JPH094488A - 内燃機関の急加減速制御方法および装置 - Google Patents

内燃機関の急加減速制御方法および装置

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JPH094488A
JPH094488A JP7150023A JP15002395A JPH094488A JP H094488 A JPH094488 A JP H094488A JP 7150023 A JP7150023 A JP 7150023A JP 15002395 A JP15002395 A JP 15002395A JP H094488 A JPH094488 A JP H094488A
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deceleration
time
acceleration
rapid
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JP7150023A
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Inventor
Yoshiaki Tsuino
義章 對野
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Yamaha Motor Co Ltd
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Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B61/00Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing
    • F02B61/04Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving propellers
    • F02B61/045Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving propellers for marine engines

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 4サイクルエンジンおよび2サイクルエンジ
ンにおける急加速または急減速中の速度変化に十分追従
できる急加減速制御方法および装置の提供を目的とする
とともに、特に2サイクルエンジンにおける加速性を向
上させるとともに減速時のエンジン焼付きやエンジンス
トールの防止を図った内燃機関の急加減速制御方法およ
び装置を提供する。 【構成】 所定の運転状態のときに一部の気筒の燃焼を
停止させる気筒休止制御を行う多気筒内燃機関の急加減
速時の点火時期および燃料噴射量制御方法において、急
加速時には運転状態に拘わらず全気筒運転を行うととも
に、点火を進角させかつ燃料噴射量を増量する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多気筒内燃機関の制御方
法および装置に関し、特に急加速および急減速時の点火
時期および燃料噴射量の制御方法および装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】2サイクルエンジンにおいては、加速時
に点火を遅角場合によっては進角させることにより良好
な加速作用が得られることが知られている。また、燃料
噴射式エンジンでは加速時に高出力を得るために通常燃
料が増量される。
【0003】一方、4サイクルエンジンにおいては、急
加速時のような高負荷状態では、点火後火炎が伝搬する
前に未燃焼混合ガスが自発着火して一時に急激な燃焼を
おこしその衝撃波が燃焼室壁をたたくノッキング現象が
起こる場合がある。従って、このようなノッキンング防
止のために点火時期を遅角させるように制御することが
ある。
【0004】一方減速時においては、燃費や出力低減の
ために燃料噴射を停止または減量している。
【0005】また、多気筒内燃機関においては、所定の
運転状態のときに一部の気筒の燃焼を停止させる気筒休
止制御が行われている。この気筒休止制御は、予めスロ
ットルバルブのイニシャル開度(全閉時の開度)を大き
くし、低回転域で燃焼を停止させる休止気筒を設けて燃
焼気筒数を減少させることにより、燃焼気筒に対する負
荷を大きくして燃焼の安定化を図るものである。
【0006】2サイクルエンジンにおいては、中低速回
転や低負荷時にシリンダ内のガス交換作用が低下して新
気が充分に吸入されず燃焼が不規則となって不正燃焼を
生ずることがある。このため、中低速域での回転安定性
が悪くなり、2サイクルエンジン特有の振動を発生した
り、また特に船外機においてはエンジンが水平に振動す
る首ふり現象が起こる。またこのような不正燃焼におけ
る排気ガス中には、燃焼が行われずそのまま排気される
燃料が含まれるため、無駄な燃料消費となり燃費の低下
となる。このような点を改善するため上記気筒休止運転
方法は2サイクルエンジンにおいては効果的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな気筒休止運転を急加速または急減速中に行うと、燃
焼気筒数が少ないため応答性が悪くなり、速度変化に追
従できなくなる場合があり運転者の意志に的確に即した
加減速運転ができなくなる。
【0008】また、加速運転時にノッキング防止のため
に点火時期を遅角させると良好な加速が得られない場合
もある。さらに、スロットル開度およびエンジン回転数
の検出の応答遅れによって、実際のエンジン要求に対し
て演算結果が追従しないため、エンジンに供給すべき燃
料の量や点火時期が不適当となる。また、減速運転時に
燃料噴射量を減少あるいは停止すると、燃料の気化熱が
不足しエンジンが焼き付きを起こす場合があり、また燃
料停止により出力が低下しすぎてエンジンストールを起
こす場合がある。
【0009】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなさ
れたものであって、4サイクルエンジンおよび2サイク
ルエンジンにおける急加速または急減速中の速度変化に
十分追従できる急加減速制御方法および装置の提供を目
的とするとともに、減速時のエンジン焼付きやエンジン
ストールの防止を図った内燃機関の急加減速制御方法お
よび装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、所定の運転状態のときに一部の気筒の
燃焼を停止させる気筒休止制御を行う多気筒内燃機関の
燃料噴射量を、急加速時には増量するようにした内燃機
関の急加減速制御方法において、急加速時には運転状態
に拘わらず全気筒運転を行うことを特徴とする内燃機関
の急加減速制御方法を提供する。
【0011】好ましい実施例においては、急加速時には
点火を進角あるいは遅角させることを特徴としている。
【0012】さらに好ましい実施例においては、前記点
火の進角値あるいは遅角値、および燃料の増量値は急加
速状態を検出した時点で最大とし、その後徐々に少なく
することを特徴としている。
【0013】別の好ましい実施例においては、予めエン
ジン回転数に対する前記進角値あるいは遅角遅、および
増量値を書込んだ補正用テーブルを作成し、急加速状態
が終了するまでこの補正用テーブルに従って点火時期お
よび燃料噴射量を補正制御することを特徴としている。
【0014】さらに別の好ましい実施例においては、急
加速検出時点でのエンジン回転数に応じて予め初期進角
値あるいは遅角値、および初期増量値を設定し、この初
期進角値あるいは初期遅角値、および初期増量値を一定
時間保持し、続いて一定時間内に進角値あるいは遅角値
および増量値がゼロになるような割合で進角値あるいは
遅角値および増量値を徐々に減少させることを特徴とし
ている。
【0015】さらに別の好ましい実施例においては、急
加速検出時点でのエンジン回転数に応じて予め初期進角
値あるいは遅角値、および初期増量値を設定し、この初
期進角値あるいは初期遅角値、および初期増量値を一定
時間保持し、続いて進角値あるいは遅角値および増量値
をそれぞれ一定の割合で減少させることを特徴としてい
る。
【0016】さらに別の好ましい実施例においては、急
減速時に運転状態に拘らず全気筒運転を行うようにした
ことを特徴としている。
【0017】さらに別の好ましい実施例においては、前
記多気筒内燃機関は、各気筒の燃焼室へ新気を導く給気
路と、該給気路の途中にスロットル弁が配置され、該給
気路のスロットル弁より下流部に燃料が噴射されるよう
にしてあり、急減速時に燃料噴射量を増量するようにし
たことを特徴としている。
【0018】さらに別の好ましい実施例においては、急
減速時に燃料噴射量を増量するとともに、急減速時の燃
料増量値は急減速状態を検知した時点で最大としその後
徐々に少なくすることを特徴としている。
【0019】さらに別の好ましい実施例においては、予
めエンジン回転数に対する前記急減速時の燃料増量値を
書込んだ補正用テーブルを作成し、急減速状態が終了す
るまでこの補正用テーブルに従って燃料噴射量を補正制
御することを特徴としている。
【0020】さらに別の好ましい実施例においては、急
減速検出時点でのエンジン回転数に応じて予め初期増量
値を設定し、この初期増量値を一定時間保持し、続いて
一定時間内に増量値がゼロになるような割合で増量値を
徐々に減少させることを特徴としている。
【0021】さらに別の好ましい実施例においては、急
減速検出時点でのエンジン回転数に応じて予め初期増量
値を設定し、この増量値を一定時間保持し、続いて一定
時間内に増量値を一定の割合で減少させることを特徴と
している。
【0022】さらに別の好ましい実施例においては、急
減速時に点火を所定時間進角させることを特徴としてい
る。
【0023】さらに別の好ましい実施例においては、前
記多気筒内燃機関は、各気筒の燃焼室へ新気を導く給気
路と、該給気路の途中にスロットル弁が配置され、該給
気路のスロットル弁より下流部に燃料が噴射されるよう
にしてあり、急減速時に燃料噴射量を増量するようにし
たことを特徴とするとともに、急減速時に点火を所定時
間進角させることを特徴としている。
【0024】さらに別の好ましい実施例においては、急
減速時に点火を所定時間進角させるとともに、進角値は
急減速状態を検知した時点で最大としその後徐々に少な
くすることを特徴としている。
【0025】さらに別の好ましい実施例においては、予
めエンジン回転数に対する前記進角値を書込んだ補正用
テーブルを作成し、急減速状態が終了するまでこの補正
用テーブルに従って点火時間を補正制御することを特徴
としている。
【0026】さらに別の好ましい実施例においては、急
減速検出時点でのエンジン回転数に応じて予め初期進角
値を設定し、この遅角値を一定時間保持し、続いて一定
時間内に遅角値を一定の割合で減少させることを特徴と
している。
【0027】本発明においてはさらに、複数の気筒と、
エンジンの各種運転状態を検出する手段と、上記検出手
段の検出結果からエンジンの急加速および急減速を判定
する手段と、燃料噴射手段と、点火手段と、上記検出手
段の検出結果に応じて上記燃料噴射手段および点火手段
の制御量を演算する演算処理手段とを有し、上記演算処
理手段はエンジン駆動制御のための各種イベントを実行
するメインルーチンからなるプログラムを備え、このプ
ログラムは所定の運転状態のときに特定の気筒の燃焼を
停止する気筒休止運転ルーチンを有する内燃機関の急加
減速制御装置において、前記プログラムは、前記判定手
段により急加速または急減速と判定されたときに、運転
状態に拘らず気筒休止ルーチンを停止して全気筒運転を
行うとともに、急加速時には点火を進角あるいは遅角さ
せ、且つ燃料噴射量を増量し、急加速時には燃料を増量
するように構成されたことを特徴とする内燃機関の急加
減速制御装置を提供する。
【0028】この急加減速制御装置の好ましい実施例に
おいては、急減速時には所定時間進角するように構成さ
れたことを特徴としている。
【0029】
【作用】急加速と判定されると、休筒制御を行っている
場合に直ちに中止し全気筒運転とするので、出力気筒が
増加し全気筒で出力が発生し大きなエンジン出力が得ら
れる。
【0030】急加速時には、スロットル開度が大きくさ
れ燃焼室内への新気供給路の通路抵抗が減少する。且つ
エンジン回転数の上昇は遅れるので新気供給路の流速の
低い分通路の摩擦抵抗等が減少し、各燃焼サイクルにお
ける吸気行程において、燃焼室への空気量が増加する。
一方、燃料の増加が遅れると空燃比が大きくなり、燃焼
に要する時間あるいはクランク角度が大きくなってしま
う。また、ピストン速度が低い分燃焼室に吸引される空
気の速度が遅く、スワール流やタンデム流等が弱くなる
分、燃焼に要する時間あるいはクランク角度が大きくな
ってしまう。この場合、点火時期を早めると最大圧力の
クランク角が適正となり、大きな出力が得られることと
なる。
【0031】急加速時には、燃焼室での空燃比が大きく
なるので、燃料を一時的に増量することにより、空燃比
の過大化が緩和されるとともに、発生熱量そのものが増
加し出力が上昇する。
【0032】なお、急加速時には給気抵抗が減少するた
め、ブースト圧が上昇(負圧が低下)し且つ燃焼室への
空気量が増加する分圧縮比は上昇する。
【0033】そして、時間の経過とともにエンジン回転
数が上昇し、燃焼室内への新気供給路における流速が増
加し、摩擦抵抗が増加する分、吸気行程において燃焼室
への新気量が減少し、燃焼室での空燃比の増加が緩和さ
れる。また、ピストン速度の上昇とともに燃焼室に流入
する新気の運動量が増加し、点火後の燃焼速度が増加す
る。よって進角度を低下させることにより、最高圧力の
出るクランク角を維持でき出力の落ち込みがない。な
お、急加速後の時間の経過とともに、給気抵抗が増加
し、ブースト圧が低下(負圧が増大)し且つ燃焼室への
空気量が減少し圧縮比は減少する。
【0034】一方、燃焼室の中央部から離れて点火プラ
グが配置されたもの、圧縮比が高いもの、給気温度が高
くなり易いもの等ではノッキングが発生し易く、急加速
時のようにブースト圧が高くなるとともに、圧縮比も高
めとなる場合、4サイクルエンジンでも2サイクルエン
ジンでもノッキングが発生し易くなる。この場合点火時
期を遅らせるとノッキングの発生がなくなり、安定した
燃焼を得ることができ、性能低下が防止できる。
【0035】すなわち、4サイクルエンジンおよび2サ
イクルエンジンにおいて、急加速時ノッキングの出易い
タイプのエンジンでは急加速時を一時的に遅角させ、そ
うでない場合には急加速時を一時的に進角させることに
より高い出力が得られ加速性能が向上する。
【0036】急加速時には、スロットル開度が小さくさ
れ燃焼室内への新気供給路の通路抵抗が増大する。且つ
エンジン回転数の減少は遅れるので、吸気行程において
燃焼室への新気量が減少する。
【0037】且つ燃焼室への新気供給路の途中に燃料を
噴射するものでは、急減速により新気供給路を流れる空
気の量が減る分、急減速直前に比べて流速が減少し、噴
射された燃料が気化せず新気供給路壁を流れる壁面流
(液膜流)が一時的に増加し、空気の量が減る分以上に
燃焼室に到達する燃料が減少してしまう。このため、燃
焼室における空燃比が一時的に増加し、燃焼速度が低下
してしまう。
【0038】この急減速時燃料を増量することにより、
空気流速が低下による壁面流(液膜流)の割合増加があ
っても、燃焼室における空燃比を適正に保ち、急激な出
力低下を防止できる。且つ、エンジン回転数の低下が遅
れる分潤滑条件が悪くなるが、燃料を増量することによ
り燃料の気化熱を確保し、温度の過熱を防止できる。こ
の急減速時進角することにより、空燃比の増加による燃
焼速度の低下による最大圧力のクランク角が適正とな
り、急激な出力低下を防止できる。2サイクルエンジン
においては、空気量の低下により残留排気ガス量の割合
が増加し燃焼が不安定になり、空燃比の増大と相まって
失火し易くなるが、空燃比の増大により失火が防止でき
る。また、空燃比の増大あるいは点火時期の進角化によ
り急激な出力低下も防止できることからエンジンストー
ルを防止可能となる。
【0039】急減速後時間の経過とともに、新気供給路
壁を流れる壁面流(液膜流)が空気流量、流速に見合っ
た量に適正化され、燃焼室における空燃比が適正化して
行く。
【0040】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例について
説明する。以下の実施例は、6気筒2サイクルエンジン
の2機掛け船外機を例にしたものである。2機掛けエン
ジンは船体の船尾に2機のエンジンを装着したものであ
り、海上等において充分な推進力を得るとともに、どち
らか一方のエンジンが故障した場合であっても航行を可
能として帰港の確保を図るための構成である。
【0041】このような2機掛けエンジンの駆動制御を
行う場合、各エンジンはそれぞれ独自に運転可能とする
必要があるため、各エンジンごとに駆動制御装置を有し
ている。各制御装置は、エンジン回転速度、スロットル
開度、アクセル位置、吸気管負圧等のいわゆる負荷、吸
気温度、排気ガス酸素濃度、シフト位置等の各種運転状
態を検出し、この検出情報に基づいて、予め定めた制御
プログラムに従って、そのときの最適空燃比や燃料噴射
量、噴射タイミング、点火タイミング等を演算し、この
演算値を基にエンジンを駆動制御している。この場合、
上記制御プログラムは、検出情報の読み込みルーチン
と、読み込んだ検出情報に基づいて各制御量を演算する
複数の演算ルーチンを予め定めたシーケンスに従って配
置したメインルーチンを有し、このメインルーチンに従
って演算処理が行われる。
【0042】図1は、このような2機掛けエンジンの各
種運転状態を検出するための検出手段および燃料噴射や
点火を駆動する手段を含む駆動制御システムの詳細を示
す。この例は2機掛けされる船舶用6気筒エンジンの一
方の制御システムを代表して示す。
【0043】気筒検出手段#1〜#6は、クランク軸廻
りに6個配置され、メインルーチンで実施される各気筒
についてイベント割込み(TDC割込み)を実行するた
めのトリガ信号を発生する。これは、例えば各気筒のピ
ストンが上死点またはそれより所定角度(クランク角
度)手前に位置する瞬間に信号を発するように構成す
る。従って、本実施例ではクランク軸の1回転中に60
度ごとに1つの気筒検出信号(TDC信号)が各気筒#
1〜#6から順番に演算処理装置に送られる。このイベ
ント割込みフローの中で、メインルーチン中に求められ
た各気筒についての制御演算結果に基づいて点火及び燃
料噴射が実施される。
【0044】クランク角検出手段は、点火時期制御のベ
ースとなる角度パルスを発するものであり、クランク軸
に係合するリングギヤの歯数に対応してパルス信号を発
する。例えばギヤ歯数112歯に対応して1回転中に4
48パルスを発するように構成すれば、1パルスごとに
クランク軸が0.8度回転することになる。
【0045】スロットル開度検出手段は、吸気マニホル
ドに設けたスロットル弁の開度に応じてアナログ電圧信
号を発する。演算処理装置はこのアナログ信号をA/D
変換してマップ読取り等の演算処理を行う。
【0046】さらに詳しくいうと、スロットルレバーに
連結されたスロットルワイヤのリンクがスロットル弁の
弁軸の一端に接続されている。この弁軸の反対側の端部
に抵抗摺動式のセンサーが取りつけられる。スロットル
弁の開度に応じて弁軸が回転しセンサーの抵抗値が変わ
る。この抵抗値変化を電圧変化としてとり出しスロット
ル開度の検出信号とする。
【0047】次のトリム角度検出手段から吸気温度検出
手段までは、エンジンの運転条件に対する環境変化があ
った場合にこの変化に応じて制御量を補正するためのも
のである。トリム角度検出手段は、船外機の取付け角度
を検出するものである。E/G温度検出手段は、各気筒
(または特定の基準気筒)のシリンダブロックに温度セ
ンサーを取付けその気筒の温度を検出するものである。
大気圧検出手段は、カウリング内の適当な位置に設けら
れる。吸気温度検出手段は吸気通路上の適当な位置に設
けられる。大気圧および吸気温度は空気の体積に直接影
響するものであり、演算処理装置は、これらの大気圧お
よび吸気温度の検出値に応じて空燃比等の制御量に対す
る補正演算を行う。
【0048】既燃ガス検出手段は、酸素濃度センサー
(O2センサ)のことである。検出した酸素濃度に応じ
て燃料噴射量等のフィードバック制御を行う。
【0049】ノック検出手段は、各気筒の異常燃焼を検
出するものであり、ノッキングがおきた場合に点火を遅
角側にシフトさせたりまたは燃料をリッチ側に設定して
ノッキングを解消し、エンジンの損傷発生を防止する。
【0050】オイルレベル検出手段は、カウリング内の
サブタンクおよび船内のメインタンクの両方にレベルセ
ンサーを設けたものである。
【0051】サーモスイッチは、バイメタル式温度セン
サー等の応答性の速いセンサーからなり、冷却系異常等
によるエンジンの温度上昇等を検出し焼き付きを防止す
るための失火制御を行う。なお、前述のエンジン温度検
出手段はシリンダブロックに設けられ燃料噴射の制御量
補正のために使用されるが、このサーモスイッチはエン
ジンの温度上昇に直ちに対処するため応答性が速いこと
が要求される。
【0052】シフトカットスイッチは、クラッチを切り
替えるためのシフトケーブルのテンションを検出してプ
ロペラに直結するドッグクラッチの切り替えを容易にす
るためのものである。
【0053】DES検出手段は、2機掛け運転の場合他
のエンジンに異常による失火運転状態を知らせるための
信号であるDESを検知するものである。すなわち、該
手段は船尾に船外機を2台並列して備えた型式の船舶に
おいて、一方の船外機のエンジンがオイル不足、温度上
昇等により失火制御を行っている場合には、そのエンジ
ンのDES出力手段からDESが出力されており、この
DESを検出しこの失火運転状態を検知するためのもの
である。このDESの検出により、他方のエンジンも同
様に失火制御を行って、両方のエンジンの運転状態を同
じにして走行のバランスを保つ。
【0054】バッテリ電圧検出手段は、インジェクタの
駆動電源電圧の変化によりバルブの開閉動作の速さが変
り吐出量が変化するため、バッテリ電圧を検出してこの
電圧に基づいて噴射量を補正制御するために用いる。
【0055】スタータスイッチ検出手段は、エンジンが
始動運転中かどうかを検出するためのものである。始動
状態であれば、燃料のリッチ化等を行い始動運転用の制
御を行う。
【0056】2種類あるE/Gストップスイッチ検出手
段は、エンジン停止操作スイッチや落水検知スイッチの
ことであり、このうち落水検知スイッチは落水事故等の
緊急状態を検出するものであり、緊急時にエンジンを直
ちに停止するように制御する。この2種のE/Gストッ
プスイッチ検出手段を図中便宜上一つのE/Gストップ
スイッチ検出手段として表示する。
【0057】以上のような各検出手段からの入力信号に
基づいて、演算処理装置内で各制御量の演算を行い、演
算結果に基づいて出力側(図1の右側)の燃料噴射手段
#1〜#6、点火手段#1〜#6、燃料ポンプおよびオ
イルポンプを駆動制御する。なお、燃料噴射手段および
点火手段はそれぞれ、インジェクタおよび点火プラグで
あり、各気筒ごとに独立して順番に制御される。
【0058】このような演算処理装置での演算を実行す
るために、図示したように、演算処理装置には、制御プ
ログラムやマップ等を格納したROM等からなる不揮発
性メモリおよび各検出信号やこれに基づく演算のための
一時的なデータを記憶するためのRAM等からなる揮発
性メモリが備る。
【0059】次に、図2を参照して、本発明が適用され
る船外機エンジンの点火時期制御および燃料噴射制御に
ついて説明する。図2はこのような制御フローを実行す
るための構成を示すブロック図である。各ブロックは、
前述の図1の演算処理装置内に演算処理回路として組込
まれている。
【0060】気筒判別手段201は、気筒検出手段#1
〜#6(図1)に対応するものであり、各気筒からの入
力信号に基づいてその気筒番号を判別する。周期計測手
段1000は、この気筒検出手段からの検出信号に基づ
いて、各気筒からの入力信号の時間間隔を計測し、これ
を6倍することにより1回転の時間(周期)を算出す
る。エンジン回転数算出手段203は、この周期の逆数
を演算して回転数を求める。スロットル開度読み込み手
段204は、スロットル開度に対応したアナログ電圧信
号により開度を読み込む。
【0061】スロットル開度読み込み手段204からの
スロットル開度信号はA/D変換され、E/G回転数算
出手段203からの回転数信号とともに、基本点火時期
算出手段210および基本燃料噴射算出手段211に送
られ、基準気筒である#1の気筒の点火時期および燃料
噴射量がそれぞれ3次元マップを用いて算出される。こ
のエンジン回転数信号およびスロットル開度信号は、さ
らに気筒別点火時期補正値演算手段208および気筒別
燃料噴射量補正値演算手段209に送られ、残りの気筒
#2〜#6についての基本点火時期および基本噴射量に
対する補正値を各気筒ごとにマップ演算して求める。
【0062】一方、トリム角度読み込み手段205、機
関温度読み込み手段206および大気圧読み込み手段2
07は、それぞれの検出手段(図1)からの検出信号を
読取り、これを点火時期補正値算出手段212および燃
料噴射量補正値算出手段213に送り、各運転状態に応
じた補正値を算出する。この場合、点火時期補正値につ
いては、基本点火進角の値に対して加算する補正進角
(あるいは遅角)の角度数を、各読み込みデータの種類
ごとに予め記憶させたマップにより求める。また、燃料
噴射量の補正値については、予め定めた比例係数を基本
噴射量に対し乗算することにより求める。
【0063】なお、点火時期補正および燃料噴射量補正
について、図示していないが、さらに吸気温度の検出デ
ータを各算出手段212、213に入力して吸気温度に
基づく補正を行ってもよい。
【0064】点火時期補正値算出手段212および燃料
噴射量補正値算出手段213の算出出力は、それぞれ点
火時期補正手段214および燃料噴射量補正手段215
に入力され、ここで基本点火時期および基本燃料噴射の
算出値に加算して#1気筒の点火時期および燃料噴射の
制御量が算出される。
【0065】この基準気筒#1の点火時期および燃料噴
射の制御量は気筒別点火時期補正手段216および気筒
別燃料噴射量補正手段217に入力され、ここで#1気
筒についての補正された基本点火時期および燃料噴射量
に対し、#2〜#6の気筒についての気筒別点火時期補
正量演算手段208および気筒別燃料噴射量補正値演算
手段209による制御補正量を加えることにより、#2
〜#6までの気筒の点火時期および燃料噴射量の制御量
が算出される。
【0066】このようにして算出された#1から#6ま
での各気筒に対する点火時期および燃料噴射の制御量に
基づいて、点火出力手段218は、各気筒ごとの点火進
角の角度の値で算出された制御量をタイマーセットし、
燃料出力手段219は開弁時間に相当するクランク角を
タイマーセットする。
【0067】図3および図4は、本発明の実施例に係る
2機掛けエンジンのそれぞれのエンジンについての制御
全体のフローチャートである。このフローチャートは、
各エンジンの制御装置(演算処理装置)のCPUに組込
まれた制御プロセス全体のシーケンスプログラムを示す
メインルーチンのフローである。
【0068】メインスイッチが投入され電源が立上がっ
てエンジン操作が開始されると、所定のリセット時間後
まず制御処理装置内の各処理回路が初期化される(ステ
ップS11)。
【0069】次にステップS12において、運転状態が
判断され結果がメモリに保持される。ここでは、メイン
スイッチのON,0FF情報、図1のスタータSW検出
手段を使って読み込まれたスタータSWのON,OFF
情報、及びクランク角検出手段から読み取られるクラン
ク角パルス列から算出されるエンジン回転数情報により
始動状態か否か判断する始動判断、スロットル開度検出
手段から読み取られるスロットル開度情報、エンジン回
転数情報、DES検出手段により読み取られる他方の船
外機の運転状態情報であるDES情報、あるいは下記す
るオーバーヒート、オイル不足等の異常状態情報、ある
いはスロットル開度情報の時間変化から算出される急加
減速情報等に基づき特定気筒を休止すべきかどうかの気
筒休止判断、主にスロットル開度情報、エンジン回転数
情報に基づき酸素濃度のフィードバック制御を行うかど
うかの判断、及び主に同2つの情報に基づき特定の制御
条件の場合に制御データを学習記憶させるかどうかの判
断、エンジン回転数情報に基づき過剰回転にあるかどう
かのオーバーレボ判断、スロットル開度情報、エンジン
回転数情報及びエンジン(E/G)温度検出手段あるい
はそのより具体的手段であるサーモSWによる温度情報
に基づきオーバーヒート状態であるかどうかのオーバー
ヒート判断、スロットル開度情報、エンジン回転数情報
及びオイルレベル検出手段による残存オイル量情報に基
づき残存オイル量が少ないかどうかのオイルエンプティ
判断を行う。過剰回転状態、オーバーヒート状態及び残
存オイル量少状態の場合は下記するように失火制御を行
う。ステップS12においてはさらに、スロットル情
報、クランク角情報、O2センサ情報あるいはクランク
角検出手段の一種であるパルサーコイルからのパルサー
情報に基づき、これらの情報が欠落あるいは異常である
フェール状態であるか否かのフェール判断、2機掛け運
転信号により他の船外機も運転されている2機掛け運転
状態にあるかどうかの判断、及び気筒休止状態信号によ
り他方の船外機が気筒休止運転状態にあるかの判断、及
びDES(異常対応の失火制御状態を報知する信号)に
より他方の船外機が異常対応の失火制御状態にあるかの
判断の3つの判断からなる2機掛け運転状態判断、前記
したスロットル開度情報の時間変化から急加減速状態に
あるかどうかの急加減速判断、高速回転状態からのシフ
ト操作時作動するシフトカットSWのON,OFF情報
に基づくシフトカット状態にあるかどうかのシフトカッ
ト判断がなされる。
【0070】このような判断は、前のルーチンにおいて
読取ったセンサーからの検出情報や演算結果等の各種情
報に基づいて行われる。
【0071】次にステップS13において、ループ1の
ルーチンワークを行うかどうかの判別が行われる。YE
Sであれば、ステップS14に進みスイッチ情報の読み
込みが行われる。ここではE/Gストップスイッチ検出
手段、メインスイッチ、スタータスイッチ検出手段およ
びサーモSWからの情報が読取られる。続いてステップ
S15において、ノックセンサー(ノック検出手段)お
よびスロットルセンサー(スロットル開度検出手段)か
らの情報が読取られる。このループ1による情報読み込
みの終了後ステップS16に進み、ループ2のルーチン
ワークを行うかどうかが判別される。
【0072】演算処理装置はハード的あるいはソフト的
に4ms間隔でループ1の処理用フラグ1を1にセット
し、8ms間隔でループ2の処理用フラグ2を1にセッ
トする。
【0073】図5はこのようなループ1およびループ2
を実行するためのタイマー割込みのフローチャートであ
る。このようなタイマーのセットはイニシャライズステ
ップS11において行われ、各ループ1、2のルーチン
を実行中にはそのフラグがセットされるとともに次回の
そのルーチンのためのタイマーがセットされる。
【0074】図3に戻り、ステップS13において、フ
ラグ1をチェックし1であればステップS14、ステッ
プS15を実施する。なお、ステップS14に進むと同
時にフラグ1はクリアされ0となる。ステップS13に
おいて、フラグ1が0であることが確認されると、ステ
ップS16に進み、フラグ2が1であるかをチェックす
る。フラグ2が1であればステップS17に進むと同時
にフラグ2はクリアされ0となる。ステップS16でフ
ラグ2が0である場合はステップS12に戻る。
【0075】ステップS17においては、オイルレベル
の検出、高回転状態からのシフト操作時大となるシフト
ケーブルのテンションに応じて作動し、テンションが大
なる時ONとなるシフトカットスイッチのON,OFF
状態の検知、およびエンジン2機掛け運転信号、気筒休
止状態信号及びDES信号の検出が行われる。さらにス
テップS18において、大気圧情報、吸気温度情報、ト
リム角情報、エンジン温度情報、バッテリ電圧情報、お
よびノックセンサからのノッキング情報が大気圧検出手
段、吸気温度検出手段、トリム角度検出手段、E/G
(エンジン)温度検出手段、バッテリ電圧検出手段、及
びノック検出手段によりそれぞれ読取られる。
【0076】次に、ステップS19において、失火制御
が行われる。これは、読み込んだ情報から、前記ステッ
プS12の運転状態判断において、過回転、所定以上の
スロットル開度及びエンジン回転数におけるオーバーヒ
ート、オイルエンプティ等の異常状態にある、あるいは
他のエンジンが異常状態にあるとの判断結果が検出され
たときに、特定気筒の失火を行うように燃料制御するも
のである。さらに、下記するステップS24の気筒別補
正において、失火させる気筒の燃料噴射量を他の気筒よ
り半減させるべく、失火制御状態にあることをメモリに
出力する失火時燃料制御が実施される。次に、エンジン
が回転しているかどうかの判断およびオイルタンクのレ
ベルセンサーからの情報に基づいて、燃料ポンプおよび
オイルポンプが駆動制御される(ステップS20)。こ
れは、燃料については、エンジンが回転中ならば燃料ポ
ンプを駆動し、エンジン停止中ならば燃料ポンプを停止
し、オイルについては、オイルタンク内の量が少ないと
きにポンプを駆動して船体内のオイルタンクからオイル
を補給するかエンジン回転数を低下させオイル消費量を
低下させるものである。
【0077】次に、ステップS21において、気筒休止
判断結果の判別を行う。これは、前述の運転状態判断ス
テップS12において、所定の低負荷低回転状態のとき
に休筒運転を行う判断をした場合に、演算処理のマップ
を選択するための判別ステップである。休筒運転でなけ
れば通常の全気筒運転による通常運転マップを用いて点
火時期および噴射時間の基本演算およびこれに対する気
筒別の補正演算を行う(ステップS22)。なお、失火
制御状態にあるかどうかの判断もなされ、失火制御状態
にある場合は失火気筒にも、他の点火気筒への燃料噴射
量と同じか所定割合を減じた燃料を供給すべく噴射時間
の設定がなされる。これにより所定以上のスロットル開
度及びエンジン回転数の時からの失火制御においても燃
料と共にオイルを供給でき損傷を防止できる。休筒運転
状態であれば、特定の気筒を休止した休筒運転用の気筒
休止マップを用いて点火時期および噴射時間の演算およ
び気筒別の補正演算を行う(ステップS24)。
【0078】次に、図4のステップS23において、大
気圧やトリム角等の運転状態に応じて、基本の点火時期
や燃料噴射に対する補正値が演算される。続いて、ステ
ップS25において、酸素濃度のフィードバック制御に
伴う補正値が演算される。このとき、演算情報の学習判
定とO2センサーの活性化の判定が行われる。さらに、
ステ ップS26において、ノックセンサーからの検出
信号に基づいて、エンジンの焼き付き防止等のために制
御量の補正値が演算される。
【0079】次にステップS27において、基本の点火
時期および燃料噴射の制御量に対し補正値を加えて最適
な点火時期、噴射時間および噴射時期を演算する。この
後、ステップS290において、エンジン停止前制御の
演算が行われる。これは、ステップS12で、メインス
イッチあるいはエンジンストップスイッチ等が切られ
て、エンジン停止状態と判断された場合に、再始動を考
慮して点火のみを止めて燃料噴射は所定時間継続するた
めの制御ルーチンである。以上によりループ2のルーチ
ンを終了し、元の運転状態判断ステップS12に戻る。
【0080】図6はTDC割込みルーチンのフローを示
す。クランク軸には各気筒検出手段近傍を順次通過する
時各気筒においてピストンが上死点にあることを知らせ
る信号を各気筒検出手段から出力させるマーカが固着さ
れている。TDC割込みとは、#1から#6までの気筒
検出手段による各気筒からのTDC信号の入力に基づ
き、随時メインルーチンに割込まれるルーチンである。
【0081】まず、信号が入力された気筒の番号を判定
する(ステップS28)。次にその気筒番号を前回の入
力信号の気筒番号と比較することにより、運転すべき回
転方向に対するエンジンの正逆回転を判定する(ステッ
プS29)。逆転していればエンジンを直ちに停止する
(ステップS33)。エンジンが正転していれば、例え
ば#1と#2の気筒間の時間間隔をカウントしてこれを
6倍することによりエンジン回転の周期を算出する(ス
テップS30)。続いてこの周期の逆数を演算すること
により、回転数を算出する(ステップS31)。この回
転数が予め定めた所定の回転数よりも小さいときには、
エンジンを停止する(ステップS32、33)。
【0082】次に、ステップS34において、入力され
たTDC割込み信号が特定の基準気筒#1からのものか
どうかが判別される。基準気筒#1からの信号であれ
ば、休筒運転状態かどうかが判別され(ステップS3
5)、休筒運転中であれば、休止すべき気筒のパターン
を変更すべきかどうかが判別され(ステップS37)、
パターンを切り替え(ステップS38)または切り替え
ずにそのままステップS39に進み、点火制御による休
筒運転情報をセットする。割込み信号が#1からでない
場合(ステップS34)あるいは休筒運転中でない場合
(ステップS35)には、そのまま、あるいは休筒情報
をクリアして(ステップS36)ステップS39に進
み、点火制御による休筒運転情報をセットする。この点
火休筒情報に基づき点火すべき気筒の点火パルスをセッ
トする(ステップS40)。
【0083】この点火パルスセットの詳細を図7に示
す。演算により求められる点火時期は、V型6気筒エン
ジンにおいて、TDCより60度前のクランク角すなわ
ち基準に何度になるかに換算され、0.8で割ってパル
ス数にまるめられる。60度前にTDCとなる気筒のT
DC信号が入力されると、点火出力手段218を構成す
るタイマーにまるめられたパルス数のデータが保持され
ると同時に、以降クランク角検出手段からのパルスがタ
イマーに届くごとに、保持するパルス数を1づつ減じて
いき、保持パルス数が0となると、点火出力手段218
が点火プラグ19をスパークさせる。
【0084】本実施例は、例えば6気筒のV型2バンク
型式のエンジンを対象とし、奇数番号の気筒(#1、
3、5)を左バンクに配設し、偶数番号の気筒(#2、
4、6)を右バンクに配設している。これらの気筒をバ
ンクごとに制御するために、バンクごとに別のタイマー
を有している。これらのタイマーに点火時期に対応する
クランク角パルス数をセットする場合、図示したよう
に、まず気筒番号が偶数か奇数かを判別し、偶数か奇数
かに応じてそれぞれ点火時期データを対応するバンクの
タイマー(図では奇数バンクをタイマ3、偶数バンクを
タイマ4としている)にセットし、点火気筒番号をセッ
トする。
【0085】その後、点火制御において失火させる休止
気筒について燃料噴射制御における燃料噴射量を減少さ
せる気筒を燃料噴射制御による休筒情報としてセットし
(図8のステップS41)、該点火制御において失火さ
せる休止気筒について算出される燃料噴射の制御量より
減少させた燃料噴射量に対応する噴射時間と、その他の
気筒について算出される燃料噴射の制御量に対応した噴
射時間に、それぞれ気筒ごとに対応した噴射パルスをセ
ットする(ステップS42)。
【0086】前述のエンジン周期を計測する場合、1つ
の気筒からの入力信号(TDC信号)があると、これに
応じて図6のTDC割込みが行われるとともに、TDC
周期計測タイマーがTDC信号の入力時点で一定周波数
パルスのパルス数のカウントを開始し、次の気筒のTD
C信号が入力した時点でリセットされ次の気筒のカウン
トを開始する。この場合、カウント値が所定値以上にな
ると、オーバーフローとなりカウントがリセットされ
る。このオーバーフローが起きた時点、即ち、クランク
角60度の周期が所定以上の時間である低速回転である
ことが検知された時点でタイマーオーバーフロー割込み
が実行される。
【0087】図8は、このオーバーフロー割込みを示
す。オーバーフローが起きるとまずその回数を記憶する
とともに、エンジンの始動運転状態かどうかが判別され
る。始動状態の運転モードであればオーバーフローはエ
ンジン回転が低いためであり、そのまま運転を続ける。
始動モードでない場合には、TDC信号のパルスが抜け
た、即ち何等かのトラブルによりTDC信号パルスが伝
えられなかったためのオーバーフローかどうかが判別さ
れ、パルス抜けのない正常な信号伝達によるオーバーフ
ロー検出であればエンジンが低回転であるためエンジン
を停止する。パルス抜けがあった場合には、オーバーフ
ロー検出が2回目かどうかが判別され、2回目となった
場合も回転が低すぎるとしてエンジンを停止する。これ
により、低回転において信号発信系統に異常があるとき
には必ずエンジン停止することとなる。
【0088】図9は、各気筒の点火タイミングを設定す
るための前述の各バンクに対応したタイマー3、4の割
込みルーチンを示す。エンジン回転信号(TDC信号)
が各気筒から入力されるとこのタイマー3、4のカウン
トダウンが開始される。まず、エンジンが所定の低回転
以下の状態のために点火休筒運転を行うかどうかの休筒
情報およびオーバーヒートあるいはオーバーレボ(過回
転)検出により点火を失火させるかどうかの失火情報を
読み込む。この後気筒番号に応じたタイマー3あるいは
4に点火タイミングに応じたタイマー値をセットする。
タイマーにセットした値はクランク角信号によって減じ
られ、アンダフローを起こした時点でタイマー3。4の
割込要求が発生する。その後、休筒情報あるいは失火情
報により失火させる場合には、点火処理のルーチンは行
わないためタイマーで設定されたタイミングになっても
点火プラグへの放電はさせないようにして、120°位
相が遅れた気筒の点火タイミングをメモリより読み込
み、該タイマにタイミングをセットし、そのままメイン
フローに戻る。失火させない場合には、点火すべき気筒
の番号を読み込み、タイマーで設定されたタイミングで
その気筒の点火駆動回路の点火出力ポートからパルス
(HI)を出力して点火プラグを放電させる。点火パル
ス幅はタイマにより設定される、又は、所定回数、実行
に所定時間必要となるループを実行し、必要なパルス幅
を得る。この所定の点火パルス時間が経過後、点火出力
ポートからの信号をLOWとする。また、点火駆動回路
がLOWアクティブであれば論理は上記と逆となる。
【0089】以上が本発明が適用される船外機エンジン
の機構上の構成および制御系全体のシステム構成および
その作用のフローである。
【0090】図10は本発明に係る急加減速制御運転に
おける急加減速判断のフローチャートである。この判断
フローは、前述の図3に示すメインフローにおけるステ
ップS12の運転状態判断時に行われ、この結果に基づ
いて急加減速のフラグがセットされる。点火時期や燃料
噴射量の基本制御量を演算後、このフラグをメインフロ
ーのステップS23において読み出して点火時期や燃料
噴射についての基本制御量に対する急加速および急減速
時の補正演算が行われる。
【0091】まず、以前のメインルーチンにおいて急加
速または急減速制御が行われていた場合には、そのフラ
グを降ろして、今回のルーチンを実行可能にする(ステ
ップS1021)。次にステップS1022において、
スロットル開度が所定の範囲内かどうかが判別される。
これはメインルーチンのセンサ情報読み込みステップS
16(図3)で読み込んでRAMに格納したスロットル
開度データを、このステップS1022において読み出
してこれを判別するものである。この所定の範囲は例え
ばスロットル高開度および低開度を除いた範囲内であ
る。これは、急加速の場合、高開度での高速運転中には
スロットル開度変化による吸入空気量の変化が小さいの
で、噴射量の変化も小さい。またエンジン回転数演算の
応答遅れも小さいので追従性が良く特に加速制御をしな
くても加速性は充分良好であり、また低速運転中での低
開度範囲内でのスロットル開度変化は運転者の加速の意
志ではないからである。同様に急減速のついてもスロッ
トル開度が所定の範囲内であることが条件となる。スロ
ットル開度がこの所定の範囲外であれば急加速、急減速
ではないため急加減速制御を行わずこのルーチンを終了
して次のルーチンに移る。
【0092】ステップS1022でスロットル開度が所
定の範囲内であれば、ステップS1023に進みこのス
ロットル開度の変化率を判別する。スロットル開度が急
激に開く変化であれば急加速状態と判定し急加速フラグ
をセットする(ステップS1024)。スロットル開度
が急激に閉じる変化であれば急減速状態と判定し急減速
フラグをセットする(ステップS1025)。
【0093】以上により急加減速判断ルーチンを終了し
メインルーチン(図3)に戻る。メインルーチンにおい
て、この急加速または急減速のフラグのセット状態に応
じて以下のように点火進角および燃料噴射量の補正制御
演算が行われる。
【0094】図11は、本発明に係る急加速制御ルーチ
ンの第1の実施例を示すフローチャートである。まずス
テップS1026において、現在急加速制御中かどうか
が判別される。即ち、急加速制御をこれから行うかある
いは既に急加速制御状態に入っている状態かどうかが判
別される。急加速制御の途中でなければ、ステップS1
027に進み、急加速フラグ(図10ステップS102
4)がセットされているかどうかが判別される。フラグ
がセットされてなければ急加速状態ではないため、その
ままルーチンを終了してメインルーチンに戻り、通常の
基本制御演算を行う。
【0095】急加速フラグがセットされていれば、これ
から急加速制御運転を行うため、急加速制御中のフラグ
をセットする(ステップS1028)。このとき、気筒
休止運転を行っている場合には、直ちに気筒休止制御を
停止して通常の全気筒運転を行う。これは全気筒を燃焼
させることにより出力を高め加速性および応答性を向上
させるためである。また、O2センサを用いたO2フィー
ドバック制御を行っている場合には、O2フィードバッ
ク制御を直ちに停止する。これは、O2フィードバック
制御においては、理論空燃比を基準に燃料噴射のリッ
チ、リーンを繰り返して制御するため、本発明の加速制
御の燃料噴射制御量に影響を及ぼすからである。
【0096】次にステップS1029において、燃料噴
射量の増量値を演算する。この増量値は、エンジン回転
数に対応した増量値を書込んだ2次元マップを予め作成
し、このマップにより演算処理を行って求める。マップ
を用いる代りにエンジン回転数を変数とする計算式によ
り燃料噴射の増量値を演算してもよい。
【0097】次にステップS1030において、点火時
期の進角値を演算する。この点火進角値は、燃料噴射増
量値と同様に、エンジン回転数に基づく2次元マップか
ら算出してもよいし、あるいは計算式により求めてもよ
い。
【0098】このようにして演算された燃料噴射増加量
および点火進角値は、大気圧補正やトリム角補正等の他
の補正演算結果(メインフローのステップS23)とと
もに点火時期および燃料噴射量の基本制御量に加えられ
最終的な点火および燃料噴射の制御量が演算される(メ
インフローのステップS27)。
【0099】このようにステップS1030での補正演
算を終了してメインフローに戻り、再びこの急加速制御
ルーチンに入った場合には、図11のステップS102
6において既に急加速制御が実行中であるため判定はY
ESとなり、ステップS1031に進む。このステップ
S1031においては急加速制御の終了条件に達したか
どうかが判別される。この急加速制御の終了条件は、
スロットル開度変化が減速方向に移行したこと、急加
速判定後所定時間が経過したこと、所定の回転数以上
に達したことである。の減速移行の場合はもはや加速
状態ではないため急加速制御を終了する。の所定時間
経過後の終了条件は、急加速制御に入った直後よりエン
ジン回転数の変化率は徐々に減少し、所定時間を経過す
れば加速制御の必要がなくなるためである。のエンジ
ン高回転条件は、エンジンが所定の高回転以上で高速運
転しているときにはそのままで加速性や追従性が充分良
好であるため特に加速制御の必要がないためである。
【0100】このような加速終了条件に達していない場
合には、再びステップS1029およびS1030にお
いて新たなエンジン回転数データに基づいて噴射量増量
値と点火進角値が演算され、加速制御が繰り返し続行さ
れる。このように加速制御を続け、加速終了条件に達す
ると、燃料増量値をゼロにするとともに(ステップS1
032)、点火進角値をゼロにする(ステップS103
3)。この後、加速制御が終了したことを示すために、
前述のステップS1028でセットした加速制御中のフ
ラグを降ろす(ステップS1034)。
【0101】図12は上記第1の実施例における急加速
燃料増量補正演算の説明図である。(A)図は、燃料増
量値の時間変化のグラフであり、縦軸は基本噴射量に対
する急加速時の補正増量値を表わす。この図に示すよう
に、急加速と判定した時点(図11ステップS102
7)における増量値を最大としてその後徐々に増量値を
減少させる。この増量値の演算は、例えば(B)図に示
すような、エンジン回転数に対する増量値を書込んだ2
次元マップを予め作成しておき、加速中のエンジン回転
数に応じてマップ演算により求めることができる。
(B)図に示すようにエンジン回転数の増加とともに増
量値は減少している。(C)図はエンジン回転数に対す
る燃料増加量のグラフである。(B)(C)図に示すよ
うに、エンジン回転数の増加に従って補正燃料噴射の増
加量を減少させることにより、加速中はエンジン回転数
が増加するため、(A)図に示すように時間とともに徐
々に増加量が減少するように燃料噴射制御が行われる。
【0102】図13は上記第1の実施例における急加速
時の点火進角補正量の説明図である。(A)図は、補正
進角値の時間変化のグラフであり、縦軸は基本点火時期
に対する加速時補正による点火進角値を表わす。この図
に示すように、急加速と判定した時点(図11のステッ
プS1027)における進角値を最大としてその後徐々
に進角値を減少させる。この進角値の演算は、例えば
(B)図に示すような、エンジン回転数に対する進角値
を書込んだ2次元マップを予め作成しておき、加速中の
エンジン回転数に応じてマップ演算により求めることが
できる。(B)図に示すようにエンジン回転数の増加と
ともに進角値は減少している。(C)図はエンジン回転
数に対する点火進角値のグラフである。(B)(C)図
に示すように、エンジン回転数の増加に従って補正点火
進角値を減少させることにより、加速中はエンジン回転
数が増加するため、(A)図に示すように時間とともに
徐々に進角値が減少するように点火時期制御が行われ
る。
【0103】次に図14から図16を参照して本発明に
係る加速制御運転の第2の実施例について説明する。図
14および図15は、それぞれ本発明の第2実施例にお
ける燃料噴射増量値および点火進角値の説明図である。
また、図16はこの第2実施例のフローチャートであ
る。
【0104】この第2実施例における燃料噴射の増量値
は、図14(A)に示すように、急加速と判定した時点
での増量値を初期値として、これを所定時間だけ保持
し、その後一定の減少時間で増量値をゼロまで減少させ
るものである。即ち、燃料噴射量の急加速補正演算ステ
ップにおいて行われる補正による燃料増量値はステップ
ごとに減少し、この減少量は、増量値が一定時間後にゼ
ロになるような割合として初期値より計算される。この
場合の増量初期値は、(B)図に示すように、急加速判
定時点でのエンジン回転数によって変り、エンジン回転
数が高い程増量初期値が小さくなるように設定してお
く。このような増量初期値は予めマップに書込みROM
に保存しておく。このような初期値の設定により、図1
4(C)に示すように、急加速時のエンジン回転数の増
加に伴って、燃料増量値を減少させることができる。
【0105】同様に、点火進角値についても、図15
(A)に示すように、急加速と判定した時点での進角値
を初期値として、これを所定時間だけ保持し、その後一
定の減少時間で進角値をゼロまで減少させる。即ち、点
火時期の急加速補正演算ステップにおいて行われる補正
による点火進角値はステップごとに減少し、この減少量
は、進角値が一定時間後にゼロになるような割合として
初期値より計算される。この場合の初期値は、(B)図
に示すように、急加速判定時点でのエンジン回転数によ
って変り、エンジン回転数が高い程点火進角初期値が小
さくなるように設定しておく。このような進角初期値は
予めマップに書込みROMに保存しておく。このような
初期値の設定により、図15(C)に示すように、急加
速時のエンジン回転数の増加に伴って、点火進角値を減
少させることができる。
【0106】図16はこの第2実施例のフローチャート
である。前述の図11の第1の実施例と同様に、まず現
在既に急加速制御中かどうかが判別され(ステップS1
035)、加速制御中でなければステップS1048に
進み、急加速状態のフラグ(図10ステップS102
4)の有無により、新たに急加速状態になったかどうか
が判別される。急加速のフラグが立っていなければ急加
速制御は行わずこのルーチンを終了する。急加速フラグ
が立っていれば、ステップS1049に進み急加速制御
を開始する。
【0107】まず、ステップS1049において燃料噴
射の初期増量値を、前述の図14で説明したように、エ
ンジン回転数に応じてマップ演算により求める。次にス
テップS1050において点火進角値の初期値を、前述
の図15で説明したように、エンジン回転数に応じてマ
ップ演算により求める。次にステップS1051におい
て急加速制御中であることを示すフラグを立てる。続い
てステップS1052において、噴射増量値の減少量と
点火進角値の減少量をおのおの計算する。この噴射増量
値の減少量は、図14で説明したように、初期増量値か
ら増量をゼロにするまでの時間を一定にした場合に、こ
の減少の割合(減少の傾き)に対応した量である。ま
た、点火進角値の減少量は、図15で説明したように、
初期進角値から進角をゼロにするまでの時間を一定にし
た場合に、この減少の割合(減少の傾き)に対応した量
である。
【0108】このように急加速時の燃料噴射増量の初期
値および点火進角の初期値を計算しさらにその減少量を
演算してこのフローを一旦抜け出しメインフロー(図
4)に戻る。この後メインフローにおいて、上記急加速
時の補正演算量に基づいて点火時期および噴射時間(噴
射量)およびタイミングについての基本制御量が補正演
算される(図4ステップS27)。
【0109】図16に戻り、前述の初期値演算後にこの
ルーチンを抜け、再びこのルーチンに入った場合には、
急加速制御中であるため、ステップS1035がYES
となり、ステップS1036に進む。ここでは急加速制
御が終了したかどうかが判定される。この急加速制御の
終了条件は、前述の第1実施例で説明したものと同じで
あり、減速に移行、所定時間経過、所定回転数以
上の3つの内いづれか1つが満たされたときである。終
了条件に達していれば、増量値をゼロにし(ステップS
1045)、進角値をゼロにして(ステップS104
6)急加速制御を終了するとともに急加速制御中を示す
フラグを降ろす(ステップS1047)。急加速制御の
終了条件に達していなければ、ステップS1037に進
み、保持時間が経過したかどうかが判別される。この保
持時間は、前述の図14(A)および図15(A)で説
明したように、増量初期値および点火進角初期値を急加
速判定時点から所定の時間だけ一定に保持する時間であ
る。このように、初期値を直ちに減少させずに所定時間
だけ保持することにより、加速移行直後の出力向上が維
持され確実な加速性が得られる。この保持時間が経過し
ていなければ、保持時間が経過するまで初期値のままで
補正を繰り返すためそのままルーチンを抜ける。
【0110】一方、保持時間が経過している場合には、
加速時の燃料増量値を減少させるために、前回の増量値
から前述の図14に示した減少量を差引いた増量値を設
定する。この減少量のデータは、前回の急加速制御ルー
チンのステップS1052において演算したものをRA
Mから読み出して用いる。次にこの増量値がゼロより大
きいか小さいかが判別される(ステップS1039)。
ゼロまたはゼロより小さければ増量値をゼロにし(ステ
ップS1040)、ゼロより大きければそのままの増量
値で制御を進める。
【0111】続いて、点火進角についても同様に減少量
を差引いた進角値を設定し(ステップS1041)、進
角値がゼロ以下か以上かを判別し(ステップS104
2)、ゼロまたはゼロより小さければ進角値をゼロにし
(ステップS1043)、ゼロより大きければそのまま
の進角値で制御を進める。
【0112】次にステップS1044において、燃料増
量値および点火進角値がともにゼロ以下になったかどう
かが判別される。いずれか1つがゼロ以上であれば、上
記ステップS1038〜S1043で演算した燃料増量
値および点火進角値を設定した状態でこの急加速制御ル
ーチンを抜ける。両方ともがゼロ以下になったなら、燃
料増量値および点火進角値をともにゼロにして(ステッ
プS1045、46)、急加速制御を終了し、急加速制
御中を示すフラグを降ろす(ステップS1047)。
【0113】次に図17から図19を参照して本発明に
係る加速制御運転の第3の実施例について説明する。図
17および図18は、それぞれ本発明の第3実施例にお
ける燃料噴射増量値および点火進角値の説明図である。
また、図19はこの第3実施例のフローチャートであ
る。
【0114】この第3実施例においては、燃料増量値お
よび点火進角値の初期値をマップ演算した後、保持時間
経過後の減少量を、図17および図18に示すように、
一定値とする。従って、初期値から増加量がゼロになる
までの時間が、前記第2実施例のように一定ではなく、
初期値が大きい程長くなる。その他の作用効果について
は、前記第2実施例の場合と同様である。
【0115】また図19のフローチャートについては、
前述のように燃料増量値および点火進角の初期値からの
減少量が一定であるため、演算する必要がなくなる。従
って、図16の第2実施例のフローチャートにおける減
少量の計算ステップS1052が図19の第3実施例の
フローチャートでは不要になる。その他のフローについ
ては、図16のフローチャートと同じである。
【0116】図20は、本発明に係る急加減速制御ルー
チンの第4の実施例を示すフローチャートである。この
実施例は急減速時の制御ルーチンであり、前述の図11
に示した急加速制御ルーチンの第1実施例に対応するも
のである。この急減速時には急加速時と異なり、燃料増
量のみ行い、点火進角は行わない。これは、急減速時の
燃料増量によりエンジンの焼き付き防止およびエンジン
ストール防止を図るためであり、減速時には加速時のよ
うに点火進角による出力向上の必要がないためである。
まずステップS1070において、現在急減速制御中か
どうかが判別される。即ち、急減速制御をこれから行う
かあるいは既に急減速制御状態に入っている状態かどう
かが判別される。急減速制御の途中でなければ、ステッ
プS1071に進み、急減速フラグ(図10ステップS
1025)がセットされているかどうかが判別される。
フラグがセットされてなければ急減速状態ではないた
め、そのままルーチンを終了してメインルーチンに戻
り、通常の基本制御演算を行う。
【0117】急減速フラグがセットされていれば、これ
から急減速制御運転を行うため、急減速制御中のフラグ
をセットする(ステップS1072)。このとき、気筒
休止運転を行っている場合には、直ちに気筒休止制御を
停止して通常の全気筒運転を行う。これは全気筒を燃焼
させることにより回転数が落ちた時のエンジンストール
防止のためである。また、O2センサを用いたO2フィー
ドバック制御を行っている場合には、O2フィードバッ
ク制御を直ちに停止する。これは、O2フィードバック
制御においては、理論空燃比を基準に燃料噴射のリッ
チ、リーンを繰り返して制御するため、本発明の減速制
御の燃料噴射制御量に影響を及ぼすからである。
【0118】次にステップS1073において、燃料噴
射量の増量値を演算する。この増量値は、エンジン回転
数に対応した増量値を書込んだ2次元マップを予め作成
し、このマップにより演算処理を行って求める。マップ
を用いる代りにエンジン回転数を変数とする計算式によ
り燃料噴射の増量値を演算してもよい。
【0119】このようにして演算された燃料噴射増加量
は、大気圧補正やトリム角補正等の他の補正演算結果
(メインフローのステップS23)とともに燃料噴射量
の基本制御量に加えられ最終的な燃料噴射の制御量が演
算される(メインフローのステップS27)。
【0120】このようにステップS1073での補正演
算を終了してメインフローに戻り、再びこの急減速制御
ルーチンに入った場合には、図20のステップS107
0において既に急減速制御が実行中であるため判定はY
ESとなり、ステップS1074に進む。このステップ
S1074においては急減速制御の終了条件に達したか
どうかが判別される。この急減速制御の終了条件は、
スロットル開度変化が加速方向に移行したこと、急減
速判定後所定時間が経過したこと、所定の回転数以上
に達したことである。の加速移行の場合はもはや減速
状態ではないため急減速制御を終了する。の所定時間
経過後の終了条件は、急減速制御に入った直後よりエン
ジン回転数の変化率は徐々に減少し、所定時間を経過す
れば、減速制御の必要性がなくなるためである。のエ
ンジン高回転条件は、エンジンが所定の高回転以上で高
速運転しているときには減速状態ではないからである。
【0121】このような減速終了条件に達していない場
合には、再びステップS1073において新たなエンジ
ン回転数データに基づいて噴射量増量値が演算され、減
速制御が繰り返し続行される。このように減速制御を続
け、減速終了条件に達すると、燃料増量値をゼロにする
とともに(ステップS1075)、減速制御が終了した
ことを示すために、前述のステップS1072でセット
した減速制御中のフラグを降ろす(ステップS107
6)。
【0122】図21は上記第4の実施例における急減速
燃料増量補正演算の説明図である。(A)図は、燃料増
量値の時間変化のグラフであり、縦軸は基本噴射量に対
する急減速時の補正増量値を表わす。この図に示すよう
に、急減速と判定した時点(図20ステップS107
1)における増量値を最大としてその後徐々に増量値を
減少させる。この増量値の演算は、例えば(B)図に示
すような、エンジン回転数に対する増量値を書込んだ2
次元マップを予め作成しておき、減速中のエンジン回転
数に応じてマップ演算により求めることができる。
(B)図に示すようにエンジン回転数の増加とともに増
量値は増加している。従って、減速時には時間とともに
回転数が減少するため増量値も減少する。(C)図はエ
ンジン回転数に対する燃料増加量のグラフである。
(B)(C)図に示すように、エンジン回転数の増加に
従って補正燃料噴射の増加量を増加させる(エンジン回
転数の減少に従って補正燃料噴射の増加量を減少させ
る)ことにより、減速中はエンジン回転数が減少するた
め、(A)図に示すように時間とともに徐々に増加量が
減少するように燃料噴射制御が行われる。
【0123】次に図22および図23を参照して本発明
の第5の実施例について説明する。この実施例は減速制
御運転の第2番目の例であり、前述の図14〜図16の
加速制御の第2実施例に対応している。図22は、この
第5実施例における燃料噴射増量値の説明図である。ま
た、図23はこの第5実施例のフローチャートである。
【0124】この第5実施例における燃料噴射の増量値
は、図22(A)に示すように、急減速と判定した時点
での増量値を初期値として、これを所定時間だけ保持
し、その後一定の減少時間で増量値をゼロまで減少させ
るものである。即ち、燃料噴射量の急減速補正演算ステ
ップにおいて行われる補正による燃料増量値はステップ
ごとに減少し、この減少量は、増量値が一定時間後にゼ
ロになるような割合として初期値より計算される。この
場合の増量初期値は、(B)図に示すように、急減速判
定時点でのエンジン回転数によって変り、エンジン回転
数が高い程増量初期値が大きくなるように設定してお
く。このような増量初期値は予めマップに書込みROM
に保存しておく。このような初期値の設定により、図2
2(C)に示すように、エンジン回転数に応じて増量値
が増加するため、急減速時のエンジン回転数の減少に伴
って、燃料増量値を減少させることができる。
【0125】図23はこの第5実施例のフローチャート
である。前述の図20の第4の実施例と同様に、まず現
在既に急減速制御中かどうかが判別され(ステップS1
077)、減速制御中でなければステップS1084に
進み、急減速状態のフラグ(図10ステップS102
5)の有無により、新たに急減速状態になったかどうか
が判別される。急減速のフラグが立っていなければ急減
速制御は行わずこのルーチンを終了する。急減速フラグ
が立っていれば、ステップS1085に進み急減速制御
を開始する。
【0126】まず、ステップS1085において燃料噴
射の初期増量値を、前述の図22で説明したように、エ
ンジン回転数に応じてマップ演算により求める。次にス
テップS1086において急減速制御中であることを示
すフラグを立てる。続いてステップS1087におい
て、噴射増量値の減少量を計算する。この噴射増量値の
減少量は、図22で説明したように、初期増量値から増
量をゼロにするまでの時間を一定にした場合に、この減
少の割合(減少の傾き)に対応した量である。
【0127】このように急減速時の燃料噴射増量の初期
値を計算しさらにその減少量を演算してこのフローを一
旦抜け出しメインフロー(図4)に戻る。この後メイン
フローにおいて、上記急加速時の補正演算量に基づいて
点火時期および噴射時間(噴射量)およびタイミングに
ついての基本制御量が補正演算される(図4ステップS
27)。
【0128】図23に戻り、前述の初期値演算後にこの
ルーチンを抜け、再びこのルーチンに入った場合には、
急減速制御中であるため、ステップS1077がYES
となり、ステップS1078に進む。ここでは急減速制
御が終了したかどうかが判定される。この急減速制御の
終了条件は、前述の第4実施例で説明したものと同じで
あり、加速に移行、所定時間経過、所定回転数以
上の3つの内いづれか1つが満たされたときである。終
了条件に達していれば、増量値をゼロにし(ステップS
1082)、急減速制御を終了するとともに急減速制御
中を示すフラグを降ろす(ステップS1083)。
【0129】急減速制御の終了条件に達していなけれ
ば、ステップS1079に進み、保持時間が経過したか
どうかが判別される。この保持時間は、前述の図22
(A)で説明したように、増量初期値を急減速判定時点
から所定の時間だけ一定に保持する時間である。この保
持時間が経過していなければ、保持時間が経過するまで
初期値のままで補正を繰り返すためそのままルーチンを
抜ける。
【0130】一方、保持時間が経過している場合には、
減速時の燃料増量値を減少させるために、前回の増量値
から前述の図22に示した減少量を差引いた増量値を設
定する。この減少量のデータは、前回の急減速制御ルー
チンのステップS1087において演算したものをRA
Mから読み出して用いる。次にこの増量値がゼロより大
きいか小さいかが判別される(ステップS1081)。
ゼロまたはゼロより小さければ増量値をゼロにし(ステ
ップS1082)、急減速制御を終了するとともに急減
速制御中を示すフラグを降ろす(ステップS108
3)。増量値がゼロより大きければそのままの増量値で
制御を進める。
【0131】次に図24および図25を参照して本発明
の第6の実施例について説明する。この実施例は減速制
御運転の第3番目の例であり、前述の図17〜図19の
加速制御の第3実施例に対応している。図24は、この
第6実施例における燃料噴射増量値の説明図である。ま
た、図25はこの第6実施例のフローチャートである。
【0132】この第6実施例においては、燃料増量値の
初期値をマップ演算した後、保持時間経過後の減少量
を、図24に示すように、一定値とする。従って、初期
値から増加量がゼロになるまでの時間が、前記第5実施
例のように一定ではなく、初期値が大きい程長くなる。
その他の作用効果については、前記第5実施例の場合と
同様である。
【0133】また図25のフローチャートについては、
前述のように燃料増量値の初期値からの減少量が一定で
あるため、演算する必要がなくなる。従って、図23の
第5実施例のフローチャートにおける減少量の計算ステ
ップS1087が図25の第6実施例のフローチャート
では不要になる。その他のフローについては、図23の
フローチャートと同じである。
【0134】なお、上記実施例は2サイクル6気筒エン
ジンの船外機に対し本発明を適用した例を説明したが、
本発明はモータサイクル等の車両用エンジンやスノーモ
ービル用のエンジン等に対しても適用可能である。
【0135】図26は、前述の本発明に係る急加減速制
御方法が適用されるエンジンの燃料系を含む構成図であ
る。
【0136】このエンジン1は、V型バンク型式の2サ
イクル6気筒エンジンを船外機に適用したものである。
このエンジン1は、#1〜#6の気筒を有し(図では1
気筒のみ示す)、3気筒づつ2列の左バンク2と右バン
ク3に配置される。左バンク2には奇数番号の気筒#
1、#3および#5が配列され、右バンク3には偶数番
号の気筒#2、#4および#6が配列される。各気筒は
シリンダ本体4内に設けられる。シリンダ本体4には各
気筒周囲や排気通路周囲等に水冷ジャケット(図示しな
い)が形成されている。この左右のバンク2、3はクラ
ンクケース22に対しV型に設けられる。即ちバンク
2、3によりV字を形成する(図では1方のバンクのみ
が示されている)。各気筒頭部にはシリンダヘッド20
が設けられ気筒内燃焼室77に向けて点火プラグ19が
装着される。各気筒内にはコンロッド17を介してクラ
ンク軸21に連結されたピストン18が装着される。ク
ランク軸21は垂直方向に設けられ、これに対し各気筒
#1〜#6が水平に設けられる。クランク軸21の上端
部にはフライホイルマグネットが設けられる。6個の気
筒#1〜#6は、同じクランク軸21に対しコンロッド
17が干渉しないように、#1〜#6の順に高さをずら
せて配置してある。
【0137】各気筒には排気ポート5が開口し、排気管
6に連通している。また各気筒には掃気ポート29が開
口し掃気通路30を介して燃焼室77とクランク室31
とを連通させる。エンジン1はカウリング(図示しな
い)内に収容され、カウリングの下部にはアッパーケー
シング(図示しない)が装着されその下部にはロアケー
シング(図示しない)が設けられる。ロアケーシングの
下部にプロペラ(図示しない)が装着される。プロペラ
は、プロペラ軸上に装着され動力伝達機構を介してエン
ジン1のクランク軸21と連結されている。
【0138】気筒#1には前述の排気センサー(O2セ
ンサー)(図示しない)が設けられる。この気筒#1が
基準気筒となり、この気筒#1についての酸素濃度およ
び各制御量を演算し、これを基本制御量として残りの気
筒#2〜#6については、この酸素濃度または基本制御
量に対する補正量をマップ演算して各気筒の制御量を算
出し所定の運転状態においてO2フィードバック制御が
行われる。ただし、前述のように本実施例では急加速ま
たは急減速と判定された場合には、直ちにO2フィード
バック制御は停止される。
【0139】この船外機は、船体に対しブラケットを介
して回転可能であり、取付け角度(トリム角)が調整可
能に装着される。ブラケットにはトリム角を検出するた
めのトリム角センサーが設けられる。また、カウリング
内にはシフトセンサーが設けられる。
【0140】各気筒にはノックセンサー34およびエン
ジン温度センサー(図示しない)が設けられる。なお、
ノックセンサーおよびエンジン温度センサーは、排気セ
ンサーと同様に基準気筒#1にのみ設けて他の気筒#2
〜#6については、基準気筒#1の検出データを補正し
て制御量演算用のデータを算出してもよい。また、クラ
ンク軸21にはリングギア(図示しない)の回転に応じ
てパルスを発してクランク角を検出するクランク角セン
サー33が設けられる。
【0141】クランク室22には、吸気マニホルド24
に連通する吸気ポート80が開口する。吸気ポート80
にはリード弁23が設けられる。吸気マニホルド24に
はインジェクター26が設けられるとともにスロットル
弁25が備る。吸気マニホルド24には吸気温度センサ
ー32が設けられる。また、吸気マニホルド24の外側
において、スロットル弁25にはスロットルセンサー1
5が設けられる。前述のように、このスロットルセンサ
ー15はスロットル弁に設けた可変抵抗式センサーであ
り、スロットル開度に応じて抵抗値が変わり、この抵抗
値に応じた電圧信号を検出信号として取り出すものであ
る。この電圧変化率を演算することにより加減速状態を
検出できる。なお、加減速の検出手段としては、ストッ
トル開度変化の他に、スロットルワイヤの張力変化、ア
クセルペタル(自動車の場合)の踏みこみ量変化、吸気
負圧変化、吸気量変化、あるいはこれらの組合せの変化
を検出することにより急加減速状態を検知してもよい。
【0142】インジェクター26に供給される燃料は燃
料タンク63内に溜められている。この燃料タンク63
内の燃料は低圧燃料ポンプ64により水分離およびゴミ
除去用フィルター66を介してサブタンク67に送られ
る。サブタンク67内の燃料は、高圧燃料ポンプ65に
よりインジェクター26に送られ、前述のように制御さ
れた噴射量および噴射タイミングで燃料が吸気マニホル
ド24内に噴射される。インジェクター26で噴射され
なかった高圧燃料は、戻り配管70を通してサブタンク
67に回収される。戻り配管70上には圧力レギュレー
タ69が設けられ、インジェクター26の噴射圧力を一
定に保つ。これにより、インジェクター26の開弁によ
る噴射時間を制御することにより燃料噴射量が制御でき
る。
【0143】前記した給気マニホルド24、リード弁2
3、クランク室31および掃気通路30は新気供給路を
形成している。この新気供給路を構成する給気マニホル
ド24の途中のスロットル弁25の下流にインジェクタ
ー26が配置され、燃料が噴射される。給気マニホルド
24内に噴射される燃料は、一部は気化して燃料蒸気と
なり空気と混合気を形成しつつ、吸気行程時リード弁2
3を通過してクランク室31に吸引される。一方燃料の
内液体状態のものは、給気マニホルド24内壁に沿って
流れ、同様にクランク室31に吸引される。液状の燃料
はクランク室31内壁、掃気通路30内壁に沿って流
れ、掃気行程時に掃気ポートから燃焼室77内に入る。
この各壁を液膜状の壁面流として流れていく途中、順次
気化し混合気流に混じり適正空燃比あるいはそれに近い
混合気が掃気ポートから燃焼室77内に入る一方、気化
仕切れない液状の燃料は最終的に燃焼室77内で全てが
気化する。
【0144】急加速の時のように燃料噴射量が急激に増
加させられても、増加分の燃料の一部あるいはかなりの
部分は壁面での液状の燃料の増加にのみ寄与し、燃焼室
77での燃料量の増加に寄与しない。一方空気について
は、急加速にともなうスロットル弁25開度の増加に伴
い直ちに多量の空気が燃焼室77に到達する。このた
め、一時的に空燃比が大きくなり可燃域から外れる場合
は失火したり、失火しなくても燃料の絶対量が少ないの
で十分な出力が得られにくい。また、空燃比が適正域か
ら外れるので点火後の燃焼速度が遅くなり、最大燃焼圧
力が得られるクランク角が適正値より遅くなり、これに
よっても十分な出力が得られにくい。しかし、本実施例
においては、急加速時、燃料噴射量をさらに増加してお
り、応答性を向上するとともに、点火時期を早めて(進
角)おり、最大燃焼圧力が得られるクランク角を適正値
に近づけるようにしており、十分なエンジン出力を導
き、加速性を向上している。
【0145】急減速時には、スロットル弁25開度が急
減させられる一方、エンジン回転数は慣性のため直ちに
低下せず、吸気圧力(ブースト圧)が低下し点火後の燃
焼速度は低下する。且つ燃焼室77での空気量が減少
し、この分残留ガス量が増加して失火し易くなるととも
にこれによっても点火後の燃焼速度は低下する。また、
空気量の減少に比例して給気マニホルド24、リード弁
23、クランク室31および掃気通路30における空気
速度が(ほぼ1次の比例関係にて)低下する。一方燃料
の気化量は空気の減少以上に低下する。このため燃焼室
77での混合気は減少するとともに空燃比も大きくなり
可燃域内でも残留ガス量の割合増加により失火したりす
る。また、空燃比が適正域から外れるので点火後の燃焼
速度が遅くなり、最大燃焼圧力が得られるクランク角が
適正値より遅くなり、これによっても定常状態以下の出
力しか得られない。このため、エンジンが停止し易くな
る。しかし、本実施例においては、急減速時、燃料噴射
量を定常状態より一時的に増加しており、燃焼室での空
燃比を適正化し、且つ点火時期を早めて(進角)おり、
最大燃焼圧力が得られるクランク角を適正値に近づける
ようにしており、エンジン出力不足を防止し、エンジン
停止の防止を図ることができる。
【0146】本2サイクルエンジンにおいては燃料噴射
部位から燃焼室77までの経路が長く、またリード弁2
3が、過渡応答性を悪くしているので、本実施例による
急加速時の加速性向上、急減速時でのエンジン停止防止
の効果が大きい。
【0147】なお、各気筒に、吸気弁、排気弁および点
火プラグを配置した多気筒4サイクルエンジンにおいて
は、吸気弁に連結される吸気マニホルドの途中にインジ
ェクターを配置したものでは、吸気マニホルドが新気の
給気路となる。この吸気マニホルドは上流側で集合され
るものでも、各気筒ごとに独立でも良い。集合されるも
のでは集合箇所上流部にスロットル弁を配置する。ある
いは下流の気筒ごとの分岐部にそれぞれスロットル弁を
配置しても良い。また気筒ごと独立の吸気マニホルドが
配置されるものでは各吸気マニホルドごとにインジェク
ターが配置される。
【0148】このように構成された多気筒4サイクルエ
ンジンに前記実施例の急加減速制御方法および装置を採
用すれば、同様に急加速性および急減速性の向上を図る
ことができる。
【0149】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、急加減速時に気筒休止運転を行っている場合には直
ちにこれを停止して全気筒運転を行うとともに、急加速
時には燃料増量あるいは点火進角制御を行い、急減速時
には燃料増量を行っているため、急加速時の応答性が向
上し良好な加速性が得られ、急減速時にはエンジン焼き
付きおよびエンジンストールの防止が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る2機掛け船外機の駆動制御系の
構成説明のためのブロック図である。
【図2】 図1の制御系の制御動作を説明するためのブ
ロック図である。
【図3】 本発明が適用される内燃機関の制御シーケン
スにおけるメインルーチンのフローチャートである。
【図4】 図3のフローチャートの続き部分である。
【図5】 図3のフローチャートにおけるタイマー割込
みルーチンのフローチャートである。
【図6】 図3のフローチャートにおけるTDC割込み
ルーチンのフローチャートである。
【図7】 図3のフローチャートにおける点火パルスの
セットルーチンのフローチャートである。
【図8】 図3のフローチャートにおけるタイマーオー
バーフロー割込みルーチンのフローチャートである。
【図9】 図3のフローチャートにおけるバンクごとの
タイマー割込みルーチンのフローチャートである。
【図10】 本発明に係る急加減速制御の加速減速判定
ルーチンのフローチャートである。
【図11】 本発明に係る急加減速制御の第1実施例の
フローチャートである。
【図12】 第1実施例の燃料増量値の説明図である。
【図13】 第1実施例の点火進角値の説明図である。
【図14】 本発明に係る急加減速制御の第2実施例の
燃料増量値の説明図である。
【図15】 上記第2実施例の点火進角値の説明図であ
る。
【図16】 上記第2実施例のフローチャートである。
【図17】 本発明に係る急加減速制御の第3実施例の
燃料増量値の説明図である。
【図18】 上記第3実施例の点火進角値の説明図であ
る。
【図19】 上記第3実施例のフローチャートである。
【図20】 本発明に係る急加減速制御の第4実施例の
フローチャートである。
【図21】 上記第4実施例の燃料増量値の説明図であ
る。
【図22】 本発明に係る急加減速制御の第5実施例の
燃料増量値の説明図である。
【図23】 上記第5実施例のフローチャートである。
【図24】 本発明に係る急加減速制御の第6実施例の
燃料増量値の説明図である。
【図25】 上記第6実施例のフローチャートである。
【図26】 本発明が適用される船外機用エンジンの燃
料系を含む構成図である。
【符号の説明】
201:気筒判別手段、203:エンジン回転数算出手
段、204:スロットル開度読み込み手段、210:基
本点火時期算出手段、211:基本燃料噴射量算出手
段、214:点火時期補正手段、215:燃料噴射量補
正手段、218:点火出力手段、219:燃料出力手
段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 45/00 312 F02D 45/00 312E

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の運転状態のときに一部の気筒の燃
    焼を停止させる気筒休止制御を行う多気筒内燃機関の燃
    料噴射量を、急加速時には増量するようにした内燃機関
    の急加減速制御方法において、急加速時には運転状態に
    拘わらず全気筒運転を行うことを特徴とする内燃機関の
    急加減速制御方法。
  2. 【請求項2】 急加速時には点火を進角あるいは遅角さ
    せることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の急加
    減速制御方法。
  3. 【請求項3】前記点火の進角値あるいは遅角値、および
    燃料の増量値は急加速状態を検出した時点で最大とし、
    その後徐々に少なくすることを特徴とする請求項2に記
    載の内燃機関の急加減速制御方法。
  4. 【請求項4】 予めエンジン回転数に対する前記進角値
    あるいは遅角遅、および増量値を書込んだ補正用テーブ
    ルを作成し、急加速状態が終了するまでこの補正用テー
    ブルに従って点火時期および燃料噴射量を補正制御する
    ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の急加減速
    制御方法。
  5. 【請求項5】 急加速検出時点でのエンジン回転数に応
    じて予め初期進角値あるいは遅角値、および初期増量値
    を設定し、この初期進角値あるいは初期遅角値、および
    初期増量値を一定時間保持し、続いて一定時間内に進角
    値あるいは遅角値および増量値がゼロになるような割合
    で進角値あるいは遅角値および増量値を徐々に減少させ
    ることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の急加減
    速制御方法。
  6. 【請求項6】 急加速検出時点でのエンジン回転数に応
    じて予め初期進角値あるいは遅角値、および初期増量値
    を設定し、この初期進角値あるいは初期遅角値、および
    初期増量値を一定時間保持し、続いて進角値あるいは遅
    角値および増量値をそれぞれ一定の割合で減少させるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の急加減速制
    御装置。
  7. 【請求項7】 急減速時に運転状態に拘らず全気筒運転
    を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内
    燃機関の急加減速制御方法。
  8. 【請求項8】 前記多気筒内燃機関は、各気筒の燃焼室
    へ新気を導く給気路と、該給気路の途中にスロットル弁
    が配置され、該給気路のスロットル弁より下流部に燃料
    が噴射されるようにしてあり、急減速時に燃料噴射量を
    増量するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    内燃機関の急加減速制御方法。
  9. 【請求項9】 急減速時に燃料噴射量を増量するととも
    に、急減速時の燃料増量値は急減速状態を検知した時点
    で最大としその後徐々に少なくすることを特徴とする請
    求項8に記載の内燃機関の急加減速制御方法。
  10. 【請求項10】 予めエンジン回転数に対する前記急減
    速時の燃料増量値を書込んだ補正用テーブルを作成し、
    急減速状態が終了するまでこの補正用テーブルに従って
    燃料噴射量を補正制御することを特徴とする請求項9に
    記載の内燃機関の急加減速制御方法。
  11. 【請求項11】 急減速検出時点でのエンジン回転数に
    応じて予め初期増量値を設定し、この初期増量値を一定
    時間保持し、続いて一定時間内に増量値がゼロになるよ
    うな割合で増量値を徐々に減少させることを特徴とする
    請求項10に記載の内燃機関の急加減速制御装置。
  12. 【請求項12】 急減速検出時点でのエンジン回転数に
    応じて予め初期増量値を設定し、この増量値を一定時間
    保持し、続いて一定時間内に増量値を一定の割合で減少
    させることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の急
    加減速制御方法。
  13. 【請求項13】 急減速時に点火を所定時間進角させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の急加減速
    制御方法。
  14. 【請求項14】 急減速時に点火を所定時間進角させる
    ことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の急加減速
    制御方法。
  15. 【請求項15】 急減速時に点火を所定時間進角させる
    とともに、進角値は急減速状態を検知した時点で最大と
    しその後徐々に少なくすることを特徴とする請求項9に
    記載の内燃機関の急加減速制御方法。
  16. 【請求項16】 予めエンジン回転数に対する前記進角
    値を書込んだ補正用テーブルを作成し、急減速状態が終
    了するまでこの補正用テーブルに従って点火時間を補正
    制御することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関
    の急加減速制御方法。
  17. 【請求項17】 急減速検出時点でのエンジン回転数に
    応じて予め初期遅角値を設定し、この遅角値を一定時間
    保持し、続いて一定時間内に遅角値を一定の割合で減少
    させることを特徴とする請求項12に記載の内燃機関の
    急加減速制御方法。
  18. 【請求項18】 複数の気筒と、エンジンの各種運転状
    態を検出する手段と、上記検出手段の検出結果からエン
    ジンの急加速および急減速を判定する手段と、燃料噴射
    手段と、点火手段と、上記検出手段の検出結果に応じて
    上記燃料噴射手段および点火手段の制御量を演算する演
    算処理手段とを有し、上記演算処理手段はエンジン駆動
    制御のための各種イベントを実行するメインルーチンか
    らなるプログラムを備え、このプログラムは所定の運転
    状態のときに特定の気筒の燃焼を停止する気筒休止運転
    ルーチンを有する内燃機関の急加減速制御装置におい
    て、前記プログラムは、前記判定手段により急加速また
    は急減速と判定されたときに、運転状態に拘らず気筒休
    止ルーチンを停止して全気筒運転を行うとともに、急加
    速時には点火を進角あるいは遅角させ、且つ燃料噴射量
    を増量し、急加速時には燃料を増量するように構成され
    たことを特徴とする内燃機関の急加減速制御装置。
  19. 【請求項19】 急減速時には所定時間進角するように
    構成されたことを特徴とする請求項18に記載の内燃機
    関の急加減速制御装置。
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Cited By (4)

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US7917283B2 (en) 2007-05-07 2011-03-29 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Engine control unit systems and methods for a boat propulsion system
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KR102451249B1 (ko) * 2021-04-29 2022-10-06 한국해양대학교 산학협력단 선박용 등간격 착화 가변실린더 엔진 장치 및 그 동작 방법

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