JPH094543A

JPH094543A - 燃料噴射ノズル

Info

Publication number: JPH094543A
Application number: JP7150498A
Authority: JP
Inventors: Junichi Kawahara; 淳一川原
Original assignee: UD Trucks Corp
Current assignee: UD Trucks Corp
Priority date: 1995-06-16
Filing date: 1995-06-16
Publication date: 1997-01-07

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は燃料噴射ノズルに関し、燃料の噴射
流量を向上させるに当たり、燃焼室への燃料の微粒化や
貫徹性に支障を来すことがなく、又、燃料の“後ダレ”
といった不具合のない直噴式ディーゼルエンジン用の燃
料噴射ノズルを提供することを目的とする。【構成】請求項１に係る発明は、シート面に数個の噴
孔がノズル中心に対し対称的に設けられたノズルボデー
内に、各噴孔を開閉するニードルバルブが往復動自在に
挿入された直接噴射式ディーゼルエンジンの燃料噴射ノ
ズルに於て、上記シート面に、隣接する各噴孔を結ぶ溝
を設けたものであり、請求項２に係る発明は、請求項１
記載の燃料噴射ノズルに於て、溝をノズルボデーの中心
軸を中心とする環状溝としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、直噴式ディーゼルエン
ジンに用いる燃料噴射ノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に直噴式ディーゼルエンジンに用い
られる燃料噴射ノズルはホール型ノズルと称され、先端
に数個の噴孔が形成されたノズルボデーと、当該ノズル
ボデー内に往復動自在に挿入されたニードルバルブとで
構成され、ノズルホルダーを介してディーゼルエンジン
のシリンダヘッドに装着されている。

【０００３】図３はこの種の燃料噴射ノズルの要部断面
図を示し、図中、１はノズルボデーで、当該ノズルボデ
ー１先端の円頂部３には数個の噴孔５が所定の角度を以
ってノズル中心に対し対称的に設けられ、そして、その
先端側内周面には油溜り７が形成されると共に、噴射ポ
ンプから当該油溜り７に燃料９を圧送する燃料通路１１
が上下方向に設けられている。

【０００４】又、図中、１３はノズルボデー１内に往復
動自在に挿入されたニードルバルブで、当該ニードルバ
ルブ１３は、図示しないプッシュロッドを介してノズル
スプリングの圧力でその先端の円錐部１５がノズルボデ
ー１のシート面１７に圧接されている。

【０００５】そして、噴射ポンプから燃料通路１１を経
て油溜り７に燃料９が圧送されると、ニードルバルブ１
３のプレッシャステージ１９に圧力Ｆが加わり、この圧
力Ｆがノズルスプリングの張力より大きくなると、ニー
ドルバルブ１３がリフトして円錐部１５がシート面１７
から離間し、噴孔５から燃料９が燃焼室に噴射されるよ
うになっている。そして、噴射ポンプからの燃料圧送が
終わると圧力Ｆが低下するため、ニードルバルブ１３の
円錐部１５がノズルスプリングの張力で再びシート面１
７に圧接して、燃料噴射が終わるようになっている。

【０００６】ところで、上述した燃料噴射ノズル２１
は、円頂部３内のサックホール２３内に燃料９が溜ま
り、この溜まった燃料９が所謂“後ダレ”となって燃焼
室に垂れ、排ガス中のＨＣ値が高くなってしまう欠点が
指摘されていた。そのため、昨今では、図４に示すよう
にノズルボデー１のシート面１７に複数の噴孔２５を所
定の角度を以ってノズル中心に対し対称的に設け、当該
各噴孔２５をニードルバルブ１３の円錐部１５で開閉さ
せる燃料噴射ノズル２７が知られている。

【０００７】而して、斯かる燃料噴射ノズル２７によれ
ば、燃料９の“後ダレ”といった問題が解決されて排ガ
ス中のＨＣ値の低減が可能となる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、図４に示す
燃料噴射ノズル２７にあっては、上述したように排ガス
中のＨＣ値を低減させることが可能となった反面、噴孔
２５への燃料流路が絞られてしまうため、噴孔２５を上
記噴孔５と同一径で形成すると、図３に示す燃料噴射ノ
ズル２１に比し燃料９の噴射流量が少なくなってしまう
欠点が知られている。

【０００９】そして、噴射流量を増す目的で噴孔２５の
径を大きくしてしまうと、シート面１７とニードルバル
ブ１３の円錐部１５とのシール性に支障を来し、又、燃
焼室への燃料９の微粒化（アトマイゼーション）や貫徹
性（ペネレーション）に支障を来してしまう等の不具合
があった。本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもの
で、燃料の噴射流量を向上させるに当たり、燃焼室への
燃料の微粒化や貫徹性に支障を来すことがなく、又、燃
料の“後ダレ”といった不具合のない直噴式ディーゼル
エンジン用の燃料噴射ノズルを提供することを目的とす
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、請求項１に係る発明は、シート面に数個の噴孔がノ
ズル中心に対し対称的に設けられたノズルボデー内に、
各噴孔を開閉するニードルバルブが往復動自在に挿入さ
れた直接噴射式ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに
於て、上記シート面に、隣接する各噴孔を結ぶ溝を設け
たものである。

【００１１】そして、請求項２に係る発明は、請求項１
記載の燃料噴射ノズルに於て、溝は、ノズルボデーの中
心軸を中心とする環状溝であることを特徴とする。

【００１２】

【作用】請求項１に係る発明によれば、ニードルバルブ
がリフトすると、溝の深さ分だけニードルバルブとシー
ト面との間の間隙が広がり、溝内に燃料が速やかに流入
する。

【００１３】そして、溝に流入した燃料は、噴孔の開口
部の略全周から各噴孔に流入して燃焼室に噴射されるこ
ととなる。同様に請求項２に係る発明によっても、ニー
ドルバルブがリフトすると、環状溝の深さ分だけニード
ルバルブとシート面との間の間隙が広がり、環状溝内に
燃料が速やかに流入する。そして、環状溝に流入した燃
料は、噴孔の開口部の略全周から各噴孔に流入して燃焼
室に噴射されることとなる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図１は請求項１及び請求項２に係る燃料噴射
ノズルの一実施例を示し、図中、３１はノズルボデー
で、図３に示す従来例と同様、当該ノズルボデー３１の
先端側内周面には油溜り３３が形成されると共に、噴射
ポンプから当該油溜り３３に燃料３５を圧送する燃料通
路３７が上下方向に設けられている。

【００１５】又、図中、３９はノズルボデー３１内に往
復動自在に挿入されたニードルバルブで、本実施例に於
けるニードルバルブ３９も、図示しないプッシュロッド
を介してノズルスプリングの圧力で、その先端の円錐部
４１がノズルボデー３１に設けたシート面４３に圧接さ
れている。そして、このシート面４３には、図４の噴孔
２５と同一径を以って、上記円錐部４１で開閉される数
個の噴孔４５が所定の角度でノズル中心に対し対称的に
設けられており、噴射ポンプから燃料通路３７を経て油
溜り３３に燃料３５が圧送されると、ニードルバルブ３
９のプレッシャステージ４７に圧力が加わり、この圧力
がノズルスプリングの張力より大きくなると、ニードル
バルブ３９がリフトして円錐部４１がシート面４３から
離間し、噴孔４５から燃料３５が燃焼室に噴射されるよ
うになっている。そして、噴射ポンプからの燃料圧送が
終わると圧力が低下するため、ニードルバルブ３９の円
錐部４１がノズルスプリングの張力で再びシート面４３
に圧接して、燃料噴射が終わるようになっている。

【００１６】尚、図４に示す従来の燃料噴射ノズル２７
のニードルバルブ１３のリフト量は一般に０．２ｍｍ程
であるが、本実施例に於ても、ニードルバルブ３９のリ
フト量は０．２ｍｍ程に設定してある。而して、本実施
例に係る燃料噴射ノズル４９は、上述の如き従来と同様
の構成に加え、以下の如き特徴を有する。

【００１７】即ち、図１及び図２に示すように、ニード
ルバルブ３９の円錐部４１が圧接するノズルボデー３１
のシート面４３には、各噴孔４５を通る環状溝５１が、
噴孔４５の径よりもやや大きな溝幅を以ってノズルボデ
ー３１の中心軸を中心に設けられており、ニードルバル
ブ３９がリフトすると、油溜り３３に圧送された燃料３
５が環状溝５１に流入し、そして、各噴孔４５から燃焼
室へ噴射されるようになっている。

【００１８】本実施例に係る燃料噴射ノズル４９はこの
ように構成されており、当該燃料噴射ノズル４９は、従
来と同様、ノズルホルダーを介してディーゼルエンジン
のシリンダヘッドに装着される。そして、噴射ポンプか
ら燃料通路３７を経て油溜り３３に燃料３５が圧送され
ると、ニードルバルブ３９のプレッシャステージ４７に
圧力が加わる。そして、この圧力がノズルスプリングの
張力より大きくなると、ニードルバルブ３９がリフトし
て円錐部４１がシート面４３から離間し、油溜り３３に
圧送されていた燃料３５が環状溝５１を経て噴孔４５か
ら燃焼室に噴射されるが、その噴射流量は図４の燃料噴
射ノズル２７に比し向上することとなる。

【００１９】即ち、上述したように図４に示す燃料噴射
ノズル２７に於けるニードルバルブ１３のリフト量は
０．２ｍｍ程で、噴孔２５への燃料流路が絞られてい
た。そのため、油溜り７に溜まった燃料９は、シート面
１７と円錐部１５の０．２ｍｍという僅かな隙間を通っ
て、噴孔２５の開口部上縁側から各噴孔２５に流入する
に過ぎないため、多くの噴射流量を確保することができ
なかった。

【００２０】然し、上述したように本実施例にあって
は、ノズルボデー３１のシート面４３に、各噴孔４５を
通る環状溝５１が噴孔４５の径よりもやや大きな溝幅を
以って設けられているため、ニードルバルブ３９の円錐
部４１がシート面４３からリフトすると、環状溝５１の
深さ分だけ円錐部４１との間の間隙が広がり、環状溝５
１内に油溜り３３の燃料３５が速やかに流入する。

【００２１】そして、環状溝５１に流入した燃料３５
は、噴孔４５の開口部全周から各噴孔４５に流入するた
め、図４に示す燃料噴射ノズル２７に比し噴射流量が向
上することとなる。

【００２２】従って、本実施例によれば、図４に示す噴
孔２５と同一径を以ってシート面４３に噴孔４５を設け
たにも拘わらず、当該噴孔４５からの噴射流量を向上さ
せることができるので、噴射流量を増す目的で噴孔４５
の径を従来の噴孔２５より大きくする必要がなく、その
結果、シート面４３とニードルバルブ３９の円錐部４１
とのシール性に支障を来すことがないし、燃焼室への燃
料３５の微粒化や貫徹性に支障を来してしまうこともな
く、又、燃料３５の“後ダレ”といった不具合もないた
め、排ガス中のＨＣ値が高くなってしまうこともない。

【００２３】尚、上記実施例では、各噴孔４５を結ぶ溝
を環状溝５１としたが、その形状は何ら環状に限定され
るものではないし、又、溝幅も上記実施例の寸法に限ら
れるものでないことは勿論である。

【００２４】

【発明の効果】以上述べたように、各請求項に係る燃料
噴射ノズルによれば、従来の燃料噴射ノズルに於ける噴
孔と同一径を以ってノズルボデーのシート面に噴孔を設
けたにも拘わらず、当該噴孔からの噴射流量を向上させ
ることができるので、噴射流量を増す目的で噴孔の径を
従来の噴孔より大きくする必要がなく、その結果、シー
ト面とニードルバルブの円錐部とのシール性に支障を来
すことがないし、燃焼室への燃料の微粒化や貫徹性に支
障を来してしまうこともなく、又、燃料の“後ダレ”と
いった不具合もないため、排ガス中のＨＣ値が高くなっ
てしまうこともない効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１及び請求項２に係る燃料噴射ノズルの
一実施例の要部断面図である。

【図２】図１のII−II線断面図である。

【図３】従来の燃料噴射ノズルの要部断面図である。

【図４】従来の他の燃料噴射ノズルの要部断面図であ
る。

【符号の説明】

３１ノズルボデー３９ニードルバルブ４１円錐部４３シート面４５噴孔４９燃料噴射ノズル５１環状溝

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シート面に数個の噴孔がノズル中心に対
し対称的に設けられたノズルボデー内に、各噴孔を開閉
するニードルバルブが往復動自在に挿入された直接噴射
式ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに於て、上記シート面に、隣接する各噴孔を結ぶ溝を設けたこと
を特徴とする燃料噴射ノズル。
【請求項２】溝は、ノズルボデーの中心軸を中心とす
る環状溝であることを特徴とする請求項１記載の燃料噴
射ノズル。