JP2020147618A - 塩化ビニル系樹脂組成物及び該組成物からなる成形品 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物及び該組成物からなる成形品 Download PDF

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萌 川原
真 赤井
Makoto Akai
真 赤井
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Abstract

【課題】成形時等の流動性、可塑性に優れるだけでなく、コゲ、メヤニ等の発生が低減され、表面性に優れる成形品が得られる塩化ビニル系樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形品を提供する。【解決手段】JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)(ただし、下記アクリル系ブロック共重合体(B)は含まない)100質量部に対して、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B)を1質量部未満の量で含む塩化ビニル系樹脂組成物であり、前記アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜100g/10分である、塩化ビニル系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂コンパウンドとアクリル系ブロック共重合体を含有する塩化ビニル系樹脂組成物及び該組成物からなる成形品に関する。
塩化ビニル系樹脂コンパウンド、特にJIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100程度のいわゆる軟質塩化ビニル系樹脂コンパウンドは、優れた加工性、機械特性を有するため、被覆材、フィルム、シートなどの成形品として、建築用資材、自動車用材料、電気・電子材料などの幅広い用途に用いられている。
塩化ビニル系樹脂コンパウンドは、コンパウンド作製又はそのコンパウンドの成形の際に発生する問題の改良、物性の改良を目的とし、従来から種々の検討が行われている。例えば、可撓管に用いる樹脂組成物として、コゲ、メヤニの低減、押出成形性を改良することを目的とし、ポリ塩化ビニル、特定の可塑剤、特定のアクリル系高分子樹脂及び滑剤を、特定の配合割合で含む樹脂組成物の検討が行われている(例えば特許文献1参照)。
特開2015−166608号公報
しかし、従来の技術では、塩化ビニル系樹脂コンパウンドの優れた特性を損なうことなく、成形時等の流動性、可塑性を改良し、コゲ、メヤニ等の欠点の発生を低減し、表面性に優れる成形品が得られる、塩化ビニル系樹脂コンパウンドを含む樹脂組成物を得るためには、いまだ改良の余地があった。
本発明の目的は、成形時等の流動性、可塑性に優れるだけでなく、コゲ、メヤニ等の発生が低減され、表面性に優れる成形品が得られる塩化ビニル系樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく検討を重ねてきた結果、特定の物性を有する塩化ビニル系樹脂コンパウンドに、特定のアクリル系ブロック共重合体を特定量配合することにより、上記目的を達成することができることを見い出した。
本発明によれば、上記目的は、
[1]JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)(ただし、下記アクリル系ブロック共重合体(B)は含まない)100質量部に対して、
メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B)を1質量部未満の量で含む塩化ビニル系樹脂組成物であり、
前記アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜100g/10分である、塩化ビニル系樹脂組成物;
[2]前記アクリル系ブロック共重合体(B)が、
メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b11)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b21)とを有する、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが20〜100g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B1)と
メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b12)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b22)とを有する、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜10g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B2)との混合物である、[1]に記載の塩化ビニル系樹脂組成物;
[3]前記アクリル系ブロック共重合体(B)が、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b13)と、一般式CH2=CH−COOR1(1)(式中、R1は炭素数1〜3の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステルに由来するアクリル酸エステル(β3)単位を含む1つの重合体ブロック(b23)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B3)を含む、[1]に記載の塩化ビニル系樹脂組成物;
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物からなる成形品;
[5]JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)(ただし、下記アクリル系ブロック共重合体(B)は含まない)を150〜210℃の範囲に加熱する工程(I)、及び
加熱された前記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)100質量部に対して、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有し、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜100g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B)を、1質量部未満の量で前記加熱条件下混合する工程(II)を含む、塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法;
[6]JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)(ただし、下記アクリル系ブロック共重合体(B)は含まない)を150〜210℃の範囲に加熱する工程(I)、
加熱された前記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)100質量部に対して、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有し、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜100g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B)を、1質量部未満の量で前記加熱条件下混合して塩化ビニル系樹脂組成物を製造する工程(II)、及び
120〜210℃の範囲で前記塩化ビニル系樹脂組成物を成形する工程(III)
を含む、塩化ビニル系樹脂組成物からなる成形品の製造方法;
を提供することにより達成される。
本発明によれば、成形時等の流動性、可塑性に優れるだけでなく、コゲ、メヤニ等の発生が低減され、表面性に優れる成形品が得られる塩化ビニル系樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形品が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」は「メタクリル酸エステル」と「アクリル酸エステル」との総称であり、また「(メタ)アクリル」は「メタクリル」と「アクリル」との総称である。
<塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)が含まれる。デュロメータ硬さが上記範囲にある塩化ビニル系樹脂コンパウンドは、柔軟性に優れ、いわゆる軟質塩化ビニル系樹脂コンパウンドとして用いることができる物である。
本発明で用いる塩化ビニル系樹脂コンパウンドとは、塩化ビニル系樹脂そのものからなる成形材料又は塩化ビニル系樹脂を含む成形材料を意味し、塩化ビニル系樹脂コンパウンドには、必要に応じて、可塑剤等の添加剤が含まれる。ただし、本発明で用いる塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)には後述するアクリル系ブロック共重合体(B)は含まれない。
塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単位を主体とする樹脂であり、塩化ビニルを含む単量体を重合することにより得られる。上記塩化ビニル系樹脂は塩化ビニル単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含む樹脂である。このような上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体(ポリ塩化ビニル)、塩化ビニル共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
塩化ビニル共重合体を構成する単位となる塩化ビニル単位以外の他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイン酸エステル、マレイミド等などが挙げられる。塩化ビニル共重合体に含まれるこれら他の単量体の含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
上記塩化ビニル系樹脂の重合度は、その用途等に応じて適宜設定すればよいが、通常100〜1万の範囲であり、成形性等の観点からは、400〜5000の範囲が好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂には、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル共重合体、これらの混合物のほか、これらと他の樹脂との混合物も含まれる。該他の樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などが挙げられる。塩化ビニル系樹脂中のこれら他の樹脂の含有量は好ましくは10質量%以下である。
塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)には、上記塩化ビニル系樹脂以外に添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、滑剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防曇剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、改質剤などが挙げられる。
可塑剤は、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に柔軟性を付与できる物であり、例えば、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)の硬度を所望の範囲とすることができる。上記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、C11〜C13程度の高級アルコールのフタル酸エステル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ベンジルオクチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類;ジイソノニルシクロヘキサンジカルボキシレート等の脂環式二塩基酸エステル類;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−n−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;トリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリブチル等のトリメリット酸エステル類;ペンタエリスリトールエステル、ジエチレングリコールベンゾエート等の多価アルコールエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化エステル類;アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル類;テトラ−n−オクチルピロメリテート、ポリプロピレンアジペート、その他ポリエステル系可塑剤等が挙げられる。これら可塑剤は一種単独で用いてもよく、2種以上の組み合わせて用いてもよい。
塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる上記可塑剤の添加量は、所望の硬度、その用途などに応じ適宜設定できるが、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)中の上記可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、30〜200質量部であることが好ましく、40〜150質量部であることがより好ましい。塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる可塑剤が上記下限値未満である場合には、柔軟性付与の効果が十分ではない場合がある。塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる可塑剤が上記上限値を超える場合には、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)の光沢が著しくなる場合、生産性又は加工性が悪化する場合などがある。
上記安定剤としては、例えば、金属石鹸(高級脂肪酸の金属塩;金属としては、例えばバリウム−亜鉛、カルシウム−亜鉛、錫等)、鉛化合物(PbCO3、Pb(OH)2等)などが挙げられる。上記滑剤としては、例えばC12〜C30程度の炭化水素系化合物(パラフィンワックス、合成ポリエチレン、流動パラフィン等)、脂肪酸系化合物(ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等)、エステル系化合物(グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ブチルステアレート等)、C12〜C30程度の高級アルコール系化合物(ステアリルアルコール等)が挙げられる。上記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモンなどが挙げられる。上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカなどの無機充填剤等が挙げられる。
上記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)は、例えば、塩化ビニル系樹脂に必要に応じて上記添加剤を、従来公知の装置等により混合して得られたものである。上記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)としては、市販されている物を用いてもよい。
<アクリル系ブロック共重合体(B)>
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物に含有されるアクリル系ブロック共重合体(B)は、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有し、該アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃、2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)が1.0〜100g/10分である。MFRがこの範囲にあるアクリル系ブロック共重合体(B)を塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)と組み合わせて用いることにより、流動性、可塑性を向上できるだけでなく、コゲ、メヤニ等の発生が低減され、表面性に優れる成形品が得られるようになる。なお、アクリル系ブロック共重合体(B)として、2種以上のアクリル系ブロック共重合体(B)の混合物を用いる場合には、この混合物のMFRが上記範囲であればよい。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性の点からはアクリル系ブロック共重合体(B)の上記MFRは、1.2〜90g/10分であることが好ましく、1.5〜70g/10分であることがより好ましい。
上記重合体ブロック(b1)の構成単位となるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸アルキル;
メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキル以外の、官能基を有さないメタクリル酸エステル;
メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル等のメタクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の官能基を有するメタクリル酸エステル;などが挙げられる。
これらの中でも、メタクリル酸アルキルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルがより好ましく、経済的に入手容易な点、得られる重合体ブロック(b1)が耐久性と耐候性に優れる点等から、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
上記重合体ブロック(b1)のメタクリル酸エステル単位は、メタクリル酸エステル1種のみから得られたものであってもよく、メタクリル酸エステル2種以上から得られたものであってもよい。重合体ブロック(b1)中に含まれるメタクリル酸エステル単位の割合は、重合体ブロック(b1)中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、重合体ブロック(b1)はメタクリル酸エステル単位100質量%で構成されるもの、すなわちメタクリル酸エステル単位のみからなるもの、であってもよい。
上記重合体ブロック(b1)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単量体単位が含まれていてもよい。かかる他の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体等が挙げられる。これら他の単量体から構成される単量体単位は、重合体ブロック(b1)の全単量体単位に対し、通常少量であり、重合体ブロック(b1)中に含まれる他の単量体単位の割合は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
上記重合体ブロック(b1)のガラス転移温度(Tg)は50〜150℃であることが好ましく、60〜140℃であることがより好ましく、70〜130℃であることがさらに好ましい。重合体ブロック(b1)のガラス転移温度が上記範囲内であると、塩化ビニル系樹脂組成物の耐熱性を向上させやすい。
上記アクリル系ブロック共重合体(B)には、重合体ブロック(b1)が2つ以上含まれてもよいが、その場合、それら重合体ブロック(b1)を構成するメタクリル酸エステル単位及び他の単量体は、同一であっても異なっていてもよい。
重合体ブロック(b1)の重量平均分子量は、特に限定されないが、1,000〜50,000の範囲にあることが好ましく、2,000〜30,000の範囲にあることがより好ましい。重合体ブロック(b1)の重量平均分子量が1,000より小さい場合には、得られるアクリル系ブロック共重合体(B)の凝集力が不足する場合がある。また、重合体ブロック(b1)の重量平均分子量が50,000より大きい場合には、得られるアクリル系ブロック共重合体(B)の溶融粘度が高くなり、アクリル系ブロック共重合体(B)の生産性や、得られるアクリル系ブロック共重合体(B)を含む塩化ビニル系樹脂組成物の生産性等に劣る場合がある。上記アクリル系ブロック共重合体(B)に重合体ブロック(b1)が2つ以上含まれている場合には、各々の重合体ブロックの重量平均分子量が上記範囲にあることが望ましい。なお、本明細書において重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
上記重合体ブロック(b2)は、アクリル酸エステル単位を含有する。重合体ブロック(b2)にアクリル酸エステル単位が含まれることにより、重合体ブロック(b1)と重合体ブロック(b2)との相分離がより明瞭となる傾向にあり、重合体ブロック(b2)由来の柔軟性、密着性に優れる。アクリル酸エステル単位としては、一般式CH2=CH−COOR2(2)(式中、R2は炭素数1〜12の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(β)単位と、アクリル酸エステル(β)単位以外のアクリル酸エステル(β’)単位とに大別される。
アクリル酸エステル(β)としては、上記式(2)において、R2が炭素数4〜6の有機基であるアクリル酸エステル(β1)、R2が炭素数7〜12の有機基であるアクリル酸エステル(β2)、R2が炭素数1〜3の有機基であるアクリル酸エステル(β3)が挙げられる。
アクリル酸エステル(β1)としては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル等の、官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の、官能基を有するアクリル酸エステル等が挙げられる。
重合体ブロック(b2)にアクリル酸エステル(β1)単位が含まれた場合、柔軟性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物が得られる傾向にある。
これらの中でも、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の柔軟性、耐寒性、低温特性を向上させる観点から、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル等のアクリル酸エステルがより好ましい。これらアクリル酸エステル(β1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステル(β2)としては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられる。重合体ブロック(b2)にアクリル酸エステル(β2)単位が含まれた場合、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる極性の低い成分(例えば、極性の低い可塑剤)との相容性が向上する傾向にある。
これらの中でも、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の柔軟性、耐寒性、低温特性を向上させる観点から、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェノキシエチル等のアクリル酸エステルが好ましい。また、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の低温(10〜−40℃)での柔軟性が優れ、得られる塗膜の密着性が優れる点から、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチルがより好ましい。さらに、アクリル酸2−エチルヘキシルの場合は、重合体ブロック(b1)と重合体ブロック(b2)との相分離がより明瞭となるため、塩化ビニル系樹脂組成物としたときに特に高い凝集力を発現する点で特に好ましい。これらアクリル酸エステル(b2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロック(b2)にはアクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル(β2)単位の両方が含まれていることが好ましい一態様である。その場合、重合体ブロック(b2)中のアクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル(β2)単位の質量比(β1)/(β2)は、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の低温での柔軟性、得られる塗膜の密着性などから、80/20〜20/80であることが好ましく、70/30〜30/70であることがより好ましい。なお、重合体ブロック(b2)中の各アクリル酸エステル単位の含有量は、1H−NMR測定等により求めることができる。
アクリル酸エステル(β3)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル等の、官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸グリシジル等の、官能基を有するアクリル酸エステル等が挙げられる。
重合体ブロック(b2)にアクリル酸エステル(β3)単位が含まれた場合、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる極性の高い成分(例えば、可塑剤)との相容性が向上する傾向にある。さらに、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に可塑剤等が含まれている場合であっても、得られる塩化ビニル系樹脂組成物から可塑剤が移行する量が少なくなる傾向にある。これらの中でも、低温特性を保持したまま、低タック感、柔軟性を向上させる観点から、アクリル酸エチル、アクリル酸メチルが好ましく、中でもアクリル酸メチルがより好ましい。
アクリル酸エステル(β')としては、例えば、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
重合体ブロック(b2)が含有するアクリル酸エステル単位は、アクリル酸エステル1種のみから得られたものであってもよく、アクリル酸エステル2種以上から得られたものであってもよい。前記アクリル酸エステルとしては、得られる塩化ビニル系樹脂組成物が成形時等の流動性、可塑性に優れるだけでなく、コゲ、メヤニ等の発生がより低減され、表面性により優れること、また塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)との相容性が優れることなどから、アクリル酸エステル(β)が好ましく、アクリル酸エステル(β1)、アクリル酸エステル(β3)がより好ましい。
重合体ブロック(b2)が含有するアクリル酸エステル単位は、アクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル(β3)単位の両方からなるものであってもよい。アクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル(β3)単位を、重合体ブロック(b2)のアクリル酸エステル単位として含有することにより、柔軟性、耐寒性、低温特性、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)との相容性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物が得られる傾向にある。重合体ブロック(b2)がアクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル単位(β3)の両方からなるものである場合、そのアクリル酸エステルの組み合わせ(β1)/(β3)としては、例えば、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル、アクリル酸n−ヘキシル/アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸イソプロピル等が挙げられる。
重合体ブロック(b2)中のアクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル(β3)単位の質量比(β1)/(β3)は、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の柔軟性、耐白化性などから、90/10〜10/90であることが好ましく、86/14〜15/85であることがより好ましく、82/18〜20/80であることがさらに好ましい。なお、重合体ブロック(b2)中の各アクリル酸エステル単位の含有量は、1H−NMR測定等により求めることができる。
重合体ブロック(b2)中に含まれるアクリル酸エステル単位の割合は、重合体ブロック(b2)中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、重合体ブロック(b2)はアクリル酸エステル単位100質量%で構成されるもの、すなわちアクリル酸エステル単位のみからなるもの、であってもよい。
重合体ブロック(b2)には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の単量体単位が含まれていてもよい。かかる他の単量体としては、例えば、メタクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体等が挙げられる。これら他の単量体から構成される単量体単位は、重合体ブロック(b2)の全単量体単位に対し、通常少量であり、重合体ブロック(b2)中に含まれる他の単量体単位の割合は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
前記重合体ブロック(b2)のガラス転移温度は、得られる塩化ビニル系樹脂組成物が耐寒性に優れ、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)との相容性に優れる点から、−80℃以上50℃以下であることが好ましく、−75℃以上40℃以下であることがより好ましく、−70℃以上25℃以下であることがさらに好ましい。
また、アクリル系ブロック共重合体(B)中の重合体ブロック(b1)と重合体ブロック(b2)とのガラス転移温度の差は、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。
上記アクリル系ブロック共重合体(B)に、重合体ブロック(b2)が2つ以上含まれる場合には、それら重合体ブロック(b2)の構造は、同一であっても異なっていてもよい。
上記アクリル系ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(b1)を「b1」;重合体ブロック(b2)を「b2」;としたときに、一般式:
(b1−b2)n
(b1−b2)n−b1
b1−(b1−b2)n
(b1−b2)n−Z
(b1−b2)n−Z
(式中、nは1〜30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤がポリマー末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位)を表す)で表されるものであることが好ましい。また、上記nの値は、1〜15であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。
これら構造の中でも、重合体ブロック(b2)の両末端に重合体ブロック(b1)がそれぞれ結合した構造が好ましい。
具体的には、下記一般式:
(b1−b2)m
(b1−b2)n−b1
b2−(b1−b2)m
(b1−b2)m−Z
(b2−b1)m−Z
(式中、nは1〜30の整数、mは2〜30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤がポリマー末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位)を表す)で表されるものであることが好ましい。上記mの値は、2〜15であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましい。
上記構造の中でも、(b1−b2)n、(b1−b2)n−b1、b1−(b1−b2)nで表される直鎖状のブロック共重合体がより好ましく、b1−b2で表されるジブロック共重合体及びb1−b2−b1で表されるトリブロック共重合体がさらに好ましく、b1−b2−b1で表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いる前記アクリル系ブロック共重合体(B)中の重合体ブロック(b1)の含有量は5〜95質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b2)の含有量は95〜5質量%であることが好ましい。塩化ビニル系樹脂組成物とした場合に、成形時等の流動性、可塑性を損なうことなく、また、取り扱いが容易な形態(例えばペレット状等)で塩化ビニル系樹脂組成物として供給が可能となる点から、重合体ブロック(b1)が7〜60質量%及び重合体ブロック(b2)が93〜40質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b1)が8〜53質量%及び重合体ブロック(b2)が92〜47質量%であることがより好ましく、重合体ブロック(b1)が9〜45質量%及び重合体ブロック(b2)が91〜55質量%であることがさらに好ましく、重合体ブロック(b1)が10〜38質量%及び重合体ブロック(b2)が90〜62質量%であることが特に好ましい。重合体ブロック(b2)の含有量が85〜40質量%であると、塩化ビニル系樹脂コンパウンド、及び可塑剤との相容性に優れる。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物のコゲ、メヤニ等の発生を低減させる点から、上記アクリル系ブロック共重合体(B)の重量平均分子量は、30,000〜400,000であることが好ましく、40,000〜380,000であることがより好ましく、40,000〜350,000であることがさらに好ましく、50,000〜330,000であることがよりさらに好ましい。アクリル系ブロック共重合体(B)の重量平均分子量が30,000未満であると、塩化ビニル系樹脂組成物のコゲ、メヤニ等の発生を低減効果が不十分となる場合がある。一方、アクリル系ブロック共重合体(B)の重量平均分子量が400,000を超えると、アクリル系ブロック共重合体(B)の溶融粘度が高くなりすぎ、アクリル系ブロック共重合体(B)の生産性や、成形時等の流動性、可塑性が優れない場合がある。
上記アクリル系ブロック共重合体(B)では、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5であることが好ましい。アクリル系ブロック共重合体(B)の分子量分布が上記範囲にあることにより、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の特性を管理しやすい傾向にある。上記の観点から、分子量分布は1.0〜1.4であることがより好ましく、1.0〜1.3であることがさらに好ましい。なお、本明細書において数平均分子量及び重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を意味する。
上記アクリル系ブロック共重合体(B)の好適な1態様は、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b11)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b21)とを有する、190℃、2.16kgで測定したMFRが20〜100g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B1)と、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b12)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b22)とを有する、190℃、2.16kgで測定したMFRが1.0〜10g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B2)との混合物である。このような混合物を用いると、得られる塩化ビニル系樹脂組成物が十分に可塑化され、コゲ、メヤニ等の発生なども十分に低減できる。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性の点からは、上記混合物に含まれるアクリル系ブロック共重合体(B1)のMFRは、23〜90g/10分であることが好ましく、25〜80g/10分であることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B1)に含まれる、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b11)の構成単位となる単量体(メタクリル酸エステル、他の単量体)の具体例及び好適例、及び重合体ブロック(b11)の好適な特性(単量体単位の割合、ガラス転移温度など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b1)の場合と同様である。
重合体ブロック(b11)の重量平均分子量は、特に限定されないが、1,000〜30,000の範囲にあることが好ましく、2,000〜25,000の範囲にあることがより好ましい。重合体ブロック(b11)の重量平均分子量が1,000より小さい場合には、得られるアクリルブロック共重合体(B1)の凝集力が不足する場合がある。また、重合体ブロック(b11)の重量平均分子量が30,000より大きい場合には、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の流動性が不足する場合がある。上記アクリル系ブロック共重合体(B1)に重合体ブロック(b11)が2つ以上含まれている場合には、各々の重合体ブロックの重量平均分子量が上記範囲にあることが望ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B1)に含まれる、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b21)の構成単位となるアクリル酸エステルの具体例及び好適例、アクリル酸エステル単位の特性(アクリル酸エステル単位の含有量、アクリル酸エステル単位が複数種含まれる場合の含まれ方など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂組成物の低温での柔軟性の観点からは、重合体ブロック(b21)の構成単位となるアクリル酸エステルとしては、上述したアクリル酸エステル(β1)が好ましく、これらの中でも、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル等のアクリル酸エステルがより好ましく、アクリル酸n−ブチルがさらに好ましい。
また、アクリル系ブロック共重合体(B1)に含まれる、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b21)の構成単位となる他の単量体の具体例、及び重合体ブロック(b21)の好適な特性(単量体単位の割合、ガラス転移温度、重合ブロック同士のガラス転移温度差など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。
アクリル系ブロック共重合体(B1)の構造の具体例及び好適例は、アクリル系ブロック共重合体(B)と同様であり、b11−b21で表されるジブロック共重合体及びb11−b21−b11で表されるトリブロック共重合体がさらに好ましく、b11−b21−b11(重合体ブロック(b11)を「b11」;重合体ブロック(b21)を「b21」;とした場合)で表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、及び相容性の点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B1)中、重合体ブロック(b11)の含有量は7〜50質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b21)の含有量は93〜50質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b11)の含有量は10〜40質量%であることがより好ましく、重合体ブロック(b21)の含有量は90〜60質量%であることがより好ましい。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、及び相容性の点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B1)の重量平均分子量は、30,000〜250,000であることが好ましく、40,000〜200,000であることがより好ましい。
上記混合物では、アクリル系ブロック共重合体(B1)とアクリル系ブロック共重合体(B2)を組み合わせて用いる。塩化ビニル系樹脂組成物を製造する際などの塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)との混練しやすさの点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B2)のMFRは、1.2〜9g/10分であることが好ましく、1.5〜7g/10分であることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B2)に含まれる、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b12)の構成単位となる単量体(メタクリル酸エステル、他の単量体)の具体例及び好適例、及び重合体ブロック(b12)の好適な特性(単量体単位の割合、ガラス転移温度など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b1)の場合と同様である。
重合体ブロック(b12)の重量平均分子量は、特に限定されないが、3,000〜150,000の範囲にあることが好ましく、6,000〜100,000の範囲にあることがより好ましい。重合体ブロック(b12)の重量平均分子量が3,000より小さい場合には、得られるアクリルブロック共重合体(B2)の凝集力が不足する場合がある。また、重合体ブロック(b12)の重量平均分子量が150,000より大きい場合には、アクリル系ブロック共重合体(B2)の溶融粘度が高くなりすぎ、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、可塑性が優れない場合がある。上記アクリル系ブロック共重合体(B2)に重合体ブロック(b12)が2つ以上含まれている場合には、各々の重合体ブロックの重量平均分子量が上記範囲にあることが望ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B2)に含まれる、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b22)の構成単位となるアクリル酸エステルの具体例及び好適例、アクリル酸エステル単位の特性(アクリル酸エステル単位の含有量、アクリル酸エステル単位が複数種含まれる場合の含まれ方など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂組成物の低温での柔軟性の観点からは、重合体ブロック(b22)の構成単位となるアクリル酸エステルとしては、上述したアクリル酸エステル(β1)が好ましく、これらの中でも、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル等のアクリル酸エステルがより好ましく、アクリル酸n−ブチルがさらに好ましい。
また、アクリル系ブロック共重合体(B2)に含まれる、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b22)の構成単位となる他の単量体の具体例、及び重合体ブロック(b22)の好適な特性(単量体単位の割合、ガラス転移温度、重合ブロック同士のガラス転移温度差など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。
アクリル系ブロック共重合体(B2)の構造の具体例及び好適例は、アクリル系ブロック共重合体(B)と同様であり、b12−b22で表されるジブロック共重合体及びb12−b22−b12で表されるトリブロック共重合体がさらに好ましく、b12−b22−b12(重合体ブロック(b12)を「b12」;重合体ブロック(b22)を「b22」;とした場合)で表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、及び相容性の点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B2)中、重合体ブロック(b12)の含有量は10〜60質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b22)の含有量は90〜40質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b12)の含有量は13〜55質量%であることがより好ましく、重合体ブロック(b22)の含有量は87〜45質量%であることがより好ましい。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、及び相容性の点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B2)の重量平均分子量は、40,000〜400,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B1)とアクリル系ブロック共重合体(B2)との混合物におけるアクリル系ブロック共重合体(B1)とアクリル系ブロック共重合体(B2)との質量比(B1)/(B2)は、20/80〜80/20であることが好ましく、33/67〜67/33であることがより好ましい。質量比(B1)/(B2)が上記範囲にあると、成形時等の流動性、可塑性により優れるだけでなく、コゲ、メヤニ等の発生がより低減され、表面性により優れる成形品が得られる傾向にある。
上記アクリル系ブロック共重合体(B)の好適な他の態様は、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b13)と、一般式CH2=CH−COOR1(1)(式中、R1は炭素数1〜3の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステルに由来するアクリル酸エステル(β3)単位を含む1つの重合体ブロック(b23)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B3)である。このようなアクリル系ブロック共重合体(B3)を用いると、得られる塩化ビニル系樹脂組成物が十分に可塑化され、コゲ、メヤニ等の発生なども十分に低減できる。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性の点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B3)のMFRは、1.2〜90g/10分であることが好ましく、1.5〜70g/10分であることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B3)に含まれるメタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b13)の構成単位となる単量体(メタクリル酸エステル、他の単量体)の具体例及び好適例、及び重合体ブロック(b13)の好適な特性(単量体単位の割合、ガラス転移温度など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b1)の場合と同様である。
重合体ブロック(b13)の重量平均分子量は、特に限定されないが、3,000〜500,000の範囲にあることが好ましく、6,000〜300,000の範囲にあることがより好ましい。重合体ブロック(b13)の重量平均分子量が3,000より小さい場合には、得られるアクリルブロック共重合体(B3)の凝集力が不足する場合がある。また、重合体ブロック(b13)の重量平均分子量が500,000より大きい場合には、アクリル系ブロック共重合体(B3)の溶融粘度が高くなりすぎ、得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、可塑性が優れない場合がある。上記アクリル系ブロック共重合体(B3)に重合体ブロック(b13)が2つ以上含まれている場合には、各々の重合体ブロックの重量平均分子量が上記範囲にあることが望ましい。
重合体ブロック(b23)は、一般式CH2=CH−COOR1(1)(式中、R1は炭素数1〜3の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステルに由来するアクリル酸エステル(β3)単位を含有する。重合体ブロック(b23)にアクリル酸エステル(β3)単位が含まれることにより、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる極性の高い成分(例えば、可塑剤)との相容性が向上する傾向にある。塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に可塑剤等が含まれている場合であっても、得られる塩化ビニル系樹脂組成物から可塑剤が移行する量が少なくなる傾向にある。
アクリル酸エステル(β3)の具体例及び好適例は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。
重合体ブロック(b23)には、アクリル酸エステル(β3)以外のアクリル酸エステル単位が含まれていてもよい。アクリル酸エステル(β3)以外のアクリル酸エステルとしては、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)で記載したように、アクリル酸エステル(β1)、アクリル酸エステル(β2)、一般式CH2=CH−COOR2(2)(式中、R2は炭素数1〜12の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(β)以外のアクリル酸エステル(β’)が挙げられる。これらの具体例、好適例については、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。
また重合ブロック(b23)は、アクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル単位(β3)の両方からなるものであってもよい。アクリル酸エステル(β1)/(β3)の組み合わせの具体例、アクリル酸エステル(β1)単位及びアクリル酸エステル(β3)単位の質量比の組み合わせは、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。
重合体ブロック(b23)中に含まれるアクリル酸エステル単位の割合は、重合体ブロック(b23)中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、重合体ブロック(b23)はアクリル酸エステル単位100質量%で構成されるもの、すなわちアクリル酸エステル単位のみからなるもの、であってもよい。
また、アクリル系ブロック共重合体(B3)に含まれる、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b23)の構成単位となる他の単量体の具体例、及び重合体ブロック(b23)の好適な特性(単量体単位の割合、ガラス転移温度、重合ブロック同士のガラス転移温度差など)は、アクリル系ブロック共重合体(B)に含まれる重合体ブロック(b2)の場合と同様である。
アクリル系ブロック共重合体(B2)の構造の具体例及び好適例は、アクリル系ブロック共重合体(B)と同様であり、b13−b23で表されるジブロック共重合体及びb13−b23−b13で表されるトリブロック共重合体がさらに好ましく、b13−b23−b13(重合体ブロック(b13)を「b13」;重合体ブロック(b23)を「b23」;とした場合)で表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、及び相容性の点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B3)中、重合体ブロック(b13)の含有量は7〜60質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b23)の含有量は93〜40質量%であることが好ましく、重合体ブロック(b13)の含有量は10〜50質量%であることがより好ましく、重合体ブロック(b23)の含有量は90〜50質量%であることがより好ましい。
得られる塩化ビニル系樹脂組成物の成形時等の流動性、及び相容性の点からは、上記アクリル系ブロック共重合体(B3)の重量平均分子量は、40,000〜400,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることがより好ましい。
上記アクリル系ブロック共重合体の製造方法は特に制限されず、公知の方法に準じた製造方法により製造できる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位であるモノマーをリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(例えば、特開平11−335432号公報を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩等の鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(例えば、特公平7−25859号公報参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でリビングアニオン重合する方法(例えば、特開平6−93060号公報を参照)、原子移動ラジカル重合方法(ATRP)(例えば、Macromol.Chem.Phys.,2000,201,p1108〜1114参照)等が挙げられる。
上記製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下でリビングアニオン重合する方法は、重合途中の失活が少ないのでホモポリマーの混入が少なく、得られるブロック共重合体の透明性が高い。また、モノマーの重合転化率が高いので、ブロック共重合体中の残存モノマーが少なく、アクリル系ブロック共重合体を含む塩化ビニル系樹脂組成物を作製する際、気泡の発生を抑制できる。さらに、メタクリル酸エステル単位からなる重合体ブロックの分子構造が高シンジオタクチックとなり、得られるアクリル系ブロック共重合体を含む塩化ビニル系樹脂組成物の耐久性を高める効果がある。そして、比較的温和な温度条件下でリビングアニオン重合が可能なことから、工業的に生産する場合に、環境負荷(主に重合温度を制御するための冷凍機にかかる電力)が少なくて済む利点がある。以上の点から、アクリル系ブロック共重合体は、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法によって好ましく製造される。
上記有機アルミニウム化合物の存在下でのリビングアニオン重合方法としては、例えば、有機リチウム化合物、及び下記一般式(3)
AlR345 (3)
(式(3)中、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基又はN,N−二置換アミノ基を表すか、或いはR3が上記したいずれかの基であり、R4及びR5が一緒になって置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を形成している。)で表される有機アルミニウム化合物の存在下に、必要に応じて、反応系内に、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4等のエーテル化合物;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジル等の含窒素化合物をさらに添加して、(メタ)アクリル酸エステルを重合させる方法が採用できる。
上記有機リチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、テトラメチレンジリチウム等のアルキルリチウム又はアルキルジリチウム;フェニルリチウム、キシリルリチウム等のアリールリチウム又はアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウム又はアラルキルジリチウム;リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム等のリチウムアルコキシドが挙げられる。
また、上記一般式(3)で表される有機アルミニウム化合物としては、重合のリビング性の高さや取扱いの容易さ等の点から、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等が好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)100質量部に対して、上記アクリル系ブロック共重合体(B)が1質量部未満の量で含まれる。このように塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に対して、少量のアクリル系ブロック共重合体(B)を組み合わせて用いることにより、成形時等の流動性、可塑性に優れるだけでなく、コゲ、メヤニ等の発生が低減され、表面性に優れる成形品が得られる塩化ビニル系樹脂組成物が得られる。コゲ、メヤニ等の発生がより低減され、成形時等の可塑性をより優れたものとするためには、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)100質量部に対するアクリル系ブロック共重合体(B)の添加量は、0.9質量部以下であることが好ましく、0.7質量部以下であることがより好ましい。また、成形時等の流動性、可塑性に優れる、コゲ、メヤニ等の発生が低減され、表面性に優れるという本発明の効果を得る観点からは、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)100質量部に対するアクリル系ブロック共重合体(B)の添加量は0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、接着性改良剤、可塑剤、その他の添加剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤;マロン酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル等のマロン酸エステル系紫外線吸収剤;2−エチル−2‘−エトキシ−オキサルアニリド等のシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤;などが挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。紫外線吸収剤の添加量は、質量基準でアクリル系ブロック共重合体(B)に対して、10〜50,000ppmが好ましく、100〜10,000ppmがより好ましい。添加量が10ppm未満であると十分な効果が発現しないことがあり、また50,000ppmを超えて添加しても、それ以上の効果の向上を望むことができない。
上記可塑剤としては、本発明の効果を損なわず、アクリル系ブロック共重合体(B)との相容性に問題がなければ特に制限はない。上記可塑剤として、例えば、両末端に水酸基を有するオリゴアルキレングリコールとカルボン酸とのモノ又はジエステル、ジカルボン酸とアルコールとのジエステルなどを用いることができる。これらは1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。可塑剤の具体例としては、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート等のトリ又はテトラエチレングリコールなどの両末端に水酸基を有するオリゴアルキレングリコールとカルボン酸とのモノ又はジエステル;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジブチルアジペート等のジカルボン酸とアルコールとのジエステルが挙げられる。
また、その他の添加剤としては、例えば、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に含まれる成分として例示した、滑剤、安定剤、酸化防止剤、防曇剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、改質剤が挙げられる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記アクリル系ブロック共重合体(B)に加え、他の樹脂が含まれていてもよい。
上記他の樹脂としては、本発明のアクリル系ブロック共重合体(B)との相容性に優れるものが好ましく、例えば、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂(アミノ樹脂)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂(ただし、アクリル系ブロック共重合体(B)を除く)、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、特にアクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物が含有してもよい、アクリル系ブロック共重合体(B)以外の他の樹脂の含有量は、通常50質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、アクリル系ブロック共重合体(B)並びに、必要に応じて含まれる添加剤及び他の樹脂等のその他成分を、例えば加熱条件下で混合することにより製造できる。
例えば、上記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)を150〜210℃の範囲に加熱する工程(I)、及び
加熱された前記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に対して、所望量のアクリル系ブロック共重合体(B)、例えばアクリル系ブロック共重合体(B)のペレットを、前記加熱条件下混合する工程(II)を経ることによって、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を製造できる。
工程(I)及び工程(II)の加熱温度としては、155〜200℃であることが好ましく、160〜190℃であることが好ましい。また、上記加熱混合に用いる装置としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどが挙げられる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)の混練性、相容性を向上させる観点から、二軸押出機が好ましい。
このようにして得られる塩化ビニル系樹脂組成物は、その後の成形に用いやすい様に適切な形状(例えば粒状)に成形されていてもよい。
本発明で得られる塩化ビニル系樹脂組成物は、溶融成形性に優れ、熱可塑性樹脂に対して一般に用いられている成形加工方法や成形加工装置を用いて成形できる。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形などによって成形加工でき、型物、パイプ、板、シート、フィルム、繊維状物等の成形品を得ることができる。また、その成形品は、塩化ビニル系樹脂組成物からなる層を含む積層体であってもよい。
塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)とから直接成形品を作製する場合には、例えば以下の工程を経て製造できる。
すなわち、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)を150〜210℃の範囲に加熱する工程(I)、
加熱された前記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)に対して、所望量のアクリル系ブロック共重合体(B)、例えばアクリル系ブロック共重合体(B)のペレットを前記加熱条件下混合して塩化ビニル系樹脂組成物を製造する工程(II)、
120〜210℃の範囲で前記塩化ビニル系樹脂組成物を成形する工程(III)である。
工程(I)及び工程(II)の加熱温度としては、155〜200℃であることが好ましく、160〜190℃であることが好ましい。上記加熱混合に用いる装置の具体例及び好適例は、塩化ビニル系樹脂組成物を製造する条件として例示した工程(I)及び工程(II)で記載したものと同様の物である。
工程(III)の加熱温度としては、130〜200℃であることが好ましく、140〜190℃であることが好ましい。工程(III)の成形に用いる成形機としては、例えば、射出成形機、押出成形機、圧縮成形機、ブロー成形機、カレンダー成形機、真空成形機などが挙げられる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物からなる成形品は、表面性に優れ、コゲ、メヤニ等の発生が少なく、塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)の有する優れた特性が損なわれることはない。そのため、パイプ、板、フィルム、シート及び容器等のみならず、屋内、屋外用の構造部材、土木及び建築資材として使用できる。また、得られた成形品は、その目的に応じて印刷、塗装、メッキ、蒸着、スパッタなどの表面処理を施して用いることもできる。
以下に本発明を実施例、比較例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。なお、以下に示す製造例では、単量体やその他の化合物は、常法により乾燥精製し、窒素にて脱気して使用した。また、単量体や他の化合物の反応系への移送及び供給は窒素雰囲気下で行った。
以下の例において、アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はGPCによりポリスチレン換算分子量で求め、分子量分布(Mw/Mn)はこれらの値から算出した。GPCで用いた測定装置及び条件は次のとおりである。
[GPC測定の装置及び条件]
・装置:東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8020」
・分離カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」及び「G5000HXL」を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
また、以下の例において、アクリル系ブロック共重合体における各重合体ブロックの含有量は、1H−NMR測定によって求めた。1H−NMR測定で用いた測定装置及び条件は次のとおりである。
1H−NMR測定の装置及び条件]
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM−ECX400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
1H−NMRスペクトルにおいて、3.6ppm、3.7ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−C 3)、アクリル酸メチル単位のエステル基(−O−C 3)に帰属され、4.0ppm付近のシグナルは、アクリル酸n−ブチル単位のエステル基(−O−C 2−CH2−CH2−CH3)又は(−O−C 2−CH(−C 2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3)に帰属され、これらの積分値の比から各単量体単位のモル比を求め、これを単量体単位の分子量をもとに質量比に換算することによって各重合体ブロックの含有量を求めた。
[MFR]
後述する製造例で得られたアクリル系ブロック共重合体及び、実施例並びに比較例で得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、JIS K 7210:2014に準拠して、190℃、2.16kgの条件でメルトフローレート(MFR)を測定した。
実施例、比較例の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)を含む組成物を表2の通り調製し、ヘンシェルミキサーに投入して混合した後、φ40mm単軸押出し機(フルフライト、L/D=25)に台形の口金を接続し、160〜170℃の温度で押出成形を行った。
[可塑性]
後述する実施例及び比較例の塩化ビニル系樹脂組成物を、単軸押出機を用いて押出成形した際の、成形品の練りムラの有無について観察し、可塑性を評価した。
◎:160℃で押出成形を行い、練りムラのない良品を得ることができた。
○:165℃で押出成形を行い、練りムラのない良品を得ることができた。
△:170℃で押出成形を行い、練りムラのない良品を得ることができた。
[コゲ・メヤニ]
後述する実施例及び比較例で得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、単軸押出機を用いて30分間連続で押出成形した際の、ダイス付近のメヤニの付着有無、及び成形品の変色有無を目視で評価した。
○:30分間の連続押出成形でメヤニの付着、及び成形品の変色が確認されなかった。
×:30分間の連続押出成形でメヤニの付着、及び成形品の変色が確認された。
[表面性]
後述する実施例及び比較例で得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、単軸押出機を用いて押出成形した際の成形品の外観を目視で評価した。
○:成形品の表面がすべすべしている
×:成形品の表面がざらざらしている
≪製造例1≫[アクリル系ブロック共重合体(B1−1)の製造]
(1)三口フラスコに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温で撹拌しながら、トルエン1302gと1,2−ジメトキシエタン65.1gを加え、続いて、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム60.3mmolを含有するトルエン溶液120gを加え、さらにsec−ブチルリチウム7.50mmolを含有するsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液4.34gを加えた。
(2)続いて、これにメタクリル酸メチル69.3gを撹拌下、室温で加え、さらに60分間撹拌をつづけた。反応液は当初、黄色に着色していたが、60分間撹拌後には無色となった。
(3)その後、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、撹拌下アクリル酸n−ブチル315gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃でさらに5分間撹拌を続けた。
(4)その後、これにメタクリル酸メチル65.9gを加え、一晩室温にて撹拌した。
(5)メタノール20.0gを添加して重合反応を停止した後、得られた反応液を撹拌下15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。得られた白色沈殿物を回収し、乾燥させることにより、アクリル系ブロック共重合体(B1−1)440gを得た。得られたアクリル系ブロック共重合体(B1−1)の重量平均分子量及び分子量分布(Mw/Mn)を上述のGPC測定により求めた。また、上述した1H−NMR測定により、アクリル系ブロック共重合体(B1−1)中のPMMA(メタクリル酸メチル単位100質量%からなる重合体ブロック)合計含有量を求めた。
≪製造例2〜7≫
工程(1)及び(3)における単量体の添加量、工程(2)における単量体の種類及び添加量を表1に示す通りに変更した以外は、製造例1と同様に、アクリル系ブロック共重合体(B2−1)、(B2−2)、(B2−3)、(B1−2)、(B1−3)、及び(B3−1)をそれぞれ製造した。なお、表1中、MMAはメタクリル酸メチル、nBAはアクリル酸n−ブチル、2EHAはアクリル酸2−エチルヘキシル、MAはアクリル酸メチルを意味する。また、製造例6の工程(2)ではnBA及び2EHAの混合物を、製造例7の工程(2)でnBA及びMAの混合物を、製造例1のnBAに変更して、それぞれ使用している。
Figure 2020147618
また、実施例及び比較例では、塩化ビニル系樹脂コンパウンドとして、以下のものを使用した。
・光陽化成工業株式会社製 塩化ビニル系樹脂コンパウンド タイプA デュロメータ硬さ50A(信越化学工業株式会社製「GR−1300T」を含む、艶消し黒色タイプ )
≪実施例1〜15、比較例1〜3≫
塩化ビニル系樹脂コンパウンドとアクリル系ブロック共重合体を、以下の表2に示す質量比で調製し、ヘンシェルミキサーに投入して混合した後、φ40mm単軸押出し機(フルフライト、L/D=25)に台形の口金を接続し、160〜170℃の温度で押出成形を行った。得られた押出成形品の可塑性、コゲ・メヤニ、表面性を上述の方法により評価した。結果を表2に示す。
Figure 2020147618
表2に示すとおり、比較例1の塩化ビニル系樹脂コンパウンド単体では良好な表面性と可塑性を有しているが、コゲや特にメヤニの発生が著しかった。実施例1〜15に示す本発明の塩化ビニル系樹脂組成物からなる成形品は、比較例1の塩化ビニル系樹脂コンパウンド単体と同等の表面性を有し、且つコゲやメヤニの発生を抑制できる結果となっており、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物が、成形品として良好な外観と加工性のバランスに優れていることは明らかである。
また、アクリル系ブロック共重合体(B)の含有量が1質量部以上である比較例2〜3では、成形品の表面性が悪化する結果となった。

Claims (6)

  1. JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)(ただし、下記アクリル系ブロック共重合体(B)は含まない)100質量部に対して、
    メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B)を1質量部未満の量で含む塩化ビニル系樹脂組成物であり、
    前記アクリル系ブロック共重合体(B)の190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜100g/10分である、塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 前記アクリル系ブロック共重合体(B)が、
    メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b11)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b21)とを有する、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが20〜100g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B1)と
    メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b12)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b22)とを有する、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜10g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B2)との混合物である、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 前記アクリル系ブロック共重合体(B)が、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b13)と、一般式CH2=CH−COOR1(1)(式中、R1は炭素数1〜3の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステルに由来するアクリル酸エステル(β3)単位を含む1つの重合体ブロック(b23)とを有するアクリル系ブロック共重合体(B3)を含む、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩化ビニル系樹脂組成物からなる成形品。
  5. JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)(ただし、下記アクリル系ブロック共重合体(B)は含まない)を150〜210℃の範囲に加熱する工程(I)、及び
    加熱された前記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)100質量部に対して、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有し、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜100g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B)を、1質量部未満の量で前記加熱条件下混合する工程(II)を含む、塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法。
  6. JIS K6253に準拠して測定したタイプA デュロメータ硬さが50〜100の塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)(ただし、下記アクリル系ブロック共重合体(B)は含まない)を150〜210℃の範囲に加熱する工程(I)、
    加熱された前記塩化ビニル系樹脂コンパウンド(A)100質量部に対して、メタクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b1)と、アクリル酸エステル単位を含む少なくとも1個の重合体ブロック(b2)とを有し、190℃、2.16kgで測定したメルトフローレートが1.0〜100g/10分であるアクリル系ブロック共重合体(B)を、1質量部未満の量で前記加熱条件下混合して塩化ビニル系樹脂組成物を製造する工程(II)、及び
    120〜210℃の範囲で前記塩化ビニル系樹脂組成物を成形する工程(III)
    を含む、塩化ビニル系樹脂組成物からなる成形品の製造方法。
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