JPH0944920A - 光磁気ディスク用カートリッジ及びその製造方法 - Google Patents

光磁気ディスク用カートリッジ及びその製造方法

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JPH0944920A
JPH0944920A JP21100995A JP21100995A JPH0944920A JP H0944920 A JPH0944920 A JP H0944920A JP 21100995 A JP21100995 A JP 21100995A JP 21100995 A JP21100995 A JP 21100995A JP H0944920 A JPH0944920 A JP H0944920A
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JP
Japan
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cartridge
magneto
optical disk
elastomer
thermoplastic
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JP21100995A
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Inventor
Hiromitsu Matsuda
裕充 松田
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Inoac Corp
Original Assignee
Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐熱性及び帯電防止性などを有する光
磁気ディスク用カートリッジ及び射出成形法によってそ
のカートリッジを製造する方法を提供する。 【解決手段】 熱変形温度が130℃、重量平均分子量
が20000のポリカーボネート100重量部と、特定
の、表面抵抗率の低いポリアミド系熱可塑性エラストマ
ー30重量部を混合し、二軸押出機によって温度280
℃で混練して樹脂組成物を得た。その後、この樹脂組成
物を射出時の樹脂温度280℃、射出圧1000kgf
/cm2 及び金型温度70℃の条件で金型内に射出し、
厚さ1.0mmの成形壁を有する光磁気ディスク用カー
トリッジを成形した。次いで、恒温恒湿及び23℃、相
対湿度60%の雰囲気に静置し、製品とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
等の熱変形温度の高い樹脂をベースとする樹脂組成物か
らなり、耐熱性及び帯電防止性等に優れた光磁気ディス
ク用カートリッジ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、フロッピーディスク、ハードディ
スクといった磁性体を用いた商品が、記録媒体の主流と
して広く使用されているが、より記録容量が大きく且つ
リムーバブルな記録媒体として光ディスクが注目されて
おり、CD−ROM或いは追記型光ディスクとして利用
されている。しかし、これらの媒体はデータを任意に書
き込み及び消去することができないため、フロッピーデ
ィスク等の主流商品と完全に置き替わるまでには至って
いない。
【0003】そこで最近ではレーザーと磁性体の両技術
を応用し、書き込み/消去が可能な光磁気ディスク(以
下、MODということもある。)が開発された。この製
品はサイズ的には直径が130mm及び90mmのもの
が主流であり、この光磁気ディスクは、プラスチック製
のケース(以下、カートリッジということもある。)に
収納され、保護されている。
【0004】上記光磁気ディスク等へのデータの記録
は、ディスクの指定領域にレーザー光を照射してキュリ
ー点まで加熱した後、磁気ヘッドで磁気記録する方式に
よって実施されている。このデータ記録プロセスでの発
熱は微小であるが、それらが蓄積されるため、カートリ
ッジにも耐熱性が要求されている。更に軽量であって且
つ耐衝撃性、耐摩耗性、寸法安定性等に優れ、外観も良
好であり、また安価であることなど種々の条件が要求さ
れており、これらを満足する樹脂としてポリカーボネー
トが多用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のポリカ
ーボネートの他、オレフィン系樹脂、ABS樹脂、アク
リル樹脂等のプラスチックは、そのほとんどが電気絶縁
性が高く、帯電列の異なる物質と接触したものを剥離す
る場合或いはそれらとの摩擦等、により発生した静電気
が漏洩せず、そのまま蓄積してしまう性質を有してい
る。そのため空気中の埃等を吸着して汚れ易く、且つ人
に電撃の不安感、不快感を与え、更に静電気によるメモ
リーの破壊或いはMOD記録システムにおけるノイズ発
生など、様々な静電気障害を引き起こすことがある。
【0006】また、光磁気ディスク等をドライブさせる
記録装置には、送風機構により塵埃等を飛散させる工夫
もなされているが、静電気により付着した埃等はこの送
風くらいでは容易に除去することはできない。そこでこ
ういった静電気障害を防止するため、従来より下記のよ
うな方策が採られているが、それぞれに欠点があり更な
る改良が求められている。
【0007】(1) 原料樹脂に適量の各種界面活性剤を練
り込み、成形品の表面にこの界面活性剤をブリードアウ
トさせることにより帯電を防止し、また、帯電した場合
には速やかに気中放電する。この方法では、 成形品内部の界面活性剤が経時的に徐々に表面に移行
し、帯電が防止されるものであるが、界面活性剤は他の
物品との接触及び摩擦、或いは水その他の溶剤等による
洗浄などによって容易に成形品表面から除去されてしま
い、効果の持続性に乏しいという欠点がある。
【0008】樹脂と界面活性剤との極性の差が大きい
と相溶性が低く、界面活性剤の多くがブリードアウトし
て成形品表面がべとつき、カートリッジ用として使用で
きない。また、極性が近似している場合は、相溶性に優
れるため界面活性剤が成形品表面へ移行し難くなり、帯
電防止効果が低下する。更に、カートリッジ用として好
適な樹脂の極性に合った界面活性剤を選択することも容
易ではない。
【0009】ガラス転移点が低いプラスチックでは帯
電防止効果を付与し易いが、ポリカーボネートのように
ガラス転移点が150℃前後と非常に高い樹脂では、帯
電防止効果の付与が難しく、界面活性剤の添加量を増や
す必要がある。しかし、界面活性剤を増量した場合、衝
撃強度などの物性の低下を招くため好ましくない。 成形品を構成するプラスチックの結晶化度、結晶配向
などが異なれば、界面活性剤の成形品表面への移行の状
況も違ってくるため、帯電防止性能の発現時期、或いは
その持続性に差が生じる。
【0010】界面活性剤は一般に耐熱性はそれほど高
くはなく、成形加工時に分解することもある。 湿度依存性が高く、低湿度下での帯電防止効果が不十
分である。 また、特にの欠点などを改良するために、各種の導電
性フィラーを配合する方法もあるが、この導電性フィラ
ーは樹脂に均一に分散させることが難しく、また高価な
ものもあり、更に、成形品を任意に着色することもでき
ず、外観も損なわれる等の問題がある。
【0011】(2) ポリエチレンオキシド鎖を導電ユニッ
トとする親水性高分子を配合し、カートリッジ用樹脂を
アロイ化する。 この方法では、ポリエチレンオキシド鎖のエーテル結合
のため、上記の親水性高分子の熱分解温度は低く、例え
ばポリカーボネート等の成形温度の高い樹脂に配合する
ことは難しいという問題がある。その一方で、MODの
記録密度は100MBから230MB、将来は640M
Bにまで高まる動向にあり、より信頼性の高い且つ耐熱
性のあるカートリッジが求められており、その帯電防止
機能の向上が不可欠となっている。
【0012】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、表面抵抗率が低く且つ熱分解温度の高い特定のエラ
ストマーを、ポリカーボネート等の成形温度の高い樹脂
に適量配合することにより、帯電防止性及び耐熱性に優
れた光磁気ディスク用カートリッジ及びその製造方法を
提供することを課題とする。尚、本発明において、上記
耐熱性に優れたとは、熱変形に対する耐性が高い、即ち
熱変形温度が高いことを意味する。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1発明の光磁気ディス
ク用カートリッジは、熱変形温度が120℃以上の熱可
塑性樹脂と、熱分解温度が240℃以上のポリアミド系
熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物からなり、
その表面抵抗率が1×1012Ω/sq.以下であること
を特徴とする。
【0014】上記「熱変形温度(測定法;ASTM D
648)が120℃以上の熱可塑性樹脂」としては、ポ
リカーボネート、ポリフェニレンオキサイド等の他、熱
可塑性ポリエステルなどの、通常エンジニアリングプラ
スチックと呼ばれる成形温度、耐熱性ともに高い樹脂が
挙げられる。これらの中では、第2発明のように汎用樹
脂であって且つ比較的安価であり、強度、透明性等に優
れたポリカーボネートが好適である。
【0015】また、上記「ポリアミド系熱可塑性エラス
トマー」としては、その「熱分解温度(測定法;熱示差
分析法による。)が240℃以上」のものを使用し、例
えば第3発明の一般式〔1〕によって表されるエラスト
マー等を使用することができる。この熱分解温度が24
0℃未満では、成形温度の高い上記熱可塑性樹脂に配合
して成形した場合、このエラストマーが熱分解し使用す
ることができない。
【0016】一般式〔1〕中、「PA」で表されるポリ
アミドセグメントは、エラストマーの機械的強度及び耐
熱性を担う部分であり、その数平均分子量は800〜8
000の範囲が好ましい。この分子量が800未満で
は、エラストマーの強度及び耐熱性が低下して、ポリカ
ーボネート等の成形温度の高い樹脂と組み合わせて使用
することが難しくなる。また、分子量が8000を越え
る場合は、耐熱性等は高くなるものの、熱可塑性樹脂中
で効率的に分散、流動させることができず好ましくな
い。
【0017】更に、式中「PE」で表されるポリエーテ
ルセグメントは、エラストマーの導電性を担う部分であ
り、その数平均分子量は500〜2000の範囲が好ま
しい。この分子量が500未満では、エラストマーの導
電性が低下し、カートリッジに十分な帯電防止性を付与
することができない。また、分子量が2000を越える
場合は、導電性は向上するもののその熱分解温度は低く
なり、得られるカートリッジの耐熱性が著しく損なわれ
るため好ましくない。
【0018】上記熱可塑性樹脂の融点と熱分解温度との
温度差、約240℃と、上記ポリアミド系熱可塑性エラ
ストマーの軟化点と熱分解温度との温度差、約300℃
とは、50℃以上の範囲に渡って重なっている。そのた
め、成形時に、樹脂は流動状態であり、エラストマーは
軟化流動状態である条件を容易に設定することができ、
本発明のカートリッジの成形が可能となるものである。
この両温度差の重なりの範囲が20℃以上、特に50℃
以上であれば、エラストマーは樹脂中でより容易に流動
し、エラストマーがカートリッジの表層部に偏在し、且
つ連なった状態が形成され易く非常に好ましい。
【0019】本発明の「光磁気ディスク用カートリッ
ジ」は、その「表面抵抗率」が「1×1012Ω/sq.
以下」であり、この抵抗率であれば、帯電することはあ
るものの、その帯電は直ちに気中放電し、光磁気ディス
クに何ら影響を与えることはない。従来、ポリカーボネ
ート等の成形温度の高い樹脂では、上記のように表面抵
抗率の低いカートリッジを得ることはできなかったが、
本発明では、特定の熱分解温度の高いエラストマーを使
用することにより、十分な帯電防止性能を有するカート
リッジを製造することができる。
【0020】また、上記カートリッジでは、第4発明の
ように、エラストマーの全量の「50重量%以上」、好
ましくは60重量%以上が、表面から「10μmの厚
さ」、好ましくは表面から6μmの厚さの表層部に存在
し、且つ該表層部に存在するエラストマーの全量の「7
0重量%以上」、好ましくは80重量%以上が、樹脂組
成物の流動方向に「線状及び/又は層状に連なってい
る」ことが望ましい。
【0021】上記表層部におけるエラストマーの存在量
が全量の50重量%未満では、得られるカートリッジの
帯電防止性が不十分となり、更にそれら表層部のエラス
トマーが連なっている割合が70重量%未満では、たと
えエラストマーの大部分が表層部に存在していたとして
も、十分に帯電防止性に優れたカートリッジを得ること
はできない。尚、上記表層部に存在するエラストマーの
割合が60重量%以上であり、その表層部が表面から6
μmの厚さであって、且つ表層部のエラストマーの80
重量%以上が連なっておれば、エラストマーの配合割合
が比較的少量であっても優れた帯電防止効果が奏され、
また、熱可塑性樹脂が本来有する物性等も何ら損なわれ
ることがなく非常に好ましい。
【0022】その表層部が上記のような状態であるカー
トリッジは第5発明の製造方法によって製造することが
できる。第5発明の光磁気ディスク用カートリッジの製
造方法は、熱変形温度が120℃以上の熱可塑性樹脂
と、熱分解温度が240℃以上のポリアミド系熱可塑性
エラストマーを含有する樹脂組成物を用いて、射出成形
法によって光磁気ディスク用カートリッジを製造する方
法であって、上記熱可塑性樹脂を100重量部とした場
合に、上記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは5〜4
0重量部であり、240〜300℃の温度範囲にある上
記樹脂組成物を、射出圧700kgf/cm2 以上、金
型の温度40〜150℃の条件下で射出成形し、且つ成
形品の最大厚さを1.6mm以下とすることを特徴とす
る。
【0023】上記エラストマーの配合量は「5〜40重
量部」であり、この配合量が5重量部未満では、カート
リッジの帯電防止性が不十分となり、40重量部を越え
る場合は、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が本来有
する強度、耐熱性及び透明性等が低下する。エラストマ
ーの配合量は5〜35重量部、特に10〜30重量部の
範囲が好ましく、この範囲であれば帯電防止性と強度等
とのバランスのとれたカートリッジを得ることができ
る。
【0024】また、上記「射出圧」は「700kgf/
cm2 以上」であり、好ましくは800kgf/cm2
以上、より好ましくは1000kgf/cm2 以上であ
る。この圧が700kgf/cm2 未満では、上記「樹
脂組成物」の金型内での流速が低く、熱可塑性樹脂とエ
ラストマーとの粘度の違いによる流速の顕著な差が生ぜ
ず、エラストマーを表層部に十分に偏在させることがで
きない。尚、この射出圧の上限は1500kgf/cm
2 程度であり、優れた帯電防止性を有するカートリッジ
を得るうえで、これ以上の高圧とする必要はまったくな
い。
【0025】更に、上記「金型の温度」は「40〜15
0℃」であり、好ましくは50℃以上、より好ましくは
70℃以上である。この金型の温度が40℃未満である
場合も、樹脂組成物は、エラストマーが表層部に集中す
るほどの高速で流動せず、同様に本発明の特定の形態の
カートリッジは得られない。また、この温度が150℃
を越える場合は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの流動
性の差が顕著に表れず、従って同様にエラストマーの偏
在を生じ難い。上記射出圧が800kgf/cm2 以上
であり、上記金型の温度が50〜100℃の範囲であれ
ば、エラストマーの表層部への偏在の効果が大きくなり
より好ましい。
【0026】射出時の上記「樹脂組成物の温度」は「2
40〜300℃」であり、この温度が240℃未満で
は、型内での樹脂組成物の流動性が低下し、前記の特定
の形態のカートリッジを製造することができない。射出
温度が300℃を越える場合は、特にエラストマーの熱
劣化を生ずることがある。この温度は260〜280
℃、特に270〜280℃程度が好ましく、この範囲で
あれば熱可塑性樹脂及びエラストマーの本来の特性を何
ら損なうことなく、強度及び帯電防止性等に優れたカー
トリッジを製造することができる。
【0027】また、射出成形時のゲートは1点でもよい
し、複数でもよく、また、サイドゲートを用いてもよ
い。更に、成形品の最大厚さは1.6mmであり、1.
2mm以下であることが好ましい。この厚さが1.6m
mを越える場合、その部分及び近傍では、樹脂組成物は
エラストマーが表層部に集中するほどの高速で流動せ
ず、同様に本発明の特定の表層状態のカートリッジを得
ることができない。上記厚さが1.2mm以下、特に
1.0mm以下であれば、エラストマーの表層部への偏
在が容易且つ十分に生じ、より帯電防止性に優れたカー
トリッジを得ることができる。
【0028】従来より、フロッピーディスクなどの磁気
ディスクの保護容器としては、ABS樹脂などが多用さ
れている。このABS樹脂等は耐熱性もそれほど高くは
ないが、比較的低い温度で成形することができ、ポリエ
ーテルセグメントを導電ユニットとする耐熱性の低い導
電性高分子を配合し、帯電防止性能を有するカートリッ
ジを形成することができる。一方、記録媒体の大容量化
等に伴い、現在では光磁気ディスクが実用化されている
が、これらディスクではレーザー光照射による蓄熱のた
め、カートリッジの素材としても耐熱性の高いものが求
められている。
【0029】上記の要求に応えるため、ベース樹脂とし
てポリカーボネートが多用されているが、この樹脂は耐
熱性も高いが成形温度も高く、従来の耐熱性の低い導電
性高分子では使用することができない。そこで本発明で
は、特定のブロック構造を有する耐熱性の高いポリアミ
ド系熱可塑性エラストマーを使用することにより、上記
問題点を解決したものである。このエラストマーもポリ
エーテルセグメントを一部に有するものであるが、セグ
メントバランスを調節する程度のものであり、ポリアミ
ドセグメントが本来有する耐熱性が大きく損なわれるも
のではない。
【0030】また、本発明のカートリッジは、例えば第
5発明の方法等によって製造することができ、熱可塑性
樹脂とエラストマーとの溶融挙動の差により、エラスト
マーの多くがカートリッジの成形壁の表層部に偏在して
おり、しかもその多くが樹脂組成物の流動方向に配向
し、且つ連なって存在している。そのため、エラストマ
ーの有する導電性が長期間安定して且つ有効に作用し、
カートリッジの表面抵抗が低下して、帯電を防止、或い
は帯電しても速やかに気中放電するカートリッジとする
ことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の光磁気ディスク用カート
リッジは、ポリカーボネートに特定の熱分解温度の高い
ポリアミド系熱可塑性エラストマーを配合した樹脂組成
物を用い、特定の条件下に射出成形することにより得ら
れる。また、使用するエラストマーの屈折率を、ポリカ
ーボネートの屈折率を基準に適宜調整することにより、
鮮明な有彩色のカートリッジとすることができる。更
に、より分子結合エネルギーの高い、言い換えればより
耐熱性の高いエラストマーと、ポリフェニレンオキサイ
ド、熱可塑性ポリエステル等の耐熱性、成形温度ともに
より高い熱可塑性樹脂とを組み合わせることにより、更
に耐熱性の高いカートリッジを製造することもできる。
【0032】
【実施例】
実施例 熱変形温度が130℃、重量平均分子量が約20000
のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチッ
ク株式会社製、商品名「ノバテック」)100重量部
に、ポリエーテルポリアミド系熱可塑性エラストマー
(東レ株式会社製、商品名「ペバックス」)30重量部
を配合し、二軸押出機によって温度280℃で混練し、
カートリッジ成形用の樹脂組成物を得た。
【0033】上記樹脂組成物を使用し、射出成形法によ
って直径90mmの光磁気ディスク用のカートリッジを
成形した。射出時の樹脂温度は280℃、射出圧は10
00kgf/cm2 、金型温度は70℃として、厚さ
1.0mmの成形壁を有するカートリッジを得た。この
カートリッジを80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に
10時間静置して調湿し、その後、23℃、相対湿度6
0%の常温、常湿環境に48時間静置して常態調節して
製品とした。
【0034】上記のようにして製造した複数のカートリ
ッジの表面抵抗率を抵抗率計(三菱油化株式会社製、商
品名「ハイレスタIP」)によって測定したところ、3
×1010〜5×1011Ω/sq.の範囲であり、十分な
帯電防止性を有するカートリッジであることが分かっ
た。また、この優れた帯電防止性の耐久性を確認するた
め、エチルアルコールを含浸させた布によってこのカー
トリッジの表面を1000回連続的に擦った後、同様に
表面抵抗率を測定した。その結果、表面抵抗率は5×1
10〜1×1011Ω/sq.であって、擦る前と変化は
なく、本発明のカートリッジの帯電防止性は極めて耐久
性の高いものであることが確認された。
【0035】図1は、本実施例により得られたカートリ
ッジの表層部の様子を表す模式断面図であり、図の縦の
長さの実寸は約3μmである。この図により明らかな通
り、本発明のカートリッジでは、エラストマー2がカー
トリッジの表面1から約1μm程度の、表層部のうちで
もより最表層に偏在しており、且つそれらの多くが樹脂
の流動方向に線状に連なっていることが分かる。本発明
のカートリッジでは、表層部がこのような状態であるた
め、上記の優れた帯電防止性及びその耐久性が実現され
るものである。
【0036】尚、この実施例で得られたカートリッジの
表層部は図1の通りであるが、必ずしもこのように最表
層の1μm程度の厚さ部分により多くのエラストマーが
偏在する必要はなく、表面から3μm程度の厚さ部分に
大部分のエラストマーが偏在しておれば、十分に帯電防
止性に優れたカートリッジを得ることができる。また、
特に、表面から1.5μm程度の厚さ部分と、それより
内側で、且つ表面から3μm程度の厚さ部分とに存在す
るエラストマーの重量比が1/1〜3〜1の範囲であれ
ば、より優れた帯電防止性を有するカートリッジが得ら
れる。
【0037】比較例1 実施例において使用したエラストマーを、特殊カチオン
性ポリマー(第一工業製薬株式会社製、商品名「レオッ
クスAS」に代えた他は同様にして、厚さ1.0mmの
成形壁を有するカートリッジの製造を試みたが、特殊カ
チオン性ポリマーの耐熱性の不足のため、正常な成形品
を得ることができなかった。
【0038】比較例2 実施例において、金型の寸法を変更した他は同様にし
て、厚さ2.0mmの成形壁を有する複数のカートリッ
ジを得た。その表面抵抗率を実施例と同様にして測定し
たところ、いずれも1013Ω/sq.を越えて抵抗率計
はスケールオーバーしてしまった。また、図2は、この
比較例によって得られたカートリッジの表層部の様子を
表す模式図であり、この図により明らかな通り、比較例
のカートリッジでは、エラストマー2は最表層より内側
に多く存在しており、且つ粒状に独立して存在している
ことが分かる。このように比較例のカートリッジでは、
エラストマーがまったく連続していないため、その帯電
防止性能が劣っているものと考えられる。
【0039】また、他の比較例として、実施例におい
て、射出時の樹脂温度を305℃とした場合、及び金型
の温度を155℃とした場合について、実施例と同様に
して複数のカートリッジを製造した。これらのカートリ
ッジの表面抵抗率を実施例と同様にして測定したが、い
ずれも1013Ω/sq.を越えて抵抗率計はスケールオ
ーバーしてしまった。これらについては電子顕微鏡観察
は行わなかったが、抵抗率の結果からみて、図2に示す
ようにエラストマーが連なっていない状態であることが
予想される。
【0040】
【発明の効果】第1発明によれば、特定の高い熱分解温
度を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーを使用す
ることにより、ベース樹脂が第2発明のポリカーボネー
トのような成形温度の高いものである場合でも、優れた
帯電防止性を有する光磁気ディスク用カートリッジを得
ることができる。また、このエラストマーが第3発明の
一般式〔1〕で表されるものである場合は、特に優れた
帯電防止性を有するカートリッジが得られる。
【0041】更に、本発明の光磁気ディスク用カートリ
ッジでは、その表層部が第4発明のような状態である場
合に、より優れた帯電防止性が安定して維持される。ま
た、第5発明の特定の射出成形法によれば、本発明の帯
電防止性等に優れたカートリッジを容易に成形すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例により得られたカートリッジの表層部の
一部縦断面を、倍率15000倍で観察した電子顕微鏡
写真をトレースした模式断面図である。尚、図の縦の長
さの実寸は約3μmである。
【図2】比較例2により得られたカートリッジの表層部
の一部縦断面を、倍率15000倍で観察した電子顕微
鏡写真をトレースした模式断面図である。尚、図の縦の
長さの実寸は約3μmである。
【符号の説明】
1;光磁気ディスク用カートリッジの表面、2;ポリア
ミド系熱可塑性エラストマー、3;ポリカーボネート。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱変形温度が120℃以上の熱可塑性樹
    脂と、熱分解温度が240℃以上であるポリアミド系熱
    可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物からなり、そ
    の表面抵抗率が1×1012Ω/sq.以下であることを
    特徴とする光磁気ディスク用カートリッジ。
  2. 【請求項2】 上記熱可塑性樹脂はポリカーボネートで
    ある請求項1記載の光磁気ディスク用カートリッジ。
  3. 【請求項3】 上記ポリアミド系熱可塑性エラストマー
    は、下記の一般式〔1〕で表されるものである請求項1
    又は2記載の光磁気ディスク用カートリッジ。 【化1】 (上記式中、PAはハードセグメントであるポリアミ
    ド、PEはソフトセグメントであるポリエーテルを表
    し、nはセグメントブロックの繰り返し数である。)
  4. 【請求項4】 上記ポリアミド系熱可塑性エラストマー
    の全量の50重量%以上が、表面から10μmの厚さの
    表層部に存在し、且つ該表層部に存在するポリアミド系
    熱可塑性エラストマーの全量の70重量%以上が、上記
    樹脂組成物の流動方向に線状及び/又は層状に連なって
    いる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光磁気ディ
    スク用カートリッジ。
  5. 【請求項5】 熱変形温度が120℃以上の熱可塑性樹
    脂と、熱分解温度が240℃以上のポリアミド系熱可塑
    性エラストマーを含有する樹脂組成物を用いて、射出成
    形法によって光磁気ディスク用カートリッジを製造する
    方法であって、上記熱可塑性樹脂を100重量部とした
    場合に、上記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは5〜
    40重量部であり、240〜300℃の温度範囲にある
    上記樹脂組成物を、射出圧700kgf/cm2 以上、
    金型の温度40〜150℃の条件下射出成形し、且つ
    成形品の最大厚さを1.6mm以下とすることを特徴と
    する光磁気ディスク用カートリッジの製造方法。
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