JP2000516455A - ヘモグロビンにおけるβダイマー形成を制御する方法 - Google Patents

ヘモグロビンにおけるβダイマー形成を制御する方法

Info

Publication number
JP2000516455A
JP2000516455A JP10508090A JP50809098A JP2000516455A JP 2000516455 A JP2000516455 A JP 2000516455A JP 10508090 A JP10508090 A JP 10508090A JP 50809098 A JP50809098 A JP 50809098A JP 2000516455 A JP2000516455 A JP 2000516455A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hemoglobin
globin
binding site
histidine
plasmid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10508090A
Other languages
English (en)
Inventor
ディー. レビン,ジョセフ
ゼット. アポストル,イジドー
Original Assignee
バクスター バイオテック テクノロジー エス.アー.エール.エル.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by バクスター バイオテック テクノロジー エス.アー.エール.エル. filed Critical バクスター バイオテック テクノロジー エス.アー.エール.エル.
Publication of JP2000516455A publication Critical patent/JP2000516455A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/795Porphyrin- or corrin-ring-containing peptides
    • C07K14/805Haemoglobins; Myoglobins

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、βグロビンのN末端に隣接する金属結合部位を改変することによってヘモグロビン溶液中のβダイマー形成を制御する方法に関する。本発明はさらに、Ni(II)およびオキソンへの曝露により安定な分子内架橋βグロビンを産生する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヘモグロビンにおけるβダイマー形成を制御する方法発明の分野 本発明は、一般的に、組換えヘモグロビンの発現、そしてより詳細にはβサブ ユニットの組換え発現の間のβダイマー形成を制御する方法に関する。発明の背景 患者に献血を輸血することは、常に実用的または安全というわけではない。こ れらの状況において、赤血球代用物の使用が望ましい。ヒト血液が利用可能でな いか、または輸血の危険性が高すぎる場合、血漿増量剤が投与され得る。しかし 、コロイドおよび晶質液のような血漿増量剤は、血液容量のみを置換し、そして 酸素運搬能力を置換しない。血液が輸血のために利用可能ではない状況では、置 換を提供するのに加えて酸素を輸送し得る赤血球代用物が望ましい。 ヘモグロビンは、所望される赤血球代用物として同定されている。ヘモグロビ ン(また、本明細書中で「Hb」としていわれる)は、血液の酸素運搬成分である 。ヘモグロビンは、血流内部の赤血球(赤血球)と呼ばれる小さな脱核(enuclea te)細胞を介して循環する。ヘモグロビンは4つの関連するポリペプチド鎖から 構築されるタンパク質であり、ヘムとして知られる補欠分子族を有する。この赤 血球は、ヘモグロビンをその還元された機能的形態に維持するのを助ける。ヘム 鉄原子は酸化に感受性であるが、赤血球内で2つの酵素系(シトクロムb5および グルタチオン還元系)の1つによって再び還元され得る。 ヘモグロビンは、呼吸性の表面(皮膚、鰓、気管、肺など)で酸素と結合し、 内部組織へ酸素を輸送し、ここで酸素は放出され、そして代謝のために使用され る。天然では、低分子量ヘモグロビン(16〜120キロダルトン)は、循環してい る赤血球内に封入される傾向があるが、より大きなポリマーヘモグロビンは、血 液または血リンパ中に自由に循環する。 ヘモグロビンの構造は、BunnおよびForget編、Hemoglobin:Molecular,Gene tic and Clinical Aspects(W.B.Saunders Co.,Philadelphia,PA:1986)および FermiおよびPerutz「Hemoglobin and Myoglobin」,PhillipsおよびRichards,At las of Molecular Structures in Biology(Clarendon Press:1981)に記載のよう に周知である。 正常な成人の溶血血液の約92%が、Pb A0である(2つのα鎖および2つのβ 鎖を含むので、α2β2と命名される)。ヘモグロビンテトラマーにおいて、各α サブユニットは、βサブユニットと会合して安定なα/βダイマーを形成し、次 いでその2つが会合してテトラマーを形成する。サブユニットは、ファンデルワ ールス力、水素結合および塩架橋を介して非共有的に会合される。Hb A0のαお よびβグロビンポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、PCT公開第WO 93/09143号の表 1に与えられる。野生型α鎖は141アミノ酸からなる。ヘム(フェロプロトポルフ ィリンIX)基の鉄原子は、His87(「近位ヒスチジン」)のイミダゾールに共有結 合される。野生型β鎖は、146残基の長さであり、そしてヘムはHis92でβ鎖に結 合される。 ヒトαおよびβグロビン遺伝子は、それぞれ、16番染色体および11番染色体上 に存在する。BunnおよびForget,下の172。両方の遺伝子は、クローニングされ、 そして配列決定されている(Liebhaberら、PNAS 77:7054-58(1980)(αグロビ ンゲノムDNA);Marottaら,J.Biol.Chem.,252:5040-53(1977)(βグロビンcD NA);Lawnら、Cell,21:647(1980)(βグロビンゲノムDNA))。 ヘモグロビンは、ヘモグロビン分子の4つのサブユニット(Hb A0の場合、2 つのαグロビンおよび2つのβグロビン)によって酸素の協同的結合を示し、そ してこの協同性が効率的な酸素輸送を非常に容易にする。いわゆるヘム−ヘム相 互作用によって達成される協同性は、ヘモグロビンが酸素に対するその親和性を 変化させるのを可能にする。協同性はまた、酸素解離曲線(以下に記載される) を用いて決定され得、そしてHill係数(「n」または「nmax」)として一般的に 報告される。ヘモグロビンは、ヘモグロビン1分子あたり4モルまでの酸素と可 逆的に結合する。 酸素運搬化合物は、酸素解離曲線として知られる考案物によって頻繁に比較さ れる。この曲線は、所定の酸素キャリアについて、酸素飽和または酸素含有量が 酸素分圧に対してグラフ化される場合に得られる。Hbについて、飽和の割合は、 S字型の関連性に従って分圧とともに増大する。P50は、酸素運搬種が、酸素で 半分飽和される際の分圧である。従って、これは酸素結合親和性の尺度であり; P50が高いほど、より容易に酸素が放出される。 特にE.coliにおける組換え体ヘモグロビンの産生は、複数の種類の組換え体 ヘモグロビンを導き得る。例えば、細菌系(特に、E.coli)における組換え体β グロビンの産生において、βグロビンは、モノマーおよびダイマーのβグロビン の混合物として発現され得る。従って、ダイマーのβグロビンの形成を制御する 必要性が存在する。本発明は、この必要性を満足し、そして同様に関連する利点 を提供する。発明の要旨 本発明は、ヘモグロビン溶液中でのβダイマー形成を制御する方法に関する。 この方法は、βグロビンまたはグロビン様ポリペプチド上の金属結合部位(特に 、ニッケル結合部位)を改変して、このβダイマー形成を防止するかまたは減少 させることによって達成される。この方法は、ヘモグロビンの組換え体産生にお いて特に適している。好ましくは、金属結合部位は、βグロビンまたはグロビン 様ポリペプチドのN末端アミノ酸に隣接したヒスチジンである。例えば、ヒスチ ジンは、βダイマーの形成を制御するために、ロイシンまたはアラニンと置換さ れ得る。 本発明はさらに、Ni(II)およびオキソン(oxone)をヘモグロビン溶液へ添加す ることによって、安定な分子内架橋βダイマーを産生する方法に関する。このよ うな方法は、溶液中に含まれるヘモグロビン内で、N末端残基に隣接したヒスチ ジン(本明細書中以後、「His2」ともいわれる)を含むグロビン間で安定なダイ マーを産生する。ヘモグロビンは、例えば1995年9月14日に公開され、そして本 明細書中に参考として援用されるWO 95/24213に記載される供給源のような、任 意の供給源に由来し得る。図面の簡単な説明 図1は、Ni(II)/オキソンとの反応の前および後の、ヒトヘモグロビンA0のSD S-PAGEを示す。ゲルの内容物:タンパク質サイズマーカー(レーン1)、DTTの 還元状態下での反応前のHb A0(レーン4)、DTTの還元状態下での反応後のHb A0 (レーン5)。 図2は、2位にHis残基(His2)を含むヘモグロビンのβ鎖のN末端で生じる酸 化的損傷の提唱された模式図を示す。 図3は、p733についてのプラスミドを示す。発明の詳細な説明 本発明は、一般的に組換え体ヘモグロビンの産生の間のβダイマー形成を制御 する方法に関する。本発明は、ヒトヘモグロビンのβ鎖が、安定なβグロビンダ イマーの形成を導く金属触媒性酸化に感受性を与えるN末端アミノ酸に隣接する ヒスチジンを含むという知見に基づく。 タンパク質に対する遷移金属触媒性酸化的損傷は、加齢、動脈硬化症、および 虚血再灌流を含む種々の有害な生理学的プロセスに関係している。タンパク質の 金属触媒性酸化の金属結合部位特異的な性質は、よく確証されている(Amiciら、J .Biol.Chem. 264:3341(1989);Stadtman,Ann .Rev.Biochem.62:797-821(19 93))。インビボでのタンパク質の酸化的修飾は、アルギニンからのγグルタミル セミアルデヒド(Climentら、Anal .Biochem.182:226(1989)およびリジンからの 2-アミノアジピンセミアルデヒド(StadtmanおよびOliver,J .Biol.Chem.266 :2005(1991))の形成を含む、アミノ酸側鎖上のカルボニル基を産生すると仮定さ れている。研究者らは、Fe(II)およびH2O2を用いるモデル系を使用して、インビ トロでのタンパク質およびペプチドの酸化的修飾を研究しており、そしてタンパ ク質のインビボ酸化の機構を解明する際のフェントン化学モデルのような生理学 的関連性が、広範に認められる(StadtmanおよびOliver,前出;Schoneichら,Bio chim .Biophys.Acta 1158:307(1993))。 溶液中で会合的に錯体化する他のタンパク質の酸化的分子間架橋は、最近報告 され(Brownら、Biochemistry 34:4733-4739(1995)、この中で外来性のトリペ プチド(NH2-Gly-Gly-His-COOH)がタンパク質に付加されて、多価(high valent) ニッケル錯体の過酸媒介形成に対するニッケル結合部位として役立った。この錯 体は、会合タンパク質間で、おそらく芳香族アミノ酸の攻撃によって共有結合形 成をふやした。隣接するヒスチジン残基を有するペプチドのアミノ末端および/ またはカルボキシル末端に指向される多価ニッケルおよび鉄錯体によって促進さ れる分子内酸化もまた、Schoenichら,Biochimica et Biophysica Acta 1158:3 07-322(1993)に報告されている。 対照的に、ヘモグロビンはこのような部位を挿入する必要なく金属結合部位を 含む。しかし、以前に、ヘモグロビンおよび他のヘムタンパク質の金属触媒性タ ンパク質酸化の研究は、ヘム鉄と過酸化物との触媒的な相互作用によって複雑で あった。この反応は、非常に不安定な第II鉄(ferryl)ヘム種の形成を介して顕著 なヘム酸化およびタンパク質分解を生じ得る。しかし、本発明は、はっきりと感 知できるヘム鉄酸化、タンパク質変性、または凝集を生じることなく、タンパク 質サブユニット間の酸化的架橋が生成され得る条件下でのヘモグロビンとオキシ ダントとの反応に関する。 これらの金属結合部位は、ニッケルイオンおよびオキシダントの存在下でβグ ロビンサブユニット間の共有結合形成を促進するようである。共有結合形成は、 事実、「オキソン」として知られるペルオキソ一硫酸カリウムによってインビト ロで駆動され得る。βグロビンダイマー化は、マルチテトラマー(すなわち、分 子間架橋された)ヘモグロビン種の比較的少ない形成(<5%)を生じる。それ ゆえ、このダイマーは、ジスルフィド結合の関与を有さずに主に分子内架橋され る。 上記のように、ヘモグロビン上の金属結合部位は、ニッケル存在下でのオキソ ンの添加の際にβグロビンサブユニット間の共有結合形成を促進するようである 。この反応はまた、βグロビンアミノ末端の酸化的脱アミノ化として同定された 修飾の実質的な(substanlal)収量を生じ、その場所においてβケトアミドを生成 する。本研究からの結果は、βグロビンHis2が、活性なニッケル錯体生成、酸化 的脱アミノ化、および分子内架橋のために要求されることを示す。 ニッケル(II)イオン存在下でのオキソンとのヒトヘモグロビンA0の反応は、主 に、タンパク質のβグロビンの分子内架橋およびβグロビンアミノ末端の顕著な 酸化的脱アミノ化を生じることが、現在見出されている。使用された酸化的状態 は、一酸化炭素リガンド化ヘモグロビンのヘム第一鉄を酸化するために十分に厳 しくなく、そしてヘム中心の触媒活性は関与するようではない。使用された条件 下でαグロビンがN末端酸化的脱アミノ化に同様に感受性であるという証拠は見 出されなかった。ヒトヘモグロビンのβ鎖とα鎖との1つの一次配列の相違は、 β鎖が、N末端アミノ酸に隣接したヒスチジンを含むことである。 αグロビン V-LSPADK... βグロビン VHLTPEEK... この位置でのヒスチジンは、金属触媒性酸化に感受性を与え得ると考えられる 。異なる組換え体ヘモグロビン改変体での結果は、2位でのヒスチジンが、βグ ロビンアミノ末端のNi(II)触媒性酸化的脱アミノ化、およびβグロビンの分子内 架橋の両方のために要求されることを確認する。ヘモグロビンにおいてNi(II)と の錯体化によって誘導される分光光度的に観察可能な吸光度の変化が、βグロビ ンの2位でヒスチジンを欠くヘモグロビンには存在しないことは、βグロビンHi s2が、ヘモグロビン上の特有の酸化還元活性Ni(II)錯体化部位の必須の部分であ るというさらなる証拠を提供することが見出された。 実験結果は、βグロビンのNi(II)触媒性酸化的分子内架橋が、1つのグロビン のN末端と他のグロビンのC末端領域との間で生じることを示唆する。しかし、 ペプチドマッピングは主要な架橋の同定を提供しなかったが、むしろ反応によっ て産生された架橋の不均一な特徴を示した。まだ未変性状態のヘモグロビン反応 物のシアノホウ化水素ナトリウム処理の後に見出される架橋されたペプチドのア ミンダブレットの特徴づけは、Shiff塩基還元と一致しているようであり、この ことは、酸化的に脱アミノ化されたβグロビンの末端と、同じタンパク分子内か ら対向するβグロビンでLysl44のεアミノ基との間の第2級アミン結合を生じる 。しかし、144位でリジンを欠く組換え体ヘモグロビン改変体は、βグロビンダ イマー化に感受性のままである。R状態ヘモグロビンの報告された構造は、ヘモ グロビンテトラマーにおいて対向するβグロビンのアミノ末端とカルボキシル末 端との間の隣接する空間的な接触を示す(Baldwin,J .Mol.Biol.136:103(1980 ))。 置換(His143 Ala、Tyr145His)、またはHis146の欠失を含むヘモグロビン改変 体の全ては、架橋に対する同程度の感受性を示した。このことは、C末端残基の 特定の側鎖が、厳密には必要とされないことを示唆する。C末端で、それぞれ3 アミノ酸または4アミノ酸の欠失を含む2つの組換え体ヘモグロビン改変体は、 ダイマー化についての有意に減少した感受性を示した。これは、これらの改変体 の新しいC末端領域が、もはや架橋形成のためのβグロビンN末端と十分に密 接に近接して接触しないようであるという点で立体的要件に起因し得る。 これらの知見から、βグロビン2位のヒスチジンが、リジンの鉄触媒性脱アミ ノ化におけるε炭素についてStadtmanによって提唱されたのと同様に、酸化条件 下のβグロビンアミノ末端残基のα炭素での炭素中心ラジカルのニッケル触媒性 形成に感受性を与えると考えられる。「活性化」α炭素は、3つの方法のうちの 1つで反応し得る。第1に、ラジカルは水と即座に反応して、Stadtmanによって 提唱されたのと同様に酸化的脱アミノ化を生じ得る。第2に、ラジカルは、空間 的に隣接するβC末端領域上の種々の部位を攻撃し得、このことは炭素−炭素結 合および/または炭素−窒素結合の不均一なセットを導く。この経路から得られ る可能性のある生成物の多数の組合せは、N末端領域からC末端領域へと架橋さ れた特定のペプチドを同定することの困難さを部分的に説明し得る。類似の型の 不安定な結合は、E .coliのカタラーゼHPIIにおいて必須チロシンのβ炭素とヒ スチジンの窒素との間で形成することが最近提唱されている(Bravoら,ProteinS ci 6:1016(1997))。最後に、N末端残基がメチオニンである場合において、ラ ジカルは側鎖イオウ原子へ転移されてメチオニンスルホキシドの形成を導き、酸 化的脱アミノ化を効率的に「クエンチ」し得る。この知見は、タンパク質におい て内因性の抗酸化剤としての、最近Levineら,Proc .Nat'l Acad.Sci.U.S.A.9 3:15036(1996)によって仮定された役割を果たすメチオニンの特有の例を提供す る。 βダイマー化は、特定のヘモグロビン適用に有用であり得るが、必ずしも望ま しいわけではない。それゆえ、一つの局面において、本発明は、そのようなβダ イマーの形成を防止する方法に関する。そのような方法は、βグロビンにおける 変異によって達成される。例えば、一つの実施態様において、βグロビンにおい てN末端アミノ酸に隣接するヒスチジンは、発現されるタンパク質が、N末端か ら第2位にヒスチジンを有さないように1つ以上のアミノ酸で置換され得る。同 様に、1つ以上のアミノ酸は、挿入されるアミノ酸がN末端Metの除去を導くア ミノ酸(例えば、βグロビンがE.coli宿主細胞によって発現される場合、アラ ニン、グリシン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、およびシステイン) でない限り、N末端アミノ酸とヒスチジンとの間に挿入され得る(Hirelら,Proc .Nat'l Acad.Sci.U.S.A. ,86:8247-51(1989))。例えば、E.coli系において 、開始メチオニン(Met)残基は、発現される第2のアミノ酸がアラニンである場 合、内因性E.coliメチオニルアミノペプチダーゼによって定量的に除去される 。それゆえ、アラニンがヒスチジンの前に挿入される場合、得られる発現タンパ ク質は、Metの切断に起因して2位にヒスチジンを含む。アミノ酸の付加または 置換のための方法は、当該分野で公知の手段によってか、または以下の実施例に 記載のように達成され得る。 本発明はさらに、変異したβグロビンおよびこのような変異の発現のために有 用な核酸に関する。このような核酸は、従来の方法に従ってか、または以下の実 施例に記載のように適切な組換え宿主細胞に挿入されるべきプラスミドを構築す るために使用され得る。 手短に言えば、β内に種々の変異を有するプラスミドが構築され、そしてE.c oli宿主細胞を形質転換するために使用された。架橋反応は、NiCl2を用いて実施 され、次いでオキソンが添加された。Ni(II)およびオキソンを含む溶液中での未 変性のヘモグロビン(すなわち、2位でヒスチジン-His2を有する)の反応は、 分子内ダイマーβグロビンの形成を生じた。この反応は、反応混合物中にEDTAを 含有することによって、ならびにβグロビンにおけるHis2のLeuまたはAlaでの置 換によってブロックされる。これらの結果は、βグロビンHis2が、多価ニッケル 錯体に対して結合部位として役立ち得ることを示す。この錯体は、主に分子内架 橋を促進して安定なβダイマーを形成する。 本発明はまた、所望のβグロビン変異を含む任意の適切な宿主細胞に関する。 適切な宿主細胞には、例えば、細菌細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、爬虫類細胞 、および昆虫細胞が含まれる。E.coli細胞は、新規のポリペプチドを発現する た め特に有用である。好ましくは、複数のサブユニットが、細菌中で発現される場 合、WO 93/09143に記載のように、サブユニットが同じ細胞において多シストロ ン性に同時発現されることが望ましいが、必要ではない。単一のプロモーターの 使用は、E.coliにおいて所望のタンパク質をコードする遺伝子の発現を駆動す るために好ましい。 本発明のβ変異を含む組換え体ヘモグロビンは、多数のインビトロまたはイン ビボでの適用に使用され得る。このようなインビトロ適用は、例えば、インビト ロで酸素レベルを維持することによる細胞培養物中の細胞増殖の増強のための、 本発明の組成物による酸素送達を含む(DiSorboおよびReeves,PCT公開WO 94/22 482、本明細書に参考として援用される)。さらに、本発明のヘモグロビンは、 酸素の除去を必要とする溶液から酸素を除去するために(BonaventuraおよびBon aventura,米国特許第4,343,715号、本明細書に参考として援用される)、そし て分析アッセイおよび器械使用(Chiang,米国特許第5,320,965号、本明細書に 参考として援用される)ならびに当業者に公知の他のこのようなインビトロ適用 のための参照標準として使用され得る。 さらなる実施態様において、本発明のヘモグロビンは、治療適用での使用のた めに処方され得る。本発明のヘモグロビンに適切な例示的な処方は、Milneら,W O 95/14038およびGerberら,PCT/US95/10232(両方とも本明細書中に参考として 援用される)に記載される。本発明の薬学的組成物は、例えば、皮下、静脈内、 または筋肉内注射、局所または経口投与、血液代用物として有用な大容量非経口 溶液などによって投与され得る。本発明の薬学的組成物は、経口もしくはエアロ ゾル投与によるか、経皮もしくは粘膜吸着によるか、または注射によるような、 任意の従来の手段によって投与され得る。 例えば、本発明のヘモグロビンは、赤血球が使用される任意の適用において、 または酸素送達が所望される任意の適用のために、赤血球の代用物として有用な 組成物中で使用され得る。赤血球代用物として処方される本発明のこのようなヘ モグロビンは、血液容量が損失しそして液体容量もしくは酸素運搬能力のいずれ かまたはその両方が置換されなければならない場合である、出血、外傷、および 外科手術の処置に使用され得る。さらに、本発明のヘモグロビンは薬学的に受容 可能にされ得るので、本発明のヘモグロビンは、酸素を送達する血液代用物とし てだけでなく、大きなヘモグロビンタンパク質分子の存在による膨張圧を提供す る簡単な容量増量剤としても使用され得る。さらなる実施熊様では、本発明の架 橋ヘモグロビンは、ヘモグロビンに基づく血液代用物の溢血を制限するか、また はコロイド浸透圧を減少することが望ましい状況で使用され得る。本発明のヘモ グロビンは、高分子量で合成され得る。従って、本発明のヘモグロビンは、赤血 球代用物として酸素を輸送するために作用し得るが、過剰な溢血に関連し得る有 害な効果を減少させ得る。 酸素送達剤としての本発明のヘモグロビンの代表的用量は、患者の体重1キロ グラム当たり2mg〜5グラム以上の細胞外ヘモグロビンであり得る。従って、ヒ ト患者への代表的用量は、数グラムから350グラムより多くであり得る。必要な 有効量は注射などのような多数投与の投与によって到達され得るので、各投薬形 態の個々の用量に含まれる活性成分の単位含量は、それ自体で有効量を構成する 必要がないことが理解される。投薬の選択は、利用される投薬形態、処置される 状態、および当業者の決定に従って達成されるべき特定の目的に依存する。 本発明のヘモグロビンの投与は、ヘモグロビン使用法の目的に依存して数秒間 から数時間の期間で生じ得る。例えば、酸素送達ビヒクルとして、投与の通常の 時間経過は、できるだけ迅速である。血液置換物としてのヘモグロビン溶液につ いての代表的な注入速度は、約100ml〜3000ml/時間であり得る。 さらなる実施態様では、本発明のヘモグロビンは、PCT公開WO95/24213に記載 されるように、貧血にかかっている患者にさらなる酸素運搬能力を提供すること によって、および/または造血を刺激することによっての両方で、貧血を処置す るために使用され得る。造血を刺激するために使用される場合、ヘモグロビンの 投薬量は、出血を処置するために必要とされ得る投薬量よりもずっと小さいので 、投与速度は緩徐であり得る。それゆえ、本発明のヘモグロビンは、患者への大 容量のヘモグロビンの投与を必要とする適用、ならびに本発明のヘモグロビンの ほんの少容量が投与される状況に使用され得る。 血管系における本発明のヘモグロビンの分配は、赤血球のサイズによって制限 されないので、本発明のヘモグロビンは、赤血球が浸透できない領域へ酸素を送 達するために使用され得る。これらの領域は、血栓、鎌状赤血球閉塞、動脈閉塞 、血管形成用バルーン、外科的装置などの下流の領域のような、赤血球の流れに 対する閉塞の下流に位置する任意の組織領域、酸素飢餓を受けるかまたは低酸素 であるなどの任意の組織を含み得る。さらに、任意の型の組織虚血は、本発明の ヘモグロビンを用いて処置され得る。このような組織虚血は、例えば、発作、顕 現性発作(emerging stroke)、一過性脳虚血発作、心筋の気絶(stunning)お よび冬眠、急性狭心症または不安定狭心症、顕現性狭心症、梗塞などを含む。体 内でのこの広い分配のため、本発明のヘモグロビンはまた、薬物を送達するため およびインビボでのイメージングのために使用され得る。 本発明のヘモグロビンはまた、患者の血液が、外科手術の最後または回復の間 の再注入のために取り出されそして貯蔵される外科的手順の間に取り出される血 液の置換物として使用され得る(急性正常血液量の血液希釈または血液増量(hem oaugmentation))。さらに、本発明のヘモグロビンは、供与される酸素運搬能力 のいくらかを置換するために作用することによって、外科手術前に予め供与され 得る血液の量を増加させるために使用され得る。 以下の実施例は、本発明を例示することを意図するが、本発明を制限すること を意図しない。 実施例1 コピー数に変異を含むプラスミドの構築: 中程度コピー数プラスミド;pSGE705 組換え体ヘモグロビン様タンパク質(例えば、本明細書中に参考として援用さ れるPCT公開WO 90/13645に記載されるrHb1.1)を、lacプロモーター領域および /または位置の改変を含むいくつかのE.coli株の発酵により生成した。プラスミ ドpSGE705を有する親のE.coli株1661の構築は、1997年2月6日に公開され、そ して本明細書中に参考として援用されるWO 97/04110に記載される。 実施例2 コピー数に変異を含むプラスミドの構築: 高コピー数プラスミド、pSGE720 pSGE720の構築を2段階で行った。第1に、pUCの複製起点をPSGE705に導入し てプラスミドpSGE715を作製した。pSGE715は、lacI遺伝子を含むという点でpSGE 705に類似する。次いで、lacI遺伝子をこのプラスミドから欠失し、そしていく つかの都合の良い制限部位を含む短いオリゴヌクレオチドで置換して、プラスミ ドpSGE720を作製した。詳細は、本明細書中に参考として援用されるWO 97/04110 に提供される。 実施例3 種々のlacI染色体対立遺伝子を含む株の構築: SGE1661、SGE1670、およびSGE1675 染色体上にlacIqを含んでいた株SGE1494および株SGE1495を、ATCC(それぞれ 、ATCC受託番号47041および47043)から購入した。SGE77を、Stratagene,Inc. (カタログ番号D1210)から購入し、そしてまたF’エピソーム上にlacIqを含ん でいた。 株SGE1661は、野生型染色体lacI対立遺伝子を含んでいた。この株を、代替の 染色体lacI対立遺伝子を含む株の構築のための出発物質として用いた。 染色体のlacIプロモーターの強さを増加させる効果を調べるために、株SGE167 0を構築した。lacIq1k対立遺伝子を含む株SGE1670を、SGE299上で増殖させた溶 解産物を用いるP1バクテリオファージ形質導入、カナマイシン耐性形質導入体の 選択により、SGE1661から構築した。株SGE299は、推定のlacIq1対立遺伝子をF' エピソーム上にlacZ遺伝子に隣接して含んでいた。ここで、Tn5トランスポゾン が挿入されてlacZを不活化している。トランスポゾン挿入は、細胞にカナマイシ ン耐性を与えた。SGE299はまた、AG1688またはRDK2759として知られており、そ してHuら(Protein Science,2:1072-1084,1993)により記載されている。ある いは、当業者は、lacIまたはlacIq対立遺伝子を有する任意の株を使用し、そし てガイドとしてCalosおよび、Miller,Mol .Gen.Genet.,183:559-560(1981) の配列を用いて配列を変異させてlacIq1を生じ得る。SGE299のPCR分析(下記) は、推定のlacIqがlacIq1、すなわちその改変体であることを実証した。 株SGE1675では、染色体上のlacオペロンの機能性は、lacI対立遺伝子に影響を 与えることなく保存された。SGE1670におけるlacZ中のトランスポゾン挿入の存 在は、ラクトースの代謝および輸送に関与する機能lacYおよびlacAを破壊した極 性変異をもたらした。これは、プラスミド上のPtacの発現をIPTGで誘導する能 力に影響を与え得、従って所定のプラスミドからのβ-ガラクトシダーゼまたは ヘモグロビン生成に影響を与え得る。SGE1675を、SGE765で調製したP1溶解産物 からのSGE1670の形質導入により構築した。SGE765は、細胞にカナマイシン耐性 を与えるlacI遺伝子中へのTn5挿入を含む株であった。さらに、SGE765は、野生 型コピーのlacZを含んでいた。株SGE765を、MS24で作製した溶解産物から株C300 0へのP1形質導入により作製した。MS24はまた、MG1655 lacI3098::Tn10kan、acZ A118として知られており、そしてSingerら(Microbiol.Rev.53:1-24,1989)に 記載されている。株C3000は、アメリカンタイプカルチャーコレクションから、A TCC番号15597として入手可能である。 形質導入体を、ラクトースを唯一の炭素源として含む最少培地上で増殖するそ れらの能力について選択し、そしてカナマイシンに対する感受性についてスクリ ーニングした。カナマイシンに感受性であり、そしてlac+である形質導入体を、 プラスミドpSGE714からのβ-ガラクトシダーゼの発現を調節(抑制)するそれら の能力についてスクリーニングした(以下を参照のこと)。注:pSGE714は、プ ラスミド上にlacIを含まず、そしてlacZの抑制について株SGE1670について記載 された通りに調べた。 実施例4 lacIを含む、中程度コピー数LacZ融合体プラスミド:pSGE712 lacI遺伝子、およびβグロビン遺伝子の5'末端へのlacZ遺伝子の融合体を含む pSGE712を、以下の通りに構築した。この構築物は、細胞中のβ-ガラクトシダー ゼ活性の機能としての発現制御をスクリーニングするための便利な手段を提供し た。従って、インデューサーの非存在下では、β-ガラクトシダーゼの発現は、 プラスミドから主に発現されるlacリプレッサー遺伝子の産物による発現制御の 敏感な尺度を提供した。 pSGE705を、SalIおよびBglIIで消化した。pMBL1034(Sankar Adhya,NIHより 入手し、そしてMiller,G.H.,Experiments in Gene Fusions,(1984),Cold Sp ring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載される)をBamH IおよびBalIで消化した。2つの消化物を、Promega MagicDNAクリーンアップカ ラムを用い、製造者の推奨する手順を用いて浄化し、そしてDNAをT4 DNAリガー ゼを用いて連結した。連結混合物を用いて、JM109コンピテント細胞を形質転換 した。候補物は、X-galを含有するLB ampプレート上でアンピシリン耐性でかつ 青色のコロニーであり、そして適切なプラスミドコンホメーションについてのBa mHI/HindIII消化によりスクリーニングした。適切な候補物は、元のプラスミド よりほぼ3キロ塩基対長いBamHI-HindIIIフラグメントを含んでいた。このこと は、プラスミド上のlacZ遺伝子の存在を示す。 実施例5 lacIを有さない、中程度コピー数LacZ融合体プラスミドの構築:pSGE714 βグロビン遺伝子の5'末端へのlacZ遺伝子の融合体を含むpSGE714を、pSGE654 がpSGE705の代わりに出発物質として用いられること以外は、実施例4に記載の 通りに構築した。pSGE712とは異なり、pSGE714はlacIを含まないことに留意され たい。この構築物は、細胞におけるβ-ガラクトシダーゼ活性の機能として発現 制御をスクリーニングするための便利な手段を提供した。従って、インデューサ ーの非存在下では、β-ガラクトシダーゼの発現は、細胞の染色体から発現され るlacリプレッサー遺伝子の産物による発現制御の敏感な尺度を提供した。 実施例6 lacIを有さない、高コピー数LacZ融合体プラスミドの構築:pSGE721 βグロビン遺伝子の5'末端へのlacZ遺伝子の融合体を含むpSGE721を、pSGE720 がpSGE705の代わりに出発物質として用いられること以外は、実施例4に記載の 通りに構築した。この構築物は、細胞におけるβ-ガラクトシダーゼ活性の機能 として発現制御をスクリーニングするための便利な手段を提供した。従って、イ ンデューサーの非存在下では、β-ガラクトシダーゼの発現は、細胞の染色体か ら発現されるlacリプレッサー遺伝子の産物による発現制御の敏感な尺度を提供 した。このプラスミドは、1細胞あたりほぼ500コピーのプラスミドをもたらす 。これらのプラスミドコピーからのβ-ガラクトシダーゼの発現を制御するため に、より多くのリプレッサーは、細胞毎にプラスミドが存在するのではなく、細 胞毎に染色体のコピーのlacIから発現されなければならない。 実施例7 単一のαグロビン遺伝子および野生型β遺伝子を含む 高コピー数プラスミドの構築:pSGE728 pSGE728の構築を、グロビン様タンパク質をコードするジα遺伝子の2つのα サブユニットのそれぞれの中でのみ切断する酵素でプラスミドpSGE720を消化し 、続いて連結して、1つのαサブユニットおよびジαグリシンリンカーの欠失を 優先的に再構築することにより行なった。得られたプラスミドpSGE726は、ジα 遺伝子ではなく単一のα遺伝子を含む。βグロビン遺伝子のヒトヘモグロビンの Presbyterian変異を、野生型のβを導入した第2の消化および連結により置換し 、そしてpSGE728を作製した。 A.pSGE726 の構築 pSGE720を、製造者の使用説明書(New England Biolabs)に従って、制限酵素 Xho1で消化した。pSGE720消化物を、Promega Magic DNA Clean-upプロトコルお よび試薬(Promega,Madison,WI)を用いて精製し、そして連結緩衝液中に懸濁 した。T4 DNAリガーゼを添加し、そしてDNAを16℃にて一晩インキュベートした 。SGE1675細胞を、Hanahan(Hanahan,D,同書)の方法によりコンピテントにし 、そして参照したプロトコルに従って連結混合物を用いて形質転換した。形質転 換体を、15μg/mlテトラサイクリンを含有するLBプレート上に細胞をプレート することにより選択した。候補物を、制限消化によりスクリーニングして、pSGE 720中に存在するジαグロビン遺伝子ではなく、モノαグロビン遺伝子の存在を 決定 した。いくつかの候補物を同定し、そして得られたプラスミドを、pSGE726と命 名した。SGE1675中のpSGE726を、SGE1480と呼んだ。このプラスミドは、ヘモグ ロビン様分子rHb1.0、モノα+βPresbyterianを発現した。 B.pSGE728 の構築 pSGE726およびpSGE0.0E4(Hoffmanら,1990.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.8 7:8521-8525およびLookerら,1992.Nature,356:258-260)を、制限酵素BglII およびHindIIIで、製造者の使用説明書(New England Biolabs)に従って消化し た。消化物を、1%アガロースゲル中のウェルにロードし、そしてManiatisら( Maniatis,T.,E.F.Fritsch,およびJ.Sambrook.1982.Molecular Cloning.Col d Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)に記載される通りにTr is酢酸緩衝液中で電気泳動に供した。pSGE0.0E4消化物由来の約300塩基対(bp) の小さなDNAバンド、およびpSGE726消化物由来の約3,400bpの大きなバンドを、 これらをアガロースゲルから切り出し、これらを1.7mlチューブ中にプールし、 そしてGeneClean Kitプロトコルおよび試薬(BIO 101,La Jolla,CA)を用いて 精製することにより精製した。精製しプールしたDNAフラグメントを、連結緩衝 液中に懸濁した。T4 DNAリガーゼを添加し、そしてDNAを16℃にて一晩インキュ ベートした。SGE1675細胞を、Hanahan(Hanahan,D,同書)の方法によりコンピ テントにし、そして参照したプロトコルに従って連結混合物を用いて形質転換し た。形質転換体を、15g/mlテトラサイクリンを含有するLBプレート上に細胞をプ レートすることにより選択した。候補物を、製造者の使用説明書(New England Biolabs)に従って、ScaIでの制限消化によりスクリーニングし、野生型βグロ ビン遺伝子の存在を決定した。この野生型βグロビン遺伝子は、ScaIにより切断 されるβPresbyterian遺伝子よりも、ScaI消化に感受性でない。いくつかの候補 物を同定した。得られたプラスミドを、pSGE728と命名した。SGE1675中のpSGE72 8を、SGE1483と呼んだ。このプラスミドは、rHb0.0、モノα+野生型βを発現し た。 実施例8 pSGE733およびβ変異を含むプラスミドの構築 プラスミドpSGE733を、pSGE720由来のジα遺伝子およびpSGE728の野生型βグ ロビンを用い、上記のような方法を用いて構築した。このプラスミドを、図3に 示す。PCR特異的変異誘発を用いて、開始メチオニンの後ろにアミノ酸置換およ び/または挿入を有する4つのβグロビン改変体を作製した。テンプレートとし てpSGE733を用いて、高コピー数プラスミド中に変更を別々に導入するために用 いたオリゴを、表1において同定する。オリゴDHD15は、βの中にEcoRI制限部位 を含む。PCRフラグメントを、Promega PCRクリーンアップキットを用いて浄化し 、そしてその後EcoRIおよびEbaIを用いて二重消化で切断した。 表1 オリゴ 消化したフラグメントを、発現のための非メチル化XbaI部位を有するpSGE720 に基づく高コピー数プラスミド中に別々にクローン化した。非メチル化XbaI部位 を、余分な「A」をXbaI配列の最初のTの前に挿入することにより(ATCTAGA) 作製した。得られたプラスミドを、p539という。 pSGE733の野生型βは、ScaI制限部位を含むpSGE720とは異なり、ScaI制限部位 を含まないので、得られた候補プラスミドを、制限消化によりスクリーニングし た。 実施例9 株SGE2706、株SGE3166、株SGE3167、および株SGE3168の調製 A.タンパク質および試薬 実施例8で得た4つの候補プラスミドを用いて同じE.coliバックグラウンドの 株(SGE1675)を形質転換し、表2に同定される株を作製した。オリゴマーMWO39 をp539と組み合わせ、そして得られたプラスミドを用いてSGE1675をSGE2706に形 質転換した。同様に、MW041を用いてSGE3166を作製し、MWO42を用いてSGE3167を 作製し、そしてMWO43を用いてSGE3168を作製した。 表2 E.coliにおける組換え体ヘモグロビンの発現は、本明細書中に参考として援用 される米国特許第5,028,588号に以前に報告されている。ヘミン(0.5mg/ml)を 補充した規定培地中で増殖している細胞において、100μM IPTGの添加、続いて の30℃で一晩のインキュベーションにより、ヘモグロビン発現を誘導した。全て の組換え体変異体ヘモグロビンを、Sephadex G25クロマトグラフィーにより、本 明細書中に参考として援用されるWO 95/14038に記載される方法に従って、一酸 化炭素をリガンドとし、そして緩衝液を0.1リン酸ナトリウム(pH8.3)に交換 した、Lookerら,Methods in Enzymology,231:364-374(1994)において以前に報 告された手順により、E.coli発現株から精製した。各改変体の最終的な一次配列 を、自動化Edman配列決定により決定し、そしてLC-MS分析により確認した。 NiCl2、EDTA、およびオキソン(ペルオキシモノ硫酸カリウム)を、全てAldri chから購入した。 B.架橋反応条件 架橋反応を、100μLの総容量で、0.1Mリン酸ナトリウム(pH8.3)で、0.4mM の最終ヘモグロビン濃度、0.8mMの最終ニッケル濃度で行なった。オキソン(Ald rich)を、0.8mMの最終濃度まで添加し、そして反応物を、アルゴン下で1時間 、氷上に置いた。次いで、10mMの最終濃度へのEDTAの添加により、反応をクエン チさせた。 C.逆相HPLCおよびSDS PAGE分析 ヘモグロビンを、酸アセトン抽出により脱ヘムし、そして水中の2%蟻酸に再 可溶化した後に、逆相HPLCを行なった。逆相HPLCグロビン画分を、凍結乾燥し、 そして50mM DTTを含有する還元サンプル緩衝液中に再可溶化した後に、NOVEXTM 4〜20% Tris-グリシンゲルでのSDS PAGE分析を行なった。 D.エレクトロスプレー質量分析法 エレクトロスプレー質量分析法(ESMS)を、Finnigan MAT LCQTM(Finnegan, San Jose,CA)を用いて行なった。逆相HPLCに由来する画分を、LCQソースに、 水中の0.1% TFA/40%アセトニトリル中で4μL/分で注入した。 E.ペプシンマッピング オンライン酵素消化ペプチドマッピングを、Prozyme固定化ペプシンカラム(P erSeptive Biosystems,Inc.,Cambridge,MA)を用い、LippincottらABRF'96:B iomolecular Techniques,S32(1996)に最近記載された改変版のオンライン消 化/ペプチドマッピング法を用いて行なった。 研究の結果を、以下の表3および表4に示す。表3は、βグロビンの脱アミノ 化および架橋へのアミノ酸配列の効果を示す。表4は、1つのβグロビンのN末 端上の新規な遊離カルボニルと、第2のβグロビンのLys144との間のSchiff塩基 化学を通して形成された、シアノホウ化水素ナトリウム還元架橋ペプチド(β1 +β15、16)のフラグメントイオンを示す。 これらの実験の結果は、Ni(II)およびオキソンを有する溶液中の天然状態のヘ モグロビンの反応が、分子内ダイマーβグロビンの形成をもたらすことを示す。 この反応は、反応混合物中にEDTAを含ませること、ならびにLeuまたはAlaによる βグロビンHis2の置換によりブロックされる。これらの結果は、βグロビンHis2 が、多価ニッケル錯体の結合部位として作用し得ることを示す。この錯体は、優 勢な分子内架橋されたβダイマーを促進すると判断される。 表3 表4
【手続補正書】 【提出日】平成12年2月24日(2000.2.24) 【補正内容】 明細書第17頁表1の「MWO43:(配列番号3)」を「MWO43:(配列番号9)」に補正 します。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヘモグロビン組成物におけるβダイマー形成を制御する方法であって、βグ ロビン上の金属結合部位を改変して該βダイマー形成を防止するかまたは減少さ せる工程を包含する、方法。 2.前記金属結合部位を改変することが、該金属結合部位を非金属結合アミノ酸 で置換することによる、請求項1に記載の方法。 3.前記金属結合部位がニッケル結合部位である、請求項1に記載の方法。 4.前記ニッケル結合部位が、前記βグロビンのN末端に隣接するヒスチジンで ある、請求項3に記載の方法。 5.前記ヒスチジンがロイシンで置換される、請求項4に記載の方法。 6.前記ヒスチジンがアラニンで置換される、請求項4に記載の方法。 7.前記金属結合部位を改変することが、N末端と該金属結合部位との間に1つ 以上のアミノ酸を挿入することによる、請求項1に記載の方法。 8.前記金属結合部位がニッケル結合部位である、請求項7に記載の方法。 9.前記ニッケル結合部位が、前記改変前に前記βグロビンのN末端に隣接する ヒスチジンである、請求項8に記載の方法。 10.前記挿入されるべきアミノ酸が、前記ヘモグロビンがE coli中で発現され る場合、N末端Metの除去を導かない、請求項9に記載の方法。 11.分子内架橋されたグロビンダイマーを産生する方法であって、Ni(II)およ びオキソンをヘモグロビン溶液に添加する工程を包含し、ここで該ヘモグロビン が、グロビンのN末端に隣接したニッケル結合部位を有する該グロビンを含む、 方法。 12.前記グロビンが、分子内架橋されたβダイマーを産生するβグロビンであ る、請求項11に記載の方法。 13.前記ニッケル結合部位がヒスチジンである、請求項12に記載の方法。
JP10508090A 1996-08-02 1997-08-01 ヘモグロビンにおけるβダイマー形成を制御する方法 Pending JP2000516455A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US2321196P 1996-08-02 1996-08-02
US60/023,211 1996-08-02
PCT/US1997/013564 WO1998005773A1 (en) 1996-08-02 1997-08-01 Methods of controlling beta dimer formation in hemoglobin

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000516455A true JP2000516455A (ja) 2000-12-12

Family

ID=21813720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10508090A Pending JP2000516455A (ja) 1996-08-02 1997-08-01 ヘモグロビンにおけるβダイマー形成を制御する方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US6171826B1 (ja)
EP (1) EP0985034B1 (ja)
JP (1) JP2000516455A (ja)
AU (1) AU3904497A (ja)
DE (1) DE69737214T2 (ja)
WO (1) WO1998005773A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998005773A1 (en) 1996-08-02 1998-02-12 Baxter Biotech Technology S.A.R.L. Methods of controlling beta dimer formation in hemoglobin
US7741287B2 (en) * 2004-08-18 2010-06-22 Ipf Pharmaceuticals Gmbh Peptides for the treatment of herpes virus infections
US20090155875A1 (en) * 2005-02-16 2009-06-18 Massachusetts Institute Of Technology Methods to Enhance Carbon Monoxide Dehydrogenase Activity and Uses Thereof

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5449759A (en) 1987-05-16 1995-09-12 Somatogen, Inc. Hemoglobins with intersubunit desulfide bonds
US5545727A (en) 1989-05-10 1996-08-13 Somatogen, Inc. DNA encoding fused di-alpha globins and production of pseudotetrameric hemoglobin
US5578564A (en) 1993-07-23 1996-11-26 Somatogen, Inc. Nickel-free hemoglobin and methods for producing such hemoglobin
US5840851A (en) 1993-07-23 1998-11-24 Plomer; J. Jeffrey Purification of hemoglobin
US5665869A (en) 1993-11-15 1997-09-09 Somatogen, Inc. Method for the rapid removal of protoporphyrin from protoporphyrin IX-containing solutions of hemoglobin
US5631219A (en) 1994-03-08 1997-05-20 Somatogen, Inc. Method of stimulating hematopoiesis with hemoglobin
AU6489996A (en) 1995-07-14 1997-02-18 Somatogen, Inc. Methods for increasing protein expression
WO1998005773A1 (en) 1996-08-02 1998-02-12 Baxter Biotech Technology S.A.R.L. Methods of controlling beta dimer formation in hemoglobin

Also Published As

Publication number Publication date
AU3904497A (en) 1998-02-25
DE69737214T2 (de) 2007-05-03
EP0985034B1 (en) 2007-01-03
DE69737214D1 (de) 2007-02-15
EP0985034A1 (en) 2000-03-15
US6171826B1 (en) 2001-01-09
WO1998005773A1 (en) 1998-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4399634B2 (ja) 増大した可溶性発現および/または低下した一酸化窒素の排出を伴うヘモグロビン変異体
US6136565A (en) Methods of reducing the levels of protoporphyrin IX in recombinant hemoglobin preparations
JPH07501059A (ja) 多量体ヘモグロビンの生成法及び使用法
JPH05255392A (ja) A−c−bプロインスリン、その製造法および使用法、およびインスリン生産の中間体
EP1123313A2 (en) Methods and compositions for the prevention and treatment of anemia
JP2008088186A (ja) 幹細胞増殖インヒビターおよびその使用
EP0792293A1 (en) Purification of hemoglobin
JP2006206592A (ja) 改変ヘモグロビン化合物およびその精製方法
CA2486245C (en) Albumin having enhanced antimicrobial activity
JP2000516455A (ja) ヘモグロビンにおけるβダイマー形成を制御する方法
US5843888A (en) Low oxygen affinity mutant hemoglobin
JP2004500871A (ja) 人工ヘモグロビン変異体、医薬組成物、プラスミド、人工ヘモグロビン変異体および人工ヒトヘモグロビン変異体、ならびに人工ヘモグロビンの製造方法
EP1396537A1 (en) Treatment of elevated plasma homocysteine
US6150506A (en) Modified hemoglobin-like compounds and methods of purifying same
JP2001501473A (ja) 環状に改変されたグロビンを取り込んだ酸素結合ヘムタンパク質
WO1991013158A1 (en) Protein production in yeast
EP1950298A2 (en) Hemoglobin mutants with increased soluble expression and/or reduced nitric oxide scavenging
WO1998008954A2 (en) Production of heme and recombinant hemoproteins
Manning Examples of chemical modification and recombinant DNA approaches with hemoglobin
CA2618690A1 (en) Hemoglobin mutants with increased soluble expression and/or reduced nitric oxide scavenging
AU2478295A (en) Purification of hemoglobin
JPH03259092A (ja) 蛋白質の製造法