JP3618145B2 - 内燃機関のエンジン停止制御方法および装置 - Google Patents

内燃機関のエンジン停止制御方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電子制御式内燃機関のエンジン停止時の制御方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子制御燃料噴射式内燃機関においては、スロットル開度等のエンジン負荷やエンジン回転数およびエンジン温度、吸気負圧等の各種運転状態に対応して最適な燃焼状態を得るために点火時期および燃料噴射量を制御している。船外機においては、このような運転状態の検出手段の1つとしてエンジンストップスイッチが設けられ、メインスイッチをオンにしたまま、手動であるいは落水等の時にエンジンを停止させる。このようなエンジンストップスイッチがオンになった場合やメインスイッチが切られた場合には、エンジンを停止するために点火をカットするとともに燃料噴射を停止している。そして電子制御燃料噴射式内燃機関が4サイクルとされる場合においては、飛散する多量のオイルによりピストン摺動部の潤滑が十分実施されるのみでなく、該オイルによる冷却も実施される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2サイクルエンジンにおいては、燃料が、クランク室上流の吸気通路に噴射されるか、シリンダ内燃焼室に直接噴射されるかして供給される一方、オイルが燃料に混合されるかあるいは独立に吸気通路に供給されることとなる。供給されるオイルはクランク室から燃焼室へ流出してしまうため、燃料量に比してごく僅かの量しか供給できず、ピストン摺動部の潤滑に対して、クランク室あるいは燃焼室内で気化する燃料によるピストンの冷却作用は不可欠である。このため、エンジン温度が高い状態あるいは回転数が高い状態でエンジン停止のスイッチ操作が行われた場合には、点火カットおよび燃料カットにより、エンジンが焼き付くおそれがある。また、低温あるいは低回転時において、エンジンが停止した場合、再始動が円滑に行われることが望まれる。
【0004】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、エンジン停止時のエンジン焼き付きを防止するとともに停止後の再始動を円滑に行うことができるエンジン停止制御方法および装置の提供を目的とする。
【0005】
前記目的を達成するため、本発明では、エンジンの点火制御および燃料噴射制御をそれぞれ行うためのメインルーチンを有する電子制御式内燃機関において、前記メインルーチンは、エンジンを停止するためのスイッチ手段によりエンジンを停止すべき状態になったときに行われるエンジン停止制御演算ルーチンを有し、該エンジン停止制御演算ルーチンは、エンジンを停止すべき状態となった直後に燃料噴射の継続時間を算出し、エンジン回転数が所定値以下であれば点火を停止するとともに燃料噴射を停止し、エンジン回転数が所定値より大で前記燃料噴射の継続時間経過前であれば、燃料噴射を継続したまま点火の停止のみを行い、エンジン回転数が所定値より大で前記継続時間経過後であれば点火及び燃料噴射を停止することを特徴とする内燃機関のエンジン停止制御方法を提供する。
【0006】
好ましい実施例においては、前記燃料噴射の継続時間は、前記エンジンを停止すべき状態になったときのエンジン回転数に基づいて定めることを特徴としている。
【0007】
別の好ましい実施例のおいては、前記燃料噴射の継続時間は、前記エンジンを停止すべき状態になったときのエンジン温度に基づいて定めることを特徴としている。
【0008】
本発明ではさらに、各種運転状態の検出手段と、これらの検出手段で検出した運転状態に応じて点火時期および燃料噴射制御のためのメインルーチンでの制御量を演算する演算処理手段と、この演算処理手段の電源回路にバッテリー電源を接続するためのメインスイッチと、上記運転状態検出手段の1つとして設けられたエンジンストップスイッチとを有する内燃機関において、前記演算処理手段は、前記メインスイッチが切られたとき又は前記エンジンストップスイッチからの情報によりエンジンを停止すべき状態になったときに行われるエンジン停止制御演算ルーチンを有し、該エンジン停止制御演算ルーチンは,エンジンを停止すべき状態となった直後に燃料噴射の継続時間を算出し、エンジン回転数が所定値以下であれば点火を停止するとともに燃料噴射を停止し、エンジン回転数が所定値より大で前記燃料噴射の継続時間経過前であれば、燃料噴射を継続したまま点火の停止のみを行い、エンジン回転数が所定値より大で前記継続時間経過後であれば点火及び燃料噴射を停止することを特徴とする内燃機関のエンジン停止制御装置を提供する。
【0009】
好ましい実施例においては、前記メインスイッチはインターフェイス回路を介して前記演算処理手段に接続され、さらに前記バッテリ電源は演算処理手段に電源を供給するための電源回路にスイッチ回路を介して接続されこのスイッチ回路はメインスイッチが切られた後、一定時間経過するまで又は所定作業の終了データが入力されるまでオン状態に保持されることを特徴としている。
【0010】
【作用】
エンジンを停止する場合、点火をカットして燃焼作用は停止するが、燃料は噴射し続ける。これにより、潤滑作用および冷却作用を保ったままエンジン回転数が低下する。エンジン回転数が所定値以下に低下するまで燃料噴射が継続される。あるいはエンジンを停止すべきスイッチ情報が入力された時点でのエンジン回転数またはエンジン温度に基づく予め定めた所定時間だけ燃料噴射が継続される。この場合、エンジン回転数が高いほど或いはエンジン温度が高いほど継続時間を長く設定する。これにより、焼き付きを起こすことなくエンジンが停止し、再始動する場合にも円滑な始動運転が行われる。
【0011】
エンジン停止のスイッチ情報が入力された場合、燃料の増量補正を行ってもよい。これは、多気筒内燃機関において、基本燃料噴射量を算出した後各種運転状態により補正噴射係数を演算するが、さらに増量補正を行うものであり、この演算結果に基づいて各気筒検出信号に同期して増量された燃料噴射が行われる。
【0012】
さらに気筒検出信号に係わらず、エンジン停止のスイッチ情報が入力された場合に、気筒検出信号とは非同期で所定量の燃料を噴射してもよい。この非同期噴射時間あるいは噴射量は、例えば予め作成したエンジン停止のスイッチ情報が入力された時点でのエンジン回転数またはエンジン温度に基づく2次元マップテーブルに基づいて算出する。また、噴射回数や噴射周期を予め設定しておくがこの場合、最初のエンジン温度や回転数に基づいて噴射回数や周期を変えてもよい。このような非同期噴射は、エンジン停止のスイッチ情報を入力した時点で直ちに行う。
【0013】
このようにエンジン停止時における燃料の増量補正あるいは非同期噴射は、エンジン回転数が所定値以下に低下するまで或いは所定時間が経過するまで行う。このような増量補正あるいは非同期噴射を行うことにより、エンジン温度が高いときにエンジン停止するときの焼き付きがさらに確実に防止され、またエンジン温度が低いときにエンジン停止した場合に再始動のときの始動性が向上する。
【0014】
以上のようなエンジン停止時における燃料噴射の継続中は、燃料供給圧力が低下することを防止するためフュエルポンプは停止せず駆動を継続させる。
【0015】
【実施例】
図1は本発明が適用される船舶用2機掛け船外機の外観図である。図に示すように、この船外機は船体405の船尾に2機のエンジンを包含する船外機406−1、406−2を装着したものである。これは、海上等において充分な推進力を得るとともに、どちらか一方のエンジンが故障した場合であっても航行を可能として帰港の確保を図るための構成である。
【0016】
このような船外機の2機掛け航行時、エンジンは2機駆け状態で運転される。この2機駆けエンジンの駆動制御を行う場合、各エンジンはそれぞれ独自に運転可能とする必要があるため、各エンジンごとに駆動制御装置を有している。各制御装置は、エンジン回転速度、スロットル開度、アクセル位置、吸気管負圧等のいわゆる負荷、吸気温度、排気ガス酸素濃度、シフト位置等の各種運転状態を検出し、この検出情報に基づいて、予め定めた制御プログラムに従って、そのときの最適空燃比や燃料噴射量、噴射タイミング、点火タイミング等を演算し、この演算値を基にエンジンを駆動制御している。この場合、上記制御プログラムは、検出情報の読み込みルーチンと、読み込んだ検出情報に基づいて各制御量を演算する複数の演算ルーチンを予め定めたシーケンスに従って配置したメインルーチンを有し、このメインルーチンに従って演算処理が行われる。
【0017】
図2は、上記2機掛けの内一方の船外機のスロットル及びギヤシフトの駆動操作系統の構成図である。船外機本体38は、ブラケット37aおよびクランプブラケット37bを介して船体36に対しチルト軸305廻りにトリム角θを変更可能に取付けられる。306はトリム角可変アクチュエータ、39はトリム角センサーを表している。トリム角θとはプロペラ10の中心軸の方向が船底からどれだけ傾いたかを示すものである。トリム角が0°すなわちプロペラ10中心軸が船底と平行の時、一般的に船外機本体38の前縁が鉛直線に一致するように船外機は形成されるので、船外機の鉛直線に対する相対角度θをトリム角と言っても良い。
【0018】
カム51を端部に有するシフトレバー50は、カウリング内でピボット片52を介してリンクバー53に連結される。このカム51は、エンジンとプロペラ軸とを連結するクラッチをシフトさせるためのものである。リンクバー53の端部にはピン55が突出して設けられる。このピン55は、カウリング内に固定した長孔ガイド54内で矢印Aのようにスライド可能に装着される。
【0019】
一方、船内にはギヤシフトおよびスロットル操作用のリモコンボックス56が各船外機406−1,406−2用に2個設けられる。このリモコンボックス56は、船外機本体38に対しシフトケーブル57、スロットルケーブル58および電気信号ケーブル59の3本のケーブルを介して連結さていれる。シフトケーブル57はカウリング内で前述のリンクバー53のピン55に結合されている。リモコンボックス56には操作レバー60が設けられ、これを中立位置(N)から前進または後進側に駆動操作してシフトケーブル57を介してピン55を長孔リング54内でスライドさせる。これにより、リンクバー53が平行移動するとともに、その根元部のピボット片52を矢印Bのように回転させる。これにより、シフトレバー50がその軸廻りに回転し、カム51が回転して、ドッグクラッチを介してクランク軸と前進用ギヤまたは後進用ギヤとを連結する。操作レバー60を前進または後進のシフト操作完了位置即ちスロットル弁全閉位置からさらにF方向(前進時)またはR方向(後進時)に移動させることにより、スロットルケーブル58を介して船外機38内のエンジンのスロットル弁が全開方向に動作する。このシフトケーブル57には、シフトカットスイッチ(図示しない)が設けられている。これは、高負荷運転時にドッグクラッチをギヤから切り離そうとする際、クラッチとギヤ間の噛み合い面圧が非常に大きくなるため、ケーブルに大きな負荷がかかる。シフトカットスイッチは、この負荷によるケーブルの弾性変形量を検出することにより過大なクラッチ噛み合い圧力を検知し、エンジン回転を下げてクラッチの切り替えを楽に行うようにするためのものである。このようなシフトカットスイッチはカウリング内に設けてもよいし、あるいはリモコンボックス内に設けてもよい。
【0020】
リモコンボックス56にはさらに落水検知スイッチ(図示しない)が設けられている。この落水検知スイッチは、例えば乗員の身体に結び付けたワイヤにスイッチを連結し、乗員が落水した時にはスイッチを動作させてエンジンを停止させ直ちに船を停止させるためのものである。また、リモコンボックス56には独立のエンジン停止操作スイッチ(図示しない)も設けられている。
【0021】
図3は、前述の2機掛け船外機にそれぞれ搭載されるV型6気筒エンジンの内、一つの気筒まわりのエンジン詳細図である。
【0022】
図3に示すように、クランク室22には、吸気マニホルド24に連通する吸気ポート80が開口する。吸気ポート80にはリード弁23が設けられる。吸気マニホルド24にはインジェクター26が設けられるとともにスロットル弁25が備る。吸気マニホルド24には吸気温度センサー32が設けられる。また、吸気マニホルド24の外側において、スロットル弁25にはスロットル開度センサー15(図4参照)が設けられる。
【0023】
インジェクター26に供給される燃料は燃料タンク63内に溜められている。この燃料タンク63内の燃料は低圧燃料ポンプ64により水分離およびゴミ除去用フィルター66を介してサブタンク67に送られる。サブタンク67内の燃料は、高圧燃料ポンプ65により分配管を経て各気筒のインジェクター26に送られ、後述のように制御された噴射量および噴射タイミングで燃料が吸気マニホルド24内に噴射され所定空燃比の混合気を形成する。インジェクター26で噴射されなかった高圧燃料は、戻り配管70を通してサブタンク67に回収される。戻り配管70上には圧力レギュレータ69が設けられ、インジェクター26の噴射圧力を一定に保つ。これにより、インジェクター26の開弁による噴射時間を制御することにより燃料噴射量が制御できる。
【0024】
潤滑用オイルはオイルタンク350に溜められている。このオイルタンク350内のオイルはオイルポンプ351により、ゴミ除去用オイルフィルター352を介して各気筒ごとに配送されるオイルノズル354より各吸気マニホルド24内に噴射される。オイルポンプ351はクランク軸の回転に伴って駆動され、クランク軸回転数が大なる程、またスロットル弁25開度が大なる程時間当りの吐出量が大とされる。
【0025】
図4は、前述のエンジンを含む船外機の各種運転状態を検出するための検出手段および燃料噴射や点火を駆動する手段を含む駆動制御システムの詳細を示す。この例は2機掛けされる船舶用6気筒エンジンを搭載した船外機の一方の制御システムを代表して示す。
【0026】
気筒検出手段#1〜#6は、クランク軸廻りに6個配置され、メインルーチンで実施される各気筒についてイベント割込み(TDC割込み)を実行するためのトリガ信号を発生する。これは、例えば各気筒のピストンが上死点またはそれより所定角度(クランク角度)手前に位置する瞬間に信号を発するように構成する。従って、本実施例ではクランク軸の1回転中に60度ごとに1つの気筒検出信号(TDC信号)が各気筒#1〜#6から順番に演算処理装置に送られる。このイベント割込みフローの中で、メインルーチン中に求められた各気筒についての制御演算結果に基づいて点火出力のカウントダウンが許可されるとともに燃料噴射が実施される。
【0027】
クランク角検出手段は、点火時期制御のベースとなる角度パルスを発するものであり、クランク軸に係合するリングギヤの歯数に対応してパルス信号を発する。例えばギヤ歯数112歯に対応して1回転中に448パルスを発するように構成すれば、1パルスごとにクランク軸が0.8度回転することになる。
【0028】
スロットル開度検出手段15は、吸気マニホルド24に設けたスロットル弁25の開度に応じてアナログ電圧信号を発する。演算処理装置はこのアナログ信号をA/D変換してマップ読取り等の演算処理を行う。
【0029】
さらに詳しくいうと、前述のスロットルレバー60(図2)に連結されたスロットルワイヤのリンクがスロットル弁25の弁軸の一端に接続されている。この弁軸の反対側の端部に抵抗摺動式のセンサーが取りつけられる。スロットル弁の開度に応じて弁軸が回転しセンサーの抵抗値が変わる。この抵抗値変化を電圧変化としてとり出しスロットル開度の検出信号とする。
【0030】
次のトリム角度検出手段から吸気温度検出手段までは、エンジンの運転条件に対する環境変化があった場合にこの変化に応じて制御量を補正するためのものである。トリム角度検出手段は、船外機の取付け角度を検出するものである。E/G温度検出手段は、各気筒(または特定の基準気筒)のシリンダブロックに温度センサーを取付けその気筒の温度を検出するものである。大気圧検出手段は、カウリング内の適当な位置に設けられる。吸気温度検出手段32は吸気通路上の適当な位置に設けられる。大気圧および吸気温度は空気の体積に直接影響するものであり、演算処理装置は、これらの大気圧および吸気温度の検出値に応じて空燃比等の制御量に対する補正演算を行う。
【0031】
既燃ガス検出手段は、所定の気筒例えば#1気筒に設けられる酸素濃度センサー(O2センサ)のことである。検出した酸素濃度に応じて燃料噴射量等のフィードバック制御を行う。
【0032】
ノック検出手段34は、各気筒の異常燃焼を検出するものであり、ノッキングがおきた場合に点火時期を遅角側にシフトさせたりまたは燃料をリッチ側に設定してノッキングを解消し、エンジンの損傷発生を防止する。
【0033】
オイルレベル検出手段は、カウリング内のサブタンク67および船内のメインタンク63の両方にレベルセンサーを設けたものである。
【0034】
V型バンクの左右各バンクに1個づつ設けられたサーモスイッチは、バイメタル式温度センサー等の応答性の速いセンサーからなり、冷却系異常等によるエンジンの温度上昇等を検出し焼き付きを防止するための失火制御を行う。なお、前述のエンジン温度検出手段はシリンダブロックに設けられ燃料噴射の制御量補正のために使用されるが、このサーモスイッチはエンジンの温度上昇に直ちに対処するため応答性が速いことが要求される。
【0035】
シフトカットスイッチは、クラッチを切り替えるためのシフトケーブルのテンションを検出してプロペラに直結するドッグクラッチの切り替えを容易にするためのものである。
【0036】
運転状態検出手段とは、他方の船外機の運転状態を検知するためのものであり、該手段には気筒休止運転検出手段、2機掛け運転状態検知手段及びDES検出手段がが含まれる。DES検出手段は、2機掛け運転の場合他のエンジンが異常により失火運転状態にある時これを知らせるための信号であるDESを検知するものである。すなわち、該手段は船尾に船外機を2台並列して備えた型式の船舶において、一方の船外機のエンジンがオイル不足、温度上昇等により失火制御を行っている場合には、そのエンジンのDES出力手段からDESが出力されており、このDESを検出しこの失火運転状態を検知するためのものである。このDESの検出により、他方のエンジンも同様に失火制御を行って、両方のエンジンの運転状態を同じにして走行のバランスを保つ。
【0037】
また、2機掛け運転状態検知手段とは他方の船外機が同時に運転されている2機掛け運転状態にあるか否かを検知するものであり、気筒休止運転検出手段とは、2機掛け運転状態下において、他方の船外機のエンジンが気筒休止運転状態であるか否かを検知するものである。一方の船外機のエンジンが気筒休止運転となった場合、そのエンジンより気筒休止信号が出力されており、この信号が検知されると他方のエンジンも同様に気筒休止運転を行い、両船外機による走行バランスを保つようにする。
【0038】
バッテリ電圧検出手段は、インジェクタの駆動電源電圧の変化によりバルブの開閉動作の速さが変り吐出量が変化するため、バッテリ電圧を検出してこの電圧に基づいて噴射量を補正制御するために用いる。
【0039】
スタータスイッチ検出手段は、エンジンが始動運転中かどうかを検出するためのものである。始動状態であれば、燃料のリッチ化等を行い始動運転用の制御を行う。
【0040】
2種類あるE/Gストップスイッチ検出手段は、エンジン停止操作スイッチや落水検知スイッチのことであり、このうち落水検知スイッチは乗員が落水した場合これを検出するものであり、エンジンを直ちに停止するように制御する。この2種のE/Gストップスイッチ検出手段を図中便宜上一つのE/Gストップスイッチ検出手段として表示する。
【0041】
メインSW検出手段は、エンジン停止のため、メインSWがオフされたことを検出するためのものである。
【0042】
以上のような各検出手段からの入力信号に基づいて、演算処理装置内で各制御量の演算を行い、演算結果に基づいて出力側(図4の右側)の燃料噴射手段#1〜#6、点火手段#1〜#6、燃料ポンプおよびオイルポンプを駆動制御する。なお、燃料噴射手段および点火手段はそれぞれ、インジェクタおよび点火プラグであり、各気筒ごとに独立して順番に制御される。
【0043】
このような演算処理装置での演算を実行するために、図示したように、演算処理装置には、制御プログラムやマップ等を格納したROM等からなる不揮発性メモリおよび各検出信号やこれに基づく演算のための一時的なデータを記憶するためのRAM等からなる揮発性メモリが備る。
【0044】
次に、図5を参照して、本発明が適用される船外機エンジンの点火時期制御および燃料噴射制御について説明する。図5はこのような制御フローを実行するための構成を示すブロック図である。各ブロックは、前述の図4の演算処理装置内に演算処理回路として組込まれている。
【0045】
気筒判別手段201は、気筒検出手段#1〜#6(図4)に対応するものであり、各気筒からの入力信号に基づいてその気筒番号を判別する。周期計測手段1000は、この気筒検出手段からの検出信号に基づいて、各気筒からの入力信号の時間間隔を計測し、これを6倍することにより1回転の時間(周期)を算出する。エンジン回転数算出手段203は、この周期の逆数を演算して回転数を求める。スロットル開度読み込み手段204は、スロットル開度に対応したアナログ電圧信号により開度を読み込む。
【0046】
スロットル開度読み込み手段204からのスロットル開度信号はA/D変換され、E/G回転数算出手段203からの回転数信号さらにスタータスイッチからの起動情報が、基本点火時期算出手段210および基本燃料噴射算出手段211に送られ、基準気筒である#1の気筒の点火時期および燃料噴射量が通常運転モードあるいは始動モードのそれぞれにおいてそれぞれ3次元マップを用いて算出される。このエンジン回転数信号およびスロットル開度信号は、さらに気筒別点火時期補正値演算手段208および気筒別燃料噴射量補正値演算手段209に送られ、残りの気筒#2〜#6についての基本点火時期および基本噴射量に対する補正値を各気筒ごとにマップ演算して求める。
【0047】
一方、トリム角度読み込み手段205、機関温度読み込み手段206および大気圧読み込み手段207は、それぞれの検出手段(図4)からの検出信号を読取り、これを点火時期補正値算出手段212および燃料噴射量補正値・補正係数算出手段213に送り、各運転状態に応じた補正値及び補正係数を算出する。この場合、点火時期補正値については、基本点火進角の値に対して加算する補正進角(あるいは遅角)の角度数を、各読み込みデータの種類ごとに予め記憶させたマップにより求める。また、燃料噴射量の補正係数については、予め記憶されたマップデータにより運転状態に応じた値を求める。
【0048】
なお、点火時期補正および燃料噴射量補正について、図示していないが、さらに吸気温度の検出データを各算出手段212、213に入力して吸気温度に基づく補正を行ってもよい。燃料の噴射量補正値・補正係数算出手段213にはスタータSWからの始動開始情報、及びエンジン回転数情報あるいはさらにE/G(エンジン)温度検出手段からの温度情報に基づき、始動運転モードから通常運転モードへの移行時点からスタートするタイマーの経過時間情報も入力される。燃料噴射量補正値・補正係数算出手段213においては基本噴射量に乗算される補正係数と、気筒別補正値以外の補正値、即ち始動後補正値及び始動運転モードから通常運転モードへの移行時点からの時間経過に対応した過渡期補正値が算出される。
【0049】
点火時期補正値算出手段212および燃料噴射量補正値・補正係数算出手段213の算出出力は、それぞれ点火時期補正手段214および燃料噴射量補正手段215に入力され、ここで基本点火時期に補正値が加算されるとともに基本燃料噴射の算出値に補正係数が乗算され、且つ始動後補正値と過渡時補正値が加算されて#1気筒の点火時期および燃料噴射の制御量が算出される。
【0050】
この基準気筒#1の点火時期および燃料噴射の制御量は気筒別点火時期補正手段216および気筒別燃料噴射量補正手段217に入力され、ここで#1気筒についての補正された点火時期および燃料噴射量に対し、#2〜#6の気筒についての気筒別点火時期補正量演算手段208および気筒別燃料噴射量補正値演算手段209による制御補正量を加えることにより、#2〜#6までの気筒の点火時期および燃料噴射量の制御量が算出される。
【0051】
このようにして算出された#1から#6までの各気筒に対する点火時期および燃料噴射の制御量に基づいて、点火出力手段218は、各気筒ごとの点火進角の角度の値で算出された制御量をタイマーセットし、燃料出力手段219は開弁時間に相当するクランク角をタイマーセットする。
【0052】
図6および図7は、本発明の実施例に係る2機掛け船外機のそれぞれのエンジンについての制御全体のフローチャートである。このフローチャートは、各エンジンの制御装置(演算処理装置)のCPUに組込まれた制御プロセス全体のシーケンスプログラムを示すメインルーチンのフローである。
【0053】
メインスイッチが投入され電源が立上がってエンジン操作が開始されると、所定のリセット時間後まず制御処理装置内の各処理回路が初期化される(ステップS11)。
【0054】
次にステップS12において、運転状態が判断され結果がメモリに保持される。ここでは、メインスイッチのON,0FF情報、図4のスタータSW検出手段を使って読み込まれたスタータSWのON,OFF情報、及び気筒判別手段からの検出信号の時間間隔から算出されるエンジン回転数情報により始動状態か否か判断する始動判断、スロットル開度検出手段から読み取られる
スロットル開度情報、エンジン回転数情報、運転状態検出手段により読み取られる他方の船外機の運転状態情報である運転状態情報、あるいは下記するオーバーヒート、オイル不足等の異常状態情報、あるいはスロットル開度情報の時間変化から算出される急加減速情報等に基づき特定気筒を休止すべきかどうかの気筒休止判断、主にスロットル開度情報、エンジン回転数情報に基づき酸素濃度のフィードバック制御を行うかどうかの判断、及び主に同2つの情報に基づき特定の制御条件の場合に制御データを学習記憶させるかどうかの判断、エンジン回転数情報に基づき過剰回転にあるかどうかのオーバーレボ判断、スロットル開度情報、エンジン回転数情報及びエンジン(E/G)温度検出手段あるいはそのより具体的手段であるサーモSWによる温度情報に基づきオーバーヒート状態であるかどうかのオーバーヒート判断、スロットル開度情報、エンジン回転数情報及びオイルレベル検出手段による残存オイル量情報に基づき残存オイル量が少ないかどうかのオイルエンプティ判断を行う。過剰回転状態、オーバーヒート状態及び残存オイル量少状態の場合は下記するように失火制御を行う。ステップS12においてはさらに、スロットル情報、クランク角情報、O2センサ情報あるいはクランク角検出手段の一種であるパルサーコイルからのパルサー情報に基づき、これらの情報が欠落あるいは異常であるフェール状態であるか否かのフェール判断、運転状態情報により他の船外機も運転されている2機掛け運転状態にあるかどうかの判断、気筒休止状態信号により他方の船外機が気筒休止運転状態にあるかの判断、及びDES(異常対応の失火制御状態を報知する信号)により他方の船外機が異常対応の失火制御状態にあるかの判断の3つの判断からなる2機掛け運転状態判断、前記したスロットル開度情報の時間変化から急加減速状態にあるかどうかの急加減速判断、高速回転状態からのシフト操作時作動するシフトカットSWのON,OFF情報に基づくシフトカット状態にあるかどうかのシフトカット判断がなされる。
【0055】
このような判断は、前のルーチンにおいて読取ったセンサーからの検出情報や演算結果等の各種情報に基づいて行われる。
【0056】
次にステップS13において、ループ1のルーチンワークを行うかどうかの判別が行われる。YESであれば、ステップS14に進みスイッチ情報の読み込みが行われる。ここではE/Gストップスイッチ検出手段、メインスイッチ、スタータスイッチ検出手段およびサーモSWからの情報が読取られる。続いてステップS15において、ノックセンサー(ノック検出手段)およびスロットルセンサー(スロットル開度検出手段)からの情報が読取られる。このループ1による情報読み込みの終了後ステップS16に進み、ループ2のルーチンワークを行うかどうかが判別される。
【0057】
演算処理装置はハード的あるいはソフト的に4ms間隔でループ1の処理用フラグ1を1にセットし、8ms間隔でループ2の処理用フラグ2を1にセットする。
【0058】
図8はこのようなループ1およびループ2を実行するためのタイマー割込みのフローチャートである。このようなタイマーのセットはイニシャライズステップS11において行われ、各ループ1、2のルーチンを実行中にはそのフラグがセットされるとともに次回のそのルーチンのためのタイマーがセットされる。
【0059】
図6に戻り、ステップS13において、フラグ1をチェックし1であればステップS14、ステップS15を実施する。なお、ステップS14に進むと同時にフラグ1はクリアされ0となる。ステップS13において、フラグ1が0であることが確認されると、ステップS16に進み、フラグ2が1であるかをチェックする。フラグ2が1であればステップS17に進むと同時にフラグ2はクリアされ0となる。ステップS16でフラグ2が0である場合はステップS12に戻る。
【0060】
ステップS17においては、オイルレベルの検出、高回転状態からのシフト操作時大となるシフトケーブルのテンションに応じて作動し、テンションが大なる時ONとなるシフトカットスイッチのON,OFF状態の検知、およびエンジン2機掛け運転信号、気筒休止状態信号及びDES信号の検出が行われる。さらにステップS18において、大気圧情報、吸気温度情報、トリム角情報、エンジン温度情報、バッテリ電圧情報、および排気ガス中の酸素濃度情報が大気圧検出手段、吸気温度検出手段、トリム角度検出手段、E/G(エンジン)温度検出手段、バッテリ電圧検出手段、及びOセンサーによりそれぞれ読取られる。なお、酸素濃度情報に基づき燃焼前のA/F情報が算出される。
【0061】
次に、ステップS19において、失火制御が行われる。これは、読み込んだ情報から、前記ステップS12の運転状態判断において、過回転、所定以上のスロットル開度及びエンジン回転数におけるオーバーヒート、オイルエンプティ等の異常状態にある、あるいは他のエンジンが異常状態にあるとの判断結果が検出されたときに、特定気筒の失火を行うように燃料制御するものである。さらに、下記するステップS24の気筒別補正において、失火させる気筒の燃料噴射量を他の気筒より半減させるべく、失火制御状態にあることをメモリに出力する失火時燃料制御が実施される。次に、エンジンが回転しているかどうかの判断およびオイルタンクのレベルセンサーからの情報に基づいて、燃料ポンプおよびオイルポンプが駆動制御される(ステップS20)。これは、燃料については、エンジンが回転中ならば燃料ポンプを駆動し、エンジン停止中ならば燃料ポンプを停止し、オイルについては、オイルタンク内の量が少ないときにポンプを駆動して船体内のオイルタンクからオイルを補給するかまたは船内タンクが空の場合はエンジン回転数を低下させオイル消費量を低下させるものである。
【0062】
次に、ステップS21において、気筒休止判断結果の判別を行う。これは、前述の運転状態判断ステップS12において、所定の条件のときに気筒休止運転を行う判断をした場合に、演算処理のマップを選択するための判別ステップである。気筒休止運転でなければ通常の全気筒運転による通常運転マップを用いて点火時期および噴射時間の基本演算およびこれに対する気筒別の補正演算を行う(ステップS22)。なお、失火制御状態にあるかどうかの判断もなされ、失火制御状態にある場合は失火気筒にも、他の点火気筒への燃料噴射量と同じか所定割合を減じた燃料を供給すべく噴射時間の設定がなされる。これにより所定以上のスロットル開度及びエンジン回転数の時からの失火制御においても燃料を供給するので、気化熱によりピストン等を冷却でき損傷を防止できる。気筒休止運転状態であれば、特定の気筒を休止した気筒休止運転用の気筒休止マップを用いて点火時期および噴射時間の演算および気筒別の補正演算を行う(ステップS24)。次に、図7のステップS23において、大気圧やトリム角等の運転状態に応じて、基本の点火時期や燃料噴射に対する補正値が演算される。続いて、ステップS25において、酸素濃度のフィードバック制御に伴う補正値が演算される。このとき、演算情報の学習判定とO2センサーの活性化の判定が行われる。さらに、ステ ップS26において、ノックセンサーからの検出信号に基づいて、エンジンの焼き付き防止等のために制御量の補正値が演算される。
【0063】
次にステップS27において、基本の点火時期および燃料噴射の制御量に対し補正係数を乗算しさらに補正値を加えてあるいは補正係数を乗算して最適な点火時期、噴射時間および噴射時期を演算する。この後、ステップS290において、エンジン停止前制御の演算が行われる。これは、ステップS12で、メインスイッチあるいはエンジンストップスイッチ等が切られて、エンジン停止状態と判断された場合に、エンジンの焼付き及び再始動を考慮して点火のみを止めて燃料噴射は所定時間継続するための制御ルーチンである。以上によりループ2のルーチンを終了し、元の運転状態判断ステップS12に戻る。
【0064】
図9はTDC割込みルーチンのフローを示す。クランク軸には各気筒検出手段近傍を順次通過する時各気筒においてピストンが上死点にあることを知らせる信号を各気筒検出手段から出力させるマーカが固着されている。TDC割込みとは、#1から#6までの気筒検出手段による各気筒からのTDC信号の入力に基づき、随時メインルーチンに割込まれるルーチンである。
【0065】
まず、信号が入力された気筒の番号を判定する(ステップS28)。次にその気筒番号を前回の入力信号の気筒番号と比較することにより、運転すべき回転方向に対するエンジンの正逆回転を判定する(ステップS29)。逆転していればエンジンを直ちに停止する(ステップS33)。エンジンが正転していれば、例えば#1と#2の気筒間の時間間隔をカウントしてこれを6倍することによりエンジン回転の周期を算出する(ステップS30)。続いてこの周期の逆数を演算することにより、回転数を算出する(ステップS31)。この回転数が予め定めた所定の回転数よりも小さいときには、エンジンを停止する(ステップS32、33)。
【0066】
次に、ステップS34において、入力されたTDC割込み信号が特定の基準気筒#1からのものかどうかが判別される。基準気筒#1からの信号であれば、休筒運転状態かどうかが判別され(ステップS35)、休筒運転中であれば、休止すべき気筒のパターンを変更すべきかどうかが判別され(ステップS37)、パターンを切り替え(ステップS38)または切り替えずにそのままステップS39に進み、点火制御による休筒運転情報をセットする。割込み信号が#1からでない場合(ステップS34)あるいは休筒運転中でない場合(ステップS35)には、そのまま、あるいは休筒情報をクリアして(ステップS36)ステップS39に進み、点火制御による休筒運転情報をセットする。この点火休筒情報に基づき点火すべき気筒の点火パルスをセットする(ステップS40)。
【0067】
この点火パルスセットの詳細を図10に示す。演算により求められる点火時期は、V型6気筒エンジンにおいて、TDCより60度前のクランク角すなわち基準に何度になるかに換算され、0.8で割ってパルス数にまるめられる。60度前にTDCとなる気筒のTDC信号が入力されると、点火出力手段218を構成するタイマーにまるめられたパルス数のデータが保持されると同時に、以降クランク角検出手段からのパルスがタイマーに届くごとに、保持するパルス数を1づつ減じていき、保持パルス数が0となると、点火出力手段218が点火プラグ19をスパークさせる。
【0068】
本実施例は、例えば6気筒のV型2バンク型式のエンジンを対象とし、奇数番号の気筒(#1、3、5)を左バンクに配設し、偶数番号の気筒(#2、4、6)を右バンクに配設している。これらの気筒をバンクごとに制御するために、バンクごとに別のタイマーを有している。これらのタイマーに点火時期に対応するクランク角パルス数をセットする場合、図示したように、まず気筒番号が偶数か奇数かを判別し、偶数か奇数かに応じてそれぞれ点火時期データを対応するバンクのタイマー(図では奇数バンクをタイマ3、偶数バンクをタイマ4としている)にセットし、点火気筒番号をセットする。
【0069】
その後、点火制御において失火させる休止気筒について燃料噴射制御における燃料噴射量を減少させる気筒を燃料噴射制御による休筒情報としてセットし、次にエンジン停止前制御(ステップS290)にてセットされる燃料カットフラグをチェックし(図9のステップS41)、該点火制御において失火させる休止気筒について算出される燃料噴射の制御量より減少させた燃料噴射量に対応する噴射時間と、その他の気筒について算出される燃料噴射の制御量に対応した噴射時間に、それぞれ気筒ごとに対応した噴射パルスをセットする。但し、エンジン停止前制御にて、燃料カットフラグがセットされ、燃料噴射を行わないと判定された場合には、噴射パルスのセットを行わない。(ステップS42)。
【0070】
前述のエンジン周期を計測する場合、1つの気筒からの入力信号(TDC信号)があると、これに応じて図9のTDC割込みが行われるとともに、TDC周期計測タイマーがTDC信号の入力時点で一定周波数パルスのパルス数のカウントを開始し、次の気筒のTDC信号が入力した時点でリセットされ次の気筒のカウントを開始する。この場合、カウント値が所定値以上になると、オーバーフローとなりカウントがリセットされる。このオーバーフローが起きた時点、即ち、クランク角60度の周期が所定以上の時間である低速回転であることが検知された時点でタイマーオーバーフロー割込みが実行される。
【0071】
図11は、このオーバーフロー割込みを示す。オーバーフローが起きるとまずその回数を記憶するとともに、エンジンの始動運転状態かどうかが判別される。始動状態の運転モードであればオーバーフローはエンジン回転が低いためであり、そのまま運転を続ける。始動モードでない場合には、TDC信号のパルスが抜けた、即ち何等かのトラブルによりTDC信号パルスが伝えられなかったためのオーバーフローかどうかが判別され、パルス抜けのない正常な信号伝達によるオーバーフロー検出であればエンジンが低回転であるためエンジンを停止する。パルス抜けがあった場合には、オーバーフロー検出が2回目かどうかが判別され、2回目となった場合も回転が低すぎるとしてエンジンを停止する。これにより、低回転において信号発信系統に異常があるときには必ずエンジン停止することとなる。
【0072】
図12は、各気筒の点火タイミングを設定するための前述の各バンクに対応したタイマー3、4の割込みルーチンを示す。エンジン回転信号(TDC信号)が各気筒から入力されるとこのタイマー3、4のカウントダウンが開始され、アンダーフローにより割込みが行われる。まず、エンジンが所定の低回転以下の状態のために点火休筒運転を行うかどうかの休筒情報およびオーバーヒートあるいはオーバーレボ(過回転)検出により点火を失火させるかどうかさらには、エンジン停止前制御により点火カットフラグがセットされ、点火を失火させるかどうかの失火情報を読み込む。その後、休筒情報あるいは失火情報により失火させる場合には、点火処理のルーチンは行わないためタイマーで設定されたタイミングになっても点火プラグへの放電はさせないようにして、120°位相が遅れた気筒の点火タイミングをメモリより読み込み、該タイマにタイミングをセットし、そのままメインフローに戻る。失火させない場合には、点火すべき気筒の番号を読み込み、その気筒の点火駆動回路の点火出力ポートからパルス(HI)を出力して点火プラグを放電させる。点火時間はパルス幅に対応しタイマにより設定される、又は、所定回数、実行に所定時間必要となるループを実行し、必要なパルス幅を得る。この所定の点火時間が経過後、点火出力ポートからの信号をLOWとし点火プラグの放電が終了する。また、点火駆動回路がLOWアクティブであれば論理は上記と逆となる。
【0073】
以上が本発明が適用される船外機エンジンの機構上の構成および制御系全体のシステム構成およびその作用のフローである。
【0074】
図13は、本発明に係るエンジン停止前制御のフロー説明図である。図示したように、このエンジン停止前制御演算は、前述の図6のメインフローにおけるE/G停止前制御演算ステップS290において行われ、エンジンストップスイッチによるエンジン停止演算のルーチン(ステップS291)とメインスイッチによるエンジン停止演算のルーチン(ステップS292)とを含むものである。以下の第1〜第5実施例はエンジンストップスイッチによる演算処理ステップS291の実施例であり、第6〜第10実施例はメインスイッチによる演算処理ステップS292の実施例である。
【0075】
図14は、本発明の第1実施例に係るエンジンストップスイッチによる停止制御演算ルーチンのフローチャートである。まずエンジンストップスイッチがオン(エンジンを停止すべき状態)かどうかが判別される(ステップS1501)。オンになっていなければ、点火カットのフラグをクリアし(ステップS1502)、同様に燃料カットのフラグをクリアして(ステップS1503)、エンジン停止前制御は行わず元のメインルーチンに戻ってその時点での運転状態に対応した通常の運転モードの制御を行う。
【0076】
エンジンストップスイッチがオン状態であれば、ステップS1504に進み、エンジン回転数が所定の値以下かどうかが判別される。エンジンが高回転状態であればステップS1505に進み、点火カットのフラグをセットしてメインルーチンに戻る。この場合燃料カットのフラグはセットしない。従って、点火のみが停止され燃料噴射は続行される。即ち、このルーチンに入る前の運転モードに従って燃料噴射制御はそのまま続行され燃料噴射が継続される。
【0077】
この高回転状態でルーチンを繰り返し、回転数が所定値以下に低下すると、ステップS1504はYESになり、点火カットフラグをセットする(セットを継続する)とともに(ステップS1506)、燃料カットフラグをセットする(ステップS1507)。これにより、点火がカットされるとともに燃料もカットされエンジンが完全に停止状態になる。
【0078】
図15は上記図14に示した第1実施例の制御フローのタイムチャートである。図示したように、エンジンストップスイッチがオンになった時点t0(グラフ(a))で、点火をカットする(グラフ(c))。これによりエンジン回転数は減少する(グラフ(b))。このとき燃料噴射は継続する(グラフ(d))。このt0時点でのエンジン回転数は、前述の図14のステップS1504の判断基準である所定値N1以上である。エンジン回転数がこの所定値N1より低下した時点t1で燃料がカットされる(グラフ(d))。フュエルポンプは、グラフ(e)に示すように、燃料噴射を継続している間はオン状態に保持される。
【0079】
図16は本発明の第2実施例のフローチャートである。第1実施例と同様に、エンジンストップスイッチがオンかどうかが判別され(ステップS1508)、オンになっていなければ点火カットおよび燃料カットのフラグがクリアされる(ステップS1509、1510)。エンジンストップスイッチがオンであれば、スイッチオン直後かどうか、即ちエンジンストップスイッチがオンになった後の最初の演算ルーチンかどうかが判別される(ステップS1511)。最初のルーチンであれば、この時点での最新のエンジン回転数データに基づいて燃料噴射の継続時間Toffを算出する(ステップS1512)。このToffは、(B)図に示すように、エンジン回転数に対応し、回転数が高いほど長く設定する。このようなToffの設定値は予めマップに記録しておき、演算処理時にこれを読み出す。一旦このToffを算出したら次回からはこのToff演算ステップS1512は抜ける。
【0080】
次にステップS1513において、エンジン回転数が所定値N1以下かどうかを判別する。これは前記第1実施例のステップS1504と同様である。回転数が所定値N1以下であれば、前記第1実施例と同様に、点火カットおよび燃料カットのフラグをセットし(ステップS1514、1517)、点火とともに燃料がカットされる。
【0081】
一方、回転数がN1より大であれば、点火カットのフラグをセットし(ステップS1515)、前述のToff時間が経過したかどうかを判別する(ステップS1516)。Toff時間経過前であれば、そのままルーチンを抜ける、即ち、燃料噴射を継続したまま点火カットのみを行う。このように点火をカットし燃料噴射を継続した状態を続けた後のルーチンでToff時間が経過すると、燃料カットのフラグをセットし(ステップS1517)点火とともに燃料をカットする。
【0082】
図17は本発明の第3実施例のフローチャートである。この第3実施例は、前記第2実施例のToff時間の演算ステップS1512がエンジン回転数に基づいていたのに対し、この第3実施例ではエンジン温度に基づいてToff時間を演算するものである(ステップS1518)。このエンジン温度が高いほどToff時間が長くなるようにマップを作成しておく(同図(B)参照)。その他のフローは前記第2実施例と同様である。
【0083】
図18は上記第2および第3実施例のタイムチャートである。前述の第1実施例の場合と同様に、エンジンストップスイッチがオンになった時点t0(グラフ(a))で点火がカットされ(グラフ(c))、エンジン回転数が低下する(グラフ(b))。この時点では燃料噴射は継続する。この燃料噴射の継続時間はToffである。Toff時間が経過したら燃料噴射をカットするとともにフュエルポンプを停止する。即ち、第1実施例では、エンジン回転数がN1に低下するまで燃料噴射を継続したが、この第2、第3実施例ではエンジンを停止すべきスイッチ情報が入力された時点でエンジン回転数またはエンジン温度に基づいて必要とする最適な燃料噴射時間を算出しこれに基づいて噴射終了時間を定めているため、エンジン回転数がN1に低下する前に燃料噴射をカットすることができ、燃費の節約が図られる。
【0084】
図19は、本発明の第4実施例のフローチャートである。この実施例は前述の第1実施例において点火カットの後燃料カットを行う前に燃料の増量補正を行うものである。即ち、図14に示す第1実施例のフローチャートにおける点火カットフラグセット(ステップS1505)の後に、燃料増量演算のステップS1526を設けたものである。この噴射増量は、メインルーチン(図6、図7)のTDC割込みルーチン(図9)に同期して行われ、各気筒別に基本噴射量に対する補正噴射量として演算される。このように点火カットを行い且つ燃料を継続するだけでなく、さらにこの燃料を増量することにより、エンジン焼き付き防止および再始動性の向上の効果がさらに高まる。
【0085】
図20は、本発明の第5実施例のフローチャートである。この実施例は上記第4実施例の噴射増量に代えて、非同期噴射を行うものである。即ち、図14に示す第1実施例のフローチャートにおける点火カットフラグセット(ステップS1505)の後に、非同期噴射タイマーを動作させるためのステップS1528およびS1529を設け、点火カットと同時にタイマーにより設定された期間だけ非同期で燃料を噴射する。第1実施例と同様に、エンジン回転が所定値N1以下になって燃料カットフラグがセットされると(ステップS1507)、タイマーがリセットされTDCの同期噴射による燃料がカットされるとともに非同期噴射も停止される(ステップS1527)。
【0086】
図21は、上記第4および第5実施例のタイムチャートである。(d)(e)が第4実施例の燃料増量制御を示し、(f)(g)が第5実施例の非同期噴射制御を示している。前述のように、エンジンストップスイッチがオンになった時点t0(グラフ(a))で点火がカットされ(グラフ(c))、エンジン回転数が低下する(グラフ(b))。このt0時点で、第4実施例では噴射増量が行われ(グラフ(d))、第5実施例では非同期噴射が行われる(グラフ(f))。いづれの場合にも、エンジン回転数が所定値N1に低下して燃料カットが行われる時点t1で噴射は停止されフュエルポンプが停止される(グラフ(e)(g))。なお、非同期噴射のタイマーの時間設定をt0時点での状態に応じて行う場合には、非同期噴射が燃料カットのt1時点に達する前に終了することもある(例えば、t0時点でのエンジン回転数が低く又はエンジン温度が低く非同期による噴射をさほど必要としない場合等)。逆に、t1時点を越えて非同期噴射を行うことも可能である(例えばエンジン温度が高い場合等)。
【0087】
次に、本発明のさらに別の第6〜第10実施例について説明する。これらの実施例については、前述の第1〜第5の各実施例がエンジンストップスイッチのオンに対応してエンジン停止前制御を行う演算処理ステップS291(図13)で行われるのに対し、以下の第6〜第10実施例はメインスイッチがオフにされたことに対応してエンジン停止前制御を行う演算処理ステップS292(図13)で行われる実施例を示すものである。
【0088】
図22は、本発明の第6実施例のフローチャートである。この実施例は基本的には前述の第1実施例(図14)と同様であり、まずメインスイッチがオフ(エンジンを停止すべき状態)かどうかが判別される(ステップS1530)。オフになっていなければ、点火カットのフラグをクリアし(ステップS1531)、同様に燃料カットのフラグをクリアして(ステップS1532)、エンジン停止前制御は行わず元のメインルーチンに戻ってその時点での運転状態に対応した通常の運転モードの制御を行う。
【0089】
メインスイッチがオフ状態であれば、ステップS1533に進み、エンジン回転数が所定の値以下かどうかが判別される。エンジンが高回転状態であればステップS1534に進み、点火カットのフラグをセットしてメインルーチンに戻る。この場合燃料カットのフラグはセットしない。従って、点火のみが停止され燃料噴射は続行される。即ち、このルーチンに入る前の運転モードに従って燃料噴射制御はそのまま続行され燃料噴射が継続される。
【0090】
この高回転状態でルーチンを繰り返し、回転数が所定値以下に低下すると、ステップS1533はYESになり、点火カットフラグをセットするとともに(ステップS1535)、燃料カットフラグをセットする(ステップS1536)。これにより、点火がカットされるとともに燃料もカットされエンジンが完全に停止状態になる。ここまでのフローは、図14の第1実施例のステップS1501〜S1507に対応し、エンジンストップスイッチがメインスイッチに代ったのみで他は同じである。
【0091】
本実施例は、メインスイッチがオフになった後、所定時間エンジン停止前制御の演算を行うために、演算処理装置(CPU)に電源を供給する電源回路をオン状態に保持するためのステップを設けたものである。即ち、燃料カットフラグをセット(ステップS1536)した後、予め電源を保持する時間Toff2をセットしたタイマーをスタートさせる(ステップS1537、1538)。続いて、このタイマーで設定された時間Toff2を経過したかどうかが判別される(ステップS1539)。設定時間前であればこのルーチンを一旦抜けてメインルーチンに戻る。次に再びこのルーチンを実行するときにタイマー時間Toff2が経過している場合には、ステップS1539がYESになり電源回路がオフになる(ステップS1540)。これにより、CPUに供給される電源が完全に停止される。
【0092】
図23は上記第6実施例のタイムチャートである。図示したように、メインスイッチがオフになった時点t0で点火がカットされ、エンジン回転数が所定値N1まで低下した時点t1で燃料がカットされる。この燃料カットの時点t1からタイマーによる設定時間Toff2が経過した時点t2で電源回路がオフにされる。
【0093】
図24は、本発明の第7実施例のフローチャートである。この実施例は図16に示した第2実施例に対応し、メインスイッチがオフにされたときに、第2実施例と同様にエンジン回転数に基づいて燃料噴射継続時間Toff1を定め(図24(A)参照)、このToff1時間経過後に燃料噴射をカットすることにより、エンジン回転数が所定値N1まで低下する前に燃料噴射をカットするものである。この第7実施例では、電源オフタイマーによりToff2をセットして、エンジン回転数が所定値N1に低下した時点での燃料カットフラグセット後このToff2時間後に電源回路をオフにするものである。即ち、図24のステップS1541からS1551の燃料フラグセットまでは、実質上図16のステップS1508からS1517までと同様であり、この燃料カットフラグのセット(ステップS1551)後に前記第6実施例と同様に電源オフタイマーによる電源回路停止のためのステップS1552〜S1555を設けたものである。
【0094】
図25は、本発明の第8実施例のフローチャートである。この実施例は図17に示した第3実施例に対応し、メインスイッチがオフにされたときに、第3実施例と同様にエンジン温度に基づいて燃料噴射継続時間Toff1を定め(図25(A)参照)、このToff1時間経過後に燃料噴射をカットすることにより、エンジン回転数が所定値N1まで低下する前に燃料噴射をカットするものである。この第8実施例では、電源オフタイマーによりToff2をセットして、エンジン回転数が所定値N1に低下した時点での燃料カットフラグセット後このToff2時間後に電源回路をオフにするものである。即ち、図25のステップS1549およびS1551の燃料フラグセットまでのステップは、実質上図17の各ステップと同様であり、この燃料カットフラグのセット(ステップS1551)後に前記第6実施例と同様に電源オフタイマーによる電源回路停止のためのステップS1552〜S1555を設けたものである。
【0095】
図26は、上記第7および第8実施例のフローチャートである。メインスイッチがオフになった時点t0で点火がカットされエンジン回転数が低下する。t0次点から時間Toff1が経過した時点t2で燃料噴射がカットされる。電源オフタイマーのスタートはエンジン回転数がN1に低下した時点t1で行われる。このt1時点からToff2時間後に電源回路がオフにされる。
【0096】
図27は本発明に係る電子制御回路の構成図である。制御装置ECUは電源回路に接続された演算処理装置CPUを有し、このCPUに対し外部からエンジン回転数検出手段、エンジン温度センサーおよびエンジンストップスイッチ等の運転状態検出手段がインターフェイス回路を介して接続される。また点火回路を介して点火手段が接続される。ECUにはフュエルポンプドライバを介してフュエルポンプが接続され、ECU内部の半導体スイッチ回路を介してCPUに接続される。またCPUには燃料噴射手段としてインジェクターが半導体スイッチ回路を介して接続される。CPUに接続された電源回路には半導体スイッチ回路及びヒューズを介してバッテリーが接続され、さらに半導体スイッチ回路には電源オフタイマー及びCPUが接続される。この半導体スイッチ回路および電源オフタイマーに対し、メインスイッチおよびヒューズを介してバッテリーが接続される。
【0097】
上記構成の電子制御回路において、メインスイッチがオンになると半導体スイッチがオンになり電源回路にバッテリーの電源が供給される。一旦半導体スイッチがオンになると、メインスイッチがオフにされて図のA点の電圧が下がっても、保持回路(図示しない)により半導体スイッチはオフにならずオン状態を保ってCPUへの電源供給を続ける。メインスイッチがオフになり、CPUがA点の電圧降下を検出し、エンジン停止制御モードによる燃料噴射やフュエルポンプ駆動等の所定作業が終了すると、CPUは所定作業の終了フラグを確認してB点側から半導体スイッチをオフにする。この半導体スイッチのオフを確実に達成するために、電源オフタイマーが接続される。この電源オフタイマーは前述の第6〜8実施例で説明した電源回路の保持時間Toff2が経過した後に時間的余裕をもって半導体スイッチ回路をオフするためのものである。この場合、CPUによる所定作業が妨げられないようにするためにタイマーの設定時間は所定作業に必要な充分な時間に設定する。このように2重の停止回路を形成することにより、CPUが誤動作した際にも、メインスイッチをオフすることによりCPUへの電源供給が確実に停止しエンジン制御が終了してエンジンが完全に停止する。
【0098】
図28は本発明の第9実施例のフローチャートである。この実施例は、前述の第6実施例における点火カットフラグセットのステップS1534(図22)の後に燃料の増量補正を行う演算ステップS1568を設けたものである。これにより、メインスイッチオフで点火カットされる場合に燃料を増量した状態で噴射が継続されエンジン焼き付きの防止効果がさらに高まる。その他の構成および作用効果は第6実施例と同様である。
【0099】
図29は本発明の第10実施例のフローチャートである。この実施例は上記第9実施例の噴射増量に代えて、非同期噴射を行うものである。即ち、図22に示す第6実施例のフローチャートにおける点火カットフラグセット(ステップS1534)の後に、非同期噴射タイマーを動作させるためのステップS1570およびS1571を設け、点火カットと同時にタイマーにより設定された期間だけ非同期で燃料を噴射する。第6実施例と同様に、エンジン回転が所定値N1以下になって燃料カットフラグがセットされると(ステップS1536)、非同期噴射のタイマーがリセットされTDCの同期噴射による燃料がカットされるとともに非同期噴射も停止される(ステップS1572)。その他の構成および作用効果については第6実施例と同様である。
【0100】
図30は上記第9および第10実施例のタイムチャートである。(d)(e)が第9実施例の燃料増量制御を示し、(f)(g)が第10実施例の非同期噴射制御を示している。前述のように、メインスイッチがオンになった時点t0(グラフ(a))で点火がカットされ(グラフ(c))、エンジン回転数が低下する(グラフ(b))。このt0時点で、第9実施例では噴射増量が行われ(グラフ(d))、第10実施例では非同期噴射が行われる(グラフ(f))。いづれの場合にも、エンジン回転数が所定値N1に低下して燃料カットが行われる時点t1で噴射は停止されフュエルポンプが停止される(グラフ(e)(g))。また、このt1時点から電源オフタイマーで設定されるToff2時間が経過した時点で電源回路がオフになる(グラフ(h))。
【0101】
なお、エンジンストップSW及びメインSWによるエンジン停止演算ルーチン(ステップS291,S292)で用いる点火及び燃料カット用フラグはそれぞえのルーチンで独立してもっている。たとえば失火させる場合の情報としては、エンジンストップSWオンによる点火カットフラグ及びメインSWオフによる点火カットフラグの両方をチェックする。エンジンストップスイッチあるいはメインスイッチがオンされエンジン停止に改るまでの間失火はされるが、噴射される燃料の気化によってピストン18およびその近傍の部品が冷却されるとともに、クランク軸21が回転している間オイルが吐出され、十分な潤滑がなされる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、エンジンを停止すべきスイッチ情報が入力された時点で点火をカットして燃焼を停止するが、燃料は噴射し続けるため、エンジン停止時の焼き付きが防止されるとともに再始動するときの始動性が向上する。また、燃料噴射の継続時に増量補正あるいは非同期噴射を行うことにより、エンジン温度が高いときにエンジン停止するときの焼き付きがさらに確実に防止され、またエンジン温度が低いときにエンジン停止した場合に再始動のときの始動性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される2機掛け船外機の外観図である。
【図2】本発明が適用される船外機のスロットルレバーの構成説明図である。
【図3】本発明の船外機の燃料系を含む構成説明図である。
【図4】2機掛け船外機の駆動制御系の構成説明図である。
【図5】図3の制御系の制御ブロック図である。
【図6】本発明が適用される内燃機関の制御シーケンスにおけるメインルーチンのフローチャートである。
【図7】図5のフローチャートの続き部分である。
【図8】図5のフローチャートにおけるタイマー割込みルーチンのフローチャートである。
【図9】図5のフローチャートにおけるTDC割込みルーチンのフローチャートである。
【図10】点火パルスのセットルーチンのフローチャートである。
【図11】タイマーオーバーフロー割込みルーチンのフローチャートである。
【図12】バンクごとのタイマー割込みルーチンのフローチャートである。
【図13】本発明に係るエンジン停止前制御フローの説明図である。
【図14】本発明の第1実施例のフローチャートである。
【図15】本発明の第1実施例のタイムチャートである。
【図16】本発明の第2実施例のフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施例のフローチャートである。
【図18】本発明の第2および第3実施例のタイムチャートである。
【図19】本発明の第4実施例のフローチャートである。
【図20】本発明の第5実施例のフローチャートである。
【図21】本発明の第4および第5実施例のタイムチャートである。
【図22】本発明の第6実施例のフローチャートである。
【図23】本発明の第6実施例のタイムチャートである。
【図24】本発明の第7実施例のフローチャートである。
【図25】本発明の第8実施例のフローチャートである。
【図26】本発明の第7および第8実施例のタイムチャートである。
【図27】本発明の電子制御回路の構成図である。
【図28】本発明の第9実施例のフローチャートである。
【図29】本発明の第10実施例のフローチャートである。
【図30】本発明の第9および第10実施例のタイムチャートである。
【符号の説明】
210:基本点火時期算出手段、211:基本燃料噴射量算出手段、214:点火時期補正手段、215:燃料噴射量補正手段。

Claims (5)

  1. エンジンの点火制御および燃料噴射制御をそれぞれ行うためのメインルーチンを有する電子制御式内燃機関において、前記メインルーチンは、エンジンを停止するためのスイッチ手段によりエンジンを停止すべき状態になったときに行われるエンジン停止制御演算ルーチンを有し、該エンジン停止制御演算ルーチンは、エンジンを停止すべき状態となった直後に燃料噴射の継続時間を算出し、エンジン回転数が所定値以下であれば点火を停止するとともに燃料噴射を停止し、エンジン回転数が所定値より大で前記燃料噴射の継続時間経過前であれば、燃料噴射を継続したまま点火の停止のみを行い、エンジン回転数が所定値より大で前記継続時間経過後であれば点火及び燃料噴射を停止することを特徴とする内燃機関のエンジン停止制御方法。
  2. 前記燃料噴射の継続時間は、前記エンジンを停止すべき状態になったときのエンジン回転数に基づいて定めることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のエンジン停止制御方法。
  3. 前記燃料噴射の継続時間は、前記エンジンを停止すべき状態になったときのエンジン温度に基づいて定めることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のエンジン停止制御方法。
  4. 各種運転状態の検出手段と、これらの検出手段で検出した運転状態に応じて点火時期および燃料噴射制御のためのメインルーチンでの制御量を演算する演算処理手段と、この演算処理手段の電源回路にバッテリー電源を接続するためのメインスイッチと、上記運転状態検出手段の1つとして設けられたエンジンストップスイッチとを有する内燃機関において、前記演算処理手段は、前記メインスイッチが切られたとき又は前記エンジンストップスイッチからの情報によりエンジンを停止すべき状態になったときに行われるエンジン停止制御演算ルーチンを有し、該エンジン停止制御演算ルーチンは,エンジンを停止すべき状態となった直後に燃料噴射の継続時間を算出し、エンジン回転数が所定値以下であれば点火を停止するとともに燃料噴射を停止し、エンジン回転数が所定値より大で前記燃料噴射の継続時間経過前であれば、燃料噴射を継続したまま点火の停止のみを行い、エンジン回転数が所定値より大で前記継続時間経過後であれば点火及び燃料噴射を停止することを特徴とする内燃機関のエンジン停止制御装置。
  5. 前記メインスイッチはインターフェイス回路を介して前記演算処理手段に接続され、さらに前記バッテリ電源は演算処理手段に電源を供給するための電源回路にスイッチ回路を介して接続されこのスイッチ回路はメインスイッチが切られた後、一定時間経過するまで又は所定作業の終了データが入力されるまでオン状態に保持されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のエンジン停止制御装置。
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