JPH0948898A - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH0948898A
JPH0948898A JP21942495A JP21942495A JPH0948898A JP H0948898 A JPH0948898 A JP H0948898A JP 21942495 A JP21942495 A JP 21942495A JP 21942495 A JP21942495 A JP 21942495A JP H0948898 A JPH0948898 A JP H0948898A
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monomer
weight
polymer
vinyl
component
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JP21942495A
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English (en)
Inventor
Sukeji Yoshihara
資二 吉原
Kazutoshi Terada
和俊 寺田
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
Akio Kobayashi
昭夫 小林
Atsuhiro Higuchi
敦宏 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kureha Corp
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性に優れ、かつ塩化ビニル樹脂本来の
比較的高い弾性率を維持している性能バランスに優れた
塩化ビニル系樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (a)塩化ビニル系樹脂100重量部、
(b)ゴム状重合体を幹重合体成分とし、ビニル系単量
体を重合してなる重合体をグラフト重合体成分とするグ
ラフト共重合体0.5〜30重量部、及び(c)A成分
が(メタ)アクリル酸エステル系単量体50重量%以上
からなる単量体を重合してなる重合体ブロックであり、
B成分が芳香族ビニル系単量体40重量%以上、ただ
し、(メタ)アクリル酸エステル系単量体は50重量%
未満である混合単量体を重合してなる重合体ブロックで
あるA−B型ブロック共重合体0.1〜10重量部から
なることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術】本発明は、耐衝撃性、曲げ弾性の
性能バランスに優れた塩化ビニル系樹脂組成物に関す
る。更に詳しくは、ゴム状重合体を幹重合体成分としビ
ニル系単量体の重合体をグラフト重合体成分とするグラ
フト共重合体を含有する塩化ビニル系樹脂に、更に、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体(本明細書におい
て、「(メタ)アクリル酸エステル」の語は、メタクリ
ル酸エステルとアクリル酸エステルを包括する用語とし
て、すなわち、「メタクリル酸エステルおよび/又はア
クリル酸エステル」を意味する用語として用いる)を主
成分とする単量体を重合してなる重合体ブロックと芳香
族ビニル系単量体を主成分とする単量体を重合してなる
重合体ブロックとからなるブロック共重合体を配合して
なる、耐衝撃性、曲げ弾性の性能バランスに優れた塩化
ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は衝撃に対して脆い欠
点を有している。この欠点を改良する方法として、ゴム
重合体の存在下にスチレン、メタクリル酸メチル、アク
リロニトリル等のビニル系単量体を単独でまたは二種以
上の混合物としてグラフト重合して得られる各種のグラ
フト共重合体(以後、「強化剤」とも言う)を塩化ビニ
ル系樹脂に混合する多くの提案がなされている(特公平
3−46496号公報、特開平3−227351号公
報、特公平4−77201号公報等)。これらの方法で
は、塩化ビニル系樹脂組成物の耐衝撃性が、基本的には
強化剤を構成しているゴム成分の粒子径や量に依存して
いる。
【0003】一般的には、ゴム成分量を多くするにつ
れ、強化剤の耐衝撃性改良性能が高まる。しかし、耐衝
撃性改良効果の優れた強化剤であっても、要求される耐
衝撃性を付与するためには強化剤の配合量を増加する必
要があり、そのため塩化ビニル系樹脂の耐熱温度や弾性
率の低下が生じ易くなり、塩化ビニル系樹脂本来の特徴
が失われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はかかる現
状に鑑み、塩化ビニル系樹脂本来の特性を損なうことな
く、高い衝撃強度を有する塩化ビニル系樹脂組成物を得
るべく鋭意研究した結果、特定の構成を有するブロック
共重合体を、ゴム状重合体を幹重合体成分とし、ビニル
系単量体を重合してなる重合体をグラフト重合体成分と
するグラフト共重合体である耐衝撃性強化剤と併用し
て、塩化ビニル系樹脂に配合することにより、これら性
能がバランスよく向上することを見出し、その知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系樹
脂組成物は、(a)塩化ビニル系樹脂100重量部、
(b)ゴム状重合体を幹重合体成分とし、ビニル系単量
体を重合してなる重合体をグラフト重合体成分とするグ
ラフト共重合体0.5〜30重量部、及び(c)A成分
が(メタ)アクリル酸エステル系単量体50重量%以上
と、残余がこれら(メタ)アクリル酸エステル系単量体
と共重合可能な単量体とからなる混合単量体を重合して
なる重合体ブロックであり、B成分が芳香族ビニル系単
量体40重量%以上と、残余がこれら芳香族ビニル系単
量体と共重合可能な単量体であり、(メタ)アクリル酸
エステル系単量体が50重量%未満である混合単量体を
重合してなる重合体ブロックであるA−B型ブロック共
重合体0.1〜10重量部からなることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0007】(c)A−B型ブロック共重合体 本発明において、ゴム状重合体をベースないしコア(幹
重合体)成分とするグラフト共重合体と併用して塩化ビ
ニル系樹脂に配合して用いられるA−B型ブロック共重
合体は、A成分が、(メタ)アクリル酸エステルの少な
くとも1種を主成分とする(メタ)アクリル酸エステル
系重合体ブロックであり、(メタ)アクリル酸エステル
の具体例としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、
(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シク
ロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等のアルキル
基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−N,N−ジメチルアミノエ
チル、(メタ)アクリル酸3−N,N−ジメチルアミノ
プロピル等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステ
ル等が挙げられるが、これらの中で、アルキル基の炭素
数が1〜4である(メタ)アクリル酸アルキルエステル
が好ましく、その中でもメタクリル酸メチルが塩化ビニ
ル系樹脂との相溶性の点から最も好ましい。(本明細書
において、「(メタ)アクリル酸」の語は、メタクリル
酸と、アクリル酸とを包括する意味で用いる)。
【0008】A成分の主成分である(メタ)アクリル酸
エステルの含有割合は50重量%以上である必要があ
り、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重
量%以上である。また、A成分には、塩化ビニル系樹脂
との相溶性を妨げない範囲である50重量%以下、好ま
しくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下
であれば、上記以外の共重合性成分(以下、任意の共重
合成分と記すこともある)からなる重合体成分を含有す
ることもできる。その具体例としてはエチレン、プロピ
レン等のα−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレ
ン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸及びそ
のアンモニウム塩または金属塩;(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリルアミド−2−メチルプロピルスルホン酸及
びそのアンモニウム塩または金属塩等の(メタ)アクリ
ルアミド類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル
アセトアミド、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニル
化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸
ビニル等の脂肪酸ビニル類;(メタ)アクリロニトリル
酸;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、これらのエ
ステル、塩類あるいは無水物等が挙げられる。これら任
意の共重合成分は、一般に(メタ)アクリル酸エステル
とのランダム共重合体としてA成分に含まれる。
【0009】次に、A−B型ブロック共重合体のB成分
は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体を主成分と
する重合体であり、B成分を構成する単量体としては、
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
ビニルキシレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、ビ
ニルナフタレン等が挙げられるが、これらの中で重合性
並びに経済性の観点からスチレンが最も好ましい。
【0010】B成分の主成分である芳香族ビニル系単量
体の含有割合は、40重量%以上である必要があり、好
ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以
上である。このB成分には、本発明の組成物を構成する
配合剤の分散性を阻害しない範囲で、B成分の60重量
%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは2
0重量%以下で、上記以外の単量体からなる重合体成分
を含有することができる。これら単量体の具体例として
は、A成分におけるスチレン、α−メチルスチレン等の
芳香族ビニル化合物を除く任意の共重合成分として記載
したもの及び(メタ)アクリル酸エステルを挙げること
ができる。ただし、(メタ)アクリル酸エステルをB成
分に用いるときは、B成分の50重量%未満、好ましく
は20重量%未満とする。この(メタ)アクリル酸エス
テル量が50重量%以上となるとB成分もA成分と同様
に塩化ビニル系樹脂との相溶性が高まり、耐衝撃性の改
良効果が低下してくる。これら単量体は、一般に芳香族
ビニル系単量体とのランダム共重合体としてB成分中に
含まれる。
【0011】A成分ならびにB成分の分子量としては特
に制限はないが、両成分ともに通常数平均分子量(GP
C法による標準ポリスチレン基準の換算分子量)で10
00〜30万、好ましくは5000〜10万の範囲から
選ばれる。数平均分子量が1000よりも小さいとき
は、耐衝撃性の付与効果が小さく、一方、それが30万
以上になると経済的手法で該重合体を製造することが困
難となる。
【0012】また、A成分とB成分との割合は特に制限
はないが、重量比で通常1/9〜9/1が好ましく、相
溶性の観点から、より好ましくは2/8〜8/2であ
る。
【0013】この重量比以外となると、グラフト共重合
体と併用したときのアイゾット強度の改良効果が十分に
は得られなくなる。
【0014】このA−B型ブロック共重合体の製造方法
は、特に限定されるものではないが、その一例として、
A成分またはB成分の重合体を構成する単量体を、チオ
カルボン酸或いは2−アセチルチオエチルチオール、1
0−アセチルチオデカンチオール等の、分子内にチオエ
ステルとチオール基とを含有する化合物の存在下で、重
合して得られた重合体を、水酸化ナトリウムやアンモニ
ウム等のアルカリで処理することにより、片末端にチオ
ール基を有する重合体を製造し、次いで、該重合体の存
在下で、他方の成分の単量体をラジカル重合する方法
(特開昭59−189111号公報)が、簡便かつ高効
率であることからより好ましい方法である。
【0015】(b)グラフト共重合体 次に、本発明の組成物において上記した(c)成分とし
てのブロック共重合体と併用する耐衝撃性強化剤である
グラフト共重合体は、幹重合体成分(コア成分)として
のジエン系或いはアクリル系ゴム状重合体の存在下に、
グラフト重合体成分(シェル成分)として、芳香族ビニ
ル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アルキル基の炭
素数が1〜12であるメタクリル酸アルキルエステルな
どのビニル系単量体、および必要に応じてこれら単量体
と共重合可能な単量体から選ばれる少なくとも1種の単
量体をグラフト重合して得られるものである。また、こ
れら単量体に、その他の単量体として架橋性単量体を含
めることもできる。
【0016】ジエン系ゴム状重合体は、ブタジエンやイ
ソプレン等の共役ジエン系単量体の少なくとも50重量
%、好ましくは60〜100重量%と、これと共重合可
能なビニル系単量体とからなる単量体組成物を乳化重合
して得られる重合体である。
【0017】また、アクリル系ゴム状重合体は、エチル
アクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシ
ルアクリレート等の炭素数が2〜10のアルキル基を有
するアクリル酸アルキルエステル系単量体の少なくとも
50重量%、好ましくは60〜100重量%と、これと
共重合可能なビニル系単量体とからなる単量体組成物を
乳化重合して得られる重合体である。
【0018】これらジエン系ゴム或いはアクリル系ゴム
において、必要に応じて用いることのできる共重合可能
なビニル系単量体としては、以下のようなものが挙げら
れる。
【0019】例えば、メチルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート等の炭素数が1〜10のアルキル基を有す
るメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸、メタク
リル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、エポキシ基を有
する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、2−
クロロエチルビニルエーテル等のビニルエーテル、スチ
レンやα−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、
或いは酢酸ビニル等の炭素数が1〜5の脂肪酸のビニル
エステル等が挙げられる。
【0020】さらに、ジエン系ゴムでは、炭素数が1〜
10のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル
を、アクリル系ゴムでは共役ジエン系単量体を共重合可
能なビニル系単量体に含めることができる。
【0021】また、これらゴム状重合体の製造にあたっ
ては、上記単量体と共重合可能な架橋性単量体、或いは
連鎖移動剤を用いることもできる。特にこの架橋性単量
体はゴム状重合体を構成する単量体成分の合計量の10
重量%以下、好ましくは0.1〜5重量%、より好まし
くは0.1〜3重量%の範囲で用いることができる。
【0022】これら架橋性単量体としては、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能性ビニル化
合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレ
ングリコールジメタクリレート等のジメタクリル酸エス
テル、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジアクリレート等のジアクリル酸エステル、
メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、ト
リシアヌル酸等のアリルエステル等を用いることができ
るが、これらに限定されるものではない。また、連鎖移
動剤としてはアルキルメルカプタン等の公知の連鎖移動
剤を用いることができる。
【0023】このゴム状重合体の粒子径はラテックス状
態において、通常、50〜500nm、好ましくは80
〜300nmのものが用いられる。50nm未満となる
と耐衝撃性付与効果が小さくなり、また、500nmを
越えて大きくなると、製造時の重合時間が長くなり、重
合の安定性も低下するなどの製造上の問題が生ずるので
好ましくない。
【0024】次に、グラフト共重合体のグラフト成分を
構成する単量体としては、前記ゴム状重合体の構成単量
体として記載したと同じアクリル基の炭素数が1〜12
のメタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル系単量
体、及びシアン化ビニル系単量体等から選ばれる少なく
とも1種の単量体100〜70重量%と、これらと共重
合可能な単量体0〜30重量%とからなる(混合)単量
体が用いられる。
【0025】特にアクリル系ゴム状重合体に対しては、
炭素数が1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アル
キルエステル単独或いは2種以上の混合単量体が好まし
く用いられる。
【0026】また、前述したゴム状重合体の製造に用い
られると同じ架橋性単量体を、必要に応じてグラフト重
合過程において併用することもできる。その使用量は耐
衝撃性付与効果が損なわれない範囲であるビニル系混合
単量体の5重量%以下が好ましい。
【0027】ゴム状重合体へのこれらグラフト成分のグ
ラフト重合は、上記のゴム状重合体50〜85重量部、
好ましくは65〜80重量部含むラテックスの存在下
に、上記ビニル系混合単量体15〜50重量部、好まし
くは20〜35重量部(但し、ゴム状重合体との合計量
を100重量部とする)を公知の乳化重合法で重合する
ことによって行うことができる。このグラフト重合に際
して、グラフト成分を一括して添加してもよく、また、
2回以上に分割してもよく、分割した添加成分の組成が
同じでも、それぞれ異なっていてもよい。また、グラフ
ト成分を構成する単量体を連続的に添加してもよい。
【0028】ゴム状重合体の割合が50重量部未満で
は、耐衝撃性付与効果が低下し、一方、85重量部を越
えると、得られるグラフト共重合体が保管貯蔵中にブロ
ッキングを生じる傾向にあり、塩化ビニル樹脂中への分
散性が低下したり、本発明の塩化ビニル系組成物の耐熱
性が低下するので好ましくない。
【0029】(a)塩化ビニル系樹脂 本発明において、上記(b)グラフト共重合体及び
(c)A−B型ブロック共重合体を配合して改質すべ
き、基材としての塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル樹脂
もしくは塩化ビニルと30重量%以下の臭化ビニル、塩
化ビニリデン、酢酸ビニル、エチレン、アクリル酸、メ
タクリル酸などの共重合可能な単量体との共重合体或い
は塩素化した塩化ビニル樹脂及びそれらの混合物であ
る。塩化ビニル系樹脂の重合度としては、通常500〜
3000であり、成形性や性能面から600〜1700
が好ましく用いられる。
【0030】[組成物]本発明の組成物を構成する樹脂
成分の割合は、塩化ビニル系樹脂100重量部とグラフ
ト共重合体0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重
量部、より好ましくは3〜20重量部及びA−B型ブロ
ック共重合体0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜
6重量部からなるものである。
【0031】該ブロック共重合体の配合量が0.1重量
部未満では配合効果、即ち耐衝撃性の改良効果は乏し
く、10重量部を越えて多く配合すると再び耐衝撃性が
低下してくることからこの範囲外では好ましくない。
【0032】また、グラフト共重合体の配合量も0.5
重量部未満では塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性の改良効果
はなく、30重量部を越えて多く配合すると弾性率、耐
熱温度等の低下が大きくなり好ましくない。
【0033】本発明の組成物には、通常塩化ビニル系樹
脂に用いられる熱安定剤、滑剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、抗酸化剤、帯電防止剤、顔料、加工助剤、充填剤、
その他の耐衝撃改良剤等を必要に応じて用いることがで
きる。
【0034】本発明の組成物を構成するこれらの成分の
混合は、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサーやリ
ボンブレンダー等の混合機を用いて粉体状で混合した
り、さらに得られた粉体状の混合物をロール混練機や押
出混練機で溶融混合してもよい。
【0035】このようにして得られた本発明の塩化ビニ
ル系樹脂組成物は、カレンダー成形、溶融押出成形、射
出成形、プレス成形等の、一般に塩化ビニル系樹脂の成
形加工に用いられている成形加工法により種々の成形物
に成形することができる。
【0036】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例を挙げて
具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。尚、以下の記載における「%」、
「部」及び「比」は特に断りのない限り、重量%、重量
部及び重量比である。
【0037】以下の実施例、比較例において、塩化ビニ
ル系樹脂組成物に用いたA−B型ブロック共重合体を表
1に、また、グラフト共重合体を表2に示した。表1に
記載した数平均分子量はゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)を用いて公知の方法で測定した値
である。
【0038】[実施例1]表1に示したA−B型ブロッ
ク共重合体AB−1の1部と、表2に示したグラフト共
重合体GM−1の12部とを、オクチル錫メルカプト系
安定剤(商品名:KS2000A;共同薬品製)2.0
部、内部滑剤(商品名:Kallen88;東京ファイ
ンケミカル製)0.8部、外部滑剤(商品名:WaxO
P;ヘキスト社製)0.2部、アクリル系加工助剤(商
品名:K120ND;R&H社製)1.0部と共に、塩
化ビニル樹脂(重合度700)100部と、ヘンシェル
ミキサーを用いて、粉体温度120℃で1分間混合し、
得られた塩化ビニル樹脂コンパウンドを表面温度180
℃の混練ロールで3分間混練し、次いで得られたシート
を金型温度200℃のプレス成形機で3分間予熱し、引
き続き1.47×107 Pa(150kgf/cm2
の圧力で2分間の加圧成形を行い、厚さ3mmの成形板
を作成した。
【0039】得られた成形板から、JIS K−711
0に準じて、試験片を作成し、アイゾット強度を測定し
た。尚、衝撃試験後の試験片が2つに分離せずに破壊し
た試験片の全試験片に対する割合をダクタイル破壊率
(%)として求めた。
【0040】また、この成形板を用いて、JIS K−
7203に準じて、曲げ弾性率を測定した。
【0041】結果を表3に示す。
【0042】[実施例2〜4及び比較例1〜3]ブロッ
ク共重合体及びグラフト共重合体の配合量を表3に示し
たように変更した以外は、実施例1と同様にして試験を
行った。
【0043】結果を表3に示してあるように、A−B型
ブロック共重合体(AB−1)を特定量(例では0.3
〜5部)配合すると、グラフト共重合体(GM−1)で
強化された塩化ビニル系樹脂組成物から得られる成形物
のアイゾット強度は、A−B型ブロック共重合体を配合
しない比較例1、及び比較例1に強化剤GM−1を2部
増量して配向した比較例2に比べて、大幅に向上するこ
とが認められる。また、ブロック共重合体を特定量以上
に配合すると、比較例3に示されるようにアイゾット強
度の顕著な向上は認められない。
【0044】[実施例5〜8及び比較例4]グラフト共
重合体及びブロック共重合体の種類を表3に示したよう
に変更した以外は、実施例1と同様にして試験を行っ
た。
【0045】結果を表3に一緒に示してあるが、グラフ
ト共重合体(GM−2)及びブロック共重合体(AB−
1〜AB−4)の種類が異なる組合せでも、GM−1と
AB−1との組合せと同様に、塩化ビニル系樹脂組成物
の曲げ弾性率を低下することなく、アイゾット強度が明
らかに向上している。
【0046】[実施例9〜11及び比較例5〜10]グ
ラフト共重合体(GM−1〜GM−3)及びブロック共
重合体(AB−1、AB−5、AB−6)の種類と配合
量を表4に示したように変更した以外は、実施例1と同
様にして試験を行った。
【0047】結果を表4に示してあるが、グラフト共重
合体とブロック共重合体との併用系ではアイゾット強度
の改良が明らかに認められるが、グラフト共重合体の配
合量が過剰になるとアイゾット強度ならびに曲げ弾性率
がともに低下し(比較例7)、アイゾット強度と曲げ弾
性率に及ぼす改良効果が大幅に低下している。
【0048】尚、ブロック共重合体(AB−1)単独で
は比較例6に示されるようにアイゾット強度を向上させ
る効果は殆ど認められない。
【0049】また、グラフト共重合体GM−1及びその
配合量を、SEBS12部(比較例8)、EVA8部
(比較例9)、またはCLPE8部(比較例10)に、
それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして強化剤
の比較試験を行ったところ、表4に示してあるように、
これら、SEBS、EVA並びにCLPEを配合した組
成物は、ともにアイゾット強度と曲げ弾性率が明らかに
劣っており、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の優位が
顕著に示されている。
【0050】[実施例12〜13及び比較例11〜1
2]樹脂組成を表5に示すように変更し、安定剤等の配
合剤処方を、ブチル錫マレートポリマー系安定剤(商品
名:T116J、勝田化工製)1部、ブチル錫マレート
エステル系安定剤(商品名:RC−90E、三共有機合
成製)2部、内部滑剤(商品名:リケマールS−10
0、理研ビタミン製)1部、外部滑剤(商品名:Wax
−OP、ヘキスト製)0.3部、高分子加工助剤として
K125P(呉羽化学製)5部とK175P(呉羽化学
製)1部に変更した以外は実施例1と同様にして試験を
行った。
【0051】結果を表5に示したように、グラフト共重
合体(GM−4、GM−2)とブロック共重合体(AB
−1)とを併用することで、アイゾット強度が明らかに
向上している。また実施例13は重合度700の塩化ビ
ニル樹脂(呉羽化学製:クレハPVC S−9007)
と重合度680で塩素化度65%の塩素化塩化ビニル樹
脂(日本カーバイト製:T742)との混合樹脂を用い
ているが、重合度800の塩化ビニル樹脂(呉羽化学
製:クレハPVC S−9008)単独の組成物(実施
例12)と同様に、グラフト共重合体とブロック共重合
体との併用によりアイゾット強度が向上していることが
認められる。
【0052】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、弾
性率を維持し、耐衝撃性が大幅に改良されており、かつ
容易に溶融成形することができるので、パイプ、異形押
出成形物等の各種建材、シート、フィルム或いはボトル
等の包装資材、電気部品や電子部品等の精密成形物等に
有用に用いることができる。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 寿昭 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 小林 昭夫 福島県いわき市錦町落合16番地 呉羽化学 工業株式会社錦総合研究所内 (72)発明者 樋口 敦宏 福島県いわき市錦町落合16番地 呉羽化学 工業株式会社錦総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)塩化ビニル系樹脂100重量部、
    (b)ゴム状重合体を幹重合体成分とし、ビニル系単量
    体を重合してなる重合体をグラフト重合体成分とするグ
    ラフト共重合体0.5〜30重量部、及び(c)A成分
    が(メタ)アクリル酸エステル系単量体50重量%以上
    と、残余がこれら(メタ)アクリル酸エステル系単量体
    と共重合可能な単量体とからなる混合単量体を重合して
    なる重合体ブロックであり、B成分が芳香族ビニル系単
    量体40重量%以上と、残余がこれら芳香族ビニル系単
    量体と共重合可能な単量体であり、(メタ)アクリル酸
    エステル系単量体が50重量%未満である混合単量体を
    重合してなる重合体ブロックであるA−B型ブロック共
    重合体0.1〜10重量部からなることを特徴とする塩
    化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 A−B型ブロック共重合体のA成分の
    (メタ)アクリル酸エステル系単量体がアルキル基の炭
    素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエス
    テルであり、B成分の芳香族ビニル系単量体がスチレン
    である請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 グラフト共重合体の幹重合体成分が、共
    役ジエン系単量体またはアルキル基の炭素数が2〜10
    のアクリル酸アルキルエステル系単量体50〜100重
    量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体0〜50
    重量%及び架橋性単量体0〜10重量%からなる単量体
    混合物を重合してなるゴム状重合体50〜85重量部で
    あり、グラフト重合体成分がメタクリル酸アルキルエス
    テル系単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビ
    ニル系単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体70
    〜100重量%と、これら単量体と共重合可能なビニル
    系単量体0〜30重量%および架橋性単量体0〜5重量
    %からなる混合単量体を重合してなる重合体15〜50
    重量部である請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成
    物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020147618A (ja) * 2019-03-11 2020-09-17 株式会社クラレ 塩化ビニル系樹脂組成物及び該組成物からなる成形品

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