JP3991057B2 - 改変ヘモグロビン化合物およびその精製方法 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、改変ヘモグロビン様化合物、およびさらに特定すると改変ヘモグロビン様ポリペプチドおよびタンパク質に関する。本発明はまた、このような改変ヘモグロビン様化合物を精製する方法に関する。
ヘモグロビン(本明細書では「Hb」という)は、血液の酸素運搬成分である。ヘモグロビンは、赤血球(erythrocytes、またはred blood cells)と呼ばれる小さい核のない細胞内で血流を介して循環する。ヘモグロビンは、4つの会合したポリペプチド鎖から構築され、そしてヘムとして知られる補欠分子族を有するタンパク質である。赤血球の助力は、ヘモグロビンを還元された機能的な形態で維持する。ヘム鉄原子は酸化を受けやすいが、赤血球内の2つの酵素系であるチトクロムb系およびグルタチオン還元系の1つによって再度還元され得る。
ヘモグロビンは、呼吸表面(皮膚、鰓、気管、肺など)で酸素を結合し、そして内部組織に酸素を輸送し、そこで酸素は放出されて代謝に使用される。現実に、低分子量ヘモグロビン(16〜120キロダルトン)は、循環している赤血球に包まれている傾向があり、一方、より大きなポリマー性ヘモグロビンは血液または血リンパ中で遊離して循環する。
ヘモグロビンの構造は周知であり、BunnおよびForget編、Hemoglobin: Molecular, Genetic and Clinical Aspects(W.B. Saunders Co., Philadelphia, PA: 1986)ならびにFermiおよびPerutz「Hemoglobin and Myoglobin」PhillipsおよびRichards、Atlas of Molecular Structures in Biology(Clarendon Press: 1981)に記載されている。
正常な成人溶血物の約92%はHb AOである(2つのアルファ鎖および2つのベータ鎖を含むので、アルファベータと称される)。ヘモグロビンテトラマーにおいて、各アルファサブユニットは1つのベータサブユニットと会合して、安定なアルファ/ベータダイマーを形成し、この2つが順に会合してテトラマーを形成する。サブユニットは、ファンデルワールス力、水素結合、および塩架橋によって非共有結合される。Hb AOのアルファおよびベータグロビンポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、PCT公開公報第WO 93/09143号の表1に与えられる。野生型アルファ鎖は141アミノ酸からなる。ヘム(フェロプロトポルフィリンIX)基の鉄原子は、His87(「近位ヒスチジン」)のイミダゾールに共有結合される。野生型ベータ鎖は146残基長であり、そしてヘムはHis 92に結合される。
ヒトアルファおよびベータグロビン遺伝子は、それぞれ第16染色体および第11染色体に存在する。BunnおよびForget、以下の172。両方の遺伝子はクローニングされ、そして配列決定されている:Liebhaberら、PNAS77:7054-58 (1980)(アルファグロビンゲノムDNA);Marottaら、J. Biol. Chem., 252: 5040-53 (1977)(ベータグロビンcDNA);Lawnら、Cell,21:647 (1980)(ベータグロビンゲノムDNA)。
ヘモグロビンは、ヘモグロビン分子の4つのサブユニット(Hb AOの場合は2つのアルファグロビンおよび2つのベータグロビン)によって酸素の協力的結合を示し、そしてこの協力性は効果的な酸素輸送を非常に容易にする。協力性は、いわゆるヘム−ヘム相互作用によって達成され、ヘモグロビンの酸素に対する親和性を変化させる。協力性はまた、酸素解離曲線(以下に記載される)を使用して決定され得、そして一般的にはヒル係数、「n」または「nmax」として報告される。ヘモグロビンは、ヘモグロビン1モル当たり4モルまでの酸素を可逆的に結合する。
酸素運搬化合物は、酸素解離曲線として公知のデバイスを用いて頻繁に比較される。この曲線は、所定の酸素キャリアについて、酸素飽和または酸素含量が酸素分圧に対してグラフにされる場合に得られる。Hbについては、飽和の割合が、シグモイド相関関係に従って分圧とともに増加する。P50は、酸素運搬種が酸素で半分飽和される分圧である。このように、これは酸素結合親和性の測定である;P50が高いほど容易に酸素が放出される。
生理学的条件下でヘモグロビンがその酸素親和性を変化し、体のあちこちへの酸素輸送の効率を増大させる能力は、代謝物である2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG)の存在に大きく依存している。ヘモグロビンの酸素親和性は、2,3-DPGの存在により低下する。赤血球の内部では、2,3-DPGはヘモグロビン自体とほとんど同じくらい高い濃度で存在する。2,3-DPGの非存在下では、「従来の」ヘモグロビン(ヘモグロビンAO)は、生理学的酸素分圧で酸素を非常に強く結合し、そして呼吸している組織に少量の酸素を放出する。したがって、ヘモグロビンのあらゆる代替物は、酸素親和性および/またはヒル係数を生理学的にを有意味なレベルに修正しなければならない(例えば、Rausch,C.およびFeola, M., 米国特許第5,084,558号および第5,296,465号;Sehgal, L.R.,米国特許第4,826,811号および5,194,590号;Hoffmanら,WO 90/13645;HoffmanおよびNagai, 米国特許第5,028,588号;Andersnら, WO 93/09143;Fronticelli,C.ら, 米国特許第5,239,061号;およびDe Angeloら, WO 93/08831およびWO 91/16349を参照のこと)。
献血で患者を輸血することは必ずしも実用的または安全ではない。これらの状況において、赤血球(「RBC」)代替物の使用が望ましい。ヒト血液が入手可能でないかまたは輸血の危険が非常に大きい場合、血漿増量剤が投与され得る。しかし、コロイドおよび晶質溶液のような血漿増量剤は、血液容量のみをもとに戻し、そして酸素運搬能力は戻さない。血液が輸血に利用可能でない状況では、容量置換を提供することに加えて酸素を輸送し得る赤血球代替物が望ましい。
この要件を提供するために、多くの赤血球代替物が開発されている(Winslow, R.M.(1992) Hemoglobin-based Red Cell Substitutes, THe Johns Hopkins University Press, Baltimore 242頁)。これらの代替物としては、合成パーフルオロカーボン(perfluovocavbon)溶液(Long,D.M. 欧州特許第0307087号)、化学的に架橋されたおよび架橋されていない両方の、種々の哺乳動物赤血球に由来する間質を含まないヘモグロビン溶液(Rausch,C.およびFeola, M., 米国特許第5,084,558号および第5,296,465号;Sehgal, L.R., 米国特許第4,826,811号および第5,194,590号;Vlahakes,G.J.ら, (1990) J. Thorac. Cardiovas. Surg. 100: 379-388)、および遺伝子操作された生体で発現および精製されるヘモグロビン(例えば、細菌および酵母のような非赤血球細胞,Hoffmanら, WO 90/13645;細菌,
Andersonら, WO 93/09143、細菌および酵母, Fronticelli, C.ら, 米国特許第5,239,061号;酵母,De Angeloら, WO 93/08831およびWO 91/16349;およびトランスジェニック哺乳動物, Loganら, WO 92/22646;Townes,T.M.およびMcCune, S.L., WO 92/11283)が挙げられる。これらの赤血球代替物は、赤血球の容量および酸素運搬能力を置き換えるかまたは増大するように設計されている。
しかし、動物およびヒトに投与されている赤血球置換溶液は、投与の際に一定の不利な事象を示している。これらの不利な反応は、高血圧、腎不全、神経毒性、および肝毒性を含んでいる(Winslow, R.M., (1992) Hemoglobin-based Red Cell Substitutes, The Johns Hopkins University Press, Baltimore 242頁;Biro, G.P.ら, (1992) Biomat.,Art. Cells & Immob. Biotech. 20: 1013-1020)。パーフルオロカーボンの場合、高血圧、網状内皮系の活性化、および補体活性化が観察されている(Reichelt,H.ら, (1992) Blood Substitutes and Oxygen Carriers, T.M. Chang(編), 769-772頁;Bentley,P.K. 前出, 778-781頁)。ヘモグロビンに基づく酸素運搬については、腎不全および腎毒性はヘモグロビンアルファ/ベータダイマーの形成の結果である。ダイマーの形成は、ヘモグロビンダ
イマーを化学的に架橋すること(Sehgalら、米国特許第4,826,811号および第5,194,590号;Walder,J.A. 米国再発行特許第RE34271号)または遺伝学的に連結すること(Hoffmanら、WO 90/13645)によって妨げられ得、そのためテトラマーが解離することから妨げられる。
ダイマー形成の防止は、ヘモグロビン投与に付随する不利な事象のすべてを軽減していない。血圧は変化し、そしてヘモグロビン溶液の投与の際の胃腸の効果は、ヘモグロビンによる内皮由来血管弛緩因子(EDRF)の結合から生じる血管収縮に寄与している(Spahn,
D.R.ら, (1994) Anesth. Analg.78:1000-1021;Biro, G.P., (1992) Biomat., Art. Cells & Immob. Biotech., 20:1013-1020;Vandegriff, K.D. (1992) Biotechnology and Genetic Engineering Reviews, 10巻: 404-453 M. P. Tombs編, Intercept Ltd., Andover,
England)。内皮由来血管弛緩因子は、一酸化窒素(NO)として同定されており(総説については、Moncada,S.ら, (1991) Pharmacol. Rev. 43: 109-142);誘導性NOおよび構成的NOの両方ともが、主として血管系の内皮で産生され、そして血管緊張力の局所的モジュレーターとして作用する。
ヘモグロビンが赤血球に含まれる場合、これは血管の境界を越えて移動し得ない。したがって、一酸化窒素は、結合される前にRBC中のヘモグロビンへ拡散しなければならない。ヘモグロビンに基づく血液代替物の場合のように、ヘモグロビンがRBC内に含まれない場合は、血管を内層する内皮を越えて通過し得、そして血管外空間に浸透する(溢血)。したがって、細胞外ヘモグロビンの投与に付随する不利な事象を引き起こす可能性のあるメカニズムは、ヘモグロビンの溢血による一酸化窒素の過度の不活性化であり得る。さらに、NOは血管内皮によって構成的に合成される。内皮および血管外空間でのNOの不活性化は、細胞を含まないヘモグロビンの注入後に観察される血管収縮および昇圧反応を導き得る。より大きなヘモグロビンは、いくつかの細胞外ヘモグロビン溶液の使用に付随する高血圧を低減するように作用し得る。
上記の効果に加えて、投与され得る非ポリマー性細胞外ヘモグロビンの用量は、溶液のコロイド浸透圧(COP)によって制限され得る。パックされた赤血球の単位として同じグラムのヘモグロビンを有するヘモグロビンテトラマーから構成される細胞外ヘモグロビンの投与は、ヘモグロビン溶液の高いコロイド浸透圧により、血流中への細胞からの水の著しい流入を生じ得る。ポリマー性ヘモグロビン溶液は、より高い効果的なヘモグロビン用量で投与され得る。なぜなら、分子量の増加につれて、個体の分子の数が減少して低下したCOPを生じるからである(Winslow,R.M., (1992) Hemoglobin-based Red Cell Substitutes, The Johns Hopkins University Press, Baltimore, 34-35頁)。
いくつかのより高い分子量のヘモグロビンは天然に存在する。例えば、分子間(第1のテトラマーから第2のテトラマーへの)ジスルフィド架橋の形成の結果としてポリマー化することが公知であるヒトヘモグロビンの3つの変異体が存在する。Tondo, Biochem. Biophys. Acta, 342:15-20 (1974)およびTondo, An. Acad.Bras. Cr., 59:243-251 (1987)は、Hb Porto Alegreとして公知の1つのこのような変異体を記載する。HbMississippiは、Ser CD3(44)ベータの代わりにシステイン代替物によって特徴づけられ、そしてAdamsら, Hemoglobin,11(5):435-542 (1987)に従って、10以上のヘモグロビンテトラマーから構成されると考えられる。Hemoglobin Ta Liは、ベータ83(EF7)Gly→Cys変異によって特徴づけられ、これはスターチゲル電気泳動で遅い移動度を示しており、これもまたポリマーであることを示す。
ポリマー化しないシステイン変異を有する非ポリマー化ヒトヘモグロビンのいくつかの公知の天然に存在する変異体がある(Harrisら, Blood, 55(1):131-137 (1980) (Hemoglobin Nigeria);Greerら,Nature [New Biology], 230:261-264 (1971) (Hemoglobin Raini
er))。Hemoglobin Nunobiki(アルファ141 Arg→Cys)もまた、非ポリマー化システイン代替物を特徴とする。Hb RainierおよびHb Nunobikiの両方において、変異体システイン残基は表面システインである。
ポリマー性ヘモグロビンはまた、種々の脊椎動物および無脊椎動物で報告されている。マウスのポリマー性ヘモグロビンは、BonaventuraおよびRiggs(Science, (1967) 149:800-802)およびRiggs(Science,(1965) 147:621-623)に記載される。アカゲザルにおけるポリマー化ヘモグロビン改変体はTakenakaら, Biochem. Biophys.Acta, 492:433-444 (1977);Ishimotoら, J. Anthrop. Soc. Nippon, 83(3):233-243(1975)に報告される。両性動物および爬虫類の動物の両方ともがまた、ポリマー化ヘモグロビンを有する(Tamら, J. Biol. Chem., (1986)261:8290-94)。
いくつかの無脊椎動物のヘモグロビンはまた、大きな多サブユニットタンパク質である。ミミズ(Lumbricus terrestris)の細胞外ヘモグロビンは12サブユニットを有し、そのそれぞれは構造(abcd)のダイマーであり、ここで「a」、「b」、「c」、および「d」は主要なヘム含有鎖を示す。「a」、「b」、および「c」鎖はジスルフィド連結したトリマーを形成する。分子全体は192のヘム含有鎖および12の非ヘム鎖から構成され、そして3800kDaの分子量を有する。海水性の小エビのArtemiaは、9つの遺伝学的に融合したグロビンサブユニットとともに3つのポリマー性ヘモグロビンを産生する(Mannningら,Nature,
(1990) 348:653)。これらは2つの異なるサブユニットタイプaおよびbの変動可能な会合によって形成される。8つのサブユニット間リンカーのうち、6つは12残基長であり、1つは11残基長であり、そして1つは14残基長である。
非ポリマー化の架橋したヘモグロビンは人工的に生成されている。例えば、ヘモグロビンは、アルファのLys99とアルファのLys99との間でアルファ鎖を化学的に架橋することによって変更されている(Walder, 米国特許第4,600,531号および4,598,064号;Snyderら,PNAS(USA)(1987) 84: 7280-84;Chaterjeeら, J.Biol. Chem., (1986) 261:9927-37)。ベータ鎖もまた化学的に架橋されている(Kavanaughら,Biochemstry, (1988) 27: 1804-8)。米国特許第5,028,588号は、ヘモグロビンのT状態(脱酸素化したヘモグロビンに対応する)は、システイン残基の他の残基への置換から生じるサブユニット間(テトラマー内ではない)ジスルフィド架橋によって安定化され得る。
ヘモグロビンはまた、人工的に架橋されてポリマーを形成する。例えば、米国特許第4,001,401号、米国特許第4,001,200号、米国特許第4,777,244号、および米国特許第4,053,590号はすべて、赤血球由来のヘモグロビンの化学的架橋によるポリマー化に関する。架橋は、二官能性または多官能性架橋剤、特にグロビン鎖の露出したアミノ基と反応性である架橋剤の助けによって達成される。グルタルアルデヒドおよびグリコールアルデヒドのようなアルデヒドは、分子内(テトラマー内で)および分子間(テトラマー間で)の両方でヘモグロビンを架橋するために使用されている。分子内架橋は、アルファ/ベータダイマー中でのダイマー化を防ぐように作用し、そしてまた酸素親和性を変更し得るが、分子間架橋はテトラマーヘモグロビンのポリマーを生成する。ポリマー性ヘモグロビンは、その増大したサイズのために減少した溢血を生じ得る。減少した溢血は、次に、注入したヘモグロビン溶液によりもたらされる減少した昇圧効果を導き得る。
ヘモグロビンを架橋するために使用されているこれらのポリマー化化学の結果は、共有架橋した凝集物の多分散組成物である。Bucci,米国特許第4,584,130号のカラム2は、以下のようにコメントしている:「ポリヘモグロビン反応産物はサイズおよび形状が異なっている種々の分子種の外因性混合物である。これらのポリヘモグロビンの分子量は64,500から600,000ダルトンの範囲である。外因性混合物からの個々の分子種の分離は事実上不可能である。さらに、インビボでのより長い保持時間はポリヘモグロビンを使用して得ら
れるが、その酸素親和性は間質を含まないヘモグロビンの酸素親和性よりも高い。」
ランダムなポリマー化は制御することが困難であり、そして多くの異なるポリマーが通常1つのポリマーにつき2〜10テトラマーの間で得られ得ることが十分に認識される。例えば、Tye, 米国特許第4,529,179号に従って、ポリマー化したピリドキシル化したヘモグロビンは、「薬学的薬剤として研究することを困難にする大きな化学的異質性」を有する。
さらに、一旦ヘモグロビンがポリマー化されると、特定の分子量画分の精製は、分子量分離技法のみを使用して達成され得る。例えば、タンジェンシャル分離技法は、ポリマー化したヘモグロビンの一定のサイズ範囲を分離するために使用され得る。しかし、このような分離に利用可能である膜は、100kDaより小さいか、または300kDaより大きいヘモグロビンの生成を可能にする限定された数のサイズ範囲においてのみ利用可能である。さらに、このような膜は、浄化するためには厄介、高価、困難であり、そして分離は非常に遅いものであり得る。
サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーまたはゲル浸透クロマトグラフィーとしても公知である)はまた、従来ヘモグロビンの分子量画分を分離するために使用されている。しかし、この技法は大規模操作に適切ではなく、そしてさらに、分子量画分の分離について良好な分離能を提供しない(Simoniら, (1993) Anal. Chim. Acta, 279: 73-88)。
Simoni(1993、前出)もまた、ヘモグロビンポリマーの異なる分子量画分を分離するためのイオン交換クロマトグラフィーの使用を報告している。しかし、これらの研究者らは、この種の分離が正味の電荷の差を必要とすることに注目した。さらに、彼らは、塩勾配溶出を使用して異なる分子量画分を分離し、そしてテトラマー、オクタマー、およびデカマーの何らかの顕著な分解能を証明しなかった。
IL-2のような種々のタンパク質について分子量と血清半減期との関連は、著しくより長い半減期が、タンパク質の分子量が増大する、特に腎濾過限界の50〜70kDa以上に増大するように期待され得ることを証明する。ヘモグロビンテトラマーの、容易に浄化されるダイマーへの分解を阻害し得る架橋の使用はまた、増大した血清半減期を導き得る。
したがって、これらの所望の特徴を有するさらなるヘモグロビン様化合物についての必要がある。さらに、高分子量ヘモグロビン混合物において特定の分子量分布を生じる簡単な方法が必要である。本発明は、これらの要件を満たし、そして関連する利点を提供する。
本発明によって、以下が提供される:
(項目1)2つのジアルファドメインを含む、グロビン様ポリペプチド。
(項目2)前記2つのジアルファドメインがペプチドリンカーによりカップリングされる、項目1に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目3)前記ペプチドリンカーが少なくとも7アミノ酸のアミノ酸配列を含む、項目2に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目4)前記ペプチドリンカーがSer-Gly-Glyを含む、項目2に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目5)前記アミノ酸配列が配列番号1である、項目3に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目6)前記アミノ酸配列が配列番号2である、項目3に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目7)前記アミノ酸配列が配列番号3である、項目3に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目8)前記ペプチドリンカーが少なくとも14アミノ酸のアミノ酸配列を含む、項目3に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目9)前記ポリペプチドが組換え宿主細胞によって発現される、項目1に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目10)前記宿主細胞がE. coliである、項目9に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目11)前記ポリペプチドが天然に存在しないシステイン残基を含む、項目1〜8のいずれかに記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目12)前記天然に存在しないシステイン残基が不斉である、項目11に記載のグロビン様ポリペプチド。
(項目13)項目1〜8または11〜12のいずれかに記載の少なくとも2つの連結したグロビン様ポリペプチドを含むヘモグロビン様分子であって、該連結がジスルフィド結合による直接連結または化学的クロスリンカーによる間接的連結からなり、該クロスリンカーが、ホモ二官能性リンカー、ヘテロ二官能性リンカー、ホモ多官能性リンカー、およびヘテロ多官能性リンカーからなる群より選択される、ヘモグロビン様分子。
(項目14)項目1〜8および11〜12のいずれかに記載のグロビン様ポリペプチドをコードする核酸配列を含む、核酸分子。
(項目15)コアヘモグロビン様部分を含むマルチマーヘモグロビン様タンパク質であって、少なくとも2つの他のヘモグロビン様部分のそれぞれが該コアヘモグロビン様部分に直接付加され、そして実質的にすべての非コアヘモグロビンが該コアヘモグロビン様部分にのみ付加される、マルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目16)前記コアヘモグロビン様部分が、少なくとも4つの他のヘモグロビン様部分に直接付加される、項目15に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目17)前記コアヘモグロビン様部分が、4つの他のヘモグロビン様部分に直接付加される、項目15に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目18)前記コアヘモグロビン様部分が、他のヘモグロビン様部分とは異なる、項目15に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目19)前記他のヘモグロビン様部分が、前記コアヘモグロビン様部分への付加のための不斉な架橋可能なシステイン残基を含む、項目15に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目20)前記他のヘモグロビン様部分が、化学的クロスリンカーによって前記コアヘモグロビン様部分に付加される、項目19に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目21)前記化学的クロスリンカーが、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレートである、項目20に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目22)前記化学的クロスリンカーが、N-γ-マレイミドブチルオキシスクシンイミドエステルである、項目20に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目23)前記コアヘモグロビン様部分がrHb1.1であり、そして前記他のヘモグロビン様部分がK158Cである、項目21または22のいずれかに記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目24)前記コアヘモグロビン様部分が、前記他のヘモグロビン様部分と同じである、項目15に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目25)前記コアヘモグロビン様部分がK158Cである、項目24に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
(項目26)マルチマーヘモグロビン様タンパク質を製造する方法であって、
(a) コアヘモグロビン様部分を形成するために、ヘテロ二官能性リンカーの一端に付
加し得るアミノ酸を有する第1のヘモグロビン様部分を得る工程;
(b) 該ヘテロ二官能性リンカーの他端に付加し得るアミノ酸を有する少なくとも2つの他のヘモグロビン様部分を得る工程;
(c) 結合した部分を形成するために、該ヘテロ二官能性リンカーを該コアヘモグロビン様部分に接触させる工程;および
(d) 該マルチマーヘモグロビン様タンパク質を形成するために、該他のヘモグロビン様部分を該結合した部分に接触させる工程、
を包含する、方法。
(項目27)少なくとも2つの他のヘモグロビン様部分のそれぞれが直接付加されるコアヘモグロビン様部分を有するマルチマーヘモグロビン様タンパク質を含む、組成物。
(項目28)実質的に単分散のヘモグロビン溶液を得るための、ポリマー化ヘモグロビン様分子の分子量画分の分離のための方法であって、
(a) ポリマー化ヘモグロビン様分子の多分散混合物をイオン交換マトリクスと接触させる工程;
(b) 該イオン交換マトリクスを第1の緩衝液で洗浄する工程;
(c) 実質的に単分散のヘモグロビン様溶液を得るために、該イオン交換マトリクスを、該第1の緩衝液と同じであり得るかまたは異なり得る第2の緩衝液で溶出する工程、
を包含する方法。
(項目29)前記イオン交換マトリクスが陰イオン交換マトリクスである、項目24に記載の方法。
発明の要旨
本発明は、改変ヘモグロビン様化合物に関する。1つの局面では、本発明は、複数のジアルファドメインを有するグロビン様ポリペプチドに関する。このようなポリペプチドは、本明細書では「ジ-ジアルファ」ドメインともいわれる2つまたはそれ以上のジアルファドメインを含み得る。これらのグロビン様ポリペプチドは、ジアルファドメイン間に少なくとも5アミノ酸、好ましくは少なくとも7アミノ酸を有するペプチドリンカーによって連結され得る。好ましくは、リンカーは反復単位としてSer-Gly-Glyを有するペプチドリンカーによってコードされる。反復単位は、例えば、アミノ酸配列Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser(配列番号1);Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号2);およびSer-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser(配列番号3)である。グロビン様ポリペプチドは、E.coliのような宿主細胞で組換え的に発現され得る。ジ-ジベータグロビン様ポリペプチドは、類似して定義され、そして本発明のさらなる局面である。
本発明はまた、このようなグロビン様ポリペプチドをコードする核酸配列を有する核酸分子に関する。1つの実施態様では、核酸分子は、2つのジアルファドメインを有するグロビン様ポリペプチドおよび1つのベータドメインまたはジベータドメインを有する別々のポリペプチドをコードする。
他の局面では、本発明は、ペプチドリンカーを介して連結される2つのジアルファグロビンを含むマルチマーヘモグロビン化合物に関し、ここで4つのアルファグロビンドメインの1つのみが天然に存在しないシステイン残基(モノ-cys ジ-ジアルファ)を含む。本発明のさらなる局面では、このようなモノ-cys ジ-ジアルファ含有ヘモグロビン組成物は、他の同一のモノ-cysジ-ジアルファまたは任意の他の適切なヘモグロビン様分子に直接的または間接的に架橋され得る。モノ-cys ジ-ジベータ分子は類似して定義され、そしてまた本明細書に記載されるように架橋され得る。
他の局面では、本発明はまた、第1のヘモグロビン様部分が2つ以上の他のヘモグロビン様部分に直接的に付加されるマルチマーヘモグロビン様タンパク質を提供する。このよ
うなマルチマーヘモグロビン様タンパク質を含む組成物もまた提供される。
さらなる局面では、本発明は、マルチマーヘモグロビン様タンパク質を製造する方法に関する。この方法は、以下の工程によって完成される:
(a) コアヘモグロビン様部分を形成するために、ヘテロ二官能性リンカーの一端に付加し得るアミノ酸を有する第1のヘモグロビン様部分を得る工程;
(b) ヘテロ二官能性リンカーの他端に付加し得るアミノ酸を有する少なくとも2つの他のヘモグロビン様部分を得る工程;
(c) ヘテロ二官能性リンカーを第1のヘモグロビン様部分に接触させる工程;および
(d) マルチマーヘモグロビン様タンパク質を形成するために、他のヘモグロビン様部分を添加する工程。
なおさらなる局面では、本発明は、実質的に単分散のヘモグロビン溶液を得るための、ポリマー化ヘモグロビンまたはヘモグロビン様分子の分子量画分を分離する方法に関する。このような方法は、以下の工程によって完成される:
(a) ポリマー化ヘモグロビン様分子の多分散混合物をイオン交換マトリクスと接触させる工程;
(b) イオン交換マトリクスを第1の緩衝液で洗浄する工程;
(c) 実質的に単分散のヘモグロビン様溶液を得るために、イオン交換マトリクスを、上記第1の緩衝液と同じであり得るかまたは異なり得る第2の緩衝液で溶出する工程。
発明の詳細な説明
本発明は、一般的に、新規のグロビン様ポリペプチドまたはヘモグロビン様タンパク質を含むヘモグロビン様化合物に関する。これらの化合物は、天然に存在するヘモグロビン(特にヒトHb A)への種々の改変を含む。さらなる局面では、本発明は、このようなヘモグロビン様分子および他のポリマー性ヘモグロビン様分子を精製する方法に関する。
上記のように、ほとんどの天然に存在するヒトヘモグロビンは、4つの非共有結合したポリペプチド鎖:同一のアルファドメインを含む2つの鎖および同一のベータドメインを含む2つの鎖から構築される。しかし、本発明の新規のグロビン様ポリペプチドは、1つのポリペプチド鎖中に少なくとも2つのジアルファ(または2つのジベータ)ドメインを含む。「ジアルファドメイン」(または「ジベータドメイン」)は、PCT公開公報第WO 93/09143号(本明細書中に参考として援用する)に記載のように、第1のアルファドメイン(またはベータドメイン)のC末端と第2のアルファドメイン(またはベータドメイン)のN末端との間で連結される2つのアルファ(またはベータ)ドメイン(またはポリペプチド配列)からなる。したがって、新規のグロビン様ポリペプチドは、最小限として、ポリペプチド当たり4つのアルファ(またはベータ)ドメインを有する。
本明細書で使用される場合、用語「グロビン様ポリペプチド」とは、天然に存在するヘモグロビンのグロビンサブユニットと実質的に相同であるドメインを有するポリペプチドを意味する。例えば、2つのジアルファドメインを含むグロビン様ポリペプチドとは、4つのアルファドメインのそれぞれが、天然のアルファグロビン、または1つ以上の置換、欠失、または挿入によって天然の配列とは異なるが、天然のアルファグロビンと実質的に相同なままであり、そしてベータグロビンと会合する能力を保持するその変異体と、実質的に相同であることを意味する。本明細書で使用される場合、用語「アルファドメイン」とは、正常ヒトアルファグロビン、およびその変異体を含む天然に存在するアルファグロビン(しかしこれに限定されない)を含むことを意図する。「ベータドメイン」は類似して定義される。ヒトアルファまたはベータグロビンと十分に相同である脊椎動物および無脊椎動物ヘモグロビンのサブユニットまたはその変異体は、用語「アルファまたはベータ
ドメイン」に包含される。例えば、ウシヘモグロビンのサブユニットは、これらの用語の範囲内である。
本発明によって意図されるアルファまたはベータグロビンが特定の野生型アルファまたはベータグロビンに実質的に相同であるかどうかを決定することにおいて、配列類似性は重要であるが排他的な基準ではない。配列類似性は従来のアルゴリズムによって決定され得、これは代表的には、最良の適合を達成するために、少数のギャップを導入させる。本発明での使用のために意図されたアルファドメインは、代表的には、野生型ヒトアルファグロビンと少なくとも約75%の配列同一性を有し、そしてヒトベータグロビンよりもヒトアルファグロビンとより大きな相同性を有する。しかし、より少ない配列同一性のアルファドメインを有するポリペプチドは、可能性から予測されるよりも大きな配列同一性を有し、そしてまたアルファグロビンの特徴的な高次構造(例えば、「ミオグロビン折り畳み」)をも有する場合には、野生型のアルファグロビンと「実質的に相同である」と、さらに考えられ得る。
変異は、ヘモグロビンの酸素親和性(または強力性、またはpH、塩、温度、もしくは他の環境パラメータに関する活性)あるいは安定性(熱、酸、アルカリ、または他の変性剤に対して)を変更するように導入されて、遺伝子融合または架橋を容易にし得るか、あるいは個々の鎖の発現およびアセンブリの容易さを増大させ得る。特定の型の変異に関する指針は、例えば、米国特許第5,028,588号およびPCT公開公報第WO93/09143号(両方とも参考として本明細書中に援用する)で提供される。本発明は、生物学的活性に実質的に影響を与えない必要のない変異によって本明細書で教示されることから逸脱する分子をさらに包含する。
新規のグロビン様ポリペプチドのジアルファ(またはジベータ)ドメインは、当該分野で公知の種々の手段によって連結され得る。例えば、ドメインは、任意の2つのジアルファドメイン間のペプチドリンカーによってカップリングされ得る。適切な距離の議論はまた、WO 93/09143(参考として本明細書中に援用する)で提供される。これらの距離の知見によって、当業者は、例えば分子モデリングによって、適切なペプチドリンカーの有用な長さを容易に決定し得る。特に有用なペプチドリンカーは、少なくとも5アミノ酸、好ましくは少なくとも7アミノ酸を有する。ペプチドリンカーは、以下に例示するアミノ酸配列:Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser(配列番号1)におけるような反復単位としてSer-Gly-Glyを含むアミノ酸配列を有し得る。この反復単位を含むペプチドリンカーとして有用な他のアミノ酸配列の例には、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号2)およびSer-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser(配列番号3)が挙げられる。
グロビン様ポリペプチドの複数のジアルファドメインおよびペプチドリンカーは、当該分野で公知の、あるいは例えばWO 93/09143または以下の実施例に記載のような組換え方法によって遺伝学的に融合され得る。中間産物としての単一のジアルファグロビンの調製もまた、この刊行物に記載される。
グロビン様ポリペプチドは、ヘモグロビン様擬似物を調製するために使用され得る。このような擬似Hb様タンパク質はWO 93/09143に記載されている。擬似ヘモグロビン様タンパク質は、ポリペプチド鎖の数よりも少なくとも1より以上多いドメインを有する。すなわち、少なくとも1つのポリペプチド鎖は2つ以上のグロビン様ドメインを含む。
天然に存在しないシステイン残基を、ジアルファドメインの1つのアルファサブユニット、あるいはジ-ジアルファドメインまたはより大きなジアルファドメインの1つのアルファサブユニット中に導入して、他の擬似ヘモグロビン様タンパク質を調製することも可
能である。好ましくは、これらの天然に存在しないシステイン残基は不斉であり、すなわち、これらはより長いジ-ジアルファポリペプチドの1つのアルファドメインのみに生じる。このような変異はまたジ-ジベータグロビンに類似の様式で組み込まれ得る。不斉システイン残基は、次いで、ジアルファ(またはジベータ)ドメインを連結する直接ジスルフィド架橋を形成するために使用され得るか、またはシステイン残基に特異的なカップリング試薬によって架橋され得、より大きな擬似Hbタンパク質を生成する。
ヘモグロビン様擬似物は、当業者に公知の任意の適切な精製方法によって精製され得る。本発明のヘモグロビン様タンパク質に有用な精製方法は、PCT公開公報WO 95/14038に教示されており、これは参考として本明細書に援用される。簡単にいうと、それに記載された方法は、亜鉛のような2価金属イオンで電荷を有する固定された金属アフィニティークロマトグラフィー樹脂を包含する。この刊行物によれば、精製されるべき所望のHb含有物質を含む溶液は、最初に加熱処理されて、プロトポルフィリンIX含有Hbを除去し得る。この基本的精製方法は、さらにサイズ化カラム(S-200)を、次いで他の陰イオン交換カラムを続け得る。あるいは、この溶液は、本発明の方法に従ってイオン交換カラムを使用して、分子量画分に分離され得る。得られる溶液は、次いで、所望の処方緩衝液に緩衝液交換され得る。
本発明はさらに、本発明の新規ポリペプチドをコードする核酸を提供する。当業者は、発現に使用される生物に特異的なコドンおよび制御エレメントの選択とともに公知のヘモグロビンサブユニットの公表されたヌクレオチドまたはアミノ酸配列の知見に基づいて、当業者に公知の方法を使用して、所望のヌクレオチド配列を容易に誘導し得る。例えば、合成ヘモグロビンのジアルファドメインおよびベータドメインのアミノ酸配列は、本発明の核酸を誘導するために使用され得、これらは両方とも、PCT公開公報WO 90/13645(参考として本明細書に援用される)の図12で、以下の核酸を訂正して同定される:塩基55、56、および57(コドン19)はGCGと読むべきであり、そして塩基208および209(コドン70の最初の2塩基)はGCと読むべきである。この図のアミノ酸配列に対する以下の変化は、擬似テトラマーであるrHb1.1を得る:ジアルファドメインの残基142および143でのgly-gly架橋は、アルファおよびアルファドメインを架橋する単一のgly残基に変化し得る;ジアルファドメインの残基54および97は、Glnと読むべきである;ベータサブユニットの残基70は、Asnと読むべきである;そして、ベータサブユニットの残基107は、Lysと読むべきである。擬似テトラマーrHb1.1はまたLookerら,Nature, 356:258-261 (1992)(参考として本明細書に援用される)に記載される。
本発明の核酸は、従来の方法に従って、または以下の実施例に記載のように、適切な組換え宿主細胞に挿入されるべきプラスミドを構築するために使用され得る。任意の適切な宿主細胞が、新規ポリペプチドを発現するために使用され得る。適切な宿主細胞としては、例えば、細菌、酵母、哺乳動物および昆虫細胞が挙げられる。E. coli細胞は、新規ポリペプチドを発現するために特に有用である。好ましくは、複数のサブユニットが細菌で発現される場合、サブユニットが、WO93/09143に記載されるようにポリシストロン的に同じ細胞で同時発現されることは、所望であるが必要ではない。1つ1616のプロモーターの使用は、所望のタンパク質をコードする遺伝子の発現を駆動するために、E.coliにおいて好ましい。
本発明はまた、少なくとも3つのヘモグロビン様部分を含む新規のマルチマーヘモグロビン様タンパク質に関し、その少なくとも1つは他の部分に直接付加される。用語「ヘモグロビン様部分」には、2つのアルファドメインおよび2つのベータドメインから構成される4つのグロビン様ドメインを有するテトラマー、ならびに既に定義されるような擬似的なヘモグロビン様タンパク質が含まれる。他のヘモグロビン様部分に直接付加されるヘモグロビン様部分を、本明細書では「コアヘモグロビン様部分」または「コア部分」とい
い、一方他のヘモグロビン様部分を、「周辺ヘモグロビン様部分」または「周辺部分」という。
1つの実施態様では、コア部分は周辺ヘモグロビン様部分とは異なり、これは順に同じであり得るかまたは互いに異なり得る。このようなマルチマーヘモグロビン様タンパク質は、ヘテロマルチマーヘモグロビン様タンパク質(またはヘテロマー)という。例えば、コア部分は、rHb1.1であり得るが、周辺部分はK158Cといわれる変異体であり得る。擬似テトラマーrHb1.1はWO 90/13645に記載され、本明細書中に参考として援用される。K158CはrHb1.1の変異部分であり、そして3つのポリペプチドから構成され、1つは2つのアルファドメイン(ジアルファ)を含み、そして他の2つはそれぞれ単一のベータドメインを含む。ジアルファ成分の第2のアルファドメインにおける単一のリジンのシステインへの置換は、K158Cジアルファ配列のアミノ酸残基158で現れる。rHb1.1がジアルファ分子(2つのアルファサブユニット、それぞれ141アミノ酸長、単一のグリシンによって連結される)からなるので、第2のサブユニットにおける変異は、アルファサブユニットではなくジアルファのN末端に関する位置によって示されることに留意すること。従って、158位での変異は、正常なアルファグロビンの16位に対応する、第2のアルファグロビンドメインにおける変異である。1つ以上の不斉システイン変異を有する部分を得るための一般的方法およびこのような不斉架橋した変異体の望ましいことは、WO93/09143で提供され、これは本明細書に参考として特に援用される。刊行物はまた、アルファまたはベータドメインにおける置換についての他の候補部位を選択するための指針を提供する。
コアおよび周辺部分は、化学的クロスリンカーの使用を限定することなく包含する、当業者に公知の任意の手段によって直接的に付加され得る。このようなリンカーは、Wang, S.S. (1993) Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking,CRC Pressに議論される。他の適切な架橋方法は、例えば、Vandegriff, K.D. (1992) Biotechnology and Genetic Engineering Reviews, 第10巻: 404-453 M.P. Tombs編, Intercept Ltd.,Andover,
England;およびWinslow, R.M. (1992) Hemoglobin-based Red Cell Substitutes,The Johns Hopkins University Press, Baltimore 242頁に記載される。このような架橋化学は、一般的に2つ以上の官能性基を含むリンカーである。これらの官能性基は、同じであり得るかまたは異なり得(すなわち、ホモ二官能性リンカー、ヘテロ二官能性リンカー、ホモ多官能性リンカー、またはヘテロ多官能性リンカー、そしてさらに樹枝状、分枝状であり得、またはアーム化コアを含み得る)、そして例えば、ビス-イミドエステル、ビス-スクシンイミジルエステル、糖またはヌクレオチドの酸化された環構造、ハロアセチルまたはビニルスルホン官能性基を含むクロスリンカー、ならびにジアルデヒドおよびポリアルデヒドクロスリンカー(例えば、グリコアルデヒドおよびグルタルアルデヒド)を含む。
ヘテロマルチマーヘモグロビン様タンパク質については、ヘテロ二官能性化学的クロスリンカーが好ましく、例えば、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)またはN-γ-マレイミドブチルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)である。好ましくは、ヘテロ二官能性化学的クロスリンカーは、顕著な免疫原性応答を誘起しないものである。他の有用なヘテロ二官能性クロスリンカーはWO93/09143に記載され、本明細書に参考として援用される。
GMBSまたはSMCCの場合には、例えば、これらの化合物のスクシンイミドが、rHb1.1(コア部分)のようなシステインが変異していないヘモグロビン様タンパク質のリジン残基に付加するために使用され得る。マレイミドは、K158Cのようなシステイン変異を含むヘモグロビン様タンパク質のシステインに付加するために使用され得る。リンカーをコア部分と最初に反応させ、次いで所望の量のシステイン含有変異体を添加することによって、これらのマルチマーヘモグロビン様タンパク質の種々の形態は、例えば、トリマー、テトラマー、ペンタマー、およびより高次のマルチマータンパク質を作成し得る。コア部分に付
加され得るヘモグロビン様部分の数を抑制する要因には、追加の周辺部分が加えられるような立体障害、およびクロスリンカーに付加するために利用可能な残基の数が挙げられる。このようなクロスリンカーを同定および使用するための方法は、当業者にまたは以下の実施例に記載のように公知である。
さらなる実施態様では、コア部分および周辺部分は、同じ部分であり得、これらは本明細書では「ホモマルチマーヘモグロビン様タンパク質」という。ホモマルチマーHb様タンパク質の例は、K158C変異体のみから構成されるものである。
この実施態様のマルチマーヘモグロビン様タンパク質を作成するためには、ポリマー化タンパク質の実質的な量の形成が好ましくは避けられる。ポリマー化タンパク質は、介在ヘモグロビン様部分への付加によってコア部分へ間接的に付加されるHb様部分を含み、そして一般的に、制御されていない架橋反応によって形成される。本発明の方法に従って、このようなランダムなポリマー化は、周辺ヘモグロビン様分子上の一定の部位へのコアヘモグロビンタンパク質上の特定の反応性部位のカップリングによって減少する。当業者に公知の任意の方法が、部位特異的付加が達成され得るところで使用され得る。
本発明はまた、ホモマルチマーヘモグロビン様タンパク質を製造する方法を提供し、このタンパク質は周辺分子と同様であるコア分子から構成されるマルチマーヘモグロビン様タンパク質である。これらの方法は、ヘテロ二官能性クロスリンカーおよび保護性部分(例えば、ホウ酸塩)の使用によって完成される。あるいは、クロスリンカーのいずれかとの反応条件は、例えば、ポリマー化の程度が抑制されるような濃度、温度、または反応時間を変更することによって改変され得る。
適切なアミン/スルフヒドリルヘテロ二官能性クロスリンカーの使用によって、所望のヘモグロビン様部分、例えばrHb1.1は改変され得、そのため、WO 93/09143に記載のように、表面システイン変異を有するいくつかのrHb1.1分子と続いて反応する。この反応は、例えば、ホウ酸ナトリウム緩衝液中でpH8.5にて、改変されていないrHb1.1上のアミン官能基を、ヘテロ二官能性クロスリンカーのスクシンイミド部分と最初に反応させることによって達成される。rHb1.1上のリジン残基との反応は、クロスリンカーとヘモグロビンとの間の安定なアミド結合の形成によって、ヘテロ二官能性クロスリンカーのスクシンイミド基の喪失を導く。ヘテロ二官能性クロスリンカーの未反応マレイミド残基は、スルフヒドリル基に対して非常に反応性である。rHb1.1の固有のスルフヒドリル基は、ヘテロ二官能性クロスリンカーのマレイミド部分と反応することを、それらの接近不可能性によってまたはホウ酸塩との複合体を形成することによってのいずれかにより、妨げられる。ヘテロ二官能性クロスリンカーのスクシンイミド基との反応後、ヘモグロビン分子は、例えば、K158Cヘモグロビン変異体の表面スルフヒドリル残基との反応に対して複数の表面リジン残基で「活性化される」と考えられ得る。なぜなら、ここでコア部分がそれに付加される反応性マレイミド残基を有するからである。
クロスリンカーの適切な濃度および保持時間(これらは当業者によって経験的に決定され得る)を使用することによって、表面システイン含有ヘモグロビン(例えば、K158C)の活性化コアヘモグロビン分子との反応は、より高分子量のヘモグロビンを生じる。活性化ヘモグロビンとシステイン含有ヘモグロビン変異体との反応によって形成されるポリマーは、見かけの分子量の分布を有する。しかし、分子量の分布は、例えば、K158Cのような一定の部分の使用とカップリングしたヘテロ二官能性クロスリンカーでの最初の活性化の程度によって、一定の程度に抑制され得る。例えば、K158Cとの反応の部位特異的な性質は、優勢なペンタマーヘモグロビンに対する分子量分布を限定する。ある変異体について、ホウ酸塩/ホウ酸のような適切な保護的緩衝液との可逆的複合体の形成を介する、スルフヒドリル反応性のような反応性の操作は、本発明のマルチマーヘモグロビン様タンパ
ク質を形成することにおいて、スルフヒドリル反応性のような反応性を制御するための新規な方法であることが考えられる。
従って、本発明は、マルチマーヘモグロビン様タンパク質を製造する方法をさらに提供する。この方法は、以下の工程によって完了される:
(a) コアヘモグロビン様部分を形成するために、ヘテロ二官能性リンカーの一端に付加し得るアミノ酸を有する第1のヘモグロビン様部分を得る工程;
(b) ヘテロ二官能性リンカーの他端に付加し得るアミノ酸を有する少なくとも2つの他のヘモグロビン様部分を得る工程;
(c) 結合した部分を形成するために、ヘテロ二官能性リンカーを第1のヘモグロビン様部分に接触させる工程;および
(d) マルチマーヘモグロビン様タンパク質を形成するために、他のヘモグロビン様部分を結合した部分に接触させる工程。
本発明は、本発明の新規のマルチマーヘモグロビン様タンパク質およびグロビン様ポリペプチド(このようなポリペプチドを含むタンパク質が含む)を含む組成物をさらに提供する。マルチマーヘモグロビン様タンパク質を含む組成物において、種々のマルチマータンパク質を含む多分散組成物、すなわち、トリマー、テトラマー、ペンタマーなどの異なる種が得られ得る。さらに、マルチマーヘモグロビン様タンパク質を含むこれらの組成物は、好ましくは、ポリマー化したタンパク質を実質的に含まないが、これらは所望のタンパク質の意図した使用に依存して、全く含まない必要はない。この文脈で使用される場合、「実質的に含まない」とは、ポリマー化したタンパク質の存在がマルチマーヘモグロビン様タンパク質の所望の機能に有害な影響を与えないことを意味する。さらに、これらのマルチマーヘモグロビン様タンパク質は、実質的に単分散である。本明細書で使用される場合、「実質的に単分散」とは、所望の分子量ではないヘモグロビンが30%より少ないことを意味する。従って、実質的に単分散の高分子量ヘモグロビン溶液において、30%より少ないヘモグロビンは、所望される標的高分子量ヘモグロビンではない。標的単分散高分子量ヘモグロビンが、トリマー、テトラマー、およびペンタマーのような高分子量の混合物を含み得ることに留意すること。同様に、実質的に単分散のペンタヘモグロビン溶液において、30%より少ない溶液中のヘモグロビンはペンタヘモグロビンはない。好ましくは、単分散高分子量ヘモグロビン溶液は、25%より少ない非標的ヘモグロビン、より好ましくは20%より少ない非標的ヘモグロビンを含む。
利用される架橋技法に関わらず、架橋の後、イオン交換クロマトグラフィーを使用し、本発明の方法に従って分子量によってヘモグロビンポリマーを分離する。代表的には、イオン交換クロマトグラフィーは、等電点での差に従ってタンパク質を分離するために使用される。驚くべきことに、本発明者らは、イオン交換技法が等電点での測定可能な差を有さないヘモグロビンを分離するために使用され得ることを発見した。例えば、グルタルアルデヒドで架橋されたrHb1.1の等電点は、モノヘモグロビン(1テトラマー)ジヘモグロビン(2テトラマー)、トリヘモグロビン、および高次マルチマーについて、約7.05である。それにも関わらず、このようなヘモグロビンは、本発明の方法を使用して解明された(例えば、本明細書の実施例12を参照のこと)。
本発明によれば、多分散ヘモグロビン溶液の精製は以下のように完了される。多分散ヘモグロビン溶液を、必要であれば、イオン交換マトリクスに適合可能な緩衝液中に移す。適切な緩衝液は、例えば、8℃にて20mM Tris、pH8.0-8.9である。多分散ヘモグロビン溶液を、次いで、イオン交換マトリクスにかける。このようなイオン交換マトリクスは、任意の適切な支持体であり得、例えば、陰イオンまたは陽イオン交換マトリクスである膜または樹脂である。特に適切な交換樹脂は、例えば、Q-SEPHAROSE流速陰イオン交換カラム(PharmaciaBiotech, Uppsala, Sweden)であり得る。別の陰イオン交換樹脂としては、
例えば、Super Q 650 CまたはToyopearl QAE-550C (Toso Haas Inc., Montgomery, PA)またはMacro-Prep Q Support (Bio-Rad Inc.,Hercules, CA)が挙げられる。カラムにロードされ得るタンパク質の量は、カラムの結合能力および所望される分子量の混合に依存して変化し得る。カラムの流速は、クロマトグラフィーに使用されるカラムおよび樹脂のタイプに依存する。代表的には、XK-50カラム(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)にパックされた450mlの樹脂ベッドについては、200cm/時間の流速が使用される。
カラムは多分散ヘモグロビン溶液でロードされた後、カラムマトリクスから結合していないタンパク質を除去するために十分なカラム容量の緩衝液で洗浄される。このような洗浄は、例えば、8℃にて20mM Tris緩衝液、pH8.9の2〜3カラム容量(CV)であり得る。あるいは、カラムは、溶出液中の所望のタンパク質濃度が達せられるまで洗浄され得る。これは、215または280nmでの吸光度によって、または他の適切なモニタリング技法によって決定され得る。次に、カラムは所望の緩衝液系で洗浄する。この緩衝液系は、所望のタンパク質を溶出するための、緩衝液、緩衝液濃度および/または塩の組み合わせを含み得る。溶出は、例えば、アイソクラティック溶出、段階的アイソクラティック溶出、段階的勾配溶出、または勾配溶出によって、任意の適切な溶出スキームを利用して行われ得る。特に適切な溶出スキームは、段階的アイソクラティック溶出によってである。適切な洗浄、溶出緩衝液、および溶出スキームの決定は、本明細書中で提供される指針を使用して当業者によって容易に決定され得る。
分子量<190kDaを有するグルタルアルデヒド架橋したタンパク質を除去する目的で、カラムは、例えば、8℃にて20mMTris緩衝液、pH7.6の11CVで洗浄され得る。次いで、この系を使用して、所望のヘモグロビンポリマー画分が、8℃にて20mM Tris、pH7.4で溶出される。同様に、モノマーヘモグロビンは、多官能性クロスリンカーを使用して形成されるペンタヘモグロビン溶液(実施例18を参照のこと)から、例えば、8℃にて25mMBis-Tris/Tris pH=7.5の7〜8CV洗浄、続く8℃にて25mM Bis-Tris/Tris、100mM NaCl pH=7.5での溶出を使用して、除去され得る。次いで、目的のヘモグロビン分子量画分は、所望のように処方され得、あるいは、例えば、超濾過によってさらに精製され得る。
グロビン様ポリペプチドまたはマルチマーヘモグロビン様タンパク質(集合的に「ヘモグロビン」)を含むヘモグロビン様タンパク質および組成物は、インビトロまたはインビボ適用に使用され得る。このようなインビトロ適用には、例えば、インビトロで酸素レベルを維持することによる細胞培養中の細胞増殖の増強のための本発明の組成物による酸素の送達が包含される(DiSorboおよびReeves、PCT公開公報WO 94/22482、本明細書に参考として援用される)。さらに、本発明のヘモグロビンは、酸素の除去を必要とする溶液(BonaventuraおよびBonaventura、米国特許第4,343,715号、本明細書に参考として援用される)および分析アッセイおよび手段のための参考標準としての溶液(Chiang、米国特許第5,320,965号、本明細書に参考として援用される)溶液、ならびに当業者に公知の他のこのようなインビトロ適用から酸素を除去するために使用され得る。
さらなる実施態様では、本発明のヘモグロビンは、治療適用における使用のために処方され得る。本発明のヘモグロビンに適切な処方物の例は、Milneら、WO 95/14038およびGerberら、PCT/US95/10232(両方とも参考として本明細書に援用される)に記載される。本発明の薬学的組成物は、例えば、皮下、静脈内、または筋肉内注射、局所または経口投与、血液代替物として有用な大容量非経口溶液などによって投与され得る。本発明の薬学的組成物は、例えば、経口またはエアロゾル投与によって、経皮または粘膜吸収によって、あるいは注射によってのような任意の従来の手段によって投与され得る。
例えば、本発明のヘモグロビンは、赤血球が使用される任意の適用において、または酸素送達が望まれる任意の適用のために、赤血球の代替物として有用な組成物で使用され得
る。赤血球代替物として処方された本発明のこのようなヘモグロビンは、血液容量が損失し、そして流量または酸素運搬能力のいずれかあるいは両方が置き換えられなければならない出血、外傷、および手術の処置に使用され得る。さらに、本発明のヘモグロビンが薬学的に受容可能になり得るので、本発明のヘモグロビンは、大きなヘモグロビンタンパク質分子の存在のため、酸素を送達する血液代替物としてだけでなくコロイド浸透圧を提供する単純な容量増量剤として使用され得る。さらなる実施態様では、本発明の架橋したヘモグロビンは、溢血を限定すること、またはヘモグロビンに基づく血液代替物のコロイド浸透圧を減少することが望ましい状況で使用され得る。本発明のヘモグロビンは、高分子量で合成され得る。従って、本発明のヘモグロビンは、赤血球代替物として酸素を輸送するために作用し得るが、過剰の溢血に付随し得る有害な効果を減少する。
酸素送達薬剤としての本発明のヘモグロビンの代表的な用量は、患者の体重1キログラム当たり2mg〜5グラム以上の細胞外ヘモグロビンであり得る。従って、ヒト患者の代表的な用量は、数グラム〜350グラムであり得る。各投与形態の個々の用量に含まれる活性成分の単位含量は、それ自体で有効量を構成する必要がないことが賛賞される。なぜなら、必要な有効量は、注射などの複数回投与の投与によって達成され得るからである。用量の選択は、利用される投与形態、処置される状態、および当業者の決定に従って達成される特定の目的に依存する。
本発明のヘモグロビンの投与は、ヘモグロビンの用途の目的に依存して、秒〜時間の期間行われ得る。例えば、酸素送達ビヒクルとしては、投与の通常の時間経過はできる限り迅速である。血液置換物としてのヘモグロビン溶液の代表的な注入速度は、約100ml〜3000ml/時間であり得る。
さらなる実施態様では、本発明のヘモグロビンは、貧血にかかっている患者にさらなる酸素運搬能力を提供することによって、および/またはPCT公開公報WO 95/24213に記載されるように造血を刺激するすることによっての両方で、貧血を処置するために使用され得る。造血を刺激するために使用される場合、ヘモグロビンの用量が出血を処置するために必要とされ得る投与量よりも非常に少ないので、投与速度はゆっくりであり得る。従って、本発明のヘモグロビンは、高用量のヘモグロビンの患者への投与に必要とされる適用、ならびに本発明の少用量のヘモグロビンのみが投与される状況で使用され得る。
本発明のヘモグロビンの血管系における分布が赤血球のサイズによって限定されないので、本発明のヘモグロビンは、赤血球が浸透し得ない領域に酸素を送達するために使用され得る。これらの領域としては、血栓、鎌状赤血球閉塞、動脈閉塞、血管形成術バルーン、手術器具の下流のような赤血球流に対して閉鎖の下流に位置する任意の組織領域、酸素飢餓にかかっているかまたは低酸素症である任意の組織などが挙げられる。さらに、組織虚血の任意のタイプが、本発明のヘモグロビンを使用して処置され得る。このような組織虚血としては、例えば、発作、緊急発作、一過性虚血発作、心筋性気絶および冬眠、急性または不安定性狭心症、緊急狭心症、梗塞などが挙げられる。体内での広い分布のため、本発明のヘモグロビンはまた、薬物を送達するためにおよびインビボイメージングのために使用され得る。
本発明のヘモグロビンはまた、患者の血液が除去されそして手術の最後にまたは回復中の再注入のために保存される場合、手術手順の間に除去される血液の置換物として使用され得る(急性の正常量の血液希釈または血液増量)。さらに、本発明のヘモグロビンは、付与された酸素運搬能力のいくらかを置き換えるために作用することによって、手術前に予め付与され得る血液量を増加するために使用され得る。
正常の生理学的状態下では、一酸化窒素は過剰量で産生されない。しかし、ある病状は
過剰の一酸化窒素産生に関連する。このような状態には敗血症性ショックおよび高血圧が挙げられる。これらの場合、本発明の架橋したヘモグロビンは、脈管構造から過剰の一酸化窒素を除去するために、または毒性過剰で見られるおよび本発明のヘモグロビンに結合され得る任意の他のリガンドを除去するために使用され得る。
以下の実施例は例示することを意図し、本発明を限定するものではない。
実施例1
改変ヘモグロビン含有タンパク質溶液の製造
A. 改変rHb1.1の生成のための細菌系の構築
1994年1月20日に、E.coli SGE1661株を、American Type Culture Collection(ATCC受託番号55545)に寄託した。プラスミドpSGE705を有するSGE1661株が、SGE1662と名付けられたことに留意されたい。pSGE705は、細胞あたり約100コピーのプラスミドを生じるため、中程度のコピー数のプラスミドであった。pSGE705の調製に使用したプラスミドを表1に示し、また、簡単なそれぞれの説明を提供する。
材料. pBR322、pUC19およびpNEB193をNew England Biolabs(Beverly, Massachusetts)から購入した。オリゴヌクレオチドをApplied Biosystems DNA Synthesizer Model 392で合成した。pSGE705の調製に用いたオリゴヌクレオチドを表2に列記する。制限エンドヌクレアーゼをNewEngland Biolabs(Beverly, Massachusetts)から購入し、製造業者の仕様書に従って使用した。T4 DNAリガーゼをNewEngland Biolabs またはGibco-BRL(Gaithersburg, Maryland)のいずれかから購入し、製造業者の仕様書に従って使用した。PfuポリメラーゼをStratagene(LaJolla, California)から購入し、製造業者の仕様書に従って使用した。
株を培養するために使用した培地は、J.H.Miller, Experiments in Molecular Genetics.(Cold Spring HarborPress, (1972) )およびJ.H.Miller, A Short Course in Bacterial Genetics(Cold SpringHarbor Press, (1992) )に記載される。アクリジンオレンジ、アンピシリンおよび硫酸カナマイシンをSigma Chemical Co.(St.Louis, Missouri)から購入した。テトラサイクリンをAldrich Chemicals(Milwaukee, Wisconsin)から購入した。
Figure 0003991057
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遺伝学的および分子生物学的手順。 標準的な細菌の遺伝学的手順は、J.H.Miller, Experiments in Molecular Genetics.(Cold Spring HarborPress, (1972) )およびJ.H.Miller, A Short Course in Bacterial Genetics(Cold Spring Harbor Press, (1992) )に記載される。標準的な分子生物学の手順をSambrookら、Molecular Cloning, (ColdSpring Harbor Press,(1989))に記載のように実施した。
プラスミドDNA形質転換。 DNA形質転換をWensickら、Cell 3: 315-325(1974)に記載の手順により実施した。手短に説明すると、対数期中期まで細胞を増殖させ、次いでペレット化し、等量の10mM MgSO4に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を遠心分離し、ペレットをもとの容積の1/2の50mM CaCl2に再懸濁し、氷上で20分間放置した。細
胞を再び遠心分離し、次いでもとの容積の1/10の50mM CaCl2に再懸濁した。プラスミドDNAを10mM Tris-HCl pH 8.0, 10mM MgCl2および10mM CaCl2の溶液中でコンピテントセルに添加した。混合物を氷上で15分間インキュベートし、次いで37℃で5分間インキュベートした。1mlのLB培地を添加し、そして混合物を振とうしながら30〜60分間インキュベートした。次いで、培養物を遠心分離し、0.1mlのLB培地に再懸濁し、そして適切な選択培地上にプレートした。
DNAの精製。 DNAフラグメントをGeneclean system(Bio 101, Inc. La Jolla, CA;方法は製品と共に提供される)を用いてアガロースゲルから精製した。PCR産物をDouble Geneclean system(Bio 101, Inc. La Jolla;方法は製品と共に提供される)を用いて調製し、制限エンドヌクレアーゼで切断した。手短に説明すると、PCR産物からPCRプライマーを取り除き、次いでPCR産物を制限エンドヌクレアーゼで切断し、そして制限エンドヌクレアーゼおよび緩衝液から精製した。そして、PCR産物はライゲーション反応への準備ができた。
オリゴヌクレオチドのアニーリング。 相補的なオリゴヌクレオチドを以下の手順によりアニールした。各々のオリゴヌクレオチドの等モル量を15〜25μlの10mM Tris-HCl pH 8.0/1mM EDTA中に混合し、65℃で30分間インキュベートした。サンプルを37℃の水浴に30分間移動させた。最後に、サンプルを氷上で60分間、または冷蔵庫中で一晩インキュベートした。
オリゴヌクレオチド特異的変異誘発。 オリゴヌクレオチド特異的変異誘発をMuta-gene phagemid in vitro mutagenesis kit(Bio-Rad, Hercules,California)を用いて、製造業者の指示に従い実施した。これはKunkelの方法(Kunkel, T.A. (1985)Proc. Natl.Acad. Sci. USA 82: 488; Kunkelら、(1987) Methods Enzymol. 154: 367)に基づく。pSGE515のrHb1.1領域をpTZ18U(Bio-Rad,Hercules, CAまたはU.S. Biochemical, Cleveland, OH)のBamHI-HindIIIフラグメントにクローニングし、pSGE700を作製した。3つのオリゴヌクレオチド、MW007、MW008、およびMW009を単一の反応で複数の変化を同時に導入するために用いた。
pBR322oriの調製。 pBR322の複製起点を増幅するためにPCRプライマーを設計した。これらのプライマー、TG62およびTG63をpBR322のDNA配列上の2380〜2404位および3170〜3148位にアニールさせた(Sutcliffe,J.G. (1979)Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 43: 77-90)。PCR産物をNot IおよびPme Iで消化した。DNAフラグメントをGenecleanの手順に従って精製した。
tet遺伝子フラグメントの調製。 tet遺伝子の供給源は、pSELECT-1(Promega Corp., Madison, WI)であった。このプラスミドは、tet遺伝子から多数の制限エンドヌクレアーゼ部位(例えば、BamHI,HindIII, Sal IおよびSph I)を除去している(LewisおよびThompson (1993) Nucleic Acids Res.18:3439-3443)。Pme IリンカーをpSELECT-1のSty I部位に挿入した。このプラスミドをpSGE504と名付けた。オリゴヌクレオチドTG71およびTG72をアニールさせ、pSGE504のEcoRI-ClaIフラグメントに連結させた。このプラスミド、pSGE505は、期待される制限エンドヌクレアーゼ部位を有し、pSELECT-1のマルチクローニング部位に存在する部位を消失していることが示された。pSGE505をNotIおよびPme Iで消化した。1417 bpのフラグメントをGenecleanのプロトコルに従って精製した。
lacI遺伝子の調製。 lacI遺伝子を、lacI遺伝子を保有するpRG1( Dana-Farber Cancer Inst., Boston)から、この遺伝子配列を増幅することにより単離した。PCRプライマー、TG59およびTG60をlacI遺伝子の上流に野生型のlacIのプロモーター(Farabaugh,P.J.(1978) Nature 274: 765)を生成し、遺伝子の下流にtrpターミネーター配列(Christieら
、(1981) Proc.Natl. Acad. Sci. USA 78: 4180-4184)を配置するために設計した。Y1089(Promega)またはlac領域を保有する任意のE.coli株(例えば、MM294(ATCC 33625))由来の染色体DNAを用いて、同一の工程を実行し得た。PCR産物をゲル精製し、Genecleanの手順に従って単離し、BamHI-HindIIIで消化したpUC19DNAにクローニングし、pSGE490を作製した。
pSGE515の構築。 PCRプライマーEV29およびEV18をpDLII-91F(Hoffmanら、WO90/13645号)からアルファ遺伝子を増幅するために選出した。精製されたPCR産物を制限エンドヌクレアーゼEagIおよびXbaIを用いて切断した。
Ptac-アルファを含むプラスミドを作製するために、アルファ遺伝子(上記から)およびtacプロモーター(これはEV27およびEV28をアニールすることにより調製された)をEcoRI-XbaI切断pUC19 DNAと混合した。ほぼ等モルの割合の3つのDNAフラグメントの混合物を、T4 DNA リガーゼで処理した。インキュベーション後、ライゲーション混合物を用いて、SGE476を形質転換し、アンピシリン耐性形質転換体を選択した。(MM294株(ATCC33625)への形質転換は同等の結果を生じる。)適切な制限エンドヌクレアーゼフラグメントを有する単離物をpSGE492と命名した。アルファ遺伝子およびtacプロモーターのDNA配列をDNA配列決定により確認した。
プライマーEV30およびEV31を、PCRによりpSGE1.1E4からベータ遺伝子を増幅するために用いた。精製されたベータ遺伝子フラグメントをXbaIおよびHindIIIで消化し、次いでXbaI-HindIII消化したpUC19 DNAと混合し、T4 DNAリガーゼで処理した。ライゲーション混合物を用いてコンピテントSGE476(MM294、ATCC 33625と同様)を形質転換し、形質転換体をLB+アンピシリン(100μg/ml)プレート上で選択した。適切な制限エンドヌクレアーゼフラグメントを含む単離物を選択し、pSGE493と命名した。ベータ遺伝子をDNA配列決定により確認した。
XbaIおよびHindIIIによる制限およびそれに続くGeneclean法に従った精製により、ベータ遺伝子をpSGE493から単離した。このDNAフラグメントをXbaI-HindIII制限pSGE492DNAに連結させ、そしてSGE713を形質転換した。(JM110 (ATCC 47013)またはGM119 (ATCC 53339)のような任意のdam株もまた用いられ得た。)適切な制限フラグメントを有するプラスミドを保有したアンピシリン耐性形質転換体を選択し、pUC19アルファベータ(pSGE500)と命名した。
pSGE500のアルファおよびベータ遺伝子を含むBamHI-HindIIIフラグメントをGeneclean法に従って精製した。グリシンリンカー領域を含むジアルファ遺伝子の一部を保有するXhoIフラグメントをpSGE1.1E5からゲル精製した。pSGE1.1E5(1991年11月8日に出願された、Hoffmanら、米国出願第789,179号に記載される)は、pSGE1.1E4(Hoffmanら、WO90/13645号)のテトラサイクリン感受性アナログであり、それも使用され得た。
pBR322の複製起点領域(pBR322ori、上記)をtet遺伝子フラグメント(上記)に連結させ、ライゲーション混合物でSGE476を形質転換した。(MM294への形質転換(上記)は同様の結果を生じ得る。)テトラサイクリン耐性形質転換体を選択し、そしてプラスミドDNAを単離して、解析した。適切な制限エンドヌクレアーゼフラグメントを含む単離物を選択し、pSGE507と命名した。
次に、pSGE507およびpSGE490をBamHIおよびNotIで消化し、適切なフラグメントを精製した。2つの精製フラグメントをともに連結させ、ライゲーション混合物を用いてコンピテントSGE713を形質転換した。(任意のdam株も用いられ得た;上記参照。)テトラサイクリン耐性形質転換体を選択し、プラスミドDNAを単離して解析した。適切な制限フラ
グメントを有したプラスミドを選択しpSGE509と命名した。
アルファおよびベータ遺伝子を含むpSGE500の精製されたBamHI-HindIIIフラグメントを、BamHI-HindIII消化したpSGE509に連結した。ライゲーション混合物を用いてpSGE713(同等の株については上記を参照)を形質転換し、そしてテトラサイクリン耐性形質転換体を選択し、特徴付けをした。期待される制限エンドヌクレアーゼフラグメントを有する適切なサイズのプラスミドを生成する単離物を選択し、pSGE513と命名した。
ジアルファグリシンリンカー配列を含むpSGE1.1E5(1991年11月8日に出願された、Hoffmanら、米国出願第07/789, 179号、本明細書中で参考として援用する。)のXhoIフラグメントをXhoI消化したpSGE513に連結し、ジアルファ遺伝子を含むプラスミドを作製した。SGE753をライゲーション混合物で形質転換し、テトラサイクリン耐性形質転換体を選択した。(SGE800への形質転換は同等の結果を生じ得る。)単離物をスクリーンして適切な方向でpSGE513に挿入されているXhoIフラグメントを含有している単離物を同定した。ジアルファ遺伝子の適切な配置を含んだ単離物(EagIを用いた制限エンドヌクレアーゼ解析により決定された)をpSGE515と命名した。
pSGE705を作製するためのpSGE515の改変。 ベータ遺伝子の増幅のためのPCRプライマーを設計するために用いたDNA配列記録は、C末端の3アミノ酸を含んでいなかった。これらの9ヌクレオチドをベータ遺伝子のDNA配列に付加するためにオリゴヌクレオチド特異的変異誘発を用いた。同一の反応中で、改変を導入し、ジアルファおよびベータ遺伝子のリボソーム結合部位を至適化し、ジアルファ遺伝子の末端近くのBglII部位を除去した。pSGE515由来のHindIII-BamHIフラグメントをpTZ18Uにサブクローニングし、pSGE700を作製した。次いで、pSGE700を部位特異的変異誘発のためのssDNAの供給源として使用した。
以下は、リボソーム結合部位を最適化し、そしてBglI制限エンドヌクレアーゼ部位を取り出すために、オリゴヌクレオチドMW008およびMW009を用いて作製した変化である。
Figure 0003991057
上に示した、4ヌクレオチド変化(2ヌクレオチドの挿入を含む)を、MW008を用いて、ジアルファのリボソーム結合部位を至適化するために導入した(|は同一であることを示し、*は変化を示す)。
Figure 0003991057
上に示した6ヌクレオチド変化(4ヌクレオチドの挿入を含む)を、MW009を用いて、ベータのリボソーム結合部位を至適化するために導入した。変異前の鎖上の小文字の「a」は、BglII部位をこの配列に導入したアルファ遺伝子の構築におけるTからAへの変異で
あった。これを、pSGE705のBglII部位を単一にするために除去した(|は同一であることを示し、*は変化を示す)。
Figure 0003991057
上に示したように、MW007により、ベータ遺伝子の最後の3つのアミノ酸のためのコード配列が導入された(|は同一であることを示し、*は変化を示す)。
推定上の変異体をBglII制限エンドヌクレアーゼ切断部位の消失(MW008により導入)についてスクリーニングした。24個の内の17個は、この部位を欠失しており、他の2つの変異誘発された部位でのDNA配列決定によりさらに特徴付けを実施した。17個の内の1個は、3つのオリゴヌクレオチド由来の全ての改変を取り込んでいた。これらの変化をDNA配列決定により確認し、rHb1.1遺伝子をBamHI-HindIII消化したpSGE509にクローニングした。適切な制限エンドヌクレアーゼフラグメントを有した単離物をpSGE705と命名した。
アルファ遺伝子の上流の新しい配列は、tacプロモーター(De Boerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80,21-25,1983)とアルファ遺伝子の最初のコドンとの間の距離を最小にした。ジアルファ遺伝子とベータ遺伝子との間の遺伝子間領域をまた、ベータ遺伝子についての制限エンドヌクレアーゼ部位およびリボソーム結合部位を含む最小の配列を含むように設計した。pSGE705のプラスミド地図を図1に示す。プラスミド地図は制限エンドヌクレアーゼ切断部位の多くを示す。pSGE705は、その対応物(pSGE1.1E4)よりも小さく、そしてその制限部位の配置は配列のモジュールの改変を促進する。使用されなかった抗生物質耐性マーカーを除去し、rHb1.1の発現をより厳格に調節し得るようにプロモーターをlacI遺伝子に付加した。pSGE705は、以下に記載の実施例に記載の全ての操作において用いられる基本のプラスミドであった。
一般的な発酵プロトコル
以下に記載の発酵プロトコルのいずれかを使用して、本明細書中に記載の株においてヘモグロビンを発現させた。最初に、発酵槽接種物を種ストックから増殖させた。次いで、任意の2Lフラスコ発酵を実施し、その後15Lの発酵槽に移し、そして誘導した。あるいは、100Lの発酵を使用した。後者のアプローチを使用する場合、発酵槽接種物を種ストック2L振盪フラスコから増殖させた。次いで、これらの4つの振盪フラスコを使用して、100L発酵槽に接種した。発酵プロセスの詳細を、以下に記載する。任意の適切な発酵および予備精製のスキーム(イオン交換分子量分離の前の精製)が、本発明の材料の生成のために使用され得る。
種ストック
種ストックを10g/LBactoTryptoneTM、5g/Lイーストエキストラクト、5g/L NaCl、0.2g/L NaOH、および10μg/ml テトラサイクリンを含有するLBブロスで、600nmの吸光度が1.5〜1.7になるまで培養した。次いでこの溶液を10%グリセロールとし、必要になるまで-80℃で保存した。
15L発酵プロトコル
発酵槽接種物(2L撹拌フラスコ内の500mlブロス-種フラスコ)
発酵槽接種物を調製するために、種ストックを解凍し、0.1〜0.4mlの種ストックをおお
よその以下を含む500mlの溶液(DM-1)に接種した:4.1g/L KH2PO4、7g/LK2HPO4、2g/L (NH4)2SO4、1g/Lクエン酸Na3・2H2O、153mg/L MgSO4・7H2O、2.3g/LL-プロリン、2g/L イーストエキストラクト、4.8〜5.5g/L グルコース、320mg/L塩酸チアミン、10mg/Lテトラサイクリン、および、32.5mg/L FeCl3・6H2O、1.6mg/L ZnCl2、2.4mg/L CoCl2・6H2O、2.4mg/L Na2MoO4・2H2O、1.2mg/L CaCl2・2H2O、1.5mg/LCu(II)SO4・5H2O、0.6mg/L H3BO3、および120.2ml/LHClを含む、3ml/L 微量金属溶液。この培養物を、振盪槽で37℃で、8〜10時間、増殖させる。中間の「2L」発酵を実施しない場合は、2つのフラスコを組み合わせて、そして15Lの発酵槽に接種するために使用した。あるいは、2L発酵槽で中間の種発酵を実施し、その後15Lの発酵を実施した。
発酵槽(2L容量-種発酵)
任意の中間工程として、細胞を2Lの発酵で増殖させた。次いで、400mlの種発酵を、約2.2g/L KH2PO4、4g/LK2HPO4、および2.2g/L (NH4)2SO4を含む、約1700mlの溶液を含む2LのNewBrunswick発酵槽に、無菌的に移した。
発酵槽内の培地はまた、以下を含んだ:1.2g/L クエン酸Na3、1.2g/L MgSO4・7H2O、2.5g/Lのプロリン、3.1g/Lの上記の微量金属溶液、50%エタノール溶液中の0.1mg/Lのテトラサイクリン、精製水中の345mg/Lの塩酸チアミン、滅菌濾液、200g/Lの70%グルコース、50+10g/Lの30%NH4OH、および2mlのPPG2000(ポリエチレングリコール2000)。
細胞を、約10時間、発酵槽内で増殖させた。pHを15%から30%のNH4OHの添加によって6.8〜6.95に維持し、溶存酸素を20%またはそれ以上に維持し、そして50〜70%のグルコースを、培養物中のグルコースのレベルを低いがしかし十分なレベルに維持するに十分な量(2g/L〜10g/L)、増殖期間を通して添加した。培養物を、約30℃で、OD600が約2〜5となるまで増殖させた。
15L発酵槽(20L発酵槽中の14L容量-「15L」)
次いで、800mlの種フラスコまたは400mlの「2L」種発酵槽のいずれかを、以下の8Lの培地(DM-4-RP)を含む20L発酵槽に無菌的に移した:1.3g/LKH2PO4、2.4g/L K2HPO4、1.3g/L (NH4)2SO4、195mg/L塩酸チアミン、6.1mg/Lのテトラサイクリン、1.8g/Lのプロリン、および2.2ml/Lの上記の微量金属溶液。添加した試薬の質量は、発酵の最終容量(11.5L)を使用して計算し、そしてほぼ測定誤差の範囲内であることに留意されたい。pHを15%から30%のNH4OHの添加によって6.8〜6.95に維持し、溶存酸素を20%またはそれ以上に維持し、そして50〜70%のグルコースを、培養物中のグルコースのレベルを低いがしかし十分なレベルに維持するに十分な量(2g/L〜10g/L)、増殖期間を通して添加した。溶存酸素を可能な限り20%に近づけた。培養物を、30のOD600が達成されるまで、28と32℃との間で増殖させた。誘導を、10〜1000μMのイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)の添加により達成した。ヘモグロビン合成の誘導の際に、E.coliのヘム生合成を、必要とされるヘミンの全量の誘導での添加によるか、または誘導期間を通したヘミンの連続的な添加によるか、または1M NaOHヘの50mM中溶解したヘミンの断続的な添加による(例えば、発酵槽に添加されるべきヘミンの全量の3分の1を誘導の際に添加し、別の3分の1を発酵の全期間の4分の1が経過した後に添加し、そして最後の3分の1を、誘導期間の中途で添加した)かのいずれかによって、1NNaOHに溶解したヘミンの添加によって、補填した。添加した全ヘミンは、50〜300mg/Lの範囲内であった。発酵槽を誘導後8〜12時間の間継続させた。
100L発酵プロトコル
発酵槽接種物(2Lの振盪フラスコ中の500mlブロス)
発酵槽接種物の調製のために、種ストックを解凍した。種ストック(100ml)を、8〜10時間、1インチの回転シェーカー(275〜300rpm)内で、37℃でErlenmeyerフラスコ中で、500mlのDM59中で増殖させた。DM59培地は:3.34g/L KH2PO4、5.99g/L K2HPO4、1.36g/L N
aH2PO4・H2O、1.95g/LNa2HPO4、および滅菌した1.85g/L (NH4)SO4である。滅菌後、12.20ml/Lの微量金属溶液を添加した。微量金属溶液は以下を含んでいた:134.2g/Lクエン酸3カリウム、32.2g/L クエン酸3ナトリウム、27g/L FeCl3・6H2O、2.2g/L ZnCl2、0.3g/L CoCl2・6H2O、0.3g/L Na2MoO4・2H2O、2.73g/LMnCl2、6.6g/L CaCl2・2H2O、1.5g/L Cu(II)SO4・5H2O、および15ml/Lの85%H3PO4。さらに、以下の成分を滅菌後培地に添加し、示した最終濃度を達成した:10mg/mlのテトラサイクリンおよび320mg/Lのチアミン。ポリプロピレングリコール2000を、発泡の問題が認められる場合に添加した。
発酵槽(100L容量)
次いで、2000mlの発酵槽接種物を、上記の54LのDM59培地を含む100LBioLafitte発酵槽に無菌的に移した。
発酵槽を、30±1℃で運転し、溶存酸素を20%、およびグルコースを0〜6g/Lの間に制御した。OD30±2で、誘導を、発酵槽の温度を26℃に下げ、43.5mlの100mMIPTGおよび73mlの50mg/mlのヘミンを添加することによって、生じさせた。誘導後3時間で、96mlの50mg/mlのヘミンを添加し、誘導後6時間で、125mlの50mg/mlのヘミンを添加し、誘導後9時間で、125mlの50mg/mlのヘミンを添加し、そして誘導後12時間で、125mlの50mg/mlのヘミンを添加した。誘導後16時間で、回収およびさらなる精製を行った。細胞を直ちに精製するか、または後の精製のために凍結した。
精製
必要であれば、凍結した細胞を、約20〜30分の間、温水中で一部解凍した。細胞を、必要とされるブレーク緩衝液(40mMトリス塩基、1mMベンザミジン)を使用して、鋼ビーカー内で小さな片に刻んだ。刻んだ細胞およびブレーク緩衝液を、1gの凍結した細胞あたり2mlのブレーク緩衝液の比で、Waring Industrial Blender内に入れ、そして低設定で1〜5分間ホモジェナイズした。溶液をホモジェナイズの後5分間安定させ、そして全ての発泡した材料を除去した。
NiroPandaTM細胞破砕デバイス(Niro Hudson, Inc., Hudson, WI)を、系を通して200〜300mlのブレーク緩衝液を通過させることによって、ホモジェネーションのために調製した。細胞を、850バールでNiroセットにホモジェナイズした細胞溶液を1回または2回通過させることによって溶解した。溶解物のpHを水酸化ナトリウムで約8に調整し、そして十分なZn(OAc)2を添加し、Zn(OAc)2中の2〜4mMの溶液を作製した。次いで、この溶液を、10,000rpmで、JA-10ローター内で4℃で60分間、Beckman遠心分離機で回転した。上清を回収し、そして必要であれば、蒸留水で1:1に希釈した。このプロトコルをK158を精製するために用いる場合、酸素のレベルを可能な限り低く保つことに留意しなければならない。

クロマトグラフィー
全ての溶液は4℃であり、そして4℃で正しいpHに調整した。500mlのChelating SEPHAROSE高速樹脂(Pharmacia, Piscataway, NewJersey)を、4カラム容量の蒸留水で洗浄することによって調製した。全ての工程のカラムの流速は、200ml/分であった。樹脂を2〜3カラム容量の2mMZn(OAc)2、その後2〜3カラム容量の200mM NaClで荷電させた。溶解物をカラムにロードし、そして4〜6カラム容量の20mMトリス、500mMNaCl(pH8.5)、7〜8カラム容量の240mMトリス(pH8.5)、および7〜8カラム容量の20mM トリス(pH8.5)で洗浄した。ヘモグロビンを、15mM EDTA、20mMトリス(pH8.5)で溶出し、そして十分に酸素付加した200mlの20mMトリス(pH8.5)内に回収した。次いで、カラムをさらなる3〜4カラム容量の15mM EDTA、20mMトリス(pH8.5)でリンスし、4カラム容量の200mMNaClで変性し、そして0.2NのNaOH中で保存した。
次いで、溶液を20mMトリス(pH8.5)に5回緩衝液交換し、その後200mlのSEPHAROSEQカラムにロードした。そしてカラムを、4カラム容量の蒸留水、4カラム容量の1M NaCl、さらなる4カラム容量の蒸留水でリンスし、そして3〜4カラム容量の20mMトリス(pH8.5)で平衡化することによって調製した。サンプルのローディング後、カラムを2〜3カラム容量の20mMトリス(pH8.5)で洗浄し、そして20mMトリス(pH7.6)で溶出した。画分を回収し、そしてA575/A540比が1.03に等しいかこれより大きい場合はプールした。次いで、保存のために、カラムを3〜4カラム容量の1MNaCl、4カラム容量の蒸留水、2〜3カラム容量の50%酢酸、4カラム容量の蒸留水、そして最後に2〜3カラム容量の0.2N NaOHで洗浄した。カラムを30ml/分の流速で流した。得られたヘモグロビンをー80℃または液体窒素中で保存した。
実施例2
7アミノ酸リンカーに連結したジ-ジアルファ遺伝子構築物の構築(SGE939)
A.pTZ19U/705変異体の構築
rHb1.1遺伝子を、BamHI/HindIIIDNAフラグメントとして、pTZ19U(BioRad, Hercules, California)にクローニングした。次いで、この構築物を、Hanahanプロトコルの改変プロセス(Hanahan,J. Mol. Biol., 166:557(1983))を用いて、CJ236 E. coli株(BioRad)に形質転換した。Hanahan形質転換緩衝液は、45mMMnCl2、60mMCaCl2、40mM KOAc、620mMのスクロース、15%グリセロールおよび100mMの塩化ルビジウムを含んでいた。E.coli株の5mlの培養物を、2×TYブロスにおいて単離したコロニーから開始し、そして一晩培養した。次いで、200mlの2×TYブロスを2mlの一晩培養物で接種し、そして37℃で2.5時間、活発に振盪させながらインキュベートした。次いで、培養物を2本の300ml遠心管に移し、そして15分間氷上に置いた。細胞を4℃で10分間、8000rpmで遠心分離してペレットにし、そして上清を廃棄した。細胞を穏やかにしかし入念に、80mlの形質転換緩衝液中で再懸濁した。細胞を、再び4℃で、10分間、8000rpmでペレット化した。細胞を、20mlの氷冷形質転換緩衝液中で穏やかに再懸濁し、そして氷上で30〜60分間放置した。細胞を、20本の1mlチューブに、緩衝液中に等分した。細胞を直ちにドライアイス上で凍結し、そして-80℃で保存した。
ウラシル置換基を含む1本鎖DNAを単離し、そしてオリゴヌクレオチド特異的変異誘発を、Muta-geneキット(BioRad, Hercules, CA)、および製造者の指示に従う標準的なプロトコルにより、実施した。2つのpTZ19U/705クローンを以下のように調製した。
第1のpTZ19U/705クローンを、オリゴヌクレオチドJD29(ACCGTT CTG ACT AGT AAA TAC CGT TAA TGA[配列番号18])を使用して、調製した。このオリゴヌクレオチドは、ジアルファドメインの末端に、唯一のSpeI部位を作製した。第2のpTZ19U/705クローンを、オリゴヌクレオチドJD28(5'-GGAGGT TAA TTA ATG CTG TCT CCT GCA GAT-3'[配列番号19])およびJD30(5'-CTG GTG GGT AAA GTTCTG GTT TGC GTT CTG-3'[配列番号20])を使用して、調製した。得られたクローンは、ジアルファ遺伝子に唯一のPstI部位を取り込み、そしてベータドメインにおけるSpeI部位を除去した。
B.ジ-ジアルファ遺伝子構築物の組立
ジ-ジアルファ遺伝子構築物の組立を、BamHI/SpeI酵素およびDNAフラグメントのゲル精製を使用して、第1のpTZ19U/705クローンからジアルファ遺伝子カセットを除去することによって達成した。第2のpTZ19U/705クローンを、PstI/BglII酵素で切断し、ベータ遺伝子の5'末端を有する第2のジアルファ遺伝子カセットを得た。これをまた、精製した。次いでこれらをアニール化したオリゴヌクレオチドJA113およびJA114と共にさらに連結し、2つのジアルファグロビンを連結する7アミノ酸融合ペプチドリンカーを有するジ-ジアルファカセットを作製した。
Figure 0003991057
次いで、このジ-ジアルファカセットをBamHI/BglIIフラグメントとしてpSGE705(PCT公開番号WO95/14038、本明細書中で参考として援用する;これはBamHI/BglIIフラグメントとして取り出されたrHb1.1を有した)に連結した。得られたジ-ジアルファプラスミド(pSGE1000)を、上記のHanahanの改変プロトコルを使用してSGE1661(これもまたPCT公開番号WO95/14038に記載される)に形質転換し、SGE939を作製した。2つの他のプラスミド(pSGE1006およびpSGE1008)をまた、上記の方法と同一の方法を使用して、構築した。pSGE1006は、2つのジアルファ領域に結合しているリンカーがSpeI/PstIフラグメントとして切り出され、そして以下の配列の14アミノ酸リンカーをコードする合成領域で置換されることを除いては、pSGE1000と一致する:
Figure 0003991057
pSGE1008を、置換リンカーが以下の配列の16アミノ酸リンカーであることを除いてはpSGE1006と同様の様式で作製した:
Figure 0003991057
実施例3
高コピープラスミドの構築
pSGE720の構築を、2つのステージで実施した。最初に、pUC複製起点を導入しプラスミドpSGE715を作製する。これはlacI遺伝子を含むという点でpSGE705と類似する。次いで、lacI遺伝子を、このプラスミドから欠失させ、そしていくつかの都合のよい制限部位を含む短いオリゴヌクレオチドで置換し、プラスミドpSGE720を作製した。
A.pSGE715の構築
pUC複製起点を導入して、pSGE508(これは、塩基602での1つの塩基対置換(G→A)を除いてはpSGE509と同一である)から、プラスミドpSGE715を作製した。置換は、pBR322複製起点をpUC19複製起点に変更する。
プラスミドpSGE508およびpSGE705を、製造者(NewEngland Biolabs)の指示に従って制限酵素BamHIおよびHindIIIで完全に消化した。プラスミドpSGE508を、最初にBamHIで完全に消化し、次いでHindIIIを添加し、そして消化を続けた。pSGE705消化物を、PromegaMagic
DNA Clean-upプロトコルおよび試薬(Promega, Madison, WI)を用いて精製し、そして製造者(New EnglandBiolabs)の指示に従ってBglIでさらに完全に消化した。pSGE508およびpSGE705消化の両方における酵素を、67℃で10分間加熱することによって失活し、次いでこのDNAをプールし、そしてPromegaMagic Clean-upプロトコルおよび試薬を使用して、共に精製した。このDNAを連結緩衝液に懸濁し、T4 DNAリガーゼを1つのアリコートに添加し
、そしてDNAを16℃で一晩インキュベートした。SGE1661細胞を、塩化ルビジウムを使用するHanahanの方法(Hanahan,D., DNA Cloning; A Pratical Approach(Glover, D.M.編)第1巻、109-135頁、IRL Press,Oxford, 1985)によってコンピテントにし、そしてHanahanのプロトコルに従って連結混合物で形質転換した。形質転換体を、15μg/mlのテトラサイクリンを含ってLBプレートに細胞を播種することによって選択した。候補を制限消化によってスクリーニングし、rHb1.1遺伝子の存在を決定し、そして配列決定してpUC複製起点を検出した。いくつかの候補が同定され、そして得られたプラスミドをpSGE715と称し、そしてSGE1661中のpSGE715をSGE1453と称した。
pSGE715のコピー数は、pSGE705よりも約4倍多く、細胞あたり約460プラスミドであると測定された。上記のように、pSGE705とpSGE715との間の差異は、複製起点領域における1つの塩基対の変化であり、これは配列決定により確認された。
B.pSGE720の構築
lacI遺伝子をpSGE715から欠失させ、以下の工程によって、いくつかの都合のよい制限部位を含む短いオリゴヌクレオチドと置換した。最初に、プラスミドpSGE715を、製造者(NewEngland Biolabs)の指示に従って制限酵素BamHIおよびNotIで完全に消化した。pSGE715消化物を、Promega Magic DNAClean-upプロトコルおよび試薬を用いて精製いた。DNAを、アニール化し、キナーゼ処理したオリゴヌクレオチド、CBG17+CBG18と混合し、そして連結緩衝液中で懸濁した。
Figure 0003991057
T4 DNAリガーゼを1つのアリコートに添加し、そしてDNAを16℃で一晩インキュベートした。SGE1821細胞を、塩化ルビジウムを使用するHanahanの方法に従ってコンピテントにし、そしてHanahanのプロトコルに従って連結混合物で形質転換した。SGE1821はpSGE720に加えてpRG1プラスミドを含む。pRG1は、LacIqを含む低コピー数プラスミドである。形質転換体を、15g/mlのテトラサイクリンを含むLBプレートに細胞を播種することによって選択した。候補をPstIおよびSmaIを使用して制限消化によってスクリーニングして、新しいリンカーが存在し、かつlacI遺伝子が存在しないことを検出し、そして配列決定して、pUC複製起点、およびlacI遺伝子の存在しないことを検出した。いくつかの候補を同定し、そして得られたプラスミドをpSGE720と称した。SGE1675中のプラスミドpSGE720をSGE1464と記載した。
実施例4
高コピージ-ジアルファの構築物
ジ-ジアルファヘモグロビン遺伝子を含む第2のプラスミドを、ベクターとしてpSGE720を使用して作製した。ジ-ジアルファ遺伝子カセットを、BamHI/HindIIIフラグメントとして取り出し、そしてゲル精製した。ベクターpSGE720をまた、BamHI/HindIIIで切断し、そしてrHb1.1遺伝子を取り出した。このベクターをゲル精製した。ジ-ジアルファカセットをpSGE720ベクターに連結し、新たなベクターpSGE1004を得る。次いで、この新たなベクターを、以下に記載するHanahanの改変法を使用してE.coli SGE1675株に形質転換し、SGE946株を生成した。
実施例5
SGE939グロビンおよびSGE946グロビンの特徴付け
いくつかの15リットル発酵を、SGE939株およびSGE946株の両方について行い、そして可溶性対不溶性ウエスタンブロットを、従来の方法を用いて行なった。精製収量と関連して、このデータは、より多くの可溶性タンパク質(BioCADアッセイ(BioRad)により、250〜300mg/L)が、SGE946から得られ得ることを示した。得られたデータは、両方の株が、ジ-ジアルファグロビンおよびベータグロビンタンパク質を産生するが、SGE946株は、より多量の全タンパク質および可溶性タンパク質を産生することを示す。
SGE939ヘモグロビン様タンパク質を、FPLCを用いて、最初にQ-SEPHAROSEカラムから、次いでS-SEPHAROSEカラムから溶出した。画分を、pH勾配を有して溶出することにより回収した。SDS-PAGE分析によれば、分解産物の集団が存在するようであった。なぜなら、これらは抗rHb抗体と交差反応したからである。最もきれいな画分をプールし、そしてC4HPLCによって分析した。SGE939のクロマトグラムは、ベータグロビンが予想通り43.7分において溶出し、そしてジ-ジアルファのピークが61.8分において溶出することを示した。ジアルファグロビンは、通常、これらの条件下で、約55分において溶出した。56.2分にもピークがあり、そしてジ-ジアルファピーク上に大きな肩があった。ピークを回収し、そして質量分析計により分析した。ベータグロビンピークは、期待された分子量である15,910ダルトンを与え、これに対し、ジ-ジアルファピークは分子量61,088ダルトンを与えた。ベータグロビンの分子量の計算値は、15,913であり、これに対し、ジ-ジアルファグロビンの分子量の計算値は、61,107.8である。これらの結果は、SGE939から発現されたタンパク質が、期待されたジ-ジアルファポリペプチドを含むことを示す。プロトポルフィリンIXの含量は、3%未満であると示された。平均でP50は24.7であり、そしてnmaxは1.75であった。
実施例6
テトラジアルファ
A.K158C変異を含むジ-ジアルファベクターの構築
ジアルファグロビンの158位のリジン残基の置換により、rHb1.1分子が化学的に架橋されて、K158Cと呼ばれるダイマーヘモグロビン分子を形成する。この変異は、ジ-ジアルファ発現プラスミド(pSGE1000)へ挿入され得、化学的に架橋されてテトラヘモグロビンを形成し得るジ-ヘモグロビンに遺伝的に連結された変異体を産生する。この改変は、K158C変異を、ジ-ジアルファプラスミドの第4の(3'末端)アルファグロビンコード配列中に配置する。このK158C変異は、コード配列中の3塩基変化であり、そしてジアルファ含有ベクターにおいて、EagI-BglII制限フラグメント上に転移され得る。pSGE1000中に複数のEagI部位が存在するので、プラスミド「pFusionII」中の中間のクローニング工程が必要とされる。クローニング工程は以下の通りである:
1.K158C変異を含むEagI-BglIIフラグメントを、pSGE1.1E4から単離する。
2.大きなEagI-BglIIフラグメントを、プラスミドpFusionIIから単離する。これは、匹敵する「野生型」フラグメントを、第2のアルファ遺伝子から除去する。
3.上記のフラグメントを連結し、K158C変異を含む中間体pFusionIIベースのベクターを形成する。
4.pSGE1000中のPstI-BglIIフラグメントを、K158C変異を含むPstI-BglIIフラグメントで置換する。
B.遺伝子的に連結されたテトラジアルファのためのクローニングストラテジーの開発
遺伝子的に連結したテトラヘモグロビン分子の発現は、ペプチドリンカーのコード配列により連結される4つのジアルファヘモグロビン遺伝子、および1つのベータグロビン遺伝子を含むプラスミドの構築を必要とする。これらの特徴を有するプラスミドは、現在遺伝子的に連結したジ-ヘモグロビンを発現するために使用されているpSGE1000に基づき得
る。以下の工程を、このプラスミドを作製するために必要とする:
1.新たな制限部位を、ジ-ジアルファコード配列の5'末端に有する改変ベクターを作製する。
2.新たな制限部位を、ジ-ジアルファコード配列の3'末端に有する第2の改変ベクターを作製する。
3.ジ-ジアルファ分子を連結するために適切なアミノ酸配列を、テトラ-ヘモグロビンがアセンブルし得るように設計し、そしてペプチドリンカーをコードするために必要なDNA配列を設計する;および
4.2つの改変ジ-ジアルファ配列、リンカー配列、および705または720のいずれかのプラスミドバックグラウンドを含む新たなプラスミドをアセンブルする。
サイレント変異を、ジ-ジアルファ配列内に同定した。これはジ-ジアルファに特有の制限部位を、705または720(低コピーおよび高コピー)のいずれかのプラスミドバックグラウンド内に、ジ-ジアルファコード配列の5'および3'末端近傍に生成する。酵素の1つ、AatIIの制限部位もまたベータグロビン遺伝子内に存在する;ベータ遺伝子内の部位を、クローニングを容易にするために除去する。予備的なクローニングストラテジーを、テトラ-ヘモグロビン発現ベクターの構築のために、以下のように作製した:
1.AatII部位を、pFusionII中のジアルファ遺伝子の3'末端に、部位特異的変異誘発により作製し、「A1」と名付けられたフラグメントを作製する。
2.A1を、PstI/BglII制限フラグメント上のジ-ジアルファにサブクローニングし、「A2」を作製する。
3.AatII部位を部位特異的変異誘発によりpFusionII中のベータグロビン遺伝子から除去し、「B1」を作製する。
4.「B1」を、PstI/BglIIフラグメント上の第2のジ-ジアルファ構築物中にサブクローニングし、「B2」を作製する。
5.B1pI部位を、pFusionI中のジアルファ遺伝子の5'末端に部位特異的変異誘発により作製し、「C1」を作製する。
6.BamHI/SpeIフラグメント上のC1を、改変したジ-ジアルファプラスミド(B2)にサブクローンし、「D1」を作製する。
7.BamHI/AatIIフラグメントをA2から、そしてB1pI/HindIIIフラグメントをD1から単離する;AatIIおよびB1PI末端を含むペプチドリンカーをコードする新たな合成配列と、便利なプラスミドバックグラウンド中で連結し、テトラヘモグロビンコード配列を形成する。
実施例7
一般的形質転換手順
改変したHanahanプロトコルを用いて、コンピテントなE.coli細胞を産生する。Hanahan形質転換緩衝液は、45mMMnCl2、60mM CaCl2、40mM KOAc、620mMスクロース、15%グリセロールおよび100mM塩化ルビジウムを含む。E.coli株の5ml培養物を、単離されたコロニーから2×TYブロス中で開始し、そして一晩培養した。次いで、200mlの2×TYブロスを2mlの一晩培養物で接種し、そして激しく振盪しながら2.5時間37℃でインキュベートした。次いで、培養物を2つの300ml遠心分離用チューブに移し、そして氷上に15分間置いた。細胞を8000rpm、4℃、10分間の遠心分離でペレット化し、そして上清を流し捨てた。この細胞を80mlの形質転換緩衝液中で、穏やかにしかし十分に再懸濁した。この細胞を再び8000rpmで10分間4℃でペレット化した。この細胞を、20mlの氷冷した形質転換緩衝液中で穏やかに再懸濁し、そして30〜60分間氷上に置いた。細胞を緩衝液中で、20個の1mlチューブにアリコート化した。この細胞を、ドライアイス上で速やかに凍結させ、そして-80℃において貯蔵した。
実施例8
BMH架橋ジアルファK158C(ジヘモグロビン)の調製
K158C変異を第2のアルファグロビンドメインに含むジアルファヘモグロビンを、ビスマレイミドヘキサン(BMH,Pierce Chemical Co., Rockford, Illinois)を用いて架橋することによって、ジヘモグロビンを産生した。BMHは、ホモ二官能性のマレイミド架橋剤であり、そしてその主要な反応性はスルフヒドリル残基に対する。結合は、一旦形成されれば不可逆性である。マレイミド残基間のアルカンのスペーサーは、ヘキサン(6炭素)であり、そして分子は緩衝化された水溶液中で低い溶解性を有する。架橋剤の名目上の長さは16.1Åである。
K158Cを60mg/mLにまで20mMTris緩衝液(pH8)中で濃縮し、そして回転ガラスフラスコ(ROTOVAP RE111, Brinkmann, Inc., Cuntiague Road,Westbury, NY)中で、加湿された酸素を含まない窒素でのガス交換により脱酸素化した。K158Cを、ヘモグロビンの内在性のスルフヒドリル、特にベータサブユニット中のCys93残基とのBMHの反応を制限するために、デオキシ形態に保持した。この残基のスルフヒドリル反応性試薬との反応性は、一般的にデオキシ形態においては、ヘモグロビンのリガンド化形態におけるよりも少なくとも50倍遅い。表面K158C残基の反応性は、ヘム連結状態により有意には影響されない。
BMHの溶液を、純粋なジメチルスルホキシド(DMSO)中で10mg/mLで調製した。この溶液のアリコートを、デオキシHb溶液(デオキシ状態を保持しながら、1モルのHbあたり、0.6モルのBMH)に、回旋させながら添加して混合し、そしてこの試料を氷上で1時間反応させた。反応後、ヘモグロビン溶液を遠心分離または濾過(0.2ミクロン)して、沈澱したいかなる物質も除去し、25mg/mLにまで希釈し、次いでSEPHACRYLS-200 HR(Pharmacia, Uppsala, Sweden)でクロマトグラフし、ジヘモグロビン画分を未反応のモノヘモグロビンおよび反応の間に形成された少量のトリヘモグロビンから分離した。2つのS-200HRカラム(Pharmacia BPP 113, 各々約6Lの樹脂、直径11.3cm×60cm)を連続して用い、受容可能な分離および容量取り扱い許容性を得た。カップリングの収率は、代表的には60%であり、そして約50%の開始ヘモグロビンをサイズ排除クロマトグラフィー後に回収した。エンドトキシンを取り除くためのQ-SEPHAROSEでのクロマトグラフィーの後、ジヘモグロビンをいくつかの日常的な分析に供した。その結果を以下に報告する。これらの分析の方法は、PCT公開公報WO95/14038に記載されている。平均分子量を、SUPEROSE12カラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィーで、Bio-Rad分子量標準品(Bio-Rad, Hercules, California)を用いて決定した。
Figure 0003991057
実施例9
エンドトキシンのためのLALアッセイ
50マイクロリットルのエンドトキシン標準品、ブランク希釈液、またはヘモグロビン溶
液(rHb1.1)を、50μlのLAL溶解液(BioWhittaker,Inc., Walkersville, MD)と、96ウェルのパイロジェンを含まないマイクロタイタープレートのウェル中で製造者の説明書に従い混合した。この混合物を、37℃の水浴において30分間インキュベートさせた。パラニトロアニリン(色素原性基質)に結合したアセテート-Ile-Glu-Gly-Arg-の100マイクロリットルを、各ウェルに添加し、そしてプレートをさらに16から60分間37℃でインキュベートした。反応を、50μlの25%氷酢酸の添加により停止し、そして分析のために試料をHPLC試料バイアルに移した。
20マイクロリットルの各試料を、40℃において5%の溶媒Bであらかじめ平衡化させたVydacC4逆相クロマトグラフィーカラム(2mm×250mm)に注入した。(溶媒Aは、0.1%TFAを含む20%アセトニトリル水溶液であり、そして溶媒Bは、0.1%TFAを含む100%アセトニトリルである。)クロマトグラフィーシステムを1ml/分の流速で操作した。分離を以下のように達成した:注入後の95%溶媒A/5%溶媒B中での1分間の保持、50%溶媒A/50%溶媒Bへの4分間の上昇、2分間の100%溶媒Bへの増加、100%溶媒Bでの3分間の洗浄、95%溶媒A/5%溶媒Bへの1分間にわたる復帰、および95%溶媒A/5%溶媒Bでの4分間の平衡化。分離を405nmでモニターした。
標準溶液のピーク領域を用いて標準曲線を作製し、これに対して試験試料の測定を行った。一連の曲線を、濃度0.5 EU/mlから0.0005 EU/mlの範囲の標準溶液の分析から生成させた。標準品をインキュベーション時間に従い群で分析したときに、直線性が達成された。1つの曲線は、色素原性基質と共に16分間インキュベートした試料の分析から生成させ、その他は色素原性基質と共に30分間および60分間インキュベートした試料の分析から生成させた。従って、特定の状況における使用のための標準曲線は、必要とされたエンドトキシンの測定の感度に依存した。
実施例10
ペンタヘモグロビンの産生
K158C変異をジアルファグロビン中に含むrHb1.1(以下本明細書中でK158Cという)を上記のように発現しそして精製した。rHb1.1を、「ヘモグロビンの精製」と題したPCT公開公報番号WO95/14038(1994年11月14日出願)に記載されるように発現しそして精製した。次いで、ペンタヘモグロビンを、以下に記載するように活性化されたコアrHb1.1分子(これは、K158C変異を含まなかった)とK158Cを反応させることによって形成した。
コアrHb1.1分子を、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)(PierceChemicals, Rockford, Illinois)と反応させることにより活性化した。スルホ-SMCCは水溶性のヘテロ二官能性の架橋剤であり、これはアミンおよびスルフヒドリル官能基の両方と反応する。rHb1.1のリジン残基との反応により、スルホスクシンイミド基は欠失し、タンパク質とスクシンイミド部分との間の安定なアミド結合が形成される。マレイミド残基は、スルフヒドリル基に対して高度に反応性である。従って、スルホ-SMCCとの反応後、rHb1.1は、複数の表面リジン残基において、K158Cの表面スルフヒドリル残基との反応に向けて「活性化」された。N-(4-カルボキシシクロヘキシルメチルマレイミド)残基は、加水分解に対して特に安定であり、従ってこの「活性化」されたrHb1.1を、K158Cの添加前に、十分に操作し得る。
rHb1.1の所望される改変の程度を、活性化後のK158Cとの反応により経験的に決定した。所望のサイズ範囲の共有結合のHbポリマーが、その後のK158Cとの反応の際に達成されるまで、スルホ-SMCCとの最初の反応を、スルホ-SMCCの濃度および反応時間を変化させることにより調節した。一旦決定されると、これらの条件を一貫して用いた。これらの条件を決定するにあたり、ポリマーの安定性をモニターした。
ペンタ-ヘモグロビン分子のコアを形成するrHb1.1を活性化するために、スルホ-SMCCの溶液(100mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.5)中に10mg/mL)を、rHb1.1(30mg/mL)の溶液に22℃において酸素条件下で35:1のモル比で添加した。これを穏やかに撹拌しながら35分間反応させた。次いで、架橋剤のスクシンイミド反応性部分を、グリシンを25:1(1Mの架橋剤に対して25Mのグリシン)のモル比で添加することによってクエンチした。
次いで、反応混合物を50mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化したSephadex G-25でクロマトグラフし、クエンチされた架橋剤およびホウ酸イオンを除去し、そして活性化されたrHb1.1を緩衝液交換した。緩衝液交換の後、活性化されたrHb1.1を15mg/mLに濃縮し、そして加湿された窒素でフラッシュした回転式エバポレーター(ROTOVAPRE111, Brinkmann,
Inc., Cuntiague Road, Westbury, NY)で脱酸素化することによりデオキシ形態に変換した。
rHb1.1分子の活性化後、ペンタヘモグロビンを以下のように合成した。活性化されたヘモグロビンを15mg/mLに濃縮し、そして上記のように脱酸素化した。デオキシ活性化rHb1.1を、以前に脱酸素化したK158C(60mg/ml)に、5.5に対して1のモル比で滴下して添加した。室温(22℃)で3時間穏やかに混合しながら、架橋を自発的に進行させた。次いで、この混合物を4℃に冷却し、そしてシステインを最終濃度8.5mMまで添加し、そして架橋剤のマレイミド部分をクエンチするために15分間反応させた。得られた生成物は、モノヘモグロビン、ジヘモグロビン、トリヘモグロビン、テトラヘモグロビン、ペンタヘモグロビン、ヘキサヘモグロビン、およびより高次のマルチマーを含有した。混合物の約20%が、モノ-、およびジ-ヘモグロビンであった。混合物の約65%が、非常にテトラ-、ペンタ-、およびヘキサ-ヘモグロビンでありそうであった。
所望の分子量画分を、Sephacryl S-200 HRおよびS-300 HRでのサイズ排除クロマトグラフィーによって混合物から分離した。2つのカラム(PharmaciaBPP113, 60cm長、各々の樹脂タイプの1つ)を、所望の分画を達成するために連続して使用した。両方のカラムを、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.5)で平衡化した。あるいは、分子量画分を、イオン交換クロマトグラフィーを用いて以下に記載するように分離した。
ペンタHb画分は、以下の平衡酸素結合特性を示した:複数回の測定についての平均でP50=32TorrおよびNmax=2.1。
実施例11
スルホ-GMBS架橋剤を用いたペンタ-ヘモグロビンの形成
スルホ-GMBS(N-γ-マレイミドブチルオキシ(maleimidobutyrloxy))スクシンイミドエステル)を、100mMホウ酸ナトリウム(pH8.5)中に10mg/mlで溶解した。他の全ての工程を、実施例10において開示した工程と同様に行った。GMBS架橋を有する最終のペンタヘモグロビンを、実施例10とほぼ同じ収率で生成した。
GMBSリンカーを用いて生成したペンタHb画分は、以下の平衡酸素結合特性を示した:複数回の測定について、P50=30TorrおよびNmax=2.1。
実施例12
ペンタ-ヘモグロビン-K158Cコアの形成
完全なマルチマーHb様タンパク質を、K158Cテトラマーのみを用いて調製し得る。実施例10に記載の手順に同じく従い得る。過剰の架橋剤は、例えば、ホウ酸緩衝液の連続的存在下での、ゲル濾過または接線流(tangentialflow)限外濾過により除去される。スルフヒドリル反応性架橋剤を除去している間、ホウ酸緩衝液を維持すべきである。(アミン)クエンチされた架橋剤の適切な除去の後、ホウ酸緩衝液を、別の適切な緩衝液(例えば、
Tris-HCl緩衝液)に、(例えば、ゲル濾過または接線流限外濾過を用いて)完全に交換する。これで、ペンタHbが産生される実施例10に記載の最後の架橋工程のための物質が準備される。
実施例13
グルタルアルデヒド架橋されたヘモグロビンの
陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製
組換えヘモグロビン(rHb1.1)を、「ヘモグロビンの精製」と題されたPCT公開公報番号WO95/14038(1994年11月14日出願)(本明細書中に参考としてその全体が援用される)に記載のように、発現し、調製し、そして精製した。このヘモグロビン(24g)を約150mg/mlに濃縮し、そして1Lの丸底フラスコ中でBrinkmannROTOVAP RE111(Brinkmann, Inc.,
Cuntiague Road, Westbury, NY)で、加湿された窒素で5時間パージすることにより脱酸素化し、そして6:1のモル比のグルタルアルデヒド:rHb1.1(グルタルアルデヒドは、25%水溶液(SigmaChemical Company, St. Louis, MO)から希釈された10%水溶液であった)で25℃で架橋した。この反応を、4分後に3:1のモル比のホウ素水素化ナトリウム:グルタルアルデヒドで停止し、次いで限外濾過により20mMTris, pH8.9(8℃)緩衝液に緩衝液交換した。次いで、架橋されたヘモグロビン(21g)を、450mlのSEPHAROSE-Qイオン交換樹脂にロードした。カラムをロードした後、8CVの20mMTris(pH7.6)(8℃)で洗浄し、続いて20mM Tris(pH7.4)(8℃)で溶出した。
Figure 0003991057
実施例14
pH溶出を用いた、グルタルアルデヒド架橋された
ヘモグロビン分子量画分の選択的精製
実施例13に記載のように調製されたグルタルアルデヒド架橋されたヘモグロビン(約1g)を、50mlベッド容量のSEPHAROSE-Qイオン交換樹脂にロードした。カラムを前記の実施例に記載のようにローディング緩衝液で洗浄し、続いて20mMTris緩衝液(pH7.8)(8℃)で開始する段階的pH勾配で、結合したタンパク質を溶出した。pHの段階を0.1pH単位の変化量(increment)で減少させたが、本明細書中では選択された画分のみ例証として示した。非常に小さいpHの変化量により、異なる分子量の画分の分離が改善された。
Figure 0003991057
実施例15
分離効率に対するタンパク質濃度の影響
ヘモグロビンを実施例13に記載のように架橋し、そしてベッド容量50mlのSEPHAROSE-Qイオン交換樹脂にロードした。カラムロードを連続的に増加させた(表5)。ロードの手順およびタンパク質の溶出は、実施例13におけるものと同一であった。以下の表5に記載するように、ヘモグロビンのロードの増加は分離の効率を、特に230〜800kDaの分子量の領域において、向上させた。
Figure 0003991057
実施例16
分離に対するカラムサイズの影響
ヘモグロビンを実施例13に記載のように架橋し、そしてベッド容量50mlまたは2100mlのいずれかのSEPHAROSE-Qイオン交換樹脂にロードする。カラムのロードは、50mlおよび2100mlカラムについて、それぞれ30g/L樹脂および14.7g/L樹脂であった。各々のカラムロードにおけるタンパク質分布は、以前に記載されたものと同様であった。タンパク質のローディングおよび溶出は、実施例14におけるものと同一であった。以下の表6に記載するように、分離の効率に対してカラムサイズの最少の影響のみが存在した。従って、この方法論は、いかなるスケールの分離にも適用可能である。
Figure 0003991057
実施例17
イオン交換によるペンタマーヘモグロビン分子量分画の選択的精製
SuperQ650C(TosoHaas)を、5CVの20mMTris(pH=8.9)で平衡化した。カラムサイズを、1Lの樹脂当たり15gのタンパク質の結合とした。タンパク質試料のpHおよび電導率を平衡化緩衝液に適合するように調整し、そして約300mlのカラムについて約4.5gでカラムにロードした。次いで、カラムを2カラム容量の20mMTris(pH=8.9)で洗浄し、続いて7〜8CVの25mM Bis-Tris/Tris(pH7.5)で洗浄し、これにより単量体ヘモグロビンを除去した。カラムを25mMBis-Tris/Tris, 100mM NaCl(pH=7.5)を用いて溶出した。この精製の後、約3%の単量体ヘモグロビンのみが精製したペンタヘモグロビン溶液中に残存し、このことは陰イオン交換工程を通しての5〜6倍の精製を示した。
本発明の前記の説明は、例証および説明を目的とした例示である。本発明の意図および範囲から逸脱せずに変化および改変することが可能であることは、当業者に明らかである。以下の請求の範囲は、このような変化および改変の全てを包含すると解釈されることが意図される。
(配列表)
Figure 0003991057
Figure 0003991057
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Figure 0003991057

Claims (6)

  1. コアヘモグロビン様部分を含むマルチマーヘモグロビン様タンパク質であって、少なくとも2つの非コアヘモグロビン様部分の各々が該コアヘモグロビン様部分 に直接結合され、実質的に全ての非コアヘモグロビン様部分が該コアヘモグロビン様部分にのみ結合される、マルチマーヘモグロビン様タンパク質。
  2. 前記非コアヘモグロビン様部分が、前記コアヘモグロビン様部分への結合のための不斉な架橋可能なシステイン残基を含む、請求項1に記載にマルチマーヘモグロンビン様タンパク質。
  3. 前記非コアへモグロビン様部分が、二官能性化学架橋剤によって、前記コアヘモグロビン様部分に結合される、請求項1に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質。
  4. 請求項1〜3のいずれかに1項に記載のマルチマーヘモルグロビン様タンパク質を製造す
    る方法であって、
    (a)へテロ二官能性リンカーの一端に結合し得るアミノ酸を有する第1のヘモグロビン様部分を得て、コアヘモグロビン様部分を形成する工程;
    (b)該へテロ二官能性リンカーの他端に結合し得るアミノ酸を有する少なくとも2つの非コアヘモグロビン様部分を得る工程;
    (c)該へテロ二官能性リンカーを該コアヘモグロビン様部分に接触させて、結合部分を形成する工程;および
    (d)該非コアヘモグロビン様部分を該結合部分に接触させて、マルチマーヘモグロンビン様タンパク質を形成する工程、
    を包含する、方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルチマーヘモグロビン様タンパク質および薬学的
    に受容可能なキャリアを含む、血液代替物を提供するための組成物。
  6. 実質的に単分散のヘモグロビン様溶液を得るための、請求項1〜3のいずれか1項に記載
    のマルチマーヘモグロビン様タンパク質の分子量画分の分離のための方法であって
    (a)マルチマーヘモグロビン様タンパク質の多分散混合をイオン交換マトリクスと接触する工程;
    (b)該イオン交換マトリクスを第1の緩衝液で洗浄する工程;および
    (c)該イオン交換マトリクスを、該第1の緩衝液と同じかまたは異なり得る第2の緩衝液で溶出して、実質的に単分散のマルチマーヘモグロビン様溶液を得る工程、
    を包含する、方法。
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