【発明の詳細な説明】
GnRHの拮抗ペプチドの調製に有用な、グアニジノ又は修飾された
グアニジノ基を有するフェニルアラニン誘導体又は同族体の調製法
本発明は、NH2Pheのようなジアミノ酸由来であって、生物活性ペプチド類の合
成において有用であるような、新規の非天然アミノ酸の調製に関する。更に詳細
に述べると、これは、このような非天然アミノ酸を含有するペプチド類の調製に
関し、これらのペプチドは、前記保護された非天然アミノ酸の生成、及びその後
の標準的鎖延長合成法の一部としてのこのようなペプチドへの組込みによって調
製される。
これらの非天然アミノ酸は、性腺機能、並びにステロイドホルモン類であるプ
ロゲステロン及びテストステロンの放出を阻害する、GnRHアンタゴニスト、かつ
更にこのようなステロイド類の放出を促進するGnRHアゴニストペプチドの形成に
有用である。発明の背景
下垂体は、視床下部として公知である脳基底部へ、軸索でつながっている。特
に、ゴナドトロピン又は性腺刺激ホルモンと呼ばれることもある、ろ胞刺激ホル
モン(FSH) 及び黄体形成ホルモン(LH)が、下垂体によって放出される。これらの
ホルモンは、組み合わされて、性腺の機能を調整し、精巣でテストステロンを、
並びに卵巣でプロゲステロン及びエストロゲンを生合成し、更にそれらは配偶子
の産生及び成熟も調整する。
下垂体前葉によるホルモン放出には、通常視床下部によって産生された別の種
類のホルモン類の前放出が必要である。視床下部のホルモンの1種は、性腺刺激
ホルモン、特にLHを放出する引き金となる因子として作用し、このホルモンは、
LH-RH 及びLRF とも呼ばれているが、本願明細書中ではGnRHと称す。GnRHは、お
よそ20年前に、単離され、かつデカペプチドとして特徴づけられ、かつ第6位の
Gly の代わりに、D-異性体を有するGnRH類似体、例えば下記式を有する[D-Ala6]
-GnRH(米国特許第4,072,668号)が:
pGlu-His-Trp-Ser-Tyr-D-Ala-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2
in vitro及びin vivoの両方において、天然のホルモンよりも、レセプターへの
結合強度が強く、かつ生物的効力が高いことが発見された。
ペプチド類は、一方のアミノ酸のカルボキシル基が、他方のアミノ酸のアミノ
基に結合しているような、2個以上のアミノ酸を含有する化合物である。前述の
GnRHの式は、アミノ末端が左側で、カルボキシル末端が右側であるような、ペプ
チドの一般的表現に従っている。アミノ酸残基の位置は、左から右へのアミノ酸
残基の数字付けによって識別される。GnRHの場合は、C-末端のグリシンのカルボ
キシル基のヒドロキシ部が、アミノ基(NH2) で置換されている、すなわちC-末端
がアミド化されている。前述の個々のアミノ酸残基の略号は、一般的なものであ
り、かつアミノ酸の慣用名を基にしたもので、例えばpGluはピログルタミン酸、
Glu はグルタミン酸、His はヒスチジン、Trp はトリプトファン、Ser はセリン
、Tyr はチロシン、Gly はグリシン、Leu はロイシン、Nle はノルロイシン、Or
n はオルニチン、Arg はアルギニン、Har はホモアルギニン、Pro はプロリン、
Sar はサルコシン、Phe はフェニルアラニン、Ala はアラニン、Val はバリン、
Nva ノルバリン、Ile はイソロイシン、Thr はトレオニン、Lys はリシン、Asp
はアスパラギン酸、Asn はアスパラギン、Gln はグルタミン、及びMet はメチオ
ニンである。グリシン以外の列挙されたアミノ酸類は、特記しない限りは、L-立
体配置であると理解される。
哺乳類の雌の排卵の停止が必要な理由があり、かつ正常なGnRH機能に対して拮
抗作用があるGnRH類似体の投与が、排卵の抑制又は遅延の目的で採用されている
。この理由のために、GnRHに対して拮抗的であるGnRH類似体は、それらの避妊薬
としての使用の可能性、又は受胎期の調節に関し研究中である。GnRHアンタゴニ
ストは、同じく思春期早発及び子宮内膜症の治療に使用される。このようなアン
タゴニストは、哺乳類の雄における性腺刺激ホルモン分泌の調節に有用であるこ
ともわかっていて、精子形成の抑制、例えば男性の性犯罪者の治療のため、及び
前立腺肥大症の治療のための、男性用避妊薬として、使用することができる。更
に詳細に述べると、GnRHアンタゴニストは、ステロイド依存型腫瘍、例えば前立
腺及び乳房の腫瘍の治療、並びに体外受精に際し排卵の時期を調節するために使
用
することができる。女性においては、多毛症、子宮内膜症、月経前症候群(PM S)
などの治療にも使用することができる。
他方で、GnRHと同じ方法で、LH及びFSH の放出を促進するというGnRHアコニス
ト機能、並びにより強い生物的効力及び/又はより長い作用の期間を発揮するア
ゴニスト類は、価値があると考えられる。
ペプチド類似体へのそれらの置換の結果、生理活性を増強するような、非天然
アミノ酸を合成する方法は、特に興味深い。内因性GnRHに対し強力な拮抗作用を
もち、かつLH及びFSH の分泌及び哺乳類の生殖腺によるステロイド類の放出を抑
制するか、もしくはGnRHの強力なアゴニストであるかのいずれかであるような、
改善されたペプチド類を、鎖延長法によって合成する方法を提供することも、所
望である。発明の要約
本発明は、非天然アミノ酸を合成する方法、及びこのようなあらかじめ調製さ
れた非天然アミノ酸を用いて、ペプチドを調製する方法を提供する。α−アミノ
基が保護されたアミノ酸は、以下に述べているような、修飾されたグアニジノ基
又はグアニジノ等価体、もしくは修飾されたグアニジノ基の更なる解明(elucida
tion) によって得られる誘導体を含み、かつ最も好ましくはトリアゾール又は置
換されたトリアゾール基を含むような、側鎖を有するように合成される。
これらのアミノ酸は、ヒトを含む哺乳類において、性腺刺激ホルモン類の放出
を阻害するペプチド類の調製、並びに同じくGnRHの強力なアゴニストであり、か
つ哺乳類の生殖過程を促進するために使用される、改善されたGnRHアナログ類の
調製において、有用である。
本発明は、下記式U*を有する、保護された非天然アミノ酸:
(式中、X1は、α−アミノ保護基;j は、1、2又は3;R1は、H,CH3又はCH2C
H3;R2は、アルキル(C1 からC6) 、シクロヘキシル、又は-(CH2) p-R3 (式中P
は、0〜6の整数、並びにR3は、メチル、エチル、フェニル、ピリジニル、プリ
ニル、イミダゾイル、インドリル、ナフチル、NHR4又はOH;並びにR4は、H 又は
CH3 である。)である。)、もしくはそれらのヘテロ環式転位体を製造する方法
を提供する。
この方法は、非天然のアミノ酸が生じる、ヘテロ環式転位体のいずれかを含む
、下記式の1種を有するという結果をもたらすことが好ましい:
(a)
(式中、X1は、α−アミノ保護基;j は、1〜3の整数;R1は、H,CH3又はCH2C
H3;R2は、アルキル(C1 からC5) 、シクロヘキシル、ナフチル、ピリジル、ピリ
ミジル、ピラジニル、インドリル、キノリニル又はイミダゾールイルである。)
;
(b)
(式中、X1は、α−アミノ保護基;j は、1〜3の整数:R5は、H 、メチル又は
エチル;及びR6は、H 又はアシル(C1 からC6)である。);
(c)
(式中、X1は、α−アミノ保護基;j は、1〜3の整数;M1は、NR7 又はNH-(CH2
) p−R8 (式中P は、0〜3の整数、R7は、メチル、エチル、プロピル又はフ
ェニル;R8は、0又はdesR8 である。);並びにR9は、H 又はアルキル(C1から
C6)である。);並びに
(d)
(式中、X1は、α−アミノ保護基;j は、1〜3の整数;M1は、NR7 又はNH-(CH2
)p (式中P は、0〜3の整数、R7は、メチル、エチル、プロピル又はフェニル
である。)である。)。
更に好ましくは、この方法は、下記式を有するアミノ酸を合成するために行わ
れる:
(式中、X1及びp は、前に定められたものである。)。このようなアミノ酸は、
標準的鎖延長法によって、GnRH類似体及び広範囲の他のペプチド類を合成するた
めには、L-及びD-異性体の両方が価値がある。
最初にアミノ基が修飾されたPhe 又はそれらの同族列の第一級アミノ機能の修
飾は、適した試薬で適当に保護されたアミノ酸を処理することによって行われる
。これらのアミノ酸類は、概してシアノグアニジンと称され、かつアミノ基のジ
フェニルシアノカルボンイミデート(I) との反応によって調製され:
(式中、“Q”は、式U*の部分として、前述のアミノ酸のような、概して側鎖の
第一級アミノ基を有するアミノ酸の主要部分を表わす。)、このアミノ酸は適当
に保護されたそのα−アミノ基を有す。
次にN-置換-N'-シアノ-O- フェニルイソ尿素残基(II)を有するアミノ酸は、第
二求核試薬NXR2との反応によって、更に官能基化され、下記式(III) を有するシ
アノグアニジン−含有アミノ酸を生成する:
例えば、
例えば、HXR=H2N-CH2-ピリジンである場合は、その結果:
である。この群は、N-g-シアノ-N-g'-3-メチルピリジルグアニジノと称すること
もできる(IUPAC命名法)。
このような化合物は、酸性条件下で加水分解することができ、同じく生物作用
のある化合物類の合成に使用されるような、アミノ酸を生じ、例えば:
である。
環状の残基は、-XR が第二求核性部位を含み、かつX が下記一般式:M1-(CH2)p
-M2(式中、M1はNR’、及びM2はNH,0又はNR''であり、pは0、1、2又は3
である。)である場合に生じる。このような求核試薬の例は、H2NNH2、CH3HNNH2
、CH3HNNHCH3、H2NOH、及びH2N-CH2-CH2OH である。この場合、形成されたシア
ノグアニジン残基は、シアノ基とωアミノ基の反応によって、最初の中間体から
形成された、対応するヘテロ環(V) へと転化され、これは:
例えば、-XR2=-HNNH2 の場合は、
更に、-XR=-CH3NNHCH3の場合は、
その後これらは、前述のように加水分解される。
一般にこれらの非天然アミノ酸類は、GnRHのアンタゴニスト又はアゴニストで
あるような、すなわちヒトを含む哺乳類の下垂体による性腺刺激ホルモンの分泌
を強力に阻害するか、もしくはこのような分泌又は放出を強力に促進するかのい
ずれかであるようなペプチド類の合成に使用される。これらのペプチド類は、第
3位、第5位、第6位及び/又は第8位に、式U*の非天然アミノ酸を1個以上含
有するGnRH類似体である。U*が第3位及び/又は第6位である場合には、これは
常にD-異性体の形状であるのに対し;U*が第5位及び/又は第8位である場合に
は、これは常にL-異性体の形状である。好ましい実施態様の詳細な説明
前述のように、この非天然アミノ酸(L-又はD-異性体であることができる)は
、下記式U*で表わされる:
(式中、X1、j 、R1及びR2は、前に定義したものである。)。このα−アミノ基
は、適当な保護基、例えばBoc によって置換され、C-末端で開始されるペプチド
合成のための鎖延長法の一部として直接使用することができるようになる。本発
明によって合成されたアミノ酸類を使用して形成された代表例のペプチド類の各
々において、少なくとも1種はD-異性体である。
更に詳細に述べると、生物的効力があるGnRHアンタゴニスト類は、下記式(F1)
で表わされる:
G-AA1-(A)D-Phe-AA3-Ser-AA5-AA6-AA7-AA8-Pro-AA10
(式中、G は、水素又は炭素原子が7個以下のアシル基であり;AA1 はデヒドロ
プロリン、D-pGlu、(A)D-Phe、(B)D-Trp、Pro 又はβ-D-NAL;A は、H 、Cl、F
、NO2 、CH3 、OCH3 、C aMe/4Cl( aはαを意味する。)、Cl2 又はBr;B は、
H 、NO2 、NH2 、OCH3、F 、Cl、Br、CH3 、N in For又はN in Ac ;AA3 は、U*
、D-PAL、β-D-NAL又は(B)D-Trp ;AA5 は、U*、Tyr、(C)Arg、Lys(cpd)、Orn(c
pd)、Dbu(cpd)、Dpr(cpd)、(A)Phe、(3I)Tyr 又はHis ;AA6 は、U*、β-D-NAL
、(B)D-Trp、(A')D-Phe 、(D)D-Orn 、(D)D-Lys、(D)D-Dbu、(D)D-Dpr、D-Har
、D-Tyr 、(E)D-His、D-PAL 、(C)D-Arg又は適当な親油性D-異性体;A'は、A 、
NH2 、NHCH3 又はgua ;C は、H 又は低級アルキル;D は、G 、cpd 又はアリー
ル基;E は、H 、imBzl 又はジニトロフェノール;AA7 は、Nle 、Leu 、NML 、
(A)Phe、Met 、Nva 、Tyr 、(B)Trp又はPAL ;AA8 は、U*、(C')Arg 、(C')Har
又はILys;C'は、H 又はジ低級アルキル;AA10は、D-Ala-NH2 、Gly-NH2 、AzaG
ly-NH2又はNH(R) ;R は、低級アルキル、好ましくはCH2CH3 ;並びにU*は、前
に定義したものである。)。AA1 がβ-D-NALであり、かつAA5 がArg でない場合
は、AA6 は、好ましくはU*、4-NH2-D-Phe 、D-Lys 、D-Orn 、D-Har 、D-His 、
4-gua-D-Phe 、D-PAL 又はD-Argである。
デヒドロプロリンは、3,4-デヒドロプロリン、C5H7O2N の意味である。β-D-N
ALは、β−炭素原子がナフチルによって置換された、アラニンのD-異性体の意味
であり、すなわち3-D-NALでもある。好ましいβ-D-2NAL は、ナフタレンへの結
合が、環構造の第2位であるように用いられる;しかし、β-D-1NAL も、使用す
ることができる。好ましい第1位の残基は、D-Phe で置換された、及び任意にD-
Trp で置換された、β-D-NALである。PAL は、β−炭素原子がピリジルで置換さ
れたアラニンを表わし;好ましくは、ピリジン環の第3位に結合している。U*が
第5位でない場合は、好ましくはTyr 、Arg 又はLys(cpd)である。NMLは、
N a CH3-L-Leu を意味する。Dbu は、α、γ、ジアミノ酪酸を意味し、並びにDp
r は、α、βジアミノプロピオン酸を意味する。Aph は、4-又はパラ- アミノPh
e であると想定されるNH2Pheを意味する。4-gua-D-Phe は、パラ位で置換された
グアニジンを有するD-Phe 残基を意味する。AzaGly-NH2は、NHNHCONH2 を意味す
る。第5又は第6位のArg 残基のグアニジノ基は、1〜4個の炭素原子を有する
低級アルキル、例えばプロピル(Pr)で置換することができる。D-Lys 、D-Dbu、D
-Dpr 又はD-Orn が、第6-位に存在し、かつ一般的でないアミノ酸U*の一部では
ないような場合には、その側鎖アミノ基は、脂肪族、ヘテロ環又は芳香族である
ことができるアシル基、例えばニコチン酸によってアシル化される、もしくは多
くとも1個のフェニル環を有するアリール基で置換される。U*が第6位に存在し
ない場合には、これは好ましくはD-PAL 又はD-Lys(cpd)である。第7位の残基は
、Leu 、NML 、Nle 又はPhe であることが好ましい。第8位の残基がU*でない場
合には、ILysが好ましい。
本発明の生物的効力のあるGnRHアゴニスト類は、下記式(F2)で表わされる:
pGlu-His-Trp-Ser-Tyr-U*-AA7-Arg-Pro-AA10
(式中、AA7 及びAA10は、前に定義されたものであり;好ましくは、AA7 はLeu
又はNML であり、AA10はNHCH2CH3である。)。
合成され、保護されたアミノ酸の好ましい亜属は、下記式を有す:
又は
(式中、j は1〜3の整数;R2は、H 、アルキル、アルケニル、アルキニル、ア
リール、OH、NH2 、もしくはメチルピリジル、ピリミジニル又はプリニルのよう
なヘテロ環であり;かつX1は、α−アミノ保護基である。)。
ある好ましい方法は、GnRHアンタゴニスト類及び他のペプチド類の合成に適し
ている、下記式を有する保護されたアミノ酸の亜属の合成のためのものである:
(式中、X1は、前述のものであり、かつj は1又は2である。)。
この方法で調製されたアミノ酸の別の亜属は、下記式を有す:
(式中、j は1、2又は3;X'はα−アミノ保護基であり、かつR2は、低級アル
キル(C1-C6) 、シクロヘキシル、フェニル、ピリジル、メチルピリジル又はヒス
タミニルである。);もしくは、
合成されたアミノ酸の他の好ましい亜属は、下記式を有す:
(a)
又は(b)
(式中、R2は、低級アルキル、ピリジル又はメチルピリジル、並びにX1はα−ア
ミノ保護基、好ましくはBoc である。)。
本発明の方法で合成された前述の保護されたアミノ酸は、古典的液相鎖延長合
成法によって、もしくは固相技術によって、ペプチド類を合成するために使用す
ることができる。クロロメチル化された樹脂又はヒドロキシメチル化された樹脂
を使用することができる;しかし、C-末端アミド又は開裂で置換されたアミドを
直接提供するような、メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂、ベンズヒドリル
アミン(BHA) 樹脂、又は当該技術分野において公知である他の適当な樹脂が、こ
のようなC-末端が所望である場合には、使用されることが好ましい。例えば、C-
末端に置換されたアミドを有するペプチド類は、1986年2月11日に公布された米
国特許第4,569,967 号に開示された、N-アルキルアミノメチル樹脂を用いて合成
されることが好ましい。固相合成法は、詳細は米国特許第4,211,693 号に開示さ
れた方法で、鎖中にアミノ酸を段階的に添加する方法で行われる。当該技術分野
において周知であるように、側鎖保護基は、特に反応性側鎖を有する、及びTrp
などの、任意に該樹脂上で形成される鎖に連結されるアミノ酸であるような、い
ずれかのアミノ酸の一部に含まれることが好ましい。このような合成法は、完全
に保護された中間体ペプチド樹脂を提供する。
液相又は固相合成によって合成される、第5位及び第6位の非天然アミノ酸を
有する、GnRHアンタゴニストの化学的中間体は、下記式で表わされる:
X1-AA-AA2(X5)-AA3(X2)-Ser(X3)-U*-U*-AA7(X2又はX7)-AA8(X5又はX6)-Pro-X8(
式中、U*は前に定義されたものである。)。
X1は、ポリペプチドの段階的合成に関する当該技術分野において有用であるこ
とが公知であるような種類のα−アミノ保護基であり、並びに所望のペプチド組
成物中のG は、保護基として使用することができる特定のアシル基である。X1に
相当するα−アミノ保護基の種類は、(1) アシル型保護基、例えばホルミル(For
) 、トリフルオロアセチル、フタリル、p-トルエンスルホニル(Tos) 、ベンゾイ
ル(Bz)、ベンゼンスルホニル、ジチアノスクシノイル(Dts) 、o-ニトロフェニル
スルフェニル(Nps) 、トリチルスルフェニル、o-ニトロフェノキシアセチル、ア
クリルイル(Acr) 、クロロアセチル、アセチル(Ac)及びγ−クロロブチリル;(2
) 芳香族ウレタン型保護基、例えばベンジルオキシカルボニル(Z) 、フルオレニ
ルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、並びにp-クロロベンジルオキシカルボニル(C
IZ) 、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル
及びp-メトキシベンジルオキシカルボニルのような置換されたベンジルオキシカ
ルボニル;(3) 脂肪族ウレタン型保護基、例えばt-ブチルオキシカルボニル(Boc
) 、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エト
キシカルボニル及びアリルオキシカルボニル;(4) シクロアルキルウレタン型保
護基、例えばシクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル
及びシクロヘキシルオキシカルボニル;(5) チオウレタン型保護基、例えばフェ
ニルチオカルボニル;(6) アルキル型保護基、例えばアリル(Aly) 、トリフェニ
ルメチル(トリチル)及びベンジル(Bzl) ;(7) トリアルキルシラン基、例えば
トリメチルシランである。好ましいα−アミノ保護基は、Boc である。
X2は、水素、又はTrp のインドール窒素の保護基、例えばBz、Ac又はFor であ
る。多くの合成法においては、Trp を保護する必要はなく、かつこのような保護
は、アシル化されたD-Trp が該ペプチドのいずれかに存在する場合には、使用さ
れない。
X3は、Ser 又はThr のヒドロキシル側鎖の保護基、例えばAc、Bz、トリチル、
DCB 又はベンジルエーテル(Bzl) であり、かつBzl が好ましい。
X4は、水素、又はTry のフェノール性ヒドロキシル基の保護基であり、テトラ
ヒドロピラニル、t-ブチル、トリチル、ベンジル、Z 、2-ブロモベンジルオキシ
カルボニル(2BrZ)及び2,6-ジクロロベンジル(DCB) から成る群から選択される。
2BrZが好ましい。
X5は、例えばArg 又はHar 中のような側鎖グアニジノ基の、もしくはHis のイ
ミダゾール基の保護基であり、例えばニトロ、Tos 、トリチル、アダマンチルオ
キシカルボニル、Z 及び2,4-ジニトロフェノール(Dnp) などであるか、もしくは
X5は、水素であってもよく、これは側鎖基の原子が保護されていないことを意味
する。一般にTos が好ましい。
X6は、アミノ側鎖基、第一級又は第二級アミノ基の保護基であり、例えばZ 又
は2ClZである。
X7は、水素、又はMet の保護基であり、例えば酸素である;Met は一般に保護
されずに残る。
X8は、Gly-NH-[樹脂担体] 、D-Ala-NH-[樹脂担体] 又はN(A)-[樹脂担体] であ
り;X8は、同じくアミド又はエステル保護基、もしくは(液相合成が行われる場
合には)Gly 又はD-Ala 又はPro 、又はNHNHCONH2 に直接付着した置換されたア
ミドのいずれかの保護基である。
X2−X7の側鎖保護基の選択基準は、この合成の各工程での、α−アミノ保護基
(好ましくはBoc )の除去のために選択された反応条件下において、その保護基
が、該試薬に対し安定でなければならないことである。一般に保護基は、カップ
リング条件下では開裂しないが、このペプチド鎖を変更しないような反応条件下
では、所望のアミノ酸配列の合成の完了時に、除去可能でなければならない。
X8基が、Gly-NH-[樹脂担体] 又はD-Ala-NH-[樹脂担体] である場合は、アミド
結合は、BHA 樹脂又はMBHA樹脂に、Gly 又はD-Ala を結合する。X8基が、N(A)-
[樹脂担体]である場合は、置換されたアミド結合は、N-アルキルアミノメチル
(NAAM)樹脂にPro を結合する。X8がAzaGly-NH2である場合は、該ペプチドは、米
国特許第4,234,571 号に開示された、古典的な液相合成法で生成されることが好
ましい。
例えば最後の式において、G がアセチルである場合には、反応が、(側鎖基は
保護され続ける一方で、α−アミノ基は脱保護された後に)、例えばジイソプロ
ピル又はジシクロヘキシルカルボジイミド(DIC 又はDCC )存在下、酢酸との、
もしくは好ましくは無水酢酸との反応によって、前記樹脂上のペプチドで行われ
ることが好ましい。当該技術分野において公知である他の適当な反応も、使用す
ることができる。
このペプチドの精製は、当該技術分野で公知であり、かつ特にJ.Rivierらの論
文(J.Chromatography,28 8:303-382(1984))で述べられているような、CMC カラ
ム上での、イオン交換クロマトグラフィー、それに続く溶出システムを用いる分
配クロマトグラフィー:セファデックスG-25を充填したカラム上で、n-ブタノー
ル;0.1N酢酸(体積比1:1 )によって、もしくはHPLCを用いることによって、行
われる。
このGnRHアンタゴニスト類は、雌のラットの排卵を停止するために、発情前期
日のほぼ真昼に皮下投与される場合には、体重1kg につき100 μg 未満の濃度で
効果がある。排卵の持続性の抑制のためには、約0.1 〜約2.5mg/体重kgの範囲の
用量が必要である。これらの類似体類は、特に生理的pHで可溶性であり、その結
果、投与のために比較的濃い溶液を調製することができる。同じくこれらのアン
タゴニストは、性腺刺激ホルモン及び前述の別の目的のための性ステロイド類の
産生を調節するために使用することができる。
下記式において、U*残基は、側鎖アミノ基に加え、付随する括弧に記載されて
いる当該の修飾を有する元来のアミノ酸残基として定義されている。元来の残基
は、アミノ置換が、その環の4-又はパラ−位に存在するようなアミノフェニルア
ラニン(D- 又はL-Aph)、もしくはアミノホモPhe(Hph)又はアミノホモホモPhe
のいずれかである。これは、通常の鎖延長法の一部として、適当に保護された非
天然アミノ酸U*を添加することによって、伸長するペプチド鎖に組み込まれる。
この修飾された側鎖アミノ基に関して、実施態様において下記の略号が使用さ
れる:
act=3-アセチルアミノ-1,2,4- トリアゾール
atz=3-アミノ-1,2,4- トリアゾール
bcg=アミノブチルシアノグアニジノ
bzcg= アミノベンジルシアノグアニジノ
chcg= アミノシクロヘキシルシアノグアニジノ
ecg=アミノエチルシアノグアニジノ
icg=アミノイソプロピルシアノグアニジノ
hcg=アミノヘキシルシアノグアニジノ
hicg= ヒスタミニルシアノグアニジノ(エチルイミダゾール)
mcg=アミノメチルシアノグアニジノ
ncg=アミノエチル(1又は2)ナフチルシアノグアニジノ
mncg= アミノメチル(1又は2)ナフチルシアノグアニジノ
pcg=アミノプロピルシアノグアニジノ
trcg= インドールエチルアミノシアノグアニジノ(トリプタミノシアノグアニジ
ノ)
mpcg= アミノメチルピリジルシアノグアニジノ
(数字は、ピリジル環上のアミノメチル基の位置を表わす。)実施例1
D-及びL-フェニルアラニンからのD-及びL-N a -Boc-4-(5'-(3'−アミノ-1H-1',2',4'- トリアゾリル))アミノフェニルアラニンの調製
アミノ酸3-(4- ニトロフェニル)アラニンの調製は、しばしばフェニルアラニ
ンの芳香環のニトロ化の様々な方法を用いている。最も頻繁に使用される前述の
ニトロ化は、硫酸に溶解された硝酸溶液を使用し、かつこれは通常“混酸”と称
される。高い収量が報告されることが多いのと対照的に、実際のニトロ化は、該
アミノ酸の芳香環の全ての可能な位置(オルト、メタ及びパラ)で生じ、かつそ
の反応条件の修飾は、この異性体比のわずかな変化をもたらすのみであることが
最近わかった。沸騰水による反復晶出で、所望でないo-及びm-異性体類を取り除
くことができるが、その収量は理論値の約25%にすぎない。実質的に硝酸及び無
水酢酸、又は様々な酸の硝酸塩から成る他のニトロ化組成物も、同様に使用され
ているが、収量は少なく、かつ異性体の分布は報告されていないので、ニトロ化
のこれらの変法には利点が無いことが明らかになった。
該文献に記載された様々な方法の、ある反応の因子は、すなわち反応物として
使用されたPhe 量に対するニトロ化試薬の比は、一定である。この値は、一般に
過剰なニトロ化を避けるために、適当な硝酸塩の1.1 〜1.3 当量である。過剰な
硫酸が、一般にこの反応に添加され、ニトロ化は、硫酸が90%以上の系において
最も迅速であると考えられることから、ニトロ化剤(NO +2) の形成を助ける。
より多量の硫酸の使用は、単離時に、黄色アミノ酸をもたらすことが現在はわ
かっているが;しかしアミノ酸1モルにつきHNO3を、少なくとも約2モル (当量
)、好ましくは約2〜約3.5 当量で、供給するために、硝酸の量を非常に多くす
ることによって、より透明な生成物が生成される。好ましくは、硝酸1当量につ
き、硫酸が約2〜約3当量の量で供給される。更に共役状態での作用時間は、よ
り収量を高める。水による再結晶後、3-(4- ニトロフェニル) アラニンは、CZE
を用いて、所望でないメタ−又はオルト−置換異性体の可能性のある混入を検出
し、かつ他の異性体類を溶出することがわかっている条件下で、パラ−置換異性
体のみを認めた。その後、このα−アミノ基を、脂肪族ウレタン型保護基、好ま
しくはBoc で保護した。
次に、D-及びL-Boc-4-Aph(atz)アミノ酸の両方が、対応するBoc-4-Aph アミノ
酸から、ジフェニルシアノカルボンイミデートと、パラ−アミノ官能基の反応、
それに続くヒドラジン水和物処理によって、容易に調製されることが示されてい
る。この2工程反応は、実質的に1容器操作であり、かつこれらの2工程間で、
濃度/溶媒交換(concentration/solvent exchange)が行われるにもかかわらず、
この反応がアルコール溶媒、例えばイソプロパノール中で行われる場合には、そ
のような必要はない。ジクロロメタンを溶媒とした際のBoc-4-Aph(atz)の溶解
限度は、補助溶剤としてN-メチルピロリジン(NMP) を使用することによって、克
服された。
以下に記載した実験条件は、これらのアミノ酸の調製を詳細に説明するもので
ある。4-ニトロフェニル-D- アラニン
:撹袢子を装備し、かつ氷浴中に保持した600ml
のビーカー中の、冷、濃(16mol) 硝酸150ml (約2.4mol)に、冷、濃(18mol) 硫
酸(200ml) を、徐々に加えた。3℃に冷却後、D-フェニルアラニン (180g,1.09
mol)を、5〜10g ずつ、1時間かけて添加し、温度が約5℃に保たれていること
を確認した。この反応物を、氷浴中、温度(2〜5℃)で4時間撹袢した。その
後この反応を、氷3kg 上に注ぐことによって停止し、その後濃水酸化アンモニウ
ムで、この反応物を注意深く中和した。pH5-6 で、この溶液は濁りはじめ、かつ
4-ニトロフェニル-D- アラニンが沈殿した。この沈殿を、ろ過によって収集し、
かつ氷水(1リットル) で洗浄した。このアミノ酸は、その後、温水700ml で2回
再結晶した。この再結晶した生成物を収集し、かつ高真空下で乾燥し、4-ニトロ
フェニル-D- アラニン157g(0.75mol;68 %) を得た。[α]D=-6.9°(1N HClで
c=0.86) ;m.p.=238-244℃。4-ニトロフェニル-L- アラニン
:4-ニトロフェニル-D- アラニンに関する前述の
反応を、L異性体のために繰り返した。L-Phe 約125g を、前述の方法でニトロ
化して、4-ニトロフェニル-L- アラニン 124g (収量約77%)を得た。[α]D=
+6.8°(1N HCl でc=1.0)。N a -Boc-4- ニトロフェニル-D- アラニン
:4-ニトロフェニル-D- アラニン(157
g,0.75mol) を、40%のt-ブチルアルコール水溶液500ml に溶解し、かつそのpH
を、2N NaOHを用いて9.9 に調節した。ジ-t- ブチルジカルボネート(198g,0.9m
ol)を35分以上かけて、撹袢されている反応物に添加し、かつ次にこの混合物を
室温で2時間撹袢した。このpHは、この反応過程を通じて約9.8 以上に保った。
その後この反応生成物を、まず石油エーテル(2×800ml)、及びジエチルエーテル
(1×500ml)で抽出し、その後この水相を、NaHSO4を用いて、pH2 まで注意深く酸
性化した。この水相を、酢酸エチルで抽出し;その後これを、MgSO4 で乾燥し、
かつ真空下で濃縮し、石油エーテルで粉砕されるよう凝固された粘性の油分を得
た。このBoc-アミノ酸を、ろ過によって収集し、石油エーテルで洗浄し、かつ乾
燥して、N a -Boc-4- ニトロフェニル-D- アラニン210g(0.68mol;90%) を得た
。[α]D=-7.0°(MeOH でc=0.9);m.p.=100-104℃。N a -Boc-4- ニトロフェニル-L- アラニン
:N a -Boc-4- ニトロフェニル-L- ア
ラニンに関する前述の反応を、L-異性体で繰り返した。4-ニトロフェニル-L- ア
ラニン、約123gを前述のように反応し、N a -Boc-4- ニトロフェニル-L- アラニ
ン約155g(収量約86%)を得た。[α]D =+7.1°(MeOH でc=1.0)。N a -Boc-4- アミノフェニル-D- アラニン
:N a -Boc-4- ニトロフェニル-D- ア
ラニン(209g,0.68mol) を、エチルアルコール500ml に溶解し、かつ酢酸(10ml)
で酸性化した。これに、10%のPd/ 炭素を0.65g を添加し、かつこの混合物を、
ほぼ室温で、約40psi のH2を用い、水素の取込みが終了するまで(6時間)、水
素添加した。この結晶を、ろ過によって除去し、かつ反応生成物を、真空下で濃
縮し、石油エーテルで粉砕されるよう凝固された粘性の油分を得た。このアミノ
酸をろ過によって収集し、石油エーテルで洗浄し、かつ乾燥して、N a -Boc-4-
アミノフェニル-D-アラニン184g(0.659mol,97%) を得た。[α] D =-40.2°(Et
OAcでc=1.0)及び-23.4°(MeOH でc=1.0);m.p.=128-133℃。N a -Boc-4-アミノフェニル-L-アラニン
:N a -Boc-4- アミノフェニル-D- アラ
ニンに関する前述の反応を、L-異性体について繰り返した。N a -Boc-4- ニトロ
フェニル-L-アラニン約153gを前述のように反応し、N a -Boc-4- アミノフェニ
ル-L-アラニン134g(収量約96%)を得た。[α] D =+23.6°(MeOH でc=1.0)。N a -Boc-4-(5'-(3'- アミノ-1H-1',2',4'- トリアゾリル))- アミノフェニル-L - アラニン[Boc-L-4Aph(atz) ]
:機械撹袢子を装備した250ml の丸底フラスコ中
で、Boc-L-4-アミノフェニルアラニン 9g(32mmol) に、ジクロロメタン100ml 、
及び固形物が完全に溶解するまで十分量のN-メチルピロリドン(10ml)を添加した
。この時、ジフェニルシアノカルボンイミデート 8.7g(36.6mmol) を添加し、か
つこの反応混合物を室温で約17時間撹袢した。その後この反応混合物を、真空下
で濃縮し、かつ得られた、シアノグアニジノ中間体を含有する油分を、メタノー
ル125ml に溶解した。ヒドラジン水和物15mlを添加し、かつこの反応混合物を、
室温で24時間撹袢した。その後この反応混合物を、真空下で約50mlにまで凝縮し
、得られた油分を、冷水350ml で希釈した。pHが約7になるまで、希硫酸を添加
し、かつこの水相を、エーテル(1×150ml)で抽出し、該反応中に生成されたフェ
ノールを除去した。次にこの水相のpHを、2-3 に調節し、この時沈殿が形成され
た。その後この反応生成物を、温酢酸エチル(3×250ml)で抽出し、かつその有機
相をMgSO4 上で乾燥した。次にこの有機相を濃縮し、油分を得、エーテルで洗浄
し、凝固した。得られた粉末を篩いにかけ、石油エーテルで洗浄し、その後乾燥
して、Boc-Aph(3-アミノ- 1,2,4 トリアゾール)とも称される、 Boc-L-Aph(atz
) の褐色粉末9.2g(25.3mmol,収量79%) を生成した。[α] D =-16.4°(MeOHでc=
1.0)。N a -Boc-4-(5'-(3'- アミノ-1H-1',2',4'- トリアゾリル))- アミノフェニル-D - アラニン[Boc-D-4Aph(atz) ]
:前述のBoc-L-Aph(atz)に関する反応を、D-異性
体について繰り返した。Boc-D-Aph 、10.1g を、ジフェニルシアノカルボンイミ
デート10.8g で処理した後に、ヒドラジン水和物20mlを加え;実質的に、 Boc-D
-Aph(atz) 7.8g(収量61%)を得た。[α] D =-15.6°(MeOH でc=1.0)。実施例2
デカペプチド[Ac-β-D-2NAL1、(4Cl)D-Phe2 、D-3PAL3 、Aph(atz)5 、D-Aph(
atz)6、ILys8 、D-Ala10]-GnRH を、固相合成法によって合成した。このペプチ
ドは、下記式を有する:
Ac- β-D-2NAL-(4Cl)D-Phe-D-3PAL-Ser-Aph(3-アミノ,1,2,4トリアゾール)-D-Ap
h(3-アミノ,1,2,4トリアゾール)-Leu-Lys(イソプロピル)-Pro-D-Ala-NH2。
MBHA樹脂(0.76mM/g)を使用し、かつBoc-で保護されたD-Ala を、CH2Cl2中で、
該樹脂に、約2倍の過剰量のBoc-誘導体及び活性化剤としてDCC を用い、2時間
連結した。このD-Ala 残基は、アミド結合によって、MBHA残基に連結した。
樹脂約0.9gで開始し、自動化された装置を使用して、各アミノ酸残基をカップ
リングし、洗浄し、脱保護し、かつ次のアミノ酸残基とカップリングするという
操作を、下記のスケジュールに沿って行った。
前述のスケジュールは、第一のアミノ酸が連結した後の、本発明のペプチドの
アミノ酸類の各々のカップリングのために使用される。N a Boc 保護は、本合成
を通じ、残りのアミノ酸の各々のために使用される。N a Boc-β-D-2NAL は、当
該技術分野において公知の方法、例えば1980年11月18日に公布された、米国特許
第4,234,571 号に詳細が開示されている方法によって調製され;これはシンステ
ック(SyntheTech)社 (オレゴン、米国) から市販もされている。Bzl (ベンジル
エーテル)は、Ser のヒドロキシル基の、側鎖保護基として使用される。Boc-Ly
s (Ipr,Z) は、第8位のために使用される。第5位の4Aph(atz) 及び第6位のD-
4Aph(at z)の側鎖基は、保護の必要はない。トリフルオロ酢酸(TFA) によるN-末
端のα−アミノ基の脱保護後に、ジクロロメタンを溶媒とする過剰量の無水酢酸
を用いて、アセチル化を達成した。
該ペプチドの合成及びN-末端のアセチル化の完了後に、下記式の中間体が約1.
67g 存在した:Ac- β-D-2NAL-(4Cl)D-Phe-D-3PAL-Ser(Bzl)-Aph(atz)-D-Aph (a
t z)-Leu-Lys(Ipr,Z)-Pro-D-Ala-NH-[MBHA樹脂担体]。
このペプチド樹脂を乾燥し、かつ次にこの樹脂から該ペプチドを切断し、かつ
Ser 及びLys 側鎖の脱保護を、HFを用い0℃で行った。HF処理以前に、捕捉剤と
してアニソールを添加した。真空下でHF除去後、この樹脂を100ml のエチルエー
テルで2回洗浄した。切断されたペプチドを、CH3CN 及びH2O の等量部(equal p
arts)を用い、該樹脂から抽出し、この工程を、各回150ml を用いて繰り返した
。この抽出物を収集及び凍結乾燥し、粗ペプチド粉末約650mg を得た。
その後このペプチドの精製は、当該技術分野で公知であり、かつ特にJ.Rivier
らの論文(J.Chromatography,288 :303-328(1984)) に述べられている、分取高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)によって行った。最初の分取RP-HPLC による分離
には、TEAP(トリエチルリン酸アンモニウム)バッファー系を使用した。この分
離を、わずかに異なる勾配の、同じバッファー系を用いて繰り返し、最終分離は
、0.1 %TFA (トリフルオロ酢酸)勾配を用いて行ったが、いずれも前記J.Chro
matographyの記事に詳細に記載されている。該デカペプチド約80.7mgを得、これ
を
ペプチドNo.1と称した。
このペプチドは、逆相高速液体クロマトグラフィー及び水性トリエチルリン酸
アンモニウムバッファーにアセトニトリルを加えたものを用い、更に毛管ゾーン
電気泳動(CZE) を用い、均質であるかどうかを判定した。この純度は、約97%と
推定された。結果のアミノ酸解析から、精製されたペプチドは、予定された構造
の式と一致し、該鎖中の各アミノ酸の整数値(integer-values)を実質的に示し;
更に質量分析も、一致した。旋光度は、光電偏光計を用い、下記式のように測定
した:
[α] 20 D=-2.8±0.5 (C=1,50%酢酸)
ペプチドNo.1を、in vivo でアッセイし、かつin vitroで試験した。in vitro
試験は、本アッセイ前に4日間培地に保存し、分離したラットの下垂体細胞を用
いて行った。ペプチド類の適用に応じて調製されたLHの濃度は、ラットLHの特異
的ラジオイムノアッセイで、アッセイした。細胞の対照皿は、GnRH 3nmolの処置
のみを行い:実験皿は、GnRH 3nmol の処置に加え、比較を目的とする本標準ア
ンタゴニスト、すなわち[Ac-デヒドロプロリン1,(4F)D-Phe2,D-Trp3.6 ]-GnRH、
もしくは試験ペプチドのいずれかを、濃度0.01〜10nmolの範囲の処置を行った。
GnRHのみで処理された試料にいて分泌されたLHの量を、該ペプチド及びGnRHで処
理された試料によって分泌されたそれと比較した。試験ペプチドの、GnRH 3nmol
によって放出されたLH量を減少する能力を、本標準ペプチドのそれと比較した。
in vivo 試験で、雌のラットの排卵を抑制する効果を測定した。本試験におい
ては、所定の数、例えば5〜10匹の、体重が各々225 〜250gの、雌の成熟したス
プラーグ−ダウレー(Sprague-Dawley)系ラットに、指定された用量(mg)のペプチ
ドを、生理食塩水、静菌水、ポリエチレングリコール、とうもろこし油、又はこ
れらとエタノールの混合物のいずれかを溶媒として、発情前期日の正午頃に注射
した。発情前期は、排卵日の午後である。別の雌ラット群を、該ペプチドを投与
しない対照群として使用した。対照雌ラットは、それぞれ、発情前期の午後に排
卵し;処置したラットの排卵した数を記録した。該ペプチドは全て、約500 μg
の用量で、雌ラットの排卵停止に全体として効果的であると考えられた。
ペプチドNo.1と称されたペプチドは、低濃度で、in vitroにおけるGnRHに誘発
されたLH分泌の阻害に有効であった。このペプチドは、低用量で、哺乳類の雌の
排卵停止に効果があると考えられる。下記表Aは、本GnRHアンタゴニストの、所
定のマイクログラム用量でのin vivo 試験の結果を示す:
いずれも少なくとも1種のD-異性体の非天然アミノ酸残基を含むような追加の
ペプチドについては、以下に述べる。実施例3
下記式を有する表Bに示されたペプチド類:
Ac- β-D-2NAL-(4Cl)D-Phe-D-3PAL-Ser-AA5-AA6-Leu-AA8-Pro-D-Ala-NH2 は、実
施例2に記載された固相法によって調製した。これらの非天然アミノ酸は、実施
例1の方法の、ヒドラジンを適当な試薬で置き換えた方法を用いて合成した。例
えば、ペプチドNo.11 は、シアノグアニジノ中間体を、DMF を溶媒としたイソプ
ロピルアミンで、室温で24時間処理することによって調製された、保護されたア
ミノ酸を用いて合成した。
表Bに記載されたペプチドはいずれも、いくつかの適正濃度で、in vitroにお
いて、GnRHが誘発したLH分泌を阻害することに効果があると考えられる。これら
のペプチドは全て、低用量で、哺乳類の雌の排卵停止に有効であると考えられる
。実施例4
下記式を有する表Cに示されたペプチド類:
Ac- β-D-2NAL-(4Cl)D-Phe-D-3PAL-Ser-AA5-AA6-AA7-ILys-Pro-AA10 は、前述の
固相法によって調製した。
表Cに記載されたペプチド類は、適正濃度で、in vitroでのGnRHが誘発したLH
分泌を阻害することに効果があると考えられる。これらのペプチドは全て低用量
で、哺乳類の雌の排卵停止に有効であると考えられる。実施例5
下記式を有する表Dに示されたペプチド類:
pGIu-His-Trp-Ser-Arg-AA6-AA7-Arg-Pro-AA10 は、前述の固相法によって調製し
た。
表Dに記載されたペプチド類は、雌のラットにおいて、LH及びFSH の放出を引
き起こすことに効果があると考えられる。これらは全て、天然のGnRHよりも実質
的により有効であると考えられる。
本発明のペプチド類は、当該技術分野において周知であるように、医薬として
許容できる形状の無毒性塩類、例えば酸付加塩で、もしくは金属錯体で投与され
ることが多い。例えば、該ペプチドの水溶液を、1Nの酢酸で反復処理し、かつそ
の後凍結乾燥して、それらの酢酸塩を得ることができる。
医薬組成物は、一般に通常の医薬として許容できる担体と共に、本ペプチドを
含有している。通常、用量は、経静脈的、筋肉内、又は皮下に投与する場合、宿
主の体重1kg 当たり、本ペプチドを約10μg 〜0.5mg である。概して、これらの
ペプチドによる対象の治療は、該ペプチドが溶解する適当な担体を用いて、他の
GnRHのアンタゴニスト又はアゴニストを用いる臨床治療と同じ方法で一般に行っ
た。
本発明はその好ましい実施態様に関して記載されているが、当業者にとって明
らかであるような変更及び修正は、添付された請求の範囲に述べられた、本発明
の範囲を逸脱しないように行うことができることは理解されるであろう。アミノ
酸に関して、アミノ基置換Phe の修飾をおこなう代わりに、適当なアミノ置換基
を有する、ホモPhe 又はホモホモPhe のいずれかを、D-又はL-異性体のいずれか
の類似特性を有する非天然アミノ酸の合成に使用することができる。
本発明の具体的特徴を、次の請求の範囲において強調して説明する。
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フロントページの続き
(72)発明者 リヴィア ジーン イー エフ
アメリカ合衆国 カリフォルニア州
92037 ラ ジョラ ブラックゴールド
ロード 9674
(72)発明者 ポーター ジョン エス
アメリカ合衆国 カリフォルニア州
92024 ルーカディア サクソニー スト
リート 1002