【発明の詳細な説明】
GnRH/ シュードモナス還元型菌体外毒素結合体 発明の背景
動物の不妊処置法に対しては少なからぬ関心がよせられている。特に動物医療
や畜産農業、中でも犬、猫、牛、ひつじ、馬、ブタ、などの家畜の不妊処理にお
いて関心がよせられている。不妊処理は主に雄における攻撃性や、雌における発
情など、性腺ステロイドホルモンによって誘発される好ましくない挙動を制御す
るため、あるいはブタや牛など食用家畜の肉質向上、未去勢雄豚の肉質低下予防
のために行われている。
不妊処理には長年にわたって様々な方法が開発されている。たとえば、雄牛に
おいては性的なあるいは攻撃的な行動を抑制するために去勢手術による断種処理
が最も広く用いられている。この断種処理には精索をつぶしたり、精巣を鼠径管
に停留させる、またはゴムバンドを陰嚢の根元あたりに固定して陰嚢や睾丸が腐
り落ちるようにする等の方法がとられている。しかし、このような“物理的な”
去勢手術の多くはいくつかの点において好ましくない事が明らかになっている。
たとえば、1)傷を
ともなう、2)麻酔および特殊器材を使用することによる危険性、3)感染症に
かかる危険性、4)手術に習熟した人間が必要であるなどである。さらに、これ
ら全ての外科的去勢手術は睾丸を完全に摘出することになり、このことは睾丸で
生成され、成長や蛋白合成を刺激するステロイドホルモンの合成代謝作用をも完
全に抑制することになる。
これら外科的処理の欠点から不妊薬の使用などの様々な不妊技術が考案されて
いる。しかし、不妊薬の使用には利点と欠点がある。有利な面では、不妊薬の使
用により外科手術に伴うストレスや危険を避ける事ができる。更に不妊薬は体内
を循環する性ホルモンを低レベルで存続させることによりこれら性ホルモンの合
成代謝作用を維持することが可能である。この点は循環する性ホルモンが成長や
、食餌の代謝、蛋白質の蓄積を促進させることから食用動物において特に有効で
ある。しかし、不幸にして不妊薬にはいくつかの好ましからざる点がある。例え
ば、不妊薬の作用は永久的ではなく一時的なものである。更に非常に重篤な、時
として致死的な副作用を持つ場合もある。
Nettの国際公開第9009799号において、ある種のGnRH類似体は2-イミノチオラ
ン、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリ
ジルジチオ/プロピオネート)、ビス-ジアザベンジジンおよびグルタルアルデヒ
ドの任意の結合基を介して様々な毒素とカップリングすることが記載されている
。これら化合物は性腺を選択的に傷害することにより効果を生ずる不妊薬である
と明記されている。
更に、Myersらは、Biochemical Journal 227:1.343(1985)においてGnRH類
似体とジフテリア毒素のA鎖およびアメリカヤマゴボウ(pokeweed)の抗ウイル
ス毒素がSPDPを介してカップリングすることを報告している。
国際公開93/15751号においてもGnRHのキメラ分子あるいはその類似体および細
胞毒素が開示されている。そのキメラ分子ではGnRHペプチドが、修飾型シュード
モナス菌体外毒素分子に直接結合している。ペプチドの毒素分子結合部位にはそ
れぞれGnRHペプチド一分子のみが結合している。これらキメラ分子の投与により
GnRH受容体を発現している下垂体内の細胞が障害を受け、これに伴い性ホルモン
の分泌が減少することが報告されている。この過程の最終的な結果は化学的避妊
およびステロイド依存性腫瘍増殖の抑制である。
英国出願No.2,282,812においてGnRHがMAP(multiple
antigen peptide)あるいはlysine treeと名づけられた多くのリジンを含んだ
ユニットを有する環状骨格に結合すること、およびその骨格自体はシュードモナ
ス菌体外毒素などの細胞毒素に結合することが教示されている。多リジン骨格を
利用することにより、1つの細胞毒素結合部位に一分子より多くのGnRHを結合さ
せることが可能になる。しかし、所与の閾値を超えてGnRH分子がキャリアーに結
合することでより有効なワクチンが得られるのか否かが明らかなっていないこと
、更にMAP結合体は一般的に疎水性、親水性溶媒に難溶性であるため、処方が困
難になることから、MAPを用いた方法が必ずしも有効であるとは言えない。
動物を不妊にする別の方法は、GnRHワクチンを利用するもの、即ち免疫学的不
妊法である。一般に、GnRH分子はそれ自身わずかな免疫原性しか持たないので、
その免疫原性を高めるために蛋白質などの免疫原性を有する高分子とカップリン
グさせる。あるいは、同様の目的でGnRH分子と免疫原性を有するペプチドとを含
んだ融合蛋白質を構築してもよい。免疫結合体あるいは融合蛋白質を投与された
動物はGnRHに対する抗体を産生し、本抗体がGnRHの作用をダウンレギュレーショ
ンする
ことにより、性ホルモンの量が急激に減少し、ホルモン依存性の臓器が萎縮する
。ワクチンとしての使用に適した多くのGnRH免疫結合体あるいは融合蛋白質が報
告されている。
現在、商業用GnRHワクチンがオーストラリアにおいてArthur
に販売されている(R.M.HoskinsonらAust.J.Bioltechnol.,1990,4:166等参
照)。本ワクチンはGnRHと卵白アルブミンとの複合体から構成されていると報告
されているが、その免疫原性は低い[説明書では牛1頭あたり3mgの投薬を二回行
うことが薦められており、その有効率は決して100%ではないことが示唆されて
いる]。本ワクチンは鉱油およびDEAE-デキストランを含んでいるが,注射部位に
おいて激しい痛みと組織の障害を伴う。
米国特許第 4,975,420 号明細書には、1,6あるいは10番目のアミノ酸がシス
テインに置換されたGnRH類似体とキャリア蛋白質との結合体による免疫不妊法が
開示されている。
国際公開第88/05308号において天然型GnRHのペンタ、ヘキサ、あるいはヘプタ
ペプチド断片と免疫原性蛋白質との複合体を含む免疫学的去勢用組成物が開示さ
れている。
国際公開第93/08290号においてはGnRHとロイコトキシンポリペプチドをふくむ
融合蛋白質が記述されている。このロイコトキシンは抗原の免疫原性を高めるた
めのキャリアー蛋白として機能している。
EP578,293において大腸菌P-フィンブリアルフィラメントの一部とGnRHを含む
融合蛋白質が開示されている。本キャリアー系はGnRHに対する免疫応答を飛躍的
に亢進させることができ、また、ワクチンとして使用したときにはフロイント完
全/不完全アジュバント(CFA/IFA)のような強力なアジュバントを用いる必要
は無いと述べられている。
国際公開第92/19746号においてGnRHと少なくとも一つのT細胞エピトープおよ
び精製部位を含む組み換えポリペプチドが教示されている。
WO90/02187においてB型肝炎表面抗原およびGnRHを含む融合蛋白質が開示され
ている。構築体はアジュバントや多数の追加免疫を必要としない十分な免疫原性
を有すると報告されている。
US5,324,512においてN-末端グルタミンを介してキャリアー蛋白質に結合して
いるGnRHが教示されている。本複合体は抗
受精ワクチンとして、また前立腺癌の治療において有効であるとされている。
WO94/25060においてGnRH、T細胞エピトープおよび任意に逆位領域を含んだ免
疫原性ペプチドについて記述されている。本ペプチドは抗受精ワクチンとして、
またアンドロケン依存性カルシノーマの治療に有効である。
UK2,228,262において[D-Lys6]GnRH (すなわち天然型GnRHの6番アミノ酸(グリ
シン)がD-Lysに置換されている)がD-Lysのε-アミノ基を介してキャリア蛋白質
と結合している結合体が報告されている。本結合体は受精の制御あるいは前立腺
癌の治療に有用であると考えられる。
米国特許4,545,985においてシュードモナス菌体外毒素Aは抗体あるいは表皮
増殖因子と化学的に結合することが可能であると報告されている。更に本特許で
はこれらの結合体はヒト腫瘍細胞を傷害するのに使用できるが、これら化学的に
連結された毒素は望ましくない非特異的なレベルの活性を有することが示されて
いる。
Allured .ら,“PNAS USA”83:1320-1324 (1986)ではシュードモナス菌体外
毒素A蛋白質の3次元構造が記載されている。
Hwang ら,“Cell”48:129-136(1987)では、シュードモナス菌体外毒素A蛋
白質が、それぞれ哺乳類の細胞に結合する、毒素蛋白質にリソゾームの膜を通過
させる、および哺乳類細胞内でのADP−リボシル化延長因子2、の3つの異なっ
た機能を有するドメインに分断することができると報告されている。さらに本論
文においてこれらの機能を有するドメインはシュードモナス菌体外毒素A蛋白質
の異なった領域に対応していることが教示されている。
1988年3月30日に公開された欧州特許出願0261671において、シュードモナス
菌体外毒素A蛋白質から、完全なシュードモナス菌体外毒素A蛋白質の細胞結合
機能は欠損しているが完全なシュードモナス菌体外毒素A蛋白質(分子量66,000
)の転位およびADPリボシル化機能は保持している一断片部分を生成させること
ができることが報告されている。この完全なシュードモナス菌体外毒素A蛋白質
の転位およびADPリボシル化機能を保持している部分はPE-40(分子量40,000)と
命名されている。PE-40はGrayら,PNAS USA 81:2645−2649 1984にて示されたよ
うにシュードモナス菌体外毒素A蛋白質の全アミノ酸配列のうち252から613番ま
でのアミノ酸残基から構成され
ている。この特許出願では更に、DNA組替え技術により、PE-40をα型トランスフ
ォーミング増殖因子と連結させ、細菌を用いてハイブリッド融合蛋白質を産生す
ることが可能であると報告されている。
Chaudharv ら,“PNAS USA”84:4538-4542(1987)は組替えDNA技術を用いる
ことで細菌により合成された、PE-40とα型トランスフォーミング増殖因子との
ハイブリッド融合蛋白質が上皮増殖因子受容体を有しているヒト腫瘍細胞に結合
し、これらの細胞を傷害するであろうことを示唆している。
Bailon,“Biotechnology”, pp.1326-1329 11月(1988)ではDNA組替え技術
を用いることで細菌により合成されたPE-40とIL-2とのハイブリッド融合蛋白質
はIL-2受容体を有しているヒト株化細胞を傷害することを示唆している。
Edwards ら,“Mol.Cell.Biol.”9:2860-2867(1989)では膀胱癌細胞の治療
効果を有する修飾型TGF-アルファ-PE40融合分子の合成について報告されている。
Heimbrook ら“Proc.Natl.Acad.Sci.USA”87:4697-4701(1990)はin vivo投
与により修飾型TGF-アルファ-PE40がヒト腫瘍細胞を移植したマウスにおいて顕著な
延命効果を示したことを報告
している。
本願発明ではGnRH,結合基および修飾型シュードモナス菌体外毒素A蛋白質(
PE)から成る様々な構築体を用いる。従来の構築体は何分子のGnRHペプチドが毒
素と結合しているかを明確にする方法が無いためアミノ酸組成を解析することが
困難であったが、本発明の結合基は分析測定時に非天然型アミノ酸から成る特異
的マーカーを放出する。このマーカーを定量することによりペプチド基と毒素の
正確な比率を容易に計算することが可能である。
発明の概要
本発明は投与された宿主に抗GnRH抗体を産生させることができる薬剤に関する
ものである。詳細には本薬剤はGnRH分子の一部と修飾型シュードモナス菌体外毒
素を含んでいる。これら二つの部分は、シュードモナス菌体外毒素とGnRHとの結
合比率を分析しやすくなるよう改善された特殊な結合基によって結合されている
。これら新規のキメラ結合体は動物の免疫学的不妊法、繁殖の制御やステロイド
ホルモン依存性腫瘍治療などのためのワクチンとして有用である。
発明の詳細な説明
本発明の結合体は以下の構造式により示される。
本構造式においてSは硫黄、rPEはチオール-S-基を介してL1と連結している
還元型シュードモナス菌体外毒素、X1はLeuまたはNle(ノルロイシン);YはP
roまたは4−ヒドロキシ-Pro;ZはGly-NH2,D-Ala-NH2,NH-Et,NH-PrまたはAz
a-Gly-NH2;QはPyroGlu-His-Trp,N-アセチル-4-Cl-Phe1・2-Trpまたは3-インド
リルプロピオニルである。PyroGluは
である。
Wは以下の構造式で示されるDまたはL体アミノ酸である。
本構造式においてrは1または2;mは1から4までの整数;nは0か1;Bは
CH2,O,SまたはN;R1は水素、炭素数1から6のアルキルまたは炭素数3から
8のシクロアルキル;(アミノ酸)nは天然型L-アミノ酸またはそのD-立体異性体
;(X1),(Tyr)および(L1)はX1,TyrおよびL1のWへの結合部位を示す
。
L1は各々独立して
である。
X2は炭素数1から5のアルキレン,フェニルあるいは炭素数5から6のシクロ
アルキレン;(W)および(S)はそれぞれ
WおよびSのL1への結合部位を示す。
本発明の化合物の一例は以下の構造式で示される。
本構造式において10個のアミノ酸から成るペプチド(すなわちデカペプチド)は
本来の6位アミノ酸(W=Gly)が欠失し、代わりにD-あるいはL-LysまたはD
-0rnで置換されたGnRHである。D-あるいはL-Lys6-GnRHを用いるのが好ましい
が、宿主において抗-GnRH抗体を産生させるLys6-GnRH変異体が依然、本発明にお
いて有用である事は判るであろう。満たされなければならない条件は、6位のア
ミノ基をもつこと、そのペプチドの残りの部分が免疫原性を保持していることで
ある。
上記構造式中のZはGly-NH2,エチルアミドあるいはArg-Gly-NH2、YはProま
たは4-ヒドロキシ-Proである。
L1は各々独立して
である。
X2は炭素数1から5のアルキレン,フェニルあるいは炭素数5あるいは6のシ
クロアルキレン、“rPE”は還元型シュードモナス菌体外毒素NlysPE38QQRあるい
はその変異体である。
4-ヒドロキシプロリンにはD-, L-異性体およびシス、トランス体の存在が
可能である点は、当業者には容易に判るであろう。本発明はそれらの異性体およ
びD,Lラセミ混合物を全て含むものである。
特に断らない限り、以下の用語は下記に定義される意味をもつものとする。
“GnRH”は天然型GnRH、並びに、本発明に従って宿主に投与したとき抗GnRH抗
体を産生させることができ、かつ以下に示す構造式の範囲にある類似体および誘
導体を含む。
Q-Ser-Tyr-W-X1-Arg-Y-Z
本構造式においてQ,W,X1,YおよびZは先に定義されている。特定のGnRH
分子を指す場合は、そのアミノ酸配列を明
示する。
黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)とも呼ばれる天然型GnRHはpGlu-His-T
rp-Ser-Tyr-Gly-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2のアミノ酸配列を有する10個のアミノ酸か
らなるデカペプチドである。pGluはピログルタミン酸である。
本発明において用いられる用語“還元型シュードモナス菌体外毒素(rPE)”
はCys265とCys287の間のジスルフィド結合が還元されたシュードモナス菌体外毒
素である。ジスルフィド結合の還元には通常用いられる試薬、例えばジチオトレ
イトールをエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩などのキレート剤の存在下で
用いる。キレート剤はチオールを酸化させる原因になる金属を除くために用いる
。
”シュードモナス菌体外毒素”との用語は天然型シュードモナス菌体外毒素と
その修飾体とを含む。シュードモナス菌体外毒素は3つのメジャードメインと1
つのマイナードメインの配列からなる613個のアミノ酸により構成される蛋白質
である。使用が望ましいシュードモナス菌体外毒素は毒性が減弱化された変異体
である。実例をあげれば、結合ドメインあるいはADP-リボシル化ドメインの欠損
、部分欠損、アミノ酸の挿入、置換
により結合活性あるいはADP-リボシル化活性が、減弱あるいは消失しているシュ
ードモナス菌体外毒素のセグメント、あるいは光不活性化等によりPEホロトキ
シンを不活性化したシュードモナス菌体外毒素の部分断片などである。PE免疫結
合体の有効性はPEの毒性の強さとは無関係である。弱毒化されたシュードモナス
菌体外毒素の一例として、結合領域の大半あるいは全てを占める1-252番アミノ
酸配列を欠損しており、細胞内転移領域および毒性領域を含む253-613番アミノ
酸配列を保持しているシュードモナス菌体外毒素があげられる。本シュードモナ
ス菌体外毒素断片はPE-40(Hwangら、後掲、KondoらJ.Biol.Chem 263 9470-9475
(1988),Chaudharyら,PNAS-USA,87 308-312(1990),Pastanらの米国特許4892827
)として同定されている。
シュードモナス菌体外毒素断片PE-40を365-380番アミノ酸配列を除くことによ
りさらに修飾してPE-38とした。PE-40およびPE-38はそのN-末端にリジンを含む
オリゴペプチドを付加することにより更に修飾することもできる。9つのアミノ
酸からなるペプチド、(M)ANLAEEAFK(メチオニンから始まる“Lys
”ペプチド)をPE-40及びPE-38のN-末端に付
加することによりそれぞれLysPE-40およびLysPE-38と呼ばれるシュードモナス菌
体外毒素が合成される。10のアミノ酸からなるペプチド、(M)LQGTKL
MAEE(“NLys”ペプチド)を付加することによりNLysPE-40及びNLysPE-38と
呼ばれるシュードモナス菌体外毒素がそれぞれ合成される。
PE-38の590と606番目のリジンをグルタミに、613番目のリジンをアルギニンに
置換することにより、PE-38QQRと呼ばれるシュードモナス菌体外毒素が産生され
る。LysPE-38QQRおよびNLysPE-38QQRはそれぞれN-末端に“Lys”と“NLys”ペプ
チドが付加されている。
様々なシュードモナス菌体外毒素断片がバイオテクノロジーおよび組替えDNA
の技術を用いて作製され、これらはDebinskiおよびPastan,Bioconjug.Chem.19
94,5(1):40-46、または本論文中の引用文献において論述されている。
NLysPE-38QQRのアミノ酸配列を以下に示す[配列番号:1]。下線を引いた4ア
ミノ酸残基はPE-38のN-末端アミノ酸をしめす。
本発明においては還元型NLysPE-38QQRの使用が好ましい。
反応経路1
反応経路1(続き)
反応経路1において最初の反応はGnRHとL1の反応であり、実例としてそれぞれ
D-Lys6-GnRHおよびマレイミドイルアルカノイル基で示してある。D-Lys6-GnRHは
既知のペプチド合成法により合成する。とくに固相ペプチド合成法を用いること
が望ましい。“Et”はエチル“NεH2”はリジンのイプシロンアミノ基である。
L1-D-Lys6-GnRH合成反応はマレイミドイルアルカノイル基の活性エステルを用
いて行う。マレイミドイルアルカン酸とN-ヒドロキシスクシンイミド、ペンタフ
ルオロフェノールあるいはp-ニトロフェノールより合成されたエステルの使用が
望ましい。これらの中でN-ヒドロキシスクシンイミドにより合成したエステルが
もっとも好ましい。反応は(a)N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)など
の非求核性有機塩基か(b)炭酸ナトリウムや炭酸カリウムのような無機弱塩基
のいずれかから選択される塩基を含んだ極性溶媒中で行う。極性溶媒はN,N-ジメ
チルフォルムアミド,水,アセトニトリルあるいはこれらの混合液が用いられる
。これらの中ではN,N-ジメチルフォルムアミドの使用が好ましい。反応は0から
25℃で行い、室温で行うのが望ましく、一般的には10から90分間で反
応は完了する。反応の終了時にはまずトリフルオロ酢酸などの酸を添加して塩基
を中和し、混液のpHを約2-4にする。生成物の単離は当業者に知られている方法
を用いて行う。
二番目の反応はPEのジスルフィド結合の還元反応であり、pH約8の水性緩衝
液中で行う。本反応経路ではジスルフィド結合の還元反応は非限定例としてNLys
PE38QQRを用いて示す。反応混合物にはジチオトレイトールおよび/またはエチ
レンジアミン四酢酸2ナトリウム塩を含ませることが望ましい。これら試薬は一
般にNLysPE38QQRのCys265,287ジスルフィド結合を還元するのに必要な量よりか
なり過剰に加える。過剰量の試薬はこれら反応性基が類似の基とジスルフィド結
合を形成することを抑える。同様の理由から反応は一般的には窒素ガスで置換す
ることにより完全に酸素を除いた状態で行う。反応は0から25℃で行い、特に室
温で行うのが望ましく一般的に5から18時間で完了する。還元型シュードモナス
菌体外毒素をL1-D-Lys6-GnRHと結合させる前に、ジチオトレイトール(DTT)あ
るいはエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩を除く必要がある。そのために反
応液は次の反応に進む前にこれら反応試薬を除去する。最も簡便な方法は反応液
を透析することである。透析に
より不要な試薬を除去した溶液は他の処理を行うことなく次の反応に使用する。
最後の反応はL1-D-Lys6-GnRHと還元したシュードモナス菌体外毒素とのカップ
リング反応であり、本反応は窒素ガス存在下、pH8から10の条件で過剰量のL1-D-
Lys6-GnRHを反応させる。一般的にはシュードモナス菌体外毒素のチオール置換
基1当量に対し2から20当量のGnRHを用いる。一般的に反応は非常に速く進行し
、1-5分で完了するが、さらに2時間以上継続しても悪影響は認められていない
。カップリングしたD-Lys6-GnRHL1-シュードモナス菌体外毒素の単離は、当業者
に知られている方法を用いて行う。反応混合物の透析処理は不要な生成物を除去
する簡便な方法であることが判明している。生成された結合体は一般には注射に
より投与されるため最終的な透析溶液はろ過滅菌し直接皮下投与に用いてもよい
。
他のリンカーL1も同様に本結合体を作製するために用いてもよい。例えば、
反応経路1ではさらにアルカノイル型リンカーを用いた反応が示してある。即ち
、GnRHをブロモ酢酸無水物と反応させて6の化合物を生成し、さらにこの化合物
を還元型NlysPE38QQRと反応させて結合体7を生成させる。
中間体2および6は次の構造である。
本構造式においてL1は
である。
構造式においてXは炭素数1から5のアルキレン,フェニルあるいは炭素数5
から6のシクロアルキレンである。haloはヨウ素、臭素あるいは塩素である。
結合基L1はD-Lys6-GnRHの利用可能な第一級アミンおよび還元型PE,好ましく
はNLysPE38QQRと結合している。還元されたPEでは複数のチオールが結合に利用
可能であり、そのためPEに対して複数のL基が反応する。
GnRHの誘導体のうちで最も望ましいものはD-Lys6-GnRHであり、よって本発明
において最も望ましい反応中間体は
である。
独特の結合基を介してGnRH類似体と還元型PEを結合させた本発明の結合体は、
毒素結合体を作製、解析するうえで優れた利点を供するものである。しばしば起
きることであるが、得られた結合体が実際には、PE分子にいろいろな数のGnRH類
似体が結合した結合体の混合物である場合にはさらなる混乱が生ずる。GnRH-PE
結合体の分析は一般にアミノ酸分析により行うが、GnRHおよびシュードモナス菌
体外毒素はともに全て正常型アミノ酸に分解されるためPEに結合したGnRH分子の
数を決定するには非常に長い工程を経なければならない。
しかし、本発明の結合基はアミノ酸分析において非天然型アミノ酸であるβ-
アラニンに分解される。このことからアミノ酸分析によりβ-アラニンに対する
リジンの比率が決定され、この比率により結合の程度が明らかとなる。これは結
合程度を
知る上ではるかにより直接かつ正確な方法であり、化学的不妊治療薬としての毒
素結合体の利用を飛躍的に容易ならしめるものである。
ブロモあるいはクロロアセチル化ペプチドを用いて調製した結合体の分解によ
り新規なアミノ酸、S-カルボキシルメチルシステイン(SCMC)が生成する。本分
子は結合体合成反応が正しく起きている場合にのみ生成する。
本発明の結合体は動物医療同様ヒトの医療においても非常に有用である。この
ことはヒトに去勢あるいは不妊薬を用いるいくつかの重要な生物学的理由がある
ことからも支持される。例えば、乳癌と前立癌のみではあるがこれらは性ステロ
イドホルモン依存性腫瘍であり、そのようなホルモン治療によって治療効果が認
められる。現在、ステロイドホルモン依存性腫瘍増殖の抑制に明らかに有効な治
療法は抑制ホルモン(例えば、前立腺癌におけるDES),性ステロイドホルモン
結合抑制剤(例えば、乳癌におけるタモキシフェン)の投与あるいは外科的去勢
手術のみである。そのため、化学的去勢剤の医療における将来的な利用の範囲は
非常に広くまた多彩である。例えば、前立腺癌は依然癌による重大な死亡原因で
あり、男性において2番目
に多い癌である。現在、進行性の前立腺癌において苦痛を軽減するための治療と
して外科的去勢手術により血清中テストステロン/DHT濃度を低下させる方法が
とられている。特にヒトにおいて疾病あるい妊娠の制御のためには、他の治療法
と併存させて、脳下垂体の性腺刺激ホルモンを抑えるために本出願人の化合物を
使用することが望ましいであろう。例えば、女性への黄体ホルモンおよび卵胞ホ
ルモン、男性へのアンドロゲンの長期投与は性的な特徴、行動の消失あるいは骨
粗鬆症を予防するために必要であると考えられている。しかし、本明細書におい
て開示されている化合物を用い、特に適切な性ステロイド投与と併用することに
より、十分に期待される不妊効果が得られる。ヒトの医療における他の利用領域
は子宮内膜症の治療である。女性の腹膜および骨盤内での痛みを伴う子宮内組織
の増殖を特徴とする本疾患も性ステロイドホルモンの合成抑制により治療効果が
得られる。また、今回開示された化合物が性ステロイドホルモン分泌を一部抑制
し、さらに成長刺激作用を維持しながらもホルモンが関与している行動の異常が
軽減あるいは消失し得ることは、当業者には理解できるであろう。
これら化合物の使用に伴う量および時期は極めて広範囲に調
節が可能であり、処置する動物種、用いるGnRHおよび/またはキャリアー、アジ
ュバント、動物の年齢、ならびに求めるワクチン接種の効果など、様々な要因に
応じて適した条件が異なると考えられる。一般的には結合体を哺乳動物の皮下あ
るいは筋肉内に、一回あたり1μgから1000μg投与する。不妊には本発明の結
合体の一回投与で十分であるが、1から6週間間隔で複数回投与する方法も可能
である。さらに不妊薬として投薬する場合、本結合体は性的成熟期の前あるいは
後で使用することが可能である。こうすることで、不妊を遅らせることが可能で
あり、この事は特に畜産業において有用である。畜産業においては非外科的不妊
法を用いる時期を調節することで、ホルモンの同化作用が食餌効率、肉の量およ
び質の向上に寄与する。
豚において本化合物は不快なにおいや雄の肉特有の味を除く一方で、雄性成長
および肉質を最大限に向上させる。これは成長期終了後に1、2回筋肉内あるいは
皮下に投与することで十分な効果が得られる。簡便で効率的な投与計画の例では
、成長用/仕上げ用の飼育施設に収容する時点(9-16週齢)で最初の接種を行い
、成長期の終わり(18-22週齢)に追加免疫を行う。各免疫には約1μgから約1
000μgの結合体を使用するが、約
10μgから約100μgの使用が望ましい。1回だけの投与で免疫を行う場合には
、一般に、2回あるいはそれ以上投与する場合よりも多い量の結合体を投与する
。
放牧牛において豚同様の方法で処置が可能であろう。すなわち、放牧に出す時
点で免疫し、それ以外にもメスの避妊、オスの成長を最大に促すなど目的に応じ
て追加免疫を行う。妊娠を避けるためには、雄と同じ畜舎にいれる前に完全に免
疫されている必要があるが、雄と分けて飼育しながら、ワクチン接種した雌は約
4から12週間で発情を抑えるに十分な免疫が成立する。雄牛は食餌効率を最大
にするためにはできるだけ遅くワクチン接種するべきであるが、攻撃性を抑えた
り、霜降り肉を作るためにはできるだけ早期にワクチン接種するべきである。
犬や猫のようなペットでは、GnRHワクチンは一般的なワクチン接種が行われる
時期(生後6から21週間に免疫し、その6ヶ月後に追加免疫し、さらにその後
は1年に一回の追加免疫)に皮下あるいは筋肉内注射による投与が可能であろう
。
犬、猫および馬などのすでに成長した動物の去勢には2から8週間隔で二回接
種し、その後は一年に一回の免疫で十分である。実際の投与量や処方は未定であ
るが、使用する結合体に応
じて変わるであろう。しかし、アラムをアジュバントとして用いた本発明の結合
体1から2000μg、望ましくは約500μgを1-3ml投与することで、先に記述した
ように投与したとき、十分な有効性が得られるものと考えられる。
ヒトにおいて、本発明の結合体は性ステロイドホルモン応答性腫瘍の治療に利
用可能である。一回あたり1から1000μgのワクチン接種を2から8週間隔で2
回、その後はホルモン療法で腫瘍が縮小するかあるは消失するまで、6〜12ヶ月
に追加免疫することが可能である。
本発明の結合体は、接種部分に障害を起こし、食用動物の品質を低下させるフ
ロイント完全アジュバントなどのような強力なアジュバントを用いずに上記の用
途に使用することが可能である。本発明に適したアジュバントは、重大な副作用
を有さずに免疫原に対する哺乳動物の免疫学的応答を高めることが本業界におい
てすでに認められている物質のいずれかであり、たとえばアルミニュウム化合物
やフロイント不完全アジュバント(IFA)のような油中水滴型エマルジョンな
どがある。望ましい具体例としては、代謝可能な油、ポリオキシプロピレン(POP
)-ポリオキシエチレン(POE)ブロック重合体のような非
イオン性界面活性剤、乳化剤を含み、また次式1で示される免疫応答亢進剤を任
意に加えた水中油滴エマルジョンとして本発明の免疫結合体を投与する。
本構造式において、R1は水素,炭素数2から8のアルケニル、炭素数1から
8のアルキル、ベンジル、フェニルあるいはCOR4である。ここでR4は、水素
、炭素数1から8のアルキル、炭素数2から8のアルケニル、ベンジルあるいは
フェニルであり、これらのフェニル部分はヒドロキシ、炭素数1から4のカルボ
キシ、ハロゲン、炭素数1から4のアルコキシ、炭素1から4のアルキルおよび
炭素数2から4のアルケニル、Mが水素、ナトリウムあるいはカリウムであるSO3
MあるいはPO3Mから成る群のなかから選択される3つまでの置換基を有していて
もよい。
R2は水素あるいはOR1
R3はOR1であるか、あるいはR3はR4とともにオキソを形成する。
R4、R5、R6およびR7はそれぞれ水素あるいはメチルである。ただし、R3が
R4とともにオキソを形成する場合には、R5、R6、R7およびR2はいずれも水
素である。また、R2が水素である場合、R4、R5、R6およびR7も水素であり
、R3はOR1である。
ワクチン組成物に含まれる、代謝可能な油は炭素原子を6から30含む油でよ
く、アルカン、アルケン、アルキンおよびこれらに対応する酸およびアルコール
、これらのエーテルおよびエステル、ならびにこれらの混合物がある。油はアジ
ュバントを投与された動物の体内で代謝され得、かつその生体に対して毒性を有
さない植物油、魚油、動物油あるいは合成油のいずれでもよい。例えば植物油で
は、ピーナッツ油、大豆油、椰子油、オリーブ油、サフラワーオイル、綿実油、
ひまわり油、ごま油およびコーン油などである。動物性油は一般に生体温では固
体であるが、部分的あるいは完全にトリグリセリドを加水分解することにより脂
肪酸を遊離させ、動物脂から脂肪酸をえることができる。ほとんどの魚には容易
に回収し得る代謝可能な油が
含まれている。例えば、鱈の肝油、鮫の肝油および鯨蝋のような鯨油が魚油とし
てあげられる。多くの枝別れ構造を有する油がC5−イソプレン単位から生化学的
に合成され、このものは一般にテルペノイドとよばれている。鮫肝油はスクワレ
ンとして知られている枝別れした不飽和テルペノイドを含んでいる。飽和型のス
クワレン類似体、スクワランは本発明において特に使用が望ましい油である。本
発明のアジュバント組成物およびワクチン中に油成分は一般には1から10%含有
されるが、2.5から5%の含有量が望ましい。
“ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロック重合体”との用語は酸
化プロピレン次いで酸化エチレンを低分子量の反応性化合物、一般にはプロピレ
ングリコールに連続的に付加することにより合成されるポリマーを指す。これら
ブロック重合体はLunstedのU.S.Pat.No.2,674,619による方法により
ている。これらブロック重合体の性質はPOP核の分子量および生成物中に占めるP
OEの割り合いで決定される。POP部分はブロック重合体に疎水性の性質を与える
のに対して、POE部分は親水性の性質を与える。
ア数字で表現される。接頭文字(L,PあるいはF)はそれぞれの重合体の物理
的形態(液体、ペースト状、薄片化しやすい固体)を示す。始めの1つあるいは
2つのアラビア数字はPOPベースの平均分子量を示し、最後の数字はPOEの量を示
す。例
レンベースとその分子の末端にポリオキシエチレンを10%含有する液体である。
ブロック重合体は約15°から40℃の温度範囲で液体状のものが望ましい。さらに
、液体およびペースト、液体、ペーストと薄片化しやすい固体のポリマー混合物
、あるいは薄片化しやすい固体と液体の混合物などで、特定の温度範囲では液体
であるものも本発明において利用可能である。
望ましいブロック重合体は分子量が約2250から4300のPOPベースおよび約1か
ら30%のPOEを含んだものである。より好ましいものは、POPの分子量が3250から
4000で、POE成分
L101,L121およびL122がこの条件に当てはまる。最も好ましいものはPOPの分子
量が4000で、POEが総量の10%を占めるもの、あるいはPOPの分子量が3250で、PO
Eが10%を占める
重合体L121、L101である。ブロック重合体は総量の0.001から10%で使用するの
が望ましく、総量の0.001から5%での使用が最も望ましい。
“乳化剤”との用語はエマルジョンを安定化させることができる非毒性界面活
性剤を指す。数多くの乳化剤および懸濁剤が製剤学の分野で広く一般に使用され
ている。これらには天然の素材、たとえばゴム、植物性蛋白、アルジネート、セ
ルロース誘導体、リン脂質(天然、合成とも)などが含まれる。例えば、ポビド
ン、ポリビニルアルコールおよびグリコールエーテルをベースとする化合物など
、ポリマー骨格に親水性置換基を持つある種のポリマーは乳化活性を有する。長
鎖脂肪酸から得られた化合物は本発明に使用できる乳化、懸濁化剤の3つめの重
要なグループである。非毒性であればこれらのいかなる乳化剤も使用可能である
が、グリコールエーテルをベースとする乳化剤の使用が望ましい。望ましい乳化
剤は非イオン性である。これらには、ポリエチレングリコール(特にPEG200,30
0,400,600
(これらは全てICIAmerica.,Wilmington,Del.から入手可能で
ある)、ポリオキシエチレン、ポリオール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
エーテル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エーテル、ポリオキシエチレンを含む蜜
蝋の誘導体、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸グ
リセリド、グリセロール脂肪酸エステルあるいはその他のポリオキシエチレン酸
アルコール、または炭素数12-21の長鎖脂肪酸のエーテル誘導体がある。上記の
乳化剤も毒性が無いことが確認されれば使用に適するが、現在のところ使用が望
ましい乳化剤は
レン20ソルビタンモノオレエートの名前で知られている)である。乳化剤は一般
には総量の約0.05から約5.0%で用いられ、約0.2から1%での使用が望ましい。
本発明のアジュバント組成物のうち水性部分は緩衝された等張生理的食塩水が
望ましい。これらの水溶液は投与後の腫れや、組成物と体液とのイオン濃度の違
いにより、組成物が急速に吸収されてしまうことを避けるために、正常な体液と
浸透圧がほぼ同じになるよう作製することが望ましい。また、生理的食塩水は、
正常な生理状態と適合するpHを維持するために緩衝化させることも望ましい。さ
らに、グリコペプチドなどある種の成分の安定
のために特定のpHに保つことが必要な場合もある。生体に投与可能な緩衝剤であ
れば使用可能であるが、リン酸緩衝液の使用が最も簡便であることが確認されて
いる。酢酸、トリス,重炭酸、炭酸緩衝液などの他の許容可能な緩衝剤もリン酸
緩衝液の代わりに使用が可能である。リン酸緩衝化生理的食塩水あるいはリン酸
と酢酸混和による緩衝化生理的食塩水の使用が望ましい。
化合式1の免疫応答増強剤は当業界で広く知られたもの(例えば、デヒドロエ
ピアンドロステロン)あるいは、R.M.Loriaの米国特許5,277,907あるいはNeuroc
rine BiosciencesのWO95/10527の開示に準じて作製される化合物である。ワク
チン組成物の望ましいものには、免疫強化作用をもつすべての免疫応答増強剤が
含まれる。使用がより望まれる免疫応答増強剤は化学式1であらわされる化合物
のうち、R1,R2,R5,R6およびR7がそれぞれ水素で、R3およびR4がともにオキソ
基を形成するもの、すなわちデヒドロエピアンドロステロンあるいはDHEAである
。
に、免疫応答増強剤としてDHEAを含有したワクチンの使用がより望ましい。
アジュバント組成物は均一なエマルジョンを形成するためにミキサーを使用し
て乳化させることによって作成する。一般的には免疫応答増強剤を含んだアジュ
バント組成物は、GnRH−結合体を添加する前に微流体化する。エマルジョンはマ
イクロフリューダイザを用いて約2-20回循環させた後、GnRH−結合体をアジュ
バント組成物に加え、エマルジョン中の油滴がほとんど全て直径約0.03μmから0
.5μm、望ましくは0.05μmから0.2μmになるまで、一般に2から10回マイクロ
フリューダイザ中を循環させる。
以下の実験操作において全ての試薬は市販の物を用いた。溶媒は、可能な場合
はHPLC−グレードの物を使用した。HPLC(二成分グラジエント)は調整可能なU.
V.検出器Waters484(検出スケールでAufs=0.1、調製スケールでAufs=2.0)を
備えたWaters600Eシステムを用いて行い、Waters746 Data Moduleを用いて記録
した。WatersWISPTM712 オートサンプラー(200μLサンプルループ)を分析検
体に用いた。Rheodyne7125マニュアルインジェクションポート(5000μL サン
プルループ)
を検体処理に用いた。A=H2O,0.1%TFA;B=CH3CN,0.1%TFA。マススペクトル
はFinnegan MAT90スペクトロフォトメーター(陽イオン、NBAマトリックス)を
用いた。
略語:標準アミノ酸略号を用いる。RT,室温;DCC,1,3-ジシクロヘキシル
カルボジイミド;HOBT,1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール;TFA,トリフルオロ
酢酸;DIEA,N,N-ジイソプロピル-エチルアミン;MPS,β-マレイミドプロピオ
ン酸; N-ヒドロキシスクシンイミドエステル;GnRH,性腺刺激ホルモン放出ホ
ルモン;PBS リン酸緩衝生理的食塩水;DTT,ジチオトレイトール;EDTA-2Na,
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩;NBA,3-ニトロ-ベンジルアルコール。出発材料の調製
1.DLys6-GnRH,1:PyroGlu-His-Trp-Ser-Tyr-D-Lys-Lue-Arg-Pro-Gly-NH2 :
本ペプチドは、Rinkアミド MBHA樹脂(0.25mmol,Nova Biochem)上での固相
ペプチド合成法(SPPS)にて、ABI model431A合成器およびシングルカップリング
(DCC/HOBT)を用いて合成した。試薬R(1mL/100mg樹脂、TFA/チオアニソール
/エタンジチオール/アニソール,90:5:3:2)を用いて(2時間、R
T)ペプチドを樹脂より切り離した。ジエチルエーテルを用いてペプチドを濃縮
解裂混合液から沈殿させ、分取用逆相 HPLC
10-20%B,0-20分間;その後20-35%B,20-40分間;λ=230nm)。
6-D-Lys-GnRH:FAB-MS(陽イオン、NBAマトリックス)計算値M+1 1254.44
;実測値 M+1=1254.4
2.(Nε-マレイミドプロパノイル)-DLys6-GnRH,2:PyroGlu-His-Trp-Ser-Tyr
-(Nε-マレイミドプロパノイル)-D-Lys-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2:
DLys6-GnRH(10 mmol,12.5 mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(O.5 mL/mg)
に溶解した後、DIEA(50 mmol,9μL)を加えた。混液は室温にて短時間攪拌し
た後、β−マレイミドプロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MPS
;20 mmol,5.2 mg)を一度に加えた。30分間の反応の後、反応液に10μLのTFA
を加え、溶媒を減圧除去した。ペプチドは逆相HPLCを
10mL/min;10-25%B,0-30 min; その後25% B,30-35min; λ=230nm)。FAB-M
S(陽イオン、NBAマトリックス)計算値
M+1:1405.56;実測値 M+1=1405.6
3.(Nε-ブロモアセチル)-6-D-Lys−GnRH
ブロモ酢酸無水物は3.35mgのブロモ酢酸と1.5mlのジクロロメタン,4.9mgのジ
シクロヘキシルカルボジイミドを3時間反応させて合成した。
先に合成されたDLys6-GnRHペプチド(12.3mg)を1mlの乾燥脱気したDMFに溶解
し20μlのジイソプロピルエチルアミン(Hunigの塩基)を加えた。ブロモ酢酸無
水物溶液(ジシクロヘキシルカルボジイミドを除くためにろ過済み)をペプチド
溶液に加えた。30分間の反応の後、反応を停止させるために0.1%トリフルオロ
酢酸(TFA)を含んだ100μlの水を加えた。反応混液を減圧濃縮し、残留物を0.1
%TFAを含む10%アセトニトリル水溶液2.5mlに溶解させた。反応生成物をWaters
分取用クロマトグラフィーカラムにて分離精製し3.2mgの生成物を得た。マ
ススペクトルではFABにより分子イオンピークが認められた。M+H=1346.6。
4.N-Ac-1,2-ジ-p-クロロ-Phe-Dlys6-GnRH,Ac-4-Cl-Phe-4-Cl-Phe-Trp-Ser-Tyr -DLys-Lue-Arg-Pro-Gly-NH2:
本ペプチドはABI model 431A 合成器および、4-Cl-Phe
にはダブルカップリング(DCC/HOBT),その他の残基にはシングルカップリング
を用いて、固相ペプチド合成法(Fmocchemistry)によりRinkアミドMBHA 樹脂
(0.25mmol,Nova Biochem)上にて合成される。樹脂ビーズがアミンの存在を検
出するKaiser試験で陰性を示すまで(0.5-8時間)無水酢酸(5-10mL)で処理す
ることにより、アミノ末端をキャッピングする。ペプチドは試薬R(O.5mL-3mL
/100 mg樹脂,TFA/チオアニソール/エタンジチオール/アニソール,90:5:3:2
)を用い樹脂から切り離す(2-4時間、室温)。ペプチドは分離処理した反応液
よりジエチルエーテルを用いて沈殿させ、分取用逆相HPLCにより精製した後FAB-
MSにより解析を行う。
5.DLys6-DAla10-GnRH,H-Pgl-His-Trp-Ser-Tyr-DLys-Leu-Arg-Pro-Da1a-NH2
本ペプチドはABI model 431A合成器およびシングルカップリング(DCC/HOBT
)を用いて、固相ペプチド合成法(Fmocchemistry)によりRinkアミドMBHA樹脂
(0.25mmol,Nova Biochem)上にて合成した。試薬R(2.0mL/100mg 樹脂、TFA
/チオアニソール/エタンジチオール/アニソール,90:5:3:2)を用いて(3時
間、室温)樹脂よりペプチドを切り離した。ジ
エチルエーテルを用いてペプチドを濃縮解裂混合液から沈殿させ、逆相HPLCによ
り精製した。FAB-MSによる6-D-Lys-10-D-Ala-GnRHの特性(陽イオン、NBAマトリ
ックス)計算値(m+1)=1268.5;実測値(m+1)=1267.5
6.Dlys6-Pro9-NHEt-GnRH,H-Pgl-His-Trp-Ser-Tyr-DLys-Leu-Arg-Pro-NHEt :
本ペプチドはABI model 431A 合成器およびシングルカップリング(DCC/HO
BT)を用いて、固相ペプチド合成法(Bocchemistry)によりOximeあるいはMerri
field樹脂上にて合成される。ペプチドは無水エチルアミンを用いて(2-72時間
、室温)樹脂より切り離す。保護基が付加された未精製のペプチドはジエチルエ
ーテルを用いて沈殿させ、吸引ろ過により回収し、一晩乾燥させる(P2O5上にて
)。アニソール(0.2-2mL)およびホスホン酸ジメチル(0.1-1mL)存在下で無
水フッ化水素と反応させることにより(O℃、0.5-2時間、5-30mL)、乾燥させ
たペプチドから保護基を除く。減圧下で過剰量のフッ化水素を除いた後、残留物
はジエチルエーテルにより粉体化させる。ペプチドは分取用逆相HPLCにより精製
し、FAB-MSにより解析を行う。
7. Dorn6-GnRH,H-Pgl-His-Trp-Ser-Tyr-DOrn-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2 :
本ペプチドはABI model 431A 合成器およびシングルカップリング(DCC/HO
BT)を用いて、固相ペプチド合成法(Fmocchemistry)によりRinkアミドMBHA樹
脂(0.25mmol,Nova Biochem)上にて合成した。ペプチドは試薬R(2.0mL/100
mg樹脂、TFA/チオアニソール/エタンジチオール/アニソール,90:5:3:2)を用
いて(3時間、室温)樹脂より切り離した。ペプチドは濃縮解裂混合液よりジエ
チルエーテルにより沈殿させ、分取用逆相HPLCにより精製した。FAB-MSによる6-
D-Orn-GnRHの特性(陽イオン、NBAマトリックス)計算値(m+1)=1239.4;実測
値(m+1)=1239.5
8.3-インドリルプロピオニル-Dlys6-GnRH,3-インドリルプロピオニル-Ser-Tyr -DLys-Leu-Arg-Pro-Gly-NH2
本ペプチドはABI model 431A 合成器およびシングルカップリング(DCC/HO
BT)を用いて、固相ペプチド合成法(Fmocchemistry)によりRinkアミドMBHA
樹脂(0.25mmol,Nova Biochem)上にて合成した。ペプチドは試薬R(2.0mL/1
00mg樹脂、TFA/チオアニソール/エタンジチオール/アニソール,90:
5:3:2)を用いて(3時間、室温)樹脂より切り離した。ペプチドは濃縮解裂
混合液よりジエチルエーテルを用いて沈殿させ、分取用逆相HPLCにより精製した
。FAB-MSによる3-インドリルプロピオニル-6-D-Lys-GnRHの特性(陽イオン、NBA
マトリックス)計算値(m+1)=990.2;実測値(m+1)=990.7
9.3-インドリルプロピオニル-Dlys6-Pro9_-NHEt-GnRH,3-インドリルプロピオ ニル-Ser-Tyr-DLys-Leu-Arg-Pro-NHEt:
本ペプチドはABI model 431A 合成器およびシングルカップリング(DCC/HO
BT)を用いて、固相ペプチド合成法(Bocchemistry)によりOximeあるいはMerri
field 樹脂上にて合成した。3-インドリルプロピオニル基は3-インドールプロ
ピオン酸として導入した。ペプチドは無水エチルアミンにより(2-72時間、室温
)樹脂より切り離した。保護基が結合した未精製のペプチドはジエチルエーテル
により沈殿させ、吸引ろ過により回収し、一晩乾燥させた(P2O5上にて)。アニ
ソール(0.2-2 mL),ホスホン酸ジメチル(0.1-1 mL)存在下で無水フッ化水素
にて処理(0℃、0.5-2時間、5-30mL)することにより、乾燥させたペプチドから
保護基を除く。減圧処理により
過剰量のフッ化水素を除き、残留物はジエチルエーテルにより粉体化させた。ペ
プチドは分取用逆相HPLCにより精製した。Dlys6-Pro9-NHEt-GnRH(陽イオン、NB
Aマトリックス)のFAB-MSによる解析ではM+1=1223.9であった。10 .NLysPE38QQRの調製
プラスミド PJH4(Hwang.J.“Cell”(1987,48;129-136)参照)はPE1-613
のコード配列を含む。Sambrook,Fritch&ManiatisによるMolecular Cloning,
第二版(1989)(Co1d SpringHarbor)15.51-15.73に記載されているオリゴヌ
クレオチドによる変異はPE分子において欠損/変異を起こさせる簡便な方法とし
て用いられている。PJH4をNde IおよびHindIIIで切断することにより、構造が線
形化し、PEをコードする配列のATG開始コドンを含む12塩基対の断片が切り出
される。二つの相補性オリゴヌクレオチドを合成し、アニーリングし、Nde Iお
よびHindIIIで切断された部位に連結させる。オリゴマーは以下のヌクレオチド
配列を有する:I-5’TAT GCT GCA GGG TAC CAAGCT TAT GGC CGA AGA3’および
II−5’AGC TTC TTC GGCCAT AAG CTT GGT ACC CTG CAG CA3’。修飾されたPE
挿入部分はN末端にMLQGTKLMAEEの配列を持つ。本プラスミド
はPJH42と命名する。
プラスミドPJH42をAvaIにより部分的に切断する。線形DNAを単離し、HindIII
により完全に切断することにより、5.1Kbの断片が分離される。ライゲーション
を行うためにブラントエンドができるよう、S1ヌクレアーゼで処理して連結用
の平滑末端を形成した後、再度環状化させ、得られたプラスミドはPJH43と命名
する。この操作により4-252番目のアミノ酸が欠損したPEが生成する。
SalIおよびBamHlで切断されたプラスミドPJH43の553bpの断片はM13mp19におい
てクローニングされる。5'GGC GTC GCCGCT GTC CGC CGG GCC GTT GGC CGC GCC G
GC CTC GTC GTT GC3'の配列を有する50のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオ
チドを合成し、一本鎖M13ベクターとアニーリングすることにより、PE挿入部の3
65-380番目のアミノ酸が欠損し、結果的に下記の配列が生じるような変異の誘導
を容易に行うことができる。
M13において複製された変異DNAから505bpの SalI,BamH1切断断片が得られ、S
al1,BamH1で切断された3.7kbのプラスミドPJH43断片と連結する。この新たなプ
ラスミドをPJH44と命名する。
PJH44をBamH1およびEcoR1で切断することにより460ヌクレオチドの断片が得ら
れ、M13mp19を用いてクローニングされる。本断片はコーディング配列のC末端に
位置する3つのリジンのヌクレオチド配列が変異を起こしている。590、606番目
のリジンはグルタミンに、613番目のリジンはアルギニンに変異している。オリ
ゴ指示性変異はそれぞれのリジンに変異を起こさせることが可能である。
リジン590-5'GCT GAT CGC CTG TTC TTG GTC GGG GAT GCT GGA C3'リジン606-5'G
TC CTC GCG CGG CGG TTG GCC GGG CTG GCT G3'リジン613-5'CGG TCG CGG CAG TT
A ACG CAG GTC CTC GCG CGG3'
M13中の変異DNAの複製体をBamH1およびEcoR1で切断し、得られた断片をBamHI
およびEcoR1で切断した3.4kbのプラスミドPJH44の断片と連結する。線状のプラ
スミドは連結することにより再度環状化し、PJH45と命名、Bethesda Research
Laboratories より入手可能な市販大腸菌株,HB101を用いて、
LysPE38Mとして同定される修飾型PEの発現に利用される。LysPE38Mはすでに公
表されているWO93/15751(Merck&Co.,Inc)において記述されている。
11.還元型NLsPE38QQR
毒素NLysPE38QQRを12.8mg含有する溶液10mlを、pH8の緩衝塩175mgを加えるこ
とにより、pH8に調節した。EDTA二ナトリウム塩二水和物(372.24mg)およびジ
チオトレイトール154.25mgを添加し、毒素の265および287システインのジスルフ
ィド結合が完全に還元されるまで、乾燥窒素ガスのもと、室温で一晩攪拌した。
溶液を透析袋に移し、窒素ガスを通気しながら、0.1Mリン酸溶液に対して、室
温で約8時間透析を行った。還元された毒素溶液をさらに0.01Mリン酸緩衝液で
窒素ガスを通気しながら、室温で一晩透析を行った。透析処理終了時、反応液は
チオール含量を計るための標本として、透析袋から滅菌済みプラスチック遠心チ
ューブに移し、精製還元された毒素ジチオールは次の反応まで保存した。
以下の実施例は、本発明者が意図する本発明の実施の実例であり、これらは本
発明の範囲および趣旨を限定するものではない。
実施例1
DLys6-GnRH/NLys-PE38QQR結合体の生成法
先に合成された還元NLysPE38QQRの溶液5ml(SH力価を0.286マイクロモル含む)に、上
記調製2で記述したN-マレイミドプロパノイル-6-D-Lys-GnRH誘導体1.2mgを加え
た。反応混液は乾燥した窒素ガスの下で、室温にて一晩撹拌した。反応液を透析
袋に移し、4℃にて0.01M pH7のリン酸緩衝液に対して一晩透析した。その後、
さらにリン酸緩衝生理的食塩水6/Nで一晩透析を行った。化合物はクロマトグラ
フィーにより確認した。
実施例2 結合
実施例4の還元された毒素ジチオール溶液5mlに1.24mgのピリジンジチオール
を添加し、室温で一晩震振混和した。反応液は1)0.01MpHリン酸緩衝液、そ
の後2)滅菌水に対して室温で一晩透析を行った。化合物はクロマトグラフィー
によって確認した。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 38/04 C07K 14/21
C07K 7/06 14/59
14/21 17/06
14/59 A61K 37/43
17/06 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ,BA
,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,
EE,GE,HU,IL,IS,JP,KG,KR,K
Z,LC,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MK
,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,
SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,US,U
Z,VN
(72)発明者 ロンバード,ビクトリア・ケイ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126