酸(C6)の長さの範囲に、そしてN結合型グリコシレーション 部位の数が2〜6の範囲に及んでいることであった。対照的に、MN−rgp1 20のV1領域は31アミノ酸の長さであり、3つのN結合型グリコシレーショ ン部位をコードしている。 配列データベースを調べることによって、V2領域における変化はV1領域に 匹敵することが示唆されるが、ブレイクスルーウイルスのV2領域は予想よりも 少ない変化を示した。特に、この領域の3つのN結合型グリコシレーション部位 を含んでいる7つのウイルスのうち6つについては、V2領域の長さが36アミ ノ酸(C7)〜39アミノ酸に及んでいた。高度の多形が、配列が26(C10 )〜33(C15、C7)アミノ酸の長さに及び、4または5個のN結合したグ リコシレーション部位を含んでいるV4領域にみられた。 ブレイクスルーウイルスに由来するエンベロープ糖タンパク質の抗原性。糖タ ンパク質抗原性における配列変化の有意性を測定するために、組換えgp120 を、7人の感染したワクチン受容者全員のウイルスから調製した(第4図)。こ れらの試験において、一連のMAbを構築し、ELISAによって、MN−r gp120に対するそれらの抗体の結合を、ワクチン受容者由来のrgp120 に対するその結合と比較した(表7)。 表7 MN−rgp120に対する結合と比較した、感染患者由来のrgp120に対 するMAb結合の相対的反応性 −相対的反応性の値は、2μg/mLのMAb濃度での、患者の単離物に由 来するrgp120で得られた光学密度を、MN−rgp120についての光学 密度で割った比を示す。 対照実験では、MAb5B6(すべてのgp120タンパク質のN末端に融合 したHSVgD−1フラッグエピトープに特異的である)の結合を、各単離物由 来のgp120の量を標準化するために使用した(第5A図)。これらの実験は 、等量のrgp120がマイクロタイタープレートのウェル上に捕捉されるよう な条件下でその分析が行われていることを示した。 V3領域の抗原性構造は、1034MAb(Nakamuraら,J.Virol.67: 6179-91(1993)に記載されているように、MN−rgp120で免疫したマウス から単離した)および50.1MAb(Riniら;Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90: 6325-9(1993)に記載されているように合成V3領域ペプチドで免疫したマウスか ら調製した)を用いて調べた。両方のMAbとも強力なウイルス中和活性を示す ことが知られている。組換えタンパク質に対する結合を調べたとき、MN−rg p120に対するMAb結合は、どのブレイクスルーウイルスエンベロープタン パク質よりも少なくとも10倍は高かった(第5BおよびC図)。驚くべきこと に、MN血清型を決定する配列、IGPGRAF(配列番号39)を有する3人 の患者の単離物に由来するrgp120(C8、C6およびC17)は、それら のMAb結合活性において互いに異なっていた。例えば、C17に由来のrgp 120に対するMAb1034および50.1の結合は、C6およびC8由来の rgp120に対する結合より有意に高かった。 C6−rgp120およびC8−rgp120は50.1について同等の結合 をもたらしたが、1034はC8−由来のタンパク質よりもC6−由来のタンパ ク質により結合したので、これらMAbによって認識されるエピトープの差異は 明らかである。最も低いMAb反応性は、C11およびC15由来のrgp12 0に関するものである。この結果は、これら2つのウイルスが両方ともV3領域 の第18位で、RからSへのラジカルな置換を有しているということを示す配列 分析と一致するものである。驚くべきことに、これらMAbは両方とも、C7お よびC10ウイルス由来のrgp120に対して予想以上に優れた結合を示した 。MN−rgp120と同様、両方のタンパク質ともペンタペプチド、IGPG R配列(配列番号44)をV3ループに含んでいるが、C10由来のgp120 において第319位および第320位でAおよびFがVおよびLに置換されてい る点、そしてC7由来のgp120において第320位でFがWに置換されてい る点で、MN−rgp120と異なっていた。これらの結果は、第318位のR が、これら2つのMAbの結合にとって必須であり、1034および50.1に よって認識されるエピトープが第319位および第320位での疎水的置換によ って完全には破壊されないことを示している。 配列のデータから予想されるように、MN−rgp120のV2領域に対する MAb(1088および1025)を用いるブレイクスルーウイルスrgp12 0に対する結合はほとんどなかった。また、MN−rgp120のC4領域に対 するMAb1024は、MN−rgp120と同様に第429位でKを含んでい るC17−rgp120に対して反応性をいくらか示したが、第429位の残基 にEを含んでいる他の単離物については反応性を示さないという観察は、配列の データと一致した。 合わせて、これらの実験は、7つのブレイクスルーウイルスのすべての抗原構 造が、3つのよく特徴付けられた中和エピトープにおいて、ワクチン免疫原と異 なっていることを示した。 全体的に異なったパターンの反応性が、Hoら;J.Virol.65:489-93(1991)に記 載されているようにHIV−1感染した人から調製したヒトのハイブリドーマ、 MAb 15eについて観察された。このMAbについて、最も高い結合がMN −rgp120およびC7由来のrgp120に対して達成され、最も低い反応 性がC11由来のrgp120の2つのクローン対してみられた。C10および C17由来のrgp120については、中くらいであるが同等の反応性がみられ た。 これらの結果は、15eエピトープが多形であること、エピト位−プがMN− rgp120およびC7由来のrgp120において保存されているが、C11 に由来するrgp120で失われていることを示している。興味深いことに、C 6から得られたrgp120の2つの異なるクローンが、抗体結合の著しく異な ったパターンを示した。例えば、クローンC6.5由来のrgp120はこの抗 体に対する強い反応性を示したが、クローンC6.1由来のrgp120はこの MAbに対して有意に低い活性を示した。配列のデータの比較(第3図)は、こ の2つのC6クローンが、6つのアミノ酸の位置で異なっていることを示した。 配列が分かっている他のウイルスタンパク質に対する結合の比較に基づけば、g p120のC3領域の第351位でのIからKへの置換は、結合活性における違 いを説明し得ると思われる。この結果はまた、この位置で正に荷電したKを同様 に含み、なお且つこのMAbについて反応性が弱いC11のクローンの両方と一 致している。あるいは、C4領域の第439位でのIからTへの置換は、C6. 1とC6.5との間の15e結合における違いを説明し得るであろう。C4領域 のこの位置での多形によって、C11の2つのクローンが15eに結合できない ことを説明することはできないが、近接した第434位でのMからTへの置換が 影響しているのであろう。 考察 これらの試験において、ワクチン候補であるMN−rgp120の第I相およ び第II相に酸化している間に危険性の高い行動によってHIV−1に感染した 9人のワクチン受容者のうちの7人におけるウイルスおよび免疫応答を分析した 。コのような感染は2つのうちの1つの理由で起こると思われる:1)感染時にお ける十分な免疫応答の欠失;または2)ワクチン免疫原によって保護されると思 われる抗原スペクトルの外に存在するウイルスによる感染。データは、両方の説 明とも観察された感染に関わり得ることを示している(表8)。 表8 ブレイクスルー感染のまとめ 感染のうち2つは、タンパク質サブユニットワクチンによる保護免疫の誘導に 典型的に必要な、最低限のワクチンの3回投与を受けなかった人に起こった(例 えば、Francisら;Ann.Int.Med.97:362-6(1982)に記載されている、ミョウバ ンアジュバント中製剤化された肝炎ウイルスB)。2つの更なるブレイクスルー 感染が、弱いまたは検出不可能な一次応答(C7)およびブースター応答(C1 5)を示したワクチン受容者において起こった。3回またはそれ以上の保護免 疫を受けた後にHIV−1に感染した3人(C10、C11およびC17)のう ち、少なくとも2人、恐らく3人全員は最後の免疫を受けてから6ヶ月以上後に 感染したと思われる。MN−rgp120に対する抗体力価は、半減期2〜2. 5ヶ月で典型的に減衰するため[Belsheら,JAMA 272(6):475-80(1994);Berman ら,AIDS 8:591-601(1994)]、抗体力価は少なくとも1/8おそらくは1/64 も減衰していたと予想される。したがって、感染時における十分な免疫応答の欠 落は、7つのブレイクスルー感染のうち少なくとも6つの有力な説明となる。 HIV−1による攻撃を受けたgp160で免疫されたチンパンジー[McElra thら;Longitudinal Vaccine-Induced Immunity and Risk Behavior or Study Pa rticipants in AVEG Phase II Protocol 201.In:Abstracts from Eighth Annua l Meeting of the National Cooperative Vaccine Deve1opment Groups for AID S.Bethseda,MD 1996:216]およびキメラSIV/HIV−1ウイルス(SHI V)による攻撃を受けた、gp120で免疫されたアカゲザルにおけるワクチン 効果の研究から得られたデータは、感染時の中和抗体応答の大きさが保護的免疫 の決定的な相関物であることを示唆している。持続する中和抗体力価が、ヒトに おける保護的免疫の有効な相関物であると分かったならば、抗体応答を最大にす るように設計された製剤(例えば、新規のアジュバント)または免疫レジメ(頻 繁な免疫追加)が、長期間持続する保護を達成するために必要になるであろう。 6ヶ月毎のブースターの使用が有利であろう。 遅い感染についてのその他考えられる説明は、ワクチンとブレイクスルーウイ ルスエンベロープ糖タンパク質との間の抗原性の相違である。この説明は、7つ のブレイクスルーウイルスのうちの4つが、アミノ酸レベルでMN−rgp12 0と25〜30%異なっているエンベロープ糖タンパク質を有しているという観 察によって支持される。この程度の相違は、歴史的には[Myersら,Retrovirus and AIDS Database,Los Alamos National Laboratory(1992および1995)]サブ タイプ間の変化に関連するものであり、同じサブタイプ内のウイルスについて予 想される平均10〜20%の変化をはるかに超えている。 エンベロープ糖タンパク質の多くの領域における配列変化の生物学的有意性は 明らかでないが、中和エピトープにおける多形はワクチン効果に影響する量要な 因子である。過去の研究[Salmon-Ceronら;AIDS Res.and Human Retroviruses 11:1479-86(1995);Javaherianら,Science 250:1590-3(1990)]は、HIV−1 エンベロープ由来のワクチンによって誘導され得る中和活性の幅は、V3領域の エピトープ(例えばPND)の配列に決定的に依存することを示している。した がってHIV−1のLAI種(プロトタイプ“非MN様”サブタイプBウイルス )に基づくワクチン候補は、サブタイプBウイルスに対し交差中和活性をほとん どかまたは全く示さないのに対し、“MN様”PND配列(IGPGRAF)( 配列番号44)を含むワクチンは幅広い交差中和活性を示す。7つのブレイクス ルーウイルスうち4つがPNDにおいてラジカルなアミノ酸置換を有するエンベ ロープ糖タンパク質を有していることは、抗原構造の違いがこれらの感染のうち のいくつかを説明するという説明と一致する。 ここ2〜3年にわたって、“MN様”ウイルスにおける多形が、PND以外の 中和エピトープで起きていることが明らかになってきている。最もよい例がC4 領域で起こっており、抗原性が異なる2つの変異体はその領域で第429位にお けるKまたはEいずれか一方の存在によって区別される[Mooreら;AIDS 3:155-6 3(1989)]。7つのブレイクスルーウイルスのうち6つは、それらが第429位 においてKではなくEを含んでいる点でワクチンの種と異なっているので、MN −rgp20のC4領域に対して生じる抗体は7人のワクチン受容者のうちの6 人に感染しているウイルスを中和しそうにない。 他の中和エピトープは、gp120のV1およびV2領域に存在していること が知られている。これらの領域は挿入および欠失により可変性が高いが、中和エ ピトープはMcKeatingら,J.Virol.67:4932-44(1993);Mooreら,J.Virol.67: 6136-6151(1993);およびDavisら,J.Gen.Virol.74:2609-17(1993)によって 記載されている。これらのエピトープのいくつかは、MN−rgp120の第1 42〜144位に対応する位置でトリペプチド配列RDKを含むV2領域のアミ ノ末端配列がオーバーラップしている[McKeatingら,J.Virol.67:4932-44(19 93);Mooreら,J.Virol.67:6136-6151(1993)]。C4エピトープと同様、この 配列における変化は、同じ親の分離物に由来する異なった亜種の間 で起こることが知られている。ワクチン抗原に存在しているGDK配列よりはむ しろRDK配列を有している点において、7つのブレイクスルーウイルスはすべ てMN−rgp120と異なっているので、MN−rgp120のV2領域に対 する中和抗体はMN−rgp120で免疫されたワクチン受容者から回収された ウイルスのいずれも中和しなかったであろう。 中和エピトープにおける多形が大部分の感染における保護の欠落についての説 明になるであろうが、V3およびC4領域でMN−rgp120と一致している ウイルスによって感染したワクチン受容者C17の感染は、これによっては説明 されないと思われる。配列の違いがこの場合における保護の欠落の理由であった ならば、決定的な相違は、このブレイクスルーウイルスに由来するgp120の V1領域における通常とは異なる配列に関係するであろう。いくつかの研究は、 V1領域がウイルス中和モノクローナル抗体によって認識されるエピトープを有 することを示している[McKeatingら,J.Virol.67:4932-44(1993);Davisら,J .Gen.Virol.74:2609-17(1993);Kaymanら,J.Virol.68:400-410(1994)]。 他の中和部位に関連のあるV1エピトープについて分かっていることははるか に少ないが、V1エピトープはコンフォメーションに依存するようであり、HI V−1感染した人に由来する抗血清はV1およびV2領域におけるエピトープを 認識する[McKeatingら,J.Virol.67:4932-44(1993);Kaymanら,J.Virol.68 :400-410(1994)]。C17に由来するウイルスのV1配列は、MN−rgp12 0または他のいずれかのブレイクスルーウイルスの配列と比較して小さく、そし て少ないN結合型グリコシレーション部位を含んでいるので注目に値する。同じ 理由で、C11およびC6に由来するエンベロープ糖タンパク質は、MN−rg p120または他のブレイクスルーウイルスと比較して有意に大きく、そして多 くのグリコシレーション部位を含んでいるので注目に値する。 アミノ酸配列の相違から抗原構造の相違の手がかりを得ることができるが、こ のような多形の結果は抗体結合試験でのみ証明できる。配列の相違を抗原構造の 相違と相関させるために、7つのブレイクスルーウイルスそれぞれの2つのクロ ーンに由来するgp120を発現させて、そのクローンの抗原性を一連のモノク ローナル抗体により調べた。配列のデータから予想されるように、MN−rgp 120のV2領域に対する中和MAbと反応したブレイクスルーウイルスエンベ ロープ糖タンパク質はなかった。C4領域に対するMAbを調べたとき、C17 エンベロープ糖タンパク質(K429についてMN−rgp120と一致してい る)のみが、低かったものの有意の結合を示した。驚くべきことに、サブタイプ BPNDコンセンサス配列IGPGRAF(配列番号!!)を含んでいる3つの ブレイクスルーエンベロープ糖タンパク質は、たとえワクチン免疫原に密接に関 連したPND配列を有していたとしても、3つのPNDに対するMAbのすべて に対して反応性が低かった。したがって、ワクチン受容者分離物のうちの3つが すべて、MAb結合を妨害する、認識部位以外の変化を有していると思われる。 in vitroの中和に対する耐性はときとして、中和エピトープのコンフォメーシ ョンを変化させてウイルス中和抗体による認識を妨害するような離れた配列にお ける突然変異に帰することが有り得ることが長年知られている[Naraら,J.Vir ol.64:3779-91(1990);Cordonnierら;Nature 340:571-4(1989)]。合わせて、こ れらの結果は、ブレイクスルーウイルスから回収されたエンベロープ糖タンパク の抗原構造が、ワクチン抗原の構造と有意に異なっているということを示してい る。 ウイルス中和ヒトMAb、15eの結合に影響すると思われるC3領域におけ る残基の局在は新らしい成果であった。このMAbは、不連続なエピトープを認 識し、CD4結合をブロックし、様々なHIV−1の実験室的および一次的な分 離物を中和することが知られている[Hoら,J.Virol.65:489-93(1991);Thali ら,J.Virol.66.5635-5641(1992);Mooreら,AIDS Res.Hum.Retroviruses 9 :1179-1187(1993)]。 ブレイクスルーウイルスに由来するエンベロープ糖タンパク質に対する相対的 な結合は、この抗体による認識がgp120のC3およびC4領域の残基に決定 的に依存しているということを示した。C3領域の第351位で正に荷電したK のユニークな存在は、HIV−1のC11.5、C11.7およびC6.1種が1 5eに結合できないことについての共通した説明を与える。あるいは、異なった 配置における異なったアミノ酸配列が、15eがC6およびC11クローン由来 のrgp120に結合できないことを説明となることもある。このタイプの置極 が起る唯一の明らかな位置はC4領域内にあり、第434位のMがTで置換され (C11)、第439位のIがTで置換される。 本試験は、MN−rgp120の現在の製剤はHIV−1感染に対して効果が 100%に満たないことを示している。MN-rgp120に関する過去のin vi troおよびin vivoの研究に基づけば、ヒトにおける天然のHIV−1感染からの 保護は、ウイルス中和抗体の限界濃度、およびワクチン免疫原と攻撃ウイルスと の間の抗原類似性に依存すると予想される。 これに関連して、7つのブレイクスルー感染のうち1つ(C17)のみが予想 外であった。この人は、全過程の免疫を受けたが、少なくとも2つの重要な中和 エピトープ(V3およびC4領域)でMN−rgp120と類似しているウイル スに感染した。この感染は、感染時の抗体応答の大きさまたはブレイクスルーウ イルスとワクチン種との間の抗原性の相違、またはこのプロトコルではモニター されなかった感染の情況(例えば、潰瘍性の疾患、急性感染または高ウイルス血 症のドナーによる感染)に関係しているであろう。あるいは、この人は、はっき りとした説明のできない真のワクチン不全症なのかもしれない。 結局のところ、本明細書に記載されたブレイクスルー感染の分析は、HIV− 1感染を阻止するためのワクチンとしてのMN−rgp120の継続的な開発に 水を差すようないかなるデータも示さなかった。この結果は、(例えば、更なる ブースター免疫による)ワクチンの免疫原性の増強が、長期間の保護的免疫の維 持に必要であろうということ、そしてMN−rgp120に加え、他の免疫原性 が異なるウイルスの種に由来するrgp120の添加が保護の幅を広げるのに有 用であるという考察を支持するものである。 ブレイクスルー感染から得られるウイルスおよびウイルス糖タンパクの有効性 によって、多価のワクチン中に包含させるための新たな抗原の同定方法を合理化 するための重要な手段が提供されるであろう。ブレイクスルーウイルスから調製 された組換えウイルス糖タンパクは、定義づけよって、MN−rgp120とは 有意に異なり、現在伝播しているウイルスに典型的な抗原構造を有する。このよ うに、MN−rgp120とブレイクスルーウイルス由来のrgp120とを組 み合わせることは、抗原性の複雑度を補い有意に広げ、そして交差中和活性の幅 を広げる効果的な方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:92) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,US,UZ,VN,YU

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、2 4、26および28からなる群から選択されるHIV gp120アミノ酸配列 を含んでなる単離されたポリペプチドおよびその断片。 2.該ポリペプチドがさらにフラッグエピトープ配列を含んでいる、請求項1記 載のポリペプチド。 3.該フラッグエピトープ配列がHSV gD−1フラッグエピトープ配列であ る、請求項2記載のポリペプチド。 4.該フラッグエピトープ配列がHIV gp120アミノ酸配列に融合してい る、請求項2記載のポリペプチド。 5.配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、2 4、26および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる、HI V gp120ポリペプチド配列をコードする5キロベースを超えないオリゴヌ クレオチドおよびその断片。 6.該オリゴヌクレオチドが配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、 17、19、21、23、25および27およびその断片からなる群から選択さ れるヌクレオチド配列を含んでなる、請求項5記載のオリゴヌクレオチド。 7.該オリゴヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列がさらにフラッグ エピトープを含んでいる、請求項5記載のオリゴヌクレオチド。 8.該フラッグエピトープがHSV gD−1フラッグエピトープである、請求 項5記載のオリゴヌクレオチド。 9.該フラッグエピトープがHIV gp120アミノ酸配列に融合している、 請求項7記載のオリゴヌクレオチド。 10.gp120MNと、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、 18、20、22、24、26および28、およびその断片からなる群から選択 されるHIV gp120ポリペプチド配列とを、適当な担体中に含んでなるワ クチン。 11.a.第1のgp120ポリペプチド配列またはその断片;および b.該第1のHIV gp120ポリペプチド配列でワクチン接種されたワクチ ン受容者に由来するブレイクスルー単離物HIV gp120ポリペプチド配列 またはその断片 を含んでなるワクチンであって、該HIV gp120ポリペプチド配列が適当 な担体中に存在しているワクチン。 12.該第1のHIV gp120ポリペプチド配列が、gp120 MN、gp 120 A244、gp120 MN−GNE6(配列番号31)、またはgp1 20 MN−GNE8(配列番号33)を含んでなる、請求項11記載のワクチ ン。 13.該ワクチンがさらに、gp120 MN、gp120 A244、gp12 0 MN−GNE6(配列番号31)、またはgp120 MN−GNE8(配列 番号33)を含んでなる第2のgp120ポリペプチド配列またはその断片を含 んでなるワクチンであって、該第2のHIV gp120ポリペプチド配列が該 第1のHIV gp120ポリペプチド配列と異なっている、請求項12記載の ワクチン。 14.該第1のgp120ポリペプチド配列がgp120 MNを含んでなり、 該第2のgp120ポリペプチド配列がgp120A244を含んでなる、請求 項13記載のワクチン。 15.該ブレイクスルー単離物が配列番号2、4、6、8、10、12、14、 16、18、20、22、24、26および28、およびその断片からなる群か ら選択されるHIV gp120ポリペプチド配列を適当な担体中に含んでなる 、請求項14記載のワクチン。 16.該第1のgp120ポリペプチド配列がgp120 MNを含んでなり、 該第2のgp120ポリペプチド配列がgp120 MN−GNE8(配列番号 33)を含んでなる、請求項13記載のワクチン。 17.該ブレイクスルー単離物HIV gp120ポリペプチド配列が配列番号 2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26およ び28、およびその断片からなる群から選択されるHIV gp120ポリペプ チド配列を適当な担体中に含んでなる、請求項16記載のワクチン。 18.該ブレイクスルー単離物HIV gp120ポリペプチドが該第1および 第2のHIV gp120ポリペプチド配列でワクチン接種されたワクチン受容 者に由来する、請求項13記載のワクチン。 19.ワクチン受容者に由来するブレイクスルー単離物に由来するHIV gp 120ポリペプチド配列またはその断片を、該ワクチン受容者が接種されたワク チンに加えることを含んでなる、HIVワクチンの製造方法。 20.該第1のgp120ポリペプチド配列が、マクロファージ親和性HIV− 1種に由来する、請求項11記載のワクチン。 21.該第1のgp120ポリペプチド配列が、T細胞親和性HIV−1種に由 来する、請求項11記載のワクチン。 22.該ワクチンがさらに、マクロファージ親和性HIV−1種に由来する第2 のgp120ポリペプチド配列またはその断片を含んでなる、請求項21記載の ワクチン。 23.該第1および第2のgp120ポリペプチド配列が異なったケモカインレ セプターに結合する、請求項22記載のワクチン。 24.該第1のgp120ポリペプチド配列がCC−CKR−5に結合し、第2 のgp120ポリペプチド配列がCXC−CKR−4に結合する、請求項24記 載のワクチン。 25.該ワクチンがさらに細胞毒性T細胞応答を誘導するように処理されたウイ ルスを含んでなる、請求項11記載のワクチン。
JP10505190A 1996-07-08 1997-07-03 Hivエンベロープポリペプチドおよびワクチン Ceased JP2000515368A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US67673796A 1996-07-08 1996-07-08
US08/676,737 1996-07-08
PCT/US1997/009690 WO1998001564A1 (en) 1996-07-08 1997-07-03 Hiv envelope polypeptides and vaccine

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000515368A true JP2000515368A (ja) 2000-11-21
JP2000515368A5 JP2000515368A5 (ja) 2005-03-10

Family

ID=24715764

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10505190A Ceased JP2000515368A (ja) 1996-07-08 1997-07-03 Hivエンベロープポリペプチドおよびワクチン

Country Status (13)

Country Link
US (1) US6090392A (ja)
EP (1) EP0942988A1 (ja)
JP (1) JP2000515368A (ja)
AP (1) AP1282A (ja)
AU (1) AU727107B2 (ja)
CA (1) CA2259965A1 (ja)
ID (1) ID17767A (ja)
IL (2) IL127701A0 (ja)
NZ (1) NZ333500A (ja)
OA (1) OA10954A (ja)
TW (1) TWI221846B (ja)
WO (1) WO1998001564A1 (ja)
ZA (1) ZA975889B (ja)

Families Citing this family (35)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2903999A (en) * 1998-03-12 1999-09-27 Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services, The Methods and compositions of chemokine-tumor antigen fusion proteins as cancer vaccines
KR20020075789A (ko) 2000-02-04 2002-10-05 듀크 유니버시티 인체 면역결핍 바이러스 백신
WO2001083535A2 (en) * 2000-05-02 2001-11-08 Simon Fraser University Polypeptides for use as a vaccine and/or treatment for hiv infection
AUPS065002A0 (en) 2002-02-20 2002-03-14 Immunaid Pty Ltd Strategy for retroviral immunotherapy
US20030228320A1 (en) * 2000-08-18 2003-12-11 Ashdown Martin Leonard Retroviral immunotherapy
WO2002022686A2 (en) 2000-09-15 2002-03-21 The Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services, National Institutes Of Health, Office Of Technology Transfer Defensin-antigen fusion proteins
AU2001291050A1 (en) 2000-09-15 2002-03-26 The Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services Viral chemokine-tumur antigen fusion proteins
EP1361886A2 (en) * 2001-02-15 2003-11-19 The Gov. of USA, as represented by the Secretary, Dept. of Health and Human services, National Institutes of Health Methods and compositions for inhibiting hiv-coreceptor interactions
AUPS054702A0 (en) * 2002-02-14 2002-03-07 Immunaid Pty Ltd Cancer therapy
ES2416629T3 (es) * 2002-12-03 2013-08-02 University Of Massachusetts Vacunas polivalentes de ADN de glicoproteína de VIH-1 primaria y procedimientos de vacunación
KR20060041179A (ko) * 2003-06-12 2006-05-11 박스젠 인코포레이티드 비정상적인 이황화물 구조를 지닌 hiv-1 외피 당단백질
US8076060B2 (en) * 2003-08-04 2011-12-13 Emil William Chynn Vaccination and immunotherapy as new therapeutic modalities in the treatment of glaucoma
NZ546873A (en) * 2003-10-24 2010-09-30 Immunaid Pty Ltd Method of analysing immune system cycling to monitor and/or treat diseases characterised by the production of regulator T cells
DK1805510T3 (da) * 2004-09-08 2012-04-30 Immunaid Pty Ltd Terapeutisk strategi til behandling af autoimmune og degenerative sygdomme
CN101374550B (zh) * 2004-09-14 2013-05-15 阿戈斯治疗公司 病原体的非毒株依赖性扩增和针对其的疫苗
WO2007035930A2 (en) * 2005-09-22 2007-03-29 Prosci Incorporated Glycosylated polypeptides produced in yeast mutants and methods of use thereof
WO2009017743A2 (en) 2007-07-30 2009-02-05 Argos Therapeutics, Inc. Improved primers and probes for the amplification and detection of hiv gag, rev and nef polynucleotides
JP5775451B2 (ja) 2008-06-19 2015-09-09 バリエーション バイオテクノロジーズ インコーポレイティド インフルエンザを処置するための組成物および方法
PT2435825E (pt) 2009-05-27 2015-11-02 Biotempus Ltd Métodos para o tratamento de doenças
US9907746B2 (en) 2009-07-06 2018-03-06 Variation Biotechnologies, Inc. Methods for preparing vesicles and formulations produced therefrom
EP2451950B9 (en) 2009-07-06 2016-11-23 Variation Biotechnologies Inc. Methods for preparing vesicles and formulations produced therefrom
WO2011119920A2 (en) 2010-03-25 2011-09-29 Oregon Health & Science University Cmv glycoproteins and recombinant vectors
CN103096922B (zh) 2010-07-06 2019-08-06 变异生物技术公司 用于治疗流行性感冒的组合物和方法
EP2663327A4 (en) 2011-01-13 2015-12-02 Variation Biotechnologies Inc COMPOSITIONS AND METHOD FOR THE TREATMENT OF VIRUS INFECTIONS
ES2667425T3 (es) 2011-06-10 2018-05-10 Oregon Health & Science University Glucoproteínas y vectores recombinantes de CMV
CA2789539A1 (en) 2011-09-12 2013-03-12 International Aids Vaccine Initiative Immunoselection of recombinant vesicular stomatitis virus expressing hiv-1 proteins by broadly neutralizing antibodies
EP2586461A1 (en) 2011-10-27 2013-05-01 Christopher L. Parks Viral particles derived from an enveloped virus
US20140356399A1 (en) 2012-01-12 2014-12-04 Variation Biotechnologies, Inc. Compositions and methods for treating viral infections
US20150079077A1 (en) 2012-01-27 2015-03-19 Variation Biotechnologies, Inc. Methods and compositions for therapeutic agents
EP2679596B1 (en) 2012-06-27 2017-04-12 International Aids Vaccine Initiative HIV-1 env glycoprotein variant
WO2014089152A1 (en) 2012-12-04 2014-06-12 University Of Maryland, Baltimore Hiv-1 env-binding antibodies, fusion proteins, and methods of use
EP2848937A1 (en) 2013-09-05 2015-03-18 International Aids Vaccine Initiative Methods of identifying novel HIV-1 immunogens
EP2873423B1 (en) 2013-10-07 2017-05-31 International Aids Vaccine Initiative Soluble hiv-1 envelope glycoprotein trimers
EP3069730A3 (en) 2015-03-20 2017-03-15 International Aids Vaccine Initiative Soluble hiv-1 envelope glycoprotein trimers
US9931394B2 (en) 2015-03-23 2018-04-03 International Aids Vaccine Initiative Soluble HIV-1 envelope glycoprotein trimers

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU600658B2 (en) * 1984-12-24 1990-08-23 Genentech Inc. Molecularly cloned acquired immunodeficiency syndrome polypeptides and their methods of use
ATE151638T1 (de) * 1987-02-20 1997-05-15 Genentech Inc Verfahren und zubereitungen für die verwendung von hiv-env-polypeptiden und antikörpern
IL89118A0 (en) * 1988-02-03 1989-08-15 Microgenesys Inc Vaccine containing polypeptides derived from the envelope gene of human immunodeficiency virus type 1
EP0339504A3 (en) * 1988-04-26 1990-09-12 The Du Pont Merck Pharmaceutical Company Human immunodeficiency virus (hiv) env-coded peptide capable of eliciting hiv-inhibiting antibodies in mammals
US5116740A (en) * 1988-08-16 1992-05-26 Akzo N.V. Method for producing native hiv gp160
WO1991004273A2 (en) * 1989-09-22 1991-04-04 Idec Pharmaceuticals Corp. Novel peptides associated with the cd4 binding region of gp120 and their methods of use
WO1991015512A2 (en) * 1990-04-03 1991-10-17 Genentech, Inc. Hiv envelope polypeptides
DK0527760T3 (da) * 1990-04-03 1995-11-27 Genentech Inc Fremgangsmåder og præparater til vaccination mod HIV
CA2164505A1 (en) * 1993-06-07 1994-12-22 Phillip W. Berman Hiv envelope polypeptides

Also Published As

Publication number Publication date
ZA975889B (en) 1998-02-23
NZ333500A (en) 2000-09-29
AP9901432A0 (en) 1999-03-31
AP1282A (en) 2004-06-09
AU727107B2 (en) 2000-11-30
IL127701A (en) 2006-08-01
TWI221846B (en) 2004-10-11
US6090392A (en) 2000-07-18
WO1998001564A1 (en) 1998-01-15
AU3567797A (en) 1998-02-02
IL127701A0 (en) 1999-10-28
ID17767A (id) 1998-01-22
OA10954A (en) 2001-10-25
CA2259965A1 (en) 1998-01-15
EP0942988A1 (en) 1999-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000515368A (ja) Hivエンベロープポリペプチドおよびワクチン
US6806055B2 (en) HIV envelopolype peptides
Berman et al. Genetic and immunologic characterization of viruses infecting MN-rgp120-vaccinated volunteers
JP4749481B2 (ja) 弱毒化された非機能性vifタンパク質による免疫応答性誘導
HRP970092A2 (en) Synthetic hiv genes
CA2918585A1 (en) Consensus/ancestral immunogens
US7071322B2 (en) HIV envelope polynucleotides and immunogenic composition
US11814413B2 (en) Compositions comprising modified HIV envelopes
US6121021A (en) Constitutive expression of non-infectious HIV-like particles
EP0651806B1 (en) Anti-feline immunodeficiency virus (fiv) vaccines
CA2338886C (en) Expression and characterization of hiv-1 envelope protein associated with a broadly reactive neutralizing antibody response
WO2004014420A1 (en) Pharmaceutical compositions comprising an hiv envelope protein and cd4
CA2943603A1 (en) Mosaic hiv-1 sequences and uses thereof
JP2006504435A (ja) HIV−1のgp120のgp41への相互作用部位

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040705

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070807

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20071106

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20071217

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20071206

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080121

A313 Final decision of rejection without a dissenting response from the applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A313

Effective date: 20080403

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080513