【発明の詳細な説明】
マトリックスメタロプロテアーゼ阻害因子発明の分野
本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ類、特に、間質性コラゲナーゼ類
を阻害する化合物類およびそれらの医薬的に許容され得る塩類に関し、それらは
、それ故に、かかるマトリックスメタロプロテアーゼ類の阻害により緩和される
疾患状態を有する哺乳類の処置に有用である。
発明の背景
マトリックスメタロプロテアーゼ類は、結合組織の分解および再生を担うプロ
テアーゼのファミリーである。このファミリーの酵素類は、多くの共通する特性
を有しており、それらは亜鉛およびカルシウム依存性、酵素前駆体として分泌さ
れること、および40−50%のアミノ酸配列相同性などである。
マトリックスメタロプロテアーゼファミリーは、繊維芽細胞類/マクロファー
ジ類および好中球類に由来する間質性コラゲナーゼ類を含み、これらは、天然の
I型、II型、III型およびX型コラーゲンの初期切断および速度制限切断を触媒
する。
コラーゲンは、哺乳類の主要な構造タンパク質であり、多くの組織、例えば、
軟骨、硬骨、腱および皮膚、のマトリックスの必須成分である。間質性コラゲナ
ーゼ類は、コラーゲンを切断して、生理学的温度で自発的に変性して特異性の低
い酵素により切断され易くなる2つのフラグメントを与える、非常に特異的なマ
トリックスメタロプロテアーゼ類である。コラゲナーゼによる切断の結果、目標
とする組織は構造的完全さを失うので、これは、本質的に非可逆的プロセスであ
り、故に、治療介入の好適な標的である。
間質性コラゲナーゼ類に加えて、マトリックスメタロプロテアーゼファミリー
の酵素類は、2つの明確に異なるが、しかし非常に関連したゼラチナーゼ類を含
む:それらは繊維芽細胞により分泌される72−kDa酵素、と単核食細胞類によ
り放出される92−kDa酵素である。これらのゼラチナーゼ類は、ゼラチン(変
性したコラーゲン)、天然のIV型およびV型コラーゲン、フィブロネクチンお
よび不溶性エラチスンを分解する能力を有する。
マトリックスメタロプロテアーゼファミリーは、ストロメリシン1および2を
含み、これらは、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン類およびIV
型およびIX型コラーゲンを含む、高範囲のマトリックス基質をそれらの非らせ
んドメインで切断する能力を有する。
マトリリシン(推定メタロプロテアーゼまたはPUMP)は、最近報告された
マトリックスメタロプロテアーゼファミリーの酵素類である。マトリリシンは、
プロテオグリカン類、ゼラチン類、フィブロネクチン、エラチスンおよびラミニ
ンを含む広範囲のマトリックス基質を分解する能力を有する。これは、単核食細
胞類、ラット子宮外植片類に、また時に腫瘍に存在することが分かっている。
マトリックスメタロプロテアーゼの阻害因子は、関節炎疾患、骨吸収疾患(例
えば、骨粗鬆症)、糖尿病に付随するコラーゲン崩壊の増大、歯周病、角膜潰瘍
、皮膚の潰瘍化、および腫瘍転移に対する有用な処置を提供すると考えられてい
る。例えば、コラゲナーゼ阻害因子の設計および可能な用途については、ジャー
ナル・オブ・エンザイム・インヒビション(1987年)、2巻、1−22頁に
、またドラッグ・ニュース・アンド・プロスペクティブス(1990年)、3巻
、8号、453−458頁に記載されている。マトリックスメタロプロテアーゼ
阻害因子も、様々な特許および特許出願の対象であり、例えば、米国特許第5,
189,178号(ガラルディ)および第5,183,900号(ガラルディ)、
欧州公開特許出願第0 483 223号(ビーチャム)および第0 276 43
6号(F.ホフマン−ラ・ロッシュ)、特許協力条約国際出願92/21360
(メルク)、92/06966(ビーチャム)および92/09563(グリコ
メッド)がある。
発明の概要
本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ類、特に間質性コラゲナーゼ類の
阻害因子として有用であり、かつマトリックスメタロプロテアーゼの過剰活性に
より特徴付けられる疾患状態を処置するのに有効な新規化合物を提供するもので
ある。
従って、本発明の一態様は、式(I):
式中、破線は、所望による二重結合を表し;
nが1、2、または3であるとき;
mは3、または4であり;
Aは−CH2−であり;
R1は、a)−CH2−R4、ただし、R4は、メルカプト、アセチルチオ、カ
ルボキシ、ヒドロキシアミノカルボニル、N−ヒドロキシ−ホルムアミドメチル
、ヒドロキシアミノアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラル
コキシカルボニル、ベンジルオキシアミノカルボニル、または
(式中、R6は、所望により置換されたアリールであるが、該アリー
ル基は、キノル−2−イル、ナフト−1−イル、ナフト−2−イル、ピリジル、
またはフェニルである)である、
であるか;
b)−CH(R7)−R8、ただし、R7は、アルキル、アルコキシカル
ボニル、またはカルボキシであり、R8は、カルボキシ、ヒドロキシアミノカル
ボニル、アルコキシカルボニル、またはアラルコキシカルボニルである、
であるか;
c)−NH−CH(R9)−R10、ただし、R9は、水素、アルキル、
またはアラルキルであり、R10は、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アラル
コキシカルボニル、ホスホニル、ジアルキルホスホニル、またはメトキシホスホ
ニルである、
であり;
R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラ
ルキルであり;
R3は、水素、ハロ、アルキル、またはアルコキシであるか;または、
nが2、または3であるとき;
mは3、または4であり;
Aは、−N(R11)−であるが、ただし、R11は、水素またはアルキルであり
;
R1、R2、およびR3は、上記定義の通りであるか;または、
nが0であるとき;
mは、4、5、または6であり;
Aは、−CH(R12)−であるが、ただし、R12は、カルボキシ、アルコキシ
カルボニル、または所望により置換されたカルバモイルであり;
R1、R2、およびR3は、上記定義の通りである、
で示される、単一立体異性体またはそれらの混合物としての化合物、またはそれ
らの医薬的に許容され得る塩に関する。
本発明の他の態様は、哺乳類におけるマトリックスメタロプロテアーゼ活性を
阻害する方法に関し、その方法は、上記定義の式(I)で示される、単一立体異
性体としての、またはそれらの混合物としての化合物、またはそれらの医薬的に
許容される塩の治療上有効量を、それらを必要とする哺乳類に投与することを含
んでなるものである。
本発明の他の態様は、哺乳類におけるマトリックスメタロプロテアーゼ活性を
阻害するのに有用な医薬組成物に関し、その組成物は、上記定義の式(I)で示
される、単一立体異性体としての、またはそれらの混合物としての化合物、また
はそれらの医薬的に許容される塩の治療上有効量、および医薬的に許容され得る
賦形剤を含んでなる。
発明の詳細な説明
定義
明細書および添付の請求の範囲に使用した下記の用語は、特に記載がない限り
、下記の意味を有する:
“BOC”は、t−ブトキシカルボニルを表す。
“CBZ”は、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ)を表す。
“DMF”は、N,N−ジメチルホルムアミドを表す。
“EDCI”は、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボ
ジイミドを表す。
“HOBT”は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを表す。
“アセチルチオ”は、基SC(O)CH3を表す。
“ハロ”は、ブロモ、クロロ、またはフルオロを表す。
“アルキル”は、炭素および水素のみから成り、不飽和のものは含まず、1か
ら4の炭素原子を有する、一価の直鎖または分枝状基を表し、例えば、メチル、
エチル、n−プロピル、2−メチルプロピル(イソ−ブチル)、1−メチルエチ
ル(イソ−プロピル)、n−ブチル、および1,1−ジメチルエチル(t−ブチ
ル)である。
“アルコキシ”は、Raが上記定義のアルキルである、式−ORaの基を表し、
例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、1−メチルエ
トキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、および同種物である。
“アリール”は、フェニルまたはナフチル基を表す。
“アリールオキシ”は、Rbが上記定義のアリールである、式−ORbの基を表
し、例えば、フェノキシ、キノル−2−イルオキシ、ナフト−1−イルオキシま
たはナフト−2−イルオキシである。
“アラルキル”は、Raが上記定義のアルキルであり、Rbが上記定義のアリー
ルである、式−RaRbの基を表し、例えば、ベンジル、フェニルエチレン、3−
フェニルプロピルおよび同種物である。
“アラルコキシ”は、Raが上記定義のアルキルであり、Rbが上記定義のアリ
ールである、式−ORaRbの基を表し、例えば、ベンジルオキシ、または3−ナ
フト−2−イルプロポキシおよび同種物である。
“アルコキシカルボニル”は、Rbが上記定義のアルコキシである、式−C(O
)Rbの基を表し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブト
キシカルボニルおよび同種物である。
“アラルコキシカルボニル”は、Rcが上記定義のアラルコキシである、式−
C(O)Rcの基を表し、例えば、ベンジルオキシカルボニル、ナフチル−2−イ
ルエトキシカルボニルおよび同種物である。
“ベンジルオキシアミノカルボニル”は、Rdがフェニルである、式C(O)N
HCH2Rdの基である。
“カルバモイル”は、基−C(O)NH2を表す。
“カルボキシ”は、基−C(O)OHを表す。
“ヒドロキシアミノ”は、基−NHOHを表す。
“ヒドロキシアミノカルボニル”は、基−C(O)NHOHを表す。
“メルカプト”は、基−SHを表す。
“スルホニル”は、基=S(O)2を表す。
“ホスホニル”は、基−PO(OH)2を表す。
“所望による”または“所望により”は、その後に記載の事象または情況が起
こっても、起こらなくても良いこと、および、その記載が該事象または情況が起
こる例および起こらない例を含むことを意味する。
例えば、“所望により置換されたキノル−2−イル”は、キノル−2−イル基
が置換されていても良く、また置換されていなくてもよいこと、および、その記
載が置換キノル−2−イル基および置換基のないキノル−2−イル基の両方を含
むことを意味する。
“所望により置換されたアリール”は、所望により1以上の置換基、例えば、
ハロ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシおよびニトロ、により置換されたキノ
ル−2−イル、ナフト−1−イル、ナフト−2−イル、ピリジルまたはフェニル
基を表し、例えば、6−ニトロキノル−2−イル、6−フルオロキノル−2−イ
ル、6−ヒドロキシキノル−2−イル、6−メトキシキノル−2−イル、6−ニ
トロナフト−1−イル、6−クロロナフト−1−イル、6−ヒドロキシナフト−
1−イル、6−メトキシナフト−1−イル、6−ニトロナフト−2−イル、6−
クロロナフト−2−イル、6−ヒドロキシナフト−2−イル、6−メトキシナフ
ト−2−イル、6−ニトロフェニル、6−クロロフェニル、6−ヒドロキシフェ
ニル、6−メトキシフェニル、3−メチルピリジル、4−エチルピリジル、およ
び同種物である。
“所望により置換されたカルバモイル”は、所望により、窒素原子上でアルキ
ルおよびアラルキルから成る群から選択される1以上の置換基により置換された
カルバモイル基を表す。
本明細書で使用した“アミノ保護基”は、合成操作中の望ましくない反応に対
して窒素原子を保護することを意図した有機基を表し、ベンジル、アシル、アセ
チル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ)、p−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカ
ルボニル、および同種物を含むが、これらに限定されるものではない。
“医薬的に許容され得る塩”は、医薬的に許容され得る酸および塩基付加塩の
両方を含む。
“医薬的に許容され得る酸付加塩”は、遊離塩基の生物学的有効性および特性
を保持し、生物学的にまたはその他において望ましくないものではなく、塩酸、
臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、および同種物などの無機酸、および、酢酸、
プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、
コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタ
ンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、およ
び同種物などの有機酸により形成されるような塩類を表す。
“医薬的に許容され得る塩基付加塩”は、遊離酸の生物学的有効性および特性
を保持し、生物学的にまたはその他において望ましくないものではなような塩類
を表す。これらの塩類は、無機塩基または有機塩基を遊離の酸に点火することに
より、調製される。無機塩基由来の塩類は、ナトリウム、カルウム、リチウム、
アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニ
ウム塩および同種物を含むが、これらに限定されるものではない。好ましい無機
塩類は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム
塩類である。有機塩基由来の塩類には、第1級、第2級および第3級アミン類、
天然に起こる置換アミン類、環状アミン類および塩基性イオン交換樹脂を含む置
換アミン類、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン
、トリエチルアミン、トルプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルア
ミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキ
シルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒド
ラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカ
ミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジ
ン、ポリアミン樹脂および同種物の塩類を含むが、これらに限定されるものでは
ない。特に好ましい有機塩基類は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタ
ノールアミン、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェ
インである。
“哺乳類”は、ヒトおよび全ての家畜および野生動物を含み、ウシ、ウマ、ブ
タ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、および同種物などを制限なく含む。
“治療上有効量”は、式(I)の化合物をその投与必要とする哺乳類に投与し
た場合に、下記に定義するとおり、マトリックスメタロプロテアーゼ活性、特に
、間質性コラゲナーゼ活性の阻害により緩和される疾患状態の処置をもたらすの
に充分な量を表す。“治療上有効量”を構成する式(I)の化合物の量は、その
化合物、疾患状態およびその深刻さ、処置される哺乳類によって変わるが、当業
者ならば、その知識およびこの開示に基づき、定型的に決定できるであろう。
本明細書で使用した“処置する”または“処置”は、哺乳類、特にヒトにおけ
る疾患状態の処置にまで及び、その疾患状態は、マトリックスメタロプロテアー
ゼ活性、特に、間質性コラゲナーゼ活性などの阻害により緩和されるものであり
;
(i)哺乳類において、特に、該哺乳類が疾患状態にかかる可能性があるが、
まだ疾患状態にあると診断されていないような場合に、該疾患状態が発生するの
を予防すること;
(ii)疾患状態を阻止すること、すなわち、その進行を止めること;または、
(iii)疾患状態を軽減すること、すなわち、疾患状態の緩解を引き起こすこ
と、
を含む。
“立体異性体類”は、同一の分子式、および結合の性質または配列を有するが
、それらの原子の空間での配置が異なる化合物類を表す。
本明細書で使用した命名法は、基本的にI.U.P.A.C.命名法の修飾形であ
り、本発明の化合物類は、トリシクロアルキル置換基を有するホスフィン酸また
はアルカン酸の誘導体として命名している。式(I)の化合物、またはそれらの
医薬的に許容され得る塩類は、その構造中に少なくとも2つの不斉炭素原子を有
し、一つの炭素は、R2置換基が結合している炭素であり、もう一つは、インド
リルメチル基が結合している炭素である。従って、式(I)の化合物類およびそ
れらの医薬的に許容され得る塩類は、単一立体異性体、ラセミ化合物として、お
よびエナンチオマーおよびジアステレオマーの混合物として存在し得る。このよ
うな単一立体異性体、ラセミ化合物およびそれらの混合物は全て、本発明の範囲
内であると意図される。
式(I)の化合物類の単一立体異性体を命名する場合、絶対表記、RまたはS
を、カーン、インゴールドおよびプレログの“順位規則”法に従い、その中のキ
ラル炭素原子に与えることもできる。
例えば、式(I)の下記化合物、但し、式中、nが2であり、mが3であり、
Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4であり、R4が−C(O)NHOHであ
り、R2が2−メチルプロピルであり、R3が水素である化合物、すなわち、下式
の化合物:
は、本明細書では、(3R,10S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(9−オ
キソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),
13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミド
と命名される。
有用性および投与
A.有用性
式(I)の化合物類は、哺乳類のマトリックスメタロプテアーゼ類、特に哺乳
類の間質性コラゲナーゼ類を阻害し、それによって、哺乳類内のコラーゲンの分
解を妨げるのに有用である。従って、該化合物類は、マトリックスメタロプテア
ーゼ活性の増大、特に、間質性コラゲナーゼ活性の増大に関する疾患状態、例え
ば、関節炎および骨粗鬆症、腫瘍転移、歯周病および角膜潰瘍を処置するのに有
用である。例えば、アースライタス・アンドメリューマチズム(1993年)、
36巻、2号、181−189頁;アースライタス・アンドメリューマチズム(
1990年)、34巻、9号、1073−1075頁;セミナーズ・イン・アー
スライタス・アンド・リューマチズム (1990年).、19巻、4号、付録1(
2月)、16−20頁;ドラッグス・オブ・ザ・フューチャー(1990年)、
15巻、5号、495−508頁;およびジャーナル・オブ・エンザイム・イン
ヒビション(1987年)、2巻、1−22頁参照。
B.試験
式(I)の化合物類のマトリックスメタロプテアーゼ活性阻害能力、特に、間
質性コラゲナーゼ活性阻害能力は、当業者には知られている様々なインビトロお
よびエクスビボアッセイにより示すことができる。例えば、個々のメタロプロテ
アーゼの活性は、アナリティカル・バイオケミストリー(1985年)、147
巻、437頁に記載のインビトロアッセイまたはそれらの修飾法によって示すこ
とができる。マトリックスメタロプテアーゼ阻害の生理学的効果については、メ
ソッズ・オブ・エンザイモロジー(1987年)、144巻、412−419頁
に記載のエクスビボのウシ軟骨外植片アッセイ、またはそれらの修飾法により;
または、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
ィズ(1988年)、85巻、8761−8765頁に記載のエクスビボのラッ
ト子宮長骨アッセイ、またはそれらの修飾法により、またはジャーナル・オブ・
クリニカル・インベスティゲーション、44巻、103−116頁に記載の方法
またはそれらの修飾法により、示すことができる。
C.一般的投与
式(I)の化合物類またはそれらの医薬的に許容され得る塩類の、純粋形態ま
たは適切な医薬組成物の形態での投与は、類似の有用性を与えるための許容され
ているすべての投与様式または剤型で実施できる。従って、例えば、経口的、鼻
腔内、非経口的、局所的、経皮的、または直腸的に、例えば、錠剤、坐剤、丸薬
、軟弾力性および硬ゼラチンカプセル、粉末剤、溶液剤、懸濁液剤、エアロゾル
類または同種物などの、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体投与形態で、
好ましくは、正確な投与量の簡易投与に適した用量ユニット形態で投与すること
ができる。組成物類は、常用の医薬用担体または賦形剤、および有効薬剤成分と
して式(I)の化合物を含み、更に、他の医薬、医薬成分、担体、アジュバント
等を含むこともできる。
一般に、意図する投与様式によって変わるが、医薬的に許容され得る組成物類
は、約1重量%ないし約99重量%の式(I)の化合物(群)、またはそれらの
医薬的に許容され得る塩、および99重量%ないし1重量%の適切な医薬用賦形
剤を含有する。好ましくは、該組成物は、約5重量%ないし約75重量%が式(I
)の化合物(群)またはそれらの医薬的に許容され得る塩であり、残りが、適切な
賦形剤である。
好ましい投与経路は、処置される疾患状態の深刻さの度合に応じて調整できる
便利な毎日投与法をによる経口投与である。そのような経口投与の場合、式(I
)の化合物(群)またはそれらの医薬的に許容され得る塩を含有する医薬的に許
容され得る組成物は、例えば、医薬級のマンニトール、ラクトース、澱粉、予め
ゼラチン化した澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タル
ク、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、ショ糖、クエン酸塩、
没食子酸プロピルおよび同種物などの通常使用される賦形剤を組み込んで、形成
される。このような組成物は、溶液剤、懸濁液剤、錠剤、丸薬、カプセル、粉末
、遅延放出製剤および同種物の形態とする。
好ましくは、このような組成物は、カプセル、カプレット、または錠剤の形態
であり、故に、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムおよび同種物など
の希釈剤;クロスカルメロースナトリウムまたはそれらの誘導体などの崩壊剤、
ステアリン酸マグネシウムおよび同種物などの潤滑剤;および、澱粉、アカシア
ゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル誘導体、および同
種物などの結合剤も含有するであろう。
式(I)の化合物類、またはそれらの医薬的に許容され得る塩類は、例えば、
約0.5%ないし約50%の有効成分を、身体内でゆっくりと溶解する担体、例
えば、ポリオキシエチレングリコール類およびポリエチレングリコール類(PE
G)、例えば、PEG1000(96%)およびPEG4000(4%)中に配
分して、坐剤として製剤化することもできる。
医薬的に投与され得る液体組成物は、例えば、式(I)の化合物(群)(約0.
5%ないし約20%)またはそれらの医薬的に許容され得る塩、および所望によ
って医薬用アジュバント類を、例えば、水、塩水、水性デキストロース、グリセ
ロール、エタノール、および同種物などの担体に溶解、分散等することにより調
製し、それによって、溶液または懸濁液を形成することができる。
所望ならば、本発明の医薬組成物に少量の補助物質、例えば、湿潤剤または乳
化剤、pH緩衝剤、抗酸化剤および同種物、例えば、クエン酸、モノラウリン酸
ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチル化ヒドロキシトルエン等
を含ませることもできる。
このような投与形態を調製する実際の方法は、当業者には、知られているか、
または自明であろう;例えば、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエ
ンシィズ、18版(マック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルバニア州、
イーストン、1990年)参照。投与される組成物は、いずれにしても、本発明
の技術に従い、マトリックスメタロプロテアーゼの阻害により緩和される疾患状
態を処置するために、式(I)の化合物またはそれらの医薬的に許容され得る塩
の治療上有効量を含有する。
式(I)の化合物類、またはそれらの医薬的に許容され得る塩類は、治療上有
効量で投与されるが、それらは、使用する特定の化合物の活性、該化合物の代謝
安定性および作用の長さ、年令、体重、総合的な健康状態、性、食餌、投与様式
および投与時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、特定の疾患状態の深刻さ、およ
び患者が受けている治療などの様々な要因によって変わる。一般に、治療上有効
な毎日用量は、1日当たり、式(I)の化合物またはそれらの医薬的に許容され
得る塩約0.14mg/体重kgから約14.3mg/体重kg、好ましくは、1日当たり
約0.7mg/体重kgから約10mg/体重kg、最も好ましくは、1日当たり約1.4
mg/体重kgから約7.2mg/体重kgである。例えば、体重70kgのヒトに投与す
る場合、投与量範囲は、1日当たり、式(I)の化合物またはそれらの医薬的に
許容され得る塩約10mgから約1.0グラム、好ましくは、1日当たり約50mg
から約700mgであり、最も好ましくは、1日当たり約100mgから約500mg
である。
好ましい実施態様
発明の概要のところで記載したとおり、式(I)の化合物類の好ましい群は、
nが2または3であり、mが3であり、Aが−CH2−であり、R2がアルキルま
たはアラルキルであり、R3が水素、ハロまたはアルコキシであるような化合物
群である。
この群の化合物の好ましいサブグループは、nが2であり、R2が2−メチル
プロピルであり、R3が水素であるような化合物類である。
このサブグループの化合物の好ましいクラスは、R1が−CH2−R4であり、
ただし、R4がカルボキシ、ヒドロキシアミノカルボニル、アルコキシカルボニ
ル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、またはベンジルオキ
シアミノカルボニルであるような化合物類である。
このクラスの化合物の好ましいサブクラスは、R1が−CH2−C(O)OHまた
は−CH2−C(O)NHOHであるような化合物類である。
該サブグループの化合物の別の好ましいクラスは、R1が−CH2−R4であり
、ただし、R4がメルカプトまたはアセチルチオであるような化合物類である。
該サブグループの化合物の別の好ましいクラスは、R1が
であり、ただし、R6は所望により置換されたアリールであって、アリール基は
、キノル−2−イル、ナフト−1−イル、ナフト−2−イル、ピリジルまたはフ
ェニルであるような化合物類である。
このクラスの化合物の好ましいサブクラスは、R6がキノル−2−イルである
ような化合物類である。
該サブグループの化合物の別の好ましいクラスは、R1が−CH(R7)−R8で
あり、ただし、R7がアルキル、アルコキシカルボニル、またはカルボキシであ
り、R8がカルボキシ、ヒドロキシアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、
またはアラルコキシカルボニルであるような化合物類である。
この群の化合物の好ましいサブグループは、R7がメトキシカルボニルである
ような化合物類である。
このサブグループの化合物の中で特に好ましいのは、R8がカルボキシまたは
ヒドロキシアミノカルボニルであるような化合物類である。
該サブグループの化合物の別の好ましいクラスは、R1が−NH−CH(R9)−
R10であり、ただし、R9が水素、アルキル、またはアラルキルであり、R10が
カルボキシ、アルコキシカルボニル、またはアラルコキシカルボニルであるよう
な化合物類である。
該群の化合物の別のサブグループは、nが2または3であり、mが4であり、
Aが−N(R11)−であり、ただし、R11が水素またはアルキルであり、R2がア
ルキルであり、R3が水素、ハロ、またはアルコキシであるような化合物類であ
る。
このサブグループの化合物の好ましいクラスは、nが2であり、R2が2−メ
チルプロピルであり、R3が水素であり、R11がメチルであるような化合物類で
ある。
このクラスの化合物の好ましいサブクラスは、R1が−CH2−R4であり、た
だし、R4がカルボキシ、ヒドロキシアミノカルボニル、アルコキシカルボニル
、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、またはベンジルオキシ
カルボニルであるような化合物類である。
このサブクラスの中で特に好ましいのは、R1が−CH2−C(O)NHOHであ
るような化合物類である。
該群の化合物類の別の好ましいサブグループは、nが0であり、mが4、5、
または6であり、Aが−CH(R12)−であり、ただし、R12がカルボキシ、アル
コキシカルボニル、または所望により置換されたカルバモイルであり、R1、R2
およびR3は、特許請求の範囲第1項で定義した通りである、ような化合物であ
る。
目下のところ、最も好ましい式(I)の化合物類は、下記である:
(3R,10S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジ
アザトリシクロ−[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14
,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミド:
(3R,11S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1,9−
ジアザトリシクロ−[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),1
5,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミド:
(3R,9S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(8−オキソ−1,7−ジア
ザトリシクロ−[9.6.1.012,17]オクタデカ−11(18),12(17),13,
15−テトラエン−9−イルカルバモイル)ヘキサンアミド:
(3R,9S)−5−メチル−3−(8−オキソ−1,7−ジアザトリシクロ−[9
.
6.1.012,17]オクタデカ−11(18),12(17),13,15−テトラエン−
9−イルカルバモイル)ヘキサン酸:
(10S)−2−メルカプトメチル−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジ
アザトリシクロ−[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14
,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ペンタンアミド:
(10S)−4−メチル−2−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ−[10.
6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−1
0−イルカルバモイル)ペンチル(キノリン−2−イルチオメチル)ホスフィン酸
:
(10S)−2−アセチルチオメチル−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−
ジアザトリシクロ−[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),1
4,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ペンタンアミド:および、
(3R,10S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−2−メトキシカルボニル−3
−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ−[10.6.1.013,18]ノナデカ−1
2(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサ
ンアミド。
式(I)の化合物類の製造
単一立体異性体類、またはそれらの混合物としての式(I)の化合物類、およ
びそれらの医薬的に許容され得る塩類は、構成α−アミノ酸誘導体から製造され
得るペプチド誘導体である。ペプチド結合形成のための標準方法は、M.ボダン
スキー等、ザ・プラクティス・オブ・ペプチド・シンセシス(1984年)、シ
ュプリンゲル−フェルラーク;M.ボダンスキー、プリンシパルス・オブ・ペプ
チド・シンセシス(1984年)、シュプリンゲル−フェルラーク;J.P.グリ
ーンシュタイン等、ケミストリー・オブ・ザ・アミノ・アシッズ(1961年)
、1−3巻、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社;G.R.プチ、シンセティッ
ク・ペプチズ(1970年)、1−2巻、ファン・ノストランド・ラインホルト
・カンパニーによって、更に例示説明されている。
式(I)の化合物類を形成するために用いるアミドカップリングは、一般に、
ジメチルホルムアミド(DMF)などの不活性溶媒中、1−ヒドロキシベンゾト
リアゾール(HOBT)の存在下で、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはN'
−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDCI)
などの試薬を用いてカルボジイミド法により実施する。その他のアミドまたはペ
プチド結合形成法には、酸クロリド、アシルアジド、混合無水物、またはニトロ
フェニルエステルなどの活性化エステルを介する合成経路があるが、それらに限
定されるものではない。典型的には、ペプチドフラグメントを用いる、または用
いない液相アミドカップリングを行う。
式(I)の化合物類の製造に使用する化合物類の末端アミノ基またはカルボキ
シ基の保護基の選択は、一部は、特定のアミドまたはペプチドカップリング条件
によって、また一部は、結合反応にかかわるアミノ酸および/またはペプチド成
分によって決まってくる。一般に使用されるアミノ保護基には、当該技術分野で
よくしられている、例えば、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ)
、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、および同種物がある。α−アミノ基の
保護基としては、穏やかな酸、例えば、酢酸エチル中でトリフルオロ酢酸(TF
A)または塩酸により、または触媒的水素化により、その除去が比較的容易であ
るため、BOCまたはベンジルオキシカルボニル(CBZ)のいずれかを使用す
るのが好ましい。
式(I)の化合物類の個々の立体異性体は、当業者には知られている方法、例
えば、選択的結晶化、またはクロマトグラフィー、および/または本明細書に開
示した方法により、互いに分割することができる。
式(I)の化合物類における置換基および/または変数の組み合わせは、その
ような組み合わせにより安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
A.中間体類の製造:式(J)の化合物類
下式(J):
式中、R3は、水素、ハロ、アルキル、またはアルコキシであり;pは、5、6
、7、または8である、で示される化合物類は、式(I)の化合物類の製造に使
用されるものであり、下記反応式1、ただし、R3は、水素、ハロ、アルキル、
またはアルコキシであり;pは、5、6、7、または8であり、BOCは、t−
ブトキシカルボニルであり、R13は、水素、メシル、またはトシルである、に示
したようにして調製する。
式(B)および(F)の化合物類は、それぞれ、例えば、カール・インダストリ
ー・インコーポレイテッド、またはシグマから商業的に入手でき、また、当業者
には知られている方法により製造することもできる。
一般に、式(J)の化合物類は、まず、式(B)のアルコールを、塩基、好ま
しくはピリジンの存在下、無水酢酸を用いてエステル化し、式(C)の化合物を
生成し、次いで、これを無水酢酸の存在下で還元して、式(D)の化合物を生成
することにより、調製する。式(D)の化合物を、酸性条件下、好ましくは塩酸
で加水分解して、式(E)の化合物を生成し、次いで、これを標準的なペプチド
結合反応条件下で、例えば、DMF中HOBTの存在下でEDCIを用いて式(
F)の化合物と結合させ、R13がヒドロキシである式(G)の化合物を生成する
。次いで、この化合物を塩化トシルまたは塩化メシルのいずれかで処理して、R13
がメシルまたはトシルである式(G)の化合物を生成することができる。こう
して生成したトシレートを、高希釈下室温で、不活性溶媒、好ましくはTHF中
、過剰のNaHを用いて環化し、式(H)の化合物類を得る。式(H)の化合物
上の保護基を、穏やかな酸性条件下、好ましくは、トリフルオロ酢酸の存在下で
はずして、式(J)の化合物を得る。
B.式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)の化合物類の製造
式(Ia)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4で、R4はt−
ブトキシカルボニルであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル
アルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アルキル、またはアル
コキシである、化合物類である。
式(Ib)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4で、R4はカル
ボキシであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ま
たはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アルキル、またはアルコキシである
、化合物類である。
式(Ic)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4で、R4はベン
ジルオキシアミノカルボニルであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロ
アルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アルキル、ま
たはアルコキシである、化合物類である。
式(Id)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4で、R4がヒド
ロキシアミノカルボニルであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアル
キルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アルキル、または
アルコキシである、化合物類である。
式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)の化合物類は、下記反応式2、ただし、pは
、5、6、7、または8であり、R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロア
ルキルアルキル、またはアラルキルであり;R3は、水素、ハロ、アルキル、ま
たはアルコキシであり;R14は、t−ブチルまたはベンジルであり、R7aは、水
素またはアルコキシカルボニルである、に示したようにして調製する。
式(K)の化合物類は、本明細書に記載した方法により調製するか、または当業
者には知られている方法により調製することもできる。
一般に、式(Ia)、(Ib)、および(Ic)の化合物類は、まず、式(J)の化合物を
標準的なペプチド結合反応条件下で式(K)の化合物と結合させて式(Ia)の化
合物を生成することにより、調製する。次いで、式(Ia)の化合物中の保護基を
、穏やかな酸性条件下ではずして、式(Ib)の化合物を得る。
その後、式(Ib)の化合物を標準的なペプチド結合反応条件下でO−ベンジル
ヒドロキシルアミンと結合させて式(Ic)の化合物を生成する。次いで、式(Ic
)の化合物中のベンジル保護基を、触媒的水素化条件下ではずして、式(Id)の
化合物を得る。
C.式(Ie)および(If)の化合物類の製造
式(Ie)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4で、R4はアセ
チルチオであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、
またはアラルキルであり、R3が水素である、化合物類である。
式(If)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4で、R4はメル
カプトであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ま
たはアラルキルであり、R3が水素である、化合物類である。
式(Ie)、および(If)の化合物類は、下記反応式3、ただし、R2およびR3は、
上記定義の通りであり、pは、5、6、7、または8である、に示したようにし
て調製する。
式(M)の化合物は、商業的に入手でき、また当業者には知られている方法によ
り調製することもできる。
一般に、式(Ie)、および(If)の化合物類は、まず、式(M)の化合物を標準的
なペプチド結合反応条件下で式(J)の化合物と結合させて式(Ie)の化合物を
得る。式(Ie)の化合物類をメタノール中濃NH4OHで処理して、対応する式
(If)の化合物類を得る。
D.式(K)の化合物の個々の立体異性体の製造
式(K):
式中、R14は、t−ブチルまたはベンジルであり、R7aは、水素、アルコキシカ
ルボニル、ヒドロキシカルバモイル、カルボキシ、または所望により置換された
カルバモイルである、で示される化合物類を式(I)の化合物類の製造に使用す
る。式(K)の化合物類の個々の立体異性体を式(I)の化合物類の個々の立体
異性体の製造に使用する。特に、下式(Ka):
式中、R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはア
ラルキルであり;R7bは、水素である、で示される化合物類は、式(K)の化合
物類の立体異性体であり、R2置換基が結合している炭素を中心にしてR配置を
有する。式(Ka)の化合物類は、下記反応式4、ただし、R2およびR7bは、上
記定義の通りである、に示したようにして調製する。
同様の方法で、ただし、D−(−)−2,10−カンファースルタムの代わりに
L−(+)−2,10−カンファースルタムを用いて、対応する個々の立体異性体
のS配置のものを調製した。
式(HH)の化合物類は、商業的に入手でき、また当業者には知られている方法
、例えば、下記実施例11に記載の方法により調製することもできる。L−(+)
−2,10−カンファースルタムおよびD−(−)−2,10−カンファースルタム
は、例えば、アルドリッチ社から商業的に入手できる。
一般に、式(Ka)の化合物類は、まず、式(HH)の化合物をL−(+)−2,1
0−カンファースルタムと縮合させて、式(N)の化合物を生成することにより
、
調製する。NaHMDSを1時間使用して、アニオンを生成し、反応をt−ブチ
ルブロモアセテートで止め、対応する式(Q)のエステルを生成する。次いで、
カンファー基を塩基性条件下ではずし、R2置換基が結合している炭素が(R)
配置である、式(Ka)の化合物の個々の立体異性体を得る。
式(Kb):
式中、R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはア
ラルキルであり、R7cは、アルコキシカルボニルである、で示される化合物類も
また、式(K)の化合物類の個々の立体異性体であり、下記反応式5、ただし、
R2およびR7cは、上記定義の通りである、に示したようにして調製する。
式(R)および(T)の化合物類は、商業的に入手でき、また当業者には知ら
れている方法によって調製することもできる。
一般に、式(Kb)の化合物類は、まず、式(R)の化合物を塩化メチレン中イ
ソブテンおよび触媒量の濃H2SO4で処理し、その後、蒸留して、式(S)の化
合物を得ることにより、調製する。その後、式(S)の化合物を、カリウムt−
ブトキシドの存在下で式(T)の化合物と反応させて、式(U)の化合物を得る
。式(U)の化合物を酸性条件下、好ましくは、トリフルオロ酢酸を用いて室温
で加水分解して、式(Kb)でR7cがアルコキシカルボニルである化合物を得る。
式(K)でR7aがカルボキシである化合物類は、当業者には知られている方法
により、式(Kb)でR7cがアルコキシカルボニルである化合物類から調製できる。
式(K)の化合物類の個々の立体異性体を製造する上記方法に加えて、式(K
)でR7aがアルキルである化合物類は、式(K)でR7aが水素である化合物を非
プロトン性溶媒、例えば、THF中、NaN(TMS)2の存在下、ハロアルカン、
好ましくはヨードメタンで処理して、式(K)でR7aがアルキルである化合物を
得ることにより、調製できる。
E.式(Ig)の化合物類の製造
式(Ig)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−CH2−R4で、R4が、
式中、R6は、所望により置換されたアリールであるが、ただし、アリール基は
、キノル−2−イル、ナフト−1−イル、ナフト−2−イル、ピリジル、または
フェニルであり、R2は、アルキルであり、R3は、水素である、化合物類である
。式(Ig)の化合物類は、下記反応式6、ただし、pは、5、6、7、または8
であり、R2、R3およびR6は、上記定義の通りであり、R12aは、メシルまたは
トシルである、に示したようにして調製する。
式(W)の化合物類は、当業者には知られている方法により調製でき、また下
記実施例19に記載の方法により調製することもできる。式(Z)の化合物類は
、商業的に入手でき、また当業者には知られている方法により調製することもで
きる。
一般に、式(Ig)の化合物類は、まず、式(W)の化合物をホルムアミドで処
理して、式(X)の化合物を生成することにより、調製する。次いで、式(X)
の化合物を、塩基性条件下、塩化トシルまたはメシルで処理して式(Y)の化合
物を生成する。その後、式(Y)の化合物を式(Z)の化合物の塩(好ましくは
、式(Z)の化合物と水素化ナトリウムとの反応から生成するナトリウム塩)と
反応させて、式(AA)の化合物を生成する。次いで、式(AA)の化合物を塩基性
条件下で加水分解し、式(BB)の化合物を生成する。その後、式(BB)の化合物
を標準的なペプチドカップリング条件下、好ましくは、1,1'−カルボニルジイ
ミダゾールを用いて、式(J)の化合物と結合させ、式(Ig)の化合物を生成する。
F.式(Ih)、(Ii)および(Ij)の化合物類の製造
式(Ih)、(Ii)および(Ij)の化合物類は、上記Bの段落に記載したように、それ
ぞれ式(Ib)、式(Ic)、および式(Id)で、式中、インドール環が完全に飽和され
ている化合物類である。これらは、下記反応式7、ただし、R2は、アルキル、
シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3
は、水素、ハロ、アルキル、またはアルコキシであり、R7aは、水素であり、p
は、5、6、7、または8である、に示したようにして、調製する。
一般に、式(Ih)、(Ii)、および(Ij)の化合物類は、まず、式(Ib)の化合物を
触媒的水素化条件下で還元して、式(Ih)の化合物を生成することにより、調製
する。その後、式(Ih)の化合物は、標準的なペプチドカップリング条件下、
O−ベンジルヒドロキシルアミンと反応させて、式(Ii)の化合物を得る。次い
で、ベンジル保護基を触媒的水素化条件下で式(Ii)の化合物からはずし、式(
Ij)の化合物を得る。
G.式(Ik)、(1l)、(Im)および(In)の化合物類の製造
式(Ik)の化合物類は、式(I)で、式中、nが2、または3であり、mが4
であり、Aが−NR11で、R11が水素、またはアルキルであり、R1が−CH2−
R4で、R4はt−ブトキシカルボニルであり、R2がアルキル、シクロアルキル
、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アル
キル、またはアルコキシであって、アリル結合を有する、化合物類である。
式(Il)の化合物類は、式(I)で、式中、nが2、または3であり、mが4
であり、Aが−NR11で、R11が水素、またはアルキルであり、R1が−CH2−
R4で、R4はカルボキシであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアル
キルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アルキル、または
アルコキシであって、アリル結合を有する、化合物類である。
式(Im)の化合物類は、式(I)で、式中、nが2、または3であり、mが4
であり、Aが−NR11で、R11が水素、またはアルキルであり、R1が−CH2−
R4で、R4はベンジルオキシアミノカルボニルであり、R2がアルキル、シクロ
アルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハ
ロ、アルキル、またはアルコキシであって、アリル結合を有する、化合物類であ
る。
式(In)の化合物類は、式(I)で、式中、nが2、または3であり、mが4
であり、Aが−NR11で、R11が水素、またはアルキルであり、R1が−CH2−
R4で、R4はヒドロキシアミノカルボニルであり、R2がアルキル、シクロアル
キル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、
アルキル、またはアルコキシである、化合物類である。
式(Ik)、(Il)、(Im)、および(In)の化合物類は、下記反応式8、ただし、nは
2、または3であり、R2およびR11は、上記定義の通りであり、R14は、t−
ブチルであり、R7aは、水素であり、BOCは、t−ブトキシカルボニルであ
る、に示したようにして、調製する。
式(K)の化合物類は、当業者には知られている方法により、または本明細書
に記載の方法により、調製する。
一般に、式(Ik)、(Il)、(Im)および(In)の化合物類は、まず、式(F)の
化合物を、不活性溶媒、例えば、DMF中、標準的なペプチド結合形成条件下、
例えば、HOBTおよびEDCIを用いて、ジアミンアルカンまたはモノ−アル
キル置換ジアミンアルカンと反応させて、式(DD)の化合物を生成することによ
り、調製する。次いで、式(DD)の化合物を、塩基性条件下、トランス−1,4
−ジクロロブト−2−エンと反応させて、式(EE)の化合物を生成する。その後
、式(EE)の化合物のアミノ保護基を、穏やかな酸性条件下で、好ましくはトリ
フルオロ酢酸を用いてはずし、式(FF)の化合物を生成する。
次いで、式(FF)の化合物を、標準的なペプチド結合形成条件下、例えば、H
OBTおよびEDCIを用いて、式(K)の化合物と結合させて、式(Ik)の化
合物を生成する。その後、式(Ik)の化合物の保護基を、穏やかな酸性条件下、
例えば、トリフルオロ酢酸を用いてはずし、式(Il)の化合物を得る。次いで、
式(Il)の化合物を、標準的なペプチド結合形成条件下、O−ベンジルヒドロキ
シルアミンで処理して、式(Im)の化合物を得る。それから、式(Im)の保護基
を、触媒的水素化条件下ではずし、式(In)の化合物を得る。
H.式(Io)および(Ip)の化合物類の製造
式(Io)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−NH−CH(R9)−R10で
、R9が水素、アルキル、またはアラルキルであり、R10がアラルコキシカルボ
ニルであり、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、また
はアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アルキル、またはアルコキシである、
化合物類である。
式(Ip)の化合物類は、式(I)で、式中、nが1、2、または3であり、m
が3または4であり、Aが−CH2−であり、R1が−NH−CH(R9)−R10で
、R9が水素、アルキル、またはアラルキルであり、R10がカルボキシであり、
R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキル
であり、R3が水素、ハロ、アルキル、またはアルコキシである、化合物類であ
る。
式(Io)、および(Ip)の化合物類は、下記反応式9、ただし、pは5、6、7、
または8であり、R2、R3、およびR9は、上記の定義の通りである、に示した
ようにして、調製する。
式(JJ)の化合物類は、当業者には知られている方法により、または、下記実施
例36に記載の方法により調製する。
一般に、式(Il)および(Im)の化合物類は、まず、式(JJ)の化合物をトリ
フルオロメタンスルホン酸無水物(triflic anhydride)で処理し、その後、塩
基性条件下、式(KK)の化合物で処理して、式(LL)の化合物を生成することに
より、調製する。次いで、式(LL)の化合物を、穏やかな酸性条件下、好ましく
はトリフルオロ酢酸を用いて加水分解して、式(MM)の化合物を生成する。それ
から、式(MM)の化合物を、標準的なペプチド結合形成条件下で式(J)の化合
物と結合させて、式(Io)の化合物を生成する。その後、式(Io)の化合物を脱
保護して、式(Ip)の化合物を生成する。
加えて、遊離の塩基形態で存在している式(I)の全ての化合物類を、適切な
無機または有機酸で処理することにより、それらの医薬的に許容され得る塩類に
変換することもできる。また、式(I)の化合物類の塩類を遊離の塩基形態また
は他の塩に変換することもできる。
要するに、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)
、(Ik)、(Il)、(Im)、(In)、(Io)および(Ip)の化合物類は、全て式(I)の化合
物類であり:
1.式(K)で、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル
、またはアラルキルであり、R7aが水素、またはアルコキシカルボニルであり、
R14がt−ブチルまたはベンジルである化合物を、式(J)で、pが5、6、7
、または8であり、R3が水素、ハロ、アルキル、またはアルコキシである化合
物と反応させて、式(Ia)で、p、R2、R3、R7a、およびR14が、式(K)お
よび(J)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生成すること;
2.式(Ia)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シクロ
アルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハ
ロ、アルキル、またはアルコキシであり、R7aが水素、またはアルコキシカルボ
ニルであり、R14がt−ブチルまたはベンジルである化合物を処理して、式(Ib
)で、p、R2、R3、およびR7aが、式(Ia)の化合物の場合に定義した通りで
ある化合物を生成すること;
3.式(Ib)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シクロ
アルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハ
ロ、アルキル、またはアルコキシであり、R7aが水素、またはアルコキシカルボ
ニルである化合物を、O−ベンジルヒドロキシルアミンで処理して、式(Ic)で
、p、R2、R3、およびR7aが、式(Ib)の化合物の場合に定義した通りである
化合物を生成すること;
4.式(Ic)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シクロ
アルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハ
ロ、アルキル、またはアルコキシであり、R7aが水素、またはアルコキシカルボ
ニルである化合物を処理して、式(Id)で、p、R2、R3、およびR7aが、式(
Ic)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生成すること;
5.式(M)で、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル
、またはアラルキルである化合物を、式(J)で、pが5、6、7、または8で
あり、R3が水素である化合物と反応させて、式(Ie)で、p、R2、およびR3
が、式(M)および(J)の化合物類の場合に定義した通りである化合物を生成
すること;
6.式(Ie)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シクロ
アルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素であ
る化合物を処理して、式(If)で、p、R2、およびR3が、式(Ie)の化合物の
場合に定義した通りである化合物を生成すること;
7.式(BB)で、R2がアルキルであり、R6が所望により置換されたアリール
で、アリール基がキノル−2−イル、ナフト−1−イル、ナフト−2−イル、お
よびフェニルである化合物を、式(J)で、pが5、6、7、または8であり、
R3が水素である化合物と反応させて、式(Ig)で、p、R2、R3、およびR6が
、式(BB)および(J)の化合物類の場合に定義した通りである化合物を生成す
ること;
8.式(Ib)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シクロ
アルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハ
ロ、アルキル、またはアルコキシである化合物を処理して、式(Ih)で、p、R2
、およびR3が、式(Ib)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生成す
ること;
9.式(Ih)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シクロ
アルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハ
ロ、アルキル、またはアルコキシである化合物を処理して、式(Ii)で、p、R2
、およびR3が、式(Ih)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生成す
ること;
10.式(Ii)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シク
ロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、
ハロ、アルキル、またはアルコキシである化合物を処理して、式(Ij)で、p、
R2、およびR3が、式(Ii)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生成
すること;
11.式(FF)で、nが2または3であり、R3が水素、ハロ、アルキル、ま
たはアルコキシであり、R11が水素、またはアルキルである化合物を、式(K)
で、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラル
キルであり、R7aが水素であり、R14がt−ブチルである化合物と反応させて、
式(Ik)で、n、R2、R3、R7a、R11およびR14が、式(FF)および(K)の
化合物の場合に定義した通りである化合物を生成すること;
12.式(Ik)で、nが2または3であり、R2がアルキル、シクロアルキル
、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アル
キル、またはアルコキシであり、R7aが水素であり、R11が水素またはアルキル
であり、R14がt−ブチルである化合物を処理して、式(Il)で、n、R2、R3
、R7aおよびR11が、式(Ik)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生
成すること;
13.式(II)で、nが2または3であり、R2がアルキル、シクロアルキル
、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アル
キル、またはアルコキシであり、R7aが水素であり、R11が水素またはアルキル
である化合物を、O−ベンジルヒドロキシルアミンで処理して、式(Im)で、n
、R2、R3、R7aおよびR11が、式(Il)の化合物の場合に定義した通りである
化合物を生成すること;
14.式(Im)で、nが2または3であり、R2がアルキル、シクロアルキル
、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、ハロ、アル
キル、またはアルコキシであり、R7aが水素であり、R11が水素またはアルキル
である化合物を処理して、式(In)で、n、R2、R3、R7aおよびR11が、式(
GG)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生成すること;
15.式(MM)で、R2がアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキ
ル、またはアラルキルであり、R9が水素、アルキル、またはアラルキルである
化合物を、式(J)で、pが5、6、7、または8であり、R3が水素、ハロ、
アルキル、またはアルコキシである化合物と反応させて、式(Io)で、p、R2
、R3、およびR9が、式(MM)および(J)の化合物類の場合に定義した通りで
ある化合物を生成すること;
16.式(Io)で、pが5、6、7、または8であり、R2がアルキル、シク
ロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはアラルキルであり、R3が水素、
ハロ、アルキル、またはアルコキシであり、R9が水素、アルキル、またはアラ
ルキルである化合物を処理して、式(Ip)で、p、R2、R3、およびR9が、式
(Io)の化合物の場合に定義した通りである化合物を生成すること;
により調製する。
下記特定の実施例は、本発明の実施を援助することを目的として提供するもの
であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1
式(E)の化合物
A.6−シアノ−1−ヘキサノール(7.1g、55.8ミリモル)をアルゴン
雰囲気下無水酢酸30mlに溶解した。この原料にピリジン5.3ml(65.4ミリ
モル)を滴下して加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、フラスコ内容物を氷
水50mlの入ったビーカーに注ぎ、これを15分間撹拌した。次に、混合物を2
50mlの分液ロートに移し、エーテル(100ml)を加えた。振盪後、エーテル
相を分離し、水相をエーテル(2×100ml)で2回以上洗浄した。集め合わせ
たエーテル相を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、濾過した。蒸発濃縮(ロ
ータリー・エバポレーターおよび真空ポンプ)により、6−シアノ−1−アセト
キシヘキサン(式(C)の化合物)を得、これを直ちに次の工程に使用した。
B.6−シアノ−1−アセトキシ−ヘキサン(55.8ミリモル)をパール式
反応ビン(Parr reaction bottle)(容量500ml)中無水酢酸約100mlに溶解
した。これに酢酸(0.5ml)、次いで、酸化白金(100mg)を加えた。フラ
スコをパール式水素化装置(Parr hydrogenator apparatus)に置き、水素ガス(
40psi)を満たした。これを12時間振盪し、セライトで濾過(触媒除去のため
)し、新たな酸化白金(100mg)および水素(40psi)を満たし、更に24
時間振盪させた。これをセライトで濾過し、全ての揮発性物質を減圧下(ロータ
リー・エバポレーター)で除去した。所望の1−アセトキシ−7−アセトアミド
ヘプタンは、次の工程に使用するのに十分純粋であった(11.8g得られた)。
C.1−アセトキシ−7−アセトアミドヘプタン(11.8g、54.3ミリモ
ル)を200ml丸底フラスコ中、メタノール20mlに溶解した。これに、40%
塩酸水溶液50mlを加え、混合物を還流状態で60時間加熱した。全ての揮発物
質を減圧下で除去した。所望の7−アミノ−1−ヘプタノールを結晶状塩酸塩、
融点74−81℃、MS:131(MH+)、として得た。
実施例2
式(G)の化合物類
A.N−メチルモルホリン(2.2ml、19.7ミリモル)を、乾燥DMF50
ml中、7−アミノ−1−ヘプタノール塩酸塩(3.3g、19.7ミリモル)にア
ルゴン雰囲気下、室温で撹拌しながら滴下して加えた。5分間撹拌後、以下のも
のを加えた:N−t−ブトキシカルボニル−L−トリプトファン(5g、16.4
5ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.52g、16.45ミリ
モル)およびEDCI塩酸塩(4.73g、24.7ミリモル)。混合物を2時間
撹拌し、次いで、DMFを減圧下で除去した。残渣を2.5%冷HCl(100ml
)および酢酸エチル(3×100ml)に取り、分液ロートに移した。有機相を分
離し、2.5%冷HCl(100ml)、次いで塩水(100ml)で続けて洗浄した
。酢酸エチル相を乾燥(MgSO4)し、濾過および濃縮して、N−t−ブトキシ
カルボニル−L−トリプトファン−(7−ヒドロキシヘプチル)アミドを得た;
IR(ニート):3300、2921、1685、1645、1490、135
6、1157cm-1;1
H NMR(80MHz,CDCl3):δ0.98−1.62(m,10H,−(CH 2
)5−),1.45(s,9H,t−ブチル),2.86−3.32(m,4H,
CH−CH 2,HN−CH 2),3.68(t,2H,J=5.6Hz,−CH 2OH
),4.22−4.55(m,1H,CH),5.12−5.32(ブロードのd,
1H,NH−CH),5.65−5.9(ブロードのt,1H,NH−CH2),
6.98−7.92(m,5H,ArH),8.63(ブロードのs,インドールの
NH)。
B.N−t−ブトキシカルボニル−L−トリプトファン−(7−ヒドロキシヘ
プチル)アミド(8.2g)の無水ピリジン150ml溶液を0℃まで冷却した(氷
浴)。p−トルエンスルホニルクロリド(4.7g)をこの溶液に一部ずつ加え、
冷却した混合物を7時間撹拌させた。氷水50mlを加え、減圧下で全ての揮発性
物質を除去することにより、反応を止めた。生成物、N−t−ブトキシカルボニ
ル−L−トリプトファン−(N'−(7−(4'−メチルフェン−1−イル)スルホニ
ルオキシ)ヘプチル)アミドを、溶離液として10−40%酢酸エチル/ヘキサン
を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離した。この物質は静置
すると結晶化した。MS:572(MH+)。
C.別法として、乾燥DMF(50ml)中、N−t−ブトキシカルボニル−L
−トリプトファン(5.0g、16.45ミリモル)、6−アミノ−1−ヘキサノ
ール(2.31g、19.74ミリモル)、および1−ヒドロキシベンゾチアゾー
ル・H2O(2.52g、16.45ミリモル)の溶液に、室温でアルゴン下、ED
CI(4.73g、24.68ミリモル)を加えた。一晩撹拌後、DMFを高真空
下で除去した。残渣を酢酸エチル(150ml)および1N HCl(75ml)間に
分配した。更に有機層を1N HCl(75ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2
×75ml)、および最後に塩水(50ml)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4
)し、蒸発乾固させて、白色泡状物として、N−t−ブトキシカルボニル−L−
トリプトファン−N'−(6−ヒドロキシヘキシル)アミド6.45g(97%)を
得た。MS:404.3(M+H)+、を得た。生成物の純度は、分析用HPLCに
より確認した。
D.更に処理して、乾燥ピリジン150ml中、アルゴン下0℃で、N−t−ブ
トキシカルボニル−L−トリプトファン−N'−(6−ヒドロキシヘキシル)アミ
ド(5.5g、13.64ミリモル)にp−トルエンスルホニルクロリド3.9g(
20.46ミリモル)を加えた。均質溶液を同じ温度で一晩撹拌した。水25ml
を用いて反応を止め、過剰のピリジンを減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(
120ml)に溶解し、1N HCl(2×50ml)、飽和HaHCO3溶液(50ml
)および塩水(50ml)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、蒸発濃縮し
て、N−t−ブトキシカルボニル−L−トリプトファン−(N'−(6−(4'−メ
チルフェン−1−イル)スルホニルオキシ)ヘキシル)アミド(5.77g、76%)
、MS:558.3(M+H)+、を淡黄色油状物として得た。
E.水(25ml)およびテトラヒドロフラン(50ml)中、5−ヒドロキシト
リプトファン(3.5g、シグマ社から入手可能)およびトリエチルアミン(5.
6ml)に、BOC−ON(2−(t−ブトキシ−カルボニルオキシイミノ)−2−
フェニルアセトニトリル)を加えた。2.5時間後、テトラヒドロフランを除去
し、10%Na2CO3(20ml)を加え、混合物をエーテル(50ml)で分配し
た。水性部を更にエーテル(20ml)で抽出し、次いで、酢酸エチル(100ml
)を含有する二相系で、10%冷HClを用いて酸性化した。酢酸エチル部を分
離し、水(30ml)、塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、濃縮して、シロッ
プを得た。このシロップを上記実施例1Cと同様の方法で、6−アミノ−1−ヘ
キサノールと反応させ、N−t−ブトキシカルボニル−L−(5−ヒドロキシ)ト
リプトファン−N'−(6−ヒドロキシヘキシル)アミドを得た。この生成物の半
分をDMF40mlにとり、室温で一晩、K2CO3(5g)およびヨードメタン(
1.2g)で処理した。次いで、反応混合物を水(50ml)と酢酸エチル(80ml
)間に分配し、有機部をさらに水(2×20ml)、塩水で洗浄し、無水MgSO4
で乾燥し、油状物になるまで濃縮した。生成物、N−t−ブトキシカルボニル−
L−(5−メトキシ)トリプトファン−N'−(6−ヒドロキシヘキシル)アミドの
精製をシリカゲルクロマトグラフィーにより行った;1H NMR:δ(CDCl3
)0.9−1.6(m,CH2,8H);1.45(s,9H);2.7−3.3(m
,5H);3.6(t,2H);3.85(s,3H);4.35(m,1H);
5.
3(ブロードのd,1H);5.85(ブロードのt,1H);6.75−8.3
(m,4H);8.73(ブロードのs,1H)。
F.同様の方法で、下記化合物を製造する:
N−t−ブトキシカルボニル−L−(5−エトキシ)トリプトファン−N'−(6
−ヒドロキシヘキシル)アミド;
N−t−ブトキシカルボニル−L−(5−プロポキシ)トリプトファン−N'−(
6−ヒドロキシヘキシル)アミド;
N−t−ブトキシカルボニル−L−(5−エチル)トリプトファン−N'−(6−
ヒドロキシヘキシル)アミド;および
N−t−ブトキシカルボニル−L−(4−メチル)トリプトファン−N'−(6−
ヒドロキシヘキシル)アミド。
実施例3
式(H)の化合物類
A.N−t−ブトキシカルボニル−L−トリプトファン−(N'−(4'−メチル
フェン−1−イル)スルホニルオキシヘプチル)アミド(6.78g)を、無水テト
ラヒドロフラン1.1リットル中NaH(油中60%、1.9g)の溶液に、少しず
つ加え、一晩撹拌させた。反応混合物を濃縮して、水(150ml)およびCH2
Cl2(150ml)に取った。水相は、2.5%HCl(pH=3〜4)を用いて僅
かに酸性にし、有機相を分離(3×150ml)し、2.5%冷HCl(150ml)
、5%NaHCO3(150ml)および塩水(150ml)で続けて洗浄した。有機
相を乾燥(MgSO4)し、濾過および濃縮して、緑黄色の半固体物質を得た。シ
リカゲルクロマトグラフィーにより精製して、(11S)−11−N'−(ベンジル
オキシカルボニル)アミノ−10−オキソ−1,9−ジアザ−トリシクロ[11.6
.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15,17−テトラエン、融点
208−209℃、MS:400(M+H)+を得た。
B.別法として、乾燥THF1リットル中、N−t−ブトキシカルボニル−L
−トリプトファン−(N'−(6−(4'−メチルフェン−1−イル)スルホニルオキ
シ)ヘキシル)アミド(5g、8.97ミリモル)に、アルゴン下0℃で4当量の6
0%NaH(1.44g、36ミリモル)を10分にわたり少しずつ加えた。次い
で、混合物を室温で一晩撹拌した。生じた黄色混合物を200mlまで蒸発濃縮し
、蒸留水1リットルを加えた。次いで、混合物を、激しく撹拌しながら、1N
HClで酸性化した。黄色沈殿物を濾過して集め、高真空状態で一晩、P2O5で
乾燥した。乾燥粗生成物(8g)をシリカゲル60でクロマトグラフィーに付し
、CH2Cl2中30%酢酸エチルで溶出して、(10S)−10−N'−(ベンジル
オキシカルボニル)アミノ−9−オキソ−1,8−ジアザ−トリシクロ[10.6.
1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン1.2g(
35%)、MS:386(M+H)+、融点222−223℃を白色粉末として得た
。
C.別法として、N−t−ブトキシカルボニル−L−トリプトファン−(N'−
(6−(4'−メチルフェン−1−イル)スルホニルオキシ)ヘキシル)アミド(1.
21g、2.17ミリモル)の試薬級塩化メチレン45mlの溶液に、40%水性K
OH 15mlおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(0.65ミリモル
、148mg)0.3当量を加えた。二相混合物を室温で一晩激しく撹拌した。有
機相を分離し、水層を塩化メチレン25mlで抽出した。集め合わせた有機層を水
(25ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発乾固した。残渣を石油エーテル
中10%のエーテル中で、0℃で15分間撹拌し、濾過して、(10S)−10−
N'−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−(9−オキソ−1,8−ジアザ−トリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン792mg(93%)を白色粉末として得た。
実施例4
式(J)の化合物類
A.(11S)−10−N'−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−(10−オキ
ソ−1,9−ジアザ−トリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),1
4(19),15,17−テトラエン(850mg)を10%トリフルオロ酢酸の塩化
メチレン溶液5mlに溶解し、1時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。
残渣をCH2Cl2(40ml)および1N NaOH(40ml)にとり、分液ロート
に移した。有機相を分離し、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過および濃
縮して、(11S)−10−アミノ−(10−オキソ−1,9−ジアザトリシクロ[
11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15,17−テトラエン
654mgを得た。
B.別法として、(10S)−10−N'−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ
−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12
(19),13(18),14,16−テトラエン(0.5ミリモル、193mg)を20
%TFA/CH2Cl2(10ml)中、室温で2時間撹拌した。過剰のTFAおよ
び溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(30ml)に溶解し、1N HCl
(25ml)、塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。蒸発乾固させて
、(10S)−10−アミノ−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.
1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン140mg
(定量的)、融点157−160℃、MS:286.2(M+H)+を白色泡状物と
して得た。
実施例5
式(Ia)の化合物類
A.(11S)−10−アミノ−(10−オキソ−1,9−ジアザトリシクロ[1
1.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15,17−テトラエン(
654mg)およびラセミ4−メチル−2−t−ブトキシカルボニルメチル−ペン
タン酸(800mg)を無水DMF30ml中で撹拌した溶液に、アルゴン下、1−
ヒドロキシベンゾトリアゾール(360mg)、次いでEDCI(940mg)を加えた
。
混合物を一晩撹拌させ、次いで、DMFを減圧下で除去した。残渣をCH2Cl2(
100ml)および1.5%冷HCl(100ml)の混合物に取り、分液ロートに移し
た。有機相を分離し、1.5%HCl(100ml)、5%NaHCO3(100ml)およ
び塩水(100ml)で続けて洗浄した。CH2Cl2相を乾燥(MgSO4)し、濾過お
よび濃縮して、半結晶状生成物、(11S)−5−メチル−3−(10−オキソ−
1,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(1
9),15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエ
ステルを得た。この化合物の2つの個々の立体異性体を、溶離液として酢酸エチ
ル/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより分離した。極性の低
い方の立体異性体は、融点154−157℃、[α]24 D=−43.9°、c=23
.8mg/2mlCHCl3を有し、極性の高い方の立体異性体は、融点168−17
1℃、[α]24 D=−19.1°、c=11.86mg/2mlCHCl3を有した。
B.別法として、乾燥DMF(200ml)中、上記調製した(2R)−4−メチ
ル−2−(t−ブトキシカルボニルメチル)ペンタン酸(2.39g、10.4ミリ
モル)、HOBt・H2O(2.5g、1当量)、N−メチルモルホリン(2.3ml
、2当量)、および(10S)−10−アミノ−(9−オキソ−1,8−ジアザトリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン(2.96g、1当量)の溶液に、アルゴン下、EDCI(3.96g、2
.0当量)を加えた。得られた混合物を一晩撹拌し、次いで、翌朝、DMFを高
真空下、35℃で除去した。残渣をCH2Cl2(150ml)/水(75ml)間に
分配し、次いで、有機層を0.5N HCl(2×75ml)、飽和NaHCO3(2
×75ml)、および最後に塩水(1×75ml)で洗浄した。CH2Cl2層をNa2
SO4で乾燥後、濾過し、蒸発乾固させた。カラムクロマトグラフィー(石油エ
ーテルないし30%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、(3R,10S
)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013, 18
]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカル
バモイル)ヘキサン酸t−ブチルエステル(3.24g、62.7%)を得た。
C.同様にして、下記式(Ia)の化合物類を製造した:
(3R,10S)−4−フェニル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[
10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン
−10−イルカルバモイル)ブタン酸t−ブチルエステル、MS:532(M+H
)+;
(3R,10S)−4−シクロヘキシル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン−10−イルカルバモイル)ブタン酸t−ブチルエステル、MS:53
8(M+H)+;
(3R,10S)−6−フェニル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[
10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン
−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエステル、MS:560(M+
H)+;および、
(3R,10S)−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.01 3,18
]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカ
ルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエステル、MS:484(M+H)+;および、
(3R,10S)−2−メトキシカルボニル−5−メチル−3−(9−オキソ−1
,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18)
,14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸ベンジルエステ
ル、MS:590(M+H)+。
D.別法として、乾燥THF(100ml)中、(2R)−4−メチル−2−(t
−ブトキシカルボニルメチル)ペンタン酸(1g、4.34ミリモル)に、アルゴ
ン下−78℃で、NaN(TMS)2(THF中1.0M、10.9ml、2.5当量)
を滴下して加え、混合物を1時間撹拌した。ヨードメタン(0.33ml、1.2当
量)を加え、得られた混合物を、−78℃から室温で一晩撹拌した。翌日、水(
100ml)で反応を止めた。エーテル(3×100ml)で抽出後、水層を酢酸エ
チルを用いて集め合わせ、撹拌しながら、4N HClをpH=2まで加えた。塩
化ナトリウムも飽和するまで加え、水層を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し
た。集め合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥し、濾過および濃縮して、(2R
)−
4−メチル−2−((1−メチル−1−t−ブトキシカルボニル)メチル)ペンタン
酸を暗茶色油状物(1g)として得た。この粗製の反応生成物(500mg)と(1
0S)−10−アミノ−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.01 3,18
]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン(399mg、0
.7当量)に、乾燥DMF中、アルゴン下0℃で、HOBt−H2O(1.1当量、
234mg)、次いで、EDCI(663mg、2.5当量)を加えた。得られた混
合物を0℃から室温で一晩撹拌した。DMFのほとんどは、65℃でポンプ蒸留
により除去した。次いで、残渣をCH2Cl2(150ml)に分配した。0.5N
HCl(2×75ml)、飽和NaHCO3(2×75ml)、および塩水(1×75m
l)で洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、蒸発乾固させた。粗製物を
、石油エーテル中30%酢酸エチルで溶出する、シリカフラッシュカラムクロマ
トグラフィーにより精製して、3つの化合物、(3R,10S)−2−メチル−5
−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノ
ナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモ
イル)ヘキサン酸t−ブチルエステル、および(3R,10S)−5−メチル−3−
(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(
19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン
酸t−ブチルエステルの2つの個々の立体異性体の混合物を得た。更に、精製し
て、3つの化合物;白色固体として(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキ
ソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13
(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチ
ルエステル(13mg);白色固体として、立体異性体の1:1混合物(5mg);
および(3R,10S)−2−メチル−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジ
アザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,
16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエステルの
極性の低い方の立体異性体(15mg)を分離した;1H NMR、300MHz、
溶媒CDCl3(極性の低い方の立体異性体):δ(−0.2)−(−0.05)(m,
1H);0.5−0.7(m,1H);0.9(dd,J=4Hz,J=6.7Hz,
6H);1.
15(d,J=8.4Hz,3H);1.18−1.4(m,3H);1.41(s
,9H);1.45−1.73(m,4H);1.75−1.8(m,2H);2.
5−2.7(m,3H);2.89(dd,J=10.9Hz,J=15Hz,1H
);3.34−3.5(m,2H);3.95−4.1(m,1H);4.25−4.
4(m,1H);4.72−4.82(m,1H);5.22−5.3(m,1H)
;6.52(d,J=7.5Hz,1H);6.91(s,1H);7.13(dd
,J=6.7Hz,J=8.4Hz,1H);7.22(dd,J=5Hz,J=7.
1Hz,1H);7.34(d,J=8.4Hz,1H);7.84(d,J=8.4
Hz,1H)。
実施例6
式(Ib)の化合物類
A.極性の低い方の立体異性体(11S)−5−メチル−3−(10−オキソ−
1,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(1
9),15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエ
ステル(300mg)を10%トリフルオロ酢酸/塩化メチレン溶液5mlで扱い、
撹拌させた。2.5時間後、TLCは、反応が完了したことを示した。全ての揮
発性物質を減圧下で除去した。残渣をCH2Cl2(40ml)に取り、分液ロート
に移し、0.5%HCl(40ml)および塩水(40ml)で続けて洗浄した。有機
相を乾燥(MgSO4)し、濾過および濃縮して、(11S)−5−メチル−3−(
10−オキソ−1,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(
20),14(19),15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン
酸の極性の低い方の立体異性体を得た。
B.同様の方法で、(11S)−5−メチル−3−(10−オキソ−1,9−ジア
ザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15,1
7−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエステルの極
性の高い方の立体異性体を加水分解して、(11S)−5−メチル−3−(10−
オキソ−1,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),
14(19),15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸の極
性の高い方の立体異性体を得た。
C.別法として、(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジ
アザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,
16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエステル(
3.24g、6.5ミリモル)を0℃で95%TFA(水性)(30ml)に取り、
次いで、20分間撹拌した。その後、氷浴を除去し、混合物を更に1時間撹拌し
た。それを油状物になるまで濃縮後、残渣を酢酸エチル(250ml)に取り、水
(7×150ml)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、蒸発乾固
させて、(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシ
クロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テト
ラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸の単一立体異性体2.83g(98.
4%収率);MS:442(M+H)+(化合物1)を白色粉末として得た。
D.同様の方法で、ただし、(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−
1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(1
8),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエ
ステルの代わりに、式(Ia)の他の適切な化合物を用いて、下記式(Ib)の化合
物を調製した:
(3R,10S)−4−フェニル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[
10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン
−10−イルカルバモイル)ブタン酸、MS:474(M−H)-;
(3R,10S)−4−シクロヘキシル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン−10−イルカルバモイル)ブタン酸、MS:482(M+H)+;
(3R,10S)−3−シクロヘキシル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン−10−イルカルバモイル)プロパン酸、MS:468(M+H)+;
(3R,10S)−6−フェニル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[
10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン
−
10−イルカルバモイル)ヘキサン酸、MS:502(M−H)-;
(3R,10S)−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.01 3,18
]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカ
ルバモイル)ヘキサン酸、MS:426(M−H)-;および、
(3R,10S)−2−アミノ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザ
トリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16
−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸、MS:457(M+H)+;
(3R,10S)−2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジ
アザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,
16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸、MS:458(M+H
)+;および、
(3R,9S)−5−メチル−3−(8−オキソ−1,7−ジアザトリシクロ[9.
6.1.012,17]オクタデカ−11(18),12(17),13,15−テトラエン−
9−イルカルバモイル)ヘキサン酸。
E.(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシク
ロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラ
エン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸(183mg)を乾燥CH2Cl240ml
に取り、0℃でエタノール(0.5ml、5当量)、次いで、N,N−ジメチルアミ
ノピリジン(0.1当量、5mg)、および最後にEDCI(209mg、5当量)
を加えた。得られた溶液を0℃から室温で一晩撹拌した。更にCH2Cl2(10
0ml)を加え、混合物を、0.5N HCl(2×50ml)、飽和NaHCO3(2
×50ml)、および最後に塩水(1×50ml)で洗浄した。有機層をNa2SO4
で乾燥し、濾過して、蒸発乾固させた。酢酸エチルおよび石油エーテルから再結
晶化して、(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸エチルエステル(収量:108m
g、55%)、MS:470(M+H)+を白色固体として得た。
F.別法として、上記実施例5Dで製造される(3R,10S)−2−メチル−
5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]
ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバ
モイル)ヘキサン酸t−ブチルエステル(15mg)の極性の低い方の立体異性体
をCH2Cl2(2.4ml)およびTFA(0.6ml)に取り、得られた混合物を室
温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下35℃で除去した。次いで、酢酸エチルを加
え、溶液を水(3×10ml)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し
、蒸発乾固させた。酢酸エチル/石油エーテルから再結晶化して、(3R,10S
)−2−メチル−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10
.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−1
0−イルカルバモイル)ヘキサン酸(7mg)、MS:456.3(M+H)+を白
色固体として得た。
G.同様の方法で、(3R,10S)−2−メチル−5−メチル−3−(9−オキ
ソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13
(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチ
ルエステル(上記実施例5Dで製造される)の立体異性体の1:1混合物(5mg
)を加水分解して、白色固体3mgを得た;1
H NMR、300MHz、溶媒CDCl3:δ(−0.5)−(−0.3)(m,1H
);0.6−0.8(m,1H);0.8−1.05(m,6H);1.05−1.2
2(m,2H);1.35(3H,dd,J=9Hz);1.4−1.7(m,3H
);1.7−1.95(m,3H);2.3−2.48(m,1H);2.54−2.
73(m,1H);2.8−3.0(m,2H);3.38−3.5(m,1H);
3.52−3.72(m,1H);3.8−3.98(m,1H);4.34−4.4
5(m,1H);4.7−4.84(m,1H);5.0−5.08(m,1H);
6.8(d,1H);7.15−7.25(m,1H);7.25−7.32(m,
1H);7.35(d,J=8.4Hz,1H);7.88(d,J=8.4Hz)。
H.別法として、(3R,10S)−2−メトキシカルボニル−5−メチル−3
−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12
(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)へキサン
酸ベンジルエステルをエタノール(35ml、若干加熱を要する)に取り、ギ酸ア
ンモニウム(1642mg、3当量)、次いで、10%パラジウム活性炭(100
mg)を加えた。アルゴン下室温で3時間撹拌後、反応が完了した。混合物を1cm
のセライトベッドを通して吸引濾過し、次いで、濃縮して、MeOHを加え、綿
栓を通して濾過した。濃縮後、CH2Cl2を残渣に加え、激しく撹拌し、次いで
、濾過した。濾液を濃縮し、酢酸エチル/石油エーテルから再結晶化して、(3
R,10S)−2−メトキシカルボニル−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−
ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14
,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸(収量:140mg)、
MS:500.3(M+H)+を白色固体として得た。
I.(3R,10S)−2−メトキシカルボニル−5−メチル−3−(9−オキソ
−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(
18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸をエタノー
ル(25ml)に取り、次いで、1N LiOH(0.3ml、3当量)を滴下して加
えた。生じた均質溶液を室温で3時間撹拌した。ほとんどのエタノールを減圧下
30℃で除去した。次いで、水(5ml)と酢酸エチル(30ml)を加え、撹拌し
ながら、pH=2になるまで4N HClを加えた。酢酸エチル層を更に塩水で洗
浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、蒸発乾固させた。逆相HPLCにより精製
して、(3R,10S)−2−カルボキシ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8
−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),1
4,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸47mg、MS:48
4.5(M−H)-を白色固体として得た。
実施例7
式(Ic)の化合物類
A.無水DMF(20ml)中、(11S)−5−メチル−3−(10−オキソ−
1,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(1
9),15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸の極性の低い
方の立体異性体(210mg)および5−ヒドロキシベンゾトリアゾール−水化物
(109mg)の溶液を、アルゴン下、0℃まで冷却した(氷浴)。この混合物に
、EDCI(282mg)を加え、0.5時間撹拌を続けた。O−ベンジル−ヒド
ロキシルアミン(0.27ml)を溶液に加え、反応混合物を室温まで一晩暖めさ
せた。揮発性物質を全て減圧下で除去した。残渣をCH2Cl2(100ml)およ
び20%HCl(100ml)に取り、分液ロートに移した。有機相を分離し、水
相をCH2Cl2(2×100ml)で洗浄した。次いで、有機物質を5%NaHCO3
、塩水で続けて洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過および濃縮して、(11S)
−N−ベンジルオキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1,9−ジアザトリシ
クロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15,17−テト
ラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミドを結晶状生成物として得た。
更にこの生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、次いで熱酢酸エチル/
CH2Cl2からの結晶化により精製して、融点232−233℃を有する極性の
高い方の立体異性体の化合物、および融点251−253℃を有する極性の低い
方の立体異性体の化合物を得た。
B.別法として、DMF(200ml)中、(3R,10S)−5−メチル−3−(
9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(1
9),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸
(2.5g、5.82ミリモル)、HOBtH2O(0.89g、1当量)、およびO
−ベンジルヒドロキシルアミン(2.2ml、3当量)の溶液に、0℃で、EDC
I(2.77g、2.5当量)を加えた。次いで、得られた混合物を一晩撹拌した
。DMFを65℃でポンプ蒸留により除去した。その後、残渣にメタノール(1
4ml)、次いでエーテル(140ml)を加えた。0℃で撹拌しながら、0.5N
HCl(140ml)を加え、更に石油エーテル(140ml)を加えた。混合物を
0℃で15分間撹拌し、次いで、白色固体を吸引濾過し、続いて、水(100ml
)、更に1:1エーテル/石油エーテル(100ml)で洗浄した。真空下(P2
O5)3時間乾燥し、(3R,10S)−N−ベンジルオキシ−5−メチル−3−(
9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(1
9),13(1
8),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミドを白色固
体(2.7g、84.9%)として得た。
C.同様の方法で、ただし、(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−
1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(1
8),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸の代わりに、
適切に置換された式(Ib)の化合物を用いて、下記式(Ic)の化合物を調製した
:
(3R,10S)−N−ベンジルオキシ−2−メトキシカルボニル−5−メチル
−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−
12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキ
サンアミド、MS:605.3(M+H)+;
(3R,10S)−N−ベンジルオキシ−6−フェニル−3−(9−オキソ−1,
8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),
14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:60
9(M+H)+;
(3R,10S)−N−ベンジルオキシ−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:533(M+H)+。
実施例8
式(Id)の化合物類
A.エタノール/テトラヒドロフラン(350ml、2:1)中、(11S)−N
−ベンジルオキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1,9−ジアザトリシクロ
[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15,17−テトラエ
ン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミドの極性の高い方の立体異性体(9
0mg)の溶液に、10%パラジウム炭素(30mg)を加えた。これを一定流の水
素ガスを泡立たせながら、撹拌した。3時間後、TLC(10%CH3OH/C
H2Cl2)は、反応が完了したことを示した。この物質をセライトベッドを通し
て濾過(3×)し、減圧下で、ほぼ乾燥した残渣になるまで濃縮した。塩化メチ
レン(15ml)を加え、これを再度減圧下で、ほぼ乾燥するまで濃縮し、この操
作を繰り返した。残渣に、メタノール3、4滴、更に塩化メチレン(15ml)を
加えた。これを冷却(氷浴)しながら撹拌し、エーテル(5ml)、次いでヘキサ
ン(2ml)を加えた。結晶状物質がゆっくり生成してくるので、これを濾過して
集め、(11S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1,9−ジ
アザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15,
17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミドの極性の高い方の
立体異性体、融点197−201℃、[α]23 D=−85.1°(3.5mg/1.0ml
DMSO)(化合物2)を50mg得た。
B.同様の方法で、ただし、(11S)−N−ベンジルオキシ−5−メチル−3
−(10−オキソ−1,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−1
3(20),14(19),15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサ
ンアミドの極性の高い方の立体異性体の代わりに、極性の低い方の立体異性体を
用いて、(11S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1,9−
ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19),15
,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミドの極性の低い方の
立体異性体、融点212−216℃、[α]23 D=−38.5°(4.7mg/1.0ml
CH3OH)を生成した。
C.別法として、(3R,10S)−N−ベンジルオキシ−5−メチル−3−(9
−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19
),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミ
ド(1.0g、1.83ミリモル)を、エタノール(500ml)中、20%THF
の溶液に取り、次いでパラジウム活性炭(200mg)を少しずつ加えた。得られ
たスラリーを、H2ガスを溶液に穏やかに泡立たせながら、撹拌した。4時間後
、反応混合物をセライトベッド(1.5cm)を通して吸引濾過し、濾液を濃縮し
、次いで、メタノール(30ml)に取り、綿栓を通して濾過した。メタノール/
酢酸エチル/エーテル/石油エーテルから再結晶化して、(3R,10S)−N−
ヒ
ドロキシ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.
1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−
イルカルバモイル)ヘキサンアミド(768mg、92%)、MS:455(M−H
)+を得た。
D.同様の方法で、ただし、(3R,10S)−N−ベンジルオキシ−5−メチ
ル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ
−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘ
キサンアミドの代わりに、適切な式(Ic)の化合物を用いて、下記式(Id)の化
合物を調製した:
(3R,10S)−N−ヒドロキシ−2−メトキシカルボニル−5−メチル−3
−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12
(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサン
アミド、MS:515(M+H)+;
(3R,10S)−N−ヒドロキシ−6−フェニル−3−(9−オキソ−1,8−
ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14
,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:517(
M−H)+;
(3R,10S)−N−ヒドロキシ−2−アミノカルボニル−5−メチル−3−(
9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(1
9),13(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンア
ミド、MS:483(MH+)−H2O;
(3R,10S)−N−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシク
ロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラ
エン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:443(MH+);および
、
(3R,9S)−5−メチル−3−(8−オキソ−1,7−ジアザトリシクロ[9.
6.1.012,17]オクタデカ−11(18),12(17),13,15−テトラエン−
9−イルカルバモイル)ヘキサンアミド。
実施例9
式(Ie)の化合物類
A.乾燥DMF(30ml)中、4−メチル−2−アセチルチオメチルペンタン
酸(612mg、3ミリモル)、(10S)−10−アミノ−(9−オキソ−1,8−
ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14
,16−テトラエン(427mg、1.5ミリモル)、およびHOBt・H2O(23
0mg、1.5ミリモル)の溶液に、アルゴン下、室温で、EDCI(863mg、
4.5ミリモル)を一部ずつ加えた。一晩撹拌後、DMFを高真空下、30℃で
除去し、黄色がかった半固体を得た。これを酢酸エチル(50ml)に溶解し、1
N HCl(30ml)、5%NaHCO3溶液(30ml)、最後に塩水(30ml)で
洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、蒸発乾固させた。得られた淡黄色油状
物を石油エーテル中50%エーテル(40ml)中で撹拌し、(10S)−2−アセ
チルチオメチル−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[1
0.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−
10−イル)ペンタンアミド600mg(85%)を1:1立体異性体混合物とし
て得た。立体異性体混合物をフラッシユカラムクロマトグラフィー(LPS−2
)で分離し、石油エーテル中20%酢酸エチルで溶出し、極性の低い方の立体異
性体、融点226℃、および極性の高い方の立体異性体、融点220℃を得た。
実施例10
式(If)の化合物類
A.メタノール10ml中、(10S)−2−アセチルチオメチル−4−メチル−
N−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−1
2(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イル)ペンタンアミド(5
0mg、0.106ミリモル)の溶液に、アルゴン下0℃で濃NH4OH 0.5mlを
加えた。反応混合物を0℃(NH4OH添加後、氷浴を取り除いた)から室温で
撹拌し、更に、室温で1時間貯蔵した。過剰のメタノールを減圧下で除去し、白
色固体残渣を得た。残渣を酢酸エチル(30ml)および0.1N HCl(15ml
)の間に分配した。有機層を塩水(15ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸
発
乾固させた。固体残渣を50%エーテル/石油エーテル中で撹拌し、濾過して、
(10S)−2−メルカプトメチル−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジア
ザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,1
6−テトラエン−10−イル)ペンタンアミドの極性の高い方の立体異性体、融
点224℃(化合物3)を、白色粉末として、41mg(90%)得た。
実施例11
式(HH)の化合物類
A.25℃水浴中、4−メチルペンタン酸(25g、0.215ミリモル)に、
塩化チオニル(20.4ml、1.3g)をゆっくりと加えた。次いで、混合物をア
ルゴン下50℃で3時間(気体の放出が止まるまで)加熱した。粗反応混合物を
大気圧で蒸留して、4−メチルペンタノイルクロリド(25.3g、87.3%)
、沸点143℃を得た。
B.同様の方法で、ただし、4−メチルペンタン酸の代わりに、5−フェニル
ペンタン酸(5g)を用いて、5−フェニルペンタノイルクロリド、沸点91−
93℃(4.4g)を無色液体として調製した。
実施例12
式(N)の化合物類
A.トルエン(200ml)中、60%NaH(836mg、1.5当量)の懸濁液
に、アルゴン下室温で、L−(+)−2,10−カンファースルタム(3.0g、3.
9ミリモル)を少しずつ加えた。混合物を室温で1時間激しく撹拌した。次いで
、この溶液に、4−メチルペンタノイルクロリドを0℃で注意深く滴下して加え
た。反応物を室温で3時間撹拌後、水10mlを加えて反応を止め、エーテル70
mlを加えた。反応混合物を、まず0.5NHCl(2×50ml)、次いで、5%K2
CO3(3×50ml)、最後に塩水(1×50ml)で洗浄した。有機層をMgS
O4で乾燥し、濾過し、および蒸発乾固させた。カラムクロマトグラフィー(溶
離液として1:6酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、N−4−メチル
ペンタノイル−L−(+)−2,10−カンファースルタム(3.39g、78%)
を得た。
B.同様の方法で、ただし、4−メチルペンタノイルクロリドの代わりに、適
切なクロリドを用いて、下記式(N)の化合物類を調製した:
N−3−フェニルプロパノイル−L−(+)−2,10−カンファースルタム、
MS:347(M+);
N−5−フェニルペンタノイル−L−(+)−2,10−カンファースルタム、
MS:375(M+);
N−ペンタノイル−L−(+)−2,10−カンファースルタム、MS:300(
M+H)+。
実施例13
式(Q)の化合物類
A.乾燥THF75ml中、N−4−メチルペンタノイル−L−(+)−2,10
−カンファースルタム(3.39g、10.8ミリモル)の溶液に、アルゴン下−
78℃で、NaN(TMS)2(THF中1.0M、11.34ml、1.05当量)を
5分にわたり滴下して加えた。−78℃で1時間撹拌後、混合物にヘキサメチル
ホスホルアミド(5ml)、次いでt−ブチルブロモアセテート(5.2ml、3当
量)を加え、その後、テトラn−ブチルアンモニウムヨージド400mgを一部ず
つ加えた。得られた溶液をアルゴン下−78℃で一晩維持した。翌朝、水(10
0ml)を加えて、反応を止め、次いで、エーテル(3×100ml)で抽出した。
集めたエーテル層を塩水で洗浄し、次いで、Na2SO4で乾燥し、濾過して、濃
縮した。カラムクロマトグラフィー(溶離液として5:95酢酸エチル/石油エ
ーテルないし10:90酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、N−(4
−メチル−2−t−ブトキシカルボニルメチル)ペンタノイル−L−(+)−2,1
0−カンファースルタム(4g、86.5%)を得た。
B.同様の方法で、ただし、N−4−メチルペンタノイル−L−(+)−2,1
0−カンファースルタムの代わりに、適切な式(N)の化合物を用いて、下記式
(Q)の化合物類を調製した:
N−(3−フェニル−2−t−ブトキシカルボニルメチル)プロパノイル−L−
(+)−2,10−カンファースルタム、MS:461(M+);
N−(5−フェニル−2−t−ブトキシカルボニルメチル)ペンタノイル−L−
(+)−2,10−カンファースルタム、MS:490(M+H)+;
N−(2−t−ブトキシカルボニルメチル)ペンタノイル−L−(+)−2,10
−カンファースルタム、MS:414(M+H)+。
実施例14
式(Ka)の化合物類
A.50%水性THF(150ml)中、N−(4−メチル−2−t−ブトキシ
カルボニルメチル)ペンタノイル−L−(+)−2,10−カンファースルタム(5
.45g、12.7ミリモル)をアルゴン下0℃で撹拌した溶液に、LiOH−H2
O結晶(2.14g、4当量)、次いで、30%H2O2(11.5ml)を加えた。
その後、氷浴を取り除き、生じた乳液を、それが透明になるまで3時間撹拌した
。ほとんどのTHFを減圧下35℃で除去した。その後、CH2Cl2(150ml
)を加え、撹拌しながら、4N HClをpH=2になるまで加えた。NaClを加
えた後、更に、水層をCH2Cl2(3×150ml)で抽出した。減圧下35℃で
CH2Cl2を除去し、次いで、残渣を酢酸エチル(150ml)に取った。その後
、この溶液を5%K2CO3(3×50ml)で抽出し、集め合わせた抽出物をエー
テル(50ml)で洗浄した。そうして、CH2Cl2を水層に加え、NaClととも
に撹拌しながら、水層をCH2Cl2(3×70ml)で抽出し、集め合わせた抽出
物をNa2SO4で乾燥し、濾過および濃縮して、(2R)−4−メチル−2−t−
ブトキシカルボニルメチルペンタン酸(2.95g、定量的収率)を無色油状物と
して得た。
B.同様の方法で、ただし、N−(4−メチル−2−t−ブトキシカルボニル
メチル)ペンタノイル−L−(+)−2,10−カンファースルタムの代わりに、適
切な式(Q)の化合物を用いて、下記式(Ka)の化合物類を調製した:
(2R)−3−フェニル−2−t−ブトキシカルボニルメチルプロパン酸、MS
:265(M+H)+;
(2R)−5−フェニル−2−t−ブトキシカルボニルメチルペンタン酸、MS
:293(M+H)+;
(2R)−2−t−ブトキシカルボニルメチルペンタン酸(無色油状物、1.0
9g)。
C.(2R)−3−フェニル−2−t−ブトキシカルボニルメチルプロパン酸(
55mg)を氷酢酸(20ml)に取り、PtO2(25mg)を酢酸中に加えた。次い
で、ビーカーをパール式ボンベ(Parr bomb)中に置き、空気を抜いて、100p
siのH2で満たした。3日間撹拌後、混合物を1cmセライトベッドを通して吸引
濾過した。次いで、濾液を濃縮して、黄色油状物、(2R)−3−シクロヘキシル
−2−t−ブトキシカルボニルメチルプロパン酸(56mg)、MS:269(M
−H)-にした。
実施例15
式(R)の化合物
3N HBr(水性)570ml中、D−ロイシン(50g、0.381モル)の
溶液に、0℃で亜硝酸ナトリウム(42g、1.6当量)を一部ずつ1時間15分
にわたって加えた。更に、反応物を0℃で3時間撹拌し、次いで、エーテル(1
000ml)で抽出した。エーテル層を水(2×500ml)で洗浄後、MgSO4で
乾燥して、濃縮した。その後、赤色シロップをクロロホルム(3×200ml)で共
蒸発させて、色を除去し、次いで、それをポンプで取り出して、(2R)−2−ブ
ロモ−4−メチルペンタン酸を一定重量71.3gを有する無色油状物として得た
。
実施例16
式(S)の化合物
ジクロロメタン(80ml)に、イソブテンを凝縮し、容量を2倍にした(−5
0℃、CHCl3/ドライアイスで)。この溶液に、(2R)−2−ブロモ−4−メ
チルペンタン酸(28g、143.6ミリモル)を加え、−40℃から−50℃の
温度に維持して、濃硫酸(1ml)を滴下して加えた。次いで、反応物を20時間
かけて室温まで暖めた。次いで、溶液を濃縮し、その後、更に塩化メチレン(3
00ml)を加え、続いて、飽和NaHCO3(2×100ml)、次いで、水(2×
100ml)で洗浄した。Na2SO4で乾燥後、有機層を濾過し、濃縮して、黄色
油状物を得た。これを蒸留して、(2R)−2−ブロモ−4−メチルペンタン酸t
−ブチルエステル23gを透明無色油状物として得た。
実施例17
式(U)の化合物
乾燥DMF(100ml)中、マロン酸ベンジルメチル(2.13ml、1当量)
、およびカリウムt−ブトキシド(1.36g、1当量)に、0℃で、DMF5
0ml中、(2R)−2−ブロモ−4−メチルペンタン酸t−ブチルエステル(2.
89g、11.5ミリモル)を1時間かけて滴下して加えた。次いで、生じた溶液
を0℃で3日間撹拌した。次いで、反応混合物をエーテル(150ml)と飽和塩
化アンモニウム(80ml)の間に分配した。生じた混合物をセライトを通して吸
引濾過し、二相を分離した。次いで、水層を更にエーテル(3×100ml)で抽
出し、集め合わせたエーテル抽出物を水(6×100ml)で洗浄した。MgSO4
で乾燥後、有機層を濾過し、蒸発乾固させた。フラッシュカラムクロマトグラフ
ィー(4:96酢酸エチル/石油エーテルで溶出する)により精製して、(2R)
−2−[(1−メトキシカルボニル−1−ベンジルオキシカルボニル)メチル]−4
−メチルペンタン酸t−ブチルエステル(2.55g)、MS:322(M−アセ
トン)+を透明無色油状物として得た。
実施例18
式(Kb)の化合物
(2R)−2−[(1−メトキシカルボニル−1−ベンジルオキシカルボニル)メ
チル]−4−メチルペンタン酸t−ブチルエステルを、室温で、80%TFA(
水性)5mlに取り、TLCで追跡しながら1.5時間撹拌した。反応が30%だ
け完了したら、更にTFA(10ml)を加えた。1/2時間内に、反応は完了し
た。TFAを、高真空下45℃で除去し、残渣を酢酸エチルに取り、水(5×3
0ml)で洗浄した。Na2SO4で乾燥後、酢酸エチル層を濾過、および濃縮し、
ポンプで取り出し(pumped)て、(2R)−2−[(1−メトキシカルボニル−1−
ベンジルオキシカルボニル)メチル]−4−メチルペンタン酸、MS:322(M+
)(1.68g)を固体として得た。
実施例19
式(W)の化合物
結晶状のホスフィン酸(8.4g、0.13モル)をそのままの(neat)トリエ
チルオルソホルメート(22ml、0.20モル)中、室温で90分間撹拌した。
次いで、これをカニューレを介して、エチルイソブチルアクリレート(8g、0.
036モル)およびテトラメチルグアニジン(4.5ml、0.036モル)を10
分間0℃まで冷却しておいた撹拌溶液に移した。氷浴を取り除き、反応物を4時
間撹拌した。混合物をジエチルエーテル200mlで希釈し、溶液を1N HCl(
100ml)、水(4×100ml)、塩水(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥させた。減圧下で蒸発濃縮して、2−(エトキシ)−ホスフィノイルメチ
ル−4−メチルペンタン酸エチルエステル、MS:349(M−H2O)+を僅かに
黄色の油状物として8.15g得た。
実施例20
式(X)の化合物
粗製2−(エトキシ)−ホスフィノイルメチル−4−メチルペンタン酸エチルエ
ステル(26g)をTHF/CH2Cl2(50/50)600mlに溶解し、0℃
まで冷却した。次いで、ジイソプロピルエチルアミン(32ml)およびビス−(
トリメチルシリル)アセトアミド90.8mlを溶液に加え、生じた混合物を20分
間撹拌し、その後、パラホルムアルデヒド(5.5g)を加えた。溶液を室温にし
、37℃で18時間加熱した。溶媒を蒸発除去し、生じた油状物を酢酸エチル2
00mlに溶解した。溶液を1N HCl 50ml(2×)、塩水50ml(2×)で
洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発させて、2−(エトキシ)(ヒドロキシ
メチル)ホスフィノイルメチル−4−メチルペンタン酸エチルエステル、MS:
281(MH+)をかすかに黄色の油状物として19.3g得た。
実施例21
式(Y)の化合物類
A.2−(エトキシ)(ヒドロキシメチル)ホスフィノイルメチル−4−メチルペ
ンタン酸エチルエステル(5g)をCH2Cl2 20mlに溶解し、−20℃まで冷
却した(全く同一のものを二つ用意する)。メタンスルホニルクロリド(1.5m
l)およびトリエチルアミン(3.0ml)をこの溶液に滴下して加えた。15分後
、浴を取り外し、反応を室温で3 1/2時間放置した。次いで、各溶液を2%冷H
Cl10ml、NaHCO3(飽和)10ml、塩水10mlで洗浄し、MgSO4で乾燥
し、濾過し、蒸発濃縮して、2−(エトキシ)(メタンスルホニルオキシメチル)ホ
スフィノイルメチル−4−メチルペンタン酸エチルエステル12.8g(合わせた
収量)を得た。
B.同様の方法で、ただし、メタンスルホニルクロリドの代わりに、p−トル
エンスルホニルクロリドを用いて、2−(エトキシ)(p−トルエンスルホニルオ
キシメチル)ホスフィノイルメチル−4−メチルペンタン酸エチルエステルを調
製した。
実施例22
式(AA)の化合物類
A.水素化ナトリウム(1.52g、(60%))および2−キノリンチオール6g
を、DMF50ml中0℃で一緒に撹拌した。最初のH2放出がおさまった後、混
合物を室温で2 1/2時間撹拌した。次いで、混合物を0℃まで冷却し、DMF
10ml中、2−(エトキシ)(メタンスルホニルオキシメチル)ホスフィノイルメチ
ル−4−メチルペンタン酸エチルエステル(12.8g)をカニューレを介して加
え、次いで、生じた混合物を18時間撹拌し、ゆっくりと室温まで暖めた。DM
Fを蒸発除去し、残渣を酢酸エチル50mlに溶解し、H2O 50ml(2×)、塩
水(50ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、黄色半固体になるまで蒸発濃縮した
。溶出用に10%酢酸エチル/ヘキサンないし80%酢酸エチル/ヘキサンを用
いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2−(エトキシ)(キノリン
−2−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4−メチルペンタン酸エチルエ
ステル(Rf0.35、80%酢酸エチル/ヘキサン)、MS:424(MH+)、
10gを得た。
B.同様の方法で、ただし、2−キノリンチオールの代わりに、1−ナフタレ
ンチオール、2−ナフタレンチオール、またはチオフェノールを用いて、下記式
(AA)の化合物を調製した:
2−(エトキシ)(ナフト−1−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4−
メチルペンタン酸エチルエステル;
2−(エトキシ)(ナフト−2−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4−メ
チルペンタン酸エチルエステル;および、
2−(エトキシ)(フェニルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4−メチルペン
タン酸エチルエステル。
実施例23
式(BB)の化合物類
A.2−(エトキシ)(キノリン−2−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−
4−メチルペンタン酸エチルエステル(4.5g)をTHF100mlに溶解し、2
N NaOH12.5mlを十分量のメタノールと一緒に加えて、溶液を均質にした
した。18時間後、THFを蒸発除去し、残渣をH2O50mlに希釈し、酢酸エ
チル50mlで洗浄した。次いで、水相をpH4まで酸性化し、生成物を酢酸エチ
ル50ml(2×)で洗浄した。酢酸エチルを塩水20mlで洗浄し、MgSO4で乾
燥し、蒸発濃縮して、2−(ヒドロキシ)(キノリン−2−イルチオメチル)ホスフ
ィノイルメチル−4−メチルペンタン酸、MS:368(MH+)、3.8gを黄色
油状物として得た。
B.同様の方法で、下記式(BB)の化合物を調製した:
2−(ヒドロキシ)(ナフト−1−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4−
メチルペンタン酸;
2−(ヒドロキシ)(ナフト−2−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4−
メチルペンタン酸;および、
2−(ヒドロキシ)(フェニルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4−メチルペ
ンタン酸。
実施例24
式(BB)の化合物の分割
2−(ヒドロキシ)(キノリン−2−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4
−メチルペンタン酸(5.3g)を温エタノール(無水)50mlに溶解し、(−)
−シンコニジン4.2gを加えた。室温で30分後、塩が沈殿し始めた。フラスコ
をホイルで包み、2日間静置した。その後、塩を吸引濾過により除去し、濾液を
黄色泡状になるまで蒸発濃縮した。塩および濾液をそれぞれ、酢酸エチル100
mlに溶解し、続いて、1%HClで洗浄して、pHを4以上に保ちながらシンコ
ニジンを除去した。両方の溶液をそれぞれ、MgSO4で乾燥させ、蒸発濃縮して
、単一立体異性体2.4g、[α]24 D=+10.68°(メタノール(2ml)中9.
73mg)、および他の単一立体異性体2.5g、[α]24 D=−8.70°(メタノー
ル(2ml)中9.88mg)を得た。
実施例25
式(Ig)の化合物
2−(ヒドロキシ)(キノリン−2−イルチオメチル)ホスフィノイルメチル−4
−メチルペンタン酸の単一立体異性体(300mg、0.81ミリモル)および1,
1'−カルボニルジイミダゾール(174mg、1.0ミリモル)をTHF6ml中0
℃で1 1/2時間撹拌した。(10S)−10−アミノ−(9−オキソ−1,8−ジア
ザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,1
6−テトラエン(270mg、0.95ミリモル)をこの溶液に加え、生じた混合
物を室温まで暖めて、次いで、18時間撹拌した。THFを蒸発除去し、残渣を
酢酸エチル60mlに溶解した。酢酸エチルをH2O 10ml、塩水10mlで洗浄し
、MgSO4で乾燥させ、蒸発濃縮して、(10S)−[4−メチル−2−(9−オキ
ソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13
(18),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ペンチル](キノリン
−2−イルチオメチル)ホスフィン酸を黄色油状物として得た。溶離液としてア
セトニトリルおよび50mmNH4OAc緩衝液の勾配を用いる逆相HPLCにより
、精製を行った。極性の高い方の立体異性体(30mg)を41%アセトニトリル
で分離し、極性の低い方の立体異性体(10mg)を43%アセトニトリルで分離
した。画分を凍結乾燥して、オフホワイト色粉末、MS:635(MH+)(化合物
4)とした。
実施例26
式(Ih)の化合物
(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[1
0.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−
10−イルカルバモイル)ヘキサン酸(200mg、0.45ミリモル)を氷酢酸1
0mlに溶解し、パー反応器(Parr reactor)中、Pt2O(60mg)の存在下、1
00psi H2圧、室温で、15時間水素化した。アルゴンガスを反応混合物中に
15分間泡立たせ、触媒(Pt2O)を(円錐状のセライトを通して)濾去した。
透明な濾液を蒸発乾固させ、更に、トルエンと共に2回共蒸発させて、定量的収
率で(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[
10.6.1.013,18]ノナデカン−10−イルカルバモイル)ヘキサン酸、MS:
448(M−H)-を白色固体として得た。
実施例27
式(Ii)の化合物
乾燥DMF10ml中、(3R,10S)−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8
−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカニルカルバモイル)ヘキサン
酸、およびO−ベンジルヒドロキシルアミン(5当量、2.25ミリモル、27
7mg)に、室温で、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・H2O(2当量、0.9
ミリモル、122mg)およびEDCI(5当量、2.25ミリモル、431mg)
を加えた。得られた透明の反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を高真空下、
室温で除去し、残渣を酢酸エチル(15ml)および1N HCl(15ml)の間に
分配した。酢酸エチル層を更に、1N HCl(15ml)で抽出した。集め合わせ
た水性抽出物を4N NaOHでpH10まで塩基性にし、NaClで飽和し、CH2
Cl2(3×15ml)で抽出した。集め合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥(MgS
O4)し、濾過し、蒸発乾固させて、半固体を得た。半固体を0℃で30分間、
エーテル(10ml)中で撹拌し、濾過して、(3R,10S)−N−ヒドロキシ−
5−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]
ノナデカニルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:555(M+H)+を白色粉末
として、85mg(34%)得た。
実施例28
式(Ij)の化合物
(3R,10S)−N−ベンジルオキシ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,8
−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカン−10−イルカルバモイル
)ヘキサンアミド(75mg、0.135ミリモル)を、10%Pd−C(35mg)
の存在下、無水エタノール(5ml)中、H2圧1atmで2時間水素化した。アルゴ
ンガスを反応混合物中に10分間泡立たせ、反応混合物を円錐状のセライトを通
して濾過した。セライト上の触媒を更に、エタノール5mlで洗浄した。集め合わ
せた濾液を蒸発乾固させ、固体残渣を得た。固体をエーテル中5%MeOH 10
ml中、0℃で30分間撹拌し、濾過して、(3R,10S)−N−ヒドロキシ−5
−メチル−3−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノ
ナ
デカン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:465(M+H)+をオ
フホワイト色粉末として57mg(91%)得た。
実施例29
式(DD)の化合物
乾燥DMF(15ml)中、N−t−ブトキシカルボニルトリプトファン(3ミ
リモル、914mg)およびN−メチルエタンジアミン(3.6ミリモル、0.27
g、0.32ml)に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・H2O(3ミリモル、
459mg)およびEDCI(4.5ミリモル、863mg)を加えた。混合物をア
ルゴン下室温で一晩撹拌し、過剰の溶媒(DMF)を高真空下35℃で除去した
。残渣を酢酸エチル(40ml)に溶解し、付加生成物を1N HCl(3×25ml
)に抽出した。集め合わせた水性抽出物を固体K2CO3で塩基性にし、酢酸エチ
ル(3×25ml)で抽出した。集め合わせた有機抽出物を塩水(30ml)で洗浄
し、乾燥(MgSO4)させた。蒸発乾固させて、HPLCにより純粋な生成物、
N'−t−ブトキシカルボニルトリプトファン−N−((メチル)アミノエチル)−
アミド920mg(85%)を白色泡状物として得た。
実施例30
式(EE)の化合物
塩化メチレン(75ml)および40%KOH(50ml)中、N'−t−ブトキ
シカルボニルトリプトファン−N−((メチル)アミノエチル)−アミド(2g、5
.55ミリモル)およびトランス−1,4−ジクロロブト−2−エン(8.32ミ
リモル、1.04g、0.88ml)を激しく撹拌した溶液に、0.3当量のベンジル
トリエチルアンモニウムクロリド(1.66ミリモル、378mg)を加えた。室
温で一晩撹拌後、黄色がかった有機層を分離し、水層を更にCH2Cl230mlで
抽出した。集め合わせた塩化メチレン抽出物を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)
した。残渣をMeOH10mlに溶解し、0℃で撹拌しながら、エーテル50mlを
加えた。生じた黄色固体を濾去した。濾液を蒸発乾固させ、HPLCにより純粋
な生成物、11−N'−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−10−オキソ−1,6
,9−トリアザ−6−メチルトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),
13(20),14(19),15,17−ペンタエン、MS:413(M+H)+、1.
12gを淡黄色粉末として得た。
実施例31
式(FF)の化合物
11−N'−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−10−オキソ−1,6,9−ト
リアザ−6−メチルトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),13(2
0),14(19),15,17−ペンタエン(414mg、1ミリモル)を、CH2Cl2
中40%TFA(10ml)中で、室温で1時間撹拌した。過剰のTFAおよび
溶媒を減圧下で除去した。残渣を塩化メチレン(30ml)に溶解し、5%K2C
O3溶液(2×15ml)および塩水(15ml)で洗浄した。有機層を乾燥(MgS
O4)させ、蒸発濃縮して、淡黄色泡状物、11−アミノ−10−オキソ−1,6
,9−トリアザ−6−メチルトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),
13(20),14(19),15,17−ペンタエン、MS:313(M+H)+、24
0mg(76%)を得た。
実施例32
式(Ik)の化合物
11−アミノ−10−オキソ−1,6,9−トリアザ−6−メチルトリシクロ[
11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),13(20),14(19),15,17−ペ
ンタエン(161mg、0.7ミリモル)および(2R)−4−メチル−2−t−ブ
トキシカルボニルメチルペンタン酸(220mg、0.7ミリモル)を乾燥DMF
(15ml)中で、HOBt(0.7ミリモル)、EDCI(1.4ミリモル、26
8mg)およびN−メチルモルホリン(1.4ミリモル、0.15ml)の存在下、ア
ルゴン下、室温で一晩撹拌した。過剰のDMFを減圧下で除去した。残渣を塩化
メチレン(30ml)に溶解し、水(30ml)で洗浄した。水洗液をCH2Cl2(
30ml)で抽出した。集め合わせたメチレン抽出物を乾燥(MgSO4)し、蒸発
濃縮して、明茶色油状物を得た。明茶色油状物を逆相HPLC(C18カラム;C
H3CN−50MM NH4OH2勾配)で精製した。所望の画分を凍結乾燥して
、(3R,11S)−5−メチル−3−(10−オキソ−1,6,9−トリアザ−6−
メチルトリ
シクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),13(20),14(19),15,1
7−ペンタエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエステル、M
S:525.2(M+H)+、148mg(40%)を淡黄色粉末として得た。
実施例33
式(II)の化合物
(3R,11S)−5−メチル−3−(10−オキソ−1,6,9−トリアザ−6−
メチルトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),13(20),14(1
9),15,17−ペンタエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸t−ブチルエ
ステル(0.228ミリモル、120mg)を、CH2Cl2中20%TFA(5ml)
中、室温で1時間撹拌した。過剰の溶媒を減圧下で除去(30℃でロータリー・
エバポレーター)し、粗製の酸、(3R,11S)−5−メチル-3−(10−オキ
ソ−1,6,9−トリアザ−6−メチルトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ
−3(4),13(20),14(19),15,17−ペンタエン−11−イルカルバモ
イル)ヘキサン酸を明茶色油状物として得た。逆相HPLCにより精製し、CH3
CN−NH4OAc緩衝液を用いて勾配条件下で溶出して、淡黄色粉末として酸、
MS:469.1(M+H)+、90mg(75%)を得た。
実施例34
式(Im)の化合物
(3R,11S)−5−メチル−3−(10−オキソ−1,6,9−トリアザ−6−
メチルトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),13(20),14(1
9),15,17−ペンタエン−11−イルカルバモイル)ヘキサン酸およびO−ベ
ンジルヒドロキシルアミン(5当量、2.5ミリモル、308mg)を乾燥DMF
(30ml)中で、HOBt(2当量、1ミリモル、135mg)、EDCI(5当
量、2.5ミリモル、479mg)、およびN−メチルモルホリン(10当量、5
ミリモル、0.55ml)の存在下、アルゴン下室温で15時間撹拌した。溶媒を
高真空下室温で除去した。残渣を蒸留水(35ml)に溶解し、石油エーテル中1
0%酢酸エチルで抽出して、極性の低い方の不純物を除去した。次いで、所望の
生成物を水層からCH2Cl2(2×35ml)を用いて抽出した。有機抽出物を塩
水(25ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発濃縮して、黄色油状物(33
0mg)を得た。粗生成物を逆相HPLC(CH3CN−NH4OAc緩衝液;勾配
)で精製し、凍結乾燥して、(3R,11S)−N−ベンジルオキシ−5−メチル
+3−(10−オキソ−1,6,9−トリアザ−6−メチルトリシクロ[11.6.1
.014,19]エイコサ−3(4),13(20),14(19),15,17−ペンタエン−
11−イルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:572(M−H)-、175mg(
61%)をオフホワイト色粉末として得た。
実施例35
式(In)の化合物
(3R,11S)−N−ベンジルオキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1,
6,9−トリアザ−6−メチルトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4
),13(20),14(19),15,17−ペンタエン−11−イルカルバモイル)ヘ
キサンアミド(40mg、0.07ミリモル)および10%Pd−C(10mg)の混
合物を、エタノール中3%HCOOHの溶液(5ml)中、室温で1時間撹拌した
。混合物を円錐状のセライトを通して濾過し、真空で蒸発濃縮した。固体残渣を
50%AcOH/MeOH 1ml中で撹拌しながら、エーテル5mlを一部ずつ加え
た。次いで、オフホワイト色粉末を濾過して集め、(3R,11S)−N−ヒドロ
キシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1,6,9−トリアザ−6−メチルトリ
シクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−3(4),13(20),14(19),15,1
7−ペンタエン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミド、MS:488.5(
MH)+、26mg(68%)を得た。
実施例36
式(JJ)の化合物類
A.乾燥DMF(30ml)中、(±)−2−ヒドロキシブタン酸ナトリウム塩(
2.54g、20.1ミリモル)の溶液に、ベンジルブロミド(2.9ml、1.2当
量)および無水KI(330mg、0.1当量)を加えた。懸濁液を100℃で2
4時間加熱し、DMFを減圧下で留去した。残渣をエーテルに取り、水および飽
和Na2S2O3で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、濃縮した。残った油状物を蒸留
して、
ベンジル(±)−2−ヒドロキシブタノエート、沸点95℃(0.45トル)、3.
7g(95%)を無色油状物として得た。
B.別法として、THF(50ml)中、NaH(鉱物油中60重量%分散して
いるものを3.8g、95.0ミリモル)の冷(0℃)懸濁液に、カニューレを介
して、グリコール酸(7.2g、95ミリモル)のTHF(50ml)溶液を滴下し
て加えた。得られた溶液を25℃まで暖め、真空で濃縮した。生じた塩をDMF
(100ml)に懸濁し、KI(1.57g、0.1当量)およびベンジルブロミド
(12.3ml、1.1当量)で処理した。混合物を、アルゴン下100℃で23時
間加熱し、DMFを蒸発させた。残渣をエーテルに溶解し、水、飽和Na2S2O3
、および塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。蒸留して、グルコール酸ベンジ
ル(8.5g、54%)、沸点85−87℃(0.5トル)を無色油状物として得
た。
実施例37
式(LL)の化合物類
A.CH2Cl2(50ml)中、ベンジル(±)−2−ヒドロキシブタノエート(
1.75g、9.01ミリモル)の冷(0℃)溶液に、2,6−ルチジン(1.2ml
、1.1当量)、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.7ml、1.
1当量)を滴下して加えた。10分後、CH2Cl2(30ml)中、L−ロイシン
t−ブチルエステル(1.7g、1当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1
.7ml、1.1当量)の溶液を0℃で滴下して加えた。この溶液を25℃まで36
時間暖め、CH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3(50ml)で洗浄した。乾燥(
Na2SO4)および真空で濃縮後、残った油状物をフラッシュクロマトグラフィ
ー(シリカ、5%酢酸エチル/ヘキサン)にかけて、ジアステレオマーを分離し
た。極性の低い方のジアステレオマー、(1R)−N−(2−ベンジルオキシカル
ボニル)プロピル−L−ロイシンt−ブチルエステル(Rf 0.22、5%酢酸エ
チル/ヘキサン)と極性の高い方のジアステレオマー、(1S)−N−(2−ベン
ジルオキシカルボニル)プロピル−L−ロイシンt−ブチルエステル(Rf 0.1
3)を、更に個別にHPLC(5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、極性の
高い方のジアステレオマー1.1gおよび極性の低い方のジアステレオマー0.7
8g、
MS(FAB):364(MH+)を得た。
B.同様の方法で、グリコール酸ベンジル(379mg、2.7ミリモル)、L
−ロイシンt−ブチルエステル(435mg、2.7ミリモル)、2,6−ルチジン
(0.35ml、2.8ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン(0.53ml、0.
28ミリモル)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.51ml、2.8
ミリモル)から、N−ベンジルオキシカルボニルメチル−L−ロイシンt−ブチ
ルエステル383mg(50%)、MS(FAB):336(MH+)を無色油状物
として得た。
実施例38
式(Io)の化合物類
A.CH2Cl2(3ml)中、(1S)−N−(2−ベンジルオキシカルボニル)プ
ロピル−L−ロイシンt−ブチルエステル(143mg、0.393ミリモル)の
溶液に、0℃でTFA(0.5ml)を加えた。溶液を25℃で4時間撹拌し、次
いで、真空で濃縮して、(1S)−N−(2−ベンジルオキシカルボニル)プロピル
−L−ロイシンの塩(式(MM)の化合物)を得、次いで、これを(10S)−10
−アミノ−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデ
カ−12(19),13(18),14,16−テトラエン(124mg、1.1当量)
およびHOBT(80mg、1.5当量)と共にDMF(3ml)に溶解した。0℃
まで冷却後、N−メチルモルホリン(60ml、1.5当量)およびEDCI(1
13mg、1.5当量)を加えた。25℃で18時間後、反応混合物を酢酸エチル
10mlで希釈し、飽和NaHCO3(3×10ml)および水(2×10ml)で洗浄
し、乾燥(Na2SO4)させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー
(シリカ、1%MeOH/CH2Cl2)にかけ、Rf0.5(5%MeOH/CH2
Cl2)の画分を集めた。逆相HPLCにより、(2R,1'S,10S)−2−[N−
(1−ベンジルオキシカルボニル)−プロピルアミノ]−4−メチル−N−(9−オ
キソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),1
3(18),14,16−テトラエン−10−イル)ペンタンアミド(46mg)、M
S(FAB):575(MH+)を得た。
B.同様の方法で、ただし、(1R)−N−(2−ベンジルオキシカルボニル)プ
ロピル−L−ロイシンt−ブチルエステル(270mg)の代わりに、(1S)−N
−(2−ベンジルオキシカルボニル)プロピル−L−ロイシンt−ブチルエステル
を用いて、(2R,1'R,10S)−2−[N−(1−ベンジルオキシカルボニル)−
プロピルアミノ]−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[1
0.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−
10−イル)ペンタンアミド(175mg)、MS(FAB):575(MH+)を得
た。
実施例39
式(Ip)の化合物類
A.THF/MeOH(1:1、2ml)中、(2R,1'S,10S)−2−[N−(
1−ベンジルオキシカルボニル)−プロピルアミノ]−4−メチル−N−(9−オ
キソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),1
3(18),14,16−テトラエン−10−イル)ペンタンアミド(46mg)の溶
液に、アルゴン下、1M水酸化バリウム(0.3ml)を加えた。25℃で24時
間後、CO2を溶液に通し、生じた炭酸バリウムの沈殿を濾去した。溶媒を減圧
下で除去し、水性残渣を1M HClを用いてpH5.5に調整した。水を除去し
、逆相HPLCにより、(2R,1'S,10S)−2−[N'−(1−カルボキシ)プ
ロピルアミノ]−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10
.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−1
0−イル)ペンタンアミド、MS(FAB):483(M−H)-(化合物5)を白
色固体として得た。
同様の方法で、
(2RS,10S)−2−[カルボキシメチルアミノ]−2−シクロヘキシル−N
−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12
(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イル)アセトアミド、497
(M+H)+、
(2RS,10S)−2−[カルボキシメチルアミノ]−3−メチル−N−(9−オ
キソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),1
3(18),14,16−テトラエン−10−イル)ペンタンアミド、471(M+H
)+、
(2RS,10S)−2−[ホスホニルメチルアミノ]−4−メチル−N−(9−オ
キソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),1
3(18),14,16−テトラエン−10−イル)ペンタンアミド、
を調製した。
B.同様の方法で、(2R,1'R,10S)−2−[N'−(1−ベンジルオキシカ
ルボニル)プロピルアミノ]−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジアザトリ
シクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テ
トラエン−10−イル)ペンタンアミドから、(2R,1'S,10S)−2−[N'−
(1−カルボキシ)プロピルアミノ]−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジ
アザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,
16−テトラエン−10−イル)ペンタンアミド(16mg)、MS(FAB):
483(M−H)-を得た。
C.上記(Io)の化合物の製造のように処理して、N−[(ベンジルオキシカ
ルボニル)メチル]−L−ロイシンt−ブチルエステル(156mg,0.465ミ
リモル)、HOBT(94mg、1.5当量)、EDCI(134mg、1.5当量)
、N−メチル−モルホリン(77μl)、および(10S)−10−アミノ−(9−
オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),
13(18),14,16−テトラエン(133mg、1当量)から、フラッシュクロ
マトグラフィー(3%MeOH/CH2Cl2)後、粗製ベンジルエステルを得た。
粗製ベンジルエステルをTHF/MeOH(1:1、6ml)に溶解し、1M 水酸
化バリウム(0.9ml)で一晩加水分解した。二酸化炭素をこの溶液に通し、生
じた沈殿を濾去した。濾液を濃縮し、水性残渣を1M HClを用いてpH5.5
に調整した。逆相HPLCにより、(2R,10S)−N'−(カルボキシメチル)ア
ミノ−4−メチル−N−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18
]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イル)
ペ
ンタンアミド(17mg)、MS(FAB):457(MH)+を白色固体として得
た。
実施例40
式(6)の化合物類
4−メチル−2−メチレンペンタン酸
A.そのままのイソブチルマロン酸エチル(25g、0.13モル)に、0℃で
氷冷ジエチルアミン(15.1ml、0.15モル)をゆっくりと加えた。15分間
撹拌後、ホルマリン(11.1ml、37%水性ホルムアルデヒド)を滴下して加
えた。混合物を25℃で3日間撹拌させた。次いで、反応混合物を水40ml中K2
CO320gの溶液で処理し、エーテル(2×100ml)で抽出した。エーテル
抽出物を集め合わせ、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下20℃で濃縮
した。
若干のエーテルを含有する粗生成物、4−メチル−2−メチレンペンタン酸エ
チルを無水エタノール(250ml)に溶解し、アセトニトリル(250ml)、1
M LiOH(水250ml中9.7g、0.23モル)で処理した。一晩撹拌後、有
機溶媒を減圧下で蒸発させ、水性残渣を酢酸エチル(2×150ml)で抽出した
。集め合わせた抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して
、4−メチル−2−メチレンペンタン酸10.5gを無色油状物として得た。
B.同様の方法で、下記式(Gd)の化合物類を調製した:
4−フェニル−2−メチレンブタン酸;
3−シクロヘキシル−2−メチレンプロパン酸;
5−フェニル-2−メチレンペンタン酸;
2−メチレンペンタン酸;および、
3,3−ジメチル−2−メチレンブタン酸。
実施例41
式(Id)の化合物
(逆のヒドロキサメート)
A.4−メチル−2−メチレンペンタン酸(3.5g)およびO−ベンジルヒド
ロキシルアミンの溶液を120℃で8時間加熱した。次いで、反応混合物を1.
0N NaOH 50mlおよびジエチルエーテル50mlの間に分配した。水性部を
分離し、10%HClを用いてpH3まで酸性化し、エーテル50mlで洗浄した
。20%ピリジン/水で溶出するイオン交換クロマトグラフィー(ダウエックス
−50W)により、2−(ベンジルオキシアミノメチル)−4−メチルペンタン酸
を得た。
1H NMR、300MHz、溶媒CDCl3:δ0.9−1.0(dd,6H,C
H3);1.25−1.35(m,1H,CH);1.6−1.75(m,2H,C
H2);2.8−2.9(m,1H,Ca−H);3.0−3.2(ABq,2H,C
H2N);4.7−4.75(ABq,2H,CH2O);7.3−7.4(m,5H
,Ph)。
B.2−(ベンジルオキシアミノメチル)−4−メチルペンタン酸のホルミル化
を、ジクロロメタン中、ギ酸/無水酢酸を用いて行い、N−ホルミル−2−(ベ
ンジルオキシアミノメチル)−4−メチルペンタン酸を得た。
式(J)の化合物との結合:5%ピリジン/ジクロロメタン(30ml)中、N−
ホルミル−2−(ベンジルオキシアミノメチル)−4−メチルペンタン酸(175
mg)と(J)(230mg)に、4−ジメチルアミノピリジン(DMPA)(200m
g)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
(EDCI)を室温で加えた。反応混合物を8時間撹拌し、次いで、濃縮し、酢
酸エチル30mlおよび20%HCl30mlの間に分配した。有機部を水(20ml
)、5%NaHCO3(20ml)および塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮
した。シリカゲルで精製し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、2つの異
性体の混合物として生成物を得た。メタノール中、10%Pd/Cによる水素化
分解により、2−[N−ホルミル、N−ヒドロキシアミノメチル]−4−メチル−
(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12
(19),13(18),14,16−テトラエン−10−イル]ペンタミド、MS:4
55(M−H)+(化合物6)を2つの異性体の混合物として得た。
同様の方法で、
(2RS,10S)−2−[イソプロポキシカルボニルメチル]−4−メチル−(9
−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19
),13(18),14,16−テトラエン−10−イル]ペンタミド、MS:455(
M+H)+、
(2RS,10S)−2−[モルホリノカルベトキシメチル]−4−メチル−(9−
オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),
13(18),14,16−テトラエン−10−イル]ペンタミド、MS:555(M
+H)+、
を調製した。
実施例42
この実施例は、式(I)の化合物、またはそれらの医薬的に許容され得る塩、
例えば、(3R,10S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,
8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]−ノナデカ−12(19),13(18
),14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミドを含有する
経口投与用の代表的な医薬組成物の製造を例示説明するものである:
A. 成 分 %重量/重量
式(I)の化合物 20.0%
ラクトース 79.5%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
上記成分を混合し、それぞれ100mgづつ硬殻ゼラチンカプセルに分注し、カ
プセル1つが総毎日投与量にほぼ相当する。
B. 成 分 %重量/重量
式(I)の化合物 20.0%
ステアリン酸マグネシウム 0.9%
澱粉 8.6%
ラクトース 79.6%
PVP(ポリビニルピロリドン) 0.9%
ステアリン酸マグネシウムを除く上記成分を合わせて、粒状化液として水を用
いて、粒状化する。次いで、製剤を乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと混合し
、適切な錠剤形成機器を用いて錠剤を形成する。
C. 成 分
式(I)の化合物 0.1g
プロピレングリコール 20.0g
ポリエチレングリコール400 20.0g
ポリソルベート80 1.0g
水 十分量加えて100mlとする
式(I)の化合物をプロピレングリコール、ポリエチレングルコール400、お
よびポリソルベート80に溶解する。次いで、撹拌しながら、十分量の水を加えて
、溶液100mlとし、これを濾過し、瓶に密閉する。
D. 成 分 %重量/重量
式(I)の化合物 20.0%
ピーナッツ油 78.0%
スパン60 2.0%
上記成分を融解し、混合し、軟質弾性カプセルに充填する。
実施例43
この実施例は、式(I)の化合物、またはそれらの医薬的に許容され得る塩、
例えば、(3R,10S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1
,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19)
,15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミドを含有する
非経口投与用の代表的な医薬製剤の製造を例示説明するものである。
成 分
式(I)の化合物 0.02g
プロピレングリコール 20.0g
ポリエチレングリコール400 20.0g
ポリソルベート80 1.0g
0.9%塩水溶液 十分量加えて100mlとする
式(I)の化合物をプロピレングリコール、ポリエチレングルコール400、お
よびポリソルベート80に溶解する。次いで、撹拌しながら、十分量の0.9%溶
液を加えて、静脈内用溶液100mlとし、これを0.2μ膜フィルターを通して
濾過し、無菌条件下でパッケージする。
実施例44
この実施例は、式(I)の化合物、またはそれらの医薬的に許容され得る塩、
例えば、(10S)−2−メルカプトメチル−4−メチル−N−(9−オキソ−1,
8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),
14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ペンタンアミドを含有する坐
剤形態の代表的な医薬組成物の製造を例示説明するものである。
成 分 %重量/重量
式(I)の化合物 1.0%
ポリエチレングリコール1000 74.5%
ポリエチレングリコール4000 24.5%
この成分を共に融解し、蒸気浴上で混合し、総重量2.5gとなるように型に注
ぎ込む。
実施例45
この実施例は、式(I)の化合物、またはそれらの医薬的に許容され得る塩、
例えば、(10S)−4−メチル−2−(9−オキソ−1,8−ジアザトリシクロ[
10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),14,16−テトラエン
−10−イルカルバモイル)ペンチル−(キノリン−2−イルチオメチル)ホスフ
ィン酸を含有する吸入剤形態の代表的な医薬製剤の製造を例示説明するものであ
る。
成 分 %重量/重量
微細化した式(I)の化合物 1.0%
微細化したラクトース 99.0%
この成分を粉砕し、混合して、投薬ポンプを備えた吸入器内にパッケージする
。
実施例46
この実施例は、式(I)の化合物、またはそれらの医薬的に許容され得る塩、
例えば、(3R,10S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(9−オキソ−1,
8−ジアザトリシクロ[10.6.1.013,18]ノナデカ−12(19),13(18),
14,16−テトラエン−10−イルカルバモイル)ヘキサンアミドを含有する噴
霧形態の代表的な医薬製剤の製造を例示説明するものである。
成 分 %重量/重量
式(I)の化合物 0.005%
水 89.995%
エタノール 10.000%
式(I)の化合物をエタノールに溶解し、水と混和する。次いで、この製剤を
投薬ポンプを備えた噴霧器にパッケージする。
実施例47
この実施例は、式(I)の化合物、またはそれらの医薬的に許容され得る塩、
例えば、(3R,11S)−N−ヒドロキシ−5−メチル−3−(10−オキソ−1
,9−ジアザトリシクロ[11.6.1.014,19]エイコサ−13(20),14(19)
,15,17−テトラエン−11−イルカルバモイル)ヘキサンアミドを含有する
エアロゾル形態の代表的な医薬製剤の製造を例示説明するものである。
成 分 %重量/重量
式(I)の化合物 0.10%
スプレー用高圧ガス 98.90%
オレイン酸 1.00%
式(I)の化合物をオレイン酸およびスプレー用高圧ガスに分散させる。次い
で、生じた混合物を、計量バルブの付いたエアロゾル容器に注ぎ込む。
実施例48
インビトロアッセイ
繊維芽細胞I型コラゲナーゼは、ヘパリンおよび亜鉛キレートセファロースカ
ラム、次いでFPLC(MONO Sカラム)により、PMAで刺激したGM001
0A細胞の血清のない培地から精製した。酵素は、トリプシンと共にインキュベ
ーションすることにより、活性化した。
IV型コラゲナーゼは、亜鉛キレートおよびゼラチンセファロースカラム、次い
でFPLC(MONO Sカラム)により、繊維芽(GM0010A)細胞の血清含
有培地から精製した。酵素は、SDS−PAGEにより均質であることが示され
た。酵素をAPMA1ミリモルと共に35−37℃で1時間インキュベーション
することにより、活性化した。
式(I)の化合物をDMSOに溶解し、TC緩衝液(20mMトリス、5mMC
aCl2、pH7.5)1ml中、I型コラゲナーゼ0.2μg、またはIV型コラゲナー
ゼ0.03μgを含有するキュベットに加えた(2%DMSO最終濃度)。式(I
)の化合物の濃度は、活性が20%変化する毎に少なくとも1つのデータポイン
トがあるように選択した。酵素および化合物を予め37℃で3分間インキュベー
トさせた。反応を開始するために、N−(7−ジメチルアミノ−4−メチル)クマ
リニル(“DACM”)(シグマ)およびチオペプチド(Ac-Pro-Leu-Gly-S-“Leu
”-Leu-Gly-OEt、ベイケム・バイオサイエンス社)を各20uMに加えた。蛍光
は、それぞれ395および485nmの励起および放射波長で記録した。各データ
ポイントは、全く同様の二つの実験の平均である。化合物濃度対1分当たりの蛍
光変化として表現されるデータポイントの少なくとも6つは、プログラムに適し
たIC50、エンズフィッター(Enzfitter)を用いて分析した。
式(I)の化合物は、このアッセイで試験した場合、コラゲナーゼ阻害能力を
示した。
実施例49
インビトロアッセイ
このアッセイは、式(I)の化合物が、軟骨外植体からの35S−標識化グリコ
サミノグリカン(GAG's)の放出を阻害するかどうかを測定するものである。
小さい軟骨外植体(3mm直径)を新たに屠殺したウシのヒザ関節から用意し、
これを35SO4で標識する。35S−標識化グリコサミノグリカン(GAG's)は
、rhIL−1−αの添加に対する応答時に培地中に放出されるものであり、これ
は、ストロメリシンやコラゲナーゼを含む、軟骨細胞マトリックスメタロプロテ
アーゼ(MMP's)の発現を誘導する。標識化GAG'sの阻害パーセントは、rh
IL−1−αを添加しない場合の自発的放出に対して補正した。各グループの結
果は、5つの外植体に対する平均±標準誤差平均(S.E.M)を表す。
このアッセイで試験した場合、式(I)の化合物類は、軟骨外植体からの35S
−標識化GAG'sの放出を阻害する能力を示した。
化合物2(実施例8) IC50=40μM
化合物4(実施例25) IC50=50μM
実施例50
インビトロアッセイ
インビトロの胎児ラット長骨モデルを用いて、式(I)の化合物類の抗骨吸収
作用を研究した。ウシPTHを用いてインビトロの骨吸収を誘導した。骨吸収作
用は、予め45Caで標識した胎児ラット長骨から培地中に放出された45Caの量に
より表した。ウシPTH誘導化骨吸収に対する式(I)の化合物の阻害効果は、
平均阻害パーセント±標準誤差平均(sem)として表した。
予め45Caで標識した胎児ラット長骨(前肢由来)を切開し、リンブロ皿(Lin
bro dishes)中、1mg/mlBSAを補足したBGJb培地で、37℃で一晩培養
した。各グループに5対の骨があった。式(I)の化合物を、まず、エタノール
に溶解し、次いで、様々な濃度に希釈して、1日目に同時にウシPTH(1−3
4)を1×10-8M加えた。化合物溶液中のエタノール濃度は、0.05%以下
であり、これは、アッセイを妨害しない濃度であった。3日目に培地を一度変え
、
6日目にアッセイを終えた。
各培地変えが終了したら、培地中に存在する45Caをカウントした。残った骨
を0.1N HClで消化し、骨消化物中に存在した45Caをカウントした。結果は
、各骨対から放出された総45Caの%として表す。1×10-8MでウシPTHは
、100%として設定した最大レベルまで骨吸収を誘導し、この濃度を標準とし
て使用した。培地のみが存在する場合の骨吸収のベースラインのレベルを0%と
して設定した。化合物処理した全てのグループを1×10-8MのウシPTH(1
−34)と比較した。化合物が50%まで骨吸収を阻害した濃度をIC50として
定義した。
式(Ia)の化合物類は、このアッセイにおいて、ウシPTH誘導化骨吸収を阻
害する能力を示した。
化合物3(実施例10) IC50=0.1μM
化合物4(実施例25) IC50=5μM
毒性
深刻な毒物学的作用は、上記アッセイでは観察されなかった。
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C
Z,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU,
LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ
,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ホーン、スティーブン
カナダ、エル7アール・2ティー2、オン
タリオ州バーリントン、ローン・ストリー
ト465番、アパートメント5
(72)発明者 ユアン、ゼンギョ
アメリカ合衆国94536カリフォルニア州フ
レモント、ビーチング・レーン35645番
(72)発明者 クランツ、アレキサンダー
カナダ、エム5エヌ・1エックス7、オン
タリオ州トロント、コールドストリーム・
アベニュー189番