JPH09510953A - ヘモグロビンの精製 - Google Patents

ヘモグロビンの精製

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JPH09510953A JP7514518A JP51451895A JPH09510953A JP H09510953 A JPH09510953 A JP H09510953A JP 7514518 A JP7514518 A JP 7514518A JP 51451895 A JP51451895 A JP 51451895A JP H09510953 A JPH09510953 A JP H09510953A
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イー. ミルネ,エリン
アール. ライランド,ジェイムズ
エイチ. マシューズ,モウラ−アン
ピー. アーンスト,ウルリッチ
ダブリュー. トレイラー,デイビッド
ジェイ. マシューズ,アントニー
オー. ニーウェイ,ジャスティニアン
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ソマトジェン,インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、純粋なヘモグロビン溶液、特に、組換え系でのヘモグロビンの発現に由来する純粋なヘモグロビン溶液、およびその組成物の産生の方法に関する。本方法はまた、実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液を生じるための迅速な加熱を用いた混入ヘモグロビンの除去、ならびに部分的に精製されたヘモグロビン溶液を生じるための大量の細菌タンパク質の除去およびそれと同時のヘモグロビン含有粗出発物質の精製について開示される。部分的に精製されたヘモグロビン溶液のさらなる精製、およびヘモグロビン溶液中の金属混入物の除去のための方法も、必要であるならば、開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 ヘモグロビンの精製 本出願は、1993年7月23日に出願されたChiversおよびBelvl、出願番号08/097 ,273および1993年11月15日に出願されたRyland,Matthews,Ernst,Houk,Traylor,W illiams,Mitchell,ChiversおよびBelvl、出願番号08/153,071の一部継続出願で あり、両方はSomatogen,Incにより所有される。 発明の分野 本発明はヘモグロビン、特に組換えヘモグロビンの精製のための方法に関する 。 発明の背景 重篤な失血は、失った液体の容積の補充および酸素運搬能力の補充の両方を必 要とする。これは、代表的には濃縮されたRBCまたは全血の単位のいずれかとし て、赤血球を輸血することにより達成される。しかし、献血される血液を患者に 輸血することがいつも、可能である、実用的である、または望ましいわけではな い。ヒト血液が利用できない場合、コロイドおよびクリスタロイド溶液のような 血漿増量剤(plasma expander)を利用して、容積を補充し得る。しかし、現在 ヒトへの使用が承認されている容積補充治療のいずれもが、酸素を運搬し得ない 。このような場合、赤血球代替物(例えば、赤血球と同じように効果的に酸素を 運搬するヘモグロビン溶液)の使用が所望される。ヘモグロビン溶液の投与は、 血漿容積を増加および/または保持し、そして従来の血漿増量剤と同じ様式によ り血液粘性を減少させる。しかし、さらにヘモグロビンを基本とした赤血球代替 物の投与は、肺から末梢組織への適切な酸素の運搬を支持し得るべきである。こ の能力を有する現存する唯一の治療法は、ヒト血液輸血である。 しかし、ヒト血液輸血は、多くの危険性および制限に関係づけられている。そ の内のいくつかのみを以下に記す: 1)伝染病の伝達の危険性(すなわち、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、非A非 B 型肝炎、B型肝炎、Yersinia enterocolitica、サイトメガロウイルス、ヒトT細 胞白血病ウイルス1) 2)免疫反応の危険性(すなわち、穏やかな溶血性輸血反応から致命的な輸血 反応まで、免疫抑制、対宿主移植片反応) 3)投与前のタイピングおよび交差試験の要求 4)限定された利用可能性 5)限定された安定性(42日間以下の保存寿命;凍結され得ない) 赤血球の酸素を運搬する構成成分は、タンパク質分子ヘモグロビンである。ヒ トヘモグロビンA0(自然に生じるまたは天然のヘモグロビンとして知られる)は 、2つの同一のαグロビンサブユニット(α1、α2)および2つの同一のβグロ ビンサブユニット(β1、β2)からなる四量体のタンパク質分子である。ヘム分 子がαおよびβグロビンのそれぞれに取り込まれている。ヘムは鉄原子に配位結 合した大きな有機分子である。ヘモグロビン四量体において、それぞれのαグロ ビンはβグロビンと会合し、2つの安定なα/β二量体を形成する。そして、そ れらは引き続いて会合し、四量体を形成する。サブユニットは非共有結合的にフ ァンデルワールス力、水素結合および塩橋を通じて会合する。 脱酸素された(「デオキシ」、または「緊張した(tense)」を示す「T」) 状態において、4つのサブユニットは4面体を形成する。リガンドが結合する間 、α1β1とα2β2との境界面は比較的固定されたままであり、一方α1β2とα2 β1との境界面はかなりの運動性を示す。ヘモグロビン分子が酸素添加されてい るときには、サブユニット間の距離は脱酸素された距離と比較して増加し、そし て分子は「R」配置(弛緩した(relaxed)状態)をとる。それは、リガンドが ヘムに結合しているときには、優性な分子形態である。 遺伝子工学技術は、多数の生物学的発現系(例えば、昆虫細胞、植物細胞、ト ランスジェニック細胞、酵母系および細菌系)における異種のタンパク質の発現 を可能にした。ヘモグロビンのαおよびβグロビンの配列が公知であり、そして 効率的な発現基準が決定されているので、任意の適切な生物学的タンパク質発現 系を大量の組換えヘモグロビンを産生するために利用し得る。実際に、ヘモグロ ビンは、多数の生物学的な系において発現されており、それは細菌(Hoffmanら 、 WO90/13645号)、酵母(De Angeloら、WO93/08831号およびWO91/16349号; Hoffm anら、WO90/13645号)およびトランスジェニック哺乳動物(Loganら、WO92/2264 6号; Townes,T.MおよびMcCune,S.L.,WO92/11283号)を含む。これらの系での ヘモグロビンの異種発現は高水準で達成され得るが、ヘモグロビンの薬学的使用 のために要求される最終産物の極限レベルの純度への精製は困難なままである。 それにもかかわらず、ヘモグロビンは、これらの発現系のいくつか、ならびに 期限切れの(outdated)ヒトおよび哺乳動物の赤血球から精製されている。ヘモ グロビンの精製は一般的に、細胞マトリックスからヘモグロビンを遊離するため のいくつかの溶解工程、混入している可溶性および非可溶性のタンパク質、脂質 、膜、などを除去するための低分解能分画の工程(例えば、濾過、遠心分離、pH 依存性沈澱、加熱)、およびそれに続くクロマトグラフィーの最終的な精製工程 のなんらかの形態を少なくとも要求する。例えば、ヘモグロビンは、赤血球の溶 血とそれに続く以下の工程により、期限切れのヒト赤血球から単離、精製されて いる。陽イオン交換クロマトグラフィー(Bonhard,K.ら、米国特許第4,439,357 号)、陰イオン交換クロマトグラフィー(Tayot,J.L.ら、欧州特許公開第0 132 178号; Shorrら、米国特許第5,264,555号)、アフィニティークロマトグラフィ ー(Hsia,J.C.,欧州特許第0 231 236 B1号)、ミクロ孔性膜を通した濾過(Ra biner,S.F.ら、(1967)J.Exp.Med.126: 1127-1142号)、残渣の混入物を沈澱 させるための半精製されたヘモグロビンの脱酸素された溶液の緩徐な加熱(Este p,T.N.,PCT特許公開 PCT/US89/014890号,Estep,T.N.,米国特許第4,861,867 号)、多価イオンおよび多硫酸塩(polysulfate)の添加による混入物の沈澱(S immonds,R.SおよびOwen,W.P.,米国特許第4,401,652号)または亜鉛を用いた ヘモグロビン自身の沈澱およびそれに続く再懸濁(Tye,R.W.,米国特許第4,473, 494号)。ヘモグロビンは他の供給源(例えば、ウシ血液)からも精製され、そ して上の方法のいずれかまたはミクロ孔性濾過、限外濾過および最終的なイオン 交換クロマトグラフィー(Rausch,C.W.およびFeola,M.,欧州第0 277 289 B1 号,Rausch,C.W.およびFeola,M.,米国特許第5,084,558号)または限外濾過単 独(Kothe,N.およびEichentopf,B.,米国特許第4,562,715号)により処理され る。トランスジェニック動物で産生された組換えヘモグロビンは、等電点クロマ トグラフィーにより精製されている(Townes,T.M.およびMcCune,S.L.,PCT特 許公開 PCT/US/09624号)。 しかし、これらの技術は一般的に赤血球の出発物質からのヘモグロビンの精製 に関連しており、酵母および細菌細胞のような組換え供給源由来の物質の精製に は適さない。微生物発現系で産生された組換えヘモグロビンの精製は、微生物細 胞の溶解の過程で、微生物のタンパク質、細胞性成分、そして特に細菌性リポ多 糖(菌体内毒素)による発現されるタンパク質の非常に大量の混入による独特の 問題を持ち出している。これら非ヘモグロビン成分の全ては、哺乳動物への極僅 かの量での投与でさえ発熱性反応を誘発し得、そして敗血症および死にさえも導 き得る(Rietschel,E.T.およびBrade,H.(1992)Scientific American 267: 54- 61; Suffredini,A.F.ら、(1989)New Eng.J.Med.,321: 280-287)。ヘモグロ ビンからの全ての細菌性混入物の除去の必要性は、ヘモグロビンおよび菌体内毒 素の共投与が菌体内毒素単独の毒性と比較して菌体内毒素の死亡率を増強させる という観察の観点からもさらに急を要する(White,C.T.ら、(1986)J.Lab.Clin . Med.108: 132-137; Chang,T.M.S.ら、(1990)Biomat.,Art.Cells,Art.Org, 18(2): vii-viii)。 細菌性成分由来の混入物の問題は、C.W.RauschおよびM.Feola、米国特許第5 ,084,558号に明確に例示されている。彼らは、特別な(extra)または超高純度 の(ultrapure)ヘモグロビン血液代替溶液のために用いられる出発物質(ウシ 赤血球)が、細菌性の混入を比較的含まないはすであると教示し、そして「細菌 の導入を避けることおよび菌体内毒素を含まないまたは低い菌体内毒素レベルの 物質の維持が重要である」と明記する(13欄、29〜31行)。彼らはさらに「(血 液の)菌体内毒素レベルが1mlあたり6〜7EU(菌体内毒素単位)よりも高い場 合、その血液は廃棄される」と明記する(13欄、57〜58行)。250EU/mlよりいく ぶん sch,J.およびHeimburger,N.,米国特許第5,136,026号)。しかし、異種タンパ ク質を微生物系(特に細菌系)で発現させ、発現したタンパク質を遊離させるた めにその細胞を溶解させるときには、結果として生じる溶解液中の菌体内毒素の 混入は1mlあたり数百万EUである。従って、微生物系で発現されたヘモグロビン の精製のために利用される任意の精製技術は、大量の菌体内毒素混入物を少量で 、薬学的に受容可能なレベルに減少させ得なければならない。さらに、商業用使 用のために精製技術は拡大可能(scalable)および経済的でなければならない。 さらに、細菌系の溶解は代表的には結果として生じる溶液中で還元環境を生じ、 従って溶解した微生物細胞からのタンパク質の精製のために開発される任意の精 製系は、還元環境下で利用可能でなければならない。 多数の精製系がタンパク質溶液中の混入細菌性成分の量を減少させるために開 発されている。例えば、細菌細胞溶解液(特にE.coli溶解液)の加熱は、組換え 工学に由来するタンパク質の精製に利用される通常の技術である。しかし、細菌 細胞の溶解後に溶液中の物質を加熱することは、一般的に公知の熱安定タンパク 質の精製に制限されている。この技術は大部分の細菌タンパク質と異種タンパク 質の間の温度安定性の違いを利用する。例えば、Tanakaおよび共同研究者ら(Ta nakaら、(1981)Biochemistry 89:677-682)は、好熱性細菌由来の3-イソプロ ピルマレートデヒドロゲナーゼをE.coli内で発現させ、粗溶解液を70℃で10分間 加熱することにより、この酵素を精製した。彼らは、これが迅速にタンパク質を 精製するための単純で効果的な手順であることを記載し、さらに「高度好熱菌の 酵素は宿主として用いたE.coliのタンパク質のほとんどが熱変性し沈澱する条件 で安定である」と明記する。...これらの観察は任意の好熱性酵索が問題の遺 伝子をE.coliにクローニングすることにより比較的容易に精製され得ることを示 唆する。 Tsukagoshiおよび共同研究者ら(Tsukagoshiら、(1984)Mol.Gen.Genet.193:5 8-63)はまた、E.coliで発現される熱安定性タンパク質を精製したが、彼らは、 彼らが精製したαアミラーゼの熱安定性はリガンド依存性であることを見出した 。Ca++非存在下での熱安定性はCa++在下より約10℃低かった(61頁図5参照)。 結果として、これらの研究者らは、酵素の安定性を増強するため、そしてより多 くの活性を回収するために、加熱前にCa++を培地に加えた。さらに、この文献は また、問題のタンパク質が、混入E.coliタンパク質よりも熱安定である、または 熱安定になるようにするために、培地条件を操作し得ることを証明した。これら の系が混入タンパク質の大部分の熱安定性と目的のタンパク質の熱安定性との間 の十分な違いを必要としていることに留意すべきである。 固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)はまた、タンパク質精 製の分野において広範囲にわたって使用されている。例えば、組換えヒトインタ ーロイキン-4は、インターロイキン-4が結合する亜鉛チャージしたIMACにpH7.2 でブロスを通過させること、および0.5M NaClまたは50mM EDTAを用いて溶出する ことにより粗発酵ブロスから精製されている(Tang,J.C.T.ら、米国特許第5,07 7,388)。哺乳動物系で発現されたインターロイキン-2およびインターフェロン γは陽イオン交換クロマトグラフィーおよびそれに続く亜鉛チャージしたIMACを 用いて精製されている(Georgiades,J.A.およびGumulka,J.米国特許第4,723 ,000)。比較的純粋なインターロイキン-2、インターフェロンγ溶液をIMACカラ ムにロードし、そしてインターロイキンおよびインターフェロンがカラムを素通 りする間に混入物をカラム物質に結合させることにより流出物から除去した。溶 出は必要ではなかった。組換え産生された可溶性CD4レセプターもまたIMACを用 いて精製されている(Staples,M.A.およびPargellis,C.A.,米国特許第5,169, 936号)。混入物は部分的に精製された出発溶液から塩およびより高濃度のIMAC をチャージする金属に対する弱いリガンドを用いて溶出することにより除去され た。IMACはまた、比較的に純粋なタンパク質の混合物を個々の成分に分離するた めに用いられている(Kato,Y.ら(1986)J.Chrom.354:511-517)。水性二相金属 アフィニティー抽出が、可溶性銅チャージ、ポリエチレングリコールチャージし た二座のキレート剤を可溶性ヘモグロビンと錯体形成させること、およびヘモグ ロビンを可溶性キレート剤と錯体形成させて分配した二相系を生じさせることに より、ヘモグロビンを精製するために用いられている(Wuenschell,G.E.ら、(1 990)Bioprocess Eng.5: 199-202)。しかし、固定化金属アフィニティークロマ トグラフィーは、いかなるヘモグロビン、特に組換え産生されたヘモグロビンの 精製にも使用されていない。さらに、IMACを使用して、同時に溶解液からヘモグ ロビンを99%より高い純度に精製しながら1000倍より高いE.coliタンパク質の除 去を達成していない。 金属がヘモグロビン溶液に混入し得る(Marshallら、(1993)Blood Substitute s and Oxygen Carriers,Chang(編)、Marcel Dekker,Inc.,New York,pp.267- 270)。この種類の混入は多数の異なる方法論を用いて除去され得るが、特定の 溶液のための特定の方法の成就は予知不可能である。例えば、様々なキレート樹 脂が様々な金属(ニッケルを含む)を溶液から分離するために用いられているが 、そのような分離の多くの場合は非常に低いpHでのみ効果的であり、従ってヘモ グロビン溶液での使用には不適切である(FiguraおよびMcDuffie,(1977)Anal.C hem.49: 1950-1953; Darnallら、(1986)Envir.Sci.Tech.20:206-208; Vernon, (1977)Chem.and Industry 15: 634-637; MoyersおよびFritz,(1977)Anal.Chem .49: 418-423; Yipら、(1989)Anal.Biochem.183: 159-171; Yalpani, M.およ びAbdeel-Malik,M.M.,米国特許第4,952,684号)。エチレンジアミン四酢酸(E DTA)のような金属キレート剤がまた、溶液から金属の混入を除去するために用 いられている。しかし、これらのキレート剤は全ての金属混入を除去するために 必要とされる濃度では有毒であり得(Heindorff,K.ら、(1983)Mutation Res.1 15: 149-173)、そしてヘモグロビン分子の酸化を増強し得る(Kikugawa,K.ら 、(1981)Chem.Pham.Bull.29:1382-1389)。 本発明は、薬学的に受容可能なレベルの純度の、効率的なヘモグロビンの産生 を提供する。赤血球由来のヘモグロビンの精製における使用に適切である現在の 精製技術(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー)は、少量のE.coli由来の 物質を除去し得るが、組換え産生されたヘモグロビンの精製の間に直面する大量 の細菌性の混入を除去するためには効果的ではない。同様に、組換え産生された タンパク質の精製のために開発された技術は、妥当な細菌性混入物除去を確証す るために並外れたレベルの精製を提供する必要性、および適切な量のヘモグロビ ンを産生するためにこれらのプロセスを経済的に拡大する困難さの両方の理由に より、ヘモグロビンに適用できない。 発明の要旨 本発明は部分的に精製されたヘモグロビン溶液の産生の方法に関し、その方法 は以下の工程を包含する: a)ヘモグロビン含有溶解液を7.0より大きいpHで二価の金属イオンでチャージ した固定化金属アフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させる工程、 b)第一の適切な緩衝液で樹脂を洗浄する工程、 c)第二の適切な緩衝液で樹脂を洗浄する工程、 および c)第二の適切な緩衝液より高いpHの、キレート剤、または競合リガンドの溶 液を用いて樹脂から部分的に精製されたヘモグロビン溶液を溶出する工程。 ヘモグロビン含有溶解液は、好ましくは、明澄化したヘモグロビン含有溶解液 であり、最も好ましくは実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン 溶液である;溶解液または溶液は好ましくは約7.5と約8.5との間のpHであり、好 ましくは8.0〜8.35である;固定化金属クロマトグラフィー樹脂は約7.5より大き いpHおよび約25mS/cmより大きな伝導率を有する第一の適切な緩衝液、好ましく はTris/NaCl、より好ましくは約25〜50 mS/cmの伝導率を有する20 mM Tris/0.5M 〜0.75 M NaCl,pH 7.5〜8.5、最も好ましくは約46 mS/cmの伝導率を有する20mM Tris/500 mM NaCl,pH 8.3または約35 mS/cmの伝導率を有する20 mM Tris/750 mM NaCl,pH8.0で洗浄される;第二の適切な緩衝液は第一の適切な緩衝液と同一 であるかまたは異なり、そして好ましくは第一の適切な緩衝液よりも低い伝導率 を有し、より好ましくは2〜6 mS/cmの間の伝導率および7.6より大きいpH、よ り好ましくは7.6と8.5の間のpHを有する;より好ましくは約2.5〜5mS/cmの伝導 率を有し、最も好ましくは第二の洗浄緩衝液は10mM Tris,25〜50 mM NaCl,pH 約8.0〜8.3である;好ましくは部分的に精製されたヘモグロビン溶液は、キレー ト剤、より好ましくはEDTA、さらにより好ましくは5〜30 mM EDTA、最も好まし くは10〜20 mM EDTAを用いてカラムから溶出され、そしてキレート剤または競合 リガンドは7より大きいpHであり、より好ましくは8より大きいpHであり、最も 好ましくは約pH8.5である。 本発明の目的のために、全ての伝導率およびpH測定は8℃におけるpHおよび伝 導率に標準化されていることに留意のこと。 本発明はさらに、実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液 の産生のための方法を包含し、その方法は以下の工程を包含する: (a)ヘモグロビン含有細胞を溶解してヘモグロビン含有粗溶解液を産生する 工程、 (b)ヘモグロビン含有粗溶解液中のヘモグロビンを熱安定状態に変換する工 程、 (c)残存する細菌細胞の大部分を死滅させ、微生物性混入物および細胞片(c ell debris)を沈澱させ、混入ヘモグロビンを沈澱させ、そして特にプロトポル フィリンIX含有ヘモグロビンを沈澱させるために十分な時間および十分な温度で ヘモグロビン含有粗溶解液を加熱する工程、 (d)ヘモグロビン含有粗溶解液から、沈澱した微生物性混入物および細胞片 、沈澱した混入ヘモグロビンおよび特にプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビン を機械的に除去して実質的にプコトポルフィリンを含まないヘモグロビン溶液を 産生する工程。 ヘモグロビン含有細胞は好ましくは非赤血球であり、より好ましくは細菌細胞 であり、最も好ましくはE.coli細胞であり、ヘモグロビン含有粗溶解液中のヘモ グロビンはR状態またはT状態、最も好ましくはR状態に、好ましくは酸素、酸 化窒素および一酸化炭素からなる群から選択される、最も好ましくは一酸化炭素 であるリガンド化気体(liganding gas)を添加することにより変換され、そし て沈澱した微生物性混入物、細胞片、沈澱した混入ヘモグロビンおよび特に沈澱 したプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンは、ヘモグロビン含有粗溶解液から クロマトグラフィーまたは固体−液体分離技術により、より好ましくは濾過によ り、最も好ましくは回転ドラム真空濾過により機械的に除去される。 本発明はさらに、実質的に精製されたヘモグロビン溶液を産生するための方法 を提供し、その方法は以下の工程を包含する: a)部分的に精製されたヘモグロビン溶液を第一の適切な緩衝液に緩衝液交換 して緩衝液交換された、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を産生する工程、 b)緩衝液交換された、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を陰イオン交換 樹脂上にロードする工程、 c)緩衝液交換された、部分的に精製されたヘモグロビン溶液でロードした陰 イオン交換樹脂を第一の適切な緩衝液を用いて洗浄する工程、 c)部分的に精製したヘモグロビン溶液をロードした陰イオン交換樹脂を第一 の適切な緩衝液よりも低いpHを有する洗浄緩衝液を用いて洗浄する工程、 d)洗浄緩衝液よりさらに低いpHを有する溶出緩衝液を用いて、陰イオン交換 樹脂から、緩衝液交換された、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を溶出して 実質的に精製されたヘモグロビン溶液を産生する工程。 好ましくは適切な緩衝液は、適切な陽イオンの緩衝液、好ましくはpH 8.5〜9. 5および200〜800 μS/cmの伝導率を有するTris緩衝液、最も好ましくは20 mM Tr is緩衝液、pH約8.9、伝導率約400 μS/cmであり;好ましくは陰イオン交換樹脂 は強陰イオン交換樹脂、好ましくはSepharose Q Fast Flow樹脂であり;好まし くは洗浄緩衝液は適切な陽イオン交換緩衝液、好ましくはpH8.5未満のTris緩衝 液、より好ましくはpH 7.6〜7.9、好ましくは10〜15 mM Tris緩衝液、最も好ま しくは12 mM Tris,pH 7.7、好ましくは約600〜800 μS/cmの間の伝導率、最も 好ましくは約700 μS/cmの伝導率を有し;好ましくは部分的に精製されたヘモグ ロビン溶液は洗浄緩衝液より低いpHの溶出緩衝液、より好ましくはTris緩衝液、 より好ましくは550〜1200 μS/cmの間の伝導率を有する10〜15 mM Tris緩衝液pH 7.4〜7.7、より好ましくは550μS/cmと850μS/cmとの間の伝導率、最も好まし くは700 μS/cmの伝導率を有する、12 mM Tris緩衝液、pH 7.5を用いて溶出され る。 実質的に精製されたヘモグロビン上のリガンドが上の工程の後に交換され、酸 素添加された、実質的に精製されたヘモグロビン溶液を産生し得ることに留意の こと。 本発明はさらに任意の微量の金属(特にニッケル)の除去による純粋なヘモグ ロビン溶液の産生のための方法を包含する。その金属は、任意の製造または精製 のプロセスの間に導入され得、そのプロセスは以下の工程を包含する: a)バッチ添加または限外濾過により、実質的に精製されたヘモグロビン溶液 にキレート剤を添加する工程、 b)任意の適切な技術により、実質的に精製されたヘモグロビン溶液を適切な 製剤緩衝液に緩衝液交換して純粋なヘモグロビン溶液を産生する工程。 実質的に精製されたヘモグロビン溶液へのキレート剤の添加は、最も好ましく はキレート剤のバッチ添加により実施され、ここでキレート剤はEDTAおよびジエ チルアミントリアミン五酢酸(DTPA、五酢酸(penta acetic acid)としても知 られる);好ましくは実質的に精製されたヘモグロビン溶液は限外濾過により緩 衝液交換される。好ましくは適切な製剤緩衝液は、150 mM NaCl、5mMリン酸ナト リウム、約0.025〜0.035% Tween、1mMアスコルビン酸塩または2.5 mM未満の亜 ジチオン酸塩、50 mM未満の炭水化物、2%未満のポリエチレングリコール、pH 約7である。 本発明はまた、純粋なヘモグロビン溶液の産生のための方法もさらに包含し、 その方法は以下の工程を包含する: a)ヘモグロビン含有E.coli細胞を溶解してヘモグロビン含有粗溶解液を産生 する工程、 b)一酸化炭素を添加することにより、ヘモグロビン含有粗溶解液中のヘモグ ロビンをR状態ヘモグロビンに変換する工程、 c)残存する細菌細胞の大部分を死滅させ、微生物性混入物および細胞片を沈 澱させ、混入ヘモグロビンを沈澱を沈澱させ、そして特にプロトポルフィリンIX 含有ヘモグロビンを沈澱させるために十分な時間および十分な温度でヘモグロビ ン含有粗溶解液を加熱する工程、 d)ヘモグロビン含有粗溶解液から、沈澱した微生物性混入物および細胞片、 沈澱した混入ヘモグロビンおよび特に沈澱したプロトポルフィリンIX含有ヘモグ ロビンを機械的に除去して実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビ ン溶液を産生する工程、 e)実質的にプロトポルフィリンIX非含有ヘモグロビン溶液をpH約8.0〜8.3で 亜鉛でチャージした固定化金属アフィニティー樹脂に結合させる工程、 f)少なくとも4カラム量の約20 mM Tris/500〜750 mM NaCl,pH約8.0〜8.3, 伝導率約35〜50 mS/cmを用いて固定化金属アフィニティー樹脂に結合した実質的 にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液を洗浄する工程、 g)少なくとも4カラム量の約10 mM Tris/25〜50 mM NaCl,pH約8.0〜8.3,伝 導率約2.5〜4.5 mS/cmを用いて固定化金属アフィニティー樹脂に結合した実質的 にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液を洗浄する工程、 h)pH約8.5の約15 mM EDTAを用いて、固定化金属アフィニティー樹脂に結合し た実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液を溶出して部分的 に精製されたヘモグロビン溶液を産生する工程、 i)部分的に精製されたヘモグロビン溶液をpH約8.9の20 mM Trisに緩衝液交換 して、緩衝液交換された、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を産生する工程 、 j)緩衝液交換された、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を陰イオン交換 樹脂にロードする工程、 k)20 mM Tris緩衝液、pH約8.9、伝導率約400 μS/cmを用いて、緩衝液交換さ れた、部分的に精製されたヘモグロビン溶液がロードされた陰イオン交換樹脂を 洗浄する工程、 l)約12 mM Tris緩衝液pH約7.7、伝導率約700 μS/cmを用いて、緩衝液交換さ れた、部分的に精製されたヘモグロビン溶液がロードされた陰イオン交換樹脂を 洗浄する工程、 m)約550〜800 μS/cmの間の伝導率を有する12 mM Tris緩衝液、pH 7.5を用い て、陰イオン交換樹脂を溶出して実質的に精製されたヘモグロビン溶液を産生す る工程、 n)加圧下で酸素を導入することにより、実質的に精製されたヘモグロビン溶 液を酸素添加する工程、 o)EDTAおよびDTPAからなる群から選択されるキレート剤のバッチ添加により 、精製されたヘモグロビン溶液中の任意の金属の混入を除去する工程(そのよう な金属の除去が必要である場合)、 p)キレート剤を除去する工程(そのような金属の除去が必要である場合)、 および同時に、精製されたヘモグロビン溶液を適切な製剤緩衝液に緩衝液交換す る工程。 本発明の他の局面は本質的に純粋なヘモグロビン溶液および薬学的組成物に関 し、好ましくはそのような溶液は、組換えヘモグロビンの精製から得られ、そし てそのような組換えヘモグロビンは特に本発明の方法により得られる。 本特許の解釈を手助けするために、他に示されない限り、本明細書に添付され る請求項を含め、本特許を通じて、以下の用語は以下の意味を有する。 「ヘモグロビン」または「ヘモグロビン様タンパク質」は、(a)2つのα様 グロビンおよび2つのβ様グロビン、(b)1つのジα様グロビンおよび2つの β様グロビン、(c)2つのα様グロビンおよび1つのジβ様グロビン、(d)1 つのジα様グロビンおよび1つのジβ様グロビン、(e)1つの融合したα様/ β様グロビンおよび分離したα様およびβ様グロビン、または(f)2つの融合 したα様/β様グロビンからなる、1つまたはそれ以上の四量体を包含する。1 つの四量体のグロビンは、他の四量体のグロビンと架橋結合されるかまたは遺伝 学子的に融合され得る。ヘモグロビンまたはヘモグロビン様タンパク質において 、天然または組換え供給源のどちらに由来するにせよ、RまたはT状態のいずれ にあるにせよ、α様グロビンおよびβ様グロビンのそれぞれはヘムまたはプロト ポルフィリンIX補欠分子族を含有し得る。 「遺伝子的に融合されたヘモグロビン」は、少なくとも1つの「遺伝子的に融 合されたグロビン様ポリペプチド」を含有するヘモグロビン様タンパク質を意味 し、後者は2つ以上のグロビン様領域、例えばジα様グロビンまたはβ様グロビ ンを含み、そしてそれらは同一または別であり得る。 「ジα様グロビン」は、本質的に、第一のα様グロビン(ドメイン)のC末端 と第二のα様グロビン(ドメイン)のN末端との間のペプチド結合により連結さ れた2つのα様グロビン配列(ドメイン)からなる物質である。α様グロビン( またはそのドメイン)は天然のヒトαグロビンに対して少なくとも約75%の配列 同一性を有する。しかし、より小さい配列同一性を有するポリペプチドは、それ が偶然から予測され得るよりも高い配列同一性を有し、しかもαグロビンの特徴 的な高次構造および同様の生物学的活性を有する場合、依然としてαグロビンと 実質的に相同的であると考えられ、従ってα様グロビンであり得る。同様に、β 様グロビン(またはそのドメイン)は天然のヒトβグロビンに対して少なくとも 約75%の配列同一性を有する。しかし、より少ない配列同一性を有するポリペプ チドは、それが偶然から予測され得るよりも高い配列同一性を有し、しかもβグ ロビンの特徴的な高次構造をおよび同様の生物学的活性を有する場合、依然とし てβグロビンと実質的に相同的であると考えられ、従ってβ様グロビンであり得 る。 ジα様グロビンにおいて、2つのα様グロビン配列は直接連結されるか、また は1以上のアミノ酸のペプチドリンカーにより連結され得;用語「ペプチド結 合」は両方の可能性を包含することが意図される。ペプチド結合以外によりNお よびC末端で架橋されたα様グロビン鎖(例えば、4,4'-ジイソチオシアネート スチルベン-2,2'-ジスルホネート,DIDS)はジα様グロビンではない。ジα様グ ロビンは好ましくは、βグロビンとともに折りたたまれ得、このタンパク質中の 全てのグロビンはヘムを取り込んで、機能的なヘモグロビン様タンパク質を形成 し得る。「ジβグロビン様ポリペプチド」は同様に定義される。 「rHb1.1」は、1つのジα様グロビンおよび2つのβ様グロビンを意味し、こ こで、2つのα様グロビンは、第一のα様グロビンのC末端と第二のα様グロビ ンのN末端の間の単一のグリシンにより連結され、β様グロビンはPresbyterian 変異、βN108-〉Kを含み、そして両方のβ様グロビンおよびジα様グロビンは、 N末端にval-〉met変異を含む。 「組換えヘモグロビン」は天然型であるか変異体であるかに関わらず、α様グ ロビンタンパク質およびβ様グロビンタンパク質を包含し、少なくともその1方 が、ヘモグロビン遺伝子および/またはヘモグロビンタンパク質が天然に見出さ れる細胞以外の細胞(すなわち、ヘモグロビン遺伝子が発現される宿主に対して 異種である)内の組換えDNA分子により保有されるグロビン遺伝子の発現により 得られるヘモグロビンを意味する。それゆえ、ヒト赤血球以外の任意の細胞内で の任意のヒトヘモグロビン遺伝子の発現は、組換えヘモグロビンであると考えれ 得る。さらに、任意の非脊椎動物、または発現されるヘモグロビンが自然に生じ る脊椎動物以外の任意の脊椎動物の任意種内での、脊椎動物ヘモグロビンの発現 は、組換えヘモグロビンであると考えられる。変異が自然に生じる種以外の任意 の種内における自然に生じる任意のヘモグロビン変異体の発現は、組換えヘモグ ロビンであると考えられる。任意の種内での自然に生じるのではない任意の変異 ヘモグロビンの発現は組換えヘモグロビンであると考えられる。種に関わりなく 、ヘモグロビン変異体が自然に発現される個々の生物以外の任意の個々の生物内 での、自然に生じる任意の変異ヘモグロビンの発現は組換えヘモグロビンである と考えられる。 「リガンド化ヘモグロビン」は任意のリガンドが結合したヘモグロビンを意味 する。共通のリガンドはO2、CO2、NO、CO、HCNなどを包含するが、これらに限定 されない。好ましくはリガンドはヘムポケットで結合するリガンドである。共通 の好ましいリガンドはO2、CO、NO、を包含するが、これらに限定されない。 「オキシヘモグロビン」は機能的な酸素結合部位のそれぞれが酸素分子に結合 しているヘモグロビンを意味する。 「デオキシヘモグロビン」または「非リガンド化ヘモグロビン」はリガンドが αグロビン、βグロビン、および/または任意の機能的なヘム補欠分子族に結合 していない、任意のヘモグロビンを意味する。 「R状態ヘモグロビン」はヘモグロビンの高親和性状態であり、リガンドがヘ ムポケットで結合しているときのヘモグロビンの優勢な形態である。リガンドは 代表的には酸素であり、従ってこの状態は「オキシ」または「R」(弛緩したを 意味する)状態として知られる。R状態では、サブユニット間の距離はT状態ヘ モグロビンにおける距離と比較して増加している。 「T状態ヘモグロビン」は、サブユニットが四面体を形成するヘモグロビンの 低親和性状態であり、ヘモグロビンが脱酸素(「デオキシ」、または「緊張した 」を意味する「T」)されているときのヘモグロビンの優勢な形態である。 「混入ヘモグロビン」は、本発明の実質的に純粋なヘモグロビンではない任意 のヘモグロビンを意味し、プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビン、ヘモグロビ ンのイソ型、メトヘモグロビン、凝集したヘモグロビン、アセチル化されたヘモ グロビン、メチル化されたヘモグロビン、グリケートされたヘモグロビンなどを 含み得る。 「プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビン」は、その1以上のヘム補欠分子族 が鉄原子を含まない任意のヘモグロビンを意味する。 「ヘモグロビン含有溶解液」は赤血球または非赤血球由来のヘモグロビン溶液 を意味し、ここでヘモグロビンはもはやそれらの細胞を含まず、そして粗または 明澄化したヘモグロビン溶解液のいずれかであり得る。 「ヘモグロビン含有粗溶解液」は、赤血球由来であるか非赤血球由来であるか に関わらず、そのヘモグロビンを発現した細胞からそのヘモグロビンを遊離させ るため以外の処理がなされていない、ヘモグロビン溶液を意味する。混入物質は 溶液中にあるかまたは沈澱しているが、沈澱した混入物質は溶液から除去されて いない。 「明澄化したヘモグロビン含有溶解液」は、固体(例えば、混入細胞膜、沈澱 した非ヘモグロビンタンパク質、および沈澱した混入しているヘモグロビン、特 にプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンなど)を実質的に含まない、赤血球ま たは非赤血球由来のヘモグロビン溶液を意味する。 「実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液」は、実質的に プロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液中のプロトポルフィリンIX含 有ヘモグロビンの量が全ヘモグロビンの約10%未満の、より好ましくは、全ヘモ グロビンの約6%未満の、より好ましくは全ヘモグロビンの1%未満の、ヘモグ ロビン溶液である。最も好ましくは、実質的にプロトポルフィリンIXを含まない ヘモグロビン溶液中のプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンは、実施例6に記 載の測定技術においてプロトポルフィリンIXの検出限界以下である。 「部分的に精製されたヘモグロビン溶液」は、溶液中の他のタンパク質と比較 して、99重量%のヘモグロビンを含有し、そして明澄化したヘモグロビン含有溶 解液よりも、少なくとも100倍少ない、より好ましくは500倍少ない、最も好まし くは1000倍少ないE.coliのタンパク質(実施例11に明記した技術を用いて測定し たE.coliタンパク質)を含有するヘモグロビン溶液を意味する。 「実質的に精製されたヘモグロビン溶液」は以下の仕様を満たすヘモグロビン を意味する: 「純粋なヘモグロビン溶液」は以下の純度仕様を満たすヘモグロビン溶液を意味 する: 図面の説明 図1A〜Cは本特許のプロセスのための形成を記載する。図1Aは発酵プロセス を示し、図1Bは精製プロセスの流れの最初の部分を示し、そして図1Cは精製プ ロセスの流れの最後の工程を示す。 図2は、様々な温度(℃-X軸)におけるE.coliの1025の死減を達成するため に必要とされるレジデンス時間(residence time)(Y軸)を秒で示す。 図3は、完全に機能的なヘモグロビンの収率(パーセント表示)(左のY軸上 に示されたスケールに対する灰色の棒)および実施例4に記載のスチームインジ ェクション(stream injection)による加熱の後のプロトポルフィリンIX含有ヘ モグロビン溶液中のプロトポルフィリンIX残存量(右のY軸上に示されたスケー ルに対する●)の概要を示す。0.4%および0.5%値がPIX定量の限界であること に留意のこと。値を多くの温度(X軸)について示す。加熱保持時間を灰色の棒 上に記す。 図4は、変異体ヘモグロビン(rHb1.1)の組換え発現に用いたプラスミド、pS GE705のプラスミド地図を示す。このプラスミド地図は関連する制限部位を含む 。 発明の詳細な説明 本発明はヘモグロビン、特に組換えヘモグロビンの精製のプロセスを提供する 。特に、本発明は単一のクロマトグラフィーの工程、固定化金属アフィニティー クロマトグラフィー(IMAC)を用いて驚くべき高い精製度を提供し、部分的に精 製されたヘモグロビン溶液を生じる。さらに、本発明は、ヘモグロビンがR状態 またはT状態に安定化されているヘモグロビン粗溶解液を迅速に加熱することに より、混入タンパク質、特に、プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンを除去す るための方法を提供し、プロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液を生 じる。本発明はさらに、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた、部分的に精 製されたヘモグロビン溶液の精製を提供し、実質的に精製されたヘモグロビン溶 液を生じる。そして、必要であれば、本発明は添加により精製のプロセスの間に 導入された金属の除去およびその後の適切なキレート剤の除去を提供する。これ らのプロセスのそれぞれは単独で使用され得、また必要であれば併用され得る。 ヘモグロビンは、当該分野に周知である多くの供給源(期限切れのヒト赤血球 、ウシ赤血球を包含するが、これらに限定されない)、および多くの非赤血球系 (細菌、酵母、植物、および哺乳動物細胞を包含するが、これらに限定されない )から精製されて、明澄化されたヘモグロビン含有溶解液を産生し得る。全ての これらの系において、細胞性マトリックスからのヘモグロビンの精製における通 常の開始工程の一つは、混入細胞性成分の除去である。このことは供給源物質が 赤血球または細菌性発現系のどちらであるにせよ重要である。ヘモグロビンによ る菌体内毒素の毒性の特別な増強は、菌体内毒素混入物の除去、または粗開始物 質の細菌の混入の予防に対して特に注意を要求する(Rausch,C.W.およびFeola ,M.,米国特許第5,084,558号)。細胞性混入物、特に細菌性混入物の除去の問 題は、細菌性の発現系での組換えヘモグロビンの発現の設定において特に深刻で ある、なぜなら、本発明以前は、開始時の高レベルの細菌性の混入物は、(特に 大きな商業規模においては)最終産物であるヘモグロビンの品質を危険にさらす ことなしに除去され得なかったからである。 利用され得る付加的な工程は、混入物ヘモグロビン(例えば、ヘモグロビンイ ソ型、メトヘモグロビン、凝集したヘモグロビン、および特にプロトポルフィリ ンIX含有ヘモグロビン(「混入ヘモグロビン」))の除去である。このような混 入ヘモグロビンは、提供されたヘモグロビン分子への1以上の不活性ヘム群の取 り込みの結果、または最初の産生または精製の工程の間のヘモグロビン産物の酸 化の結果として生じ得る。これらの混入ヘモグロビン(プロトポルフィリンIX含 有ヘモグロビンを含む)の除去は、産物の純度および安定性を極大化するために 所望される。 本発明の出発物質として適切なヘモグロビン含有細胞は、多数の供給源から容 易に入手され得る。例えば、屠殺場は非常に大量のヘモグロビン含有細胞を産生 する。動物の特定の種または品種が特定の使用のために特に適したヘモグロビン 含有細胞を産生する場合、必要とされる血液を供給するために、それらの生物は 特別に飼育され得る。また、ヘモグロビン含有細胞内で組換えヘモグロビンを発 現し得るトランスジェニック動物もまた産生され得る。ヒト血液銀行は一定の満 期日の後、ヘモグロビン含有細胞を含む、ヒト血液を廃棄しなければならない。 さらに、所望のヘモグロビンのサブユニットをコードする遺伝子は、クローン 化され、適切な発現ベクター中に配置され、微生物、動物、植物または他の生物 体中に挿入され、あるいは培養された動物または植物の細胞または組織中に挿入 され得る。これらの生物、細胞または組織は標準的な組換えDNA技術を用いて生 じさせられ得、細胞培養または発酵中で成長させられ得る(図1A)。ヒトαおよ びβグロビン遺伝子は、それぞれLiebhaberら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(19 80)77:7054-7058)およびMarottaら(J.Biol.Chem.(1977)252:5040-5053) によりクローン化され、配列決定された。天然および変異体のαおよびβグロビ ンの両方の発現およびそれらのヘモグロビンへの構築のための技術は、米国特許 第5,028,588号S.J.Hoffman; K,NagaiおよびHoffman,S.J.ら、PCT/US90/02654 号;Townes,T.M.およびMcCune,S.L.,PCT/US91/09624号;およびDe Angelo, J. ら、PCT/US91/02568号およびPCT/US91/08108号に記載されている。 ほとんどの場合、純粋なヘモグロビン溶液の精製における第一の工程は、ヘモ グロビンを、それを発現したヘモグロビン含有細胞の外側に出してヘモグロビン 含有粗溶解液を産生することである。これは通常、細胞を開裂することにより達 成され得る(例えば、超音波、ホモゲナイゼーション、酵素的溶解または当該分 野で公知の他の細胞破壊技術により)。あるいは、細胞性成分によるいくらかの 混入物が避けられ得るように、ヘモグロビンは、低浸透圧性の緩衝液を用いた制 御された割合での希釈によりヘモグロビン含有細胞から遊離され得る(Shorrら 、米国特許第5,264,555)。さらに、細胞はグロビンを分泌するように加工され 得る。この第一工程の後またはそれと同時に、大量の様々な混入細胞性成分およ び混入物ヘモグロビン(プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンを含む)は、必 要であれば、本発明で前記したように、ヘモグロビン含有粗溶解液を加熱し、そ して沈澱した物質を機械的に除去して明澄化したヘモグロビン含有溶解液を産生 することにより除去され得る(図1B)。これは、組換え発現系由来のヘモグロ ビンのために特に相応しい。しかし、混入細胞性成分および混入ヘモグロビンの 除去が必要でない場合は、この工程は省略され得、そしてヘモグロビン溶液は当 該領域で公知の任意の方法(例えば、下記のような沈澱化(settling)および遠 心分離)により細胞性混入物について明澄化され得る。 ヘモグロビン含有粗溶解液の加熱は、当業者に公知の任意の適切な方法により 達成され得、それらは、管形熱交換器(例えば、Process Engineers Inc.,Hayw ard,California)および平板形熱交換器(例えば、APV Crepaco Inc.,Rosemon t,Illinois)などの対流/伝導熱交換器;スチームインジェクション加熱、電 磁波加熱(Charm,米国特許第 4,975,246号)などを含むが、これらに限定され ない。最も好ましくは、ヘモグロビン含有粗溶解液は、極度に急速に溶液を加熱 する方法、特にスチームインジェクションにより加熱される(図1B)。スチー ムインジェクションは、例えば、ヘモグロビン含有粗溶解液流に蒸気流を合わせ ることにより生じ得る。そのようなスチームインジェクションは、公知の工学技 術、例えば、インラインスタチックミキサー(in-line static mixer)、Ventur i ミキサーまたは突発膨張ミキサー(sudden expansion mixer)を用いることに より達成されるが、突発膨張ミキサーは液体流ラインの付着が避け得る利点のた めに好まれる。他の技術は当業者に公知である、例えば、Chemical Engineering Handbook,第5版、McGraw-Hill,New York(1973)6-29〜6-32項。急速な加熱 のための高熱の導入の前に、ヘモグロビン含有粗溶解液は、上に列挙した当該分 野で公知の適切な熱交換器を用いて、最も好ましくは平板形熱交換器を使用して (APV Crepaco Inc,Rosemont,Illinois)前加熱される。 ヘモグロビン含有粗溶解液の加熱は、十分な混入ヘモグロビンの沈澱、特にプ ロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンの沈澱を達成するために十分な時間および 十分な温度で生じなければならない。加熱はまた、生存している微生物が死滅さ れることを確実にするために、十分な時間および十分な温度で生じ得る。本発明 は、ヘモグロビン含有粗溶解液が驚くほどに短い時間熱に曝された場合、十分な プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンが除去され、そして組換え生物体の適切 な死滅が達成されることを示す。好ましくは、加熱時間は約5分未満であり、よ り好ましくは約3分未満であり、最も好ましくは約2分未満である。 そのような短時間で、細菌死滅およびヘモグロビン含有溶解液からの混入ヘモ グロビンの除去を達成するために、比較的高い温度でヘモグロビン含有粗溶解液 を加熱することが必要である。図2は、生存するE.coliにおける1025の減衰を達 成するための時間および温度を示す。そのような比較的高い温度は、ヘモグロビ ンがその天然の環境で曝される温度(すなわち、37℃)よりも高い温度であり、 好ましくは少なくとも約55℃の温度であり、より好ましくは少なくとも約65℃、 より好ましくは少なくとも約70℃、さらにより好ましくは約70℃〜約85℃である 。図3は、プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンの形態の混入ヘモグロビンの 好ましい1%レベルより低いレベルへの減少は、通常、より長い保持時間(約5 秒より長い)、およびより高い温度(約70℃より高い)で生じることを示す。最 も好ましい温度および時間の組み合わせは約82±2℃および約10〜12秒である。 しかし、時間および温度の最も好ましい組み合わせの選択は、混入ヘモグロビン 、特にプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンの沈殿物の量を極大化させ、一方 本発明のヘモグロビンの損失を極小化させることに基づく。プロトポルフィリン IXヘモグロビンを本明細書に記載の測定技術による検出可能レベル(0.4%)よ り低く減少させることが所望される。 加熱処理の間、ヘモグロビン含有粗溶解液中のヘモグロビンはリガンド化また は非リガンド化状態のどちらかであり得るが、産物ヘモグロビンの実質的な損失 なしに混入物を選択的に除去するためには、好ましくは、完全なリガンド化また は完全な非リガンド化状態のどちらかである。 ヘモグロビンが完全なT状態または完全なR状態のどちらかであることを確実 にするために、ヘモグロビン含有粗溶解液は最初に脱酸素(非リガンド化または T状態を好む)され得、そして/または適切なリガンド化ガスで処理され得る( リガンド化またはR状態を好む)。 脱酸素は、溶液への外因性化学的還元剤の添加(例えば、亜ジチオン酸塩また は重亜硫酸塩)、または窒素のような不活性ガスで溶液を処理することにより達 成され得る。好ましくは、脱酸素は、ヘモグロビン含有粗溶解液を大気との接触 から隔離すること、およびヘモグロビン含有粗溶解液中の還元等量に任意の利用 可能な酸素を消費させることにより生じさせ得る。この後者の方法は脱酸素の好 ましい方法であり、特に組換えヘモグロビンの産生の結果として得られるヘモグ ロビン含有粗溶解液に適する。なぜなら最も適切な宿主細胞(特に細菌および酵 母細胞)の内部細胞環境は高度に還元されているからである。それゆえ、細菌ま たは酵母細胞の溶解に由来するヘモグロビン含有粗溶解液は、(本質的に還元し た細胞成分の粗溶液であるが)、外因性の化学的還元剤を必要とすることなく還 元した環境を提供する。 ヘモグロビンは、ヘモグロビン含有粗溶解液を適切なガス混合物とともに、混 合または散布することにより酸素または非酸素リガンドでリガンド化され得る。 ヘモグロビンに結合し得る非酸素リガンドはAntoniniおよびBrunori、Hemoglobi n and Myoglobin in Their Reactions with Ligands,North Holland Publishin g Company,Amsterdam(1971)436項により認められたリガンドを包含する。ヘ モグロビンに完全に酸素を結合させて完全にリガンド化したヘモグロビンを産生 することは、ヘモグロビン含有粗溶解液中に存在する還元した環境下で達成する ことが難しいため非酸素リガンドが好ましい。好ましくは、非酸素リガンドは、 ヘムポケットでヘモグロビンに結合するガスである。ヘムポケットで結合するそ れらの非酸素ガスは、R状態への遷移を促進する。このような好ましいヘムポケ ットで結合する非酸素ガスの例は一酸化炭素および酸化窒素を包含するが、これ らに限定されない。好ましくは、非酸素ガスおよびヘモグロビン含有溶解液の混 合は、ヘモグロビン含有細胞を破壊した後でしかも加熱の前に、ヘモグロビン含 有粗溶解液を非酸素ガスと共に散布することにより生じる(図1B)。あるいは 、非酸素ガスは、細胞の回収の前にヘモグロビン含有細胞と混合され得る(図1 A)。最も好ましい非酸素ガスは一酸化炭素(CO)であり、それは本質的に純粋 なCOまたはCOと他のガス(例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウムまたは水素 )の混合物であり得る(Scott specialty Gases,Plumsteadville,Pennsylvania )。好ましくは、このCOは本質的に純粋なCOである。混合または散布の速度は、C Oまたは他の非酸素ガスにより溶液中のヘモグロビンの飽和を生じる任意の速度 であり得る。それゆえ、散布の速度は、散布ガス中のCOの濃度の関数であり、そ して特定化したガスの流動速度であり得(例えば、0.1-100標準立方リットル毎 分[sclm])、あるいは散布は特定化した量のヘモグロビンがカーボンモノオキ シヘモグロビン(カルボニルヘモグロビンまたはHbCOとしても知られる)になる まで続けられ得る。 カーボンモノオキシヘモグロビンの量は、種々の分析的技術を用いることによ り測定され得る(Evelynら、(1938)J.Biol.Chem.126: 655; Collisonら、(19 68)Clin.Chem.14: 162; JohanssonおよびWollmer,(1989)Clin.Physiol.9: 581; Rodkeyら、(1979)Clin.Chem.25: 1388)。報告された方法の複雑さは、 単純な2波長分析(ComminsおよびLawther(1965)Brit.J.Ind.Med.22: 139 ; Small(1971)J.Appl.Physiol.31(1):154-160)から広範な計算が要求される 複数波長測定(Fogh-Andersenら、(1987)Clin.Chim.Acta 166: 283-289)ま でに及ぶ。 本発明のために開発された好ましいアプローチは、rHb1.1のような変異体ヘモ グロビンがヘモグロビン含有粗溶解液から精製されるべき所望のヘモグロビンで ある場合、様々な変異体ヘモグロビンのための消衰係数が使用され得ること以外 は、商業的に入手可能なHemoximeter instruments(Fogh-Andersenら、(1987)Cl in.Chim.Acta 166: 283-289)に類似した方式の複数波長測定を使用すること である。この方法は、与えられたサンプルの測定された吸光度に対して選択され た波長における目的のヘモグロビン種の消衰係数に由来する偽逆行列(pseudoin verse matrix)の応用を使用する(さらなる詳細のために実施例5を参照のこ と)。 本発明の方法は、ヘモグロビン含有粗溶解液からの混入ヘモグロビンを除去し て実質的に混入している細胞膜、沈澱した非ヘモグロビンタンパク質および混入 ヘモグロビン、特にプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンを含まない、実質的 にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液を産生するために用いられ 得る。加熱されたまたは加熱されていないヘモグロビン含有粗溶解液のいずれか 由来の細胞片および沈澱した混入物は、固体−液体分離に適した多数の機械的な 方法により除去され得、それは遠心分離および沈澱のような沈降技術;拡張ベッ ド(expanded bed)またはフロースルービッグビード(flow through big bead )クロマトグラフィーのような直接的な捕獲技術;および真空濾過、圧力濾過、 接線フローまたはクロスフロー濾過、最も好ましくは回転ドラム真空濾過のよう な濾過方法を包含するが、これらに限定されない。拡張ベッドまたはフロースル ービッグビード樹脂はまた、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IM AC)樹脂であり得、従って沈澱した混入ヘモグロビンおよび細胞片の除去は、1 工程のIMAC精製(下記参照)と併用され得る。 凝集補助剤(flocculant aid)(ポリエチレンイミン、DEAEセルロースなど) 、他のポリカチオン性凝集剤(例えば、Magnafloc 573TM、Cytec Industries,I ndianapolis,IN)または珪藻土(Eagel-Picher Minerals,Inc.)を添加して、 細胞片および混入物質の沈澱を援助し得る。細胞片および沈澱した混入物質の機 械的除去の後、実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液がさ らなる操作のために得られる。この物質はさらなる応用(例えば、酸素親和性を 変化させる、またはポリマーの形成を引き起こすヘモグロビンの化学修飾)に使 用され得、または本発明において教示されるようにしてさらに精製され得る。 実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液は、リガンド化ガ スで再び処理され得、溶液中の全てのヘモグロビンが適切な配座にあることを確 実にし得る。最も好ましくは、ヘモグロビン溶液は、前記のように一酸化炭素を 用いて再び散布される。さらに、キレート剤(例えば、EDTAまたはDTPA)は、溶 液中のヘモグロビンの酸化的な損傷を妨げるために添加され得る。実質的にプロ トポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液は、固定化金属アフィニティーク ロマトグラフィーに供されて、他のヘモグロビンおよび非ヘモグロビン混入物な らびに驚くべき大量のE.coliタンパク質をさらに除去し得る。固定化金属アフィ ニティークロマトグラフィーは、固定化金属アフィニティー樹脂または二座キレ ート剤(例えば、イミノ二酢酸)に結合した膜シートを利用する。適切なIMAC樹 脂は、ToyoPearl AF-Chelate 650M(TosoHaas,Inc.,Philadelphia,PA)、IMA C用に改変されたFlow Through Big Bead Resin(Sterogene,Inc.,Arcadia,CA )、Chelating Sepharose Big Bead、Chelating Sepharose 6BTM(共にPharmaci a、Piscataway,NJ)、最も好ましくはChelating Sepharose Fast Flow(Pharma cia,Piscataway,NJ)を包含するが、これに限定されない。適切な膜シートは 、Acti-Mode SeparationTM(FMC,Inc.,Natick,MA)を包含するが、これに限 定されない。IMAC樹脂または膜は、ニッケル、銅、コバルトおよび亜鉛を含む任 意の二価の金属イオンでチャージされ得る。好ましくは、IMAC樹脂またはシート をチャージするために用いられる二価の金属イオンは、酢酸亜鉛の形態の亜鉛で ある。亜鉛は、実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液であ る明澄化されたヘモグロビン含有溶解液に、(例えば、1M酢酸亜鉛を用いて) 最終亜鉛濃度2〜4mMで添加される。亜鉛添加後、溶液は、0.5N NaOHを用いて より高いpH(好ましくは、7.0より高い、より好ましくはpH 8.0〜8.5、最も好ま しくはpH8.0〜8.3)に至らされる。溶液は6℃と20℃の間に保たれるべきである 。IMAC樹脂または膜上にロードする前に、溶液を濾過装置(好ましくはデプスフ ィルター、好ましくはCUNO濾過装置(Cuno,Inc.,Meriden,CT))を通して濾過 して、二価の金属の添加により沈澱した任意の物質を除去するべきである。IMAC 樹脂または膜は、適切な温度(好ましくは25℃よりも低い、より好ましくは4〜 15℃、より好ましくは4℃と10℃との間)に保たれ、そして上記のように二価の 金属イオンでチャージされるべきである。樹脂または膜のチャージは、製造業者 の推奨に従って、全ての可能な金属結合部位が負荷されるように、選択された金 属の溶液と樹脂またはカラムに通過させることにより達成され得る。最も好まし くは、これは20mMの酢酸亜鉛溶液の少なくとも2カラム容積をChelating Sephar ose Fast Flowカラムを通過させることにより生じる。そして、チャージしたIMA C樹脂または膜は、塩溶液(塩溶液は好ましくは500mM未満のNaCl、最も好ましく は200 mM NaClである)の少なくとも2カラム容積により平衡化されるべきである。平 衡化後、実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液は、5〜10 0グラムヘモグロビン/リットル樹脂の間で、最も好ましくは15〜30g/lでチャー ジしたIMAC樹脂または膜上にロードされ得る。 混入タンパク質(特にE.coliタンパク質)は、適切な緩衝液または緩衝液/塩 溶液の十分な容積で樹脂を洗浄することにより、IMAC樹脂から除去され得る。そ のような緩衝液は、Tris、HEPES、MOPS、トリエチルアミン、トリエタノールア ミン、重炭酸塩およびリン酸塩を包含する。好ましくは、第一の洗浄溶液は、ロ ード溶液より高い塩濃度の溶液を含み、そして好ましくは樹脂は、少なくとも4 カラム容積で洗浄される。好ましくは洗浄溶液はTris/NaCl溶液、より好ましく は、25mS/cmと50mS/cmとの間、最も好ましくは約35mS/cmから46mS/cmの伝導率を 有する、20mM Trisおよび0.5M〜0.75M NaCl(最も好ましくは0.5M NaCl)、pH 7 .5〜8.5(最も好ましくはpH 8.0〜8.3)である。第二の洗浄は、緩衝液および塩 を含む第二の洗浄溶液を用いて実施され得、緩衝液は、Tris、HEPES、MOPS、ト リエチルアミン、トリエタノールアミン、重炭酸塩およびリン酸塩を包含し、第 一の洗浄緩衝液よりさらに低い伝導率(好ましくは2mS/cmと6mS/cmとの間)を 有し、最も好ましくは2.5〜4.5mS/cmの伝導率を有する。好ましい溶液は10mM Tr is、25〜50mM NaCl、pH7.5〜8.5、最も好ましくはpH8.0〜8.3である。 次に本発明のヘモグロビンは、pHを増加するかあるいはキレート剤または適切 な競合リガンドで溶出することによりカラム(IMAC膜シートが用いられる場合は 膜シート)から溶出され、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を産生し得る。 適切な競合リガンドはヒスチジン、イミダゾール、Tris、またはグリシンを包含 する。適切なキレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびジエチルアミ ントリアミン五酢酸(DTPA、五酢酸とも呼ばれる)を包含するが、これらに限定 されない。最も好ましくは、本発明のヘモグロビンは、本発明のヘモグロビンを 溶出するための溶出緩衝液中の十分量のEDTA(好ましくはpH〉8.0の10〜45mM ED TA、最も好ましくはpH 8.5の15mM EDTAの少なくとも4カラム容積)により溶出 される。溶出は任意の適切な溶出スキーム(例えば無勾配溶出、段階溶出、段階 勾配溶出または勾配溶出)を利用して起こり得る。最も好ましくは、溶出は無勾 配 溶出により生じる。 次に部分的に精製されたヘモグロビン溶液は、陰イオン交換クロマトグラフィ ーによりさらに精製され得る。しかし、陰イオン交換クロマトグラフィーの前に 、溶液は、所望の陰イオン交換樹脂上にロードするために適切なpHおよびイオン 状態に至らされ得る。これは、適切な陽イオン緩衝液に対する透析または限外濾 過により達成され得る。最も好ましくは、これは、陰イオン交換樹脂を平衡化す るために用いられた緩衝液に対する限外濾過により達成される。適切な緩衝液は 、アルキルアミン、アミノエチルアルコール、トリエタノールアミン、エチレン ジアミン、Trisおよびピリジンを包含する。好ましくはこれらの緩衝液はTrisま たはトリエタノールアミンであり、より好ましくはこの緩衝液はTrisであり、最 も好ましくはこの緩衝液は20mM Tris、pH約8.9である。限外濾過は、適切な限外 濾過膜(好ましくは〈50,000の名目上の分子量カットオフ(NMCO)、より好まし くは〈30,000、最も好ましくは〈10,000の限外濾過膜)を装備した任意の適切な 限外濾過装置内で実施される。 適切な陰イオン交換樹脂は当該分野で周知であり、そしてQ Sepharose Fast F low、DEAE Sephadex A-50(共にPharmacia,Inc.,Piscataway,NJ)、Dowex 1- X8樹脂、およびAG MP-1樹脂(BioRad,Richmond,CA)を包含するが、これらに 限定されない。最も好ましくはQ Sepharose Fast Flowが、部分的に精製された ヘモグロビン溶液をさらに精製するために用いられる。Q Sepharose Fast Flow 樹脂上にロードするための部分的に精製されたヘモグロビン溶液の調製の後、ま たは間に、樹脂自身は、陰イオン交換クロマトグラフィーのための部分的に精製 されたヘモグロビン溶液を調製するために用いられたのと同一の緩衝液で洗浄す ることにより平衡化されるべきである。上記のように、この緩衝液は任意の適切 な陽イオン性緩衝液であり得る。適切な緩衝液は、アルキルアミン、アミノエチ ルアルコール、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、Trisおよびピリジン を包含する。好ましくはこれらの緩衝液はTrisまたはトリエタノールアミンであ り、より好ましくは、この緩衝液はTrisであり、最も好ましくは、この緩衝液は 20mM Tris,pH 8.9である。部分的に精製されたヘモグロビン溶液は樹脂の1リ ットルあたり5〜50グラムのヘモグロビン、最も好ましくは、樹脂の1リットル あた り20グラムのヘモグロビンのチャージで樹脂にロードされ得る。ロードされた樹 脂は適切な陽イオン性緩衝液(例えば、平衡化緩衝液、より好ましくは15〜25mM Tris,pH 7.5〜9.5、200〜800μS/cmの伝導率、最も好ましくは20mM Tris,pH 8.9、400μS/cmの伝導率)で洗浄され得る。ロードされた樹脂は、適切な陽イオ ン性緩衝液(より好ましくは10〜15mM Tris,pH 7.5〜8.9、200〜800μS/cmの伝 導率、最も好ましくは12mM Tris,pH7.7、700μS/cmの伝導率)を用いてさらに 洗浄され得る。実質的に精製されたヘモグロビン含有溶液を作製するためのヘモ グロビンの溶出は、上記の適切な緩衝液、最も好ましくは12mM Trisを用いて、p Hを7.4〜7.6まで(最も好ましくはpH 7.5まで)低下させることにより達成され 得る。溶出は任意の適切な溶出ストラテジー(例えば、無勾配溶出、段階溶出、 段階勾配または勾配溶出)を利用して生じ得る。最も好ましくは溶出は無勾配溶 出によって生じる。溶出緩衝液の伝導率は、550μS/cmと1200μS/cmとの間であ り得、より好ましくは550μS/cmと850μS/cmとの間、最も好ましくは700μS/cm であり得る。 精製のこの時点で、以前に加えられたヘモグロビンリガンドは脱酸素されたヘ モグロビンを産生するために除去され得、または他のリガンド(好ましくは酸素 または酸化窒素、最も好ましくは酸素)に交換され得る。これは光分解(Di Ior io,E.E.,(1981)Methods in Enzymology,E.Antonini,L Rossi-Bernardiおよ びE.Chiancone,(編)Academic Press,NY,pp57-72);および当該分野で周知 であるガス質量の転移(gas mass transfer)を増加するために設計された技術 (方法の例示のためにChemical Engineering Handbook,第5版,McGraw-Hill,N ew York(1973)18章を参照のこと)を含む多数の技術を用いて達成され得る。こ れらの方法は以下のような技術を含む。すなわち、カーボンモノオキシヘモグロ ビンをホローファイバー膜またはガス交換装置内の酸素含有ガス流に対して流す こと;限外濾過膜を通してダイアフィルトレートされるように、交換緩衝液を酸 素でダイアフィルトレーションおよび散布すること;加圧されたガス掃引器を装 備した、または光介在性の一酸化炭素除去を可能にする薄膜流(thin-film flow )装置を使用すること;酸素でスローフロートリクルベッド(slow flow trickl e-bed)を散布すること;充填されたベッドを酸素で散布すること、そして最も 好ましくは、加圧したホールディングタンク中の溶液を酸で散布し、遊離したCO を除去すること。 最後に、混入金属が、ヘモグロビンの産生またはプロセッシングの間に、実質 的に精製されたヘモグロビン溶液に導入されているのであれば、それらは本発明 のさらなる局面において除去され得る。この除去は、1993年7月23日に出願され た、同時係属出願の出願番号08/097,273にさらに記載されるような、任意の適切 なキレート剤(好ましくはEDTAまたはDTPA、最も好ましくはEDTA)の実質的に精 製されたヘモグロビン溶液への添加、およびそれに続く添加されたキレート剤の 除去、またはキレート剤(好ましくはEDTAまたはDTPA、最も好ましくはEDTA)の 制御された量に対してのダイアフィルトレーションにより達成され、純粋なヘモ グロビン溶液を生じ得る。金属の除去が必要であろうとなかろうと、実質的に精 製されたヘモグロビン溶液は、適切な製剤緩衝液へダイアフィルトレートされる べきである。そのような緩衝液は、HoffmanおよびNagai、米国特許第5,028,588 号、1993年7月23日に出願されたChiversおよびBelval、米国出願第08/097,273 号、および1994年3月8日に出願されたRosenthalおよびGerber、米国出願第08/ 208,740号に記載されており、さらに約150mM NaCl、約5mMリン酸ナトリウム、 約0.025〜0.035% Tween、1mM未満のアスコルビン酸塩、2.5mM未満の亜ジチオン 酸塩、50mM未満の炭水化物、および2%未満のポリエチレングリコール、pH約7 を包含し得る。 本発明の目的のために、純粋なヘモグロビン溶液は、与えられた有用性のため に必要な機能性を有する、プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビン混入物、菌体 内毒素および混入金属(特にニッケル)を実質的に含まない任意のヘモグロビン 溶液である。純粋なヘモグロビン溶液は、例えば、食物補充物中の生体利用可能 な鉄の供給源、研究室応用のための高度に精製された分子量マーカー、増量剤、 および最も好ましくは、溶液の酸素含量の改変剤(例えば、血液の酸素含量を改 変する酸素運搬溶液としてヘモグロビンを使用する場合、あるいは組織または細 胞培養の酸素含量を変化させるためにヘモグロビンを使用する場合)として用い られ得る。混入物が除去された純粋なヘモグロビン溶液は、自然に生じるヒトヘ モグロビン、または他の種由来の種々のヘモグロビン、変異体ヘモグロビン、ま たはヘモグロビン様分子のいずれかであり得る。純粋なヘモグロビンは溶液中で 単独で使用され得、または、HoffmanおよびNagai、米国特許第5,028,588号、199 3年7月23日に出願されたChiversおよびBelval、米国出願第08/097,273号および 1994年3月8日に出願されたRosenthalおよびGerber、米国出願第08/208,740号 に記載されるような適切な薬学的組成物の一部になり得る。 本明細書中に記載の方法および説明から、本発明はまた、ヘモグロビン溶液か ら細菌性混入物以外の他の混入物を除去するためにも用いられ得る(例えば、同 一のプロセスが酵母発現系において発現されたヘモグロビンを精製するために用 いられ得る)ことが認識される。 特定の実施態様の前記の記述は、本来の概念を逸脱することなしに、他者が現 在の知識を応用することにより、このような特定の実施態様を様々な応用に、容 易に改変および/または適合し得るように本発明の一般的な特性を示す。それゆ え、このような適用および改変は、開示された実施態様の等価物の趣旨および範 囲内において理解されるべきであり、そして理解されることが意図される。本明 細書中に用いられた辞句および用語は記載の目的のためであり、限定ではないこ とを理解されるべきである。 本明細書中で引用された書籍、雑誌、記事、特許および特許出願の全ての参考 は、それらの関連する教示のために参考として援用される。 実施例 以下の実施例は、本発明の特定なそして好ましい実施態様のために提供され、 いかなる点においても本発明の範囲を制限しようとするものではない。 実施例1 ヘモグロビン含有タンパク質溶液の産生 A.rHb1.1のための細菌系の構築 表1に記載した株の1つの発酵によりヘモグロビンを産生し、それにはプラス ミドpSGE1.1E4またはpSGE705のいずれかを利用した。2つのプラスミドからのrH b1.1の発現のレベルはおおよそ同じであり、同一の発酵条件下で用いた場合、株 に依存しなかった。プラスミドpSGE1.1E4は、Hoffmanら、WO90/13645号に記載さ れる。pSGE705の構築は以下に記載する。 プラスミドpSGE1.1E4を保有するSGE127株はSGE128と呼ばれる。プラスミドpSG E705を保有するSGE800株はSGE1353である。プラスミドpSGE705を保有するSGE166 1株はSGE1662と呼ばれる。 材料.pBR322、pUC19およびpNEB193をNew England Biolabs(Beverly,MA)か ら購入した。pSGE705の調製のために用いたほとんどのプラスミドを表2に記載 する。オリゴヌクレオチドをApplied Biosystems DNA Synthesizer Model 392( Foster City,CA)で合成した。pSGE705の調製に用いたオリゴヌクレオチドを表 3に列記する。制限エンドヌクレアーゼをNew England Biolabs(Beverly,MA) から購入し、製造業者の仕様書に従って使用した。T4 DNAリガーゼをNew Englan d Biolabs(Beverly,MA)またはGibco-BRL(Gaithersburg,MD)のいずれかか ら購入し、製造業者の仕様書に従って使用した。PfuポリメラーゼをStratagen e(La Jolla,CA)から購入し、製造業者の仕様書に従って使用した。 使用した培地は、J.H.Miller,Experiments in Molecular Genetics.(Cold Spring Harbor Press,(1972)Cold Spring Harbor,NY)およびJ.H.Miller,A Sh ort Course in Bacterial Genetics(Cold Spring Harbor Press,(1992)Cold S pring Harbor,NY)に記載される。アクリジンオレンジ、アンピシリンおよび硫 酸カナマイシンをSigma Chemical Co.(St.Louis,MO)から購入した。テトラサ イクリンをAdrich Chemicals(Milwaukee,WI)から購入した。 遺伝学的および分子生物学的手順。 標準的な細菌の遺伝学的手順は、J.H.Mi ller,Experiments in Molecular Genetics.(Cold Spring Harbor Press,(197 2)Cold Spring Harbor,NY)およびJ.H.Miller,A Short Course in Bacterial Genetics(Cold Spring Harbor Press,(1992)Cold Spring Harbor,NY)に記載 される。標準的な分子生物学の手順をSambrook(Sambrookら、Molecular Clonin g,(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY)に記載のように 実施した。 プラスミドDNA形質転換。 DNA形質転換をWensick(Wensickら、(1974)Cell 3 : 315-325)に記載の手順により実施した。手短に説明すると、対数期中期まで 細胞を増殖させ、次いでペレット化し、等量の10mM MgSO4に再懸濁し、氷上で30 分間インキュベートした。細胞を遠心分離し、ペレットをもとの容積の1/2の50m M CaCl2に再懸濁し、氷上で20分間放置した。細胞を再び遠心分離し、次いでも との容積の1/10の50mM CaCl2に再懸濁した。プラスミドDNAを10mM Tris-HCl pH 8.0,10mM MgCl2および10mM CaCl2の溶液中でコンピテントセルに添加した。混 合物を氷上で15分間インキュベートし、次いで37℃で5分間インキュベートした 。1mlのLB培地を添加し、そして混合物を振とうしながら30〜60分間インキュベ ートした。次いで、培養物を遠心分離し、0.1mlのLB培地に再懸濁し、そして適 切な選択培地上にプレートした。SGE1662を一工程形質転換法(Chung,C.T.ら、 (1989)Proc.Natl.Acad.Sci.86:2172-2175)によりpSGE705をSGE1661に導 入して調製した。 DNAの精製。 DNAフラグメントをGeneclean system(Bio 101,Inc.La Jolla , CA;方法は製品と共に提供される)を用いてアガロースゲルから精製した。PCR 産物をDouble Geneclean system(Bio 101,Inc.La Jolla,CA;方法は製品と共 に提供される)を用いて調製し、制限エンドヌクレアーゼで切断した。手短に説 明すると、PCR産物からPCRプライマーを取り除き、次いてPCR産物を制限エンド ヌクレアーゼで切断し、そして制限エンドヌクレアーゼおよび緩衝液から精製し た。そして、PCR産物はライゲーション反応への準備ができた。 オリゴヌクレオチドのアニーリング。 相補的なオリゴヌクレオチドを以下の 手順によりアニールした。各々のオリゴヌクレオチドの等モル量を15〜25μlの1 0mM Tris-HCl pH 8.0/lmM EDTA中に混合し、65℃で30分間インキュベートした。 サンプルを37℃の水浴に30分間移動させた。最後に、サンプルを氷上で60分間、 または冷蔵庫内で一晩インキュベートした。 オリゴヌクレオチド特異的変異誘発。 オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を Muta-gene phagemid in vitro mutagenesis kit(Bio-Rad,Hercules,CA)を用 いて、製造業者の指示に従い実施した。これはKunkelの方法(Kunkel,T.A.(19 85)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82: 488; Kunkelら、(1987)Methods Enzymol, 154: 367)に基づく。pSGE515のrHb1.1領域をpTZ18U(Bio-Rad,Hercules,CAま たはU.S.Biochemical,Cleveland,OH)のBamHI-Hind IIIフラグメントにクロ ーン化し、pSG700を作製した。3つのオリゴヌクレオチド、MW007、MW008、およ びMW009を単一の反応で複数の変化を同時に導入するために用いた。 pBR322 oriの調製。 pBR322の複製起点を増幅するためにPCRプライマーを設 計した。これらのプライマー、TG62およびTG63をpBR322のDNA配列上の2380〜240 4位および3170〜3148位にアニールさせた(Sutcliffe,J.G.(1979)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.43: 77-90)。PCR産物をNot IおよびPme Iで消化 した。DNAフラグメントをGenecleanの手順に従って精製した。 tet遺伝子フラグメントの調製。 tet遺伝子の供給源は、pSELECT-1(Promega Corp.,Madison,WI)である。このプラスミドは、tet遺伝子から多数の制限エ ンドヌクレアーゼ部位(例えば、Bam HI,Hind III,Sal IおよびSphI)を除去 している(LewisおよびThompson(1993)Nucleic Acids Res.18:3439-3443)。 Pme IリンカーをpSELECT-1のSty I部位に挿入した。このプラスミドをpSGE504 と名付けた。オリゴヌクレオチドTG71およびTG72をアニールさせ、pSGE504のEco RI-Cla Iフラグメントに結合させた。このプラスミド、pSGE505は、期待される 制限エンドヌクレアーゼ部位を有し、pSELECT-1のマルチクローニング部位に存 在する部位を消失していることが示された。pSGE505をNot IおよびPme Iで消化 した。1417 bpのフラグメントをGenecleanのプロトコルに従って精製した。 lacI遺伝子の調製。 lacI遺伝子を、lacI遺伝子を保有するpRGl(R.Garcia, Dana-Farber Cancer Inst.,Boston,MAからの贈与)から、この遺伝子配列を 増幅することにより単離した。PCRプライマー、TG59およびTG60をlacI遺伝子の 上流に野生型のlacIのプローター(Farabaugh,P.J.(1978)Nature 274: 765)を 生成し、遺伝子の下流にtrpターミネーター配列(Christieら、(1981)Proc.Nat l.Acad.Sci.USA 78: 4180-4184)を配置するために設計した。Y1089(Promeg a)またはlac領域を保有する任意のE.coli株(例えば、MM294(ATCC 33625))由 来の染色体DNAを用いて、同一の工程を実行し得た。PCR産物をゲル精製し、Gene cleanの手順に従って単離し、Bam HI-Hind IIIで消化したpUC19DNAにクローン化 し、pSGE490を作製した。 pSGE515の構築。 PCRプライマーEV29およびEV18をpDLII-91F(Hoffmanら、WO 90/13645号)からα遺伝子を増幅するために選出した。精製されたPCR産物を制 限エンドヌクレアーゼEag IおよびXba Iを用いて切断した。 Ptac-αを含むプラスミドを作製するために、α遺伝子(上記から)およびtac プロモーター(これはEV27およびEV28をアニールすることにより調製された)を Eco RI-Xba I切断pUC19 DNAと混合した。ほぼ等モルの割合の3つのDNAフラグメ ントの混合物を、T4 DNA リガーゼで処理した。インキュベーション後、ライゲ ーション混合物を用いて、SGE476(MM294、ATCC 33625と同様)を形質転換し、 アンピシリン耐性形質転換体を選択した。(MM294(ATCC 33625)株への形質転換 は同等の結果を生じる。)適切な制限エンドヌクレアーゼフラグメントを(図4 と一致する)有する単離物をpSGE492と命名した。α遺伝子およびtacプロモータ ーのDNA配列をDNA配列決定により確認した。 プライマーEV30およびEV31を、PCRによりpSGE1.1E4からβ遺伝子を増幅するた めに用いた。精製されたβ遺伝子フラグメントをXba IおよびHind IIIで消化し 、次いでXba I-Hind III消化したpUC19 DNAと混合し、T4 DNAリガーゼで処理し た。ライゲーション混合物を用いてコンピテントSGE476を形質転換し、形質転換 体をLB+アンピシリン(100μg/ml)プレート上で選択した。適切な制限エンドヌ クレアーゼフラグメント(図4と一致)を含む単離物を選択し、pSGE493と命名 した。β遺伝子をDNA配列決定法により確認した。 Xba IおよびHindIIIによる制限およびそれに続くGeneclean法に従った精製に より、β遺伝子をpSGE493から単離した。このDNAフラグメントをXba I-Hind III 制限pSGE492 DNAに結合させ、そしてSGE713を形質転換した。(JM110(ATCC 470 13)またはGM119(ATCC 53339)のような任意のdam株もまた用いられ得た。)適切 な制限フラグメント(図4と一致する)を有するプラスミドを保有したアンピシ リン耐性形質転換体を選択し、pUC19αβ(pSGE500)と命名した。 pSGE500のαおよびβ遺伝子を含むBam HI-Hind IIIフラグメントをGeneclean 法に従って精製した。グリシンリンカー領域を含むジα遺伝子の一部を保有する Xho IフラグメントをpSGE1.1E5からゲル精製した。pSGE1.1E5(1991年11月8日 に出願された、Hoffmanら、米国出願第789,179号に記載される)は、pSGE1.1E4 (Hoffmanら、WO90/13645号)のテトラサイクリン感受性アナログであり、それ も使用され得た。 pBR322の複製起点領域(pBR322 ori、上記)をtet遺伝子フラグメント(上記 )に結合させ、ライゲーション混合物でSGE476を形質転換した。(MM294の形質 転換(上記)は同様の結果を生じ得る。)テトラサイクリン耐性形質転換体を選 択し、そしてプラスミドDNAを単離して、解析した。適切な制限エンドヌクレア ーゼフラグメント(図4と一致する)を含む単離物を選択し、pSGE507と命名し た。 次に、pSGE507およびpSGE490をBam HIおよびNot Iで消化し、適切なフラグメ ント(図4と一致する)を精製した。2つの精製フラグメントをともに結合させ 、ライゲーション混合物を用いてコンピテントSGE713を形質転換した。(任意の dam株も用いられ得た;上記参照。)テトラサイクリン耐性形質転換体を選択し 、プラスミドDNAを単離して解析した。適切な制限フラグメント(図4と一致す る)を有したプラスミドを選択しpSGE509と命名した。 αおよびβ遺伝子を含むpSGE500の精製されたBam HI-Hind IIIフラグメントを 、Bam HI-Hind III消化したpSGE509に結合した。ライゲーション混合物を用いて pSGE713(同等の株については上記を参照)を形質転換し、そしてテトラサイク リン耐性形質転換体を選択し、特徴付けをした。期待される制限エンドヌクレア ーゼフラグメント(図4と一致する)を有する適切なサイズのプラスミドを生成 する単離物を選択し、pSGE513と命名した。 ジαグリシンリンカー配列を含むpSGE1.1E5(1991年11月8日に出願された、Ho ffmanら、米国出願第789,179号)のXho IフラグメントをXho I消化したpSGE513 に結合し、ジα遺伝子を含むプラスミドを作製した。SGE753をライゲーション混 合物で形質転換し、テトラサイクリン耐性形質転換体を選択した。(SGE800への 形質転換は同等の結果を生じ得る。)単離物をスクリーンして適切な方向(図4 と一致する)でpSGE513に挿入されているXho Iフラグメントを含有している単離 物を同定した。ジα遺伝子の適切な配置を含んだ単離物(Eag Iを用いた制限エ ンドヌクレアーゼ解析により決定された)をpSGE515と命名した。 pSGE705を作製するためのpSGE515の修飾。 β遺伝子の増幅のためのPCRプラ イマーを設計するために用いたDNA配列記録は、C末端の3アミノ酸を含んでい なかった。これらの9つのヌクレオチドをβ遺伝子のDNA配列に付加するために オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を用いた。同一の反応中で、修飾を導入し、 ジαおよびβ遺伝子のリボソーム結合部位を至適化し、ジα遺伝子の末端近くの Bgl II部位を除去した。 プラスミドの構築において、最後の工程の内の1つは、配列を至適化するため のリボソーム結合部位の修飾であった。以下はオリゴヌクレオチドMW008およびM W009により生じた変異である。 上に示した、4ヌクレオチド変化(2ヌクレオチドの挿入を含む)を、MW008を 用いて、ジαのリボソーム結合部位を至適化するために導入した(|は同一であ ることを示し、*は変化を示す)。 上に示した6ヌクレオチド変化(4ヌクレオチドの挿入を含む)を、MW009を用 いて、βのリボソーム結合部位を至適化するために導入した。変異前の鎖上の小 文字の「a」は、Bgl II部位をこの配列に導入したα遺伝子の構築におけるTか らAへの変異であった。これを、pSGE705のBgl II部位を単一にするために除去 した(|は同一であることを示し、*は変化を示す)。 上に示したように、MW007により、β遺伝子の最後の3つのアミノ酸のためのコ ード配列を導入した(|は同一であることを示し、*は変化を示す)。 推定上の変異体をBgl II制限エンドヌクレアーゼ切断部位の消失(M008により 導入)についてスクリーニングした。24個の内の17個は、この部位を欠失してお り、他の2つの変異誘発された部位でのDNA配列決定によりさらに特徴付けを実 施した。17個の内の1個は、全ての3つの修飾を取り込んでいた。これらの変異 をDNA配列決定により確認し、rHb1.1遺伝子をBam HI-Hind III消化したpSGE509 にクローン化した。適切な制限エンドヌクレアーゼフラグメントを有した単離物 をpSGE705と命名した。 pSGE705のプラスミド地図を図4に示す。プラスミド地図は制限エンドヌクレ アーゼ切断部位の多くを示す。pSGE705は、その対応物(pSGE1.1E4)よりも小さ く、そしてその制限部位の配置は配列のモジュールの改変を促進する。使用され ない抗生物質耐性マーカーを除去し、rHb1.1の発現をより厳格に調節し得るよう にプロモーターをlacI遺伝子に付加した。 α遺伝子の上流の新しい配列は、tacプロモーター(De Boerら、(1983)Proc. Natl.Acad.Sci.80:21-25)とα遺伝子の最初のコドンとの間の距離を極小化 した。ジα遺伝子とβ遺伝子との間の遺伝子間領域も、制限エンドヌクレアーゼ 部位およびβ遺伝子のリボソーム結合部位を含む最小配列を含むように設計した 。 1993年11月10日に、E.coli SGE127およびSGE800株をアメリカンタイプカルチ ャーコレクション,12301 Parklawn Drive,Rockville,MDに寄託した(ATCC寄 託番号69485、69484);E.coli SGE1661株を1994年1月20日に寄託した(ATCC寄 託番号55545)。寄託は特許の手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダ ペスト条約(ブダペスト条約)の条件下でなされた。これは寄託の日から30年間 の生存する培養物の維持を保証する。この生物体はブダペスト条約の条件下でAT CCにより利用可能にされ、そして関連する米国特許の発行上に無制限の利用可能 性を保証する、出願人とATCCの間の同意が結ばれる。寄託された株の利用可能性 は、特許法に従って任意の政府の権威下で認められる権利の違反として発明を実 施するライセンスとして解釈されていない。 B.発酵 以下に記載の600リットルの発酵の手順を、精製および機能性決定のための物 質を得るために使用した。種ストック 種ストックを10g/L BactoTryptoneTM、5g/Lイーストエキストラクト、5g/L Na Cl、0.2g/L NaOH、および10μg/mlテトラサイクリンを含有するLBブロスで、600 nmの吸光度が1.5〜1.7になるまで培養した。次いでこの溶液を10%グリセロール とし、必要になるまで-80℃で保存した。発酵槽接種物(2L撹拌フラスコ内の500mlブロス) 発酵槽接種物を調製するために、種ストックを解凍し、0.1〜0.4mlの種ストッ クをおおよその以下を含む500mlの溶液に接種した: この培養物をシェーカーで37℃で10時間増殖させた。4個のフラスコを合わせ、 種発酵槽に接種するために用いた。種発酵槽(20L発酵槽内の14L容積) 次いで全部の発酵槽接種物を以下に記載の10リットルの溶液を含む20リットル の発酵槽に移した。試薬の添加は発酵の最終容積(14リットル)を用いて計算さ れており、それらがおおよそ測定誤差の範囲にあることに留意のこと。 15%〜30%のNH4OHを添加することによりpHを6.8〜6.95に維持し、溶存酸素を2 0%以上に維持し、そして50〜70%のグルコースを増殖の間中ずっと添加して、 培養物中のグルコースを低いが適切なレベルに維持した(0.1g/L〜10g/L)。溶 存酸素を可能な限り20%に近く維持した。600リットル発酵槽に移す前に、培養 物を28℃と32℃との間で、約12時間増殖させた。生産発酵 次いで全部の種発酵槽を以下に記載の約375リットルの溶液を含む600リットル 発酵槽に移した。試薬の添加は発酵の最終的な容積(450リットル)から計算さ れていることに留意のこと。すべての数値はおおよその値である。 15%〜30%のNH4OHを添加することによりpHを6.8〜6.95に維持し、溶存酸素を20 %以上に維持し、そして50〜70%のグルコースを増殖の間中ずっと添加して、培 養物中のグルコースを低いが適切なレベルに維持した(0.1g/L〜10g/L)。10〜1 000μMのIPTGで誘導する前に、培養物を25℃と30℃との間で、OD60が約10〜40に なるまで増殖させた。ヘモグロビン合成の誘導において、E.coliヘム生合成を以 下のいずれかによる1N NaOHに溶解したヘミンの添加により補充した。すな わち、誘導に必要とされるヘミンの総量の添加、誘導期間を通じての連続的なヘ ミンの添加、または50mM〜1M NaOHに溶解したヘミンの定期的な添加(例えば、 発酵槽に添加されるべきヘミンの全量の1/3を誘導時に添加し、別の1/3を発酵の 総時間の1/4が経過してから添加し、そして最後の1/3を誘導期の中間に添加した 。)のいずれかである。添加した全ヘミンは50〜300mg/Lの範囲であった。発酵 槽を誘導後8〜12時間継続させた。この期間の終了時に、いくつかの1mlのアリ コートをヘモグロビン産生およびプロトポルフィリンIX含量の測定のためにブロ スから採取した。 精製に用いた物質のほとんどを600リットルスケールの発酵により産生したが 、いくらかは1000リットルスケールで調製した。このスケールでの発酵は以下に 考察する範囲を除いて、600リットルスケールとほとんど異なる点はなかった。 発酵槽接種物を0.5リットルの最終容積よりむしろ2.5リットルの最終容積で増 殖させた。しかし、それらは500ml接種物のための記載と同じ培地で増殖させた 。14リットルの最終容積よりむしろ110リットルの最終容積を用いて種発酵を実 施し、以下のようにわずかに異なる培地を用いて発酵を実施した: 2.6g/L KH2PO4 4.6g/L K2HPO4 2.6g/L (NH4)2SO4 全ての他の成分は14リットル種発酵槽についての記載の通りである。発酵の最終 容積が1100リットルであること以外は、450リットル発酵についての記載と全く 同じようにして、産生発酵を実施した。 実施例2 管形熱交換機によるデオキシヘモグロビン含有粗溶解液の加熱 発酵を、E.coli株SGE127またはSGE800(それぞれプラスミドpSGE1.1E4およびp SGE705を含む)を用いて実施例1に記載のように、実施した。これらの2つの株 は、同一の変異ヘモグロビンを産生し、発酵産物は本質的に同一であった。未洗 浄E.coli細胞(100-300L)をNiroホモゲナイザーを用いて破砕した。粗溶解液を 管形熱交換器を用いて1.6〜36秒間70〜90℃で加熱した。次いで、溶解液1Lあた り5mlの50%Magnafloc 573TM(Cytec Industries,Indianapolis,IN)溶液を 加え、溶解液を遠心分離により明澄化した。 いずれの溶解物質においても、プロトポルフィリンIXおよびヘムを正確に定量 することはできなかった。これは、粗製であっても明澄であっても、他種からの 干渉(ヘミンおよびその他の発酵産物および成分)による。従って、プロトポル フィリンIXの測定のために、サンプルを亜鉛チャージした固定化金属アフィニテ ィークロマトグラフィーを用いて調製した。IMACを用いて調製した材料は、プロ トポルフィリンIXの測定に適しており、そして溶解液中に存在するプロトポルフ ィリンIXと同一の比率を反映した(スパイク回収実験により示される)。 固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを2カラム容積の20mM Zn(OAc)2 をチャージした、キレートしたSepharose Fast Flow 6B(Pharmacia,Inc.,Pi scataway,NJ)カラムを用いて、実施した。次いでカラムを2カラム容積の200m M NaClで平衡化した。未洗浄細胞から調製した明澄化したE.coli溶解液を1〜2mM Zn(OAc)2にし、濾過し、次いでカラム上にロードした。カラムを4カラム容積 の500mM NaCl/20mM Tris,pH 8.3-8.5で洗浄し、次いで4カラム容積の20mM Tri s,pH 8.3-8.5でさらに洗浄した。捕獲されたヘモグロビンをカラムから15mM ED TA,pH 8.5で溶出した。次いでカラムを2カラム容積の200mM NaClおよび引き続 き2カラム容積の0.5N NaOHで浄化した。 実施例3 デオキシ条件下での迅速な加熱を用いたプロトポルフィリンIX除去の効率に 及ぼす温度の影響 E.coliの2つの異なる株、SGE127およびSGE800(それぞれプラスミドpSGE1.1 E4およびpSGE705を含む)の2つの発酵からの細胞をNiroホモゲナイザーで破砕 した(40℃)。脱酸素されたまたはリガンド化状態のいずれかを確認するために 特定なプロセス工程を用いていないが、粗溶解液溶液のスペクトル分析は、溶液 中の全てのヘモグロビンが脱酸素された状態であることを示した。E.coli粗溶解 液は、溶液を脱酸素された状態に維持するに十分な還元力を含んでいた。粗溶液 の4つの部分を管形加熱装置(Process Engineers Inc.,Hayward,Californi a)を用いて、6秒間、70、80、85、および90℃で加熱した。 実施例4 ヘモグロビン含有粗溶解液の加熱−リガンド化状態 実施例1においてE.coli株SGE127およびSGE800の両方(それぞれプラスミドpS GE1.1E4およびpSGE705を含む)を用いて、発酵により産生したヘモグロビンを99 .99%の一酸化炭素で1分当たり約5標準立方リットルの流速で散布した。ある いは、ヘモグロビンを実施例1におけるようにプラスミドpSGE705を含むE.coli 株SGE1661を用いて、発酵により産生し、99.99%の一酸化炭素で溶液中の全ての 利用可能なリガンド結合部位と比較して、計算上、化学量的に過剰の一酸化炭素 が存在するように約300〜500mls/分の流速で散布した。発酵の全てのセットは、 類似した結果を生じた。 散布の後、ヘモグロビン含有粗溶解液を平板形装置(APV Crepaco Inc.,Rose mont,Illinois)内で55℃の温度まで前加熱し、次いで、図1Bの配置中で例示さ れるように、前加熱したヘモグロビン含有粗溶解液のスチームインジェクション により、特定の温度で一定時間加熱した。スチームインジェクション加熱は液体 のほぼ瞬間的な加熱を生じさせた。種々の加熱温度および保持時間を検討した。 実施例2〜4に記載の全ての時間および温度の組み合わせ、およびリガンドの 選択は、図3に示したように、著しく減少したプロトポルフィリンIX含有ヘモグ ロビン濃度を有する実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液 を産生した。加熱後の溶解液中のプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンの最終 的な量は、40〜80℃ではゆっくりと、80〜90℃の間では急速に減少した(図3) 。これらのデータは80〜90℃の間で加熱したE.coli溶解液がプロトポルフィリン IX含有ヘモグロビンにおいて最も著しい減少を有することを示す。しかし、85〜 90℃より上での溶解液の加熱は、rHb1.1の損失を生じさせた(図3)。これらの データは、プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンの除去は、より高い温度また はより長い保持時間で増大することを示す。しかし、このデータは、ヘモグロビ ンの除去も、加熱の行われる条件に関わりなく、より高い温度およびより長い保 持時間で増大することも示す。 実施例5 カーボンモノオキシヘモグロビン測定の分光光度的方法 水溶液中のヘモグロビン種の定量のための分光光度的方法を開発した。特に重 要なことは、ヘモグロビンの様々なリガンド化した形態(例えば、メトヘモグロ ビン(HbMet)、カーボンモノオキシヘモグロビン(HbCO)、オキシヘモグロビ ン(HbO2)、還元ヘモグロビン(Hb)および溶液の全ヘモグロビン含有物それ自 体(HbTotal))を定量する能力であった。 rHB1.1のための消衰係数を用いた以外は、商業的に入手可能なHemoximeter機 器(Fogh-Andersenら、(1987)Clin.Chim.Acta 166:283-289)に類似した方式 の複数波長測定を開発した。この方法は偽逆(pseudoinverse)行列(選択され た波長での目的のヘモグロビン種の消衰係数に由来する)の与えられたサンプル の測定された吸光度への適用を用いた。この方法のためになされた仮定は以下の とおりであった: 1.定義されたヘモグロビン種だけが測定波長での吸収の原因となる。 2.全ての波長で観測された吸光度は、その波長でのそれぞれの種の吸収の和で ある。 3.それぞれの種の吸光度はBeerの法則に従う、すなわち、吸収は濃度の一次関 数である。 Beerの法則はいくつかの種についての一連の連立方程式として表され得る。 A1が波長1での吸収である場合、ε11は波長1における種1の消衰係数であり、 ε12は波長2における種1の消衰係数であり、など、そしてc1は種1の濃度であ る。 消衰行列が正方(square)でない場合、単純逆行列を生成し得ず、かわりに偽 逆行列を以下のようにして用いなければならない: εTが移項された吸光行列である場合、(εT*ε)-1が行列Tおよびεの積の逆行 列であり、[(εT*ε)-1T]は偽逆行列である。 全ての分光光度的測定を、空気をブランクにして2nm解像度HP8452ダイオード 配列分光光度計(Hewlett Packard,Palo Alto,CA)を用いて実施した。スペク トルの大多数は、0.1mmの経路長のクォーツセルを用いて補集したが、いくつか の実験は1mmおよび1cmの経路長のクォーツセルを必要とした。スペクトルを19 0〜820nmウィンドウから5秒間の積分時間で補集した。プラスミドpSGE1.1E4を 含有するE.coli株SGE127の発酵由来の産物を用いて、以下に記載の条件下で、消 衰係数を測定した。補集時間における消衰係数についてのスペクトルをベースラ イン補正する試みを行わなかった。続くサンプルのスペクトルを、700nmと800nm との間の平均吸収を0に特定化する分光光度計のベースライン補正ルーチンを用 いて補集した。消衰係数の決定 与えられた波長のセットのrHb1.1の偽逆行列を決定するために、これらの波長 での目的の種の消衰係数を確立する必要があった。以下の手順を、HbMet、HbCO 、HbO2およびHbの消衰係数を計算するために用いた。 1.ヘムに関して2倍過剰のフェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6)を発酵産 物のアリコートに加え、測定の前に30分以上反応させた。次いでスペクトルを補 集し、100% HbMetであると仮定した。CO添加および不添加で希釈したサンプル を測定し、酸化の完了を測定した。 2.組換えヘモグロビンのサンプルを、5mlシリンジに入れた。シリンジを9 9%一酸化炭素で充満し、封着し、そして約5分間回転した。ガスを排出し、新 鮮な一酸化炭素に交換し、封着し、そして約5分間回転した。次いでこの手順を 一酸化炭素を用いてもう一度繰り返し、そしてサンプルをヘッドスペースなしで 封着して保存した。一酸化炭素の添加は、HbMet含量に影響を与えないと仮定し た。 3.発酵産物のサンプルを、酸素を一酸化炭素のかわりに用いた以外は、サン プル2でのように処理した。酸素の添加は、HbMetまたはHbCO含量に影響しない と仮定した。 4.ヘムに基づく100倍過剰の亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)を、発酵産 物のアリコートに添加し、測定の前に5分間反応させた。亜ジチオン酸塩の添加 は、HbMetおよびHbO2のHbへの還元を生じるが、HbCO含量に影響しないと仮定し た。 もとのHb全濃度をシアノメトヘモグロビン分析から50.79g/Lとした(シアノメ トヘモグロビン分析の詳細については、Tentori,T.およびSalvati,A.M.,(19 81)Methods in Enzymology,E.Antonini,L Rossi- BernardiおよびE.Chianc one,(編)Academic Press,NY,pp707-715を参照のこと)。もとのHbMet含量 は、Evelyn-Malloy法により測定したところ5.64%であった。もとのHbCO含量をC Oガスクロマトグラフィー分析から0.82%とした。還元ヘモグロビン含量は、亜 ジチオン酸塩還元を除いた全てのサンプルで0%であると仮定した。 HbMet、HbCOおよびHbO2のそれぞれについて、総計30のスペクトルを収集し、H bのために10スペクトルを補集した。0ベースラインを保証するために、それぞ れのスペクトルについて700〜800nmあるいは790〜810nmのいずれかの平均吸収を 計算し、そのスペクトルの全ての吸収から減じた。2つの異なる補正ウインドウ を評価するための理由は、有意な吸収がバックグラウンド補正により失われない ことを保証するためであった。続く計算を、補正ウィンドウの影響を確立するた めに並行して実施した。与えられた種についての補正ウインドウ内で、全てのス ペクトルをそれぞれの波長で平均化した。K3Fe(CN)6およびNa2S2O4の添加に関連 した希釈、ならびにいくつかのサンプルの混合した性質を調整して、それぞれの 種について消衰係数を、OD*L/g*0.1mmおよびOD*L/4mmol*cmの単位で計算した。 次 いで計算値を天然のHbA0の文献値と比較した(Zijlstraら、(1991)Clin.Chem. 37: 1633; van AssendelfdtおよびZijlstra(1975)Anal.Biochem.69: 43; Be neschら、(1973)Anal.Biochem.55: 245)。 偽逆行列を以下の消衰係数のセットおよびそれぞれの補正ウインドウについて 作成した: 1.Hbを含む500〜640nmの全波長(全波長/Hb) 2.Hbを含む6波長(6波長/Hb) 3.Hbを含まない500〜640nmの全波長(全波長/無Hb) 4.Hbを含まない6波長(6波長/無Hb) 6波長は、504nm,538nm,554nm,562nm,580nm,および630nmであった。これら の波長の選択は、目的の4種の相対消衰係数に基づいた。それぞれの波長は、全 種の最大分離点または残りの2種の最大分離を有する2種の等吸収点のいずれか である。 最初の実験を、種の濃度および分布の結果として生じる計算への影響を測定す るために設計した。全ての場合において、複合スペクトルをそれぞれの条件につ いて補集した。次いで上記のそれぞれの偽逆行列を用いて行列の乗法を実施し、 最も有効な偽逆行列を決定した。偽逆行列の遂行能力の比較は、理論的な種の濃 度の平均回収に基づいた。 全波長/Hb行列は、rHb1.1溶液中のヘモグロビン種の濃度の決定のための偽逆 行列解法とともに用いた場合には、他の行列よりも一貫して優れた遂行能力を示 した。しかし、全ヘモグロビン濃度は、成分種の消衰係数に影響を有するようで ある。それゆえ、低濃度(10g/L未満)では、希釈ヘモグロビン溶液を用いて得 られた独自の行列を、正確な濃度および組成値を得るために用いなければならな い。 実施例6 プロトポルフィリンIX含量測定の方法 ヘモグロビンサンプル中のプロトポルフィリンIX(PIX)含量の測定を、逆相 カラムでのグロビンからのヘムおよびプロトポルフィリンIXの分離に基づくHPLC (高圧液体クロマトグラフィー)分析により、達成した。サンプルを、分析の前 に約1mg/mlヘモグロビンに希釈した。全てのヘム化合物が同一の色因子を用い て定量されることを保証するために、溶液中の全てのヘムを分析の前にヘミンに 酸化した。これは、カラムへのサンプルの注入の直前に、K3[Fe(CN)6]をヘモグ ロビンサンプルと混合して、ヘム中のFe2+をFe3+に酸化することにより、達成し た。ヘム、プロトポルフィリンIX、およびグロビンの溶出を、増加する非極性緩 衝液勾配(例えば、水/TFAからアセトニトリル)により、達成した。ヘミンお よびプロトポルフィリンIXのスペクトルは類似しており、それぞれ398nmおよび4 05nmで最大吸収を有する。396nmにおいて、ヘムおよびプロトポルフィリンIXの 色因子はほとんど等しく、それゆえそれぞれのピーク下の面積は、それぞれの成 分の相対含量に直接的に相当する。0.4%未満のプロトポルフィリンIXのレベル (プロトポルフィリンIX/ヘム+プロトポルフィリンIX)は、分析方法論の検出 限界下にあると考えられた。スペクトル測定は、約390〜410nmの範囲のいずれに おいても、同様の結果でが行われた。 実施例7 実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液の産生方法 実施例1に記載のようにヘモグロビンを産生した。次いで発酵槽内容物を10℃ まで冷却し、約pH 8.0に調整した。調整後、発酵槽ブロス(非破砕E.coli細胞を 含む)を800バールの破砕圧力にセットしたNiroホモゲナイザーに、17psiの入口 圧力(inlet pressure)で5.7〜6.3リットル/分の流速で、直接流し込んだ。ホ モゲナイザーを一度通過させた後、細胞片およびヘモグロビンの流動物を、400c c/分で100%一酸化炭素を用いて散布し、そして平板形プレヒーターに導き、55 ℃まで温めた。次いでプレヒーターからの流出物を突発性膨張撹拌器に導いた。 ここでプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンおよび他の細菌性混入物ならびに ヘモグロビンイソ型を約11秒間、スチームインジェクションにより82℃±2℃に 加熱することにより除去する。同様の結果が、約30秒間の約77℃、あるいは、90 〜120秒間、72℃での加熱で得られ得る。次いで、粗細胞溶解液をさらなる処理 の前に25℃まで冷却した。冷却後、溶液に最終濃度12(wt/wt)までけい藻土を 添加し、けい藻土を予めコートした回転ドラム真空フィルターにロードした。溶 解液の濾過により、実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液 を生じ、これを回収の前に一酸化炭素でインラインで再分布した。粗細胞溶解液 のプロトポルフィリンIX含有量を、細胞破砕後および実施例2および6に記載の 任意の処理の前に、そしてさらにRDVF濾過の後、同じ技術を用いて測定した。結 果を図3に示す。これは、実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビ ン溶液が72℃またはより高い温度で、11秒またはより長い保持時間で産生される ことを示す。 実施例8 部分的に精製されたヘモグロビン溶液の産生方法 実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液を、実施例7に記 載のように産生し、次いで以下のようにさらに処理した。記載がない限り全ての 処理工程の間で、この溶液を6〜20℃に維持したことに留意のこと。1モーラー の酢酸亜鉛を実質的にプロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液に添加 し、溶液中の最終亜鉛濃度を2mMとし、pHを8.35〜8.5に調整した。亜鉛の添加 およびpHの変化が、亜鉛複合型物質の沈澱を生じさせたために、溶液を、Zeta P lus 90LAフィルターを装着したCUNO濾過装置(Cuno,Inc.,Meriden,CT)を通 してデプス濾過により、再明澄化した。次いでこの溶液を、2カラム容積の20mM Zn(OAc)2でチャージしたキレート化Sepharose Fast Flow 6B(Pharmacia,Inc. , Piscataway,NJ)カラムを用いて、さらに処理した。次いでこのカラムを、2 カラム容積の200mM NaClにより平衡化した。次いで実施的にプロトポルフィリン IXを含まないヘモグロビン溶液を、約20グラムヘモグロビン/リットル樹脂のロ ードでカラム上にロードした。このカラムを、4カラム容積の20mM Tris/750mM NaCl,pH 8.35〜8.5で洗浄し、さらに4カラム容積の10mM Tris/25mM NaCl,pH 8.35〜8.5で洗浄した。捕獲したヘモグロビンを、6〜8カラム容積の15mM EDTA , pH 8.5でカラムから溶出した。次いでカラムを、2カラム容積の200mM NaClで 、そして引き続き3カラム容積の0.5N NaOHにより浄化した。全て工程の直線流 速は、100〜200cm/時であり;カラムを4〜10℃に維持した。次いで部分的に精 製 されたヘモグロビン溶液を、タンパク質分析により特徴付けし、IMAC分離工程を 通しての精製度を測定した。プロトポルフィリンIXを含まないヘモグロビン溶液 中のヘモグロビンを、遠心分離、0.2μmフィルターを通しての濾過、プロトポル フィリンIX測定のための実施例2に記載の固定化金属(亜鉛)アフィニティーク ロマトグラフィー、および412nmでの検出により、定量した。部分的に精製され たヘモグロビン溶液のヘモグロビンを、540nmでの吸光度により測定した。出発 物質(実質的にプロトポルフィリンIXを含まない溶液)中の全タンパク質を、ス タンダードとしてウシ血清アルブミンを用いて、Bradfordアッセイにより測定し た(Bradford,M.,(1976) Anal.Biochem.72: 248)。固定化金属アフィニテ ィークロマトグラフィー後に産生された部分的に精製されたヘモグロビン溶液中 の全タンパク質を定量することはできなかった。これは、ヘモグロビン以外の任 意の残留タンパク質がBradfordアッセイの検出限界より下であったためであり、 従って、E.coliタンパク質のための特異的アッセイを用いた(詳細のために実施 例11を参照のこと)。3回の実施はIMAC精製工程を通しての精製について、以下 の結果と類似していた。 実施例9 実質的に精製されたヘモグロビン溶液の産生方法 部分的に精製されたヘモグロビン溶液を、実施例7および8に記載のように産 生した。IMAC分離後、次いで部分的に精製されたヘモグロビン溶液を、10,000 N MCOフィルター(Millipore,Inc.,Bedford,MA)を装着した接線フローフィル ターで限外濾過した。限外濾過は、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を濃縮 し、しかも20mM Tris,pH8.9への緩衝液交換をさせた。この緩衝液は、陰イオン 交換樹脂にロードするために必要である。Q Sepharose Fast Flowカラム(陰イ オン交換カラム)上にロードするための、部分的に精製されたヘモグロビン溶液 の調製の間に、カラム自身を、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を調製する ために用いたのと同一の緩衝液である20mM Tris,pH 8.9で洗浄することにより 平衡化した。次いで部分的に精製されたヘモグロビン溶液をカラム上にロードし 、樹脂1リットル当たり20グラムのヘモグロビンをチャージした。ロードしたカ ラムを700μS/cmの伝導率の12mM Tris,pH7.7で洗浄し、そして最終的に、pHをp H 7.5に低下させて12mM Trisにより溶出した。次いで、加圧下でこの溶液に酸素 を散布させることにより、溶液を酸素添加し、そしてHbCOが3%未満になるまで 溶液を再循環させた。 実施例10 純粋なヘモグロビン溶液の産生方法 混入金属、特にニッケルを実施例7、8および9の方法を用いて以下の手順に より、産生された実質的に精製されたヘモグロビン溶液から、除去した。1ミリ モーラーのEDTAを酸素添加タンクに添加し、この溶液を限外濾過の前に30分間イ ンキュベートした。酸素添加した、EDTA処理したヘモグロビン溶液を前記のMill ipore限外濾過システムに移し、5〜6倍に濃縮した。次いで製剤緩衝液(150mM N aCl,5mM リン酸ナトリウム,pH7.4)にダイアフィルトレーションを開始し、ED TAが約5ppm未満になるまで継続し、純粋なヘモグロビン溶液を産生した。 純粋なヘモグロビンの10バッチを上記の実施例7、8、9および10により調製 し、そして実施例6および11に記載の技術を用いて特徴付けを行った。これらの 溶液は、平均して、以下の特徴を有した。 実施例11 純度および機能性の測定 ニッケルを、B.Welz、Atomic Absorption Spectroscopy(1985,Verlagsgesel lschaft,Weinheim,Germany)により記載のように原子吸光法により最終溶液中 において測定した。 P50およびHill係数を、承認された特許第5,028,588号に記載のように37℃で決 定した。 プロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンを、実施例6に記載のように測定した 。 HbCOおよびメトヘモグロビンを、実施例5に記載のように測定した。 EDTAレベルを、分析の前に精製されたヘモグロビンのサンプルを取得し、そし て精製されたヘモグロビンを製剤緩衝液(150mM NaCl,5mMリン酸ナトリウム,p H7.4)で10mg/mlの濃度に希釈することにより、クロマトグラフィーで測定した 。次いで100μlの10mg/ml FeCl3・6H2O溶液を900μlの希釈したサンプルに加えた 。次いで鉄処理した物質を30,000 NMCOフィルター(Centricon,Amicon,Bost on,MA)を通して限外濾過し、そして浸透物をODS-HypersilTM逆相クロマトグラ フィーカラム(5μm; 100×2.1mm)(Hewlett Packard,Palo Alto,CA)で分 析した。910ml水、160mlメタノール、10mlの55%(重量/容積)テトラブチルア ンモニウムヒドロキシド、pH 6.0から成る緩衝液で無勾配溶出により分離を達成 した。次いでこのカラムを、400ml水、600mlメタノール、10mlテトラブチルアン モニウムヒドロキシド、pH 6.0から成る緩衝液で浄化した。EDTA溶出を254nmで モニターし、そしてEDTAに割り当てられたピークをEDTAスタンダードに対して定 量した。 菌体内毒素を、Cape Cod and Associates(Falmouth,MA)により産生された 発色性LALアッセイを製造業者の指導に従って用いて、測定した。 ECPを、ELISAダブルサンドイッチフォーマットイムノアッセイを用いて、測定 した。コーティング抗体は、E.coli K-12株の粗溶解液に対するウサギ血清のIgG 画分であり、Dakopatts,Inc.(Glostrup,Denmark)から商業的に入手可能で ある。検出抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したコーティング抗体と 同一のものであった。このアッセイのための酵素基質は、TMB(3,3',5,5'テトラ メチルベンジジン)であった。ECPスタンダードを、2つの陽イオン交換カラム を通してのE.coli溶解液の精製により生成させ、これは、プロセスの最終的な陰 イオン交換の工程により除去されたECPを示していると仮定される。 前記の記載は、当業者が本発明を実施し得るために十分であると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE ,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK, LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 マシューズ,モウラ−アン エイチ. アメリカ合衆国 コロラド 80304,ボー ルダー,エヌ.ブロードウェイ 3100,ア パートメント 205 (72)発明者 アーンスト,ウルリッチ ピー. アメリカ合衆国 ニューヨーク,オッシニ ング,セダー レーン 96 (72)発明者 トレイラー,デイビッド ダブリュー. アメリカ合衆国 コロラド,ウィート リ ッジ,フィールド ドライブ 4045 (72)発明者 マシューズ,アントニー ジェイ. アメリカ合衆国 コロラド 80027,ルイ スビル,ローカスト コート 6732 (72)発明者 ニーウェイ,ジャスティニアン オー. アメリカ合衆国 コロラド 80503,ロン グモント,ネルソン ロード 3197

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.実質的に混入物を含まないヘモグロビン溶液を産生するための方法であって 、以下の工程を包含する、方法: (a)ヘモグロビン含有粗溶解液を取得する工程、 (b)該ヘモグロビン含有粗溶解液を十分な温度で、十分な時間、加熱して、該 ヘモグロビン含有粗溶解液中の混入物を減らして、該実質的に混入物を含まない ヘモグロビン溶液を取得する工程。 2.前記混入物がプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンである、請求項1に記 載の方法。 3.前記ヘモグロビン含有粗溶解液が、ヘモグロビン含有細胞から取得される、 請求項1に記載の方法。 4.前記ヘモグロビン含有細胞が、非赤血球細胞である、請求項3に記載の方法 。 5.前記非赤血球細胞が、細菌細胞である、請求項4に記載の方法。 6.前記細菌細胞が、E.coliである、請求項5に記載の方法。 7.前記実質的に混入物を含まないヘモグロビン溶液中の前記プロトポルフィリ ンIX含有ヘモグロビンが、全ヘモグロビンの約6%未満、より好ましくは該ヘモ グロビンの約1%未満である、請求項2に記載の方法。 8.前記十分な時間が、一時間未満である、請求項1に記載の方法。 9.前記十分な時間が、約5分までである、請求項8に記載の方法。 10.前記十分な時間が、約30秒までである、請求項9に記載の方法。 11.前記十分な時間が、約10〜12秒である、請求項10に記載の方法。 12.前記十分な温度が、約70℃〜約90℃の範囲にある、請求項8〜11のいずれか に記載の方法。 13.前記十分な温度が、約75℃〜85℃の範囲にある、請求項12に記載の方法。 14.前記十分な温度が、約77℃である、請求項13に記載の方法。 15.前記約77℃が、75℃〜79℃の範囲にある、請求項14に記載の方法。 16.前記十分な温度が、約82℃である、請求項13に記載の方法。 17.前記約82℃が、80℃〜84℃の範囲内にある、請求項16に記載の方法。 18.工程(a)の前に、前記ヘモグロビン含有粗溶解液中のヘモグロビンを熱安 定状態に変換する工程をさらに包有する、請求項1に記載の方法。 19.前記ヘモグロビン含有粗溶解液をリガンド化ガスに曝してリガンド化ヘモグ ロビンを産生することにより、ヘモグロビンを熱安定状態に変換する、請求項18 に記載の方法。 20.前記リガンド化ガスが、酸素、一酸化炭素、または酸化窒素である、請求項 19に記載の方法。 21.前記リガンド化ガスが、一酸化窒素である、請求項20に記載の方法。 22.工程(b)の後に、沈澱した混入物を除去して前記実質的に混入物を含まな いヘモグロビン溶液を得る工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。 23.前記除去が、クロマトグラフィーまたは固体−液体分離による、請求項22に 記載の方法。 24.前記加熱が、前記ヘモグロビン含有粗溶解液のスチームインジェクションに よる、請求項1に記載の方法。 25.請求項1〜24のいずれかに記載の方法により取得可能な、実質的に混入物を 含まないヘモグロビン溶液。 26.ヘモグロビン溶液を産生するための方法であって、以下の工程を包含する、 方法: (a)ヘモグロビン含有溶解液を、2価の金属イオンでチャージした固定化金属 アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)樹脂に接触される工程; (b)該IMAC樹脂を少なくとも1つのIMAC洗浄溶液で洗浄する工程;および (c)溶出溶液で該IMAC樹脂を溶出してヘモグロビン溶液を得る工程。 27.前記2価の金属イオンが、ニッケル、銅、コバルトまたは亜鉛である、請求 項26に記載の方法。 28.前記2価の金属イオンが、亜鉛である、請求項27に記載の方法。 29.前記ヘモグロビン含有溶解液が、明澄化されたヘモグロビン含有溶解液であ る、請求項26に記載の方法。 30.前記明澄化したヘモグロビン含有溶解液が、実質的にプロトポルフィリンIX を含まないヘモグロビン溶液である、請求項29に記載の方法。 31.工程(b)のIMAC樹脂を少なくとも1つのIMAC洗浄溶液で洗浄する工程が、 以下の工程を包含する、請求項26に記載の方法: 該IMAC樹脂を第一のIMAC洗浄溶液を用いて洗浄する工程;および 該IMAC樹脂を第二のIMAC洗浄溶液を用いて洗浄する工程であり、ここで第一のIM AC洗浄液が第二のIMAC洗浄溶液と同一かまたは異なる、工程。 32.前記第一および第二のIMAC洗浄溶液が、Tris、塩、および7より高いpHを含 む、請求項31に記載の方法。 33.前記第一のIMAC洗浄溶液が、約20mM Tris、約0.5〜約0.75M NaCl、および7 .5以上のpHを含み、そして前記第二のIMAC洗浄溶液が、約5〜約19mM Tris、約0 .25〜約0.75M NaCl、および7.6以上のpHを含む、請求項31に記載の方法。 34.前記第二のIMAC洗浄溶液が、前記第一のIMAC洗浄溶液より低い伝導率を有す る、請求項33に記載の方法。 35.工程(a)の前に、前記ヘモグロビン含有溶解液がリガンド化ガスで処理さ れる、請求項26に記載の方法。 36.前記リガンド化ガスが、酸素、一酸化炭素、および酸化窒素からなる群から 選択される、請求項35に記載の方法。 37.前記リガンド化ガスが一酸化炭素である、請求項36に記載の方法。 38.前記IMAC樹脂が、pH変化、キレート剤または競合リガンドにより溶出される 、請求項26に記載の方法。 39.前記IMAC樹脂が、キレート剤で溶出される、請求項38に記載の方法。 40.前記キレート剤が、約7以上のpHを有する溶出溶液中のエチレンジアミン四 酢酸である、請求項39に記載の方法。 41.前記ヘモグロビン含有溶解液が、組換えヘモグロビンを含む、請求項26に記 載の方法。 42.前記ヘモグロビン含有溶解液が、微生物細胞の溶解により得られる、請求項 26に記載の方法。 43.前記微生物細胞が、細菌細胞である、請求項42に記載の方法。 44.前記細菌細胞が、E.coliである、請求項43に記載の方法。 45.前記ヘモグロビン含有溶解液が、IMAC樹脂と接触する前に、実質的に混入物 を含まない組換えヘモグロビン溶液に変換され; 前記二価の金属イオンが亜鉛であり; 前記第一のIMAC洗浄溶液が約500〜750mM NaCl、約20mM Tris、約8.0〜約8.3のpH を含み; 前記第二のIMAC洗浄溶液が約25mM〜50mM NaCl、約20mM Tris、約8.0〜約8.3のpH を含み;そして 前記IMAC樹脂が、約8.0のpHの、約15mMエチレンジアミン四酢酸により溶出され る、請求項31に記載の方法。 46.さらに以下の工程を包含する、請求項26に記載の方法: (d)工程(c)の前記ヘモグロビン溶液を陰イオン交換樹脂にロードする工程; (e)該陰イオン交換樹脂を洗浄する工程;および (f)第二の溶出溶液を用いて該陰イオン交換樹脂を溶出して該ヘモグロビン溶 液を得る工程。 47.工程(d)の前に、前記ヘモグロビン溶液を交換溶液に交換する工程をさら に含む、請求項46に記載の方法。 48.前記陰イオン交換樹脂を洗浄する工程が以下の工程を包含する、請求項47に 記載の方法: 前記交換溶液を用いて前記陰イオン交換樹脂を洗浄する工程;および 前記交換溶液より低いpHを有する陰イオン交換洗浄溶液を用いて該陰イオン交換 樹脂を洗浄する工程。 49.前記第二の溶出溶液が、前記陰イオン交換樹洗浄溶液よりも低いpHを有する 、請求項48に記載の方法。 50.前記交換溶液、陰イオン交換洗浄溶液、および前記第二の溶出溶液が陽イオ ン性である、請求項49に記載の方法。 51.前記交換溶液が、約8.5〜約9.5のpHの約10〜約30mM Trisを含み; 前記陰イオン交換洗浄溶液が、約7.6〜約7.9のpHの約10〜約15mM Trisを含み; そして 前記第二の溶出溶液が、約7.4から約7.6未満のpHの約10〜約15mM Trisを含む、 請求項50に記載の方法。 52.前記交換溶液が、約8.5のpHの約20mM Trisであり、前記陰イオン交換洗浄溶 液が、約7.7のpHの約12mM Trisであり、そして前記第二の溶出溶液が約7.5のpH の約12mM Trisである、請求項51に記載の方法。 53.前記交換溶液が、約8.5〜約9.5のpHの約10〜約30mMトリエタノールアミンを 含み; 前記陰イオン交換洗浄溶液が、約7.5〜約8.5のpHの約20〜約30mMトリエタノール アミンを含み;そして 前記第二の溶出溶液が、約7.0〜約8.0未満のpHの約10〜約30mMトリエタノールア ミンを含む、請求項51に記載の方法。 54.前記交換溶液が、約8.9のpHの約25mMトリエタノールアミンであり、前記陰 イオン交換洗浄溶液が、約8.2のpHの約23mMトリエタノールアミンであり、そし て第二の溶出溶液が、約7.5のpHの約13mMトリエタノールアミンである、請求項5 3に記載の方法。 55.工程(a)の前に、前記ヘモグロビン含有溶解液が、リガンド化ガスを用い て処理される、請求項54に記載の方法。 56.工程(f)の前記実質的に精製されたヘモグロビン溶液を酸素に曝すことに より、前記リガンド化ガスを除去して、同時に一酸化炭素ガスを除去する工程を さらに含む、請求項55に記載の方法。 57.(g)キレート剤を工程(f)の前記ヘモグロビン溶液に添加する工程をさら に含む、請求項46に記載の方法。 58.(h)工程(g)の前記ヘモグロビン溶液から前記キレート剤を除去する工程 をさらに含む、請求項57に記載の方法。 59.前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸である、請求項58に記載の方法 。 60.請求項26〜59のいずれかに記載の方法により得られ得る、ヘモグロビン溶液 。 61.薬学的に受容可能な製剤緩衝液中に製剤された、請求項60に記載のヘモグロ ビン溶液。 62.実質的に精製されたヘモグロビン溶液を産生するための方法であり、以下の 工程を包含する、方法: (a)ヘモグロビン含有粗溶解液を取得する工程; (b)該ヘモグロビン含有粗溶解液を十分な温度で、十分な時間加熱して、該ヘ モグロビン含有粗溶解液中の混入物を減少させて、前記実質的に混入物を含まな いヘモグロビン溶液を取得する工程; (c)該実質的に混入物を含まないヘモグロビン溶液を、二価の金属イオンでチ ャージした固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)樹脂に接触さ せる工程; (d)該IMAC樹脂を洗浄する工程; (e)該IMAC樹脂を溶出して、部分的に精製されたヘモグロビン溶液を得る工程 ; (f)該部分的に精製されたヘモグロビン溶液を陰イオン交換樹脂上にロードす る工程; (g)該陰イオン交換樹脂を洗浄する工程;および (h)該陰イオン交換樹脂を溶出して、該実質的に精製されたヘモグロビン溶液 を得る工程。 63.(i)前記実質的に精製されたヘモグロビン溶液を酸素に曝すことにより一 酸化炭素を除去する工程をさらに含む、請求項62に記載の方法。 64.(j)キレート剤を前記実質的に精製されたヘモグロビン溶液に加える工程 をさらに含む、請求項63に記載の方法。 65.(k)前記キレート剤を除去して純粋なヘモグロビン溶液を得る工程をさら に含む、請求項64に記載の方法。 66.前記混入物がプロトポルフィリンIX含有ヘモグロビンである、請求項65に記 載の方法。 67.請求項62〜66のいずれかに記載の方法により得られ得る、実質的に精製され たヘモグロビン溶液。 68.薬学的に受容可能な製剤緩衝液中に製剤された、請求項67に記載の実質的に 精製されたヘモグロビン溶液。
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