JPH09500639A - ニッケルを含まないヘモグロビンおよびこのようなヘモグロビンを生産するための方法 - Google Patents

ニッケルを含まないヘモグロビンおよびこのようなヘモグロビンを生産するための方法

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JPH09500639A JP7505039A JP50503995A JPH09500639A JP H09500639 A JPH09500639 A JP H09500639A JP 7505039 A JP7505039 A JP 7505039A JP 50503995 A JP50503995 A JP 50503995A JP H09500639 A JPH09500639 A JP H09500639A
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Abstract

(57)【要約】 本発明により、ニッケル含有ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去が、ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレート剤、好ましくは、EDTAのような多座配位酢酸をベースにするキレート剤に曝すことにより成し遂げられる。本質的にニッケルを含まないヘモグロビンをニッケル含有ヘモグロビン溶液から、特に、大規模な発酵および/または精製から生じるヘモグロビン溶液から得ることを可能にする方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 ニッケルを含まないヘモグロビンおよびこのようなヘモグロビンを生産するため の方法 本発明は、本質的にニッケル汚染のないヘモグロビン溶液およびこのようなニ ッケルを含まないヘモグロビン溶液を得る方法に関する。 背景 微量のニッケルを含む大半の金属は、十分なヒトの健康に必要である。しかし 、過剰なこれらの金属は、有毒な影響を生じ得る。哺乳動物および特にヒトへの ニッケルの毒物学的な影響は、ドイツの鉱夫が高レベルの肺障害を有することに 注目された15世紀中頃以来、詳細に記録されてきた(Sunderman, (1989)Annals o f Clin. Lab. Science 19(1):1-16)。1844年に始まったT.P. Anderson Stuartの 組織的な研究は、ニッケルの毒性について行われ、そして現在では過剰なニッケ ルが、多くの哺乳動物の障害に対する主要な寄与因子として認識されている。例 えば、ニッケル中毒は、副腎皮質不全、異常なヒアリン膜形成、肺水腫および肺 出血、肝変性、脳うっ血および腎うっ血、気道癌、肺好酸球増加、喘息、一次剌 激性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎じんま疹、湿疹、アレルギー反応、骨髄炎、骨 壊死などを伴う肺炎に関係していた(Sunderman, (1989)Annals of Clin. Lab. S cience 19(1):1-16; Louriaら、(1972)Annals of Internal Medicine 76:307-31 9)。さらに、ニッケルは、心筋梗塞の間、血管収縮を増加させる(Rubanviら、(1 981)J. Mol. Cellular Cardiology 13:1023-1026; Rubanyiら、(1981)Ann. Clin . Lab. Sci. 11(1):93)と、そして平滑筋の収縮を刺激する(RubanviおよびBalog n, (1982)Am J. Sbsetet. Gynecol. 142:1016-1020)と仮定されてきた。アスベ ストの成分であるニッケルは、アスベスト中の腫瘍を誘発する成分として示唆さ れている(Louriaら、(1972)Annals of Internal Medicine 76:307-319; Grossら 、(1967)Environ. Health 15:343-355)。多くの発明者がニッケルの毒物学的な 影響を研究してきた。これには以下のものが含まれる。 ニッケル中毒は、針のような金属物体に含まれているニッケルとの直接接触か ら(Sunderman, (1983)Ann. Clin. Lab. Sci. 13(1):1-4)、または溶解したニッ ケルを含む溶液との接触により生じ得る(Fisher, (1978)Current Contact News 22(5):544-555)。ニッケル中毒が潜在的な危険となり得る溶液は、ほとんどの場 合大量の体液(すなわち、大量の腸管外液)である。このような溶液は、透析溶 液(Sunderman, (1983)Ann. Clin. Lab. Sci. 13(1):1-4)、ヒトアルブミン溶液 Marshallら((1993)Blood Substitutes and Oxygen Carriers, Chang編、Marce l Dekker, Inc., New York, pp.267-270)は、23種の微量金属のレベルを測定し て、ジアスピリン架橋ヘモグロビン溶液の微量元素分析を行った。彼らは、カル シウム、マグネシウム、亜鉛、および鉄だけが、検出に十分な高レベルで存在す る元素であり、一方、他の19種の金属は、検出され得ないと結論づけた(注、24 種の金属を測定したとされるが、結果は、23種についてのみが示されている)。 大量の体液中のニッケル汚染の源は、出発材料に存在する金属から、およびプ ロセス汚染から生じ得る(Marshallら、(1993)Blood Substrirutes and Oxygen C arriers , Chang編、Marcel Dekker, Inc., New York, pp.267-270)。ステンレス 鋼製の装置からの浸出が、このような装置と接触する溶液中のニッケル含有量を 増加させる証拠がある(Sunderman, (1983)Ann. Clin. Lab. Sci. 13(1):1-4)。 風媒され得るか、または出発材料の汚染を可能とする水源に存在し得るニッケル もある。例えば、アルブミンは、ニッケルに対して高い親和性を有し、そのため 、アルブミンを用いるいずれの材料も、いくらかのニッケルを含みそうである(S arkar, (1984)Nickel in The Human Environment, International Agency for R esearch on Cancer, Lyon, France)。 種々の溶液からニッケルを除去することを試みるのに有用な方法はあるが、特 定の溶液に関する特定の方法の成功は予測できない。例えば、種々のキレート樹 脂が、ニッケルを含む溶液から種々の金属を分離するために用いられているが、 多くの場合、このような分離は、溶液に存在し得るタンパク質(例えば、ヘモグ ロビン)を潜在的に損傷する非常に低いpHで有効である(FiguraおよびMcDuffie, (1977)Anal. Chem. 49:1950-1953; Darnallら、(1986)Envir. Sci. Tech. 20:20 6-208; Vernon, (1977)Chem. and Industry 15:634-637; MoyersおよびFritz, ( 1977)Anal. Chem. 49:418-423; Yipら、(1989)Anal. Biochem. 183:159-171;米 国特許第4,952,684号;実施例3を参照のこと)。 エチレンジニトリロ四酢酸(EDTA)は、キレート剤として用いられているが、本 発明までは、ニッケルを含むタンパク質溶液からニッケルを除去するために溶液 でのみ用いられていた。EDTAは、カルシウムを除去するために改変(derivatized )アガロースクロマトグラフィーでリガンドとして用いられ(SerdaおよびHenzei, (1991)J. Biol. Chem. 266:7291-7299)、そしてそれは、プローブをタンパク質 またはヌクレオチド系に導入するために親和性標識したキレート錯体の部分と して、およびタンパク質パルブアルブミンからカルシウムおよびランタニド(lan thide)イオンを除去するためにゲルとして用いられた(Hanerら、(1984)Archives Biochem. Biophys. 231:477-486; Hanerら、(1984)Anal. Biochem. 138:229-23 4)。EDTAはまた、カドミウム、銅、鉛、および亜鉛のCa-Chelexキレートカラム への結合を阻害することが観察されている(FiguraおよびMcDuffie, (1977)Anal. Chem. 49:1950-1953)。 EP-A1-0073888は、血液から重金属イオンを除去するプロセスおよび装置を開 示する。記載されたプロセスでは、全血のような生理学的液体は、限外濾過膜の 固定キレート剤とは反対側を流される。 発明の要旨 本発明は、ニッケルを含まないヘモグロビンの生産に関する。ニッケル含有ヘ モグロビン溶液からのニッケルの除去は、ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレ ート剤、好ましくは多座配位酢酸をベースとするキレート化剤、さらに好ましく は、エチレンジニトリロ四酢酸(EDTA)、[[(カルボキメチル)イミノ]-ビス(エチ レンジニトリロ)]四酢酸(DPTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、エチ レングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル-N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、最も 好ましくはEDTAに曝すことにより成し遂げられる。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレート剤に曝す好ましい方法は、少なくと も8ターンオーバー容量(turnover volume)(TOV)、さらに好ましくは少なくとも 5ターンオーバー容量のキレート剤溶液でのダイアフィルトレーションによる。 好ましくは、キレート剤溶液は、少なくとも1mM、さらに好ましくは約1から約1 0mMのキレート剤である。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレート剤に曝す別の好ましい方法は、ク ロマトグラフィーカラムの流出液(すなわち、溶出液)または溶離剤、好ましくは 流出液への濃縮EDTA(例えば、500mM)の滴定により、所望の最終EDTA濃度(例えば 、1から10mM)を達成する。 本発明の好ましい実施態様では、少なくとも80%、好ましくは90%、さらに好 ましくは95%のニッケルをニッケル含有ヘモグロビン溶液から取り除くのに十分 な時間、ニッケル含有ヘモグロビン溶液のキレート剤への曝露を行う。 本発明の別の好ましい実施態様では、キレート剤の除去は、処方物緩衝液、さ らに好ましくは、キレート剤を含まないキレート剤溶液である処方物緩衝液での ダイアフィルトレーションによる。 本発明の他の好ましい実施態様では、ニッケル含有ヘモグロビン溶液は、大規 模な発酵プロセスおよび/または精製プロセス、さらに好ましくは、組換えヘモ グロビンおよび変異ヘモグロビンからなる群から選択されるヘモグロビンより得 られる。 本発明の非常に好ましい実施態様では、本質的にニッケルを含まないヘモグロ ビンを得るための方法は、処方物緩衝液中少なくとも10mMのEDTAの少なくとも10 ターンオーバー容量を用いて、ニッケル含有ヘモグロビン溶液中の少なくとも90 %のニッケルをキレート化し得る十分な時間、ニッケル含有ヘモグロビンをダイ アフィルトレーションすることによるニッケル含有ヘモグロビン溶液からのニッ ケルの除去、そして続いての処方物緩衝液でのダイアフィルトレーションによる キレート剤の除去を包含する。 本発明はまた、本発明の方法により得た本質的にニッケルを含まないヘモグロ ビンおよびこのような本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを含有する薬剤 組成物を企図する。 本発明はまた、ニッケル含有ヘモグロビンの投与に関係する、哺乳動物におけ るニッケル毒性の症状を予防する方法であって、本発明による本質的にニッケル を含まないヘモグロビンを含有する薬剤組成物をこの哺乳動物に投与することを 包含する方法を企図する。 図面の説明 図1(限外濾過を用いたニッケル除去[ラン1])は、ラン1の濃縮水(■)および 透過水(●)の[Ni2+]を示す。濃縮水[Ni2+]および透過水[Ni2+]は、ランの間じゅ うほぼ等しかった。ニッケルは、10TOVにより検出不可能なレベル(すなわち、≦ 1μg/L)まで減少した。最終濃縮物は、41.6gm/Lヘモグロビン溶液中に21μg/L( ppb)を含むことがわかった。[Ni2+]/Hb比は、0.5μg/mgであった。 図2(限外濾過を用いたニッケル除去[10/10戦略])は、ラン1(■)、ラン2( ●)、ラン4(▲)、およびラン5(─)についての[Ni2+]の比較を示す。プロフィ ールは、濃縮水流中の[Ni2+]である。ヘモグロビンの濃度([Hb])は、22g/L(ラン 1)、32g/L(ラン2)、22g/L(ラン4)、および13g/L(ラン5)であった。異なる[H b]は、濃縮水流からNi2+を除去するためのEDTAの効果に影響しなかった。 図3(限外濾過を用いたニッケル除去[EDTA比較])は、ダイアフィルトレーショ ンの間、ヘモグロビン溶液からNi2+を除去する効果に対する交換緩衝液EDTA濃度 の影響を示す。ラン3(●)およびラン4(▲)は、それぞれ5mMおよび10mMの[EDTA ]で流したが、ラン3a(■)は、EDTA非存在で流した。 図4(限外濾過を用いたニッケル除去)は、Ni2+を除去するためにEDTAを用いる 4つの異なる戦略を示す。4つの戦略は、(■)10TOVのEDTA緩衝液、続いて処方 物緩衝液(ラン5)を用いる方法(1)として実施例4に記載の方法;(●)ラン7に おいて、実施例2由来の材料をダイアフィルトレーション作動容量(diafiltrati on operating volume)まで濃縮し、次いで、EDTAを添加して、10mM EDTA濃度と した(10mM EDTAスパイク)。次いで、溶液を10TOVの処方物緩衝液に対してダイア フィルトレーションした。[Ni2+]を0ターンオーバー容量(TOV)で測定しなかっ た。最終[Ni2+]は約22μg/Lであり、Ni2+/Hbは約1.3μg/gmであった;(▲)ラン 8において、10TOVで添加された[EDTA]スパイクの目標が50mMであることを除い て(2)と同じ手順を用いた。[Ni2+]プロフィールは、EDTAの添加による[Ni2+]の 顕著な増加を除いて(2)の[Ni2+]プロフィールと同様であった;および(─)ラン1 0において、10mMの[EDTA]を目標とするEDTAの添加は、実施例2からの希釈溶液 に対してなされた。次いで、溶液をダイアフィルトレーション作動容量まで濃縮 し、続いて、10TOVの処方物緩衝液に対してダイアフィルトレーションした。限 外濾過系を、処方物および10mM EDTAで予めリンスした後、系にHbを曝した。こ れは、容易に接近可能ないずれのNi2+も限外濾過系から除くために行った。最終 [Ni2+]は、約21μg/Lであり、Ni2+/Hbは、約0.8μg/gmであった。 図5(限外濾過を用いたニッケル除去[EDTAスパイク比較])は、TOV数に対する パーセント総Ni2+としてラン7(■)(10mM EDTAスパイク)およびラン8(●)(50mM EDTAスパイク)のプロットを示し、そして[EDTA]が臨界閾値濃度を越えている限 り、[EDTA]がNi2+除去の速度に影響しないことを示す。 図6(U/F系のEDTA洗浄)は、1時間処方物緩衝液で限外濾過し、続いて処方物お よび10mM EDTA溶液で1時間リンスし、次いで、50mMの[EDTA]を得るためにEDTAを 添加し、そして系から排水して、10分間処方物緩衝液を添加し、続いて、処方物 緩衝液および10mM EDTAで1時間限外濾過する場合の[Ni2+](■)および[EDTA](.. ..)のプロットを示す。 発明の詳細な説明 本発明は、ニッケルを含まないヘモグロビンの生産に関する。ニッケル含有ヘ モグロビン溶液からのニッケルの除去は、ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレ ート剤、好ましくは多座配位酢酸をベースとするキレート化剤に、かなりのニッ ケルがキレート化し得る十分な時間曝し、続いて、キレート剤を除去することに より成し遂げられる。通常、必要ではないが、ニッケル含有ヘモグロビン溶液は 、ニッケルの除去の前に、最初に精製され、非ヘモグロビンタンパク質ならびに 他の細胞性および血清混入物を除去される。 本発明の方法の利用は、ニッケル含有ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去 を可能にする。この方法は、いかなるニッケル含有ヘモグロビン溶液からもニッ ケルを除去するのに有用である。ニッケル含有ヘモグロビン溶液とは、[Ni2+]≧ 40μg/LまたはNi2+/Hb≧0.4μg/gmであるヘモグロビン溶液である。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液は、その生産(例えば、発酵)または精製プロセ スの任意の部分の間、特に、ステンレス鋼のコンポーネントが用いられている、 ヘモグロビンの大規模発酵および/または精製の間、ステンレス鋼または他のニ ッケル含有金属合金に曝されているヘモグロビン溶液にしばしば見られ得る。ヘ モグロビンの大規模な発酵および/または精製とは、大量の溶液を利用するか、 またはステンレス鋼のコンポーネントがプロセスの間、ヘモグロビン溶液と接触 するような発酵/精製プロセスにおける任意のポイントでステンレス鋼のコンポ ーネントを利用する任意の発酵および/または精製プロセスである。代表的には 、大規模発酵および/または精製とは、発酵または精製が、少なくとも5リット ル、好ましくは少なくとも15リットル、さらに好ましくは少なくとも500リット ル、 最も好ましくは少なくとも1000リットルの細胞培養物ヘモグロビン溶液の取り扱 いを包含する場合に起こる。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液のニッケルの他の供給源は、微量のニッケルを 含有する試薬および装置である。緩衝液、塩、酸、膜などのような試薬および装 置中のニッケル量は非常に低いが、大規模発酵および/または精製をする場合、 ニッケルは、いくつかのコンポーネントの付加から蓄積し、ニッケル含有ヘモグ ロビン溶液を生じ得る。さらに、大規模な発酵および/または精製の間、発酵溶 液中および/または精製溶液中の低い微々たるレベルのニッケルでさえも、発酵 および/または精製プロセスの後にニッケル含有ヘモグロビン溶液を生じ得る。 なぜならば、少量のニッケルでさえも、ニッケルに対して高い親和性を有するヘ モグロビンにより「引き寄せられる」または「捕足される」からである。この様 式で、ニッケルは、ヘモグロビンにより本質的に濃縮され、かなりのレベルまた は量のニッケルを生じることができる。従って、ニッケル含有ヘモグロビン溶液 が生じる。 ヘモグロビンの供給源 添付の請求の範囲のために、「ヘモグロビン」または「ヘモグロビン様タンパ ク質」は、(a)2つのαグロビン様ポリペプチドおよび2つのβグロビン様ポリ ペプチド、(b)1つのジαグロビン様ポリペプチドおよび2つのβグロビン様ポ リペプチド、(c)2つのαグロビン様ポリペプチドおよび1つのジβグロビン様 ポリペプチド、(d)1つのジαグロビン様ポリペプチドおよび1つのジβグロビ ン様ポリペプチド、(e)1つの融合α/βグロビン様ポリペプチドならびに別な αグロビン様ポリペプチドおよびβグロビン様ポリペプチド、または(f)2つの 融合α/βグロビン様ポリペプチドからなる1またはそれ以上のヘテロ四量体を 含む。ある四量体のポリペプチドは、別の四量体のポリペプチドに架橋され得る か、または遺伝子工学的に融合され得る。ヘモグロビンは、それが4つより多い グロビンサブユニットまたはドメインを含む場合には、多量体であると言われる 。従って、用語「多量体」は、8量体(octameric)のヘモグロビン(2つの結合し た四量体)およびより高次の多量体を含む。好ましくは、ヘモグロビンは、1ま た はそれ以上のヘム補欠分子族で酸素を結合する能力を有する。 ヒトαグロビン様ドメインまたはポリペプチドは、天然ヒトαグロビンである か、もしくは1またはそれ以上の置換、欠失、または挿入により天然の配列と異 なるその変異体であって、ヒトαグロビンとの実質的な相同性(以下に定義する ような)を残しており、そしてなおβグロビンと会合することができる変異体で ある。βグロビン様ドメインまたはポリペプチドは、同様に定義される。ヒトα またはβグロビンと十分に相同である動物ヘモグロビンもしくはそれらの変異体 のサブユニットは、用語「ヒトαまたはβグロビン様ドメインまたはポリペプチ ド」に含まれる。例えば、ウシヘモグロビンのサブユニットは、これらの用語の 範疇にある。αおよびβグロビン様ポリペプチドは、ひとまとめにして「グロビ ン」と呼び得る。便宜上、用語「ポリペプチド」は、単位鎖(unitary chain)、 またはより長いポリペプチド鎖のドメインを意味し得る。好ましくは、グロビン 様ドメインまたはポリペプチドは、ヘムを取り込む能力を有する。 「遺伝子的に融合したヘモグロビン」とは、少なくとも1つの「遺伝子的に融 合したグロビン様ポリペプチド」(グロビン偽オリゴマー(globin pseudooligome r))を含むヘモグロビン様タンパク質である。「遺伝子的に融合したグロビン様 ポリペプチド」は、同じであり得るかまたは異なり得る2またはそれ以上のグロ ビン様ドメインを含む。ジαグロビン様ポリペプチドとは、第1のαグロビン様 ポリペプチド(ドメイン)の正常なC末端と第2のαグロビン様ポリペプチド(ド メイン)の正常なN末端の間のペプチド結合により連結した2つのαグロビン様 ポリペプチド配列(ドメイン)から本質的になるポリペプチドである。これら2つ の配列は、直接的に連結、もしくは1またはそれ以上のアミノ酸のペプチドリン カーを介して連結され得る;用語「ペプチド結合」とは、両方の可能性を包含す ることを意図する。ペプチド結合以外(例えば、DIDS、ジイソソシアノスチルベ ン-2,2'-ジスルホネート(diisothocyanostilbene-2,2'-disulfonate)による; Ka vanaughら(1988)Biochemistry 27:1804-1808)によりN末端およびC末端で架橋 したαグロビン鎖は、ジαグロビンではない。ジαグロビン様ポリペプチドは、 機能的なヘモグロビン様タンパク質を形成するために、好ましくはβグロビンと 一緒に折り畳むこと、およびヘムを取り込むことが可能である。ジβグロビン様 ポリペプチドは、同様に定義される。コンポーネントドメインの1つだけに変異 を有するジαまたはジβグロビン様ポリペプチドは、「非対称」と称される。 αグロビン様配列がペプチド結合によりβグロビン様配列に連結している「α /β−グロビン様偽二量体」をも提供し得る。この「α/βグロビン様ポリペプ チド」ならびにジαおよびジβグロビン様ポリペプチドは、ひとまとめにして「 偽二量体グロビン様ポリペプチド」または「ジグロビン」という。敷衍により、 ジα、ジβ、またはα/βグロビン様ポリペプチドを含むヘモグロビン様タンパ ク質は、「偽四量体」である。 ポリペプチドが、α(またはβ)グロビンに実質的に相同であるかの決定にお いて、配列の類似性は、重要ではあるが排他的な規準でない。配列の類似性は、 代表的には、最も一致するようにするために、少数のギャップの導入を許す従来 のアルコリズムにより決定され得る。好ましくは、本発明のαグロビン様ポリペ プチド(またはそのドメイン)は、野生型ヒトαグロビンと少なくとも約75%の配 列同一性を有する。しかし、より小さな配列同一性を有するポリペプチドは、そ れが偶然から予期される配列同一性より大きな配列同一性を有し、そしてまたα グロビンの特徴的な高次構造および同様な生物学的活性を有する場合、αグロビ ンと「実質的に相同」と考えられ得る。比較により、たとえ、一次配列の類似性 が、たった27%であっても、アルテミアヘム結合ドメイン(Artemia's heme-bin ding domein)は、ミオグロビンと相同とみなされる。なぜなら、それらの保存さ れた残基および他のヘモグロビンで保存された残基の周辺のヘム結合ドメインの 並び(すなわち、ヘムの接触、つまり相互のヘリックスセグメントの関係を決定 するのに関与する)が、アルテミア(Artemia)ドメインは、対応するターン(turn) を有する古典的なグロビンヘリックスA〜H、および種々の保存グロビンファミ リー残基を有することを示唆したためである。また、セリンプロテアーゼインヒ ビターには、相同であると認識されるタンパク質のファミリーが存在し、その中 には30%程度の少ない配列相同性を有するメンバーのペアーが存在する。 ヒトヘモグロビンの100を十分に超える変異体が公知であり、それはα鎖およ びβ鎖の両方に影響すること、ならびに酸素結合およびヘモグロビンの他の特徴 に対するこれら多くの変異の影響が公知である。ヒトαおよびβグロビン自身は 、 84箇所で異なる。さらに、グロビン配列における異種間のバリエーションは、広 く研究された。Dickerson, Hemoglobin Structure, Function, Evolution and P athology ch.3(1983)は、1982年に60種の公知の脊椎動物αグロビンがそれらの1 41箇所の位置のうち23の位置で同一の残基を有し、一方、66種の脊椎動物βグロ ビンについては、146アミノ酸のうち20アミノ酸が、同一であると考えられるこ とを報告した。60種の脊椎動物ミオグロビン(これもグロビンファミリーに属す る)は、153の位置のうち27の不変アミノ酸を有する。哺乳動物のみを考慮する場 合、不変アミノ酸は、αグロビンについては50/141、βグロビンについては51/1 46、およびミオグロビンについては71/153である。不変位置は、分子の活性中心 の周辺に集中している:ヘムの開裂部およびサブユニット間の接触面。可変アミ ノ酸のうちいくつかは、考慮された種のうちのわずかな部分に関してのみ共通配 列と異なる。 ヒトαグロビンと選択した他の脊椎動物αグロビンの間の違いの総数は、以下 のとおりである:アカゲザル(4)、ウシ(17)、カモノハシ(39)、ニワトリ(35)、 ヒトζ(胎児の)(61)、コイ(71)、およびサメ(88)。無脊椎動物のグロビンについ て、相違は、ウミヤツメ(113)、軟体動物(124)、Glycera(海赤虫)(124)、および Chironomus(ユスリカ)(131)。βグロビンファミリーについて調べると、他の脊 椎動物βグロビンとヒトβグロビンの相違は、アカゲザル(8)、ヒトδグロビン (10)、ウシβグロビン(25)、ウシγグロビン(33)、ヒトγグロビン(39)、ヒトε (胎児の)グロビン(36)、カモノハシ(34)、ニワトリ(45)、サメ(96)、ウミヤツメ (123)、軟体動物(127)、Glycera(124)、およびChironomus(128)。 これらの相違の多くは誤解させ得るすなわち可変アミノ酸は、1つのアミノ酸 の、機能的に等価な別のアミノ酸に代えての「保存性置換」のみを示し得る。「 保存性置換」とは、グロビン様ポリペプチド(またはドメイン)の、ヘムを取り込 む能力、ならびにαおよびβグロビンサブユニットと会合し、四量体(または偽 四量体)ヘモグロビン様タンパク質(好ましくは酸素と可逆的に結合する)を形成 する能力を失わせない置換である。以下の供給源を用いて、保存性置換(および 欠失または挿入)を同定し得る: (a)ヘモグロビン変異体(100を超えるこのような変異体が存在する)に関す るデータ; (b)脊椎動物、特に哺乳動物、αグロビンおよびβグロビン間の配列バリエ ーションに関するデータ; (c)脊椎動物、特に哺乳動物、ミオグロビン間の配列バリエーションに関す るデータ; (d)脊椎動物グロビンと無脊椎動物グロビンの間、または無脊椎動物グロビ ン間の配列バリエーションに関するデータ; (e)ヒトヘモグロビンおよび他の実質的に相同なタンパク質の三次元構造に 関するデータ、ならびにこのような構造に対する配列変化の効果を予測する分子 モデルソフトウエアー;および (f)相同なタンパク質のファミリー(グロビンファミリーに限らず)のメンバ ー間のアミノ酸変化の頻度に関するデータ。例えば、SchulzおよびSchirmer、Pr inciples of Protein Structure (Springer-Verlag: 1979)の表1〜2およびCrei ghton, Proteins Structure and Molecular Properties(W.H. Freeman: 1983)の 図3〜9を参照。 (a)〜(d)からのデータは、同起源タンパク質内のバリエーションの部位で 許容可能な変異の決定に最も有用であるが、それはまた、分子内の他の同類(ana logous)部位で許容可能な変異の同定に役立ち得る。カテゴリー(f)における データに基づいて、以下の交換基が同定され得、この範囲でアミノ酸の置換はし ばしば保存される。: I.小さな脂肪族、非極性または弱極性残基−Ala、Ser、Thr(Pro、Gly) II.負に帯電した残基およびそれらのアミド−Asn、Asp、Glu、Gln III.正に帯電した残基−His、Arg、Lys IV.大きな脂肪族非極性残基−Met、Leu、Ile、Val(Cys) V.大きな芳香族残基−Phe、Tyr、Trp 3つの残基は、タンパク質構造におけるそれらの特別な役目のために括弧内に 入れられる。Glyは、側鎖を有さない唯一の残基であり、それゆえ鎖に柔軟性を 与える。Proは、鎖を強く束縛する変わったジオメトリーを有する。Cysは、特定 のジオメトリーにタンパク質を保持し得るジスルフィド結合に関係し得る。Schu lzおよびSchimerは、上記IおよびIIをまとめたことに注意すること。Tyrは、そ の水素結合する潜在的な能力のために、Ser、Thrなどといくつかの類似点を有す る。 一般に、好ましいが必要ではない機能性(すなわち、酸素結合能力)は、表面の 残基、少なくとも、ヘム開裂部またはサブユニット接触面のいずれにも含まれな い表面の残基での変異によりほとんど影響されないようである。さらに、αヘリ ックスに連結している「ループ」、特にαヘリックスのDループ、および自由ア ミノ末端またはカルボキシ末端は、欠失および挿入に対してより寛容である。 ヘモグロビンは、多数の供給源から容易に入手可能である。安い肥料として現 在通常に販売されている、血液の形態の非常に大量のヘモグロビンを屠殺小屋は 生産する。動物の特定の種または品種が、特定の使用に特に適切なヘモグロビン を生成する場合、これらの生物は、この目的のために、必要とされる血液を供給 するために特別に飼育され得る。また、変異体または正常ヘモグロビンを発現し 得るトランスジェニック動物が生産され得る。ヒト血液バンクは、特定の期日後 ヒト血液を廃棄しなければならない。これもまた、大量のヘモグロビンを生じる 。 動物供給源からの抽出に加えて、所望のヘモグロビンのサブユニットをコード する遺伝子が、クローン化され、適切な発現ベクターに置かれ、そして微生物、 動物、または植物のような生物、もしくは培養した動物細胞または植物細胞ある いは組織に挿入され得る。これらの生物は、標準組換えDNA技術を用いて生産さ れ得る。ヒトαおよびβグロビン遺伝子は、Liebhaberら、Proc. Natl. Acad. S ci. USA 77;7053-7058(1980)およびMarottaら、Journal of Biological Chemist ry 252;5040-5053(1977)によりそれぞれクローン化、および配列決定されている 。野生型および変異体の両方のαおよびβグロビンの発現、およびそれらのヘモ グロビンへの組み立てに関する技術は、米国特許第5,028,588号およびWO9013645 、WO9211283およびEP277789に示される。 ヘモグロビンA0は、2つのαグロビンサブユニット(α1、α2)および2つのβ グロビンサブユニット(β1、β2)からなるヘテロ四量体である。α1とα2との間 またはβ1とβ2との間には配列の相違はない。酸素非結合(「デオキシ」、また は「緊張(tense)」の代わりの「T」)状態において、サブユニットは、テトラヘ ドロン(tetrahedron)を形成する。α1β1およびα2β2の境界面は、酸素結合中 に相対的に固定されたままであるが、一方、α1β2およびα2β1の境界面ではか なりの流動性(flux)がある。酸素結合(「オキシ」または「R」または弛緩した( relaxed))状態において、サブユニット間の距離は増加する。サブユニットは、V an der Waals力、水素結合およびデオキシヘモグロビンについては、塩架橋によ り非共有結合的に会合する。ヘモグロビンは、α1β1およびα2β2の二量体に解 離することが公知であり、これらは腎濾過により血流から溶出される。ヘモグロ ビンの血管内での維持力は、例えば、1つの四量体、または四量体間のサブユニ ットの化学架橋結合により改良される。 米国特許第5,028,588号、1990年11月15日に公開されたWO90/13645、および199 1年11月8日に出願された米国特許出願番号第789,179号に教示されるように、2 つの非共有結合的に会合したサブユニットが、2つの酸素結合ドメインを有する 1つの偽二量体ポリペプチドにより置き換わり、直接的に、あるいは1つまたは それ以上のアミノ酸のリンカーにより結合させられた偽四量体ヘモグロビンを生 産することは可能である。この偽二量体ポリペプチドは、適切な融合遺伝子から 発現され得る。従って、2つのαグロビン遺伝子は、「ジαグロビン」遺伝子に 融合され得、あるいは2つのβグロビン遺伝子は、「ジβグロビン」遺伝子に、 もしくはαおよびβグロビン遺伝子は「αβ」グロビン偽二量体遺伝子に融合さ れ得る。 天然供給源から単離されたヘモグロビンは、過去に多くの技術を用いて化学的 に改変された。これらの任意の技術は、ヘモグロビンを調製するために用いられ 得る。このような改変の例は、特に米国特許第4,412,989号、第4,301,144号、第 4,670,417号、第4,321,259号、第4,473,563号、第4,710,488号、第4,650,786号 、第4,336,248号、第4,598,064号、第4,600,531号、および第4,377,512号に見ら れる。 個々のグロビン鎖を、改変形態と再会合させて、半合成ヘモグロビンも合成し た(Luisiら、Nature 320;555-556(1986)およびNagaiら、Nature 329;858-860(19 87))。他の改変、例えば、グロビン鎖の化学重合、グリコシル化、ペジル化(peg ylation)、リポソームまたは細胞膜へのカプセル化もまた企図される。 組換えDNAの発現により生産されたヘモグロビンはまた、簡単な改変に役立つ 。部位特異的変異誘発の標準技術をグロビン遺伝子に適用すること(Kruseら、Bi otechniques 6;338-339(1988)およびZollerら、Methods in Enzymology 100;468 -500(1987)が最近の例である)により、生じたグロビン鎖に任意のアミノ酸また はアミノ酸の組合せを添加、控除、または変化し得る。 化学的に架橋結合されたヘモグロビン(1992年7月9日に公開されたWO92/1128 3;米国特許第4,857,636号;米国特許第5,194,590号;米国特許第5,084,558号) 、あるいはαサブユニット(ジαHgb)またはβサブユニット(ジβHgb)を遺伝子工 学的に融合する変異ヘモグロビンは、ハプトグロビン結合を阻害することにより 血管内維持力を増加し得る。 任意のヘモグロビンまたはそのフラグメントは、ヘモグロビン自体の生物学的 活性を変化させるために改変され得る。例えば、米国特許第5,028,588号および 第5,173,426号は、血液代用物として低酸素親和性変異体の使用を教示する。 初期精製 ヘモグロビンの精製は、種々の方法により成し遂げられ得る。一般に、クロマ トグラフィー、加熱、濾過、細胞破壊、および緩衝液交換の組合せが用いられる 。例えば、Estep(米国特許4,831,012号および第4,861,867号)およびSehgalら(米 国特許第5,194,590号)は、古くなったヒト赤血球細胞からのヘモグロビンの精製 を記載する。Rauschら(米国特許第5,084,558号)は、ウシ血液からのヘモグロビ ンの精製を記載する。Chang(WO87/00177)は、ストローマを含まない血液溶液か らのヘモグロビンの精製を記載する。Hoffmanら(米国特許第5,028,588号、WO90/ 13645(1990年11月15日公開)、および1991年11月8日に出願した米国特許出願第7 89,179号)は、E. coli発酵細胞培養物からの組換えヘモグロビンの単離を記載す る。任意の公開または標準技術を用い得る。 ニッケルの除去 ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去は、最初の精製プロセスの任意の時に 成し遂げられるが、好ましくは、ニッケル除去工程は、最初の精製プロセスの終 わり、または終わり近くに行われる。ニッケルの除去は、クロマトグラフィーの 後で精製ヘモグロビン溶液の最終終了および充填(無菌充填)の前に行われること がしばしば便利である。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去は、ニッケル含有ヘモグ ロビン溶液をキレート剤、好ましくは多座配位酢酸をベースにしたキレート化剤 に、かなりのニッケルがキレート化し得る十分な時間曝し、続いて、キレート剤 を除去することにより成し遂げられる。好ましくは、キレート剤の曝露および除 去は、最初の精製、ダイアフィルトレーション、限外濾過、または透析の間のク ロマトグラフィーカラムの流出液または溶離剤、好ましくは流出液へのキレート 剤の滴定による。ニッケルの除去に最も好ましい方法は、ダイアフィルトレーシ ョンである。 代表的には、濃縮ニッケル含有ヘモグロビン溶液は、1〜40、好ましくは5〜 10ターンオーバー容量(TOV)のキレート剤溶液でダイアフィルトレーションされ 得る。適切なキレート剤溶液、好ましくは多座配位酢酸キレート化剤溶液、最も 好ましくはEDTAは、少なくとも0.1mM、好ましくは0.1〜10mMである。次いで、ニ ッケルにキレートしたキレート剤を含むキレート剤は、処方物緩衝液(1〜40、 好ましくは5〜10ターンオーバー容量)、好ましくはキレート剤を含まないキレ ート剤溶液でのダイアフィルトレーションにより除去され得る。ターンオーバー 容量(TOV)は、キレート剤溶液の添加の前にダイアフィルトレーションプロセス で最初に用いたニッケル含有ヘモグロビン溶液の量である;それはダイアフィル トレーションされる溶液の最初の容量である。従って、10リットルのヘモグロビ ン溶液が4TOVのキレート剤溶液に対してダイアフィルトレーションされる場合 、10リットルのニッケル含有ヘモグロビン溶液は、40リットルのキレート剤溶液 でダイアフィルトレーションされる。キレート剤溶液を用いるダイアフィルトレ ーションの他にも、ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレート剤溶液で滴定する ことにより、ニッケル含有ヘモグロビン溶液が適切な量のキレート剤を有するま で、ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレート剤に曝し得る。次いで、処方物緩 衝液でのダイアフィルトレーションによる上記と同じ方法で、キレート剤を除去 し得る。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液へのキレート剤の曝露はまた、最初の精製の間 のクロマトグラフィーカラムのニッケル含有ヘモグロビン流出液または溶離剤、 好ましくは流出液へのキレート剤の滴定またはスパイクすること(spiking)によ り成し遂げられ得る。濃縮キレート剤溶液のスパイクすることは、クロマトグラ フィー流出液中またはクロマトグラフィーカラム流出液から調製されたニッケル 含有ヘモグロビン溶液中に直接的に行われる。このようなニッケル含有ヘモグロ ビン溶液は、カラムクロマトグラフィー後でキレート剤溶液への曝露前に、さら に精製または処理され得る。代表的には、キレート剤が最終所望濃度となるまで 、滴定またはスパイキングは、キレート剤の濃縮溶液をニッケル含有ヘモグロビ ン溶液に添加することにより成し遂げられる。代表的な濃縮キレート剤溶液は、 約0.1〜10モル濃度のキレート剤、好ましくは約0.5〜1モル濃度のキレート剤で ある。好ましいキレート剤の最終所望濃度は、約0.1〜10mM、さらに好ましくは0 .1〜1mMである。 キレート剤は、当該分野で公知のキレート剤(例えば、Sullivan、(1969)「Sta bility Constants of Metal Complexes。」Data for Biochemical Research, Da wsonら、(編集者)Oxford University Press, New York, pp.424-429)、好ましく は多座配位酢酸をベースとするキレート化剤、さらに好ましくは、(エチレンジ ニトリロ)四酢酸(EDTA)、[[(カルボキシメチル)イミノ]-ビス(エチレンジニトリ ロ)]四酢酸(DPTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、エチレングリコー ルービス(2-アミノエチルエーテル-N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、最も好ましくはED TAを含む。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレート剤に曝す長さは、代表的には、かな りのニッケルのキレート化を可能にするのに十分な長さである。かなりのニッケ ルのキレート化とは、ニッケル含有ヘモグロビン溶液中の少なくとも80%、好ま しくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%のニッケルがキレート 化されることを意味する。ニッケル含有ヘモグロビン溶液からのかなりの量のニ ッケルのキレート化および除去は、精製された本質的にニッケルを含まないヘモ グロビンを生じる。最も好ましくは、精製した本質的にニッケルを含まないヘモ グロビン溶液は、[Ni2+]≦40μg/L、好ましくは<20μg/L、およびNi2+/Hb<0.4 μg/gmを有する。ニッケル含有溶液の曝露が、最初の精製の間クロマトグラフィ ーカラムの流出液にキレート剤を滴定またはスパイクすることである場合、ニッ ケル含有溶液をキレート剤に曝す長さとして必要な代表的な時間は、約15分から 約数時間、好ましくは約30分またはそれ以上である。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液が曝されるキレート剤の適量は、ニッケル含有 ヘモグロビン溶液中のニッケルの量に少なくとも化学量論的に等価である。ニッ ケル含有ヘモグロビン溶液からのかなりの量のニッケルの迅速、かつ効率的な除 去を確実に達成するために、キレート剤の量は、好ましくは少なくとも100倍過 剰、さらに好ましくは少なくとも1000倍過剰、最も好ましくは少なくとも2500倍 の過剰である。 ニッケル含有ヘモグロビン溶液からニッケルを除去するための代表的および便 利な手順は、以下のとおりである。最終のクロマトグラフィーカラムからの溶離 に続き、ニッケル含有ヘモグロビン溶液は、適切な容量まで、限外濾過膜上で濃 縮され得る。次いで、それは、キレート剤、好ましくはEDTAを追加した、1〜40 、好ましくは5〜10ターンオーバー容量(TOV)の適切な処方物緩衝液(例えば、5 mMリン酸ナトリウム(無機物)、150mM NaCl、pH7.4)で、少なくとも1mM、好まし くは5〜10mM、最も好ましくは10mMまでダイアフィルトレーションされ得る。次 に、ヘモグロビン溶液は、キレート剤を含まない処方物緩衝液でダイアフィルト レーションされ、キレート剤を除去され得る。最後に、ヘモグロビン溶液は、さ らに濃縮され得る。[Ni2+]の測定値は、透過水(限外濾過膜を介して洗浄された 緩衝液)および濃縮水(膜を透過しないヘモグロビン含有溶液)の両方の原子吸光 により得られ得る。 以下の測定を、ヘモグロビンの性質を決定するためバルクの各バッチについて 行い得る: 1 色/外見 2.P50 3.Hill係数 4.トリプシンマッピング 5.総ヘモグロビン 6.pH 7.高速ゲル濾過(size exclusion)クロマトグラフィー(HPSEC) 8.メトヘモグロビンパーセント 9.原子吸光による金属濃度 10.キレート剤濃度 薬剤組成物 本明細書に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンは、酸素キャリア または薬物送達ビヒクルとして薬剤組成物で用いられ得る。特に、それらは、本 発明による本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを含有する薬剤組成物を哺 乳動物に投与する工程を含む、ニッケル含有ヘモグロビンの投与に関係した、哺 乳動物におけるニッケル毒性の症状を予防する方法として用いられ得る。 本発明は、組織、低酸素組織、および細胞培養物への酸素の送達に使用するた め、赤血球生成の刺激のため、貧血症の治療のため、および他の薬剤用の薬剤送 達ビヒクルとして、このような薬剤組成物および処方物を提供する。本発明の組 成物は、それを必要としている哺乳動物の処置で使用するための従来の固体また は液体の薬剤処方物(例えば、タブレット、カプセル、カプレット、注射剤また は経口投与溶液)に組み込まれ得る。本発明の薬剤処方物は、活性成分のみとし てまたは他の活性または不活性薬品との組合せとして、生理学的および/または 薬学的な有効量の本発明の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを含有する 。例えば、非経口治療組成物は、0.1%と90%との間のヘモグロビンを含む滅菌 等張生理食塩水溶液を含み得る。各個体に提供される薬剤量は、本質的にニッケ ルを含まないヘモグロビンの0.0001マイクロモル濃度および0.005マイクロモル 濃度の間の、血液の濃度を提供するのに十分である。必要な有効量は、複数のカ プセル、タブレット、注射など、またはその組合せの投与により達成され得るの で、各投与形態の個々の投与量に含まれる活性成分の単位含有量がそれ自身で有 効量を構成する必要はないことは、理解される。 本発明による各処方物は、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、充填剤、塩 、および当該分野で周知の他の材料を含む不活性な構成成分をさらに含み得、こ れらは用いられる投与形態、処理される条件、当業者の決定により達成される特 定の目的、およびこのような添加剤の特性に依存して選択される。 本発明の薬剤組成物は、経口のような従来の手法、エアゾール、経皮吸収、粘 膜を介した吸収、または注射により個体に投与され得る。非経口投与は好ましく 、特に静脈内投与または動脈内投与が好ましい。 前記特定の実施態様は、本発明の一般的な性質を明らかにし、そのため、現行 の知識により、一般的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施態様 を種々の適応のために、容易に改変および/または適合し得、従って、このよう な適合および改変は、開示された実施態様の等価物の意義および範囲の内で理解 されるべきであり、そして理解されることを意図している。本明細書で用いた語 法および用語は、記載のためであって、限定の目的のためではないことを理解さ れるべきである。 本明細書中で引用した全ての参考文献は、それらの関連する教示のために参考 として本明細書に援用される。 実施例 以下の実施例は、本発明の特定の実施態様を記載するために提供され、決して 、本発明の範囲を限定することを意図しない。 実施例1 E. coliにおける組換えヘモグロビンの発酵 下記の2リットル発酵手順を用いて、精製および機能性測定ための材料を得た 。 シードストック(seed stock)は、1990年11月15日に公開されたWO90/13645およ び1991年11月8日に出願された米国特許出願第789,179号に記載のプラスミド(pS GE1.1-E4)で形質転換されたE. coli JM109株であった。プラスミドは、2つの重 要な改変を有するヒトヘモグロビンを発現する遺伝子を含む。最初に、βアスパ ラギン108は、リジンに変えられた。第2に、ジαグロビンは、一方のα鎖のア ミノ末端を他方のα鎖のカルボキシ末端に連結するために、グリシンを用いて産 生される。これらの変異は、増加した半減期および有利な酸素結合特性を有する 好ましいヘモグロビン(rHb1.1)を産生する。 発酵接種物を調製するために、400μlのシードストックを200mLの4.1g/L KH2P O4、7.0g/L KHPO4、2.0g/L(NH4)2SO4、1.0g/L Na3Citrate.2H2O、154mg/L MgSO4 .7 H2O、230mgまでのプロリン、0.2%酵母抽出物、1%グルコース、300μlの滅菌濾 過溶液中20mg/mlチアミン、133μlの15mg/mlテトラサイクリン、および0.6mlの 微量金属溶液に接種した。微量金属溶液は、0.5Mクエン酸Na溶液に溶解した25μ g/ml FeCl3+6H2O、1.3μg/ml ZnCl2、2.0μg/ml CaCl2.6H2O、2μg/ml Na2MoO4. 2H2O、2.54μg/ml Cu(II)SO4.5H2O、0.5μg/ml H3BO3、1.2μg/ml MnCL2.4H2O、 および100μl/ml HClを含んでいた。この培養物を、0.4〜0.6のO.D.600nmが達成 されるまで、振とう機上で37℃で育成させた。次いで、接種物全体を、2g/L KH2 PO4、3.6g/L KHPO4、2.0g/L(NH4)2SO4、1mL/Lポリプロピレングリコール-2000、 50mL/Lの50%グルコース、100mg/Lのチアミン、9.75mg/Lのテトラサイクリン、4 mL/Lの微量金属、1.54g/L MgSO4.7H2O、および3.68g/L Na3Citrate.2H2Oを含む 2リットル発酵槽に無菌的に移した。15%〜30% NH4OHの添加によりpHを6.8で 維持し、溶解酸素を30%でまたは30%以上で維持し、そして培養物中、低いが適 切なレベルのグルコースレベル(0.5g/L〜10g/L)を維持するのに十分な60%グル コースを生育期間中添加する。培養物を、10〜1000μM IPTG、好ましくは30μM IPTGでの誘導前に、25℃と30℃との間で、OD600-10〜40まで、生育させた。ヘモ グロビン合成の誘導の際に、E. coliヘム生合成は、ヘミンの添加、すなわち誘 導時に必要なヘミンの総量の添加または50mM〜1M NaOHに溶解したヘミンの周期 的な添加(例えば、発酵槽に添加されるべきヘミンの総量の3分の1は誘導時に添 加され、別の3分の1は、発酵後総時間の1/4が経過した後に添加し、そして最後 の3分の1は、誘導期間の半ばで添加した)のいずれかにより補われた。添加した 総ヘミンは、50〜300mg/Lの範囲であった。発酵槽を誘導後8〜12時間連続した ままにした。この期間の終わりに、いくつかの1mlアリコートをヘモグロビン生 成の決定のために、ブロスから取り出した。 実施例2 培養回収物の破壊および溶解物の調製 細胞の洗浄および破壊 細胞を10,000×gで10分間の遠心分離により回収するか、または0.2μm膜(例 えば、Millipore Prostak)を用いるクロスフロー(cross-flow)濾過による濾過で 回収した。細胞を、洗浄するか、または25mM ホウ酸Na/2mM EDTA緩衝液(pH9.3) 中30%(w/v)まで再懸濁した。リゾチウム(最終濃度0.02g/L)およびプロテアーゼ インヒビター(例えば、1mMベンズアミジンまたは50,000U/Lアプロトニン)を調製 物に添加した。懸濁した細胞を30分間30〜31℃でインキュベートし、次いで、10 および14Kpsiの間で操作されるGaulinモデル30-CDTMホモジナイザーまたは13Kps iに設定されたMicrofluidics Corp.のCell Disruptor MicrofluidizerTMのよう なホモジナイザーに、1回またはそれ以上通して破壊した。このプロセスの残り の部分は、酸素または窒素のいずれかのもとで行われ得る。溶解物の温度を40〜 90℃に調節するか、または溶液を直接利用し得る。濾過 次いで、溶解した細胞をpH6.8を超えるまで、好ましくは約8.3まで、5N NaOH で滴定した。導電性をNaClの添加により30Kmhoに調節した。破壊された細胞抽出 物を明澄にし、そして細胞の残渣を限外濾過によりプロテアーゼインヒビター( 上記)を含有するホウ酸緩衝液で洗浄した。ヘモグロビン生成物は溶解性である ので、それは濾過膜を通過する。Prostak透過水をCuno Zeta Plus 90LA(CUNO, I nc., Meriden, Connecticut)を用いて濾過し、残りの生物成分(bioburden)を除 去した。次いで、ポリエチレンイミンまたはMagnafioc573(TM)(ポリカチオン凝 集剤)1Lの溶解物当たり5mlの50% MF573溶液のような凝集補助剤を、溶解物に 添加し、そして溶解物を遠心分離に続く濾過により明澄にした。クロマトグラフィー 明澄化の後、全ての以下に続く工程は、冷所(<10℃)で行われる。溶液を強カ チオン交換カラム(C)、続いて第二の強カチオン交換カラム(C)、続いて強アニ オン交換カラム(A)の通過、またはC、次いでA、次いでCの通過、またはA、 次いでC、次いでA、または最後に単にただ1つの強カチオン交換カラム、次い でAの通過により精製する。以下に、本発明者らが1つの可能な精製スキームを 記載する。CCAカラム精製の順序を本明細書に記載する。 ProstakおよびDepth Filtrationからの溶液を酸素化し、次いで十分な10mMリ ン酸ナトリウム緩衝液を調製物に添加し、導電性を≧1800mmhoまで落とした。次 いで、得た溶液を0.5〜5N H3PO4でpH6.7〜7.0に滴定し、10mMリン酸ナトリウム で予め平衡化した強カチオン交換カラム(例えば、BioRad Macro-Prep50Sカラム 、IPF Biotechnics S-CPIまたはS-Spherodexカラム、PerSeptive Biosystems Pr osTMSまたはHS/MIIカラム、Pharmacia S-SepharoseTMFast Flowカラム、TosoHaa s ToyopearlTMSP-550Cカラム、またはWhatman SE52またはSE53カラム)に負荷し 、洗浄し、そしてpH7.4〜7.7の14〜20mMリン酸ナトリウム緩衝液で溶出した。画 分コレクターを用いて、目的の画分を回収し得る。あるいは、溶液は、下記のよ うにさらに加工処理され得る。 第二カチオン交換工程を行い得る。第一カチオン交換工程からの溶液を、等量 の脱イオン水で希釈し、そしてpHを5Nリン酸で6.8に調節し、第二カチオン交換 カラムに適切な結合条件を提供する。上記のような強カチオン交換体を用いる。 カラムを10mMリン酸ナトリウム、pH6.8で予め平衡化する。負荷後、カラムに結 合したタンパク質を約2カラム容量の平衡緩衝液で洗浄する。次いで、14mMリン 酸ナトリウム、pH7.4での洗浄は、タンパク質を選択的に溶出するために用いら れる。溶出の間、カラム流出液を、280nmでのUV吸光度により総タンパク質につ いてモニターする。アニオン交換クロマトグラフィー 第二カラムピーク画分からのプールされたピークを濃縮し、そして緩衝液を30 K NMWCO、接線流(tangential flow) Filtron Centrasetteダイアフィルトレーシ ョン膜(Omega型;Filtron Technology Corp., Northborough, Massachusetts)を 用いて20mM Tris, pH8.6緩衝液に交換した。 次いで、濃縮ヘモグロビン材料を、BioRad Macro-Prep50Qカラム、PerSeptive BioSystems PorosTMQカラム、Pharmacia Q-SepharoseTMFast Flowカラム、Toso Haas ToyopearlTMQAE-550Cカラム、またはWhatman Biosystems QA52またはDE53 カラムのようなアニオン交換カラムによりさらに精製した。使用前に、好ましい カラム(30×20cm=20L Pharmacia Fast Flow Q Separose)を20mM Tris-HCl緩衝 液、pH8.6で平衡化した。負荷後に、カラムを少なくとも2カラム容量の20mM Tr is、pH8.3緩衝液で洗浄し、そしてタンパク質を30mM Tris-HCl緩衝液、pH7.6で 溶出した。生成物を発熱物質を取り除いた(depyrogenated)ガラス容器に回収し 、そ して、まとめられた(integrated)メトヘモグロビンピークが試料の可視スペクト ルに観察されるまで、試料を周期的に回収した。このQ-カラムの主要な機能はE. coliのタンパク質およびエンドトキシンの除去を完了することであった。濃縮および緩衝液の交換 上記のアニオン交換クロマトグラフィー(Q-クロマトグラフィー)後、Q-ピーク を、Ni2+および他の2価金属カチオンの除去のために実施例4の方法に供し濃縮 した。 実施例3 キレート樹脂を用いる精製ヘモグロビンからのニッケルの除去 Ni2+の吸収材として、非帯電形態でSepharoseTM Fast Flowキレート樹脂を用 いて、ヘモグロビン溶液からNiを除去する試みを行った。キレート樹脂を処方物 緩衝液(5mMリン酸ナトリウム(無機物)/150mM NaCl、pH7.4)中で平衡化し、そし て次いで、Ni2+を含むrHb1.1流体(fluid)を、数回カラムに通した。原子吸光に よる流出液の分析は、生成物の流れ中のNi2+が有意に減少しないことを示した。 実施例4 EDTAダイアフィルトレーションを用いる精製ヘモグロビンからのニッケルの除去 A.10mM EDTAに対するダイアフィルトレーション Sepharose Qカラム(実施例2)からの溶出に続いて、rHb1.1を、限外濾過膜上 で約4リットル容量まで濃縮した。次いて、それを、10mMまでEDTAを追加した40 リットル(10ターンオーバー容量)の処方物緩衝液(5mM NaPi/150mM NaCl、pH7.4) でダイアフィルトレーションした。次に、rHb1.1を、EDTAを含まない処方物緩衝 液でダイアフィルトレーションし、EDTAを除去した。最後に、rHb1.1を50mg rHb 1.1/mlを超えるまでさらに濃縮した。[Ni2+]の測定値は、透過水(限外濾過膜を 通して洗浄した緩衝液)および濃縮水(膜を透過しないHb含有溶液)の両方の原子 吸光により得た。これは、方法(1)である。 EDTA/処方物緩衝液を、ジナトリウムEDTAを用いる、注射水(WFI)中で1M EDTA 濃縮物を最初に調製することにより製造した。濃縮物を0〜37℃、好ましくは2 〜10℃まで冷却し、そして必要なように、10N NaOHまたは5N HCl水溶液のストッ クを用いてpH8〜8.5にした。次いで、それを発熱物質を取り除いたガラス容器 に滅菌濾過した。濾過したEDTA濃縮物を処方物緩衝液と1:100の容量比でブレン ドし、そして生じたEDTA/処方物緩衝液を2〜10℃で維持した。 以下の測定を、ヘモグロビンの性質を決定するためにバルクの各バッチについ て行った: 1.色/外見 2.P50 3.Hill係数 4.トリプシンマッピング 5.総ヘモグロビン 6.pH 7.高速ゲル濾過クロマトグラフィー(HPSEC) 8.メトヘモグロビンパーセント 9.原子吸光による金属濃度 10.キレート剤濃度 表1は、実施例1および2の方法により精製されたヘモグロビン溶液のニッケ ル測定の結果を示す。表2は、実施例1、2および4の方法により精製されたヘ モグロビン溶液のニッケル測定の結果を示す。図1は、EDTA限外濾過ラン(ラン 1)の間の透過水および濃縮水の両方についてTOVの関数として[Ni2+]を示す。図 2は、4つのEDTA限外濾過ラン(ラン1、2、4、5)の間の濃縮水についてTOV の関数として[Ni2+]を示す。図3は、3つのランの濃縮水中の[Ni2+]を比較し、 ここで2つのラン(ラン3、4)は、図2(ダイアフィルトレーションフィルター 中にEDTAを有する)からであり、そして残るラン(ラン3a)はダイアフィルトレ ーション緩衝液中にEDTAを含まない。 B.必要とする交換緩衝液の減少 本実施例で既に概説した最初の方法(方法1)は、許容できるレベル(すなわち 、[Ni2+]≦40μg/LおよびNi2+/Hb<0.4μg/gm)まで[Ni2+]を減少させることに成 功するが、それはまた、必要とする交換緩衝液を増加させる。いくつかの戦略が 、緩衝液の需要を減少させることおよび最終限外濾過工程の操作を楽にさせるた めの試みにおいて評価された。これらの戦略は、以下の方法(1)、(2)、(3)、 (4)、および(5)に記載されるとおりである: (1)この方法は、10TOVのEDTA緩衝液、続いて処方物緩衝液を用いる本実施例 で既に記載された(ラン5)。 (2)実施例2からの材料は、ダイアフィルトレーション作動容量まで濃縮され 、次いで10mM EDTA濃度(10mM EDTAスパイク)を得るためにEDTAを添加した。次い で、溶液を10TOVの処方物緩衝液に対してダイアフィルトレーションした。[Ni2+ ]は0TOVで測定されなかった;すなわち、試料をEDTA添加後かつダイアフィルト レーション前に採取しなかった。最終[Ni2+]は、約1.3μg/gmのNi2+/Hbを有する 約13μg/Lであった(ラン7)。 (3)濃縮水中のEDTAの目標スパイク濃度が、50mMであったことを除いて、(2) と同じ手順を用いた。濃縮水中の[Ni2+]プロフィールは、EDTAの添加による[Ni2 + ]のかなりの増加を除いて(2)の[Ni2+]プロフィールと同じであった。(ラン8) 。 (4)10mMの目標濃度へのEDTAの添加は、実施例2からの希釈液に対してなされ た。次いで、溶液をダイアフィルトレーション作動容量まで濃縮し、次いで10TO Vの処方物緩衝液に対してダイアフィルトレーションした。Hbを限外濾過系に曝 す前に、系を処方物緩衝液および10mM EDTA溶液で予めリンスした。このことは 、限外濾過系から、容易に接近可能な任意のNi2+を除去するためになされた。最 終[Ni2+]は、約0.8μg/gmのNi2+/Hbを有する約21μg/Lであった(ラン10)。 (5)0.5M EDTAを実施例2のQカラムからの流出液に、目標[EDTA]が10mMとなる まで添加し、約5〜10mMの[EDTA]を生じた。次いで、流出液を濃縮し、そして10 mM EDTAで予めリンスしたダイアフィルトレーション装置で2TOVの10mM EDTA、p H7.83でダイアフィルトレーションした。次いで、溶液を8TOVの処方物緩衝液で ダイアフィルトレーションした。最終[Ni2+]は、約17μg/Lであった。(ラン11) 。 図4は、これらのバリエーションの結果を示す。表3は、種々のランについて のNi2+の減少をまとめている。最終Ni2+濃度およびNi2+/Hb比により明らかにさ れるように、この結果は、いずれのEDTAスパイクランも、上記方法(1)と全く同 様な、濃縮水からNi2+を除去する能力を示さなかったことを示す。性能のこの違 いは、方法(1)がHbを10TOVのEDTA交換緩衝液に曝すだけでなく、Ni2+の除去を 助けるために、最初の10TOVの後に、存在する10mM EDTAを利用するためである。 方法(1)は、最終産物中のより低い[Ni2+]を生じるが、上記方法(1)の第一の10 TOVと上記方法(2)および(3)の10TOVとの視覚による比較は、上記方法(2)およ び(3)の[Ni2+]が方法(1)よりその最小値により速く到達することを示す。この よ り速い応答は、濃縮水の流れの中の10mM EDTAの直接的な存在の結果であり、こ れがNi2+の除去を助けるためである。逆に言えば、上記方法(1)に観察される時 間の遅れは、適切な速度でNi2+を除去するために必要であるレベルに、EDTA濃度 が達するために必要な時間の結果である。 図5は、TOV数に対するパーセント総Ni2+として、ラン7およびラン8(それぞ れ上記方法(2)および(3))の結果を示す。これらのランで用いた[EDTA]は、Ni2 + が除去される速度に影響しなかった。 ラン8(上記方法3)において、試料を50mM EDTAスパイク添加の後でダイアフ ィルトレーションの前に採取した。この試料は、濃縮水の流れへのEDTAの添加の 直後、[Ni2+]の150%増加を示した。この情報は、限外濾過系またはそのコンポ ーネントがNi2+をHb産物の流れに与えることを示唆した。この現象をさらに分析 するために、処方物およびEDTA緩衝液で限外濾過系を予めリンスすることを評価 する実験を設定した。 実験は、1時間処方物緩衝液の再循環を必要とし、続いて、1時間処方物およ び10mM EDTA溶液のリンスを必要とした。追加のEDTAを50mMの目標EDTA濃度を得 るために添加し、そしてさらに1時間再循環を続けた。次いで、この系は、排水 され、処方物緩衝液てリンスされ、次いで、1時間処方物緩衝液および10mM EDT Aでリンスされた。この実験の結果を図6に示す。図6は以下のことを示す: (a)処方物緩衝液が限外濾過系を通って循環する場合、[Ni2+]は増加しない。 (b)[Ni2+]は、循環している処方物緩衝液へのEDTAの添加によりかなり増加す る。 (c)限外濾過系へのEDTAの導入20分後、[Ni2+]は定常速度で上昇する。 (d)EDTA濃度(10mM対50mM)は、この系に放出されるNi2+の速度に影響しないよ うである。 (e)[Ni2+]の最初の急増は、処方物およびEDTA溶液での限外濾過系の前処理で 除去された。この系に放出されるNi2+の速度は減速された。 図6に示す結果は、[Ni2+]が処方物およびEDTA溶液により限外濾過系から洗い 流され得ることを示す。さらに、濃縮水の流れをHPLCを用いて、[EDTA]について 分析した。EDTA濃度データは、濃縮水および透過水の流れの両方についての理論 的に近い流失プロフィールを示した。 上記実験全てからの結果を再検討すると、それらは以下の結論のまとめを提供 する: (a)Ni2+は、ヘモグロビン様タンパク質を処方物および10mM EDTA溶液で洗浄 することにより、ヘモグロビン様タンパク質含有溶液から除去され得る。 (b)処方物緩衝液のみでは、ヘモグロビン含有溶液中のNi2+をそれほど減少さ せない。 (c)ヘモグロビンの洗浄は、分子量30K遮断膜を用いて、限外濾過系でのダイ アフィルトレーションにより成し遂げられ得る。 (d)ヘモグロビン溶液中の総Ni2+の90%超の減少が、上記方法(1)の戦略を用 いて達成され得る。 (e)5mMより大きいかまたは等しいEDTA濃度は、ヘモグロビン溶液からのNi2+ 除去に有効である。 (f)EDTAスパイク添加戦略(上記方法(2)および(3))では、10mMおよび50mM E DTA濃度は、ほぼ等しいNi2+除去速度を示した。 (g)EDTA濃度が十分な量で存在する間、ヘモグロビン濃度は、Ni2+を除去する EDTAの効果に影響しない。 (h)ヘモグロビンの性質における重大な変化は、Ni2+を除去するためのダイア フィルトレーションの間に起こらない。 (i)限外濾過系は、Ni2+をヘモグロビン溶液に与える。 (j)緩く結合したNi2+を、処方物および10mM溶液を用いて限外濾過系から洗い 流し得る。 (k)EDTAは、用いたきれいな限外濾過系で0残留を示す。 実施例5 Niを含まないヘモグロビンの薬剤処方物 精製された本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを生理学的に受容可能な 血液代用溶液に組み込んだ。好ましい溶液は、以下の成分を含んだ: Hgb(gm/l) 30〜120 ナトリウム(mEq/l) 135〜160 カリウム(mEq/l) 3.5〜6 塩素(mEq/l) 90〜200 好ましくは、溶液は、7.3〜7.5のpH、280〜310のオスモル濃度、および26.6×102 〜39.9×102Pa(20〜30mmHg)の腫脹浸透圧を有する。オスモル濃度を、ヘモグロ ビンの濃度および電解質の濃度により、ならびに任意の成分であるグルコースま たはマンニトール(好ましくは0〜30gm/l)により制御する。腫脹浸透圧を、ヘモ グロビンの濃度およびヘモグロビンの架橋の程度により制御する。アルブミン(0 〜70gm/l)、デキストラン(0〜100gm/l)、およびポリエチレングリコール(0〜25g m/l)のような試薬を腫脹浸透圧を増加させるために添加し得る。さらに、メトヘ モグロビン形成の程度を減少させるために、抗酸化剤またはフリーラジカル捕捉 剤、例えば、マンニトール(0〜20gm/l)、グルタチオン(0〜4gm/l)、アスコルビ ン酸(0〜1.3gm/l)、およびビタミンE(0〜100IU/l)を提供し得る。さらに、Twee nTMのようなデタージェントを処方物に添加し、凝集を防止し得る。 低酸素親和性変異体のヘモグロビンを使用する場合、電解質、pH、および組成 物の他の特性の適切な選択により、好ましいレベルに溶液のP50を調節すること が、所望され得るか、または必要であり得る。好ましくは、最終溶液は、標準生 理学的状態下で、31.92×102〜53.20×102Pa(24〜40torr)のP50を有する。 血液の代用物として用いるための本質的にニッケルを含まないヘモグロビンの 特に好ましい薬剤組成物は、以下のとおりである: Hgb(gm/l) 50 NaPO4(mM) 5 NaCl(mM) 150 PH 7.3 あるいは、本質的にニッケルを含まないヘモグロビンは、薬剤送達ビヒクルと して処方される。 実施例6 ウサギへのNiを含まないヘモグロビンの投与 ニッケルは、心筋梗塞の間、冠状血管の血管収縮を増加させること(Rubanyiら 、(1981)J. Mol. Cellular Cardiology 13:1023-1026; Rubanyiら、(1981)Ann. Clin. Lab. Sci. 11(1):93)および平滑筋の収縮を刺激すること(RubanyiおよびB alogh、(1982)Am J. Obstet. Gynecol. 142:1016-1020)を仮定されている。従っ て、本質的にニッケルを含まないヘモグロビンの、種々の平滑筋の収縮に対する 影響を分析した。 一晩の絶食後、ニュージーランド白ウサギに2g/kgの投与量のウレタンを腹腔 内投与して麻酔をかけた。気管切開術を換気のために行い、そしてヘパリン化生 理食塩水(10U/ml)を含むカテーテルを、血圧を連続的にモニターするために右頚 動脈に留置した。第二カテーテルを静脈内ヘモグロビン投与のために内頚静脈内 に留置した。2.5mmの直径および24mmのスリーブ長を有する特注製デントスリー ブ(dent sleeve)カテーテルを口から入れ、そしてスリーブをプル−スルー(pull -through)技術により下位食道括約筋(LES)に置き、高い圧力帯を決定した。カテ ーテルを1.032ml/時間の速度で連続的に潅流し、そして圧トランデューサ(Spect ramed model P23XL; Viggo-Spectramed Inc. Critical Care Div., Oxnard. Cal ifornia)およびポリグラフ(モデル2400、Gould Electronics, Cleveland, Ohio) に連結した注入カテーテルからサイドチャンネル(side channel)を用いて、圧力 を連続的にモニターした。 実施例2により精製されたヘモグロビンの投与量応答性効果を測定した。一回 分の投与量は、50mg/ml濃度の約10〜約50mlの範囲であった。このヘモグロビン の投与量応答性効果をNO-シンターゼのアンタゴニストであるNG-ニトロ-L-アル ギニンメチルエステル(L-NAME)の効果と比較する。L-NAMEの投与量(10mg/kg)は 、モルモットの胆嚢の弛緩の阻害に有効であると知られている。いくつかの実験 をニトロプルシドナトリウム(非酵素的NOドナー)で前処理した動物で行い、これ がニッケル含有ヘモグロビンおよびL-NAMEのLES効果を逆転し得るかどうかを決 定した。用いた濃度(2mg/kg)は、他の系でL-NAMEの効果を逆転する。別の実験で 、過剰なNOシンターゼ基質(L-アルギニン、300mg/kgおよび3000mg/g)を、ニッケ ル含有ヘモグロビンの効果を逆転させる試みで投与した。低い方の投与量は、他 の系でL-NAMEの効果を逆転する。不活性異性体であるD-アルギニンをネガティブ コントロールとして等しい投与量で用いる。LESに対するニッケル含有ヘモグロ ビンの効果が、血圧効果に対し二次的でないことを確立するために、昇圧剤であ るフェニレフリンの、ニッケル含有ヘモグロビンの昇圧効果を疑似する投与量(1 00〜1000ng/kg/分)でのLES圧力に対する効果を研究した。いかなる昇圧効果も小 さかった。全ての薬剤を0.9% NaClで投与した。6匹の動物を、各プロトコール について通常用いて、統計学的な分散分析を行った。 次いで、実施例2により精製されたニッケル含有ヘモグロビンの投与量応答性 LES効果を、実施例2および4により精製されたニッケル含有ヘモグロビン(本質 的にニッケルを含まないヘモグロビン)のLES効果と比較した。この結果は実施例 2および4によるヘモグロビンの精製がLES効果を減少させることを示す。 実施例7 オポッサムおよびオポッサムの筋肉へのNiを含まないヘモグロビンの投与 ニッケル含有ヘモグロビンの効果の測定は、オポッサム(opossum)において、 単離された食道筋へのヘモグロビンの投与によりインビトロで、またはこの動物 へのヘモグロビンの投与によりインビボでのいずれかで測定される。食道筋の機械的な活性の測定 粘膜下組織を除いた長さ3cm×幅3mmの寸法である食道筋の小片を、オポッサ ムの食道の円周軸から切る。それらを電極クリップにおき、小片の一端をPlexig lasTMクリップで支え、そして他端をRadnoti力変位トランスデューサ(Radnoti f orce displacement transducer)に絹縫合糸により取り付けた。トランスデュー サは、小片を段階的に引き伸ばすことが可能なラックアンドピニオンアセンブリ に備え付けられる。その場で、小片は、4mm離れた2つの白金線刺激電極間に置 かれる。刺激電極は、Grass S8800刺激装置の出力に取り付けられる。筋肉小片 および電極クリップは、37℃まで温められそして5%CO2、95%O2で曝気された Krebs溶液を含む被覆された(jacketed)組織バス中に降ろされる。力変位トラン スデューサの出力を、MacLab記録システムにおけるADコンバーターに連結する 。データをMacintosh IIciコンピューターに貯蔵し、そして分析した。筋肉小片 は、最適の応答(L0)のための長さまで、段階的に(stepuise fashion)ゆっくりと 伸ばされ、そして60分間平衡化され得た。内因食道神経を2〜3秒間続く電気パ ルス(0.5ミリ秒の持続時間、50ボルト振幅、2〜3Hzにて)により刺激する。こ れらの刺激は、実験操作により誘導される変化が容易に同定されることを可能に する、50〜70%最大応答を生じる。これらの研究において、各筋肉小片は、それ 自身のコントロールとして働く。結果は、コントロールからの変化パーセントと して表される。統計学上の比較は、スチューデントt検定または適切な多変量解 析でなされる。 筋肉収縮に対するヘモグロビンの効果は、実施例2の方法により精製されたヘ モグロビンを、濃度を増加させながら組織バスに添加することにより測定される 。次いで、この効果を、実施例2および4の方法により精製されたヘモグロビン の 投与から観察された筋肉収縮と比較する。嚥下誘導蠕動の測定 雌雄両方の成熟オポッサムを一晩絶食させる。それらは、ケタミンアセプロマ ジン(ketamineacepromazine)(50mg/kg)の20:1混合物の筋内注射で麻酔をかけら れる。この動物は、アニマルボードに仰向けで紐で縛られ、そして6管腔マノメ トリーアセンブリは、咬合ブロックを介して食道に導入される。下位食道括約筋 (LES)は、胃食道接合部を越えたカテーテルを引っ張ることにより位置を決定さ れる。嚥下は、咽喉または輪状軟骨を打つことにより誘導される。マノメトリー 記録は、ヘモグロビンの静脈内注入30分前から注入3〜5時間後までなされる。 一回の投与量は、50mg/l濃度の約10〜約50mlである。ヒト血清アルブミンのコン トロール注入を用いる。嚥下により誘導される蠕動の収縮伝播の振幅、持続時間 、および速度が観察される。任意の自発的な活性もまた記録される。LESの静止 緊張状態をモニターし、そして嚥下により誘導されるLES弛緩の振幅および持続 時間をずっと評価する。 筋肉収縮に対するヘモグロビンの効果は、実施例2の方法により精製されたヘ モグロビンの濃度のオポッサムへの投与により測定される。次いで、この効果を 、実施例2および4の方法により精製されたヘモグロビンの投与から観察される 筋肉収縮と比較する。 実施例8 ヒトへのニッケルを含まないヘモグロビンの投与 22人のヒトボランティアは、実施例2により精製され、そして実施例5により 処方されたrHb1.1を投与された。これらのボランティアは、3.75ml/kg/時間まで の速度での静脈内注入により、0.05g/kg〜0.18g/kgの範囲の4つの投与量レベル でrHb1.1を投与された(22人のうち16人が0.15g/kgで投与された)。従って、rHb1 .1の最大投与量を48分間で投与した。コントロールグループの4人のボランティ アは、コントロールとしてヒト血清アルブミンを投与された。rHb1.1を投与され たボランティアのうち3人が、軽度の蕁麻疹(uticaria)の症状を有した(14%)。 異なる組のヒトボランティアは、実施例2および4により精製され、そして実 施例5により処方された0.15g/kgの本質的にニッケルを含まないrHb1.1を投与さ れた。投与は、最大48分までの静脈内注入によった。ヒト被験者の数は15人であ った。被験者は注入後モニターされた。本質的にニッケルを含まないヘモグロビ ンを投与されたこれらのボランティアは蕁麻疹の証拠を示さなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI (C12P 21/02 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT, AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C Z,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU, LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ ,TT,UA,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法であって、キレ ート剤にニッケル含有ヘモグロビン溶液を、かなりのニッケルをキレート化し得 るのに十分な時間曝し、続いて、キレート剤を除去することによる、ニッケル含 有ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去を包含する、方法。 2.前記キレート剤が多座配位酢酸をベースとするキレート化剤である、請求項 1に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 3.前記多座配位酢酸をベースとするキレート化剤がEDTA、DPTA、TTHA、および EGTAからなる群から選択される、請求項2に記載の本質的にニッケルを含まない ヘモグロビンを得るための方法。 4.前記多座配位酢酸をベースとするキレート化剤がEDTAである、請求項3に記 載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 5.前記ニッケル含有ヘモグロビン溶液がキレート剤溶液でのダイアフィルトレ ーションによりキレート剤に曝される、請求項1に記載の本質的にニッケルを含 まないヘモグロビンを得るための方法。 6.前記キレート剤溶液が少なくとも1mMのキレート剤を含有する、請求項5に 記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 7.前記キレート剤溶液が約5から約10mMのキレート剤を含有する、請求項6に 記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 8.前記キレート剤溶液が少なくとも5ターンオーバー容量の量である、請求項 5〜7のいずれかに記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るため の方法。 9.前記キレート剤溶液が少なくとも10ターンオーバー容量の量である、請求項 5〜7のいずれかに記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るため の方法。 10.前記かなりのニッケルをキレート化し得るのに十分な時間が、前記ニッケ ル含有ヘモグロビン溶液から少なくとも80%のニッケルを除去するのに十分な時 間である、請求項1または請求項5に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグ ロビンを得るための方法。 11.前記かなりのニッケルをキレート化し得るのに十分な時間が、前記ニッケ ル含有ヘモグロビン溶液から少なくとも90%のニッケルを除去するのに十分な時 間である、請求項10に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得る ための方法。 12.前記かなりのニッケルをキレート化し得るのに十分な時間が、前記ニッケ ル含有ヘモグロビン溶液から少なくとも95%のニッケルを除去するのに十分な時 間である、請求項11に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得る ための方法。 13.前記キレート剤を除去することが、処方物緩衝液でのダイアフィルトレー ションによる、請求項1、4、または5のいずれかに記載の本質的にニッケルを 含まないヘモグロビンを得るための方法。 14.前記処方物緩衝液がキレート剤を含まないキレート剤溶液である、請求項 13に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 15.前記ニッケル含有ヘモグロビン溶液が、大規模な発酵および/または精製 プロセスにより得られる、請求項1に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグ ロビンを得るための方法。 16.前記ニッケル含有ヘモグロビン溶液が、組換えヘモグロビンおよび変異ヘ モグロビンからなる群から選択されるヘモグロビンを含有する、請求項1〜15 のいずれかに記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法 。 17.本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法であって、ニ ッケル含有ヘモグロビン溶液を、少なくとも5ターンオーバー容量の、処方物緩 衝液中少なくとも5mMのEDTAで、該ニッケル含有ヘモグロビン溶液中の少なくと も80%のニッケルをキレート化し得るのに十分な時間ダイアフィルトレーション し、続いて、処方物緩衝液でのダイアフィルトレーションによりキレート剤を除 去することによる、該ニッケル含有ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去を包 含する、方法。 18.本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法であって、ニ ッケル含有ヘモグロビン溶液を、少なくとも10ターンオーバー容量の、処方物緩 衝液中少なくとも10mMのEDTAで、該ニッケル含有ヘモグロビン溶液中の少なくと も90%のニッケルをキレート化し得るのに十分な時間ダイアフィルトレーション し、続いて、処方物緩衝液でのダイアフィルトレーションによりキレート剤を除 去することによる、該ニッケル含有ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去を包 含する、方法。 19.前記ダイアフィルトレーションが、前記ニッケル含有ヘモグロビン溶液中 の少なくとも95%のニッケルをキレート化し得るのに十分な時間行われる、請求 項18に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 20.前記ニッケル含有ヘモグロビン溶液をキレート剤に曝すことが、前記ニッ ケル含有ヘモグロビン溶液を、キレート剤の濃縮溶液を用いて、所望の最終キレ ート剤濃度までスパイクすることによる、請求項1に記載の本質的にニッケルを 含まないヘモグロビンを得るための方法。 21.前記キレート剤の濃縮溶液が約1Mのキレート剤である、請求項20に記 載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 22.前記所望の最終キレート剤濃度が約0.1mM未満である、請求項21に記載 の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 23.前記所望の最終キレート剤濃度が約0.01mM未満である、請求項21に記載 の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 24.前記かなりのニッケルをキレート化し得るのに十分な時間が、ニッケル濃 度を、約40μg/L未満まで低下させるのに十分な時間である、請求項20に記載 の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 25.前記かなりのニッケルをキレート化し得るのに十分な時間が、ニッケル濃 度を、約20μg/L未満まで低下させるのに十分な時間である、請求項24に記載 の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るための方法。 26.前記キレート剤を除去することが、10ターンオーバー容量に対するダイア フィルトレーションによる、請求項22に記載の本質的にニッケルを含まないヘ モグロビンを得るための方法。 27.前記キレート剤を除去することが、8ターンオーバー容量に対するダイア フィルトレーションによる、請求項22に記載の本質的にニッケルを含まないヘ モグロビンを得るための方法。 28.前記キレート剤を除去することが、5ターンオーバー容量に対するダイア フィルトレーションによる、請求項23に記載の本質的にニッケルを含まないヘ モグロビンを得るための方法。 29.請求項20に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを得るため の方法であって、該方法は、ニッケル含有ヘモグロビン溶液を、キレート剤の濃 縮溶液を用いて、約0.1mM以上の所望の最終キレート剤濃度まで、ニッケル濃度 を約40μg/L未満に低下させるのに十分な時間スパイクし、続いて、約10ターン オーバー容量の処方物緩衝液でのダイアフィルトレーションによりキレート剤を 除去することによる、ニッケル含有ヘモグロビン溶液からのニッケルの除去を包 含する、方法。 30.請求項1、18、20、または29のいずれかに記載の方法により得られ る本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを含有する、ニッケルを含まないヘ モグロビン。 31.請求項30に記載の本質的にニッケルを含まないヘモグロビンを含有する 、薬剤組成物。 32.ニッケル含有ヘモグロビンの投与に関連する、哺乳動物におけるニッケル 毒性の症状を予防する方法であって、請求項31に記載の本質的にニッケルを含 まないヘモグロビンを含有する薬剤組成物の、該哺乳動物への投与を包含する、 方法。
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